説明

グルコキナーゼ阻害剤として使用されるベンゾフラニル誘導体

本発明は、グルコキナーゼ活性化剤として作用する式(I)の化合物、それらの医薬組成物、およびグルコキナーゼにより仲介される疾患、障害、または状態を治療する方法を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ベンゾフラニル誘導体、ならびに医薬組成物およびグルコキナーゼ活性化剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、有病率および付随する健康上のリスクが増加しているため、重大な公衆衛生上の懸念である。この疾患は、適切な血糖値を維持することができなくなる、炭水化物の産生および利用の代謝欠陥を特徴とする。2つの主要な形態の糖尿病が認識されている。I型糖尿病、すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、インスリンの絶対的な欠乏の結果である。II型糖尿病、すなわちインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)は、インスリンが正常なレベルで、またはさらには高いレベルでも起こることが多く、インスリンに対して組織および細胞が適切に応答することができないことの結果であると考えられる。投薬によるNIDDMの積極的管理は不可欠であり、管理をしなければ、NIDDMは、IDDMに進行する可能性がある。
【0003】
血糖が増加すると、グルコースは、グルコース輸送体を介して膵臓β細胞内に輸送される。細胞内の哺乳動物グルコキナーゼ(GK)は、グルコースの増加を感知し、細胞の解糖、すなわち、グルコースのグルコース−6−リン酸への変換、およびそれに続くインスリン放出を活性化する。グルコキナーゼは、膵臓β細胞および肝実質細胞で主に見いだされる。血液から筋肉および脂肪組織内へのグルコースの移行がインスリン依存性であるため、糖尿病は、グルコースを十分に利用する能力を欠き、血糖の望ましくない蓄積(高血糖症)につながる。慢性高血糖症は、インスリン分泌の減少をもたらし、インスリン抵抗性増加の一因となる。グルコキナーゼは、グリコーゲン合成を誘導する肝実質細胞においてセンサーとしても作用するため、血液中へのグルコースの放出を妨げる。したがって、GKプロセスは、全身グルコース恒常性の維持にとって重要である。
【0004】
細胞GKを活性化する薬剤は、膵臓β細胞からのグルコース依存性分泌を促進し、食後高血糖症を是正し、肝グルコース利用を増加させ、肝グルコース放出を潜在的に阻害することが予想される。結果として、GK活性化剤は、NIDDMおよび付随する合併症、とりわけ、高血糖症、脂質異常症、インスリン抵抗性症候群、高インスリン血症、高血圧症、および肥満症のための治療的処置を提供することができる。
【0005】
各々が異なる機構により作用する5つの主なカテゴリー中のいくつかの薬物が、高血糖症と、それに続いて、NIDDMを治療するために使用可能である(Moller,D.E.、「New drug targets for Type 2 diabetes and the metabolic syndrome」Nature 414;821〜827、(2001)):(A)スルホニル尿素(例えば、グリピジド、グリメピリド、グリブリド)およびメグリチニド(例えば、ナテグリニドおよびレパグリニド)を包含するインスリン分泌促進薬は、膵臓β細胞に作用することによりインスリンの分泌を強化する。この療法は、血糖値を下げることができるものの、有効性および耐容性が限られており、体重増加を引き起こし、低血糖症を誘発することが多い。(B)ビグアナイド(例えば、メトホルミン)は、肝グルコース産生を減少させることにより主に作用すると考えられている。ビグアナイドは、胃腸障害および乳酸アシドーシスを引き起こすことが多く、それらの使用をさらに限定している。(C)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)は、腸のグルコース吸収を減少させる。これらの薬剤は、胃腸障害を引き起こすことが多い。(D)チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)は、肝臓、筋肉および脂肪組織において特異的受容体(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γ)に作用する。チアゾリジンジオンは、脂質代謝を調節し、それに続いて、インスリンの作用に対するこれらの組織の応答を強化する。これらの薬物の頻繁な使用は、体重増加につながることがあり、浮腫および貧血を誘発することがある。(E)インスリンは、単独でまたは上記の薬剤と組み合わせて、より重症な例で使用される。
【0006】
理想的には、NIDDMの有効な新たな治療は、下記の基準を満たすであろう:(a)低血糖症の誘発を包含する著しい副作用を有さないこと;(b)体重増加を引き起こさないこと;(c)インスリンの作用とは無関係の1つまたは複数の機構を介して作用することにより少なくとも部分的にインスリンに取って代わること;(d)望ましくは、代謝的に安定であり、低頻度の用法が可能であること;および(e)耐容量の本明細書に列挙されている薬物のカテゴリーのうちのいずれかと組み合わせて使用可能であること。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
置換されたヘテロアリール、特に、ピリドンは、GKの仲介に関与しており、NIDDMの治療において重要な役割を果たす可能性がある。例えば、米国特許公開第2006/0058353号ならびにPCT公開第WO2007/043638号、第WO2007/043638号、および第WO2007/117995号は、糖尿病の治療に有効なある種のヘテロ環式誘導体を挙げている。研究は継続中であるが、糖尿病、特に、NIDDMのためのより有効で安全な治療的処置が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、グルコキナーゼメディエーター、特に、グルコキナーゼ活性化剤として作用し、したがって、そのような活性化により仲介される疾患(例えば、2型糖尿病に関連している疾患、ならびに糖尿病関連および肥満症関連の共存症)の治療において使用することができる式(I)
【0009】
【化1】

