説明

グリセロ糖脂質リパーゼを含有する小麦粉製品の製造方法

【課題】良好な生地物性を有し、かつボリュームアップし、柔らかさが増大した焼成パン等の小麦粉製品を得る方法を提供すること。
【解決手段】グリセロ糖脂質リパーゼを用いる小麦粉製品の製造方法において、2回以上のミキシング工程を有することを特徴とする小麦粉製品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセロ糖脂質リパーゼを用い、少なくとも2回のミキシング工程を含む小麦粉製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小麦粉製品、例えばパンの製造方法は、ミキシングの回数からストレート法(直捏法)と中種法に大別される。
ストレート法は小麦粉、水、酵母、砂糖、塩、油脂等の原材料を一度にミキシングし、発酵させる方法で、比較的短時間で風味良好なパンが得られる方法であるが、老化が早く、生地の機械耐性に劣るなどの欠点がある。
一方、中種法は、2回以上のミキシング工程を経るパンの製造方法である。ここで、中種とは使用する小麦粉の一部または全部を酵母、水、副原料等とミキシングして得られるものであり、中種法は、中種(生地)発酵した後、残りの原材料または新たな原材料を加え再度ミキシングする方法である。中種法により出来上がったパンは比較的きめが細かく、柔らかく、老化が遅いパンができ、日本のホールセールベーカリーを中心に広く採用されているが、その品質はまだまだ改善の余地があり、更なる技術が望まれている。しかしながら、中種法はストレート法に比べ、体積や柔らかさが優れたパンが得られるため、中種法の更なる改善は困難であった。
【0003】
従来、パンの品質改良には酵素、乳化剤等が用いられている。一般的に製パンに酵素を使用する場合には、酵素添加量と反応時間をコントロールすることが必要であり、過剰な添加や長すぎる反応時間は、生地のべたつきや焼成パンのボリュームダウンなど、望ましくない効果を誘発することが知られている。
【0004】
近年、新たな製パン改良技術としてグリセロ糖脂質リパーゼの使用が知られており(非特許文献1)、いくつかのグリセロ糖脂質リパーゼが報告されている(特許文献1、特許文献2および特許文献3)。
以上の特許文献1〜3に記載されているグリセロ糖脂質リパーゼを用いた製パン方法はいずれも一回のミキシングで製造された、所謂ストレート法であり、焼成したパンのボリュームアップ、柔らかさの増大などがうたわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−206515号公報
【特許文献2】特表2000−507458号公報
【特許文献3】特表2007−528732号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Moayedallaieら(Food Chemistry 122, 2010, 495−499)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、生地の機械耐性が劣り、パンの老化が早いといった欠点が存在し、充分満足のいく品質改良効果が得られていない。また、小麦粉製品、特にパンの品質は、使用する酵素などの原材料の種類や、各工程の温度や反応時間等の製造条件に影響を受けるため、品質改良効果を予測することが難しい。例えば、ストレート法と中
種法は、発酵時間の長さとミキシングの回数に違いがある。ストレート法においては、酵素を含む原材料を一度にミキシングした後より酵素反応を行わせることができる。
一方、中種法に酵素を用いる場合、原材料の一部と酵素をミキシングした後、発酵または寝かせ工程を経て、残りの原材料を加え再度ミキシングを行う方法と、酵素を除く原材料の一部をミキシングした後、発酵または寝かせ工程を経て、酵素と残りの原材料を添加し、再度ミキシングを行う方法がある。
中種法の前者の方法では、酵素反応時間が長時間に渡る上、酵素反応中にミキシングの工程が入るため、ストレート法の結果から酵素が生地及びパンの品質に及ぼす効果を推定することは非常に困難であった。