説明

グルココルチコイド受容体アゴニストとしてのC−21チオエーテル

本発明は、一般構造式(VII)[L、R、R、R、RおよびRは、互いに独立に選択され、本明細書に定義されている通りである]を有する式(VII)の化合物およびその11−ケト類似体、ならびに前記化合物および前記11−ケト類似体の医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体および異性体を提供する。また、医薬組成物、製造方法、ならびに広範な免疫、自己免疫および炎症の疾患および状態の治療ならびに予防に当該化合物を使用する方法を提供する。本発明の新規な化合物は、予想外に低い全身的活性を有すると共に、有用な薬理学的活性を有する。したがって、本発明の化合物は、副作用プロファイルが劣った公知のグルココルチコイドに代わるより安全な代替物を提示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年12月21日に出願された米国仮特許出願第61/016,144号に関し、そして上記出願に対する優先権の利益を主張し、上記出願の内容は、その全体を本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、グルココルチコイド受容体のアゴニストである新規なC−21ステロイド誘導体およびそれらの製造方法に関する。本発明は、また、本発明のC−21ステロイド誘導体を含む医薬製剤、ならびに炎症およびアレルギー状態を含む疾患状態の治療におけるそれらの使用に関する。本発明のC−21ステロイド誘導体は、「解離」特性を示す。即ち、有害な副作用を伴う代謝効果を抗炎症および抗アレルギー効果から解離させることによって、現在市販されているアゴニストより良好な治療プロファイルを示すグルココルチコイド受容体アゴニストを提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
グルココルチコイド受容体は、核内受容体のファミリーの一部である。該受容体は、リガンドに結合すると、遺伝子の転写を促進または抑制する核転写因子である。グルココルチコイド受容体アゴニストは、天然であるか、または合成され得る。合成グルココルチコイド受容体アゴニストの例としては、プレドニソロンおよびデキサメタソンが挙げられる。グルココルチコイド受容体アゴニストは、貴重な抗炎症特性を有し、喘息、リウマチ様関節炎、湿疹および乾癬等の広範なアレルギーおよび炎症状態を抑制するのに当技術分野で広く使用されてきた(例えば、Barnes、P.「Corticosteroids: The drugs to beat」 European Journal of Pharmacology 2006年、533巻、2〜14頁参照)。残念なことに、この種類の化合物の治療潜在能力は、患者に投与することができる薬物の投与量またはアゴニストを患者に投与することができる時間を制限する有害な副作用の存在により、最大限に引き出されていない。副作用としては、低体温性下垂体副腎軸の抑圧、骨脱灰および骨粗鬆症、眼副作用(例えば、緑内障、白内障)、小児の発育不全、炭水化物代謝の破壊が挙げられる。
【0004】
したがって、当技術分野における目標は、副作用が軽減されたグルココルチコイド受容体アゴニストの開発であった。1つのアプローチは、吸入によって投与することができるグルココルチコイドの開発であった。このようにして投与された薬剤は、全身的バイオアベイラビリティーが低いため、より高い安全プロファイルを示す。これは、吸入投与、緩慢な肺吸収および迅速な排泄の組合せに起因する(例えば、Hogger、P.「Current Concepts for Optimizing the Therapeutic Index of Glucocorticoid Receptor Ligands for Oral and Inhalative Use: Basic Considerations and Clinical Reality」、Current Medicinal Chemistry−Anti−Inflammatory & Anti−Allergy Agents 2003年、2巻、395〜409頁参照)。このアプローチに従って開発された化合物の例としては、プロピオン酸フルチカゾンおよびその構造関連類似体(例えば米国特許第4,335,121号参照)、フロ酸モメタゾンおよびその構造関連類似体(例えば米国特許第4,472,393号参照)、または最近では国際公開第2002/12265号に開示されている類似体が挙げられる。
【0005】
吸入グルココルチコイドに伴う問題は、治療投与量が小さいと高い安全プロファイルを示すが、投与量が大きくなったとき、またはこれらの薬剤が長時間にわたって投与された場合はそれらの安全プロファイルが低下することである。したがって、このアプローチは、以前に開発されたグルココルチコイドより有利であるが、当技術分野では、より高い投与量で、もしくはより長時間にわたって、またはより高い投与量で、かつより長時間にわたって投与することができ、それにより治療できる疾患状態の範囲を拡大することを可能にし、または望ましくない副作用を軽減することを可能にするグルココルチコイドの必要性が依然として存在する。
【0006】
別のアプローチは、望ましくない副作用を引き起こす代謝効果が抗炎症効果から解離される化合物を発見することである。抗炎症活性が代謝活性から分離されたステロイドの発見は、当技術分野における先駆けとなる。
【0007】
ステロイド系および非ステロイド系グルココルチコイド類似体は、当技術分野で周知である。例えば、国際公開第1999/041256号には、非ステロイド性のグルココルチコイド選択的抗炎症薬が記載されている。英国特許第2,018,256号、米国特許第3,989,686号、米国特許第4,263,289号および欧州特許第0004773号には17種のチオカルボン酸ステロイド誘導体が記載されている。国際公開第1997/23565号には、抗炎症または抗アレルギー特性を有する17−β−カルボキシ、カルボキシチオのラクトン誘導体およびアミドアンドロンスタン誘導体が記載されている。国際公開第2006/043015号には、式:
【0008】
【化1】

の6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロ−ピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)エステルが有用な抗炎症活性を有し、全身的活性をほとんどまたは全く有さないことが報告されている。他の誘導体が、国際公開1997/24368号、国際公開第2000/64882号、国際公開第2003/035668号、中国特許第1414008号、米国特許第3,598,816号および米国特許第5,645,404号に開示されている。
【0009】
米国特許第4,861,765号には、優れた抗炎症特性にもかかわらず、全身的副作用が大幅に軽減されることが報告されている式:
【0010】
【化2】

の21置換チオエーテルグルココルチコイドステロイド誘導体が開示されている。米国特許第5,420,120号には、また、米国特許第4,861,767号に開示されているものと同様の21置換チオエーテルグルココルチコイドステロイド誘導体が開示されている。これらの化合物は、眼炎症障害の治療のための有効な局所的抗炎症薬であるといわれる。他のC21置換チオエーテル誘導体が、国際公開第1997/24367号、米国特許第3,687,942号およびS. Wuら、Ann. Chim. Acta、268巻、255〜260頁(1992年)に開示されている。
【0011】
特許文献1には、6α,9α−フルオロ−11β、17−ジヒドロキシ−16α−メチル−プレグナ−1,4−ジエン−3−オン−17−カルボン酸および関連化合物を含むステロイドの一群が開示されている。その明細書によれば、特許文献1に開示されているステロイドは、血管新生抑制活性および弱いグルココルチコイド活性を有する。特許文献1(の実施例23)に例示されている1つの当該化合物は、以下の構造を有する。
【0012】
【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第95/18621号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、良好な薬理学的(例えばグルココルチコイド)活性を示す本明細書に記載の新規なステロイド化合物を提供する。当該化合物は、本明細書において、「本発明の化合物」と称することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、抗炎症活性および抗アレルギー活性などの望ましい薬理学的活性を示す。いくつかの好適な実施形態において、本発明の化合物は、抗炎症活性および抗アレルギー活性などの望ましい薬理学的活性および軽減された副作用活性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態において、本発明は、式(VII):
【0016】
【化4】

に示される一般構造を有する化合物、または前記化合物の医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体を提供する。
式中、L、R、R、R、RおよびRは、互いに独立に選択され、
Lは、−CHS−であり;
は、アリール、アリールアルキル−、シクロアルキル、5員ヘテロシクロアルケニル、ベンゾ縮合5員ヘテロシクロアルケニル−、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール、6員ヘテロシクロアルケニルおよび6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されており;
は−ORであり;
は、水素、ヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状低級アルキルから選択され、あるいは
およびRは、一緒になって、式2:
【0017】
【化5】

の部分を形成することができ、
XおよびYは、水素、アルキルおよびフェニルから独立に選択され、但し、XまたはYの一方がフェニルであるときは、他方は水素であり;
zは、単結合または二重結合であり;
は、Hおよびハロゲンから選択され、但し、Rがハロゲンであるときは、zは単結合であり;
は、Hおよびアルキルから選択され;
各Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立に選択され;
は、水素、アルキルおよび−C(O)Rから選択され;
は、アルキルから選択される。
【0018】
Boltralikの米国特許第5,420,120号(US’120)には、構造的に類似のグルココルチコイド化合物が開示されている。しかし、US’120に例示されている化合物のすべてが、(式VIIについて)R(および場合によりR)および二重結合としてのzに対応する位置にハロゲンを含む。驚いたことに、かつ予想外に、上記式VIIに記載の構造基準を満たす化合物は、US’120に例示された最も近い構造の類似体と比較して、実験動物における胸腺減量を誘発する傾向(当該技術分野で認識されているグルココルチコイドのライアビリティ)が予想外に低いことを出願人は発見した。そのように、本発明の化合物は、先行技術に基づいて予測できなかったであろう全身的グルココルチコイドライアビリティの軽減および副作用プロファイルの向上を示すことが期待される。
【0019】
別の実施形態において、本発明の化合物および/またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体の少なくとも1つの治療有効量、ならびに医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物(または製剤)も提供する。別の実施形態において、本発明の化合物(および/またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体)の少なくとも1つの治療有効量、ならびに医薬として許容し得る担体を1つまたは複数のさらなる活性成分とともに含む医薬組成物も考えられる。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、炎症疾患および状態を治療する方法であって、当該治療を必要とする患者に本発明の少なくとも1つの化合物または組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、炎症疾患および状態の治療を必要とする患者の炎症疾患および状態を治療するための方法において、抗炎症特性が全身的副作用から解離される方法であって、本発明の解離ステロイド化合物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に使用されている用語は、それらの通常の意味を有し、当該用語の意味は、それらの存在毎に独立している。しかし、他に指定する場合を除いて、明細書および請求項全体を通じて以下の定義が適用される。同じ構造を示すために化学的名称、通称および化学構造を相互変換的に使用することができる。これらの定義は、他に指定する場合を除いて、用語を単独で使用するか、他の用語と組み合わせて使用するかにかかわらず適用される。したがって、「アルキル」の定義は、「アルキル」ならびに「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、アリールアルキル−、アルキルアリール−、「アルコキシ」等の「アルキル」部に適用される。
【0023】
当業者に理解されるように、ステロイド性化合物の立体配置を示すための規則が開発された。本開示は、当該規則に遵守している。したがって、例えば、ステロイドコアのC8、C14、10−CHおよび18−CH位は、本明細書に
【0024】
【化6】

として示される場合に、本開示および添付の請求項の目的では、以下に示される立体配置と同等であると見なされる。
【0025】
【化7】

本明細書に記載されているように、記号「L」は、本発明の化合物を示す様々な一般式に存在するときは、二価部分として示される。Lの定義の範囲内の様々な部分は、明細書および請求項全体を通じて、記載に従って左から右に読まれることになるため、Lの最も左の結合の結合点が化合物の残りに対する結合点であり、記載されているLの最も右の結合の結合点がRであると理解される。したがって、非限定的な例として、−L−が−CH−S−として記載されるときは、−L−の結合点は、「分子の残り」−CH−S−Rであると理解される。
【0026】
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0027】
「哺乳類」は、ヒトおよび他の哺乳動物を指す。
【0028】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。フッ素、塩素および臭素が好適である。
【0029】
「アルキル」は、直鎖状または分枝状であってよく、鎖に約1から約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。好適なアルキル基は、鎖に約1から約12個の炭素原子を含む。より好適なアルキル基は、鎖に約1から約6個の炭素原子を含む。分枝状は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖状または分枝状であってよい鎖に約1から約6個の炭素原子を有する基を指す。「アルキル」は、非置換であってよく、または同一であっても異なっていてもよい1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてよく、各置換基は、本明細書に記載されている通りであり、またはハロ、アルキル、ハロアルキル、スピロシクロアルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立に選択される。好適なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0030】
「ハロアルキル」は、アルキル上の1つまたは複数の水素原子が以上に定義されているハロ基に置き換えられた、以上に定義されているアルキルを指す。
【0031】
「ヘテロアルキル」は、分子の残りの結合点がヘテロアルキルラジカルの炭素原子を介する、同一であっても異なっていてもよい1つまたは複数のヘテロ原子で置き換えられた1つまたは複数の炭素原子、例えば1、2または3個の炭素原子を有する、以上に定義されているアルキル部分を指す。好適な当該ヘテロ原子としては、O、SおよびNが挙げられる。非限定的な例としては、エーテル、チオエーテル、アミン、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシプロピル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、2−アミノエチルおよび2−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
【0032】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、直鎖状または分枝状であってよく、鎖に約2から約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。好適なアルケニル基は、鎖に約2から約12個の炭素原子を有し、より好ましくは鎖に約2から約6個の炭素原子を有する。分枝状は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が直鎖状のアルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖状または分枝状であってよい鎖における約2から約6個の炭素原子を指す。「アルケニル」は、非置換であってよく、または同一であっても異なっていてもよい1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群から独立に選択される。好適なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブタ−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0033】
「アルキレン」は、以上に定義されているアルキル基から水素原子を除去することによって得られる二官能基を指す。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。より一般には、アルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル等における接尾辞「エン」は、二価部分を指し、例えば、−CHCH−はエチレンであり、
【0034】
【化8】

はパラ−フェニレンである。
【0035】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖状または分枝状であってよく、鎖に約2から約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を指す。好適なアルキニル基は、鎖に約2から約12個の炭素原子を有し、より好ましくは鎖に約2から約4個の炭素原子を有する。分枝状は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキル基が直鎖状のアルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖状または分枝状であってもよい鎖中に約2から約6個の炭素原子を指す。好適なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。「アルキニル」は、非置換であってよく、または同一であっても異なっていてもよい1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてよく、各置換基は、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択される。
【0036】
「アルケニレン」は、以上に定義されているアルケニル基から水素を除去することによって得られる二官能基を指す。アルケニレンの非限定的な例としては、−CH=CH−、−C(CH)=CH−および−CH=CHCH−が挙げられる。
【0037】
「アリール」は、約6から約14個の炭素原子、好ましくは約6から約10個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を指す。アリール基は、同一であっても異なっていてもよく、本明細書に定義されている通りである1つまたは複数の「環系置換基」で場合により置換され得る。好適なアリール基の非限定的な例としては、フェニルとナフチルが挙げられる。
【0038】
「ヘテロアリール」は、環原子の1個または複数個が、単独または組合せの炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄である、約5から約14個の環原子、好ましくは約5から約10個の環原子を含む芳香族単環式または多環式環系を指す。好適なヘテロアリールは、約5から約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、同一であっても異なっていてもよく、本明細書に定義されている通りである1つまたは複数の「環系置換基」で場合により置換され得る。ヘテロアリールの基本名称(root name)の前の接頭辞のアザ、オキサまたはチアは、少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−オキシドに場合により酸化され得る。「ヘテロアリール」は、以上に定義されているアリールに縮合した以上に定義されているヘテロアリールを含むこともできる。好適なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N置換ピリドンを含む)、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシンドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−チアジニルおよびベンゾチアゾリル等が挙げられる。「ヘテロアリール」という用語は、例えばテトラヒドロイソキノリルおよびテトラヒドロキノリル等の部分飽和ヘテロアリール部分も指す。
【0039】
「シクロアルキル」は、約3から約10個の炭素原子、好ましくは約5から約10個の炭素原子を含む非芳香族単環または多環式環系を指す。好適なシクロアルキル環は、約5から約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、同一であっても異なっていてもよく、本明細書に定義されている通りである1つまたは複数の「環系置換基」で場合により置換され得る。好適な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル等が挙げられる。好適な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニルおよびアダマンチルが挙げられる。シクロアルキルのさらなる非限定的な例としては、
【0040】
【化9】

