説明

グルコガンレセプター発現の調節

【課題】グルカゴンレセプターの発現を調節するための、化合物、組成物および方法を提供する。
【解決手段】グルカゴンレセプターをコードする核酸を標的としたオリゴヌクレオチドを含む組成物。グルカゴンレセプターの発現調節、ならびに、グルカゴンレセプターの発現に関連する疾患の診断および治療のためのこれら化合物を用いる方法が提供される。上記オリゴヌクレオチドはグルカゴンレセプターをコードする核酸の標的とし、グルカゴンレセプターの発現を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年4月28日に出願された、米国仮出願番号60/466,256に対して優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、グルカゴンレセプターの発現を調節するための、組成物および方法を提供する。とりわけ本発明は、化合物に関連し、特に、オリゴヌクレオチド化合物に関連する。好ましい実施形態において、これら化合物は、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子にハイブリダイズする。本明細書中において、このような化合物がグルカゴンレセプターの発現を調節することが示される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
正常な血糖の維持は、慎重に調節された代謝事象である。グルカゴンは、アミノ酸29個のペプチドであり、吸収後の状態下での血糖値の調節を担っており、このグルカゴンは、肝糖源分解、肝糖源新生の活性化、脂肪組織における脂肪分解の刺激、および、インスリン分泌の刺激により、肝臓からのグルコースの放出を増大する。インスリンは、高血糖値の間に、糖源分解および糖新生のグルカゴンを介した増強を、逆転する。糖尿病患者において、インスリンは利用可能でないか、十分に効果的でないかのいずれかである。糖尿病の治療は、伝統的に、インスリンレベルの増加に集中してきたが、グルカゴンの拮抗作用機能が、代替治療法として検討されている。グルカゴンは、グルカゴンレセプターを通して信号を放つことにより、その生理学的作用を発揮するので、グルカゴンレセプターは、糖尿病に対する潜在的に治療標的として、提案されている(Madsenら、Curr. Pharm. Des., 1999, 5, 683-691)。
【0004】
グルカゴンレセプターは、七回膜貫通ドメインを有するGタンパク連結レセプターのスーパーファミリーに属している。このレセプターはまた、グルカゴンに構造上類似したペプチドに結合する相同なレセプターの、より小さいサブファミリーの一員である。ヒトのグルカゴンレセプターをコードする遺伝子は、1994年にクローン化され、そして、ゲノム配列の分析によって、複数のイントロンが明らかにされ、そして、ラットのグルコガンレセプター遺伝子に対して82%の同一性が、明らかにされた(Lokら、Gene, 1994, 140, 203-209. ;MacNeilら、Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 198, 328-334)。ラットのグルカゴンレセプター遺伝子のクローニングはまた、複数の選択的スプライス改変体の説明を導いた(Magetら、FEBS Lett., 1994, 351, 271-275)。米国特許第5,776,725号中に開示および特許請求されているのは、ヒトまたはラットのグルカゴンレセプターをコードする単離された核酸配列である(Kindsvogelら、1998)。このヒトのグルカゴンレセプター遺伝子は、染色体17q25上に位置を特定されている(Menzelら、Genomics, 1994, 20 ,327-328)。グルカゴンレセプター遺伝子の40コドンでのグリシンからセリンへのミスセンス変異は、グルカゴンに対する親和性を三分の一まで低くする(Fujisawaら、Diabetologia, 1995, 38, 983-985)。そして、この変異は、以下を含むいくつかの病状につながっている。インスリン非依存型糖尿病(Fujisawaら、Diabetologia, 1995, 38, 983-985)、高血圧(Chambers and Morris, Nat. Genet., 1996, 12, 122)、および、中心性肥満症(Sianiら、Obes. Res., 2001, 9, 722-726)。
【0005】
グルカゴンレセプターに拮抗することによるグルカゴン機能阻害は、糖尿病に対する治療標的として提案されている。現在のところ、グルカゴンレセプター合成を効果的に阻害する治療薬は、今までに知られていない。グルカゴンレセプター機能の調節を目的とする研究方法は、抗体、ぺプチジルアンタゴニスト、および、低分子の用途に関する。加えて、標的とされるマウスにおけるグルカゴンレセプター遺伝子破壊は、グルカゴンレセプターの完全欠損および血漿グルカゴン値上昇にもかかわらず、このマウスは、ほぼ標準的な血糖症および脂血症を維持することが示されている(Parkerら、Biochem. Biophys. Res. Commun., 2002, 290, 839-843)。特許出願第WO02/45494号(Allenら)は、グルカゴンレセプター遺伝子の変異を有するトランスジェニックマウスを開示する。グルカゴンレセプターのアゴニストまたはアンタゴニスト、グルカゴンレセプター遺伝子の機能、発現または活性を調節する因子、このような因子の同定方法、耐糖能異常に関連する病状の改善方法、肥満症、体重増加、糖尿病に影響する因子の同定方法、肥満症または糖尿病状態の治療方法、および、グルカゴンレセプター遺伝子の変異を有するトランスジェニックマウスに関連する表現型データもまた、特許請求される。
【0006】
グルカゴン中和モノクローナル抗体は、グルカゴンレセプターのグルカゴン結合部位に結合することによって、グルカゴン刺激性シグナル伝達を部分的に拮抗することが記載されている(Buggyら、Horm. Metab. Res., 1996, 28, 215-219)。グルカゴンレセプターのアミノ酸配列に特異的に結合する抗体は、米国特許第5,770,445号において、開示および特許請求されている(Kindsvogelら、1998)。
【0007】
グルカゴンレセプターのいくつかのペプチジルアンタゴニストが、当該分野において報告されている。六つのグルカゴンアナログは、N末端に修飾を施され、グルカゴンレセプターに対してグルカゴンよりも高い親和性を有するよう設計された(Zechelら、Int. J. Pept. Protein Res., 1991, 38, 131-138)。二つのソマトスタチンアナログは、グルカゴン分泌のインヒビターであると報告されている(Rossowski and Coy、Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 205, 341-346)。
【0008】
多くの低分子は、グルカゴンレセプターアンタゴニストとして研究されている。このアンタゴニストは:[(+)-3,5ジイソプロピル-2-(1-ヒドロキシエチル)-6-プロピル-4’-フルオロ-1、1’-ビフェニル(Bay27-9955)(Petersen and Sullivan、Diabetologia, 2001, 44, 2018-2024)、一連のアルキリデンヒドラジド(Lingら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 663-666)、一連の4-アリール-ピリジン、3-[(1R)-ヒドロオキシエチル)および2’-ヒドロオキシ基の両方を含む(Ladouceurら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 3421-3424)、一連の5-ヒドロオキシアルキル-4-フェニルピリジン(Ladouceurら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 461-464)、一連のトリアリールイミダゾール(Changら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001, 11, 2549-2553)、一連の2-ピリジル-3,5-ジアリールピロール(de Laszloら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1999, 9, 641-646)、いくつかの置換ベンズイミダゾール(Madsenら、J. Med. Chem., 1998, 41, 5150-5157)、および、一連のピロロ[1,2-a]キノキサリン(Guillonら、Eur. J. Med. Chem., 1998, 33, 293-308)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,776,725号
【特許文献2】WO02/45494号
【特許文献3】米国特許第5,770,445号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Madsenら、Curr. Pharm. Des., 1999, 5, 683-691
【非特許文献2】Lokら、Gene, 1994, 140, 203-209
【非特許文献3】MacNeilら、Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 198, 328-334
【非特許文献4】Magetら、FEBS Lett., 1994, 351, 271-275
【非特許文献5】Kindsvogelら、1998
【非特許文献6】Menzelら、Genomics, 1994, 20 ,327-328
【非特許文献7】Fujisawaら、Diabetologia, 1995, 38, 983-985)
【非特許文献8】Chambers and Morris, Nat. Genet., 1996, 12, 122
【非特許文献9】Sianiら、Obes. Res., 2001, 9, 722-726
【非特許文献10】Parkerら、Biochem. Biophys. Res. Commun., 2002, 290, 839-843
【非特許文献11】Buggyら、Horm. Metab. Res., 1996, 28, 215-219
【非特許文献12】Zechelら、Int. J. Pept. Protein Res., 1991, 38, 131-138
【非特許文献13】Rossowski and Coy、Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 205, 341-346
【非特許文献14】Petersen and Sullivan、Diabetologia, 2001, 44, 2018-2024
【非特許文献15】Lingら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 663-666
【非特許文献16】Ladouceurら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 3421-3424
【非特許文献17】Ladouceurら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 461-464
【非特許文献18】Changら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001, 11, 2549-2553
【非特許文献19】de Laszloら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1999, 9, 641-646
【非特許文献20】Madsenら、J. Med. Chem., 1998, 41, 5150-5157
【非特許文献21】Guillonら、Eur. J. Med. Chem., 1998, 33, 293-308
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
グルカゴンレセプター機能を効果的に阻害し得るさらなる因子が、長い間求められている。アンチセンス技術は、特異的な遺伝子産物の発現を減少する効果的な方法であり、そして、数多くの治療的適用、診断的適用、および研究適用に対して、特有に有用であると証明されている。本発明は、グルカゴンレセプターの発現を調節するための、組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、化合物を対象とし、特に、核酸および核酸様のオリゴマーに関し、これらはグルカゴンレセプターをコードする核酸に対して標的化され、そして、グルカゴンレセプターの発現を調節する。本発明の化合物を含有する薬学的組成物および他の組成物もまた、供給される。さらに供給されるのは、グルカゴンレセプターの調節因子のためのスクリーニング方法、および、細胞内か、組織内か、または動物内でのグルカゴンレセプター発現の調節方法であり、上記細胞に対してか、上記組織に対してか、または、上記動物に対して、本発明の一つ以上の化合物または組成物を接触させる工程を含有する。動物、特にヒトの治療方法もまた、本明細書中に示され、このヒトは、グルカゴンレセプターの発現に関連する疾患または状態を有する疑いがあるか、または、この疾患または状態の傾向があるヒトである。このような方法は、治療に必要なヒトに対して、治療的にまたは予防的有効量の、本発明の一つ以上の化合物または組成物を投与する工程を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
(A. 発明の概要)
本発明は、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子の機能または効果を調節する用途のために、化合物、好ましくは、オリゴヌクレオチドおよび類似種を使用する。グルカゴンレセプターをコードする一つ以上の核酸分子と、特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供することによって達成される。本明細書中に用いられる場合、用語「標的核酸」および「グルカゴンレセプターをコードする核酸分子」は便宜上、グルカゴンレセプターをコードするDNA、このようなDNAから転写されたRNA(mRNA前駆体、mRNAまたはその一部を含む)、およびまた、このようなRNAに由来するcDNAもまた包含するように用いられている。本発明の化合物とその標的核酸とのハイブリダイゼーションは、概して、「アンチセンス」と呼ばれる。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態の実施を含まれると考えられる好ましい機構は、本明細書中において「アンチセンス阻害」と呼ばれる。このようなアンチセンス阻害は代表的に、オリゴヌクレオチド鎖またはオリゴヌクレオチドセグメントの水素結合ベースのハイブリダイゼーションに基づいており、その結果、少なくとも一つの鎖または部分が、切断され、分解され、またはそうでなければ、実施不可能にされる。この点において、特異的な核酸分子、および、このようなアンチセンス阻害のためのそれらの機能を標的とすることが、現在好ましい。
【0014】
干渉されるDNAの機能は、複製および転写を含み得る。複製および転写は、例えば、内在性細胞鋳型、ベクター、プラスミド構築物、または別のものからなり得る。阻害されるRNAの機能は、たとえば、タンパク質翻訳部位へのRNA転移、RNA合成部位から離れている細胞内の部位へのRNA転移、RNAからのタンパク質の翻訳、一つ以上のRNA種を産生するRNAスプライシング、および、RNAによって関与され得るか、または、促進され得るRNAに関与する、触媒活性または複合体形成のような機能を含み得る。このような標的核酸の機能干渉の好ましい結果の一つは、グルカゴンレセプターの発現調節である。本発明の文脈において、「調節」および「発現調節」は、遺伝子をコードする核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)の量またはレベルにおける、増加(刺激)、または、減少(阻害)のいずれか一方を意味する。阻害は、多くの場合、発現調節の好ましい形態であり、そして、mRNAは、多くの場合、好ましい標的核酸である。
【0015】
本発明の文脈において、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴマー化合物の相補鎖の対形成を意味する。本発明において、対形成の好ましい機構は、オリゴヌマー化合物の鎖の、相補的ヌクレオシドまたは相補的ヌクレオチド塩基(核酸塩基)間での水素結合(ワトソン-クリック型水素結合、フーグステン型水素結合、または、逆フーグステン型水素結合であり得る)を含む。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を介して対となる相補的核酸塩基である。ハイブリダイゼーションは、種々の環境下で起こり得る。
【0016】
アンチセンス化合物は、上記標的核酸に対するこの化合物の結合が上記標的核酸の正常機能を干渉し活性の低下を生じさせる場合、特異的ハイブリダイズし得る。そして、特異的な結合が所望される条件下(すなわち、インビボアッセイまたは治療上の処置の場合の生理学的条件下、および、インビトロアッセイの場合にアッセイが行われる条件下)において、上記アンチセンス化合物の非標的核酸配列との非特異的な結合を避ける、十分な程度の相補性がある。
【0017】
本発明において、熟語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は、本発明の化合物がその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列に対しては最小数ハイブリダイズする条件を呼ぶ。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、そして、異なる環境中および本発明の状況中において、異なる。オリゴマー化合物が標的配列にハイブリダイズする「ストリンジェントな条件」は、オリゴマー化合物の性質および組成物により、ならびに、研究されているアッセイの性質および組成物により、決定される。
【0018】
「相補性」は、本明細書中に用いられる場合、オリゴマー化合物の二つの核酸塩基の間での正確な対形成能力を呼ぶ。例えば、オリゴヌクレオチドの特定の位置の核酸塩基が、標的核酸中の特定の位置の核酸塩基と水素結合し得る場合、この標的核酸は、DNA、RNA、または、オリゴヌクレオチド分子であり、したがって、このオリゴヌクレオチドとこの標的核酸との間の水素結合の位置は、相補的な位置であるとみなされる。各分子中の十分な数の相補的な位置が、互いに水素結合し得る核酸塩基により占められる場合、上記オリゴヌクレオチド、および、さらに上記DNA、上記RNA、または、上記オリゴヌクレオチド分子は、互いに相補的である。従って、「特異的にハイブリダイズし得る」および「相補的」は、上記オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に安定かつ特異的な結合が生じるような、十分な数の核酸塩基を上回る十分な程度の正確な対形成、または、相補性を示すのに用いられる用語である。
【0019】
当該分野で理解されているように、アンチセンス化合物の配列は、特異的にハイブリダイズし得るために、その標的核酸配列に100%相補的でなくともよい。さらに、オリゴヌクレオチドは、一つ以上のセグメントの上にハイブリダイズし得、その結果、介在セグメント、または、隣接セグメントは、このハイブリダイゼーションの事象(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)に関与しない。本発明の上記アンチセンス化合物は、上記標的核酸中の標的領域に少なくとも70%の配列相補性を有すことが好ましく、このアンチセンス化合物が90%の配列相補性を有すことがより好ましく、そして、このアンチセンス化合物に標的化された上記標的核酸配列中の上記標的領域に95%の配列相補性を有すことがさらにより好ましい。例えば、アンチセンス化合物は、このアンチセンス化合物の20核酸塩基の内18核酸塩基が、標的領域に相補的であり、そして、それゆえに特異的にハイブリダイズし、90%の相補性を示す。この例において、残存する非相補的な核酸塩基は、クラスター化され得るかまたは相補的な核酸塩基で分散され得、そして、この相補的な核酸塩基は、互いに対して、または、相補的な核酸塩基に対して、隣接する必要はない。それ自体で、アンチセンス化合物は、18核酸塩基であり、上記標的核酸に対して完全な相補性を有する二つの領域に隣接する、4(四つ)の非相補的な核酸塩基を有する。このアンチセンス化合物は、上記標的核酸に77. 8%の全相補性を有し、従って、本発明の範囲内に含まれる。標的核酸の領域とのアンチセンス化合物の相補性の百分率は、通常、BLAST(ベーシック ローカル アライメント サーチツール(basic local aligment search tools))プログラム、および、当該分野で周知であるPowerBLASTプログラム(Altschulら、J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410;Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656)を用いて、決定され得る。
【0020】
(B. 発明の化合物)
本発明によれば、化合物は、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(External Guide Sequence(EGS))オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー、プライマー、プローブ、および、少なくとも一部の標的核酸にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物を含む。それ自体で、これらの化合物は、一本鎖オリゴマー化合物か、二本鎖オリゴマー化合物か、環状オリゴマー化合物か、またはヘアピンオリゴマー化合物の形態で導入され得、そして、内部かまたは末端に、突出またはループのような構造要素を含み得る。一旦システムに導入されると、本発明の上記化合物は、上記標的核酸の修飾に影響する一つ以上の酵素または構造タンパク質の作用を誘発し得る。このような酵素の非限定的な一つの例は、RNAseHであり、RNA:DNA二重螺旋のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。「DNA様」である一本鎖アンチセンス化合物がRNAseHを誘発することは、当該分野において公知である。RNAseHの活性化は、それゆえに、上記RNA標的の切断を生じ、それによって、オリゴヌクレオチドを介した遺伝子発現阻害の効率を大いに増強する。RNaseIII内のリボヌクレアーゼ、および、酵素のリボヌクレアーゼLファミリーのような他のリボヌクレアーゼに関して、類似した役割が仮定されている。
【0021】
アンチセンス化合物の好ましい形態は、一本鎖のアンチセンスオリゴヌクレオチドであるが、多くの種における二本鎖構造(例えば、二本鎖RNA(dsRNA)分子)の導入は、有力かつ特異的な、アンチセンスを介した遺伝子の機能の低下か、または、その遺伝子に関連する遺伝子産物の機能の低下を引き起こすことが示されている。この現象は、植物および動物の両方で生じ、そして、ウィルスの防衛およびトランスポゾンサイレンシングとの進化的関係を有すると考えられる。
【0022】
dsRNAは、動物において遺伝子サイレンシングを引き起こすという最初の証拠は、線虫(Caenorhabditis elegans)における研究(Guo and Kempheus、Cell, 1995, 81, 611-620)から1995年に報告された。Montgomeryらは、dsRNAの主要な干渉効果は、転写後であることを示した(Montgomeryら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95, 15502-15507)。Caenorhabditis elegansにおいて規定された上記転写後のアンチセンス機構は、二本鎖RNA(dsRNA)に対する露出によって生じるので、RNA干渉(RNAi)と呼ばれている。この用語は、内在する標的とされたmRNAレベルの配列特異的な減少を引き起こす、dsRNAの導入を含むアンチセンスを介した遺伝子サイレンシングを意味すると一般に扱われている(Fireら、Nature, 1998, 391, 806-811)。現在、実際には、RNAiの有力な誘導因子であるdsRNAのアンチセンス極性の一本鎖RNAオリゴマーが示されている(Tijstermanら、Science, 2002, 295, 694-697)。
【0023】
本発明の文脈において、用語「オリゴマー化合物」は、複数のモノマー単位を含むポリマーまたはオリゴマーを指す。本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」は、リボヌクレオチド核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーまたはポリマーを指すか、あるいは、それらの模倣物、キメラ、アナログ、および、ホモログを指す。この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖、および、ヌクレオシド(骨格)間の共有結合からなるオリゴヌクレオチド、ならびに、天然に存在しない同様に機能する部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。このような改変されたかまたは置換されたオリゴヌクレオチドは、多くの場合、例えば、細胞吸収の促進、標的核酸に対する親和性の促進、および、ヌクレアーゼ存在下での安定性の向上のような望ましい特性により、天然の形態より好ましい。
【0024】
オリゴヌクレオチドは、本発明の上記化合物の好ましい形態であるが、本発明はまた、他の化合物ファミリーを包含し、これらとしての本明細書において記載された、オリゴヌクレオチドのアナログおよび模倣物が挙げられるがこれらに限定される。
【0025】
本発明に従う化合物は、好ましくは約8〜約80核酸塩基(すなわち、約8〜約80の連結した核酸塩基)を含む。当業者は、本発明が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80の核酸塩基長の化合物を具体化することを理解する。
【0026】
一つの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、12〜50核酸塩基長である。当業者は、本発明が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50の核酸塩基長の化合物を具体化することを理解する。
【0027】
別の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、15〜30核酸塩基長である。当業者は、本発明が15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30の核酸塩基長の化合物を具体化することを理解する。
【0028】
特に好ましい化合物は、約12〜約50核酸塩基のオリゴヌクレオチドであり、さらにより好ましくは、約15〜約30核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドである。
【0029】
8〜80核酸塩基長のアンチセンス化合物は、適したアンチセンス化合物ともみなされる例示的なアンチセンス化合物の内から選択された、少なくとも八つ(8)の連続する核酸塩基の伸長を含む。
【0030】
例示的な好ましいアンチセンス化合物は、この例示的な好ましいアンチセンス化合物うちの一つの5’末端からの、少なくとも8つの連続する核酸塩基を含むオリゴヌクレオチド配列を有し、残りの核酸塩基は、アンチセンス化合物の5’末端のすぐ上流から始まる同じオリゴヌクレオチドの連続する伸長であり、このアンチセンス化合物は、標的核酸に特異的にハイブリダイズし得、そして、オリゴヌクレオチドが約8〜約80個の核酸塩基を有するまで続く。同様に、好ましいアンチセンス化合物は、この例示的な好ましいアンチセンス化合物の一つの3’末端からの、少なくとも8つの連続する核酸塩基を含むオリゴヌクレオチド配列により表され、残りの核酸塩基は、アンチセンス化合物の3’末端のすぐ下流から始まる同じオリゴヌクレオチドの連続する伸長であり、このアンチセンス化合物は、標的核酸に特異的にハイブリダイズし得、そして、オリゴヌクレオチドが約8〜約80個の核酸塩基を有するまで続く。本明細書中で説明された上記好ましいアンチセンス化合物を携えた当業者は、過度の実験をすることなく、さらに好ましいアンチセンス化合物を同定し得る。
【0031】
(C. 発明の標的)
特定の核酸分子に対してアンチセンス化合物を「標的化」とすることは、本発明の状況において、多工程なプロセスとなり得る。このプロセスは、通常、機能が調節される標的核酸の同定から始まる。この標的核酸配列は、例えば、細胞遺伝子(またはその遺伝子から転写されたmRNA)であり得、この細胞遺伝子の発現は、特定の障害もしくは疾患状態、または、病原菌の核酸分子に関連する。本発明において、上記標的核酸は、グルカゴンレセプターをコードする。
【0032】
上記標的化プロセスはまた、通常、所望の効果(例えば、発現の調節)が生じるようになるアンチセンス相互作用のための、標的核酸内に在る少なくとも一つの標的領域、標的セグメント、または、標的部位の決定を包含する。本発明の文脈中において、用語「領域」は、少なくとも一つの同定可能な構造、機能、または、特徴を有する上記標的核酸の一部分として定義される。標的核酸の領域内には、セグメントが在る。「セグメント」は、標的核酸内の、より小さな領域または領域の一部として定義される。「部位」は、本発明中で用いられる場合、標的核酸内の位置として定義される。
【0033】