(式中、Yは、Nであり、Zは、Cであり、またはYは、Cであり、Zは、Nであり、RおよびRは、各々独立して、メチルまたはエチルであり、Rは、5−メチルピラジン−2−イル、5−メトキシピラジン−2−イル、または1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルである)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩を提供する。
【0010】
1つの好ましい実施形態において、Yは、Nであり、Zは、Cである。
【0011】
別の好ましい実施形態において、Yは、Cであり、Zは、Nである。
【0012】
式(1)の好ましい化合物は、RおよびRが、共にメチルであり、Rが、5−メチルピラジン−2−イルである化合物、または薬学的に許容できるその塩である。
【0013】
好ましい化合物は、N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミドである。
【0014】
別の好ましい化合物は、N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミドである。
【0015】
本発明の別の態様は、(1)本発明の化合物、および(2)薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む医薬組成物である。組成物は、治療有効量の本発明の化合物を含むことが好ましい。組成物は、少なくとも1つの追加の医薬剤(本明細書に記載されている)を含有することもできる。好ましい薬剤は、抗肥満薬および/または抗糖尿病薬(下で本明細書に記載されている)を包含する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、哺乳動物においてグルコキナーゼ、特に、前記酵素の活性化により仲介される疾患、状態、または障害を治療するための方法であって、そのような治療を必要としている哺乳動物、好ましくは、ヒトに、治療有効量の本発明の化合物、またはその医薬組成物を投与するステップを包含する方法である。
【0017】
グルコキナーゼ活性化剤により仲介される疾患、障害、または状態は、II型糖尿病、高血糖症、代謝症候群、耐糖能異常、糖尿、白内障、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、肥満症、脂質異常症、高血圧症、高インスリン血症、およびインスリン抵抗性症候群を包含する。好ましい疾患、障害、または状態は、II型糖尿病、高血糖症、耐糖能異常、肥満症、およびインスリン抵抗性症候群を包含する。II型糖尿病、高血糖症および肥満症がより好ましい。II型糖尿病が最も好ましい。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおいて血糖値を下げる方法であって、そのような治療を必要としている哺乳動物に、治療有効量の本発明の化合物、またはその医薬組成物を投与するステップを包含する方法である。
【0019】
本発明の化合物は、他の医薬剤(特に、下で本明細書に記載されている抗肥満薬および抗糖尿病薬)と組み合わせて投与することができる。組合せ療法は、(a)本発明の化合物、本明細書に記載されている少なくとも1つの追加の医薬剤および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む単一の医薬組成物、または(b)(i)本発明の化合物および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む第一の組成物と、(ii)本明細書に記載されている少なくとも1つの追加の医薬剤および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む第二の組成物とを含む2つの別々の医薬組成物として投与することができる。医薬組成物は、同時または順次に任意の順序で投与することができる。
【0020】
定義
本明細書で使用されているように、「アルキル」という用語は、一般式C2n+1の炭化水素ラジカルを指す。アルカンラジカルは、直線または分岐であってよい。例えば、「(C〜C)アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する一価の直線または分岐の脂肪族基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチルなど)を指す。同様に、アルコキシ、アシル(例えば、アルカノイル)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、およびアルキルチオ基のアルキル部分(portion)(すなわち、アルキル部分(moiety))は、上と同じ定義を有する。「置換されていてもよい」と指示されている場合、アルカンラジカルまたはアルキル部分は、置換されていないか、「置換されている」についての定義において下に列挙されている置換基の群から独立して選択される1個または複数個の置換基(一般的に、ペルクロロまたはペルフルオロアルキルなどのハロゲン置換基の場合を除いて1〜3個の置換基)で置換されていてよい。「ハロ置換アルキル」とは、1個または複数個のハロゲン原子で置換されているアルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチルなど)を指す。
【0021】
「シクロアルキル」という用語は、完全に水素化されており、単環、二環式環または螺旋環(spiral ring)として存在することがある非芳香族環を指す。他に指示がない限り、炭素環式環は、一般的に、3〜8員環である。例えば、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどの基を包含する。
【0022】
「ヘテロ環」という用語は、完全に水素化されており、単環、二環式環または螺旋環として存在することがある非芳香族環を指す。他に指示がない限り、ヘテロ環式環は、一般的に、硫黄、酸素および/または窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子(好ましくは、1または2個のヘテロ原子)を含有する3〜6員環である。ヘテロ環式環は、エポキシ、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、N−メチルピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、4H−ピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシドなどの基を包含する。
【0023】
「治療有効量」という語句は、(i)特定の疾患、状態、もしくは障害を治療もしくは予防する、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状を減弱、軽減、もしくは除去する、または(iii)本明細書に記載されている特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状の発現を予防するもしくは遅らせる本発明の化合物の量を意味する。
【0024】
「動物」という用語は、ヒト(男性または女性)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコおよびウマ)、食料源動物、動物園動物、海生動物、鳥および他の類似の動物種を指す。「食用動物」とは、ウシ、ブタ、ヒツジおよび家禽などの食料源動物を指す。
【0025】
「薬学的に許容できる」という語句は、物質または組成物が、製剤、および/またはそれで治療されている哺乳動物を含む他の成分と、化学的にかつ/または毒性学的に適合していなければならないことを示す。
【0026】
「治療すること」、「治療する」または「治療」という用語は、予防的(preventative)、すなわち、予防的(prophylactic)治療と姑息的治療の両方を包含する。
【0027】
「調節される」もしくは「調節すること」、または「調節する」という用語は、本明細書で使用されているように、他に指示がない限り、本発明の化合物でグルコキナーゼ酵素を活性化するという活性化を指す。
【0028】
「仲介される」または「仲介すること」または「仲介する」という用語は、本明細書で使用されているように、他に指示がない限り、グルコース結合の強化を介してグルコキナーゼ酵素を活性化し、肝臓におけるグルコキナーゼ活性の重要な調節因子であるグルコキナーゼ調節タンパク質の阻害を軽減し、かつ/またはグルコキナーゼ酵素の触媒速度を高めること(例えば、Vmaxを変えること)による、特定の疾患、状態、もしくは障害の治療もしくは予防、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状の減弱、軽減、もしくは除去、または(iii)本明細書に記載されている特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状の発現の予防もしくは遅延を指す。
【0029】
「本発明の化合物」(他に明確な規定がない限り)という用語は、式(I)の化合物および任意の薬学的に許容できる化合物の塩、ならびに、すべての立体異性体(ジアステレオマーおよびエナンチオマーを包含する)、互変異性体、立体配座異性体および同位体標識化合物を指す。本発明の化合物の水和物および溶媒和物は、化合物が、それぞれ水または溶媒と会合している、本発明の組成物と見なされる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の化合物は、特に、本明細書に含有されている説明を踏まえて、化学技術分野においてよく知られているものに類似したプロセスを包含する合成経路により合成することができる。出発材料は、Aldrich Chemicals(Milwaukee、WI)などの商業ソースから一般的に入手可能であるか、当業者によく知られている方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、v.1〜19、Wiley、New York(1967〜1999編);または補遺(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能)を包含するBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、第4版、Springer−Verlag、Berlinに一般的に記載されている方法により調製される)。
【0031】
例示を目的として、下に描かれている反応スキームは、本発明の化合物ならびに重要中間体を合成するための可能な経路を示している。個別の反応ステップについてのより詳細な説明については、下の実施例の項を参照されたい。当業者は、他の合成経路を使用して本発明の化合物を合成することができることを理解しているはずである。具体的な出発材料および試薬は、スキームに描かれ下で論じられているが、他の出発材料および試薬を容易に代用し、様々な誘導体および/または反応条件を提供することができる。さらに、下に記載されている方法により調製される化合物の多くは、当業者によく知られている従来の化学反応を使用し、本開示を踏まえてさらに修飾することができる。
【0032】
本発明の化合物の調製において、中間体の遠く離れた官能基(例えば、一級または二級アミン)の保護が必要なことがある。そのような保護の必要性は、遠く離れた官能基の性質および調製方法の条件に応じて変わるはずである。適当なアミノ保護基(NH−Pg)は、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を包含する。同様に、「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ官能基をブロックするか保護するヒドロキシ基の置換基を指す。適当なヒドロキシル保護基(O−Pg)は、例えば、アリル、アセチル、シリル、ベンジル、p−メトキシベンジル、トリチルなどを包含する。そのような保護の必要性は、当業者により容易に決定される。保護基およびそれらの使用の一般的説明については、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991を参照されたい。
【0033】
スキームIは、式(I)を有する本発明の化合物を提供するために使用することができる一般手順の概略を示している。
【0034】
【化2】

