説明

グリッパ緊締部においてシート搬送するまえにシートを処理する方法および装置

【課題】グリッパで緊締してシートを処理する機械を通って搬送するまえにシートまたはパイルを処理する方法を改良して、シート角隅部の丸まりの回避されたものを提供する。
【解決手段】シート7の、シート7を把持するために設けられた前縁37で、シート角隅部37a,37bを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを処理する機械においてシート搬送を改善する方法に関する。ここではシートは、グリッパ装置によって、印刷の行われない縁部で把持され、後続のグリッパ装置に引き渡される。
【背景技術】
【0002】
このような形式のシートを処理する機械では、多くの場合問題を抱えており、シートは、特に比較的薄い材料では、先行するシート縁部の角隅部で弛緩して極めて丸まりやすく形成されていて、したがってまくれやすく、または折り返されやすくなっている。
【0003】
このような問題を克服するために、一般的に、1グリッパシステムから別の1グリッパシステムへシートを引き渡す際にシート角隅部を支持するよう試みられている。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許第19605420号明細書にはグリッパシステムが記載されており、ここでは送風空気が下方からグリッパ緊締部に位置するシート前縁に送られ、これによって固定されないシート角隅部は支持され、したがってシート角隅部は下向きに丸まることはない。しかしながらシート角隅部の上向きの丸まりは、排除されていない。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第19605420号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような形式の、グリッパで緊締してシートを処理する機械を通って搬送するまえにシートまたはパイルを処理する方法および装置を改良して、シート角隅部の丸まりの回避されたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決した本発明の方法は、シートの、シートを把持するために設けられた前縁で、シート角隅部を除去することを特徴としている。
【0007】
有利には、シート角隅部を、印刷を行わない縁部の領域でしか除去しない。
【0008】
有利には、反転運転してシートを搬送するために、シートの、シートを把持するために設けられた後縁で、後方のシート角隅部を除去する。
【0009】
有利には、シート角隅部を、シートを処理する機械の予備パイル装置または給紙装置で除去する。
【0010】
この課題を解決した本発明の装置は、ペーパカッタ装置が設けられており、ペーパカッタ装置が、鉛直ガイドに昇降運動可能に支承されていることを特徴としている。
【0011】
有利には、シート前縁に配設されたガイドが、シート搬送装置に対して横向きにサイズ調節可能に配置されている。
【0012】
有利には、シート後縁に配設されたガイドが、シート搬送方向に対して横向きに、かつシート搬送方向で調節可能に配置されている。
【0013】
有利には、カッタ装置が、シリンダ状のカッタヘッドを備えており、カッタヘッドが、1水平面上で角度調節可能になっている。
【0014】
有利には、切取線の角度が、45°よりも小さい。
【0015】
有利には、各カッタ装置に、ペーパ切端もしくはシート角隅部のための吸込装置が配設されている。
【0016】
有利には、シートを処理する機械が、輪転印刷機である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の格別な利点によれば、丸まりやすく、また折り返しやすい弛緩したシート角隅部は、シートを処理する機械を通って搬送するまえに除去される。このような構成手段によって、トラブルのないシート搬送が保証され、シート搬送は、シート角隅部を安定させるための追加的な手段を設けることなく行われる。
【0018】
有利には、シートを処理する機械で反転運転を行わない場合、前縁のシート角隅部だけが除去される。反転運転を有する機械では、たとえば両面印刷のための輪転印刷機では、追加的に後縁のシート角隅部も除去される。
【0019】
シート角隅の除去は、有利には予備パイルステーションで行われ、予備パイルステーションは、たとえば給紙装置のシートスタックの手前に配置されている。選択的に除去は、直接的に給紙装置のシートスタックで行うこともできる。
【0020】
シート角隅部を除去するための装置として、たとえばシートカッタが設けられており、シートカッタは、鉛直ガイドに配置されていて、カッタがパイル縁部に沿って垂直方向で移動されることにより、シート角隅部を印刷の行われない縁部範囲で切り落とす。有利には、各鉛直パイル縁部にカッタが設けられている。カッタと共にガイドは、シート搬送方向に対して横向きに調節することができるので、ガイド、処理しようとするシートサイズに調節可能である。さらに後方ガイドは、シート搬送方向でも調節可能であるので、後方ガイドは、シートサイズ長さに関しても調節可能である。有利には、個々のカッタに、切り取られたシート角隅部のための吸込装置が配設されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を、図示の実施例を用いて詳しく説明する。
【0022】
シート7を処理する機械、たとえば印刷機1は、給紙装置2と少なくとも1つの印刷装置3,4と排紙装置6とを備えている。シート7は、パイル(シートスタック)8から取り出されて、個別化されるかまたは刺身状にずれ重なった状態で給紙台9を介して印刷装置3,4に供給される。印刷装置3,4は、公知の形式でそれぞれ版胴11,12を備えている。版胴11,12は、それぞれフレキシブルな刷版を取り付けるための装置13,14を備えている。さらに各版胴11,12に、半自動式または全自動式に刷版交換するための装置16,17が対応配置されている。
【0023】
パイル8は、昇降制御可能なパイル板10に載置されている。シート7の取り出しは、パイル8の上面からいわゆる吸着ヘッド18によって行われ、吸着ヘッド18は、とりわけシート7を個別化するための幾つかの昇降サッカ19および送りサッカ21を備えている。さらに上位のシートをほぐすための吹出装置22およびパイル後方ガイドのための接触エレメント23が設けられている。パイル8、特にパイル8の上位のシート7を方向調整または整列するために、側方および後方の幾つかのストッパ24が設けられている。