【0041】
【化10】

が挙げられる。
【0042】
「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、約3から約10個の炭素原子、好ましくは約5から約10個の炭素原子を含む非芳香族単環または多環式環系を指す。好適なシクロアルケニル環は、約5から約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、同一であっても異なっていてもよく、本明細書に定義されている通りである1つまたは複数の「環系置換基」で場合により置換され得る。好適な単環式シクロアルケニルの非限定的な例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプタ−1,3−ジエニル等が挙げられる。好適な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニレニル、ならびにシクロアルキルについて以上に示されている例の不飽和部分である。
【0043】
「ヘテロシクロアルキル」(または「ヘテロシクリル」)は、環系における原子の1個または複数個が、単独または組合せの炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄である、約3から約10個の環原子、好ましくは約5個から約10個の環原子を含む非芳香族飽和単環式または多環式環系を指す。隣接する酸素および/または硫黄原子が環系に存在しない。好適なヘテロシクリルは、約5から約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの基本名称の前の接頭辞のアザ、オキサまたはチアは、少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環における任意の−NHが、例えば、−N(Boc)、−N(CBz)および−N(Tos)基等として保護された形で存在してよい。当該保護も本発明の一部と見なされる。ヘテロシクリルは、同一であっても異なっていてもよく、本明細書に定義されている通りである1つまたは複数の「環系置換基」で場合により置換され得る。ヘテロシクリルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに場合により酸化され得る。従って、「オキシド」という用語は、それが本明細書に記載されている一般構造における記号の定義に現れるときは、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドを指す。好適な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタムおよびラクトン等が挙げられる。「ヘテロシクリル」は、=Oが同一の炭素原子上の2つの利用可能な水素に取って代わる環も含む(即ち、ヘテロシクリルは、環におけるカルボニル基を有する環を含む)。当該=O基は、本明細書において「オキソ」と称することができる。当該部分の例は、ピロリドンである。
【0044】
【化11】

「ヘテロシクロアルケニル」(または「ヘテロシクレニル」)は、環系における原子の1個または複数個が、単独または組合せの炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄原子であり、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む、約3から約10個の環原子、好ましくは約5から約10個の環原子を含む非芳香族単環または多環式環系を指す。隣接する酸素および/または硫黄原子が環系に存在しない。好適なヘテロシクレニル環は、約5から約6個の環原子を含む。ヘテロシクレニルの基本名称の前の接頭辞のアザ、オキサまたはチアは、少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルを1つまたは複数の環系置換基によって場合により置換することができ、「環系置換基」は以上に定義されている通りである。ヘテロシクレニルの窒素または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに場合により酸化され得る。好適なヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ「2.2.1」ヘプテニル、ジヒドロチオフェニルおよびジヒドロチオピラニル等が挙げられる。「ヘテロシクレニル」は、=Oが同一の炭素原子上の2つの利用可能な水素に取って代わる環も含む(即ち、ヘテロシクリルは、環にカルボニル基を有する環を含む)。当該部分の例はピロリジノンである。
【0045】
【化12】

本発明のヘテロ原子含有環系において、N、OまたはSに隣接する炭素原子上にヒドロキシル基が存在せず、別のヘテロ原子に隣接する炭素上にもNまたはS基が存在しないことを留意されたい。したがって、例えば、環:
【0046】
【化13】

において、2および5で表示される炭素に直接結合した−OHが存在しない。
【0047】
例えば、部分:
【0048】
【化14】

などの互変異性体形は、本発明の一部の実施形態において同等であると見なされることにも留意されたい。
【0049】
「アリールシクロアルキル」(または「アリール縮合シクロアルキル」)は、本明細書に定義されている縮合アリールおよびシクロアルキルに由来する基を指す。好適なアリールシクロアルキルは、アリールが(「ベンゾ縮合」と称することができる)フェニルであり、シクロアルキルが約5から約6個の環原子からなるものである。アリールシクロアルキルは、本明細書に記載されているように場合により置換され得る。好適なアリールシクロアルキルの非限定的な例としては、インダニル(ベンゾ縮合シクロアルキル)および1,2,3,4−テトラヒドロナフチル等が挙げられる。親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介する。
【0050】
「アリールヘテロシクロアルキル」(または「アリール縮合ヘテロシクロアルキル」)は、本明細書に定義されている縮合アリールおよびヘテロシクロアルキルに由来する基を指す。好適なアリールシクロアルキルは、アリールが(「ベンゾ縮合」と称することができる)フェニルであり、ヘテロシクロアルキルが約5から約6個の環原子からなるものである。アリールヘテロシクロアルキルは、場合により置換され、かつ/または本明細書に記載されているオキシドまたはオキソを含み得る。好適なアリール縮合ヘテロシクロアルキルの非限定的な例としては、
【0051】
【化15】

が挙げられる。
【0052】
親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介する。
【0053】
「アリール縮合アリール−」、「アリール縮合シクロアルキル−」、「アリール縮合シクロアルケニル−」、「アリール縮合ヘテロシクロアルキル−」、「アリール縮合ヘテロシクロアルケニル−」、「アリール縮合ヘテロアリール−」、「シクロアルキル縮合アリール−」、「シクロアルキル縮合シクロアルキル−」、「シクロアルキル縮合シクロアルケニル−」、「シクロアルキル縮合ヘテロシクロアルキル−」、「シクロアルキル縮合ヘテロシクロアルケニル−」、「シクロアルキル縮合ヘテロアリール−」、「シクロアルケニル縮合アリール−」、「シクロアルケニル縮合シクロアルキル−」、「シクロアルケニル縮合シクロアルケニル−」、「シクロアルケニル縮合ヘテロシクロアルキル−」、「シクロアルケニル縮合ヘテロシクロアルケニル−」、「シクロアルケニル縮合ヘテロアリール−」、「ヘテロシクロアルキル縮合アリール−」、「ヘテロシクロアルキル縮合シクロアルキル−」、「ヘテロシクロアルキル縮合シクロアルケニル−」、「ヘテロシクロアルキル縮合ヘテロシクロアルキル−」、「ヘテロシクロアルキル縮合ヘテロシクロアルケニル−」、「ヘテロシクロアルキル縮合ヘテロアリール−」、「ヘテロシクロアルケニル縮合アリール−」、「ヘテロシクロアルケニル縮合シクロアルキル−」、「ヘテロシクロアルケニル縮合シクロアルケニル−」、「ヘテロシクロアルケニル縮合ヘテロシクロアルキル−」、「ヘテロシクロアルケニル縮合ヘテロシクロアルケニル−」、「ヘテロシクロアルケニル縮合ヘテロアリール−」、「ヘテロアリール縮合アリール−」、「ヘテロアリール縮合シクロアルキル−」、「ヘテロアリール縮合シクロアルケニル−」、「ヘテロアリール縮合ヘテロシクロアルキル−」、「ヘテロアリール縮合ヘテロシクロアルケニル−」および「ヘテロアリール縮合ヘテロアリール−」という用語は、同様に、既に記載されているアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基およびヘテロアリール基の組合せによって表されることも理解される。あらゆる当該基は、非置換であってよく、または本明細書に記載されている任意の利用可能な位置において1つまたは複数の環系置換基で置換されていてよい。「−」によって示され得る親部分への結合点は、非縮合部分に対するものである。
【0054】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリールおよびアルキルが既に記載されている通りであるアリール−アルキル−基を指す。好適なアラルキルは、低級アルキル基を含む。好適なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。該用語(および類似の用語)を「アリールアルキル−」と記載して、親部分への結合点を示すことができる。
【0055】
同様に、「ヘテロアリールアルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「シクロアルケニルアルキル」、「ヘテロシクロアルキルアルキル」、「ヘテロシクロアルケニルアルキル」等は、アルキル基を介して親部分に結合した本明細書に記載のヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル等を指す。好適な基は、低級アルキル基を含む。当該アルキル基は、本明細書に記載されているように、直鎖状または分枝状の非置換のかつ/または置換された基であってよい。
【0056】
同様に、「アリール縮合アリールアルキル−」、アリール縮合シクロアルキルアルキル等は、アルキル基を介して親部分に結合したアリール縮合アリール基、アリール縮合シクロアルキル基等を指す。好適な基は、低級アルキル基を含む。当該アルキル基は、本明細書に記載されているように、直鎖状または分枝状の非置換のまたは置換された基であってよい。
【0057】
「アルキルアリール」は、アルキルおよびアリールが既に記載されている通りであるアルキル−アリール−基を指す。好適なアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。好適なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する。
【0058】
「シクロアルキルエーテル」は、酸素原子および2から7個の炭素原子を含む3から7員の非芳香族環を指す。環炭素原子は、環酸素に隣接する置換基が、ハロまたは酸素、窒素または硫黄原子を介して環に結合した置換基を含まないのであれば、置換され得る。
【0059】
「シクロアルキルアルキル」は、(以上に定義されている)アルキル部分を介して親コアに結合した、以上に定義されているシクロアルキル部分を指す。好適なシクロアルキルアルキルの非限定的な例としては、シクロヘキシルメチル、アダマンチルメチルおよびアダマンチルプロピル等が挙げられる。
【0060】
「シクロアルケニルアルキル」は、(以上に定義されている)アルキル部分を介して親コアに結合した、以上に定義されているシクロアルケニル部分を指す。好適なシクロアルケニルアルキルの非限定的な例としては、シクロペンテニルメチルおよびシクロヘキセニルメチル等が挙げられる。
【0061】
「ヘテロアリールアルキル」は、(以上に定義されている)アルキル部分を介して親コアに結合した、以上に定義されているヘテロアリール部分を指す。好適なヘテロアリールの非限定的な例としては、2−ピリジニルメチルおよびキノリニルメチル等が挙げられる。
【0062】
「ヘテロシクリルアルキル」(または「ヘテロシクロアルキルアルキル」)は、(以上に定義されている)アルキル部分を介して親コアに結合した、以上に定義されているヘテロシクリル部分を指す。好適なヘテロシクリルアルキルの非限定的な例としては、ピペリジニルメチルおよびピペラジニルメチル等が挙げられる。
【0063】
「ヘテロシクレニルアルキル」は、(以上に定義されている)アルキル部分を介して親コアに結合した、以上に定義されているヘテロシクレニル部分を指す。
【0064】
「アルキニルアルキル」は、アルキニルおよびアルキルが既に記載されている通りであるアルキニル−アルキル−基を指す。好適なアルキニルアルキルは、低級アルキニルおよび低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介する。好適なアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパルギルメチルが挙げられる。
【0065】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールおよびアルキルが既に記載されている通りであるヘテロアリール−アルキル−基を指す。好適なヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。好適なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0066】
「ヒドロキシアルキル」は、アルキルが既に定義されている通りであるHO−アルキル−基を指す。好適なヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。好適なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0067】
「シアノアルキル」は、アルキルが既に定義されている通りであるCN−アルキル−基を指す。好適なシアノアルキルは、低級アルキルを含む。好適なシアノアルキル基の非限定的な例としては、シアノメチルおよび2−シアノエチルが挙げられる。
【0068】
「アシル」は、様々な基が既に記載されている通りであるH−C(O)−、アルキル−C(O)−またはシクロアルキル−C(O)−基を指す。親部分への結合は、カルボニルを介する。好適なアシルは、低級アルキルを含む。好適なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0069】
「アロイル」は、アリール基が既に記載されている通りであるアリール−C(O)−基を指す。親部分への結合は、カルボニルを介する。好適な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0070】
「アルコキシ」は、アルキル基が既に記載されている通りであるアルキル−O−基を指す。好適なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0071】
「アルキルオキシアルキル」は、本明細書に定義されているアルコキシおよびアルキルに由来する基を指す。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0072】
「アリールオキシ」は、アリール基が既に記載されている通りであるアリール−O−基を指す。好適なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0073】
「アラルキルオキシ」(または「アリールアルキルオキシ」)は、アラルキル基が既に記載されている通りであるアラルキル−O−基(アリールアルキル−O−基)を指す。好適なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0074】
「アリールアルケニル」は、本明細書に定義されているアリールおよびアルケニルに由来する基を指す。好適なアリールアルケニルは、アリールがフェニルであり、アルケニルが約3から約6個の原子からなるものである。アリールアルケニルは、1つまたは複数のR27置換基によって場合により置換され得る。親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介する。
【0075】
「アリールアルキニル」は、本明細書に定義されているアリールおよびアルケニルに由来する基を指す。好適なアリールアルキニルは、アリールがフェニルであり、アルキニルが約3から約6個の原子からなるものである。アリールアルキニルは、1つまたは複数のR27置換基によって場合により置換され得る。親部分への結合は、非芳香族炭素原子を介する。
【0076】
「アルキルチオ」は、アルキル基が既に記載されている通りであるアルキル−S−基を指す。好適なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0077】
「アリールチオ」は、アリール基が既に記載されている通りであるアリール−S−基を指す。好適なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0078】
「アラルキルチオ」は、アラルキル基が既に記載されている通りであるアラルキル−S−基を指す。好適なアラルキルチオ基の非限定的な例としては、ベンジルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0079】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を指す。好適なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0080】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を指す。好適なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0081】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を指す。好適なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0082】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を指す。好適な基は、アルキル基が低級アルキルであるものである。親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0083】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を指す。親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0084】
「スピロシクロアルキル」は、単一の炭素原子において親部分に結合したシクロアルキル基を指す。親部分がシクロアルキルであるスピロシクロアルキルの非限定的な例としては、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[2.4]ヘプタン等が挙げられる。親部分が、であるスピロシクロアルキルの非限定的な例。アルキル部分結合縮合環系(ヘテロアリール縮合ヘテロアリールアルキル−のアルキル部分など)は、スピロシクロアルキルまたは本明細書に記載されている他の基で場合により置換されていてよい。非限定的なスピロシクロアルキル基としては、スピロシクロプロピル、スピロシクロブチル、スピロシクロヘプチルおよびスピロシクロヘキシルが挙げられる。
【0085】
「置換された」という用語は、既存の状況下における指定の原子の通常の原子価を超えなければ、指定原子上の1つまたは複数の水素が指定の群からの選択物に置き換えられること、および置換が安定な化合物をもたらすことを意味する。置換基および/または記号の組合せは、当該組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度での単離および効果的な治療薬への形成に耐えるのに十分に強い化合物を指す。
【0086】
「場合により置換された」という用語は、特定の基、ラジカルまたは部分による場合による置換を指す。
【0087】
シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはアリール縮合シクロアルキルアルキル−部分等における置換は、任意の環部および/または基のアルキル部における置換を含む。
【0088】
例えば−N(RにおけるRのように基に記号が複数回現れる場合、または記号が、式(VII)などの本明細書に示される構造に複数回現れる場合は、記号は同一であっても異なっていてもよい。
【0089】
「本発明の化合物」(または「発明の化合物」)は、個々に、かつ/または集約的に、一般式(VII)に包含される発明の化合物、およびそれに記載される様々な実施形態、またはそれに包含される個々の化合物を指す。
【0090】
化合物における部分(例えば、置換基、基または環)の数に関して、他に指定する場合を除いて、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という語句は、化学的に許容される限りの部分が存在でき、当該部分の最大数の決定が当業者の知識の範囲内に十分におさまることを意味する。「本発明の、例えば式(VII)の少なくとも1つの化合物」の使用を含む組成物および方法に関して、本発明の、例えば式(VII)の1から3つ、好ましくは1つの化合物を同時に投与することができる。
【0091】
本発明の化合物は、1つまたは複数の環系置換基を有する1つまたは複数の環を含むことができる。「環系置換基」は、例えば、環系上の利用可能な水素に取って代わる芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を指す。環系置換基は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ本明細書に記載されている通りであり、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群から独立に選択され、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群から独立に選択される。「環系置換基」は、環系上の2つの隣接炭素原子上の2つの利用可能な水素(各炭素上の1つのH)に同時に取って代わる単一部分を指すこともできる。当該部分の例は、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルケニル環などの環である。さらなる非限定的な例としては、例えば、
【0092】
【化16−1】