【0035】
コハク酸ジエチルおよび5−メチル−2−フルアルデヒドを、従来のアルドール縮合反応条件を使用して縮合させ、中間体(Ia)を形成させることができる。例えば、2つの出発材料を、強塩基および熱(例えば、還流エタノール中のナトリウムエトキシド)と、続く、酸性化により処理することができる。中間体(1b)におけるベンゾフラン環は、ほぼ室温における無水酢酸および酢酸ナトリウムによる中間体(1a)の処理と、続く、還流状態まで加熱することにより形成させることができる。次いで、アセテート基を除去し、ヒドロキシル中間体(1c)を提供することができ、次いで、遊離ヒドロキシル基を介する望ましいピラジニルアミドまたはピリミジルアミド部分の付加が中間体(1d)を形成することを可能にする。次いで、中間体(1d)を、当業者によく知られている標準的アミド化反応条件を介して望ましいアミン(RNH)と反応させ、式(I)の化合物を形成させることができる。下の実施例は、上に記載されている反応条件のより詳細な説明を提供する。
【0036】
本発明の化合物は、それ自体で、または可能な場合に、その薬学的に許容できる塩の形態で単離および使用することができる。「塩」という用語は、本発明の化合物の無機および有機の塩を指す。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中にその場で、または化合物を適当な有機もしくは無機の酸もしくは塩基と別個に反応させ、そのようにして形成される塩を単離することにより調製することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(naphthylate)、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などを包含する。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属などに基づく陽イオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを包含するがこれらに限定されない無毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミン陽イオンを包含することがある。例えば、Berge、ら、J.Pharm.Sci.、66、1〜19(1977)を参照されたい。
【0037】
本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心を含有し、したがって、異なる立体異性形態で存在することがある。他に指示がない限り、本発明の化合物のすべての立体異性形態ならびにラセミ混合物を包含するそれらの混合物は、本発明の一部を形成することが意図されている。さらに、本発明は、すべての幾何異性体および位置異性体を包含する。例えば、本発明の化合物が、二重結合または縮合環を組み入れる場合、シス形態とトランス形態の両方、ならびに混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0038】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によるなどの、当業者によく知られている方法により、それらの物理的化学的差異に基づいてそれらの個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性な化合物(例えば、キラルアルコールなどのキラル補助基またはMosherの酸クロライド)との反応によりエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことにより分離することができる。同様に、本発明の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってよく、本発明の一部と見なされる。エナンチオマーは、キラルHPLCカラムの使用により分離することもできる。あるいは、具体的な立体異性体は、光学活性な出発材料を使用することにより、光学活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を使用する不斉合成により、または不斉変換により1つの立体異性体を他の立体異性体に変換することにより合成することができる。
【0039】
本発明の中間体および化合物は、異なる互変異性形態で存在することも可能であり、すべてのそのような形態は、本発明の範囲内に包含される。「互変異性体」または「互変異性形態」という用語は、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能である、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られている)は、ケト−エノールおよびイミン−エナミン異性化などの、プロトンの移動を介する相互変換を包含する。プロトン互変異性体の具体例は、プロトンが、2個の環窒素の間を移動することがあるイミダゾール部分である。原子価互変異性体は、結合電子の一部の再編成による相互変換を包含する。
【0040】
本発明のある種の化合物は、分離可能でありうる異なる安定な立体配座形態で存在することがある。不斉単結合の周りの束縛回転に起因するねじれ不斉は、例えば、立体障害または環ひずみのために、異なるコンフォーマーの分離を可能にしうる。
【0041】
本発明は、1個または複数個の原子が、天然において通常見いだされる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているという事実を除いて、本明細書に列挙されているものと同一である本発明の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み入れることができる同位体の例は、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125Iおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位体を包含する。
【0042】
本発明のある種の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されているもの)は、化合物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(すなわち、H)および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、それらの調製の容易さおよび検出能のため特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性(例えば、インビボ半減期の増加または用量要件の軽減)よりもたらされるある種の治療上の利点を提供することがあるため、一部の環境において好ましいことがある。15O、13N、11C、および18Fなどのポジトロン放出同位体は、基質占有を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究に有用である。本発明の同位体標識化合物は、一般的に、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を用いることにより、スキームおよび/または下の本明細書における実施例に開示されているものに類似した手順に従うことにより調製することができる。
【0043】
本発明のある種の化合物は、2種以上の結晶形態(「多形体」と一般的に呼ばれる)で存在することがある。多形体は、例えば、再結晶のための異なる溶媒または異なる溶媒混合物;異なる温度における結晶化;結晶化の間の極めて速い冷却から極めて遅い冷却に及ぶ様々な冷却様式を使用し、様々な条件下での結晶化により調製することができる。多形体は、本発明の化合物を加熱または融解し、続いて、徐々にまたは急速に冷却することにより得ることもできる。多形体の存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定法、粉末X線回折またはそのような他の技法により決定することができる。
【0044】
本発明の化合物は、グルコキナーゼ酵素の活性化により調節される疾患、状態および/または障害を治療するのに有用であり、したがって、本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む医薬組成物である。本発明の化合物(そこで使用される組成物およびプロセスを包含する)は、本明細書に記載されている治療上の応用のために医薬品の製造においても使用することができる。
【0045】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体、希釈剤または賦形剤を混ぜることにより調製される。適当な担体、希釈剤および賦形剤は、当業者によく知られており、炭水化物、ワックス、水溶性かつ/または膨潤性のポリマー、親水性または疎水性の材料、ゼラチン、油、溶媒、水などの材料を包含する。使用される特定の担体、希釈剤または賦形剤は、本発明の化合物が適用されている手段および目的によって決まるはずである。溶媒は、一般的に、哺乳動物へ投与することが安全である(GRAS)と当業者に認識されている溶媒を基準として選択される。一般に、安全な溶媒は、水などの無毒性の水性溶媒および水に可溶か混和可能である他の無毒性溶媒である。適当な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)など、ならびにそれらの混合物を包含する。製剤は、1つまたは複数の緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤(opaquing agents)、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、芳香剤、矯味剤および洗練された体裁の薬物(すなわち、本発明の化合物またはその医薬組成物)を提供するか医薬製品(すなわち、医薬品)の製造を助けるための他の知られている添加物を包含することもできる。
【0046】
製剤は、従来の溶解および混合手順を使用して調製することができる。例えば、バルク薬物物質(すなわち、本発明の化合物または化合物の安定化された形態(例えば、シクロデキストリン誘導体または他の知られている複合体形成剤との複合体))を、上に記載されている賦形剤の1つまたは複数の存在下で適当な溶媒に溶かす。本発明の化合物は、典型的には、容易に制御可能な用量の薬物を提供し、洗練されかつ容易に取り扱える製品を患者に与えるための医薬剤形に製剤化される。
【0047】
医薬組成物は、式(I)の化合物の溶媒和物および水和物も包含する。「溶媒和物」という用語は、式(I)により表される化合物(薬学的に許容できるその塩を包含する)の、1つまたは複数の溶媒分子との分子複合体を指す。そのような溶媒分子は、レシピエントに対して無害であることが知られている医薬技術分野において一般に使用されるもの、例えば、水、エタノール、エチレングリコールなどである。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。溶媒和物および/または水和物は、結晶形態で存在することが好ましい。メタノール、メチルt−ブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、(S)−プロピレングリコール、(R)−プロピレングリコール、1,4−ブチン−ジオールなどの他の溶媒は、より望ましい溶媒和物の調製における中間溶媒和物として使用することができる。
【0048】
適用のための医薬組成物(または、製剤)は、薬物を投与するのに使用される方法に応じて、様々な方法で包装することができる。一般的に、流通用の製品は、適切な形態で医薬製剤をその中に配置した容器を包含する。適当な容器は、当業者によく知られており、瓶(プラスチックおよびガラス)、サシェ、アンプル、プラスチック袋、金属シリンダーなどの材料を包含する。容器は、包装物の内容物への軽率な接近を防止するための不正開封防止部材を包含することもある。さらに、容器は、容器の内容物について記載するラベルがその上に貼られている。ラベルは、適切な警告を包含することもある。
【0049】
本発明は、動物においてグルコキナーゼ酵素の活性化により調節される疾患、状態および/または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要としている動物に、治療有効量の本発明の化合物または有効量の本発明の化合物および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む医薬組成物を投与することを包含する方法をさらに提供する。方法は、摂食障害(例えば、過食障害、拒食症、過食症、体重の減少または管理および肥満症)、トランスジェニックマウスの骨格筋におけるグルコキナーゼ発現による肥満症およびインスリン抵抗性の予防(Otaegui,P.J.、ら、The FASEB Journal、17;2097〜2099、(2003));ならびにII型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、インスリン抵抗性、および高血糖症(Poitout,V.、ら、「An integrated view of β−cell dysfunction in type−II diabetes」、Annul.Rev.Medicine、47;69〜83,(1996))を包含するグルコキナーゼの活性化が有利である疾患、状態および/または障害を治療するのに特に有用である。
【0050】
本発明の一態様は、肥満症、および肥満症関連障害(例えば、過体重、体重増加、または体重維持)の治療である。
【0051】
肥満症および過体重は、一般的に、総体脂肪と相関性があって疾患の相対リスクを予測するボディマス指数(BMI)により定義される。BMIは、二乗した身長(メートル)で除された体重(キログラム)(kg/m)により算出される。過体重は、典型的には、25〜29.9kg/mのBMIとして定義され、肥満症は、典型的には、30kg/mのBMIとして定義される。例えば、National Heart,Lung,and Blood Institute、Clinical Guidelines on the Identification,Evaluation,and Treatment of Overweight and Obesity in Adults、The Evidence Report、Washington,DC:U.S.Department of Health and Human Services、NIH publication no.98〜4083(1998)を参照されたい。
【0052】
本発明の別の態様は、1型糖尿病(「IDDM」とも呼ばれるインスリン依存性糖尿病)および2型糖尿病(「NIDDM」とも呼ばれるインスリン非依存性糖尿病)、耐糖能異常、インスリン抵抗性、高血糖症、ならびに糖尿病性合併症(アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、腎症、高血圧症、神経障害、および網膜症など)を包含する糖尿病または糖尿病関連障害の進行または発症を治療するまたは遅らせるためである。
【0053】
本発明のさらに別の態様は、代謝症候群などの糖尿病関連または肥満症関連の共存症の治療である。代謝症候群は、脂質異常症、高血圧症、インスリン抵抗性、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、体重増加、冠状動脈疾患および心不全などの疾患、状態または障害を包含する。代謝症候群に関するより詳細な情報については、例えば、Zimmet,P.Z.、ら、「The Metabolic Syndrome;Perhaps an Etiologic Mystery but Far From a Myth−Where Does the International Diabetes Federation Stand?」、Diabetes & Endocrinology、7(2)、(2005);およびAlberti,K.G.、ら、「The Metabolic Syndrome−A New Worldwide Definition」、Lancet、366、1059〜62(2005)を参照されたい。本発明の化合物の投与は、薬物を含有しないビヒクル対照と比較して、血漿レプチン、C反応性タンパク質(CRP)および/またはコレステロールの低下など、少なくとも1つの心臓血管疾患危険因子の統計的に有意な(p<0.05)低下を提供することが好ましい。本発明の化合物の投与は、グルコース血清レベルの統計的に有意な(p<0.05)低下を提供することもできる。
【0054】
本発明のさらに別の態様において、治療される状態は、耐糖能異常、高血糖症、糖白内障、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症および糖尿病性心筋症などの糖尿病性合併症、拒食症、過食症、悪液質、高尿酸血症、高インスリン血症、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症、混合型脂質異常症、高トリグリセリド血症、非アルコール性脂肪肝疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、急性心不全、うっ血性心不全、冠状動脈疾患、心筋症、心筋梗塞、狭心症、高血圧症、低血圧症、脳卒中、虚血、虚血性再灌流傷害、動脈瘤、再狭窄、血管狭窄症、固形腫瘍、皮膚癌、黒色腫、リンパ腫、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮癌、睾丸癌および卵巣癌である。
【0055】
本発明は、本発明の式(I)の化合物が、療法の利益を得るために設計される適切な用量レジメンの一部として投与される、ヒトを包含する哺乳動物において上に記載されている状態を治療するための治療法にも関する。適切な用量レジメン、投与される各投与量の量および化合物の投与間隔は、使用されている本発明の式(I)の化合物、使用されている医薬組成物のタイプ、治療されている対象の特徴および状態の重症度によって異なるはずである。
【0056】
一般に、本発明の化合物にとって有効な用量は、単一投与量または分割投与量で活性化合物0.01mg/kg/日〜30mg/kg/日、好ましくは、0.01mg/kg/日〜5mg/kg/日の範囲にある。しかしながら、一般的用量範囲における一部の変動が、治療されている対象の年齢および体重、意図された投与経路、投与されている特定の化合物などに応じて必要とされることがある。特定の患者についての用量範囲および最適用量の決定は、本開示の利益を有する当業者の能力の十分範囲内にある。開業医は、「kg」とは、キログラムで測定される患者の体重を指すことを理解しているはずである。
【0057】
本発明の化合物または組成物は、単回(例えば、1日1回)もしくは複数回投与量で、または一定注入を介して投与することができる。本発明の化合物は、単回または複数回投与量で、単独か薬学的に許容できる担体、ビヒクルまたは希釈剤と組み合わせて投与することもできる。適当な薬学的な担体、ビヒクルおよび希釈剤は、不活性な固体の希釈剤または充填剤、無菌の水溶液および様々な有機溶媒を包含する。
【0058】
本発明の化合物または組成物は、経口でおよび非経口で(例えば、静脈内に、皮下にまたは髄内の)を包含する様々な従来の投与経路により、治療を必要としている対象に投与することができる。さらに、本発明の医薬組成物は、坐剤として、または「フラッシュ」製剤を使用して、すなわち、医薬品が、水を使用する必要なく口内で溶けることを可能にして、鼻腔内に投与することができる。
【0059】
本発明の化合物は、それらの形態も当業者によく知られている持続放出製剤、制御放出製剤、および遅延放出製剤で使用することができることも留意される。
【0060】
本発明の化合物は、本明細書に記載されている疾患、状態および/または障害を治療するための他の医薬剤と併せて使用することもできる。したがって、他の医薬剤と組み合わせて本発明の化合物を投与することを包含する治療の方法も提供される。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる適当な医薬剤は、抗肥満薬(食欲抑制薬を包含する)、抗糖尿病薬、抗高血糖薬、脂質低下薬、および抗高血圧薬を包含する。
【0061】
適当な抗糖尿病薬は、アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2(ACC−2)阻害剤、ジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ1(DGAT−1)阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)−10阻害剤、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ダイヤビニーズ(diabinese)、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、およびトルブタミド)、メグリチニド、α−アミラーゼ阻害剤(例えば、テンダミスタット、トレスタチンおよびAL−3688)、α−グルコシドヒドロラーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アジポシン(adiposine)、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン−Q、およびサルボスタチン)、PPARγ作動薬(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン(isaglitazone)、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびトログリタゾン)、PPARα/γ作動薬(例えば、CLX−0940、GW−1536、GW−1929、GW−2433、KRP−297、L−796449、LR−90、MK−0767およびSB−219994)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)作動薬(例えば、エキセンジン−3およびエキセンジン−4)、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤(例えば、トロデュスケミン、ヒルチオサール(hyrtiosal)抽出物、およびZhang,S.、ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373〜381(2007)により開示されている化合物)、SIRT−1阻害剤(例えば、レセルバトロール(reservatrol))、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチンおよびサクサグリプチン)、インスリン分泌促進薬、脂肪酸酸化阻害剤、A2拮抗薬、c−junアミノ末端キナーゼ(JNK)阻害剤、インスリン、インスリン模倣薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、およびVPAC2受容体作動薬を包含する。好ましい抗糖尿病薬は、メトホルミンおよびDPP−IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチンおよびサクサグリプチン)である。
【0062】
適当な抗肥満薬は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(11β−HSD1型)阻害剤、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ−1(SCD−1)阻害剤、MCR−4作動薬、コレシストキニン−A(CCK−A)作動薬、モノアミン再取り込み阻害剤(シブトラミンなど)、交感神経興奮作用薬、βアドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬(ブロモクリプチンなど)、メラノサイト刺激ホルモン類似体、5HT2c作動薬、メラニン凝集ホルモン拮抗薬、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤(テトラヒドロリプスタチン、すなわちオルリスタットなど)、食欲抑制薬(ボンベシン作動薬など)、ニューロペプチド−Y拮抗薬(例えば、NPY Y5拮抗薬)、PYY3−36(その類似体を包含する)、甲状腺ホルモン様薬、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイドの作動薬または拮抗薬、オレキシン拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1作動薬、毛様体神経栄養因子(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.、Tarrytown、NYおよびProcter & Gamble Company、Cincinnati、OHから入手可能なAxokine(商標)など)、ヒトアグーチ関連タンパク(AGRP)阻害剤、グレリン拮抗薬、ヒスタミン3の拮抗薬または逆作動薬、ニューロメディンU作動薬、MTP/ApoB阻害剤(例えば、ジルロタピドなどの腸選択的MTP阻害剤)、オピオイド拮抗薬、オレキシン拮抗薬などを包含する。
【0063】
本発明の組合せ態様において使用するための好ましい抗肥満薬は、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、ミトラタピドおよびインプリタピド、R56918(CAS番号403987)およびCAS番号913541−47−6)、CCKa作動薬(例えば、PCT公開第WO2005/116034号または米国公開第2005−0267100A1号に記載されているN−ベンジル−2−[4−(1H−インドール−3−イルメチル)−5−オキソ−1−フェニル−4,5−ジヒドロ−2,3,6,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−6−イル]−N−イソプロピル−アセトアミド)、5HT2c作動薬(例えば、ロルカセリン)、MCR4作動薬(例えば、米国特許第6,818,658号に記載されている化合物)、リパーゼ阻害剤(例えば、セチリスタット)、PYY3−36(本明細書で使用されているように「PYY3−36」は、ペグ化されたPYY3−36などの類似体、例えば、米国公開2006/0178501に記載されているものを包含する)、オピオイド拮抗薬(例えば、ナルトレキソン)、オレオイル−エストロン(CAS番号180003−17−2)、オビネピチド(obinepitide)(TM30338)、プラムリンチド(Symlin(登録商標))、テソフェンシン(NS2330)、レプチン、リラグルチド、ブロモクリプチン、オルリスタット、エクセナチド(Byetta(登録商標))、AOD−9604(CAS番号221231−10−3)およびシブトラミンを包含する。本発明の化合物および組合せ療法は、運動および理にかなった食事と併せて投与されることが好ましい。
【0064】
上に引用されている米国特許および刊行物はすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0065】
本発明の実施形態は、下記の実施例により例示される。しかしながら、本発明の実施形態は、それらの他の変形形態が、当業者に、知られているか、本開示を踏まえて明らかであることから、これらの実施例の具体的詳細に限定されないことが理解されるべきである。
【0066】
実施例
他に指示がない限り、出発材料は、Aldrich Chemicals Co.(Milwaukee、WI)、Lancaster Synthesis,Inc.(Windham、NH)、Acros Organics(Fairlawn、NJ)、Maybridge Chemical Company,Ltd.(Cornwall、England)、Tyger Scientific(Princeton、NJ)、およびAstraZeneca Pharmaceuticals(London、England)などの商用ソースから一般的に入手可能である。下記の材料は、対応するソースから入手可能である:
5−メチル−2−フルアルデヒド−Sigma−Aldrich(Milwaukee、WI);
5−メチル−2−アミノピラジン−Princeton Bimolecular Research,Inc(Monmouth Junction、NJ);
5−メトキシピラジン−2−アミン−Anichem(Monmouth Junction、NJ);
5−クロロピラジン−2−カルボン酸−Ark Pharma,Inc(Libertyville、IL);
1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミン−Matrix Scientific(Columbia、SC);
5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボン酸−Ark Pharma,Inc(Libertyville、IL)
【0067】
一般的実験手順
NMRスペクトルは、プロトンについて、400MHzで室温にてVarian Unity(商標)400(Varian Inc.、Palo Alto、CAから入手可能)で記録した。化学シフトは、内部基準としての残留溶媒に対して百万分率(δ)で表される。ピーク形状は、下記の通り、すなわち、s、一重線、d、二重線、dd、二重二重線、t、三重線、q、四重線、m、多重線、bs、ブロードな一重線、2s、二本の一重線で示される。大気圧化学イオン化質量スペクトル(APCI)は、Fisons(商標)Platform II Spectrometer(キャリアガス:アセトニトリル:Micromass Ltd、Manchester、UKから入手可能)で得た。化学イオン化質量スペクトル(CI)は、Hewlett−Packard(商標)5989機器(アンモニアイオン化、PBMS:Hewlett−Packard Company、Palo Alto、CAから入手可能)で得た。エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ES)は、Waters(商標)ZMD機器(キャリアガス:アセトニトリル:Waters Corp.、Milford、MAから入手可能)で得た。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、飛行時間法を使用してAgilent(商標)Model 6210で得た。塩素または臭素を含有するイオンの強度が記載される場合、予想される強度比が観察され(35Cl/37Cl含有イオンについておおよそ3:1および79Br/81Br含有イオンについておおよそ1:1)、より低い質量イオンのみの強度が示される。一部の場合において、代表的なH NMRピークのみが示される。旋光度は、指定温度にてナトリウムD線(λ=589nm)を使用するPerkinElmer(商標)241旋光計(PerkinElmer Inc.、Wellesley、MAから入手可能)で決定し、下記の通り、すなわち[α]temp、濃度(c=g/100ml)、および溶媒と報告される。
【0068】
カラムクロマトグラフィーは、低窒素圧下でガラスカラムまたはFlash 40 Biotage(商標)カラム(ISC,Inc.、Shelton、CT)中のBaker(商標)シリカゲル(40μm;J.T.Baker、Phillipsburg、NJ)またはSilica Gel 50(EM Sciences(商標)、Gibbstown、NJ)かBiotage(商標)SNAPカートリッジKPsilまたはRedisep Rfシリカ(Teledyne(商標)Isco(商標)から)のどちらかで行った。
【0069】
出発材料および重要中間体の調製
中間体(E)−3−(エトキシカルボニル)−4−(5−メチルフラン−2−イル)ブタ−3−エン酸(I−1a)の調製:
【0070】
【化3】

