説明

グルココルチコイド受容体リガンドの製造方法

本発明は、炎症性疾患および免疫性疾患の治療に有用なグルココルチコイド受容体リガンドである2−[1−フェニル−5−ヒドロキシ−4アルファ−メチル−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチルフェニル誘導体の製造方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−[1−フェニル−5−ヒドロキシ−4アルファ−メチル−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチルフェニル誘導体の製造方法に関する。これらは炎症性疾患および免疫性疾患の治療に有用でありまた慣用の経口グルココルチコイド類よりも副作用が少ないと考えられているグルココルチコイド受容体リガンドである。これらの化合物はU.S.Nos.60/853,655(出願日2006年10月23日)および60/923,337(出願日2007年4月13日)に記載されている。双方の出願はそれらの記載内容全部が参照によってここに組込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
細胞内受容体(IR)は、遺伝子発現の調節に関与する構造的に近縁のタンパク質のクラスである。ステロイドホルモン受容体は、典型的にはエストラジオール、プロゲステロンおよびコルチゾールのような内因性ステロイドから成る天然リガンドを有しているこのスーパーファミリーの1つのサブセットである。これらの受容体に対する人工リガンドはヒトの健康に重要な役割を果たしており、これらの受容体のうちでグルココルチコイド受容体はヒトの生理学および免疫応答の調節に不可欠な役割を有している。グルココルチコイド受容体と相互作用するステロイドは、ミネラルコルチコイド、プロゲステロンおよびアンドロゲン受容体のような他のステロイドホルモン受容体との交差反応性を理由とする未解決の付随薬理学に帰着することもあり得るが、強力な抗炎症薬であることが判明している。
【0003】
グルココルチコイド受容体のトランス抑制からトランス活性化を解離することはステロイド治療に関する副作用プロフィルの改善に近付く方策であると考えられている。ステロイドのようなGRモジュレーターの有益な抗炎症活性は、プロ炎症性サイトカイン、接着分子および酵素をコードする遺伝子のトランス抑制を介して生じると考えられている。このような薬剤に付随する望ましくない副作用の多くは、恒常的内分泌機能を下流で乱すような遺伝子転写のトランス活性化すなわち誘導を介して生じると考えられている。これらの侵害された代謝プロセスのいくつかとして、誘導糖新生、誘導アミノ酸分解、骨粗鬆症、HPA軸の抑制、二次的アドレナリン抑制の誘導、電解質濃度の変化、脂質代謝の変化、成長遅滞、創傷治癒の遅れおよび皮膚の薄膜化などがある。トランス活性化に関する受容体の潜在的アンタゴニズムを含むトランス抑制およびトランス活性化に関するGRの弱い部分的および全面的アゴニズムは、リウマトイド関節炎および喘息のような炎症性および自己免疫性疾患の治療に適用できる。最近の情勢については以下の文献を参照できる:(a)Recent Advances in Glucocorticoid Receptor Action;Cato,A.C.B.,Schacke,H.,Asadullah,K.,Eds.;Springer−Verlag:Berlin−Heidelberg,Germany,2002.(b)Coghlan,M.J.;Elmore,S.W.;Kym,P.R.;Kort,M.E.In Annual Reports in Medicinal Chemistry;Doherty,A.M.,Hagmann,W.K.,Eds.;Academic Press:San Diego,CA,USA,2002;Vol.37,Ch.17,pp 167−176。
【0004】
本発明は、2−[1−フェニル−5−ヒドロキシ−4アルファ−メチル−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチルフェニル誘導体を製造するための効率的および経済的な方法を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第60/853,655号
【特許文献2】米国特許第60/923,337号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Recent Advances in Glucocorticoid Receptor Action;Cato,A.C.B.,Schacke,H.,Asadullah,K.,Eds.;Springer−Verlag:Berlin−Heidelberg,Germany,2002.
【非特許文献2】Coghlan,M.J.;Elmore,S.W.;Kym,P.R.;Kort,M.E.In Annual Reports in Medicinal Chemistry;Doherty,A.M.,Hagmann,W.K.,Eds.;Academic Press:San Diego,CA,USA,2002;Vol.37,Ch.17,pp 167−176
【発明の概要】
【0007】
本発明は、炎症性疾患および免疫性疾患の治療に有用なグルココルチコイド受容体リガンドである2−[1−フェニル−5−ヒドロキシ−4アルファ−メチル−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチルフェニル誘導体の製造方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この図は式Iaの化合物の半水和物のx線粉末回折図(XRPD)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は式I
【0010】
【化1】