また、中種法の後者の方法では、発酵または寝かせ工程中に性状が大きく変化した原材料に酵素を添加、反応させることとなり、いずれの方法においても、ストレート法の結果に基づいて、異なる製法における効果を推定することは非常に困難であった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、混捏性、伸展性、成形性、発酵性等の生地物性に優れ、体積増加および柔らかさに優れた食パン、バラエティパン、ロールパン、フランスパン、デニッシュパン、ペストリー、スイートロール、クロワッサン、スコーン、ベーグル、ドーナッツ、ナン、ピロシキ、中華まんじゅう、ピザ、マフィン、ビスケット、クラッカー、菓子パン、パン粉等の小麦粉製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、2回以上のミキシング工程を有する小麦粉製品の製造方法でのグリセロ糖脂質リパーゼの添加について鋭意研究を行った結果、ストレート法をはるかに上回る、良好な生地物性を有し、かつボリュームアップし、柔らかさが増大した焼成パン等の小麦粉製品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、グリセロ糖脂質リパーゼを用いる小麦粉製品の製造方法において、2回以上のミキシング工程を有することを特徴とする小麦粉製品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2回以上のミキシング工程を有する小麦粉製品の製造方法においてグリセロ糖脂質リパーゼを添加したときに、ストレート法をはるかに上回る、良好な生地物性を有しかつボリュームアップし、柔らかさが増大した焼成パン等の小麦粉製品を得る方法およびボリュームアップし、柔らかさが増大した焼成パン等の小麦粉製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明するが、この説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、その要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。本発明における小麦粉製品とは、パン、洋菓子、和菓子、麺類等の小麦粉を含有する食品である。特に小麦粉を主成分として含有する食品に好ましく用いられる。また、本発明は、特に発酵工程を要するパンや菓子などの食品の製造に優れた効果を発現する。本発明における小麦粉製品の一例としてパンについて説明する。パン以外の小麦粉製品も同様にして製造することができる。
【0012】
本発明におけるパンとは、小麦粉に油脂、乳成分、糖類、食塩、水、酵母などを配合し、一定時間捏ねたのちに発酵させ、必要に応じて分割成形し、加熱(焼成、蒸す、茹でる及び/又は揚げる)されるものをいい、食パン、バラエティパン、ロールパン、フランスパン、デニッシュパン、ペストリー、スイートロール、クロワッサン、スコーン、ベーグル、ドーナッツ、ナン、ピロシキ、中華まんじゅう、ピザ、マフィン、ビスケット、クラ
ッカー、菓子パン、パン粉などが挙げられる。
【0013】
本発明のパンの原材料としては、小麦粉のほかに、油脂、乳成分、糖類、食塩、水、酵母などが挙げられ、必要に応じて添加剤が用いられる。各原材料は、食品用として市販されているものを用いることができる。
小麦粉としては、高蛋白粉、特等粉、強力一等粉、強力粉、強力二等粉、全粒粉など製パンに用いられる粉が挙げられ、その小麦の品種、等級を問わず、どのような小麦粉を用いてもよい。これらの小麦粉は、1種のみを用いても2種以上用いて混合したものでもよい。また、小麦粉に加えて、ライ麦、オーツ麦、大麦、米粉等の小麦以外の穀物を用いてもよい。なお、小麦以外の穀物は上記に限定されるものではない。
油脂としては、乳脂、魚鯨油などの動物性油脂、ヤシ油、パーム油、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、菜種油、ひまわり油、綿実油、落花生油、オリーブ油などの植物性油脂、これらを含有する動植物性油脂、これら動植物性油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂などが挙げられる。これらの油脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
乳成分としては、生乳、全脂肪粉乳、脱脂粉乳、全脂練乳などの練乳、バター、バターファット、生クリーム、濃縮クリーム、チーズ、ヨーグルトなどが挙げられる。
糖類としては、特に限定されないが、例えば、単糖、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール、及び、これらの混合物、天然の糖類が挙げられ、これら1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
具体的に、単糖としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、キシロースなどが挙げられる。
オリゴ糖としては、砂糖、麦芽糖、セロビオース、乳糖、トレハロース、パラチノースなどの二糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、デキストリン、シクロデキストリン、カップリングシュガーなどの三糖以上の糖が挙げられる。
糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、エリスリトール、還元澱粉糖化物などが挙げられる。
多糖類としては、カラギーナン、寒天、アルギン酸、グァガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、マンナン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、セルロース、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉などが挙げられる。
また、これら混合物、天然の糖類としては、異性化糖、水飴、蜂蜜、メープルシロップなどが挙げられる。
食塩は、種類、製造方法、由来は特に限定されず、通常飲食品に用いるものであればよい。
水は、産地、硬度、精製度、微量成分等は特に限定されず、飲食用に用いられるものであればよい。
【0015】
酵母としては、通常パンに用いる酵母であれば、生イーストでもドライイーストのような培養された酵母でも、果実や植物由来の酵母菌などを用いてもよく、特に限定されるものではない。
パンの材料には、必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよく、その他の添加剤としては、乳化剤、後述のグリセロ糖脂質リパーゼ以外の酵素、イーストフード、生地改良剤、香料、色素、果汁、カカオ、ドライフルーツ類、ハーブ類、ナッツ類等が挙げられる。
該乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ
糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤が挙げられる。また、サポニン、植物ステロール、レシチン、酵素処理レシチン等の天然の乳化剤も使用することができる。
該酵素としては、特に限定されないが、例えば、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素などが挙げられる。特にパンや菓子などにおいては、加水分解酵素や酸化還元酵素が広く使用される。
具体的に、加水分解酵素としては、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼなどの糖質分解酵素、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素が挙げられる。
酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどが挙げられる。
【0016】
小麦粉製品中の小麦粉の含有量は、通常1〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、更に
好ましくは、20〜70重量%である。小麦粉の含有量が少なすぎる場合は、生地形成が困難となる傾向があり、余りにも多い場合は、生地が硬く、機械耐性が低くなる傾向がある。
一般的なパン生地中の水の配合量は小麦粉100重量部に対して0〜90重量部であり、好ましくは0〜80重量部、更に好ましくは0〜75重量部である。水の配合量が多すぎると生地の付着性が増加し、作業性が低下する傾向がある。
酵母の含有量は、小麦粉100重量部に対して通常生イーストでは0〜5重量部であり、好
ましくは1〜3重量部である。酵母が少ないと発酵に時間を要する傾向にあり、多すぎるとパンの風味が低下する傾向がある。
塩の含有量は、小麦粉100重量部に対して通常0〜3重量部であり、好ましくは1〜2重量部が好ましい。塩の配合量が少なすぎると生地が緩く、パンの風味が低下する傾向にあり、多すぎると塩味が強すぎる傾向にある。
砂糖の含有量は、小麦粉100重量部に対して通常0〜50重量部であり、好ましくは0〜40重量部、更に好ましくは0〜30重量部である。砂糖の含有量が多すぎると、酵母の発酵
を阻害し、パンの甘味が強くなる傾向がある。
油脂の含有量は、小麦粉100重量部に対して通常0〜150重量部であり、好ましくは0
〜100重量部である。油脂が多すぎると、生地の付着性が増加し、風味が低下する傾向が
ある。
【0017】
