説明

グリーンハウス用筋交い構造

【課題】枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体に適宜X字状に配設される筋交い構造であって、筋交いの長さを容易に調節でき、しかも安価で施工が容易なグリーンハウス用筋交い構造を提供する。
【解決手段】グリーンハウス用筋交い構造を、
長方形状の枠体を構成する金属製パイプの枠体の各角部近傍において、金属製パイプにそれぞれ外嵌させて固定される単クランプ1の側面又は金属製パイプの外面にそれぞれ溶接されたガセットプレート2と、加圧加工されて扁平化された一端部3a,4aが枠体の略対角線上で対向する該ガセットプレート2に固定される径の異なる金属製パイプ部材3,4と、径の小さい金属製パイプ部材3の他端部が径の大きな金属製パイプ部材4の他端部内に挿入された状態で径の大きな金属製パイプ部材4の外側面から螺入されるパイプ連結用のタッピンねじ5とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体に適宜X字状に配設される筋交い構造であって、筋交いの長さを容易に調節でき、しかも安価で施工が容易なグリーンハウス用筋交い構造を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
枠組みが金属製パイプから構成されているグリーンハウスでは、強風や地震による倒壊を防ぐため、妻面や側面に筋交いが配設される。このような金属製パイプから成る枠組みに、金属製部材から成る筋交いを配設するには、金属製部材の端部に連結用の加工を施して連結する場合が多い。そして金属製部材から成る筋交いは木製の筋交いのように現場で加工することが難しく、特に端部が既に加工されている場合には、再加工することが困難なため容易に長さを調節をすることができず、配設の際には長さの異なる金属製部材を多数用意しなければならないので、非常に効率が悪いという問題がある。
【0003】
長さ調節の問題に対しては、筋交いの一部にターンバックルを使用することがしばしば行われている。ターンバックルを使用する場合には、先ず2本の金属製部材の端部にそれぞれ右ねじと左ねじとを螺設しておいてそのねじ部をそれぞれターンバックルに螺入しておき、2本の金属製部材を回転しないように保持した状態でターンバックルを回転させて2本の金属製部材の端部間の長さを調節した後に各金属製部材の端部を枠体の角部に固定するのである。しかしながら、ターンバックルは高価な上に、ターンバックルに連結するために金属製部材の端部にそれぞれ右ねじと左ねじとを螺設しなければならないので、グリーンハウスを安価に構成させることが難しいという問題がある。
【0004】
またターンバックルを使用しないで長さ調節ができる筋交いとしては、径の小さな鋼管を径の大きな鋼管に挿入して長さを調節し、その挿入部分を専用の圧縮器で均等に締め付けて固定する筋交いがある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような筋交いの場合、締め付けが十分でないと簡単に外れ、反対に十分な締め付けがなされている場合には、取り外しが困難となり、再度の位置調節ができなくなるという問題がある。また施工現場で専用の工具がこの作業のみに必要となる不便さもある。
【0005】
また異径のパイプを使用して再度の位置調節ができる筋交いとしては、予め所定間隔毎に差し込み穴が設けられた異径の鉄パイプを使用して、径の小さな鉄パイプを径の大きな鉄パイプに挿入して、その差し込み穴に固定ボルトを差し込み、この固定ボルトとナットとで固定する筋交いがある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この筋交いでは、径の小さな鉄パイプの差し込み穴と径の大きな鉄パイプの差し込み穴との位置を合わせて固定ボルトを差し込んで固定しなければならないので、任意の位置で固定することができず、また筋交いとなる鉄パイプの外側面に固定ボルトの頭やナットが大きく突出した状態となるため、グリーンハウスで使用する場合、外側の合成樹脂フィルム等に引っ掛かるなどの問題が生じるのである。更に小径のパイプに一対のボルト用の穴を複数ヶ所あけることは、筋交いに欠陥部を作り耐力を下げることにほかならない。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3048693号公報