エタノール(1.820L)中の5−メチル−2−フルアルデヒド(264mL、2650mmol)およびコハク酸ジエチル(840mL、5050mmol)の激しく撹拌した溶液に、室温にて、ナトリウムエトキシド(エタノール中21重量%溶液0.93L)を一度に加えた。次いで、反応混合物を、13時間にわたって還流状態で加熱した。室温まで冷却した後、混合物を、真空中で濃縮した(すべてのバッチを、この時点で合わせた)。得られた残渣を、酢酸エチル(1L)と塩酸(2M水溶液1L)の間で分配した。分離後、水層を、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を、炭酸水素ナトリウム(2×飽和水溶液1L)で抽出した。これらの水性抽出物を合わせ、塩酸(2M水溶液)でpH2に調整し、次いで、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。これらの有機抽出物を合わせ、真空中で濃縮すると、望ましい(E)−3−(エトキシカルボニル)−4−(5−メチルフラン−2−イル)ブタ−3−エン酸(I−1a:34.34g、5%)が得られた。元の有機抽出物を、水酸化ナトリウム(2M水溶液2L)で抽出した。この水性抽出物を、塩酸(2M水溶液)でpH2に調整し、次いで、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。これらの有機抽出物を合わせ、真空中で濃縮すると、赤色の液体として追加の望ましい材料(395.2グラム、63%)が得られた。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ ppm 7.48 (s, 1H), 6.57 (d, 1H), 6.09 (d, 1H), 4.24 (q, 2H), 3.87
(s, 2H), 2.32 (s, 3H), 1.31 (t, 3H).
【0071】
中間体4−アセトキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1b)の調製:
【0072】
【化4】