当該分野において公知であるように、翻訳開始コドンは、代表的には、5’-AUG(転写されたmRNA分子中;対応するDNA分子中では5’-ATG)であるので、この翻訳開始コドンはまた、「AUGコドン」、「開始コドン」、または「AUG開始コドン」と呼ばれる。遺伝子の少数派は、RNA配列5’-GUG、5’-UUG、または5’CUGを有する翻訳開始コドンを有し、そして、5’-AUA、5’-ACG、および5’-CUGは、インビボで機能することが示されている。したがって、用語「翻訳開始コドン」および「開始コドン」は、多くのコドン配列を包含し得るが、だたし、開始アミノ酸は、どのような場合にも、代表的には、メチオニン(真核生物において)か、または、ホルミルメチオニン(原核生物において)である。真核生物遺伝子および原核生物遺伝子は、二つ以上の代替的な開始コドンを有し得、それらのコドンのうちのいずれか一つは、特定の細胞型または組織内の翻訳開始のためか、または、特定の状況下においての翻訳開始のために優先して利用されることもまた、当該分野においてさらに公知である。本発明の文脈において、「開始コドン」および「翻訳開始コドン」とは、このようなコドンの配列(群)とは関係なく、グルカゴンレセプターをコードする遺伝子から転写されたmRNAの翻訳を開始するためにインビボで用いられる、コドンまたはコドン群を指す。遺伝子の翻訳終止コドン(または「終止コドン」)は、三つ配列群(すなわち、5’-UAA、5’-UAG、および、5’-UGA(対応するDNA配列は、それぞれ、5’-TAA、5’-TAG、および、5’-TGA))のうち一つを有し得ることもまた、当該分野においてさらに公知である。
【0034】
用語「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」とは、翻訳開始コドンから、いずれかの方向(すなわち、5’方向または3’方向)で約25個〜約50個の連続するヌクレオチドを含むような、mRNAの一部または遺伝子の一部を指す。同様に、用語「終止コドン領域」および「翻訳終止コドン領域」とは、翻訳終止コドンから、いずれかの方向(すなわち、5’方向または3’方向)で約25個〜約50個の連続するヌクレオチドを含むような、mRNAの一部または遺伝子の一部を指す。従って、上記「開始コドン領域」(または、「翻訳開始コドン領域」)、および、上記「終止コドン領域」(または、「翻訳終止コドン領域」)とは、本発明の上記アンチセンス化合物により、効果的に標的とされ得るすべての領域である。
【0035】
オープンリーディングフレーム(ORF)または「コード領域」は、翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域を指すことが当該分野において公知であり、これはまた、効果的に標的とされ得る領域でもある。本発明の状況中において、好ましい領域は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始コドンまたは翻訳終止コドン含む遺伝子内領域である。
【0036】
他の標的領域としては、5’非翻訳領域(5’UTR)(これは、翻訳開始コドンから5’方向にあるmRNAの一部を指すことが、当該分野において公知であり、従って、5’キャップ部位とmRNAの翻訳開始コドンとの間のヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)も含む)、および、3’非翻訳領域(3’UTR)(これは、翻訳終止コドンから3’方向にあるmRNAの一部を指すことが、当該分野において公知であり、従って、翻訳終止コドンとmRNAの3’末端との間のヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)も含む)が挙げられる。mRNAの5’キャップ部位は、5’-5’三リン酸結合により、そのmRNAの最も5’側の残基に結合したN7-メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ領域は、5’キャップ構造そのもの、および、そのキャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドを含むと考えられる。5’キャップ領域を標的とすることもまた、好ましい。
【0037】
いくつかの真核生物のmRNA転写産物は、直接翻訳されるが、この転写産物の多くは、それが翻訳される前に転写産物から切除される一つ以上の領域(「イントロン」として公知である)を含む。残存する領域(そしてそれゆえに翻訳される領域)は、「エキソン」として公知であり、この領域は、ともにスプライスされ連続するmRNA配列を形成する。スプライス部位(すなわち、イントロン-エキソン連結部、または、エキソン-イントロン連結部)を標的とすることもまた、異常なスプライシングが疾患に関係付けられている状況か、または、特定のスプライス産物の産生過剰が疾患に関係付けられている状況において、特に有用であり得る。再配列または欠失に起因する異常な融合連結部もまた、好ましい標的部位である。異なる遺伝子供給源由来の、二つ(またはそれ以上)のスプライシングプロセスを経て産生されたmRNA転写産物は、「融合転写産物」として公知である。イントロンは、例えば、DNAまたはプレmRNAを標的としたアンチセンス化合物を用いることにより、効果的に標的とされ得ることもまた、公知である。
【0038】
代替的なRNAの転写産物は、DNAの同じゲノム領域から産生し得ることもまた、当該分野において公知である。これら代替的な転写産物は、一般的には、「改変体」として公知である。より具体的には、「プレmRNA改変体」は、同じゲノムDNAから産生された転写産物であり、それらの開始位置または終止位置のいずれかにおいて、同じゲノムDNAから産生された他の転写産物とは異なり、そして、このプレmRNA改変体は、イントロン配列およびエキソン配列の両方を含む。
【0039】
スプライシングの間に一つ以上のエキソン領域もしくはイントロン領域が切除されるか、または、それらの部分が切除される際、プレmRNA改変体は、より小さな「mRNA改変体」を産生する。従って、mRNA改変体は、プロセシングされたプレmRNA改変体である。独特のプレmRNAの各々は、スプライシングの結果として、独特の改変体を常に産生するはずである。これらのmRNA改変体はまた、「選択的スプライス改変体」として公知である。上記プレmRNA改変体のスプライシングが生じない場合、上記プレmRNA改変体は、上記mRNA改変体と同一である。
【0040】
改変体は、転写を開始または終結する選択的なシグナルの使用を介して、産生され得ることがまた、当該分野において公知であり、そして、プレmRNAおよびmRNAは、一つより多くの開始コドンまたは終止コドンを有し得ることがまた、当該分野において公知である。選択的な開始コドンを用いる、プレmRNAまたはmRNAに由来する改変体は、そのプレmRNAまたはmRNAの「選択的な開始改変体」として公知である。選択的な終止コドンを用いるそれらの転写産物は、そのプレmRNAまたはmRNAの「選択的な終止改変体」として公知である。選択的な終止改変体のある特定なタイプは、「ポリA改変体」であり、このポリA改変体においては、転写機構による「ポリA終止シグナル」の一つの二者択一的な選択によって、産生した複数の転写産物が生じ、それによって、独特なポリA部位で終結する転写産物を産生する。本発明の状況中において、本明細書中に記載された改変体のタイプはまた、好ましい標的核酸である。
【0041】
好ましいアンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸上の位置は、本明細書以下では、「好ましい標的セグメント」と呼ばれる。本明細書中において用いられる場合、用語「好ましい標的セグメント」は、活性アンチセンス化合物が標的とされる、標的領域の少なくとも8核酸塩基部分として定義される。理論により拘束されることは望まれないが、これら標的セグメントは、ハイブリダイゼーションに利用し得る標的核酸部分を表すと、現在考えられる。
【0042】
特定の好ましい標的セグメントの具体的な配列が、本明細書中に記述されるが、当業者は、これら配列は、本発明の範囲内にある、特定の実施形態を例証および記載するのに役立つことを理解する。さらなる好ましい標的セグメントは、同業者によって同定され得る。
【0043】
例示的な好ましい標的セグメント中から選択された少なくとも8個連続する一連の核酸塩基を含む8〜80核酸塩基長の標的セグメントはまた、標的化に適すると考えられる。
【0044】
標的セグメントは、DNA配列またはRNA配列を含み得、この配列は、例示的な好ましい標的セグメントうちの一つの5’末端から少なくとも8個連続する核酸塩基を含む、残りの核酸塩基は、標的セグメントの5’末端のすぐ上流から始まる同じDNAまたはRNAの連続する伸長であり、そして、このDNAまたはRNAが約8〜約80個の核酸塩基を有するまで続く。同様に、好ましい標的セグメントは、DNA配列またはRNA配列により表され、この配列は、例示的な好ましい標的セグメントうちの一つの3’末端から少なくとも8個連続する核酸塩基を含む、残りの核酸塩基は、標的セグメントの3’末端のすぐ下流から始まる同じDNAまたはRNAの連続する伸長であり、そして、このDNAまたはRNAが約8〜約80個の核酸塩基を有するまで続く。本明細書中で説明された上記好ましい標的セグメントを携えた当業者は、過度の実験をすることなく、さらに好ましい標的セグメントを同定し得る。
【0045】
一つ以上の標的領域、標的セグメント、または標的部位が一旦同定された後、この標的に対して十分に相補的である(すなわち、十分によく、そして、十分な特異性で、ハイブリダイズする)アンチセンス化合物が、所望の効果を与えるために、選ばれる。
【0046】
(D. スクリーニングおよび標的の評価)
さらなる実施形態において、本明細書中で同定される「好ましい標的セグメント」は、グルカゴンレセプターの発現を調節するさらなる化合物をスクリーニングする際に用いられ得る。「調節因子」は、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子の発現を減少または増加する化合物であり、そして、この化合物は、好ましい標的セグメントに対して相補的である少なくとも8核酸塩基部分を含む。上記スクリーニング方法は、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子の好ましい標的セグメントを一つ以上の候補調節因子と接触させる工程、および、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子の発現を減少するかまたは増加する一つ以上の候補調節因子を選択する工程を包含する。上記候補調節因子が、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子の発現を調節(例えば、減少または増加のいずれか)し得ることが一旦示された後、その調節因子は、グルカゴンレセプターの機能のさらなる調査研究において用いられ得るか、または、本発明に従う、研究試薬としてか、診断薬としてか、もしくは治療薬としての使用のために、用いられ得る。
【0047】
本発明の好ましい標的セグメントはまた、安定した二本鎖(二重鎖)のオリゴヌクレオチドを形成するために、これらセグメントそれぞれの本発明の相補的なアンチセンス化合物と合わされ得る。
【0048】
このような二本鎖のオリゴヌクレオチド部分は、アンチセンス機構を介して標的の発現を調節すること、および、翻訳ならびにRNAプレセッシングを調節することが、当該分野において示されている。さらには、この二本鎖部分は、化学修飾を受けやすい(Fireら、Nature, 1998, 391, 806-811;Timmons and Fire、Nature 1998, 395, 854;Timmonsら、Gene, 2001, 263, 103-112;Tabaraら、Science, 1998, 282, 430-431;Montgomeryら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95, 15502-15507;Tuschlら、Genes Dev., 1999, 13, 3191-3197;Elbashirら、Nature, 2001, 411, 494-498;Elbashirら、Genes Dev. 2001, 15, 188-200)。例えば、このような二本鎖部分は、標的に対する、二重鎖のアンチセンス鎖の古典的なハイブリダイゼーションによって、標的を阻害することが示されおり、それによって、標的の酵素分解の引き金になる(Tijstermanら、Science, 2002, 295, 694-697)。
【0049】
本発明の化合物はまた、薬物開発の分野および標的の評価の領域において、適用され得る。本発明は、グルカゴンレセプターと、疾患状態、表現型、または、状態との間にある関係を解明するための薬品開発の取り組みに本明細書において同定された、化合物および好ましい標的セグメントの使用を含む。これらの方法は、サンプル、組織、細胞、または器官と、本発明の化合物を接触させる工程を含む、グルカゴンレセプターを検出するかまたは調節する工程処置の少し後に、グルカゴンレセプターの核酸レベルまたはタンパクレベルを測定するか、および/あるいは、関連する表現型の指標かまたは化学的指標を測定する工程、ならびに、必要に応じて、測定された値を、未処理のサンプルか、本発明のさらなる化合物で処理されたサンプルと比較する工程を包含する。これらの方法はまた、標的評価プロセスのために未知遺伝子の機能を決定する他の実験か、または、特定の疾患、状態、もしくは状態の処置または予防のための、標的としての特定の遺伝子産物の有効性を決定する他の実験と、並行して、または組み合わせて実施され得る。
【0050】
(E. キット、研究試薬、診断剤、および治療剤)
本発明の化合物は、診断剤、治療剤(予防を含む)のため、ならびに研究試薬および研究キットとして利用され得る。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、強烈な特異性で遺伝子の発現を阻害し得、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、頻繁に、当業者によって、特定の遺伝子の機能を解明するため、または、生物学的経路の種々の一員の機能を見分けるために用いられ得る。
【0051】
キットおよび診断剤における使用について、本発明の化合物(化合物単独でか、または、他の化合物もしくは治療剤と組合せていずれか)は、細胞および組織内で発現した遺伝子の、一部または全相補体の発現パターンを解明するために、差異分析および/または組合せ分析において、道具として用いられ得る。
【0052】
非限定的な一つの例として、一つ以上のアンチセンス化合物で処理された細胞または組織における発現パターンが、アンチセンス化合物で処理されなかったコントロール細胞またはコントロール組織と比較され、そして、この生成されたパターンが、差次的遺伝子発現レベルについて分析される。なぜなら、それらは、例えば、疾患に関連すること、シグナル伝達経路、細胞局在化、発現レベル、大きさ、検査された遺伝子の構造または機能であるからである。これらの分析は、刺激された細胞または刺激されない細胞に対して、発現パターンに影響する他の化合物の存在または非存在下で、行われ得る。
【0053】
当該分野において公知である遺伝子発現分析方法の例としては、DNAアレイまたはマイクロアレイ(BrazmaおよびVilo、FEBS Lett., 2000, 480, 17-24;Celisら、FEBS Lett., 2000, 480, 2-16)、連続的遺伝子発現分析(SAGE(serial analysis of gene expression))(Maddenら、Drug Discov. Today, 2000, 5, 415-425)、消化したcDNAの制限酵素増幅(READS(restriction enzyme amplification of digested cDNAs)(PrasharおよびWeissman、Methods Enzymol., 1999, 303, 258-72)、全遺伝子発現分析(TOGA(total gene expression analysis))(Sutcliffeら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 1976-81)、タンパク質アレイおよびプロテオミクス(Celisら、FEBS Lett., 2000, 480, 2-16;Jungbluntら、Electrophoresis, 1999, 20, 2100-10、発現遺伝子断片(expressed sequence tag(EST))の塩基配列決定(Celisら、FEBS Lett., 2000, 480, 2-16;Larssonら、J. Biotechnol., 2000, 80, 143-57)、サブストラクティブRNAフィンガープリンティング(subtractive RNA fingerprinting(SuRF))(Fuchsら、Anal. Biochem., 2000, 286, 91-98;Larsonら、Cytometry, 2000, 41, 203-208)、サブストラクティブクローニング(subtractive cloning)、ディファレンシャルディスプレイ(differential display(DD))(JurecicおよびBelmont、Curr. Opin. Microbiol., 2000, 3, 316-21)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(comparative genomic hybridization)(Carulliら、J. Cell Biochem. Suppl., 1998, 31, 286-96)、FISH(蛍光原位置ハイブリダイズ形成(flourescent in situ hybridizaion))技術(GoingおよびGusterson、Eur. J. Cancer, 1999, 35, 1895-904)、ならびに質量分析法(To, Comb. Chem. High Throughput Screen, 2000, 3, 235-41)が挙げられる。
【0054】
本発明の化合物は、これらの化合物がグルカゴンレセプターをコードする核酸にハイブリダイズするので、研究および診断剤のために有用である。例えば、本明細書中に開示されるような効率性で、本明細書中に開示されるような状況下においてハイブリダイズして、効果的なグルカゴンレセプターインヒビターであることが示されるオリゴヌクレオチドはまた、遺伝子の増幅および検出を促進する状況下で、それぞれ、効果的なプライマーまたはプローブである。これらのプライマーおよびプローブは、グルカゴンレセプターをコードする核酸分子の特異的な検出を必要とする方法において、および、検出のためかまたはグルカゴンレセプターのさらなる研究の使用のために上記核酸分子を増幅する方法において、有用である。グルカゴンレセプターをコードする核酸分子に対する本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド(特にプライマーおよびプローブ)のハイブリダイゼーションは、当該分野において公知な手段で検出し得る。このような手段としては、オリゴヌクレオチドと酵素との連結、オリゴヌクレオチドの放射性同位元素標識、または他の適切な任意の検出方法が挙げられ得る。サンプルのグルカゴンレセプターレベルを検出するための、このような検出手段を用いるキットもまた、調製され得る。
【0055】
アンチセンスの特異性および感度はまた、治療的使用のために当業者によって利用され得る。アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物の疾患状態の処置において、治療的成分として用いられている。リボザイムを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド薬剤は、安全におよび効果的に、ヒトに対して投与されていて、そして、臨床試験は、現在、進行中である。従って、アンチセンス化合物は、細胞、組織および動物、特にヒトの処置のための処置レジメンにおいて有用であると考えられ得る有用な治療様式であり得ることが、確立している。
【0056】
治療剤において、グルカゴンレセプターの発現調節によって処置され得る疾患または障害を有す疑いのある動物(好ましくはヒト)は、本発明に従うアンチセンス化合物の投与によって処置される。例えば、一つの非限定的な実施形態において、上記方法は、グルカゴンレセプターインヒビターの治療上有効な量を、動物に対して治療的に投与する工程を包含する。本発明のグルカゴンレセプターインヒビターは、効果的に、グルカゴンレセプタータンパクの活性を阻害するか、またはグルカゴンレセプタータンパクの発現を阻害する。一つの実施形態において、動物のグルカゴンレセプターの活性または発現は、約10%阻害される。好ましくは、動物のグルカゴンレセプターの活性または発現は、約30%阻害される。さらに好ましくは、動物のグルカゴンレセプターの活性または発現は、50%以上阻害される。なぜなら、本明細書中の化合物は、グルカゴンレセプターのインヒビターであり、それらは、グルカゴンレセプター活性に関連する状態(例えば、高血糖、ならびに、糖尿病(2型糖尿病を含む)、肥満症、およびインスリン抵抗性のような他の代謝状態)の処置において、血糖を低下させることにおいて有用であると考えられるからである。
【0057】
さらなる別の実施形態において、上記化合物の使用が、グルカゴンレセプターの活性に関連する疾患、糖尿病、肥満症、代謝疾患、インスリン欠乏症、インスリン抵抗性、原発性高グルカゴン血症、増加した血糖値、増加した血中トリグリセリドレベル、または増加した血中コレステロールレベルに苦しむ被験者を処置するための医薬の製造において、提供される。
【0058】
グルカゴンレセプターの発現の減少は、例えば、血液、血漿、血清、脂肪組織、肝臓、または他の体液の中で測定し得る。好ましくは、上記流体の中に含まれる細胞、分析される組織または器官は、グルカゴンレセプタータンパクをコードする核酸分子、および/または、グルカゴンレセプタータンパクそのものを含む。
【0059】
本発明の化合物は、薬学的組成物において、有効量の化合物を、薬学的に受容可能な適切な希釈剤またはキャリアに加えることにより利用され得る。本発明の化合物および方法の使用はまた、予防的にも有用であり得る。
【0060】
(F. 改変)
当該分野において公知であるように、ヌクレオシドは、塩基-糖結合である。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環式塩基である。このような複素環式塩基の最も一般的な二つの種類は、プリンおよびピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分と共有結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドについて、リン酸基は、糖のヒドロオキシル部分の2’位、3’位または5’位のいずれかと結合し得る。オリゴヌクレオチドの形成において、リン酸基は、隣接するヌクレオシドと互いに共有結合し、線状の重合体化合物を形成する。その後、この線状の重合体化合物の各末端は、環状化合物を形成するためにさらに結合し得るが、しかしながら、線状化合物が一般的に好ましい。加えて、線状化合物は、内部核酸塩基相補性を有し得、従って、完全な二本鎖化合物かまたは部分的な二本鎖化合物を生成する様式で折りたたまれ得る。オリゴヌクレオチド中では、リン酸基は通常、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するものとして、称される。RNAおよびDNAの標準的な結合または骨格は、3’-5’ホスホジエステル結合である。
【0061】
(改変されたヌクレオシド間結合(骨格))本発明のおいて有用な好ましいアンチセンス化合物の具体的な例としては、改変された骨格または非天然のヌクレオシド間結合を含む、オリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書中に定義されるように、改変された骨格を有するオリゴヌクレオチドは、骨格中にリン原子を保持するオリゴヌクレオチド、および骨格中にリン原子を保持しないオリゴヌクレオチドを含む。本明細書の目的のため、そして当該分野中において時折援用されるように、それらヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない改変されたオリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオシドであると考えられ得る。
【0062】
リン原子をその中に含む好ましい改変したオリゴヌクレオチド骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、ホスホン酸メチル、および、(3’-ホスホン酸アルキレンを含む、5’ホスホン酸アルキレンおよびホスホン酸キラル)を含む他のホスホン酸アルキル、ホスフィン酸エステル、(3’-アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデート)を含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノリン酸塩および標準的な3’-5’結合を有するボラノリン酸塩、2’-5’結合したこれらのアナログ、ならびに、逆極性を有すものが挙げられ、ここで、一つ以上のヌクレオチド間結合は、3’-3’結合、5’-5’結合、または、2’-2’結合である。逆極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間結合の最も3’側での3’-3’単結合(すなわち、無塩基(核酸塩基が欠失しているか、または、その代わりにヒドロキシル基を有する基)になり得る単一の逆ヌクレオチド残基)を含む。種々の塩、混合塩、遊離酸形態もまた含まれる。
【0063】
上述のリンを含有する結合の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、以下;米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,196号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,194,599号;同第5,565,555号;同第5,527,899号;同第5,721,218号;同第5,672,697号および同第5,625,050号が挙げられる。特定の特許は、本願と共有に係り、そして、各々の特許は、本明細書中で参考として援用される。
【0064】
リン原子をその中に含まない好ましい改変されたオリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルかもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間結合か、ヘテロ原子とアルキルもしくはシクロアルキルとの混合されたヌクレオシド間結合か、または、一つ以上の短鎖ヘテロ原子かもしくはヘテロシクロのヌクレオシド間結合によって、形成された骨格を有する。これらの骨格としては、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成する結合);シロキサン骨格;硫化物、スルホキシド骨格およびスルホン骨格;ホルマセチル骨格およびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル骨格およびメチレンチオホルムアチル骨格;リボアセチル骨格;アルケンを含む骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ骨格およびメチレンヒドラジノ骨格;スルホン酸骨格およびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに、N、O、S、CH2を混合した構成要素部分を有する他の骨格が挙げられる。
【0065】
上述のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、以下;米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,264,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,610,289号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;同第5,792,608号;同第5,646,269号および同第5,677,439号が挙げられる。特定の特許は、本願と共有に係り、そして、各々の特許は、本明細書中で参考として援用される。
【0066】
(改変された糖およびヌクレオシド間結合-模倣物)
他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間結合(すなわち、骨格)の両方は、新規基に置換される。この核酸塩基単位は、適切な標的核酸のハイブリダイゼーションのために維持される。ひとつのそのような化合物である、優れたハイブリダイゼーションの特性を有することが示されたオリゴヌクレオチド模倣物は、、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミドを含む骨格、特にアミノエチルグリシン骨格に置換されている。核酸塩基は、保持され、そして骨格のアミド部分のアザ窒素原子に対して、直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、および、同第5,719,262号が挙げられ、各々の特許は、本明細書中で参考として援用される。PNA化合物の調製のさらなる教示は、Nielsenら、Science, 1991, 254, 1497-1500において見出され得る。
【0067】