【特許文献2】特開平10−159178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の問題に鑑み、枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体に適宜X字状に配設される筋交い構造であって、筋交いの長さを容易に調節でき、しかも安価で施工が容易なグリーンハウス用筋交い構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、グリーンハウス用筋交い構造を、長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプの枠体の各角部近傍において、金属製パイプにそれぞれ外嵌させて固定される単クランプの側面又は金属製パイプの外面にそれぞれ溶接されているガセットプレートと、加圧加工されて扁平化されボルト穴が穿設されている一端部が枠体の略対角線上で対向する該ガセットプレートにそれぞれボルト・ナットにより固定される径の異なる金属製パイプ部材と、径の小さい金属製パイプ部材の他端部が径の大きな金属製パイプ部材の他端部内に挿入された状態で径の大きな金属製パイプ部材の外側面から径の小さな金属製パイプ部材に螺入されその先端が径の大きな金属製パイプ部材の反対側の外側面まで達しない長さを有するパイプ連結用のタッピンねじとから構成させれば、枠体の対角線上に径の異なる金属製パイプ部材を配置し、径の小さい金属製パイプ部材の端部を径の大きな金属製パイプ部材の端部内に挿入することで、容易に長さ調節ができ、更に、この挿入された部分に径の大きな金属製パイプ部材の外側面からパイプ連結用のタッピンねじを螺入するだけで両金属製パイプ部材を容易に固定でき、またタッピンねじは螺入や取り外しが簡易であるので、再度の位置調整や解体が容易にでき、更にタッピンねじの先端が径の大きな金属製パイプ部材の反対側の外側面まで達しないので、グリーンハウスに展張された合成樹脂フィルム等に筋交いから突出したタッピンねじの先端が引っ掛かって破れたりすることがないことを究明して本発明を完成したのである。
【0009】
即ち本発明は、枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体に適宜X字状に配設される筋交い構造であって、
長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプの枠体の各角部近傍において、金属製パイプにそれぞれ外嵌させて固定される単クランプの側面又は金属製パイプの外面にそれぞれ溶接されているガセットプレートと、加圧加工されて扁平化されボルト穴が穿設されている一端部が枠体の略対角線上で対向する該ガセットプレートにそれぞれボルト・ナットにより固定される径の異なる金属製パイプ部材と、径の小さい金属製パイプ部材の他端部が径の大きな金属製パイプ部材の他端部内に挿入された状態で径の大きな金属製パイプ部材の外側面から径の小さな金属製パイプ部材に螺入されその先端が径の大きな金属製パイプ部材の反対側の外側面まで達しない長さを有するパイプ連結用のタッピンねじとから構成されていることを特徴とするグリーンハウス用筋交い構造である。
【0010】
そして、各金属製パイプ部材の一端部の長手方向の外側中心線が、各金属製パイプ部材の外側面の長手方向延長線と一致していれば、金属製パイプ部材の一端部がその本体部の外側面側に偏って形成されているので、枠体の略対角線上で対向する2組のガセットプレートの厚さ方向中心を含む平面に対して一方の筋交いを構成する金属製パイプ部材の一端部をガセットプレートのグリーンハウス内部側に、また他方の筋交いを構成する金属製パイプ部材の一端部をガセットプレートのグリーンハウス外部側に固定すれば、容易に2本の筋交いが交差部で干渉しないようにすることができて好ましく、
また枠体の略対角線上で対向するガセットプレートの組の1組が枠体のグリーンハウス内部側に位置する面上にまた他方の組が枠体のグリーンハウス外部側に位置する面上に位置するように、それぞれ金属製パイプに溶接されているか、又は各単クランプが金属製パイプに固定されている場合においては、ガセットプレートに固定される各金属製パイプ部材が、その一端部を各金属製パイプ部材の中心線の長手方向延長線を含む平面に対して対称形を成している金属製パイプ部材であったり、その一端部の長手方向の外側中心線が各金属製パイプ部材の外側面の長手方向延長線と一致している金属製パイプ部材であれば、枠体の略対角線上で対向するガセットプレートの組の1組と他方の組との間に大きな間隔があるので、2本の筋交いが交差部で干渉しないようにすることが容易にできて好ましく、
またパイプ連結用のタッピンねじが径の大きな金属製パイプ部材の直径より僅かに短い長さのタッピンねじであれば、タッピンねじが最初に螺入された側だけでなく、その反対側においても径の異なる金属製パイプ部材を連結することが可能となり、径の異なる金属製パイプ部材同士をより確実に連結できて好ましいことも究明したのである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造は、枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体に適宜X字状に配設される筋交い構造であって、長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプの枠体の各角部近傍において、金属製パイプにそれぞれ外嵌させて固定される単クランプの側面又は金属製パイプの外面にそれぞれ溶接されているガセットプレートと、加圧加工されて扁平化されボルト穴が穿設されている一端部が枠体の略対角線上で対向する該ガセットプレートにそれぞれボルト・ナットにより固定される径の異なる金属製パイプ部材と、径の小さい金属製パイプ部材の他端部が径の大きな金属製パイプ部材の他端部内に挿入された状態で径の大きな金属製パイプ部材の外側面から径の小さな金属製パイプ部材に螺入されその先端が径の大きな金属製パイプ部材の反対側の外側面まで達しない長さを有するパイプ連結用のタッピンねじとから構成されているから、高価なターンバックルを使用しない上に、一般的な単クランプにガセットプレートを溶接しただけの取付金具や、一端部をプレス等によって加圧加工しただけの金属製パイプ部材を使用するだけであるから、非常に安価にグリーンハウスを構成させることができ、また枠体の対角線上に径の異なる金属製パイプ部材を配置し、径の小さい金属製パイプ部材の端部を径の大きな金属製パイプ部材の端部内に挿入することで容易に長さ調節ができ、この挿入された部分に径の大きな金属製パイプ部材の外側面からパイプ連結用のタッピンねじを螺入するだけで両金属製パイプ部材を容易に固定でき、またタッピンねじは螺入や取り外しが容易であるので、再度の位置調整や解体が容易にでき、更にタッピンねじの先端が径の大きな金属製パイプ部材の反対側の外側面まで達しないので、グリーンハウスに展張された合成樹脂フィルム等が筋交いから突出したタッピンねじの先端が引っ掛かって破れたりすることがなく、また筋交いとなる金属製パイプ部材はボルト・ナットやタッピンねじだけで固定するだけであるから容易に施工することができるのである。
【0012】
また、各金属製パイプ部材の一端部の長手方向の外側中心線が、各金属製パイプ部材の外側面の長手方向延長線と一致している場合には、金属製パイプ部材の一端部がその本体部の外側面側に偏って形成されているので、枠体の略対角線上で対向する2組のガセットプレートの厚さ方向中心を含む平面に対して一方の筋交いを構成する金属製パイプ部材の一端部をガセットプレートのグリーンハウス内部側に、また他方の筋交いを構成する金属製パイプ部材の一端部をガセットプレートのグリーンハウス外部側に固定すれば、容易に2本の筋交いが交差部で干渉しないようにすることができ、
また枠体の略対角線上で対向するガセットプレートの組の1組が枠体のグリーンハウス内部側に位置する面上にまた他方の組が枠体のグリーンハウス外部側に位置する面上に位置するように、それぞれ金属製パイプに溶接されているか、又は各単クランプが金属製パイプに固定されている場合においては、ガセットプレートに固定される各金属製パイプ部材が、その一端部を各金属製パイプ部材の中心線の長手方向延長線を含む平面に対して対称形を成している金属製パイプ部材であったり、その一端部の長手方向の外側中心線が各金属製パイプ部材の外側面の長手方向延長線と一致している金属製パイプ部材である場合には、枠体の略対角線上で対向するガセットプレートの組の1組と他方の組との間に大きな間隔があるので、2本の筋交いが交差部で干渉しないようにすることが容易にでき、
またパイプ連結用のタッピンねじが径の大きな金属製パイプ部材の直径より僅かに短い長さのタッピンねじであれば、タッピンねじが最初に螺入された側だけでなく、その反対側においても径の異なる金属製パイプ部材を連結することが可能となり、径の異なる金属製パイプ部材同士をより確実に連結できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造について詳細に説明する。
図1は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の1実施例を示す正面図、図2は図1の下方側の状態を示す拡大正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の他の実施例の下方側の状態を示す拡大正面図、図5は図4のB−B線断面図、図6は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造におけるガセットプレートと単クランプとの1実施例を示す斜視図、図7は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における金属製パイプ部材の1実施例を示す正面図、図8は図7の金属製パイプ部材の左側面図、図9は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における金属製パイプ部材の他の実施例の左側面図、図10は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における両金属製パイプ部材がタッピンねじで固定された状態の1実施例を示す断面説明図、図11は本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における両金属製パイプ部材がタッピンねじで固定された状態の他の実施例を示す断面説明図、図12は単クランプを使用しない本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の更に他の実施例の下方側の状態を示す拡大正面図、図13は図12のC−C線断面図、図14は単クランプを使用しない本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の更に他の実施例の下方側の状態を示す拡大正面図、図15は図14のD−D線断面図である。
