説明

グリル装置、及び、グリル装置の制御方法

【課題】グリルケース内の温度を調理設定温度に維持する制御を行うグリル装置において、当該制御を適切に実行する。
【解決手段】グリルケース内で温度が安定し易い位置に配置された第1温度センサー81と、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサー82とを備え、制御部90は、第1温度センサー81の所定の検出温度に基づいて、グリルケース62内の温度が調理設定温度に到達したと判定し、その時点の第2温度センサー82の温度を基準温度として、第2温度センサー82の検出温度に基づいて、これらグリルヒーターをオン、オフ制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルケースに収納した食品を加熱するグリル装置、及び、このグリル装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリル庫(グリルケース)内に収納した被加熱物を、グリル庫内に設けられたグリルバーナー(加熱手段)を用いて加熱するグリル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種のグリル装置では、グリルケース内に設けた温度センサーの検出温度に基づいて、予め定められた調理設定温度に、グリルケース内の温度を維持する制御を行うものがある。
【特許文献1】特開2009−77767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のグリル装置のように、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持する制御を行うグリル装置では、グリルケース内の温度センサーの検出温度に基づいて、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持するための制御を適切に行いたいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持する制御を行うグリル装置において、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持するための制御を適切に実行可能なグリル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、グリルケースに収納した食品を加熱する加熱手段と、前記加熱手段をオン、オフ制御して、前記グリルケース内の温度を調理設定温度に維持する制御手段とを備えたグリル装置において、前記グリルケース内で温度が安定し易い位置に配置された第1温度センサーと、前記加熱手段のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサーとを備え、前記制御手段は、前記第1温度センサーの所定の検出温度に基づいて、前記グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定し、その時点の前記第2温度センサーの温度を基準温度として、前記第2温度センサーの検出温度に基づいて、前記加熱手段をオン、オフ制御することを特徴とする。
この構成によれば、グリルケース内で温度が安定し易い第1温度センサーの検出温度に基づいてグリルケース内の温度が調理設定温度に到達したことを判定するため、グリルケース内の温度変化の波や、グリルケース内で偶発的に発生する温度変化等にかかわらず、第1温度センサーの検出温度に基づいて、適切に、グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したことを判定できる。さらに、加熱手段のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサーの検出温度に基づいて、加熱手段のオン、オフを制御するため、加熱手段のオン、オフに起因した温度変化を反映した、適切なオン、オフ制御ができる。すなわち、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持するための制御を適切に実行できる。
【0005】
ここで、上記発明のグリル装置において、前記グリルケースに形成された空気導入部から導入した空気を、前記グリルケースに形成された空気導出部から導出して前記グリルケース内の空気を排気し、前記第1温度センサーを前記グリルケース内の前記空気導出部側に設け、前記第2温度センサーを前記グリルケース内の前記空気導入部側に設けたようにしてもよい。
ここで、グリルケース内の空気導入部側は、加熱手段によって加熱されていない空気が流れるため、加熱手段がオフした場合は、導入された空気によって空間が冷却され、高い応答性で温度が下がる一方、加熱手段がオンした場合は、加熱手段による加熱を反映して高い応答性で温度が上がる。つまり、グリルケース内の空気導入部側は、加熱手段のオン、オフに反映して、温度が変動しやすい位置である。
一方、グリルケース内の空気導出部側は、加熱手段によって加熱された後の空気が流れるため、熱がこもりやすく、温度がグリルケース内に導入される空気や、加熱手段のオン、オフ等に影響を受けにくい。つまり、グリルケース内の空気導出部側は、グリルケース内で温度が安定しやすい位置である。
そして、上記構成によれば、第1温度センサーをグリルケース内で温度が安定し易い位置に設けることができると共に、第2温度センサーを加熱手段のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に設けることができる。
【0006】
また、上記発明のグリル装置において、調理設定温度と、この調理温度設定温度に対応する前記第1温度センサーの検出温度と、を対応づけて記憶し、前記制御手段は、前記第1温度センサーの現在の検出温度が、調理設定温度と対応づけて記憶された前記第1温度センサーの検出温度に到達した場合に、前記グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定するようにしてもよい。