本発明においては、上記のような原材料に対して、グリセロ糖脂質リパーゼを配合させることを特徴とする。本発明におけるグリセロ糖脂質リパーゼとは、グリセロ糖脂質を分解する性質を有する酵素であり、グリセロ糖脂質の他にも、リン脂質、トリアシルグリセロールなどを分解する性質を有していてもよい。グリセロ糖脂質リパーゼは、動植物由来、菌株由来、遺伝子非組み換え、遺伝子組み換えのいずれであってもよく、グリセロ糖脂質リパーゼ活性を有していれば全て含まれ、特に限定されない。またグリセロ糖脂質リパーゼは、完全に精製したものでも、部分精製したものでもよく、また全く精製していないものでもよく、特に精製度合いに限定されるものではないが、製パンに悪影響を及ぼす可能性が有る物質を排除する点で精製されているものが好ましい。本発明に用いるグリセロ糖脂質リパーゼは、グリセロ糖脂質リパーゼ(グリセロ糖脂質分解)活性を有するものであれば限定されないが、ホスホリパーゼ(グリセロリン脂質分解)活性を有するものが好ましく、さらにトリアシルグリセリドリパーゼ(トリアシルグリセロール分解)活性を有することがより好ましく、中でもグリセロリン脂質分解活性よりグリセロ糖脂質分解活性が高い性質を有するグリセロ糖脂質リパーゼが特に好ましい。グリセロ糖脂質分解活性に対してグリセロリン脂質分解活性は、通常50%以下、20%以下が好ましく、10%以下が更
に好ましい。
【0018】
本発明におけるグリセロ糖脂質リパーゼのグリセロ糖脂質分解活性は下記の方法により測定することができる。すなわち、予め37℃に加温した4wt%Triton X−100(Sigma−Aldrich Japan株式会社製)水溶液(50mL)にジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)(Sigma−AldrichJapan株式会社製)(1.0g)を少しずつ加えて完全に溶解するまで攪拌する。この基質溶液(210μL)および400mM MOPS(ナカライテスク株式会社製) pH 6緩衝液(30μL)の混合液を37℃で5分間保温したのち、酵素溶液(30μL)を加え均一に分散させたのち、37℃で10分間保温する。この反応液に1N塩酸(30μL)を加え酵素反応を停止させたのち、20μLを別の試験管に移す。この溶液をデタミナーNEFA755(協和メディックス株式会社製)で比色定量する。1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生じさせる酵素量を1ユニットと定義する。
【0019】
本発明におけるグリセロ糖脂質リパーゼのグリセロリン脂質分解活性は下記の方法により測定することができる。
予め37℃に加温した4wt%Triton X−100(Sigma−Aldrich Japan株式会社製)水溶液(10mL)にレシチン(SLP-ホワイト 辻製油株式
会社製)(200mg)を少しずつ加えて完全に溶解するまで攪拌する。この基質溶液(500μL)および400mM MOPS(ナカライテスク株式会社製) pH 6緩衝液(250μL)の混合液を37℃で5分間保温したのち、酵素溶液(150μL)を加え均一に分散させたのち、37℃で10分間保温する。この反応液に1N塩酸(100μL)を加え酵素反応を停止させたのち、20μLを別の試験管に移す。この溶液をデタミナーNEFA755(協和メディックス株式会社製)で比色定量する。1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生じさせる酵素量を1ユニットと定義する。
【0020】
本発明におけるグリセロ糖脂質リパーゼのトリグリセリド分解活性は下記の方法により測定することができる。
オリーブ油(ナカライテスク株式会社)100mgとアラビアガム(和光純薬株式会社)50mg、水10mlを加え、ブレンダー(日本精機株式会社)で10,000r.p.m.
、1分間乳化した。この溶液(500μl)、400mM MOPS(ナカライテスク株式会社製) pH 6緩衝液(250μL)および100mM カルシウムクロライド溶液
(50μl)の混合液を37℃で5分間保温したのち、酵素溶液(100μl)を加え均
一に分散させたのち、37℃で10分間保温する。この反応液に1N塩酸(100μL)を加え酵素反応を停止させたのち、4wt%Triton X−100(Sigma−Aldrich Japan株式会社製)水溶液(1000mL)を加えて遊離脂肪酸を溶解させ、20μLを別の試験管に移す。この溶液をデタミナーNEFA755(協和メディックス株式会社製)で比色定量する。1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生じさせる酵素量を1ユニットと定義する。
【0021】
グリセロ糖脂質リパーゼは、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法(例えば、特開2008−206515号公報、特表2007−528732号公報、特表2008−35867号公報、特表2009‐527238号公報)により得られるものを用いることもできる。グリセロ糖脂質リパーゼの市販品としては、リポパンF(ノボザイムズ株式会社製)、リポパンXtra(ノボザイムズ株式会社製)等が挙げられる。
【0022】
