説明

グルカゴンアンタゴニスト

グルカゴン受容体アンタゴニストまたは逆アゴニスト活性を有する、そのエナンチオマー的に純粋な形態を含めた化合物、およびその医薬上許容される塩または共−結晶およびプロドラッグがここに提供される。さらに、それを含む医薬組成物、ならびにIおよびII型糖尿病、インスリン抵抗性および高血糖症を含めた、1以上のグルカゴン受容体アンタゴニストが示される病気または疾患を治療し、予防し、その開始の時を遅延させ、またはその発生または進行についての危険性を低下させる方法がここに提供される。さらに、そのエナンチオマー的に純粋な形態、およびその医薬上許容される塩または共−結晶およびプロドラッグを含めた、ここに開示される化合物を作成し、または製造する方法がここに提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容をここに引用してその全体を援用する、2008年8月13日に出願された米国仮出願第61/088,697号(代理人書類MTI.078)の出願日の利益を主張する。
【0002】
分野
グルカゴン受容体のアンタゴニストが提供される。特に、糖調節またはグルカゴン受容体−媒介の病気もしくは障害の1以上の兆候、原因、または効果の治療、予防、または緩和で用いられる化合物および組成物が提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
グルカゴンは、低血糖症に応答して、膵臓α細胞から門脈血液供給に分泌される29−アミノ酸の膵臓ホルモンである。それは、インスリンに対する逆調節ホルモンとして作用する。グルカゴンの生理学的効果のほとんどは、肝臓におけるグルカゴン受容体とのその相互作用、続いての、細胞内cAMPレベルを増加させるためのアデニル酸シクラーゼの活性化によって媒介される。結果は、これらの代謝プロセスを阻害するインスリンの能力を減衰させつつの、グリコーゲン分解および糖新生の増加である(Johnson et al., J. Biol. Chem. 1972, 247, 3229-3235)。それ自体、肝臓グルコースの合成およびグリコーゲンの代謝の全速度は、インスリンおよびグルカゴンの全身比率によって制御される(Roden et al., J. Clin. Invest. 1996, 97, 642-648; Brand et al., Diabetologia 1994, 37, 985-993)。
【0004】
糖尿病は、血漿中グルコースの上昇したレベルによって特徴付けられる病気である。制御されていない高血糖症は、腎症、網膜症、高血圧、発作、および心臓病を含めた、微小血管および大血管病に対する増大した危険に関連付けられている。健康な動物において、ならびにIおよびII型の糖尿病の動物モデルにおいて、選択的かつ特異的抗体での循環グルカゴンの除去の結果、血糖レベルの低下がもたらされることが示されている(Brand et al., Diabetologia 1994, 37, 985-993; Brand et al., Diabetes 1994, 43(Suppl. 1), 172A)。従って、糖尿病、および損なわれた血糖症に関連する他の病気についての潜在的治療の1つは、グルカゴン受容体をグルカゴン受容体アンタゴニストでブロックして、インスリン応答性を改良し、糖新生の速度を減少させ、および/または患者において肝臓グルコース出力の速度を低下させることにより血漿中グルコースレベルを降下させることである。
【0005】
グルカゴンアンタゴニストは、例えば、UA20040014789、UA20040152750A1、WO04002480A1、US06881746B2、WO03053938A1、UA20030212119、UA20030236292、WO03048109A1、WO03048109A1、WO00069810A1、WO02040444A1、US06875760B2、UA20070015757A、WO04050039A2、UA20060116366A1、WO04069158A2、WO05121097A2、WO05121097A2、WO07015999A2、UA20070203186A1、UA20080108620A1、UA20060084681A1、WO04100875A2、WO05065680A1、UA20070105930A1、US07301036B2、UA20080085926A1、WO08042223A1、WO07047177A1、UA20070088071A1、WO07111864A2、WO06102067A1、WO07136577A2、WO06104826A2、WO05118542A1、WO05123668A1、WO06086488、WO07106181A2、WO07114855A2、UA20070249688A1、WO07123581A1、WO06086488A2、WO07120270A2、WO07120284A2、およびUA20080125468A1において公知であるが、現時点において、治療剤として商業的に入手可能なものはない。グルカゴンアンタゴニストである全ての化合物が、有用な治療剤となる最良のポテンシャルを与えるという特徴を有するというのではない。これらの特徴のいくつかは、グルカゴン受容体における高い親和性、受容体活性化の持続、経口生物学的利用性、および安定性(例えば、処方する、または結晶化する能力、棚寿命)を含む。そのような特徴は、改良された安全性、許容性、有効性、治療指標、患者コンプライアンス、コスト有効性、製造の容易性等に導くことができる。予期せぬことに、本発明の化合物の特異的立体化学および官能基は、顕著に改良された受容体結合特性、経口生物学的利用性、および/または治療的使用に対するそれらの適当性を高める他の有利な特徴を含めた、これらの所望の特徴の1以上を呈することが見出された。
【0006】
本明細書中で言及された全ての書類は、本明細書中において十分に記載されているように引用により本出願に組み込まれる。
【発明の概要】
【0007】
簡単な概要
グルカゴン受容体アンタゴニストまたは逆アゴニスト活性を有するそのエナンチオマー的に純粋な形態、および医薬上許容される塩、またはその共−結晶およびプロドラッグを含めた化合物がここに提供される。さらに、それを含む医薬組成物、ならびに限定するものではないが、IおよびII型糖尿病、インスリン抵抗性および高血糖症を含めた、1以上のグルカゴン受容体アンタゴニストが示される病気または疾患を治療し、予防し、該病気または該疾患の開始の時期を遅らせ、または該病気または該疾患の発生または進行に対する危険性を低下させる方法がここに提供される。さらに、そのエナンチオマー的に純粋な形態、およびその医薬上許容される塩または共−結晶およびプロドラッグを含めた、本明細書中に開示される化合物を作成し、または製造する方法がここに提供される。
【0008】
純粋なエナンチオマー形態への合成中間体の分解によって、より活性なエナンチオマーシリーズが同定され、R立体配置を有することが特徴付けられた。これらのエナンチオマーを合成する方法がここに記載される。結晶構造は得られなかったが、従って、本明細書中における描写はRエナンチオマーを表すが、本発明の化合物は、最も活性なエナンチオマーを表し、かつ本明細書中に記載された合成方法によって得られたものである。最も活性なエナンチオマー(本発明の化合物)は、受容体置換アッセイにおける活性と比較して、細胞レベルにおける驚くべきことに増大した比率の活性vs.Sエナンチオマーのような改良された特徴を呈するものである。
【0009】
1つの態様において、式I:
【化1】


[式中:
44はH、CHまたはCHCHであり;
45はC1−6−アルキル、アルケニル、アルコキシ、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニル、C4−8−ビシクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、そのいずれも、所望により、C1−6アルキル、CF、F、CNまたはOCFから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
Lはフェニル、インデニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニルまたはC4−8−ビシクロアルケニルであり、そのいずれも、所望により、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;および
46はH、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基を表わす]
の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグが提供される。
【0010】
もう1つの態様において、式II:
【化2】