などの部分を形成するメチレンジオキシ、エチレンジオキシおよび−C(CH−等が挙げられる。
【0093】
本明細書に用いられるように、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の成分の特定の量の組合せから直接または間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。
【0094】
結合としての線
【0095】
【化16−2】

は、一般に、例えば(R)−および(S)−立体化学構造を含む可能な異性体の混合物またはいずれかを指す。例えば、
【0096】
【化17−1】

本明細書に使用されている波線
【0097】
【化17−2】

は、化合物の残りに対する結合点を指す。例えば、以下の構造:
【0098】
【化18】

における各波線は、本明細書に記載されているコア構造への結合点を指す。
【0099】
例えば、
【0100】
【化19】

などの環系に引かれた線は、示された線(結合)が置換可能な環炭素原子のいずれかに結合できることを示す。
【0101】
「オキソ」は、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニルまたは本明細書に記載の他の環における環炭素に二重結合されている酸素原子、例えば
【0102】
【化20】

として定義される。
【0103】
本明細書において、複数の酸素および/または硫黄原子が環系に存在する場合は、前記環系には隣接する酸素および/または硫黄が存在し得ない。
【0104】
すべての原子価要件が満たされるのであれば、本発明の化合物の炭素原子を1から3個の珪素原子で置き換えてよいことを注記する。
【0105】
当技術分野で周知のように、結合の終端に部分が示されていない、特定の原子から引かれた結合は、他に指定する場合を除いて、その結合を介して原子に結合したメチル基を指す。例えば、
【0106】
【化21】

化合物についての「精製された」、「精製された形の」または「単離および精製された形の」という用語は、合成プロセス(例えば反応混合物)もしくは天然源またはそれらの組合せから単離された後の前記化合物の物理的状態を指す。したがって、化合物についての「精製された」、「精製された形の」または「単離および精製された形の」という用語は、本明細書に記載されている、または当業者に周知の標準的な分析技術によって特徴づけることが可能である十分な純度で、本明細書に記載されている、または当業者に周知の1つまたは複数の精製プロセス(例えば、クロマトグラフィーおよび再結晶化等)から得られた後の前記化合物の物理的状態を指す。
【0107】
本明細書の本文、スキーム、実施例および表における、原子価が満たされていない任意の炭素原子ならびにヘテロ原子は、原子価を満たすための十分な数の水素原子を有するものと想定されることにも留意されたい。
【0108】
化合物の官能基が「保護された」と記載される場合は、これは、該基が、化合物を反応させた際の保護側での望ましくない副反応を防止するための変性された形であることを意味する。好適な保護基は、当業者によって認識されるとともに、例えばT. W.Greeneら、Protective Groups in Organic Synthesis(1991年)、Wiley、New Yorkなどの標準的な専門書を参照することによって認識される。
【0109】
本明細書に使用されているように、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組合せから直接または間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。
【0110】
本明細書には本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も意図される。T. Higuchi and V.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987年)the A. C. S. Symposium Seriesの14巻およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987年)Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressには、プロドラッグの説明が示されている。「プロドラッグ」という用語は、インビボで転換して、本発明の化合物または該化合物の医薬として許容し得る塩、水和物もしくは溶媒和物を与える化合物(例えば薬物前駆体)を指す。該転換は、例えば、血液、胃腸管または肺における加水分解を介する(例えば代謝または化学的プロセスによる)様々な機構によって起こり得る。プロドラッグの使用の説明は、T. Higuchi and W. Stella、「Prodrugs as Novel Delivery Systems」、the A. C. S. Symposium Seriesの14巻およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(1987年)に示されている。
【0111】
例えば、本発明の化合物または該化合物の医薬として許容し得る塩、水和物もしくは溶媒和物がカルボン酸官能基を含む場合は、プロドラッグは、酸基の水素原子を、例えば、(C〜C)アルキル、(C〜C12)アルカノイルオキシメチル、4から9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3から6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル(β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキルおよびピペリジノ、ピロリジノまたはモルホリノ(C〜C)アルキル等の基で置き換えることによって形成されたエステルを含むことができる。
【0112】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合は、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を、例えば、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、(C〜C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C〜C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C〜C)アルカノイル、α−アミノ(C〜C)アルカニル、アリールアシルおよびα−アミノアシルまたはα−アミノアシル−α−アミノアシル(各α−アミノアシル基は、天然のL−アミノ酸、P(O)(OH)、−P(O)(O(C〜C)アルキル)またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタールの形のヒドロキシル基の除去により得られるラジカル)から独立に選択される)等の基で置き換えることによって形成され得る。
【0113】
本発明の化合物は、C−11位にヒドロキシル基を含む。本発明の化合物のいずれかの11−ケトプロドラッグを、C−11ヒドロキシからの出発コア成分を対応するC−11ケト化合物に変換し、次いで本明細書に記載されている手順に従うことによって得ることができる。本発明の化合物のプロドラッグの例を以下の表5に示す。
【0114】
本発明の化合物がアミン官能基を含む場合は、プロドラッグは、アミン基の水素原子を、例えば、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(RおよびR’は、それぞれ独立に(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、ベンジルであり、またはR−カルボニルは、天然のα−アミノアシルもしくは天然のα−アミノアシルである)、−C(OH)C(O)OY(Yは、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルである)、−C(OY)Y(Yは(C〜C)アルキルであり、Yは、(C〜C)アルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y)Y(Yは、Hまたはメチルであり、Yは、モノ−N−もしくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノモルホリノである)、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イル等の基で置き換えることによって形成され得る。
【0115】
本発明の1つまたは複数の化合物は、非溶媒和の形、または水およびエタノール等の医薬として許容し得る溶媒との溶媒和の形で存在することができ、本発明は、溶媒和の形および非溶媒和の形の両方を包含することを意図する。「溶媒和」は、本発明の化合物と1つまたは複数の溶媒分子との物理的会合を指す。この物理的会合は、水素結合を含む様々な程度のイオンおよび共有結合を含む。特定の場合において、溶媒和物は、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に含まれるときは、単離が可能である。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレートおよびメタノレート等が挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0116】
本発明の1つまたは複数の化合物を場合により溶媒和物に変換することができる。溶媒和物の製造は、一般に公知である。したがって、例えば、M. Cairaら、J. Pharmaceutical Sci.、93(3)巻、601〜611頁(2004年)には、酢酸エチルならびに水による抗真菌性フルコナゾールの溶媒和物の製造が記載されている。溶媒和物、半溶媒和物および水和物等の同様の製造が、E. C. van Tonderら、AAPS PharmSciTech.、5(1)巻、12条(2004年);およびA. L. Binghamら、Chem. Commun.、603〜604頁(2001年)に記載されている。典型的な非限定的プロセスは、発明の化合物を所望の量の所望の溶媒和物(有機物もしくは水またはそれらの混合物)に室温より高い温度で溶解させ、結晶を形成するのに十分な速度で該溶液を冷却し、次いで結晶を標準的な方法によって単離することを含む。例えばI.R.分光分析法などの分析技術によって、溶媒和物(または水和物)としての結晶中の溶媒(または水)の存在を確認する。
【0117】
「有効量」または「治療有効量」は、上記疾患を抑制して、所望の治療、改善、抑制または予防効果をもたらすのに有効な本発明の化合物または組成物の量を示すことを意図する。
【0118】
本発明の化合物は、本発明の範囲内である塩を形成することができる。本明細書における本発明の化合物の言及は、他に指定する場合を除いて、その塩の言及を含むものと理解される。本明細書に採用されている「塩」という用語は、無機および/または有機酸を用いて形成された酸塩、ならびに無機および/または有機塩基を用いて形成された塩基塩を指す。加えて、本発明の化合物が、ピリジンまたはイミダゾールなどの(但し、それに限定されない)塩基部分およびカルボン酸などの(但し、それに限定されない)酸部分の両方を含む場合は、対イオン(「分子内塩」)が形成されてよく、本明細書に使用される「塩」という用語内に含められる。医薬として許容し得る(即ち無毒性の生理的に許容し得る)塩が好適であるが、他の塩も有用である。例えば、本発明の化合物と、当量などの量の酸または塩基とを、塩が析出する媒体などの媒体中、または水性媒体中で反応させた後に凍結乾燥することによって、本発明の化合物の塩を形成することができる。
【0119】
例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン化物およびトルエンスルホン酸塩(トシレートとして公知である)等が挙げられる。また、塩基医薬組成物からの医薬として有用な塩の形成に好適であると一般に考えられている酸が、例えば、P. Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use.(2002年)Zurich: Wiley−VCH;S. Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977年)、66(1)巻、1〜19頁;P. Gould、International J. of Pharmaceutics(1986年)、33巻、201〜217頁;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996年)、Academic Press、New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington, D. C.のウェブサイト)に記載されている。これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0120】
例示的な塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば有機アミン)による塩、ならびにアルギンおよびリシン等のアミノ酸による塩が挙げられる。塩基窒素含有基を、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチルならびに塩化、臭化およびヨウ化ブチル)、ジアルキル硫酸塩(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルおよび硫酸ジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、塩化、臭化およびヨウ化ラウリルならびに塩化、臭化およびヨウ化ステアリル)およびアラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)等の物質を用いて四級化することができる。
【0121】
すべての当該酸塩および塩基塩は、本発明の範囲内の医薬として許容し得る塩であることを意図し、すべての酸および塩基塩は、本発明の目的の対応する化合物の遊離形と同等であると見なされる。
【0122】
本化合物の医薬として許容し得るエステルとしては、以下のグループが挙げられる。(1)エステル基のカルボン酸部の非カルボニル部分が直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチルまたはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えばメトキシメチル)、アラルキル(例えばベンジル)、アリールオキシアルキル(例えばフェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシまたはアミノなどで場合により置換されたフェニル);(2)アルキル−またはアラルキルスルホニル(例えばメタンスルホニル)などのスルホン酸エステル;(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル);(4)ホスホン酸エステルならびに(5)モノ、ジまたはトリリン酸エステル。リン酸エステルを、例えば、C1〜20アルコールもしくはその反応性誘導体、または2,3−ジ(C6〜24)アシルグリセロールによってさらにエステル化することができる。
【0123】
本発明の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、それらの互変異性体形で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在することができる。すべての当該互変異性体形は、本明細書において本発明の一部と考えられる。
【0124】
本発明の化合物は、不斉またはキラル中心を含むため、異なる立体異性体形で存在することができる。本発明の化合物のすべての立体異性体、ならびにラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部を構成することを意図する。加えて、本発明は、すべての幾何異性体および位置異性体を包含する。例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を含む場合は、シス形およびトランス形の両方ならびに混合物が本発明の範囲内に包含される。
【0125】
ジアステレオ異性体混合物を、それらの物理化学的差異に基づいて、当業者に周知の方法、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によってそれらの個々のジアステレオ異性体に分離することができる。鏡像異性体混合物を適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャー酸塩化物などのキラル助剤)との反応によってジアステレオ異性体混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換(例えば加水分解)することによって鏡像異性体を分離することができる。また、本発明の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば置換ビアリール)であってよく、本発明の一部と見なされる。鏡像異性体をキラルHPLCカラムの使用によって分離することもできる。
【0126】
本発明の化合物は、異なる互変異性体形で存在することも可能であり、すべての当該互変異性体形が本発明の範囲内に包含される。また、例えば、該化合物のすべてのケト−エノールおよびイミン−エナミン形が本発明に含まれる。
【0127】
(不斉炭素が存在しなくても存在することができる)鏡像異性体形、回転異性体形、アトロプ異性体およびジアステレオ異性体形を含む、様々な置換基上の不斉炭素により存在することができるものなどの本発明の化合物のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体および光学異性体等)(該化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグならびに該プロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルの立体異性体を含む)が、位置異性体(例えば、4−ピリジルと3−ピリジルなど)と同様に本発明の範囲内であると考えられる。(例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を含む場合は、シス形およびトランス形の両方ならびに混合物が本発明の範囲内に包含される。また、例えば、該化合物のすべてのケト−エノールおよびイミン−エナミン形が本発明に含まれる。)。
【0128】
本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてよく、あるいは例えばラセミ体として、またはすべての他の立体異性体もしくは他の選択された立体異性体と混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC1974勧告によって規定されているSまたはR構造を有することができる。「塩」、「溶媒和物」、「エステル」および「プロドラッグ」等の用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの、塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく適用されることを意図する。
【0129】
本発明は、また、1つまたは複数の原子が、通常自然に見いだされる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられていることを除いては本明細書に記載のものと同一である本発明の同位体標識化合物を包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、それぞれH、H、13C、14C、16N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体が挙げられる。
【0130】
本発明の特定の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(即ちH)および炭素−14(即ち14C)同位体が、製造の容易さおよび検出性のために特に好適である。さらに、重水素(即ちH)などのより重い同位体による置換は、より高度な代謝安定性に起因する一定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増大または投与必要量の低減)をもたらすことができるため、状況によっては好適であり得る。本発明の同位体標識化合物を、一般には、非同位体標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、以下のスキームおよび/または実施例に開示されているものと類似の手順に従うことによって製造することができる。
【0131】
本発明の化合物、ならびに本発明の化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの多形が本発明に含まれることを意図する。
【0132】
「医薬組成物」という用語は、また、例えば、任意の医薬として不活性な賦形剤とともに、本発明の化合物および本明細書に記載のさらなる薬剤のリストから選択されるさらなる薬剤などの1つ以上の(例えば2つまたは3つ以上の)医薬活性薬で構成されるバルク組成物および個々の投与単位の両方を包含することを意図する。バルク組成物およびそれぞれの個々の投与単位は、一定量の前記「2つ以上の医薬活性薬」を含むことができる。バルク組成物は、まだ個々の投与単位に形成されていない材料である。例示的な投与単位は、錠剤、丸剤、エアロゾル剤および吸入に好適な他の剤形等の経口投与単位である。同様に、本発明の医薬組成物を投与することによって患者を治療する本明細書に記載の方法は、また、前記バルク組成物および個々の投与単位の投与を包含することを意図する。
【0133】
以下に示すすべての実施形態において、2つ以上の記号に対する部分が同じ実施形態について示される場合は、各記号は、互いに独立に選択されるものと考えられるべきである。
【0134】
(「一実施形態において」として、または「別の実施形態において」として、または「他の実施形態において」等として記載される)以下の実施形態は、互いに独立している。異なる当該実施形態を独立に選択し、様々な組合せで組み合わせることができる。当該組合せは、本発明の一部と見なされるべきである。
【0135】
以下に示されるすべての実施形態において、2つ以上の記号に対する部分が同じ実施形態について記載されている場合は、各記号が互いに独立に選択されているものと見なされるべきである。
【0136】
一実施形態において、本発明は、上記式(VII)に示される一般構造を有する化合物、または前記化合物の医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体を提供する。
【0137】
一実施形態では、式(VII)において、構造式:
【0138】
【化22】