本発明の好ましい実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドである。好ましいものはまた、ヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオチドであり、そして、特に上述で援用された米国特許5,489,677号の-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-(メチレン(メチルイミノ)骨格またはMMI骨格として知られる)、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-、および-O-N(CH3)-CH2-CH2-(ここで、天然のホスホジエステル骨格は、-O-P-O-CH2-と表される))を有するオリゴヌクレシド、ならびに、上述で援用された米国特許5,602,240号のアミド骨格である。好ましいものはまた、上述で援用された米国特許5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである。
【0068】
(改変された糖)
改変されたオリゴヌクレオチドはまた、一つ以上の置換糖部分を含み得る。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの一つを含む:OH;F;O-アルキル、S-アルキル、またはN-アルキル;O-アルケニル、S-アルケニル、またはN-アルケニル;O-アルキニル、S-アルキニル、またはN-アルキニル;または、O-アルキル-O-アルキル。ここで、このアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換のC1〜C10アルキル、置換または非置換のC2〜C10アルケニルおよび置換または非置換のC2〜C10アルキニルであり得る。特に好ましいオリゴヌクレオチドは、O[(CH2nO]mCH3、O(CH2nOCH3、O(CH2nONH2、O(CH2nCH3、O(CH2nONH2、およびO(CH2nON[(CH2nCH32である。ここで、nおよびmは、1〜約10である。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの一つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換低級のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物速度論的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬理学的特性を改善するための基、および、類似する特性を有する他の置換基。好ましい改変としては、2’-メトキシエトキシ(2’-O-CH2CH2OCH3(2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても知られる))(Martinら、Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504)、すなわち、アルコキシアルコキシ基が挙げられる。さらなる好ましい改変としては、本明細書中に例として下記に記載されるように、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、O(CH22ON(CH32基(2’-DMAOEとしても知られる)、および本明細書中に実施例として下記にさらに記載されるように、2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該分野において2’-O-ジメチル-アミノ-エトキシ-エチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’-O-CH2-O-CH2-N(CH32が挙げられる。
【0069】
他の好ましい改変としては、2’-メトキシ(2’-O-CH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)、2’-アリル(2’-CH2-CH=CH2)、2’-O-アリル(2’-O-CH2-CH=CH2)、および、2’-フルオロ(2’-F)が挙げられる。2’-改変は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置であり得る。好ましい2’-アラビノ改変は、2’-Fである。同様の改変はまた、オリゴヌクレオチドの他の位置上(特に、ヌクレオチドの3’末端上かまたは2’-5’結合オリゴヌクレオチド中の3’位、および、ヌクレオチドの5’末端上の5’位)で行われ得る。オリゴヌクレオチドはまた、糖模倣物(例えば、ペントフラノシル糖の代わりのシクロブチル部分)を有し得る。このような改変された糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、以下:米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,446,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576,427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;同第5,792,747号;および同第5,700,920号が挙げられる。これら特許のうち特定の特許は、本願と共有に係り、そして、各々の特許は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0070】
糖のさらなる好ましい改変としては、2’-ヒドロキシル基が糖鎖の炭素原子の3’位または4’位と結合され、それによって、二環式糖部分を形成する、ロックされた核酸(Locked Nucleic Acids(LNAs))が挙げられる。この結合は、好ましくは、2’位の酸素原子と4’位の炭素原子とを架橋するメチレン(-CH2-)n基であり、ここでnは1または2である。LNAおよびその調製は、WO 98/39352およびWO 99/14226に記載される。
【0071】
(天然核酸塩基および改変された核酸塩基)-
オリゴヌクレオチドとしてはまた、核酸塩基(当該分野において時折、単に「塩基」として称される)の改変体および置換体が挙げられ得る。本明細書中において用いられるように、「改変されていない」核酸塩基または「天然の」核酸塩基としては、プリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)が挙げられる。改変された核酸塩基としては、他の合成核酸塩基および天然核酸塩基(例えば、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロオキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチル誘導体および他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピル誘導体および他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、および2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよび5-ハロシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH3)ウラシルおよび5-プロピニル(-C≡C-CH3)シトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、および6-アゾチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロアデニンおよび8-ハログアニン、8-アミノアデニンおよび8-アミノグアニン、8-チオールアデニンおよび8-チオールグアニン、8-チオアルキルアデニンおよび8-チオアルキルグアニン、8-ヒドロキシルアデニンおよび8-ヒドロキシルグアニン、ならびに他の8-置換アデニンおよび8-置換グアニン、5-ハロウラシルおよび5-ハロシトシン特に5-ブロモウラシルおよび5-ブロモシトシン、5-トリフルオロメチルウラシルおよび5-トリフルオロメチルシトシン、ならびに他の5-置換ウラシルおよび5-置換シトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノーアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニンならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニン)が挙げられる。さらに改変された核酸塩基としては、三環式ピリミジン(例えば、フェノキサジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、置換フェノキサジンシチジンのようなG-クランプ(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)が挙げられる。改変された核酸塩基としてはまた、プリン塩基またはピリミジン塩基が、他の複素環で置き換えられた核酸塩基(例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、および2-ピリドン)が挙げられ得る。さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号において開示された核酸塩基、(The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, 858-859頁、Kroschwitz, J. I. 編、John Wiley & Sons, 1990)において開示された核酸塩基、(Englischら, Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613)において開示された核酸塩基、および(Sanghvi, Y. S., 第15章、Antisense Research and Applications, 289-302頁、Crooke, S. T. およびLebleu, B. 編, CRC Press, 1993)において開示された核酸塩基が挙げられる。これらの核酸塩基のうち特定のものは、本発明の化合物の結合親和力を増幅させるために、特に有用である。これらとしては、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンを含む、N-2置換プリン、N-6置換プリンおよびO-6置換プリンが挙げられる。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増加することが示されていて、そして、現在、好ましい塩基置換である。
【0072】
特定の上述の改変された核酸塩基および他の改変された核酸塩基の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、以下;米国特許第3,687,808号、および同第4,845,205号;同第5,130,302号;同第5,134,066号;同第5,175,273号;同第5,367,066号;同第5,432,272号;同第5,457,187号;同第5,459,255号;同第5,484,908号;同第5,502,177号;同第5,525,711号;同第5,552,540号;同第5,587,469号;同第5,594,121号;同第5,596,091号;同第5,614,617号;同第5,645,985号;同第5,830,653号;同第5,763,588号;同第6,005,096号;ならびに同第5,681,941号が挙げられる。特定の特許は、本願と共有に係り、そして、各々の特許は、本明細書中で参考として援用される。そして、米国特許第5,750,692号は、本願と共有に係り、そしてまた、本明細書中で参考として援用される。
【0073】
(結合体)
本発明のオリゴヌクレオチドの別の改変としては、活性、細胞の分布または細胞のオリゴヌクレオチド摂取を促進する一つ以上の部分または結合体の、オリゴヌクレオチドへの化学的結合が挙げられる。このような部分または結合体としては、官能基(例えば、第一ヒドロキシル基または第二ヒドロキシル基)と共有結合した結合体基が挙げられ得る。本発明の結合体基としては、インターカレーター、レセプター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学的特性を高める基、およびオリゴマーの薬動力学的特性を高める基が挙げられる。典型的な結合体基としては、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が挙げられる。薬力学的特性を高める基としては、本発明の文脈において、摂取を改善する基、分解に対する耐性を高める基、および/または、標的核酸との配列特異的なハイブリダイゼーションを増強する基が挙げられる。薬動力学的特性を高める基としては、本発明の文脈において、本発明の化合物の摂取、分布、代謝、または排泄を改善する基が挙げられる。代表的な結合体基は、1992年10月23日に出願された国際特許出願PCT/US92/09196、および米国特許第6,287,860号において開示され、これらの全体の開示は、本明細書中において参考として援用される。結合体部分としては、限定はされないが、以下のような脂質部分が挙げられる:コレステロール部分、コール酸、チオエーテル(例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール)、チオコレステロール、脂肪族鎖(例えば、ドテカンジオール残基もしくはウンデシル残基)、リン脂質(例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート)、ポリアミングリコール鎖もしくはポリエチレングリコール鎖またはアダマンタン酢酸、パルミチル部分、あるいはオクタデシルアミン部分またはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分。本発明のオリゴヌクレオチドはまた、以下の活性な薬物物質と結合され得る:例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメチシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤、または抗生物質。オリゴヌクレオチド-薬物結合体、およびそれらの調製は、1999年6月15日に出願された米国特許出願09/334,130において記載され、本明細書中において、その全体が参考として援用される。
【0074】
このようなオリゴヌクレオチド結合体の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、以下;米国特許第4,828,979号;同第4,948,882号;同第5,218,105号;同第5,525,465号;同第5,541,313号;同第5,545,730号;同第5,552,538号;同第5,578,717号;同第5,580,731号;同第5,580,731号;同第5,591,584号;同第5,109,124号;同第5,118,802号;同第5,138,045号;同第5,414,077号;同第5,486,603号;同第5,512,439号;同第5,578,718号;同第5,608,046号;同第4,587,044号;同第4,605,735号;同第4,667,025号;同第4,762,779号;同第4,789,737号;同第4,824,941号;同第4,835,263号;同第4,876,335号;同第4,904,582号;同第4,958,013号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,245,022号;同第5,254,469号;同第5,258,506号;同第5,262,536号;同第5,272,250号;同第5,292,873号;同第5,317,098号;同第5,317,241号;同第5,391,723号;同第5,416,203号;同第5,451,463号;同第5,510,475号;同第5,512,667号;同第5,514,785号;同第5,565,552号;同第5,567,810号;同第5,574,142号;同第5,585,481号;同第5,587,371号;同第5,595,726号;同第5,597,696号;同第5,599,923号;同第5,599,928号、および同第5,688,941号が挙げられる。特定の特許は、本願と共有に係り、そして、各々の特許は、本明細書中で参考として援用される。
【0075】
(キメラ化合物)
所与の化合物におけるすべての位置が統一的に改変される必要はなく、そして、事実、一つより多くの上記改変は、単一化合物に組み込まれ得るか、または、オリゴヌクレオチド内の単一ヌクレオチド上にさえ組み込まれ得る。
【0076】
本発明はまた、キメラ化合物であるアンチセンス化合物を包含する。「キメラ」アンチセンス化合物、または「キメラ」は、本発明の文脈中において、二つ以上の化学的に異なった領域を含むアンチセンス化合物であり、特にオリゴヌクレオチドであり、各々の領域は少なくとも一つの単量体ユニット(すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合のヌクレオチド)で構成されている。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的に少なくとも一つの領域を含み、ここで、このオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼによる分解への抵抗の増加、細胞取り込みの促進、安定性の増加、および/または、標的核酸に対する結合親和性の増加を上記オリゴヌクレオチドに与えるために改変される。オリゴヌクレオチドの追加領域は、RNA:DNAハイブリッドまたはRNA:RNAハイブリッドを切断し得る酵素のための基質として役立ち得る。一例としては、RNAseHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。Rnase Hの活性化は、従って、RNA標的の切断をもたらし、それによって、遺伝子発現におけるオリゴヌクレオチドを仲介した阻害の効率を大いに高める。RNA:RNAハイブリッドの切断は、同様に、例えば、細胞RNAおよびウィルスRNAの両方を切断するRNAseLのようなエンドリボヌクレアーゼの作用により達成され得る。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって慣用的に検出され得、そして、必要ならば、当該分野で公知である関連の核酸ハイブリダイゼーション技術によって検出され得る。
【0077】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、二つ以上のオリゴヌクレオチド、改変されたオリゴヌクレオチド、上記で記載されたオリゴヌクレオシド模倣物、および/または、オリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成され得る。このような化合物はまた、当該分野においてハイブリッドまたはギャップマーと称されている。このようなハイブリッド構造物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,013,830号:同第5,149,797号;同第5,220,007号;同第5,256,775号;同第5,366,878号;同第5,403,711号;同第5,491,133号;同第5,565,350号;同第5,623,065号;同第5,652,355号;同第5,652,356号、および同第5,700,922号が挙げられる。特定の特許は、本願と共有に係り、そして、各々の特許は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0078】
(塩)
本発明のアンチセンス化合物は、任意の薬学的に容認可能な塩、エステル、またはこのようなエステルの塩、あるいは、ヒトを含む動物に投与する際に、生物学的に活性な代謝産物またはそれらの残留物を(直接的にかまたは間接的に)提供し得る、他の任意の化合物を含む。用語「薬学的に容認可能な塩」は、生理学的かつ薬学的に容認可能な本発明の化合物の塩(すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、そして、所望されない毒物学的効果をそれに与えない塩)を称する。オリゴヌクレオチドについて、薬学的に容認可能な塩、およびそれらの使用の好ましい例は、米国特許第6,287,860号においてさらに記載され、その全体が本明細書中で参考として援用される。ナトリウム塩は、本発明の化合物の特に適した塩である。
【0079】
(G.処方物)
本発明の化合物はまた、取り込み、分布、および/または、吸収を補助するために、他の分子、分子構造、または化合物の混合物と(例えば、リポソーム、レセプター標的分子、経口処方物、直腸処方物、局所的処方物、または他の処方物として)、混合され得るか、カプセル化され得るか、結合され得るか、さもなければ関連し得る。このような取り込み補助処方物、分布補助処方物、および/または、吸収補助処方物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,108,921号:同第5,354,844号;同第5,416,016号;同第5,459,127号;同第5,521,291号;同第5,543,158号;同第5,547,932号;同第5,583,020号;同第5,591,721号;同第4,426,330号;同第4,534,899号;同第5,013,556号;同第5,108,921号;同第5,213,804号;同第5,227,170号;同第5,264,221号;同第5,356,633号;同第5,395,619号;同第5,416,016号;同第5,417,978号;同第5,462,854号;同第5,469,854号;同第5,512,295号;同第5,527,528号;同第5,534,259号;同第5,543,152号;同第5,556,948号;同第5,580,575号および同第5,595,756号が挙げられる。各々の特許は、本明細書中で参考として援用される。
【0080】
本発明はまた、本発明のアンチセンス化合物を含む薬学的組成物および薬学的処方物を含む。本発明の薬学的組成物はまた、局所処置か望まれるか全身処置が望まれるかに依存し、そして、処置される領域に依存する多くの方法で投与され得る。投与は、局所的投与(点眼ならびに経膣投与および直腸投与を含む粘膜への投与を含む)、肺への投与(例えば、噴霧器、気管内投与、経鼻投与、表皮投与、および経皮投与を含む、粉剤またはエアロゾルの吸入または注入による投与)、経口投与、または非経口投与であり得る。非経口投与としては、静脈内への注射または注入、動脈内への注射または注入、皮下への注射または注入、腹腔内への注射または注入、または筋肉内への注射または注入、あるいは、頭蓋骨内(たとえば、クモ膜下腔内または脳室内)への投与が挙げられる。少なくとも一つの2’-O-メトキシエチルを改変したオリゴヌクレオチドは、経口投与において特に有用であると考えられる。局所的投与のための薬学的組成物および薬学的組成物としては、経皮貼布剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、座剤、スプレー剤、液剤および粉剤が挙げられ得る。従来の薬学的キャリア、水性基剤、粉末剤、または油性基剤、増粘剤などは、必要もしくは望ましくあり得る。コーティングされたコンドーム、グローブなどもまた、有用である。
【0081】
本発明の薬学的処方物は、単位投薬形態で好都合に提供され得、製薬産業において周知である従来技術に従って調製され得る。このような技術は、活性的な成分と薬学的キャリアまたは賦形剤とを関連させるステップを包含する。概して、上記処方物は、活性的な成分と、液体キャリアもしくは細かく分割された固体キャリアまたは両方とを、均一かつ密接に関連させ、そして次いで、必要ならば、産物を成形することによって調製される。
【0082】
本発明の組成物は、可能性のある多くの投薬形態(例えば、限定はされないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟性ゲル剤、座剤、および浣腸剤)のいずれかで処方され得る。本発明の組成物はまた、水性媒体、非水性媒体、または混合媒体の懸濁液として処方され得る。水性の懸濁液は、懸濁液の粘性を増加する物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/または、デキストランが挙げられる)をさらに含み得る。この懸濁液はまた、安定剤を含み得る。
【0083】
本発明の薬学的組成物としては、限定はされないが、液剤、乳剤、泡沫剤、およびリポソームを含む処方物が挙げられる。本発明の薬学的組成物および薬学的処方物は、一つ以上の透過促進剤、キャリア、賦形剤、または、他の活性な成分もしくは不活性な成分を含み得る。
【0084】
乳剤は、通常は直径0.1μmを超える小滴である形態で別の液体中に分散した一つ液体の不均質な系である。乳剤は、分散相に加えて追加の成分を含み得、そして、活性な薬物は、水相、油相の何れかの溶液としてまたは分離相そのものとして存在し得る。マイクロエマルジョンは、本発明の実施形態として含まれる。乳剤およびそれらの使用は、当該分野において周知であり、そして、米国特許第6,287,860号においてさらに記載され、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0085】
本発明の処方物は、リポソーム処方物を含む。本発明において用いられるように、用語「リポソーム」は、球状の二重層(単数または複数)で配列された両親媒性の脂質から構成される小胞を意味する。リポソームは、単一の薄層の小胞かまたは複数の薄層の小胞であり、この小胞は、親油性材質で形成された膜および送達する組成物を含む水溶性内部を有する。陽イオン性リポソームは、正性に荷電したリポソームであり、負性に荷電したDNA分子と相互作用して安定した複合体を形成すると考えられる。pH感受性かまたは負性に荷電したリポソームは、DNAと複合体形成するよりもDNAを捕まえると考えられる。陽イオン性リポソームおよび非陽イオン性リポソームは、細胞にDNAを送達するために用いられている。
【0086】
リポソームはまた、本明細書中において用いられる用語「立体的に安定化した」リポソームを含み、この用語は、一つ以上の特殊化した脂質を含み、リポソームの一部となる際、このような特殊化した脂質を欠如しているリポソームと比較して、循環の寿命を延ばす結果をもたらすリポソームを指す。立体的に安定化したリポソームの例としては、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が一つ以上の糖脂質を含むか、または、一つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されたもの、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部分が挙げられる。リポソームおよびそれらの使用は、本明細書中においてその全体が援用される米国特許第6,287,860号にさらに記載される。
【0087】
本発明における薬学因子処方物および薬学因子組成物は、界面活性剤を含み得る。薬物、処方物および乳剤中における界面活性剤の使用は、当該分野で周知である。界面活性剤およびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号においてさらに記載され、その全体が本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0088】
一つの実施形態において、本発明は、核酸、特にオリゴヌクレオチドの送達効率に影響する種々の透過促進剤を用いる。非脂肪親和性薬剤の細胞膜を横断する拡散を促進することに加えて、透過促進剤はまた、脂肪親和性薬剤の透過性を促進する。透過促進剤は、五つの広いカテゴリー(すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート化非界面活性剤)のうちの一つに属するものとして分類され得る。透過促進剤およびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号においてさらに記載され、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0089】
当業者は、彼らが意図した用途(すなわち、投与経路)に従って、処方物が規定通りに設計されることを理解する。
【0090】
局所適用の好ましい処方物は、本発明のオリゴヌクレオチドが、局所的送達因子(例えば、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤、および界面活性剤)との混合物である処方物を含む。好ましい脂質およびリポソームとは、中性物質(例えば、ジオレオイルホスファチジル DOPE エタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリン DMPC、ジステアロイルホスファチジル コリン)、陰性物質(例えば、ジミリストイルホスファチジル グリセロール DMPG)、ならびに陽性物質(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピル DOTAP、およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン DOTMA)が挙げられる。
【0091】
局所適用または他の投与について、本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム内にカプセル化され得るか、または、複合体、特に陽イオン性リポソームの複合体を形成し得る。あるいは、オリゴヌクレオチドは、脂質、特に陽イオン性脂質と複合し得る。好ましい脂肪酸およびエステル、その薬学的に容認可能な塩、ならびにそれらの使用は、本明細書中でその全体が参考として援用される、米国特許第6,287,860号においてさらに記載される。局所用処方物は、本明細書中でその全体が参考として援用される、1999年、5月20日に出願された米国出願第09/315,298号において詳細に記載される。