原材料に対するグリセロ糖脂質リパーゼの配合量は、小麦粉1kgに対してグリセロ糖脂質分解活性が通常1ユニット以上、好ましくは10ユニット以上、より好ましくは20ユニット以上、通常1,000ユニット以下、好ましくは500ユニット以下、より好ましくは300ユニット以下である。少なすぎると酵素の効果が十分に発揮できない場合があり、多すぎると焼成パンのボリュームが小さくなる場合があり好ましくない。本発明の方法においては、グリセロ糖脂質リパーゼの中でも、特にグリセロリン脂質分解活性より
グリセロ糖脂質分解活性が高い性質を有するグリセロ糖脂質リパーゼは比較的広い範囲の配合量で、ボリュームがアップし、柔らかさが増大するという効果が得られるので好ましい。
【0023】
次に、パンの製造方法について具体的に説明する。本発明のパンの製造方法は、2回以上のミキシング工程、すなわち、少なくとも2回のミキシング工程を有するものであり、原材料にグリセロ糖脂質リパーゼを配合すればよく、発酵、分割、成形、焼成、その他通常のパンの製造条件により製造することができる。2回以上のミキシング工程を有する代表的なパンの製造方法として、標準中種法、100%中種法、短時間中種法、長時間中種法、オーバーナイト中種法、加糖中種法、湯捏法、中麺法、液種法等が挙げられる。ミキシング工程の回数は、2回以上であり、多くても10回であり、2回が好ましい。ここで、本発明における「2回以上のミキシング工程」とは、発酵、分割、寝かせ、成形、及び/又は焼成等の別工程を挟んだミキシング工程の回数が2回以上であることを意味する。各ミキシング工程の間に少なくとも発酵工程または寝かせ工程を挟むことが好ましい。したがって、ミキシングとミキシングの間に上記のような別工程を挟まない場合はミキシングを複数回繰り返しても本発明においては、ミキシングの回数は1回として数える。例えば、原材料を数回に分ける、あるいはミキシングの温度や回転数などの条件を変更してミキシングを複数回繰り返し行っても、上記のようなミキシング以外の工程を挟まない場合のミキシングは1回と数える。2回以上のミキシング工程を有する小麦粉製品の製造方法として、具体的には、小麦粉の一部または全部を酵母、水、副原料等とミキシングして得られる生地を製造し、発酵または寝かし工程を経て、残りの原材料または新たな原材料を加え、再度ミキシングし発酵、焼成し、小麦粉製品を得る方法が挙げられる。パンに含まれる各種材料は、上記原材料として記載したものが用いられる。また、グリセロ糖脂質リパーゼの使用量もまた、上記グリセロ糖脂質リパーゼの配合量として説明したものと同様である。
【0024】
グリセロ糖脂質リパーゼの添加の時期、添加方法は限定するものではない。グリセロ糖脂質リパーゼは1回目のミキシング工程で添加してもよいし、2回目以降のミキシング工程で添加しても、複数のミキシング工程それぞれで添加してもよい。少なくとも1回目のミ
キシング工程で添加することが好ましい。また、水等に溶解して添加しても、その他の原料に混合して添加してもよい。
【0025】
以下、2回のミキシング工程を有するパンの製造方法について例示する。ただし、本発明の方法はこの態様には限定されない。例えば、ミキシング、発酵、分割、成形、焼成の各工程は、ミキサー、発酵機、分割機、丸め機、ホイロ、オーブン等の機械装置を用いて行うことができる。
本発明は2回以上のミキシング工程を有する製パン方法であり、下記に標準中種法の製
造方法を例示する。具体的には、小麦粉、酵母、水、グリセロ糖脂質リパーゼ、必要に応じ、油脂、砂糖、塩、(イーストフード、パン改良剤)等の原材料の一部または全部をミキシングし、発酵させて、先ず生地を製造する。この生地を中種として用いることができ、中種生地を製造することにより、グルテンネットワーク形成の促進と酵母の発酵によるガス発生、フレーバーの蓄積、pHの低下などが生じるため、生地物性が良好となる。1
回目のミキシング後の生地温度は、常法と同様でよいが、通常上限が30℃であり、好ましくは27℃以下、更に好ましくは25℃以下であり、下限が通常15℃であり、好ましくは20℃以上、更に好ましくは23℃以上である。ミキシングの際の温度が、高すぎると、過発酵となる場合があり、低すぎると、十分な発酵が得られない場合がある。1回目のミキシング後の発酵温度は、通常上限が35℃であり、好ましくは30℃以下、更に好ましくは28℃以下であり、下限が通常15℃であり、好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上である。発酵温度が、高すぎると、過発酵となる傾向があり、低すぎると発酵不足となる傾向がある。発酵時間は、通常、上限が8時間であり、好ましくは6時
間以下、更に好ましくは5時間以下であり、下限が通常1時間であり、好ましくは2時間以上、更に好ましくは2時間半以上である。発酵時間が長すぎると、過発酵となる場合があり、短すぎると、発酵不足となる場合がある。
【0026】
