説明

グリーンコンクリートへの適用のための、急速な硬化能力を有する水性のエポキシ硬化剤としてのマンニッヒベース付加物

【課題】 急速硬化能力を有する水性エポキシ樹脂の硬化剤としての、マンニッヒ塩基付加物と、グリーンコンクリートへの適用のためのそのエポキシ樹脂硬化剤の提供。
【解決手段】 この エポキシ樹脂は、(a)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシル基で変性されたポリエポキシド樹脂;および(b)マンニッヒ塩基ポリアミンとの反応生成物である水溶性ポリアミン付加物を含む水溶性組成物からなる。ここで、マンニッヒ塩基ポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基を含むポリアミンの、フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンの反応から生成されるN−マンニッヒ縮合物との反応生成物であり、マンニッヒ塩基ポリアミンは、エポキシド基に対して過剰な活性アミン水素を含むものであり、その結果、水溶性ポリアミン付加物が、固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶性のポリアミン付加物、これのエポキシ樹脂との組成物、およびこれを製造するための方法に関し、また一層特定的にエポキシ樹脂とのポリアミン付加物の水溶液の形の水溶性硬化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの有機溶媒は環境に対してエコロジー的に優しくなくまた害を及ぼす。有機溶媒を水によって少なくとも部分的に置き換える試みが図られた。エポキシ樹脂のための水をベースとする硬化剤はほとんど、比較的長い硬化時間、グリーンコンクリート上での劣悪な安定性、およびコンクリートに添加された後での硬化剤/エポキシ樹脂乳濁液の分解(break down)のような欠点を有する。加えて、既知の硬化剤は薄いフィルムでしか施すことができない。さらに、この硬化剤の化学的抵抗力は、溶媒をベースとするまたは溶媒を含まないエポキシ系のそれには及ばない。
【0003】
マンニッヒ塩基と一般に称されるアミノ官能性フェノールを製造するために交換化学を用いることが知られている。マンニッヒ塩基の製造は、M.Tramontiniによる“Advances in Chemistry of Mannich bases”, Methods in Synthetic Organic Chemistry-Synthesis, Academic Press, pp.703-775, 1973;M.Tramontiniらによる“Mannich Bases in Polymer Chemistry”, Polymer, 1988, vol.29, May, pp.771-788;およびF.F.Blickによる“The Mannich Reaction”,Org.Reactions 10,303(1942)にさらに記載されている。
【0004】
Goekeらの米国特許第4,269,742号に開示されているごとくエポキシ樹脂のため
の硬化剤としてマンニッヒ塩基を使用することが知られている。この特許は、アミドアミンまたはポリアミドアミンのようなより高沸点のアミンがより低沸点のアミンと置き換わるトランスアミノ化反応または交換化学によるマンニッヒ塩基の製造について記載している。この特許には、水担持性処方物のための硬化剤の引き続いての付加物化または変性については記載がない。
【0005】
Waddillらの米国特許第4,736,011号は、イミダゾールのホルムアルデヒドおよ
びポリオキシアルキレンポリアミンとの反応によって製造されるマンニッヒ縮合物について記載している。
【0006】
Beckerの米国特許第3,736,011号は、ポリオキシプロピレンポリアミンのフェノールおよびアルデヒドとの縮合によるフェノール樹脂の製造について記載している。
【0007】
Grigsbyらの米国特許第4,714,750号は、2,6−ジ−t−ブチル−フェノールのホルムアルデヒドおよびポリオキシアルキレンアミンとのマンニッヒ縮合について記載している。同様に、Speranzaらの米国特許第5,098,986号は、第1段階でアルキルフェノールが、ホルムアルデヒドおよび第1のポリオキシアルキレンジアミンと反応して縮合物が生成する2段階反応について記載している。得られる縮合物は、第2段階に際してホルムアルデヒドおよび第2のポリオキシアルキレンジアミンとさらに反応する。
【0008】
より最近になって、水担持性エポキシへの応用でいくつかのマンニッヒ塩基縮合物を乳濁液として使用することが他の特許に開示されている。Speranzaらの米国特許第5,12
0,817号は、硬化剤としてマンニッヒ縮合物を含有するエポキシ樹脂組成物について
記載しており、この場合、マンニッヒ縮合物はフェノール、ホルムアルデヒドおよびポリオキシエチレンジアミンの縮合によって生成されるポリオキシエチレンジアミンである。ポリオキシエチレンジアミンは以下の式
NH2(CH2CH2O)x−CH2CH2NH2
(式中、xは1〜3である)
を有する。フェノール、ホルムアルデヒドおよびポリオキシエチレンジアミンが1:3:3の比率で反応するとき、得られる反応混合物はゲル化し、従って硬化剤として使用できなかった(6欄、50〜53行参照)。
【0009】
日本特許第10101774号はポリエポキシドならびに、フェノール化合物をカルボニル化合物およびポリアミンと反応させることにより製造されるマンニッヒ塩基ポリアミンを含有する組成物について記載している。得られるマンニッヒ塩基ポリアミンは、分子内に芳香族または環式脂肪族の構造を有し、また2つのグリシジル基を有するジエポキシド、例えばポリオキシエチレングリコールのジグリシジルエーテルとさらに反応される。
【0010】
加えて、ポリアミン付加物の水をベースとする溶液は、水での希釈に際して肉眼で観察できるように曇りがでてくる傾向があり、従って、溶液をさらに応用するのに必要な単一相の均一性を保持することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
床のようなコンクリート構造を作成する際、コンクリート基材からの水の蒸発を遅延するように企図された物質を湿潤したコンクリートに施すことが知られている。このような物質は産業上硬化化合物と称される。先行技術では、水の蒸発を遅滞するように硬化化合物がコンクリートに噴霧される。コンクリート基材が硬化した後、プライマーまたは他のコーティングを施す前にコーティング基材から硬化化合物を除去することが必要である。従って、コンクリートを硬化させることは、費用が嵩みそして時間のかかる一連の複数の段階となる。
【0012】
さらに、エポキシ硬化剤でコーティングをつくりそしてグリーンコンクリートに施されるとき、このようなコーティングはコンクリートへの接着性が乏しいという欠点をもつことが先行技術で知られている。水担持性エポキシ硬化剤の施用はしばしば乳濁液を分解するに至ることも見いだされている。コーティングが十分な接着性を有するように施すことができるのに先立って、コンクリートが一カ月までの期間で養生されることがしばしば必要である。
【0013】
プライマーとしても役立つことができまた除去する必要のない硬化化合物を提供する必要性が存在する。
【0014】
さらに、完全には硬化されていないコンクリートつまりグリーンコンクリートのためのコーティングを与えるようにエポキシ樹脂とともに処方することができる、良好な接着特性を有するエポキシ硬化剤を提供することの必要性が存在する。
【0015】
低い濃度まで水で希釈するときに単一相を維持する、エポキシに施すための水溶性硬化剤を提供することがさらに望まれる。上記の欠点を克服しまた特性の改善された製品を見いだすことが望まれている。水に可溶でありまた液体エポキシ樹脂を容易に乳化することができるアミンをベースとするエポキシ樹脂硬化組成物を提供することがさらに望まれている。ポリマー変性コンクリート、グリーンコンクリート上のプライマー、およびコンクリート硬化化合物のような、様々な応用のためのコンクリートを含む系の安定性を改善することがさらに一層望まれている。
【0016】
ここに引用したすべての参照文献は、その全体を参照によって本明細書の記載に加入する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、
(a)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシ基で変性
されたポリエポキシド樹脂;および
(b)マンニッヒ塩基ポリアミン
の反応生成物である水溶性ポリアミン付加物を含む水溶性組成物に関し、ここで、このマンニッヒ塩基ポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基を含むポリアミンと、フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンの反応から生成されるN−マンニッヒ縮合物との反応生成物であるものとし;但し、このN−マンニッヒ縮合物の第2級アミンは、ポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の1つによって置き換えられており、このポリアミンは第2級アミンより高い温度で沸騰し、そしてこのポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の少なくとも1つは第1級または第2級アミノ基であり;そしてアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂に対するマンニッヒ塩基ポリアミンの比が、水溶性ポリアミン付加物が、固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量(amine hydrogen equivalent weight)(AHEW)を有するものとなるように、エポキシド基に対して過剰な活性アミン水素を含むものであるものとする。
【0018】
本発明の別の態様は、水溶性組成物と、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキ
シド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物を含み、硬化が可能である組成物に関する。
【0019】
さらに本発明の別の態様は、
(a)フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンを反応させることによりN−マンニッヒ縮合物を製造し;
(b)マンニッヒ塩基ポリアミンを製造し、ここでこのマンニッヒ塩基ポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基を含むポリアミンと、フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンの反応から生成されるN−マンニッヒ縮合物との反応生成物であるものとし;但し、このN−マンニッヒ縮合物の第2級アミンは、ポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の1つによって置き換えられており、このポリアミンは第2級アミンより高い温度で沸騰し、そしてこのポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の少なくとも1つは第1級または第2級アミノ基であり;そして
(c)このマンニッヒ塩基ポリアミンと1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキ
シド基を含むアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂を反応させ、ここで、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂に対するマンニッヒ塩基ポリアミンの比が、水溶性ポリアミン付加物が、固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量(AHEW)を有するものとなるように、エポキシド基に対して過剰な活性アミン水素を含むものとする、
ことからなる水溶性組成物を製造する方法に関する。
【0020】
さらに、本発明は1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポ
キシド樹脂と水溶性組成物との反応生成物を含むコンクリート用のプライマーに関する。
【0021】
加えて本発明は、コンクリートを用意し、ここでコンクリートを施工し、そしてコンクリートにプライマーを施して下塗りされたコンクリートを与えることからなるコンクリートの処理方法に関する。
【0022】
ここに開示する本発明は、エポキシ樹脂を硬化させるための水をベースとする安定な組成物を開発する意図によって推し進められた。本発明は、水溶性ポリアミン付加物が、(1)(a)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂と(b)マンニッヒ塩基ポリアミンとを反応させることにより生成され、そして(2)アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂に対するマンニッヒ塩基ポリアミンの比が、水溶性ポリアミン付加物が、固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量(AHEW)を有するものとなるように、エポキシド基に対して過剰な活性アミン水素を含むものであるならば、水溶性ポリアミン付加物を含む水溶性組成物は、水によって溶液を生成するが、乳濁液または分散体を生成しないという驚くべき発見から出ている。
【0023】
本発明の水溶性ポリアミン付加物は、水が有機共溶媒を本質的に含まないものとして、水によって少なくとも20重量%まで、好ましくは少なくとも10重量%まで希釈されて20℃の温度で単一相を生成しうることが見いだされた。この発見は、水での希釈に際して肉眼で観察することができるように、ポリアミン付加物の水をベースとする溶液に曇りが出るという、ポリアミン付加物の水をベースとする先行技術の溶液に関する問題を軽減する。従って、本発明のポリアミン付加物の水をベースとする溶液は、溶液のさらなる応用または保存にとって必要な単一相の均一性を保持することができる。
【0024】
また本発明は、グリーンコンクリート(本記載で用いるとき、約8時間またはそれ以上の後に固まっているコンクリートを意味する)上での優れた安定性を有する組成物も提供し、この組成物は、水溶性組成物(硬化剤)と、1分子あたり平均少なくとも1.5個の
エポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物を含み、硬化可能である。プライマーとして施されるとき、この組成物はコンクリートへの強力な接着性を急速に生じる。
【0025】
本発明者は、驚くべきことに本発明の組成物が硬化化合物としても作用しうることを見いだしている。コンクリートに施されるとき、この組成物はコンクリート上に密閉フィルムを形成し、これが、コンクリートから水が蒸発するのを部分的または完全に防止する蒸気障壁として作用し、従ってコンクリートが適切に水和しそしてその内部強度を増大するのを可能にする。
【0026】
さらに、この硬化化合物は表面上にプライマーとして残留しまた先行技術の硬化化合物に対して要求されるように除去される必要はない。
【0027】
本発明の水溶性組成物および本発明の組成物は、0%のVOCを有するのが好ましく、このことによって、溶媒の使用が火災の危険を生みまたは使用者に対して有害でありうる密閉された環境での応用が推進される。
【0028】
本発明でマンニッヒ塩基ポリアミンは、ポリアミンをN−マンニッヒ縮合物と反応させることにより製造される。本発明のポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基を含み、その場合、1つのアミノ基は第1級アミノ基でありそして他の1つのアミノ基は第1級または第2級アミノ基である。本発明のN−マンニッヒ縮合物は、フェノール、アルデヒド、および低沸点の第2級アミンの反応から製造される。交換反応(トランス反応)が起きる。反応中に最も揮発性であり、低沸点である第2級アミンは、ポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の1つによって置き換えられ、マンニッヒ塩基ポリアミンを生成する。ここで用いられるマンニッヒ塩基ポリアミンを製造する交換反応は、Goekeらの米国特許第4,269,742号に記載されている。
【0029】
N−マンニッヒ縮合物(または塩基)は以下の一般式(I)
【化1】