II
[式中:
44はHであり;
45はシス−4−t−ブチルシクロヘキシル、トランス−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、4,4−ジエチルシクロヘキシル、4,4−ジプロピルシクロヘキシル、4,4−ジエチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル、(S)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロヘキサ−1−エニル、4−t−ブチルフェニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルまたは(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタ−2−エニルであり;
Lはフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、4−アルキル−シクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジアルキルシクロヘキサ−1−エニル、4−アルキル−シクロヘキシル、4,4−ジアルキルシクロヘキシルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、そのいずれも、所望により、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;および
46はHである]
の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグが提供される。
【0011】
もう1つの態様において、本明細書中で提供される化合物、例えば、単一のエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、またはそのジアステレオマーの混合物を含めた式Iまたは式IIの化合物;あるいはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそのプロドラッグを、1以上の医薬上許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。
【0012】
さらに、治療上有効量の本明細書中で提供される化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを、グルカゴン受容体に関連する疾患、障害または病気を有する、または有することが疑われる対象に投与することを含む、グルカゴン受容体に関連する疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和する方法がここに提供される。
【0013】
加えて、治療上有効量の本明細書中で提供される化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ;またはその医薬組成物を、グルカゴン受容体の変調に応答する疾患、障害、または病気を有する、または有することが疑われる対象に投与することを含む、グルカゴン受容体の変調に応答する疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和する方法がここに提供される。
【0014】
治療上有効量の本明細書中で提供される化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ;またはその医薬組成物を、疾患、障害または病気を有する、または有することが疑われる対象に投与することを含む、GCGR−媒介疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和する方法がここに提供される。
【0015】
治療上有効量の本明細書中で提供される化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ;またはその医薬組成物を、対象の肝臓グルコース生産または血中グルコースレベルの減少に応答する疾患、障害または病気を有する、または有することが疑われる対象に投与することを含む、対象の肝臓グルコース生産または血中グルコースレベルの減少に応答する疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和する方法がここに提供される。
【0016】
本明細書中で提供される化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ;またはその医薬組成物の1以上とグルカゴン受容体とを接触させることを含む、該グルカゴン受容体の生物学的活性を変調する方法がここに提供される。
【0017】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の好ましい具体例および詳細な記載を参照してより明瞭に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
a.定義
本明細書中に記載された開示の理解を容易にするために、多数の用語が以下で定義される。
【0019】
一般に、本明細書中で用いられる命名法、および本明細書中に記載された有機化学、薬化学、および薬理学における実験室的手法は当該分野においてよく知られ、かつ通常使用されるものである。特記しない限り、本明細書中で用いる全ての技術および科学用語は、一般に、本開示が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同一の意味を有する。
【0020】
用語「対象」とは、限定されるものではないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含めた動物をいう。用語「対象」および「患者」は、例えば、ヒト対象のような哺乳動物対象を参照するにおいて相互交換可能に用いられる。
【0021】
用語「治療する」、「治療している」および「治療」は、障害、病気、または疾患、あるいは該障害、病気または疾患に関連する兆候の1以上の緩和または根絶;あるいはその障害、病気または疾患の原因の緩和または根絶を含むことを意味する。
【0022】
用語「予防する」、「予防している」および「予防」は、障害、病気、または疾患の開始、および/またはその付随する兆候を遅延させ、および/または妨げる;対象が病気を獲得すること妨げ;または障害、病気、または疾患を獲得する対象の危険性を低下させる方法を含むことを意味する。
【0023】
用語「治療上有効量」は、投与された場合に、治療すべき障害、病気、または疾患の1以上の兆候の発生をある程度予防し、または軽減するのに十分な化合物の量を含むことを意味する。用語「治療上有効量」とは、研究者、獣医、医師または臨床家によって求められる、細胞、組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を誘導するのに十分な化合物の量をいう。
【0024】
用語「IC50」は、応答を測定するアッセイにおける最大応答の50%阻害に必要な化合物の量、濃度、または用量をいう。
【0025】
用語「医薬上許容される担体」、「医薬上許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」、または「生理学的に許容される賦形剤」とは、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料のように、医薬上許容される材料、組成物、またはビヒクルをいう。1つの態様において、各成分は、医薬組成物の他の成分と適合し、かつ過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題または合併症なくして、合理的な利益/危険性の比率に相応して、ヒトおよび動物の組織または器官と接触させて用いるのに適した意味で、「医薬上許容される」。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition, Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005; and Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition, Ash and Ash Eds., Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, Gibson Ed., CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2004参照。
【0026】
用語「約」または「ほぼ」は、部分的には、当該値がどのようにして測定されまたは決定されるかに依存して、当業者によって決定される特別な値についての許容される誤差を意味する。ある具体例においては、用語「約」または「ほぼ」は1、2、3、または4の標準偏差内を意味する。ある具体例においては、用語「約」または「ほぼ」は、与えられた値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%内を意味する。
【0027】
用語「有効成分」および「活性な物質」は、疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和するために、単独で、あるいは1以上の医薬上許容される賦形剤と組み合わせて対象に投与される化合物をいう。本明細書中で用いるように、「有効成分」および「活性な物質」は、本明細書中に記載された化合物の光学的に活性な異性体であってもよい。
【0028】
用語「薬物」、「治療剤」および「化学的治療剤とは、疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和するための対象に投与される化合物、またはその医薬組成物をいう。
【0029】
用語「天然に生じる」または「天然の」は、核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞等のような生物学的材料との関連で用いる場合、天然で見出され、かつヒトによって操作されない材料をいう。同様に「天然に生じない」または「非−天然の」とは、天然で見出されない、あるいはヒトによって構造的に修飾され、または合成された材料をいう。
【0030】
用語「グルカゴン受容体」または「GCGR」とは、グルカゴン受容体蛋白質またはその変種をいい、これは、イン・ビトロまたはイン・ビボにてグルカゴンに対する細胞応答を変調できる。GCGR変種は、天然GCGRに対して実質的に相同な蛋白質、すなわち、天然のGCGRのアミノ酸配列と比較して、1以上の天然の、または天然に生じないアミノ酸の欠失、挿入または置換を有する蛋白質(例えば、GCGR誘導体、ホモログ、および断片)を含む。ある具体例において、GCGR変種のアミノ酸配列は天然のGCGRに対して少なくとも約80%同一、少なくとも約90%同一または少なくとも約95%同一である。ある具体例において、GCGRはヒトグルカゴン受容体である。
【0031】
用語「グルカゴン受容体アンタゴニスト」または「GCGRアンタゴニスト」とは、GCGRの活性を、例えば、部分的にまたは完全にブロックし、減少させ、妨げ、阻害し、またはダウンレギュレートさせる化合物をいう。これらの用語は、GCGRに結合し、その活性を遅延させ、それを不活化させ、または非感受性とする化合物もいう。GCGRアンタゴニストは、GCGRと、グルカゴンの相互作用に干渉することによって作用することができる。
【0032】
用語「GCGR−媒介疾患、障害または病気」とは、不適切な、例えば、正常なGCGR活性未満、またはそれを超えることによって特徴付けられる疾患、障害または病気をいう。不適切なGCGR機能的活性は、グルカゴン濃度の増加、通常はGCGRを発現しない細胞におけるGCGRの発現、例えば、異常な血漿中グルコースレベルに導く、細胞内活性化の増大したGCGR発現または程度;または減少したGCGR発現の結果として生じるであろう。GCGR−媒介疾患、障害または病気は、不適切なGCGR活性によって完全にまたは部分的に媒介され得る。特に、GCGR−媒介疾患、障害または病気は、GCGRの変調の結果、基礎となる兆候、疾患、障害、または病気に対するある程度の効果をもたらすものであり、例えば、GCGRアンタゴニストの結果、治療すべき患者の少なくともいくらかの改善をもたらす。
【0033】
用語「アルキル」および接頭辞「alk」とは、直鎖状または分岐した飽和一価炭化水素基をいい、ここに、該アルキルは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。用語「アルキル」は、特に断りのない限り、直鎖状、分岐状、および環状アルキルも含む。ある具体例においては、アルキルは、1ないし20(C1−20)、1ないし15(C1−15)、1ないし12(C1−12)、1ないし10(C1−10)、または1ないし6(C1−6)の炭素原子を有する直鎖状飽和一価炭化水素基、または3ないし20(C3−20)、3ないし15(C3−15)、3ないし12(C3−12)、3ないし10(C3−10)、または3ないし6(C3−6)の炭素原子の分岐した飽和一価炭化水素基である。本明細書中に用いるように、直鎖状C1−6および分岐したC3−6アルキル基は「低級アルキル」ともいう。アルキル基の例は、限定されるものではないが、メチル、エチル、(全ての異性体形態を含めた)プロピル、n−プロピル、イソプロピル、(全ての異性体形態を含めた)ブチル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、(全ての異性体形態を含めた)ペンチル、および(全ての異性体形態を含めた)ヘキシルを含む。例えば、C1−6アルキルとは、1ないし6の炭素原子の直鎖状飽和一価炭化水素基、または3ないし6の炭素原子の分岐した飽和一価炭化水素基をいう。シクロアルキルは、アリール基に縮合した単環を含み、そこでは、付着点は非−芳香族部分にある。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニル等が挙げられる。
【0034】
用語「アルケニル」とは直鎖状または分岐した一価炭化水素基をいい、これは、1以上の、1つの具体例においては、1ないし5の炭素−炭素二重結合を含有する。アルケニルは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。当業者によって認められるように、用語「アルケニル」は「シス」および「トランス」立体配置、あるいは「E」および「Z」立体配置を有する基も含む。本明細書中で用いるように、用語「アルケニル」は、特に断りのない限り、直鎖状および分岐したアルケニルを共に含む。例えば、C2−6アルケニルとは、2ないし6の炭素原子の直鎖状不飽和一価炭化水素基、または3ないし6の炭素原子の分岐した不飽和一価炭化水素基をいう。ある具体例においては、アルケニルは2ないし20(C2−20)、2ないし15(C2−15)、2ないし12(C2−12)、2ないし10(C2−10)、または2ないし6(C2−6)炭素原子の直鎖状一価炭化水素基、または3ないし20(C3−20)、3ないし15(C3−15)、3ないし12(C3−12)、3ないし10(C3−10)、または3ないし6(C3−6)の炭素原子の直鎖状一価炭化水素基である。アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、ビニル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、エテニル、プロペナ−1−イル、プロペナ−2−イル、アルキル、ブテニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、4−メチルブテニル等が挙げられる。
【0035】
用語「アルキニル」とは直鎖状または分岐した一価炭化水素基をいい、これは、1以上の、1つの具体例においては、1ないし5の炭素−炭素三重結合を含有する。アルキニルは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。用語「アルキニル」は、特に断りのない限り、直鎖状および分岐したアルキニルを共に含む。ある具体例においては、アルキニルは2ないし20(C2−20)、2ないし15(C2−15)、2ないし12(C2−12)、2ないし10(C2−10)、または2ないし6(C2−6)の炭素原子の直鎖状一価炭化水素基、または3ないし20(C3−20)、3ないし15(C3−15)、3ないし12(C3−12)、3ないし10(C3−10)、または3ないし6(C3−6)の炭素原子の分岐した一価炭化水素基である。アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CH2C≡CH)、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニル等が挙げられる。例えば、C2−6アルキニルとは、2ないし6の炭素原子の直鎖状不飽和一価炭化水素基、または3ないし6の炭素原子の分岐した不飽和一価炭化水素基をいう。
【0036】
用語「シクロアルキル」とは、環状の飽和した架橋したおよび/または非−架橋の一価炭化水素基をいい、これは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。ある具体例においては、シクロアルキルは3ないし20(C3−20)、3ないし15(C3−15)、3ないし12(C3−12)、3ないし10(C3−10)、または3ないし7(C3−7)の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル、およびアダマンチルが挙げられる。
【0037】
用語「シクロアルケニル」とは、環状不飽和の架橋されたおよび/または非−架橋の一価炭化水素基をいい、これは、その環中に1以上の二重結合を含有する。シクロアルケニルは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。ある具体例において、シクロアルケニルは3ないし20(C3−20)、3ないし15(C3−15)、3ないし12(C3−12)、3ないし10(C3−10)、または3ないし7(C3−7)の炭素原子を有する。
【0038】
用語「アリール」(Ar)とは、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含有する単環芳香族基および/または多環一価芳香族基をいう。ある具体例においては、アリールは6ないし20(C6−20)、6ないし15(C6−15)、または6ないし10(C6−10)の環原子を有する。アリール基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、およびテルフェニルが挙げられる。アリールは、環のうち1つは芳香族であって、その他方は飽和された、部分的に不飽和な、または芳香族の、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリニル)であってよい二環または三環の炭素環もいう。ある具体例においては、アリールは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0039】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールで置換された一価アルキル基をいう。ある具体例においては、アルキルおよびアリールは、共に、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
用語「ヘテロアリール」(HAR)とは、少なくとも1つの芳香族環を含有する単環芳香族基および/または多環芳香族基をいい、ここに、少なくとも1つの芳香族環はO、S、およびNから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含有する。いくつかの具体例においては、各環は5ないし6の原子を含有する。ヘテロアリール基の各環は1または2のO原子、1または2のS原子、および/または1ないし4のN原子を含有することができるが、各環中のヘテロ原子の合計数は4以下であって、各環は少なくとも1つの炭素原子を含有するものとする。ヘテロアリールはいずれかのヘテロ原子または炭素原子において主構造に付着していてもよく、その結果、安定な化合物が作り出される。ある具体例において、ヘテロアリールは5ないし20、5ないし15,または5ないし10の環原子を有する。単環ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラミジル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリルおよびトリアジニルが挙げられる。二環ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンズチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、プレニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリル、およびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。三環ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、カルバゾリル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、およびキサンテニルが挙げられる。ある具体例においては、ヘテロアリールは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリールは、非−芳香族または部分的に芳香族である複素環に縮合した芳香族複素環基、およびシクロアルキル環に縮合した芳香族複素環基も含む。ヘテロアリールは荷電された形態のそのような基、例えば、ピリジニウムも含む。
【0041】
用語「ヘテロシクリル」(Hetcy)または「複素環」とは、少なくとも1つの非−芳香族環を含有する単環非−芳香族環系および/または多環系をいい、ここに、非−芳香族環原子のうち1以上は、独立して、O、S、またはNから選択されるヘテロ原子であり;および残りの環原子は炭素原子である。ある具体例においては、ヘテロシクリルまたは複素環基は3ないし20、3ないし15、3ないし10、3ないし8、4ないし7、または5ないし6の環原子を有する。ある具体例においては、ヘテロシクリルは単環、二環、三環、または四環系であり、これは、縮合したまたは架橋した環系を含んでもよく、ここに、窒素または硫黄原子は、所望により、酸化されていてもよく、窒素原子は所望により第四級化されていてもよく、かついくつかの環は部分的にまたは十分に飽和されているか、または芳香族性であってよい。ヘテロシクリルはいずれかのヘテロ原子または炭素原子において主構造に付着していてもよく、その結果、安定な化合物が作り出される。そのような複素環基の例としては、限定されるものではないが、ベンゾオキサジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、クロモニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソキサジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ジヒドロフリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピラニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、1,4−ジチアニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、および1,3,5−トリチアニリルが挙げられる。ヘテロシクリル/複素環は、窒素を通じて付着した2−または4−ピリドン、またはN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)のような、芳香族でない部分的に不飽和な単環も含む。ヘテロシクリル/複素環は、荷電した形態のそのような部位、例えば、ピペリジニウムも含む。ある具体例においては、ヘテロシクリル/複素環は、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
用語「アルコキシ」とは−OR基をいい、ここに、Rは、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであって、各々本明細書中で定義された通りである。Rがアリールである場合、それはアリールオキシとしても知られている。アルコキシ基の例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−プロポキシ、2−プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンゾキシ、および2−ナフチルオキシが挙げられる。ある具体例において、アルコキシは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0043】
用語「アシル」とは−C(O)R基をいい、ここに、Rは、例えば、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであって、各々は本明細書中で定義された通りである。アシル基の例としては、限定されるものではないが、フォルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、ミリストレオイル、パルミトレオイル、オレオイル、リノレオイル、アラキドノイル、ベンゾイル、ピリジニルカルボニル、およびフロイルが挙げられる。ある具体例においては、アシルは、所望により、1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0044】
用語「ハロゲン」、「ハライド」または「ハロ」(Halo)とは、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素をいう。
【0045】
用語「所望により置換されていてもよい」は、アルキル、アルコキシ、アシル、アルキル−シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アリール−アルケニル、アリール−アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール−アルケニル、ヘテロアリール−アルキニル、およびヘテロシクリル、またはアシルを含めた基が、1以上の置換基、1つの具体例においては、1、2、3、4の置換基で置換されていてもよいことを意味することを意図し、ここに、いくつかの具体例においては、各置換基は、独立して、シアノ、ハロ、オキソ、ニトロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C6−14アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(=NR)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)NR、−OS(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−NRC(=NR)NR、−NRS(O)R、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−NRS(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)、および−S(O)NRよりなる群から選択される、ここに、各R、R、R、およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C6−14アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり;あるいはRおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成する。
【0046】
用語「光学的に活性な」とは、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上のエナンチオマー過剰を有する原子のコレクションをいう。
【0047】
光学的に活性な化合物を記載するにおいて、接頭辞RおよびSは、そのキラル中心の回りの分子の絶対的立体配置を示すのに用いられる。(+)および(−)は、化合物の光学的回転、すなわち、偏光の面が光学的に活性な化合物によって回転される方向を示すのに用いられる。(−)接頭辞は、化合物が左旋性であり、すなわち、化合物は偏光の面を左側または反時計方向に回転させることを示す。(+)接頭辞は、化合物が右旋性であり、すなわち、化合物が偏光の面を右側または時計方向に回転させることを示す。しかしながら、光学回転の記号、(+)および(−)は、分子の絶対立体配置、RおよびSに関するものではない。
【0048】
用語「溶媒和物」とは、さらに、非−共有結合分子間力によって結合された化学量論または非−化学量論量の溶媒を含む、本明細書中で提供される化合物またはその塩をいう。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0049】
「結合」は、注目する化合物の、注目する標的、例えば、受容体への特異的な会合を意味する。
【0050】
用語「結晶性」および本明細書中で用いられる関連用語は、物質、成分または生成物を記載するのに用いる場合、当該物質、成分または生成物がX−線回折によって決定して結晶性であることを意味する。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton PA, 173 (1990); The United States Pharmacopeia, 23rd ed., 1843-1844 (1995)参照。
【0051】
本明細書中で用いる「共−結晶」は、H−結合した、室温で2以上のユニークな固体を含む結晶性材料を意味する。
【0052】
「糖尿病」とは、共通して損なわれたグルコース耐性を保有する障害の異質の群をいう。前−糖尿病、I型およびII型糖尿病、損なわれたグルコース耐性によって特徴付けられる種々の症候群、損なわれた絶食グルコース、および異常なグリコシル化ヘモグロビンを含めたその診断および特徴付けは当該分野でよく知られている。それは高血糖症、糖尿、ケトアシドーシス、神経障害または腎症、増大した肝グルコース生産、種々の組織におけるインスリン抵抗性、不十分なインスリン分泌、および膵臓からの増強された、または貧弱に制御されたグルカゴン分泌によって特徴付けることができる。
【0053】
用語「薬物」とは、疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和するために対象に投与される化合物、またはその医薬組成物をいう。
【0054】
用語「EC50」とは、最大応答の50%がそのような応答を測定するアッセイにおいて観察される化合物の量、濃度、または用量をいう。
【0055】
用語「パーセントエナンチオマー過剰(%ee)」とは、光学的純度をいう。それは以下の式:
[R] - [S] X 100 = %R - %S
[R] + [S]
[式中、[R]はR異性体の量であって[S]はS異性体の量である]
を用いることによって得られる。この式は、Rが主要な異性体である場合に%eeを供する。
【0056】
用語「エナンチオマー的に純粋な」とは、少なくとも約80重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約20重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体、少なくとも約90重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約10重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体、少なくとも約95重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約50重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体、少なくとも約96.6重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約3.4重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体、少なくとも約97重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約3重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体、少なくとも約99重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約1重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体、または少なくとも約99.9重量%の指名されたエナンチオマーおよびせいぜい約0.1重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体を含む化合物をいう。ある具体例においては、重量は化合物の合計重量に基づく。
【0057】
本明細書中に開示される式IおよびIIの化合物に関して用いられるように、用語「R−異性体」および「R−エナンチオマー」とは、−C(O)NH−基に対してアルファである脂肪族炭素の立体配置Rをいう。以下の式IはR−立体化学で示す。
【化3】


【0058】
本明細書中で用いる用語「キラル」は、その鏡像に重ならない特性を有する化合物を含む。
【0059】
「インスリン抵抗性」は、全体重グルコース摂取および資化を増加させる、外因性または内因性インスリンの既知の量の損なわれた能力と臨床的には定義される。
【0060】
「損なわれたグルコース耐性(IGT)」とは、明白な2型糖尿病の発生に先行することが知られた疾患をいう。それは、食事についての異常な血中グルコース可動域によって特徴付けられる。損なわれたグルコース耐性および関連症候群を診断し、および特徴付けるための基準は当該分野でよく知られている。
【0061】
「低級」とは、本明細書中においては、各々、有機基または化合物との関連では、6までの炭素原子を含有し、かつ6炭素原子を含めた基または化合物を定義する。1つの態様は、4までの炭素原子を含有し、かつ4炭素原子を含めた有機基または化合物を提供する。なおもう1つの態様は、1ないし3の炭素原子を含有する有機基または化合物を提供する。そのような基は直鎖、分岐鎖、または環状であってよい。
【0062】
「代謝病」は、肥満、糖尿病、および高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症のような脂質障害のような病気および疾患、ならびに代謝症候群X、糖尿病、損なわれたグルコース耐性、アテローム性動脈硬化症、冠動脈病、心血管病のような、リポ蛋白質、脂質、炭水化物およびインスリンの異常なレベルに関連する障害を含む。これらの疾患および関連症候群を診断し、および特徴付けるための基準は当該分野でよく知られている。
【0063】
本明細書中で用いる「プロドラッグ」とは、生物学的系に投与された場合に、自然発生的化学反応、酵素触媒化学反応、および/または代謝化学反応、または各々の組合せの結果として、生物学的に活性な化合物を生じさせるいずれの化合物もいう。標準的なプロドラッグは、イン・ビボで切断する、薬物に会合した、官能性、例えば、HO−、HS−、HOOC−、−NHRに付着した基を用いて形成される。標準的なプロドラッグは、限定されるものではないが、該基がアルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルであるカルボキシレートエステル、ならびに付着した該基がアシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ホスフェートまたはスルフェートであるヒドロキシル、チオールおよびアミノエステルを含む。示された基は例示的なものであって、限定的なものではなく、当業者であれば他の公知の種々のプロドラグを調製することができよう。本明細書中で開示された式IまたはIIの化合物のそのようなプロドラッグはこの範囲内に入る。プロドラッグは化学変換のいくつかの形態を受けて、生物学的に活性な、あるいは生物学的に活性な化合物の前駆体である化合物を生じさせなければならない。いくつかの場合において、プロドラッグは生物学的に活性であり、通常、当該薬物それ自体未満であり、改良された経口生物学的利用性、および/または薬物動体学的半減期等を通じて薬物の有効性または安全性を改良するのに役立つ。化合物のプロドラッグ形態は、例えば、生物学的利用可能性を改良し、苦い味または胃腸刺激性のような不快な特徴をマスクし、または低下させることなどによって対象の許容性を改良し、静脈内使用についての溶解性を改変し、延長されたまたは維持された放出または送達を提供し、処方の容易性を改良し、または化合物の部位−特異的送達を提供するのに利用することができる。プロドラッグは、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, by Richard B. Silverman, Academic Press, San Diego, 1992. Chapter 8:“Prodrugs and Drug delivery Systems”pp.352 401; Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, Elsevier Science, Amsterdam, 1985; Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs, Ed. by E. B. Roche, American Pharmaceutical Association, Washington, 1977; and Drug Delivery Systems, ed. by R. L. Juliano, Oxford Univ. Press, Oxford, 1980に記載されている。
【0064】
b.化合物
1の態様は式I
【化4】


[式中:
44はH、CHまたはCHCHであり;
45はC1−6−アルキル、アルケニル、アルコキシ、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニル、C4−8−ビシクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、それらはいずれも所望によりC1−6アルキル、CF、F、CNまたはOCFから選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;
Lはフェニル、インデニル、ベンゾオキサゾール−2−イルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、それらはいずれも所望によりF、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;および
46はH、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1またはそれを超える置換基を表す]の化合物を提供する。
【0065】
式Iに係るある種の形態において、−C(O)NH−基に対してα位にある脂肪族炭素の立体配置はRである。
【0066】
式Iに係る他の形態において、LはF、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換される。もう1の形態において、Lはフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、それらはいずれも所望により1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい。もう1の形態において、Lは4−クロロ−2−メチルフェニル、4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、4−クロロ−3−メチルフェニルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルである。
【0067】
もう1の形態において、R44はHまたはCHである。もう1の形態において、R44はHである。
【0068】
ある種の形態において、R45は3(メタ)位または4(パラ)位に結合している。もう1の形態において、R45は4(パラ)位に結合している。もう1の形態において、R45はアルケニル、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニル、C4−8−ビシクロアルケニルまたはフェニルであり、それらはいずれも所望により1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい。式Iに係るいまだ他の形態において、R45は(CHCCH=CH−、t−ブチル−シクロアルキル−、ジメチル−シクロアルキル−、t−ブチル−シクロアルケニル−、ジメチル−シクロアルケニル−、ビシクロアルケニルまたはフェニル−から選択される。
【0069】
式Iに係るある種の形態において、R45はCHおよび(CHC−から独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換される。
【0070】
式Iに係るある種の形態において、R45はtrans−t−ブチルビニル、cis−4−t−ブチルシクロヘキシル、trans−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、シクロヘキス−1−エニル、(S)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキス−1−エニル、4,4−ジメチルシクロヘキス−1−エニル、4,4−ジエチルシクロヘキス−1−エニル、4,4−ジエチルシクロヘキシル、4,4−ジプロピルシクロヘキス−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロへキサ−1,5−ジエニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]3−ヘプチル−2−エン、(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]2−ヘプチル−2−エン、2−メチル−4−クロロ−フェニル、2,4,6−トリメチルフェニルまたは4−t−ブチルフェニルである。
【0071】
式Iに係るある種の形態において、R45はtrans−t−ブチルビニル、cis−4−t−ブチルシクロヘキシル、trans−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、(S)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、4,4−ジメチルシクロへキス−1−エニル、(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]2−ヘプチル−2−エンまたは4−t−ブチルフェニルである。
【0072】
もう1の形態において、R46はHまたはCHである。もう1の形態において、R46はHである。
【0073】
ある種の形態において、式Iの化合物は以下のように表Iに示すものである:
【表1−1】