の化合物または医薬的に許容されるその塩の合成方法を包含する。式中の、
AおよびBは独立に、H、FおよびClから成るグループから選択され、
C、DおよびEは独立に、H、F、Cl、−CN、−CH、−OCH、フェニルおよび−CFから成るグループから選択され、
Fは、結合、−C(R)(R)−および−C(R)(R)−C(R)(R)−から成るグループから選択され、
Gは、−CN、−OH、−O−C(O)−N(R)(R)、−O−C(O)−O−R、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−NRR、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、−C(R)(R)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)−C(R)(R)−R、−C(O)−N(R)−C(R)(R)−C(O)−OR、−C(O)−N(R)−C(R)(R)−C(O)−NRR、−N(R)−C(O)−R、−N(R)−C(O)−OR、−N(R)−C(O)−N(R)(R)、−N(R)−S(O)−X、−S(O)−N(R)(R)、−N(R)−S(O)−N(R)(R)および−S(O)−Xから成るグループから選択され、ここにnは0、1または2であり、
Rはおのおの独立に、H、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、C2−8アルケニル、ハロC2−8アルケニル、C1−8アルコキシおよびC3−6シクロアルキル−C1−4アルキルから成るグループから選択され、
同一窒素原子に付着した2個のR基はそれらが付着している窒素原子と共に3−から7−員環の単環式環を形成でき、該環は場合によりオキソで置換され、該環はさらに場合により、ハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから成るグループから独立に選択された1から3個の置換基で置換されており、
Xは、H、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、C2−8アルケニル、ハロC2−8アルケニル、C1−8アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、−CH−S(O)−CH{ここに、kは0、1または2である}、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから成るグループから選択され、
、R、RおよびRは独立に、H、ハロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ、C3−6シクロアルキルおよびC1−4ハロアキルから成るグループから選択され、また、RとRとはそれらが付着している炭素原子と共に3−から6−員環の単環式環を形成してもよく、
およびRは独立に、H、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよびヒドロキシから成るグループから選択され、または、RとRとはそれらが付着している炭素原子と共に3−から6−員環の単環式環を形成してもよく、
置換アリールおよび置換ヘテロアリールはそれぞれ、ハロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよび−CNから成るグループから独立に選択された1から3個の置換基でおのおのが置換されたアリールおよびヘテロアリールを意味する。
【0011】
方法は、
(al)式4
【0012】
【化2】

の化合物と式5
【0013】
【化3】

[式中、XはI、Br、ClおよびOTfから成るグループから選択される]の化合物を、極性非プロトン性溶媒中、パラジウム触媒、ホスフィンリガンドおよびアミン塩基の存在下に第一高温でカップリングさせて、式6
【0014】
【化4】

の化合物を生成する段階と、
(a2)式6の化合物を、金属触媒の存在下でHによって水素化して式Iの化合物を生成する段階と、
を含み、場合により式Iの化合物を医薬的に許容される塩に変換する。
【0015】
1つの実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、パラジウム触媒が[(アリル)PdCl]、水素化パラジウム、パラジウムオンカーボン、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)アセトニトリル錯体、塩化パラジウム(II)ベンゾニトリル錯体、シアン化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、および、ホスフィンリガンドを担うオルガノパラジウム錯体から成るグループから選択される方法を包含する。
【0016】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、ホスフィンリガンドが、(t−Bu)P・HBF、トリ−tertブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−オルト−トリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノフェロセン、ジフェニルホスフィノブタン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノメタンおよびジ−tBu−2−(N−フェニルピロール)ホスフィンから成るグループから選択される方法を包含する。
【0017】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、アミン塩基が、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンおよびピペリジンから成るグループから選択される方法を包含する。
【0018】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、極性非プロトン性溶媒が、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシメタンおよび2−メチルテトラヒドロフランから成るグループから選択される方法を包含する。
【0019】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、第一高温が約80℃である方法を包含する。
【0020】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、金属触媒が、パラジウムオンカーボン、水酸化パラジウムオンカーボン、パラジウム/白金アマルガム、ロジウムオンカーボン、ロジウムオンアルミナおよび白金オンカーボンから成るグループから選択される方法を包含する。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、さらに、
(a3)式2a
【0022】
【化5】

の化合物とH−C(O)−O−R{ここに、RはC1−4アルキル}とを、第一有機溶媒中、LiOtBuの存在下に第一低温で反応させて式2b
【0023】
【化6】

の化合物を生成する段階と、
(a4)有機酸で反応停止させ、それ以上単離することなく式2bの化合物を式2c
【0024】
【化7】

の化合物と第二高温で反応させ次いで塩基によって脱シリル化するかまたは逆の順序で処理して式4の化合物を生成する段階と、
による式4の化合物の製造を含む方法を包含する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a4)の段階を含み、第一有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択される方法を包含する。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a4)の段階を含み、第一低温が約5℃から約10℃である方法を包含する。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a4)の段階を含み、有機酸が、酢酸、ギ酸、安息香酸およびp−トルエンスルホン酸から成るグループから選択される方法を包含する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a4)の段階を含み、第二高温が約60℃である方法を包含する。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、塩基が水素化ナトリウムである方法を包含する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a4)の段階を含み、さらに、
(a5)TMS−アセチレン−MgClとCeClとを第二有機溶媒中、第二低温で反応させて有機セリウム試薬を生成し、得られた有機セリウム試薬を第三低温で式1
【0031】
【化8】