(式中、A、BおよびCは独立に、水素、不飽和をもつまたは不飽和をもたない炭素原子24個までのアルキル基、CH2N(R)2(ここでRが炭素原子8個までを有するアルキル基である)であり、ただしA、BまたはCの少なくとも1つはCH2N(R)2である)
を有する。
【0030】
本発明の水溶性組成物では、N−マンニッヒ縮合物は2,4,6−トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールであるのが好ましい。
【0031】
低沸点の第2級アミンは、好ましくはジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、またはジブチルアミンである。ポリアミンは好ましくはアルコキシレート基を含む。
【0032】
本発明のある種の態様では、交換化学反応で使用されるポリアミンには、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロ
パンジアミン(N3−アミン)、N,N′−1,2−エタンジイルビス−1,3−プロパンジアミン(N4−アミン)、またはジプロピレントリアミンのような脂肪族ポリアミン;m
−キシリレンジアミン(mXDA)、またはp−キシリレンジアミンのような芳香脂肪族ポリアミン;1,3−ビスアミノシクロヘキシルアミン(1,3−BAC)、イソホロンジアミン(IPDA)、または4,4’−メチレンビスシクロヘキサミンのような環式脂肪
族ポリアミン;m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)またはジアミノジフェニルスルホン(DDS)のような芳香族ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン(NAEP)、または3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンのような複素環ポリアミン;アルコキシ基がオキシエ
チレン、オキシプロピレン、オキシ−1,2−ブチレン、オキシ−1,4−ブチレンであってよいポリアルコキシポリアミンまたはこれのコポリマー例えば4,7−ジオキサデカン
−1,10−ジアミン、1−プロパンアミン,3,3’−(オキシビス(2,1−エタンジイルオキシ))ビス(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール)(ANCAMINE 1
922A)、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))アルファ−(2−アミノ
メチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)(JEFFAMINE D 230,D−400)、トリエチレングリコールジアミンおよびオリゴマー(JEFFAMINE XTJ−504、JEFFAMINE XTJ−512)、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),アルファ,アルファ’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス(オメガ−(アミノメチルエトキシ))(JEFFAMINE XTJ−511)、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン 350、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン 750、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールのa−ヒドロ−w−(2−アミノメチルエトキシ)エーテル(3:1)(JEFFAMINE T−403)、およびジアミノプロピルジプロピレングリコールがある。
【0033】
好ましいポリアミンには、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミ
ン(TETA)、1,3−ビスアミノシクロヘキシルアミン(1,3−BAC)、イソホロンジアミン(IPDA)、N−アミノエチルピペラジン(NAEP)、4,7−ジオキサ
デカン−1,10−ジアミン、1−プロパンアミン,3,3’−(オキシビス(2,1−エタンジイルオキシ))ビス−(ANCAMIN 1922A)、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ(JEFFAMINE D 230、D−400)、トリエチレングリコールジアミン(JEFFAMINE XTJ−504)、およびポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))アルファ,アルファ’−(オキシ(ジ−2,1−エタンジイル))ビス(オメガ−(アミノメチルエトキシ))(JEFFAMINE XTJ−511)がある。
【0034】
ポリアルコキシポリアミンはグリーンコンクリートに施すために最も好ましいポリアミンである。
【0035】
N−マンニッヒ縮合物とポリアミンとの間のアミン交換反応は、110〜200℃の温度で実施するのが好ましい。用いる最高温度は反応で使用するポリアミンに依存し、この場合、いくつかのポリアミン例えばTETAは交換反応に際して150℃で重合を開始することができ、一方JEFFAMINE D−230のような他のポリアミンはより高い温度(190〜200℃)で安定である。反応は約0.5〜約6時間継続する。
【0036】
N−マンニッヒ縮合物に対するポリアミンの比は交換のために利用できる活性部位の数に基づいて計算される。本発明のある種の態様では、N−マンニッヒ縮合物のそれぞれの活性部位あたり0.8〜1.2モルである。活性部位を少なくとも2つ有するN−マンニッヒ縮合物が好ましい。
【0037】
本発明の水溶性ポリアミン付加物(硬化剤)は、マンニッヒ塩基ポリアミンを、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシ基で変性されたポリエポ
キシド樹脂と反応させることにより生成される。アルコキシ基はポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリ−1,2−オキシブチレン、またはポリテトラヒドロフランか
ら誘導されるのが好ましい。
【0038】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、以下のカテゴリーのもの:
(i)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールと、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹
脂との反応生成物;
(ii)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂
と、ポリアルコキシ鎖を含むポリアルコキシモノアミンとの反応生成物であって、ポリアルコキシモノアミンが以下の構造
【化2】