【0092】
経口投与のための組成物および処方物としては、散剤または顆粒、マイクロ粒子、ナノ粒子、懸濁剤、水または非水性媒体の溶剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤、または小錠剤が挙げられる。濃化剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、核酸補助剤、または結合剤が望ましくあり。好ましい経口処方物は、発明のオリゴヌクレオチドが、一つ以上の透過促進剤、界面活性剤、キレート剤と併用して投与される処方物である。好ましい界面活性剤としては、脂肪酸、および/または、そのエステルもしくは塩、胆汁酸、および/または、その塩が挙げられる。好ましい胆汁酸/塩、および脂肪酸、ならびにそれらの使用は、米国特許第6,287,860号においてさらに記載され、その全体が本明細書中で参考として援用される。透過促進剤の組合せもまた、さらに好ましく、例えば、胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩である。特に好ましい組合せは、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩である。さらなる透過促進剤としては、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが挙げられる。本発明のオリゴヌクレオチドは、噴霧乾燥粒子を含む顆粒形態で経口送達され得るか、マイクロ粒子もしくはナノ粒子を形成するために複合体となり得る。オリゴヌクレオチド複合体化剤およびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号においてさらに記載され、その全体が本明細書中で参考として援用される。オリゴヌクレオチドの経口処方物およびそれらの調製は、米国出願第09/108,673号(1998年7月1日に出願された)、同第09/315,298号(1999年5月20日に出願された)、および同第10/071,822号(2002年、2月8日に出願された)において詳細に記載され、各々は本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0093】
非経口投与、鞘内投与、または脳室内投与のための組成物および処方物としては、滅菌水溶液が挙げられる。ここで、この滅菌水溶液はまた、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加物(例えば、限定はしないが、透過促進剤、キャリア化合物、および薬学的に受容可能な他のキャリアまたは賦形剤)を含み得る。
【0094】
本発明の特定の実施形態は、一つ以上のオリゴマー化合物、および非アンチセンス機構によって機能する一つ以上の他の薬学的因子を含む薬学組成物を提供する。このような薬学的因子の例としては、限定はされないが、癌化学療法剤、抗炎症剤、抗ウィルス剤、および代謝疾患(例えば、糖尿病、高血糖もしくは肥満症、または高い血中コレステロールもしくは高血圧のような心臓血管状態)の処置のための化合物が挙げられる。アンチセンス化合物と他の非アンチセンス剤との組合せはまた、本発明中の範囲内である。二つ以上の組合せ化合物は、共にまたは連続して用いられ得る。本発明の化合物とともに用いられる場合、このような薬学的因子は、個々で(例えば、ロシグリタゾンおよびオリゴヌクレオチド)用いられ得るか、連続して(例えば、5-フルオロウラシルおよびオリゴヌクレオチドに続いて、ある時間後のメトトレキサートおよびオリゴヌクレオチド)用いられ得るか、または、一つ以上の他の処置との組合せ(例えば、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、およびオリゴヌクレオチド、または、5-フルオロウラシル、放射線治療、およびオリゴヌクレオチド)が用いられ得る。
【0095】
別の関連した実施形態において、本発明の組成物は、第一の核酸を標的とした一つ以上のアンチセンス化合物(特にオリゴヌクレオチド)、および第二の核酸標的を標的とした一つ以上の追加のアンチセンス化合物を含み得る。あるいは、本発明の組成物は、同じ核酸標的の異なる領域を標的とした二つ以上のアンチセンス化合物を含み得る。アンチセンス化合物の多くの例は、当該分野において公知である。二つ以上の組合せ化合物は、共にまたは連続して用いられ得る。
【0096】
別の実施形態では、上記化合物の使用は、グルカゴンレセプター活性、糖尿病、肥満症、インスリン欠損症またはインスリン抵抗性、原発性高グルカゴン血症、増加した血糖値、増加した血中トリグリセリドレベル、または増加した血中コレステロールレベルに関連する疾患に罹患する被験者を処置するための医薬の製造において、提供され得る。
【0097】
(H.投薬)
治療的組成物の処方物およびそれらに続く次の投与(投薬)は、当該分野の技術範囲内にあると考えられる。投薬は、数日から数ヶ月続く処置期間においてか、または、治癒がもたらされるかもしくは疾患状態の縮小が達成されるまで、処置される疾患状態の重症度および反応に依存している。最適な投薬計画は、患者の体内における薬剤の蓄積を測定することによって計算し得る。当業者は容易に、最適な投薬量、投薬方法、および反復率を決定し得る。最適な投薬量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的な有効性に依存して変化し得、そして、この投薬量は一般に、動物モデルにおいてインビボおよびインビトロで効果的であると見出されたEC50に基づき、見積もられ得る。一般的に、投薬量は、kg(体重)ごとに0.01μg〜100gであり、そして、毎日、毎週、毎月、もしくは毎年一度以上、または2〜20年間ごとに一度のみ与えられ得る。当業者は容易に、測定した残存時間、および体液または組織中の薬剤濃度に基づく投薬によって、容易に反復率を見積もり得る。下記の成功した処置において、患者が疾患状態の再発を予防するための維持治療を経験することが望ましくあり得る。ここで、オリゴヌクレオチドは、維持量(kg(体重)ごとに0.01μg〜100gの量を、毎日一度以上から20年に一度の範囲)で投与される。
【0098】
本発明は、具体的な本発明の好ましい実施形態に従う特異性とともに説明されているが、下記の例は、本発明を例示するためのみに役立ち、本発明を限定することを意図されていない。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
(ヌクレオシドホスホラミダイトの合成)
次の化合物(アミダイトおよびそれらの中間体を含む)は、米国特許第6,426,220号および公開されたPCT WO02/36743に記載されるように調整された:5-メチルdCアミダイトの5’-O-ジメトキシトリチル-チミジン中間体、5-メチル-dCアミダイトの5’-O-ジメトキシトリチル-2’-デオキシ-5-メチルシチジン中間体、5-メチルdCアミダイトの5’-O-ジメトキシトリチル-2’-デオキシ-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジンの最後から2番目の中間体、[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)-2’-デオキシ-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジン-3’-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト(5-メチルdCアミダイト)、2’-フルオロデオキシアデノシン、2’-フルオロデオキシグアノシン、2’-フルオロウリジン、2’-フルオロデオキシシチジン、2’-O-(2-メトキシエチル)改変アミダイト、2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジン中間体、5’-O-DMT-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジンの最後から2番目の中間体、[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジン-3’-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト(MOE Tアミダイト)、5’-O-ジメトキシトリチル-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルシチジン中間体、5’-O-ジメトキシトリチル-2’-O-(2-メトキシエチル)-N4-ベンゾイル-5-メチル-シチジン最後から2番目の中間体、[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)-2’-O-(2-メトキシエチル)-N4-ベンゾイル-5-メチルシチヂン-3’-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト(MOE 5-Me-Cアミダイト)、[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)-2’-O-(2-メトキシエチル)-N6-ベンゾイルアデノシン-3’-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト(MOE Aアミダイト)、[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)-2’-O-(2-メトキシエチル)-N4-イソブチリルグアノシン-3’-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト(MOE Gアミダイト)、2’-O-(アミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトおよび2’-O-(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイト、2’-(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、5’-O-tert-ブチルジフェニルシリル-O2-2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、5’-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2’-O-(2-ヒドロキシエチル)-5-メチルウリジン、2’-O-[(2-フタルイミドキシ)エチル]-5’-t-ブチルジフェニルシリル-5-メチルウリジン、5’-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2’-O-[(2-ホルマドキシミノオキシ)エチル]-5-メチルウリジン、5’-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2’-O-[N,N-ジメチルアミノオキシエチル]-5-メチルウリジン、2’-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン、5’-O-DMT-2’-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン、5’-O-DMT-2’-O-(2-N,N-ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン-3’-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト]、2’-(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、N2-イソブチリル-6-O-ジフェニルカルバモイル-2’-O-(2-エチルアセチル)-5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)グアノシン-3’-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホラミダイト]、2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’-DMAEOE)ヌクレオシドアミダイト、2’-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル]-5-メチルウリジン、5’-O-ジメトキシトリチル-2’-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)-エチル]-5-メチルウリジンおよび5’-O-ジメトキシトリチル-2’-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル]-5-メチルウリジン-3’-O-(シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホラミダイト。
【0100】
(実施例2)
(オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドの合成)
本発明に従って用いられるアンチセンス化合物は、周知な技術である固相合成によって、簡便かつ慣用的に生成され得る。このような合成の装置は、いくつかの販売元(例えば、Applied Biosystems(Foster City, CA)を含む)から販売される。当該分野において知られる他のこのような合成方法は、追加してかまたは代替的に用いられる。オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体)を調製する類似技術が用いられることは、周知である。
【0101】
オリゴヌクレオチド:非置換ホスホジエステル(P=O)オリゴヌクレオチド、および置換ホスホジエステル(P=O)オリゴヌクレオチドを、自動DNA合成装置(Applied Biosystems model 394)上で、ヨウ素による酸化の標準的なホスホロアミダイト化学を用いて、合成する。
【0102】
ホスホロチオエート(P=S)を、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドと同様に合成する。ただし、ホスファイト結合の酸化のために、アセトニトリル中の3,H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド溶液(10%w/v)を用いてチオエート化をもたらしたことが異なる。チオエート化反応ステップ時間を、180秒に増加し、標準のキャッピングステップの後に行った。CPGカラムから切断し、そして、濃アンモニウムヒドロキシド中で12〜16時間、55℃で脱保護した後で、上記オリゴヌクレオチドを、3倍容量より多いエタノールを用いて1MのNH4OAc溶液から沈殿させ、回収した。ホスフィネートオリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,508,270号において、記載されるように調製する。
【0103】
アルキルホスホネートオリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第4,469,863号において、記載されるように調製する。
【0104】
3’-デオキシ-3’-メチレンホスホネートオリゴヌクオチドは、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,610,289号または同第5,625,050号において、記載されるように調製される。
【0105】
ホスホロアミダイトリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,256,775号または同第5,366,878号において、記載されるように調製する。
【0106】
アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用される公開されたPCT出願(PCT/US94/00902およびPCT/US93/06976)(それぞれ、WO94/17093およびWO94/02499として公開された)において、記載されるように調製する。
【0107】
3’-デオキシ-3’-アミノホスホロアミダイトリゴヌクレオチドは、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,476,925号において、記載されるように調製される。
【0108】
ホスホトリエステルオリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,023,243号において、記載されるように調製する。
【0109】
ボラノホスフェートオリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,130,302号および同第5,177,198号において、記載されるように調製する。
【0110】
オリゴヌクレオシド:メチレンメチルイミノ結合オリゴヌクレオシド(MMI結合オリゴヌクレオチドとしても同定される)、メチレンジメチルヒドラゾ結合オリゴヌクレオシド(MDH結合オリゴヌクレオシドとしても同定される)、および、メチレンカルボニルアミノ結合オリゴヌクレオシド(アミド-3結合オリゴヌクレオシドとしても同定される)、およびメチレンアミノカルボニル結合オリゴヌクレオシド(アミド-4結合オリゴヌクレオシドとしても同定される)、および、混合骨格化合物(例えば、交互MMIおよびP=O結合またはP=S結合を有する)を、米国特許第5,378,825号、同第5,386,023号、同第5,489,677号、同第5,602,240号、および同5,610,289号において、記載されるように調製し、本明細書中でこれら特許のすべてが、参考として援用される。
【0111】
ホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドおよびチオホルムアセタール結合オリゴヌクレシドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,264,562号および同第5,264,564号において、記載されるように調製する。
【0112】
エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,223,618号において、記載されるように調製する。
【0113】
(実施例3)
(RNA合成)
概して、RNA合成化学は、戦略的な中間反応における種々の保護基の選択的取り込みに基づく。当業者は、有機合成における保護基の使用を理解するが、有用なクラスとしては、シリルエーテルが挙げられる。特にかさ高いシリルエーテルは、2’-ヒドロキシル上の酸に不安定なオルトエステル保護基と組み合わせて、5’-ヒドロキシルを保護するために用いられる。従って、この保護基のセットは、標準的な固相合成技術に用いられる。すべての他の合成ステップの後で、最後に不安定なオルトエステル保護基を除くことは、重要である。さらに、合成の間におけるシリル保護基の早い段階での使用は、2’ヒドロキシルの所望されない脱保護をすることなく、所望される際、容易な除去を保証する。
【0114】
異なる様式で除かれ、そして異なる様式で化学的に不安定である保護基によって、2’-ヒドロキシルの保護と組み合わせて5’-ヒドロキシルを連続的に保護するための、上記処理に従って、RNAオリゴヌクレオチドを合成した。
【0115】
RNAオリゴヌクレオチドを段階的に合成する。各ヌクレオチドを固形支持体に結合したオリゴヌクレオチドに対して連続して(3’から5’の方向へ)加える。鎖の3’末端上の第一のヌクレオシドは、固形支持体に共有に結合される。ヌクレオチド前駆体、リボヌクレオシドホスホロアミダイト、およびアクティーベーターは、付加され、第一のヌクレオシドの5’末端上で第二の塩基と連結する。この支持体を洗浄し、そして、任意の未反応の5’-ヒドロキシル基は、5’-アセチル部分を得るために無水酢酸でキャップされる。この結合は、続いて、より安定かつ最終的に所望されるP(V)結合へと酸化される。ヌクレオチド追加サイクルの最後において、5’-シリル基は、フッ化物で切断される。このサイクルを、次に続く各ヌクレオチドに対して、繰り返す。
【0116】
合成の後で、ホスフェート上のメチル保護基を、DMF中で1Mの二ナトリウム-2-カルバモイル-2-シアノエチレン-1,1-ジチオレート三水和物(S2Na2)を用いて30分間で、切断する。脱保護化溶液を、水を用いて、固形支持体に結合したオリゴヌクレオチドから洗浄する。この支持体を、続いて、水中の40%メチルアミンで、10分間55℃で処理する。これは、RNAオリゴヌクレオチドを溶液中に放出し、環外アミンを脱保護し、そして、2’-基を改変する。オリゴヌクレオチドは、この段階において、アニオン交換HPLCによって分析され得る。
【0117】
2’-オルトエステル基は、最後に除かれる保護基である。Dharmacon Research, Inc. (Lafayette, CO)より開発されたエチレングリコールモノアセテートオルトエステル保護基は、次の重要な特性を有する有用なオルトエステル保護基の一例である。ヌクレオシドホスホロアミダイト合成およびオリゴヌクレオチド合成の条件に対して安定である。しかしながら、オリゴヌクレオチドの合成の後で、オリゴヌクレオチドを、固形支持体からオリゴヌクレオチドを切断するだけでなくオルトエステルからアセチル基を除くメチルアミンで処理する。生じるオルトエステル上の2-エチル-ヒドロキシル置換基は、アセチル化前駆体よりも電子求引性が少なくなる。結果として、改変されたオルトエステルは、酸で触媒される加水分解に対して、より不安定となる。特に、切断速度は、アセチル基が除かれた後で、約10倍速くなる。従って、このオルトエステルは、オリゴヌクレオチド合成と適合するための十分な安定性を有するが、後で改変された際、このオルトエステルは、最終RNAオリゴヌクレオチド産物と適合性の比較的に穏やかな水性の条件下で脱保護が行われるのを可能にする。
【0118】
加えて、RNA合成方法は、当該分野において周知である(Scaringe, S. A. Ph. D. Thesis, University of Colorado, 1996;Scaringe, S. Aら、J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 11820-11821;Matteucci, M. D. およびCaruthers, M. H. J. Am. Chem. Soc., 1981, 103, 3185-3191;Beaucage, S. L. およびCaruthers, M. H. Tetrahedron Lett., 1981, 22, 1859-1862;Dahl, B. Jら、Acta Chem. Scand,. 1990,44,639-641;Reddy, M. P. ら、Tetrahedrom Lett., 1994, 25, 4311-4314;Wincott, F. ら、Nucleic Acids Res., 1995, 23, 2677-2684;Griffin, B. E. ら、Tetrahedron, 1967, 23, 2301-2313;Griffin, B. E. ら、Tetrahedron, 1967, 23, 2315-2331)。
【0119】
本発明のRNAアンチセンス化合物(RNAオリゴヌクレオチド)は、本明細書中の方法によって合成され得るか、または、Dharmacon Research, Inc(Lafayette, CO)より購入され得る。一旦合成された後で、相補的なRNAアンチセンス化合物を、続いて、二本鎖(二重鎖)のアンチセンス化合物を形成する当該分野において公知な方法によってアニール化し得る。例えば、二重鎖は、それぞれ30μlのRNAオリゴヌクレオチドの相補鎖(50μMのRNAオリゴヌクレオチド溶液)と15μlの5×アニーリング緩衝液(100mMの酢酸カリウム、30mMのHEPES-KOH(pH7.4)、2mMの酢酸マグネシウム)とを結合させ、90℃で1分間加熱後、次いで、一時間37℃で加熱するによって形成され得る。生じる二重鎖アンチセンス化合物は、キット、アッセイ、スクリーン、または標的核酸の役割を研究する他の方法において用いられ得る。
【0120】
(実施例4)
(キメラオリゴヌクレオチドの合成)
本発明のキメラオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドまたは混合オリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドは、いくつかの異なるタイプであり得る。これらとしては、第一のタイプ(ここで、連結されるヌクレオシドの「ギャップ」セグメントは、連結されるヌクレオシドの5’と3’の「ウィング」セグメント間に位置する)、ならびに、第二の「開放端」タイプ(ここで、「ギャップ」セグメントは、オリゴマー化合物の3’末端または5’末端のいずれかに位置する)が挙げられる。第一のタイプのオリゴヌクレオチドはまた、「ギャップマー」またはギャップを有するオリゴヌクレオチドとして当該分野において公知である。第二のタイプのオリゴヌクレオチドはまた、「ヘミマー」または「ウィングマー」として当該分野において公知である。
【0121】
([2’-O-Me]--[2’-デオキシ]--[2’-O-Me]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド)
2’-O-アルキルホスホロチオエートオリゴヌクレオチドセグメントおよび2’-デオキシホスホロチオエートオリゴヌクレオチドセグメントを有するキメラオリゴヌクレオチドを、上述の自動DNA合成装置Model394を用いて、合成する。上記自動合成装置を用いてオリゴヌクレオチドを合成し、そして、2’-デオキシ-5’-ジメトキシトリチル-3’-O-ホスホロアミダイトはDNA部分として、そして、5’-ジメトキシトリチル-2’-O-メチル-3’-O-ホスホロアミダイトは5’ウィングおよび3’ウィングとする。標準的な合成サイクルを、5’-ジメトキシトリチル-2’-O-メチル-3’-O-ホスホロアミダイトの反応時間が増加させたカップリング工程を含むことにより、改変する。完全に保護されたオリゴヌクレオチドを、支持体から切断し、濃縮アンモニア(NH4OH)中で12〜16時間、55℃で脱保護する。この脱保護されたオリゴを、適切な方法(析出、カラムクロマトグラフィー、減圧下での容量の減少、そして、キャピラリー電気泳動およびマススペクトロメトリを用いた、収量および純度の分光光度法による分析)によって回収する。
【0122】
([2’-O-(2-メトキシエチル)]--[2’-デオキシ]--[2’-O-(メトキシエチル)]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド)
[2’-O-(2-メトキシエチル)]--[2’-デオキシ]--[2’-O-(メトキシエチル)]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチルアミダイトを2’-O-(メトキシエチル)アミダイトに置き換えて、2’-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上述の手順に従って、調製した。
【0123】
([2’-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル]--[2’-デオキシホスホロチオエート]--[2’-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチド)
[2’-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル]--[2’-デオキシホスホロチオエート]--[2’-O-(メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチドは、2’-O-メチルアミダイトを2’-O-(メトキシエチル)アミダイトに置き換えて、2’-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上述の手順に従って、ヨウ素での酸化によりキメラ構造のウィング部分にあるホスホジエステルヌクレオチド間結合を生成し、そして、3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン1,1ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用する硫化により、中央ギャップにホスホロチオエートヌクレオチド間結合を生成して調製する。
【0124】
他のキメラオリゴヌクレオチド、キメラオリゴヌクレオシド、および混合キメラオリゴヌクレオチド/キメラオリゴヌクレオシドを、本明細書中に参考として援用される米国特許第5,623,065号に従って合成する。
【0125】
(実施例5)
(グルカゴンレセプターを標的とする二重鎖アンチセンス化合物の設計およびスクリーニング)
本発明によると、本発明のアンチセンス化合物およびその相補体を含む一連の核酸二重鎖は、グルカゴンレセプターを標的とするように設計され得る。二重鎖のアンチセンス鎖の核酸塩基配列は、表1のオリゴヌクレオチドの少なくとも8核酸塩基部分を含む。上記鎖の末端は、突出部を形成するために、一つ以上の天然核酸塩基または改変された核酸塩基を加えることによって改変し得る。dsRNAのセンス鎖は、アンチセンス鎖の相補鎖として設計および合成され、そして、このセンス鎖はまた、いずれかの末端に対する改変または付加を含み得る。例えば、一つの実施形態において、dsRNA二重鎖の両鎖は、中央の核酸塩基に対して相補的であり、この両鎖は一方の末端または両法の末端に突出部を有する。
【0126】
例えば、配列CGAGAGGCGGACGGGACCGを有し、かつデオキシチミジン(dT)の2核酸塩基突出部を有するアンチセンス鎖を含む二重鎖は、以下の構造を有する:
【0127】
【化1】


