グルココルチコイド救急治療用の医薬組成物
【課題】グルココルチコイド救急治療を必要とする障害(例えば、急性副腎発症)を十分に治療する医薬組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物であって、該組成物が、口腔粘膜投与によるグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のためであり、全身循環系内への吸収のためであり、前記障害が、急性副腎発症、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血を含む)、扁桃炎/扁桃周囲炎、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害からなる群から選択されることを特徴とする、1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物により、上記課題を解決する。
【解決手段】1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物であって、該組成物が、口腔粘膜投与によるグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のためであり、全身循環系内への吸収のためであり、前記障害が、急性副腎発症、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血を含む)、扁桃炎/扁桃周囲炎、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害からなる群から選択されることを特徴とする、1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物により、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルココルチコイド救急治療が必要とされる緊急事態に使用されるグルココルチコイド含有医薬組成物またはキットに関する。
特に、本発明は、病院または他の医療もしくは臨床現場外の医療訓練を受けていない者により投与されるように設計された医薬組成物またはキットに関する。また、本発明は、グルココルチコイドの速やかな作用発現を提供することによりグルココルチコイド救急治療を必要とする障害を治療する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
グルココルチコイドは中間代謝、免疫機能、筋骨格系・結合組織および脳に重要なステロイドである。グルココルチコイドの重要性はグルココルチコイド欠乏障害患者において最も理解される。このような患者において、グルココルチコイド補充療法が利用できる以前の1950年代では1年生存率は僅か20%であった。
【0003】
しかし、臨床現場においてグルココルチコイドが広く使用され始めたのは1940年代の関節リウマチの治療における使用からであった。天然および合成グルココルチコイドは広範な病態の管理に用いられており、アレルギー性および炎症性障害に関連する多くの緊急治療に重要な役割を果たしている。
【0004】
内生グルココルチコイドは、主に副腎皮質で産生されるステロイドである。体内の主要なグルココルチコイドはコルチゾールである。コルチゾールの産生および分泌は、視床下部、下垂体および副腎を含む複雑且つ高効率なシステム、即ち、視床下部−下垂体−副腎系(HPA)により統御されている。
【0005】
コルチゾール分泌には日内放出リズムがあり、早朝にピーク値が、深夜にトラフ値がみられる。HPA系は身体的および心理的ストレス要因によっても活性化する。したがって、身体活動、発熱、手術または精神的ストレスのようなストレス条件下では血清コルチゾール濃度が上昇する。
【0006】
副腎皮質機能不全は副腎皮質ホルモン活性の欠損から生じる多くの複雑な症状を生ずる。これには副腎皮質における疾患の結果としての一次型、視床下部および/または下垂体における特定の病変に起因する二次(中心)型、あるいは長期的な高用量グルココルチコイド治療後のHPA系抑制に起因する三次型があり得る。
【0007】
副腎皮質機能不全の発現は潜行性から重篤な塩・水欠乏を伴う急性の生命危機まで多様と言え、この場合、迅速且つ適切に治療しないとショックおよび死に至る。
例えば、急性副腎発症の治療では治療有効濃度間隔(治療濃度域)にて1種以上のグルココルチコイドが全身循環系に迅速に進入する(吸収される)必要がある。種々多くのグルココルチコイド含有医薬組成物が既に市販されているが、これらの大部分は全身循環系での発現が遅すぎ(例えば、従来の錠剤)、あるいはグルココルチコイド血清濃度が存在するとしても低すぎる(多くのグルココルチコイド含有医薬組成物は局所治療、例えば、鼻または皮膚を目的とする)ため、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療には適切ではない。
【0008】
今日、医療緊急事態においてグルココルチコイドを投与する方法には2種類ある。1つは非経口経路であり、この場合、静脈内(IV)注射を設定し、あるいは深部筋肉内(IM)注射を行う必要がある。しかし、この投与法の不利点の1つは、特に末端循環が損傷している患者においてIV経路を確立することが困難となり得ることである。更に、非経口投与は有資格者を必要とし、したがって、適切な救護隊が搭乗した救急車および院内環境に限定される。
【0009】
従来、他の投与経路は水溶性ベタメタゾン錠を用いた経口投与によるものである。この経路は主に外来診療所において患者の自己投薬用に用いられている。しかし、その不利点は溶液を調製する際の顕著な遅延時間および摂取から有意な薬物血清濃度が得られるまでの時間である。通常、最大血漿濃度(Cmax)は投与後1〜3時間以内(Tmax)に得られる。これらの迅速溶出/迅速吸収性薬物(FDAの生物製剤分類法(BCS)に基づきクラスI薬物)の経口速放製品では、腸吸収の発現が0.5時間より早くなり得ず、絶食状態および摂食状態の両方において胃排出が大幅に変動することも周知である。更に、患者に意識があり、溶液を嚥下する能力に支障がないことが必須である。消化管運動が弱いと胃排出が更に遅延し、腸吸収が低下する(速度と程度の両方)。
【0010】
このような面倒な経口投与の例は、急性喉頭炎患者、重篤な呼吸逼迫患者、クループまたは重篤な血管浮腫を有する小児および消化管吸収が不明確な胃腸炎患者に見出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、患者による自己投薬および病院、診療所、救急車、準医療現場もしくは同様の医療現場外の医療訓練を受けていない者による患者への投与を可能にすると同時に、投与後に迅速な作用発現を提供することにより、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害(例えば、急性副腎発症)を十分に治療する医薬組成物を開発することは治療上大きな利点となるであろう。更に、例えば、意識がないか、もしくは組成物(例えば、錠剤または溶液)を嚥下できない患者に投与することができ、また、医療訓練を受けた者を必要とせず、もしくは医療現場で行う必要がない医薬組成物の必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約60%が、USP(米国薬局方)溶出試験第2法(パドル法)に準拠した回転数50rpmの溶出試験器および例えば、水、擬似唾液もしくは酵素を含有しない擬似腸液のような好適な溶出溶媒を用いたUSPに準拠したインビトロ溶出試験の開始後最初の30分以内に医薬組成物から放出され、かつ被験者のグルココルチコイド血清濃度の少なくとも20%のCmaxが被験者の粘膜を通してこの組成物の投与後20分以内に達する、実質的な即時放出用の1種以上のグルココルチコイドを含む医薬組成物を提供することにより前述の必要性を満たすものである。
【0013】
溶出溶媒は当該組成物のタイプに依存して選択することができる。したがって、口腔投与を目的とする組成物には水または擬似唾液を用いることができる。当業者には当該製剤に依存し、適正な溶出溶媒を選択する術は既知であろう。通常、組成物の投与経路を経鼻、経直腸、経膣粘膜とするかに拘わらず、水ベースであってpH4.5〜約8の範囲のpHに調整した溶出溶媒が好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、グルココルチコイドはその高水溶性のためヒドロコルチゾントロメタモール(またはスクシネート)であり、これは全身循環系に迅速に吸収される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
【図2】実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Bの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
【図3】実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
【図4】実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムAの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図5】実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムBの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、酢酸ヒドロコルチゾン11.2mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図6】実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図7】実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図8】実施例14の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性迅速放出剤、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図9】実施例15の結果を示す図である(実施例14の組成物C)。
【図10】実施例15の結果を示す図である(実施例13の組成物A)。
【図11】口腔内の様々な投与部位を示す図である。
【図12】口腔内の様々な投与部位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の内容において、用語「実質的な即時放出」は、通常の錠剤から得られる放出と異なり、また、通常の錠剤から得られる放出より速い放出を提供するあらゆるタイプの放出を含むものとする。特に、該用語は、USP溶出試験第2法(パドル法)に準拠した回転数50rpmの溶出試験器および溶出溶媒としての酵素非含有擬似腸液を用いたUSPに準拠したインビトロ溶出試験における1種以上のグルココルチコイドの迅速な放出に関する。
【0017】
用語“Cmax”は、少なくとも6人の正常な健常ヒト被験者への組成物の投与後に得られる平均最大血清/血漿/血中濃度または血清/血漿/血中レベルを示す。
用語「経粘膜(粘膜を通して)」は、所望の効果を得るため1種以上のグルココルチコイドが全身循環系に進入する必要があり、また、投与経路が局所、静脈内および筋肉内投与の経路と異なることを示す。
【0018】
本発明は別の態様において、本発明による医薬組成物を収容する1種以上の容器およびその使用説明書を含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するためのキットに関する。特定の実施形態において、1種以上の容器はブリスターまたはブリスターパックの形態である。
【0019】
本発明は更なる態様において、投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに達するグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇を得るため、1種以上のグルココルチコイドの有効量を患者の粘膜を通して投与することを含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するための方法に関する。
【0020】