【表1−2】

【0074】
もう1の態様は、化合物、そのプロドラッグ、および化合物またはそのプロドラッグを含む組成物を提供し、ここに化合物は式II:
【化5】

II
[式中:
44はHであり;
45はcis−4−t−ブチルシクロヘキシル、trans−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、4,4−ジエチルシクロヘキシル、4,4−ジプロピルシクロヘキシル、4,4−ジエチルシクロへキス−1−エニル、4,4−ジメチルシクロへキス−1−エニル、(S)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロへキス−1−エニル、4−t−ブチルフェニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルまたは(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタ−2−エニルであり;
Lはフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、4−アルキル−シクロへキス−1−エニル、4,4−ジアルキルシクロへキス−1−エニル、4−アルキル−シクロヘキシル、4,4−ジアルキルシクロヘキシルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、それらはいずれも所望によりF、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;および
46はHである]の構造である。
【0075】
式IIに係るある種の形態において、LはClまたはCHから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されている。もう1の形態において、Lはフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、それらはいずれも所望によりClまたはCHから選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい。
【0076】
式IIに係るある種の形態において、R45は3(メタ)位または4(パラ)位に結合している。もう1の形態において、R45は4(パラ)位に結合している。
【0077】
もう1の形態において、R45はcis−4−t−ブチルシクロヘキシル、trans−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、(S)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロへキス−1−エニル、4−t−ブチルフェニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルまたは(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタ−2−エニルである。他の形態において、R45はcis−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、(S)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロへキス−1−エニル、4−t−ブチルフェニルまたは(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルである。
【0078】
ある種の形態において、式IIの化合物は式Iの化合物でもある。
【0079】
式IIに係るある種の形態において、−C(O)NH−基に対してアルファ位にある脂肪族炭素の立体配置はRである。
【0080】
ある種の形態において、式IIの化合物はラセミ体混合物である。
【0081】
もう1の態様は、式IまたはIIの鏡像異性的に純粋な化合物を提供する。ある種の形態において、単一の鏡像異性体は、同一化合物のすべての他の鏡像異性体または組成物中に存在する他のジアステレオマーの総パーセントと比較して>60%、>70%、>80%、>85%、>90%、>91%、>92%、>93%、>94%、>95%、>96%、>97%、>98%または>99%である。
【0082】
もう1の態様は、式IまたはIIの鏡像異性的に純粋な化合物を提供する。ある種の形態において、化合物は少なくとも約80重量%の指定したエナンチオマーと多くても約20重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、化合物は少なくとも約90重量%の指定したエナンチオマーと多くても約10重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、化合物は少なくとも約95重量%の指定したエナンチオマーと多くても約5重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、化合物は少なくとも約96.6重量%の指定したエナンチオマーと多くても約3.4重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、化合物は少なくとも約97重量%の指定したエナンチオマーと多くても約3重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、化合物は少なくとも約99重量%の指定したエナンチオマーと多くても約1重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、化合物は少なくとも約99.9重量%の指定したエナンチオマーと多くても約0.1重量%の他のエナンチオマーまたは他の立体異性体(または複数の立体異性体)を含む。ある種の形態において、重量は化合物の総重量に基づく。
【0083】
もう1の態様は、式IまたはIIの化合物の医薬上許容し得る塩を含む塩、および式IまたはIIの化合物の医薬上許容し得る塩を含む医薬組成物を提供する。式IまたはIIの化合物の塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アルミニウム塩のような無機塩基付加塩または有機塩基付加塩が含まれる。
【0084】
もう1の態様は、式IまたはIIの化合物の無水物、水和物および溶媒和物ならびに式IまたはIIの化合物の医薬上許容し得る無水物、水和物および溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。式IまたはIIの化合物の遊離形態または塩の無水物、水和物または溶媒和物が含まれる。水和物には、例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物、セスキ水和物が含まれる。
【0085】
ある種の形態において、式IまたはIIの化合物は、1000nMにおいて少なくとも15%でヒト・グルカゴン受容体から放射性同位元素標識したグルカゴンを置換することができる。1の形態において、式IまたはIIの化合物は、実施例Aに記載するようにヒト・グルカゴン受容体から、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の放射性同位元素標識したグルカゴンを置換することができる。
【0086】
あるいは、式IまたはIIの化合物の活性は、実施例Aの方法に従ってヒト・グルカゴン受容体から50%の放射性同位元素標識したグルカゴンを置換するのに必要な化合物の濃度(IC50値)によって記載することができる。1の形態において、式Iの化合物のIC50値は<10,000nM、9,000nM、8,000nM、7,000nM、6,000nM、5,000nM、4,000nM、3,000nM、2,000nM、1,000nM、900nM、800nM、700nM、600nM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、15nM、10nMまたは5nM未満である。
【0087】
もう1の別法において、式IまたはIIの化合物の活性は種々の種からの肝細胞中のグルカゴンの機能的アンタゴニズムに必要な化合物の濃度によって記載することができる。EC50は実施例Bの方法を用いて決定する。1の形態において、式IまたはIIの化合物のEC50値は<10,000nM、9,000nM、8,000nM、7,000nM、6,000nM、5,000nM、4,000nM、3,000nM、2,000nM、1,000nM、900nM、800nM、700nM、600nM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、15nM、10nMまたは5nM未満である。
【0088】
本明細書に開示する式IまたはIIの化合物は、動物における血中グルコースを低下する能力も示す。ある種の態様において、絶食または非−絶食(自由に摂食)動物における循環血中グルコースは、10%ないし100%低下し得る。100%の低下とは、0%の血中グルコースレベルではない、血中グルコースレベルの完全な正規化をいう。
【0089】
例えば、ラットにおける正常な血中グルコースはほぼ80mg/dl(絶食時)およびほぼ120mg/dl(摂食時)である。したがって、10mg/kgの式Iの化合物を投与することによって、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%、絶食または自由摂食の動物(例えば、ラット)における過剰な循環血中グルコースレベルを低下させる方法を本明細書で熟考する。
【0090】
c.投与
医薬上許容し得るビヒクル、担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの混合物と組み合わせて;有効成分として本明細書に提供する化合物、例えば式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む医薬組成物を本明細書に提供する。
【0091】
医薬組成物は種々の投薬形態に処方し得、それには限定されるものではないが、経口、非経口、皮下、筋肉内、経粘膜、吸入または局所/経皮投与用の投薬形態が含まれる。医薬組成物は、修飾した放出投薬形態としても処方化し得、それには限定されるものではないが、遅延型の、拡張型の、長期型の、持続型の、拍動型の、制御型の、促進型および速効型の、標的化型の、プログラム化された放出型のおよび胃貯留型の形態が含まれる。これらの投薬形態は、当業者に知られている慣用的な方法および技術に従って調製し得る(Remington: The Science and Practice of Pharmacy、前掲; Modified-Release Drug Deliver Technology、Rathboneら編、Drugs and the Pharmaceutical Science、Marcel Dekker、Inc.: New York、NY、2003; Vol. 126を参照されたい)。
【0092】
本明細書に提供する医薬組成物は、ユニット形態または複数投薬形態で提供し得る。本明細書で用いるユニット投薬形態とは、当該技術分野で知られている様な対象への投与に好適な物理的に分離したユニットをいう。ユニット投薬形態の例には、アンプル、注射器および個別に梱包された錠剤およびカプセル剤が含まれる。ユニット投薬形態は、その画分または複数で投与し得る。
【0093】
本明細書に提供する医薬組成物は、1回、または一定の間隔を置いて複数回投与し得る。治療の正確な投薬および期間が、治療する患者の年齢、体重および症状によって変動し得、公知の試験プロトコールを用いて経験的に決定し得、またはイン・ビボ(in vivo)もしくはイン・ビトロ(in vitro)の試験または診断データからの外挿によって決定し得ることは理解される。さらに、いずれかの特定の個人に対しては、個人的な要求および本明細書に提供する医薬組成物を投与しまたは投与を監督する人の専門的な判定に従って、特異的な投薬様式を一定期間にわたって調整し得ることも理解される。
【0094】
それと共に使用する例示的な医薬組成物および成分は、出典明示して本明細書の一部とみなす、米国仮特許出願番号61/088,697に記載されている。
【0095】
d.使用の方法
1の形態において、治療上有効な量の本明細書に提供する化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ;またはその医薬組成物を、損なわれたグルコース耐性、メタボリック症候群またはグルカゴン受容体と関連する症状、不調または疾患を有するまたは有すると疑われる対象に投与することを含む、かかる症状、不調または疾患の1またはそれを超える症状を治療、予防または改善する方法を本明細書に提供する。1の形態において、対象は哺乳動物である。もう1の形態において、対象はヒトである。
【0096】
もう1の形態において、治療上有効な量の本明細書に提供する化合物、例えば、式IまたはIIの化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグ;またはその医薬組成物を、対象の肝臓グルコース生産または血中グルコースレベルにおける低下に反応した症状、不調または疾患の1またはそれを超える症状を有するまたは有すると疑われる対象に投与することを含む、かかる治療、予防または改善する方法を本明細書に提供する。1の形態において、対象は哺乳動物である。もう1の形態において、対象はヒトである。
【0097】
本明細書に提供する方法を用いて治療可能な症状および疾患には、限定されるものではないが、1型糖尿病、妊娠糖尿病、ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡(非ケトン性高血糖症)、損なわれたグルコース耐性(IGT)、インスリン抵抗性症候群、X症候群、低HDLレベル、高LDLレベル、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高リポタンパク血症、高コレステロール血症、脂質異常症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、グルカゴノーマ(疾病名)、急性膵炎、心血管疾患、高血圧症、心臓の肥大、胃腸障害、肥満症、脈管再狭窄、膵炎、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、加速グルコネオゲネシス(accelerated gluconeogenesis)、過剰な(通常レベルよりも大きな)肝臓グルコース排出および脂質不調が含まれる。
【0098】
低下した肝臓グルコース生産に応答するまたは低下した血中グルコースレベルに応答する疾患または症状の進行または進展が開始する時期を遅延させまたはそれらのリスクを低減する方法も本明細書に提供する。
【0099】
治療する症状、不調または疾患ならびに対象の体調に依存して、本明細書に提供する化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹膜内、静脈内または動脈内(例えば、カテーテルを介した)、ICV、嚢内注射または注入、皮下注射またはインプラント)、吸入、経鼻、膣内、直腸内、舌下および/または局所(例えば、経皮または局所的)経路の投与によって投与し得、各投与経路に適当な、医薬上許容し得るビヒクル、担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの混合物を含む好適な投薬ユニット中に単独または一緒に処方化し得る。
【0100】
用量は1日当たり適当な間隔で投与する1、2、3、4、5、6またはそれを超えるサブ用量の形態とし得る。用量およびサブ用量は、投薬ユニット当たり約0.01ないし2500mg、0.1mgないし1,000mg、約1mgないし1000mg、約1mgないし500mg、約0.1mgないし500mg、約0.1mgないし100mg、約0.5mgないし100mg、約1mgないし100mg、約10mgないし1000mg、約10mgないし500mg、または約10mgないし100mgの有効成分(または複数の有効成分)の有効成分(または複数の有効成分)を含む投薬ユニットの形態で投与し得る。例えば、用量またはサブ用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mgまたは約1000mgを含む投薬ユニットの形態で投与し得る。患者の症状が要求する場合は、用量は別の方法によって連続注入として投与し得る。
【0101】
ある種の形態において、適当な投薬レベルは、単一または複数の用量で投与し得る、1日当たり患者体重1kg当たり(1日当たりのmg/kg)約0.01ないし約100mg、約0.01ないし50mg、約0.01ないし25mg、または約0.05ないし10mgであり、それは単一または複数用量で投与し得る。好適な投薬レベルは、1日当たり約0.01ないし100mg/kg、1日当たり約0.05ないし50mg/kg、または1日当たり約0.1ないし10mg/kgとし得る。この範囲内であれば、投薬は1日当たり約0.01ないし0.1、約0.1ないし1.0、約1.0ないし10、または約10ないし50mg/kgとし得る。
【0102】
経口投与については、医薬組成物を、治療すべき患者に症候的に調整した投薬用に1.0ないし1,000mgの有効成分、特に約1、約5、約10、約15、約20、約25、約50、約75、約100、約150、約200、約250、約300、約400、約500、約600、約750、約800、約900、および約1,000mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供し得る。組成物は1日当たり1回、2回、3回または4回を含む1日当たり1ないし4回の様式で投与し得る。種々の形態において、組成物は食前、食後、午前中、目覚めた後、午後、就寝時に投与し得る。
【0103】
しかしながら、いずれか特定の患者について特異的な用量レベル、頻度および投薬のタイミングを変更し得、それが利用する特異的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、一般的健康、性別、食餌、投与の様式および時期、排泄の頻度、薬物の組合せ、特定の症状の程度、および治療を受ける宿主を含む種々の要素に依存することは理解される。
【0104】
いまだもう1の形態において、グルカゴン受容体と本明細書に提供する1またはそれを超える化合物、例えば、その単一のエナンチオマー、エナンチオマーの混合物またはジアステレオマーの混合物、または医薬上許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む式IまたはIIの化合物、とを接触させることを含む、グルカゴン受容体の生物活性をモジュレートする方法;またはその医薬組成物を本明細書に提供する。1の形態において、グルカゴン受容体は細胞によって発現されている。
【0105】
また、本明細書に提供する化合物は、それが有用である1またはそれを超える症状、不調または疾患の治療、予防または改善に有用である他の治療剤と組み合わせるまたは組み合わせても用い得る。本明細書中で用いる、「組み合わせて」なる用語は、1を超える治療剤を使用することを包含する。しかしながら、「組み合わせて」なる用語を使用する場合は、症状、不調または不調を有する対象に投与する治療剤の順序は制限しない。第1の治療剤(例えば、本明細書に提供する化合物のような治療剤)は、治療すべき対象に第2の治療剤を投与する前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時、または投与した後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与し得る。
【0106】
本明細書に提供する化合物を1またはそれを超える治療剤と同時期に使用する場合は、本明細書に提供する化合物に加えてかかる他の剤を含む医薬組成物を利用し得るが、それが要求されるわけではない。したがって、本明細書に提供する医薬組成物は、本明細書に提供する化合物に加えて、1またはそれを超える他の治療剤をも含むものが含まれる。
【0107】
1の形態において、他の治療剤は抗糖尿病薬である。好適な抗糖尿病薬には、限定されるものではないが、インスリン増感剤、ビグアニド(例えば、ブホルミン、メトホルミンおよびフェンホルミン)、PPARアゴニスト(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾン)、インスリンおよびインスリン模倣物、ソマトスタチン、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、ミグリトールおよびアカルボース)、ジペプチジル・ペプチダーゼ−4阻害剤、肝臓X受容体モジュレーター、インスリン分泌促進剤(例えば、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド(glimerpiride)、グリピジド、グリキドン(gliquidine)、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブリド、グリヘキサミド、グリピナミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、スルホニル尿素誘導体、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、ナテグリニドおよびレパグリニド)、他のグルカゴン受容体アンタゴニスト、GLP−1、GLP−1模倣物(例えば、エクセナチド、リラグルチド、DPPIV阻害剤)、GLP−1受容体アゴニスト、GIP、GIP模倣物、GIP受容体アゴニスト、PACAP、PACAP模倣物、PACAP受容体3アゴニスト、コレステロール低下剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ビタバスタチン(itavastatin)、セリバスタチン(rivastatin)、NK−104(a.k.a. ビタバスタチン、ビタバスタチン(nisvastatin)およびニスバスタチン(nisbastatin)、およびXD−4522(ロスバスタチン(rosuvastatin)、アタバスタチン(atavastatin)およびビサスタチン(visastatin)としても知られている)、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、PPARαアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロール・アシルトランスフェラーゼ阻害剤、抗酸化剤、PPARδアゴニスト、抗肥満症化合物、胆汁回腸酸輸送物阻害剤、抗炎症剤、およびタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤が含まれる。
【0108】
所定の投薬は、薬物の吸収、不活化および排出速度ならびに当業者に知られている他の要素に依存する。投薬値も緩和すべき症状の程度によって変動することは理解される。さらに、いずれか特定の対象については、個人の要望および組成物を投与するまたは組成物の投与を監督する専門的な判断に従って時間にわたって調節すべきであることはさらに理解される。
【0109】
第2の有効成分に対する本明細書に提供する化合物の重量比は、各成分の有効用量に依存する。一般的には、各々の有効用量を使用する。したがって、例えば、本明細書に提供する化合物をPPARアゴニストと組み合わせる場合、PPARアゴニストに対する本明細書に提供する化合物の重量比は、一般的に、約1000:1ないし約1:1000または約200:1ないし約1:200の範囲である。本明細書に提供する化合物と他の有効成分との組合せも、一般的に前記した範囲内であるが、各場合において、各有効成分の有効用量を使用すべきである。
【0110】
化合物の合成
式IおよびIIの化合物は、以下の一般的な合成反応図式に概説されるか、または当業者により明らかであろうこれらの反応図式の修飾を含む方法論により、あるいは当業者に容易に知られた他の方法により調製できる。
【0111】
以下のセクションにおいて、以下の略語は、以下の意味を有する:THF:テトラヒドロフラン;DME:1,2−ジメトキシエタン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DCC:N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド;EDCIまたはEDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;LiHMDS:リチウムヘキサメチルジシリルアジド;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;IPA:イソ−プロパノール;ACN:アセトニトリル;DIPEA:N,N−ジイソプロピル−エチルアミン;およびMTBE:メチル−tert−ブチルエーテル。
【0112】
a.種々の形成用ブロック(building block)の合成
カルボン酸3は標準方法を用いて生成できる。反応図式1に示すごとく、カルボン酸のエステルまたは酸1を(THFまたはDMEのごとき)適当な溶媒中で(リチウムジイソプロピルアミドまたはリチウムヘキサメチルジシリルアミドのごとき)塩基を用いる反応に続いて、ハロゲン化アラルキルと反応させることによりアルキル化して、中間体2を生成できる。1つの具体例において、Raが水素でない場合、RaおよびRb基は適切に選択される結果、3を生成するためのカルボン酸の遊離が選択的に生じる、RaがHである場合、2および3は同一の中間体を表す)。例えば、Raがメチルまたはエチル基であるならば、Rb基は、ベンジル、t−ブチル、2−トリメチルシリルエチル基または、ベンジル基につき水素化分解、t−ブチル基につきトリフルオロ酢酸のごとき弱酸、またはテトラアルキルアンモニウムフルオリド(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド)のごとき2−トリメチルシリルエチル基につきフッ化物源のごとき、エステル基Raが無傷のままである条件下で選択的に除去できる他の基であり得る。
【0113】
【化6】