この構成によれば、調理設定温度と、この調理温度設定温度に対応する前記第1温度センサーの検出温度と、が対応づけて記憶されているため、第1温度センサーの現在の検出温度が、調理設定温度と対応づけて記憶された第1温度センサーの検出温度に到達した場合に、グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定することにより、グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したことを適切に判定することができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明は、グリルケースに収納した食品を加熱する加熱手段と、前記グリルケース内で温度が安定し易い位置に配置された第1温度センサーと、前記温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサーとを備えるグリル装置を制御して、前記第1温度センサーの所定の検出温度に基づいて、前記グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定し、その時点の前記第2温度センサーの温度を基準温度として、前記第2温度センサーの検出温度に基づいて、前記加熱手段をオン、オフ制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持する機能を備えたグリル装置において、グリルケース内の温度を調理設定温度に維持するための制御に供するグリルケース内の温度を適切に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るグリル装置60を備える誘導加熱調理器1を示す斜視図である。図2は、トッププレート50を外した状態の誘導加熱調理器1の平面図である。
誘導加熱調理器1はシステムキッチン等の調理台に組み込まれて使用されるビルトイン型の加熱調理器であり、上面が開口した箱型の本体ケース10を備えている。この本体ケース10の内部の左部には、魚等の食品を加熱するためのグリル装置60が設けられている。
本体ケース10の上面の開口は、耐熱ガラス製の矩形のトッププレート50で覆われている。図2に示すように、本体ケース10の上部には、左右の側壁の上部をそれぞれ外側に折り曲げるようにして形成された天板支持部18が形成されており、トッププレート50はこの天板支持部18に支持された状態で、本体ケース10の上面の開口を覆う。
【0010】
本体ケース10内には、3つの誘導加熱コイル11、12、13が配置されている。
誘導加熱コイル11、12はそれぞれ本体ケース10内に左右に並べて配置され、誘導加熱コイル13は、誘導加熱コイル11、12の間の左右方向中央において本体ケース10内の後部に配置されている。図1に示すように、トッププレート50には、各誘導加熱コイル11、12、13に対応した位置にステンレス製の鍋等の被加熱物が載置される加熱調理部14、15、16が設けられ、加熱調理部14、15、16は円形の表示がトッププレート50に印刷されてその位置が示されている。
【0011】
トッププレート50の前部には、各誘導加熱コイル11、12、13の前方側に、各誘導加熱コイル11、12、13に対応した操作部21が左右方向に一列に並ぶようにして3箇所に設けられている。各操作部21は、ユーザーによりタッチ操作される複数の操作キー部27を有し、各操作キー部27への指等の接触や近接による静電容量の変化により入力操作を検出する静電容量式の操作部である。操作キー部27は、各操作領域を示す表示がトッププレート50に印刷されてトッププレート50の表面に現われている。各誘導加熱コイル11、12、13は、各操作部21の操作によって火力や加熱時間等が設定される。
【0012】
トッププレート50において、各操作部21の後部側には、各誘導加熱コイル11、12、13の運転状態や操作状態を示す制御情報を透明な窓を介して表示する表示窓22がそれぞれ設けられている。
中央の表示窓22の後部側には、誘導加熱調理器1の運転状態をLEDの点灯によって表示するLED表示部23が設けられている。
図1に示すように、トッププレート50の前部において各操作部21の外側に位置する左右の角部には、円板状のツマミ24の回転によって火力や加熱時間等を操作可能な回転式操作部25がそれぞれ設けられている。ツマミ24の内部には、周方向に放射状に延びる複数の金具と、中央部に配置される磁石24Aとが設けられており、ツマミ24の回転操作は、トッププレート50の下方に設けられたホールIC39が上記金具の回転を検出することで検知される。また、ツマミ24はトッププレート50を介し磁力によって本体ケース10側の磁石39Aに吸着されて取り付けられ、着脱自在となっている。
【0013】
トッププレート50の後端側において誘導加熱コイル13の後方には、トッププレート50の上面と連続するようにして吸気口31が設けられており、この吸気口31から吸気された空気によって本体ケース10内が冷却される。また、誘導加熱コイル11の後方には吸気口31に隣接して排気口32が設けられ、本体ケース10内を冷却した空気は排気口32Aを介して、後述するグリルケース62から排気された空気は、排気口32を介して排気される。
【0014】
本体ケース10の前面右側には、露出面が矩形の上部化粧パネル35が設けられ、この上部化粧パネル35には、誘導加熱調理器1の電源のオンとオフとを切り替える押しボタン式の電源ボタン36が設けられている。
この上部化粧パネル35の下方には、図1に示すように、軸40を中心として前後方向に開閉可能なグリル操作部扉34が設けられている。このグリル操作部扉34の奥には、グリル装置60の運転の設定が可能なグリル用パネル20が収容されている。グリル用パネル20は、グリル操作部扉34の下部に設けられたヒンジ(不図示)によって軸40を中心にグリル操作部扉34を回動し、グリル操作部扉34を開状態とすることによって、外部に露出する。グリル用パネル20は、グリル装置60の運転の設定等を行うグリル用操作キー部37と、グリル装置60の運転の内容等を表示するグリル用表示パネル38とを備えている。
このグリル操作部扉34の左方には、グリル装置60が設けられている。
【0015】
図3は、図2におけるIII−III断面図、すなわち、グリル装置60の縦断面図である。図4(A)は、グリル扉61を取り外した状態のグリル装置60の平面図であり、図4(B)は、図4(A)の正面図である。
グリル装置60は、魚等の食品を加熱する装置であり、食品を収納するための空間であるグリルケース62を備えている。グリルケース62の上方には、図3に示すように、グリルケース62内の熱を遮断し、グリルケース62内を保温するための断熱材64が、グリルケース62の上面と平行に延在している。