本発明はまた更なる態様において、経粘膜投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに達するグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇を付与することにより、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害を治療するための本明細書に定義する医薬組成物またはキットを調製するための1種以上のグルココルチコイドの量の使用に関する。
【0021】
前述のように、迅速な作用発現を得るため、本発明の組成物の投与後にグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇が得られることが必要である。したがって、特定の実施形態において、被験者の粘膜を通じた組成物の投与後30分以内に少なくとも40%のCmaxが得られ、および/または45分以内に少なくとも75%のCmaxが得られる。
【0022】
通常、Tmax(即ち、血清/血漿/血中濃度時間プロファイルにおいて最大血清/血漿/血中濃度を得るのに要する時間)は、被験者の粘膜を通じた組成物の投与後60分以内に達する。典型的には、Tmaxは約30〜約75分の範囲内、例えば、約45〜約60分の範囲内である。
【0023】
前述のように、本発明の医薬組成物およびキットはグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療における使用に好適である。このような障害の例は、一次性、二次性もしくは三次性副腎機能不全に関連する急性副腎発症、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、急性腎移植拒絶反応、全身性エリテマートーデスまたは重篤なアレルギー反応である。他の例には炎症性疾患、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害が含まれる。本発明に従って治療可能な障害の具体例を以下に示す。
【0024】
(活性物質、用量および投与経路)
本発明の内容において、用語「グルココルチコイド」または「グルココルチコステロイド」は、治療、予防および/または診断上活性なグルココルチコイドあるいは生理作用を有するグルココルチコイドを示すものとする。該用語は、任意の物理形状、例えば、結晶形、非晶形または多形、あるいは妥当であれば鏡像体形またはラセミ体形を含む任意の立体異性体形あるいは前述の任意の組合せの形状の、例えば、これらの医薬上許容な塩、複合物、溶媒和物、エステル、活性代謝物またはプロドラッグのような任意の妥当な形態のグルココルチコイドを含むものとする。グルココルチコイドは合成グルココルチコイドでもよい。
【0025】
本発明に従って使用される1種以上のグルココルチコイドは、これらの医薬上許容なエステル、塩、複合物および混合物を含む、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0026】
本発明による使用に好適な医薬上許容な塩の具体例は、リン酸塩、琥珀酸塩、リジン塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である。
【0027】
グルココルチコイドは速放を目的とするため、組成物が経口投与される場合、全身循環系への放出および/または吸収は口腔の段階ですでに生じる。このような場合、第一部分に至適なグルココルチコイドは、活性物質が苦味を有するためヒドロコルチゾン(それ自体)またはコルチゾンの2種以外であり得る。しかし、風味が十分にマスキングされるのであれば、これらの物質を用い得る。「医薬上許容な賦形剤」に関する段落において、風味のマスキングについてより詳細に考察する。したがって、第一部分の1種以上のグルココルチコイドは許容な風味を有し、無味であり、あるいは効果的に風味がマスキングされ得る。
【0028】
更に、本発明の特定の実施形態において、使用するグルココルチコイドは組成物からのグルココルチコイドの速やかな溶出を確実にするため、易水溶性グルココルチコイド(例えば、水溶性塩のグルココルチコイド)であり得る。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、グルココルチコイドはその高水溶性のためヒドロコルチゾントロメタモール(またはスクシネート)であり、これは全身循環系に迅速に吸収される。
【0030】
(用量)
一般的に、本発明による組成物中に存在するグルココルチコイドの用量は、特に、特定の薬剤物質、患者の年齢および状態並びに治療対象の疾患に依存する。
【0031】
用語「ヒドロコルチゾン当量」は、本明細書において、医師により総体的に理解されるグルココルチコイド療法を目的に、ヒドロコルチゾン1mgに相当する特定のグルココルチコイドのmg量を定義付けするために用いられる。該用語は、個々のグルココルチコイドが異なる効力を有し、また、所望の治療効果を得るため、個々のグルココルチコイドの異なる用量が必要であるという事実に基づく。グルココルチコイドの等用量は次の表1に基づいて計算することができる。
【0032】
【表1】
【0033】
概して、本発明による医薬組成物はヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量約1〜約200mgを含有する。特定の実施形態において、ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量は、約1〜約175mg、例えば、約1〜約150mg、約1〜約100mg、約1〜約75mg、約1〜約70mg、約1〜約60mg、約5〜約50mg、約5〜約40mgまたは約10〜約30mgである。
【0034】
より具体的にグルココルチコイド救急治療用の通常の用量範囲を以下に示す。
ヒドロコルチゾン 1〜200mg;急性副腎発症では約100mg
コルチゾン 1〜200mg、例えば、約100mg
ベタメタゾン 1〜20mg;高脳圧、例えば、脳浮腫では約4mg/日
化学療法または放射線療法誘発性悪心では4〜8mg
プレドニゾロン 1〜100mg;例えば、1〜30mg/日;重篤な症例では
50〜60mg/日
デキサメタゾン 0.1〜6mg、例えば、0.5〜2mgまたは1.5〜3m
g;重篤な症例では6mgまで/日
フルドロコルチゾン 0.05〜5mg;アジソン病では不適切な電解質バランスを補
正するため0.05〜0.2mg/日;副腎皮質過形成(「塩類
喪失性副腎生殖器症候群」)では0.1〜0.2mg
プレドニゾン 10〜100mg、例えば、50mg
メチルプレドニゾロン 2〜40mg、例えば、2〜20mg
【0035】
種々の治療レジメンにおける個々のグルココルチコイドの好適用量を以下に示す。
急性喘息−成人
ベタメタゾン 4〜8mg
プレドニゾロン 30〜60mg
メチルプレドニゾロン 40mg
【0036】
急性アナフィラキシー−成人
ベタメタゾン 5mg〜20mgまで
ヒドロコルチゾン 200mg
デキサメタゾン 4〜20mg−80mg
【0037】
急性アナフィラキシー−小児
ヒドロコルチゾン 100〜200mg
【0038】
敗血症ショック−成人
ヒドロコルチゾン 200〜300mg/日
メチルプレドニゾン 30mg/kg
【0039】
急性細菌性髄膜炎
デキサメタゾン 0.3mg/kg/回(最大10mg)×4回/日を2
〜4日間
ベタメタゾン 8mg×4回/日
小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウイルス)感染性
ベタメタゾン 4〜6mg
【0040】
小児の急性上気道狭窄
ベタメタゾン 4〜6mg
合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血)
ベタメタゾン 5〜6mg
【0041】
扁桃炎/扁桃周囲炎−気道閉塞を伴う小児
ベタメタゾン 4〜6mg
本発明による組成物は速やかな作用発現を提供するように設計され、投与と同時にグルココルチコイド血清/血漿/血中濃度の急激な上昇が得られる。グルココルチコイドとしてヒドロコルチゾンを用いる場合、投与後20分以内に少なくとも約200nmol/lの血清濃度が得られる。ヒドロコルチゾン以外の別のグルココルチコイドを用いる場合、好適で等価な血清/血漿/血中濃度を定量する方法は当業者には周知であろう。
【0042】
例えば、ヒドロコルチゾンは投与後約0〜約30分間に組成物から迅速に放出可能であり、副腎機能不全患者における発熱などに関連し、追加投与としてヒドロコルチゾン5〜10mgを迅速に投与することができる。同様に、迅速なグルココルチコイド効果に価値がある大部分の適応症ではベタメタゾン5〜20mgを迅速に投与することができる。
【0043】
(投与経路)
前述のように、本発明に従って用いられる1種以上のグルココルチコイドは粘膜を通して被験体(好ましくはヒト)に投与され、全身循環系へ吸収される。特に、本発明の特定の実施形態において、この粘膜は口腔、鼻、直腸または膣の粘膜であり、あるいは肺、気管支または呼吸器の粘膜・上皮である。この粘膜は口腔粘膜であることが好ましい。
【0044】
図11および12は使用に好適な口腔粘膜投与の部位を示す。明確な4つの部位を用いることができ、これは即ち、用語「口唇」投与を含み、歯肉(歯茎)と頬の内側の間の粘膜に医薬組成物を投与するために用いられる「口腔」投与;舌下に医薬組成物を投与することを指す「舌下」投与;硬口蓋および/または軟口蓋に医薬組成物を投与することを指す「口蓋」投与;並びに上歯肉および/または下歯肉に医薬組成物を投与することを指す「歯肉」投与である。
【0045】
全身循環系への迅速な吸収(活性薬物の輸送)により、前述の部位はすべて迅速な作用発現を得るために使用するのに妥当である。本発明の特定の実施形態において口腔投与経路が好ましく、即ち、歯肉と頬の内側の間の口腔粘膜に医薬組成物を投与し、したがって、2つの部位、即ち、歯肉粘膜と頬粘膜から吸収が生じることを可能にする。
【0046】
(医薬組成物)
本発明による医薬組成物について以下に説明する。
(1種以上のグルココルチコイドの放出)
グルココルチコイドが全身循環系に迅速に吸収される(輸送される)粘膜を通じた投与後に速やかな作用発現を得るため、1種以上のグルココルチコイドの迅速な放出が必要である。したがって、本明細書に定義するインビトロ溶出試験にて試験を行った際、一般的な必要条件として組成物中に含有される1種以上のグルココルチコイドの少なくとも60%が30分以内に放出される必要がある。組成物の具体的な実施形態は次の表2に示す必要条件の1つ以上を満たす。概して、溶出試験の開始後30分以内で述べられる必要条件が満たされることが好ましい。好ましい実施形態において、組成物中に含有される1種以上のグルココルチコイドの少なくとも70%または少なくとも80%が溶出試験の最初の20分以内に放出される。
【0047】
【表2】
【0048】
特定の実施形態において(本明細書の実施例を参照)、1種以上のグルココルチコイドの50%超が2分以内に放出可能であり、50〜90%が5〜8分以内に放出可能であり、用量の90%超が15分以内に放出可能である。
本発明による医薬組成物は経粘膜全身投与用に設計される。好ましい実施形態において、この粘膜は口腔粘膜である。
医薬組成物は液体、半固体または固体形態を含む任意好適な剤形でよい。
【0049】
本発明の好ましい態様において、医薬組成物は単位投与剤形のような剤形である。
口腔粘膜を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例は、典型的には固体または半固体剤形である。通例、固体剤形は顆粒、ビーズ、ペレットおよび粉末からなる群から選択され、単位投与剤形にて呈示される場合、咀嚼錠、吸飲錠、発泡錠、舌下錠、迅速崩壊錠、速放錠、迅速溶出錠、溶融錠、トローチ剤、芳香錠を含む錠剤の剤形として提示され、あるいはよりキャンディ様の剤形などにて提示され得る。
【0050】
また、口腔粘膜を通じた全身循環系への投与用の医薬組成物は、噴霧剤、カシェ剤、フィルム、ゲル、ヒドロゲル、パッチ、歯肉パッチ、生体粘着性パッチ、サシェット、溶液、吸入製剤などの剤形でもよい。
鼻粘膜を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例は、典型的には経鼻噴霧剤、鼻腔エアロゾル、点鼻薬を含む鼻腔溶液などの剤形である。
【0051】
肺、気管支および呼吸器の粘膜・上皮を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例は、粉末吸入製剤を含む吸入製剤である。