を有する化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体である。式中、L、R、R、R、R、Rおよびzは、互いに独立に選択され、式(VII)に定義されている通りである。
【0139】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、アリール、アリールアルキル−およびシクロアルキルから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されている。
【0140】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、5員ヘテロシクロアルケニル、ベンゾ縮合5員ヘテロシクロアルケニル、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール、6員ヘテロシクロアルケニルおよび6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されている。
【0141】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、5員ヘテロシクロアルケニル、ベンゾ縮合5員ヘテロシクロアルケニル、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール、6員ヘテロシクロアルケニルおよび6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されており;Rは、水素およびアルキルから選択される。
【0142】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されている。
【0143】
本明細書に記載されている様々な実施形態のRの非限定的な例としては、
【0144】
【化23】

が挙げられる。
【0145】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−OHである。
【0146】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−O−アルキルである。
【0147】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−O−メチルである。
【0148】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−O−エチルである。
【0149】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−O−プロピルである。
【0150】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−OC(O)Rである。
【0151】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、水素およびアルキルから選択される。
【0152】
一実施形態では、式(VII)において、Rは非置換である。
【0153】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、1から3個の置換基で置換されている。
【0154】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、1から2個の置換基で置換されている。
【0155】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、1個の置換基で置換されている。
【0156】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、同一であっても異なっていてもよく、アルキル、ヒドロキシ、ハロゲンおよびハロアルキルからそれぞれ独立に選択される1から2個の置換基で置換されている。
【0157】
一実施形態では、式(VII)において、Rは水素である。
【0158】
一実施形態では、式(VII)において、Rはヒドロキシである。
【0159】
一実施形態では、式(VII)において、RはC〜Cアルキルである。
【0160】
一実施形態では、式(VII)において、Rはメチルである。
【0161】
一実施形態では、式(VII)において、Rはエチルである。
【0162】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、直鎖状または分枝状プロピルである。
【0163】
一実施形態では、式(VII)において、Rはヒドロキシであり、Rはメチルである。
【0164】
一実施形態では、式(VII)において、Rはヒドロキシであり、Rは水素である。
【0165】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式2:
【0166】
【化24】

の部分を形成し、
XおよびYは、水素、アルキルおよびフェニルからそれぞれ独立に選択され、但し、XまたはYの一方がフェニルであるときは、他方は水素である。
【0167】
一実施形態では、式2において、Xは水素であり、Yは、直鎖状または分枝状低級アルキルである。
【0168】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0169】
【化25】

の部分を形成する。
【0170】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0171】
【化26】

の部分を形成する。
【0172】
1つの当該実施形態において、C22の絶対立体配置はRである。
【0173】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0174】
【化27】

の部分を形成し、
XおよびYの一方はHであり、他方は低級直鎖状または分枝状アルキルである。1つの当該実施形態において、XおよびYの一方はHであり、他方は−CHCHCHである。
【0175】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0176】
【化28】

の部分を形成し、XおよびYの一方はHであり、他方は−CHCHCHである。1つの当該実施形態において、C22の絶対立体配置はRである。
【0177】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0178】
【化29】

の部分を形成する。
【0179】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0180】
【化30】

の部分を形成する。
【0181】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0182】
【化31】

の部分を形成する。
【0183】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは、一緒になって、式:
【0184】
【化32】

の部分を形成する。
【0185】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは水素である。
【0186】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンである。
【0187】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはフルオロである。
【0188】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはクロロである。
【0189】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは、水素およびアルキルから選択される。
【0190】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはメチルである。
【0191】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはエチルである。
【0192】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは、直鎖状または分枝状プロピルである。
【0193】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは水素であり、Rは水素である。
【0194】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは水素であり、Rはアルキルである。
【0195】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは水素であり、Rはメチルである。
【0196】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは水素であり、Rはエチルである。
【0197】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは水素であり、Rは、直鎖状または分枝状プロピルである。
【0198】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンであり、zは単結合である。
【0199】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンであり、Rは水素である。
【0200】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンであり、Rはアルキルである。
【0201】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンであり、Rはメチルである。
【0202】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンであり、Rはエチルである。
【0203】
別の実施形態では、式(VII)において、Rはハロゲンであり、Rは、直鎖状または分枝状プロピルである。
【0204】
別の実施形態では、式(VII)において、Rは、フルオロまたはクロロであり、Rはメチルである。
【0205】
別の実施形態では、式(VII)において、zは単結合である。
【0206】
別の実施形態では、式(VII)において、zは二重結合である。
【0207】
一実施形態では、式(VII)において、Rは−OR(Rは水素である)であり、Rは水素またはメチルであり、RおよびRは、ともに水素であり、zは二重結合である。
【0208】
一実施形態において、本発明は、式(VII)(式中、Rは−OR(Rは水素である)であり、Rは水素またはメチルであり、RおよびRは、ともに水素であり、zは二重結合である)の化合物を含む、経口投与のために調合された医薬組成物を提供する。
【0209】
一実施形態では、式(VII)において、Rは、ベンゾ縮合5員ヘテロアリールであり、Rは−OR(Rは水素である)であり、Rは水素またはメチルであり、RおよびRは、ともに水素であり、zは二重結合である。
【0210】
一実施形態において、本発明は、式(VII)(式中、Rは、ベンゾ縮合5員ヘテロアリールであり、Rは−OR(Rは水素である)であり、Rは水素またはメチルであり、RおよびRは、ともに水素であり、zは二重結合である)の化合物を含む、経口投与のために調合された医薬組成物を提供する。
【0211】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは水素であり、RおよびRは、一緒になって、式:
【0212】
【化33】

の部分を形成し、zは二重結合である。
【0213】
一実施形態において、本発明は、吸入による投与のために配合された医薬組成物を提供し、その組成物は、式(VII)[RおよびRは水素であり、RおよびRは、一緒になって、式:
【0214】
【化34】

の部分を形成し、zは二重結合である]の化合物を含む。
【0215】
一実施形態では、式(VII)において、RおよびRは水素であり、RおよびRは、一緒になって、式:
【0216】
【化35】

の部分を形成し、zは二重結合であり、Rは、ベンゾ縮合5員ヘテロアリールおよびナフチルから選択される。
【0217】
一実施形態において、本発明は、吸入による投与のために配合された医薬組成物を提供し、その組成物は、式(VII)[RおよびRは水素であり、RおよびRは、一緒になって、式:
【0218】
【化36】

の部分を形成し、zは二重結合であり、Rは、ベンゾ縮合5員ヘテロアリールおよびナフチルから選択される]の化合物を含む。
【0219】
一実施形態では、式(VII)において、式(VIIa):
【0220】
【化37】

の一般構造を有する化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体である。
式中、R、Rおよびzは、独立に選択され、
は、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されており、
は、水素および低級直鎖状または分枝状アルキルから選択され;
z(点線)は、単結合または二重結合を表す。
【0221】
一実施形態では、式(VIIa)において、Rは、Hおよびメチルから選択される。
【0222】
一実施形態では、式(VIIa)において、Rは、Hおよびメチルから選択され、zは単結合である。
【0223】
一実施形態では、式(VIIa)において、Rは、Hおよびメチルから選択され、zは二重結合である。
【0224】
一実施形態では、式(VII)において、式(VIIb):
【0225】
【化38】

の一般構造を有する化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体である。
式中、R、XおよびYは、独立に選択され、
は、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されており、
XおよびYは、それぞれ式(VII)における様々な実施形態に記載されている通りである。
【0226】
一実施形態では、式(VII)において、式(VIIb.1):
【0227】
【化39】

の一般構造を有する化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体である。
式中、R、XおよびYは、独立に選択され、
は、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されており、
XおよびYは、それぞれ式(VII)における様々な実施形態に記載されている通りである。
【0228】
一実施形態では、式(VIIb)および(VIIb.1)において、XはHであり、Yは、直鎖状または分枝状低級アルキルである。
【0229】
一実施形態では、式(VIIb)および(VIIb.1)において、XはHであり、Yはメチルである。
【0230】
一実施形態では、式(VIIb)および(VIIb.1)において、XおよびYは、それぞれメチルである。
【0231】
一実施形態では、式(VIIb)および(VIIb.1)において、XはHであり、Yは−CHCHCHであり、得られたC22の絶対立体配置はRである。
【0232】
一実施形態では、式(VII)において、一般式:
【0233】
【化40】

を有するC−11ケト類似体、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、互変異性体もしくは異性体である。
式中、L、R、R、R、R、Rおよびzは、互いに独立に選択され、式(VII)あるいは本明細書に記載されている式(VII)、(VIIa)、(VIIb)および/または(VIIb.1)の様々な実施形態のいずれかに定義されている通りである。
【実施例】
【0234】
製造実施例
一般に、本発明の化合物を、当業者に周知の様々な方法、例えば、以下に概説される方法によって製造することができる。実施例は、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。代替的な機構経路および類似構造は、当業者に明らかである。
【0235】
本発明の化合物は、最も一般的には、商業的に入手可能なステロイドコア上のC−21ヒドロキシ基を脱離基(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート)に変換した後、適切な求核試薬(例えば、チオール、アルコールまたはアミン)と反応させることによって製造される(スキーム1参照)。以下の実施例に記載されるように、商業的に入手可能なステロイドコアを必要に応じて変性することができる。
【0236】
【化41】

単にこれらの製造スキームの目的に即して、化合物の構造を示すために、単純化された名称が使用されている。グルココルチコイドコアのC−10およびC−13位におけるメチル基の立体化学は、明確に示されていないが、ヒドロコルチゾンと同一の「β」を指すものと理解される(図1参照)。同様に、C−8およびC−14位における水素原子の立体化学は、それぞれ「β」および「α」を示すものと理解される。
【0237】
【化42】

(実施例1)
工程1
【0238】
【化43】

ヒドロコルチゾン11(5g、0.0138mol)のジクロロメタン(100mL)溶液を0℃にてジイソプロピルエチルアミン(8.9g、0.0691mol)で処理した。反応混合物を5分間撹拌させた。塩化メタンスルホニル(2.9g、0.02486mol)を0℃で滴加し、4〜6時間撹拌させた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、分別漏斗に入れ、希HCl、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去して粗メシレートを得て、それを、ジクロロメタンおよびメタノール(20:1)を使用するカラムクロマトグラフィーを使用することによって精製して、結晶性固体としてのメシレート12を得た。収量=5.5g(82%)。
【0239】
工程2
【0240】
【化44】

ヒドロコルチゾン−21−メシレート12(10g、0.0227mol)のジクロロメタン溶液に対して、0℃でジイソプロピルエチルアミン(14.65g、0.114mol)を滴加した。次いで、反応混合物を2−メルカプトベンゾチアゾール(5.69g、0.0341mol)で処理し、撹拌を室温で6〜12時間継続した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、希塩酸、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過および溶媒の除去によって粗製物を得て、それを、ジクロロメタンおよびメタノール溶媒系(20:1)を使用するカラムクロマトグラフィーまたは分取薄層クロマトグラフィーを使用することによって精製して、白色結晶性固体としての生成物化合物を得た。収量=8.6g(73%)。MH512。
【0241】
(実施例2)
【0242】
【化45】

第2の工程においてジクロロメタン中ジイソプロピルエチルアミンの代わりに還流状態のアセトン中炭酸カリウムを使用したことを除いては、実施例1の手順を使用して、表題の化合物を2つの工程でデソニド21から製造した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過し、濾液を濃縮して粗製物を得た。粗製物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。MH566。
【0243】
表1に示される化合物は、本明細書に記載されている手順(またはそれらと同様の手順)を使用して合成された本発明の化合物の非限定的な例である。
【0244】
【表1−1】