【0016】
このグリルケース62は、前面に前面開口65が形成された空間であり、この前面開口65を介して引き出し自在にグリル引出部66が収納される。
グリル引出部66は、グリルケース62の前面開口65を開閉するグリル扉61と、このグリル扉61の背面に連結された食品載置部67と、この食品載置部67の下方で、この食品載置部67と平行に延在した状態でグリル扉61の背面に連結された受け皿68と、を備えている。
グリル扉61には、グリルケース62の下面に沿って前後方向に延在するスライドレール(不図示)が連結されている。グリルケース62の下面には、このスライドレールと係合するスライドレール受けが設けられている。これらスライドレールとスライドレール受けとによって、グリル引出部66は、グリル扉61によりグリルケース62の前面開口65を塞いだ状態で、グリルケース62内に収納された収納状態(図3に示す状態)から、この前面開口65を開放した状態でグリルケース62から引き出された引出状態への変位、及び、その逆の変位が可能である。グリル扉61の前面には、グリル引出部66をスライドさせる際に、ユーザーが把持するグリル取っ手63が設けられている。
【0017】
食品載置部67は、図4に示すように、加熱する食品を載置するための網状の部材であり、グリル扉61の裏面に連結されている。食品載置部67に食品を載置する場合、ユーザーは、収納状態のグリル引出部66を引き出して食品載置部67を露出した後、食品載置部67に食品を載置し、再びグリル引出部66を収納状態とする。
また、受け皿68は、食品載置部67の下方において、食品載置部67と平行に延在する部材であり、食品の加熱時に、アルミ箔が載置される。
【0018】
グリル引出部66が収納された状態において、食品載置部67と、受け皿68との間には、下グリルヒーター69(加熱手段)が、これら食品載置部67及び受け皿68と平行に延在している。この下グリルヒーター69は、シーズヒーターであり、両端がグリルケース62の背面71に支持されている。
また、グリルケース62の上面に沿って、上グリルヒーター70(加熱手段)(図3参照)が設けられている。上グリルヒーター70は、平面ヒーターである。グリル装置60は、下グリルヒーター69及び上グリルヒーター70によって、食品の両面焼きが可能である。
【0019】
グリルケース62の背面71には、グリルケース62内の空気を流出するためのグリル排気孔72が形成されている。グリル排気孔72は、図4(B)に示すように、グリルケース62の背面71の中央上部に設けられている。
グリルケース62の背面71側には、図3に示すように、このグリル排気孔72に連通した状態で、触媒室74が設けられており、この触媒室74には、触媒75が設けられている。触媒75は、多数の通気孔を備えた網状やハニカム状の部材であり、この触媒75を通過する油煙を酸化分解する白金やパラジウム等を主成分とする。触媒75の近傍には、この触媒75を300度以上に加熱することで、触媒75の酸化分解作用を促進する触媒ヒーター76が設けられている。
【0020】
この触媒室74の下方には、触媒室74から空気の流入が可能な状態で排気室78が設けられており、この排気室78には、排気ファン79が設けられている。排気室78には、この排気室78と排気口32とを連通する排気通路80が連結されており、排気ファン79の駆動により、触媒室74から排気室78導入された空気は、排気通路80を通った後、排気口32から排気される。
【0021】
排気ファン79が駆動すると、グリル装置60、触媒室74、排気室78、及び、排気通路80において以下のような空気の流れが形成される。
すなわち、図3を参照して、矢印Y1に示すように、グリルケース62の前面開口65の縁とグリル扉61との間に形成された隙間等を介して、誘導加熱調理器1の外部の空気がグリルケース62の前面からグリルケース62内へ導入される。グリルケース62内に導入された空気は、矢印Y2に示すように、グリルケース62内をグリル排気孔72へ向かって流れ、グリル排気孔72を介して触媒室74へ流入する。
触媒室74に流入した空気は、触媒ヒーター76によって加熱された触媒75の酸化分解作用によって、浄化された後、矢印Y3に示すように、排気室78へ流入する。
排気室78へ流入した空気は、矢印Y4に示すように排気ファン79により排気通路80へ導出され、この排気通路80を通って排気口32に至り、排気口32を介して外部へ排気される。
なお、グリルケース62内で、グリルケース62内の空気を触媒室74へ流出するためのグリル排気孔72が空気導出部に相当し、誘導加熱調理器1の外部の空気をグリルケース62内へ流入する隙間が形成されたグリルケース62の前面が空気導入部に相当する。
【0022】
グリルケース62内には、第1温度センサー81及び第2温度センサー82の2つのセンサーが設けられている。これら第1温度センサー81及び第2温度センサー82は、後述するグリルケース62内の温度を調理設定温度に維持する制御を行う際に、使用される温度センサーであり、例えば、サーミスターを備えて構成される。
ここで、本実施形態において、調理設定温度とは、食品を加熱する温度として設定された温度である。そして、「グリルケース62内の温度が、調理設定温度に到達する」とは、食品載置部67に載置された食品が位置する場所の温度、すなわち、グリルケース62の略中央の温度(以下、「加熱温度」という)が、調理設定温度に到達することをいう。
【0023】
第1温度センサー81は、図3及び図4に示すように、グリルケース62の背面71において、上下方向における中央、左右方向における右部に設けられている。つまり、第1温度センサー81は、グリルケース62の空気導出部側に設けられている。
ここで、第1温度センサー81が設けられた位置は、グリルケース62内に導入された空気が直接流通する場所でなく、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によって加熱された空気が滞留する場所である。従って、第1温度センサー81が設けられた位置は、グリルケース62内の空気と比較して非常に温度の低い外部の空気がグリルケース62内に導入される状況下においても、この導入される空気の温度の影響を受けにくい場所である。