(式中、RはHまたはC1〜C12のアルキルであり、XはC24、C36またはC48
アルキル基であり、YはC24、C36またはC48のアルキル基であり、そしてnは約200〜約4000の分子量を有するポリアルコキシモノアミンを生成するのに十分な反復数である)
を有するもの;
(iii)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポ
リオールのポリグリシジルエーテル;および
(iv)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシル化ジフ
ェノールのジグリシジルエーテル誘導体
から選択される。
【0039】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、Beckerらの米国特許第4,197,389号の第3欄23〜27行および第4欄13〜第6欄20行に記載されているような、(i)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールと、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物であり、これの非限定的な例は以下に示される。本発明において、ポリエーテルポリオールの役割の1つの局面は、ポリアミン付加物の溶解度を制御しそしてプライマー処方物中で使用されるエポキシ樹脂を乳化するのに必要な表面活性を付与することである。
【0040】
(i)で使用する1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含む好適なポ
リエポキシド樹脂は、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロドデカジエン、シクロドデカトリエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、
ブタジエン、ポリブタジエン、ジビニルベンゼンなどのようなポリ不飽和炭化水素のエポキシド;エピクロロヒドリンのオリゴマーおよび類似物;エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコールおよび類似物のような多価アルコールのエポキシエーテル;レゾルシノール、ハイドロキノン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4’−メチルフェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−(4−クロロフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびこれらのヒドロキシエチルエーテル、フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物例えばフェノールアルコール、フェノールアルデヒド樹脂および類似物などのような多価フェノールのエポキシエーテル;N,N−ジグリシジルアニリンおよびN,N′−ジメチルジグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタンのようなS−含有およびN−含有エポキシド、ならびに不飽和アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和アルコールの一不飽和カルボン酸エステル、グリシジルエステル、ポリグリシジルエステル(不飽和酸のグリシジルエステルの重合または共重合によって、またはシアヌル酸、ジグリシジルサルファイド、環式トリメチレン、トリスルホンまたはその誘導体などのような他の酸化合物から得ることができる)から慣用の方法によって製造されているエポキシドである。
【0041】
ポリエポキシド樹脂は、場合によっては溶媒または軟化剤の存在でBeckerらの米国特許第4,197,389号に記載の方法に従って個々にまたは混合物で反応させられ、または組成物の製造のために使用されうる。これらはまたモノエポキシドと混合して使用されうる。従って、例えば、上記したポリエポキシド化合物との混合物として以下のようなモノ
エポキシドが使用されうる:エポキシド化されたブチレン、シクロヘキセン、スチレンオキサイドおよび類似物のような不飽和炭化水素;エピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド;メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ドデシルアルコールおよび類似物のような1価アルコールのエポキシエーテル;フェノール、クレゾールおよびo−またはp−位置で置換された他のフェノールのような1価フェノールのエポキシエーテル;不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;エポキシド化された不飽和アルコールのエステルまたは不飽和カルボン酸;およびグリシドアルデヒドのアセタール。
【0042】
使用することができる好ましい多価フェノールは、レゾルシノールおよび、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトンなどのようなアルデヒドおよびケトンとフェノールとの縮合によって得られる様々なビスフェノールである。この種類の樹脂は米国特許第2,855,159号および第2,589,245号に記載されている。
【0043】
本発明で使用するのに好ましいポリエポキシド樹脂は、ポリフェノールグリシジルエーテル、例えばエピクロロヒドリンと2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパ
ン(つまりビスフェノールA)との反応生成物または、ブスフェノールF単独かもしくはビスフェノールAと混合した、ビスフェノールFをベースとするビスフェノールAの同族体である。ポリエポキシド樹脂は160〜500の当量を有するのが好ましい。
【0044】
本発明のある態様では、少なくとも2つのOH基およびポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールは、水中に好ましくは可溶であるポリアルキレンポリエーテルポリオールであり、またこれには例えばアルキレンオキサイドの付加生成物またはアルキレンオキサイドと多価アルコールとの付加生成物がある。好適なアルキレンオキサイドは例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、アミレンオキサイドおよびこれらのオキサイドのヘテロコポリマーまたはブロックコポリマーである。しかしながら、アルキレンオキサイドはエチレンオキサイドであるのが好ましい。好適な多価アルコールは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールエタン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、アルファ−メチルグルコシド、ペンタエリスリトール、およびソルビトールの単独または混合した脂肪族アルコールおよび芳香族アルコールの双方である。
【0045】
ポリアルキレンポリエーテルポリオールは、他の出発物質から、例えばテトラヒドロフランおよびアルキレンオキサイド−テトラヒドロフランコポリマー;エピハロゲノヒドリン、例えばエピクロロヒドリン、およびアルアルキレンオキサイド、例えばスチレンオキサイドからも製造されてよい。
【0046】
ポリアルキレンポリエーテルポリオールは第1級または第2級のヒドロキシル基のいずれかを有してよく、また炭素原子2〜6個を有するアルキレンオキサイドから生成されるポリエーテル、例えばポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコールおよびポリブチレンエーテルグリコールであるのが好ましい。ポリアルキレンポリエーテルポリオールは既知の方法、例えばEncyclopaedia of Chemical Technology, vol.7,
pp.257-262, Interscience Publishers, Inc(1951)または米国特許第1,922,459号に記載されているWurtzの方法(1859)によって製造されうる。
【0047】
ポリアルキレンポリエーテルポリオールの平均分子量は一般に200〜10,000、
そして好ましくは800〜1,200である。ポリエーテルポリオールは、約1/1.5〜約1/10、そして好ましくは1/2〜1/4のモル比で(i)においてポリエポキシド樹脂と反応させるのが好ましい。
【0048】
少なくとも2つのOH基およびポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールと、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生
成物である(i)のカテゴリーのアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、本記載では樹脂1とさらに称される。
【0049】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂と、ポリアルコキシ
鎖を含むポリアルコキシモノアミンとの反応生成物であって、ポリアルコキシモノアミンが以下の一般式(II)
【化3】