無水酢酸(1.77L、18.72mol)中の(E)−3−(エトキシカルボニル)−4−(5−メチルフラン−2−イル)ブタ−3−エン酸(I−1a:326.6g、1.371mol)の激しく撹拌した溶液に、室温にて、酢酸ナトリウム(193g、2350mmol)を一度に加えた。次いで、反応混合物を、2.5時間にわたって還流状態で加熱した。室温まで冷却した後、混合物を、真空中で濃縮した(すべてのバッチを、この時点で合わせた)。得られた残渣を、ジクロロメタン(1.5L)に懸濁し、濾過し、ジクロロメタン(3×500mL)で固体を洗浄した。次いで、合わせた濾液および洗浄液を、炭酸水素ナトリウム(2×飽和水溶液1L)および塩水(2L)で洗浄し、次いで、真空中で濃縮すると、望ましい4−アセトキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1b:549.03g、定量的)が得られた。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ ppm 8.00-7.99 (m, 1H), 7.64 (d, 1H), 6.32-6.32 (m, 1H), 4.38 (q,
2H), 2.47 (d, 3H), 2.37 (s, 3H), 1.39 (t, 3H).
【0073】
中間体4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1c)の調製:
【0074】
【化5】

エタノール(4.00L)中の4−アセトキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1b:549.03g、1.37mol)の撹拌した溶液に、室温にて、炭酸カリウム(266g、1.92mol)を一度に加えた。次いで、反応混合物を、3時間にわたって60℃にて加熱した。次いで、炭酸カリウム(100g、0.720mol)を一度に加え、反応混合物を、さらに3時間にわたって60℃にて加熱した。室温まで冷却した後、混合物を、ジクロロメタン(2L)で希釈し、懸濁液を濾過し、ジクロロメタン(2×1L)で固体を洗浄した(すべてのバッチを、この時点で合わせた)。次いで、合わせた濾液および洗浄液を、クエン酸(1M水溶液2.5L)で洗浄し、次いで、真空中で濃縮し、得られた残渣を、ドライフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン、次いで、2:1ヘキサン:酢酸エチル)により精製した。望ましい生成物を含有するすべての画分を合わせ、真空中で濃縮した。放置すると固化した得られた残渣を、冷トルエンでスラリー化し、濾過した。次いで、固体を、熱トルエンと共に撹拌し、1時間にわたって木炭脱色し、続いて、セライトのパッドに通して熱混合物を濾過した。濾液を冷却し、得られた沈殿を濾過により単離すると、オレンジ色の粉末として望ましい4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1c:360g、90%)が得られた。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ ppm 7.73-7.73 (m, 1H), 7.45 (d, 1H), 6.51-6.50 (m, 1H), 5.85 (s,
1H), 4.39 (q, 2H), 2.48 (d, 3H), 1.40 (t, 3H). LCMS (液体クロマトグラフィー質量分析): m/z 221.06 (純度96.39%).
【0075】
出発材料5−クロロ−N,N−ジメチルピラジン−2−カルボキサミド(SM−1)の調製:
【0076】
【化6】

ジクロロメタン(30ml)中の5−クロロピラジン−2−カルボン酸(1.00グラム、6.31mmol)を、触媒量のジメチルホルムアミドと、続いて、(COCl)(0.85ml、9.46mmol)で処理した。得られた混合物を、終夜、撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、真空下で乾燥すると、固体として望ましい塩化5−クロロピラジン−2−カルボニル(1.05g、100%)が得られた。
【0077】
塩化5−クロロピラジン−2−カルボニル(2.13グラム、12.05mmol)およびジメチルアミンHCl塩(1.06グラム、12.7mmol)を、撹拌しながらジクロロメタン(50mL)に懸濁した。ジクロロメタン(25mL)中のトリエチルアミン(5.04mL、36.2mmol)を、反応混合物に0℃にて滴下添加した。合わせた溶液を、周囲温度まで温め、4時間にわたって撹拌した。化合物を、ジクロロメタンで希釈し、1N HCl、水、塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中30〜80%酢酸エチルのグラジエント)により精製すると、望ましい5−クロロ−N,N−ジメチルピラジン−2−カルボキサミド(SM−1:2.24g、85%)が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.74 (d, J=1.37 Hz, 1 H) 8.53 (d,
J=1.37 Hz, 1 H) 3.15 (s, 3 H) 3.12 (s, 3 H)
【0078】
中間体4−(5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1d)の調製:
【0079】
【化7】

フラスコに、4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1c:6.07g、27.6mmol)、5−クロロ−N,N−ジメチルピラジン−2−カルボキサミド(SM−1:5.06g、27.3mmol)、炭酸セシウム(9.78g、30mmol)を充填した。固体を、ジメチルホルムアミド(60mL)に溶かした。反応物を、3時間にわたって90℃まで加熱した。反応物を、周囲温度まで冷却した後、ジメチルホルムアミドを、真空中で除去した。粗反応混合物を、酢酸エチル(100ml)と水(30mL)の間で分配した。水層を、酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機層を、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中酢酸エチルの30〜80%グラジエント)により精製すると、淡褐色の固体として望ましい4−(5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1d)(8.3g、95%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.48
(d, J=1.17 Hz, 1 H) 8.41 (d, J=0.98 Hz, 1 H) 8.04 (t, J=1.07 Hz, 1 H) 7.71 (d,
J=1.17 Hz, 1 H) 6.16 - 6.21 (m, 1 H) 4.38 (q, J=7.22 Hz, 2 H) 3.17 (s, 3 H)
3.14 (s, 3 H) 2.45 (d, J=1.17 Hz, 3 H) 1.38 (t, J=7.12 Hz, 3 H). MS
(M+1): 370.1
【0080】
SM−2 5−ブロモ−N,N−ジメチルピリミジン−2−カルボキサミド(SM−2)の調製:
【0081】
【化8】