さらに、図3に示すように、第1温度センサー81が設けられる位置は、食品載置部67の中央(実際に食品が載置される可能性が高い位置)から離れている。従って、第1温度センサー81が設けられる位置は、食品を加熱する場合において、食品自体の温度に起因する食品周囲の温度変化や、食品の熱容量に起因する食品周囲の温度変化に影響を受けにくい場所である。
【0024】
このように、第1温度センサー81は、グリルケース62内に導入された空気の温度や、加熱すべき食品の温度に影響を受けにくい、温度の安定した場所に設けられている。このため、第1温度センサー81によって検出される温度は、グリルケース62内に導入された空気の温度や、加熱すべき食品の温度による影響を排除した状態のグリルケース62の中央の温度を反映した温度ということができる。すなわち、第1温度センサー81によって検出される温度は、上述した加熱温度を反映した温度ということができる。
さらに、第1温度センサー81は、温度の安定した場所に設けられているため、上述した加熱温度が、ある温度Xであるものとした場合、誘導加熱調理器1の設置された場所(設置された場所によって、グリルケース62内に流入する空気の量、温度等が異なる)や、前面開口65とグリル扉61との隙間の状況、加熱すべき食品の種類、グリルケース62内で偶発的に発生する温度変化等にかかわらず、加熱温度が温度Xのときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値が略一定となる。
なお、上述したように、第1温度センサー81が設けられた位置は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によって加熱された空気が滞留する場所である。従って、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によってグリルケース62内が加熱された後、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオフされた場合であっても、第1温度センサー81の周辺は、滞留した空気によって温度が維持される。このため、第1温度センサー81では、この上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに伴うグリルケース62内の温度変化を、後述する第2温度センサー82と比較して、低い応答性で検出する。
【0025】
一方、第2温度センサー82は、図3及び図4に示すように、グリルケース62の右側面84の前部、すなわち、グリルケース62の前面の近傍に設けられている。つまり、第2温度センサー82は、グリルケース62の空気導入部側に設けられている。
ここで、第2温度センサー82が設けられた位置は、グリルケース62内に導入された空気が流通する場所である。従って、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によってグリルケース62内が加熱された後、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオフされた場合は、グリルケース62内に導入された空気の温度に影響を受けて、第2温度センサー82の検出温度は、高い応答性で低下する。逆に、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオンされた場合は、これら上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオンに伴い、第2温度センサー82の検出温度は、高い応答性で上昇する。
なお、上述したように、第2温度センサー82が設けられた位置は、グリルケース62内に導入された空気の温度に影響を受ける場所であるため、誘導加熱調理器1の設置状況や、前面開口65とグリル扉61との隙間の状況等によって、グリルケース62中央の温度が温度Xのときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値は、必ずしも一定ではない。
【0026】
図5は、グリル装置60の機能的構成を示すブロック図である。
制御部90は、誘導加熱調理器1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPUや、このCPUに実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路等を備えている。ROMには、後述する対応テーブル91が記憶されている。
グリル入力部92は、上述したグリル用操作キー部37に接続され、ユーザーのグリル用操作キー部37に対する操作を検出し、制御部90に出力する。
グリル表示部93は、上述したグリル用表示パネル38に接続され、制御部90の制御の下、グリル用表示パネル38に各種情報を表示する。
【0027】
本実施形態では、ユーザーは、グリル用表示パネル38を参照しつつ、グリル用操作キー部37を操作することにより、少なくとも、誘導加熱調理器1に自動運転、手動運転のいずれかの運転をさせることができる。
自動運転では、ユーザーは、グリル用操作キー部37を操作して、予め用意された複数のメニューの中から、加熱する食品に対応するメニューを選択する。本実施形態に係る誘導加熱調理器1では、メニュー毎に食品を加熱するにあたっての調理設定温度、及び、加熱時間が定められており、制御部90は、選択されたメニューに対応する調理設定温度、及び、加熱時間に基づいて、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69を制御する。
一方、手動運転では、ユーザーは、グリル用操作キー部37を操作して、140℃〜260℃の範囲で調理設定温度を指定する。さらに、ユーザーは、グリル用操作キー部37を操作して、加熱時間を指定する。制御部90は、指定された調理設定温度、及び、加熱時間に基づいて、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69を制御する。
【0028】
第1温度センサー81は、検出した温度に係る信号を制御部90に出力する。制御部90は、第1温度センサー81の検出値に基づいて、第1温度センサー81近傍の温度を検出する。
同様に、第2温度センサー82は、検出した温度に係る信号を制御部90に出力する。制御部90は、第2温度センサー82の検出値に基づいて、第2温度センサー82近傍の温度を検出する。