(式中、RはHまたはC1〜C12のアルキルであり、XはC24、C36またはC48
アルキル基であり、YはC24、C36またはC48のアルキル基であり、そしてnは約200〜約4000、そして好ましくは約800〜約1200の分子量を有するポリアルコキシモノアミンを生成するのに十分な反復数である)を有するものである(ii)のカテゴリーから選択される。好ましくは(ii)でのポリアルコキシモノアミンのポリアルコキシ鎖はポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドである。
【0050】
樹脂1および樹脂2は、水とともに共溶媒として使用でき、または下記するような付加物化のための溶媒を含むプロセス(間接付加物化)で使用するものと同一であってよい溶媒中で製造することができる。付加物化プロセスの終了において溶媒は、VOCがゼロである硬化剤を与えるように除去することができる。
【0051】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、少なくとも2つのOH基およびポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルである(iii)のカテゴリーから選択される。このポリエポキシド樹脂は、スイスのEms ChemieからGRILONITの商標名の下に商業的に入手可能である。このポリエポキシド樹脂は、本記載では樹脂3と称され、また一般式(III)
【化4】

(式中、Rは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、およびポリテトラヒドロフランまたはそのコポリマーであり、そしてnは2〜100である)
を有する。好ましいグリシジルエーテルは、6〜14単位をもつポリプロピレンオキサイド鎖またはポリテトラヒドロフラン鎖を含むものである。(iii)のポリエーテルポリオ
ールのポリグリシジルエーテルは、好ましくは約200〜約4000、そして一層好ましくは800〜1200の分子量を有する。
【0052】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、1分子あた
り平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシル化ジフェノールのジグリシ
ジルエーテル誘導体である(iv)のカテゴリーから選択される。アルコキシ基で変性された好ましいポリエポキシド樹脂は、エピクロルヒドリンと、例えばEO、PO、1,2−
BO、テトラヒドロフランまたはアルコキシル化ジフェニルエーテルのグリシジルエーテルとビスフェノール−Aまたはビスフェノール−Fとからのアルコキシル化ビスフェノールとの反応から生じるジグリシジルエーテルである。
【0053】
(iv)でのアルコキシル化ジフェノールは以下の構造
【化5】

(式中、Xはジフェノールから誘導されるアリーリデン基であり、RはC24、C36またはC48のアルキル基であり、n+m=1〜20であり、また好ましくはn+m=4〜10である。)
を有する。本発明の好ましい態様では、ジフェノールはレゾルシノール、ビスフェノール−Aまたはビスフェノール−Fである。
【0054】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は一般式(IV)
【化6】