【0245】
【表1−2】

【0246】
【表1−3】

【0247】
【表1−4】

【0248】
【表1−5】

【0249】
【表1−6】

【0250】
【表1−7】

【0251】
【表1−8】

【0252】
【表1−9】

【0253】
【表1−10】

【0254】
【表1−11】

【0255】
【表1−12】

【0256】
【表1−13】

【0257】
【表1−14】

【0258】
【表1−15】

【0259】
【表1−16】

【0260】
【表1−17】

【0261】
【表1−18】

【0262】
【表1−19】

【0263】
【表1−20】

【0264】
【表1−21】

【0265】
【表1−22】

【0266】
【表1−23】

【0267】
【表1−24】

【0268】
【表1−25】

【0269】
【表1−26】

【0270】
【表1−27】

【0271】
【表1−28】

【0272】
【表1−29】

【0273】
【表1−30】

【0274】
【表1−31】

【0275】
【表1−32】

【0276】
【表1−33】

【0277】
【表1−34】

【0278】
【表1−35】

【0279】
【表1−36】

【0280】
【表1−37】

【0281】
【表1−38】

【0282】
【表1−39】

【0283】
【表1−40】

【0284】
【表1−41】

【0285】
【表1−42】

アッセイ
グルココルチコイド受容体結合アッセイ
グルココルチコイド受容体競合アッセイキットをInvitrogen(製品#P2893)からのライセンスに基づいて取得し、プロトコルに従った。アッセイは、試験化合物のヒトグルココルチコイド受容体に対する親和性を測定するのに使用される競合結合アッセイである。親和性は、蛍光グルココルチコイドを置換する試験化合物の能力に基づいて測定される。有効な競合の存在は、グルココルチコイド受容体複合体に結合して、偏光値を増大させる蛍光標識グルココルチコイドの形成を防止する。試験化合物の存在下での偏光値のシフトを用いて、グルココルチコイド受容体に対する試験化合物の相対的親和性を測定する。アッセイで試験された本発明の例示的な化合物は、約2.3nMから約6100nMの範囲のIC50値を示した。試験された本発明の好適な化合物は、約2.3nMから約16.1nMの範囲のIC50値を示した。
【0286】
グルココルチコイドトランス抑制アッセイ
0.05%トリプシン/0.53mM EDTAを使用して、ヒト肺上皮細胞系NCI−H292細胞を原液フラスコから分離した。細胞を完全培地に懸濁し、計数した。細胞を0.2ml/ウェルにて20K細胞/ウェルで96ウェルの平底プレートに接種した。細胞が75〜90%コンフルエントになるまで、プレートを24〜48時間インキュベートした。培地を吸引し、様々な濃度のステロイドおよびアンタゴニストを含む培地と取り換えた。37℃で1時間インキュベートした後、TNFα(0.2ml中10ng/mlの最終濃度)を添加し、細胞を終夜インキュベートした。TNFを含む対照ウェルおよびTNFを含まない対照ウェル、ならびに最大濃度(10μM)のデキサメタソンに加えてTNFを含むウェルを各プレート上に含めた。
【0287】
細胞培地をサンプリングし、MSDマルチスポットイムノアッセイを使用してIL−6およびIL−8サイトカイン生成を測定した。
【0288】
このアッセイで試験された本発明の例示的な化合物は、約1nMから約3700nMの範囲のIC50値を示した。試験された本発明の好適な化合物は、このアッセイにおいて、約1nMから約58nMの範囲のIC50値を示した。試験された好ましい化合物は、このアッセイにおいて約1nMのIC50を示した。
【0289】
GRE−トランス活性化アッセイ
HeLa細胞を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子とカップリングされたヒトグルココルチコイド応答要素で安定的に形質移入した。
【0290】
細胞を、20K細胞/0.2ml完全培地において96ウェルパッカードビュープレート(黒色側面/透明底面)に接種した。プレートを37℃/5%COで終夜インキュベートした。培地を吸引し、5%木炭処理FBSを含む150μl培地と取り換え、細胞を再び終夜インキュベートした。試験化合物を5%木炭処理FBS培地にて調製した。培地をプレートから吸引し、100μlの試験化合物または対照と取り換えた。プレートを、正確に24時間にわたってインキュベータに戻した。誘発ルシフェラーゼを測定するために、100μlのSteady−Gloルシフェラーゼアッセイ基質(Promega)を各ウェルに添加した。プレートをシールし、プレートシェーカーで5分間にわたって混合した。プレート底不透明シールを添加し、それらのプレートを60分間静置させた。Top−Count計測器(Perkin−Elmer)で発光を測定した。
【0291】
胸腺重量に対するグルココルチコイドの作用
AAALAC認証プログラムにおけるNIH実験動物の管理と使用に関する指針および動物福祉法に従って胸腺減量試験を実施した。雄のブラウンノルウェーラット(200〜250g、Charles River(米国マサチューセッツ州Bloomington)をこれらの試験に使用した。対照グループと比較した胸腺萎縮に対する試験ステロイド化合物の影響を調べた。胸腺重量の減少(胸腺萎縮)は、当該技術分野で認識されたステロイドの全身的ライアビリティのマーカである。例えば、M.G.Belvisiら、J Immunol 166(2001年)、1975〜1982年およびH. M. Reichardtら、Cell 93(1998年)、531〜541頁を参照されたい。ラットに試験化合物QDを2日間にわたって腹腔内投与した。2回目の投与の24時間後に、動物をペントバルビタール(125mg/kg、腹腔内)で安楽死させた。胸腺を除去して秤量し、結果を胸腺萎縮率(%)で表した。投与量をmg/kgで表す。「NS」は、統計的に有意でないことを意味する。
【0292】
本発明の2つの化合物の曝露によってもたらされる胸腺組成融解率(%)と、Boltralikの米国特許第5,420,120号(US’120)に例示されている構造的に類似の化合物とを比較することによって、本発明の化合物の予想外に低い胸腺萎縮率を証明することができる。結果を以下の表2に報告する。
【0293】
【表2】

以上に記載したように、対応するC−11ヒドロキシ化合物を代謝変換によってインビボで生成することが期待される本発明の化合物のC−11−ケト類似体も考えられる。11−ケト基の11−ベータ−ヒドロキシ基へのインビボでの変換は、ヒトにおけるコルチソンに対するその作用が文献に広く記載されている11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素によって媒介され得る。例えば、国際公開第199707789号およびその中の参考文献を参照されたい。当技術分野で公知の手順および/または本明細書に記載の手順によって製造される本発明のC−11−ケトプロドラッグの非限定的な例が表3に示される。
【0294】
【表3−1】