直腸または膣粘膜を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例には、坐剤、膣剤、浣腸剤などが含まれる。
【0052】
本発明による医薬組成物は生体/粘膜粘着特性も有する。製剤中に粘膜生体粘着性成分が加えられる場合、粘膜薬剤送達系からの薬剤の全身循環系への吸収は有意に向上する。これは嚥下を防止するとともに吸収部位に隣接するグルココルチコイドの高局所濃度を生ずる。粘膜粘着性成分はグルココルチコイドおよび他の成分と適切に混合されて剤形を成す。
【0053】
用語「生体/粘膜粘着性」は組成物が生体粘膜に可逆的に粘着可能であることを示すのに用いられる。場合により粘膜への粘着性を促進するため、組成物中に生体/粘膜粘着促進剤が含まれる。
【0054】
用語「生体/粘膜粘着促進剤」は、生体粘着がより広い定義を有し、つまり粘膜において得られる如何なる生物学的特徴への粘着も生じるということであるとしても、粘膜粘着と生体粘着は互換的に用いられる。生体/粘膜粘着促進剤が存在する場合、これはポリマー物質、好ましくは5kDを超える平均分子量を有する物質であり得る。生体/粘膜粘着力には水和特性が重要であり、したがって、ポリマーの迅速な膨張により生体/粘膜粘着が開始される。唾液に接触した際の容積膨張係数は10〜20である必要がある。
【0055】
典型的には、本発明による医薬組成物は1種以上の医薬上許容な賦形剤を含有する。本発明による組成物における使用に好適な医薬上許容な賦形剤の概説は、「医薬上許容な賦形剤」の見出しの段落に示す。特定の剤形種に依存し、必要であればRamington's Pharmaceutical Science and Handbook of Pharmaceutical Excipientsのような手引書の教示に導かれ、どのような賦形剤を選択すべきかは当業者には周知であろう。特に口腔投与用のフィルムまたはパッチ剤形の組成物の製剤における使用に好適な具体的な賦形剤の種類について以下に説明する。
【0056】
医薬組成物がフィルム、パッチ、カシェ剤、ゲル、サシェット、歯肉パッチなどの剤形である際、これはその誘導体を含むアクリルポリマー、セルロース誘導体、変性デンプン、ポリエチレンオキシド、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガムまたはポリ-コ-(メチルビニルエーテル−無水マレイン酸)からなる群から単独で、あるいはこれらを組み合わせて選択される医薬上許容な賦形剤を含有し得る。セルロース誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、変性セルロースガムまたはクロスカルメロースからなる群から選択され得る。
【0057】
本発明による医薬組成物は1種以上の生体/粘膜粘着促進剤も含有し得る。通常、このような生体/粘膜粘着促進剤は約0.1〜約25重量%の濃度にて存在する。生体/粘膜粘着促進剤の例には合成ポリマー、天然ポリマーおよびこれらの誘導体並びにこれらの混合物を含むポリマーが含まれる。このポリマーはカルボマー、ポリエチレンオキシド、ポリ-コ-(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)およびこれらの混合物から選択され得る。あるいは、これは多糖類であり得る。多糖類はゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガム、微結晶セルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、中等度に架橋したデンプンおよびキトサンからなる群から選択され得る。
【0058】
本発明による医薬組成物は溶出促進剤も含有し得る。溶出促進剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.05〜約5重量%の濃度にて存在する。この溶出促進剤はラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸、胆汁塩、コール酸塩またはコラン酸塩、ミリスチル酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよびソルビタンエステルからなる群から選択され得る。
【0059】
特定の実施形態において、本発明による組成物中の1種以上のグルココルチコイドはミクロ粒子またはナノ粒子として存在する。一般的に、このような粒子の平均粒子サイズは10μm以下である。更に、ミクロ粒子またはナノ粒子はカプセル封入され、例えば、レシチンまたはレシチンベースの化合物を含むコーティングを被覆され得る。
【0060】
グルココルチコイドがミクロ粒子またはナノ粒子の形態にて存在する際、本発明による医薬組成物は崩壊剤も含有し得る。このような崩壊剤は投与部位、例えば、口唇および歯肉粘膜にわたるグルココルチコイドのミクロ粒子の分散を促進する。医薬上許容な崩壊剤の例は、架橋結合したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微結晶セルロースおよびセルロースガムである。通常、崩壊剤は、存在する場合、組成物の総重量に基づき0.5〜10重量/重量の濃度にて用いられる。マンニトールおよびラクトースのような異なる医薬賦形剤は賦形剤として特に好適であることが見出されている。
【0061】
前述のように、本発明による医薬組成物は風味マスキング剤を更に含み得る。風味マスキング剤の例は、例えば、メントール、ペパーミント、バニリン、テルペンベース化合物または人工甘味剤である。特定の実施形態において、1種以上のグルココルチコイドは、α−β−またはγシクロデキストリンによる包接複合物への組込みにより風味マスキングされる。
【0062】
一般的に、本発明の組成物は0.05〜50重量%まで、例えば、0.05〜40重量%まで、0.05〜30重量まで%または0.05〜20重量%までのグルココルチコイドを含有する。より好ましくは、この組成物は0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%のグルココルチコイドを含有する。内容物は錠剤のように組成物の用量単位におけるグルココルチコイド量としても表すこともできる。これに関連し、用量とは1回に投与される少なくとも1つのグルココルチコイドまたはその誘導体の治療量を指す。グルココルチコイドが医薬上許容な塩の形態にて用いられる際、これらのパーセントおよび量は適宜再計算する必要がある。
【0063】
(医薬上許容な賦形剤)
本発明の内容において、用語「医薬上許容な賦形剤」は、それ自体が治療および/または予防効果を実質的に全く有さないという意味において不活性な任意の物質を示すものとする。このような賦形剤は、許容な技術的性質を有する医薬品を得ることを可能にすることを目的に添加し得る。
【0064】
本発明による固体剤形に用いる好適な賦形剤の例には、充填剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤などまたはこれらの混合物が含まれる。本発明による組成物またはキットの個々の部分は異なる目的で使用されるため(例えば、速放および徐放)、通常、賦形剤はこのような異なる使用を考慮して選択される。当該の特定の剤形に依存し、どのような医薬上許容な賦形剤が妥当な選択であるかは当業者には既知であろう。好適な用途用の他の医薬上許容な賦形剤は、例えば、酸性化剤、アルカリ化剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート化剤、着色剤、錯化剤、乳化剤および/または可溶化剤、着香剤および芳香剤、保湿剤、甘味剤、湿潤剤などである。
【0065】
好適な充填剤、希釈剤および/または結合剤の例には、ラクトース(例えば、噴霧乾燥ラクトース、α−ラクトース、β−ラクトース、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々のグレードのファルマトース(Pharmatose)(登録商標)、ミクロトース(Microtose)(登録商標)またはファースト-フロック(Fast−Floc)(登録商標))、微結晶セルロース(種々のグレードのアビセル(Avicel)(登録商標)、エルセマ(Elcema)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミン タイ(Ming Tai)(登録商標)またはソルカ-フロック(Solka−Floc)(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、信越化学工業(株)のメトセルE,FおよびK、メトローズSH、例えば、4,000cpsグレードのメトセルEおよびメトローズ60SH、4,000cpsグレードのメトセルFおよびメトローズ65SH、4,000、15,000および100,000cpsグレードのメトセルK;並びに4,000、15,000、39,000および100,000グレードのメトローズ90SH)、メチルセルロースポリマー(例えば、メトセルA、メトセルA4C、メトセルA15C、メトセルA4M)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチレン、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、ショ糖、アガロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、マルトデキストリン、デンプンまたは変性デンプン(ポテトデンプン、トウモロコシデンプンおよび米デンプンを含む)、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム水和物)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、コラーゲンなどが含まれる。
【0066】
希釈剤の具体例は、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、ショ糖、糖などである。
【0067】
崩壊剤の具体例は、例えば、アルギニン酸またはアルギン酸、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび他のセルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプン、アルファ化デンプン、カルボキシメチルデンプン(例えば、プリモゲル(Primogel)(登録商標)およびエクスプロータ(Explota)(登録商標)などである。
【0068】
結合剤の具体例は、例えば、アカシア、アルギニン酸、寒天、カラギーナンカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、グアールガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、PEG(ポリエチレングリコール)、ポビドン、アルファ化デンプンなどである。
【0069】
滑走剤および潤滑剤も組成物中に含まれ得る。この例にはステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは他のステアリン酸金属塩、タルク、ワックスおよびグリセリド、軽油、PEG、ベヘン酸グリセリル、コロイド状シリカ、水素添加植物油、トウモロコシデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、アルキル硫酸塩、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが含まれる。
【0070】
本発明の組成物に含まれ得る他の賦形剤は、例えば、着香剤、着色剤、風味マスキング剤、pH調節剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、湿度調節剤、界面活性剤、懸濁剤、吸収促進剤、懸濁剤、放出制御剤などである。
【0071】
本発明による組成物またはキット成分にフィルムコーティング、保護コーティング、抗粘着コーティングなども施し得る。
【0072】
また、例えば、1種以上のグルココルチコイドの風味マスキング関する妥当な特性を得るためにも、本発明による組成物に被覆し得る。コーティングは易溶性フィルムとしても施し得る。コーティングは単一ユニット剤形(例えば、錠剤)上に施し、あるいは複数ユニット剤形またはその個々のユニットに施し得る。
【0073】