別の実施形態において、同じ配列CGAGAGGCGGACGGGACCGを有するアンチセンス鎖を含む二重鎖は、平滑末端(一本鎖の突出部がない)で、示されるように調製され得る:
【0128】
【化2】


RNA二重鎖は、単分子または二分子であり得る。すなわち、二本鎖は、一つの分子部分であり得るか、または別個の分子であり得る。二重鎖のRNA鎖は、本明細書中に開示される方法によって合成し得るか、またはDharmacon Research Inc., (Lafayette, CO)より購入し得る。合成した後、相補鎖をアニールさせる。一本鎖を分注し、50μMの濃度に希釈する。希釈した後で、30μLの各鎖を、15μLのアニーリング緩衝液の5×溶液と合わせる。上記緩衝液の最終濃度は、100mMの酢酸カリウム、30mMのHEPES-KOH(pH7.4)、および2mMの酢酸マグネシウムである。最終量は75μLである。この溶液を、90℃で1分間インキュベートし、次いで15秒間遠心する。実験中にdsRNA二重鎖を用いる際は、チューブを37℃で1時間静置する。dsRNA二重鎖の最終濃度は、20μMである。この溶液は、-20℃で凍結保存し得、そして5回まで凍結融解し得る。
【0129】
調製した後で、二重鎖アンチセンス化合物を、それらのグルカゴンレセプター発現を調節する能力について評価する。
【0130】
細胞が80%のコンフルエンシーに達する場合、それらは、本発明の二重鎖アンチセンス化合物で処理する。96ウェルプレート上で増殖させた細胞については、ウェルを200μLのOPTI-MEM-1低血清培地(GibcoBRL)で一度洗浄し、次いで、12μg/mLのLIPOFECTIN(Gibco BRL)、および最終濃度200nMの所望の二重鎖アンチセンス化合物を含む、130μLのOPTI-MEM-1で処理する。5時間の処理の後、上記培地を新しい培地と交換する。RNAを単離し、RT-PCRで標的の減少を測定する際には、細胞を処置の後の16時間後に回収する。
【0131】
(実施例6)
(オリゴヌクレオチドの単離)
制御された微細孔ガラスの固体支持体(controlledpore glass solid support)から切断し、そして、55℃で12〜16時間、濃水酸化アンモニウム中で脱ブロック化した後、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオシドを、3倍容量より多いエタノールを用いて1MのNH4OAcから沈殿させ、回収する。合成されたオリゴヌクレオチドを、エレクトロスプレイ質量分光法(分子量決定)によってか、またはキャピラリーゲル電気泳動によって分析し、そして、全長物質の少なくとも70%であることを判断する。上記合成によって得られるホスホロチオエート結合およびホスホジエステル結合の相対量を、-16amu産物(+/-32+/-48)に比例した正確な分子量比率によって決定する。いくつかの研究では、オリゴヌクレオチドを、Chiangら、J. Biol. Chem. 1991,266,18162-18171により記載されるようにHPLCによって精製する。HPLC精製した材料から得られる結果は、HPLC精製していない材料で得られる結果と類似する。
【0132】
(実施例7)
(オリゴヌクレオチドの合成-96ウェルプレートフォーマット)
オリゴヌクレオチドを、96ウェルプレートフォーマット内で同時に96個の配列をアセンブルし得る自動合成装置上の、固相P(III)ホスホロアミダイト化学によって合成する。ホスホジエステルヌクレオチド間結合は、水性ヨウ素の酸化によって生成する。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン1,1ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用する無水アセトニトリル中の硫化により、生成する。標準的な塩基が保護されたβ-シアノエチル-ジイソ-プロピルホスホロアミダイトは、製造メーカー(例えば、PE-Applied Biosystems, Foster City, CA、またはPharmacia, Piscataway, NJ)より購入される。非標準的なヌクレオシドを、標準的な方法または特許化された方法によって合成する。塩基が保護されたβ-シアノエチルジイソプロピルホスホロアミダイトとして用いる。
【0133】
オリゴヌクレオチドを支持体から切断して、高温(55〜60℃)で12〜16時間、濃NH4OHで脱保護し、次いで、放出された生成物を真空中で乾燥する。乾燥生成物を、次いで、滅菌水中に再懸濁してマスタープレートを生成し、このプレートから自動ピペット装置を用いて分析サンプルおよびテストプレートサンプルのすべてを希釈する。
【0134】
(実施例8)
(オリゴヌクレオチド分析-96ウェルプレートフォーマット)
各ウェルのオリゴヌクレオチドの濃度を、サンプルの希釈およびUV吸収分光法によって測定する。個々の生成物の完全長の完全性を、96ウェルフォーマット(Beckman P/ACETMMDQ)において、または、個々に調製したサンプルについて、市販のCE装置(例えば、Beckman P/ACETM5000, ABI 270)上のいずれかでキャピラリー電気泳動(CE)により評価する。塩基組成および骨格組成を、エレクロトスプレー質量分光法を用いる化合物の質量分析により確認する。すべてのアッセイテストプレートを、単一チャネル自動ピペット装置および複数チャネル自動ピペット装置を用いてマスタープレートから希釈する。プレートは、プレート上の化合物の少なくとも85%が少なくとも完全長の85%である場合に容認し得ると判断される。
【0135】
(実施例9)
(細胞培養およびオリゴヌクレオチド処理)
標的核酸の発現におけるアンチセンス化合物の効果を、この標的核酸が測定可能なレベルで存在するという条件で、任意の種々の細胞型において、試験し得る。この効果を、例えば、PCRまたはノザンブロット分析を用いて、慣用的に決定し得る。以下の細胞型は、例証する目的のために提供されるが、選ばれた細胞型において標的が発現するという条件で、他の細胞型も慣用的に用い得る。これは、当該分野において慣用的な方法(例えば、ノザンブロット分析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、またはRT-PCR)により容易に決定され得る。
【0136】
(T-24細胞):
ヒト移行細胞の膀胱癌細胞株T-24は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)より得られる。T-24細胞を、10%のウシ胎仔血清(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)、ペニシリンを1mLにつき100単位、およびストレプトマイシンを1mLにつき100μg(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を補充した完全なマッコイ5A基礎培地(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)中で、慣用的に培養する。細胞を、細胞が90%のコンフルエンスに達した際のトリプシン処理および希釈によって慣用的に継代する。細胞を、RT-PCR分析において使用するために、7000細胞/ウェルの濃度で、96ウェルプレート(Falcon-Primaria #353872)に播種する。
【0137】
ノザンブロット分析または他の分析のために、細胞を、100mmの組織培養プレートまたは他の標準的な組織培養プレートに播種し得、適量の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて同様に処理し得る。
【0138】
(A549細胞)
ヒト肺癌細胞株A549は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)より得られる。A549細胞を、10%のウシ胎仔血清(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)、ペニシリンを1mLにつき100単位、およびストレプトマイシンを1mLにつき100μg(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を補充したDMEM基礎培地(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)中で慣用的に培養する。細胞を、細胞が90%のコンフルエンスに達した際のトリプシン処理および希釈によって慣用的に継代する。
【0139】
(NHDF細胞)
ヒト新生児皮膚線維芽細胞(Human neonatal dermal fibroblast(NHDF))は、Clonetics Corporation(Walkersville, MD)より得られる。NHDFを、供給業者が推奨するように補充された線維芽細胞増殖培地(Clonetics Corporation, Walkersville, MD)中で慣用的に維持する。細胞を、供給業者が推奨するように10の回の継代まで維持する。
【0140】
(HEK細胞)
ヒト胚ケラチノサイト(Human embryonic keratinocytes(HEK))は、Clonetics Corporation(Walkersville, MD)より得られる。HEKを、供給業者が推奨するように処方されたケラチノサイト増殖培地(Clonetics Corporation, Walkersville, MD)中で慣用的に維持する。細胞を、供給業者が推奨するように10の回の継代まで維持する。
【0141】
(HepG2細胞)
ヒト胚芽種細胞株HepG2は、Amrican Type Culture Collection(Manassas, VA)より得られる。HepG2細胞を、10%のウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、および1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)を補充したイーグルMEM中で慣用的に培養する。細胞を、細胞が90%のコンフルエンスに達した際のトリプシン処理および希釈によって慣用的に継代する。細胞を、RT-PCR分析において使用するために、7000細胞/ウェルの濃度で、96ウェルプレート(Falcon-Primaria #3872)に播種し得る。
【0142】
ノザンブロット分析または他の分析のために、細胞を、100mmの組織培養プレートまたは他の標準的な組織培養プレートに播種し得、適量の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて同様に処理し得る。
【0143】
(初代マウス肝細胞)
初代マウス肝細胞を、Charles River Labsより購入したCD-1マウスから調製する。初代マウス肝細胞を、10%のウシ胎仔血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)、250nMのデキサメタゾン(Sigma)、10nMのウシのインスリン(Sigma)を補充した肝細胞接着培地(Hepatocyte Attachment Media(Gibco))中で慣用的に培養する。細胞を、RT-PCR分析において使用するために、10000細胞/ウェルの濃度で、96ウェルプレート(Falcon-Primaria #3872)に播種し得る。
【0144】
ノザンブロット分析または他の分析のために、細胞を、100mmの組織培養プレートまたは他の標準的な組織培養プレートに播種し得、適量の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて同様に処理し得る。
【0145】
(アンチセンス化合物による処理)
細胞が65〜75%のコンフルエンスに達すると、それらをオリゴヌクレオチドで処理する。96ウェルプレート上で培養した細胞については、ウェルを一度、100μLのOPTI-MEMTM-1低血清培地(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)で洗浄し、そして次いで、3.75μg/mLのLIPOFECTINTM(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)、および所望の濃度のオリゴヌクレオチドを含む、130μLのOPTI-MEMTM-1で処理する。細胞を処理し、データを三連で得る。37℃での処理の4〜7時間後、上記培地を新しい培地と取り替える。細胞を、オリゴヌクレオチド処理の16〜24時間後に回収する。
【0146】
使用したオリゴヌクレオチド濃度は、細胞株ごとで異なる。特定の細胞株についての最適なオリゴヌクレオチド濃度を決定するために、細胞をある範囲の濃度のポジティブコントロールオリゴヌクレオチドで処理した。ヒト細胞について、ポジティブコントロールオリゴヌクレオチドを、ヒトH-rasを標的とするISIS13920 (配列番号1:
【0147】
【数1】

)、またはJun-N末端キナーゼ-2(JNK2)を標的とするISIS18078(配列番号2:
【0148】
【数2】

)から選択する。両方のコントロールは、ホスホロチオエート骨格を有する2’-O-メトキシエチルギャップマー(2’-O-メトキシエチルを太線で示した)である。マウス細胞またはラット細胞について、ポジティブコントロールオリゴヌクレオチドは、マウスc-rafおよびラットc-rafの両方を標的とするホスホロチオエート骨格を有する2’-O-メトキシエチルギャップマー(2’-O-メトキシエチルを太線で示した)を有するISIS15770(配列番号3:
【0149】
【数3】

)である。c-H-ras(ISIS13920について)、JNK2(ISIS18078について)、またはc-raf(ISIS15770について)mRNAに対する80%の阻害を生じるポジティブコントロールオリゴヌクレオチドの濃度を、次いで、その細胞株についての以下の実験において、新しいオリゴヌクレオチドのためのスクリーニング濃度として用いる。80%の阻害が達成されない場合、c-H-ras、JNK2、またはc-raf mRNAに対する60%の阻害を生じるポジティブコントロールオリゴヌクレオチドの最低濃度を、その細胞株についての以下の実験において、上記オリゴヌクレオチドのスクリーニング濃度として用いる。60%の阻害が達成されない場合、その特定の細胞株がオリゴヌクレオチドトランスフェクション実験には不適切であると考える。本明細書中で用いられたアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、50nM〜300nMである。
【0150】
(実施例10)
(グルカゴンレセプター発現のオリゴヌクレオチド阻害の分析)
グルカゴンレセプター発現のアンチセンス調節を、当該分野において公知な種々の方法でアッセイし得る。例えば、グルカゴンレセプターmRNAレベルを、例えばノザンブロット分析、競合ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはリアルタイムPCR(RT-PCR)によって定量し得る。リアルタイム定量PCRが、現在好ましい。RNA分析を、全細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAに対して実施し得る。本発明のRNA分析の好ましい方法は、本明細書中の他の実施例において記載されるような全細胞RNAの使用である。RNA単離方法は、当該分野において周知である。ノザンブロット分析もまた、当該分野において慣用的である。リアルタイム定量(PCR)を、PE-Applied Biosystems, Foster City, CAより入手可能な市販のABI PRISMTM7600モデル、7700モデル、または7900モデルの配列検出システム(Sequence Detection System)を用いて簡便的に達成し得、そして、製造業者の指示書に従って用い得る。
【0151】
グルカゴンレセプターのタンパク質レベルを、当該分野において周知の種々の方法(例えば、免疫沈降反応、ウェスタンブロット分析(免疫ブロット)、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、または蛍光細胞分析分離法(FACS))で定量し得る。グルカゴンレセプターに対する抗体を、種々の供給源(例えば、MSRS抗体カタログ(Aerie Corporation, Birmingham, MI))から同定し、そして取得し得るか、または、この抗体を、当該分野において周知の従来のモノクローナル抗体生成法、またはポリクローナル抗体生成法によって、調製し得る。
【0152】
(実施例11)
(表現型アッセイの設計およびグルカゴンレセプターインヒビターの使用についてのインビボ研究)
(表現型アッセイ)
グルカゴンレセプターインヒビターが本明細書中に開示される方法によって同定された後で、化合物を、特定の疾患状態または状態の処置における効能の測定可能な予測的指標をそれぞれ有する一つ以上の表現型アッセイにおいてさらに研究する。表現型アッセイ、キット、およびそれらの使用のための試薬は、当業者に周知であり、そして、これらは、本明細書中において、健康状態および疾患におけるグルカゴンレセプターの役割および/または関連性を研究するために使用される。いくつかの市販製造業者のうちの1つから購入され得る代表的な表現型アッセイとしては、細胞の生存度、細胞毒性、増殖、または細胞生存を決定するためのアッセイ(Molecular Probes, Eugene, OR;PerkinElmer, Boston, MA)、酵素的アッセイ(Panvera, LLC, Madison, WI;BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ;Oncogene Research Products, San Diego, CA)を含むタンパク質に基づくアッセイ、細胞調節、シグナル伝達、炎症、酸化プロセス、および、アポトーシス(Assay Designs Inc., Ann Arbor, MI)、トリグリセリド蓄積(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)、新脈管形成アッセイ、管形成アッセイ、サイトカインアッセイおよびホルモンアッセイ、ならびに代謝アッセイ(Chemicon International Inc., Temecula, CA;Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)が挙げられる。
【0153】
非限定的な一例では、特定の表現型アッセイのために適切であると決定された細胞(すなわち、胸部癌の研究のために選択したMCF-7細胞;肥満症研究のための脂肪細胞)を、インビトロ研究および上記の方法によって決定した最適な濃度のコントロール化合物から同定したグルカゴンレセプターインヒビターで処理する。処理期間の最後において、処理細胞および未処理細胞を、表現型結果および表現型指標を決定するために、そのアッセイに特異的な一つ以上の方法によって分析する。
【0154】
表現型指標として、経時的または処理用量に対する細胞形態の変化、および細胞構成成分(例えば、タンパク質、脂質、核酸、ホルモン、単糖類、または金属類)のレベルの変化が挙げられる。細胞状態(pH、細胞周期の段階、細胞による生物学的インジケーターの取り込みまたは排出が挙げられる)の測定もまた、重要な指標である。
【0155】
処理後の細胞の遺伝子型の分析(細胞における一つ以上の遺伝子発現の測定)はまた、グルカゴンレセプターインヒビターの効能または能力のインジケーターとして用いられる。特徴のある遺伝子、または特定の疾患状態、状態、もしくは表現型との関連が疑われる遺伝子を、処理細胞および未処理細胞の両方において、測定する。
【0156】
(インビボ研究)
本明細書中に記載されるインビボ研究の個々の被験体は、ヒトを含む温血脊椎動物である。
【0157】
臨床試験を、個人が不必要にリスクを負わないこと、および個人が研究における彼らの役割について十分に通知されることを保証するために厳格に管理する。
【0158】
処置を受ける心理学的影響を考慮するために、志願者に、プラシーボまたはグルカゴンレセプターインヒビターを無作為に与える。さらに、医者によって処置が偏ることを避けるために、志願者は、投与される医薬がグルカゴンレセプターインヒビターであるかまたはプラシーボであるかを通知され得ない。この無作為アプローチを用いると、各志願者は、新しい処置またはプラシーボのうちいずれかを与えられる同様な機会を有する。
【0159】
志願者は、8週間にわたりグルカゴンレセプターインヒビターまたはプラシーボのうちいずれかを受け得る。この研究期間の間に、最初に(任意の処置の前の基準測定)、最後に(最後の処置の後)、および規則的な間隔で、特徴ある疾患状態または状態に関連する生物学的パラメーターを測定する。このような測定としては、前処置レベルと比較したグルカゴンレセプターをコードする核酸分子のレベル、または、体液中、組織中、もしくは器官中のグルカゴンレセプターのタンパク質レベルが挙げられ得る。他の測定としては、限定はされないが、処置される疾患状態または状態の指標、体重、血圧、疾患の薬学的インジケーターの血清力価、または毒性およびADME(吸収、分布、代謝、および排泄)の測定が挙げられ得る。
【0160】
各患者について記録された情報は、年齢(歳)、性別、身長(cm)、疾患状態または状態に関する家族歴(はい/いいえ)、動機付けの評価(いくらか/普通/熱心)、および兆候がある疾患または状態に対する以前の治療計画の回数と種類を含み得る。
【0161】
この研究に参加するボランティアは、健常な成人(年齢18〜65歳)であり、そして、代表的には、この研究に参加する男性および女性の数は、おおよそ同数である。特定の特徴を有するボランティアは、偽薬による治療およびグルカゴンレセプターインヒビターによる治療に同等に分配した。概して、偽薬で治療されたボランティアは、治療に対して、少しの反応かまたは何の反応もないが、一方、グルカゴンレセプターインヒビターで治療されたボランティアは、本研究の結論の索引にあるそれらの疾患状態または状態において、前向きな傾向を示す。
【0162】
当業者は、適切な臨床試験をどのように行うか知り、そして、この方法が、多数のプロトコルのうちのただ一つの適切に用いられ得る方法であると理解する。
【0163】
(実施例12)
(RNAの単離)
(ポリ(A)+mRNAの単離)
ポリ(A)+mRNAを、Miuraら(Clin. Chem., 1996,42,1758-1764)に従って、単離した。ポリ(A)+mRNA単離の他の方法は、当該分野において慣用的である。簡単に述べると、96ウェルプレート上で生育した細胞について、細胞から成長培地を除き、各ウェルを200μLの冷PBSで洗浄した。60μLの溶解緩衝液(10mM Tris-HCl、pH7.6、1mM EDTA、0.5M NaCl、0.5%NP-40、20mM、バナジルリボヌクレオシド複合体)を各ウェルに加え、このプレートを、穏やかに攪拌し、室温にて5分間インキュベートした。55μLの溶解物を、Oligo d(T)コーティングを施した96ウェルプレート(AGCT Inc., Irvine CA)に移した。プレートを室温にて60分間インキュベートし、200μLの洗浄緩衝液(10mM Tris-HCl、pH7.6、1mM EDTA、0.3M NaCl)で3回洗浄した。最後の洗浄の後、このプレートをペーパータオルで拭き取って、余分な洗浄緩衝液を除き、5分間空気乾燥した。60μLの溶出緩衝液(5mM Tris-HCl、pH7.6)を、70℃に予熱し、各ウェルに加え、このプレートを90℃の加熱板上で5分間培養し、溶出物を新しい96ウェルプレートに移した。
【0164】
100mmプレートまたは他の標準プレート上で生育した細胞は、適切な量の全ての溶液を用いて、同様に処理され得る。
【0165】
(全RNAの単離)
全RNAは、RNEASY 96TMキット、およびQiagen Inc. (Valencia, CA)より購入した緩衝液を用いて、単離した。簡単に述べると、96ウェルプレート上で生育した細胞について、細胞から成長培地を除き、各ウェルを200μLの冷PBSで洗浄した。150μLのRLT緩衝液を各ウェルに加え、このプレートを、20秒間、激しく攪拌した。150μLの70%エタノールを各ウェルに加え、この内容物を3回上下にピペッティングすることで混合した。このサンプルを、廃棄物収集トレイ付きのQIAVACTMマニホールドに付属し、減圧源に付属するRNEASY96TMウェルプレートに移した。1分間減圧した。500μLのRW1緩衝液を、RNEASY96TMプレートの各ウェルに加え、15分間インキュベートし、1分間再度減圧した。追加の500μLのRW1緩衝液を、RNEASY96TMプレートの各ウェルに加え、2分間減圧した。1mLのRPE緩衝液を、RNEASY96TMプレートの各ウェルに加え、90秒間減圧した。RPE緩衝液による洗浄を繰り返し、さらに3分間減圧した。このプレートを、QIAVACTMマニホールドから取り外し、ペーパータオル上に置き乾燥させた。上記プレートを、1.2mL収集チューブを備える収集チューブラック付きのQIAVACTMマニホールドに再度取り付けた。RNAを、リボヌクレアーゼを含まない水140μLをピペッティングすることによって溶出し、1分間インキュベートし、3分間減圧した。
【0166】
繰り返されるピペッティングステップおよび溶出ステップは、QIAGEN Bio-Robot 9604(Qiagen, Inc., Valencia CA)を用いて自動化され得る。本来は、培養プレート上で細胞を溶解後、そのプレートを、ピペッティング、DNase処理および溶出ステップが行われる、ロボットのデッキ上に移す。
【0167】
(実施例13)
(グルカゴンレセプターmRNAレベルのリアルタイム定量的PCR解析)
グルカゴンレセプターmRNAレベルの定量は、メーカーの指示書に従って、ABI PRISMTM7600、7700、または7900 Sequence Detection System(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、リアルタイム定量的PCRにより達成された。これは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を、リアルタイムで、ハイスループットに定量することを可能とする、密閉したチューブの、ゲルベースでない、蛍光検出システムである。PCRが完了した後で増幅産物が定量される標準的なPCRとは対照的に、リアルタイム定量的PCRの産物は、それらが増幅するのに伴い定量される。これは、PCR反応物中に、順方向PCRプライマーと逆方向PCRプライマーとの間で特異的にアニールするオリゴヌクレオチドプローブ、および、二種類の蛍光色素を含むことにより達成される。レポーター色素(例えば、FAMまたはJOE(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA, Operon Technologies Inc., Alameda, CA、または、Integrated DNA Technologies Inc., Coralville, IAのいずれかより得られた))を、プローブの5’末端に付与し、そして、消光色素(例えば、TAMRA(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA, Operon Technologies Inc., Alameda, CA、または、Integrated DNA Technologies Inc., Coralville, IAのいずれかより得られた))を、プローブの3’末端に付与する。プローブと色素が損なわれていない場合、レポーター色素の放射は、3’位の消光色素の接近によって消光される。増幅の間、標的配列に対するプローブのアニーリングによって、Taqポリメラーゼの5’-エキソヌクレアーゼ活性により切断され得る基質が作製される。PCR増幅サイクルの伸長段階の間、Taqポリメラーゼによるプローブの切断によって、プローブの残りの部分から(すなわち、消光部分から)レポーター色素が外され、そして、配列特異的な蛍光シグナルが発生する。各サイクルにおいて、追加のレポーター色素分子は、それら各プローブから切断され、そして、蛍光強度は、ABI PRISMTMSequence Detection Systemに組み込まれたレーザー光により、一定間隔でモニターされる。各アッセイにおいて、未処理のコントロールサンプルからのmRNAの連続希釈を含む一連の並行反応は、テストサンプルのアンチセンスオリゴヌクレオチド処理後における阻害率を定量するのに用いられる標準曲線を生成する。
【0168】
定量的PCR分析より前に、測定される標的遺伝子に特異的なプライマープローブセットを、GAPDH増幅反応で「多重化される」それらの能力について、評価する。多重化において、標的遺伝子および内部標準遺伝子GAPDHの両方は、単一サンプル中で同時に増幅される。この分析において、未処理細胞から単離されたmRNAを、連続して希釈する。各希釈物を、GAPDHのみ、標的遺伝子のみ(「一重化(single-plexing)」)、または両方(多重化)に特異的であるプライマープローブセットの存在下で、増幅する。PCR増幅の後、GAPDHおよび標的mRNAシグナルの標準曲線が、一重化サンプルおよび多重化サンプルの両方から生成される。多重化サンプルから生成されたGAPDHおよび標的シグナルの傾斜および相関係数の両方が、一重化サンプルから生成されたそれらに対応する値の10%の範囲内である場合、その標的に特異的であるプライマープローブセットは、多重化し得ると考えられる。PCRの他の方法もまた、当該分野において公知である。
【0169】
PCRの試薬を、Invitrogen Corporation,(Carlsbad, CA)より得た。RT-PCR反応を、20μLのPCRカクテル(2.5×PCR緩衝液(MgCl2なし)、6.6mMのMgCl2、それぞれ375μMのdATP、dCTP、dCTP、およびdGTP、それぞれ375μMの順方向プライマーおよび逆方向プライマー、125μMのプローブ、4単位のリボヌクレアーゼインヒビター、1.25単位のPLATINUM(登録商標)Taq、5単位のMuLV逆転写酵素、ならびに2.5×ROX色素)を、30μLの全RNA溶液(20-200ng)を含む96ウェルプレートに加えることにより、行った。48℃にて30分間インキュベーションすることにより、RT反応を行った。PLATINUM(登録商標)Taqを活性化するために、95℃で10分間インキュベーションした後、40サイクルの二段階PCRプロトコルを行った(95℃で15秒間(変性)、続いて60℃で1.5分間(アニーリング/伸長))。
【0170】
リアルタイムRT-PCRにより得られた遺伝子標的の量を、GAPDHの発現レベル(発現が一定ない電子)を用いるか、またはRiboGreenTM(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)を用いた全RNAの定量によって、正規化する。GAPDHの発現を、リアルタイムRT-PCRよってか、標的とともに同時に多重化を行うことによってか、または別個に定量した。全RNAを、RiboGreenTMRNA定量試薬(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)を用いて定量する。RiboGreenTMによるRNAの定量法は、Jones, L. Jらによって教示される(Analytical Biochemistry, 1998,265,368-374)。
【0171】
このアッセイにおいて、170μLのRiboGreenTM作業用試薬(10mMのTris-HCl、1mMのEDTA、pH7.5の溶液中に1:350で希釈したRiboGreenTM試薬)を、30μLの精製された細胞RNAを含む96ウェルプレートにピペットで移した。このプレートを、485nmでの励起、530nmでの発光で、CytoFlour 4000(PE Applied Biosystems)で読み取る。
【0172】
ヒトのグルカゴンレセプターのプローブおよびプライマーは、ヒトのグルカゴンレセプター配列にハイブリダイズするように、公表された配列情報(Genbank 登録番号NM_000160.1(本明細書中において配列番号4として援用される))を用いて設計された。ヒトのグルカゴンレセプターについてPCRプライマーは、以下であった:
【0173】
順方向プライマー:GACACCCCCGCCAATACC(配列番号5)
逆方向プライマー:CCGCATCTCTTGAACACGAA(配列番号6)そして
PCRプローブは:FAM-TTGGCACCACAAAGT-TAMRA(配列番号7)
であった。ここで、FAMは、蛍光レポーター色素であり、そしてTAMRAは消光色素である。ヒトのGAPDHのプライマーは、以下であった:
【0174】
順方向プライマー:GAAGGTGAAGGTCGGAGTC(配列番号8)
逆方向プライマー:GAAGATGGTGATGGGATTTC(配列番号9)そして
PCRプローブは:5' JOE-CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC-TAMRA 3'(配列番号10)
であった。ここで、JOEは、蛍光色素であり、そしてTAMRAは消光色素である。
【0175】
マウスのグルカゴンレセプターに対するプローブおよびプライマーは、マウスのグルカゴンレセプター配列にハイブリダイズするように、公開された配列情報(Genbank
登録番号NM_008101.1(本明細書中において配列番号11として援用される))を用いて設計された。マウスのグルカゴンレセプターについて、PCRプライマーは、以下であった:
【0176】
順方向プライマー:ATTTCCTGCCCCTGGTACCT(配列番号12)
逆方向プライマー:CGGGCCCACACCTCTTG(配列番号13)そして
PCRプローブは:FAM-CCACAAAGTGCAGCACCGCCTAGTGT-TAMRA(配列番号14)
であった。ここで、FAMは、蛍光レポーター色素であり、そしてTAMRAは消光色素である。マウスのGAPDHについて、PCRプライマーは、以下であった:
【0177】
順方向プライマー:GGCAAATTCAACGGCACAGT(配列番号15)
逆方向プライマー:GGGTCTCGCTCCTGGAAGAT(配列番号16)そして
PCRプローブは:5' JOE-AAGGCCGAGAATGGGAAGCTTGTCATC-TAMRA 3'(配列番号17)
であった。ここで、JOEは、蛍光レポーター色素であり、そしてTAMRAは消光色素である。
【0178】
(実施例14)
(グルカゴンレセプターmRNAレベルのノザンブロット分析)
アンチセンス処理の18時間後、細胞単層を冷PBSで2度洗浄し、1mLのRNAZOLTM(TEL-TEST“B”Inc., Friendswood, TX)に溶解した。製造元推奨プロトコルに従って、全RNAを調製した。20マイクログラムの全RNAを、MOPS buffer system(AMRESCO, Inc. Solon, OH)を用い、電気泳動によって1.1%のホルムアルデヒドを含む1.2%のアガロースゲルを通して分画した。ノザンブロット移動緩衝液システム(TEL-TEST“B”Inc., Friendswood, TX)を用い、一晩中キャピラリー上を移動させ、RNAをゲルからHYBONDTM-N+ナイロン膜(Amersham Pharmacia Biothech, Piscataway, NJ)に移した。RNA移動を、UVによる可視化によって確かめた。膜を、STRATALINKERTMUV Crosslinker 2400(Stratagen, Inc, La Jolla, CA)を用いるUV架橋によって固定した。続いて、この膜は、ストリンジェントな条件についての製造元の推奨に従ってQUICKHYBTMハイブリダイゼーション溶液(Stratagen, La Jolla, CA)を用いて調査した。
【0179】
ヒトのグルカゴンレセプターを検出するために、ヒトのグルカゴンレセプター特異的プローブは、以下のプライマーを用いるPCRにより調製した。
【0180】
順方向プライマー:GACACCCCCGCCAATACC(配列番号5)および
逆方向プライマー:CCGCATCTCTTGAACACGAA(配列番号6)。
充填効率および移動効率の変動を正規化するために、膜が取り出され、ヒトのグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)RNA(Clontech, Palo Alto, CA)について調査した。
【0181】
マウスのグルカゴンレセプターを検出するために、マウスのグルカゴンレセプター特異的プローブは、以下のプライマーを用いるPCRにより調製した。
【0182】
順方向プライマー:ATTTCCTGCCCCTGGTACCT(配列番号12)および
逆方向プライマー:CGGGCCCACACCTCTTG(配列番号13)。
充填効率および移動効率の変動を正規化するために、膜が取り出され、マウスのグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)RNA(Clontech, Palo Alto, CA)について調査した。
【0183】
ハイブリダイズした膜は、PHOSPHORIMAGERTMおよびIMAGEQUANTTMSoftware V3.3(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)を用いて可視化および定量した。データを、未処理のコントロールにおけるGAPDHレベルに対して正規化した。
【0184】
(実施例15)
(2’-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトグルカゴンレセプターの発現のアンチセンス阻害)
本発明に従って、一連のアンチセンス化合物を、公開された配列(Genbank登録番号NM_000160.1(本明細書中において配列番号4として援用される)、Genebank登録番号AC069004.2(本明細書中において配列番号18として援用される)からの3つのコンティグの連鎖、およびGenbank登録番号AJ245489.1(本明細書中において配列番号19として援用される))を用いて、ヒトグルカゴンレセプターRNAの異なる領域を標的とするように設計した。その化合物は、表1に示される。「標的部位」は、化合物が結合する特定の標的配列上の第一(最も5’側)のヌクレオチド数を示す。表1のすべての化合物は、長さが20ヌクレオチドのキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)であり、この化合物は、5ヌクレオチドの「ウィング」によって両端(5’方向および3’方向)に隣接する、10個の2’-デオキシヌクレオチドからなる中央の「ギャップ」領域から構成される。このウィングは、2’-メトキシエチル(2’-MOE)ヌクレオチドから構成される。ヌクレオシド間(骨格)結合は、オリゴヌクレオチドのすべてにおいてホスホロチオエート(P=S)である。全てのシチジン残基は、5-メチルシチジンである。この化合物を、本明細書中の他の実施例において開示されるような定量的リアルタイムPCRによって、ヒトのグルカゴンレセプターmRNAレベルに対するそれらの効果について分析した。データは、HepG2細胞が本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理される3回の実験からの平均である。各データポイントのポジティブコントロールは、表の配列番号によって同定した。「N. D. 」は、「データなし」を示す。
【0185】
(表1)
(2’-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトグルカゴンレセプターの発現の阻害)
【0186】
【表1−1】

【0187】
【表1−2】

【0188】
【表1−3】

【0189】
【表1−4】

【0190】
【表1−5】

【0191】
【表1−6】

【0192】
【表1−7】


表1に示されているように、配列番号20、21、22、24、25、28、29、30、35、37、39、40、41、42、43、44、46、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、64、67、68、69、70、71、72、74、75、76、78、79、80、81、82、87、88、89、91、92、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、107、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、121、122、124、125、127、129、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、152、153、155、156、157、158、159、160、161、162、164、166、168、169、170、171、174、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、212、213、214、215、216、217、218、219、221、225、227、230、231、233、235、236、237、238、240、241、242、243、245、246、247、248、249、251、252、253、254、255、256、257、258、261、262、263、264、266、267、268、269、270、271、273、275、278、279、280、281、282、284、286、287、288、291、293、297、298、300、301、302、303、304、305、306、307、309、310、311、312、314、316、317、321、322、325、326、329、330、332、333、336、338、339、341、342、343、344、346、348、349、351、353、354、355、356、358、360、361、365、367、368、370、371、373、374、376、377、379、380、381、382、383、384、386、388、390、391、392、393、396および397は、このアッセイで少なくとも40%のヒトのグルカゴンレセプター発現の阻害率を示した配列であり、そしてそれゆえに好ましい配列である。配列番号183、184、231、249、254、346、365および392は現在、より好ましい配列である。この好ましい配列が相補的である標的領域は、本明細書中において、「好ましい標的セグメント」として呼ばれ、そしてそれゆえに、本発明の化合物による標的化において好ましい。これらの好ましい標的セグメントは、表3に示される。これらの配列は、チミン(T)を含むことが示されるが、当業者は、チミン(T)は、一般的に、RNA配列中のウラシル(U)によって置換されることを理解する。この配列は、表1に示された上記好ましいアンチセンス化合物の逆相補体を表す。「標的部位」は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的核酸上の第1の(最も5’側)ヌクレオチドの数を指す。表3中にまた示されるのは、各々の好ましい標的セグメントが見出された種である。
【0193】
(実施例16)
(2’-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるマウスグルカゴンレセプター発現のアンチセンス阻害)
本発明に従って、第二の一連のアンチセンス化合物を、公開された配列(Genbank登録番号NM_008101.1(本明細書中において配列番号11として援用される)、代替的なプロモーターを有するGenbank登録番号AF229079.1(本明細書中において配列番号400として援用される)由来のmRNA配列、Genebank登録番号AF229079.1(本明細書中において配列番号401として援用される)、代替的なプロモーターを有するGenebank登録番号AF229079.1(本明細書中において配列番号402として援用される)由来の第二のmRNA配列、およびGenebank登録番号AA920726.1(本明細書中において配列番号403として援用される))を用いて、マウスグルカゴンレセプターRNAの異なる領域を標的とするよう設計した。この化合物は、表2に示される。「標的部位」は、化合物が結合する特定の標的核酸上の第一(最も5’側)のヌクレオチド数を示す。表2のすべての化合物は、長さが20ヌクレオチドのキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)であり、この化合物は、5ヌクレオチドの「ウィング」によって両端(5’方向および3’方向)に近接する、10個の2’-デオキシヌクレオチドからなる中央の「ギャップ」領域から構成される。このウィングは、2’-メトキシエチル(2’-MOE)ヌクレオチドから構成される。ヌクレオシド間(骨格)結合は、オリゴヌクレオチドのすべてにおいてホスホロチオエート(P=S)である。全てのシチジン残基は、5’-メチルシチジンである。化合物を、本明細書中の他の実施例において記載されるような定量的リアルタイムPCRによって、マウスのグルカゴンレセプターmRNAレベルに対するそれらの効果について分析した。データは、マウスの初期肝細胞が本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理される3回の実験からの平均である。各データポイントのポジティブコントロールは、表の配列番号によって同定した。存在する場合、「N. D. 」は「データなし」を示す。
【0194】
(表2)
(2’-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるマウスグルカゴンレセプターのmRNAレベルの阻害)
【0195】
【表2−1】

【0196】
【表2−2】

【0197】
【表2−3】


表2中に示されるように、配列番号404、406、407、408、409、410、411、412、413、414、416、417、418、424、425、426、427、428、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、446、448、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、473、474、476、479および480は、この実験中で少なくとも30%のマウスのグルカゴンレセプター発現の阻害を示した配列であり、そして、それゆえに好ましい配列である。これらの好ましい配列に相補的な標的領域は、本明細書中において、「好ましい標的セグメント」として呼ばれ、そしてそれゆえに、本発明の化合物による標的化に好ましい。これらの好ましい標的セグメントは、表3中に示される。これらの配列は、チミン(T)含むことが示され、当業者は、チミン(T)は、一般的に、RNA配列においてはウラシル(U)によって置換されることを理解する。この配列は、表1および表2中に示された上記好ましいアンチセンス化合物の逆相補鎖を表す。「標的部位」は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的核酸上に在る最初(最も5’側)のヌクレオチド番号を指す。各々の好ましい標的セグメントが見つかった種はまた、表3中に示される。
【0198】
(表3)
(グルカゴンレセプター中で同定された好ましい標的セグメントの配列および位置)
【0199】
【表3−1】

【0200】
【表3−2】

【0201】
【表3−3】

【0202】
【表3−4】

【0203】
【表3−5】

【0204】
【表3−6】


これらの「好ましい標的セグメント」は、本発明のアンチセンス化合物とのハイブリダイゼーションに利用可能であることが実験によって見つかっているので、当業者は、慣用的な実験を用いるのみで、これら好ましい標的セグメントに対して特異的にハイブリダイズし、その結果、グルカゴンレセプターの発現を阻害する他の化合物を包含する、本発明のさらなる実施形態を認識するか、確かめ得る。
【0205】
本発明によると、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(External Guide Sequence(EGS))、オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー、プライマー、プローブ、および、少なくとも一部の標的核酸にハイブリダイズする他の短いオリゴマー化合物を含む。
【0206】
(実施例17)
(グルカゴンレセプターのタンパク質レベルのウェスタンブロット解析)
ウェスタンブロット解析(免疫ブロット解析)は、標準的な方法を用いて行う。オリゴヌクレオチド処理の16〜20時間後に細胞を回収し、一度PBSで洗浄し、Laemmli緩衝液(100μl/ウェル)に懸濁し、5分間沸騰させ、そして、16%のSDS-PAGEゲル上にロードする。ゲルは、150Vで1.5時間泳動し、そして、ウエスタンブロッティングのため、膜に移す。放射線標識されたかまたは蛍光標識された、一次抗体種に対する二次抗体とともに、グルカゴンレセプターを対象とする適切な一次抗体を用いる。PHOSPHORIMAGERTM(Molecular Dynamics, Sunnyvale CA)を用いて、バンドを視覚化する。
【0207】
(実施例18)
(血漿グルコースレベルおよびグルカゴンレセプターのmRNA減少におけるマウス中のグルカゴンレセプターのアンチセンス阻害の効果:lean動物、db/dbマウスおよびob/obマウス)
本発明に従って、マウスのグルカゴンレセプター(ISIS 148359(配列番号408:agcaggctta ggttgtggtg)、および、ISIS 180475(配列番号452:gagctttgcc ttcttgccat))を標的とした二つのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該分野で認められる肥満症および糖尿病におけるモデルマウスの治療有効性を評価された。ob/obマウスは、レプチン遺伝子上に変異を有した、レプチン欠損マウスである。一方、db/dbマウスは、レプチンレセプター遺伝子上に変異を有する。二つの系統は、ヒトのII型糖尿病に非常に似ている肥満症および糖尿病の症状を示す(Tsang, S. H., 1998, P&S Medical Review, Vol. 5, No. 1)。
【0208】
db/dbマウスおよびob/obマウスの血清グルコースレベルおよびグルカゴンレセプターのmRNAレベルにおけるISIS 148359およびISIS 180475の効果を、四週間にわたって評価した。一方、正常血糖マウスを二週間にわたって評価した。50mg/kgの生理食塩水処理をコントロール動物に施した。上記正常血糖マウスに対して、一週間に二度、二週間にわたり、50mg/kgのISIS 148359か、50mg/kgのISIS 180475か、または、50mg/kgの生理食塩水を、皮膚下に投与した。上記db/dbマウスおよびob/obマウスに対して、一週間に二度、六週間にわたり、25mg/kgのISIS 148359か、25mg/kgのISIS 180475か、25mg/kgの生理食塩水か、25mg/kgのポジティブコントロールオリゴヌクレオチドのISIS 116847(配列番号817:ctgctagcc tctggatttga)、または、25mg/kgのネガティブコントロールオリゴヌクレオチドのISIS 141923(配列番号818:ccttccctga aggttcctcc)を、皮膚下に投与した。上記マウスの満腹時血漿グルコースレベルまたは空腹時血漿グルコースレベル(空腹時血漿グルコースレベルは、最後の給餌の16時間後に測定された)を週ごとにモニタリングし、そして、この実験の終了時に、肝臓中のグルカゴンレセプターのmRNAレベルを決定し、上記データは、表4中にまとめた。
【0209】
(表4)
(正常血糖マウス、db/dbマウス、およびob/obマウスの満腹時血糖値および空腹時血糖値ならびにグルカゴンレセプターのmRNAレベルにおける、ISIS 148359およびISIS 180475処置の効果)
【0210】
【表4】