【0295】
【表3−2】

【0296】
【表3−3】

【0297】
【表3−4】

【0298】
【表3−5】

【0299】
【表3−6】

組成物および方法
本発明の化合物は、とりわけ、グルココルチコイド受容体を結合し、その受容体を介して応答を誘発するそれらの能力が有益である。したがって、本発明の化合物は、グルココルチコイドアゴニストが有用である限り有用である。当該使用としては、広範な免疫、自己免疫および/または炎症疾患および状態を含む、ステロイド(または他のグルココルチコイドアゴニスト)が有用であると考えられるあらゆる疾患、状態または障害の治療が挙げられるが、それらに限定されない。例えば試験器具としての生体外の使用も考えられる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、全身的活性をほとんどまたは全く有さないという利点を有する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、副作用プロファイルが劣った公知のグルココルチコイドより安全であり得る。
【0300】
本発明の化合物が有用である炎症、免疫、自己免疫および他の疾患または状態の非限定的な例としては、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、そう痒症および過敏反応などの皮膚病;(アレルゲン誘発喘息反応を含む)喘息、(花粉症を含む)鼻炎、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎、副鼻腔炎、鼻ポリープ、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患および線維症などの鼻、喉または肺の炎症状態;潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸状態;ならびにリウマチ様関節炎などの自己免疫疾患が挙げられる。CNSまたは末梢神経系障害に伴う炎症の治療も考えられる。非限定的な例としては、CNS外傷(例えば脳外傷)が挙げられる。多発性硬化症の治療も考えられる。本発明の化合物は、眼の疾患および状態の予防または治療にも有用であり得る。その非限定的な例としては、結膜炎ならびにアレルギー性および非アレルギー性結膜炎の治療が挙げられる。
【0301】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物が本明細書に記載の状態および/またはそれらの症候の治療および予防の両方に有用であることを当業者なら理解するであろう。
【0302】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体の使用(および/または製造)、あるいは免疫、自己免疫および/または炎症疾患および/または状態を含む本明細書に記載の様々な疾患、状態および/または障害についての患者の治療または予防のための医薬品の製造を提供する。
【0303】
別の実施形態において、本発明の化合物を、上記のものなどの広範な免疫、自己免疫および炎症疾患および状態の急性治療に使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、標準的な長期ステロイド治療に伴う1つまたは複数の副作用に関して軽減された副作用プロファイルを示す。標準的なステロイド治療に伴う副作用は、炭水化物代謝、カルシウム吸収、外来性コルチコステロイドの抑制ならびに下垂体、副腎皮質および胸腺の抑制を妨害する。当該実施形態において、本発明の化合物は、広範な慢性免疫、自己免疫ならびに炎症疾患および状態の長期的治療(ならびに短期的および中期的治療)に有用である。
【0304】
別の実施形態において、本発明は、新生児敗血症、ALS、多発性硬化症、I型糖尿病、上気道および下気道のウイルス誘発感染、ウイルス性髄膜炎、ならびに慢性髄膜脳炎、新生児エンテロウイルス、ポリオおよび心筋炎などの生命を脅かす疾患の治療のための方法を提供する。本発明の化合物および組成物を、当該疾患に伴う症候の悪化を予防するために予防的に使用することもできる。
【0305】
別の実施形態において、本発明は、ウイルス関連障害の治療のための方法を提供する。一実施形態において、ウイルス障害は、感冒に関連する。本発明の化合物および組成物を、上気道および下気道の障害の悪化の予防にも利用することができる。上気道障害に関しては、例えば、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、真菌誘発副鼻腔炎、細菌に基づく副鼻腔炎およびポリープ症等に伴う鬱血および鼻閉塞。下気道の障害に関する例としては、下気道の障害、例えば、喘息、慢性閉塞性肺障害、アレルギー喘息および肺気腫のための救急投薬の必要性を防止するための本発明の組成物の投与が挙げられる。本発明の化合物および組成物は、鼻系(詰り/鬱血、鼻血、鼻そう痒、くしゃみ)および非鼻系(そう痒/眼痛、流涙/涙眼、眼充血、耳/口蓋のそう痒)の季節性および多年性症候の治療および予防にも有用であり得る。
【0306】
別の実施形態において、本発明は、免疫、自己免疫もしくは炎症の疾患または状態の患者を治療するための方法であって、当該治療を必要とする患者に対して、本発明の化合物またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体の有効量を投与することを含む方法を提供する。本発明は、また、免疫、自己免疫および/または炎症疾患および状態の患者を治療するための本発明の化合物(またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体)の使用を提供する。
【0307】
別の実施形態において、本発明は、気道および肺のコルチコステロイド応答性疾患を治療するための方法を提供する。当該疾患としては、コルチコステロイドを投与することによって治療可能な上気道もしくは下気道または肺のアレルギー疾患、非アレルギー疾患および/または炎症疾患が挙げられる。典型的なコルチコステロイド応答性疾患としては、アレルギー性および非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)ならびに気道および肺の非悪性増殖性および/または炎症疾患が挙げられる。
【0308】
別の実施形態において、本発明は、アレルギー性および非アレルギー性鼻炎ならびに気道および肺の非悪性増殖性および/または炎症疾患を治療するための方法を提供する。本発明の様々な実施形態に従って治療または軽減することができる上気道および下気道の例示的なアレルギーまたは炎症状態としては、季節性アレルギー性鼻炎、間欠性アレルギー性鼻炎、多年性アレルギー性鼻炎および/または多年性アレルギー性鼻炎ならびに中から重度の季節性アレルギー性鼻炎患者における鬱血などのアレルギー鼻炎に伴う鼻症候が挙げられる。治療または予防することができる他の状態としては、コルチコステロイド応答性疾患、鼻ポリープ、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ウイルス性鼻炎、急性鼻副鼻腔炎および慢性鼻副鼻腔炎を含む鼻副鼻腔炎、鬱血、全鼻系症候(詰り/鬱血、鼻血、鼻そう痒、くしゃみ)および非鼻系症候(そう痒/眼痛、流涙/涙眼、眼充血、耳/口蓋のそう痒)ならびに副鼻腔炎、真菌誘発副鼻腔炎、細菌に基づく副鼻腔炎に伴う鼻閉塞が挙げられる。
【0309】
本明細書に使用されている「アレルギー性鼻炎」という用語は、鼻粘膜の任意のアレルギー反応を指し、季節性または多年性くしゃみ、鼻血、鼻鬱血、そう痒および眼の痒み、充血および流涙によって特徴づけられる花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)および多年性鼻炎(非季節性アレルギー性鼻炎)を含む。
【0310】
本明細書に使用されている「非アレルギー性鼻炎」という用語は、陰性皮膚試験の患者および鼻分泌物に多くの好酸球を有する患者に見いだされる好酸性非アレルギー性鼻炎を指す。
【0311】
本明細書に使用されている「喘息」という用語は、気管支の攣縮(所謂「気管支痙攣」)による喘鳴を伴う発作性呼吸困難の反復的発作(即ち「可逆的閉塞性気道疾患」)によって特徴づけられる任意の喘息状態を含む。本発明に従って治療または予防することができる喘息状態としては、運動、特に激しい運動(「運動誘発気管支痙攣」)、刺激性粒子(花粉、粉塵、綿、ネコ麟屑)ならびに軽度または中度喘息、慢性喘息、重度喘息、重度および不安定喘息、夜間喘息および精神的ストレスを含む様々な要因によって誘発される、感作された人間における症状によって特徴づけられるアレルギー喘息および気管支アレルギーが挙げられる。本発明は、下気道および肺の可逆的閉塞性疾患ならびに運動誘発気管支痙攣にかかっている哺乳類、例えばヒトの喘息の発症を防止するのに特に有用である。
【0312】
肺系に関連して本明細書に使用されている「非悪性増殖および/または炎症疾患」という用語は、(1)外因性アレルギー肺胞炎などの肺胞炎、ならびに例えば細胞毒および/またはアルキル化剤によって引き起こされる薬物毒;(2)ウェゲネル肉芽腫症、アレルギー肉芽腫症、肺血管腫症および特発性肺線維症などの血管炎、慢性好酸性肺炎、好酸性肉芽腫およびサルコイドーシスの1種または複数種を指す。
【0313】
本発明の化合物を当業者に公知の任意の方法での投与に向けて配合することができるため、本発明は、また、その範囲内で、本発明の化合物(またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体)を、1つまたは複数の医薬として許容し得る希釈剤、賦形剤および/または担体を含む医薬組成物を提供する。さらに、一実施形態において、本発明は、当該医薬組成物を製造するための方法であって、部分を混合することを含む方法を提供する。
【0314】
本発明の化合物を、例えば、経口、頬、舌下、非経口、局所または直腸投与に向けて配合することができる。局所投与としては、吹入投与、吸入投与、経皮投与が挙げられるが、それらに限定されない。局所投与のための様々な種類の製剤の例としては、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、泡剤、経皮貼付剤による送達のための製剤、粉剤、スプレー剤、エアロゾル剤、カプセル剤、または吸入器もしくは吹入器に使用される薬包または滴剤(例えば眼もしくは鼻滴剤)、噴霧化される溶液剤もしくは懸濁剤、坐薬、膣坐薬、保持浣腸、および咀嚼性もしくは吸入性または高速溶解錠剤もしくは顆粒剤(例えば、アフタ性潰瘍の治療用)あるいはリポソームまたはマイクロカプセル化製剤が挙げられる。例えば肺への局所投与のための組成物としては、乾燥粉末組成物およびスプレー組成物が挙げられる。
【0315】
肺への局所投与のための乾燥粉末組成物を、例えば、カプセル、および吸入器または吹入器に使用される薬包、例えばゼラチンにて製造することができる。製剤は、一般には、本発明の化合物(または複数の化合物)の吸入のための粉末混合物およびラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤を含む。各カプセルまたは薬包は、一般には、20マイクログラムから10マイクログラムの本発明の化合物(または複数の化合物)を含むことができる。他の量の当該化合物も本発明の範囲内に含まれ、薬剤師または所属医などの当業者によって容易に決定され得る。あるいは、本発明の化合物を、賦形剤を用いずに投与することができる。製剤の梱包は、単位投与または複数投与送達に好適であり得る。複数投与送達の場合は、製剤を予め計量することができ(例えばDiskus、英国特許第2242134号参照、またはDiskhaler、英国特許第2178965号、第2129691号および第2169265号参照)、または使用の際に計量することができる(例えばTurbuhaler、欧州特許第69715号参照)。単位投与デバイスの例は、Rotahalerである(英国特許第2064336号参照)。
【0316】
スプレー組成物を、例えば、好適な液化噴射剤を使用して計量投与吸入器などの加圧パックから送達される水溶液もしくは懸濁液またはエアロゾルとして配合することができる。吸入のために好適なエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液であり、一般に、本発明の化合物、および炭化フッ素もしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたは他の好適な噴射剤または先述のいずれかの混合物などの好適な噴射剤を含むことができる。エアロゾル組成物は、界面活性剤、例えば、オレイン酸またはレシチンおよび共溶媒、例えばエタノールなどの、当技術分野で周知のさらなる製剤賦形剤を場合により含むことができる。1つの製剤例は、賦形剤を含まず、(場合により別の活性部分とともに)本発明の化合物ならびに1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンおよびそれらの混合物から選択される噴射剤から実質的になる(例えば構成される)。別の製剤例は、本発明の微粒子化合物、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン、およびそれらの混合物、ならびに噴射剤に可溶な懸濁剤、例えば、国際公開第94/21229号などに記載されているオリゴ乳酸またはその誘導体から選択される噴射剤を含む。好適な噴射剤は、1,1,1,2−テトラフルオロエタンである。加圧製剤は、一般に、弁(例えば計量弁)で閉鎖された缶(例えばアルミニウム缶)内に保持され、マウスピースが設けられたアクチュエータに取りつけられることになる。
【0317】
吸入による投与のための医薬品も考えられる。当業者に理解されるように、当該医薬品は、望ましくは粒径が制御されている。気管支系への吸入のための最適な粒径は、当業者に周知であり、典型的には1〜10マイクロメートル、好ましくは2〜5マイクロメートルの範囲である。20マイクロメートルを超える粒径を有する粒子は、一般に、小さい気道に到達するのに好適である。これらまたは他の所望の粒径を達成するために、製造される本発明の化合物の粒子の粒径を従来の手段、例えばマイクロカプセル化によって小さくすることができる。所望の部分を空気分級または篩などの任意の好適な手段によって分離することができる。好ましくは、粒子は、結晶性である。(例えばPCT/GB99/04368に記載されているように)結晶性粒子を、例えば、連続流動セルにて、超音波放射線の存在下にて、本発明の化合物の液体溶媒中の流動溶液と前記化合物のための流動液体逆溶剤とを混合することを含む方法によって結晶性粒子を製造することができる。あるいは、(例えば国際特許出願PCT/GB00/04327に記載されているように)液体溶媒中物質の溶液の流れおよび物質のための液体逆溶剤の流れを、軸性アウトレットポートを有する円筒状混合チャンバに、それによってそれらの流れが、物質の結晶性粒子の析出を引き起こす渦流の形成を介して密に混合されるように導入することを含む方法によって結晶性粒子を製造することができる。ラクトースなどの賦形剤が採用されるときは、一般に、賦形剤の粒径は、本発明の吸入化合物よりはるかに大きくなる。賦形剤がラクトースである場合は、それは、典型的には、約85%以下のラクトースが60〜90マイクロメートルのMMDを有し、約15%以上のラクトースが15マイクロメートル未満のMMDを有することになる粉砕ラクトースとして存在することになる。
【0318】
鼻に局所投与するための製剤も考えられる。当該製剤としては、加圧ポンプによって鼻に投与される加圧エアロゾル製剤および水性エアロゾル製剤が挙げられる。
【0319】
肺または鼻への投与のための水性製剤に、緩衝剤および張度改質剤等の従来の賦形剤を設けることができる。噴霧化または当技術分野で公知の他の手段によって、水性製剤を鼻に投与することもできる。
【0320】
考えられる投与形態の他の非限定的な例としては、好適な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加することによって水性または油性基剤を用いて配合することができる軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤が挙げられる。当該基剤としては、例えば、水および/または液体パラフィンまたは落花生油もしくはヒマシ油などの植物油、あるいはポリエチレングリコールなどの溶媒を挙げることができる。基剤の性質に応じて使用できる増粘剤およびゲル化剤としては、軟質パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアロールアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜蝋、カルボキシプロピルメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはモノステアリン酸グリセリルおよび/または非イオン性乳化剤が挙げられる。
【0321】
ローション剤も考えられる。ローション剤を水性または油性基剤で配合することができ、それは、一般に、1つまたは複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤または増粘剤も含む。
【0322】
外的用途のための粉剤を、任意の好適な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトースまたはデンプンを利用して形成することができる。滴剤を、1つまたは複数の分散剤、可溶化剤、懸濁剤または防腐剤も含む水性または非水性基剤で配合することができる。
【0323】
適切であれば、本発明の製剤を好適な緩衝剤の添加によって緩衝することができる。
【0324】
本発明による組成物における本発明の活性化合物の割合は、製造される製剤の厳密な種類に応じて決まるが、一般には、0.001から50重量%の範囲内である。しかし、一般に、たいていの種類の製剤については、使用される割合は、0.005から1%、好ましくは0.01から0.5%の範囲内になる。しかし、吸入または吹入のための粉剤において、使用される割合は、通常、0.1から50%の範囲内になる。
【0325】
エアロゾル製剤が考えられる。いくつかの実施形態において、エアロゾル製剤は、好ましくは、エアロゾルの各計量投与または「パフ」が1マイクログラムから2000マイクログラム、例えば20マイクログラムから2000マイクログラム、あるいは約20マイクログラムから約1500マイクログラムの本発明の化合物を含む。投与は、例えば毎回1、2または3回の投与として、毎日1回または数回、例えば2、3、4または8回であってよい。好ましくは、本発明の化合物は、1日1回または2回送達される。エアロゾルによる全日投与量は、典型的には、10マイクログラムから10ミリグラム、例えば、100マイクログラムから10ミリグラム、あるいは200マイクログラムから2000マイクログラムの範囲、あるいは約1500マイクログラムになる。
【0326】
局所製剤を、1日当たり1回または複数回の塗布によって患部に投与することができる。皮膚の部分に対して、有利には閉鎖包帯を使用することができる。連続または長時間送達を、例えば、接着性液溜系によって達成することができる。
【0327】
内的投与では、本発明の化合物を、例えば、経口、非経口または直腸投与のための従来の方法で配合することができる。経口投与のための製剤としては、典型的には、結着剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、防腐剤、緩衝塩、香料、着色剤および/または甘味料などの従来の賦形剤を適宜含むシロップ剤、エリキシル剤、粉剤、顆粒剤、錠剤およびカプセル剤が挙げられる。しかし、本明細書に記載されているように単位剤形が好適である。
【0328】
内的投与のための製剤の好適な形は、単位剤形、即ち錠剤およびカプセル剤である。当該単位剤形は、0.1mgから20mg、好ましくは2.5から10mgの本発明の化合物を含む。
【0329】
全身アドレナリン−皮質治療が示唆される場合は、本発明による化合物を、概して、内的投与によって与えることができる。
【0330】
全般的には、内的投与のための製剤は、必要とされる製剤の種類に応じて、0.05から10%の活性部分を含むことができる。日投与量は、治療される状態および所望の治療期間に応じて0.1mgから60mg、例えば5〜30mgの範囲であってよい。
【0331】
徐放または腸溶コーティング製剤が、特に炎症性腸障害の治療に有利であり得る。
【0332】
いくつかの実施形態において、吸入デバイスを利用して投与を遂行することができる。当該デバイスの非限定的な例としては、噴霧器、計量ポンプ−スプレーデバイス、軟質ミスト吸入器および加圧計量投薬吸入器が挙げられる。単一加圧計量投与吸入器を、単に鼻送達のために設計されたアクチュエータと経口送達のために設計されたアクチュエータとを切り換えることによって、経口または経鼻吸入経路に合わせて構成することができる。
【0333】
適切なデバイス(NASONEX(登録商標)Nasal Sprayを送達するのに使用される経鼻スプレーボトルおよびアクチュエータなど)を各鼻孔に挿入することによって鼻内投与することができる。次いで、本発明の少なくとも1つの化合物を含む活性薬を鼻スプレーデバイスから推射する。効力を、一般に、鼻および非鼻症候(例えば、くしゃみ、そう痒、鬱血および流出)の軽減によって二重盲検法で評価することができる。他の客観的測定値(例えば、鼻最大流量および抵抗値)を効力の補助的指数として使用することができる。Schering−Ploughによって販売されているNASONEX(登録商標)またはSchering−Ploughによって販売されているAFRIN(登録商標)に使用されるポンプスプレーなどの任意の好適なポンプスプレーを使用することができる。
【0334】
加圧計量投与吸入器(「MDI」)は、エアロゾルを鼻吸入することによって投与されて、鼻粘膜および/または窩洞を治療する、デバイスとともに含められる医薬品のエアロゾルの厳密な量を得るために、噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン噴射剤、例えばCFC−11、CFC−12、ハイドロフルオロカーボン噴射剤、例えば、HFC−134A、HFC−227またはそれらの組合せを含む。
【0335】
好適なMDI製剤は、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパンなどの噴射剤;アルコール、MIGLYOL(登録商標)812、MIGLYOL(登録商標)840、PEG−400、メントール、ラウログリコール、VERTREL(登録商標)_245、TRANSCUTOL(登録商標)、LABRAFAC(登録商標)Hydro WL1219、過フッ化シクロブタン、ユーカリ油、短鎖脂肪酸およびそれらの組合せを含む賦形剤;ステロイドおよび場合により界面活性剤を含む。MDIを低温充填または加圧充填などの従来の方法によって製造することができる。
【0336】
「軟質ミスト」吸入器は、典型的には、経口吸入を介して水性溶液医薬品を肺に送達するのに使用される複数投与計量エアロゾル送達デバイスである。それらが生成するエアロゾルプルームは、速度が遅く、典型的なpMDIの6倍(例えば、典型的には1〜2秒対ミリ秒)持続する。当該デバイスの例は、臭化イパトロピウムを肺に送達するのに現在使用されているBoehringer Ingelheim(BI)のRESPIMAT(登録商標)である。
【0337】
いくつかの実施形態において、噴霧デバイスを利用して、本発明の医薬製剤を投与することもできる。典型的な市販の噴霧デバイスは、2つの方法の1つによって気流中液滴の分散体を生成する。ジェット噴霧器は、圧縮空気供給物を使用して、ベンチュリ作用によって液体を管、そしてオリフィスに引き込み、そこに懸濁された液滴としてそれを流動気流に導入した後、流体を1つまたは複数の静的バッフルに衝突させて、過大な液滴を除去する。超音波噴霧器は、電気誘導変換器を使用して、流体を高頻度振動に曝し、移動気流に閉じこめられた液滴の雲を生成する。これらのデバイスは、懸濁液を送達するのに比較的好適ではない。例えば、約2から約4mLのフロ酸モメタゾン溶液をプラスチック噴霧器容器に入れることができ、患者は、1〜30分にわたって吸入する。当該容器に入れられる全投与量を当業者は決定することができる。非限定的な例は、5から約100mcgの範囲である。
【0338】
圧搾球体空気供給物を用いて液体を霧化するハンドヘルド噴霧器も考えられるが、より広く使用される装置は、電力圧縮機を含み、または圧縮ガスのシリンダに接続する。それらのそれぞれの吸入性液滴の出力が全く同一ではないため、商業的に入手可能な様々なデバイスは、所定の医薬品に対するそれらの送達効率が大きく異なるが、処方者が、それぞれの特定のデバイスに充填される医薬製剤の正確な量を特定するときに本発明の医薬品の送達にいずれを使用してもよい。
【0339】
本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態において、本発明は、鼻スプレー投与に向けて配合された、本発明の少なくとも1つの化合物を(場合により1つまたは複数のさらなる活性部分とともに)含む組成物を提供する。好適な鼻スプレー製剤は、とりわけ、水、助剤および/または1つまたは複数の賦形剤、例えば懸濁剤、例えば、微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース;湿潤剤、例えばグリセリンおよびプロピレングリコール;pHを調製するための酸、塩基または緩衝物質、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウムならびにクエン酸緩衝剤とリン酸緩衝剤の混合物;界面活性剤、例えばポリソルベート80;抗微生物防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコールおよびソルビン酸カリウムを含むことができる。
【0340】
意図する用途に応じて、約5重量パーセントまで、より典型的には約0.5から約5重量パーセントのさらなる流動調整剤、例えばポリマーまたは他の材料を含むことが望ましい。有用な材料としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン、カラゲナン、カルボマー、ガラクトマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルキチン、ナトリウムカルボキシメチルデキストラン、ナトリウムカルボキシメチルデンプンおよびキサンタンゴムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0341】
微結晶セルロースおよびアルカリ金属カルボキシアルキルセルロースの混合物は、商業的に入手可能であり、それらの非限定的な例は、AVICEL(登録商標)RC−591としてFMC Corporation(米国ペンシルバニア州Philadelphia)が販売するものを含む。この材料は、約89重量パーセントの微結晶セルロースおよび約11重量パーセントのナトリウムカルボキシメチルセルロースを含み、様々な医薬懸濁液およびエマルジョンを製造する際の懸濁剤としての使用が公知である。本発明の組成物は、少なくとも約1.0から約10重量パーセント、または約1から約4重量パーセントのセルロース/カルボキシアルキルセルロース化合物混合物の混合物を含むことができる。
【0342】
密に関連する混合物は、PC−591と同じバルク化学組成物を有するAVICEL(登録商標)RC−581と同様の供給源から入手可能であり、この材料も本発明に有用である。微結晶セルロースおよびアルカリ金属カルボキシアルキルセルロースは、個別に商業的に入手可能であり、本発明における使用のために所望の割合で混合することが可能であり、微結晶セルロースの量は、個別に混合された混合物および同時処理混合物の両方について、混合物の約85から約95重量パーセントであってよい。
【0343】
本発明の組成物が敏感な粘膜への塗布を目的とする場合は、自然のpHが好適ではなければ、酸または塩基を使用してpHを比較的中性の値に調整することが望ましい。概して、約3から約8のpH値が組織相溶性に好適である。選択される正確な値は、また、組成物の化学的および物理的安定性を促進すべきである。場合によっては、選択されたpH値の維持を支援するために緩衝剤を含むことになる。典型的な緩衝剤は、当技術分野で周知であり、リン酸塩系、クエン酸塩系およびホウ酸塩系を含むが、それらに限定されない。
【0344】