好適なコーティング材料は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリルポリマー、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ゼラチン、メタクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、セラック、ショ糖、二酸化チタン、カルナウバ蝋、微結晶性ワックス、グリセリルモノステアレート、ゼインである。
可塑剤および他の成分をコーティング材料に加え得る。同種または異種の活性物質もコーティング材料に加え得る。
【0074】
(風味マスキング)
一般的に、大部分の場合、刺激性の性質または分子凝集体形成能を有する薬物から口腔粘膜または経鼻投与用の十分な安全性および安定性を有する製剤を調製することは困難であるが、これは使用する薬物の種類に依存する。ヒドロコルチゾンの場合、主成分が明らかな苦味を有し、反復使用できるように製剤には風味のマスキングを施す必要がある。
【0075】
風味マスキング剤はメントール、ペパーミント、バニリンまたはテルペンベース化合物でよい。加えて、風味マスキング剤は人工甘味剤、例えば、ソルビトール、キシリトールまたはアスパルテームでよい。風味マスキングは粒子としてグルココルチコイドをマイクロカプセル化することによっても可能である。例えば、これはレシチンベース化合物により実施可能である。風味マスキング剤は投与製剤の表面および内部に存在するように活性薬物と慎重に混合される。風味マスキングはシクロデキストリンとの包接複合物の形成によっても可能である。
【0076】
シクロデキストリン化合物の典型例はα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、ジメチルβ-シクロデキストリン、マルトシルβ-シクロデキストリンおよび硫酸化β-シクロデキストリンである。α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンが特に好ましい。これらのシクロデキストリン化合物は単独で、あるいは組み合わせて用い得る。
【0077】
使用するシクロデキストリン化合物の量はその可溶度およびヒドロコルチゾン濃度により変動し得る。しかし、シクロデキストリン化合物の量は0.5〜4.0mol、好ましくは2.0〜4.0mol、ヒドロコルチゾンと同程度のモルである。
【0078】
(方法の態様)
本発明による医薬組成物またはキットは、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患したヒトを含む哺乳動物のような対象の治療における使用に好適である。
【0079】
したがって、本発明は別の態様において、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療する方法に関し、この方法は投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxまでのグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇を得るため、有効量の1種以上のグルココルチコイドを患者の粘膜を通して投与するステップを含む。
【0080】
通常、速やかな作用発現を得るため、投与後30分以内に少なくとも40%のCmaxが得られることが好ましい。特定の好ましい実施形態において、投与後45分以内に少なくとも75%のCmaxが得られ、および/または患者の粘膜を通じた組成物の投与後60分以内にTmaxが得られる。
【0081】
本発明の他の態様に関する詳細については本明細書に述べており、これは本発明の方法の態様にも適用される。
【0082】
本発明による方法は、1種以上のグルココルチコイドが注射または注入用の組成物の剤形にて呈示されないという事実により、患者自身または医療訓練を受けていない者により実施可能である。通常、医療訓練を受けた者のみがこのような組成物を投与することができる。したがって、本発明は救急グルココルチコイドを必要とする既知の治療方法に比し、特殊な装置を必要とせず、取扱いがはるかに簡便な方法を提供する。したがって、本発明は患者の状態によって必要な際に治療を可能にする方法を提供することを想定し、即ち、必要な治療を行うため、患者を病院または診療所に連れて行く必要がないということである。
【0083】
更に、投与後に速やかな作用発現を可能にするとともに患者が組成物を嚥下する必要なく投与可能な組成物の開発により(例えば、フィルム、生体/粘膜粘着性組成物、パッチ、歯肉パッチ、噴霧剤などの剤形の本発明の組成物)、患者は意識がなく、あるいは通常の錠剤を嚥下することができず、それでも救急事態においてグルココルチコイドを用いて適正に治療され得る。
【0084】
(本発明による組成物またはキットの使用)
本発明は別の態様において、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害を治療し、本明細書に定義する血清濃度を提供すべく、本明細書に定義する医薬組成物またはキットを調製するための1種以上のグルココルチコイドの使用に関する。
【0085】
以上、本発明の1つ以上の態様に関し、特に医薬組成物に関し、本発明を詳細に説明した。しかし、本発明の本態様にて開示される詳細事項はすべて本発明の他の態様に準用される。
【0086】
図面の簡単な説明
図1は実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
図2は実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Bの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
図3は実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
図4は実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムAの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生
グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図5は実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムBの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、酢酸ヒドロコルチゾン11.2mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【0087】
図6は実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図7は実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図8は実施例14の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性迅速放出剤、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図9は実施例15の結果を示す図である(実施例14の組成物C)。
図10は実施例15の結果を示す図である(実施例13の組成物A)。
図11は口腔内の様々な投与部位を示す図である。
図12は口腔内の様々な投与部位を示す図である。
【0088】
以下の実施例において本発明を更に例示する。
(材料)
以下の実施例に用いた材料を表3に示す。
【0089】
【表3−1】
【表3−2】
【0090】
(方法)
本明細書にて報告するインビボ試験は健常ボランティアを対象に行った。試験組成物の投与前日の午後6時および午後11時に、ベタメタゾン2mgの経口投与により内生コルチゾール分泌を抑制した。試験組成物を健常ボランティアに投与した。ボランティアらを絶食状態にし、正午まで食物摂取を許可しなかった。錠剤投与の場合、水200mlと共に摂取させた。内生コルチゾール分泌の抑制翌日の午前8時〜午前10時に試験組成物を投与した。
【実施例】
【0091】
実施例1
(速放ペレット(IRペレット)を含有するカプセル)
IRペレット
糖/デンプン種子、直径0.25〜0.35mm 1kg
に
ヒドロコルチゾン21−ヘミスクシネートナトリウム 10%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、6cps 3%
タルク 10%
を含有する水懸濁液を、Wursterカラムを備えた流動床にてコーティングし、約75%の重量増加とする。
【0092】
ヒドロコルチゾン21−ヘミスクシネートナトリウム13.4mgを含有するIRペレット量(約70mg)を、カプセル充填機にてサイズ番号3の硬質ゼラチンカプセルに充填する。
70mgペレットはカプセルサイズ番号3(あるいは更にサイズ番号4)に容易に適合し、通常のカプセル充填機に充填可能である。
【0093】
実施例2
(速放(IR)錠)
経口または舌下用途用のIR錠:
1錠あたりのMg
ベタメタゾン 0.4
Xylitab(登録商標)300a 40
無水ラクトース USP/NF 5
微結晶セルロース USP/NF 10
クロスポビドン USP/NF 4
ステアリルフマル酸ナトリウム 1
水 適量
a英国Danisco Sweeteners社から市販されている直接打錠キシリトール
ラクトースおよび微結晶セルロースを乾式混合する。ベタメタゾンを少量の水に溶解し、この溶液を粉末混合物上に散布する。混合して乾燥させる。Xylitabおよびクロスポビドンを加え、この混合物が均質化するまで乾式混合する。ステアリルフマル酸ナトリウムを加え、更に2分間混合し続ける。6mm凹型丸パンチを用いて打錠機においてこの混合物を錠剤に打錠する。
【0094】
実施例3
(速放(IR)フィルム)
口腔投与用薄膜フィルム:
重量%
プレドニゾロン 0.75
PEG400 USP/NF 2
メトセルE5、Dow Chemical社 4
キシリトール、フランスRoquette社 1
水 100になるように調節
【0095】
メトセルを総量の約90%の蒸留水に加え、メトセルが完全に溶解するまで磁気攪拌機により攪拌した。攪拌継続下にてPEG400を加え、次に、キシリトールおよびプレドニゾロンを加えた。最終重量に水を加え、4時間攪拌し続けた。
この溶液330μlをピペットにより直径16mmの平底PVCブリスターに加えた。この溶液を一晩室温にて乾燥させ、ブリスターパックを熱シールラッカー仕上アルミニウムホイルにより密封した。
【0096】
実施例4
(速放(IR)経口用溶液)
経口用溶液:
酢酸プレドニゾロン 0.9mg
ソルビトール 60mg
メントール 1.2mg
滅菌水 5ml
溶液を作製し、湿密性のアルミニウム製葉状分包包装に充填する。
【0097】
実施例5
(速放(IR)舌下噴霧剤)
ヒドロコルチゾンの舌下噴霧:
mg/ml
酢酸ヒドロコルチゾン 10
カルボキシメチルセルロース 0.8(0.08%)
2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン 40
PEG300 5
メントール 0.3
ソルビトール 12
レボメントール 2.0
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
【0098】
酢酸ヒドロコルチゾンを少量の水に溶解する。これを2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと混合し、1時間放置する。カルボキシメチルセルロースを加え、混合する。PEG300、メントール、ソルビトール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。1用量あたり0.58ml(ヒドロコルチゾン5mg)を送達する噴霧パッケージにこれを分配する。
【0099】
実施例6
(経口または口腔投与用のベタメダゾンIR錠)
1錠あたりのMg
ベタメタゾン 0.4
Xylitab(登録商標)300a 45
微結晶セルロース NF 10
クロスポビドン NF 4
水 適量
ステアリルフマル酸ナトリウム NF 1
a英国Danisco Sweeteners社から市販されている直接打錠キシリトール
【0100】
ベタメタゾンを少量の水に溶解する。この溶液を微結晶セルロース上に散布する。これを混合して乾燥させる。Xylitabおよびクロスポビドンを加え、均質な混合物が得られるまで好適な混合機にて乾式混合する。次に、ステアリルフマル酸ナトリウムを加え、更に2分間混合し続ける。6mm凹型丸パンチを用いて好適な打錠機にてこの粉末混合物を打錠する。