【0024】
シート搬送方向でみて、シートスタック8の手前(上流側)に予備パイルステーション26が配置されている。予備パイルステーション26は、図2に示したように、ロータリカッタ装置としてのカッタ装置27を備えており、カッタ装置27は、鉛直ガイド29に運動可能に配置されている。カッタ装置27は、それぞれシリンダ状のカッタヘッド32から成っており、カッタヘッド32は、駆動モータ33を備えている。駆動モータ33は、キャリッジ34に取り付けられており、キャリッジ34は、駆動装置36によって昇降運動可能である。駆動装置36は、たとえば電動モータ、電磁リニアモータまたは作動シリンダであってよい。
【0025】
鉛直ガイド29は、シート搬送装置に対して横向きに調節可能に配置されているので、鉛直ガイド29は、処理しようとする各サイズ(紙判)に調節可能である。カッタヘッド32は、水平方向で揺動可能に支承されているので、約45°、有利にはα<45°の角度が調節可能である。
【0026】
たとえば印刷機において反転せずに片面印刷で処理もしくは印刷しようとするシート7は、単に前縁37で処理すればよい。この場合シート角隅部37aは、約40°の角度で切り落とされる。この場合切取線38は、最大で印刷範囲39まで達する。このような構成によって、設けられたグリッパ42によってシート7を保持するために十分な大きさのグリッパ縁部41が残存する。
【0027】
たとえば反転運転して処理されるシート7は、その後縁は反転後に前縁になるが、このシート7は、シート後縁43でも処理する必要があり、つまりシート後縁43のシート角隅部44,46は、シートを処理する機械、たとえば印刷機で処理するまえに除去される。
【0028】
もちろんシートカッタ装置は、後方のシート縁部44,46のためにもサイズ調節可能に配置されている。
【0029】
各カッタ装置27は、追加的にペーパ切端もしくはシート縁部のための吸込装置(図示していない)を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】輪転印刷機を概略的に示す断面図である。
【図2】パイルの平面図である。
【図3】パイルの側面図である。
【図4】印付けられた印刷範囲と共にシートを示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 印刷機、 2 給紙装置、 3 印刷装置、 4 印刷装置、 6 排紙装置、 7 シート、 8 パイル、 9 給紙台、 10 パイル板、 11 版胴、 12 版胴、 13 刷版取付装置、 14 刷版取付装置、 16 刷版交換装置、 17 刷版交換装置、 18 吸着ヘッド、 19 昇降サッカ、 21 送りサッカ、 22 吹出装置、 23 接触エレメント、 24 ストッパ、 26 予備パイルステーション、 27 カッタ装置、 29 ガイド、 32 カッタヘッド、 33 駆動モータ、 34 キャリッジ、 36 駆動装置、 37 前縁(7,8)、 37a シート角隅部(前縁)、 37b シート角隅部(前縁)、 39 印刷範囲、 41 グリッパ縁部、 42 グリッパ、 43後縁(7,8)、 43a シート角隅部、 43b シート角隅部、 44 シート角隅部(後縁)、 46 シート角隅部(後縁)、 α 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッパで緊締してシートを処理する機械を通って搬送するまえにシートまたはパイルを処理する方法において、
シート(7)の、シート(7)を把持するために設けられた前縁(37)で、シート角隅部(37a,37b)を除去することを特徴とする、グリッパで緊締してシートを処理する機械を通って搬送するまえにシートまたはシートスタックを処理する方法。
【請求項2】
シート角隅部(37a,37b)を、印刷を行わない縁部の領域でしか除去しない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反転運転してシートを搬送するために、シート(7)の、シート(7)を把持するために設けられた後縁(43)で、後方のシート角隅部(43a,43b)を除去する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
シート角隅部(37a,37b,43a,43b)を、シートを処理する機械(1)の予備パイル装置(26)または給紙装置(2)で除去する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法を実施する装置において、
ペーパカッタ装置(27)が設けられており、該ペーパカッタ装置(27)が、鉛直ガイド(29)に昇降運動可能に支承されていることを特徴とする、グリッパで緊締してシートを処理する機械を通って搬送するまえにシートまたはシートスタックを処理する装置。
【請求項6】
シート前縁(37)に配設されたガイド(29)が、シート搬送装置に対して横向きにサイズ調節可能に配置されている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
シート後縁(43)に配設されたガイドが、シート搬送方向に対して横向きに、かつシート搬送方向で調節可能に配置されている、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
カッタ装置(27)が、シリンダ状のカッタヘッド(32)を備えており、該カッタヘッド(32)が、1水平面上で角度調節可能になっている、請求項5から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
切取線(38)の角度(α)が、45°よりも小さい、請求項8記載の装置。
【請求項10】
各カッタ装置(37)に、ペーパ切端もしくはシート角隅部(37a,37b,43a,43b)のための吸込装置が配設されている、請求項5から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
シートを処理する機械が、輪転印刷機(1)である、請求項5から10までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−230853(P2008−230853A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58966(P2008−58966)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany