説明

グルカゴン受容体アンタゴニスト化合物、このような化合物を含む組成物及び使用方法

グルカゴン受容体アゴニスト化合物が開示される。この化合物は、2型糖尿病及び関連病状の治療に有用である。医薬組成物及び治療の方法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン受容体アンタゴニスト化合物、このような化合物を含む組成物、及び2型糖尿病及び関連病状に関連する種々の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の原因から誘導される疾患プロセスであり、空腹状態における、又は経口グルコース負荷試験の際のグルコース投与後の上昇した血漿グルコースレベル(高血糖症)によって特徴づけられる。真性糖尿病(例えば、空腹状態における血糖レベル>126mg/dL)は、上昇した、そして未成熟の心臓血管罹患率、及び死亡率と関連し、脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質の代謝を含む、種々の代謝条件と直接的及び間接的に関連する。
【0003】
非インシュリン依存性糖尿病(2型糖尿病)を患っている患者、糖尿病を患っている患者の約95%は、しばしばコレステロール及びトリグリセリドのような血清脂質のレベルの上昇を示し、高いレベルのLDL−コレステロール及び低いレベルのHDL−コレステロールを伴う劣等な血中脂質プロフィールを有する。従って、2型糖尿病を患っている患者は、冠動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧症(例えば、安静時の血圧が、130/80mmHgを超える)、腎障害、神経障害及び網膜症を含む、大血管及び微小血管合併症の危険性が上昇している。
【0004】
2型糖尿病を患っている患者は、非糖尿病患者に比べ、血漿インシュリンレベルの上昇を特徴的に示す。これらの患者は、主要なインシュリン感受性組織(筋肉、肝臓及び脂肪組織)において、グルコース及び脂質代謝のインシュリン刺激に抵抗性を示す。従って、2型糖尿病、該疾患の自然の進行における少なくとも早期は、インシュリン生産の減少によるよりも、インシュリン抵抗性によって主に特徴づけられ、筋肉内のグルコースの不十分な摂取、酸化及び貯蔵、脂肪組織における脂肪分解の不適当な抑圧、及び過剰なグルコース生産及び肝臓による分泌をもたらす。インシュリンに対する感受性の減少の正味の影響は、血漿グルコースの適切な減少なしで、血液内で高レベルのインシュリンが循環することである(高血糖症)。高インシュリン血症は、高血圧症の発症の危険因子であり、血管障害の原因ともなり得る。
【0005】
グルカゴンは、肝臓の糖新生の阻害におけるインシュリンの効果を弱める主要な調節ホルモンとしての役割を果たし、血液中のグルコースレベルの低下に応じて、膵島におけるα細胞によって正常に分泌される。ホルモンは、肝臓細胞中の特定の受容体と結合してグリコーゲン分解を誘発し、cAMP−媒介事象を通じて糖新生を増加させる。これらの応答は、血中グルコースレベルの有意な低下を防止することにより、正常血糖を維持することを促進するために、グルコースを生成する(例えば、肝臓におけるグルコース生産)。循環するインシュリンの上昇したレベルに加え、2型糖尿病は、血漿グルカゴンのレベルの上昇、及び肝臓におけるグルコース生産の速度の増加を伴う。グルカゴン受容体アンタゴニストは、肝臓におけるインシュリン応答性を改善し、グリコーゲン分解及びグルコース生成の速度を減少し、肝臓におけるグルコースの生産速度を低下し、それによって、血漿グルコースレベルを減少するのに有用である。
【発明の開示】
【0006】
発明の要旨
式I
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、環Aは、二環式アリール、又は1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個がO又はSであり、その0〜2個がN原子である8〜10員環の二環式ヘテロアリール基を表し;
は、C1−10アルキル及びC2−10アルケニルから選択され、前記基は、パーハロまでの1〜5個のハロ基、並びにOH、CO、SO、CN、NO、C(O)NR、NR、OC1−6アルキル、C1−6ハロアルコキシ、ハロC1−6アルキルチオ、アリール及びヘテロアリールから選択される1個のメンバーで置換されていてもよく、
前記アリール及びヘテロアリールは、1〜3個のハロ基、及びOH、CO、SO、CN、NO、C(O)NR、NR、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C(O)C1−6アルキル、C(O)−ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、ハロC2−6アルケニル、SC1−6アルキル及びハロSC1−6アルキルからなる群から選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
は、水素、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルを表し;
4個のR基は、以下のものを表し、
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−C1−4アルキル−HAR、−X−アリール、−X−HAR、−X−C1−4アルキル−アリール、及び−X−C1−4アルキル−HARからなる群から選択され、ここで、XはO、S、S(O)又はS(O)を表し;
前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は、1〜4個のハロ基、並びにOH、CN、C1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、NO、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びNRから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、OH、CN、オキソ、NO、SO、NR、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル、C2−8アルケニル、OC2−8アルケニル及びハロC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子であり;
は、H又はC1−6アルキルであり、そして
は、C1−8アルキル、ハロC1−6アルキル、アリール又はAr−C1−4アルキルからなる群から選択されるメンバーを表し;
及びRは、それぞれ独立してH又はC1−6アルキルを表し;
pは、0、1又は2であり;
は、CHCHCO、CHCH(OH)CO又は5−テトラゾリルを表し;そして
は、H、又はハロ、CN、NO、OH、C1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル及びハロC1−3アルコキシからなる群から選択される)により表される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【0009】
発明の詳細な記載
本発明は、本明細書において、特に定義しない限りは以下の用語を用いて詳細に説明される。
【0010】
「アルキル」及びアルコキシ、アルカノイルのような、前に「alk」を有する他の置換基は、示された数の炭素原子を含む、直鎖状、分岐状又は環状、又はそれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。数が特定されていない場合、直鎖状又は分岐状アルキル基については1〜10炭素原子を意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。シクロアルキルはアルキルのサブセットであり、原子の数が特定されていない場合、3〜10個の炭素原子を意味し、縮環する1〜3個の炭素環を形成する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカヒドロナフチル等が含まれる。
【0011】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖状又は分枝状、又はこれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。アルケニルの具体例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が含まれる。
【0012】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含み、直鎖状又は分枝状、又はこれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。アルキニルの具体例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニル等が含まれる。
【0013】
「アリール(Ar)」は、6〜12個の炭素原子を含む、単環式及び二環式芳香環を意味する。アリールの具体例には、フェニル、ナフチル、インデニル等が含まれる。また、「アリール」には、アリール基と縮環した単環が含まれる。具体例には、テトラヒドロナフチル、インダニル等が含まれる。
【0014】
「ヘテロアリール」(HAR)は、N、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、それぞれの環が5〜6個の原子を含有する単環式又は二環式の芳香環又は環システムを意味する。ヘテロアリールの具体例には、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル等が含まれる。また、ヘテロアリールには、非芳香族又は部分的に芳香族である複素環と縮環した芳香族複素環基、及びシクロアルキル環と縮環した芳香族複素環基が含まれる。また、ヘテロアリールには、ピリジニウム等の荷電した形態の基を含む。
【0015】
「ヘテロシクリル」(Hetcy)は、N、S及びOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、それぞれの環が3〜10個の原子を含有する、連結部分が炭素又は窒素である単環又は二環式飽和環及び環システムを意味する。「ヘテロシクリル」の具体例には、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾキサジニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリル等が含まれる。また、前記用語は、窒素を通じて連結した2−又は4−ピリドン又はN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)のような芳香族でない部分的に不飽和の単環式環を含む。更に、ヘテロシクリルは、ピペリジニウム等の荷電した形態の基を含む。
【0016】
「ハロゲン(ハロ)」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0017】
本発明の一実施態様は、式I
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、環Aは、二環式アリール、又は1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個がO又はSであり、その0〜2個がN原子である8〜10員環の二環式ヘテロアリール基を表し;
は、C1−10アルキル及びC2−10アルケニルから選択され、前記基は、パーハロまでの1〜5個のハロ基、並びにOH、CO、SO、CN、NO、C(O)NR、NR、OC1−6アルキル、C1−6ハロアルコキシ、ハロC1−6アルキルチオ、アリール及びヘテロアリールから選択される1個のメンバーで置換されていてもよく、
前記アリール及びヘテロアリールは、1〜3個のハロ基、及びOH、CO、SO、CN、NO、C(O)NR、NR、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C(O)C1−6アルキル、C(O)−ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、ハロC2−6アルケニル、SC1−6アルキル及びハロSC1−6アルキルからなる群から選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
は、水素、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルを表し;
4個のR基は、以下のものを表し、
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−C1−4アルキル−HAR、−X−アリール、−X−HAR、−X−C1−4アルキル−アリール及び−X−C1−4アルキル−HARからなる群から選択され、ここで、XはO、S、S(O)又はS(O)を表し;
前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は、1〜4個のハロ基、並びにOH、CN、C1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、NO、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びNRから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、OH、CN、オキソ、NO、SO、NR、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル、C2−8アルケニル、OC2−8アルケニル及びハロC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子であり;
は、H又はC1−6アルキルであり、そして
は、C1−8アルキル、ハロC1−6アルキル、アリール又はAr−C1−4アルキルからなる群から選択されるメンバーを表し;
及びRは、それぞれ独立してH又はC1−6アルキルを表し;
pは、0、1又は2であり;
は、CHCHCO、CHCH(OH)CO又は5−テトラゾリルを表し;そして
は、H、又はハロ、CN、NO、OH、C1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル及びハロC1−3アルコキシからなる群から選択される)により表される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0020】
興味のある本発明の態様は、環Aがナフチル、及び、1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個が酸素又はイオウ原子であり、その0〜2個が窒素原子である二環式9〜10員環ヘテロアリール、からなる群から選択される、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいて、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0021】
特に、興味のある本発明の態様は、環Aが、ナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル及びベンゾオキサゾリルからなる群から選択される、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0022】
興味のある本発明の他の態様は、RがC1−8アルキル基又はC2−8アルケニル基を表し、前記基は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、更にOH、SO、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、アリール及びHARから選択される1個の置換基で置換されていてもよく、
前記アリール及びHARは、1〜3個のハロ原子、及びSO、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル及びハロC1−6アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0023】
特に、興味のある本発明の他の態様は、RがC1−8アルキル基又はC2−8アルケニル基を表し、前記基は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、更にSO、アリール及びHARから選択される1個の置換基で置換されていてもよく、pは0を表し、RはC1−4アルキルを表し、そして
前記アリール及びHARは、1〜3個のハロ原子、及びSO、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル及びハロC1−6アルコキシから選択される1個の置換基で置換されていてもよい、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0024】
興味のある本発明の他の態様は、Rが、H、C1−4アルキル及びハロC1−4アルキルからなる群から選択される、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0025】
興味のある本発明の他の態様は、4個のR基が以下を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0026】
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−X−(CH1−4アリール、−C1−4アルキル−HAR及び−X−(CH1−4HARからなる群から選択され;
ここで、XはO又はSを表し、前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は1〜3個のハロ原子、並びにC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、SO、C2−6アルケニル、O2−6アルケニル及びCNから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、CN、NO、SO、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル及びC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子である。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0027】
特に、興味のある本発明の他の態様は、4個のR基が以下を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0028】
1)0〜1個のR基は、フェニル、5〜6員環のHAR基、−(CH1−2−フェニル、−X−(CH1−2−フェニル、−(CH1−2−5〜6員環のHAR及び−X−(CH1−2−5〜6員環のHARからなる群から選択され、
ここで、XはO又はSを表し、前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は1〜3個のハロ原子、並びにC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、SO、C2−6アルケニル、O2−6アルケニル及びCNから選択される1個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、CN、NO、SO、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、O−C1−8ハロアルキル及びC2−8アルケニルから選択され;
pは0を表し、RはC1−6アルキル又はハロC1−6アルキルを表し、そして
3)残りのR基は、H、又はCl及びFから選択されるハロ原子である。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は初めに定義された通りである。
【0029】
興味のある本発明の他の態様は、R
【0030】
【化3】

【0031】
から選択される、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は、式Iについて初めに定義された通りである。
【0032】
特に、興味のある本発明の他の態様は、R
【0033】
【化4】

【0034】
を表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は、式Iについて初めに定義された通りである。
【0035】
興味のある本発明の他の態様は、RがHを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は、式Iについて初めに定義された通りである。
【0036】
特に興味のある本発明の態様は、環Aが、ナフチル、及び、1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個が酸素又はイオウ原子であり、その0〜2個が窒素原子である二環式9〜10員環ヘテロアリール、からなる群から選択され;
は、C1−8アルキル基又はC2−8アルケニル基を表し、前記基は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、更にOH、SO、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、アリール及びHARから選択される1個の置換基で置換されていてもよく、
前記アリール及びHARは、1〜3個のハロ原子、並びにSO、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル及びハロC1−6アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;
は、H、C1−4アルキル及びハロC1−4アルキルからなる群から選択され;
4個のR基は、以下を表し、
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−X−(CH1−4アリール、−C1−4アルキル−HAR及び−X−(CH1−4HARからなる群から選択され、
ここで、XはO又はSを表し、前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は1〜3個のハロ原子、並びにC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びCNから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、CN、NO、SO、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル及びC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子であり;
は、
【0037】
【化5】