(式中、R1はメチレン、1−メチルエチリデン、スルホニルであり、R2および/またはR3はEO、PO、1,2−BO、テトラヒドロフラン、カプロラクトンおよびこれらのコポリマーから誘導される反復単位であり、そしてn+m=2〜50である)
を有し、また本記載では樹脂4と称される。
【0055】
上記した樹脂1〜4は、アルコキシ基で変性された本発明の好ましいポリエポキシド樹脂であり、また最も好ましいのは樹脂1および2である。アルコキシレートを含む他のポリグリシジルエーテルもまた使用することができる。アルコキシレートを含むポリグリシジルエーテルは、アルコキシレートを含まないポリエポキシドと混合されることもできる。
【0056】
本発明のある態様では、本発明のポリグリシジルエーテル(ポリエポキシド)には、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fジグリシジルエーテルおよび他のポリグリシジルエーテルまたはモノグリシジルエーテルのような、ポリオキシアルキレン基を含まないポリグリシジルエーテル(ポリエポキシド)が混合されうる。これらの一覧は、H. Lee and K. Neville,“Handbook of Epoxy Resins”(1967, McGraw-Hill Inc.);C. May and Y. Tanaka,“Epoxy Resins, Chemistry and Technology”(1988, Marcel Dekker, Inc.)pp.9-105;W. G. Potter,“Epoxide Resins”(1970, Butterworth &
Co Ltd);および A. M. Paquin,“Epoxyverbindungen und Epoxydharze”(1958, Springer-Verlag)に見ることができる。
【0057】
本発明では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、マンニッヒ塩基ポリア
ミンの交換されたアミンと反応して水溶性ポリアミン付加物を生成する。アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂の選定は、使用するマンニッヒ塩基ポリアミンの溶解度に依存する。溶解性が極めて大きいアミンは、プロポキシ、1,2−ブトキシまたはヒドロ
フランをベースとするポリグリシジルエーテルの使用を必要とする一方、溶解性がより小さいアミンはポリエトキシをベースとするポリグリシジルエーテルを必要とする。アルコキシ単位を15〜30もつアルコキシ鎖か好ましい。
【0058】
本発明のアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂は、交換生成物の反応性に応じて、マンニッヒ塩基ポリアミン中に含まれるアミン3〜12モルに対してエポキシ1当量の比でマンニッヒ塩基ポリアミンと反応される。アミン当量に対するエポキシ当量の好ましい比は、アミン当量4〜6モルに対してエポキシ1当量(つまり1:1〜4)である。
【0059】
モルアミン当量は、以下のように測定される:反応に際して、得られる生成物のアミン水素当量(AHEW)を測定するために、ポリアミンの装入量および放出されるDMAの量が制御される。モルアミン当量は、交換反応が起きた後にアミン分子上に残る反応性Hの数をAHEWに乗ずることにより得られる。例えば、交換反応にJEFFAMINE D−230を使用するとき、生成物はAHEW97を有する。JEFFAMINE D−230は4つの反応性部位を有し、また交換反応の後、これらの部位が残留する。従って、モルアミン当量は291である。
【0060】
本発明のある態様では、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂に対するマンニッヒ塩基ポリアミンの比は、エポキシド基に対して過剰である活性アミン水素を含むものであり、従って水溶性ポリアミン付加物は固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量(AHEW)を有する。AHEWは固体含有物を基準として多くとも350であるのが好ましく、また固体含有物を基準として多くとも200であるのが一層好ましい。
【0061】
本発明のある態様で、水溶性ポリアミン付加物は、マンニッヒ塩基ポリアミンが溶媒を添加することなく樹脂と混合する直接的付加によって得られる。
【0062】
本発明のある態様で、水溶性ポリアミン付加物は、溶媒を添加する追加的な段階を用いることにより得られ、この溶媒は、マンニッヒ塩基ポリアミンのポリエポキシドとの反応である直接的な付加物化が推奨されない場合、水とともに共沸物として除去することができる。得られる付加物は極めて濃稠になり得、またゲル化する傾向がある。この問題を軽減するために好適な様々なプロセスを用いることができる。好ましいプロセスは、水とともに共沸物として除去することができる溶媒の使用を包含する。好ましい溶媒は、n−ブタノール、トルエン、またはキシレンである。反応の終了時に、常圧またはより低い圧力のいずれかの下で溶媒のいくらかが除去される。反応器の内容物がより濃稠になるとき、水がゆっくり添加され、そして残留する溶媒をフラッシュし、またこれに置き換えるために使用され、これによって生成物の粘度が低く保たれる。
【0063】
すべての溶媒が完全に除去されるとき、または付加物化が完了するとき(直接的プロセスにおけるように)、水の添加に先立って生成物は20〜70℃、好ましくは40〜50℃の温度まで冷却されねばならない。これは、生成物がゲル化しないことを確実にするためである。反応は完全に理解されないが、本発明者は、水が極端に高い温度、例えば80℃で添加するなら生成物が時にゲル化することを見いだしている。このことは、生成物を硬化剤として役立たなくする。水は蒸留または脱イオン化されたものであるのが好ましい。生成物および必要に応じて、固形物の百分率を所望の値、通常は50〜80%に調整するために水が添加される。
【0064】
本発明の水溶性ポリアミン付加物は、いくつかのモノエポキシド、好ましくはフェニルグリシジルエーテル、o−クレジルグリシジルエーテル、p−第3−ブチルフェニルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテルまたは他の任意のグリシジルエーテルまたはグリシジルエステルであってアミン基と反応できるものによってさらに変性されることができる。この最後の付加物化はエポキシ樹脂との混合性を改善するために用いることができる。
【0065】
本発明の水溶性ポリアミン付加物は酸によっても変性することができる。酸の非限定的な例は、酢酸、スルファミン酸、乳酸、サリチル酸、セバシン酸のような有機酸ならびにホウ素酸およびリン酸のような無機酸である。酸はいくつかのアミンをプロトン化し、これによって生成物の水中への溶解度が増加する。
【0066】
本発明の水溶性ポリアミン付加物は、乾燥速度、硬度の増強、フィルムの透明性、光沢などのようなある種の特性を調整するために1つ以上の他の交換生成物と混合されてよく、あるいは硬化を促進しまたは変更するために水をベースとする既存の他の硬化剤と混合されてよい。
【0067】
本発明の水溶性ポリアミン付加物は、ポリアミン付加物溶液を生成するように水中に溶解されてよい。本発明のある種の態様では、水溶性組成物は水溶性のポリアミン付加物から本質的になる。
【0068】
本発明の利点の1つは、本発明の組成物が急速に硬化可能でありまたまだ固まらないコンクリート(fresh concrete)上に施せることである。本発明の組成物の応用には、プライマー、コーティング、硬化化合物、および/またはコンクリート用密封剤としての使用があるが、これらに限らない。本記載で用いるとき『プライマー』という用語は、接着的結合を改善するためにコーティングの施用に先立って表面に施すために使用する薬剤を意味する。本記載で用いるとき『コーティング』という用語は、保護的または装飾的な層またはコートを形成するために表面に施すために使用する薬剤を意味する。『硬化化合物』および『密封剤』という用語はここではASTM C−309−97に規定するように用いられる。
【0069】
ここで用いるとき、硬化化合物はコンクリート上に保護フィルムを形成し、コンクリートから水が蒸発するのを部分的にまたは完全に防止する蒸気障壁として作用し、従って、コンクリートが適切に水和しまたその内部強度を増大することができる。密封剤はコンクリート上に保護フィルムを形成し、液体がコンクリートに侵入するのをまた水分がコンクリートから蒸発するのを部分的にまたは完全に防止するための障壁として作用することができる。
【0070】
本発明は、その方法に従って製造される硬化剤を含有する水性の乳濁液/分散体にも関する。この反応性硬化剤は、コーティング、中間コーティング、プライマー、ペイント、成型組成物、密封剤、接着剤、および様々な応用のための硬化性ペーストを製造するためにエポキシ樹脂および添加剤と組み合わせるのに好適である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、水中で樹脂を容易に乳化して微細な乳濁液を生成する。この組成物は分散されたエポキシ樹脂とともに分散系を形成することもできる。本発明の水溶性ポリアミン付加物とともに分散系を形成するのに好適なエポキシ樹脂(ポリエポキシド)は、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロドデカジエン、シクロドデカトリエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、ブタジエン、ポリブタジエン、ジビニ
ルベンゼンおよび類似物のような多不飽和炭化水素のエポキシド;エピクロロヒドリンのオリゴマーおよび類似物;エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、
ソルビトール、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコールおよび類似物のような多価アルコールのエポキシエーテル;レゾルシノール、ハイドロキノン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ
−3,5−ジフルオロフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−ク
ロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4’−メチルフェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−(4−クロロフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびこれらのヒドロキシエチルエーテル、フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物例えばフェノールアルコール、フェノールアルデヒド樹脂および類似物のような多価フェノールのエポキシエーテル;N,N−ジグリシジルアニリンおよびN,N′−ジメチルジグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタンのようなS−含有およびN−含有エポキシド、ならびに不飽和アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和アルコールの一不飽和カルボン酸エステル、グリシジルエステル、ポリグリシジルエステル(不飽和酸のグリシジルエステルの重合または共重合によって、またはシアヌル酸、ジグリシジルサルファイド、環式トリメチレン、トリスルホンまたはその誘導体などのような他の酸化合物から得ることができる)から慣用の方法によって製造されているエポキシドである。
【0071】
使用できる好ましい多価フェノールは、レゾルシノールおよび、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトンなどのようなアルデヒドおよびケトンとのフェノールの縮合によって得られる様々なビスフェノールである。この種の樹脂は米国特許第2,855,159号および第2,589,245号に記載されている。
【0072】
本発明の組成物中で使用するために好ましいポリエポキシド樹脂は、ポリフェノールグリシジルエーテル、例えばエピクロロヒドリンと2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロパン(ビスフェノール−A)または、ビスフェノールF単独かもしくはビスフェノールAと混合した、ビスフェノールFをベースとするビスフェノールAの同族体である。エポキシ樹脂は160〜500のエポキシ当量を有する。
【0073】
本発明の組成物中で使用するためのポリエポキシド樹脂は、ポリマーで変性されたセメントを製造するためのセメントのようなハイドローリックバインダー(hydraulic binder)のための添加剤のように、マンニッヒ塩基ポリアミンによって付加されていない他のポリエポキシド樹脂(非限定的な例として上記に列挙したもの)とともに使用するのが有利であろう。
【0074】
本発明の組成物は他の透明なコーティング、ペイント、および/またはプライマーを直接つくるために他のポリエポキシド樹脂(マンニッヒ塩基ポリアミンによって付加物化されていないエポキシド)とともに使用してよく、あるいは顔料、充填剤、添加剤(発泡防止剤、消泡剤、および平坦化剤のような)、および/または1つ以上の共溶媒、そしてまた当業者に知られた他の任意の薬剤の添加によって処方することができる。これらの処方物はその粘度を調整しまたその施用を容易にするために水でさらに希釈することができる。
【0075】
本発明者は、粘着性のグリース様残留物を残すことなくまた、他の硬化剤では通常であるように洗剤(またはなんらかの界面活性剤)を必要とすることなく、系を施すために使用する装置が水中で極めて容易に清浄化されうることを驚くべきことに見いだした。
【0076】
本発明は、(a)フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンを反応させることによりN−マンニッヒ縮合物を製造し;(b)マンニッヒ塩基ポリアミンを製造し、ここで、マンニッヒ塩基ポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基を含むポリアミンと、フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンの反応から生成されるN−マンニッヒ縮合物との反応生成物であるものとし;但しこのN−マンニッヒ縮合物の第2級アミンは、ポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の1つによって置き換えられており、このポリアミンは第2級アミンより高い温度で沸騰し、そしてこのポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の少なくとも1つは第1級または第2級アミノ基であり;そして(c)このマンニッヒ塩基ポリアミンと1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂を反応させ、ここで、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂に対するマンニッヒ塩基ポリアミンの比が、水溶性ポリアミン付加物が、固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量(AHEW)を有するものとなるようにエポキシド基に対して過剰な活性アミン水素を含むものとする、水溶性組成物を製造する方法も提供する。本発明の方法では水溶性組成物は水でさらに希釈することができる。
【0077】
本発明のある態様では、水溶性組成物を製造する方法は、マンニッヒ塩基ポリアミンを有機溶媒で希釈して水との共沸混合物を生成させ、有機溶媒を共沸的に除去し、そしてポリアミン付加物溶液を固形物約10〜約90重量%に調整するのに十分な量の水を添加することをさらに包含する。
【0078】
また、本発明は1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキ
シド樹脂の、上記のように製造した水溶性組成物との反応生成物を含むコンクリート用のプライマーも提供し、この場合、プライマーは養生コンクリート上に施すのに適合している。本発明のある態様では、ポリエポキシド樹脂は、
(i)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールと、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹
脂との反応生成物;
(ii)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂
と、ポリアルコキシ鎖を含むポリアルコキシモノアミンとの反応生成物であって、ポリアルコキシモノアミンが以下の構造
【化7】

