説明

グリップ補助具及び手袋

【課題】 ゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等のグリップを握る際の握力を補強し、スイング軌道を安定させるとともに、グリップが緩むのを防止する。
【解決手段】 少なくとも1本の指を被嵌状態とする主要部と、この主要部に取り付けられている突出部とを具える。グリップ補助具1を少なくとも一つの指に装着した状態で例えばゴルフクラブのグリップ20を握ると、バンド部2あるいは本体部22による締付け力によって大きな握力を得ることができて、クラブのスイング軌道を安定させ、スイング中にグリップ20に緩みが生じるのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ補助具及び手袋に関し、特に、ゴルフ、テニス、野球等のスポーツに有効なグリップ補助具及び手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等によりボールを打とうとする場合、クラブ、ラケット、バット等のスイング軌道を安定させるため、スイング中グリップを一定の力で握り続け、グリップが緩んだり、手首の角度がブレたりするのを防止する必要がある。特に、ボールを打つインパクトの瞬間には、インパクトの衝撃に耐え得る力で握る必要がある。
【0003】
しかし、握力の弱い女性等は、スイング軌道を安定させるのに十分な力でグリップを握ることができず、グリップに緩みが生じたり、手首の角度にブレが生じたりすることがあり、上達を妨げる原因となる。
【0004】
ゴルフのスイング中における手首のブレを防止するため、手の甲から手首にかけて板状の硬質の甲当て部を密着させ、この甲当て部の端部に設けた手首固定部を手首に固着させることにより、手首の角度を一定に保つように構成した保護具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている保護具は、手首の角度を固定することはできるものの、握力を補強する機能は備えていないため、ボールを打つインパクトの瞬間にグリップが緩むことは避けられない。
【特許文献1】実公平5−82466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題を解決したものであって、ゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等をスイングしてボールを打つ場合に、スイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つインパクトの瞬間にグリップに緩みが生じたり、手首の角度にブレが生じたりするようなことがないグリップ補助具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るグリップ補助具は、少なくとも1本の指を被嵌状態とする主要部と、この主要部に取り付けられている突出部とを具えた手段を採用している。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るグリップ補助具は、前記主要部は筒状をなす本体部であり、前記突出部は前記本体部に一体に設けられた突起部である手段を採用している。
【0009】
さらに、本発明の請求項3に係るグリップ補助具は、前記主要部はベルト状をなすバンド部と、この主要部の両端に設けられて指を周回して保持する固着手段を有し、この固着手段による保持時に前記突出部が形成される手段を採用している。
【0010】
さらに、本発明の請求項4に係るグリップ補助具は、前記バンド部は、手指の中指と薬指とを一緒に周回する手段を採用している。
【0011】
さらに、本発明の請求項5に係るグリップ補助具は、前記バンド部は、手指の中指と薬指とを別々に周回する手段を採用している。
【0012】
さらに、本発明の請求項6に係るグリップ補助具は、前記固着手段は、前記ベルト部の両端部に設けられる面ファスナーである手段を採用している。
【0013】
さらに、本発明の請求項7に係るグリップ補助具は、前記バンド部は、弾性を有する素材からなる外バンド部と、該外バンド部の内側に一体に設けられて外バンド部よりも軟質の弾性を有する素材からなる内バンド部とからなる手段を採用している。
【0014】
さらに、本発明の請求項8に係る手袋は、グリップ補助具を具えてなる手段を採用している。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、前記のように構成したことにより、少なくとも1本の指を被嵌状態とする主要部と、この主要部に取り付けられている突出部によって指を締め付けることにより、手を握った際に手の握力が補強されることになる。したがって、握力の弱い女性等がゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等を握る場合に握力が補強されることになるので、クラブ、ラケット、バット等のスイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つ瞬間にインパクトの衝撃によってグリップが緩んだり、手首がブレるようなことはなく、ボールの飛球方向を安定させることができる。この結果、グリップを握る力が弱い女性等であっても、そのことによって上達が阻害されるようなことがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3には、本発明によるグリップ補助具の第1の実施の形態が示されていて、このグリップ補助具1は、主要部となる帯状のバンド部2と、このバンド部2の端部を固着して突出部となる固着手段8とを具えている。すなわち、手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間を周回するバンド部2と、バンド部2を手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間を周回した状態に固着させる固着手段8とを具えている。
【0017】