の化合物と反応させて式2aの化合物を生成する段階による式2aの化合物の製造を含む方法を包含する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a5)の段階を含み、第二有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択される方法を包含する。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a5)の段階を含み、第二低温および第三低温が独立に約−70℃から約−50℃である方法を包含する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a6)の段階を含み、さらに、
(a6)TMS−アルキンとiPrMgClとを第三有機溶媒中、第四低温で反応させてTMS−アセチレン−MgClを生成する段階によるTMS−アセチレン−MgClの製造を含む方法を包含する。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)の段階を含み、第三有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択され、第四低温が約−5℃である方法を包含する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、式中のAがFであり、BがHであり、CがHであり、DがFであり、EがHであり、Fが結合であり、Gが−C(O)−N(R)(R)であり、各RがHを表す式Iの化合物を製造するための段階(al)から(a2)、(al)から(a4)、(al)から(a5)または(al)から(a6)を含む方法を包含する。
【0037】
別の実施態様において、本発明は、式中のAがFであり、BがHであり、CがHであり、DがFであり、EがHであり、Fが結合であり、Gが−C(O)−N(R)(R)であり、各RがHを表す式Iの化合物を製造するための段階(al)から(a2)を含み、さらに、(b1)式7
【0038】
【化9】

の化合物と塩素化剤とを、第四有機溶媒中、ジメチルホルムアミドの存在下で反応させて式7a
【0039】
【化10】

の酸塩化物を生成する段階と、
(b2)式7aの酸塩化物を水酸化アンモニウムと反応させて式5の化合物を生成する段階とによる式5の化合物の製造を含む方法を包含する。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)および(b1)から(b2)の段階を含み、塩素化剤が、塩化チオニル、五塩化リンおよび塩化オキサリルから成るグループから選択される方法を包含する。
【0041】
別の実施態様において、本発明は、上記の(a1)から(a2)および(b1)から(b2)の段階を含み、第四有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択される方法を包含する。
【0042】
別の実施態様において、本発明は式Ia
【0043】
【化11】

の化合物の半水和物を包含する。
【0044】
“パラジウム触媒”という用語は、対応する変換を触媒できるパラジウム錯体を表す。この錯体の例は非限定的に、[(アリル)PdCl]、水素化パラジウム、パラジウムオンカーボン、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)アセトニトリル錯体、塩化パラジウム(II)ベンゾニトリル錯体、シアン化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、および、以下に定義するようなホスフィンリガンドを有しているオルガノパラジウム錯体を含む。
【0045】
“ホスフィンリガンド”という用語は、1、2または3個の脂肪族または芳香族基を有しているホスフィンを表す。このリガンドの例は非限定的に、(t−Bu)P・HBF4、(t−Bu)P(トリ−tertブチルホスフィン)、PhP(トリフェニルホスフィン)、(o−Tol)P(トリ−オルト−トリルホスフィン)、CyP(トリシクロヘキシルホスフィン)、dppf(ジフェニルホスフィノフェロセン)、dppb(ジフェニルホスフィノブタン)、dppe(ジフェニルホスフィノエタン)、dppp(ジフェニルホスフィノプロパン)、dppm(ジフェニルホスフィノメタン)およびジ−tBu−2−(N−フェニルピロール)ホスフィンを含む。
【0046】
“アミン塩基”という用語はたとえば、第一級、第二級および第三級アミン、天然存在置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、たとえば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(Hunig’s塩基)、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンおよびピペリジンを意味する。
【0047】
“金属触媒”という用語は、所望の水素化を実行できる単一のまたは組合せた(1種以上の)金属、金属錯体または金属含浸固体支持体を表す。この種の例は非限定的に、様々な重量%のパラジウムオンカーボン、様々な重量%の水素化パラジウムオンカーボン(パールマン触媒)(乾性または湿性)、パラジウム/白金アマルガム、ロジウムオンカーボン、ロジウムオンアルミナおよび白金オンカーボンを含む。
【0048】
“極性非プロトン性溶媒”という用語はたとえば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシメタンおよび2−メチルテトラヒドロフランを意味する。
【0049】
“第一有機溶媒”、“第二有機溶媒”、“第三有機溶媒”および“第四有機溶媒”は独立に、適度に極性の非プロトン性および非極性の有機溶媒、たとえば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンを意味する。
【0050】
“第一高温”および“第二高温”という用語は独立に約50℃を上回る温度を意味する。
【0051】
“第一低温”、“第二低温”、“第三低温”および“第四低温”という用語は独立に約10℃を下回る温度を意味する。
【0052】
“有機酸”という用語は、酸性という特性を有している有機化合物、たとえば、酢酸、ギ酸、安息香酸およびp−トルエンスルホン酸を意味する。
【0053】
“塩基”という用語は当業界で公知であり、たとえばNaOHを意味する。
【0054】
“塩素化剤”という用語は、カルボン酸と反応して、塩化チオニル、五塩化リンおよび塩化オキサリルのような酸塩化物を形成する試薬を意味する。
【0055】
以下の略号は指定の意味を有している:
DIPEA=N,N’−ジイソプロピルエチルアミン
Et=エチル
DCE=ジクロロエタン
DMF=ジメチルホルムアミド
HATU=2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム
Me=メチル
Ms=メシル
MTBE=メチルt−ブチルエーテル
NBS=N−ブロモスクシンイミド
Ph=フェニル
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TMEDA=テトラメチルエチレンジアミン
TMS=トリメチルシリル
【実施例】
【0056】
(実施例1)
1.アルキン付加
【0057】
【化12】