塩化オキサリル(47.4g、369mmol)と、続いて、ジメチルホルムアミド1〜2滴を、室温にてジクロロメタン(821ml)中の5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボン酸(50g、250mmol)の懸濁液に加えた。反応混合物を、2時間にわたって窒素下で撹拌すると、メタノール中のLCMSは、メチルエステルおよび一部の酸の存在を示した。ジメチルホルムアミド(0.2ml)を、反応混合物に加えた。酸は、30分後に溶けた。LCMSは、対応するメチルエステルを示し、出発材料ピークは観察されなかった。溶媒を除去し、真空中で乾燥すると、粗塩化5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボニル(55g、100%)が得られた。
【0082】
塩化5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボニル(55g、250mmol)を、テトラヒドロフラン(828ml)に溶かし、ジメチル−アミン(テトラヒドロフラン中2M溶液)(373ml、745mmol)を、室温にて少量ずつ加えた。反応物を、16時間にわたって窒素下で室温にて撹拌した後、LCMSは、完了を示した。混合物を、酢酸エチル(500ml)で希釈し、HO(500ml)で洗浄した。水層を、CHCl(5×500ml)でさらに抽出し、すべての有機物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾液を、真空中で濃縮し、次いで、メチル−t−ブチルエーテル(650ml)に懸濁した。次いで、溶液を、還流状態まで加熱した。熱溶液を、終夜、冷却すると、ピンク色の結晶が得られた。結晶を濾過し、冷メチル−t−ブチルエーテル(100ml)で洗浄し、固体を、12時間にわたって55℃にて真空オーブン中で乾燥すると、ピンク色の固体として表題化合物5−ブロモ−N,N−ジメチルピリミジン−2−カルボキサミド(SM−2:44g、77%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 2.94
(s, 3 H) 3.13 (s, 3 H) 8.85 (s, 2 H) m/z (M+1) = 232.
【0083】
中間体4−(2−(ジメチルカルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−2a)の調製:
【0084】
【化9】

ジメチルホルムアミド(200ml)中のCsCO(62.1g、191mmol)、5−ブロモ−N,N−ジメチルピリミジン−2−カルボキサミド(SM−2:24g、104mmol)および4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1c:20g、91mmol);1,10−フェナントロリン(1.64g、9.07mmol)およびヨウ化銅(864mg、4.54mmol)の混合物を、Nガスでパージし、次いで、機械式撹拌機を使用して90℃まで加熱した。不均一な反応混合物を、18時間にわたってこの温度にて撹拌した。HPLCは、ほぼ完了を示した。反応混合物を、35℃まで冷却し、酢酸エチル(300ml)で希釈した。混合物を濾過し、すべての炭酸セシウムを除去した。次いで、濾液を、水(500ml)と酢酸エチル(500ml)の間で分配したが、分離が観察されなかった。濃HCL(20ml)を、混合物に加えた。水相が約pH1になると、相は分離した。有機物を分離し、水層を、酢酸エチル(2×500ml)で再抽出した。すべての有機物を合わせ、水(200ml)および塩水(500ml)で逆抽出した。有機物を分離し、活性炭(10g)および硫酸マグネシウムで処理した。混合物を、10分にわたって撹拌し、次いで、セライトのプラグに通して濾過すると、粗黄色溶液が得られた。フィルターケーキを、酢酸エチル(100mL)で洗浄した。有機物を、真空中で濃縮すると、粗固体が得られ、これを、4日にわたって高真空下で乾燥した。乾燥粗固体を、メタノール(80mL)を使用して粉砕した。固体を、赤色の液体を含む微細な薄いオレンジ色の結晶性粉末に分散させた。固体を、濾過により分離し、メタノール(20mL)ですすいだ。固体を、12時間にわたって55℃にて真空オーブン中で乾燥すると、黄色の固体として4−(2−(ジメチルカルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−2a)(18.2g、54%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.41
(t, J=7.12 Hz, 3 H) 2.50 (d, J=0.98 Hz, 3 H) 3.00 (s, 3 H) 3.17 (s, 3 H) 4.41
(d, J=7.22 Hz, 2 H) 6.29 (s, 1 H) 7.62 (d, J=1.17 Hz, 1 H) 8.06 (s, 1 H) 8.50
(s, 2 H). m/z (M+1) = 370.5
【0085】
出発材料5−ブロモ−N−エチル−N−メチルピリミジン−2−カルボキサミド(SM−3)の調製:
【0086】
【化10】

塩化オキサリル(1.45g、11.1mmol)と、続いて、ジメチルホルムアミド1〜2滴を、室温にてジクロロメタン(50ml)中の5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボン酸(1.5g、7.4mmol)の懸濁液に加えた。反応混合物を、2時間にわたって窒素下で撹拌すると、メタノール中のLCMSは、メチルエステルおよび一部の酸の存在を示した。ジメチルホルムアミド(0.2ml)を、反応混合物に加えると、酸はすべて、30分後に溶けた。LCMSは、対応するメチルエステルを示し、出発材料ピークは観察されなかった。溶媒を除去し、真空中で乾燥すると、粗塩化5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボニル(1.6g)が得られた。
【0087】
塩化5−ブロモ−ピリミジン−2−カルボニル(1600mg、7.225mmol)を、ジクロロメタン(25ml)に溶かし、トリエチルアミン(4.03ml、28.9mmol)と、続いて、エチル−メチル−アミン(0.68mL、7.92mmol)を加えた。反応物を、16時間にわたって窒素下で室温にて撹拌した後、LCMSは、完了を示した。混合物を、ジクロロメタン(50ml)で希釈し、水(50ml)と、続いて、10%クエン酸(50ml)および塩水(50ml)で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、残渣を濾過し、溶媒を、真空中で除去すると、褐色の油として表題化合物5−ブロモ−N−エチル−N−メチルピリミジン−2−カルボキサミド(SM−3):(1.4g、79.4%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.08
- 1.31 (m, 3 H) 2.99 (d, J=79.05 Hz, 3 H) 3.19 (q, J=7.22 Hz, 1 H) 3.59 (q,
J=7.22 Hz, 1 H) 8.84 (d, J=3.12 Hz, 2 H)
【0088】
中間体4−(2−(エチル(メチル)カルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−5a)の調製:
【0089】
【化11】

フラスコに、5−ブロモ−N−エチル−N−メチルピリミジン−2−カルボキサミド(SM−3:615mg、2.5mmol)、4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1c:378mg、1.7mmol)、CsCO(1.15g、3.5mmol)、1,10−フェナントロリン(30.3mg、.17mmol)、ヨウ化銅(16mg、0.08mmol)およびジメチルホルムアミド(17mL)を充填した。反応混合物を、5分にわたってNで脱気し、次いで、N雰囲気下で16時間にわたって90℃まで加熱した。反応混合物を、酢酸エチル(250mL)で希釈し、水(3×100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。粗材料を、バイオタージ(biotage)50gシリカゲルカラム(Hep中20%〜100%EtOAc)により精製すると、黄色の固体として表題化合物4−(2−(エチル(メチル)カルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−5a:180mg、28%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.07
- 1.26 (m, 3 H) 1.34 (t, J=7.12 Hz, 3 H) 2.42 (d, J=0.98 Hz, 3 H) 2.97 (d,
J=65.77 Hz, 3 H) 3.14 - 3.66 (m, 2 H) 4.33 (q, J=7.22 Hz, 2 H) 6.14 - 6.32 (m,
1 H) 7.54 (dd, J=3.32, 1.17 Hz, 1 H) 7.92 - 8.04 (m, 1 H) 8.43 (d, J=4.10 Hz, 2
H). MS (M+1) = 384.3
【0090】
出発材料5−クロロ−N−エチル−N−メチルピラジン−2−カルボキサミド(SM−4)の調製:
【0091】
【化12】

表題化合物(I−7a)を、5−クロロピラジン−2−カルボン酸(2g、12.62mmol)およびエチル−メチル−アミン(0.846g、13.9mmol)を使用してSM−1の調製について記載されているものに類似した方法により調製すると、澄明な油として表題化合物5−クロロ−N−エチル−N−メチルピラジン−2−カルボキサミド(SM−4:2.05g、81%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.72
(dd, J=7.41, 1.37 Hz, 1 H), 8.53 (d, J=1.56 Hz, 1 H), 3.60 (q, J=7.22 Hz, 1 H),
3.42 (q, J=7.02 Hz, 1 H), 3.09 (d, J=10.73 Hz, 3 H), 1.17 - 1.31 (m, 3 H).
【0092】
中間体4−(5−(エチル(メチル)カルバモイル)ピラジン−2−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−7a)の調製:
【0093】
【化13】

4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1c:2.25g、10.22mmol)、炭酸カリウム(2.1g、15.3mmol)、5−クロロ−N−エチル−N−メチルピラジン−2−カルボキサミド(SM−4:2.04g、10.2mmol)を、アセトニトリル(30ml)中で混ぜた。混合物を、終夜、100℃にて加熱した後、反応混合物を、酢酸エチル(50ml)で希釈し、濾過した。有機層を濃縮し、ヘプタン中酢酸エチル20〜100%で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、ガムとして4−(5−(エチル(メチル)カルバモイル)ピラジン−2−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−7a:(3.9g、99.5%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.45
(dd, J=7.43, 1.17 Hz, 1 H), 8.40 (s, 1 H), 8.04 (t, J=1.07 Hz, 1 H), 7.71 (d,
J=0.98 Hz, 1 H), 6.18 (d, J=0.98 Hz, 1 H), 4.38 (q, J=7.04 Hz, 2 H), 3.60 (q,
J=7.23 Hz, 1 H), 3.48 (q, J=6.91 Hz, 1 H), 3.11 (d, J=10.36 Hz, 3 H), 1.38 (t,
J=7.13 Hz, 3 H), 1.20 - 1.28 (m, 3 H).
【実施例】
【0094】
(実施例1)
N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(I)の調製:
【0095】
【化14】