該組成物は、湿潤剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート化剤および芳香物質などのいくつかの任意の構成要素を含むことができる。グリセリン、ポリエチレンまたは他のグリコールなどの吸湿物質である湿潤剤は、組成物からの水の損失を防ぎ、加湿性を付与することができる。有用な芳香物質としては、樟脳、メントール、オイカリプトール等、香料および芳香剤が挙げられる。防腐剤は、典型的には、病原性生物が存在しない状態を確立・維持するために含められる。代表的な構成要素としては、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、(芳香添加剤でもある)フェネチルアルコール、酢酸フェニル水銀および塩化ベンズアルコニウムが挙げられる。
【0345】
1つまたは複数の他の治療活性薬と併用される本発明の1つ(または複数の)化合物を含む医薬組成物も考えられる。当該さらなる治療活性薬の非限定的な例としては、例えば、ベータアドレナリン受容体アゴニスト、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬および抗コリン作用薬が挙げられる。また、さらなる薬剤が以下に記載される。当該組合せを個別または複合医薬製剤で同時に、または順次投与することができる(本発明の化合物は、他の活性部分の前または後に投与される)。したがって、同時投与では、本発明は、別の実施形態において、本発明の化合物(またはその生理的に許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステル、互変異性体もしくは異性体)を、1つまたは複数の他の治療活性薬、例えば、ベータアドレナリン受容体アゴニスト、抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬とともに含む医薬組成物を提供する。さらなる活性薬の選択は、意図する使用に基づいて行われる。
【0346】
長時間作用するベータアドレナリン受容体アゴニスト(LABAと称する場合もある)を含む組成物は、本発明の範囲内にあると考えられる。24時間にわたって治療効果を与えることが可能なLABAの使用も考えられる。別の非限定的な実施形態において、本発明は、長時間作用するベータアドレナリン受容体アゴニストと組み合わせて本発明の化合物(またはその塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体)を含む1日1回投与に好適な医薬組成物を提供する。
【0347】
ベータアドレナリン受容体アゴニストの非限定的な例としては、(例えば、ラセミ体、R−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体としての)サルメテロール、サルブタモール、ホルモレロール、サルメファモール、フェノテロール、インダカテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩、例えば、サルメテロールのキシナホ酸塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基またはホルモテロールのフマル酸塩が挙げられる。サルメテロールまたはホルモテロールまたはインダカテロールなどの長時間作用するベータアドレナリン受容体アゴニストが好適である。好適な、長時間作用するベータアドレナリン受容体アゴニストとしては、国際公開第266422A号に記載されているものが挙げられる。
【0348】
さらなる活性薬としては、抗ヒスタミン薬が挙げられる。本発明の化合物との組合せに有用な抗ヒスタミン薬の非限定的な例としては、メタピリレン、ロラタジン、アクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ミゾラスチン、フェキソフェナジン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパタジン、レボセチリジンおよびデスロラタジンが挙げられる。
【0349】
さらなる活性薬としては、ヒスタミンH受容体アンタゴニストが挙げられる。ヒスタミンH受容体アンタゴニスト(本明細書では抗ヒスタミン薬とも称する)の例としては、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェミラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ドキシラミン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、ジメンヒドリネート、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、モラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジンおよび先述の2種以上の混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好適なヒスタミンH受容体は、デスロラタジン、ロラタジン、フェキソフェナジンおよびセテラジンである。
【0350】
デスロラタジンは、デスカルボエトキシロラチジンおよびDCLとも称する。DCLは、その技術的名称が8−クロロ−6,11−ジヒドロ−11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2]ピリジンである非鎮静抗ヒスタミンである。この化合物は、Querciaら、Hosp.Formul.、28巻:137〜53頁(1993年)、米国特許第4,659,716号および国際公開第96/20708号に記載されている。鬱血を治療するためのデスロラタジンの使用が米国特許第6,432,972号に開示されている。DCLは、Hヒスタミン受容体タンパク質のアンタゴニストである。H受容体は、従来の抗ヒスタミン薬によってアンタゴナイズされた応答を媒介する受容体である。H受容体は、例えば、ヒトおよび他の哺乳類の回腸、皮膚および気管支平滑筋に存在する。当該組成物の単位(即ち単一)剤形に採用することができるDCLの量は、約2.5から約45mg、また約2.5から約20mg、また約5から約10mgの範囲であり得る。好適な投与量は、2.5mg、5.0mg、10.0mgおよび20.0mgを含む。
【0351】
ロラタジンは、その技術的名称が11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ−[5,6]−シクロヘプタ−[1,2−b]−ピリジンである非鎮静抗ヒスタミン薬である。該化合物は、米国特許第4,282,233号に記載されている。ロラタジンは、周辺性H受容体活性の選択的アンタゴニストを有する徐放の強力な三環式および抗ヒスタミン性薬物である。
【0352】
フェキソフェナジンは、その技術的名称が4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−ジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]ブチル]−α,α−ジメチル−ベンゼン酢酸である非鎮静抗ヒスタミン薬であることが報告されている。好ましくは、医薬として許容し得る塩は、塩酸フェキソフェナジンとしても公知の塩酸塩である。当該組成物の単位剤形に採用することができるフェキソフェナジンの量は、約40から200mg、また約60から約180ミリグラム、また120ミリグラムであり得る。
【0353】
塩酸セチリジンは、H受容体アンタゴニストであることが報告されている。化学名は、(±)−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジル]エトキシ]酢酸、二塩酸塩である。塩酸セチリジンは、実験式がC2125ClN・2HClのラセミ化合物である。塩酸セチリジンは、白色の結晶性粉末であり、水溶性である。塩酸セチリジンは、商品名ZYRTEC(登録商標)でPfizer Inc.(ニューヨーク州New York)から入手可能である。当該組成物の単位剤形に採用することができるセチリジンの量は、約0から40mg、また約5から10ミリグラムの範囲であり得る。セチリジンのレボ異性体を本発明の製剤においてプレコナリルと組み合わせることもできる。本発明に使用されるセチリジンの別の形は、二硝酸セチリジンである。
【0354】
さらなる活性薬としては去痰薬が挙げられる。使用に好適な去痰薬の例は、当技術分野で公知であり、アンブロキソール、グアイアフェネシン、テルピン水和物およびクアイコスルホン酸カリウムを含むが、それらに限定されない。アンブロキソールは、去痰薬または刺激性肺界面活性剤因子として20年を超える期間にわたって広く使用されてきた、トランス−4(2−アミノ−3,5−ジブロモベンジル、アミン)シクロヘキサン塩酸塩として化学的に識別されるブロムへキシン代謝物質である。該化合物は、米国特許第3,536,712号に記載されている。グアイアフェネシンは、その技術的名称が3−(2−メトキシフェノーキシ)−1,2−プロパンジオールである去痰薬である。該化合物は、米国特許第4,390,732号に記載されている。テルピン水和物は、その技術的名称が4−ヒドロキシ−α,α,4−トリメチルシクロヘキサンメタノールである去痰薬である。グアヤコールスルホン酸カリウムは、その技術的名称が3−ヒドロキシ−4−メトキシベンゼンスルホン酸一カリウムとの4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼンスルホン酸混合物である去痰薬である。
【0355】
さらなる活性薬としては鬱血除去薬が挙げられる。使用に好適な鬱血除去薬の例としては、経口および鼻鬱血除去薬が挙げられる。本発明に有用な鼻鬱血除去薬の例としては、限定することなく、交感神経作用性アミン鼻鬱血除去薬が挙げられる。米国において局所使用に現在承認されている鬱血除去薬としては、限定することなく、レブメタムフェタミン(1−デソキシエフェドリンとしても公知である)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンおよびその医薬として許容し得る塩、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニルエフェリンおよびプロピルヘキセドリンが挙げられる。本発明に使用される経口鬱血除去薬としては、限定することなく、フェニルプロパノールアミン、フェニルエフリンおよびプソイドエフェドリンならびにその医薬として許容し得る塩が挙げられる。プソイドエフェドリンおよびその酸付加塩、例えば、HClまたはHSOの塩は、鼻鬱血を治療するのに安全かつ有効な交感神経作用性治療薬として当業者に認識されている。それらは、一般には、アレルギー性鼻炎に伴う鼻鬱血の治療のための抗ヒスタミン薬と同時に経口投与される。鼻鬱血除去薬として本発明に使用する場合は、毎日1から4回投与される約120mgの硫酸プソイドエフェドリンと同等の量でプソイドエフェドリンを使用するのが好適である。しかし、より少量の硫酸プソイドエフェドリンを使用することができる。
【0356】
さらなる活性薬としてはヒスタミンH受容体アンタゴニストが挙げられる。本発明での使用に好適なヒスタミンH受容体アンタゴニストの例としては、チオペラミド、イムプロミジン、ブリマミド、クロベンプロピト、イムペンタミン、ミフェチジン、S−ソプロミジン、R−ソプロミジン、3−(イミダゾール−4−イル)−プロピルグアニジン(SKF−91486)、3−(4−クロロフェニル)メチル−5−2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル1,2,3−オキサジアゾール(GR−175737)、4−(1−シクロヘキシルペンタノイル−4−ピペリジル)1H−イミダゾール(GT−2016)、2−{−2−4(5)−イミダゾリルエチルチオ}−5−ニトロピリジン(UCL−1199)クロザピン、SCH497079およびSCH539858が挙げられるが、それらに限定されない。さらなる例は、いずれもSchering Corp.に与えられ、いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,720,328号および米国特許出願公開第20040097483A1号に開示・主張されている。他の好適な組成物は、参照により本明細書に組み込まれている、Schering Corp.に与えられた米国特許第5,869,479号に開示されているHおよびH受容体アンタゴニストの両方をさらに含むことができる。いずれも米国特許第5,352,707号に記載されているモルモット脳膜アッセイおよびモルモット神経回腸収縮アッセイを含む公知の方法によってH受容体の活性を測定するために、他の化合物を容易に評価することができる。別の有用なアッセイは、ラット脳膜を利用し、Westら、「Identification of Two H−Histamine Receptor Subtypes」、Molecular Pharmacology、38巻、610〜613頁(1990年)に記載されている。
【0357】
さらなる活性薬としては、抗コリン作用薬が挙げられる。本発明に使用される抗コリン作用薬の例としては、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトピウム、メタンテリン、プロパンテリン、ジシクロミン、スコポラミン、メトスコポラミン、テレンゼピン、ベンズトロピン、QNX−ヘミオキサレート、ヘキサヒドロ−シラ−ジフェニドール塩酸塩およびピレンゼピンが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、本発明の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの抗コリン作用薬(および場合により他の活性薬)を含む当該組成物が、当業者に公知の量または当業者によって判断される量で経口または経鼻投与される。
【0358】
さらなる活性薬としては抗生物質が挙げられる。非限定的な例としては、マクロライド、セファロスポリンおよび抗菌薬が挙げられる。好適な抗生物質の具体例としては、テトラシクリン、クロルテトラシクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラシクリン、クロラムフェニコール、フロフェニコール、ゲンタマイシン、エリトロマイシン、クラリトロマイシン、アジトロマイシン、ツラトロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン、クラブラン酸または他の好適なベータラクタマーゼ阻害薬を有するアモキシシリン、スルホンアミド、スルファセトアミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール;ニトロフラゾンおよびプロピオン酸ナトリウムが挙げられるが、それらに限定されない。投与できる組成物の治療量は、当業者に公知である。
【0359】
さらなる活性薬としては、P2Y受容体アゴニストが挙げられる。本発明に使用されるP2Y受容体アゴニストの非限定的な例としては、ジクアホソル四ナトリウムが挙げられるが、それに限定されない。ジクアホソル四ナトリウムは、眼球面および眼瞼の内張上の受容体を活性化して、自然涙の主要構成要素である水、塩、粘液および脂質の放出を刺激するP2Y受容体アゴニストである。粘膜は、特殊な細胞で作られ、表面を潤滑させるように作用する。眼における脂質は、涙膜の最外層を形成する油性物質であり、過剰な涙液の蒸発の防止に関与する。前臨床試験において、ジクアホソルは、自然涙構成要素の分泌を増大させることが報告されている。ジクアホソルはInspireから入手可能である。P2Y受容体アゴニストは、慢性気管支炎および膵臓線維症(CF)を含めて、粘膜毛様体クリアランス(MCC)が損なわれる様々な状態を治療するために開発されている化合物類である。他の粘液溶解薬としては、N−アセチルシステインおよび内在性リガンド化合物UTPを挙げることができる。これらの組成物は、経口投与および経鼻投与を含めて、当業者に公知の経路によって投与され得る。
【0360】
さらなる活性薬としては、ロイコトリエンアンタゴニストおよび/または阻害薬が挙げられる。本発明での使用に好適なロイコトリエンアンタゴニストおよび/または阻害薬の非限定的な例としては、ジロイトン、ドセベノン、ピリポスト、ICI−D2318、MK−591、MK−886、ナトリウム1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エチニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチル)シクロプロパン−アセテート(本明細書では便宜上「化合物Lアセテート」とも称する);1−(((R)−(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)−メチル)シクロプロパン酢酸(本明細書では便宜上「化合物L酸」とも称する)、プランルカスト、ザフィルルカストおよびモンテルカストならびに化合物[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸(本明細書では便宜上「化合物FK011」または「FR150011」とも称する)が挙げられるが、それらに限定されない。モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、化合物「FK011」、「Lアセテート」および「L酸」が好適である。これらの構成部分を含む組成物を、当業者に公知の量で、以下に記載されるように経口または経鼻投与することができる。
【0361】
さらなる活性薬としては、ロイコトリエンDアンタゴニストが挙げられる。好適なロイコトリエンDアンタゴニストの非限定的な例としては、システイニルロイコトリエンに対する受容体をアンタゴナイズすることが可能なロイコトリエンDアンタゴニストであるモンテルカストが挙げられる。モンテルカストの技術的名称は、[R−(E)]−1−[[[1−[3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル]フェニル]−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]メチル]−シクロプロパン酢酸である。この化合物は、欧州特許第480,717号に記載されている。モンテルカストの好適な医薬として許容し得る塩は、モンテルカストナトリウムとしても公知である一ナトリウム塩である。本発明の単位剤形に採用することができるモンテルカストの量は、約1から100ミリグラム、また約5から約20ミリグラム、好ましくは約10ミリグラムであり得る。
【0362】
好適なロイコトリエンDアンタゴニストのさらなる非限定的な例としては、国際公開第97/28797号および米国特許第5,270,324号に記載されている化合物1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチルシクロプロパン酢酸が挙げられる。この化合物の医薬として許容し得る塩は、1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)−メチルシクロプロパン酢酸ナトリウムとしても公知であるナトリウム塩である。
【0363】
好適なロイコトリエンDアンタゴニストのさらなる非限定的な例としては、国際公開第97/28797号および米国特許第5,472,964号に記載されている化合物1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)−チオ)メチル)シクロプロパン酢酸が挙げられる。この化合物の医薬として許容し得る塩は、1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)−チオ)メチル)シクロプロパン酢酸ナトリウムとしても公知であるナトリウム塩である。
【0364】
好適なロイコトリエンDアンタゴニストのさらなる非限定的な例としては、国際公開第97/28797号および欧州特許第173,516号に記載されている化合物プランルカストが挙げられる。この化合物の技術的名称は、N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]−p−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミドである。単位剤形に採用することができるプランルカストの量は、約100から約700mg、好ましくは約112から約675mg;また約225mgから約450mg;また約225から約300mgの範囲であり得る。
【0365】
好適なロイコトリエンDアンタゴニストのさらなる非限定的な例としては、国際公開第97/28797号および欧州特許第199,543号に記載されている化合物が挙げられる。この化合物の技術的名称は、シクロペンチル−3−[2−メトキシ−4−[(o−トリスルホニル)カルバモイル]ベンジル]−1−メチルインドール−5−カルバメートである。
【0366】
好適なロイコトリエンDアンタゴニストのさらなる非限定的な例としては、米国特許第5,296,495号および日本国特許特開平8−325265号公報に記載されている化合物[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸が挙げられる。この化合物の代替的名称は、2−[[[2−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−チアゾリル]−5−ベンゾフラニル]オキシ]メチル]−ベンゼン酢酸である。この化合物の分類番号は、FK011またはFR150011である。
【0367】
さらなる活性薬としては、感冒に対して有益な効果を有することが報告されている水溶性の塩を含む医薬として許容し得る亜鉛塩が挙げられる。典型的には、当該製剤は、粘膜に対する刺激をもたらす濃度未満の亜鉛イオン濃度の水溶液または塩水を含む。一般に、当該溶液における亜鉛イオンは、実質的に非キレート化亜鉛として存在し、遊離イオン溶液の形である。本発明に使用される亜鉛イオン溶液は、典型的には、実質的に非キレート化亜鉛イオンを約0.004から約0.12%(w/vol)の濃度で含むことになる。好ましくは、実質的に非キレート化亜鉛イオン化合物は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛および酢酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛の鉱酸塩を含むことができる。これらの組成物は、当業者に公知の量または当業者によって容易に決定される量で経口または経鼻投与され得る。
【0368】
さらなる活性薬としては、SYKキナーゼ類似体が挙げられる。SYKキナーゼ類似体は、SYKキナーゼを遮断することによって作用する分子類である。Rigel Pharmaceuticals,Inc.から入手可能な化合物R112は、SYKキナーゼ類似体の一例である。最近の試験では、慢性鼻鬱血(例えば鼻詰り)に伴う症候についての偽薬と比較したR112の相対的改善が20%であり(偽薬と比較して9%の絶対差)、(薬物吸入前の)基線測定値からのR112の改善が38%までであったことが報告されている。
【0369】
さらなる活性薬としては、5−リポキシゲナーゼ阻害薬が挙げられる。本明細書に使用されているように、「5−リポキシゲナーゼ」(「5−LO阻害薬」とも称する)という用語は、5−リポキシゲナーゼの酵素作用を阻害、抑制、妨害し、あるいは当該作用と相互作用する任意の薬剤または化合物を含む。5−リポキシゲナーゼ阻害薬の例としては、ジロイトン、ドセベノンおよびピリポスト等が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に使用されているように、「5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質アンタゴニスト」または「FLAPアンタゴニスト」という関連用語は、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質の作用または活性を阻害、抑制、妨害し、あるいは当該作用または活性と相互作用する任意の薬剤または化合物を含み、その例としては「FLAPアンタゴニスト」MK−591およびMK−886が挙げられるが、それらに限定されない。
【0370】
さらなる活性薬としては、例えば、咽頭痛、口内ヘルペスまたは口内靡爛および歯肉痛を含む口咽頭不快を軽減する公知のものが挙げられる。当該活性薬としては、フェノール、ヘキシルレソルシノール、サリチルアルコール、ベンジルアルコール、ジクロニン、ジブカイン、ベンゾカイン、ブチカイン、塩化セチルピリジニウム、ジペリドン、チョウジ油、メントール、樟脳およびオイゲノール等の局所麻酔薬が挙げられる。皮膚への投与を目的とする本発明の医薬品としては、同様に、リドカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、ジブカイン、プラモキシン、ジフェンヒドラミンおよびベンジルアルコールを含むが、それらに限定されない、皮膚の不快を軽減するための治療薬を挙げることができる。
【0371】
本発明の化合物との組合せに有用なさらなる活性薬としては、アスピリンなどのサリチレート、NSAID(インドメタシン、スリンダク、メフェナミク、メクロフェナミク、トルフェナミク、トルメチン、ケトロラク、ジコフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビロフィンまたはオキサプロジンなどの非ステロイド性抗炎症薬)、エタネルセプトまたはインフィキシマブなどのTNF阻害薬、IL−1受容体アンタゴニスト、メトトレキセート、レフルノミド、アザチオルピンもしくはシクロスポリンなどの細胞毒または免疫抑制薬、金化合物、ヒドロキシクロロキンもしくはスルファサラジン、ペニシラミン、ダルブフェロン、およびp38キナーゼ阻害薬、クロモグリシン酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、PDF阻害薬、ロイコトリエンアンタゴニスト、iNOS阻害薬、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害薬、ベータ−2インテグリンアンタゴニスト、アデノシン2aアゴニスト;抗生物質、抗ウイルス薬などの抗感染薬;(例えば臭化物としての)イプラトロピウム、(例えば臭化物としての)チオトロピウム、(例えば臭化物としての)グリコピロニウム、アトロピンおよびオキシトロピウムなどの抗コリン化合物、または先述のいずれかの塩もしくは他の形が挙げられる。
【0372】
本発明の1つまたは複数の化合物と組み合わせて使用するのに好適なさらなる活性薬としては、ステロイドの使用に伴う1つまたは複数の副作用に対処するのに有用なものが挙げられる。非限定的な例は、破骨細胞媒介骨吸収の1つまたは複数の阻害薬を含む。好適な破骨細胞媒介骨吸収阻害薬としては、パミドロネート(APD、Aredia(登録商標))、リセドロネート(Actonel(登録商標))、ネリドロネート、オルパドロネート、アレンドロネート(Fosamax(登録商標))、イバンドロネート(Boniva(登録商標))、リセドロネート(Actonel(登録商標))およびゾレドロネート(Zometa(登録商標))などのビスホスホネート(ジホスホネートとも呼ばれる)が挙げられる。
【0373】
本発明の1つまたは複数の化合物と組み合わせて使用するのに好適なさらなる活性薬が、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第03/035668号に記載されている。
【0374】
本明細書に言及される組合せを、便宜上医薬製剤の形での使用に向けて提示することができるため、以上に定義されている組合せを医薬として許容し得る希釈剤または担体とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる実施形態を示す。公知の治療薬の適切な投与量は、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0375】
その幅広い発明の概念から逸脱することなく、上記実施形態に変更を加えることが可能であることを当業者なら理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の請求項に定義されている本発明の主旨および範囲内の修正を包含することを意図することが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VII)に示される一般構造を有する化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体
【化46】