1回目のミキシングおよび発酵により得られた生地は中種生地として用いることができる。得られた中種生地は、原材料の残部もしくは新たな原材料を添加し、2回目のミキシングの後、再度発酵させることができる。2回目のミキシング後の生地温度は常法と同様でよいが、通常上限が35℃であり、好ましくは32℃、更に好ましくは30℃以下であり、下限が通常20℃であり、好ましくは22℃以上、更に好ましくは25℃以上である。再発酵の条件は1回目のミキシングと同様である。
【0027】
2回目の発酵の後、好ましくは、生地を必要な大きさや分量に分割し、ベンチタイムを取る。ベンチタイムは、通常上限が60分以内であり、好ましくは40分以内、更に好ましくは30分以内であり、下限が0分以上であり、好ましくは10分以上、更に好ましくは15分以上である。ベンチタイムが、長すぎると、ガス蓄積が過度になり成形性が低下する傾向にあり、短すぎると、生地緩和が足りず、後の成形で生地を傷めやすくなる傾向がある。ベンチタイム終了後、成形し、必要に応じて型に入れ、ホイロを取る。ホイロの条件として、パンの種類や、材料の配合により異なるが、温度は通常上限が、45℃以下、好ましくは42℃以下、更に好ましくは40℃以下であり、通常下限は、20℃以上、好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上である。ホイロの温度が高すぎると、急激な発酵によりガス抜けが起こり、パン体積が小さくなる場合があり、低すぎると、発酵に時間がかかりすぎ、風味が低下する場合がある。ホイロの湿度は、通常上限が、100%以下、好ましくは95%以下、更に好ましくは90%℃以下であり、通常下限は、50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは75%以上である。ホイロの湿度が高すぎると、生地表面が過度に濡れる場合があり、低すぎると生地表面が乾燥する場合がある。ホイロに要する時間は、時間は配合、温度、湿度、生地量、成形等の条件で異なり、通常上限が120分以内であり、好ましくは100分以内、更に好ましくは90分以内であり、下限が30分以上であり、好ましくは45分以上、更に好ましくは60分以上であるが、ホイロの終了時点は、最終製品の8割程度の大きさまたは生地を触った感触を目安
に見際めてもよい。ホイロに要する時間が長すぎると過度な体積増加により腰折れする場合があり、短すぎると十分な体積が得られない場合がある。
【0028】
ホイロ後の生地を、予め加熱したオーブン又は窯で焼成する。焼成条件は、パンの種類や、材料の配合により異なるが、加熱温度は通常上限が、300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下であり、通常下限は、150℃以上、好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上である。加熱温度が高すぎると、生地中心部まで十分に加熱できない傾向があり、低すぎると長時間の加熱が必要となり、水分ロスが大きくなる傾向がある。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明の実施様態を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、本発明の技術範囲が以下の実施例によって限定されるものではない。
【0030】
(試験例1)グリセロ糖脂質リパーゼ(DGDGL)の精製1)DGDGLの培養液の調製
滅菌した下記組成の培地100mlが入っている500ml容の三角フラスコにAspergillus japonicus SANK 11298株を接種し、26℃にて4日間、170rpm振とう培養を行った。なお、SANK11298株は、平成18年12月27日付けで、受託番号FERM B
P−10753で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている(特開2008-206515号公報)。
培地組成
グルコース 20g
イーストエクストラクト 10g
カザミノ酸 10g
すりゴマ 20g
トゥイーン80 10g
リン酸水素2カリウム 0.1g
硫酸マグネシウム 0.05g
純水で1000mlとした。
培養終了後、4℃、10,000×Gにて10分間の遠心分離を行った。得られた上清をDGDGLの培養液とした。
【0031】
2)DGDGL培養液の精製
1)で培養したDGDGL培養液1,150mLに粉末硫酸アンモニウム(ナカライテ
スク株式会社製)を終濃度1Mになるように、攪拌しながらゆっくり加えた。これを、予め1M硫酸アンモニウム溶液で平衡化したToyopearl Butyl 650M(プレパック直径2.2cm×長さ20cm、東ソー株式会社製)に1分間あたり2mLの流速でチャージした。1M硫酸アンモニウム溶液160mlで洗浄後、1M硫酸アンモニウム溶液から水の直線濃度勾配(640mL)にて該カラムにチャージした成分を溶出させた。硫酸アンモニウム濃度300mMから0mMの範囲を分取した。