【0101】
実施例7
(ベタメダゾンの舌下噴霧)
mg/ml
ベタメタゾン 0.4
カルボキシメチルセルロース 0.8(0.08%)
PEG300 5
メントール 0.3
ソルビトール 12
レボメントール 2.0
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ベタメタゾンを少量の水に溶解する。カルボキシメチルセルロースを加え、混合する。PEG300、メントール、ソルビトール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0102】
実施例8
(ベタメダゾンの舌下噴霧)
mg/ml
ベタメタゾン 0.4
グルタミン酸キトサン 10
メントール 0.1
レボメントール 1.5
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ベタメタゾンを少量の水に溶解する。グルタミン酸キトサンを加え、混合する。0.2μm膜フィルタを通して篩過する。メントール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0103】
実施例9
(ヒドロコルチゾンの舌下噴霧)
mg/ml
酢酸ヒドロコルチゾン 10
カルボキシメチルセルロース 0.8(0.08%)
2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン 40
PEG300 5
メントール 0.3
ソルビトール 12
レボメントール 2.0
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ヒドロコルチゾンを少量の水に溶解する。2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと混合し、1時間放置する。カルボキシメチルセルロースを加え、混合する。PEG300、メントール、ソルビトール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0104】
実施例10
(ヒドロコルチゾンの舌下噴霧)
mg/ml
酢酸ヒドロコルチゾン 10
グルタミン酸キトサン 10
2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン 40
メントール 0.1
レボメントール 1.5
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ヒドロコルチゾンを少量の水に溶解する。2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと混合し、1時間放置する。グルタミン酸キトサンを加え、混合する。0.2μm膜フィルタを通して篩過する。メントール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0105】
実施例11
(ヒドロコルチゾンの薄膜層フィルム)
組成物A:
重量%
ヒドロコルチゾン 3%
アルギン酸ナトリウムPH157 2%
水 95%
【0106】
組成物B:
酢酸ヒドロコルチゾン 3.4%
アルギン酸ナトリウムPH157 2%
水 94.6%
組成物C:
ヒドロコルチゾン 3%
メトローズ60SH−50 2%
水 95%
【0107】
フィルムは以下に述べるように作製した。
1.ポリマー、グルココルチコイドおよびH2Oを計量した。
2.攪拌中にグルココルチコイドを水に加えた。
3.懸濁液が得られるまでこの配合物を攪拌し続けた。
4.この懸濁液にポリマーを加えた。
5.均一なゲルが得られるまでこの配合物を攪拌し続けた(最低2時間)。
6.ゲル0.5gを空ブリスターに計量し、加熱乾燥器に配置した(乾燥:25℃で22時間)。
【0108】
表4はヒドロコルチゾン10mgのパーセントとして1,3,5,10および15分後のインビトロ溶出を示す(回転バスケット 100rpm、リン酸緩衝液 pH=7.0、溶剤500mlあたり1ユニット)。アルギン酸ナトリウム(Na−alg)、ヒプロメロース(HPMC)のポリマーにヒドロコルチゾン10mgを有するユニットであり、約7mg/ユニットである。2ユニットをNa−algおよびHPMCにより試験した。平均値を一覧表にした。次の表に示す結果は粘度に関する順位を示し、即ち、HPMCが最も低い粘度を有し、Na−algが最も高い粘度を有する。
【0109】
【表4】
ヒトにおけるインビボの血漿プロファイル、1組成物あたりN=1。
デキサメタゾン抑制試験、絶食状態、他は「方法」と示す段落に記載の通り。
【0110】
これらの結果により、酢酸ヒドロコルチゾンの使用は速放組成物には適さないように思われることが示される。このことは次の実施例において更に検討した。
【0111】
実施例12
(非粘膜粘着性速放用フィルム)
実施例13−組成物Aにほぼ類似した2種類のフィルムを調製した。フィルムAはヒドロコルチゾン10mgを含有し、フィルムBは酢酸ヒドロコルチゾン11.2mgを含有する。口腔投与後のインビボ試験の結果を図4および5に示す。これらの結果により、フィルムが生体粘着性でない場合であっても、フィルムAの単回投与後の全身循環系への吸収の速やかな開始が得られることが示される。対照的に、酢酸ヒドロコルチゾンを含有するフィルムに関して得られる結果では、全身循環系へのグルココルチコイドの吸収の速やかな開始が必要とされる場合、この化合物は妥当ではないように思われることが示される。
【0112】
実施例13
(速放用薄膜層フィルム)
次の組成物AおよびBからグルココルチコイドフィルムのバッチを調製した:
迅速放出組成物A:成分 重量%
PEG400 2.0
ヒドロコルチゾン 3.0
メトセルE5 4.0
キシリトール 1.0
水 90
【0113】
緩徐放出組成物B:成分 重量%
PEG400 1.3
ヒドロコルチゾン 3.0
メトセルE5 5.7
水 90
磁気攪拌器を備えた50ml丸底ガラス製フラスコ中の蒸留水(18ml)にメトセルE5を加えた。メトセルが完全に溶解した後、攪拌継続下でPEG400を加え、続いてキシリトール(組成物Aのみ)およびヒドロコルチゾンを加えた。攪拌は4時間続けた。
【0114】
直径16mmの平底PVCブリスター(スウェーデン、Lund、Inpack社)中に溶液AまたはB 330μlをピペット(フィンピペット;自動式)により加え、各ブリスター容器へと加えた。この溶液を一晩室温にて乾燥させた。翌日、用量分析のためにフィルム10枚を取り外した。各フィルムを水/エタノール(95%)9:1(w/w)100ml中に溶解した。この溶液を242nmでのUV分光法により分析した。組成物A、Bに1ブリスターあたりそれぞれヒドロコルチゾン10.19mg、9.83mgの平均含量が見出された(それぞれSD 0.29、0.14)。
【0115】
口唇投与後にヒト被験者2人においてヒドロコルチゾン組成物を試験した。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制された。口唇投与後360分間、コルチゾールの血漿濃度をモニタリングした。これらの被験者2人由来の血清濃度時間プロファイルを図6および7に示す。
【0116】
ヒドロコルチゾンの粘膜吸収の速度および程度が高く、また、最初に測定した血漿濃度が既に10〜15分にて得られたため、血清中のコルチゾールの発現が迅速であることが明確に認められる。
【0117】
これらの薬物動態データにより、この薬剤送達経路では投与および吸収部位にて溶出可能な液体の量は少ないが、経口粘膜投与用の本発明の製剤により活性薬物の粘膜吸収の速度および程度が亢進することが示される。
【0118】
実施例14
(速放グルココルチコイド錠)
乾式混合した粉末状成分を次の組成物Cに直接打錠することにより、グルココルチコイド錠を製造した:
迅速放出組成物C:成分 1バッチあたり
PEG6000 8.7g
ヒドロコルチゾン 2.5g
Xylitab300 8.7g
ステアリン酸マグネシウム 0.16g
(バッチサイズ100の錠剤)
【0119】
粉末状成分を篩過し(メッシュサイズ0.7mm)、5分間小型ブリキ缶にて手で振とうすることにより乾式混合した。この混合物の均一性は錠剤の分析に用いた方法と同じ方法により分析した。錠剤成形は直径7mmの平坦な円形パンチを用いてDIAF製錠機により行った(分割スコアを記録)。錠剤10個中のヒドロコルチゾン用量をフィルムで用いたのと同じ方法で評価した。組成物Cに対し、1錠あたりヒドロコルチゾン9.53mgの平均含量が見出された(SD 0.15)。
【0120】
錠剤の厚さ(10錠):1.72〜1.76mm(C);
脆砕性(20錠):0.6%(C);
錠剤の硬度(10錠):23.7N(C)。
ヒト被験者2人への口腔投与後、組成物の試験を行った(図8)。
【0121】
実施例14の固体剤形から全身循環系への活性物質の吸収速度は、実施例13の組成物より多少緩やかであり、これは口唇用医薬製剤の組成および機能に変化をもたらすことにより、ヒドロコルチゾンの全身循環系への吸収速度を調整することが可能であるということである。
【0122】
実施例15
(インビトロ溶出プロファイル)
実施例13および14による製剤からのヒドロコルチゾンのインビトロ溶出プロファイルを、標準化制御インビトロ環境にて経時的に追跡した。自動試料採取装置およびソフトウェアに結合した、米国薬局方溶出試験第2法(パドル法)に準拠した溶出試験器を用いて、中性pH環境における製剤の放出プロファイルを得ようとした。溶出プロファイルは総水量300ml中、37℃でパドル50rpmにて得られた。実施例の医薬組成物を溶出溶媒に挿入してから0,1,3,5,7,10および15分後、試料採取を行った。
【0123】
各製剤からの溶出プロファイルを投与後最大360分、2つの試験にてモニタリングし、対応する溶出時間プロファイルをそれぞれ図9、10に示す。放出速度は経時的な用量パーセントとして示す。
【0124】
実施例14の固体剤形からの放出速度は多少緩徐であった(図10)。これは口鼻咽頭部用の医薬製剤の組成および機能に変化をもたらすことにより、ヒドロコルチゾンの放出速度を調整することが可能であるということである。
本発明の具体的な態様
項目
1.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約60%が、USP(米国薬局方)溶出試験第2法(パドル法)に準拠した回転数50rpmの溶出試験器および好適な溶出溶媒を用いたUSPに準拠したインビトロ溶出試験の開始後最初の10分以内に医薬組成物から放出され、実質的な即時放出用の1種以上のグルココルチコイドおよび医薬上許容な賦形剤を含み口腔内の粘膜を通して全身循環系への投与のための固体または半固体形態にある医薬組成物。
2.患者のグルココルチコイド血清濃度の少なくとも20%のCmaxが、患者の粘膜を通
してこの組成物の投与後20分以内に達する項目1に記載の医薬組成物。
3.少なくとも40%のCmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後30分以内に
達する項目1に記載の医薬組成物。
4.少なくとも75%のCmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後45分以内に
達する項目1〜3のいずれか一つに記載の医薬組成物。
5.Tmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後60分以内に達する項目1〜4の
いずれか一つに記載の医薬組成物。
6.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約60%が、項目1で定義されている溶
出試験の最初の5分以内に組成物から放出される項目1〜5のいずれか一つに記載の医薬組成物。
7.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約70%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の15分以内、例えば最初の10分または5分以内に組成物から放出される項目1〜6のいずれか一つに記載の医薬組成物。
8.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約80%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の15分以内に組成物から放出される項目1〜7のいずれか一つに記載の医薬組成物。