排気ファンモーター95は、制御部90の制御の下、排気ファン79の駆動を制御する。例えば、排気ファンモーター95は、ファン用のインバーターと接続されており、制御部90は、インバーターの周波数を制御することによって、排気ファンモーター95の駆動を制御し、排気ファン79の駆動を制御する。
上グリルヒーター駆動部96は、制御部90の制御の下、上グリルヒーター70に供給される電流を制御することにより、上グリルヒーター70の駆動を制御する。
同様に、下グリルヒーター駆動部97は、制御部90の制御の下、下グリルヒーター69に供給される電流を制御することにより、下グリルヒーター69の駆動を制御する。
触媒ヒーター駆動部98は、制御部90の制御の下、触媒ヒーター76の駆動を制御する。
【0029】
次いで、グリル装置60の動作について、説明する。
図6は、グリル装置60の動作を示すフローチャートである。図7は、グリル装置60の動作の説明に使用するため、加熱を開始してからの、上述した加熱温度の推移、第1温度センサー81の検出温度の推移、及び、第2温度センサー82の検出温度の推移を示すグラフである。図7において、グラフGAは、加熱温度の推移を示し、グラフGBは、第1温度センサー81の検出温度の推移を示し、グラフGCは、第2温度センサー82の検出温度の推移を示す。
以下、図6のフローチャート及び図7のグラフを用いて、グリルケース62内の温度を調理設定温度TAに維持する制御を行う場合におけるグリル装置60の動作について説明する。
【0030】
ステップSA1において、制御部90は、上グリルヒーター駆動部96及び下グリルヒーター駆動部97を制御して、調理設定温度TAに対応する電流を上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69に供給することによって、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオンし、加熱を開始する。
次に、制御部90は、対応テーブル91を参照し、調理設定温度TAに対応する第1温度センサー81の検出温度(以下、「対応温度TB」という)を取得する(ステップSA2)。ここで、対応テーブル91について説明する。
【0031】
図8は、対応テーブル91の構成を模式的に示す図である。
図8に示すように、対応テーブル91は、制御部90のCPUから参照可能に、ROMに記憶されたテーブルであり、調理設定温度と、第1温度センサー81の検出温度とが対応づけて記憶されている。ここで、ある調理設定温度と対応づけて記憶されている第1温度センサー81の検出温度は、加熱温度(上述したように、グリルケース62の略中央の温度)が当該調理設定温度に至ったときの、第1温度センサー81の検出温度であり、実験によって予め定められる。図8の例では、調理設定温度/140℃と、第1温度センサー81の検出温度/85℃とが対応づけられているが、この第1温度センサー81の検出温度/85℃は、加熱温度が140℃に至ったときにおける第1温度センサー81の検出温度である。
【0032】
上述したように、第1温度センサー81によって検出される温度は、上述した加熱温度を反映した温度である。さらに、第1温度センサー81は、温度の安定した場所に設けられているため、上述した加熱温度が、ある温度Xであるものとした場合、加熱温度が温度Xのときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値が略一定となる。従って、誘導加熱調理器1が設置されている状況、前面開口65とグリル扉61との隙間の状況、及び、加熱すべき食品の種類、グリルケース62内で偶発的に発生する温度変化等にかかわらず、加熱温度が調理設定温度に至ったときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値は、略一定となる。図8の例で言えば、誘導加熱調理器1が設置されている状況等にかかわらず、調理設定温度が140℃に設定されている場合において、加熱温度が140℃に至ったときの、第1温度センサー81の検出温度は、略85℃となる。
なお、本実施形態では、ROM上のテーブルによって、調理設定温度と、第1温度センサー81の検出温度とを対応づけて記憶していたが、ROMのプログラム上に定義づけることによって調理設定温度と第1温度センサー81の検出温度とを対応づけて記憶するようにしてもよい。
【0033】
さて、前掲図6に戻り、ステップSA2において、対応テーブル91を参照して、設定された調理設定温度TAに対応する第1温度センサー81の検出温度(対応温度TB)を取得した後、制御部90は、第1温度センサー81の検出値に基づいて、第1温度センサー81近傍の温度(以下、「第1温度」という)を検出する(ステップSA3)。次に、制御部90は、ステップSA3で検出した第1温度と、ステップSA2で取得した対応温度TBとを比較する(ステップSA4)。
比較の結果、ステップSA3で検出した第1温度が、対応温度TBを下回る場合(ステップSA4:YES)、制御部90は、処理をステップSA3へ戻す。
【0034】
このように、制御部90は、加熱の開始後、第1温度が、対応温度TBを上回るか否かを監視し、第1温度が、対応温度TBを上回る(到達する)までの間は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオンを継続する。図7を用いて説明すると、加熱の開始後、第1温度が対応温度TBに至る(ポイントP1)までの時間J1が経過するまでの間は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオンを継続する。なお、図7に示すように、第1温度が対応温度TBに至った場合、略同時に、加熱温度が調理設定温度TAに至ることとなる。
【0035】
ステップSA4において、ステップSA3で検出した第1温度が、対応温度TBを上回った(到達した)場合(ステップSA4:NO)、制御部90は、第2温度センサー82の検出値に基づいて、第2温度センサー82近傍の温度(以下、「第2温度」という)を検出する(ステップSA5)。ステップSA5で検出される第2温度は、第1温度が、対応温度TBに到達した時点における、第2温度センサー82の検出温度である。