【0038】
から選択され、そして
は、Hを表す、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。本発明のこのサブセットにおいては、全ての他の変数は、式Iについて初めに定義された通りである。
【0039】
本明細書に開示される本発明の範囲内の化合物を本明細書に含まれる表に記載する。表に記載される化合物の薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、同様に本発明に含まれる。
【0040】
興味のある本発明の他の態様は、式Iについて前述した化合物と、薬学的に許容される担体とを組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0041】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における2型糖尿病を治療する方法であって、2型糖尿病を治療するのに有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0042】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における2型糖尿病の発症の遅延方法であって、2型糖尿病の発症を遅延するのに有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0043】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療する方法であって、高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療するのに有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0044】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における非インスリン依存性糖尿病を治療する方法であって、抗糖尿病に有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0045】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における肥満症を治療する方法であって、肥満症を治療するのに有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0046】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者におけるX症候群を治療する方法であって、X症候群を治療するのに有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0047】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における、脂質代謝異常、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法であって、前記脂質障害を治療するのに有効な量の式Iについて前述した化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0048】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量の前述した式Iの化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0049】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質代謝異常、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満症、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)X症候群、及びインスリン抵抗性が構成要素である他の病状及び疾患からなる群から選択される病状を治療する方法であって、前記病状を治療するのに有効な量の前述した式Iの化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0050】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質代謝異常、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満症、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)X症候群、及びインスリン抵抗性が構成要素である他の病状及び疾患からなる群から選択される病状の発症の遅延方法であって、前記病状の発症を遅延するのに有効な量の前述した式Iの化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0051】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質代謝異常、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満症、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)X症候群、及びインスリン抵抗性が構成要素である他の病状及び疾患からなる群から選択される病状の発生の危険性を減少する方法であって、前記病状の発生の危険性を減少するするのに有効な量の前述した式Iの化合物を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0052】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なほ乳類患者における、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質代謝異常、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満症、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)X症候群、及びインスリン抵抗性が構成要素である他の病状及び疾患からなる群から選択される病状の治療方法であって、
有効な量の前述した式Iの化合物、及び
(a)シタグリプチン、ビルダグリプチン及びサクサグリプチン、並びに2004年3月2日に登録された米国特許第6,699,871B1に開示された化合物のようなDPP−IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアニド、からなる群から選択されるインスリン感作物質;(c)インスリン及びインスリン模倣薬:(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質;(e)αグルコシダーゼ阻害剤;(f)他のグルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン補獲剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、(viii)抗酸化剤、(ix)LXR修飾因子、及び(x)トルセトラピブ等のCETP阻害剤、からなる群から選択されるコレステロール低下薬;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、(n)グルココルチコイドを除く抗炎症剤;(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−IB)阻害剤、及び(p)リモナバント、並びに2003年9月25日に公開されたWO03/077847A2、及び2005年1月6日に公開されたWO05/000809(参考文献として本明細書に組み入れられる)に開示されたようなCB1アンタゴニスト/インバースアゴニスト、
からなる群から選択される化合物を、前記患者に投与することを含む方法であって、前記化合物を、前記病状を治療するのに有効な量で患者に投与する方法に関する。
【0053】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要な哺乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質代謝異常からなる群から選択される病状の治療方法であって、治療に有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0054】
特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要な哺乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質代謝異常からなる群から選択される病状の治療方法であって、治療に有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法であって、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンである方法に関する。
【0055】
特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要な哺乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質代謝異常からなる群から選択される病状の治療方法であって、治療に有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法であって、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フラバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0056】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要な哺乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質代謝異常からなる群から選択される病状、及びこのような病状の後遺症の発生の危険を減少する方法であって、治療に有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0057】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0058】
特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を前記患者に投与することを含む方法であって、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンである方法に関する。
【0059】
特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を前記患者に投与することを含む方法であって、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フラバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及びリバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0060】
特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を前記患者に投与することを含む方法であって、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がシンバスタチンである方法に関する。
【0061】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びコレステロール吸収阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法に関する。特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症を遅延し、又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前記の前述した式Iの化合物及びコレステロール吸収阻害剤を前記患者に投与することを含む方法であって、前記コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである方法に関する。
【0062】
興味のある本発明の他の態様は、治療の必要な哺乳動物患者における前述した以外の疾患及び症状の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びコレステロール吸収阻害剤を、前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0063】
特には、興味のある本発明の他の態様は、治療の必要なヒト患者における前述した以外の疾患及び症状の発症を遅延し又は発生の危険を減少する方法であって、有効な量の前述した式Iの化合物及びコレステロール吸収阻害剤を前記患者に投与することを含む方法であって、前記コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである方法に関する。
【0064】
興味のある本発明の他の態様は、(1)前述した式Iの化合物、
(2)(a)シタグリプチン、ビルダグリプチン及びサクサグリプチン、並びに2004年3月2日に登録された米国特許第6,699,871B1に開示された化合物のようなDPP−IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアニド、からなる群から選択されるインスリン感作物質;(c)インスリン及びインスリン模倣薬:(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質;(e)αグルコシダーゼ阻害剤;(f)他のグルカゴン受容体アンタゴニスト;(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン補獲剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、(viii)抗酸化剤、(ix)LXR修飾因子、及び(x)トルセトラピブ等のCETP阻害剤、からなる群から選択されるコレステロール低下薬;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、(n)グルココルチコイドを除く抗炎症剤;(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−IB)阻害剤、及び(p)リモナバント、2003年9月25日に公開されたWO03/077847A2、及び2005年1月6日に公開されたWO05/000809に開示されたようなCB1アンタゴニスト/インバースアゴニスト、
からなる群から選択される化合物、及び(3)薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0065】
興味のある本発明の一つの医薬組成物は、前述した式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、
【0066】
【化6】

【0067】
からなる群から選択されるDPP−IV阻害剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを組み合わせて含む。
【0068】
興味のある本発明の他の医薬組成物は、前述した式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、CB1受容体アンタゴニスト/インバースアゴニストと、薬学的に許容される担体とを組み合わせて含む。本明細書に記載される特に興味のあるCB1アンタゴニスト/インバースアゴニストの具体例には、リモナバント、2003年9月25日に公開されたWO03/077847A2に開示された以下のもの、
(1)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(4−クロロフェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(2)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(3)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−(3−ピリジル)プロピル]−2−(4−クロロフェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(4)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(3,5−ジフルオロフェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(5)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−フェニル−1−メチルプロピル]−2−(3,5−ジクロロフェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(6)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(3−クロロフェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(7)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−メチルプロピル]−2−(2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(8)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニル−プロピル]−2−(5−クロロ−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(9)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(6−メチル−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(10)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(フェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(11)N−[(3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチルピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(12)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(3−ピリジル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(13)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(14)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(5−クロロ−3−ピリジル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(15)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(5−メチル−3−ピリジル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(16)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(5−シアノ−3−ピリジル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(17)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(3−メチルフェニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(18)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−フェニル−1−メチルプロピル]−2−(4−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(19)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−フェニル−1−メチルプロピル]−2−(4−トリフルオロメチル−2−ピリミジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(20)N−[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−(チオフェン−3−イル)プロピル]−2−(5−クロロ−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(21)N−[3−(5−クロロ−2−ピリジル)−2−フェニル−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(22)N−[3−(4−メチル−フェニル)−1−メチル−2−フェニルプロピル]−2−(4−トリフルオロメチル−フェニルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(23)N−[3−(4−フルオロ−フェニル)−2−(3−シアノ−フェニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(24)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(1−インドリル)−1−メチル)プロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−オキシピリジン−2−イル)−2−メチルプロパンアミド;
(25)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(7−アザインドール−N−イル)−1−メチル)プロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(26)N−[3−(4−クロロ−フェニル)−2−(1−インドリニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(27)N−[3−(4−クロロ−フェニル)−2−(N−メチル−アニリノ)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(28)N−[3−(4−メトキシ−フェニル)−2−(3−シアノ−フェニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(29)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−(6−トリフルオロメチル−4−ピリミジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(30)N−[2−(3−シアノフェニル)−1,4−ジメチルペンチル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(31)N−[3−(4−クロロフェニル)−2−(1−オキシド−5−シアノ−3−ピリジル]−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(32)N−[2−(3−シアノフェニル)−3−シクロブチル−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(33)N−[2−(3−シアノフェニル)−1−メチル−ヘプチル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(34)N−[2−(3−シアノフェニル)−3−シクロペンチル−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;
(35)N−[2−(3−シアノフェニル)−3−シクロヘキシル−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;及び
2005年1月6日に公開されたWO05/000809に開示された、以下のもの、すなわち、
3−{1−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]アゼチジン−3−イリデン}−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロパンニトリル、
1−{1−[1−(4−クロロフェニル)ペンチル]アゼチジン−3−イル}−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−メチルプロパン−2−オール、
3−((S)−(4−クロロフェニル){3−[(1S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]アゼチジン−1−イル}メチル)ベンゾニトリル、
3−((S)−(4−クロロフェニル){3−[(1S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−フルオロ−2−メチルプロピル]アゼチジン−1−イル}メチル)ベンゾニトリル、
3−((4−クロロフェニル){3−[1−(3,5−ジフルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピル]アゼチジン−1−イル}メチル)ベンゾニトリル、
3−((1S)−1−{1−[(S)−(3−シアノフェニル)(4−シアノフェニル)メチル]アゼチジン−3−イル}−2−フルオロ−2−メチルプロピル)−5−フルオロベンゾニトリル、
3−[(S)−(4−クロロフェニル)(3−{(1S)−2−フルオロ−1−[3−フルオロ−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル)フェニル]−2−メチルプロピル}アゼチジン−1−イル)メチル]ベンゾニトリル、及び
5−((4−クロロフェニル){3−[(1S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−フルオロ−2−メチルプロピル]アゼチジン−1−イル}メチル)チオフェン−3−カルボニトリル、及びその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を含み、薬学的に許容される担体と組み合わせる。
【0069】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物の多くは、1個以上の不斉中心を有し、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、1つの鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在する。本発明は、化合物のこのような全ての異性形態を、純粋な形態として及び混合物として含む。
【0070】
本明細書に開示された化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含み、特に明記しない限り、E及びZの両方の幾何異性体を包含することを意味する。
【0071】
本明細書に開示された化合物のいくつかは、互変異性体と呼ばれる水素の異なる連結点を有して存在してもよい。このような具体例は、ケト−エノール互変異性体として知られる、ケトン及びそのエノール形態であってもよい。個々の互変異性体及びその混合物は、式Iで表される化合物に包含される。
【0072】
塩及び溶媒和物
式Iの化合物の塩及び溶媒和物は本発明に含まれる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基、及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される実質的に非毒性の塩基又は酸から製造される塩、及び医薬的に許容される塩に変換され得る塩を意味する。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機の非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級及び三級アミン、自然に発生した置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基イオン交換樹脂の塩、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
【0073】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機及び有機酸を含む薬学的に許容される非毒性の酸から製造される。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。
【0074】
特に好ましくは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0075】
本明細書で用いられる溶媒和物は、水のような溶媒と会合した式Iで表される化合物又はその塩を意味する。代表的な具体例には、水和物、半水和物、三水和物等が含まれる。
【0076】
式Iで表される化合物への言及は、薬学的に許容される塩及び溶媒和物を意図する。
【0077】
本発明は、グルカゴン受容体に拮抗することによりグルカゴンの活性を阻害し、それによって糖新生及び糖原分解の速度、及び血漿中のグルコース濃度を減少する方法に関する。
【0078】
式Iの化合物は、薬剤を提供するために式Iの化合物と担体材料とを混合する工程を包含する、哺乳動物におけるグルコースレベルの上昇に関連する疾患の予防又は治療のための薬剤の製造に用いることができる。
【0079】
投与範囲
式Iの化合物の予防又は治療の投与量は、当然に、治療すべき症状の性質又は重篤度、特に選択された化合物及びその投与経路によって変化する。それは、個々の患者の年齢、体重及び反応によっても変化する。一般に、1日の投与量範囲は、単一又は分割した投与量で、体重1kgあたり約0.001mg〜約100mgの範囲であり、好ましくは体重1kgあたり約0.01mg〜約50mgであり、更に好ましくは、体重1kgあたり0.1〜10mgである。いくつかのケースにおいては、これらの限界を超える投与量を用いることが必要であるかもしれない。「有効な量」、「抗糖尿病効果量」なる用語、及び用いられる化合物の量を扱う本出願を通じて現れる用語は、熟練した医師によって決定されるように、これらの範囲を超える任意の変化を考慮に入れて、与えられた範囲の量を意味する。
【0080】
式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩及び溶媒和物の代表的投与量は、成人に対して、単一又は分割した投与量で、1日あたり約0.1mg〜約1.0gであり、好ましくは約1mg〜約500mgである。式Iの化合物と組み合わせて用いられる化合物の代表的投与量は公知であり、又はその決定は、本明細書の開示を考慮し、当業者のレベルの範囲内である。
【0081】
静脈内又は経口投与を用いる場合、代表的な投与量範囲は、体重1kgあたり、1日あたり、式Iの化合物の約0.001mg〜約100mg(好ましくは0.01mg〜約10mg)であり、更に好ましくは、体重1kgあたり、1日あたり、式Iの化合物の約0.1mg〜約10mgである。
【0082】
他の薬剤と併用して用いる場合、グルカゴンアンタゴニストについて前述した投与量は、他の薬剤の通常の投与量と一緒にもたらされる。例えば、米国特許第6,699,871B1に開示されたDPP−IV阻害剤が含まれる場合、DPP−IV阻害剤は、1日あたり単一又は分割した投与量で、約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約2.5mg〜約250mg、特には約50mg〜約100mgを用いることができる。同様に、CB1アンタゴニスト/インバースアゴニストと併用してグルカゴン受容体アンタゴニストが用いられる場合、CB1アンタゴニスト/インバースアゴニストは、必要に応じて、1日あたり単一又は分割した投与量で、約0.1mg〜約1000mg、特に約1.0mg〜約100mg、特に1.0mg〜約10mgの範囲の量で用いることができる。CB1アンタゴニスト/インバースアゴニストの投与量の具体例には、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg及び10mgが含まれる。
【0083】
医薬組成物
前記のように、医薬組成物は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを含む。「組成物」なる用語は、担体を構成する活性及び不活性成分(薬学的に許容される賦形剤)を含む生成物、及び2種以上の成分の組み合わせ、錯体形成又は会合、又は1種以上の成分の解離、又は成分間の他のタイプの反応又は相互作用から直接的又は間接的に得られる任意の生成物を含む。好ましくは、前記組成物は、2型糖尿病の治療、予防又は発症を遅延するのに有効な量の式Iの化合物と、薬学的に許容される担体とを組み合わせてなる。
【0084】
投与に適した任意の経路が、本発明の化合物の有効量を哺乳動物、特にヒトに与えるために用いられる。例えば、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与、眼内投与、経肺投与、経鼻投与等が用いられる。投与形態の具体例には、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾール等が含まれ、経口投与錠剤が好ましい。
【0085】
経口投与用組成物の製造においては、通常の薬学的媒体、例えば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液のような経口用液体の場合、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存剤、着色剤等が、粉末、カプセル及び錠剤のような経口用固体の場合、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、バインダー、崩壊剤等が用いられる。固体経口投与製剤が好ましい。投与の容易さのため、錠剤及びカプセルは、最も有利な経口投与単位形態となる。所望であれば、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングしてもよい。
【0086】
式Iの化合物は、前記の通常の投与形態に加え、例えば米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第3,630,200号及び第4,008,719号に記載されたような、制御された放出手段及び/又は送達装置によって投与することもできる。
【0087】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、粉末、顆粒、溶液、水性液体中の懸濁液、非水性液体、水中油型エマルジョン又は油中水中エマルジョンとして、予め決められた量の活性成分をそれぞれ含む、カプセル、カシェ剤又は錠剤のような独立した単位として存在してもよい。このような組成物は、任意の許容される薬学的方法によって製造することができる。これらの全ての方法は、活性成分を担体成分と混合することを含む。一般に、組成物は、活性成分を液体又は超微粒子の固体担体成分と均一に及び親密に混合し、次いで、所望により、所望の製品形態となるように混合物を操作することによって製造される。例えば、錠剤は、圧縮又は成形によって製造される。圧縮錠剤は、バインダー、滑沢剤、希釈剤、界面活性剤及び分散剤の1以上の賦形剤と任意に混合された活性成分を含み、自由流動粉末又は顆粒を圧縮することによって製造することができる。成形された錠剤は、不活性な液体で湿潤された粉末化化合物の混合物を成形することによって製造することができる。好ましくは、各錠剤は約0.1mg〜約1.0gの活性成分を含有し、各カシェ剤又はカプセルは、約0.1〜約500mgの活性成分を含有する。
【0088】
以下は、式Iの化合物を含む医薬投与形態の具体例である。
【0089】
【化7】