9.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約80%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の10分以内に組成物から放出される項目1〜8のいずれか一つに記載の医薬組成物。
10.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約90%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の15分または10分以内に組成物から放出される項目1〜9のいずれか一つに記載の医薬組成物。
11.口腔投与のために設計されている項目1〜10のいずれか一つに記載の医薬組成物。
12.固形剤形の形態にある項目1〜11のいずれか一つに記載の医薬組成物。
13.固体剤形が顆粒、ビーズ、ペレットおよび粉末からなる群から選択される項目12に記載の医薬組成物。
14.単位剤形の形態にある項目1〜13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
15.単位剤形が咀嚼錠、吸引錠、発泡錠、舌下錠、速発錠、速放錠、速溶解錠などを含む錠剤から選択される項目14に記載の医薬組成物。
16.スプレイ、カシェ剤、フィルム、ゲル、ヒドロゲル、パッチ、歯肉パッチ、生体粘着性パッチ、サシェットなどの形態にある項目11に記載の医薬組成物。
17.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が約1〜約200mgである項目1〜16のいずれか一つに記載の医薬組成物。
18.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が約1〜約175mg、例えば約1〜約150mg、約1〜約100mg、約1〜約75mg、約1〜約70mg、約1〜約60mg、約5〜約50mg、約5〜約40mgまたは約10〜約30mgである項目17に記載の医薬組成物。
19.1種以上のグルココルチコイドがヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンまたはこれらの医薬上許容なエステル、塩および複合物を含むこれらの混合物からなる群から選択される項目1〜18のいずれか一つに記載の医薬組成物。
20.医薬上許容な塩がリン酸塩、琥珀酸塩、リシン酸塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である項目19に記載の医薬組成物。21.1種以上のグルココルチコイドが、約1〜200mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むコルチゾンまたはヒドロコルチゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
22.1種以上のグルココルチコイドが、約1〜約20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むベタメタゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
23.1種以上のグルココルチコイドが、約1〜約10mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾロンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
24.1種以上のグルココルチコイドが、約0.1〜約2mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むデキサメタメタゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
25.1種以上のグルココルチコイドが、約0.05〜約5mgに相当する量で、その医
薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むフルドロコルチゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
26.1種以上のグルココルチコイドが、約10〜約50mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
27.1種以上のグルココルチコイドが、約2〜約20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むメチルプレドニゾロンである単位剤形にある項目20に記載の医薬組成物。
28.フィルム、パッチ、カシェ剤、ゲル、サシェット、歯肉パッチまたはトローチ錠などの形態にある項目1〜27のいずれか一つに記載の医薬組成物。
29.組成物が、その誘導体を含むアクリルポリマー、セルロース誘導体、改質デンプン、ポリエチレンオキシド、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガムまたはポリ-コ-(メチルビニルエーテル−
無水マレイン酸)からなる群より単独で、あるいはこれらを組み合わせて選択される医薬
上許容な賦形剤を含有する項目28に記載の医薬組成物。
30.セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、変性セルロースガムまたはクロスカルメロースからなる群より選択される項目29に記載の医薬組成物。
31.1種以上の生体/粘膜粘着促進剤をさらに含む項目1〜30のいずれか一つに記載の医薬組成物。
32.1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、約0.1〜約25重量%の濃度で存在する項目31に記載の医薬組成物。
33.1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、合成ポリマー、天然ポリマーおよびそれらの誘導体ならびにそれらの混合物を含むポリマーである項目31または32に記載の医薬組成物。
34.ポリマーがカルボマー、ポリエチレンオキシド、ポリ-コ-(メチルビニルエーテル
/無水マレイン酸)およびこれらの混合物から選択される項目33に記載の医薬組成物。
35.ポリマーが多糖類である項目33に記載の医薬組成物。
36.多糖類がゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガム、微結晶セルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、中等度に架橋したデンプンおよびキトサンからなる群から選択される項目35に記載の医薬組成物。
37.溶出促進剤をさらに含む項目1〜36のいずれか一つに記載の医薬組成物。
38.溶出促進剤が約0.05〜約5重量%の濃度で存在する項目37に記載の医薬組成物。
39.溶出促進剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸、胆汁塩、コール酸塩またはコラン酸塩、ミリスチル酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよびソルビタンエステルからなる群から選択される項目37または38に記載の医薬組成物。
40.1種以上のグルココルチコイドがミクロ粒子またはナノ粒子として存在する項目1〜39のいずれか一つに記載の医薬組成物。
41.平均粒子サイズが10μm以下である項目40に記載の医薬組成物。
42.ミクロ-またはナノ粒子がカプセル封入されている項目40または41に記載の医
薬組成物。
43.ミクロ-またはナノ粒子が、レシチンまたはレシチンベースの化合物を含む被覆を
有するカプセル封入されている項目42に記載の医薬組成物。
44.崩壊剤をさらに含む項目1〜43のいずれか一つに記載の医薬組成物。
45.崩壊剤が、架橋結合したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微結晶セルロースおよびセルロースガムからなる群から選択される項目44に記載の医薬組成物。
46.崩壊剤が、約0.5〜約10重量%濃度で存在する項目44または45に記載の医薬組成物。
47.風味マスキング剤をさらに含む項目1〜46のいずれか一つに記載の医薬組成物。48.風味マスキング剤が、メントール、ペパーミント、バニリン、テルペンベース化合物または人工甘味剤からなる群から選択される項目47に記載の医薬組成物。
49.1種以上のグルココルチコイドが、α-、β-、γ-シクロデキストリン、好ましく
はβ-シクロデキストリンを用いる包接化合物中への取り込みにより風味マスキングされ
ている項目1〜48のいずれか一つに記載の医薬組成物。
50.口腔内投与用の項目1〜49のいずれか一つに記載の医薬組成物。
51.ゲル、ガム、カシェ剤、薄膜フィルム、パッチ、歯肉パッチ、錠剤、サシェット、トローチ剤、速溶解錠、クリームまたは軟膏の形態にある項目50に記載の組成物。
52.項目1〜51のいずれか一つに記載の医薬組成物を収容する1種以上の容器およびその使用説明書を含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するためのキット。
53.1種以上の容器がブリスターまたはブリスターパックの形態にある項目52に記載のキット。
54.方法が、投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに達するグルココルチコイ
ド血清濃度の急激な上昇を得るための、項目1〜51のいずれか一つで定義したとおりの医薬組成物の有効量を患者の口腔内の粘膜を通して投与か、または項目52もしくは53で定義したとおりのキットを含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するための方法。
55.少なくとも40%のCmaxが投与後30分以内に達する項目54に記載の方法。
56.少なくとも75%のCmaxが投与後45分以内に達する項目54または55に記載
の方法。
57.Tmaxが患者の粘膜を通して組成物の投与後60分以内に達する項目54〜56の
いずれか一つに記載の方法。
58.グルココルチコイド救急治療を必要とする障害が急性副腎発症である項目54〜57のいずれか一つに記載の方法。
59.急性副腎発症が、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血)、または例えば気道閉塞を伴う小児における扁桃炎/扁桃周囲炎に関する項目58に記載の方法。
60.グルココルチコイド救急治療を必要とする障害が、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害に関する項目54〜58のいずれか一つに記載の方法。
61.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの有効量が、約1〜約200mgである項目54〜60のいずれか一つに記載の方法。
62.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの有効量が、約1〜約175mg、例えば約1〜約150mg、約1〜約125mg、約1〜約100mg、約1〜約75mg、約1〜約70mg、約1〜約60mg、約5〜約50mg、約5〜約40mg、または約10〜約30mgである項目61に記載の方法。
63.1種以上のグルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロ
ン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンまたはこれらの医薬上許容なエステル、塩およびこれらの複合物を含むこれらの混合物からなる群より選択される項目54〜62のいずれか一つに記載の方法。
64.医薬上許容な塩がリン酸塩、琥珀酸塩、リシン酸塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である項目63に記載の方法。
65.1種以上のグルココルチコイドの有効量が、患者自身によるか、または医療訓練を受けていない者による投与用に好適な医薬組成物中に包含されている項目54〜64のいずれか一つに記載の方法。
66.組成物が、例え患者が無意識でも患者に投与できる形態にある項目65に記載の方法。
67.組成物が、例え患者が組成物を飲み込むことができなくても患者に投与できる形態にあり、かつ効果を有する項目65または66に記載の方法。