(式中、RはHまたはC1〜C12のアルキルであり、XはC24、C36またはC48
アルキル基であり、YはC24、C36またはC48のアルキル基であり、そしてnは約200〜約4000の分子量を有するポリアルコキシモノアミンを生成するのに十分な反復数である)
を有するもの;
(iii)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポ
リオールのポリグリシジルエーテル;および
(iv)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシル化ジフ
ェノールのジグリシジルエーテル誘導体
からなる群から選択される。
【0079】
好ましいポリエポキシド樹脂は(i)および(ii)からなる群から選択される。
【0080】
加えて本発明は、硬化化合物を使用することによりコンクリートを養生させてコンクリートが固まっている養生コンクリートをつくり、そして/あるいはプライマーを使用してコンクリートに下塗りして下塗りコンクリートをつくることからなるコンクリートの処理方法を提供し、この場合、硬化化合物またはプライマーの少なくとも1つは、本発明の水溶性組成物の、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物を含み、硬化可能である組成物からなる。好ましい態様では、硬化化合物およびプライマーの双方が、本発明の水溶性組成物の、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物を含む組成物からなる、硬化化合物は養生コンクリートに付着したままでありそして硬化化合物およびプライマーの双方として機能する。
【0081】
本発明は以下の実施例を参照しつつ一層詳細に説明されるであろうが、本発明はこれに限定されるとは見做されないことを理解すべきである。
【0082】
実施例1
マンニッヒ塩基ポリアミンの製造
ANCAMINE K−54(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノール)265g(1モル/DMA3当量)およびIPDA(5−アミノ1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメタンアミン)513g(アミン3モル)を一緒に混合しそして最高温度155℃まで加熱した。130℃で出発し、沸点がより低いアミンであるDMA(ジメチルアミン)を生成しそして水と酢酸との混合物が入った洗浄器内に収集した。上記の反応を5時間にわたって実施した。DMA90g(2モル)を収集した。回収した生成物は半固体であり、また545mgKOH/gのアミン価を有した。
【0083】
実施例2
ANCAMINE K−54 265g(1モル/DMA3当量)およびJEFFAMINE D−230(ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)(Huntsman Corp.から入手可能である))690g(3モル)を一緒に混合しそして最高温度157℃まで加熱した。反応を5時間にわたって実施した。DMAの発生を制御するために温度を段階的に上昇させた。水と酢酸との混合物が入った洗浄器内にDMAを収集した。DMA97.2
g(2.16モル)を収集した。回収した生成物は433mgKOH/gのアミン価と2
5℃での粘度2.1ポイズ(0.21Pa−秒)を有した。
【0084】
実施例3〜9
以下のアミンすべてについて実施例1および2におけるのと同じプロセスを用いた。関連するパラメータを下記の表1に示す。
【表1】