硫酸アンモニウム濃度300mMから0mMの範囲の分取した画分は、2M硫酸アンモニウムで平衡化したHitrap Butyl FF(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)カラム(5ml)に添加した後、2M硫酸アンモニウムから水の直線濃度勾配にて該カラムに吸着した成分を溶出させた。硫酸アンモニウム濃度1.2Mから1.0Mの範囲を分取した。
12.5%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGE電気泳動法にて、硫酸アンモニウム濃度1.2Mから1.0Mの範囲の分取した画分が単一バンドであることを確認後、透析膜(分子量分画14,000、三光株式会社製)を用いて水(4L)に対して3回透析を行いグリセロ糖脂質リパーゼ(DGDGL)精製液とした。
【0032】
(試験例2)グリセロ糖脂質リパーゼ(LipopanF)の精製
Lipopan F(ノボザイムズ株式会社製)に1M硫酸アンモニウム溶液を加えて酵素を抽出させた後、沈殿を除去して、LipopanFの上澄み液を得た。LipopanFの上澄み液を、予め1M硫酸アンモニウム溶液で平衡化したToyopearl Butyl 650M(プレパック直径2.2cm×長さ20cm、東ソー株式会社製)に1分間あたり2mLの流速でチャージした。1M硫酸アンモニウム溶液160mlで洗浄後、1M硫酸アンモニウム溶液から水の直線濃度勾配(640mL)にて該カラムにチャージした成分を溶出させ、硫酸アンモニウム濃度0mMの水画分を分取した。12.5%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGE電気泳動法にて、硫酸アンモニウム濃度0mMの水画分が単一バンドであることを確認後、透析膜(分子量分画14,000、三光株式会社製)を用いて水(4L)に対して3回透析を行いグリセロ糖脂質リパーゼ(LipopanF)精製液とした。
【0033】
<グリセロ糖脂質リパーゼの分解活性>
試験例1および試験例2で得られたグリセロ糖脂質リパーゼ精製液の分解活性を表1に示す。グリセロ糖脂質分解活性、グリセロリン脂質分解活性及びトリグリセリド分解活性は、[0018]〜[0020]に記載の方法にしたがって測定を行った。表1の数値は、各グリセロ糖脂質リパーゼ精製液のpH6におけるグリセロ糖脂質分解活性を100%としたときのグリセロリン脂質およびトリグリセリドの分解活性の相対値(%)である。
【0034】
【表1】

【0035】
(実施例1)2回のミキシング工程を有する製法(中種法)での製パン
製パンに用いる全小麦粉に対して強力小麦粉70重量%、生イースト2重量%、ビタミンC10ppm、水40重量%および小麦粉1kgに対して50〜200Uの試験例1で得られたグリセロ糖脂質リパーゼをミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速3分、中速2分混合した(1回
目のミキシング工程)。生地の捏上げ温度は24℃とし、生地をボックスに入れ、温度27℃、湿度75%に管理した恒温室で4時間中種発酵を行った。この中種発酵の終了した生地を再びミキサーボールに投入し、さらに、強力小麦粉30重量%、食塩2重量%、砂糖6重量%、脱
脂粉乳2重量% 、水25重量%を添加し低速3分、中速4分ミキシングした。ここでショートニング6重量部を投入し、フックを使用し、低速2分、中速3分、高速3分ミキシングを行い、生地を得た(2回目のミキシング工程)。生地の捏上げ温度は27℃とし、温度27℃、湿度75%に管理した恒温室で30分間フロアタイムを取った後、350gに分割・丸めを行った。次
いで上記恒温室で20分間ベンチタイムを取った後、モルダーを使用し、ワンローフを成形し、ワンローフ型にいれ、温度38℃、湿度85%に管理した恒温室で生地が型上1.5cmとなるまでホイロをとった。ホイロ時間は通常80分〜90分であった。ホイロ後の生地を210℃に
設定した固定窯に入れ22分間焼成することでパンを得た。焼成後の約2時間室温で冷却し
た後レーザー体積計を用いてパン体積を測定した。パン体積はグリセロ糖脂質リパーゼを添加せずに製造したパンの体積を100%とした時の相対値で記す。
【0036】
(比較例1)1回のミキシング工程を有する製法(ストレート法)での製パン
原材料の分量は、実施例1と同様に用いた。試験例1で得られたグリセロ糖脂質リパーゼと、ショートニングを除く実施例1で使用した原材料全てをミキサーボールに入れ、低速3分、中速2分、高速1分ミキシングした後、ショートニングを加え、低速2分、中速3分