これらのデータは、グルカゴンレセプターのmRNAを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドISIS 148359およびISIS 180475が、マウスの肝臓におけるグルカゴンレセプターのmRNAレベルを減少し得ることを示している。これらのデータはさらに、正常血糖マウス、db/dbマウス、およびob/obマウスの血漿グルコースレベルの減少に伴い、グルカゴンレセプターの発現が減少することを示している。処置済みマウスは、正常血糖マウスとなり、低血糖マウスにならない点に注目することが重要である。従ってグルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターは、低血糖症治療に有用な治療様式であると考えられる。
【0211】
(実施例19)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、糖尿病ob/obマウスの血漿グルコースを低下させる-4週間にわたる研究)
C57Bl/eOlaHsd-Lepob(ob/ob)雄マウスを、Harlan(Indianapolis, Indiana, USA)より購入した。動物は、実験開始前に一週間、環境に順応させた。マウスは、フィルタ天井のポリカーボネート製の籠中に、一籠に五匹、収容した。動物を、21℃、12時間:12時間の明暗周期(午前6時に点灯)で維持した。すべての動物に、脱イオン水を自由に与えた。ob/obマウスには、Purina Diet 5015を自由に与えた。アンチセンス化合物を、標準生理食塩水中で調整し、そして、その溶液を、0.2μm孔のフィルタを通して滅菌した。動物に対して、アンチセンス化合物溶液またはビヒクル(生理食塩水)を、一週間に二度(3.5日間隔)、皮下に注射することによって投与した。それぞれの研究を開始する前、および、研究の間の毎週一回、麻酔なしの尾部の切断によって、トラシロール(Serologicals Proteins, Kankakee, Illinois, USA)およびジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-IVインヒビター(Linco Diagnostic Services, St. Charles, Missouri, USA)を含むEDTA血漿チューブに、血液を回収した。食物摂取量および体重は、週ごとに測定した。グルコースおよびトリグリセリドの血漿レベルは、Hitachi 912 clinical chemistry analyzer(Roche, Indianapolis, Indiana, USA)で決定した。
【0212】
高血糖症を処置するためのグルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターの有効性を試験するために、7〜8週齢のob/obマウスに対して、グルカゴンレセプター[ISIS 148359(配列番号408)またはISIS 180475(配列番号452)]のアンチセンスインヒビターか、その配列がマウスゲノムまたはラットゲノムうちのどの既知転写物にもマッチしない、一般的なコントロールオリゴヌクレオチド(ISIS 141923(配列番号818))か、七つの内部塩基を除いて、ISIS 180475と同一な配列であるミスマッチオリゴヌクレオチド(ISIS 298682;GCGATTTCCCGTTTTGACCT;配列番号819)か、あるいは、生理食塩水を、一週間に二度(3.5日ごと)、4週間にわたって投与した。すべてのオリゴヌクレオチドを、25mg/kgで投与した。データは、処置群あたり8匹の平均値(+_SEMで示される)である。すべてのマウスの血漿グルコースレベルは、0日目において、約330〜370mg/dlであった。生理食塩水処置、および、コントロールオリゴヌクレオチド処置されたob/obマウスにおいては時間が経つにつれて高血糖が悪化するが、グルカゴンレセプターのアンチセンス化合物処置された動物においては、血漿グルコースが劇的に減少することを示した。12日目において、コントロールオリゴヌクレオチド(ISIS 141923)処置および生理食塩水処置されたob/obマウスの血漿グルコースレベルは、それぞれ、約472mg/dlと約425mg/dlであった。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ISIS 148359、および、ISIS 180475)処置されたマウスの血漿グルコースレベルは、それぞれ、約240mg/dlと約180mg/dlであった。27日目において、コントロールオリゴヌクレオチド(ISIS 141923)処置および生理食塩水処置されたob/obマウスの血漿グルコースレベルは、それぞれ、約435mg/dlと約390mg/dlであった。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ISIS 148359、および、ISIS 180475)処置されたマウスの血漿グルコースレベルは、それぞれ、約165mg/dlと約130mg/dlであった。なお、後者の値は、正常範囲内である。
【0213】
別個の研究が、やはりob/obマウス(ならびにdb/dbマウス、leanマウス、ZDFラット、および、leanラット)を用いて行われ、この研究では、グルカゴンレセプターのアンチセンス化合物ISIS 180475、および、一つ以上のコントロール(無関係のコントロールオリゴヌクレオチドISIS 141923、ミスマッチコントロールオリゴヌクレオチドISIS 298682、および/または、生理食塩水)を、3.5日ごとに合計9回分、動物の皮膚下に投与した。この研究の結果を、表5に示す。
【0214】
4週間の処置期間の最後に、肝性グルカゴンレセプターのmRNAを測定した(Ribogreenを用い同サンプル中の全RNAを正規化し)、85〜95%まで減少したことを検出した。データは、処置群あたりの4匹のマウスの平均値(P<0.05:スチューデントt検定を使用)である。
【0215】
(表5)
(げっ歯類におけるグルカゴンレセプターのアンチセンス阻害の効果)
【0216】
【表5】


(実施例20)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、糖尿病db/dbマウスの血漿グルコースを低下させる-4週間にわたる研究)
C57Bl/KsOlaHsd-Lepdb(db/db)雄マウス、および、lean(db+/?)雄マウスは、Harlan(Indianapolis, Indiana, USA)より購入した。動物は、実験開始前に1週間、環境に順応させた。マウスは、フィルタ天井のポリカーボネート製の籠中に、一籠に5匹、収容した。動物を、21℃、12時間:12時間の明暗周期(午前6時に点灯)で維持した。すべての動物に、脱イオン水を自由に与えた。db/dbマウスには、Purina Diet 5008を自由に与えた。アンチセンス化合物を、標準生理食塩水中で調整し、そして、その溶液を、0.2μm孔のフィルタを通して滅菌した。動物に対して、アンチセンス化合物溶液またはビヒクル(生理食塩水)を、1週間に二度(3.5日間隔)、皮下に注射することによって投与した。それぞれの研究を開始する前、および、研究の間の毎週1回、麻酔なしの尾部の切断によって、トラシロール(Serologicals Proteins, Kankakee, Illinois, USA)およびジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-IVインヒビター(Linco Diagnostic Services, St. Charles, Missouri, USA)を含むEDTA血漿チューブに、血液を回収した。食物摂取量および体重は、週ごとに測定した。グルコースおよびトリグリセリドの血漿レベルは、Hitachi 912 clinical chemistry analyzer(Roche, Indianapolis, Indiana, USA)で決定した。
【0217】
高血糖症を処置するためのグルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターの有効性を試験するために、7〜8週齢のdb/dbマウスに対して、グルカゴンレセプター[ISIS 148359(配列番号408)またはISIS 180475(配列番号452)]のアンチセンスインヒビターか、その配列がマウスゲノムまたはラットゲノムうちのどの既知転写物にもマッチしない、一般的なコントロールオリゴヌクレオチド(ISIS 141923)か、七つの内部塩基を除いてISIS 180475と同一な配列である、ミスマッチオリゴヌクレオチド(ISIS 298682(配列番号819))か、あるいは、生理食塩水を、一週間に二度、4週間にわたって投与した。
【0218】
グルカゴンレセプターのアンチセンス処置を受けるdb/dbマウスにおける、グルコースを低下させる効果および標的の減少は、同様に処置されたob/obマウスにおいて観察されたものと類似していた。さらに、血漿トリグリセリドは、次のグルカゴンレセプターのアンチセンス処置後、412±33mg/dlから121±12mg/dlまで低下した(表5)。db/dbマウスにおけるこれらの結果は、3週間にわたってグルカゴンレセプターのアンチセンス化合物ISIS 148359を試験した予備研究において、報告されたものと類似している(Osborneら、2003, Diabetes 52, A129(要旨))。
【0219】
(実施例21)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ZDFラットの血漿グルコースを低下させる)
ZDF/GmiCrl-fa/fa(ZDF)雄マウスは、Charles River Laboratories(Wilmington, Massachusetts, USA)より購入した。動物は、実験開始前に1週間、環境に順応させた。ラットは、フィルタ天井のポリカーボネート製の籠中に、一籠に一匹、収容した。動物を、21℃、12時間:12時間の明暗周期(午前6時に点灯)で維持した。すべての動物に、脱イオン水を自由に与えた。ZDFラットには、Purina Diet 5008を自由に与えた。アンチセンス化合物を、標準生理食塩水中で調整し、そして、その溶液を、0.2μm孔のフィルタを通して滅菌した。七週齢の動物に対して、アンチセンス化合物溶液またはビヒクル(生理食塩水)を、一週間に二度(3.5日間隔)、合計9回分(最後の処置は28日目)、皮下に注射することによって投与し、続いて同じ期間の洗い出し期をおいた。オリゴヌクレオチド濃度は、グルカゴンレセプターアンチセンスオリゴヌクレオチドISIS 180475(配列番号452)か、または、ネガティブコントロールオリゴヌクレオチドISIS 141923(配列番号818)のいずれかの、25mg/kgである。それぞれの研究を開始する前、および、研究の間の毎週1回、麻酔なしの尾部の切断によって、トラシロール(Serologicals Proteins, Kankakee, Illinois, USA)およびジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-IVインヒビター(Linco Diagnostic Services, St. Charles, Missouri, USA)を含むEDTA血漿チューブに、血液を回収した。食物摂取量および体重は、週ごとに測定した。グルカゴンレセプターのmRNA(標的)を、この研究の各時点で取り出した5匹の動物の肝臓から、リアルタイム定量PCRによって測定した。ラット36B4リボソームのリンタンパク質のmRNA(「18S RNA」)を、測定し、そして、RNA投入量の正規化に用いた。データは、処置群あたりの5匹のラットの平均値である。上記処置期間の全体にわたる比較において、コントロールオリゴヌクレオチドで処置された動物と比較した場合(P<0.05:テューキー法を用い調節)グルカゴンレセプターのアンチセンス化合物ISIS 180475による標的の減少は、有意な違いを示した(P<0.05:テューキー法を用い調節)。肝性グルカゴンレセプターのmRNAは、ISIS 180475の最初の投与後24時間以内にコントロールの50%まで、そして、7回目の投与後48時間以内にコントロールの30%まで、劇的に減少した。
【0220】
非絶食時血漿グルコースレベルに関しては、ラットを上述のように処置した。データは、処置群あたり5匹のラットの平均値である。上記処置期間の全体にわたる比較において、コントロールオリゴヌクレオチド処置動物と比較した場合、上記グルカゴンレセプターのアンチセンス化合物ISIS 180475によるグルコースの低下は、著しく異なった。血漿グルコースの低下は、グルカゴンレセプターmRNAレベルの低下と並行した(グルカゴンレセプターのアンチセンスを初回投与後、48時間以内に血漿グルコースは、有意に低下した)。9回の投与後、上記コントロールオリゴヌクレオチドISIS 141923処置ラットは、平均約417mg/dlの血漿グルコースレベルを有し、そして、アンチセンス(ISIS 180475)処置ラットは、平均約143mg/dlの血漿グルコースレベルを有した。
【0221】
洗い出し期の間、高血糖および肝臓におけるグルカゴンレセプターの発現は、10日以内に反跳が始まったが、最後の投与から一ヵ月後でさえ、洗い出し後の動物において、血漿グルコースおよび標的mRNAが処置前のレベルより依然として低いという、有効性がなお観察された。1週間に2度の投与スケジュールにより達成されたグルコースの低下、および、洗い出し期の間のグルカゴンレセプターのmRNAの段階的な反跳は、両方とも、2’-メトキシエトキシ修飾ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによって半減期の延長(公開された報告によると、一般的に、9〜19日の範囲に及ぶ)と一致する。
【0222】
上述のように処置されたラットの非絶食時血漿インスリンレベルを、また決定した。データは、処置群あたり5匹のラットの平均値である。処置期間中、有意な変化は観察されなかった。(しかし、グルカゴンレセプターアンチセンス処置動物およびコントロールオリゴヌクレオチド処置動物の、38日目および56日目(洗い出し期)の個々の比較は、有意であった(P<0.05))。コントロールオリゴヌクレオチド処置動物およびアンチセンス処置動物の両方において、処置期の間、血漿インスリンレベルは、低下した。コントロールオリゴヌクレオチド処置群の洗い出し期の間、インスリンレベルは、高血糖症の進行に伴って低下し続けた。代表的に、8〜12週齢のZDFラットにおいて、β細胞不全が生じるため、この結果は、予期される。興味深いことに、洗い出し期の間にグルカゴンレセプターアンチセンス処置動物における穏やかなグルコースの上昇により、研究開始時とほぼ同じくらい高いレベルの血漿インスリンの強い上昇が生じた。これは、β細胞機能が保持されたという根拠と一致する。
【0223】
(実施例22)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、高グルカゴン症にもかかわらず、高血糖または低血糖を引き起こさない)
血中グルコースへの影響に加えて、グルカゴンレセプター(配列番号452;ISIS
180475)のアンチセンスインヒビターによる処置は、正常なげっ歯類および糖尿病げっ歯類の両者において、著しい(および可逆的)高グルカゴン症という結果を生じる(表5)。この高グルカゴン症のレベルは、グルカゴンレセプターノックアウトマウスおいて観察されたレベルと似ている(Parkerら、2002, Biochem Biophys Res Commun. 290,839-843;Gellingら、2003、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 100,1438-1443)。これら血清グルカゴンレベルが高いことが理由で、グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターが、高血糖を導くか(具体的には、肝性グルカゴンレセプターレベルが、処置を中止した後に、徐々に正常に戻る)、否かを決定することが重要であった。従って、処置または洗い出し期の間に決して高グルカゴン症の動物が高血糖を示さないことが重要である。事実、グルカゴンレセプターのアンチセンス処置動物は、検査した全ての時点において、満腹時血漿グルコースの減少を調節したことを示した。
【0224】
アンチセンス処置がまた低血糖を引き起こさなかったこともまた、確かめられた。アンチセンス処置の4週間後、グルカゴンレセプター発現の最大限の減少が達成され、db+/?leanマウスは、24時間断食させた。グルカゴンレセプターアンチセンス処置マウスは、血漿グルコースにおける10〜30%の減少を表したが、これらの動物は、決して高グルカゴン症の有害なレベルまで届かなかった。これは、空腹期の間に低血糖になるGcgrノックアウトマウスとは反対である(Gellingら、2003, Proc Natl. Acad. Sci. U. S. A. 100,1438-1443)。
【0225】
(実施例23)
(アンチセンス処置db/dbマウスの島おいて、グルカゴンレセプターmRNAは減少される)
ランゲルハンス島を、生理食塩水またはグルカゴンレセプターアンチセンスオリゴヌクレオチドISIS 180475(配列番号452)を25mg/kgで、合計9用量、1週間に二度(3.5日毎)、皮下注射により処置した12週齢の雄性db/dbマウス(1処置群あたりn=5〜6)から単離した。マウスを、頚椎脱臼により屠殺した。総胆管に27ゲージ針でカニューレ挿入し、そして、膵臓を、2%のウシ血清アルブミン(Applichem, Darmstadt, Germany)および1mg/mlのコラゲナーゼ(Serva, Heidelberg, Germany)を含む、3mlのハンクス緩衝液(Sigma, Taufkirchen, Germany)で膨張させた。続いて、この膵臓を取り出し、37℃のハンクス緩衝液中で切断した。島を、750×gで15分間、Histopaque-1077TM(Sigma)勾配によって精製した。島を、10%FBS、100U/mlのペニシリン、および100:g/mlのストレプトマイシン(Invitrogen, Karlsruhe, Germany)を含むRPMI-1640培地中で一晩培養した。3個体からの島200個を、RNA抽出に1サンプルを得るためにプールした。リアルタイム定量的RT-PCRを、遺伝子発現をプロファイルするために用いた。島グルカゴンレセプターmRNAレベルを、アンチセンス処置動物において、生理食塩水処置コントロール動物と比較して約75%減少した。アンチセンス化合物の薬理学的効果に加えて、高グルカゴン症に対する代償性反応、または処置動物における増加したα細胞の集団が、観察された結果の一因となり得ることに注目すべきである。
【0226】
(実施例24)
(グルカゴンレセプターアンチセンスオリゴヌクレオチドは、機能的グルカゴンレセプターの数を減少させる)
グルカゴンレセプターのmRNAの減少が機能的グルカゴンレセプター数の減少と関連するかどうかを評価するために、相同的競合アッセイ(homologus competition assay)を、コントロールアンチセンス化合物かまたはグルカゴンレセプターアンチセンス化合物で処理したマウスから調製した肝細胞膜を用いて行った。125I-グルカゴン結合は、コントロール膜サンプル中の標識してないグルカゴン濃度を増加させることにより効果的に競合した。コントロールオリゴヌクレオチド処理したdb/dbマウス、またはグルカゴンレセプターオリゴヌクレオチド(ISIS 180475;配列番号452)処理したdb/dbマウスからの15〜20μgの膜を、0.1nMの125I-グルカゴン(2000Ci/mmol, PerkinElimer, Boston, Massachusetts, USA)、ならびに50mMのHeps、1mMのMgCl2、5mMのEDTA、0.005%のTween20、0.1%のBSA、およびEDTAを含まないプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を含む緩衝液中の標識していないグルカゴン(Eli Lilly and Company, Indianapolis, Indiana, USA)の望ましい濃度において、インキュベートした。アッセイを、96ウェルのMultiScreen-HVの0.45μmフィルタープレート(Millipore, Bedford, Massachusetts, USA)上でラベルされたリガンドが過剰に存在する定常状態下で行った。室温での2時間のインキュベート後、プレートを、氷冷緩衝液(20mMのTris, pH7.4)で濾過することにより迅速に洗浄し、50℃で45分間、乾燥させた。Optiphase Supermix(PerkinElmer)の添加後、プレートを、Wallac
Microbetaシンチレーションカウンターで数えた。データ分析を、GraphPad Prismソフトウェアを用いて行い、そして、平均値+/-標準偏差のように表した。グルカゴンレセプターオリゴヌクレオチドで処理した動物由来のサンプルから得たデータは、アッセイおよび曲線適合パラメーターの検出限界に近かった。見かけのBmaxについて数値を導き出すために、Kdを、コントロールアンチセンス処理動物由来のサンプルから得た平均値(0.69+/-0.2nM)に固定した。
【0227】
機能的なGCGR発現は、グルカゴンレセプターアンチセンス処理によって約85%減少し、そして、定量的RT-PCRの結果と一致することが見出された。
【0228】
(実施例25)
(ヒトグルカゴンレセプターおよびサルグルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビター-投薬反応)
上述の実施例15におけるスクリーニングに基づき、ヒトグルカゴンレセプターアンチセンスオリゴヌクオチド部分集合を、さらなる研究のために選択した。投薬反応の研究を、ISIS 315186、ISIS 310457、ISIS 315324、ISIS 315278、ISIS 315181、ISIS 315297、ISIS 315163、およびISIS 310456について、ヒトHepG2細胞培養液およびカニクイザル初代肝細胞の両方において行った。これら6つの化合物は、ヒトグルカゴンレセプター核酸標的およびカニクイザルグルカゴンレセプター核酸標的の両方に対して相同である。ユニバーサルコントロールISIS 29848(配列番号820:NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN(ここでNは、等モルのA、C、G、およびTの混合物である。位置1〜5および位置16〜20にホスホロチオエート骨格ならびにMOEを有するキメラ2’MOEギャップマー))を、ネガティブコントロールとして用いた。
【0229】
ヒトの胚芽種細胞株HepG2を、American Type Culture Collection(Manassas, VA)より得た。HepG2細胞を、10%のウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、および1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)を補充したイーグルMEM中で慣用的に培養する。細胞を、細胞が90%のコンフルエンスに達した際にトリプシン処理および希釈によって慣用的に継代する。
【0230】
初代カニクイザル肝細胞を、CellzDirect(Los Angeles)より得、この細胞を、コラーゲンでコーティングされた24ウェルプレート(Costar)上に75,000細胞/ウェルの密度で、プレートに撒いた。これらの肝細胞のための培養培地は、10%のFBS(Invitrogen)を補充したウィリアムE培地(Invitrogen)であった。細胞を一晩接着させ、次いで、この細胞を、オリゴヌクレオチドリポフェクチン混合物で4時間処理した。オリゴヌクレオチドリポフェクチン混合物を洗い流し、次いで、細胞を標準的な培地中でインキュベートした。
【0231】
細胞を、HepG2細胞については、1nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nMの投与量のオリゴヌクレオチドで20時間、そして、初代サル肝細胞(n=3)については、5nM、10nM、25nM、50nM、100nMおよび200nMのオリゴヌクレオチドで20時間処理した。RNAを、RT-PCRで分析し、各オリゴヌクレオチド濃度において、コントロール(ISIS 29848)と比較し、グルカゴンレセプター発現の阻害率を決定し、結果はIC50(グルカゴンレセプターmRNAレベルにおいて50%の減少が生じるオリゴヌクレオチドの投与量)で示した。結果を表6に示す。
【0232】
(表6)
(ヒトHepG2細胞およびカニクイザルグル初代肝細胞におけるグルカゴンレセプターアンチセンスオリゴヌクレオチドのIC50(単位:nM))
【0233】
【表6】