【0058】
【表1】

【0059】
オーバーヘッド撹拌、N導入口、熱電対および還流コンデンサーを備えた丸底フラスコに、THF(150mL)および無水CeClを導入し、得られたスラリーを50℃で4時間次いで室温で15時間加熱した後、フラスコをMeOH/ドライアイス浴で−65℃の内部温度に冷却する。
【0060】
他方で、オーバーヘッド撹拌、N導入口および熱電対を備えた別のフラスコに、THF(50mL)およびTMSアルキンを導入し、得られた溶液を−5℃の内部温度に冷却した。次に5℃以下の内部温度に維持しながらiPrMgCl(THF中に1.8M)を部分量ずつ添加する。iPrMgClの全量を添加した後(1.5時間の添加時間)、反応容器を室温に加温し、2時間熟成する。2時間後、新しく形成されたアルキン−MgClを10℃に冷却し、予め−65℃に冷却しておいたCeCl溶液に−50℃以下の内部温度に維持しながら添加する。アルキン−MgClの全量を添加した後、溶液を−60℃で1.5時間熟成する。次に、−50℃以下の内部温度に維持しながら−60℃のTHF(45mL)中のケトンを添加漏斗から添加する。ケトンの全量を添加した後、反応をHPLCでモニターする。
【0061】
HPLCによって判定して1の変換反応が完了した後、AcOH(2モル当量)を−50℃で添加し(発熱)、室温に加温し、次いで30mLの水を添加する。
【0062】
次に、水(30mL)とMTBE(300mL)を入れた200Lの抽出容器に二相溶液を移す。20分間の撹拌後、水相を分離し、100mLのMTBEで抽出する。水層を再度分離し、減量を点検し、廃棄する。集めた有機層を30mLの新しい水、次いでブライン(30mL)で洗浄し、次に濃縮し、溶媒をヘプタンに交換すると、1:15のMTBE:ヘプタンという最終組成物が8〜10容の全量で得られる。得られたスラリーを次に室温で一夜熟成し、濾過し、湿性ケーキをヘプタンで洗浄し、N掃引下で乾燥する。18.5gの所望生成物を単離した(収率77%)。
【0063】
2.ピラゾール形成
【0064】
【化13】

【0065】
【表2】

【0066】
新しく調製したTHF(220mL)中のLi/OBuの5℃のスラリーに、20mLのTHF中のエノンとギ酸エチルとの溶液を10分間で添加する。5から10℃で3時間熟成後、典型的には>95%の変換が観察される。この時点で、THF中のAcOHの溶液(25mL)を25℃以下の温度に維持しながら10分間でゆっくりと添加する。この添加中に、ほぼ直ちに固体が形成され、バッチは瞬時に増粘するが撹拌によって流動性になる。AcOH反応停止の終了後、25mLのMeOH、次いでp−FフェニルヒドラジンHCl塩を固体として添加する。次に反応混合物を60℃に加熱し、1時間熟成して完全に変換し、MTBE(110mL)で希釈し、10%NaCl水溶液(110mL)で洗浄する。有機層を分離し、10%NaCl水溶液(100mL)で再度洗浄する。TMS基を除去するために有機層を先ず23mLのMeOHおよび23mLのHOで希釈し、次いで42mLの10MのNaOHによってpHを>13にする。35から50℃で1から2時間熟成後、反応の完了を観察し、バッチを25℃に冷却し、110mLの10%ブライン水溶液で洗浄し、有機層を170mLの10%ブライン水溶液で再度洗浄する。次に有機層をNaSO(20g)で一夜乾燥し、濾過し、次に160から200mLのアセトニトリルを使用して真空下でバッチを最小容量(約30mL)に濃縮する。この時点で生成物が晶出する。このスラリーに40mLのMTBE次いで450Lのヘプタンを23℃で30分を要して添加する。35分間の撹拌後、反応混合物を真空下で濃縮して約20mLの溶媒を除去する。次にバッチを45分間撹拌し、濾過し、湿性ケーキを20mLの2:1のMTBE:ヘプタンで洗浄し、風乾する。生成物が褐色固体として9.1グラム(70%)の量で得られる。
【0067】
3.カップリング
【0068】
【化14】