【0114】
反応図式2に示されたこの特定の形成用ブロックの合成についての別法の経路は、酢酸誘導体1とアルデヒドまたはケトンとを縮合し、α,β−不飽和エステル中間体4に導くことを含む。エステル4は、文献中に十分に文書化された条件(例えば、炭素雰囲気、およびエタノールのごとき溶媒中の触媒としての炭素上のパラジム)下で水素化して、カルボン酸エステル3を生成できる。
【0115】
【化7】

【0116】
別法として、4におけるR44がH(化合物5)であるならば、アルキル基の1,4−付加は、適当な炭素求核試薬との反応(例えば、アルキルリチウムまたはアルキルグリニャール試薬の銅媒介反応)により生じさせて、R44がアルキルである化合物3を得る(反応図式3)。
【0117】
【化8】

【0118】
反応図式4は、前駆物質5への別法の経路を示し、ハロゲン化ビニル7とアリールボロン酸またはアリールスタンナンのごとき有機金属試薬とのパラジウム触媒反応を含む。これらのハロゲン化ビニル7(式中、Halは臭化物またはヨウ化物を表す)は、塩基の存在下、対応するベンズアルデヒドおよびハロゲン化Horner−Emmons試薬(RO)P(O)CH(Hal)CORa(Tokeら, Tetrahedron 51, 9167 (1995); Vanderwalら, J. Am. Chem. Soc., 125 (18), 5393-5407 (2003))から、またはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドまたはテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドのごときハロゲン化物源の存在下でジクロロメタン中の同一の出発アルデヒドと[PhP=C(IPh)CORa](+)[BF(−)との反応により生成できる(Huangら, J. Org. Chem 67, 8261(2002))。
【0119】
【化9】

【0120】
中心カルボニル基に対してアルファの炭素原子が、不斉中心であると認められる。エナンチオマー的に純粋な形態において本明細書に提供される化合物の合成は、出発物質8がエナンチオマー的に純粋な形態で存在するならば、前記の方法の利用により達成できる。光学的に純粋な前駆物質8または8**は、ラセミ体8の分割または、エナンチオ選択的に不斉中心を生成する合成方法の使用によって生成できる。
【0121】
分割方法は、分別結晶により分離し得る、カルボン酸塩と光学的に活性なアミンとのジアステレオマー混合物の生成を含む。個々のジアステレオマー塩の酸性化およびカルボン酸の単離は、そのカルボン酸の個々のエナンチオマーを与える(D. Kozma: CRC Handbook of Optical Resolutions via Diastereomeric Salt Formation' CRC Press, 2001)。別法として、エステルまたはアミド誘導体のジアステレオマー混合物は、ラセミカルボン酸と、各々、光学的に活性なアルコールまたはアミンとの縮合により調製でき;これらのジアステレオマーは、クロマトグラフィー法および/または分別結晶により分離し得る。次いで、純粋なエナンチオマーは、文献においてよく確立された方法を用いて、カルボン酸への再転換により個々のジアステレオマーから生成される(反応図式5)。
【0122】
【化10】

【0123】
エナンチオ選択的にキラル中心を生成する方法は、限定されるものではないが、キラル補助Xcを含む前駆体のアルキル化を含む。これは、分別結晶またはクロマトグラフィー により分離し得る2つのジアステレオマーを生成し得る(反応図式6)。ジアステレオマーの分離後、それらは、公知の手順によりエナンチオマー的に純粋な酸3およびそのエナンチオマー3に変換することができ、さらに、後記の実施例に記載された本明細書に提供された化合物に合成される。
【0124】
【化11】

【0125】
不斉中心は、分子の他の位置に存在し得る。一例として、シクロへキセニル基上の置換は、実施例1の化合物における新しいキラル中心を生成する。この中心は、その標的分子の構築に先立って適切に官能化された前駆物質において確立することができる。このキラル前駆物質への潜在的な経路は、反応図式7に示すごときラセミケトンの非対称化を含む。4−t−ブチルシクロヘキサノンとキラルアミド塩基との反応は、対応するキラルエノラートをエナンチオ選択的に生成することが報告されている[Busch-PetersenおよびCorey, Tetrahedron Letters 41, 6941(2000), Lyapkaloら, Synlett 1292(2001)]。エノラートのトリフルオロメタンスルホナートまたはノナフルオロブタンスルホナートへの変換 [Busch-PetersenおよびCorey, Tetrahedron Letters 41, 6941(2000), Lyapkaloら, Synlett 1292(2001)]は、引き続いての工程に用い得るキラル前駆物質に導く(具体的なエナンチオマーが以下に示されるが、いずれのエナンチオマーもこの方法の修飾により合成できると理解されるであろう)。次いで、そのように得られた前駆物質9を以下に記載のごとく、単一のエナンチオマーに合成できる。
【0126】
【化12】

【0127】
関連する方法において、4−置換シクロヘキサ−1−エニル系の2つのエナンチオマーを対応するラセミアルケンの分割を介して得ることができる。例えば, アルケン10(式中、R50およびR51は異なる基である)の(エナンチオ特異的またはエナンチオ選択的な)反応は、分離に際して、11および12を提供するジアステレオマーの混合物を生成する。アルケンの再生は、2つのエナンチオマー13および13を提供する(反応図式8)。
【0128】
【化13】

【0129】
前記の方法に加えて、光学的に純粋な化合物は、キラル固定相を利用するクロマトグラフィー方法を介してそれらのラセミ親化合物から得ることができる。
【0130】
式Iの化合物を合成するのに用いることができる方法を以下に例示する(反応図式9)。カルボン酸8は、アミド結合形成反応に知られた方法により対応するアミドに変換される。一例として、8からの酸塩化物14の生成は、標準的な条件(例えば、トルエン中の塩化チオニルまたはジクロロメタン中の塩化オキサリルもしくは触媒DMF)下で生じる。酸塩化物14のアミンまたはアニリンでの処理は、アミド15を生成する。別法として、アミンは、活性化剤(例えば、DMAPまたはHOBTのごとき触媒の有無によるDCCまたはEDCI)の使用によりカルボン酸8と直接的にカップリングして、アミド15を直接的に生成できる。Lがブロモまたはヨードのごときハロ基である場合、アリールアミド15は、さらに、金属媒介(例えば、パラジウム)C−C結合カップリング反応を介して官能化して、さらにL−官能化されたアミド15を得ることができる。15(例えば、Rb=−CHまたは−C(CH)のエステル基の加水分解の結果、カルボン酸15を生じ、次いで、標準的なアミド結合形成反応を用いて、タウリン誘導体とカップリングさせて、標的化合物16を生成できる。
【0131】
また、最終工程におけるアミド結合は、アミド結合形成に知られた他の報告された方法により形成でき、例えば、15(Rb=O−スクシンイミジル)のN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよびタウリンの反応は、標的タウリンアミド誘導体16を与える。また、他の活性化エステル(例えば、ペンタフルオロフェニルエステル)を用いて、アミド結合形成を達成できる。
【0132】
【化14】

【0133】
以下の実施例は、この開示がより十分に理解できるように提供される。それらは、何らその開示を限定するものとして解釈されるものではない。
【0134】
実施例:生物学的実施例
実施例A−ヒトグルカゴン受容体親和性:
本明細書に提供された化合物を10mMの濃度にて適当な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)に溶解し、次いで、緩衝液(例えば、50mM Hepes、pH7.4、5mM MgCl、1mM CaClおよび0.2% BSA)中で1nM〜100μMの範囲の濃度に希釈する。化合物(20μL/ウェル)および、最終濃度の0.125nM(20μl/ウェル)(Perkin Elmer)の[125I]グルカゴンを添加し、120μLの緩衝液を含有する96−ウェルプレート(Costar, Corning)のウェル中で混合した。次に、ヒトグルカゴン受容体(ヒト肝臓試料から単離されたか、または組換え細胞系から得られた)を含有する膜調製物の適当なアリコートをウェルに添加する。結合混合物を室温にて2時間インキュベートする。一方、MultiScreen 96−ウェルフィルタープレート(Millipore)を200μLの緩衝液で処理し、フィルターを介して真空とした直後に結合混合物をプレートに移す。インキュベーションの終りに、結合混合物をMultiScreen 96−ウェルフィルタープレートのウェルに移し、真空を適用して濾去した。プレートをウェル当たり200μLの緩衝液で1回洗浄し、フィルターを乾燥させて、ガンマカウンターを用いて計数する。
【0135】
本明細書に提供された化合物は、グルカゴン受容体に対して高親和性を有することが示された。いくらかの化合物の例を下表に提供する。以下の表は、ヒトグルカゴン受容体結合アッセイにおいて示された化合物をテストした結果を示す。また、ヒト肝細胞アッセイ、ラットにおける経口バイオアべイラビリティおよびdb/dbマウスにおけるグルコース低下からのデータを示す(アッセイ記載については、以下の実施例を参照)。カラムマークされた「立体」は、テストされた化合物がラセミ体またはR−異性体(rac=ラセミ体)であるかどうかを示す。
【0136】
【化15】

【0137】
【表2−1】

【0138】
【表2−2】

【0139】
【表2−3】

【0140】
【表2−4】

【0141】
【表2−5】

【0142】
【表2−6】

【0143】
【表2−7】

【0144】
テストした、本明細書に提供された式Iの化合物は、<15nMのIC50でヒトグルカゴン受容体からの放射標識グルカゴンを置換する。
【0145】
ある種の化合物について、R−エナンチオマーは、S−エナンチオマーよりもヒトグルカゴン受容体について5倍までの高親和性を示す。
【0146】
以下の表は、示された化合物のR−異性体−対−S−異性体のヒトグルカゴン受容体結合アッセイにおける相対的効力を示す。(変更される立体中心を星印でマークし;R−異性体を図に示す。)
【0147】
【化16】

【0148】
【表3】

【0149】
前記の表における化合物は、ヒトグルカゴン受容体についてのナノモル親和性を示す。ある種の化合物について、R−エナンチオマーは、S−エナンチオマーよりもヒトグルカゴン受容体についての5倍までの高親和性を示す。
【0150】
実施例B−種々の種からの肝細胞における機能的拮抗作用:
ヒト、サル、イヌ、ラットまたはマウスの初代肝細胞を、Williams E培地(10%ウシ胎仔血清を補足)中でコラーゲン被覆24ウェルプレートに蒔き、M199培地(15mMグルコースおよび10nMヒトインスリンを補足)中で37℃にて一晩インキュベートする。次の日に細胞を0.1% BSAを含有するpH7.4のグルコースを含まないクレブス炭酸水素塩緩衝液で2回洗浄する。次いで、細胞は、1nMグルカゴンを含有する前記緩衝液で37℃にてインキュベートし、グルカゴンアンタゴニストの濃度を変更する(0〜100マイクロM)。また、グルカゴンまたはアンタゴニストを含まない対照ウェルを含む。1時間後、その培地のアリコートを取り出し、グルコースオキシダーゼ法によりグルコース含量につき分析する。対照ウェル中で観察されたバックグラウンドのグルコースレベルを、グルカゴンおよびアンタゴニスト含有ウェルから差し引く。%グルコース濃度−対−薬物濃度のグラフをプロットし、グルコース酸性の阻害についてのED50値をSigmaplotソフトウェア(SAS, Cary, North Carolina)を用いて生成する。別法として、細胞内cAMPレベルを標準的なキットを用いて測定し、EC50値をこれらのレベルを薬物濃度に対してプロットすることにより決定した。グルカゴン受容体のアンタゴニストは、グルカゴン誘導cAMP産生を阻害する。
【0151】
テストした、本明細書に提供された式IのR−エナンチオマー化合物は、<40nMのEC50を持つヒト肝細胞中のグルコース産生の機能的な拮抗作用を示す。
【0152】
本明細書に開示された化合物は、ヒト肝細胞中でグルコース産生のかなりの機能的拮抗作用を示す。ある種の化合物について、R−エナンチオマーは、S−エナンチオマーよりもヒト肝細胞において50倍までの大きな機能的拮抗作用を示す。
【0153】
下表は、示された化合物のR−異性体−対−S−異性体のヒト肝細胞機能的アッセイにおける相対的効力を示す。(変更される立体中心を星印でマークし;R−異性体を図に示す。)
【0154】
【化17】

【0155】
【表4】

【0156】
実施例C−糖尿病動物におけるグルコース低下:
血中グルコースレベルに対する本明細書に提供された化合物の効果を、限定されるものではないが、db/dbマウス、Zucker脂肪(ZF)ラット、Zucker糖尿病(ZDF)ラット、グルカゴン誘発イヌ、アロキサン−またはストレプトゾトシン−処置マウスもしくはラット、NODマウスまたはBBラットのごとき1型または2型糖尿病の動物モデルにおいて評価する。
【0157】
化合物をポリエチレングリコール−400またはシクロデキストリンのごとき適当なビヒクルに溶解し、次いで、腹腔内注射、静脈内注射または経口ガバージのいずれかにより0.1〜100mg/kgの用量にて動物に投与する。この評価に用いた動物モデル[例えば、db/dbマウス、ZFラット、ZDFラット、グルカゴン誘発(0.3〜5g/kg)イヌ、アロキサン−またはストレプトゾトシン−処置マウスもしくはラット、NODマウスまたはBBラット]は、化合物投与に先立ち、自由に食餌するかまたは3〜24時間絶食させる。いくらかの場合には、動物を2g/kgまでのグルコースの静脈内または経口投与による化合物投与後のグルコース負荷試験に付してもよい。血中グルコースレベルは、尾部出血により、またはシリンジもしくはカテーテルにより適当な血管をサンプリングすることにより得られた血液試料において評価する。グルコースを24時間までの通常の時間間隔にてOneTouchまたはHemoCueメーターのごとき携帯型グルコメーターを用いて測定する。式IまたはIIの化合物により引き出された血中グルコース低下の範囲をビヒクルだけを投与した対照動物におけるものとの比較により決定する。到達した血中グルコース低下のパーセンテージは、ビヒクル処置の非糖尿病またはグルカゴン非誘発の対照動物における血中グルコースレベルに対し、計算する。
【0158】
実施例D−db/dbマウスにおけるグルコース低下
2型糖尿病の動物モデルのdb/dbマウスにおける血中グルコースレベルに対する本明細書に提供された化合物の効果を評価するために、化合物をポリエチレングリコール−400に溶解し、次いで、経口ガバージにより30および/または100mg/kgの用量にて自由な食餌状態でdb/dbマウスに投与する。血中グルコースレベルは、尾部出血により得られた血液試料において、OneTouchまたはHemoCueメーターのごとき携帯型グルコメーターを用いて24時間にわたり通常の時間間隔にて評価する。本明細書に提供された化合物により引き出された血中グルコース低下の程度をビヒクルだけを投与したdb/dbマウスにおけるものとの比較により決定する。パーセンテージグルコース低下は、ビヒクル−処置痩せdb/+(異種接合体)マウスの血中グルコースレベルにおける換算により計算し、100%は、正常血糖状態(ビヒクル処置db/+マウス)に対する、高血糖性状態(ビヒクル処置db/dbマウス)からの血中グルコースレベルの標準化を示す。
【0159】
テストした、本明細書に開示された化合物は、自由な食餌状態におけるdb/dbマウスの血中グルコースを低下させた。特に、達成したパーセンテージ血中グルコース低下は、痩せた対照動物に対し、36%〜57%の範囲にあった。
【0160】
本明細書に開示された化合物は、2型糖尿病の動物モデルにおける抗高血糖性活性を明らかにした。
【0161】
実施例−化学合成例
実施例1:ナトリウム;2−{4−[2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
ステップ1:4−[2−(4−ブロモフェニル)−2−カルボキシ−エチル]−安息香酸メチルエステル
【化18】