【0014】
図面中、1は枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプの枠体の各角部近傍に後述するガセットプレート2を配備するために金属製パイプにそれぞれ外嵌させて固定される単クランプである。この単クランプ1は、長方形状の枠体の角部に取り付けられる直交クランプのように2本の金属製パイプに外嵌させて固定されるクランプではなく、一本の金属製パイプのみに外嵌させて固定されるクランプであり、一般的に市販されているものを流用すればよい。なお、長方形状の枠体の各角部には直交クランプが配備されているため、この単クランプ1はその角部近傍に取り付けられる。その際、単クランプ1は上下の金属製パイプ又は左右の金属製パイプのどちらに固定してもよい。
【0015】
2は後述する筋交い本体を構成する金属製パイプ部材3,4の加圧加工されて扁平化された一端部3a,4aがボルト・ナットで取り付けられるようにグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体の各角部近傍に配備されるガセットプレートである。このガセットプレート2は、図5に示す如く単クランプ1の側面に溶接されている場合と、図13に示す如く金属製パイプの側方に溶接されている場合と、図15に示す如く金属製パイプの上端部又は下端部に溶接されている場合とがある。更にこのガセットプレート2には後述する径の異なる金属製パイプ部材3,4の一端部3a,4aがボルト・ナットで取り付けられるので、ボルト穴が形成されている。
【0016】
3は径の小さい金属製パイプ部材であり、4は径の大きな金属製パイプ部材であって、本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における筋交い本体を構成するものであり、それぞれ加圧加工されて扁平化されボルト穴3aa,4aaが穿設されている一端部3a,4aが、枠体の略対角線上で対向するガセットプレート2,2にそれぞれボルト・ナットにより固定される。また、径の小さい金属製パイプ部材3の他端部3bが径の大きな金属製パイプ部材4の他端部4b内に挿入された状態で後述するパイプ連結用のタッピンねじ5で連結される。
【0017】
この各金属製パイプ部材3,4の一端部3a,4aが、図9の如く、各金属製パイプ部材3,4の一端部3a,4aの長手方向の外側中心線が、各金属製パイプ部材3,4の外側面の長手方向延長線と一致している場合には、金属製パイプ部材3,4の一端部3a,4aがその本体部の外側面側に偏って形成されているので、金属製パイプ部材3,4の一端部3a,4aをガセットプレート2に固定する際に、例えば、図4及び図5に示す如く、実線で示した一方の筋交いの本体部を枠体のグリーンハウス内部側(図4紙面奥側)に向けて位置させ、一点鎖線で示した他方の筋交いの本体部をグリーンハウスの外部側に向けて枠体内に位置するように配設すれば両者が本体部の中央において干渉することがない。なお図4及び図5の態様の場合は、グリーンハウスの外部側(図4紙面手前側)には筋交いが存在しないので、グリーンハウスの外面に展張された合成樹脂フィルム等が筋交いに当接して破れたりすることがない。
【0018】
また、枠体の略対角線上で対向するガセットプレート2,2の組の1組が枠体のグリーンハウス内部側に位置する面上にまた他方の組が枠体のグリーンハウス外部側に位置する面上に位置するように、それぞれ金属製パイプに溶接されているか、又は各単クランプ1が金属製パイプに固定されている場合においては、ガセットプレート2に固定される各金属製パイプ部材3,4が、その一端部3a,4aを各金属製パイプ部材3,4の中心線の長手方向延長線を含む平面に対して対称形を成している金属製パイプ部材3,4であっても、その一端部3a,4aの長手方向の外側中心線が各金属製パイプ部材3,4の外側面の長手方向延長線と一致している金属製パイプ部材3,4であっても、枠体の略対角線上で対向するガセットプレート2,2の組の1組と他方の組との間に大きな間隔があるので、2本の筋交いが本体部の中央において干渉しないようにすることが容易にできる。なお図8の如く、ガセットプレート2に固定される各金属製パイプ部材3,4がその一端部3a,4aを各金属製パイプ部材3,4の中心線の長手方向延長線を含む平面に対して対称形を成している金属製パイプ部材3,4である場合には、筋交いに大きな力が作用した場合に、各金属製パイプ部材3,4に偏心荷重が加わることがないので、高い強度を発揮することができる。