【0069】
【表3】

【0070】
熱電対、撹拌棒および還流コンデンサーを備えた丸底フラスコにアルキン4a、ブロミド5a、アセトニトリル(RM表、ライン6)およびピペリジンを順次に充填する。赤褐色溶液が形成されるまで試薬を撹拌し、真空および窒素再充填サイクルを5回行って溶液をガス抜きする。次にホスフィンリガンドおよびパラジウム触媒を順次に添加し、得られた溶液を再度ガス抜きする。次に溶液を80℃に加熱し、HPLC分析によって99%変換に達するまで熟成する(典型的には1時間)。溶液を100mLのトルエンで希釈し、次にHOAc(1.5当量)を含む15重量%のNaCl水溶液(48mL)、飽和KHCO溶液(40mL)および飽和NaCl溶液(40mL)で順次に洗浄する。Ecosorb 941(2.53g)およびトリチオシアヌル酸(127mg)を溶液に添加し、溶液を23から25℃で1時間撹拌する。次に黒色スラリーを15−20ミクロンのフリットガラス濾過器を介してSolka flock(10g)で濾過する。湿性ケーキを130mLの2:1のトルエン:CHCNで洗浄する。溶液を別の漏斗に移し、15重量%のKCO水溶液(38mL)で洗浄し、次にトルエン(26.7mL)およびCHCN(53mL)で希釈する。有機層を飽和NaCl水溶液(38mL)で洗浄し、丸底フラスコに移す。有機層をHPLC分析によって検定すると、12.76gAの生成物6aを含有している。
【0071】
4.カップリング生成物の結晶化
PhMe/MeCN中の6a(12.6g)の粗溶液を、全容量を10容に維持しかつバッチ温度を20から25℃に維持しながら減圧下で濃縮してMeCNを除去する。このプロセス中に合計6容のPhMeを使用する。溶媒交換の終了後、得られたスラリーを90℃に加熱し、72℃までゆっくりと冷却する。適切な播種後に生成物が結晶化を開始してスラリーとなるので、このスラリーを次に一夜熟成する。次にヘプタン(3.3容)を添加し、得られた混合物を母液中に6から8%の生成物が残留するまで熟成する。この時点でスラリーを濾過し、湿性ケーキを低温PhMe/ヘプタン(3/1、6容)次いでヘプタン(3容)で洗浄し、N流下で一夜乾燥する。生成物は淡黄色固体として13.67g(84.4重量%)の量で単離され、回収率92%または総収率81%である。
【0072】
5.ブロモベンズアミド製造
【0073】
【化15】

【0074】
【表4】

【0075】
添加漏斗を備えた丸底フラスコに、酸7a、2−Me−THFおよびDMFを充填する。次に溶液を7℃に冷却し、<15℃の塩化オキサリルを30分間で滴下する。添加の完了後、反応混合物を室温に加温し、45分間熟成する。酸の完全消費後、反応混合物を、濃NHOHと2−Me−THFとの低温(9℃)混合物を入れた別のフラスコに約20から25℃の温度を維持しながら1.5時間で滴下する。反応混合物に水(100mL)を添加して固体をある程度溶解し、得られた二相性層を分液漏斗に移す。水層を分離し、有機層を1NのHCl(50mL)およびブライン(100mL)で洗浄する。次に最終有機層の溶媒をトルエンに交換して最終スラリーを15容に濃縮する。次にスラリーを110℃に加熱して透明溶液とし、次にこの溶液を室温までゆっくりと冷却する。結晶化が典型的には100℃で生じることを観察し、室温で一夜熟成後にヘプタン(10容)を添加し、次いで1時間熟成する。次に懸濁液を濾過し、湿性ケーキを低温の1:1のヘプタン:トルエンで洗浄し、N流下で乾燥すると、生成物が46.9gの量(94.7%)で得られる。
【0076】
6.水素化−最終結晶化
【0077】
【化16】

【0078】
【表5】

【0079】
2−MeTHF(5容)中のアルキン6aと20重量%の湿性Pd(OH)/Cとの混合物を1気圧のHに6時間接触させると、典型的にはこの時点で出発材料の完全消費が観察される。次にスラリーをTHF(8容)で希釈し、得られた溶液をSolka Floc(75重量%)で濾過し、追加量のTHF(10容)ですすぐ。集めた濾液を1ミクロンのインラインフィルターで濾過して丸底フラスコに集め、20重量%のEcosorb C941および5重量%のMP−TMTで処理し、激しく撹拌しながら25℃で6時間熟成する。次にスラリーを50重量%のSiOゲルで濾過し、10容のTHFですすぎ、集めた濾液を次にMeCNに溶媒交換して最終スラリーが13容になるまで濃縮する。次にスラリーを75℃に加熱し(この温度で透明な帯黄色溶液が得られる)、72℃に冷却し、4%のシードを播種し、30℃で5から8時間放冷し、さらに8時間熟成する。次に28から30℃の温度に維持しながら水(8容)を3時間で添加する。添加の終了後、得られたスラリーを1から2時間で4℃に放冷し、さらに1時間熟成し、濾過し、湿性ケーキを低温の1:1のMeCN:HO混合物で洗浄する。N流下に室温で乾燥後、4.25gの生成物が白色固体として単離される(収率87%)。
【0080】
(参考実施例1)
2−{2−[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチル}安息香酸の合成
【0081】
【化17】