【0090】
併用療法
前記のように、式Iで表される化合物は、2型糖尿病、及び本明細書に開示した式Iの化合物が有効である他の疾患及び症状の治療/予防/発症の遅延に用いられる他の薬剤と組み合わせて用いることができる。他の薬剤は、式Iで表される化合物と同時、又は連続的に、通常の経路で、通常に用いられる量で投与される。式Iの化合物が1種以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、式Iの化合物に加え、このような他の薬剤を含む併用の医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加え、1以上の活性成分を更に含むものが含まれる。別々に、又は同じ医薬組成物中で投与される式Iで表される化合物と組み合わせて用いられる他の活性成分の具体例には、(a)ビグアニド(例えば、ブホルミン、メトホルミン、フェンホルミン)、(b)PPARアゴニスト(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)、(c)インスリン、(d)ソマトスタチン、(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、ミグリトール、アカルボース)、(f)シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン等、2004年3月2日に登録された米国特許第6,699,871B1に開示されたようなDPP−IV阻害剤、(g)LXRモジュレーター及び(h)インスリン分泌促進物質(例えば、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメルピリド、グリピジド、グリキジン、グリソキセピド、グリブリド、グリヘキサミド、グリピナミド、フェンブタミド、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、ナテグリニド及びレパグリニド)、及びリモナバント、及び2003年9月25日に公開されたWO03/077847A2、及び2005年1月6日に公開されたWO05/000809に開示された化合物のようなCB1阻害剤が、含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
第二の活性成分に対する、式Iの化合物の重量比は、各活性成分の有効投与量に依存して広い範囲で変化し得る。一般に、それぞれの有効な投与量が用いられる。従って、例えば、式Iの化合物をPPARアゴニストと併用する場合、PPARアゴニストに対する式Iの化合物の重量比は、一般に、約1000:1〜約1:1000であり、好ましくは約200:1〜1:200である。式Iの化合物と他の活性成分との併用は、一般に前記の範囲内であるが、各ケースにおいて各活性成分の有効な量を用いるべきである。
【0092】
併用生成物については、式Iの化合物は、他の活性成分と組み合わされ、次いで、担体成分に加えられる、また、混合の順序は変化し得る。
【0093】
併用医薬組成物の具体例には、(1)式Iで表される化合物、(2)(a)シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン等のDPP−IV阻害剤;(b)(i)PPARアゴニスト及び(ii)ビグアニド、からなる群から選択されるインスリン感作物質;(c)インスリン及びインスリン模倣薬:(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進物質;(e)αグルコシダーゼ阻害剤;(f)CB1受容体アンタゴニスト/インバースアゴニスト;(g)GLP−1、GLP−1模倣薬、及びGLP−1受容体アゴニスト;(h)GIP、GIP模倣薬、及びGIP受容体アゴニスト;(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びPACAP受容体3アゴニスト;(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)金属イオン補獲剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸及びそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、(vi)コレステロール吸収阻害剤、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、(viii)抗酸化剤、(ix)LXR修飾因子、及び(x)トルセトラピブのようなCETP阻害剤、からなる群から選択されるコレステロール低下薬;(k)PPARδアゴニスト;(l)抗肥満化合物;(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、(n)グルココルチコイドを除く抗炎症剤;(o)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−IB)阻害剤、(p)CB1アンタゴニスト/インバースアゴニストからなる群から選択される化合物、及び(3)薬学的に許容される担体を含む。
【0094】
〜R、R、R及びAが前記に定義したものである式Iの化合物は、以下に示される特定の実施例を考慮に入れ、以下に示す一般的なスキームに従って合成することができる。前記合成スキームを通じて、略語は、特に示されない限りは以下の意味で用いられる。
【0095】
【化8】

【0096】
本発明の一実施態様においては、化合物は、R=C−Cアルキルであるアルキル4−(1−アリール−アルキル)ベンゾエート中間体1から製造することができる。このような化合物1は当業者により種々の手段によって製造することができる。
【0097】
【化9】

【0098】
化合物1の製造の一例をスキーム1に示す。低温下において、THFのような非プロトン性溶媒中、ハロゲン化アリール又はヘテロアリール(RA−X(X=Br,I)への、n−ブチルリチウムのようなアルキルリチウムのヘキサン中の溶液の添加は、アリールリチウム又はヘテロアリールリチウム種(RA−X()を与える。低温下でTHFのような非プロトン性溶媒中でのとケトン又はアルデヒドRC(O)Rとの反応は対応するアルコールを与える。通常は、高温でp−トルエンスルホン酸のような酸の存在下でアルコールとフェノールとの0.5〜16時間の反応によりフェノール中間体を与える。あるケースにおいては、アルキル化を発生させるためにトリフルオロメタンスルホン酸のような非常に強い酸を用いなければならない(D.Klumpp et al,J.Org.Chem.1999,64,6702)。次いで、低温下でピリジンのような塩基の存在下、DCMのような非プロトン性溶媒中、フェノール基をトリフルオロメタンスルホン酸無水物と0.5〜16時間反応させることによりトリフレートに変換することができる。高温で、MeOH又はBuOHのようなアルコール性溶媒中、PdCl(dppf)、ジクロロメタン付加物のような触媒、及びDIEAのような塩基の存在下、CO雰囲気下でのトリフルオロメタンスルホネートの1〜24時間の反応は、対応するアルコールエステルを与える。
【0099】
【化10】

【0100】
=Hである中間体1への別のアプローチをスキーム2に示す。−78℃で、THFのような非プロトン性溶媒中、アリールリチウム又はヘテロアリールリチウム種と4−ホルミルベンゾエートとの0.5から8時間の反応はベンジルアルコールを与える。低温でDCMのような溶媒中、塩化チタン(IV)のような金属の存在下、と、アリルトリメチルシランのようなアリルシラン化合物との0.5〜8時間の反応(Oku,A.;Harada,T.;Homoto,Y.;Chetm Lett 1986,1495)は、対応するアリル化合物1bを与える。
【0101】
【化11】

【0102】
=Hである中間体を得るための他の手段をスキーム3に示す。例えば、アルコールは、クロロホルム中、TFA及びトリエチルシランとの0.5〜48時間の処理により、容易に還元されて化合物を与える。スキームに示すように、臭化ベンジルのような活性化ハライドの存在下、低温でTHFのような非プロトン性溶媒中、をLHMDSのような塩基と処理しアルキル化化合物1cを与える。
【0103】
【化12】

【0104】
一方、中間体1は、11のようなケトン中間体を経由して製造することができる。このような中間体は当業者によって種々の方法により製造することができる。1つのこのようなアプローチは、リチウム塩を4−ベンジルオキシベンズアルデヒドと反応してベンジルアルコール10を与えるスキーム4に示される。例えば、10の酸化は、0℃でDCM中、4Aモレキュラーシーブの存在下、4−メチルモルホリンN−オキシド及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸と処理することによりケトン11を与える(Griffith,W.P.;Ley,S.V.Aldrichimica Acta 1990,23,13)。11とグリニャール複合体RMgBrとの反応は三級アルコール12を与え、これは、DCM中でTFA及びトリエチルシランを用いて還元され、中間体13を得る。10%Pd/Cのような触媒を用いた水素化分解によるベンジル基の除去は、フェノール14を与え、これはスキーム1(前記参照)に概要を示したように、トリフレートを経由してエステル1dに変換され得る。
【0105】
【化13】

【0106】
中間体への他のアプローチは、R及びRの存在下、環Aの構築を必要とする。このような1つの具体例をスキーム5に示す。DMFのような極性溶媒中、NaHのような塩基の存在下、tert−ブチル(4−カルボメトキシフェニル)アセテート15のR−Brによるアルキル化を必要とし、エステル16を与える。酸性条件下でtert−ブチル基の除去によりカルボン酸17を与え、これは種々の縮環複素環に変換され得、例えばスキーム5に示すようなフェニレンジアミンのような適切なオルト−置換アニリンとの反応により、ベンズイミダゾール1eを与える。
【0107】
【化14】

【0108】
エステル中間体は、当業者に公知の方法を用いて、容易に最終生成物に変換され得る。スキーム6に示すように、エステルのけん化は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール又は同様の溶媒の混合物のような極性溶媒中で水酸化リチウム又は水酸化ナトリウム水溶液のような塩基を用いて実施してカルボン酸19を得ることができる。次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又は塩化メチレンのような溶媒中で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、又はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)のようなカップリング剤、及び塩基、一般的にはジイソプロピルエチルアミンを用いて、酸を適切なアミンNNRと0.5〜48時間、室温又はわずかに高温度で反応させる。R=−CHCHCO又は−CHCH(OH)COであり、及びR=C1−6アルキルである化合物Iについて、エステルは、室温又は高温度下で、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、又は同様の溶媒の混合物のような極性溶媒中、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムのような塩基との処理によって容易に開裂し、カルボン酸(R=H)を与え得る。更に、Rがtert−ブチル基である場合、これは通常、塩化メチレンとの1:1混合物としてのトリフルオロ酢酸のような酸との室温での0.5〜8時間の処理によって、好都合に除去される。
【0109】
【化15】

【0110】
当業者に公知なように、全てのスキームにおいては、生成物I及び全ての合成中間体は、再結晶、粉砕、分取用薄層クロマトグラフィー、W.C.Still et al,J.Org.Chem.,1978,43,2923に記載されたようなシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー、又は逆相HPLCにより、所望でない副生成物、試薬及び溶媒から精製することができる。HPLCにより精製される化合物は対応する塩として分離することができる。
【0111】
更に、ある中間体においては、前又は後の中間体、又は最終化合物Iは、鏡像異性体又はジアステレオマーの混合物からなる。当業者に公知であるように、このような鏡像異性体及びジアステレオマーは、結晶化、ホモキラルな固定相を用いたクロマトグラフィー、ジアステレオマーの場合には順相及び逆相クロマトグラフィーなどの種々の方法により分離することができる。
【0112】
あるケースにおいては、スキームに記載された反応に由来する生成物I、ベンゾエートエステル及び他の中間体は更に修飾される。これらの操作には、当業者にとって通常に知られる置換、還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
例えば、スキーム7に示すように、1fのような中間体の芳香族又はヘテロ芳香族ヒドロキシル基A(ROHは、室温又は高温下で、DMFのような溶媒、及びKCO又はCsCOのような塩基中でアルキル−又はベンジルハライドRiiX(X=Cl、Br又はI)を用いて容易にアルキル化され、対応するエーテル1gを与える。このようなエーテルは、トリフェニルホスフィンのようなホスフィン、及びDIADのようなアザジカルボニル化合物の存在下、DCM又はTHFのような非プロトン性溶媒中で、芳香族ヒドロキシル基A−OHと対応するアルキル又はベンジルアルコールRiiOHとの反応を含む光延条件下(O.Mitsunobu,Synthesis 1981,p.1)で容易に調製することもできる。次いで、スキーム5(前記参照)に記載されたように、エーテル1gを最終生成物にすることができ、これは、エステルをけん化して酸19aを得、次いで、スキーム7に示すように、酸をβ−アラニンtert−ブチルエステルのような所望のアミンとカップリングしてアミノエステルIbを得、次いで、所望であれば脱保護により最終生成物Icを得ることを含む。また、スキーム7に示すように、最初に、スキーム6(前記参照)に概要を示す手段を用いてエステル1fをアミドIaに変換し、次いでフェノール性基をアルキル化してエーテル中間体Ibを得るよう、反応の順番を逆にしてもよい。また、tert−ブチル基を除去しカルボン酸Icを提供することも好ましい。
【0114】
【化16】

【0115】
スキーム8に示すように、A(ROHエステルIfは、DCMのような非プロトン性溶媒中、ピリジンのような塩基の存在下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させることにより、トリフルオロメタンスルホネート1hに変換することができる。当業者に公知の手段を用いて、トリフルオロメタンスルホネートを更に合成することができる。例えば、トルエンのような溶媒中、酢酸パラジウムのような触媒及びトリ−o−トリルホスフィンのようなリガンド、及び炭酸セシウムのような塩基の存在下で1hとアリール−、ヘテロアリール−、アルキル−又はアルケニルボロン酸Riii−B(OH)との高温での0.5〜16時間の反応により、対応する炭素結合化合物1iを与える(A.Suzuki,J.Organomet.Chem.1999,576,147)。1hのようなアリール及びヘテロアリールトリフルオロメタンスルホネートは、アミン、アミド、アルコール、フェノール、チオール及び窒素含有複素環を含むヘテロ原子種とカップリングし、対応するヘテロ原子結合種を与える(S.Ley and A.Thomas,Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5400)。例えば、スキーム8にも示すように、トルエンのような非プロトン性溶媒中、Pddbaのような触媒、キサントホスのようなリガンド、及びDIEAのような塩基の存在下で、アリールトリフレート1hと、アルキル又はアリールチオールHSRivとの高温下での反応はチオエーテル1jを与える(Org.Lett.2004,6,4587−4590)。次いで、所望であれば、MCPBAのような酸化剤を用いてチオエーテルをスルホキシド又はスルホンに酸化することができる。中間体1i及び1jは、スキーム6(前述した)に記載されたようにして最終生成物Iになる。
【0116】
同様に、アミドエステルIaは、DCMのような非プロトン性溶媒中、ピリジンのような塩基の存在下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物との低温下での反応によって、トリフルオロメタンスルホネート中間体20に変換することができる。次いで、トリフルオロメタンスルホネートを同様に修飾して対応する化合物Id及びIeとしてもよい。
【0117】
【化17】

【0118】
ヒドロキシ芳香族基A(ROHは容易にハロゲン化することができる。例えば、スキーム9において示される1kのように、A(ROHがヒドロキシナフチル基である場合、ナフチル基は、DCMのような溶媒中、50℃で1〜16時間、SOClで処理してジクロロ化することにより1lを与える(Org.Synth.1955,p.267)。ヒドロキシナフチル化合物1kは、MeOH及びDCMの混合物中でベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨーデイトで処理することによって選択的にヨウ素化され、1nを与える(Heterocycles,2002,56,465)。このヨウ化物は、当業者によって種々の置換基で更に変化させてもよい。具体例として、スキーム8にも示したように、ヨウ化物はDMFのような溶媒中、Pd(PhP)のような触媒の存在下、Zn(CN)で、高温下に0.5〜8時間処理することによってシアノ基に変換されてInを与える(Tetrahedron Lett.1999,40,8193)。次いで、スキーム7及び8に概要を示すように、ヒドロキシル基を変化させることができる。
【0119】
【化18】

【0120】
また、R及びR基を構築させることができる。スキーム10に示すように、アリル化合物1bを、例えば、EtOAc又はEtOH又はこれらの溶媒の混合物中、10%Pd/Cのような触媒を用いて、H雰囲気下、0.5〜16時間還元してプロピル誘導体1oを得ることができる。また、アリル基は、DCMのような溶媒中、Zhan触媒I(Zannan Pharma Ltd.)のような触媒の存在下に、H2CCRviviiのようなアルケン(J.Am.Chem.Soc.2003,125,11360)を用いてメタセシス反応を行い、対応するアルケン1pを与えることができ、これは、所望であれば、EtOAc又はEtOH又はそれらの混合物のような溶媒中、10%Pd/Cのような触媒の存在下、H雰囲気下、水素化によりアルカン1qに還元される。従って、Ibに由来する全ての生成物は、スキーム6(前記参照)に記載されるように、式Iの最終生成物にすることができる。
【0121】
【化19】