5−メチル−2−アミノピラジン(6.8g、63mmol)を、ジメチルエーテル70mLに溶解させ、0℃まで冷却した。塩化ジメチルアルミニウム(131mmol、ヘキサン中1M)を滴下添加した。得られた混合物を、周囲温度まで温め、30分にわたって撹拌した。次いで、ジメチルエーテル(70mL)中の4−(5−(ジメチルカルバモイル)ピラジン−2−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−1d:10.1g、27.3mmol)を、カニューレを介して活性化アミン溶液に加えた。合わせた溶液を、終夜、還流状態まで加熱した。反応物を、氷上で冷却し、水性ロッシェル塩(濃縮された、100mL)の滴下添加によりゆっくりとクエンチした。混合物を、20分にわたって撹拌した。混合物を分離した。有機層を、水性ロッシェル塩(30ml)、1N HCl(30ml)、塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中50〜100%酢酸エチルのグラジエント)により精製すると、望ましいN,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(1:8.5グラム72%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 9.57
(d, J=1.37 Hz, 1 H) 8.49 (d, J=1.37 Hz, 1 H) 8.45 (d, J=1.37 Hz, 1 H) 8.42 (s,
1 H) 8.14 (dd, J=1.56, 0.59 Hz, 1 H) 7.91 - 7.94 (m, 1 H) 7.62 (d, J=1.37 Hz, 1
H) 6.22 (t, J=0.98 Hz, 1 H) 3.18 (s, 3 H) 3.15 (s, 3 H) 2.55 (s, 3 H) 2.48 (d,
J=1.17 Hz, 3 H)
MS (M+1): 433.1.
【0096】
(実施例2)
N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(2)の調製:
【0097】
【化15】

オーバーヘッド撹拌および冷却器を備えた三つ口フラスコ内の0℃のジメチルエーテル(315mL)中の5−メチル−2−アミノピラジン(38.9g、356mmol)の溶液に、MeAlCl(ヘキサン中1M溶液)(715mL)を加えた。混合物を、室温まで温め、1.5時間にわたって撹拌した。別のフラスコ内で、4−(2−(ジメチルカルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−2a:52.6g、142.5mmol)を、ジメチルエーテル(210mL)に溶かした。次いで、この混合物を、複合(complexed)アミンに加えた。フラスコのスクラッチングによりガムが沈殿し、固体中に消散した。得られた反応物を、3.5時間にわたって還流すると、HPLCは、93%の完了を示した。水中で作ったロッシェル塩5リットルおよび2−メチルテトラヒドロフラン2リットルを、混合物に加えた。次いで、反応混合物を、二相系に注ぎ込んだ。混合物を、14時間にわたってオーバーヘッド撹拌で撹拌した後、黄色の固体が沈殿した。固体を、濾過によって集めた。保持された固体を、2−メチルテトラヒドロフランで洗浄した。得られた固体を、終夜、真空オーブン中で乾燥すると、表題化合物N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(2):(49.98g、81%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) d ppm 2.49 (d, J=1.17 Hz, 3 H) 2.55
(s, 3H) 2.98 (s, 3 H) 3.14 (s, 3 H) 6.28 (t, J=0.98 Hz, 1 H) 7.52 (d, J=1.37
Hz, 1 H) 7.88 - 7.92 (m, 1 H) 8.14 (d, J=0.78 Hz, 1 H) 8.37 (s, 1 H) 8.50 (s, 2
H) 9.54 (d, J=1.56 Hz, 1 H). m/z (M+1) = 433.4, m/z (M-1)= 431.5
【0098】
(実施例3)
5−(6−((5−メトキシピラジン−2−イル)カルバモイル)−2−メチルベンゾフラン−4−イルオキシ)−N,N−ジメチルピリミジン−2−カルボキサミド(3)の調製:
【0099】
【化16】

表題化合物(3)は、5−メトキシピラジン−2−アミンおよび4−(2−(ジメチルカルバモイル)−ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−2a)を使用して実施例1に記載されているものに類似した方法により調製した。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 2.49
(s, 3H), 2.99 (s, 3H), 3.15, (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 6.28 (s, 1H), 7.51 (s, 1H),
7.89 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.50 (s, 2H), 9.17 (s, 1H). m/z
= 449.1 (MH+)
【0100】
(実施例4)
N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(4)の調製:
【0101】
【化17】

表題化合物(4)は、1−メチル−1H−ピラゾール−3−アミンおよび4−(2−(ジメチルカルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−2a)を使用して実施例1に記載されているものに類似した方法により調製した。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.55
(br. s., 2 H), 8.08 (s, 1 H), 7.41 - 7.42 (m, 1 H), 7.03 - 7.05 (m, 1 H), 6.34
(s, 1 H), 3.92 (s, 3 H), 3.19 (s, 3 H), 3.09 (s, 3 H), 2.50 (s, 3 H). m/z
= 421.1 (MH+)
【0102】
(実施例5)
N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(5)の調製:
【0103】
【化18】

表題化合物(5)を、4−(2−(エチル(メチル)カルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−5a:99mg、0.26mmol)、5−メチル−2−アミノピラジン(84mg、0.77mmol)、塩化ジメチルアルミニウム(1.29mmol、ヘキサン中1M)およびジメチルエーテル(4.5mL)を使用して実施例1に記載されているものに類似した方法により調製すると、灰色がかった白色の固体としてN−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(5:70mg、61%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm
1.15-1.24 (m, 3 H) 2.44 (s, 3 H) 2.49 (s, 3 H) 2.99 (d, J=58.94 Hz, 3 H)
3.20-3.59 (m, 2 H) 6.23 (d, J=1.17 Hz, 1 H) 7.50 (dd, J=2.93, 1.17 Hz, 1 H)
7.89 (d, J=1.17 Hz, 1 H) 8.01 (s, 1 H) 8.46 (d, J=4.10 Hz, 2 H) 9.22 (d, J=3.71
Hz, 1 H) 9.48 (s, 1 H). MS (M+1): 447.3
【0104】
(実施例6)
N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(6)の調製:
【0105】
【化19】

表題化合物(6)を、4−(2−(エチル(メチル)カルバモイル)ピリミジン−5−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−5a:90mg、0.24mmol)、5−メチル−2−アミノピラジン(84mg、0.70mmol)、塩化ジメチルアルミニウム(1.17mmol、ヘキサン中1M)およびジメチルエーテル(4.5mL)を使用して実施例1に記載されているものに類似した方法により調製すると、表題化合物N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド(6:49mg、48%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.12
- 1.26 (m, 3 H) 2.43 (s, 3 H) 2.99 (d, J=63.04 Hz, 3 H) 3.20-3.60 (m, 2 H) 3.68
(s, 3 H) 6.22 (s, 1 H) 6.78 (d, J=1.56 Hz, 1 H) 7.18 - 7.30 (m, 1 H) 7.47 (d,
J=2.93 Hz, 1 H) 7.82 (s, 1 H) 8.43 (d, J=4.10 Hz, 2 H) 9.18 (s, 1 H). MS
(M+1): 435.3
【0106】
(実施例7)
N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(7)の調製:
【0107】
【化20】