[式中、L、R、R、R、RおよびRは、互いに独立に選択され、
Lは、−CHS−であり;
は、アリール、アリールアルキル−、シクロアルキル、5員ヘテロシクロアルケニル、ベンゾ縮合5員ヘテロシクロアルケニル−、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−、6員ヘテロシクロアルケニルおよび6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されており;
は−ORであり;
は、水素、ヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状低級アルキルから選択され、あるいは
およびRは、一緒になって、式2:
【化47】

の部分を形成することができ、
XおよびYは、水素、アルキルおよびフェニルから独立に選択され、但し、XまたはYの一方がフェニルであるときは、他方は水素であり;
z(zのそばの点線)は、単結合または二重結合であり;
は、Hおよびハロゲンから選択され、但し、Rがハロゲンであるときは、zは単結合であり;
は、Hおよびアルキルから選択され;
各Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立に選択され;
は、水素、アルキルおよび−C(O)Rから選択され;
は、アルキルから選択される]。
【請求項2】
一般構造:
【化48】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、アリール、アリールアルキル−およびシクロアルキルから選択され、
各前記R基が、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、5員ヘテロシクロアルケニル、ベンゾ縮合5員ヘテロシクロアルケニル、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール、6員ヘテロシクロアルケニルおよび6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基が、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、5員ヘテロシクロアルケニル、ベンゾ縮合5員ヘテロシクロアルケニル、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール、6員ヘテロシクロアルケニルおよび6員ヘテロアリールから選択され、各前記R基が、非置換であり、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、−N(Rおよび−COから独立に選択される1から5個の置換基で場合により置換されており;Rが、水素およびアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基が、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が−OHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、水素およびアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が−OC(O)Rである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が非置換である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が1から3個の置換基で置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
が1から2個の置換基で置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
が1個の置換基で置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
が、同一であっても異なっていてもよく、アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびハロアルキルからそれぞれ独立に選択される1から2個の置換基で置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項15】
が水素およびC〜Cアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が水素およびメチルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が水素およびメチルから選択され、zが単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
が水素およびメチルから選択され、zが二重結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
がヒドロキシであり、Rがメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
がヒドロキシであり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
zが二重結合であり、RおよびRが、一緒になって、式2:
【化49】

の部分を形成し、
XおよびYは、水素、アルキルおよびフェニルからそれぞれ独立に選択され、但し、XまたはYの一方がフェニルであるときは、他方は水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
およびRが、一緒になって、式:
【化50】

の部分を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
およびRが、一緒になって、式:
【化51】

の部分を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
およびRが、一緒になって、式:
【化52】

の部分を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
およびRが、一緒になって、式:
【化53】

の部分を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
がハロゲンであり、zが単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
がフルオロである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
がクロロである、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
が水素であり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
が水素であり、Rがアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
が水素であり、Rがメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
がハロゲンであり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
zが単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
zが二重結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
式(VIIa)に示される一般構造を有する化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体
【化54】

[式中、R、Rおよびzは、独立に選択され、
は、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されており;
は、水素および低級直鎖状または分枝状アルキルから選択され;
z(点線)は、単結合または二重結合を表す]。
【請求項39】
がHおよびメチルから選択される、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
zが単結合である、請求項40に記載の化合物。
【請求項41】
zが二重結合である、請求項38に記載の化合物。
【請求項42】
式(VIIb)に示される一般構造を有する、請求項1に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体
【化55】

[式中、R、XおよびYは、独立に選択され、
は、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されている]。
【請求項43】
式(VIIb.1)の一般構造を有する、請求項42に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体
【化56】

[式中、R、XおよびYは、独立に選択され、
は、アリール、5員ヘテロアリール、ベンゾ縮合5員ヘテロアリール−および6員ヘテロアリールから選択され、
各前記R基は、非置換であり、またはアルキル、ハロゲンおよびアルコキシから独立に選択される1から2個の置換基で場合により置換されている]。
【請求項44】
XがHであり、Yが直鎖状または分枝状低級アルキルである、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
XがHであり、Yがメチルである、請求項43に記載の化合物。
【請求項46】
XおよびYがそれぞれメチルである、請求項43に記載の化合物。
【請求項47】
XがHであり、Yが−CHCHCHであり、得られたC22の絶対立体配置がRである、請求項43に記載の化合物。
【請求項48】
一般式:
【化57】

を有するC−11−ケト化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、互変異性体もしくは異性体
[式中、L、R、R、R、R、Rおよびzは、互いに独立に選択され、請求項1に定義されている通りである]。
【請求項49】
【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

から選択される化合物またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体。
【請求項50】
【化98】

【化99】

【化100】

【化101】

から選択される化合物またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体。
【請求項51】
【化102】

【化103】

【化104】

【化105】

【化106】

から選択される化合物またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグもしくは異性体。
【請求項52】
請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体を、場合により1つまたは複数の医薬として許容し得る希釈剤または担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項53】
請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体および噴射剤を、場合により界面活性剤または共溶媒と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項54】
局所使用のために配合された、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体および噴射剤を含む医薬組成物。
【請求項55】
皮膚科使用のために配合された、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
吸入のために配合された、請求項1から55のいずれか一項に記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体および噴射剤を含む医薬組成物。
【請求項57】
注射のために配合された、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体および噴射剤を含む医薬組成物。
【請求項58】
経口使用のために配合された、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、互変異性体もしくは異性体および噴射剤を含む医薬組成物。
【請求項59】
少なくとも1つのさらなる治療活性薬をさらに含む、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記少なくとも1つのさらなる治療活性薬は、ベータアドレナリン受容体アゴニスト、抗ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、抗アレルギー薬、抗コリン作用薬、去痰薬、鬱血除去薬、抗生物質、P2Y受容体アゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、医薬として許容し得る亜鉛塩、SYKキナーゼ類似体、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、口咽頭不快緩和薬、非ステロイド性抗炎症薬、TNF阻害薬、IL−1受容体アンタゴニスト、細胞毒もしくは免疫抑制薬、p38キナーゼ阻害薬、PDE阻害薬、iNOS阻害薬、ベータ−2−インテグリンアンタゴニスト、アデノシン2aアゴニスト、抗感染薬、抗ウイルス薬および破骨媒介骨吸収阻害薬の阻害薬から選択される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
免疫、自己免疫もしくは炎症の疾患または状態の治療または予防を必要とする患者における当該疾患または状態を治療または予防するための方法であって、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項62】
皮膚疾患または状態の治療または予防を必要とする患者における当該疾患または状態を治療または予防するための方法であって、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項63】
前記皮膚疾患または状態が、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、そう痒および過敏反応から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
鼻、喉または肺の炎症状態の治療または予防を必要とする患者における当該状態を治療または予防するための方法であって、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項65】
前記状態が、喘息、アレルゲン誘発喘息反応、鼻炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎、副鼻腔炎、鼻ポリープ、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患および線維症から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
炎症性腸状態の治療または予防を必要とする患者における当該状態を治療または予防するための方法であって、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項67】
前記状態が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
自己免疫疾患の治療または予防を必要とする患者における当該疾患を治療または予防するための方法であって、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項69】
前記状態がリウマチ様関節炎である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
多発性硬化症の治療または予防のための方法であって、多発性硬化症の治療または予防を必要とする患者に対して、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項71】
眼の疾患および状態の治療または予防のための方法であって、眼の疾患および状態の治療または予防を必要とする患者に対して、請求項1から51のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項72】
前記疾患または状態が、アレルギー性または非アレルギー性結膜炎から選択される、請求項71に記載の方法。

【公表番号】特表2011−507879(P2011−507879A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539763(P2010−539763)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087301
【国際公開番号】WO2009/085880
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【出願人】(510172321)
【出願人】(510172332)
【出願人】(510172354)
【出願人】(510172376)
【Fターム(参考)】