【0122】
一般的実験:化学反応はLC−MSによって監視し、反応生成物の純度及び同一性は、以下の条件の1種を用いたLC−MSによって評価した。
【0123】
方法A(LCMS A):カラム:Waters Xterra C18(3.0×50mm)、グラージエント:10〜100%CHCN(0.05%TFAを含む)/HO(0.06% TFAを含む)、1mL/分で3.75分にわたる。
【0124】
方法B(LCMS B):カラム:MetaChem Polaris(4.6×50 mm)、グラージエント:5〜95%CHCN/HO(いずれも0.05%TFAを含む)、2.5mL/分で2.5分にわたる。
【0125】
方法C(LCMS C):カラム:Waters Xterra C18(3.0×50 mm)、グラージエント:10〜98%CHCN(0.05%TFAを含む)/HO(0.06% TFAを含む)、1.5mL/分で3.25分にわたる。
【0126】
方法D(LCMS D):カラム:Waters Xterra C18(3.0×50 mm)、グラージエント:10〜98%CHCN(0.05%TFAを含む)/HO(0.06% TFAを含む)、1.5mL/分で1.25分にわたる。
【0127】
方法E(LCMS E):カラム:Waters Xterra C18(3.0×50 mm)、グラージエント:10〜100%MeCN(0.05%ギ酸を含む)/HO(0.06%ギ酸を含む)、1mL/分で3.75分にわたる。
【0128】
分取用HPLCは、YMC−Pack Pro C18カラム(150×20mm内径)又はKromasil 100−10C8カラム(100×30mm内径)のいずれかで、4mL/分の初期流速で1.35分、次いで20mL/分で10.6分で実施した。溶出の最初の部分の間に用いられる勾配を記載し、全ての溶出は、20mL/分で0.5分間の100%有機溶媒を続けた。
【0129】
シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーは、実験の項に記載する勾配を用いて、UV検出器を備えたBiotage Horizon又はBiotage SP−1装置によるプレパックのシリカゲルカラムを用いて実施した。
【0130】
キラル分割は、テキストに記載されるカラム(250×20mm内径)及び移動相(流速=9mL/分)を用いて実施した。2種の鏡像異性体が得られる場合、鏡像異性体の1種に対応する鏡像異性体についてのデータを示す。
【0131】
以下の実施例は、本発明を更に理解するために提供される。それらは、多少なりとも本発明を限定するものとして解釈すべきでない。
【0132】
実施例1
【0133】
【化20】

【0134】
工程A:メチル4−[(RS)−ヒドロキシル(6−メトキシ−2−ナフチル)メチル]ベンゾエート
ドライアイス−アセトン浴中で冷却された、6−メトキシ−2−ブロモナフタレン(2.4g,10ミリモル)の80mLのTHF中の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中2.5Mの溶液、4.4mL,11ミリモル)を滴下して加えた。15分間熟成した後、メチル4−ホルミルベンゾエート(1.64g,10ミリモル)の20mLのTHF中の撹拌混合物に、ドライアイス−アセトン浴中で、冷却混合物をカニューレを用いて急速に加えた。更に15分間撹拌した後、反応混合物を、塩化アンモニウム水溶液、ヘキサン及びEtOAcの混合物に注ぎ入れた。有機相を分離し、濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(移動相=ヘキサン中、10%〜30%EtOAc)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.02(d,J=8.5Hz,2H),7.77(s,1H),7.72(t,J=9.5Hz,2H),7.52(d,J=8.2Hz,2H),7.38(dd,J=8.5,1.6Hz,1H),7.17(dd,J=8.9,2.5Hz,1H),7.12(d,J=2.3Hz,1H),6.01(s,1H),3.93(s,3H),3.91(s,3H)。
【0135】
工程B:メチル4−[1(RS)−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)ブタ−3−エン−1−イル]ベンゾエート
前の工程由来の標題の化合物(5.2g,16ミリモル)、塩化チタン(IV)(DCM中、1M溶液、35mL,35ミリモル)及びアリルトリメチルシラン(12.5mL,79ミリモル)の120mLのDCM中の溶液を、2.5時間かけて−78℃から−30℃に加温した。混合物を−78℃に冷却し、水、ヘキサン及びEtOAcを加えることにより反応を停止した。室温まで加温した後、有機層を分離し、濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(移動相=ヘキサン中、5%〜15%EtOAc)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.96(d,J=8.5Hz,2H),7.71(m,2H),7.67(s,1H),7.40(d,J=8.2Hz,2H),7.32(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),7.15(m,2H),5.79(m,1H),5.08(m,1H),4.98(m,1H),4.24(t,J=8.0Hz,1H),3.91(s,3H),3.88(s,3H),2.95(m,1H)。
【0136】
工程C:tert−ブチル−N−{4−[(1R)−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブタ−3−エン−1−イル]ベンゾイル}−β−アラニン及びtert−ブチル−N−{4−[(1S)−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブタ−3−エン−1−イル]ベンゾイル}−β−アラニネート
0℃で、前の反応の標題の化合物(2.54g,7.36ミリモル)の40mLのジクロロメタン中の溶液に、BBr(ジクロロメタン中、1M溶液、22mL,22ミリモル)を加えた。2時間後、50mLの水及び200mLのEtOAcを用いて冷却した反応混合物の反応を停止した。有機層を分離し、濃縮し、1,4−ジオキサン、MeOH及び3N NaOHを各25mL含む混合物により、50℃で25分間処理した。反応混合物を1N HClで酸性化し、EtOAcで2回抽出した。有機層を濃縮し、残渣を40mLのDMFに溶解し、次いで、β−アラニンtert−ブチルエステル塩酸塩(2.64g,14.5ミリモル)、HOBt(2.23g,16.5ミリモル)、EDC(2.78g,14.5ミリモル)及びDIEA(4.8mL,27.6ミリモル)で処理した。45℃に1時間静置した後、反応混合物を冷却し、300mLの水及び300mLの1:1ヘキサン/EtOAcで分配した。水層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層を濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(移動相=33%〜60%EtOAc/ヘキサン)により精製し、生成物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z390.1[M−tert−Bu+H]
【0137】
移動相としてn−ヘプタン中の30%イソプロピルアルコールを用いて、ChiralPak−IAカラムによるキラルHPLCにより鏡像異性体を分割し、早く溶出する生成物として鏡像異性体Aを、遅く溶出する生成物として鏡像異性体Bを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.71(m,3H),7.65(s,1H),7.56(d,J=8.5Hz,1H),7.38(d,J=8.1Hz,2H),7.27(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.11(m,2H),6.84(br m,1H),5.79(m,1H),5.09(m,1H),4.98(m,1H),4.22(t,J=7.9Hz,1H),3.66(q,2H),2.93(m,2H),2.55(t,J=6.1Hz,2H),1.46(s,9H)。
【0138】
工程D:tert−ブチル−N−(4−{(1R又はS)−1−[6−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−ナフチル]ブタ−3−エン−1−イル}ベンゾイル)−β−アラニネート
−78℃で、前の反応由来の鏡像異性体B(375mg,0.84ミリモル)及びピリジン(0.16mL,2.0ミリモル)の8mLのジクロロメタン中の撹拌溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.16mL,0.98ミリモル)を加えた。冷浴を除去し、反応混合物を10分間加温した。反応混合物を、−78℃に再度冷却し、水−ヘキサン−EtOAcで反応を停止した。有機層を集め、水層をジクロロメタンで洗浄した。一緒にした有機層をシリカゲルのパッドでろ過し、ろ液を濃縮し、粗トリフレートを得た。トリフレートの一部(100mg,0.17ミリモル)、3,4−ジ−フルオロフェニルボロン酸(41mg,0.26ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(17mg,0.015ミリモル)及びトリエチルアミン(0.06mL)を1.7mLのエチレングリコールジメチルエーテル中で混合し、密閉チューブ中で125℃に15分間加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(移動相=ヘキサン中20%〜25%(v/v)EtOAc)により精製し、標題の化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.97(s,1H),7.90(d,J=8.5Hz,1H),7.84(d,J=8.5Hz,1H),7.77(s,1H),7.69(m,3H),7.55(m,1H),7.47(m,1H),7.39(m,3H),7.30(m,1H),6.75(br,1H),5.79(m,1H),5.09(m,1H),4.99(m,1H),4.28(t,J=7.8Hz,1H),3.63(q,2H),2.96(m,2H),2.52(t,J=6.1Hz,2H),1.45(s,9H)。
【0139】
工程E:N−(4−{(1R又はS)−1−[6−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−ナフチル]ブタ−3−エン−1−イル}ベンゾイル)−β−アラニン
前の反応の生成物(5.3mg,0.01ミリモル)及び10%Pd/C(3mg)を、0.2mLのEtOAc及び0.05mLのEtOHの混合物中で、水素雰囲気下(バルーン)、2時間撹拌した。ろ過により固体を除去した。ろ液を濃縮し、LC−MSがtert−ブチルエステルの完全な開裂を示すまで、残渣を1:1 TFA/CHClで処理した。溶媒を除去し、残渣を逆相HPLC(YMC−C18カラム、勾配=45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z488.3[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d):δ(ppm)8.17(s,1H),8.00(d,J=8.7Hz,1H),7.93(m,2H),7.84(m,3H),7.77(m,2H),7.65(m,1H),7.49(m,4H),4.27(t,J=7.8Hz,1H),3.63(q,2H),2.65(t,J=6.8Hz,2H),2.22(m,2H),1.36(m,2H),0.98(t,J=7.3Hz,3H)。
【0140】
実施例2
【0141】
【化21】

【0142】
工程A:N−(4−{1(R又はS)−1−[6−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−ナフチル]−4−メチルペンチル}ベンゾイル)−β−アラニン
実施例1、工程Dの標題の化合物(8.8mg,0.016ミリモル)、1mgのZhan触媒I(Zannan Pharma Ltd.,1mg,0.0015ミリモル)及び2−メチル−2−ブテン(0.3mL,2.8ミリモル)の0.3mLのジクロロメタン中の混合物を室温で2.5時間撹拌した。分取用薄層クロマトグラフィー(移動相=3:1(v/v)ヘキサン:EtOAc)を用いてベースラインの材料を除去した。得られた生成物を、EtOAc及びEtOHの混合物中、触媒性Pdブラックを用いて水素雰囲気下(バルーン)に3時間撹拌した。粗反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮した。残渣を1:1=TFA/ジクロロメタンで30分間処理した。溶媒を除去し、粗材料を、逆相HPLC(YMC−C18カラム、勾配=45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z516.3[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)8.17(s,1H),8.00(d,J=8.7Hz,1H),7.93(m,2H),7.83(m,3H),7.77(m,2H),7.66(m,1H),7.49(m,4H),4.21(t,J=7.8Hz,1H),3.63(q,2H),2.65(t,J=6.9Hz,2H),2.25(m,2H),1.65(m,1H),1.24(q,2H),0.90(d,J=6.6Hz,6H)。
【0143】
実施例3
【0144】
【化22】

【0145】
工程A:tert−ブチルN−{4−[(1R又はS)−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
実施例1、工程C由来の鏡像異性体B(192mg,0.43ミリモル)の10mLのMeOH中の溶液に、触媒量の20%水酸化パラジウムカーボンを加えた。反応物をH雰囲気下(バルーン)、2時間撹拌した。反応物をセライトでろ過し、フィルターケーキをMeOHで洗浄した。一緒にしたろ液及び洗浄液を減圧下に濃縮し、生成物を黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):m/z=448.2[M+1]
【0146】
工程B:tert−ブチル−N−{4−[(1R又はS)−1−(6−ヒドロキシ−5−ヨード−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
前の反応由来の標題の化合物(10mg,0.022ミリモル)、炭酸カルシウム(4.5mg,0.04ミリモル)及びベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨーデイト(9mg,0.03ミリモル)の0.3mLの1:1(v/v)MeOH/DCM中の混合物を24時間撹拌した。ろ過により固体を除去し、ろ液を濃縮し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、勾配=45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z596.0[M−tert−Bu+Na]H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.88(d,J=8.9Hz,1H),7.73(d,J=8.7Hz,1H),7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.66(d,J=1.4Hz,1H),7.41(m,3H),7.25(d,J=8.7Hz,1H),7.07(t,1H),4.17(t,J=7.7Hz,1H),3.68(q,2H),2.57(t,J=6.1Hz,2H),1.47(s,9H),2.16(m,2H),1.34(m,2H),0.98(t,J=7.3Hz,3H)。
【0147】
工程C:tert−ブチル−N−{4−[(1R又はS)−1−(5−シアノ−6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
前の反応由来の標題の化合物(9mg,0.016ミリモル)、Zn(CN)(8mg,0.07ミリモル)及びPd(PPh(6.3mg,0.005ミリモル)を、密閉したバイアル中、2mLのDMF中で、120℃で1時間20分加熱した。粗材料を、逆相HPLC(YMC−C18カラム、勾配=45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z417.2[M−tert−Bu+H]H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.93(d,J=8.5Hz,1H),7.85(d,J=8.9Hz,1H),7.71(d,J=8.2Hz,2H),7.67(s,1H),7.50(dd,J=8.7,1.6Hz,1H),7.38(d,J=8.2Hz,2H),7.20(d,J=8.2Hz,1H),7.10(t,1H),4.14(t,J=7.8Hz,1H),3.70(q,2H),2.58(t,J=5.9Hz,2H),2.14(m,2H),1.47(s,9H),1.31(m,2H),0.96(t,J=7.3Hz,3H)。
【0148】
工程D:N−{4−[(1R又はS)−1−(5−シアノ−6−プロピルチオ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニン
前の反応由来の標題の化合物(6.5mg,0.016ミリモル)及びピリジン(10mg,0.13ミリモル)の−78℃に冷却した8mLのジクロロメタン中の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(12mg,0.042ミリモル)を加えた。次いで、槽を除去し、反応混合物を10分間加温した。反応物を−78℃まで冷却し、水−ヘキサン−EtOAcで反応を停止した。有機層を集め、水層をジクロロメタンで洗浄した。一緒にした有機層をシリカゲルのパッドを通し、ろ液を減圧下に濃縮し、粗トリフレートを得た。このようにして得られたトリフレートを、0.2mLの1,4−ジオキサン中で、Pddba(1mg)、キサントホス(1.3mg)、DIEA(0.014mL)及びプロパンチオール(0.007mL)と混合した。溶液を密閉したバイアル中で120℃に35分間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を2mLの1:1(v/v)TFA/ジクロロメタンで35分間処理した。粗材料を濃縮し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、勾配=45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z475.1[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)8.16(d,J=8.7Hz,1H),8.00(m,2H),7.83(d,J=8.2Hz,2H),7.78(m,1H),7.72(m,2H),7.47(d,J=8.4Hz,2H),4.28(t,J=7.8Hz,1H),3.62(q,2H),3.22(t,J=7.3Hz,2H),2.64(t,J=6.9Hz,2H),2.20(m,2H),1.74(m,2H),1.33(m,2H),1.07(t,J=7.3Hz,3H),0.96(t,J=7.3Hz,3H)。
【0149】
実施例4
【0150】
【化23】