、高速1分ミキシングを行った(1回目のミキシング工程)。捏上げ温度は27℃とし、温度27℃、湿度75%に管理した恒温室で90分間発酵を取り、分割・丸めから焼成までの工程は
実施例1と同様にして比較例1のパンを製造し、レーザー体積計を用いてパン体積を測定した。パン体積はグリセロ糖脂質リパーゼを添加せずに製造したパン体積を100%とした時の相対値で記す。
実施例1および比較例1の結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
表2より、ストレート法より中種法で製造したパンのほうが、体積が増加していること
がわかる。
【0039】
(実施例2)2回のミキシング工程を有する製法(中種法)での製パン
実施例1の原材料の分量を、試験例1で得られたグリセロ糖脂質リパーゼ50〜200Uに代わって、試験例2で得られたLipopanFを50〜100U用いた以外は実施例1と同様にパンを焼成した。得られたパンのパン体積を、実施例1と同じ条件で測定した。
【0040】
(比較例2)1回のミキシング工程を有する製法(ストレート法)での製パン
実施例1の原材料の分量を、試験例1で得られたグリセロ糖脂質リパーゼに代わって、試験例2で得られたLipopanFを50〜100U用いた以外は比較例1と同様にパンを焼成した。得られたパンのパン体積を、実施例1と同じ条件で測定した。実施例2および比較例2の結果を表3に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
表3より、ストレート法より中種法で製造したパンのほうが、体積が増加していることがわかる。なお、ストレート法で製造したパン(比較例2)は100U以上を添加しても、100U より優れた効果は得られなかった。
【0043】
(実施例3) 2回のミキシング工程を有する製法(中種法)で製造したパンの硬さ測定
フロアタイムをとるまでは実施例1と同様に生地を製造した。この生地を220gに分割し、モルダーで成形後、3斤のプルマン型に6個ずつ型詰めした。型下2.5cmとなるまで恒温
室でホイロをとり、蓋をした後、210℃に設定した固定窯で32分間焼成することで角型食
パンを得た。焼成した角型食パンは、室温で2時間冷却した後に袋詰めし、翌日パンスラ
イサーを用いて、厚さ20mmにスライスした。
焼成1日後および4日後の角型食パンの硬さを、レオメーター(CR-500DX、サン科学社製)を用い、直径30mmの円形プランジャーで10mm圧縮した時の応力で測定した。測定は5枚
ずつ行い、最小値と最大値を除いた3枚の平均値を算出した。パン硬さは、グリセロ糖脂
質リパーゼを添加せずに製造したパンの焼成1日後の硬さを100%とした時の相対値とした
。結果を表4に示す。
【0044】
(比較例3) 1回のミキシング工程を有する製法(ストレート法)で製造したパンの硬
さ測定
フロアタイムをとるまでは比較例1と同様にして生地を製造した。この生地を用いて、実施例3と同様に角型食パンを焼成した。得られた角型食パンの硬さは実施例3と同じ条件で測定した。結果を表4に示す。
【0045】
【表4】

【0046】
表4より、ストレート法より中種法で製造したパンの方が、グリセロ糖脂質リパーゼの添加によって焼成直後から柔らかさが向上したことが分かる。また、焼成4日後では、グ
リセロ糖脂質リパーゼの添加によって、ストレート法、中種法共に硬化抑制効果が見られるが、中種法の方がはるかにその効果が高いことが分かる。
一般にストレート法よりも中種法の方が硬化速度が遅いことが知られているが、グリセロ糖脂質リパーゼを添加したことにより、さらに高い抑制効果が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の製造方法によれば、良好な生地物性を有し、ボリュームアップするとともに、柔らかさが増大した、パン、洋菓子、和菓子、麺類等の小麦粉製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセロ糖脂質リパーゼを用いる小麦粉製品の製造方法において、2回以上のミキシング工程を有することを特徴とする小麦粉製品の製造方法。
【請求項2】
グリセロ糖脂質リパーゼが、グリセロ糖脂質分解活性及びグリセロリン脂質分解活性を有する請求項1に記載の小麦粉製品の製造方法。
【請求項3】
グリセロ糖脂質リパーゼが、グリセロ糖脂質分解活性、グリセロリン脂質分解活性及びトリグリセリド分解活性を有する請求項1または2に記載の小麦粉製品の製造方法。
【請求項4】
グリセロ糖脂質リパーゼのグリセロ糖脂質分解活性が、グリセロリン脂質分解活性より高い請求項2または3に記載の小麦粉製品の製造方法。
【請求項5】
グリセロ糖脂質リパーゼのグリセロ糖脂質分解活性に対し、グリセロリン脂質分解活性が50%以下である請求項2〜4のいずれかに記載の小麦粉製品の製造方法。