バンド部2は、弾性を有する素材からなる帯状をなすものであって、手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間を周回し、この状態で両端部が互いに重合し得る長さに形成される。バンド部2の素材としては、各種のゴム、合成樹脂等を挙げることができる。
【0018】
バンド部2は、図4に示すように、外バンド部3と、この外バンド部3の内側に一体に設けられる内バンド部4とからなる二層構造に構成しても良い。この場合、内バンド部4を外バンド部3よりも軟質の弾性を有する素材で形成することにより、装着感を高めることができる。また、内バンド部4に内方に突出する複数の突起5を設け、各突起5を中指10及び薬指13の腹の部分(内側の部分)に当接させることにより、その部分を刺激するように構成しても良い。突起5の形状は特に制限されるものではなく、この実施の形態においては表面を球面に形成している。
【0019】
バンド部2の両端部には、図1に示すように、突出部となる固着手段8が設けられ、この固着手段8によりバンド部2が手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間を周回した状態に固着される。固着手段8としては、バンド部2の両端部間を接離させる機能を備えたものであれば特に制限はなく、例えば市販の面ファスナー(マジックテープ(登録商標、(株)クラレ)等)を挙げることができる。面ファスナーを使用する場合には、面ファスナーのフックをバンド部2の一方の端部に設け、ループを他方の端部に設けることにより、バンド部2の両端部間を接離可能に構成することができる。
【0020】
そして、上記のように構成したこの実施の形態によるグリップ補助具1のバンド部2を、図2に示すように、手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間に周回させ、バンド部2の両端部を互いに重合させて、両端部の固着手段8によりバンド部2を手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間を締め付けた状態に固着させる。
【0021】
そして、図3に示すように、グリップ補助具1を手指の中指10及び薬指13に装着した状態で例えばゴルフクラブのグリップ20を握ると、バンド部2の締付け力によって手の甲の部分に握力を強める方向への力が加わり、この力によってグリップを握る力が補強されることになる。
【0022】
したがって、クラブをスイングする際に、クラブのスイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つインパクトの瞬間に、グリップに緩みが生じたり、手首がブレたりするのを防止でき、ボールの飛球方向を安定させることができる。
【0023】
図5〜図7には、本発明によるグリップ補助具の第2の実施の形態が示されていて、このグリップ補助具1は、バンド部2を2つに形成してある。すなわち、手指の中指10の第2関節11と第3関節12との間を周回する第1バンド部6と、薬指13の第2関節14と第3関節15との間を周回する第2バンド部7とによって構成してある。そして第1バンド部6と第2バンド部7との間を接着等で一体に連結したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0024】
この場合、第1バンド部6の両端部には固着手段8(例えば面ファスナー)が設けられ、第2バンド部7の両端部には固着手段8(例えば面ファスナー)が設けられ、第1バンド部6の固着手段8により第1バンド部6を中指10の第2関節11と第3関節12との間を締め付けた状態に固着させ、第2バンド部7の固着手段8により第2バンド部7を薬指13の第2関節14と第3関節15との間を締め付けた状態に固着させることができる。
【0025】
そして、この実施の形態によるグリップ補助具1にあっても、第1の実施の形態に示すものと同様に、図7に示すように、例えばゴルフクラブのグリップ20を握ると、バンド部2の締付け力によって手の甲の部分に握力を強める方向への力が加わり、この力によってグリップ20を握る力が補強されることになる。
【0026】
したがって、クラブをスイングする際に、クラブのスイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つインパクトの瞬間に、グリップ20に緩みが生じたり、手首がブレたりするのを防止でき、ボールの飛球方向を安定させることができる。
【0027】
なお、前記の説明においては、グリップ補助具1を直接に中指10の第2関節11と第3関節12との間及び薬指13の第2関節14と第3関節15との間に周回させたが、中指10と薬指13との内側を肉厚にするのであれば、位置は限定されるものではなく、両指10、13の内側全面であっても良い。また、図示はしないが、前述したグリップ補助具1を手袋の内面に接着、縫合等の手段によって一体に設け、手袋を手に装着することにより、グリップ補助具1としての機能を発揮させるように構成しても良い。
【0028】
上記のようなグリップ補助具がなぜ有効かというと、図8に示すように中指10、薬指13の握り面に肉厚16を加えることでグリップ力が大きくなってインパクトの瞬間にずれるのを防止できるということによる。
【0029】
すなわち、中指10、薬指13の内側を肉厚にしない、すなわち通常の状態で握ると図9に示すように拳の外側がフラット17になって通常のグリップ力となり、この状態でインパクトをすることになる。
【0030】
これに対し、既述の図8の場合のように中指10、薬指13の握り面(内側)を肉厚16にすることでグリップ力が大きくなってインパクトの瞬間にずれるのを防止できる。たとえば図10に示すように、帯状のグリップ補助具を取り付けると中指10と薬指13との内側が肉厚となって図11に示すように拳の外側がラウンド18となって手首が固定され、インパクトの瞬間に手首が動くことを防止できる。すなわち、中指10および薬指13の内側を肉厚とすることで指の内側に押圧力が増加して固定力が大きくなる。したがって、自然の握り状態で中指10と薬指13との肉厚を厚くすることで大きなグリップ力を得ることができてインパクトの瞬間に手首を固定することができるということによる。