【0151】
工程A:(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)ブタン−1−オール
2−メトキシ−6−ブロモナフチレン(7.8g,28.5ミリモル)の冷却した(−78℃)無水THF(100mL)中の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中、2.5Mの溶液、12.4mL,31ミリモル)を加えた。混合物を、窒素雰囲気下、−78℃で15分間撹拌し、反応混合物に4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(3.0g,24ミリモル)をゆっくりと加えた。槽を室温にまで加温し、飽和NHCl(水溶液)により反応混合物の反応を停止した。得られた混合物を、EtOAc/ヘキサンで抽出した。有機層を減圧下に濃縮し、粗残渣を、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出、0%〜25%EtOAc/ヘキサン、795mL、25%〜60%EtOAc/ヘキサン、1575mL)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.81−7.72(m,3H),7.46(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),7.20(dd,J=8.9,2.5Hz,1H),7.17(s,1H),4.94−4.90(m,1H),3.96(s,3H),2.38−2.04(m,4H)。
【0152】
工程B:4−[(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)ブチル]フェノール
前の工程由来の標題の化合物(5.0g,17.6ミリモル)及びフェノール(2.5g,26.6ミリモル)を混合し、溶解するまで加熱した。無水パラ−トルエンスルホン酸(1.7g,8.9ミリモル)を加え、混合物を95℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温にまで冷却し、飽和NaHCO(水溶液)で希釈した。得られたスラリーをEtOAcで抽出した。有機層を減圧下に濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出、0%〜35%EtOAc/ヘキサン、500mL;35%〜75%EtOAc/ヘキサン、2000mL)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.75−7.64(m,3H),7.30(dd,J=8.46,1.8Hz,1H),7.19−7.13(m,4H),6.80(d,J=8.46Hz,2H),4.02(t,J=8.0Hz,1H),3.92(s,3H),2.46−2.30(m,2H),2.19−2.05(m,2H)。
【0153】
工程C:ブチル4−[(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾエート
前の工程由来の標題の化合物(3.78g,10.5ミリモル)の無水CHCl(60 mL)中の溶液に、ピリジン(1.27mL,15.8ミリモル)、次いでトリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.12mL,3.55g,12.6ミリモル)を加えた。混合物を室温で20分間撹拌し、水で反応を停止し、得られた混合物をEtOAc/ヘキサンで抽出した。有機層を1N HClで洗浄し、次いで、短いシリカプラグを通過させた。ろ液を濃縮して乾燥し、トリフレートを固体として得た。このようにして得られたトリフレートをn−ブタノール(80mL)に溶解し、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、ジクロロメタン付加物(745mg,1.02ミリモル)及びDIEA(5.3mL,30.6ミリモル)を加えた。反応混合物をCO雰囲気下(バルーン)、90℃で2時間撹拌した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出、0%〜25%EtOAc/ヘキサン、450mL;25%〜70%EtOAc/ヘキサン、2049mL)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z=445.4[M+H]H NMR(500MHz,CDCl):δ7.98(dd,J=6.6,1.6Hz,2H),7.74−7.65(m,3H),7.39(d,J=8.4Hz,2H),7.32−7.27(m,1H),7.15−7.11(m,2H),4.29(t,J=6.6Hz,2H),4.15(t,J=7.8Hz,1H),3.91(s,3H),2.50−2.35(m,2H),2.17−2.04(m,2H),1.73(quint,J=6.6Hz,2H),1.48(quint,J=7.3Hz,2H).0.98(t,J=7.5Hz,3H)。
【0154】
工程D:tert−ブチル−N−{4−[(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート及びtert−ブチル−N−{4−[(1S)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
前の反応由来の標題の化合物(3.7g,8.3ミリモル)の冷却(0℃)無水CHCl(80mL)中の溶液に、窒素雰囲気下、BBr(CHCl中、1.0M溶液、24mL,24ミリモル)を注射器を通してゆっくりと加えた。混合物を0℃で2時間撹拌し、水で反応を停止した。混合物をEtOAc/ヘキサンで抽出し、有機層を減圧下に濃縮した。残渣を、36mLのジオキサン:MeOHの1:1(v/v)混合物に溶解し、NaOH(3N水溶液、18mL)を加えた。混合物を60℃で3時間撹拌し、室温に冷却し、1N HCl(60mL)で酸性化した。水層をEtOAcで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮して、カルボン酸をラセミ混合物として得た。LC/MS(ESI):m/z375.2[M+H]
【0155】
このようにして得られたカルボン酸に、EDC(3.2g,16.7ミリモル)、HOBt(2.26g,16.7ミリモル)及びβ−アラニンtert−ブチルエステル塩酸塩(3.0g,16.7ミリモル)を加えた。一緒にした固体をDMF(50mL)に溶解し、DIEA(4.3mL,25ミリモル)を加え、反応混合物を50℃で1時間撹拌した。水を加えることにより反応混合物の反応を停止し、水層をEtOAc/ヘキサンで抽出した。有機層を水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮した。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出、0%〜25%EtOAc/ヘキサン、306mL;25%〜75%EtOAc/ヘキサン,2181mL)により精製し、黄色の固体を得た。:LCMS,m/z 524.3[M+Na].キラル分割(ChiralPak ADカラム、移動相=40:60 イソプロパノール:ヘプタン)は、早い溶出生成物として鏡像異性体Aを、遅い溶出生成物として鏡像異性体Bを与えた。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.74−7.69(m,,3H),7.65(s,1H),7.59(d,J=8.5Hz,1H),7.38(d,J=8.5Hz,2H),7.25(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),7.13−7.09(m,2H),6.85−6.78(br m,1H),6.00−5.93(br s,1H),4.13(t,J=8.0Hz,1H),3.65(quart,J=6.2Hz,2H),2.54(t,J=6.2Hz,2H),2.49−2.36(m,2H),2.16−2.05(m,2H),1.46(s,9H)。
【0156】
工程E:N−{4−[(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニン及びN−{4−[(1S)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニン
前の反応由来のR及びS鏡像異性体(各6mg)を、14%(v/v)の1−ヨードブタンを含む0.1mLのDMF中、10mgの炭酸セシウムにより、45℃で1時間15分、別々に撹拌した。粗反応混合物を濃縮し、残渣を、それぞれ、2mLの1:1のジクロロメタン/TFAで30分間処理し、濃縮し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、移動相=45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z502.3[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)7.84(m,3H),7.78(m,2H),7.73(d,J=8.5Hz,1H),7.49(d,J=8.2Hz,2H),7.40(dd,J=8.6,1.6Hz,1H),7.24(d,J=2.5Hz,1H),7.40(dd,J=8.9,2.5Hz,1H),4.27(t,J=7.9Hz,1H),4.10(t,J=6.5Hz,2H),3.62(q,2H),2.63(t,J=6.8Hz,2H),2.46(m,2H),2.20(m,2H),1.81(m,2H),1.53(m,2H),0.98(t,J=7.4Hz,3H)。
【0157】
実施例5
【0158】
【化24】

【0159】
工程A:tert−ブチル−N−{4−[(1R又はS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
実施例4、工程D由来の鏡像異性体B(500mg,1.0ミリモル)の冷却した(−78℃)無水CHCl(10mL)中の溶液に、窒素雰囲気下、ピリジン(0.21mL,2.60ミリモル)、及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.20mL,1.2ミリモル)を加えた。ドライアイス/アセトン浴を除去し、混合物を10分間撹拌した。溶液を−78℃に冷却し、EtOAc/ヘキサン(2:1v/v)及び水で反応を停止した。有機層を集め、短いシリカプラグを通過させた。ろ液を減圧下に濃縮し、標題の化合物を泡状の固体として得た。LCMS(ESI):m/z656.2[M+Na]
【0160】
工程B:N−{4−[(1R又はS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(6−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニン
4mLのバイアル中、前の反応由来の標題の化合物(5mg,0.008ミリモル)の無水DMF(0.3mL)中の溶液に、3,4−ジフルオロフェニルボロン酸(2.5mg,0.016ミリモル)、Pd(PPh(1.2mg,0.0010ミリモル)、及びトリエチルアミン(0.006mL,0.043ミリモル)を加えた。バイアルをNでパージし、密閉し、次いで125℃で15分間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を窒素流の下で濃縮した。次いで、残渣をCHCl(0.2mL)及びTFA(0.2mL)に溶解した。30分後、混合物を減圧下に濃縮した。逆相HPLC(30%〜100%CHCN/HO、それぞれ0.05%TFAを含む)による精製により、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z542.2[M+H]H NMR(500MHz,アセトン−d6)δ8.18(s,1H),8.04−7.93(m,3H),7.87(d,J=8.2Hz,2H),7.81−7.74(m,1H),7.68−7.62(m,1H),7.54(d,J=8.2Hz,2H),7.50−7.42(m,1H),4.37(t,J=8.0Hz,1H),3.68(quart,J=6.6Hz,2H),2.64(t,J=6.8Hz,2H),2.58−2.44(m,2H),2.31−2.17(m,2H)。
【0161】
実施例6
【0162】
【化25】

【0163】
工程A:N−(4−{(1R又はS)−1−[6−(エチルチオ)−2−ナフチル]−4,4,4−トリフルオロブチル}ベンゾイル)−β−アラニン
実施例5、工程Aの標題の化合物(10mg,0.016ミリモル)、Pddba(1.5mg,0.0016ミリモル)、キサントホス(1.8mg,0.003ミリモル)、DIEA(12mg,0.09ミリモル)及びエタンチオール(4mg,0.07ミリモル)の0.3mLの1,4−ジオキサン中の溶液を密閉したバイアル中で120℃で1時間加熱した。反応混合物を3:2(v/v)ヘキサン:EtOAcで溶出するシリカゲルによる分取用TLCにより精製した。このようにして得られたチオエーテルの一部を1:1(v/v)のTFA:ジクロロメタンで30分間処理した。粗材料を濃縮し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.05%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z490.1[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)7.90(s,1H),7.85(m,3H),7.79(m,3H),7.52(d,J=8.0Hz,2H),7.47(m,4H),4.33(t,J=7.9Hz,1H),3.63(q,2H),3.09(q,2H),2.64(t,J=6.9Hz,2H),2.49(m,2H),2.23(m,2H),1.33(t,J=7.3Hz,3H)。
【0164】
実施例7
【0165】
【化26】

【0166】
工程A:N−{4−[(1R又はS)−1−(6−シクロヘキシル−2−ナフチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]ベンゾイル}−β−アラニン
4mLのバイアル中、実施例5、工程A由来の標題の化合物(5mg,0.0079ミリモル)の無水DME(0.3mL)の溶液に、シクロヘキセン−1−イルボロン酸(2.6mg,0.020ミリモル)、Pd(PPh(1.2mg,0.0010ミリモル)、及びトリエチルアミン(0.006mL,0.043ミリモル)を加えた。バイアルをNでパージし、蓋を閉め、次いで125℃で15分間撹拌した。反応混合物を冷却し、N流の下で濃縮した。混合物を、2:1(v/v)のヘキサン:EtOAcで溶出するシリカによる分取用TLCにより精製した。分離した生成物をEtOAc(1mL)及びEtOH(0.2mL)の溶液に溶解し、次いで、Pdブラック(1mg)を加えた。混合物を脱気し、次いで、H雰囲気下(バルーン)、室温で2時間撹拌した。混合物を短いシリカゲルの短いパッドでろ過し、減圧下に濃縮した。残渣をCHCl(0.2mL)に溶解し、TFA(0.2 mL)を加えた。30分後、混合物を減圧下に濃縮した。逆相HPLC(HO中、55%〜100%CHCN、それぞれ0.05%TFAを含む)による精製により、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z512.3[M+H]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ7.92−7.73(m,5H),7.66(s,1H),7.51(d,J=8.5Hz,2H),7.44(d,J=8.5Hz,2H),4.32(t,J=8.0Hz,1H),3.63(quart,J=6.6Hz,2H),2.64(t,J=6.8Hz,2H),2.56−2.41(m,2H),2.28−2.16(m,2H),1.96−1.73(m,5H),1.64−1.27(m,6H)。
【0167】
実施例8
【0168】
【化27】

【0169】
工程A:tert−ブチルN−{4−[(1R又はS)−1−(6−ブトキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
実施例4、工程Dの鏡像異性体B(100mg)を、2mLのCHCl中、SOCl(0.35mL)と室温で7時間処理した。反応混合物を濃縮し、亜硫酸水素ナトリウム水溶液及びアセトニトリルの混合物中で45分間撹拌し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.05%のTFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LC−MS(ESI):m/z514.1[M+1]
【0170】
工程B:N−{4−[(1R又はS)−1−(6−ブトキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフチル)−4,4,4−トリフルオロブチル]ベンゾイル}−β−アラニン
前の反応の標題の化合物(5mg,0.01ミリモル)を、14%(v/v)の1−ヨードブタンを含む0.1mLのDMF中、炭酸セシウム(8mg,0.025ミリモル)と一緒に1時間撹拌した。反応を、3倍大きいスケールで2時間繰り返した。2つの反応からの材料を混合し、濃縮し、0.15mLの1,4−ジオキサン、0.15mLのMeOH及び0.1mLの3N NaOH(水溶液)と、50℃で30分間処理した。粗材料を濃縮し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、45%〜100%MeCN/HO、何れも0.05%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z570.1[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)8.14(d,J=8.9Hz,1H),8.07(s,1H),8.00(s,1H),7.87(d,J=8.2Hz,2H),7.82(t,1H),7.67(dd,J=8.7,1.6Hz,1H),7.52(d,J=8.2Hz,2H),4.39(t,J=8.0Hz,1H),4.14(t,J=6.4Hz,2H),3.63(m,2H),2.64(t,J=6.9Hz,2H),2.51(m,2H),2.24(m,2H),1.89(m,2H),1.63(m,2H),1.03(t,J=7.4Hz,3H)。
【0171】
実施例9
【0172】
【化28】