次に、制御部90は、ステップSA5で検出した第2温度を、基準温度TCとして設定する(ステップSA6)。つまり、SA5で検出した第2温度が、基準温度TCとなる。次に、制御部90は、上グリルヒーター駆動部96及び下グリルヒーター駆動部97を制御して、オンされている上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオフする(ステップSA7)。ステップSA7の動作は、図7のポイントP2において行われる動作である。
【0036】
次に、制御部90は、第2温度センサー82の検出値に基づいて第2温度を検出し(ステップSA8)、検出した第2温度と、ステップSA6で設定した基準温度TCとを比較する(ステップSA9)。
ステップSA8で検出した第2温度が、基準温度TCを上回っている場合(ステップSA9:NO)、制御部90は、上グリルヒーター駆動部96及び下グリルヒーター駆動部97を制御して、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69を継続してオフする(ステップSA10)。図7では、ステップSA10の動作は、範囲HA1及び範囲HA2において行われる。
一方、ステップSA8で検出した第2温度が、基準温度TCを下回った場合(ステップSA9:YES)、制御部90は、上グリルヒーター駆動部96及び下グリルヒーター駆動部97を制御して、オフされている上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオンする(ステップSA11)。図7では、ステップSA11の動作は、ポイントP3及びポイントP4において行われる。
【0037】
次に、制御部90は、第2温度センサー82の検出値に基づいて第2温度を検出し(ステップSA12)、検出した温度と、ステップSA6で設定した基準温度TCとを比較する(ステップSA13)。
ステップSA12で検出した第2温度が、基準温度TCを下回っている場合(ステップSA13:NO)、制御部90は、上グリルヒーター駆動部96及び下グリルヒーター駆動部97を制御して、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69を継続してオンする(ステップSA14)。図7では、ステップSA14の動作は、範囲HB1において行われる。
一方、ステップSA12で検出した第2温度が、基準温度TCを上回った場合(ステップSA13:YES)、制御部90は、上グリルヒーター駆動部96及び下グリルヒーター駆動部97を制御して、オンされている上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオフし(ステップSA15)、処理手順をステップSA8へ戻す。図7では、ステップSA15の動作は、ポイントP5において行われる。
【0038】
上述したステップSA8〜ステップSA15の一連の処理では、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオフした後、第2温度が基準温度TCを下回った場合に、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオンすると共に、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオンした後、第2温度が基準温度TCを上回った場合に、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオフする。これにより、第2温度が基準温度TCに維持されるようにする。ここで、加熱温度は、グリルケース62の略中央の温度であり、第2温度センサー82と同様に、グリルケース62内に導入した空気の温度の影響を受けるため、加熱温度の温度は、第2温度の温度にほぼ対応して変動する。このため、図7に示すように、第2温度が基準温度TCに維持されるように制御を行った場合、加熱温度が調理設定温度TAに維持されることとなる。
【0039】
フローチャートのステップSA1からステップSA4で示したように、本実施形態では、調理設定温度TAと第1温度センサー81の検出温度(対応温度TB)とが対応づけて記憶されている。そして、グリルケース62内の加熱の開始後、第1温度センサー81の検出温度である第1温度が対応温度TBを上回った(到達した)か否かを監視し、第1温度が対応温度TBに到達したときに、加熱温度が調理設定温度TAに到達したものとしている。つまり、第1温度センサー81の検出温度に基づいて、加熱温度が調理設定温度TAに最初に到達したことを判定する。
これは、以下の理由による。
すなわち、上述したように、第1温度センサー81によって検出される温度は、上述した加熱温度を反映した温度である。さらに、第1温度センサー81は、温度の安定した場所に設けられているため、上述した加熱温度が、ある温度Xであるものとした場合、加熱温度が温度Xのときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値が略一定となる。従って、誘導加熱調理器1が設置されている状況、前面開口65とグリル扉61との隙間の状況、及び、加熱すべき食品の種類、グリルケース62内の温度変化や、グリルケース62内で偶発的に発生する温度変化等にかかわらず、加熱温度が調理設定温度に至ったときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値は、略一定となる。
これを踏まえ、第1温度センサー81の検出値が、調理設定温度TAに対応する対応温度TBに至ったことによって、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを判定することにより、確実、かつ、安定的に、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを判定できる。
【0040】
また、フローチャートのステップSA5からステップSA15で示したように、本実施形態では、第1温度センサー81の検出値に基づいて、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを検出した場合(ステップSA4:NO)、制御部90は、その時点における第2温度センサー82の検出温度を基準温度TCとし、以後は、第2温度が、基準温度TCに維持されるように上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオン、オフ制御する。
これは、以下の理由による。