【0082】
(1S,7αS)−1−ヒドロキシ−7α−メチル−1−[(トリメチルシリル)エチニル]−1,2,3,6,7,7α−ヘキサヒドロ−5H−インデン−5−オン(1−2)
ヘキサン中のBuLi(27.4mL,68.5mmol)の2.5M溶液を、THF(90mL)中のトリメチルシリルアセチレン(9.48mL,68.5mmol)の−78℃溶液に滴下した。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌し、次にTHF(90mL)中のHajos−Parrish Ketoneの溶液(Organic Syntheses.Coll.Vol.7,p.363;Vol.63,p.26参照)(1−1,7.5gg,45.7mmol)を添加し、得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。飽和KHPO水溶液で反応停止させ、粗生成物をEtOAc(×3)で抽出した。集めた有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、真空下で溶媒を除去した。
【0083】
120gのシリカを用い、ヘキサン中の0−55%のEtOAcの勾配で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、9.54g、80%の1−2が白色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=263.25(MH)。
【0084】
(3S,3αS)−3−ヒドロキシ−3α−メチル−6−オキソ−3−[(トリメチルシリル)エチニル]−2,3,3α,4,5,6−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド(1−3)
シクロヘキサン(121mL,182mmol)中のリチウムジイソプロピルアミドモノ(テトラヒドロフラン)の1.5M溶液を、THF(400mL)中の1−2(9.54g,36.4mmol)の−78℃溶液に添加し、得られた溶液をこの温度で1時間撹拌すると、粘性の懸濁液が得られた。ギ酸メチル(22.6mL,364mmol)を約15分間で滴下し、得られた懸濁液を−78℃で5時間撹拌した。1MのHCl水溶液によって−78℃で反応停止させ、水層を点検して酸性であることを確認した。粗生成物をEtOAc(×3)で抽出し、集めた有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、真空下で溶媒を除去すると、粗1−3(78%純度)が得られたので、精製しないで次段階に直接使用した。
MS(ESI):m/z=291.18(MH)。
【0085】
(3R,3αS)−3−エチニル−3−ヒドロキシ−3α−メチル−6−オキソ−2,3,3α,4,5,6−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5−カルバルデヒド(1−5)
CO(5.03g,72.8mmol)を、MeOH(300mL)中の粗1−4の溶液に添加し、得られた懸濁液を周囲温度で90分間撹拌した。真空下でMeOHを除去し、残渣に1MのHCl水溶液を添加し、粗生成物をEtOAc(×3)で抽出した。集めた有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、真空下で溶媒を除去した。330gのシリカを用い、ヘキサン中の0−70%のEtOAcの勾配で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、5.94g<75%の1−6が淡褐色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=219.25(MH)。
【0086】
(4αS,5R)−5−エチニル−1−(4−フルオロフェニル)−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−オール(1−6)
NaOAc(41.3g,504mmol)を酢酸(916mL)中の1−5(100g,458mmol)および4−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1−5)(82g,504mmol)に添加し、得られた懸濁液を周囲温度で1時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液でゆっくりと反応停止させ(CO発生に要注意)、粗生成物をEtOAc(×3)で抽出した。集めた有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、真空下で溶媒を除去した。1.5Kgのシリカを用い、ヘキサン中の0−100%のEtOAcの勾配で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、133g、94%の1−6が淡褐色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=309.2(MH)。
【0087】
メチル 2−{[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチニル}ベンゾエート(1−7)
ジイソプロピルアミン(2.85mL,20.0mmol)を無水THF(73L)中の1−6(6.16g,20.0mmol)、メチル2−ヨードベンゾエート(6.28g,24.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(280mg,0.400mmol)およびCuI(76.0mg,0.400mmol)の溶液に周囲温度で添加した。得られた溶液を周囲温度で3.5時間撹拌し、次にジエチルエーテルで希釈し、セライトパッドで濾過し、真空下で溶媒を除去した。330gのシリカを用い、ヘキサン中の0−90%のEtOAcの勾配で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、8.47g、96%の1−7が黄白色の泡状固体として得られた。
MS(ESI):m/z=443.2(MH)。
【0088】
メチル2−{2−[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチル}ベンゾエート(1−8)
10%のPd/C(8.16g)をEtOAc(128mL)中の1−7(8.48g,19.2mmol)の溶液に周囲温度で添加し、フラスコを減圧して水素を逆充填した。得られた懸濁液を水素バルーン下、周囲温度で45分間撹拌し、セライトパッドで濾過し、真空下で溶媒を除去すると、7.92g、93%の1−8が淡黄色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=447.2(MH)。
【0089】
(参考実施例2)
5−フルオロ−2−{2−[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4a,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチル}ベンズアミド
【0090】
【化18】