【0173】
工程A:メチル4−[(6−メトキシ−2−ナフチル)メチル]ベンゾエート
実施例1、工程Aの標題の化合物(0.97g,3ミリモル)を、それぞれ3%のTFA及びトリエチルシランを含む50mLのクロロホルムで2時間処理した。反応物を、炭酸水素ナトリウム水溶液及びEtOAcで分配した。有機層を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(移動相=15:85(v/v) EtOAc:ヘキサン)により精製し、標題の化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.98(d,J=8.2Hz,2H),7.69(d,J=8.7Hz,2H),7.57(s,1H),7.31(d,J=8.2Hz,2H),7.27(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),7.14(m,2H),4.18(s,2H),3.93(s,3H),3.92(s,3H)。
【0174】
工程B:メチル4−[(1RS)−2−(4−クロロフェニル)−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)エチル]ベンゾエート
0℃で、前の反応由来の標題の化合物(100mg,0.33ミリモル)及び4−クロロベンジルブロマイド(335mg,1.63ミリモル)の2mLのTHF中の溶液に、LHMDS(THF中、1.0M溶液、2.5mL,2.5ミリモル)を加えた。反応混合物を室温に48時間静置した。水性の処理(EtOAc/食塩水)、次いでシリカゲルによる分取用TLC(移動相=ヘキサン中、10%(v/v)EtOAc)により、標題の化合物をラセミ混合物として与えた。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.94(d,J=8.0Hz,2H),7.60(s,1H),4.37(t,J=7.8Hz,1H),3.92(s,3H),3.90(s,3H),3.44(m,2H)。
【0175】
工程C:N−{4−[(1RS)−2−(4−クロロフェニル)−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)エチル]ベンゾイル}−β−アラニン
前の反応の標題の化合物(39mg,0.09ミリモル)を、1mLの1,4−ジオキサン及びLiOH(40mg,1.67ミリモル)を含む0.5mLの水中で、60℃で2.5時間撹拌した。反応混合物を1N HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。
有機層を濃縮し、粗カルボン酸を0.5mLのDMF中に溶解し、β−アラニンtert−ブチルエステル塩酸塩(19mg,0.10ミリモル)、HOBt(16mg 0.12ミリモル)、EDC(20mg、0.10ミリモル)及びDIEA(0.026mL,0.15ミリモル)で処理した。反応混合物を45℃で1時間15分加熱し、水及びヘキサン−EtOAcで分配した。有機層を濃縮し、残渣を1mLのジクロロメタン及び0.5mLのTFAで2時間処理した。粗材料を濃縮し、シリカゲルによる分取用TLC(移動相=ジクロロメタン中、6%MeOH)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LC−MS(ESI):m/z460.2[M+1]H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.64(m,4H),7.57(s,1H),7.25(br m,4H),7.11(m,4H),6.97(d,2H),4.34(t,1H),3.86(s,3H),3.39(m,2H)。
【0176】
実施例10
【0177】
【化29】

【0178】
工程A:ベンジル4−[(RS)−ヒドロキシ(6−メトキシ−2−ナフチル)メチル]ベンゾエート
6−メトキシ−2−ブロモナフタレン(5.9g,25ミリモル)の、ドライアイス−アセトン槽中で冷却した200mLの無水THF中の溶液に、n−BuLi(シクロヘキサン中、2.0M溶液、15mL,30ミリモル)を滴下して加えた。15分後、4−ベンジルオキシベンズアルデヒド(5.3g,25ミリモル)を加えた。更に30分間撹拌した後、冷却槽を30分かけてゆっくりと−60℃に加温した。反応容器を冷却槽から10分間取り出し、次いで−78℃に冷却した。塩化アンモニウム水溶液で反応混合物の反応を停止し、ヘキサンで希釈し、4℃に48時間静置した。クロロホルムを加え、沈殿物を溶解させた。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、約100mLに濃縮し、沈殿を形成させた。ヘキサン(100mL)を加え、固体をろ過し、100mLのヘキサン及び50mLのEtOAcの混合物で洗浄し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z353.1[M−OH]H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.82(s,1H),7.74(m,2H),7.46−7.32(m,8H),7.16(m,2H),6.96(d,J=8.7Hz,2H),5.94(d,J=2.3Hz,1H),5.07(s,2H),3.92(s,3H)。
【0179】
工程B:ベンジル4−(6−メトキシ−2−ナフトイル)ベンゾエート
0℃で、120mLの無水ジクロロメタン中、前の反応の標題の化合物(2.45g,6.62ミリモル)に、4−メチルモルホリンN−オキシド(930mg,7.3ミリモル)、4A粉末化モレキュラーシーブ(3.6g)及びテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸(232mg,0.66ミリモル)を連続的に加えた。30分後、反応物をセライトのパッドを通過させた。ろ液を濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(移動相=1:5(v/v) EtOAc/ヘキサン)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z369.1[M+H]H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.21(s,1H),7.25(m,2H),7.12(d,J=8.9Hz,2H),5.21(d,J=2.3Hz,1H),3.99(s,3H)。
【0180】
工程C:ブチル4−[(1RS)−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−2−フェニルエチル]ベンゾエート
4mLのTHF中、前の反応由来の標題の化合物(300mg,0.82ミリモル)、及び塩化ベンジルマグネシウム(THF中、2.0Mの溶液、0.82mL,1.6ミリモル)を、4℃で16時間反応させた。混合物を塩化アンモニウム水溶液で反応を停止し、希HClで酸性化し、ヘキサン−EtOAcで抽出した。有機層を濃縮し、粗材料を2.4mLのジクロロメタンに溶解し、0.4mLのトリエチルシラン及び0.25mLのTFAで30分間処理した。粗反応混合物をトルエンから2回、EtOAcから1回濃縮した。残渣を、3mLの1:1(v/v)のEtOH:EtOAcに懸濁し、H雰囲気下(バルーン)、100mgの10%Pd/Cと一緒に16時間撹拌した。AcOH(0.25mL)を加え、反応物をH雰囲気下、更に8時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(3mL)に溶解し、ピリジン(0.15mL,1.8ミリモル)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.15mL,0.9ミリモル)で処理した。反応混合物を、1N HCl/ヘキサン−EtOAcで分配した。水層をジクロロメタンで2回洗浄し、一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルのパッドを通過させ、濃縮した。残渣を4mLのブタノールに溶解し、60mgのPdCl(dppf)、ジクロロメタン付加物(60mg,0.08ミリモル)及びDIEA(0.18mL,1ミリモル)を加えた。反応物をCO雰囲気下(バルーン)、90℃で35分間撹拌し、反応物を減圧下に濃縮した。9:1(v/v) ヘキサン:EtOAcで溶出するシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより、標題の化合物をラセミ混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.93(d,J=8.2Hz,2H),7.36(d,J=8.2Hz,2H),7.34(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),4.50(t,J=7.9Hz,1H),4.29(t,J=6.5Hz,2H),3.92(s,3H),3.52(m,2H),1.74(m,2H),1.48(m,2H),0.98(t,J=7.4Hz,3H)。
【0181】
工程D:N−{4−[1(RS)−1−(6−ブトキシ−2−ナフチル)−2−フェニルエチル]ベンゾイル}−β−アラニン
前の工程由来の標題の化合物を、実施例4、工程D及びEに記載した手段を用いて処理し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LC−MS(ESI):m/z496.1[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)4.58(t,J=7.9Hz,1H),4.10(t,J=6.5Hz,2H),3.61(m,2H),3.53(m,2H),2.63(t,J=6.9Hz,2H),1.81(m,2H),1.53(m,2H),1.00(t,J=7.4Hz,3H)。
【0182】
実施例11
【0183】
【化30】

【0184】
工程A:(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(2−メトキシキノリン−6−イル)ブタン−1−オール
6−ブロモ−2−メトキシキノリン(3.95g,16.7ミリモル)の冷却した(−78℃)無水THF(60mL)中の水溶液に、n−BuLi(ヘキサン中、2.5M溶液、9.0mL,23ミリモル)を加えた。混合物を、窒素雰囲気下、−78℃で15分間撹拌し、4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(1.75g,13.9ミリモル)をゆっくりと反応混合物に加えた。反応槽を室温に加温し、飽和NHCl(水溶液)で反応混合物の反応を停止した。得られた混合物をEtOAc/ヘキサンで抽出した。有機層を減圧下に濃縮し、粗残渣を0%〜65%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出する、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS:m/z=286.2[M+H]H NMR(500MHz,CDCl):δ8.01(d,J=8.7,1H),7.92(d,J=8.7,1H),7.71(s,1H),7.64(dd,J=8.5,1.8,1H),6.69(d,J=8.9Hz,1H),4.97−4.92(m,1H),2.37−2.04(m,4H)。
【0185】
工程B:4−[1(RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(2−メトキシキノリン−6−イル)ブチル]フェノール
トリフルオロメタンスルホン酸(0.44mL,5ミリモル)に溶解したフェノール(1.4g,15ミリモル)に、前記反応の標題の化合物(2.9g,10ミリモル)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、氷水浴で冷却し、飽和NaHCO水溶液をゆっくりと加えることにより反応を停止した。得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層を減圧下に濃縮し、粗残渣を、勾配溶出(0%〜35%EtOAc/ヘキサン、500mL;35%〜75%EtOAc/ヘキサン、2000mL)を用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS,m/z362.3[M+H]H NMR(500MHz,CDCl):δ7.98(d,J=8.9Hz,1H),7.76(d,J=8.7Hz,1H),7.61(d,J=2.1Hz,1H),7.49(dd,J=8.7,2.1Hz,1H),7.16(d,J=6.3Hz,2H),6.91(d,J=8.9Hz,1H),6.80(d,J=8.5,2H),4.51−4.41(m,1H).4.05(s,3H),2.43−2.30(m,2H),2.16−2.04(m,2H)。
【0186】
工程C:ブチル4−[(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(2−メトキシキノリン−6−イル)ブチル]ベンゾエート
前の反応由来の標題の化合物(2.0g,5.5ミリモル)の無水CHCl(30mL)中の溶液に、ピリジン(0.67mL,8.3ミリモル)、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.1mL,6.6ミリモル)を加えた。混合物を室温で20分間撹拌し、水で反応を停止し、EtOAc/ヘキサンで抽出した。有機層をHOで2回、食塩水で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、短いシリカプラグを通過させた。ろ液を濃縮して乾燥し、トリフレートを固体として得た。このようにして得られたトリフレートをn−ブタノール(50mL)に溶解し、次いで、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II),ジクロロメタン付加物(476mg,0.65ミリモル)及びDIEA(2.85mL,16.2ミリモル)を加えた。反応混合物をCO雰囲気下(バルーン)、95℃で2時間撹拌した。得られた混合物を濃縮し、勾配溶出(0%〜25%EtOAc/ヘキサン、450mL;25%〜70%EtOAc/ヘキサン、2049mL)を用いたシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z=446.4[M+H]H NMR(500MHz,CDCl)δ8.02−7.97(m,3H),7.78(d,J=8.7Hz,1H),7.64(d,J=1.8Hz,1H),7.50(dd,J=8.7,2.1Hz,1H),7.40(d,J=8.5Hz,2H),6.93(d,J=8.7Hz,1H),4.30(t,J=6.6Hz,2H),4.18(t,J=8.0Hz,1H),4.05(s,3H),2.51−2.38(m,2H),2.19−2.04(m,2H),1.80−1.68(m,2H),1.53−1.42(m,2H),0.99(t,J=7.3Hz,3H).
【0187】
工程D:tert−ブチルN−{4−[(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ヒドロキシキノリン−6−イル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート及びtert−ブチルN−{4−[(1S)−4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ヒドロキシキノリン−6−イル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
前の工程由来の標題の化合物(1.6g,3.6ミリモル)の無水ジクロロエタン(16mL)中の撹拌溶液に、ヨウ化トリメチルシリル(2.7mL,18.7ミリモル)をゆっくりと加えた。混合物を65℃で3時間撹拌し、減圧下に濃縮した。残渣を、最初にトルエン(60mL)から再濃縮し、次いで、2−プロパノール(20mL)及びトルエン(30mL)の混合物から再濃縮し、粗フェノールを得た:LC−MS (ESI):m/z=432.2[M+1]。粗生成物を16mLの1,4−ジオキサン:MeOHの1:1混合物に溶解し、NaOH(3N溶液、8mL,24ミリモル)を加えた。混合物を60℃で1.5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、1N HCl水溶液(35mL)で酸性化した。水層をEtOAcで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮し、粗カルボン酸を得た。LC/MS(ESI):m/z376.2[M+H]
【0188】
前記で得られたカルボン酸に、EDC(1.0g,5.4ミリモル)、HOBt(0.73g,5.4ミリモル)及びβ−アラニンtert−ブチルエステル塩酸塩(0.98g,5.4ミリモル)を加えた。一緒にした固体をDMF(20mL)に溶解し、DIEA(2.4mL,13.5ミリモル)を加え、反応混合物を50℃で1時間撹拌した。水を加えることにより反応混合物の反応を停止し、水層をEtOAc/ヘキサンで抽出した。有機層を水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮した。粗残渣を、勾配溶出(2%〜55%MeOH/ジクロロメタン)を用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ラセミ生成物を淡褐色の固体として得た。LCMS(ESI):m/z503.3[M+H]
【0189】
生成物の鏡像異性体を、60:40(v/v)イソプロパノール:ヘプタンで溶出する、Chiralpak ADカラムによるキラルクロマトグラフィーにより分割し、早く溶出する生成物として鏡像異性体Aを、遅く溶出する生成物として鏡像異性体Bを得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ11.13(s,1H)7.78(d,J=9.4Hz,1H),7.72(d,J=8.2Hz,2H),7.46(d,J=1.8Hz,1H),7.39(dd,J=8.5,2.1Hz,1H),7.35(d,J=8.2Hz,2H),7.27(d,J=8.5Hz,1H),6.79(t,J=6.0Hz,1H),6.65(d,J=9.6Hz,1H),4.08(t,J=8.0Hz,1H),3.64(quart,J=6.2Hz,2H),2.53(t,J=6.2Hz,2H),2.38(quart,J=8.0Hz,2H),2.15−2.03(m,2H),1.45(s,9H)。
【0190】
工程E:N−{4−[(1R又はS)−1−(2−ブトキシキノリン−6−イル)−4,4,4−トリフルオロブチル]ベンゾイル}−βアラニン
4mLバイアル中、前の反応由来の鏡像異性体B(10mg,0.02ミリモル)の無水DMF(0.15mL)溶液に、CsCO(10mg,0.027ミリモル)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、1−ヨードブタン(0.010mL,0.102ミリモル)を加えた。混合物を40℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮した。残渣をCHCl(0.2mL)に溶解し、TFA(0.2mL)を加えた。30分後、混合物を減圧下に濃縮した。逆相HPLC(HO中、45%〜100%CHCN,それぞれ、0.05%v/vTFAを含む)による精製により、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z503.3[M+H]H NMR(500MHz,d−アセトン):δ8.15(d,J=8.9Hz,1H),7.86(d,J=8.2Hz,3H),7.81−7.76(broad,1H),7.73(d,J=8.7Hz,1H),7.62(dd,J=8.7,2.1Hz,1H),7.51(d,J=8.2Hz,2H),6.94(d,J=8.7Hz,1H),4.44(t,J=6.6Hz,2H),4.32(t,J=8.0Hz,1H),3.63(quart,J=6.6Hz,2H),2.64(t,J=6.6Hz,2H),2.53−2.41(m,2H),2.27−2.15(m,2H),1.83−1.75(m,2H),1.55−1.47(m,2H),0.98(t,J=7.3Hz,3H)。
【0191】
実施例12
【0192】
【化31】