【0019】
5は径の小さい金属製パイプ部材3の他端部3bが径の大きな金属製パイプ部材4の他端部4b内に挿入された状態で径の大きな金属製パイプ部材4の外側面から径の小さな金属製パイプ部材3に螺入されその先端が径の大きな金属製パイプ部材4の反対側の外側面まで達しない長さを有するパイプ連結用のタッピンねじである。
このタッピンねじ5は、図10及び11の如く、径の大きな金属製パイプ部材4の対向する外側面に交互に螺入することで、径の小さい金属製パイプ部材3と径の大きな金属製パイプ部材4とをより確実に連結することができる。
また、図11の如く、パイプ連結用のタッピンねじ5が径の大きな金属製パイプ部材4の直径より僅かに短い長さのタッピンねじである場合には、タッピンねじ5が始めに螺入された側だけでなく、その反対側においても径の異なる金属製パイプ部材3,4を連結することが可能となり、径の異なる金属製パイプ部材3,4同士をより確実に連結できて好ましい。
【0020】
このような本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造を実際に施工するには、以下のような手順で行う。
先ず、単クランプ1を使用する態様の場合には、図6のような側面にガセットプレート2が溶接された単クランプ1を準備する。この単クランプ1は、一般的に市販されているものにガセットプレート2を溶接したものでよい。
そして、この単クランプ1を長方形状の枠体内の4つの各角部近傍にそれぞれ外嵌させて固定する。その際、筋交いをどのように配設するかによって、単クランプ1の固定方向は以下の2種類の方向に分けられる。
【0021】
筋交いを配設する方法として一つは、先ず図2の如く、グリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプにガセットプレート2がグリーンハウスの内部側(紙面奥側)の面に位置するように単クランプ1を固定して、このガセットプレート2に実線で示した一方の筋交いをボルト・ナットで固定し、またグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプにガセットプレート2がグリーンハウスの外部側(紙面手前側)の面に位置するように単クランプ1を固定して、このガセットプレート2に一点鎖線で示した他方の筋交いをボルト・ナットで固定し、図3の側面図の如く、2つの筋交いの間に十分な間隔を設けて交差部の干渉を防ぐように配設する方法がある。
なお、このようにガセットプレート2が異なる方向に位置するように単クランプ1を固定する場合には、長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプに単クランプ1の向きを変えて固定するだけでよいので、同一の側面にガセットプレート2が溶接された同一形状の単クランプ1を4つ使用することで容易に配設できるので、安価にグリーンハウスを構成させることができるのである。
【0022】
また別の配設方法としては、図4の如く、全てのガセットプレート2がグリーンハウスの内部側(紙面奥側)に位置するように単クランプ1を固定し、図5の如く、一方の実線で示した筋交いをグリーンハウスの内部側の面に、他方の一点鎖線で示した筋交いを枠体内に位置するように配設して、2つの筋交いの間に、ガセットプレート2の厚さの僅かな隙間を設けて交差部の干渉を防ぐように配設方法がある。
このように配設する場合には、各ガセットプレート2や筋交いがグリーンハウスの外部側に位置しないので、グリーンハウスの外面に展張された合成樹脂フィルム等が破損する等の問題が起こり難いのである。また、このように配設する場合も、同一形状の単クランプ1を4つ使用することで容易に配設できるので、安価にグリーンハウスを構成させることができるのである。
【0023】
更にこのようにして固定された単クランプ1に対して、実際に径の異なる金属製パイプ部材3,4を固定するには、径の小さい金属製パイプ部材3の他端部3bを径の大きな金属製パイプ部材4の他端部4b内に挿入した状態で、枠体の略対角線上で対向するガセットプレート2,2に各金属製パイプ部材3,4の一端部3a,4aのボルト穴3aa,4aaに挿通したボルトをナットで固定すればよい。
【0024】
そして、このように径の小さい金属製パイプ部材3の他端部3bが径の大きな金属製パイプ部材4の他端部4b内に挿入された状態で、径の大きな金属製パイプ部材4の外側面からパイプ連結用のタッピンねじ5を螺入すれば、径の異なる金属製パイプ部材3,4を容易に連結できる。その際、タッピンねじ5は、図10及び図11の如く、径の大きな金属製パイプ部材4の対向する外側面に交互に螺入することで、より確実に径の異なる金属製パイプ部材3,4を連結することができるのである。