68.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約1〜約100mgの範囲であるコルチゾンまたはヒドロコルチゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
69.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約1〜約20mgの範囲であるベタメタゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
70.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約1〜約10mgの範囲であるプレドニゾロンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
71.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約0.1〜約2mgの範囲であるデキサメタゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
72.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約0.05〜約5mgの範囲であるフルドロコルチゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
73.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約10〜約50mgの範囲であるプレドニゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
74.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約2〜約20mgの範囲であるメチルプレドニゾロンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
75.口腔の経粘膜投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに至るグルココルチコ
イド血清濃度の急激な上昇を付与することにより、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のための項目1〜51のいずれか一つに定義したとおりの医薬組成物の使用。
76.少なくとも40%のCmaxが、投与後30分以内に達する項目75に記載の使用。
77.少なくとも75%のCmaxが、投与後45分以内に達する項目75または76に記
載の使用。
78.Tmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後60分以内に達する項目75〜
77のいずれか一つに記載の使用。
79.医薬組成物が、患者自身によるか、または医療訓練を受けていない者による投与用に好適である項目75〜78のいずれか一つに記載の使用。
80.医薬組成物が、例え患者が無意識でも患者に投与できる形態にある項目75〜79のいずれか一つに記載の使用。
81.医薬組成物が、例え患者が組成物を飲み込むことができなくても患者に投与できる形態にあり、かつ効果を有する項目79または80に記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0125】
グルココルチコイド救急治療を必要とする障害(例えば、急性副腎発症)を十分に治療する医薬組成物を提供できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルココルチコイド救急治療が必要とされる緊急事態に使用されるグルココルチコイド含有医薬組成物またはキットに関する。
特に、本発明は、病院または他の医療もしくは臨床現場外の医療訓練を受けていない者により投与されるように設計された医薬組成物またはキットに関する。また、本発明は、グルココルチコイドの速やかな作用発現を提供することによりグルココルチコイド救急治療を必要とする障害を治療する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
グルココルチコイドは中間代謝、免疫機能、筋骨格系・結合組織および脳に重要なステロイドである。グルココルチコイドの重要性はグルココルチコイド欠乏障害患者において最も理解される。このような患者において、グルココルチコイド補充療法が利用できる以前の1950年代では1年生存率は僅か20%であった。
【0003】
しかし、臨床現場においてグルココルチコイドが広く使用され始めたのは1940年代の関節リウマチの治療における使用からであった。天然および合成グルココルチコイドは広範な病態の管理に用いられており、アレルギー性および炎症性障害に関連する多くの緊急治療に重要な役割を果たしている。
【0004】
内生グルココルチコイドは、主に副腎皮質で産生されるステロイドである。体内の主要なグルココルチコイドはコルチゾールである。コルチゾールの産生および分泌は、視床下部、下垂体および副腎を含む複雑且つ高効率なシステム、即ち、視床下部−下垂体−副腎系(HPA)により統御されている。
【0005】
コルチゾール分泌には日内放出リズムがあり、早朝にピーク値が、深夜にトラフ値がみられる。HPA系は身体的および心理的ストレス要因によっても活性化する。したがって、身体活動、発熱、手術または精神的ストレスのようなストレス条件下では血清コルチゾール濃度が上昇する。
【0006】
副腎皮質機能不全は副腎皮質ホルモン活性の欠損から生じる多くの複雑な症状を生ずる。これには副腎皮質における疾患の結果としての一次型、視床下部および/または下垂体における特定の病変に起因する二次(中心)型、あるいは長期的な高用量グルココルチコイド治療後のHPA系抑制に起因する三次型があり得る。
【0007】
副腎皮質機能不全の発現は潜行性から重篤な塩・水欠乏を伴う急性の生命危機まで多様と言え、この場合、迅速且つ適切に治療しないとショックおよび死に至る。
例えば、急性副腎発症の治療では治療有効濃度間隔(治療濃度域)にて1種以上のグルココルチコイドが全身循環系に迅速に進入する(吸収される)必要がある。種々多くのグルココルチコイド含有医薬組成物が既に市販されているが、これらの大部分は全身循環系での発現が遅すぎ(例えば、従来の錠剤)、あるいはグルココルチコイド血清濃度が存在するとしても低すぎる(多くのグルココルチコイド含有医薬組成物は局所治療、例えば、鼻または皮膚を目的とする)ため、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療には適切ではない。
【0008】
今日、医療緊急事態においてグルココルチコイドを投与する方法には2種類ある。1つは非経口経路であり、この場合、静脈内(IV)注射を設定し、あるいは深部筋肉内(IM)注射を行う必要がある。しかし、この投与法の不利点の1つは、特に末端循環が損傷している患者においてIV経路を確立することが困難となり得ることである。更に、非経口投与は有資格者を必要とし、したがって、適切な救護隊が搭乗した救急車および院内環境に限定される。
【0009】
従来、他の投与経路は水溶性ベタメタゾン錠を用いた経口投与によるものである。この経路は主に外来診療所において患者の自己投薬用に用いられている。しかし、その不利点は溶液を調製する際の顕著な遅延時間および摂取から有意な薬物血清濃度が得られるまでの時間である。通常、最大血漿濃度(Cmax)は投与後1〜3時間以内(Tmax)に得られる。これらの迅速溶出/迅速吸収性薬物(FDAの生物製剤分類法(BCS)に基づきクラスI薬物)の経口速放製品では、腸吸収の発現が0.5時間より早くなり得ず、絶食状態および摂食状態の両方において胃排出が大幅に変動することも周知である。更に、患者に意識があり、溶液を嚥下する能力に支障がないことが必須である。消化管運動が弱いと胃排出が更に遅延し、腸吸収が低下する(速度と程度の両方)。
【0010】
このような面倒な経口投与の例は、急性喉頭炎患者、重篤な呼吸逼迫患者、クループまたは重篤な血管浮腫を有する小児および消化管吸収が不明確な胃腸炎患者に見出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、患者による自己投薬および病院、診療所、救急車、準医療現場もしくは同様の医療現場外の医療訓練を受けていない者による患者への投与を可能にすると同時に、投与後に迅速な作用発現を提供することにより、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害(例えば、急性副腎発症)を十分に治療する医薬組成物を開発することは治療上大きな利点となるであろう。更に、例えば、意識がないか、もしくは組成物(例えば、錠剤または溶液)を嚥下できない患者に投与することができ、また、医療訓練を受けた者を必要とせず、もしくは医療現場で行う必要がない医薬組成物の必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約60%が、USP(米国薬局方)溶出試験第2法(パドル法)に準拠した回転数50rpmの溶出試験器および例えば、水、擬似唾液もしくは酵素を含有しない擬似腸液のような好適な溶出溶媒を用いたUSPに準拠したインビトロ溶出試験の開始後最初の30分以内に医薬組成物から放出され、かつ被験者のグルココルチコイド血清濃度の少なくとも20%のCmaxが被験者の粘膜を通してこの組成物の投与後20分以内に達する、実質的な即時放出用の1種以上のグルココルチコイドを含む医薬組成物を提供することにより前述の必要性を満たすものである。
【0013】
溶出溶媒は当該組成物のタイプに依存して選択することができる。したがって、口腔投与を目的とする組成物には水または擬似唾液を用いることができる。当業者には当該製剤に依存し、適正な溶出溶媒を選択する術は既知であろう。通常、組成物の投与経路を経鼻、経直腸、経膣粘膜とするかに拘わらず、水ベースであってpH4.5〜約8の範囲のpHに調整した溶出溶媒が好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、グルココルチコイドはその高水溶性のためヒドロコルチゾントロメタモール(またはスクシネート)であり、これは全身循環系に迅速に吸収される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
【図2】実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Bの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
【図3】実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
【図4】実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムAの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図5】実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムBの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、酢酸ヒドロコルチゾン11.2mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図6】実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図7】実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図8】実施例14の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性迅速放出剤、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【図9】実施例15の結果を示す図である(実施例14の組成物C)。
【図10】実施例15の結果を示す図である(実施例13の組成物A)。
【図11】口腔内の様々な投与部位を示す図である。
【図12】口腔内の様々な投与部位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の内容において、用語「実質的な即時放出」は、通常の錠剤から得られる放出と異なり、また、通常の錠剤から得られる放出より速い放出を提供するあらゆるタイプの放出を含むものとする。特に、該用語は、USP溶出試験第2法(パドル法)に準拠した回転数50rpmの溶出試験器および溶出溶媒としての酵素非含有擬似腸液を用いたUSPに準拠したインビトロ溶出試験における1種以上のグルココルチコイドの迅速な放出に関する。