【0193】
N−(4−{(1R又はS)−4,4,4−トリフルオロ−1−[2−(トリフルオロメチル)キノリン−6−イル]ブチル}ベンゾイル)−β−アラニン
実施例11、工程D由来の鏡像異性体B(266mg,0.53ミリモル)の冷却した(−78℃)無水CHCl(6mL)中の溶液に、窒素雰囲気下、ピリジン(0.112mL,1.38ミリモル)、及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.11mL,0.64ミリモル)を加えた。ドライアイス−アセトン槽を除去し、混合物を10分間撹拌した。溶液を−78℃に冷却し、EtOAc/ヘキサン(2:1 v/v)、及び水で反応を停止した。有機層を集め、短いシリカプラグを通過させた。ろ液を減圧下に濃縮し、トリフレートを固体として得た。LCMS(ESI):m/z 635.1[M+H]。この材料の一部(20mg,0.03ミリモル)、ヘキサメチルジチン(22mg,0.06ミリモル)、LiCl(14mg,0.3ミリモル)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.5mg,0.003ミリモル)を、密閉したバイアル中、0.5mLの1,4−ジオキサン中で、125℃で15分間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下に濃縮した。残渣を0.5mLのジクロロメタンに溶解し、ヨウ素(40mg,0.16ミリモル)を2時間かけて2回にわけて加えた。反応混合物をKF水溶液及び炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、水層部分をEtOAc及びジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルのパッドを通過させ、粗ヨウ化物を得た。このようにして得られたヨウ化物の一部(6mg,0.01ミリモル)を、0.1mLのDMF中、CuI(26mg,0.14ミリモル)及びメチル2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)アセテート(25mg,0.13ミリモル)と混合し、得られた溶液を密閉したバイアル中で125℃で1時間15分加熱した。この材料の15mgを用いて第二の反応を実施した。2個の粗反応混合物を混合し、減圧下に濃縮した。残渣を1:1のジクロロメタン:TFAで30分間処理し、濃縮し、逆相HPLC(YMC−C18カラム、45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.05%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z499.0[M+1]H NMR(500MHz,アセトン−d6):δ(ppm)8.67(d,J=8.5Hz,1H),8.19(d,J=1.8Hz,1H),8.12(d,J=8.9Hz,1H),7.90(m,4H),7.82(t,1H),7.56(d,J=8.2Hz,2H),4.48(t,J=8.0Hz,1H),3.64(q,2H),2.65(t,J=6.9Hz,2H),2.55(m,2H),2.26(m,2H)。
【0194】
実施例13
【0195】
【化32】

【0196】
工程A.tert−ブチル(4−ブロモフェニル)アセテート
4−ブロモフェニル酢酸(5.00g,23.2ミリモル)のtBuOAc(75mL)中の溶液に、BFOEt(2.95mL,23.2ミリモル)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、HO中に注ぎ入れた。水層をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮した。シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中、0%〜100%EtOAc)による精製によって、標題の化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ7.48(d,J=8.0Hz,2H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),3.52(s,2H),1.48(s,9H)。
【0197】
工程B.ブチル4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)ベンゾエート
でパージした前の工程由来の標題の化合物(1.55g,5.55ミリモル)を含むフラスコに、PdCl(PPh(584mg,0.83ミリモル)、n−BuOH(30mL)、及びDIEA(5.00mL,27.8ミリモル)を加えた。混合物を一酸化炭素雰囲気下に置き、110℃で激しく撹拌した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、減圧下に濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜100%EtOAc)による精製により標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z237.3[M−tBu]H NMR(500MHz,CDCl):δ7.99(d,J=8.0Hz,2H),7.34(d,J=8.0Hz,2H),4.32(t,J=6.5Hz,2H),1.77−1.72(m,2H),1.51−1.45(m,2H),1.43(s,9H),0.98(t,J=8.0Hz,3H)。
【0198】
工程C.ブチル4−{(1RS)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ブチル}ベンゾエート
前の工程由来の標題の化合物(749mg,2.56ミリモル)のDMF(8mL)中の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中、60%の懸濁液、113mg、2.82ミリモル)を加えた。10分後、1−ヨードプロパン(0.275mL,2.82ミリモル)を加え、反応混合物を70℃で撹拌した。1時間後、HOを加えることにより混合物の反応を停止した。水層をEtOAcで抽出し、有機層を減圧下に濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜100%EtOAc)による精製により標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z279.1[M−tBu]H NMR(500MHz,CDCl):δ7.98(d,J=7.5Hz,2H),7.36(d,J=7.5Hz,2H),4.31(t,J=6.5Hz,2H),3.50(t,J=8.0Hz,1H),2.06−1.98(m,1H),1.77−1.66(m,4H),1.51−1.45(m,2H),1.44(s,9H),1.33−1.22(m,1H),0.98(t,J=7.5Hz,3H),0.91(t,J=7.5Hz,3H)。
【0199】
工程D.ブチル4−[(1RS)−1−(クロロカルボニル)ブチル]ベンゾエート
前の工程の標題の化合物(645mg,1.93ミリモル)のCHCl(5mL)中の溶液に、TFA(2.5mL)を加えた。2時間後、反応混合物を減圧下に濃縮した。粗カルボン酸を塩化チオニル(3mL)に溶解し、80℃で撹拌した。2時間後、反応混合物を減圧下に濃縮し、更に精製することなく用いた。
【0200】
工程E.ブチル4−[(1RS)−1−(5−メトキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ブチル]ベンゾエート
前の工程の標題の化合物(1.9ミリモル)のCHCl(5mL)中の溶液に、ピリジン(0.625mL,7.72ミリモル)、次いで4−メトキシ−1−メチルフェニレンジアミン(470mg,3.80ミリモル)を加えた。12時間後、反応混合物を2N HClで洗浄し、有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮した。粗アミドをPOCl(3mL)に溶解し、80℃で撹拌した。12時間後、反応混合物を減圧下に濃縮し、DCMに再溶解し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を減圧下に濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜100%EtOAc)による精製により標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z395.2[M+1]
【0201】
工程F.ブチル4−[(1RS)−1−(5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)ブチル]ベンゾエート
前の工程の標題の化合物(146mg,0.37ミリモル)の冷却した(−78℃)CHCl(3mL)中の溶液に、BBr(CHCl中、1.0M、1.85mL,1.85ミリモル)を加えた。次いで、反応混合物を冷却槽から除去し、室温で撹拌した。2時間後、反応混合物を−78℃に冷却し、MeOHを加えることにより反応を停止した。混合物をCHClで希釈し、有機層を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、減圧下に濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜100%EtOAc)による精製により標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z381.2[M+1]
【0202】
工程G.3−{[4−((1(RS)−1−[5−[(2,4−ジクロロベンジル)オキシ]−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル}ブチル)ベンゾイル]アミノ}プロパン酸
前の工程の標題の化合物(17mg,0.05ミリモル)のDMF(1mL)中の溶液に、CsCO(44mg,0.14ミリモル)及び塩化2,4−ジクロロベンジル(0.010mL,0.07ミリモル)を加え、得られた混合物を45℃で撹拌した。2時間後、pH7のバッファーを加えることにより、反応混合物の反応を停止した。水層をEtOAcで抽出し、有機層を減圧下に濃縮した:LCMS(ESI):m/z 539.2[M+H]。粗付加物の1,4−ジオキサン(1mL)中の溶液に、LiOH(2.0M水溶液、0.5mL,1.0ミリモル)を加え、混合物を40℃で一晩撹拌した。2N HClを加えることにより反応混合物の反応を停止し、EtOAcで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮した: LCMS(ESI):m/z 483.1[M+H]。粗カルボン酸に、EDC(60.0mg,0.31ミリモル)、HOBt(43mg,0.31ミリモル)、β−アラニンエチルエステル塩酸塩(45mg,0.31ミリモル)を加えた。混合物をDMF(1mL)に溶解し、次いでDIEA(0.22mL,1.24ミリモル)を加え、反応混合物を40℃で撹拌した。12時間後、食塩水を加えることにより反応混合物の反応を停止し、EtOAcで抽出した。有機層を減圧下に濃縮した:LCMS(ESI):m/z 582.2[M+H]。次いで、粗アミドを1,4−ジオキサン(2mL)に再溶解した。水酸化リチウム(2N水溶液、1mL,2.0ミリモル)を加え、混合物を1時間撹拌し、2N HCl水溶液で中和し、逆相HPLC(HO中、20%〜100%CHCN、それぞれ0.1%v/v TFAを含む)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z554.1[M+H]H NMR(500MHz,d−DMSO):δ8.48(t,J=5.5Hz,1H),7.79(d,J=7.0Hz,2H),7.71(d,J=2.0Hz,1H),7.63(d,J=8.0Hz,2H),7.48(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),7.44(d,J=8.0Hz,2H),7.28(d,J=2.0Hz,1H),7.18−7.14(m,1H),5.23(s,2H),4.65(br m,1H),3.75(s,3H),2.35−2.22(m,1H),2.10−2.07(m,1H),1.32−1.23(m,2H),0.91(t,J=7.0Hz,3H)。
【0203】
実施例14
【0204】
【化33】

【0205】
工程A.ブチル4−[(1(RS)−1−(5−フェニル−1,3−ベンズオキサゾール−2−イル)ペンチル)ベンゾエート
実施例13、工程Dの標題の化合物(約0.58ミリモル)のジクロロメタン(5mL)中の溶液に、ピリジン(0.192mL,2.32ミリモル)、次いで2−アミノ−4−フェニルフェノール(211mg,1.16ミリモル)を加え、混合物を室温で撹拌した。14時間後、飽和NaHCO水溶液を加えることにより反応混合物の反応を停止し、EtOAcで希釈し、層を分離した。有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮し、更に精製することなく、反応を進めた:LCMS(ESI):m/z 446.1[M+H]。前記で得られた粗アミドのTHF(5mL)中の溶液に、トリフェニルホスフィン(455mg,1.74ミリモル)及びDIAD(0.343mL,1.74ミリモル)を加え、混合物を室温で撹拌した。5時間後、混合物を減圧下に濃縮し、シリカゲルによるクロマトグラフィー(ヘキサン中、0%〜100%EtOAc)により精製し、ベンズオキサゾールエステルをラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z428.3[M+H]
【0206】
工程B.3−({4−[(1(RS)−1−(5−フェニル−1,3−ベンズオキサゾール−2−イル)ブチル]ベンゾイル}アミノ)プロパン酸
前の工程の標題の化合物(88mg,0.21ミリモル)の1,4−ジオキサン(2mL)中の溶液に、LiOH(2.0M水溶液、0.5mL,1.0ミリモル)を加え、混合物を40℃で一晩撹拌した。2N HClを加えることにより反応混合物の反応を停止し、EtOAcで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下に濃縮した。粗カルボン酸に、EDC(118mg,0.62ミリモル)、HOBt(84mg,0.62ミリモル)、β−アラニンエチルエステル塩酸塩(95mg,0.62ミリモル)を加えた。混合物をDMF(1mL)に溶解し、次いで、DIEA(0.22mL,1.24ミリモル)を加え、反応混合物を40℃で撹拌した。12時間後、食塩水を加えることにより反応混合物の反応を停止し、EtOAcで抽出した。有機層を減圧下に濃縮し、次いで、1,4−ジオキサン(2mL)に再溶解した。水酸化リチウム(2N水溶液、1mL,2.0ミリモル)を加え、混合物を1時間撹拌し、2N HCl水溶液で中和し、逆相HPLC(HO中、20%〜100%CHCN、それぞれ0.1%v/v TFAを含む)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z443.2[M+H]H NMR(500MHz,d−DMSO):δ8.49(t,J=5.5Hz,1H),7.98(d,J=1.5Hz,1H),7.88(d,J=8.0Hz,2H),7.72−7.68(m,3H),7.62(dd,J=8.5,2.0Hz,1H),7.48−7.44(m,4H),7.38−7.35(m,2H),4.47(t,J=8.5Hz,1H),3.43(q,J=7.0Hz,2H),2.47(q,DMSOシグナルによってはっきりしない,2H),2.31−2.25(m,1H),2.06−1.99(m,1H),1.34−1.22(m,2H),0.91(t,J=8.0Hz,3H)。
【0207】
実施例15
【0208】
【化34】

【0209】
工程A:tert−ブチルN−{4−[(1R又はS)−4−ブロモ−1−(6−ブトキシ−2−ナフチル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
実施例1、工程C由来の鏡像異性体B(22mg,0.05ミリモル)を、約8%の1−ヨードブタンを含む0.5mLのDMF中で炭酸セシウム(28mg,0.09ミリモル)と一緒に一晩撹拌した。反応混合物を、水及びヘキサン−EtOAcで分配し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルの小さいプラグを通過させた。ろ液を濃縮し、0.3mLのTHFに溶解し、ボラン−THF(THF中、1.0M、0.1mL、0.1ミリモル)と、0℃で30分間処理した。3N NaOH水溶液及び30%過酸化水素を加えた。30分間撹拌した後、粗混合物を亜硫酸水素ナトリウム水溶液で5分間処理した。反応物を、水及びEtOAcで分配した。有機層を濃縮し、残渣を逆相HPLC(YMC−C18カラム,45%〜100%MeCN/HO、いずれも0.05%TFAを含む)により精製し、固体を得た。5mgのこの材料を、トリフェニルホスフィン(5mg,0.02ミリモル)、四臭化炭素(5mg,0.015ミリモル)及びDIEA(0.014mL,0.08ミリモル)と20分間処理した。トリフェニルホスフィン及び四臭化炭素の総量を3倍として、反応混合物を更に30分間撹拌した。シリカによる分取用TLC(2:1(v/v)ヘキサン:EtOAc)により標題の化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)7.70(m,5H),7.40(d,J=8.2Hz,2H),7.31(d,J=8.5Hz,1H),7.14(m,2H),6.75(t,1H),3.64(q,2H),3.48(t,J=6.6Hz,2H),2.54(t,J=6.1Hz,2H),2.32(m,2H),2.56(m,2H),1.47(s,9H),1.02(t,J=7.5Hz,3H)。
【0210】
工程B:N−{4−[(1R又はS)−1−(6−ブトキシ−2−ナフチル)−4−(エチルチオ)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニン
前の反応由来の標題の化合物を、3滴のDIEA及び3滴のエタンチオールを含む0.1mLのDMFで21Gの針を備えた注射器から分配して処理した。72時間後、粗材料を濃縮し、残渣を1:1のTFA/CHClで処理した。溶媒を除去し、残渣を逆相HPLC(YMC−C18カラム、勾配:45%〜100%MeCN/HO、いずれも1%TFAを含む)により精製し、標題の化合物を得た。LCMS(ESI):m/z508.1[M+H]H NMR(500MHz,アセトン−d6)δ(ppm)7.82(d,J=8.5Hz,2H),7.78(m,3H),7.71(d,J=8.7Hz,1H),7.46(d,J=8.2Hz,2H),7.39(dd,J=8.5,1.6Hz,1H),7.24(d,J=2.3Hz,1H),7.13(dd,J=8.9,2.5Hz,1H),4.21(t,J=7.9Hz,1H),4.10(t,J=6.4Hz,2H),3.62(q,2H),2.62(m,4H),2.46(q,2H),2.31(m,2H),1.81(m,2H),1.56(m,4H),1.17(t,J=7.4Hz,3H),0.98(t,J=7.4Hz,3H)。
【0211】
実施例16
【0212】
【化35】