【0085】
説明:
ANCAMINE K−54は2,4,6,−トリス((ジメチルアミン)メチル)−フ
ェノール(Allentown PAのAir Products and Chemicals Inc.から入手可能である
)であり、
H6OTDは水素化されたo−トルエンジアミンであり、
JEFFAMINE D230は、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)−(ポリオキシプロピレンジアミン)であり、
DAPDPGはジアミノプロピルジプロピレングリコールであり、
ANCAMIN 1922Aは、1−プロパンアミン,3,3’(オキシビス(2,1−
エタンジイルオキシ))ビス−(Air Products and Chemicals Inc.から入手可能である)であり、
JEFFAMINE XTJ 511はポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル
)),アルファ,アルファ’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス(オメガ−(アミ
ノメチルエトキシ))(Huntsman Corp.から入手可能である)であり、
1,2−DACHは1,2−ジアミノシクロヘキサンであり、
DETAはジエチレントリアミンであり、そして
NAEPはN−アミノエチルピペラジンである。
【0086】
ポリエポキシド樹脂の製造
実施例10
樹脂1
撹拌機、熱電対および還流コンデンサーを装備した反応器に、ポリエチレングリコール1000(OH0.758当量)379gおよびエポキシ当量190(エポキシ2.58当量)を有するビスフェノールAジグリシジルエーテル490を装入した。エポキシ当量に対するOH当量の比は1対3.4であった。次いで、BF3−アミン触媒のAnchor 1040を3g添加した。生成物を均一化しつつ温度を上昇させた。次いで温度を170℃にした。エポキシ当量が約250から475〜500まで増加するまでこの温度で反応を維持した。次に生成物を冷却した。樹脂は以下の分析値を有した。
エポキシ当量 498
40℃での粘度 33ポイズ(3.3Pa−秒)
【0087】
実施例11
樹脂2
撹拌機、熱電対および還流コンデンサーを装備した2リットルの反応器に、JEFFAMINE XTJ−506(Huntsman Corp.から入手可能である)1100gをn−ブタノール550gとともに装入した。混合物を65℃まで加熱しそして適切に均一化した。次いで混合物を取り出した。
撹拌機、熱電対、還流コンデンサーおよび滴下漏斗を装備し、予め調製したJEFFAMINE混合物1500gが入ったた3リットルの反応器に、EPIKOTE 828(Resolutionから入手可能である)725gを装入した。エポキシ樹脂を85℃まで加熱し、そしてJEFFAMINE溶液を1時間にわたって85℃でゆっくり添加した。バッチを85℃で4時間さらに撹拌した。得られる生成物は以下の分析値を有した。
エポキシ当量 755(理論的なEEWは768)
25℃での粘度 4.1ポイズ(0.41Pa−秒)
固形物の百分率 77
この段階で溶媒を除去した。
【0088】
付加物化の段階(直接的方法)
実施例12
付加物A
実施例1に記載した生成物50gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例11におけるように調製した生成物41gを120分かけて添加した。添加は僅かに発熱性であり、また槽の最高温度は92℃を示した。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 313mgKOH/g
25℃での粘度 1400ポイズ(140Pa−秒)
n−ブタノール 10.3%
AHEW 140.4
【0089】
実施例13
付加物B
実施例2に記載した生成物60gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物24.4gを約90分かけて添加した。添加によって僅かな発
熱が起きた。温度を最高90℃まで上昇した。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 303.5mgKOH/g
25℃での粘度 93.6ポイズ(9.36Pa−秒)
固形物の百分率 100%
AHEW 138
生成物は20%およびそれ以下まで水に可溶であった。
【0090】
実施例14
付加物C
実施例3に記載した生成物50gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物33.0gを60分かけて添加した。添加に際して発熱を認め
ることができ、これによって最高98℃までの温度上昇が起きた。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 400mgKOH/g
粘度 生成物は固形物であった。
固形物の百分率 100%
AHEW 102.5
生成物は水中に極めて可溶性であることはなく、固形物20%でさえ不透明な希釈物になった。
【0091】
実施例15
付加物D
実施例4に記載した生成物60gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物22.9gを約90分かけて添加した。反応は発熱性であり、
また最高温度91℃を記録した。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 285mgKOH/g
40℃での粘度 448ポイズ(44.8Pa−秒)
固形物の百分率 100%
AHEW 145
生成物は20%およびそれ以下まで可溶であった。
【0092】
実施例16
付加物E
実施例5に記載した生成物80.3gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例10
におけるように調製した生成物34gを約40分かけて添加した。反応は発熱性であり、また最高温度100℃を記録した。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 308mgKOH/g
40℃での粘度 343.7ポイズ(3.43a−秒)
固形物の百分率 100%
AHEW 177.2
生成物は20%およびそれ以下まで可溶であった。
【0093】
実施例17
付加物F
実施例6に記載した生成物60gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物22.0gを約40分かけて添加した。反応は発熱性であり、
また最高温度100℃を記録した。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 313.5mgKOH/g
40℃での粘度 48.1ポイズ(4.81Pa−秒)
固形物の百分率 100%
AHEW 134.6
生成物は20%およびそれ以下まで可溶であった。
【0094】
実施例18
付加物G
実施例7に記載した生成物50gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例11におけるように調製した生成物55.7gを120分かけて添加した。反応は発熱性であり、
また最高温度89.8℃を記録した。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間
にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで生成物を冷却しそして取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 319mgKOH/g
25℃での粘度 231ポイズ(2.31Pa−秒)
固形物の百分率 100%
AHEW 120
生成物は20%およびそれ以下まで可溶であった。
【0095】
実施例19
付加物H1
実施例8に記載した生成物50gを装入しそして80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物32.2gを秤量し、そして添加を開始した。32.2gのうち25.8gが添加されおわるまでに、生成物が重合し、そして廃棄されねばならなかった
。生成物の全体にたいし、90分間にわたって添加を行った。発熱が認められ、最高温度は93.9℃であった。
【0096】
付加物化の段階(溶媒をベースとする方法)
実施例12〜18に示した直接的な付加物化方法が機能しない場合、以下の方法を用いた。溶媒をベースとする方法にかかる時間はより長いが、付加物化を実施することができる。直接的経路が実施可能でなく、また重合につながる場合、付加物化反応を容易にするために溶媒を使用した。
【0097】
実施例20
付加物H2
実施例8に記載の生成物250gを装入しそしてn−ブタノール300gと混合した。生成物を80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物161.2gを
120分かけて添加した。温度を80℃に保持するために発熱のほとんどを用いた。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで圧力を400mmHgに低下し、そして約n−ブタノール100gを除去した。温度は70℃まで低下した。その後、残存するn−ブタノールを共沸混合物として除去するために水をゆっくり添加した。全体で680gの水を添加して残存するn−ブタノール200gを除去した。溶媒をフラッシュするために水282gを使用しそして溶媒とともに除去した。これは、温度を低く保持し、従って、重合の可能性に対する安全性の余裕より良くするために減圧下で行った。水だけが出てくるとき、圧力を常圧に戻し、そして水9.6gの添加によって固形物の百分率を50%に調整した。生成物を取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 196mgKOH/g
25℃での粘度 118ポイズ(11.8Pa−秒)
固形物の百分率 50%
AHEW 324
生成物は20%およびそれ以下まで可溶であった。
【0098】
実施例21
付加物K
実施例9に記載の生成物339gを装入しそしてn−ブタノール300gと混合した。生成物を80℃まで加熱した。実施例10におけるように調製した生成物300.9gを
120分かけて添加した。温度を80℃に保持するために発熱のほとんどを用いた。添加の終了時に温度を100℃にあげそして1時間にわたって維持した。エポキシがすべて反応しおわるのを確実にするために後反応を実施した。次いで圧力を400mmHgまで低下させ、そしてn−ブタノール約100gを除去した。温度は90℃まで低下した。その後、残存するn−ブタノールを共沸混合物として除去するために水をゆっくり添加した。全体で900gの水を添加して残存するn−ブタノール200gを除去した。溶媒をフラッシュするために水512.9gを使用しそして溶媒とともに除去した。これは、温度を低く保持し、従って、重合の可能性に対する安全性の余裕をより良くするために160〜180mmHgの減圧下で行った。水だけが出てくるとき、圧力を常圧に戻し、そして水352gの添加によって固形物の百分率を50%に調整した(失った少量の水、22.4g、およびn−ブタノール中に残存するいくらかの水、26.7gを考慮に入れ)。生成物を取り出した。
分析の結果は以下の通りであった。
アミン価 319mgKOH/g
25℃での粘度 60ポイズ(6.0Pa−秒)
固形物の百分率 50%
AHEW 135
生成物は20%およびそれ以下まで可溶であった。
【0099】
実施例22
付加物LおよびM
付加物LおよびMは現存する製品の比較例である。Lは水担持性のエポキシ系のためのポリアミン付加物硬化剤、例えばEPILINK 660(Air Products and Chemicals Inc.から入手可能)である。Mは水担持性のエポキシ系のためのポリアミノアミド付加物硬化剤、例えばEPILINK 360(Air Products and Chemicals Inc.から入手可能)である。
【0100】
実施例23
コンクリートの安定性
下記の表2に示すように樹脂と硬化剤とを混合した。混合物を固形物10%まで希釈した(可能ならば)。セメント(ポルトランド)1gを希釈物50gに添加した。本例の目的は乳濁液が安定なままであって、凝結しない条件を見いだすためであった。
得られる生成物を湿潤時で6ミルに施した透明な薄いフィルムで試験した。結果を表3に集約した。
20℃および相対湿度65%で可使時間を測定した。10ミル平方のアプリケータを使用し、ガラス板を規則的な時間間隔でコートした。連続的なフィルムを施すことがもはやできない時を可使時間の終了とした。
ガラス板上に施したフィルムについてPersoz硬度を測定した。フィルムの厚さは湿潤時で約7ミルであった。この試験方法はISO 1522中に記載されている。24時間、3日、および7日の後にPersoz硬度を測定した。
ポータブルのGardner光沢計を使用して角度20°で光沢を測定した。結果は10回の
測定の平均であった。測定は板を黒いボール紙の上に置いて実施した。光沢は24時間、3日、および7日の後に測定した。これは、経時的な光沢の安定性を評価するために行った。
ER−8はビスフェノール−A/Fジグリシジルエーテル(60/40)の約20%のp−t−ブチルフェニルグリシジルエーテルとの混合物である。
【0101】
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
実施例24
グリーンコンクリートへの適用
底部プラスチックライナーを有する型枠内にコンクリートスラブを注入した。スラブを鋼製こて(表4)、ほうき仕上げ(表5)、または3日後の穏和なショットブラスト(表
5)によって仕上げた。型枠を外す前に24時間スラブを硬化させ、スラブの側面を固形物100%のマリン(marin)エポキシで密封し、そして24時間後に第2のコートを施
した。これは、スラブの側面から失われる水分を最小にするために行った。表4および5に規定するエポキシ処方物を施した。コンクリートスラブへの結合強度を規則的間隔で測定した。
第1の系列の試験では、鋼製こて仕上げを用いた。コンクリートは水/セメント比0.
45を有した。
使用したコンクリートは以下の処方を有した。
セメント 470ポンド(213kg)
フライアッシュ 100ポンド(45.4kg)
微細な骨材 1420ポンド(645.5kg)
粗い骨材 1850ポンド(840.9kg)
水 30.8ガロン(0.116m3
混合物 17.1オンス(0.48kg)
【0106】
この第1系列の試験では、コンクリートにプライマーを24時間後に施した。24時間後、下塗りされた部分の半分にエポキシトップコート(固形物100%)をハケ塗りした。24時間、7日、30日および90日後に結合引っ張り試験を三重に実施した。結合引き離し試験は、Canadian Standards Association A23.2−B,“Method of Test to
Determine Adhesion by Tensile Load.”に従って実施した。系が未だ柔らかくまたコアが採取できないので、12時間後に引っ張り試験を実施できなかった。特別な速乾性エポキシによって当て盤(dollies)を固着した。比較例としてAncamid 2489(低粘度で速乾性の脂肪族の硬化剤)をベースとする溶媒を含まない系を使用した。結果を下記の表4に示す。
【0107】
【表6】