【0091】
メチル2−ブロモ−5−フルオロベンゾエート(2−1)
トリメチルシリルジアゾメタン(338ml,676mmol,ジエチルエーテル中に2.0M)を、MeOH(676ml)中の2−ブロモ−5−フルオロ安息香酸(74g,338mmol)の撹拌0℃溶液に、黄色が持続するまで滴下した。酢酸を黄色が消滅するまで滴下した。真空下で溶媒を除去し、残渣をCHClに溶解し、次にシリカゲルプラグで濾過し、CHClで溶出させた。真空下で溶媒を除去すると77g、98%の2−1が黄色油として得られた。
【0092】
メチル5−フルオロ−2−{[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチニル}ベンゾエート(2−2)
ジイソプロピルアミン(14ml,97mmol)を、無水THF(354ml)中の1−6(30g,97mmol)、2−1(27g,117mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(1.36g,1.95mmol)およびCuI(371mg,1.95mmol)の溶液に周囲温度で添加した。得られた溶液を80℃で1時間撹拌し、次にジエチルエーテルで希釈し、セライトパッドで濾過し、真空下で溶媒を除去した。1.5kgのシリカを用い、ヘキサン中の0−100%のEtOAcの勾配で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、39g、86%の2−2が白色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=461.33(MH)。
【0093】
メチル5−フルオロ−2−{2−[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチル}ベンゾエート(2−3)
10%のPd/C(17.9g)を、EtOAc(559ml)中の2−2(19.3g,42mmol)の溶液に周囲温度で添加し、フラスコを減圧し、水素を逆充填した。得られた懸濁液を水素バルーン下、周囲温度で1.5時間撹拌し、セライトパッドで濾過し、真空下で溶媒を除去すると、18.4g、94%の2−3が白色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=465.37(MH)。
【0094】
5−フルオロ−2−{2−[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イルJエチル]安息香酸(2−4)
1MのNaOH(151ml,151mmol)を、EtOH(300ml)中の2−3(35g,75mmol)の溶液に周囲温度で添加した。溶液を100℃で1時間加熱し、1NのHClで酸性化し、次にEtOAcで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で溶媒を除去すると、37g、100%の2−4が白色固体として得られた。
MS(ESI):m/z=451.10(MH)。
【0095】
5−フルオロ−2−{2−[(4αS,5R)−1−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ−4α−メチル−1,4,4α,5,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ[f]インダゾール−5−イル]エチル}ベンズアミド(2−5)
DMF(407ml)中の2−4(36.7g,81mmol)およびHunigs塩基(43ml,244mmol)の撹拌溶液に、アンモニアのジオキサン溶液(0.5M,244ml,122mmol)次いでHATU(31g,81mmol)を添加した。混合物を1時間撹拌し、次にEtOAcで希釈し、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で溶媒を除去した。1.5kgのシリカを用い、0−100%のCHCl対CHCl/EtOAc/MeOH(70:20:10)の勾配で溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、28g、76%の2−5が白色固体として得られた。化合物を最少量の沸騰EtOAcに溶解し、次に周囲温度までゆっくりと放冷すると、14gの結晶質材料が得られた。
MS(ESI):m/z=450.1998(MH)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
AおよびBは独立に、H、FおよびClから成るグループから選択され、
C、DおよびEは独立に、H、F、Cl、−CN、−CH、−OCH、フェニルおよび−CFから成るグループから選択され、
Fは、結合、−C(R)(R)−および−C(R)(R)−C(R)(R)−から成るグループから選択され、
Gは、−CN、−OH、−O−C(O)−N(R)(R)、−O−C(O)−O−R、−C(O)−R、−C(O)−O−R、−NRR、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、−C(R)(R)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)(R)、−C(O)−N(R)−C(R)(R)−R、−C(O)−N(R)−C(R)(R)−C(O)−OR、−C(O)−N(R)−C(R)(R)−C(O)−NRR、−N(R)−C(O)−R、−N(R)−C(O)−OR、−N(R)−C(O)−N(R)(R)、−N(R)−S(O)−X、−S(O)−N(R)(R)、−N(R)−S(O)−N(R)(R)および−S(O)−Xから成るグループから選択され、ここにnは0、1または2であり、
Rはおのおの独立に、H、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、C2−8アルケニル、ハロC2−8アルケニル、C1−8アルコキシおよびC3−6シクロアルキル−C1−4アルキルから成るグループから選択され、
同一窒素原子に付着した2個のR基はそれらが付着している窒素原子と共に3−から7−員環の単環式環を形成でき、前記環は場合によりオキソで置換され、前記環はさらに場合により、ハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから成るグループから独立に選択された1から3個の置換基で置換されており、
Xは、H、C1−8アルキル、ハロC1−8アルキル、C2−8アルケニル、ハロC2−8アルケニル、C1−8アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、−CH−S(O)−CH{ここに、kは0、1または2である}、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから成るグループから選択され、
、R、RおよびRは独立に、H、ハロ、C1−4アルキル、ヒドロキシ、C3−6シクロアルキルおよびC1−4ハロアキルから成るグループから選択され、また、RとRとはそれらが付着している炭素原子と共に3−から6−員環の単環式環を形成してもよく、
およびRは独立に、H、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよびヒドロキシから成るグループから選択され、または、RとRとはそれらが付着している炭素原子と共に3−から6−員環の単環式環を形成してもよく、
置換アリールおよび置換ヘテロアリールはそれぞれ、ハロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキルおよび−CNから成るグループから独立に選択された1から3個の置換基でおのおのが置換されたアリールおよびヘテロアリールを意味する]の化合物または医薬的に許容されるその塩を合成するための方法であって、
(al)式4
【化2】

