説明

グリップ補助具及び手袋

【課題】 ゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等のグリップを握る際の握力を補強し、スイング軌道を安定させるとともに、グリップが緩むのを防止する。
【解決手段】 手指16の第3関節18に隣接する甲19の部分を締め付ける弾性を有するバンド部2と、バンド部2の両端部に設けられる固着手段と、バンド部2に一体に設けられる指掛け部8とを備える。バンド部2を手15の甲19に周回させ、指掛け部8を親指17の付根に引っ掛け、バンド部2の両端部間を固着手段で接合する。この状態で例えばゴルフクラブのグリップを握ると、バンド部2による締付け力によって握力が補強され、クラブのスイング軌道を安定させ、スイング中にグリップに緩みが生じるのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ補助具及び手袋に関し、特に、ゴルフ、テニス、野球等のスポーツの他、コンピュータ等のキーボードの操作、鍵盤楽器等の演奏等に有効なグリップ補助具及び手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等によりボールを打とうとする場合、クラブ、ラケット、バット等のスイング軌道を安定させるため、スイング中グリップを一定の力で握り続け、グリップが緩んだり、手首の角度がブレたりするのを防止する必要がある。特に、ボールを打つインパクトの瞬間には、インパクトの衝撃に耐え得る力で握る必要がある。
【0003】
しかし、握力の弱い女性等は、スイング軌道を安定させるのに十分な力でグリップを握ることができず、グリップに緩みが生じたり、手首の角度にブレが生じたりすることがあり、上達を妨げる原因となる。
【0004】
ゴルフのスイング中における手首のブレを防止するため、手の甲から手首にかけて板状の硬質の甲当て部を密着させ、この甲当て部の端部に設けた手首固定部を手首に固着させることにより、手首の角度を一定に保つように構成した保護具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている保護具は、手首の角度を固定することはできるものの、握力を補強する機能は備えていないため、ボールを打つインパクトの瞬間にグリップが緩むことは避けられない。
【0006】
一方、コンピュータ等のキーボードの操作、鍵盤楽器等の演奏等を長時間続ける場合、手指の動きを支え続けることによって手首に負担がかかり、腱鞘炎等を引き起こすことがある。
【0007】
このような問題に対処するため、親指及び手のひらを露出させるとともに、人差し指、中指、薬指及び小指の先端部を露出させ、親指を除く4本の指を収納する部分を互いに縫い合わせて、それらの指の付根付近に非伸縮性の帯を縫い込み、各指が無理のない範囲内で動くように構成して、手首の負担を緩和させるように構成した手袋が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
しかし、特許文献2に記載されている手袋は、手首の負担をある程度は緩和させることができても、腱鞘炎を防止する程には緩和させることはできない。
【特許文献1】実公平5−82466号公報
【特許文献2】特開2000−231436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題を解決したものであって、ゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等をスイングしてボールを打つ場合に、スイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つインパクトの瞬間にグリップに緩みが生じるようなことがないグリップ補助具を提供することを第1の目的とするものである。
【0010】
また、コンピュータ等のキーボードの操作、鍵盤楽器等の演奏等を長時間行う場合に、手指を支える手首の負担を緩和することができて、腱鞘炎等を引き起こすのを防止できるグリップ補助具を提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るグリップ補助具は、手指の第3関節に隣接する甲の部分を締め付ける弾性を有するバンド部と、該バンド部を手に固着させる固着手段とを備えてなる手段を採用している。
【0012】
また、本発明の請求項2に係るグリップ補助具は、請求項1に記載のグリップ補助具であって、前記バンド部は、帯状をなすものであって、手指の第3関節に隣接する甲の部分を周回するように構成されている手段を採用している。
【0013】
さらに、本発明の請求項3に係るグリップ補助具は、請求項2に記載のグリップ補助具であって、前記固着手段は、前記バンド部の両端部に設けられる面ファスナーであって、該面ファスナーにより前記バンド部が甲の部分を周回した状態に固着される手段を採用している。