【0162】
三つ口フラスコ内で、THF(485mL)中の4−ブロモフェニル酢酸(26.91g)の溶液を、窒素雰囲気下、<10℃に冷却した。THF中のLiHMDSの溶液(263mL、1.0M)を滴下により添加して、内部温度が<10℃を維持していることを確実にした。添加が完了した後、混合物を0℃にて約15分間撹拌した。ついで、冷却浴を取り外し、反応混合物を20℃に温まるようにした。
【0163】
次いで、反応混合物を<−60℃に冷却した。添加用ロートから、THF(270mL)中のメチル安息香酸4−ブロモメチル(29.53g)の溶液を滴下により添加し、温度が−60℃を超えないことを確実にした。添加が完了した後、混合物を−60℃にて約15分間撹拌し、300mLの(塩化ナトリウムで飽和させた)1Mの冷HCl水に注ぎ込んだ。有機層を(塩化ナトリウムで飽和させた)1MのHCl水で洗浄した。合わせた水層をトルエン(50mL)で抽出した。ついで、合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残渣をトルエンから再結晶して、カルボン酸を白色固体として得た。
【0164】
HNMR (300 MHz, DMSO-d6): 12.54 (1H, ブロード s), 7.82 (2H, d, J = 6.4 Hz), 7.49 (2H, d, J = 6.7 Hz), 7.32 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.26 (2H, d, J = 8.5 Hz), 3.95 (1H, t, J = 7.9 Hz), 3.81 (3H, s), 3.3 (1H, m,残渣 HODとの重なり), 3.03 (1H, m)
【0165】
ステップ2:4−{2−(4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸メチルエステル
【化19】

【0166】
THF:エタノール:水(6mL:3mL:1.5mL)中の4−[2−(4−ブロモフェニル)−2−カルボキシ−エチル]−安息香酸メチルエステル(上記ステップ1、0.6g)の溶液に、4−t−ブチル−1−シクロヘキセニル−ボロン酸(0.5g)、PdCl(P(o−トリル)、および炭酸ナトリウム(0.7g)を添加した。得られた混合物を125℃で1時間加熱した。ついで、反応物を室温にまで冷却し、過剰なHCl水(1M)で処理し、得られたヘテロ混合物をセライトパッドで濾過した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製残渣をトルエン(25mL)中に溶解し、塩化チオニル(0.26mL)で処理し、100℃で1時間加熱した。トルエンを減圧下にて除去した。得られた塩酸をトルエン(15mL)中に溶解し、4−ブロモアニリン(0.3g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.3mL)で処理し、100℃で1時間乾燥させた。室温にまで冷却した後、混合液を酢酸エチルと1MのHCl水との間に分配した。有機層を洗浄し(水、飽和塩化ナトリウム)、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた産物をさらなる精製をせずに次のステップに用いた。
【0167】
ステップ3:ナトリウム;2−(4−{2−(4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸塩
【化20】

【0168】
THF:メタノール:水(8mL:6mL:2mL)中の4−{2−(4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸メチルエステル(ステップ2、0.8g)の溶液を水酸化リチウム(0.4g)で処理し、室温にて16時間撹拌した。過剰なHCl水(1M)を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水中の飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ついで、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をDMF(10mL)に溶解し、EDCI(0.4g)、HOBt−HO(0.32g)、タウリン(0.26g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.71mL)で処理した。ついで、反応混合物を室温にて16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルと1MのHCl水との間で分配した。有機相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、濃縮した。メタノール中の残渣を過剰な水酸化ナトリウムで処理し、C−18逆相フラッシュクロマトグラフィーカラムに充填した。カラムをアセトニトリル−水勾配で溶出して、スルホン酸の塩化ナトリウム塩を白色固体として得た。
LCMS m/z: 665.6 [C34H38N2O5BrS]-
【0169】
ステップ4
【化21】

【0170】
DME:エタノール:水(2mL:1mL:0.5mL)中のナトリウム;2−(4−{2−(4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸塩(上掲のステップ3、96mg)の溶液に、4−t−ブチル−1−シクロヘキセニル−ボロン酸(0.5g)、PdCl(P(o−トリル)))、および炭酸ナトリウム(0.7g)を添加した。得られた混合物を125℃にて1時間加熱した。ついで、反応物を室温まで冷却し、過剰なHCl水(1M)で処理し、得られたヘテロ混合物をセライトパッドでろ過した。混合物を分配した(酢酸エチル/水)。有機相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、濃縮した。メタノール中の残渣を過剰な水酸化ナトリウムで処理し、C−18逆相フラッシュクロマトグラフィーカラムの上部に充填した。カラムをアセトニトリル−水勾配で溶出して、スルホン酸のナトリウム塩を白色固体として得た。
C-MS m/z = 711.6 [C44H44N2O5ClS]-
【0171】
実施例2:ナトリウム−2−(4−{2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[3−(4,4−ジメチル−シクロヘキシル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
ステップ1:4−ベンジル−3−[2−(3−ブロモ−フェニル)−アセチル]−オキソゾリジン−2−オン
【化22】

【0172】
CHCl(50mL)中の(3−ブロモ−フェニル)−酢酸(5.0g、23.2mmol)の溶液に、室温にて、塩化オキサリル(5.86g、46.5mmol)を添加した。反応混合物を室温にて一晩撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、3〜4時間、真空乾燥し、さらなる精製せずに用いた。
【0173】
別のフラスコ中で、THF(30mL)中のR−(+)−4−ベンジル−オキサゾリジノン(4.34g、24.5mmol)の撹拌溶液に、−78℃にて、n−BuLi(26.7mL、26.7mmol、ヘキサン中の1.0M溶液)を添加した。反応混合物を1時間、−78℃にて撹拌し、ついで、THF中の粗製酸塩化物(5.2g、22.3mmol)を滴下により添加した。混合物を2時間、−78℃にて撹拌し、室温に温まるようにし、(TLCでモニターし)もう1時間撹拌した。飽和NHCl溶液(100mL)で反応を停止し、10分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(2x250mL)で抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、EtOAc−ヘキサン(5−25%)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、4−ベンジル−3−[2−(3−ブロモ−フェニル)−アセチル]−オキソゾリジン−2−オンを得た。
【0174】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): 7.51 (d, J = 2.1 Hz, 1 H), 7.44 (dd, J = 3.9,4.8 Hz, 1 H),7.32 - 7.20 (m, 6 H), 7.15(d, J = 3.9 Hz, 1 H), 4.60 (m, 1 H), 4.30 (m, 2 H), 4.26 - 4.19 (m, 3 H), 3.27 (dd, J = 1.8, 8.1 Hz, 1 H), 2.78 (dd, J = 5.4, 7.8 Hz, 1 H);TLC 条件: Uniplateシリカゲル, 250 ミクロン; 移動相 = 酢酸エチル/ ヘキサン (5:1); Rf = 0.6.
【0175】
ステップ2:4−{3−(4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2−[4−(3−ブロモフェニル)−3−オキソ−プロピル}−安息香酸tert−ブチルエステル
【化23】

【0176】
無水THF(50mL)中の4−ベンジル−3−[2−(3−ブロモ−フェニル)−アセチル]−オキソゾリジン−2−オン(4.02g、10.7mmol)の撹拌溶液に、LiHMDS(16.5mL、16.5mmol、THF中の1.0M溶液)を−78℃にて添加した。反応混合物を1.5時間、−78℃にて撹拌し、ついで、tert−ブチル−4−ブロモメチル安息香酸エステル(3.75g、11.8mmol、THF中10mL)を滴下により添加し、2時間、−78℃にて撹拌し、ついで、1時間、室温に温めるようにした。反応終了後、飽和NHCl溶液(100mL)で停止し、10分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(2x250mL)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、室温にて、最少量のEtOAcおよびヘキサンから沈殿させて、4−{3−(4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2−[4−(3−ブロモフェニル)−3−オキソ−プロピル}−安息香酸tert−ブチルエステルを黄色固体として得た。
【0177】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.75 (d, J = 6.3 Hz, 2 H), 7.44 (d, J = 2.1 Hz, 2 H), 7.26 - 7.04 (m, 9 H), 6.79 (dd, J = 1.8, 5.7 Hz, 2 H), 5.29 (dd, J = 2.1, 6.3 Hz, 1 H), 3.89 (s, 3 H), 3.83 (d, J = 7.5 Hz, 1 H), 3.41 (dd, J = 8.4, 13.8 Hz, 1 H), 3.05 (dd, J = 7.2, 13.5 Hz, 1 H); TLC 条件: Uniplate シリカゲル, 250 ミクロン; 移動相 = 酢酸エチル-ヘキサン(1:4); Rf = 0.45.
【0178】
ステップ3:4−[2−カルボキシ−2−(3−ブロモ−フェニル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(5)
【化24】

【0179】
THF/HO(20mL)(3:1)中の4−{3−(4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−2−[4−(3−ブロモフェニル)−3−オキソ−プロピル}−安息香酸tert−ブチルエステル(2.3g、3.7mmol)の撹拌溶液に、室温にて、H(1.25g、HO中37.0mmol 35%)に引き続きLiOH(0.62g、14.8mmol)を添加した。反応混合物を3時間、室温にて撹拌し、0.1N HClで停止した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で抽出し、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製酸を得た。この粗生成物をCHCl/MeOH 2%−15%で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、4−[2−カルボキシ−2−(3−ブロモ−フェニル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(1.5g、75%)を得た。
【0180】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 12.52 (s, 1 H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.48 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.22 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 3.93 (t, J = 7.8 Hz, 1 H), 3.30 (dd, J = 8.4, 13.8 Hz, 1 H), 3.0 (dd, J = 8.1, 13.8 Hz, 1 H), 1.49 (s, 9 H), TLC 条件: Uniplate シリカゲル, 250 ミクロン; 移動相 = CH2Cl2/ MeOH (10%); Rf = 0.4. キラルHPLC条件: Kromasil 100-5-TBB キラル カラム 250x4.6 cm, (5% ヘキサン/2-プロパノールから30 %に), 35 分, 流速 1 mL/分, RT= 12.41分 (鏡像異性体(エナンチオマー)過剰率: >96%)
【0181】
ステップ4:4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−アミン
【化25】

【0182】
DME/EtOH/HO(100/50/25mL)中の4−ヨード−アニリン(25.0g、114.1mmol)、2−メチル−4−クロロフェニル−ボロン酸(29.17g、171.1mmol)、PdCl(P(o−トリル)(11.66g、14.8mmol)、およびNaCO(60.49g、570.7mmol)の混合物を、125℃にて2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ろ過し、EtOAc(200mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去した。粗製混合物を酢酸エチル(500mL)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、5−30% ヘキサン/EtOAcで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルアミンを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.24 - 7.08 (m, 5 H), 6.72 (d, J = 7.2 Hz, 2 H), 3.70 (bs, 2 H), 2.27 (s, 3 H).
【0183】
ステップ5:4−[2−(3−ブロモ−フェニル)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル
【化26】

【0184】
無水CHCl(20mL)中の4−[2−カルボキシ−2−(3−ブロモ−フェニル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(2.41g、5.94mmol)の撹拌懸濁物に、室温にて、塩化オキサリル(1.0mL、11.8mmol)を添加した。反応混合物を14時間撹拌し、減圧下で濃縮し、CHCl(2x10mL)で共沸した。粗製酸塩化物(2.2g、1.61mmol)を、0℃にて、CHCl2(25mL)中の4−クロロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミン(1.24g、5.71mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.53mL、15.5mmol)で処理した。反応混合物を14時間、室温にて撹拌し、減圧下で濃縮した。粗生成物をCHCl−ヘキサン(30%−100%)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、4−[2−(3−ブロモ−フェニル)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルを茶色固体として得た(2.4g、88%)。
【0185】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.74 (d, J = 14.0 Hz, 2 H), 7.58 - 7.49 (m, 4 H), 7.39 - 7.22 (m, 4 H), 7.24 - 7.19 (m, 3 H), 7.14 (d, J = 14.0 Hz, 2 H), 4.03 (t, J = 11.0 Hz, 1 H), 3.42 (dd, J = 15.5, 22.5 Hz, 1 H), 3.03 (dd, J = 11.0, 22.5 Hz, 1 H), 2.17 (s, 3 H), 1.49 (s, 9 H); キラルHPLC条件: キラルセル(Chiralcel) OD-H T=23℃; 移動相 = 5-25%ヘキサン/IPA; 流速 = 1.0 mL/分; 検出 = 254, 280, 220 nm 保持時間(分): 16.66分 (鏡像異性体過剰率: 97.3%)。
【0186】
ステップ6:4−{2’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル
【化27】

【0187】
DME(30mL)中の4−[2−(3−ブロモ−フェニル)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(1.2g、1.98mmol)に、4,4−ジメチル−シクロ−ヘキサ−1−エニル−ボロン酸(0.76g、4.96mmol)、PdCl(P(o−トリル)(202mg、0.25mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(1.0mL、5.94mmol)を添加した。得られた混合物を85℃にて2時間加熱し、室温まで冷却し、ろ過した。ろ液をEtOAc(20mL)と水との間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、CHCl:ヘキサン(20%−100%)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、4−{4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステルを、黄色固体として得た。
【0188】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 10.14 (s, 1 H), 7.76 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.57 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.48 (s, 1 H), 7.35 - 7.20 (m, 9 H), 7.13 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 6.06 (bt, 1 H), 4.03 (t, J = 6.5 Hz, 1 H), 3.48 (dd, J = 4.5, 13.5 Hz, 1 H), 3.04 (dd, J = 6.5, 14.0 Hz, 1 H), 2.37 - 2.34 (m, 2 H), 2.23 (t, J = 7.0 Hz, 1 H), 2.18 (s, 3 H), 1.57 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 1.50 (s, 9 H), 1.47 (t, J = 6.5 Hz, 1 H), 0.93 (s, 6 H).
【0189】
ステップ 7:4−{2’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸
【化28】

【0190】
CHCl(30mL)中の4−{4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル(0.82g、1.29mmol)の撹拌溶液に、室温にて、トリフルオロ酢酸(2.5mL)および濃HCl(1.0mL)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(2x100mL)で抽出し、MgSO上で乾燥させ、濃縮して、4−{2’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸を固体として得た。
【0191】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 10.05 (s, 1 H), 7.73 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.48 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.40 (s, 1 H), 7.29 - 7.05 (m, 10 H), 5.99 (s, 1 H), 3.96 (t, J = 10.5 Hz, 1 H), 2.95 (dd, J = 5.0,14.0 Hz, 1 H), 2.20 - 2.18 (m, 1 H), 2.14 (t, J = 7.5 Hz, 1 H), 2.09 (s, 3 H), 1.89 (bs, 2 H), 1.49 (t, J = 7.5 Hz, 1 H), 1.39 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 0.84 (s, 6 H). キラルHPLC条件: キラルセル OD-H T=23℃; 移動相 = 10-30% ヘキサン/IPA; 流速 = 1.0 mL/分; 検出 = 254, 280, 220 nm 保持時間 (分): 19.81分 (鏡像異性体過剰率: 70.8% )
【0192】
ステップ8:4−{2’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキシル)−フェニル]−エチル}−安息香酸
【化29】

【0193】
酢酸エチル(30mL)中の4−{4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸(0.62g、1.07mmol)の撹拌溶液に、室温にて、Pd/C(100mg)を添加した。混合物を、1気圧H(ガス)の下、室温にて4時間撹拌した。触媒を、セライトプラグでろ別し、酢酸エチル(2x50mL)で洗浄した。ろ液を濃縮して、4−{2’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸を固体として得た。
【0194】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): 12.69 (s, 1 H), 10.06 (s, 1 H), 7.72 (d, J = 7.0 Hz, 2 H), 7.49 (d, J = 7.0 Hz, 2 H), 7.27 - 7.03 (m, 11 H), 3.94 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 3.39 (t, J = 11.5 Hz, 1 H), 2.93 (dd, J = 5.5,13.0 Hz, 1 H), 2.16 (t, J = 7.0 Hz, 1 H), 2.09 (s, 3 H), 1.48 - 1.43 (m, 4 H), 1.24 - 1.19 (m, 2 H), 0.87(s, 3 H), 0.84 (s, 3 H).
【0195】
ステップ9:ナトリウム−2−(4−{2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[3−(4,4−ジメチル−シクロヘキシル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
【化30】