【0025】
またこのように本発明では径の小さい金属製パイプ部材3の他端部3bを径の大きな金属製パイプ部材4の他端部4b内に挿入しなければならないので、径の小さい金属製パイプ部材3の長さと径の大きな金属製パイプ部材4の長さとの和は、各枠体の対角線の長さを超える長さである必要がある。
そして径の小さい金属製パイプ部材3の長さと径の大きな金属製パイプ部材4の長さの和が、各枠体の対角線の長さを十分に超える長さであれば、径の小さい金属製パイプ部材3の他端部3bが径の大きな金属製パイプ部材4の他端部4b内に挿入された際に、その重なり合う部分が長くなるので、図1の如く筋交いの中央の交差部からずれた位置でタッピンねじ5を螺入させることができるので作業がし易く、また径の異なる金属製パイプ部材3,4の連結後に再度位置調節する場合にも、重なり合う部分が長いので新たにタッピンねじ5を螺入させる余地があり作業がし易いのである。
また径の異なる金属製パイプ部材3,4の長さの和が、必ずしも各枠体の対角線の長さを十分に超える長さでない場合でも、径の異なる金属製パイプ部材3,4のうち、一方が長く他方が短ければ、両者の重なり合う部分は筋交いの中央の交差部からずれた位置となるので、タッピンねじ5で連結する作業がし易いのである。
【0026】
次に、単クランプ1を使用しないで、ガセットプレート2を金属製パイプの外面に直接溶接する態様の場合には、現場でガセットプレート2を溶接するのではなく、予めガセットプレート2を溶接した金属製パイプを準備し、このガセットプレート2が予め溶接された金属製パイプを配してグリーンハウスを組み立て、その後、金属製パイプ部材3,4を順次各ガセットプレート2に固定すればよい。
【0027】
またこの態様では、ガセットプレート2は図13の如く金属製パイプの側方に溶接されていたり、図15の如く金属製パイプの上端部又は下端部に溶接されている場合がある。
ガセットプレート2が金属製パイプの側方に溶接されている場合には、例えば、図12及び図13の如く、グリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプをガセットプレート2がグリーンハウスの内部側(紙面奥側)の面に位置するように配設して、このガセットプレート2に実線で示した一方の筋交いをボルト・ナットで固定し、またグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプをガセットプレート2がグリーンハウスの外部側(紙面手前側)の面に位置するように配設して、このガセットプレート2に一点鎖線で示した他方の筋交いをボルト・ナットで固定し、図13の側面図の如く、2つの筋交いの間に十分な間隔を設けて交差部の干渉を防ぐように配設すればよい。
【0028】
また別の配設方法としては、図示しないが、グリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプを全てのガセットプレート2がグリーンハウスの内部側(紙面奥側)に位置するように配設し、一端部3a,4aの長手方向の外側中心線が各金属製パイプ部材3,4の外側面の長手方向延長線と一致している各金属製パイプ部材3,4を使用して、一方の筋交いをガセットプレート2のグリーンハウスの内部側の面に、他方の筋交いをガセットプレート2のグリーンハウスの外部側に向けて枠体内に位置するように配設すれば、2つの筋交いの間に、ガセットプレート2の厚さの僅かな隙間を設けて交差部の干渉を防ぐように配設することもできる。
【0029】
また、図15の如くガセットプレート2が金属製パイプの上端部又は下端部に溶接されている場合には、側方から見て各ガセットプレート2が略同一平面上に並んだような状態となるので、この態様の場合も、図15のように一端部3a,4aの長手方向の外側中心線が各金属製パイプ部材3,4の外側面の長手方向延長線と一致している各金属製パイプ部材3,4を使用すれば、前述のようにガセットプレート2の厚さの僅かな隙間を設けて交差部の干渉を防ぐように配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の1実施例を示す正面図である。
【図2】図1の下方側の状態を示す拡大正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の他の実施例の下方側の状態を示す拡大正面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造におけるガセットプレートと単クランプとの1実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における金属製パイプ部材の1実施例を示す正面図である。
【図8】図7の金属製パイプ部材の一端部を示す側面図である。