これらの結果に基づき、3つの化合物(ISIS 315297、ISIS 310457、ISIS 315163)を、サルの研究のために選択した。
【0234】
(実施例26)
(カニクイザルのグルカゴンレセプター発現のアンチセンス阻害における投与量範囲の研究)
サルの研究は、SNBL USA, Ltd., Everett, WAにおいて実施した。最初の投与の際に体重約5〜10kgの成体(6〜8年齢)Macca fascicularis(実験用カニクイザル)の雄性40匹を用いた。動物を、Animal Welfare Actに従い初期環境を管理した囲い内で個別に飼育した。動物に、Purina Mills Laboratory Profiled Fiber Plus(登録商標)Monkey Diet(Animal Specialties, Hubbard, OR)を与えた。時折、新鮮な果物および野菜もさらに与えた。すべての動物に対して、新鮮な飲料水を自由に与えた。絶食測定の前、予定された採血の前の午後4時30分から午後5時00分の間に、囲いから食物を取り出した。動物を少なくとも16時間絶食させた後、投与または給餌の前に、血漿分析のための血液サンプルを収集した。絶食分析のために、約2.3〜2.5mLの血液を末梢静脈から採血した。約1.8〜2.0mLを、血液1ml中10μlのDPP-IVインヒビターおよび血液1ml中の250KIUトラシロール(trasylol)を含むK2-EDTAチューブ内に入れた。約0.5mlをリチウムヘパリンチューブに入れた。一旦、EDTAおよび添加物の入ったチューブ内に血液を入れ、そのチューブを反転させ混合し、5分間以内、氷上に置いた。リチウムヘパリンチューブ内の血液をまた、5分間以内、氷上に置いた。血液サンプルを遠心(2000×g、4〜8℃で15分間)し、サンプル収集の30分以内に、血漿を得た。この血漿を、-70℃かそれ以下で凍らせた。サンプルをドライアイス上に乗せ、次の分析のために、以下に記載されるように宅配便により運んだ。非絶食分析のために、採血日の午前の給餌(8時30分〜9時30分)を与えた。給餌してから90分後に採血した。残ったビスケットの数を、採血時に数えた。サンプルを調製し、そして上述のように発送した。
【0235】
サルに、10週間にわたり、ISIS 315297、ISIS 310457、またはISIS 315163を3種類の濃度で皮下投与した。1週目(1日目、3日目、および5日目)においては、オリゴヌクレオチドを、2.0mg/kg/投与量、5.0mg/kg/投与量、および20mg/kg/投与量で与え;2週目から10週目(8日目から始めて1週間に2度)においては、オリゴヌクレオチドを、1.0mg/kg/投与量、2.5mg/kg/投与量、および10mg/kg/投与量で与えた。大用量(6mg/kg/週、15mg/kg/週、または、60mg/kg/週(すなわち、2mg/kg、5mg/kg、または20mg/kgの3回の注射))を、1週目に、所望の一定状態のオリゴヌクレオチド濃度を迅速に達成するために与えた。1週目においては、化合物を1日おきに3回投与し;2週目から10週目においては、化合物を、少なくとも2日間の投与期間をあけて、1週間に2度投与した。
【0236】
オリゴヌクレオチドを、0.1〜0.3mL/kgの量を用いて、皮下(SC)注射によって与えた。各動物の各投与において、関連するASO溶液の適切な容量、またはコントロール/ビヒクル物の適切な容量を、注射器および針(27G)を用いて皮下投与した。関連する投与溶液またはコントロール物の全容量を、動物の最近の体重に基づいて計算した。各サルの背中上部(肩甲骨間の領域)の複数の注射部位に、注射した。順化の間、背中上部の皮膚の、体毛を剃り、次いで、各動物に時計のような格子模様(12時、3時、6時、および9時で区切った)を入れた。注射する位置は、最低5cm離した。各注射部位を12時から時計回りの順番で4回の投与分使用できるように、注射する位置を交替した。針を注射点から離して挿入し、そして、投与がその点の下で入るように針を傾けた。
【0237】
10週間にわたる研究の後(最後の投与から約2日後)、動物を安楽死させ、肝臓組成を3サンプル(1〜4g)取り出し、次いで、それぞれ液体窒素でしっかりと凍らせた;あるいは、生検材料を生きている動物から取り出し、凍らせた。凍結組織を4Mのグアニジウムイソチオシアン酸溶液中でホモジナイズし、次いで、CsCl遠心分離(18℃にて150,000×g、16時間)に供した。上清を除去し、RNAペレットを水中に再懸濁し、以下のRNEASYミニカラム(Qiagen, Valencia CA)に適用させた。精製および定量の後、以下のプライマーおよびプローブを用いて前述の実施例において記載されたような、上記組織をRT-PCR分析に供した。
【0238】
順方向プライマー:ACTGCACCCGCAACGC(配列番号821)
逆方向プライマー:CACGGAGCTGGCCTTCAG(配列番号822)
プローブ:ATCCACGCGAACCTGTTTGTGTCCTT(配列番号823)
RNA量を組織中の18SRNAレベルに正規化した。結果を、生理食塩水処置サルと比較したアンチセンス処置サルにおけるグルカゴンレセプターmRNAの減少率として表7に示す。
【0239】
(表7)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで処置した後におけるサル肝臓のグルカゴンレセプターmRNAの減少-RT-PCR実験1)
【0240】
【表7】


RT-PCRによる同じ組織サンプルのRNA分析を、上述の同じプライマープローブセットを用いて別個に繰り返した。結果を、生理食塩水処置サルと比較したアンチセンス処置サルにおけるグルカゴンレセプターmRNAの減少率として表8中に示す。
【0241】
(表8)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで処置した後におけるサル肝臓のグルカゴンレセプターmRNAの減少-RT-PCR実験2)
【0242】
【表8】


RT-PCRによって得られた結果を、標準的な方法に従うノザンブロット分析によって確認した(実施例14)。ノザンブロットに使用したcDNAプローブは、カニクイザルの肝臓からRT-PCRによって生成したサルGCGRの900塩基の断片であった。結果を表9に示す。
【0243】
(表9)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで処置した後におけるサル肝臓のグルカゴンレセプターmRNAの減少-ノザンブロット)
【0244】
【表9】


血中グルコースレベルを、グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで処置した後のサルおいて測定した。グルコースの読み取りを、上述のように収集した血液サンプルからの一滴の血液を用いて実施し、そして、One Touch Profile(登録商標)(Lifescan Inc., a Johnson and Johnson
Company)上で読み取った。本研究において正常血糖(非糖尿病)サルを用いたので、血中グルコースレベルの有意な変化は、期待もされず観察もされなかった。アンチセンス処置した後に低血糖になった動物はいなかった。
【0245】
グルカゴンレベルを、グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで5週間または10週間処置する前(基準)および処置した後の絶食サルの血漿中において測定した。ストレスのよる人為的結果を避けるため、サルを血液収集の前に麻酔した。グルカゴンレベルを、放射免疫測定法、ELISAおよび/または契約した研究所(Linco, St. Charles MO)によるLuminex放射免疫測定法により決定した。結果を表10に示す。
【0246】
(表10)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで処置した後のサルの肝臓における絶食時グルカゴンレベル)
【0247】
【表10】


グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)レベルを、グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで5週間または10週間処置する前(基準)および処置した後の絶食したサルの血漿中において測定した。ストレスのよる人為的結果を避けるため、サルを血液収集の前に麻酔した。GLP-1レベルを、放射免疫測定法、ELISAおよび/または契約した研究所(Linco, St. Charles MO)によるLuminex放射免疫測定法により決定した。結果を表11に示す。
【0248】
(表11)
(グルカゴンレセプターのアンチセンスインヒビターで処置した後のサルの肝臓における絶食時GLP-1レベル)
【0249】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ8〜80核酸塩基の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする核酸分子の標的とされ、ここで、該化合物は、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする該核酸分子の好ましい標的部分に特異的にハイブリダイズし、そして、ヒトのグルカゴンレセプターの発現を阻害し、ここで、該好ましい標的部分は、配列番号:484-816のいずれかの、少なくとも連続した8核酸塩基である、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、前記好ましい標的部分は、配列番号:4、18または19で説明される前記ヌクレオチド配列の一部分であり、これは、配列番号:183、184、231、249、254、346、365、392、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、41、42、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、250、251、252、253、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、393、394、395、396、397、398、または399の、少なくとも8核酸塩基部分に相補的である、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、配列番号:183、184、231、249、254、346、365、392、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、41、42、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、250、251、252、253、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、393、394、395、396、397、398、または、399の、少なくとも8核酸塩基部分を含む、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、配列番号:183、184、231、249、254、346、365、または、392の少なくとも8核酸塩基部分を含む、化合物。
【請求項5】
請求項1、2、3、または、4のいずれかに記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号4の核酸分子に対して、少なくとも70%の相補性を有する、化合物。
【請求項6】
請求項1、2、3、または、4のいずれかに記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号4の核酸分子に対して、少なくとも80%の相補性を有する、化合物。
【請求項7】
請求項1、2、3、または、4のいずれかに記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号4の核酸分子に対して、少なくとも90%の相補性を有する、化合物。
【請求項8】
請求項1、2、3、または、4のいずれかに記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号4の核酸分子に対して、少なくとも95%の相補性を有する、化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物であって、配列番号:183、184、231、249、254、346、365、392、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、41、42、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、250、251、252、253、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、393、394、395、396、397、398、および、399からなる群より選択される、化合物。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物であって、配列番号:183、184、231、249、254、346、365、および、392からなる群より選択される、化合物。
【請求項11】
ヒトのグルカゴンレセプターをコードする核酸分子の標的とされる、長さ8〜80核酸塩基の化合物であって、ここで、該化合物は、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする該核酸分子に特異的にハイブリダイズし、そして、ヒトのグルカゴンレセプターの発現を阻害し、ここで、該化合物は、配列番号:43、84、85、86、87、88、89、90、91、162、163、164、165、166、または、167の、少なくとも8核酸塩基部分を含む、化合物。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:18の核酸分子に対して、少なくとも70%の相補性を有する、化合物。
【請求項13】
請求項11に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:18の核酸分子に対して、少なくとも80%の相補性を有する、化合物。
【請求項14】
請求項11に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:18の核酸分子に対して、少なくとも90%の相補性を有する、化合物。
【請求項15】
請求項11に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:18の核酸分子に対して、少なくとも95%の相補性を有する、化合物。
【請求項16】
請求項11に記載の化合物であって、配列番号:43、84、85、86、87、88、89、90、91、162、163、164、165、166、および、167からなる群より選択される、化合物。
【請求項17】
ヒトのグルカゴンレセプターをコードする核酸分子の標的とされる、長さ8〜80核酸塩基の化合物であって、ここで、該化合物は、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする該核酸分子に特異的にハイブリダイズし、そして、ヒトのグルカゴンレセプターの発現を阻害し、ここで、該化合物は、配列番号:40、または、74の、少なくとも8核酸塩基部分を含む、化合物。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:19の核酸分子に対して、少なくとも70%の相補性を有する、化合物。
【請求項19】
請求項17に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:19の核酸分子に対して、少なくとも80%の相補性を有する、化合物。
【請求項20】
請求項17に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:19の核酸分子に対して、少なくとも90%の相補性を有する、化合物。
【請求項21】
請求項17に記載の化合物であって、ヒトのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:19の核酸分子に対して、少なくとも95%の相補性を有する、化合物。
【請求項22】
請求項17に記載の化合物であって、配列番号:40および74からなる群より選択される、化合物。
【請求項23】
長さ8〜80核酸塩基の化合物であって、マウスのグルカゴンレセプターをコードする、配列番号:11、400、401、402、または、403の核酸分子の標的とされ、ここで、該化合物は、マウスのグルカゴンレセプターをコードする該核酸分子に特異的にハイブリダイズし、そして、マウスのグルカゴンレセプターの発現を阻害する、化合物。
【請求項24】
請求項23に記載の化合物であって、マウスのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:11、400、401、402、または、403の核酸分子に対して、少なくとも70%の相補性を有する、化合物。
【請求項25】
請求項23に記載の化合物であって、マウスのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:11、400、401、402、または、403の核酸分子に対して、少なくとも80%の相補性を有する、化合物。
【請求項26】
請求項23に記載の化合物であって、マウスのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:11、400、401、402、または、403の核酸分子に対して、少なくとも90%の相補性を有する、化合物。
【請求項27】
請求項23に記載の化合物であって、マウスのグルカゴンレセプターをコードする配列番号:11、400、401、402、または、403の核酸分子に対して、少なくとも95%の相補性を有する、化合物。
【請求項28】
請求項1、11、17、または、23に記載の化合物であって、長さ12〜50核酸塩基である、化合物。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物であって、長さ15〜30核酸塩基である、化合物。
【請求項30】
請求項28に記載の化合物であって、長さ20核酸塩基である、化合物。
【請求項31】
請求項1、11、17、または、23に記載の化合物であって、オリゴヌクレオチドを含む、化合物。
【請求項32】
請求項31に記載の化合物であって、DNAオリゴヌクレオチドを含む、化合物。
【請求項33】
請求項31に記載の化合物であって、RNAオリゴヌクレオチドを含む、化合物。
【請求項34】
請求項31に記載の化合物であって、キメラオリゴヌクレオチドを含む、化合物。
【請求項35】
請求項31に記載の化合物であって、ここで、前記化合物の少なくとも一部分は、オリゴヌクレオチド-RNA二本鎖を形成するためにRNAにハイブリダイズする、化合物。
【請求項36】
請求項31に記載の化合物であって、ここで、前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖である、化合物。
【請求項37】
請求項1-36のいずれかに記載の前記化合物であって、一つ、二つ以上の修飾型があり、ここで、該修飾は、ヌクレオシド間結合、糖成分、または、核酸塩基に修飾される、化合物。
【請求項38】
請求項37に記載の化合物であって、少なくとも一つの、2’-O-メトキシエチル糖成分を有する、化合物。
【請求項39】
請求項37に記載の化合物であって、少なくとも一つの、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、化合物。
【請求項40】
請求項37に記載の化合物であって、少なくとも一つの、5-メチルシトシンを有する、化合物。
【請求項41】
請求項1-40に記載の化合物であって、薬局で入手可能な化合物。
【請求項42】
細胞内または組織内のヒトのグルカゴンレセプターの発現を阻害する方法であって、該細胞または該組織と、請求項1-41のいずれかに記載の前記化合物と接触する工程を含み、そのため、ヒトのグルカゴンレセプターの発現は阻害される、方法。
【請求項43】
請求項1-41のいずれかに記載の前記化合物を含む、キットまたはアッセイデバイス。
【請求項44】
グルカゴンレセプター活性に関連する疾患または状態を有するヒトを処置する方法であって、請求項1-14のいずれか1項に記載の化合物の治療的にまたは予防的に有効な量を、該ヒトに対して、投与し、そのため、ヒトのグルカゴンレセプターの発現は阻害される工程を含む、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、ここで、前記疾患または前記状態は、代謝病もしくは代謝状態、糖尿病、肥満症、原発性高グルカゴン血症、インスリン欠乏症、または、インスリン抵抗性である、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、ここで、前記疾患または前記状態は、II型糖尿病である、方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法であって、ここで、前記疾患または前記状態は、血中グルコースレベルの上昇、血中トリグリセリドレベルの上昇、または、血中コレステロールレベルの上昇に関連する、方法。
【請求項48】
ヒトの血中グルコース濃度を減少する方法であって、請求項1-14のいずれか1項に記載の化合物を、該ヒトに対して、投与する工程を含む、方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、ここで、前記血中グルコース濃度は、血漿グルコース濃度である、方法。
【請求項50】
請求項48に記載の方法であって、ここで、前記ヒトは、糖尿病または肥満症を患う、方法。
【請求項51】
ヒトのグルカゴンレセプター活性に関連する疾患の発症または状態の開始を妨げるか、または、遅らせる方法であって、請求項1-14のいずれかに記載の化合物の治療的にまたは予防的に有効な量を、該ヒトに対して、投与する工程を含む、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、ここで、前記疾患または前記状態は、代謝病もしくは代謝状態、糖尿病、原発性高グルカゴン血症、インスリン欠乏症、インスリン抵抗性。または、肥満症である、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、ここで、前記疾患または前記状態は、II型糖尿病である、方法。
【請求項54】
請求項51に記載の方法であって、ここで、血中グルコースレベルの上昇、血中トリグリセリドレベルの上昇、または、血中コレステロールレベルの上昇に関連する、方法。
【請求項55】
ヒトの血中グルコース濃度の上昇の開始を妨げるか、または、遅せる方法であって、請求項1-41のいずれか1項に記載の化合物を、該ヒトに対して、投与する工程を含む、方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、ここで、前記ヒトは、糖尿病、肥満症、または、インスリン抵抗性を患う、方法。
【請求項57】
請求項55に記載の方法であって、ここで、前記血中グルコースレベルは、血漿グルコースレベルである、方法。
【請求項58】
細胞内または組織内のマウスのグルカゴンレセプターの発現を阻害する方法であって、該細胞または該組織と、請求項23に記載の前記化合物とを接触させ、そのため、マウスのグルカゴンレセプターの発現は阻害される工程を含む、方法。
【請求項59】
マウスのグルカゴンレセプターの調節因子のスクリーニング方法であって、該方法は、以下aおよびb:
a. マウスのグルカゴンレセプターをコードする核酸分子の好ましい標的部分(配列番号:11、400、401、402、または、403)と、グルカゴンレセプター調節因子の一つ以上の候補とを接触させる工程、および
b. グルカゴンレセプター発現の一つ以上の調節因子を同定する工程であって、該調節因子は、マウスの該グルカゴンレセプター発現を調節する、工程を包含する方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法であって、ここで、グルカゴンレセプター発現の前記調節因子は、オリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド、RNAとハイブリダイズして、オリゴヌクレオチド-RNA二本鎖を形成することができるRNAオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分を有するRNAオリゴヌクレオチド、一本鎖RNA、二本鎖RNA、または、キメラオリゴヌクレオチドを含む、方法。
【請求項61】
マウスの血中グルコースレベルを減少する方法であって、請求項23に記載の化合物を、該マウスに対して、投与する工程を含む、方法。
【請求項62】
マウスの血中グルコースレベルの上昇の開始を妨げるか、または、遅らせる方法であって、請求項23に記載の化合物を、該マウスに対して、投与する工程を含む、方法。
【請求項63】
配列番号184を含む化合物または、その薬学的に受容可能な塩であって、ここで、すべてのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合を含み、核酸塩基1-5および16-20は、2’-O-メトキシエチル改変を含み、すべてのシチジン残基は、5-メチル改変を含む、化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項64】
請求項63に記載の化合物であって、ここで、化合物は、ナトリウム塩である、化合物。
【請求項65】
グルカゴンレセプター活性に関連する疾患または状態を有するヒトを処置する方法であって、該ヒトに対して、請求項63に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、ここで、前記状態とは、代謝病もしくは代謝状態、糖尿病、インスリン乏症、原発性高グルカゴン血症、または、肥満症、である、方法。
【請求項67】
ヒトの血中グルコースレベルを減少する方法であって、請求項63に記載の化合物の治療有効量を、該ヒトに対して投与する工程を含む、方法。
【請求項68】
薬学的組成物であって、請求項1-41または請求項63-64のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能な希釈済またはキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項69】
化合物の使用であって、該使用は、グルカゴンレセプター活性に関連する疾患に苦しむ被験者を処置するための医薬品の製造における、請求項1-41または請求項63-64のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項70】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、代謝病である、使用。
【請求項71】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、糖尿病である、使用。
【請求項72】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、肥満症である、使用。
【請求項73】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、インスリン欠乏症またはインスリン抵抗性に関連する、使用。
【請求項74】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、原発性高グルカゴン血症に関連する、使用。
【請求項75】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、上昇した血中グルコースレベルに関連する、使用。
【請求項76】
請求項69に記載の使用であって、ここで、前記疾患は、上昇した血中トリグリセリドレベルまたは上昇した血中コレステロールレベルに関連する、使用。

【公開番号】特開2012−50438(P2012−50438A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200723(P2011−200723)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【分割の表示】特願2006−513404(P2006−513404)の分割
【原出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(595104323)アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】