表題化合物(7)を、4−(5−(エチル(メチル)カルバモイル)ピラジン−2−イルオキシ)−2−メチルベンゾフラン−6−カルボン酸エチル(I−7a:2.5g、6.52mmol)、5−メチル−2−アミノピラジン(1.42g、13mmol)、塩化ジメチルアルミニウム(26.1mmol、ヘキサン中1M)およびジメチルエーテル(50mL)を使用して実施例1に記載されているものに類似した方法により調製すると、灰色がかった白色の固体としてN−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(7:2.89g、99%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 9.56
(d, J=1.37 Hz, 1 H), 8.37 - 8.52 (m, 2 H), 8.13 (d, J=0.78 Hz, 1 H), 7.93 (t,
J=1.07 Hz, 1 H), 7.61 (s, 1 H), 6.10 - 6.27 (m, 1 H), 3.60 (q, J=7.17 Hz, 1 H),
3.40 - 3.53 (m, 1 H), 3.12 (d, J=12.70 Hz, 3 H), 2.55 (s, 3 H), 2.47 (s, 3 H),
1.22 - 1.28 (m, 3 H). MS (M+1): 447.3 (M-1) 445.4
【0108】
薬理学的試験
グルコキナーゼ酵素の活性化により調節される疾患を治療するための本発明の実施は、下で本明細書に記載されているプロトコールのうちの少なくとも1つにおける活性により証拠付けることができる。以下の頭字語は、下記のアッセイにおいて使用され、対応する定義を有する。供給源は、括弧内に示される。
【0109】
HEPES−N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](Sigma)
NADH−β−ニコチンアミドアデニンジ−ヌクレオチド、還元型(Sigma)
PEP−ホスホエノールピルビン酸(Sigma)
ATP−アデノシン三リン酸(Sigma)
DTT−ジチオスレイトール(Sigma)
PK/LDH=ピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼ共役酵素(Sigma)
グルコース−(Calbiochem)
BSA−ウシ血清アルブミンCohn画分(Calbiochem)
β細胞グルコキナーゼ(Molecular Biology)
【0110】
インビトロアッセイ
完全長グルコキナーゼ(β細胞アイソフォーム)を、N末端にてHisタグ化し、Niカラムと、続く、サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。320mLカラムは、Superdex75(Amersham Pharmacia、Carlsbad、CA)調製グレード樹脂を使用して自社内で充填した。グルコースは、Calbiochem(San Diego、CA)から入手し、他の試薬は、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。
【0111】
すべてのアッセイは、室温にてSpectramax PLUS分光光度計(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を使用してCorning384ウェルプレート中で行った。最終アッセイ体積は、40μLとした。このアッセイにおいて使用される緩衝液条件は、下記の通りである:50mM HEPES、5mMグルコース、2.5mM ATP、3.5mM MgCl、0.7mM NADH、2mMジチオスレイトール、1単位/mLピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼ(PK/LDH)、0.2mMホスホエノールピルビン酸、および25mM KCl。緩衝液pHは、7.1とした。ジメチルスルホキシド溶液中の試験化合物を緩衝液に加え、7.5分にわたってプレートシェーカーにより混ぜた。アッセイに導入されるジメチルスルホキシドの最終濃度は、0.25%であった。
【0112】
グルコキナーゼを緩衝液混合物に加え、化合物の存在および非存在下で反応を開始した。反応は、NADHの枯渇に起因する340nmにおける吸光度によりモニターした。初期反応速度は、0〜300秒の直線時間経過の勾配により測定した。最大活性化のパーセンテージは、下記式により計算した:
%最大活性化=(Va/Vo−1)×100;
式中、VaおよびVoの各々は、それぞれ試験化合物の存在および非存在下での初期反応速度と定義される。
【0113】
EC50(最大半減有効濃度)および%最大活性化を決定するために、化合物を、3倍ずつジメチルスルホキシド中で段階希釈した。グルコキナーゼ活性は、化合物濃度の関数として測定した。データを、下記の式にあてはめ、EC50および%最大活性化値を得た:
Va/Vo=1+(%最大活性化/100)/(1+EC50/化合物濃度)
【0114】
β細胞グルコキナーゼHis−Tag精製
増殖および誘導条件:
pBCGK(CまたはN His)ベクターを含有するBL21(DE3)細胞(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)を、OD600が0.6〜1.0の間になるまで37℃にて増殖させた(2XYT中)。発現は、細胞に0.1〜0.2mMの最終濃度までイソプロピルチオガラクトシドを添加することにより誘導し、次いで、23℃にて終夜インキュベートした。翌日、細胞を、4℃にて15分にわたる5000rpmでの遠心分離によって収集した。細胞ペレットは、後の精製のために−80℃にて保存した。
【0115】
精製:
Ni−NTA(Quigan、Germantown、MD)カラム(15〜50mL)を分離に使用した。2つの緩衝液、1)溶解/ニッケル平衡および洗浄緩衝液ならびに2)ニッケル溶出緩衝液を調製した。溶解/平衡/洗浄緩衝液は、最終濃度として、pH7.5の25mM HEPES緩衝液、250mM NaCl、20mMイミダゾール、および14mM β−メルカプトエタノールとして調製した。溶出緩衝液は、最終濃度として、pH7.5の25mM HEPES、250mM NaCl、400mMイミダゾール、および14mM β−メルカプトエタノールとして調製した。緩衝液は、使用前に各々を0.22μmフィルターで濾過した。細胞ペレット(1L培養液)を、溶解/平衡緩衝液300mLに再懸濁した。次いで、細胞を、Microfluidics Model 110Yミクロフルイダイザー(Microfluidics Corporation、Newton、MA)で溶解した(3回)。スラリーを、4℃にて45分にわたり40,000rpmでBeckman Coulter Model LE−80K超遠心分離機(Beckman Coulter、Fullerton、CA)で遠心分離した。上清を、冷やしたフラスコに移した。20μlの体積をゲル分析のために確保した。Pharmacia AKTA(GMI,Inc.、Ramsey、MN)精製システムを分離のために使用した。プライムライン(prime line)を溶解/平衡緩衝液でパージした。Ni−NTAカラムを、5mL/分の流速にて溶解/平衡緩衝液200mLで平衡化した。上清を、4mL/分にてカラムにロードし、フロースルーをフラスコに集めた。非結合タンパク質を、紫外線がベースラインに達するまで5mL/分の流速にて溶解/平衡緩衝液で洗浄した。次いで、タンパク質を、320mLにわたるイミダゾールグラジエント20mM〜400mMによってイミダゾール溶出緩衝液でカラムから溶出した。次いで、カラムを、溶出緩衝液80mLでさらなるタンパク質を取り除いた。溶出画分は、合計50サンプルを得るために各8mLとした。画分を、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド(SDS−PAGE)により分析し、対象とするタンパク質を含有する画分をプールし、窒素ガス(60psi)下で10,000分子量カットオフ(MWCO)Millipore膜(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)付きの限外濾過セルを使用して10mLまで濃縮した。タンパク質を、Sedex 75蒸発光散乱検出器(320mL)(Amersham Pharmacia、Uppsala、Sweden)を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりさらに精製した。SECは、25mM HEPES pH7.0、50mM NaCl、および5mMジチオスレイトールを含有するサイジング緩衝液(sizing buffer)450mLで平衡化した。次いで、濃縮されたタンパク質をSECにロードし、サイジング緩衝液400mLによる溶出を、0.5mL/分にて終夜行った。溶出画分は各5mLとした。画分を、SDS−PAGEにより分析し、タンパク質含有画分をプールした。濃度を、Bradford Assay/BSA Standardを使用して測定した。精製したタンパク質は、−80℃にて少量ずつに分けて保存した。
【0116】
EC50(μM)および最大活性化(%)データは、下の表1に要約されている。
【0117】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物、または薬学的に許容できるその塩
(式中、
Yは、Nであり、Zは、Cであり、またはYは、Cであり、Zは、Nであり、
およびRは、各々独立して、メチルまたはエチルであり、
は、5−メチルピラジン−2−イル、5−メトキシピラジン−2−イル、または1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルである)。
【請求項2】
Yが、Nであり、Zが、Cである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項3】
N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド;
5−(6−((5−メトキシピラジン−2−イル)カルバモイル)−2−メチルベンゾフラン−4−イルオキシ)−N,N−ジメチルピリミジン−2−カルボキサミド;
N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド;
N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド;および
N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピリミジン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される請求項2に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項4】
Yが、Cであり、Zが、Nである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項5】
N,N−ジメチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド、および
N−エチル−N−メチル−5−(2−メチル−6−((5−メチルピラジン−2−イル)カルバモイル)−ベンゾフラン−4−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミドからなる群から選択される請求項4に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項6】
およびRが、共にメチルであり、Rが、5−メチルピラジン−2−イルである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項7】
下記の構造を有する化合物。
【化2】

【請求項8】
下記の構造を有する化合物。
【化3】

【請求項9】
(i)請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、および(ii)薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
前記化合物または前記薬学的に許容できるその塩が、治療有効量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
抗肥満薬および抗糖尿病薬からなる群から選択される少なくとも1つの追加の医薬剤をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗肥満薬が、ジルロタピド、ミトラタピド、インプリタピド、R56918(CAS番号403987)、CAS番号913541−47−6、ロルカセリン、セチリスタット、PYY3−36、ナルトレキソン、オレオイル−エストロン、オビネピチド、プラムリンチド、テソフェンシン、レプチン、リラグルチド、ブロモクリプチン、オルリスタット、エクセナチド、AOD−9604(CAS番号221231−10−3)およびシブトラミンからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗糖尿病薬が、メトホルミン、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ダイヤビニーズ、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、トルブタミド、テンダミスタット、トレスタチン、アカルボース、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン−Q、サルボスタチン、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、エキセンジン−3、エキセンジン−4、トロデュスケミン、レセルバトロール、ヒルチオサール抽出物、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチンおよびサクサグリプチンからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
動物において肥満症および肥満症関連障害を治療するための方法であって、そのような治療を必要としている動物に、治療有効量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含む方法。
【請求項15】
動物において、2型糖尿病および糖尿病関連障害の進行または発症を治療するまたは遅らせるための方法であって、そのような治療を必要としている動物に、治療有効量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2012−520286(P2012−520286A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553571(P2011−553571)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050943
【国際公開番号】WO2010/103437
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】