【図9】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における金属製パイプ部材の他の実施例の左側面図である。
【図10】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における両金属製パイプ部材がタッピンねじで固定された状態の1実施例を示す断面説明図である。
【図11】本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造における両金属製パイプ部材がタッピンねじで固定された状態の他の実施例を示す断面説明図である。
【図12】単クランプを使用しない本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の更に他の実施例の下方側の状態を示す拡大正面図である。
【図13】図12のC−C線断面図である。
【図14】単クランプを使用しない本発明に係るグリーンハウス用筋交い構造の更に他の実施例の下方側の状態を示す拡大正面図である。
【図15】図14のD−D線断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 単クランプ
2 ガセットプレート
3 径の小さい金属製パイプ部材
3a 一端部
3aa ボルト穴
3b 他端部
4 径の大きな金属製パイプ部材
4a 一端部
4aa ボルト穴
4b 他端部
5 パイプ連結用のタッピンねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組みが金属製パイプで構成されているグリーンハウスの妻面や側面に形成される長方形状の枠体に適宜X字状に配設される筋交い構造であって、
長方形状の枠体を構成する上下又は左右の金属製パイプの枠体の各角部近傍において、金属製パイプにそれぞれ外嵌させて固定される単クランプ(1)の側面又は金属製パイプの外面にそれぞれ溶接されているガセットプレート(2)と、加圧加工されて扁平化されボルト穴(3aa,4aa)が穿設されている一端部(3a,4a)が枠体の略対角線上で対向する該ガセットプレート(2,2)にそれぞれボルト・ナットにより固定される径の異なる金属製パイプ部材(3,4)と、径の小さい金属製パイプ部材(3)の他端部(3b)が径の大きな金属製パイプ部材(4)の他端部(4b)内に挿入された状態で径の大きな金属製パイプ部材(4)の外側面から径の小さな金属製パイプ部材(3)に螺入されその先端が径の大きな金属製パイプ部材(4)の反対側の外側面まで達しない長さを有するパイプ連結用のタッピンねじ(5)とから構成されていることを特徴とするグリーンハウス用筋交い構造。
【請求項2】
各金属製パイプ部材(3,4)の一端部(3a,4a)の長手方向の外側中心線が、各金属製パイプ部材(3,4)の外側面の長手方向延長線と一致している請求項1に記載のグリーンハウス用筋交い構造。
【請求項3】
枠体の略対角線上で対向するガセットプレート(2,2)の組の1組が枠体のグリーンハウス内部側に位置する面上にまた他方の組が枠体のグリーンハウス外部側に位置する面上に位置するように、それぞれ金属製パイプに溶接されているか、又は各単クランプ(1)が金属製パイプに固定されている場合において、該ガセットプレート(2)に固定される各金属製パイプ部材(3,4)がその一端部(3a,4a)を各金属製パイプ部材(3,4)の中心線の長手方向延長線を含む平面に対して対称形を成している金属製パイプ部材(3,4)である請求項1に記載のグリーンハウス用筋交い構造。
【請求項4】
枠体の略対角線上で対向するガセットプレート(2,2)の組の1組が枠体のグリーンハウス内部側に位置する面上にまた他方の組が枠体のグリーンハウス外部側に位置する面上に位置するように、それぞれ金属製パイプに溶接されているか、又は各単クランプ(1)が金属製パイプに固定されている場合において、該ガセットプレート(2)に固定される各金属製パイプ部材(3,4)が、その一端部(3a,4a)の長手方向の外側中心線が各金属製パイプ部材(3,4)の外側面の長手方向延長線と一致している金属製パイプ部材(3,4)である請求項1に記載のグリーンハウス用筋交い構造。
【請求項5】
パイプ連結用のタッピンねじ(5)が径の大きな金属製パイプ部材(4)の直径より僅かに短い長さのタッピンねじである請求項1から4のいずれか1項に記載のグリーンハウス用筋交い構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−295331(P2008−295331A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143341(P2007−143341)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(397072695)平林物産株式会社 (9)
【Fターム(参考)】