すなわち、加熱温度が調理設定温度TAに至った時点における第2温度センサー82の検出温度を基準温度TCとする理由は以下である。
上述したように、第2温度センサー82が設けられた位置は、グリルケース62内に導入された空気の温度に影響を受ける場所であるため、誘導加熱調理器1の設置状況や、前面開口65とグリル扉61との隙間の状況等によって、グリルケース62中央の温度が温度Xのときの第1温度センサー81の検出温度の絶対値は、必ずしも一定ではない。そして、加熱温度が調理設定温度TAに至った時点における第2温度センサー82の検出温度を基準温度TCとすることにより、第2温度センサー82の実際の検出温度に基づいて、基準温度TCを適切に設定できるからである。
【0041】
また、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを検出した後、第2温度センサー82の検出温度である第2温度が、基準温度TCに維持されるように上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69を制御する理由は以下である。
上述したように、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によってグリルケース62内が加熱された後、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオフされた場合は、グリルケース62内に導入された空気の温度に影響を受けて、第2温度センサー82の検出温度は、高い応答性で低下する。逆に、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオンされた場合は、これら上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオンに伴い、第2温度センサー82の検出温度は、高い応答性で上昇する。そして、第2温度が、基準温度TCに維持されるように上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオン、オフ制御することにより、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに起因した温度変化を反映した、適切なオン、オフ制御ができるからである。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るグリル装置60は、グリルケース62に収納した食品を加熱する上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69と、これら上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオン、オフ制御して、グリルケース62内の温度を調理設定温度に維持する制御部90とを備えている。
そして、グリル装置60は、グリルケース62内で温度が安定し易い位置に配置された第1温度センサー81と、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサー82とを備え、制御部90は、第1温度センサー81の検出温度に基づいて、加熱温度が調理設定温度に到達したと判定し、その時点の第2温度センサー82の温度を基準温度TCとして、第2温度センサー82の検出温度に基づいて、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69をオン、オフ制御する。
これによれば、グリルケース62内で温度が安定し易い第1温度センサー81の検出温度に基づいてグリルケース62内の温度が調理設定温度に到達したことを判定するため、グリルケース62内の温度変化の波や、グリルケース62内で偶発的に発生する温度変化等にかかわらず、第1温度センサー81の検出温度に基づいて、適切に、加熱温度が調理設定温度に到達したことを判定できる。
さらにこの構成によれば、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサー82の検出温度に基づいて、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフを制御するため、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに起因した温度変化を反映した、適切なオン、オフ制御ができる。
【0043】
また、本実施形態では、第1温度センサー81は、グリルケース62内の空気導出部側に設けられ、第2温度センサー82は、グリルケース62内の空気導入部側に設けられている。
ここで、グリルケース62内の空気導入部側は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によって加熱されていない空気が流れるため、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオフした場合は、導入された空気によって空間が冷却され、高い応答性で温度が下がる一方、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69がオンした場合は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69による加熱を反映して高い応答性で温度が上がる。つまり、グリルケース62内の空気導入部側は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに反映して、温度が変動しやすい位置である。
一方、グリルケース62内の空気導出部側は、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69によって加熱された後の空気が流れるため、熱がこもりやすく、温度がグリルケース62内に導入される空気や、上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフ等に影響を受けにくい。つまり、グリルケース62内の空気導出部側は、グリルケース62内で温度が安定しやすい位置である。
そして、上記構成によれば、第1温度センサー81をグリルケース62内で温度が安定し易い位置に設けることができると共に、第2温度センサー82を上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に設けることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るグリル装置60は、調理設定温度と、この調理温度設定温度に対応する前記第1温度センサー81の検出温度と、を対応づけて記憶する対応テーブル91を記憶しており、制御部90は、第1温度センサー81の現在の検出温度が、調理設定温度と対応づけて記憶された第1温度センサー81の検出温度に到達した場合に、グリルケース62内の温度が調理設定温度に到達したと判定する。
これによれば、調理設定温度と、この調理温度設定温度に対応する第1温度センサー81の検出温度と、が対応づけて記憶されているため、第1温度センサー81の現在の検出温度が、調理設定温度と対応づけて記憶された第1温度センサー81の検出温度に到達した場合に、グリルケース62内の温度が調理設定温度に到達したと判定することにより、グリルケース62内の温度が調理設定温度に到達したことを適切に判定することができる。
【0045】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、第1温度センサー81の検出値に基づいて、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを検出した時点における第2温度センサー82の検出温度を基準温度TCとしていた。ここで、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを検出した時点は、必ずしも時間的な同時性を必要とせず、例えば、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを検出してから数秒後における第2温度センサー82の検出温度を基準温度TCとするようにしてもよい。すなわち、加熱温度が調理設定温度TAに至ったことを検出した時点は、グリル装置60の設計や、グリル装置60が設置される状況等に応じて、適切に定義可能である。
また、上述した実施形態では、加熱手段としての上グリルヒーター70及び下グリルヒーター69を備えるグリル装置60について説明したが、加熱手段はこれらヒーターに限らず、例えば、ガスバーナーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係るグリル装置を備える誘導加熱調理器の斜視図である。
【図2】誘導加熱調理器の平面図である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【図4】(A)は、グリル装置の平面図であり、(B)は、(A)のグリル装置の正面図である。
【図5】グリル装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】グリル装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】グリルケース内の加熱開始後の加熱温度の推移、第1温度センサーの検出温度の推移、及び、第2温度センサーの検出温度の推移を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が温度を示している。
【図8】対応テーブルの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0047】
60 グリル装置
62 グリルケース
69 下グリルヒーター(加熱手段)
70 上グリルヒーター(加熱手段)
81 第1温度センサー
82 第2温度センサー
90 制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリルケースに収納した食品を加熱する加熱手段と、前記加熱手段をオン、オフ制御して、前記グリルケース内の温度を調理設定温度に維持する制御手段とを備えたグリル装置において、
前記グリルケース内で温度が安定し易い位置に配置された第1温度センサーと、前記加熱手段のオン、オフに応じて温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサーとを備え、前記制御手段は、前記第1温度センサーの所定の検出温度に基づいて、前記グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定し、その時点の前記第2温度センサーの温度を基準温度として、前記第2温度センサーの検出温度に基づいて、前記加熱手段をオン、オフ制御することを特徴とするグリル装置。
【請求項2】
前記グリルケースに形成された空気導入部から導入した空気を、前記グリルケースに形成された空気導出部から導出して前記グリルケース内の空気を排気し、
前記第1温度センサーを前記グリルケース内の前記空気導出部側に設け、前記第2温度センサーを前記グリルケース内の前記空気導入部側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のグリル装置。
【請求項3】
調理設定温度と、この調理温度設定温度に対応する前記第1温度センサーの検出温度と、を対応づけて記憶し、
前記制御手段は、前記第1温度センサーの現在の検出温度が、調理設定温度と対応づけて記憶された前記第1温度センサーの検出温度に到達した場合に、前記グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のグリル装置。
【請求項4】
グリルケースに収納した食品を加熱する加熱手段と、前記グリルケース内で温度が安定し易い位置に配置された第1温度センサーと、前記温度が変動し易い位置に配置された第2温度センサーとを備えるグリル装置を制御して、
前記第1温度センサーの所定の検出温度に基づいて、前記グリルケース内の温度が調理設定温度に到達したと判定し、その時点の前記第2温度センサーの温度を基準温度として、前記第2温度センサーの検出温度に基づいて、前記加熱手段をオン、オフ制御することを特徴とするグリル装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−273906(P2010−273906A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130169(P2009−130169)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】