【0196】
DMF(7mL)中の4−{2’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−安息香酸(0.6g、1.03mmol)およびEDCI(290mg、1.55mmol)の混合物に、HOBt(230mg、1.55mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.4g、2.06mmol)、およびタウリン(250mg、0.5mmol)を添加した。得られた混合物を14時間撹拌した。反応溶媒を減圧下で除去した。残った混合物を0.1N NaHCOおよびアセトニトリルに溶解し、アセトニトリル−水勾配で溶出するC−18シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラム上のカラムクロマトグラフィーで精製した。ナトリウム−2−(4−{2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸を白色固体として得た。
【0197】
1H NMR(500 MHz, DMSO-d6): 9.98 (s, 1 H), 8.25 (bs, 1 H), 7.50 (d, J = 3.0 Hz, 2 H), 7.43 (d, J = 5.5 Hz, 2 H), 7.19 - 6.98 (m, 11 H), 3.85 (bs, 1 H), 3.32 - 3.18 (m, 3 H), 2.83 (d, J = 14.0 Hz, 2 H), 2.47 (bs, 2 H), 2.23 (bs, 1 H), 2.03 (s, 3 H), 1.42 - 1.15 (m, 6 H), 0.81 (s, 3 H), 0.78 (s, 3 H); LC-MS m/z = 685 [C39H42N2O5S]+; 元素分析: (MF:C398H42N2O5SNa+3.3 H2O) 計算値: C:60.94, H:6.37, N:3.64 実測値: C: 60.82, H:6.08, N:3.57. キラルHPLC条件: Regis-Whelk-01-786615, (S,S)10/100 250x10 mm T=23 ℃; 移動相 = 100%ACN/(5% NH4CO3,+H2O) 流速 = 1.0 mL/分; 検出 = 254 nm 保持時間 (分): 12.39分 (鏡像異性体過剰率: 95.1% )
【0198】
実施例3:アンモニウム、2−(S)−{4−[2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
ステップ1:[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
【化31】

【0199】
THF:エタノール:水(8mL:4mL:2mL)中の4−ブロモフェニル酢酸エチル(780mg)、4−t−ブチル−シクロヘキセン−1−イルボロン酸(897mg)、PdCl(P(o−トリル)(254mg)の混合に、炭酸ナトリウム(1.377g)を添加した。密封したフラスコを140℃にて5分間加熱した。ヘテロ混合物を過剰な1M塩酸水で処理し、セライトパッドでろ過した。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム塩で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、シリカゲル上で酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いてクロマトグラフを行った。生成物を黄色油状物として得た。
【0200】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.32 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.20 (d, J = 8 Hz, 2 H), 6.10 (m, 1 H), 4.12 (q, J = 7 Hz, 2 H), 3.57 (s, 2 H), 2.52-2.32 (m, 2 H), 2.26-2.18 (m, 1 H), 2-1.9 (m, 2 H), 1.38-1.2 (m, 5 H), 0.91 (s, 9 H).
【0201】
ステップ2:[4−((1R,2R,4S)−4−tert−ブチル−1,2−ジヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニル]−酢酸エチルエステルおよび[4−((1R,2R,4R)−4−tert−ブチル−1,2−ジヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
【化32】

【化33】

【0202】
tert−ブタノール(23mL)および水(28mL)中のAD−mix−beta(6.512g、J. Org. Chem 57、2768(1992))およびメタンスルホンアミド(443mg、4.66mmol)の混合物を2〜4℃に冷却した。この混合物に、tert−ブタノール(5mL)中の[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(1.4g、4.66mmol)を、温度が2〜4℃の範囲を維持していることを確認しながら、ゆっくり添加した。混合物を、同一温度にて、4日間の間撹拌し、ついで、水(20mL)中の亜硫酸ナトリウム(1.5g/mmol 出発物質)を添加することによって停止した。室温に温めた後、反応混合物を、さらに1時間撹拌した後、酢酸エチルと水との間で分配した。有機相を食塩水で洗浄し、ついで、減圧下で濃縮して粗製物質を得て、それを、酢酸エチル/ヘキサン勾配で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製した。2つの生成物を得た。Hamon et al(Tetrahedron 57, 9499(2001)) の報告に合わせて、それらを以下のように帰属した。
【0203】
1番目に溶出する生成物:[4−((1R,2R,4R)−4−tert−ブチル−1,2−ジヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.46 (m, 2H), 7.28 (m, 2 H), 4.16 (q, J = 7 Hz, 2H), 3.99 (m, 1H), 3.61 (s, 2 H), 2.59 (m, 1 H), 1.92 (m, 2 H), 1.64-1.46 (m, 5 H), 1.27 (t, J = 7 Hz, 3H), 0.93 (s, 9 H).
【0204】
2番目に溶出する生成物:[4−((1R,2R,4S)−4−tert−ブチル−1,2−ジヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニル]−酢酸エチルエステル。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.51 (m, 2H), 7.30 (m, 2 H), 4.36 (m, 1H), 4.16 (q, J = 7 Hz, 2H), 3.62 (s, 2 H), 2.74 (m, 1 H), 2.26 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 1.92 (m, 1 H), 1.75 (m, 1 H), 1.27 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.17 (m, 2H), 0.80 (s, 9 H)。
【0205】
ステップ3:[4−((3R,6R,7R)−6−tert−ブチル−2−チオキソ−テトラヒドロ−ベンゾ[1,3]ジオキソ−l−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
【化34】

【0206】
THF(15mL)中の[4−((1R,2R,4R)−4−tert−ブチル−1,2−ジヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(319mg、0.95mmol)およびチオカルボニルジイミダゾール(309mg、1.91mmol)の溶液をN下で一晩還流した。反応混合物を酢酸エチルと食塩水との間で分配し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーで残渣を精製して、297mgの生成物を得た。
【0207】
1H NMR(500 MHz, CDCl3): 7.31 (m, 4 H), 4.97 (dd, J = 9 Hz, J = 7 Hz, 1 H), 4.13 (q, J = 7 Hz, 2 H), 3.59 (s, 2 H), 2.53-2.48 (m, 1 H), 2.40-2.31 (m, 1 H), 1.90-1.72 (m, 2 H), 1.40-1.15 (m, 6 H), 0.91 (s, 9 H).
【0208】
ステップ4:[4−((R)−4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
【化35】

【0209】
亜リン酸トリエチル(3mL)中の[4−((3aR,6S,7aR)−6−tert−ブチル−2−チオキソ−テトラヒドロ−ベンゾ[1,3]ジオキソル−3a−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(297mg、0.80mmol)の溶液を、還流まで加熱した亜リン酸トリエチル(10mL)の溶液にゆっくりと添加した−添加速度は、反応温度が150℃を超えるようにした。一晩還流した後、溶媒を真空下で除去し、粗製反応混合物をシリカカラムの上部に充填し、酢酸エチル/ヘキサン勾配で溶出して、145mgの標記の化合物を得た。
【0210】
1H NMR(500 MHz, CDCl3): 7.32(d, J = 8 Hz, 2 H), 7.20 (d, J = 8 Hz, 2 H), 6.10 (m, 1 H), 4.12 (q, J = 7 Hz, 2 H), 3.57 (s, 2 H), 2.52-2.32 (m, 2 H), 2.26-2.18 (m, 1 H), 2-1.9 (m, 2 H), 1.38-1.2 (m, 5 H), 0.91 (s, 9 H).
【0211】
鏡像異性体過剰率の決定:生成物のサンプルを過剰な1M NaOH水:エタノール:水(体積比1:2:3)で処理し、125℃にて5分間加熱した。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと1M HCl水との間で分配した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、ついで、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。生成物の鏡像異性体過剰率は、Chiral Technologies のChiralPak AD-H 250mm x 4.6mm カラムを用い、95:5:0.1比のヘキサン:イソプロパノール:メタンスルホン酸の混合物を用いる1.0mL/分の流速にて溶出するキラルHPLCで>99%であると決定された。サンプルを1mg/mLにてエタノールに溶解してから注入した。実測された保持時間は6.2分であった。
【0212】
ステップ5:4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−エトキシカルボニル−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル
【化36】

【0213】
−78℃に冷却した無水THF(5mL)中の[4−((R)−4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(95mg、0.32mmol)に、380μL(0.38mmol)のTHF中の1M リチウムヘキサメチルジシラザンを添加した。得られた溶液を1時間撹拌し、その後、4−ブロモメチル安息香酸tert−ブチルエステル(94mg、0.35mmol)を添加した。反応混合物を一晩室温にて温まるようにし、ついで、飽和NHCl溶液で停止した。酢酸エチルと食塩水との間で分配した後、有機部をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。ヘキサン/酢酸エチル(10:1)を用いる分取用TLC(Analtech, 2mm シリカプレート)によって粗生成物を精製して、63mgの生成物を得た。
【0214】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.83 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.31 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.20 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.14 (d, J = 8 Hz, 2 H), 6.12 (m, 1H), 4.03 (q, J = 7 Hz 2 H), 3.80 (t, J = 8.5 Hz, 1 H), 3.41 (dd, J = 14, 8.5 Hz, 1 H), 3.03 (dd, J = 14, 7 Hz, 1 H), 2.56-2.4 (m, 2H), 2.35-2.2 (m, 1H), 2.05-1.9 (m, 2H), 1.56 (s, 9 H), 1.36-1.2 (m, 2 H), 1.11 (t, J = 7 Hz, 3 H), 0.89 (s, 9H).
【0215】
ステップ6:4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル
【化37】

【0216】
THF(3mL)、MeOH(1mL)および水(1mL)の溶液に溶解した4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−エトキシカルボニル−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル(63mg、0.13mmol)に、水酸化リチウム(27mg、0.64mmol)を添加した。溶液を室温にて5時間撹拌し、ついで、3M KHPOで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機部を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空濃縮して粗製物質を得て、それをさらなる精製せずに用いた。
【0217】
ステップ7:4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル
【化38】

【0218】
無水ジクロロメタン(30mL)中の4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル(697mg、1.51mmol)に、塩化オキサリル(650μL、7.53mmol)および3滴のDMFを添加した。得られた溶液を室温にて1時間撹拌し、その後、真空濃縮した。残渣をトルエン(1x5mL)とともに同時蒸発させ、ついで、再び、トルエン(20mL)に溶解した。混合物に、4−クロロ−2−メチルビフェニル−4−イルアミン(361mg、1.66mmol)およびDIPEA(1.3mL、7.53mmol)を添加した。得られた混合物を90分間還流し、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機部をNaSO上で乾燥させ、真空濃縮して粗製物質を得て、それをMeOHから結晶化して、白色固体(590mg)を得た。溶媒を除去し、酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーによって残渣を精製して、さらに137mgの生成物を得た。
【0219】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 10.16 (s, 1H), 7.78 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.59 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.4-7.32 (m, 7 H), 7.21 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.15 (d, J = 8 Hz, 2 H), 6.14 (m, 1H), 4.03 (dd, J = 9, 7 Hz, 1 H), 3.48 (dd, J = 13.5, 9.5 Hz, 1 H), 3.41 (dd, J = 13.5, 6.5 Hz, 1 H), 2.4-2.3 (m, 1H), 2.2-2.15 (m, 4H), 1.96-1.9 (m, 2H), 1.52 (s, 9 H), 1.32-1.2 (m, 2 H), 0.89 (s, 9H).
【0220】
ステップ8:4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸
【化39】

【0221】
4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(727mg、1.1mmol)に、4N HCl/ジオキサン(30mL)、水(5mL)および濃HCl(1mL)を添加した。得られた溶液を室温にて一晩撹拌した。過剰な溶媒を真空下で除去し、残渣をトルエンとともに同時蒸発させて、所望の粗生成物をグミ状の油状物として得た。粗製物質をさらなる精製せずに次のステップで用いた。
【0222】
ステップ9:ナトリウム、2−{4−[2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
【化40】

【0223】
DMF(25mL)中の粗製4−{2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸(推定1.1mmol)に、EDC(316mg、1.65mmol)、HOBt(252mg、1.65mmol)、タウリン(206mg、1.65mmol)およびDIPEA(550μL、3.29mmol)を添加した。得られた混合物を室温にて一晩撹拌した。過剰な溶媒を真空下で除去し、油状残渣に過剰な1N HClを添加した。過剰な1N HClをデカンテーションで捨てた後、残渣をアセトニトリル/MeOHに溶解し、飽和NaHCOで塩基性にし、逆相フラッシュクロマトグラフィーを用いて、アセトニトリル/水勾配で溶出して精製した。ナトリウム塩を白色固体として得た。
LCMS: 711.6 [M-H]-
【0224】
ステップ10:アンモニウム、2−(S)−{4−[2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
【化41】

【0225】
ナトリウム、2−{4−[2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩(上掲のステップ8で得た)をDMFに溶解した。生成物をPirkle Covalent(S,S)-Whelk-01 カラム(250mm x 10 mm)上の分取用HPLCに付し、アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムの勾配で10mL/分にて溶出した。標記の化合物は溶出する2つのジアステエオマーのうち1番目のものであった。HPLCによる鏡像異性体過剰率の決定の条件:Regis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm T=23℃; 移動相 = 100%ACN/(5% リン酸塩 pH =7.0, ACN)流速 = 1.0 mL/分; 検出 = 254 nm. 保持時間 (分): 18.22分(鏡像異性体過剰率: 99.1% ).
【0226】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.4-7.25 (m, 7 H), 7.20 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.13 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 3.97 (dd, J = 9.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.78 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.52 (dd, J = 13.5, 9.5 Hz, 1 H), 3.10 (dd, J = 13.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.07 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.5-2.3 (m, 2H), 2.3-2.20 (m, 4H), 2.1-1.95 (m, 2H), 1.38 (s, 10 H), 0.94 (s, 9H).
【0227】
実施例4:アンモニウム、2−(R)−{4−[2−[4−(4−(R)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
【化42】

【0228】
標記の化合物は実施例3、ステップ9で報告したキラルクロマトグラフィーから溶出する2番目の化合物であった。HPLCによる鏡像異性体過剰率の決定のための条件: Regis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm T=23℃; 移動相 = 100%ACN/(5% リン酸塩 pH =7.0, ACN)流速 = 1.0 mL/分; 検出 = 254 nm. 保持時間(分): 23.55分(鏡像異性体過剰率: 99.5%).
【0229】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.4-7.25 (m, 7 H), 7.20 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.13 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 3.97 (dd, J = 9.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.78 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.52 (dd, J = 13.5, 9.5 Hz, 1 H), 3.10 (dd, J = 13.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.07 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.5-2.3 (m, 2H), 2.3-2.20 (m, 4H), 2.1-1.95 (m, 2H), 1.38 (s, 10 H), 0.94 (s, 9H).
【0230】
実施例5:アンモニウム、2−(S)−{4−[2−[4−(4−(S)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
ステップ1:[4−((S)−4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
【化43】

【0231】
実施例3、ステップ2において2番目に溶出するジオールを用い、実施例3、ステップ3および4に記載する方法を用いた後、上に示すキラルアルケンを得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.32 (d, J = 8 Hz, 2 H), 7.20 (d, J = 8 Hz, 2 H), 6.10 (m, 1 H), 4.12 (q, J = 7 Hz, 2 H), 3.57 (s, 2 H), 2.52-2.32 (m, 2 H), 2.26-2.18 (m, 1 H), 2-1.9 (m, 2 H), 1.38-1.2 (m, 5 H), 0.91 (s, 9 H).
【0232】
鏡像異性体過剰率の決定:生成物のサンプルを過剰な1M NaOH水:エタノール:水(1:2:3体積比)で処理し、125℃にて5分間加熱した。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと1M HCl水との間で分配した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、ついで、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。生成物の鏡像異性体過剰率は、Chiral Technologies のChiralPak AD-H 250mm x 4.6mm カラムを用い、1.0mL/分の流速にてヘキサン:イソプロパノール:メタンスルホン酸の95:5:0.1比の混合物を用いて溶出するキラルHPLCで>99%と決定された。サンプルを1mg/mLにてエタノールに溶解してから注入した。観測された保持時間は5.6分であった。
【0233】
ステップ2:アンモニウム、2−(S)−{4−[2−[4−(4−(S)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
【化44】

【0234】
[4−((S)−4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(ステップ1、上掲)を用いて、実施例3、ステップ5〜10に例示したシーケンスにより標記の化合物を得た。標記の化合物は、10mL/分にてアセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムの勾配で溶出するPirkle Covalent(S, S)-Whelk-01 カラム(250mm x 10 mm)上の分取用HPLC後に、2つの可能性のあるジアステレオマーのうち一番目に溶出した。
【0235】
HPLCによる鏡像異性体過剰率の決定の条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから65%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM リン酸二水素カリウム(pH 6.8)を含有する95% 水の混合物であった。生成物をUVで254nmにて検出した。保持時間(分):18.23分(鏡像異性体過剰率:>99.5%)。
【0236】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.4-7.25 (m, 7 H), 7.20 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.13 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 3.97 (dd, J = 9.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.78 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.52 (dd, J = 13.5, 9.5 Hz, 1 H), 3.10 (dd, J = 13.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.07 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.5-2.3 (m, 2H), 2.3-2.20 (m, 4H), 2.1-1.95 (m, 2H), 1.38 (s, 10 H), 0.94 (s, 9H).
【0237】
実施例6:アンモニウム、2−(R)−{4−[2−[4−(4−(S)−tert−ブチルシクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチルビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸塩
【化45】