【0014】
さらに、本発明の請求項4に係るグリップ補助具は、請求項1から3の何れかに記載のグリップ補助具であって、前記バンド部の一部には、親指の付根に引っ掛けるための指掛け部が設けられている手段を採用している。
【0015】
さらに、本発明の請求項5に係るグリップ補助具は、請求項1から4の何れかに記載のグリップ補助具であって、前記バンド部は、弾性を有する素材からなる外バンド部と、該外バンド部の内側に一体に設けられる外バンド部よりも軟質の弾性を有する素材からなる内バンド部とからなる締付け部を有し、該締付け部を甲の部分に密着させるように構成した手段を採用している。
【0016】
さらに、本発明の請求項6に係る手袋は、請求項1から5の何れかに記載のグリップ補助具を備えてなる手段を採用している。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、前記のように構成したことにより、バンド部によって手指の第3関節に隣接する甲の部分を締め付けることにより、手を握った際に手の握力が補強されることになる。従って、握力の弱い女性等がゴルフのクラブ、テニスのラケット、野球のバット等を握る場合に握力が補強されることになるので、クラブ、ラケット、バット等のスイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つ瞬間にインパクトの衝撃によってグリップが緩むようなことはなく、ボールの飛球方向を安定させることができる。この結果、グリップを握る力が弱い女性等であっても、そのことによって上達が阻害されるようなことがなくなる。
また、コンピュータ等のキーボードの操作、鍵盤楽器等の演奏等を行う場合に、バンド部が甲の部分を締め付ける力によって手指を支える手首の負担を緩和させることができるので、腱鞘炎等を引き起こす原因を取り除くことができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明によるグリップ補助具の一実施の形態が示されていて、このグリップ補助具1は、手の甲の一部に装着されるバンド部2と、バンド部2を手の甲の一部に固着させる固着手段9と、バンド部2に一体に設けられる指掛け部8とを備えている。
【0019】
バンド部2は、弾性を有する素材からなる帯状をなすものであって、後述する手指16の第3関節18に隣接する甲19の部分を周回し、この状態で両端部が重合し得る長さに形成されている。バンド部2の素材としては、各種のゴム、合成樹脂等を挙げることができる。
【0020】
バンド部2は、図7に示すように、手15の甲19に対応する部分を外バンド部4とその内側に一体に設けられる内バンド部5とからなる二層構造の締付け部3に構成しても良い。この場合、内バンド部5を外バンド部4よりも軟質の弾性を有する素材で形成することにより、装着感を高めることができる。また、内バンド部5に内方に突出する複数の突起6を設け、各突起6を甲19に当接させることにより、突起6により甲19の壺を刺激することもできる。突起6の形状は特に制限されるものではなく、この実施の形態においては表面を球面に形成している。
【0021】
バンド部2の両端部には、図2に示すように、固着手段9が設けられ、この固着手段9によりバンド部2が手15の甲19を周回した状態に固着される。固着手段9としては、バンド部2の両端部間を接離させる機能を備えたものであれば特に制限はなく、例えば市販の面ファスナー9(マジックテープ(登録商標、(株)クラレ)等)を挙げることができる。面ファスナー9のフック10をバンド部2の一方の端部に設け、ループ11を他方の端部に設けることにより、バンド部2の両端部間を接離可能に構成することができる。
【0022】
バンド部2の端部にはリング状の指掛け部8が設けられている。指掛け部8は、バンド部2と略直交するように設けられ、バンド部2を手15の甲19に周回させたときに、親指17の付根に引っ掛けるように構成されている。指掛け部8は、図示はしないが、面ファスナーを用いてバンド部2に着脱自在に構成しても良いし、バンド部2に接着、縫合等の手段により一体に設けても良い。指掛け部8は、バンド部2が甲19の所定の位置からずれるのを防止する機能を有している。
【0023】
そして、上記のように構成したこの実施の形態によるグリップ補助具1を、図3及び図4に示すように、バンド部2を手指16の第3関節18に隣接する甲19の部分に周回させ、指掛け部8を親指17の付根に引っ掛け、バンド部2の両端部間を面ファスナー9を介して接合し、グリップ補助具1を手15の甲19の部分に固着させる。
【0024】