の化合物と式5
【化3】

[式中、XはI、Br、ClおよびOTfから成るグループから選択される]の化合物を、極性非プロトン性溶媒中、パラジウム触媒、ホスフィンリガンドおよびアミン塩基の存在下に第一高温でカップリングさせて、式6
【化4】

の化合物を生成する段階と、
(a2)式6の化合物を、金属触媒の存在下でHによって水素化して式Iの化合物を生成する段階と、
を含み、場合により式Iの化合物を医薬的に許容される塩に変換する方法。
【請求項2】
パラジウム触媒が[(アリル)PdCl]、水素化パラジウム、パラジウムオンカーボン、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)アセトニトリル錯体、塩化パラジウム(II)ベンゾニトリル錯体、シアン化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、および、ホスフィンリガンドを担うオルガノパラジウム錯体から成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ホスフィンリガンドが、(t−Bu)P・HBF、トリ−tertブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−オルト−トリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノフェロセン、ジフェニルホスフィノブタン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノメタンおよびジ−tBu−2−(N−フェニルピロール)ホスフィンから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アミン塩基が、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンおよびピペリジンから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
極性非プロトン性溶媒が、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシメタンおよび2−メチルテトラヒドロフランから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一高温が約80℃である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
金属触媒が、パラジウムオンカーボン、水酸化パラジウムオンカーボン、パラジウム/白金アマルガム、ロジウムオンカーボン、ロジウムオンアルミナおよび白金オンカーボンから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
(a3)式2a
【化5】

の化合物とH−C(O)−O−R{ここに、RはC1−4アルキルである}とを、第一有機溶媒中、LiOtBuの存在下に第一低温で反応させて式2b
【化6】

の化合物を生成する段階と、
(a4)有機酸で反応停止させ、それ以上単離することなく式2bの化合物を式2c
【化7】

の化合物と第二高温で反応させ次いで塩基によって脱シリル化するかまたは逆の順序で処理して式4の化合物を生成する段階と、
による式4の化合物の製造を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第一有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第一低温が約5℃から約10℃である請求項8に記載の方法。
【請求項11】
有機酸が、酢酸、ギ酸、安息香酸およびp−トルエンスルホン酸から成るグループから選択される請求項8に記載の方法。
【請求項12】
第二高温が約60℃である請求項8に記載の方法。
【請求項13】
塩基が水素化ナトリウムである請求項8に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
(a5)TMS−アセチレン−MgClとCeClとを第二有機溶媒中、第二低温で反応させて有機セリウム試薬を生成し、得られた有機セリウム試薬を第三低温で式1
【化8】

の化合物と反応させて式2aの化合物を生成する段階による式2aの化合物の製造を含む請求項8に記載の方法。
【請求項15】
第二有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第二低温および第三低温が独立に約−70℃から約−50℃である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
さらに、
(a6)TMS−アルキンとiPrMgClとを第三有機溶媒中、第四低温で反応させてTMS−アセチレン−MgClを生成する段階によるTMS−アセチレン−MgClの製造を含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
第三有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択され、第四低温が約−5℃である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式中のAがFであり、BがHであり、CがHであり、DがFであり、EがHであり、Fが結合であり、Gが−C(O)−N(R)(R)であり、各RがHを表す式Iの化合物を製造するための請求項1に記載の方法。
【請求項20】
さらに、
(b1)式7
【化9】

の化合物と塩素化剤とを、第四有機溶媒中、ジメチルホルムアミドの存在下で反応させて式7a
【化10】

の酸塩化物を生成する段階と、
(b2)式7aの酸塩化物を水酸化アンモニウムと反応させて式5の化合物を生成する段階と、
による式5の化合物の製造を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
塩素化剤が、塩化チオニル、五塩化リンおよび塩化オキサリルから成るグループから選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第四有機溶媒が、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチルおよびジクロロメタンから成るグループから選択される請求項20に記載の方法。
【請求項23】
式Ia
【化11】

の化合物の半水和物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−500804(P2011−500804A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531014(P2010−531014)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/011935
【国際公開番号】WO2009/054925
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】