【0238】
標記の化合物 は、実施例5、ステップ2で報告したキラルクロマトグラフィーから溶出した2番目の化合物であった。サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから65%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM リン酸二水素カリウム(pH 6.8)を含有する95% 水の混合物であった。生成物をUVで254nmにて検出した。保持時間(分):23.41分(鏡像異性体過剰率:>99.5%)。
【0239】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): 7.71 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.51 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.4-7.25 (m, 7 H), 7.20 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.13 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 3.97 (dd, J = 9.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.78 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.52 (dd, J = 13.5, 9.5 Hz, 1 H), 3.10 (dd, J = 13.5, 6.5 Hz, 1 H), 3.07 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.5-2.3 (m, 2H), 2.3-2.20 (m, 4H), 2.1-1.95 (m, 2H), 1.38 (s, 10 H), 0.94 (s, 9H).
【0240】
実施例1〜6に記載の方法を用いて、次の化合物を合成した。
実施例7:ナトリウム−2−(R)−4−[2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(4−(3,3−ジメチル−ブト−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノエタンスルホン酸
【化46】

【0241】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 10.14 (s, 1 H), 8.39 (t, J = 9.8 Hz, 1 H), 7.61 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.55 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.33 - 7.12 (m, 11 H), 6.25 (dd, J = 16.2, 3.6 Hz, 2 H), 3.98 (t, J = 8.4 Hz, 1 H), 3.49 - 3.38 (m, 3 H), 3.0 (dd, J = 6.3, 7.8 Hz, 1 H), 2.61 (t, J = 7.8 Hz, 2 H), 2.17 (s, 3 H), 1.06 (s, 3 H); LC-MS m/z = 657 [C37H38N2O5SClNa+H]+; HPLC条件: Waters Atlantis C-18 OBD 4.6x150 mm; 移動相 = ACN/(H2O:0.1TFA) 流速 = 1.0 mL/分; 検出 = UV@254, 220 nm 保持時間 (分):12.33; 元素分析: (MF: C37H38N2O5SClNa +1.2H2O) 計算値: C:63.23, H:5.79, N:3.99 実測値: C: 63.02, H:5.89, N:4.15.
【0242】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから65%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM リン酸二水素カリウム(pH 6.8)を含有する95% 水の混合物であった。生成物をUVで254nmにて検出した。保持時間(分):14.08分(鏡像異性体過剰率:>97.06%)。
【0243】
実施例8:ナトリウム−2−(S)−4−[2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[(4−(3,3−ジメチル−ブト−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノエタンスルホン酸
【化47】

【0244】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 10.14 (s, 1 H), 8.39 (t, J = 9.8 Hz, 1 H), 7.61 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.56 (d, J = 6.6 Hz, 2 H), 7.33 - 7.12 (m, 11 H), 6.26 (dd, J = 16.2, 3.6 Hz, 2 H), 3.98 (t, J = 9.9 Hz, 1 H), 3.49 - 3.39 (m, 3 H), 3.0 (dd, J = 6.3, 7.8 Hz, 1 H), 2.61 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.17 (s, 3 H), 1.05 (s, 3 H); LC-MS m/z = 657 [C37H38N2O5SClNa+H]+; HPLC条件: Waters Atlantis C-18 OBD 4.6x150 mm; 移動相 = ACN/(H2O:0.1TFA) 流速 = 1.0 mL/分; 検出 = UV@254, 220 nm 保持時間(分):12.33; 元素分析: (MF: C37H38N2O5SClNa +1.5H2O) 計算値: C:62.75, H:5.83, N:3.96 実測値: C: 62.65, H:5.81, N:4.13.
【0245】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615, (S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから65%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM リン酸二水素カリウム(pH 6.8)を含有する95% 水の混合物であった。生成物をUVで254nmにて検出した。保持時間(分):17.69分(鏡像異性体過剰率:>97.4%).
【0246】
実施例9:2−(4−{(R)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[4−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸
【化48】

【0247】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.14 (s, 1 H), 8.40 (t, J = 2.8 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.57 (d, J = 8.9 Hz, 2 H), 7.37 - 7.14 (m, 11 H), 6.07(bs, 1 H), 4.0 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 3.47 - 3.45 (m, 3 H), 3.0 - 2.85 (m, 1 H), 2.62 (t, J = 4.2 Hz, 2 H), 2.35 (t, J = 1.2 Hz, 2 H), 2.18 (s, 3 H), 1.95 (t, J = 2.8 Hz, 2 H), 1.46 (t, J = 2.8 Hz, 2 H), 0.91 (s, 6 H). LC-MS m/z = 685 [C39H40N2O4SCl+H]+.
【0248】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)であった。生成物をUVで254nmにて検出した。保持時間(分):17.92分(鏡像異性体過剰率:99.5%)。
【0249】
実施例10:2−(4−{(S)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−2−[4−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−エチル}−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸
【化49】

【0250】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.15 (s, 1 H), 8.40 (t, J = 2.8 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.57 (d, J = 8.9 Hz, 2 H), 7.37 - 7.11 (m, 11 H), 6.07(bs, 1 H), 4.0 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 3.47 - 3.45 (m, 3 H), 3.0 - 2.85 (m, 1 H), 2.62 (t, J = 8.4 Hz, 2 H), 2.35 (t, J = 1.2 Hz, 2 H), 2.18 (s, 3 H), 1.95 (t, J = 2.8 Hz, 2 H), 1.46 (t, J = 2.8 Hz, 2 H), 0.91 (s, 6 H). LC-MS m/z = 684 [C39H40N2O4SCl]+.
【0251】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)までであった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):13.87分(鏡像異性体過剰率:97.6%)。
【0252】
実施例11:ナトリウム−2−[4−(S)−2−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−フェニル−カルバモイル)−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
【化50】

【0253】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 7.70 (d, J = 6.0 Hz, 2 H), 7.57 - 7.47 (m, 11 H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.21 - 7.13 (m, 4 H), 4.0 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 3.74 (t, J = 13.5 Hz, 2 H), 3.53 (dd, J = 6.3, 3.0 Hz, 1 H), 3.15 (dd, J = 6.6, 2.8 Hz, 1 H), 3.06 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 2.20 (s, 3 H), 1.34 (s, 9 H). LC-MS m/z = 709 [C35H36N2O5SClNa]+.
【0254】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)までであった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)までであった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):23.87分(鏡像異性体過剰率:99.5%).
【0255】
実施例12:ナトリウム−2−[4−(R)−2−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−(4’−クロロ−2’−メチル−フェニル−カルバモイル)−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
【化51】

【0256】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 7.70 (d, J = 6.0 Hz, 2 H), 7.57 - 7.47 (m, 11 H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.21 - 7.13 (m, 4 H), 4.0 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 3.74 (t, J = 13.5 Hz, 2 H), 3.53 (dd, J = 6.3, 3.0 Hz, 1 H), 3.15 (dd, J = 6.6, 2.8 Hz, 1 H), 3.06 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 2.20 (s, 3 H), 1.34 (s, 9 H). LC-MS m/z = 707 [C35H36N2O5SClNa-2]+.
【0257】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)であった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)までであった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):23.86分(鏡像異性体過剰率:>96.9%).
【0258】
実施例13:ナトリウム−2−[4−(R)−2−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−(2’,4’,6’−トリメチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
【化52】

【0259】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 7.65 (d, J = 7.5 Hz, 2 H), 7.51 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.48 - 7.43 (m, 11 H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 6.92 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 6.80 (s, 1 H), 3.97 (t, J = 6.5 Hz, 1 H), 3.71 (t, J = 7.0 Hz, 2 H), 3.50 (dd, J = 9.0, 13.5 Hz, 1 H), 3.08 (dd, J = 6.6, 13.5 Hz, 1 H), 2.99 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 2.19 (s, 3 H), 1.86 (s, 6 H), 1.28 (s, 9 H). LC-MS m/z = 702 [C43H45N2O5SCl]+; 元素分析: (MF: C43H45N2O5SClNa+1.2H2O+0.1 NaHCO3) 計算値: C:68.57, H:6.34, N:3.71 実測値: C: 68.24, H:5.98, N:3.58.
【0260】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)であった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)までであった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):28.908分(鏡像異性体過剰率:>98.79%).
【0261】
実施例14:アンモニウム−2−(R)−(4−{2−[4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−[3−(4,4−ジメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル−4−イルカルバモイル]−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
【化53】

【0262】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.07 (s, 1 H), 8.39 (t, J = 5.0 Hz, 1 H), 7.64 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.57 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.54 (d, J = 7.5 Hz, 2 H), 7.50 - 7.44 (m, 6 H), 7.32 - 7.29 (m, 4 H), 6.0 (bs, 1 H), 4.05 (dd, J = 6.0, 8.5 Hz, 1 H), 3.48 (dd, J = 7.0, 12.5 Hz, 3 H), 3.05 (dd, J = 6.0, 13.5 Hz, 1 H), 2.63 (t, J = 7.0 Hz, 2 H), 2.18 (bs, 3 H), 1.94 (bs, 2 H), 1.44 (t, J = 12.0 Hz, 2 H), 1.29 (s, 9 H), 0.90 (s, 6 H). LC-MS m/z = 692 [C42H48N2O5S]+; 元素分析: (MF: C42H48N2O5S +2.8H2O+0.6 NH3) 計算値: C:66.94, H:7.41, N:4.83 実測値: C: 66.90, H:7.20, N:4.44.
【0263】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)であった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)までであった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):13.87分(鏡像異性体過剰率:>99.0%).
【0264】
実施例15:2−(4−[2−(4−ベンゾオキサゾル−2−イル−フェニルカルバモイル)−2−4−(1R,4R)−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−2−イル)−フェニル]−エチル−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸
【化54】

【0265】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 8.13 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.74 - 7.65 (m, 4 H), 7.40 - 7.38 (m, 6 H),7.33 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.21 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 5.97 (d, J = 3.5 Hz, 2 H), 4.05 (t, J = 6.0, Hz, 1 H), 3.77 (t, J = 6.5, Hz, 1 H), 3.56 - 3.46 (m, 1 H), 3.14 (dd, J = 6.0, 14.0 Hz, 1 H), 3.06 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 2.37 (t, J = 3.5 Hz, 2 H), 1.99 - 1.93 (m, 2 H), 1.72 - 1.67 (m, 2 H), 1.33 - 1.29 (m, 2 H), 1.15 - 1.09 (m, 4 H), 0.90 (s, 3 H), 0.88 (s, 3 H). LC-MS m/z = 703 [C41H41N3O6S]+. HPLC条件: 250x10 mm T=23℃; 移動相 = 100%ACN/(H2O/CAN+0.1 TFA) 流速 = 1.0 mL/分; 検出 = 254, 280, 220 nm 保持時間 (分): 7.39 分 (95.0%).
【0266】
実施例16:ナトリウム−2−[4−(R)−2−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−(4’−クロロ−3’−メチル−フェニル−カルバモイル)−エチル}−ベンゾイルアミノ−エタンスルホン酸
【化55】

【0267】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.59 - 7.44 (m, 13 H), 7.36 - 7.33 (m, 4 H), 4.0 (dd, J = 6.0, 9.0 Hz, 1 H), 3.77 (t, J = 7.0 Hz, 2 H), 3.56 (dd, J = 9.0, 13.0 Hz, 1 H), 3.14 (dd, J = 6.0, 13.0 Hz, 1 H), 3.06 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 2.41 (s, 3 H), 1.34 (s, 9 H). LC-MS m/z = 731 [C35H36N2O5SClNa]+.
【0268】
実施例17:アンモニウム−2−(R)−(4−{2−[4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−(4−メチル−ベンゾオキサゾル−2−イル)フェニルカルバモイル]−エチル}−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸
ステップ1:4−(4−メチル−ベンゾオキサゾル−2−イル)−フェニルアミン
【化56】

【0269】
PPA(〜85g)中の4−アミド−安息香酸(2.0g、14.5mmol)懸濁物に、2−アミド−m−クレゾール(1.8g、15.3mmol)を添加した。反応物を160℃に14時間加熱し、ついで、炭酸ナトリウム(〜50% 飽和)水で室温にて、注意して停止した。酢酸エチルを添加し、有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。粗生成物を得て、引き続き、ヘキサン中の酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物、4−(4−メチル−ベンゾオキサゾル−2−イル)−フェニルアミンを薄ピンク色の固形物として得た、1.8g(56%)。LC-MS m/z = 225 [C14H12N2O+ H]+.
【0270】
ステップ2:実施例1〜6に記載の方法を用いて標記の化合物を4−(4−メチル−ベンゾオキサゾル−2−イル)−フェニルアミンから生成した。
【化57】

【0271】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.48 (s, 1 H), 8.41 (t, J = 3.0 Hz, 1 H), 8.12 (d, J = 5.4 Hz, 2 H), 7.77 (d, J = 5.1 Hz, 2 H), 7.67 - 7.46 (m, 11 H), 7.34 (d, J = 5.1 Hz, 1 H), 7.25 (dd, J = 4.5 Hz, 1 H), 7.17 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.13 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 3.53 - 3.41 (m, 3 H), 3.11 (dd, J = 3.0, 6.5 Hz, 1 H), 2.62 (t, J = 3.9 Hz, 2 H), 2.55 (s, 3 H), 1.29 (s, 9 H).; LC-MS m/z = 717[C42H41N3O6S]+.
【0272】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)であった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)であった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):26.69分(鏡像異性体過剰率:>99.5%).
【0273】
実施例18:アンモニウム−2−(S)−(4−{2−[4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イル)−2−(4−メチル−ベンゾオキサゾル−2−イル)フェニルカルバモイル]−エチル}−ベンゾイルアミノ)−エタンスルホン酸塩
【化58】

【0274】
この化合物は実施例19に記載の方法を用いて生成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.48 (s, 1 H), 8.41 (t, J = 3.3 Hz, 1 H), 8.11 (d, J = 5.1 Hz, 2 H), 7.78 (d, J = 2.1 Hz, 2 H), 7.67 - 7.46 (m, 11 H), 7.34 (d, J = 5.1 Hz, 1 H), 7.25 (dd, J = 4.8 Hz, 1 H), 7.19 (d, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.13 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 3.51 - 3.37 (m, 3 H), 3.09 (dd, J = 3.9, 4.5 Hz, 1 H), 2.62 (t, J = 1.2 Hz, 2 H), 2.60 (s, 3 H), 1.29 (s, 9 H).; LC-MS m/z = 717[C42H41N3O6S]+.
【0275】
キラルHPLC条件:サンプルをエタノールで1mg/mL濃度に希釈した。それを、23℃に保ったRegis-Whelk-01-786615,(S,S)10/100 250x10 mm カラムを装着したHPLCシステムに注入した。カラムを2つの溶媒AおよびBの勾配で30分間溶出した。勾配の組成は、この期間にわたって40%Aから70%A(残りの溶媒はB)であった。溶媒Aはアセトニトリルであり、溶媒Bは5% アセトニトリルおよび5mM 炭酸水素アンモニウムを含有する95% 水の混合物(pHをCOで6.5に調節)であった。生成物はUVで254nmにて検出した。保持時間(分):26.48分(鏡像異性体過剰率:>99.8%)。
【0276】
実施例19:2−{4−[(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチルシクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸
【化59】

【0277】
ステップ1:4−クロロメチル安息香酸tert−ブチルエステル
【化60】

塩化オキサリル(101mL)を滴下により5mLのDMFを含有するジクロロメタン(1.2L)中の4−クロロメチル安息香酸(181.8g)のスラリーに30分かけて添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温にて24時間、減圧下で濃縮し、ついで、トルエンとともに同時蒸発させた。残渣に908mLのMTBEを添加し、混合物を−5℃に冷却した。THF(1.0M、1172mL)中のカリウムtert−ブトキシドの溶液を滴下により添加して、内部温度が10℃を下回ることを確実にした。添加が完了した後、反応混合物をさらに1時間撹拌し、ついで、500mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で処理した。5分間撹拌し、ついで、静置した後、有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濃縮して、241.7g(86% 収率)の暗色油状物質として得た。
HNMR: CDCl3, 1.59 ppm (s, 9H), 4.61 (s, 2H), 7.45 (d, 2H), 7.99 (d, 2H)
【0278】
ステップ2:4−ヨードメチル安息香酸tert−ブチルエステル
【化61】