そして、図5に示すように、例えばゴルフクラブのグリップ(図示せず)を握ると、バンド部2の締付け力によって手15の甲19の部分に矢印の方向から力が加わり、この力によってグリップを握る力が補強されることになる。
【0025】
従って、クラブをスイングする際に、クラブのスイング軌道を安定させることができるとともに、ボールを打つインパクトの瞬間にグリップが緩むのを防止でき、ボールの飛球方向を安定させることができる。
【0026】
また、図6に示すように、コンピュータ等のキーボードの操作、鍵盤楽器等の演奏等を行った場合には、バンド部2の締付け力によって手15の甲19の部分に矢印の方向から力が加わり、この力によって手指16の動きを支えることができる。従って、手首のみによって手指16の動きを支える場合と比較して手首の負担を緩和させることができるので、腱鞘炎等を引き起こす原因を取り除くことができる。
【0027】
なお、前記の説明においては、バンド部2によって手15の甲19を周回させるように構成したが、図8に示すように、バンド部2の両端部に係止部7、7を設け、この係止部7、7を手のひら側に係止させることによってバンド部2を手に固着させるように構成しても良い。
【0028】
なお、図示はしないが、前述したグリップ補助具1を手袋の内面に接着、縫合等の手段によって一体に設け、手袋を手に装着することにより、グリップ補助具1としての機能を発揮させるように構成しても良い。この場合、バンド部2は、手袋を手に装着することによって所定の位置に保持することができるので、指掛け部8は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるグリップ補助具の一実施の形態の全体を示した斜視図である。
【図2】図1に示すグリップ補助具の固着手段の拡大図である。
【図3】図1に示すグリップ補助具を手に装着した状態を示した説明図であって、手の甲側から見た説明図である。
【図4】図1に示すグリップ補助具を手に装着した状態を示した説明図であって、手のひら側から見た説明図である。
【図5】図1に示すグリップ補助具を手に装着した状態でゴルフクラブ等を握った状態を示した説明図である。
【図6】図1に示すグリップ補助具を手に装着した状態でコンピュータ等のキーボード等を操作した状態を示した説明図である。
【図7】本発明によるグリップ補助具の変形例を示した部分説明図である。
【図8】本発明によるグリップ補助具の他の変形例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 グリップ補助具
2 バンド部
3 締付け部
4 外バンド部
5 内バンド部
6 突起
7 係止部
8 指掛け部
9 固着手段(面ファスナー)
10 フック
11 ループ
15 手
16 手指
17 親指
18 第3関節
19 甲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指の第3関節に隣接する甲の部分を締め付ける弾性を有するバンド部と、該バンド部を手に固着させる固着手段とを備えてなることを特徴とするグリップ補助具。
【請求項2】
前記バンド部は、帯状をなすものであって、手指の第3関節に隣接する甲の部分を周回するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のグリップ補助具。
【請求項3】
前記固着手段は、前記バンド部の両端部に設けられる面ファスナーであって、該面ファスナーにより前記バンド部が甲の部分を周回した状態に固着されることを特徴とする請求項2に記載のグリップ補助具。
【請求項4】
前記バンド部の一部には、親指の付根に引っ掛けるための指掛け部が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のグリップ補助具。
【請求項5】
前記バンド部は、弾性を有する素材からなる外バンド部と、該外バンド部の内側に一体に設けられる外バンド部よりも軟質の弾性を有する素材からなる内バンド部とからなる締付け部を有し、該締付け部を甲の部分に密着させるように構成したことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のグリップ補助具。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のグリップ補助具を備えてなることを特徴とする手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−43179(P2006−43179A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229122(P2004−229122)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(501118624)