【0213】
工程A:(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(7−メトキシキノリン−3−イル)ブタン−1−オール
−10℃で、BuMgCl(エーテル中、2M溶液、0.16 mL,0.32ミリモル)を1mLのトルエンに加えた。n−BuLi(ヘキサン中、2.5M溶液、0.26mL,0.64ミリモル)を滴下して加え、反応混合物を−10℃で45分間熟成させた。3−ブロモ−7−メトキシキノリン(200mg)の1mLのトルエン中の溶液を−20℃で加えた。1時間後、反応混合物を−78℃に冷却し、4,4,4−トリフルオロブチルアルデヒド(0.16mL,1ミリモル)を加え、反応混合物をゆっくりと室温に加温した。440mg(1.8ミリモル)の3−ブロモ−7−メトキシキノリンを用いて比例的に工程を繰り返した。2個の反応物を混合し、水及びヘキサン−EtOAcで分配した。有機層を濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(25%〜66%EtOAc/ヘキサン)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.71(d,J=2.1Hz,1H),8.06(s,1H),7.70(d,J=8.9Hz,1H),7.35(d,J=2.1Hz,1H),7.21(dd,J=8.9,2.2Hz,1H),4.93(m,1H),3.93(s,3H),2.33(m,2H)。
【0214】
工程B:4−[(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(7−メトキシキノリン−3−イル)ブチル]フェノール
前の反応の標題の化合物(170mg,0.47ミリモル)及びフェノール(210mg,2.2ミリモル)を2mLのトリフルオロメタンスルホン酸中で2時間混合した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液及びEtOAcで分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮し、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィー(33%〜60%EtOAc/ヘキサン)により精製し、標題の化合物をラセミ混合物として得た。LCMS(ESI):m/z362.4[M+H]H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)8.69(d,J=2.3Hz,1H),7.96(d,J=2.1Hz,1H),7.73(d,J=9.2Hz,1H),7.40(d,J=2.3Hz,1H),7.23(dd,J=9.2,2.5Hz,1H),7.16(d,J=8.7Hz,2H),6.81(d,J=8.5Hz,2H),4.08(t,J=8.0Hz,1H),3.96(s,3H),2.40(m,2H),2.14(m,2H)。
【0215】
工程C:ブチル4−[(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(7−メトキシキノリン−3−イル)ブチル]ベンゾエート
実施例11、工程Cに概要を示す手段を用いて、前の反応の標題の化合物(134mg,0.37ミリモル)をブチルエステルに変換した。LCMS(ESI):m/z446.3[M+1]
【0216】
工程D:ブチル4−[(1RS)−4,4,4−トリフルオロ−1−(7−ヒドロキシキノリン−3−イル)ブチル]ベンゾエート
前の反応の標題の化合物(87mg,0.24ミリモル)を、ニート状の塩酸ピリジニウム(120mg)中で、190℃で40分間、及び170℃で16時間加熱した。水性の処理(水/EtOAc)により、粗ヒドロキシキノリンをラセミ混合物として与え、これは更に精製することなく用いられた。LCMS(ESI):m/z432.2[M+1]
【0217】
工程E:tert−ブチル−N−{4−[(1R)−4,4,4−トリフルオロ−1−(7−ヒドロキシキノリン−3−イル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート及びtert−ブチル−N−{4−[(1S)−4,4,4−トリフルオロ−1−(7−ヒドロキシキノリン−3−イル)ブチル]ベンゾイル}−β−アラニネート
実施例11、工程Dに記載した手段を用いて、前の反応の標題の化合物をβ−アラニンtert−ブチルエステルに変換した。生成物の鏡像異性体を、60:40(v/v)のイソプロパノール:ヘプタンで溶出するChiralpak ADカラムによるキラルクロマトグラフィーにより分離し、早く溶出する生成物として鏡像異性体A、遅く溶出する生成物として鏡像異性体Bを得た。LCMS(ESI):m/z503.3[M+1]
【0218】
工程F:N−(4−{(1R)−1−[7−(3,4−ジフルオロフェニル)キノリン−3−イル]−4,4,4−トリフルオロブチル}ベンゾイル)−β−アラニン及びN−(4−{(1S)−1−[7−(3,4−ジフルオロフェニル)キノリン−3−イル]−4,4,4−トリフルオロブチル}ベンゾイル)−β−アラニン
実施例5、工程A及びBに記載されたようにして、前の工程由来の鏡像異性体A及びBを、それぞれ最終生成物に変換した。LCMS(ESI):m/z543.3[M+H]H NMR(500MHz,アセトン−d6)δ8.52(s,1H),8.36(s,1H),8.12(d,J=8.5Hz,1H),7.99(dd,J=8.5,1.6Hz,1H),7.91(d,J=8.2Hz,2H),7.84(m,2H),4.54(t,J=7.9Hz,1H),3.63(q,2H),2.63(m,4H),2.31(m,2H)。
【0219】
【表1−1】

【0220】
【表1−2】

【0221】
【表1−3】

【0222】
【表1−4】

【0223】
【表2−1】

【0224】
【表2−2】

【0225】
【表2−3】

【0226】
【表3】

【0227】
【表4】

【0228】
生物学的アッセイ
本発明の化合物のグルカゴンの結合を阻害する能力、及び2型糖尿病及び関連する病状の治療又は予防における有用性は、以下の生体内アッセイによって証明することができる。
【0229】
グルカゴン受容体結合アッセイ
クローニングされたヒトグルカゴン受容体を発現する安定なCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)系を、開示されたように維持した(Chicchi et al.J Biol Chem 272,7765−9(1997);Cascieri et al._Biol Chem 274,8694−7(1999))。化合物の拮抗的結合親和力を測定するため、これらの細胞からの細胞膜0.002mgを、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM MgCl,2mM EDTA、12%グリセロール、及び0.200mgのWGAでコーティングしたPVT SPAビーズ(Amersham)、+/−化合物又は0.001MM非標識グルカゴンを含むバッファー中で、1251−グルカゴン(New England Nuclear,MA)とインキュベーションした。室温で4〜12時間インキュベーションした後、細胞膜に結合した放射活性を、放射活性発光検出カウンター(Wallac−Microbeta)内で測定した。GraphPadからのソフトウェアプログラムPrismを用いてデータを解析した。一部位競合と仮定した非線形回帰分析を用いて、IC50値を計算した。本発明の化合物についてのIC50値は、一般に、約1nM〜約500nMの範囲であり、従って、グルカゴンアンタゴニストとして有用性を有する。
【0230】
グルカゴン刺激性細胞内cAMP形成の阻害
ヒトグルカゴン受容体を発現する指数増殖期にあるCHO細胞を、酵素を含まない分離培地(Specialty Media)を用いて集め、低速度でペレット化させ、Flash Plate cAMPキット(New England Nuclear,SMP0004A)に含まれるCell Stimulationバッファーに再懸濁した。アデニル酸シクラーゼアッセイを、製造者の使用説明書の通り準備した。すなわち、化合物をDMSO中のストックから希釈し、DMSOの最終濃度が5%になるように細胞に加えた。前述のように調製した細胞を、化合物又はDMSOコントロールの存在下、抗cAMP抗体(NEN)でコーティングしたフラッシュプレート中で30分間プレインキュベーションし、次いで、グルカゴン(250pM)で更に30分間刺激した。溶解バッファー及び125Iで標識したcAMPトレーサー(NEN)を含む等量の検出バッファーを加えることにより、細胞の刺激を停止した。室温で3時間のインキュベーション後、結合した放射活性を、液体シンチレーションカウンター(TopCount−Packard Instruments)中で測定した。基本的な活性(100%阻害)は、DMSOコントロールを用いて決定し、0%阻害は、250pMのグルカゴンによって生成されるcAMPのpモル量として定義された。
【0231】
本発明の特定の実施態様を詳細に説明したが、他の多数の実施態様が本発明の範囲内として意図される。従って、請求項は、本明細書に開示された特定の実施態様に限定されない。本明細書に引用された全ての特許、特許出願及び出版物は、参照することにより本明細書にその全てが組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、環Aは、二環式アリール、又は1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個がO又はSであり、その0〜2個がN原子である8〜10員環の二環式ヘテロアリール基を表し;
は、C1−10アルキル及びC2−10アルケニルから選択され、前記基は、パーハロまでの1〜5個のハロ基、並びにOH、CO、SO、CN、NO、C(O)NR、NR、OC1−6アルキル、C1−6ハロアルコキシ、ハロC1−6アルキルチオ、アリール及びヘテロアリールから選択される1個のメンバーで置換されていてもよく、
前記アリール及びヘテロアリールは、1〜3個のハロ基、及びOH、CO、SO、CN、NO、C(O)NR、NR、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C(O)C1−6アルキル、C(O)−ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、ハロC2−6アルケニル、SC1−6アルキル及びハロSC1−6アルキルからなる群から選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
は、水素、C1−6アルキル又はハロC1−6アルキルを表し;
4個のR基は、以下のものを表し、
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−C1−4アルキル−HAR、−X−アリール、−X−HAR、−X−C1−4アルキル−アリール及び−X−C1−4アルキル−HARからなる群から選択され、ここで、XはO、S、S(O)又はS(O)を表し;
前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は、1〜4個のハロ基、並びにOH、CN、C1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、NO、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びNRから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、OH、CN、オキソ、NO、SO、NR、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル、C2−8アルケニル、OC2−8アルケニル及びハロC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子であり;
は、H又はC1−6アルキルであり、そして
は、C1−8アルキル、ハロC1−6アルキル、アリール又はAr−C1−4アルキルからなる群から選択されるメンバーを表し;
及びRは、それぞれ独立してH又はC1−6アルキルを表し;
pは、0、1又は2であり;
は、CHCHCO、CHCH(OH)CO又は5−テトラゾリルを表し;そして
は、H、又はハロ、CN、NO、OH、C1−3アルキル、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルキル及びハロC1−3アルコキシからなる群から選択される)により表される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
環Aが、ナフチル、及び、1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個が酸素又はイオウ原子であり、その0〜2個が窒素原子である二環式の9〜10員環ヘテロアリール、からなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
環Aが、ナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル及びベンゾオキサゾリルからなる群から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が、C1−8アルキル基又はC2−8アルケニル基を表し、前記基は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、更にOH、SO、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、アリール及びHARから選択される1個の置換基で置換されていてもよく、
前記アリール及びHARは、1〜3個のハロ原子、及びSO、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル及びハロC1−6アルコキシから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が、C1−8アルキル基又はC2−8アルケニル基を表し、前記基は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、更にSO、アリール及びHARから選択される1個の置換基で置換されていてもよく、pは0を表し、RはC1−4アルキルを表し、そして
前記アリール及びHARは、1〜3個のハロ原子、及びSO、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル及びハロC1−6アルコキシから選択される1個の置換基で置換されていてもよい、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が、H、C1−4アルキル及びハロC1−4アルキルからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
4個のR基が以下を表す、請求項1記載の化合物。
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−X−(CH1−4アリール、−C1−4アルキル−HAR及び−X−(CH1−4HARからなる群から選択され;
ここで、XはO又はSを表し、前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は1〜3個のハロ原子、並びにC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びCNから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、CN、NO、SO、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル及びC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子である。
【請求項8】
4個のR基が以下を表す、請求項7記載の化合物。
1)0〜1個のR基は、フェニル、5〜6員環のHAR基、−(CH1−2−フェニル、−X−(CH1−2−フェニル、−(CH1−2−5〜6員環のHAR、及び−X−(CH1−2−5〜6員環のHAR、からなる群から選択され、
ここで、XはO又はSを表し、前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は1〜3個のハロ原子、並びにC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びCNから選択される1個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、CN、NO、SO、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル及びC2−8アルケニルから選択され、
pは0を表し、RはC1−6アルキル又はハロC1−6アルキルを表し;及び
3)残りのR基は、H、又はCl及びFから選択されるハロ原子である。
【請求項9】
が、
【化2】

から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、
【化3】

を表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
がHを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
環Aが、ナフチル、及び、1〜3個のヘテロ原子を含み、その0〜1個が酸素又はイオウ原子であり、その0〜2個が窒素原子である二環式9〜10員環ヘテロアリール、からなる群から選択され;
が、C1−8アルキル基又はC2−8アルケニル基を表し、前記基は1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、更にOH、SO、OC1−3アルキル、ハロC1−3アルコキシ、アリール及びHARから選択される1個の置換基で置換されていてもよく、
前記アリール及びHARは1〜3個のハロ原子、並びにSO、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6アルキル及びハロC1−6アルキルから選択される1個の置換基で置換されていてもよく;
が、H、C1−4アルキル及びハロC1−4アルキルからなる群から選択され;
4個のR基が、以下を表し、
1)0〜1個のR基は、アリール、HAR、−C1−4アルキル−アリール、−X−(CH1−4アリール、及び−C1−4アルキル−HARからなる群から選択され、
ここで、XはO又はSを表し、前記アリール及びHAR基、及び前記基の一部は1〜3個のハロ原子、並びにC1−6アルキル、OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、OC1−6ハロアルキル、SO、C2−6アルケニル、OC2−6アルケニル及びCNから選択される1〜2個のメンバーで置換されていてもよく;
2)0〜3個のR基は、CN、NO、SO、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、OC1−8アルキル、OC1−8ハロアルキル及びC2−8アルケニルから選択され;及び
3)残りのR基は、H又はハロ原子であり;
は、
【化4】

から選択され;そして
はHを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
下記表
【化5】

【化6】

【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】


【表1−4】

【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表3】

【表4】

から選択される、請求項1記載の化合物、又はそれらの異性体、ラセミ混合物、塩若しくは溶媒和物。
【請求項14】
請求項1記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項15】
治療の必要なほ乳類患者における2型糖尿病を治療する方法であって、2型糖尿病を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項16】
治療の必要なほ乳類患者における2型糖尿病の発症の遅延方法であって、2型糖尿病の発症を遅延するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項17】
治療の必要なほ乳類患者における高血糖症、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療する方法であって、有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項18】
治療の必要なほ乳類患者における非インスリン依存性糖尿病を治療する方法であって、抗糖尿病に有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項19】
治療の必要なほ乳類患者における肥満症を治療する方法であって、肥満症を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項20】
治療の必要なほ乳類患者におけるX症候群を治療する方法であって、X症候群を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項21】
治療の必要なほ乳類患者における、脂質代謝異常、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法であって、前記脂質障害を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項22】
治療の必要なほ乳類患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。
【請求項23】
治療の必要なほ乳類患者における、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質代謝異常、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満症、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)X症候群、及びインスリン抵抗性が構成要素である他の病状及び疾患からなる群から選択される病状を治療する方法であって、前記病状を治療するのに有効な量の請求項1記載の化合物を、前記患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2009−537525(P2009−537525A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510988(P2009−510988)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/011390
【国際公開番号】WO2007/136577
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】