ヨウ化ナトリウム(229.2g)をアセトン(1.5L)中の4−クロロメチル安息香酸tert−ブチルエステル(315.2g)の溶液に添加した。反応混合物を約2時間還流まで加熱し、ついで、室温にまで冷却させた。沈殿物をろ過で除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を水(500mL)とMTBE(1500mL)との間で分配した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下で濃縮して、442.2g(97% 収率)の暗色油状物質を得た。
HNMR: CDCl3, 1.59 ppm (s, 9H), 4.47 (s, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.91 (d, 2H)
【0279】
【化62】

ステップ3:4−ブロモフェニル酢酸メチルエステル
硫酸(56.5mL)を非常にゆっくりとメタノール(800mL)中の206.6gの4−ブロモフェニル酢酸の溶液に添加した。添加の完了後、混合物を2時間還流まで加熱した。還流冷却器を蒸留ヘッドと交換し、400mLのメタノールを常圧蒸留した。温度を50℃に低下し、反応物をさらに16時間撹拌し、ついで、混合物を室温に冷却し、ジクロロメタン(1L)と水(600mL)との間で分配した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下で濃縮して、220.1g(98% 収率)の無色の油状物質を得た。
HNMR: CDCl3, 3.59 (s, 2H), 3.70 (s, 3H), 7.16 (d, 2H), 7.45 (d, 2H)
【0280】
ステップ4:4−[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−メトキシカルボニル−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル
【化63】

THF(1233mL)中の246.63gのメチル−4−ブロモフェニル酢酸塩および342.54gの4−ヨードメチル安息香酸tert−ブチルエステルの溶液を−8℃に冷却した。THF中のリチウムヘキサメチルジシラジドの溶液(1185mL、1.0M)を滴下により添加して、温度が−2℃未満を維持していることを確実にした。添加が完了した後、反応を〜45分間、同一温度にて進行させ、ついで、酢酸エチル(2.46L)および水(1.23L)の撹拌混合物上に注いだ。有機相を、飽和塩化アンモニウムで、ついで、水で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、450.5g(100% 収率)の濃厚油状物質を得た。
HNMR: CDCl3, 1.41 (s, 9H), 2.88-2.90 (m, 1H), 3.24-3.28 (m, 1H), 3.45 (s, 3H), 3.63 (t, 1H). 6.96-6.99 (m, 4H), 7.25 (d, 2H), 7.68 (d, 2H)
【0281】
ステップ5:(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−tert−ブトキシカルボニル−フェニル)−プロピオン酸(S)−2−ヒドロキシメチルピロリジニウム
【化64】

4−[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−メトキシカルボニル−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル(769g)をTHF(5.38L)および水(3.85L)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(153.9g)で処理した。反応混合物を45℃に約1時間加熱した。反応物を32℃に冷却した後、反応物を11.6Lの酢酸エチルおよび3.9Lの1M 塩酸水の撹拌混合物に注ぎ込んだ。分離した有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。酢酸エチル(2.045L)を残渣に添加し、78℃に〜5分間加温して溶解した。混合物を68℃に冷却し、(S)−(+)−プロリノール(90.5mL)で処理した。室温に冷却した後に沈殿した固体をろ過し、1:1酢酸エチル:ヘプタン(740mL)の冷混合物(7℃)ですすいだ。単離した固体(232.4g、35% 収率)は、キラルHPLC分析で、94% 鏡像異性体過剰率(R異性体)を有することが示された。
【0282】
HNMR: CDCl3, 1.57 (s, 9H), 1.67-1.74, (m, 2H), 2.64-2.69 (m, 1H), 2.76-2.81 (m, 1H), 2.94-2.99 (m, 1H), 3.14-3.19 (m, 1H), 3.32-3.39 (m, 2H), 3.60-3.67 (m, 2H), 7.14-7.19 (m, 4H), 7.35 (d, 2H), 7.80 (d, 2H). キラルHPLC 分析の条件: Kromasil 100-5-TBB カラム, 250 x 4.6mm, 1 mL/分, 15% (1% AcOH/MTBE)/85% ヘキサン, 230/240/250 nm.
【0283】
228gの上記生成物に、684mLの酢酸エチルを添加した。混合物を還流まで温め(移動度につき温度が69℃に達した時にさらなる228mLの酢酸エチルを添加した)、そこで、それを約10分間保持した。懸濁物を、ついで、室温に冷却し、ろ過した。50℃にて真空乾燥した。生成物は、上記HPLC分析により96.9%の鏡像異性体過剰率を持つ白色固体(224.6g、98% 収率)“R’鏡像異性体である。
【0284】
ステップ6:4−[(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−2−カルボキシ−エチル−]−安息香酸tert−ブチルエステル
【化65】

【0285】
2168mLの酢酸エチル中の216.8gの(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−tert−ブトキシカルボニル−フェニル)−プロピオン酸(S)−2−ヒドロキシメチルピロリジニウムの撹拌スラリーを21℃にて1084mLの10% ギ酸水で処理した。20分後、分離した有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。酢酸エチル溶液を常圧でヘプタンに変更して、生成物を粒状固体として得た。166.3g(96% 収率)の白色固体は、上記 キラルHPLC分析により96.9%の鏡像異性体過剰率(“R”鏡像異性体)を有する。
【0286】
HNMR: CDCl3, 1.50 (s, 9H), 2.96-3.00 (m, 1H), 3.32-3.37 (m, 1H), 3.73 (t, 1H), 7.03-7.08 (m, 4H), 7.35 (d, 2H), 7.76 (d, 2H)
【0287】
ステップ7:4−{(R)−2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル
【化66】

【0288】
12mLのDMEおよび6mLのエタノールおよび3mLの水中の3.1gの4−[(R)−2−(4−ブロモ−フェニル)−2−カルボキシ−エチル−]−安息香酸tert−ブチルエステル(3.ステップ2、上掲)、1.5gの4−t−ブチル−シクロヘキサ−1−エニルボロン酸、644mgのPdCl(P(o−トリル)、および2.21gの炭酸ナトリウムの混合物を16時間還流まで加熱した。反応混合物を過剰な塩化アンモニウム水で停止し、酢酸エチルを添加し、ヘテロ混合物をセライトパッドでろ過した。有機相を洗浄し(水、飽和塩化ナトリウム)、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をメタノール−ジクロロメタン勾配を用いるシリカゲル上でクロマトグラフを行って、カルボン酸を得た。
【0289】
HNMR (300 MHz, CDCl3, partial): 6.14 (1H, m), 1.58 (9H, s), 0.92 (9H, s). LCMS m/z = 407.9 [(C30H38O4 + H) - C4H9]+.
【0290】
ステップ8:4−{(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル
【化67】

【0291】
酢酸エチル(100mL)中の4−{(R)−2−[4−(4−tert−ブチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル(3.0g)の溶液に、炭素上10%パラジウム(300mg)を添加した。混合物を水素を充填したバルーン下で、プロトンNMRがオレフィンシグナルの消失を示すまで撹拌した。反応物をセライトのプラグでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、シス/トランス異性体(1:1の比、H NMRに基づく)の混合物を得た。シスおよびトランス異性体を逆相クロマトグラフィーで分離し、後のものがシス(1.34g、2.9mmol、35%)であった。
【0292】
1H NMR (CDCl3): δ 0.95 (9H, s), 1.23-1.38 (4H, m), 1.58 (9H, s), 1.88-1.98. (4H, m), 2.39-2.56 (1H, m), 3.05-3.12 (1H, m), 3.19-3.50 (1H, m), 3.82-3.90 (1H, m), 7.19-7.22 (6H, m), 8.81 (2H, d).
【0293】
文中の以下の引例に基づき、シスを上記のように帰属した。 Garbisch, E.W.; Patterson, D. B., J. Am. Chem. S℃., 1963, 85, 3228.
【0294】
ステップ9:4−[(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステル
【化68】

【0295】
ジクロロメタン(10mL)中の4−{(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステル(300mg)に、ジクロロメタン(2.0M、0.54mL)中の塩化オキサリルの溶液、引き続き、2滴のDMFを添加した。反応混合物を室温にて2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(20mL)に溶解し、4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−アミン(142mg)およびジイソプロピルエチルアミン(0.120mL)で処理した。1時間室温にて撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をメタノールで処理した。生じた白色沈殿物をメタノールで洗浄し、真空乾燥し、さらなる精製せずに次のステップで用いた。
【0296】
ステップ10:4−[(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸
【化69】

【0297】
ジクロロメタン(10mL)中の431mgの4−[(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸tert−ブチルエステルの溶液を、トリフルオロ酢酸(2mL)および濃塩酸水(1mL)で処理した。得られた混合物を16時間室温にて撹拌した。有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濃縮して残った残渣をさらなる精製せずに用いた。
【0298】
ステップ11:2−{4−[(R)−2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシ)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸
【化70】

【0299】
(R)−4−[2−[4−(4−(シス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−安息香酸(350mg、0.6mmol)を3mLのDMFに溶解し、引き続き、HOBt(133mg、0.9mmol)、EDCI(132mg、0.7mmol)、タウリン(86mg、0.7mmol)およびヒューニッヒ塩基(Hunig’s base)(374mg、2.9mmol)を添加した。得られた反応混合物を、ついで、16時間室温にて撹拌した。反応溶液をEtOAc(25mL)および10mLの水で希釈し、2.4N HClで酸性化した。層分離し、水層をEtOAc(2x20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、NaSOで乾燥させ、フリットでろ過し、減圧下で濃縮して、泡状物質を得た。物質を逆相HPLC精製に付して、所望の生成物を白色固体として得た(150mg、36%)。
【0300】
1H NMR (CD3OD): δ 0.89 (9H, s), 1.10-1.60 (6H, m), 1.80-1.90 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.32-2.53 (1H, m), 3.05-3.10 (4H, m), 3.47-3.55 (1h, dd), 3.77 (2H, t), 3.93-3.98 (1H, m), 7.09-7.47 (11H, m), 7.50 (2H, d), 7.70 (2H, d). 元素分析. For C42H47ClN2O5S + NH3 +1.2 H2O; C = 65.22; H = 7.13; N = 5.57. 実測値 C = 65.31; H = 7.00; N = 5.57.
【0301】
ステップ12.(R)−2−{4−[2−[4−(4−(トランス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸
ステップ8から単離されたトランス異性体、(R)−4−{2−[4−(4−(トランス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−カルボキシ−エチル}−安息香酸tert−ブチルエステルをステップ9〜11の手順に付して、(R)−2−{4−[2−[4−(4−(トランス)−tert−ブチル−シクロヘキシル)−フェニル]−2−(4’−クロロ−2’−メチル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−エタンスルホン酸を得た。
【化71】

【0302】
上記の実施例は、当業者に特許請求した具体例をいかに行い、使用するかについて完全なる開示および説明をするために提供され、ここに開示されているものの範囲を限定する意図はない。当業者に明らかな修飾は特許請求の範囲の範囲以内であることを意図している。この明細書で引用するすべての刊行物、特許および特許出願は出典明示して、あたかも、その全体がそのような刊行物、特許または特許出願が特別にかつ個別に出典明示して本明細書に含まれるように、含まれるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


[式中:
44はH、CHまたはCHCHであり;
45はC1−6−アルキル、アルケニル、アルコキシ、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニル、C4−8−ビシクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、そのいずれも、所望により、C1−6アルキル、CF、F、CNまたはOCFから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
Lはフェニル、インデニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニルまたはC4−8−ビシクロアルケニルであり、そのいずれも、所望により、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;および
46はH、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基を表わす]
の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ。
【請求項2】
44がH、CHまたはCHCHであり;
45がC1−6−アルキル、アルケニル、アルコキシ、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニル、C4−8−ビシクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、そのいずれも、所望により、C1−6アルキル、CF、F、CNまたはOCFから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;
Lがフェニル、インデニル、ベンゾオキサゾール−2−イルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、そのいずれも、所望により、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;および
46がH、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNである;
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Lが、フェニル、ベンゾオキサゾール−2−イルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、そのいずれも、所望により、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Lが4−クロロ−2−メチルフェニル、4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−ベンゾオキサゾリル、4−クロロ−3−メチルフェニルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルである請求項2記載の化合物。
【請求項5】
44がHまたはCHである前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項6】
44がHである請求項5記載の化合物。
【請求項7】
45が3(メタ)または4(パラ)位に付着した前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項8】
45が4(パラ)位に付着した請求項7記載の化合物。
【請求項9】
45がアルケニル、C3−6−シクロアルキル、C4−8−シクロアルケニル、C4−8−ビシクロアルケニルまたはフェニルであり、そのいずれも、所望により、C1−6アルキルまたはCFから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項10】
45が、独立して、CHおよび(CHC−から選択される1以上の置換基で置換された前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項11】
45が(CHCCH=CH−、t−ブチル−シクロアルキル−、ジメチル−シクロアルキル−、t−ブチル−シクロアルケニル−、ジメチル−シクロアルケニル−、ビシクロアルケニル−またはt−ブチル−フェニル−から選択される前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項12】
45がトランス−t−ブチルビニル、シス−4−t−ブチルシクロヘキシル、トランス−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、シクロヘキサ−1−エニル、(S)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジエチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジエチルシクロヘキシル、4,4−ジプロピルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキサ−1,5−ジエニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]3−ヘプチル−2−エン、(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]2−ヘプチル−2−エン、2−メチル−4−クロロ−フェニル、2,4,6−トリメチルフェニルまたは4−t−ブチルフェニルである前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項13】
45がトランス−t−ブチルビニル、シス−4−t−ブチルシクロヘキシル、トランス−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキセニル、(S)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル、(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]2−ヘプチル−2−エンまたは4−t−ブチルフェニルである請求項12記載の化合物。
【請求項14】
46がHまたはCHである前記請求項いずれか1記載の化合物。
【請求項15】
46がHである請求項14記載の化合物。
【請求項16】
該化合物が群:
【表1−1】

【表1−2】

から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項17】
該化合物が:
【化2】

である請求項1記載の化合物。
【請求項18】
該化合物が:
【化3】

である請求項1記載の化合物。
【請求項19】
該化合物が:
【化4】

である請求項1記載の化合物。
【請求項20】
該化合物が:
【化5】

である請求項1記載の化合物。
【請求項21】
該化合物が:
【化6】

である請求項1記載の化合物。
【請求項22】
該化合物が:
【化7】

である請求項1記載の化合物。
【請求項23】
該化合物が:
【化8】

である請求項1記載の化合物。
【請求項24】
式II:
【化9】

II
[式中:
44はHであり;
45はシス−4−t−ブチルシクロヘキシル、トランス−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、4,4−ジエチルシクロヘキシル、4,4−ジプロピルシクロヘキシル、4,4−ジエチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル、(S)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロヘキサ−1−エニル、4−t−ブチルフェニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルまたは(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタ−2−エニルであり;
Lはフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、4−アルキル−シクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジアルキルシクロヘキサ−1−エニル、4−アルキル−シクロヘキシル、4,4−ジアルキルシクロヘキシルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、そのいずれも、所望により、F、Cl、CH、CF、OCFまたはCNから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;および
46はHである]
の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ。
【請求項25】
LがClまたはCHから独立して選択される1以上の置換基で置換された請求項24記載の化合物。
【請求項26】
Lがフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イルまたは4,4−ジメチルシクロヘキセニルであり、そのいずれも、所望により、ClまたはCHから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい請求項24または25記載の化合物。
【請求項27】
45が3(メタ)または4(パラ)位に付着した請求項24ないし26いずれか1記載の化合物。
【請求項28】
45がシス−4−t−ブチルシクロヘキシル、トランス−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、(S)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、4,4−ジプロピルシクロヘキサ−1−エニル、4−t−ブチルフェニル、(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルまたは(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタ−2−エニルである請求項24ないし26いずれか1記載の化合物。
【請求項29】
45がシス−4−t−ブチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル、(S)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、(R)−4−t−ブチルシクロヘキサ−1−エニル、4−t−ブチルフェニルまたは(1R,4S)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]−3−ヘプタ−2−エニルである請求項28記載の化合物。
【請求項30】
該化合物が(R)異性体である請求項24ないし29いずれか1記載の化合物。
【請求項31】
請求項1ないし30の化合物のいずれか、および1以上の医薬上許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項32】
さらに、第2の治療剤を含む請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
該第2の治療剤が抗糖尿病剤である請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項1ないし30の化合物のいずれかを投与することを含む、グルカゴン受容体の変調に対して応答性の疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和する方法。
【請求項35】
請求項1ないし30の化合物のいずれかを投与することを含む、肝グルコース生産、または対象の血中グルコースレベルの減少に対して応答性の疾患、障害または病気の1以上の兆候を治療し、予防し、または緩和する方法。
【請求項36】
該病気が糖尿病である請求項34または35記載の方法。

【公表番号】特表2012−500212(P2012−500212A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523184(P2011−523184)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/053795
【国際公開番号】WO2010/019830
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(399124174)メタバシス・セラピューティクス・インコーポレイテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】METABASIS THERAPEUTICS, INC.
【Fターム(参考)】