【0031】
図12〜図14にはこの発明によるグリップ補助具21の他の形態のものが示されていて、図12はグリップ補助具を示す概略図、図13はグリップ補助具を1本の指に装着した状態を示す概略図、図14はグリップ補助具を5本の指に装着した状態を示す概略図である。このグリップ補助具21は所定の幅を有するとともに、指に被嵌される主要部である本体部22と、この本体部22の一側に幅の長さに設けられた突出部である突起部23とを有している。そして、図13に示す状態にあっては、前記突起部が掌の内方に突出した状態が、また、図14に示す状態にあっては、5本の指に被嵌した状態に装着して前記各突起部が掌の内方に突出した状態が示されている。
【0032】
図15、図16には図12に示すグリップ補助具21の他の形態の他の装着状態を示し、この装着状態にあっては親指以外の他の4本の指のうちの少なくとも1本の指、図15では1本の指に装着した状態を示す概略図、図16には4本の指に装着した状態が示されている。そしてこの装着状態においては突出部となる前記突起部23は隣接する指の方向に突出した状態で指にグリップ補助具21が被嵌している。
この場合、人差し指および小指に被嵌した場合にはそれぞれ中指および薬指方向に突起部23が向くようになっている。なお、4本の指に装着した時は、人差し指と中指との間、または薬指と小指との間に突起部23が重複する場合があるが使用に際しては問題はない。
【0033】
上記のように指の内方、あるいは側方に突起部23が位置することにより上記の各実施の形態と同様に大きなグリップ力を得ることができてインパクトの瞬間に手首を固定することができる。
【0034】
なお、上記の各実施の形態には主要部としてベルト状のバンド部を巻回するものや所定の幅を有する筒状の本体部を被嵌するものを示したが、要は少なくとも1本の指を周回すれば良いのであって、ベルト状のものや筒状のものに限定することはないものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明によるグリップ補助具の第1の実施の形態の全体を示した斜視図である。
【図2】図1に示すグリップ補助具を手指に装着した状態を示した説明図であって、手のひら側から見た説明図である。
【図3】図1に示すグリップ補助具を手指に装着し、ゴルフクラブのグリップを握った状態を示した説明図である。
【図4】第1の実施の形態のグリップ補助具の変形例を示した部分拡大断面図である。
【図5】本発明によるグリップ補助具の第2の実施の形態の全体を示した斜視図である。
【図6】図5に示すグリップ補助具を手指に装着した状態を示した説明図であって、手のひら側から見た説明図である。
【図7】図5に示すグリップ補助具を手指に装着し、ゴルフクラブのグリップを握った状態を示した説明図である。
【図8】肉厚にしてグリップ力を高めるのに有効な中指および薬指の内側を示す概略図である。
【図9】拳の外側がフラットになっている通常の握り状態を示す概略図である。
【図10】帯状のグリップ補助具を取り付けた状態を示す概略図である。
【図11】拳の外側がラウンドとなっているグリップ補助具を取り付けた状態を示す概略図である。
【図12】本発明によるグリップ補助具の他の形態のものを示す概略図である。
【図13】他の形態のものを1本の指に装着した状態を示す概略図である。
【図14】図13に示すものを5本の指に装着した状態を示す概略図である。
【図15】図12に示すものの他の装着状態を示し、1本の指に装着した状態を示す概略図である。
【図16】図12に示すものの他の装着状態を示し、5本の指に装着した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1、21 グリップ補助具
2 バンド部
3 外バンド部
4 内バンド部
5 突起
6 第1バンド部
7 第2バンド部
8 固着手段
10 中指
11 第2関節
12 第3関節
13 薬指
14 第2関節
15 第3関節
16 肉厚
17 フラット
18 ラウンド
20 グリップ
22 本体部
23 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の指を被嵌状態とする主要部と、この主要部に取り付けられている突出部とを具えたことを特徴とするグリップ補助具。
【請求項2】
前記主要部は筒状をなす本体部であり、前記突出部は前記本体部に一体に設けられた突起部である請求項1記載のグリップ補助具。
【請求項3】
前記主要部はベルト状をなすバンド部と、この主要部の両端に設けられて指を周回して保持する固着手段を有し、この固着手段による保持時に前記突出部が形成される請求項1記載のグリップ補助具。
【請求項4】
前記バンド部は、手指の中指と薬指とを一緒に周回するように構成されている請求項3記載のグリップ補助具。
【請求項5】
前記バンド部は、手指の中指と薬指とを別々に周回するように構成されている請求項3記載のグリップ補助具。
【請求項6】
前記固着手段は、前記ベルト部の両端部に設けられる面ファスナーである請求項3、4記載のグリップ補助具。
【請求項7】
前記バンド部は、弾性を有する素材からなる外バンド部と、該外バンド部の内側に一体に設けられて外バンド部よりも軟質の弾性を有する素材からなる内バンド部とからなる請求項3、4記載のグリップ補助具。
【請求項8】
前記グリップ補助具を具えたことを特徴とする手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−198235(P2006−198235A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14314(P2005−14314)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(501118624)
【Fターム(参考)】