【0108】
表4の結果は、プライマーがハケ塗りされた後24時間してトップコートを施して得た
結果を考慮すると、このような系が特別な利点をもたらすことを明瞭に示す。使用したトップコートは、環式脂肪族の硬化剤をベースとする100%灰色のエポキシ系(Air Products and Chemicals Inc.から入手可能なANCAMINE 1618)であった。コンクリートへの良好な接着を確実にするために、トップコートは、コンクリートスラブが打設された少なくとも4週間後に通常施される。
【0109】
ANCAMINE 2489を含む比較例では、基材が適切に湿潤されず、また強いはじきが認められた。反対に付加物EおよびFを含有する組成物は均質な表面を示した。
【0110】
第2の系列の試験では、スラブは、24時間後にコートされるほうき仕上げ、およびブラスト掛けの後でコートされる穏和なブラスト仕上げの両方によって仕上げられた。プライマーを施して24時間後に両方の仕上げを試験した。使用したコンクリートは水/セメント比0.60を有した。
使用したコンクリートは以下の処方を有した。
セメント 470ポンド(213kg)
微細な骨材 1450ポンド(658kg)
粗い骨材 1900ポンド(862kg)
水 34ガロン(0.1287m3
【0111】
第2の試験系列の目的は、付加物E中での生成物の挙動および特性に対するコンクリート仕上げの影響を例証することである。1つの仕上げを堅いほうきで行いまた他の仕上げは穏和なショットブラスト掛けであった。この仕上げは、表面から白華を除去しそしてより良くまた綿密な仕上げを施すために用いられる。第1の系列からの結果には大幅な食い違いがあるように思われる。従って、本発明者は、一層信頼できる結果を求めて測定毎に2つの当て盤をさらに加えた。結果を下記の表5に示す。
【0112】
【表7】

【0113】
結果は、本発明の組成物が下塗りされたコンクリートの結合強度を改善するであろうことを例証する。この改善は驚くべきことに早い段階で起きた。やはり予想外であったのは
、制御の価値をほとんど倍増するショットブラスト掛け処理の影響であった。
【0114】
本発明を詳細にまたその特定の実施例を参照しつつ述べたが、本発明の趣意および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正をこれに施すことができるのは当業者にとって明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂、および
(b)マンニッヒ塩基ポリアミン
の反応生成物である水溶性ポリアミン付加物を含む水溶性組成物であって、ここで、マンニッヒ塩基ポリアミンは、少なくとも2つのアミノ基を含むポリアミンと、フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンの反応から生成されるN−マンニッヒ縮合物との反応生成物であるものとし;但し、このN−マンニッヒ縮合物の第2級アミンは、ポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の1つによって置き換えられており、このポリアミンは第2級アミンより高い温度で沸騰し、そしてこのポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の少なくとも1つは第1級または第2級アミノ基であり;そして水溶性ポリアミン付加物が、固体含有物を基準として多くとも1000のアミン水素当量(AHEW)を有するように、アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂に対するマンニッヒ塩基ポリアミンの比率が、エポキシド基に対して過剰な活性アミン水素を含むものであって、
ポリアミンが、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−ビスアミノシクロヘキシルアミン、N−アミノエチルピペラジン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、1−プロパンアミン,3,3’−(オキシビス(2,1−エタンジイルオキシ))ビス(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール)、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)、トリエチレングリコールジアミン、およびポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))アルファ,アルファ’−(オキシ(ジ−2,1−エタンジイル))ビス(オメガ−(アミノメチルエトキシ))からなる群から選択される1つであり、さらに、
第2級アミンが、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンからなる群から選択される1つである上記の水溶性組成物。
【請求項2】
アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂が、
(i)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールと、1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物、
(ii)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂
と、ポリアルコキシ鎖を含むポリアルコキシモノアミンとの反応生成物であって、ポリアルコキシモノアミンが以下の構造
【化1】

(式中、RはHまたはC1〜C12のアルキルであり、XはC24、C36またはC48のアルキル基であり、YはC24、C36またはC48のアルキル基であり、そしてnは200〜4000の分子量を有するポリアルコキシモノアミンを生成するのに十分な反復数である)を有するもの、
(iii)少なくとも2つのOH基および1つのポリアルコキシ鎖を含むポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、および
(iv)1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシル化ジフェノールのジグリシジルエーテル誘導体
からなる群から選択される1つである請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項3】
(i)のポリエーテルポリオールが200〜4000の分子量を有する請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項4】
(i)のポリエーテルポリオールのポリアルコキシ鎖が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、およびポリテトラヒドロフランからなる群から選択される1つである請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項5】
(i)のポリエポキシド樹脂が、ビスフェノール−Aエポキシ樹脂およびビスフェノール−Fエポキシ樹脂の少なくとも1つである請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項6】
(i)のポリエポキシド樹脂に対するポリエーテルポリオールのモル比が、1/1.5〜1/10である請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項7】
(ii)のポリアルコキシモノアミンが800〜1200の分子量を有する請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項8】
(ii)のポリアルコキシモノアミンのポリアルコキシ鎖が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、およびポリテトラヒドロフランからなる群から選択される1つである請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項9】
(iii)のポリエーテルポリオールのポリアルコキシ鎖が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、およびポリテトラヒドロフランからなる群から選択される1つである請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項10】
(iii)のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルが、200〜4000の分子量を有する請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項11】
(iv)のアルコキシル化ジフェノールが構造
【化2】

(式中、Xはジフェノールから誘導されるアリーリデン基であり、RはC24、C36またはC48のアルキル基であり、そしてn+m=1〜20である)を有する請求項2に記載の水溶性組成物。
【請求項12】
アルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂を、エポキシ当量/アミン当量の比1/3〜1/12でマンニッヒ塩基ポリアミンと反応させる請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項13】
ポリアミンがアルコキシレート基をさらに含む請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項14】
N−マンニッヒ縮合物およびポリアミンを、活性部位/モルの比0.8〜2で反応させる請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項15】
N−マンニッヒ縮合物が2,4,6−トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールである請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項16】
AHEWが、固体含有物を基準にして多くとも350である請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項17】
水が有機共溶媒を含まないものとし、単一相を生成するように水溶性ポリアミン付加物
が、少なくとも20重量%の水によって20℃の温度で希釈される請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項18】
請求項1の水溶性組成物と1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂との反応生成物を含み、硬化可能である組成物。
【請求項19】
1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むポリエポキシド樹脂と水溶性組成物の反応生成物とを含むコンクリートのためのプライマーであって、この水溶性組成物が、
(a)フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンを反応させてN−マンニッヒ縮合物を生成し、
(b)マンニッヒ塩基ポリアミンを生成し、ここで、マンニッヒ塩基ポリアミンが、少なくとも2つのアミノ基を含むポリアミンと、フェノール化合物、アルデヒド、および第2級アミンの反応から生成されるN−マンニッヒ縮合物との反応生成物であるものとし;但しこのN−マンニッヒ縮合物の第2級アミンは、ポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の1つによって置き換えられており、このポリアミンが第2級アミンより高い温度で沸騰し、そしてこのポリアミンの少なくとも2つのアミノ基の少なくとも1つが第1級または第2級アミノ基であり、そして
(c)マンニッヒ塩基ポリアミンを1分子あたり平均少なくとも1.5個のエポキシド基を含むアルコキシ基で変性されたポリエポキシド樹脂と反応させてポリアミン付加物を生成する、
ことによって生成され、ここでこのプライマーは、固まっているコンクリートに施すのに適合しているものであって、
ポリアミンが、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−ビスアミノシクロヘキシルアミン、N−アミノエチルピペラジン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、1−プロパンアミン,3,3’−(オキシビス(2,1−エタンジイルオキシ))ビス(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール)、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)、トリエチレングリコールジアミン、およびポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))アルファ,アルファ’−(オキシ(ジ−2,1−エタンジイル))ビス(オメガ−(アミノメチルエトキシ))からなる群から選択される1つであり、さらに、
第2級アミンが、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンからなる群から選択される1つである上記のプライマー。
【請求項20】
コンクリートが固まっている養生コンクリートを得るための硬化化合物を使用してコンクリートを養生させ、そして/または
下塗りされたコンクリートを得るためのプライマーを使用してコンクリートを下塗りすることからなり、硬化化合物またはプライマーの少なくとも1つが請求項18に記載の組成物を含有する、コンクリートを処理する方法。

【公開番号】特開2007−182582(P2007−182582A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40127(P2007−40127)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【分割の表示】特願2004−58335(P2004−58335)の分割
【原出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】