【0017】
用語“Cmax”は、少なくとも6人の正常な健常ヒト被験者への組成物の投与後に得られる平均最大血清/血漿/血中濃度または血清/血漿/血中レベルを示す。
用語「経粘膜(粘膜を通して)」は、所望の効果を得るため1種以上のグルココルチコイドが全身循環系に進入する必要があり、また、投与経路が局所、静脈内および筋肉内投与の経路と異なることを示す。
【0018】
本発明は別の態様において、本発明による医薬組成物を収容する1種以上の容器およびその使用説明書を含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するためのキットに関する。特定の実施形態において、1種以上の容器はブリスターまたはブリスターパックの形態である。
【0019】
本発明は更なる態様において、投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに達するグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇を得るため、1種以上のグルココルチコイドの有効量を患者の粘膜を通して投与することを含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するための方法に関する。
【0020】
本発明はまた更なる態様において、経粘膜投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに達するグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇を付与することにより、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害を治療するための本明細書に定義する医薬組成物またはキットを調製するための1種以上のグルココルチコイドの量の使用に関する。
【0021】
前述のように、迅速な作用発現を得るため、本発明の組成物の投与後にグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇が得られることが必要である。したがって、特定の実施形態において、被験者の粘膜を通じた組成物の投与後30分以内に少なくとも40%のCmaxが得られ、および/または45分以内に少なくとも75%のCmaxが得られる。
【0022】
通常、Tmax(即ち、血清/血漿/血中濃度時間プロファイルにおいて最大血清/血漿/血中濃度を得るのに要する時間)は、被験者の粘膜を通じた組成物の投与後60分以内に達する。典型的には、Tmaxは約30〜約75分の範囲内、例えば、約45〜約60分の範囲内である。
【0023】
前述のように、本発明の医薬組成物およびキットはグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療における使用に好適である。このような障害の例は、一次性、二次性もしくは三次性副腎機能不全に関連する急性副腎発症、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、急性腎移植拒絶反応、全身性エリテマートーデスまたは重篤なアレルギー反応である。他の例には炎症性疾患、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害が含まれる。本発明に従って治療可能な障害の具体例を以下に示す。
【0024】
(活性物質、用量および投与経路)
本発明の内容において、用語「グルココルチコイド」または「グルココルチコステロイド」は、治療、予防および/または診断上活性なグルココルチコイドあるいは生理作用を有するグルココルチコイドを示すものとする。該用語は、任意の物理形状、例えば、結晶形、非晶形または多形、あるいは妥当であれば鏡像体形またはラセミ体形を含む任意の立体異性体形あるいは前述の任意の組合せの形状の、例えば、これらの医薬上許容な塩、複合物、溶媒和物、エステル、活性代謝物またはプロドラッグのような任意の妥当な形態のグルココルチコイドを含むものとする。グルココルチコイドは合成グルココルチコイドでもよい。
【0025】
本発明に従って使用される1種以上のグルココルチコイドは、これらの医薬上許容なエステル、塩、複合物および混合物を含む、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0026】
本発明による使用に好適な医薬上許容な塩の具体例は、リン酸塩、琥珀酸塩、リジン塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である。
【0027】
グルココルチコイドは速放を目的とするため、組成物が経口投与される場合、全身循環系への放出および/または吸収は口腔の段階ですでに生じる。このような場合、第一部分に至適なグルココルチコイドは、活性物質が苦味を有するためヒドロコルチゾン(それ自体)またはコルチゾンの2種以外であり得る。しかし、風味が十分にマスキングされるのであれば、これらの物質を用い得る。「医薬上許容な賦形剤」に関する段落において、風味のマスキングについてより詳細に考察する。したがって、第一部分の1種以上のグルココルチコイドは許容な風味を有し、無味であり、あるいは効果的に風味がマスキングされ得る。
【0028】
更に、本発明の特定の実施形態において、使用するグルココルチコイドは組成物からのグルココルチコイドの速やかな溶出を確実にするため、易水溶性グルココルチコイド(例えば、水溶性塩のグルココルチコイド)であり得る。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、グルココルチコイドはその高水溶性のためヒドロコルチゾントロメタモール(またはスクシネート)であり、これは全身循環系に迅速に吸収される。
【0030】
(用量)
一般的に、本発明による組成物中に存在するグルココルチコイドの用量は、特に、特定の薬剤物質、患者の年齢および状態並びに治療対象の疾患に依存する。
【0031】
用語「ヒドロコルチゾン当量」は、本明細書において、医師により総体的に理解されるグルココルチコイド療法を目的に、ヒドロコルチゾン1mgに相当する特定のグルココルチコイドのmg量を定義付けするために用いられる。該用語は、個々のグルココルチコイドが異なる効力を有し、また、所望の治療効果を得るため、個々のグルココルチコイドの異なる用量が必要であるという事実に基づく。グルココルチコイドの等用量は次の表1に基づいて計算することができる。
【0032】
【表1】
【0033】
概して、本発明による医薬組成物はヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量約1〜約200mgを含有する。特定の実施形態において、ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量は、約1〜約175mg、例えば、約1〜約150mg、約1〜約100mg、約1〜約75mg、約1〜約70mg、約1〜約60mg、約5〜約50mg、約5〜約40mgまたは約10〜約30mgである。
【0034】
より具体的にグルココルチコイド救急治療用の通常の用量範囲を以下に示す。
ヒドロコルチゾン 1〜200mg;急性副腎発症では約100mg
コルチゾン 1〜200mg、例えば、約100mg
ベタメタゾン 1〜20mg;高脳圧、例えば、脳浮腫では約4mg/日
化学療法または放射線療法誘発性悪心では4〜8mg
プレドニゾロン 1〜100mg;例えば、1〜30mg/日;重篤な症例では
50〜60mg/日
デキサメタゾン 0.1〜6mg、例えば、0.5〜2mgまたは1.5〜3m
g;重篤な症例では6mgまで/日
フルドロコルチゾン 0.05〜5mg;アジソン病では不適切な電解質バランスを補
正するため0.05〜0.2mg/日;副腎皮質過形成(「塩類
喪失性副腎生殖器症候群」)では0.1〜0.2mg
プレドニゾン 10〜100mg、例えば、50mg
メチルプレドニゾロン 2〜40mg、例えば、2〜20mg
【0035】
種々の治療レジメンにおける個々のグルココルチコイドの好適用量を以下に示す。
急性喘息−成人
ベタメタゾン 4〜8mg
プレドニゾロン 30〜60mg
メチルプレドニゾロン 40mg
【0036】
急性アナフィラキシー−成人
ベタメタゾン 5mg〜20mgまで
ヒドロコルチゾン 200mg
デキサメタゾン 4〜20mg−80mg
【0037】
急性アナフィラキシー−小児
ヒドロコルチゾン 100〜200mg
【0038】
敗血症ショック−成人
ヒドロコルチゾン 200〜300mg/日
メチルプレドニゾン 30mg/kg
【0039】
急性細菌性髄膜炎
デキサメタゾン 0.3mg/kg/回(最大10mg)×4回/日を2
〜4日間
ベタメタゾン 8mg×4回/日
小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウイルス)感染性
ベタメタゾン 4〜6mg
【0040】
小児の急性上気道狭窄
ベタメタゾン 4〜6mg
合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血)
ベタメタゾン 5〜6mg
【0041】
扁桃炎/扁桃周囲炎−気道閉塞を伴う小児
ベタメタゾン 4〜6mg
本発明による組成物は速やかな作用発現を提供するように設計され、投与と同時にグルココルチコイド血清/血漿/血中濃度の急激な上昇が得られる。グルココルチコイドとしてヒドロコルチゾンを用いる場合、投与後20分以内に少なくとも約200nmol/lの血清濃度が得られる。ヒドロコルチゾン以外の別のグルココルチコイドを用いる場合、好適で等価な血清/血漿/血中濃度を定量する方法は当業者には周知であろう。
【0042】
例えば、ヒドロコルチゾンは投与後約0〜約30分間に組成物から迅速に放出可能であり、副腎機能不全患者における発熱などに関連し、追加投与としてヒドロコルチゾン5〜10mgを迅速に投与することができる。同様に、迅速なグルココルチコイド効果に価値がある大部分の適応症ではベタメタゾン5〜20mgを迅速に投与することができる。
【0043】
(投与経路)
前述のように、本発明に従って用いられる1種以上のグルココルチコイドは粘膜を通して被験体(好ましくはヒト)に投与され、全身循環系へ吸収される。特に、本発明の特定の実施形態において、この粘膜は口腔、鼻、直腸または膣の粘膜であり、あるいは肺、気管支または呼吸器の粘膜・上皮である。この粘膜は口腔粘膜であることが好ましい。
【0044】
図11および12は使用に好適な口腔粘膜投与の部位を示す。明確な4つの部位を用いることができ、これは即ち、用語「口唇」投与を含み、歯肉(歯茎)と頬の内側の間の粘膜に医薬組成物を投与するために用いられる「口腔」投与;舌下に医薬組成物を投与することを指す「舌下」投与;硬口蓋および/または軟口蓋に医薬組成物を投与することを指す「口蓋」投与;並びに上歯肉および/または下歯肉に医薬組成物を投与することを指す「歯肉」投与である。
【0045】
全身循環系への迅速な吸収(活性薬物の輸送)により、前述の部位はすべて迅速な作用発現を得るために使用するのに妥当である。本発明の特定の実施形態において口腔投与経路が好ましく、即ち、歯肉と頬の内側の間の口腔粘膜に医薬組成物を投与し、したがって、2つの部位、即ち、歯肉粘膜と頬粘膜から吸収が生じることを可能にする。
【0046】
(医薬組成物)
本発明による医薬組成物について以下に説明する。
(1種以上のグルココルチコイドの放出)
グルココルチコイドが全身循環系に迅速に吸収される(輸送される)粘膜を通じた投与後に速やかな作用発現を得るため、1種以上のグルココルチコイドの迅速な放出が必要である。したがって、本明細書に定義するインビトロ溶出試験にて試験を行った際、一般的な必要条件として組成物中に含有される1種以上のグルココルチコイドの少なくとも60%が30分以内に放出される必要がある。組成物の具体的な実施形態は次の表2に示す必要条件の1つ以上を満たす。概して、溶出試験の開始後30分以内で述べられる必要条件が満たされることが好ましい。好ましい実施形態において、組成物中に含有される1種以上のグルココルチコイドの少なくとも70%または少なくとも80%が溶出試験の最初の20分以内に放出される。
【0047】
【表2】
【0048】
特定の実施形態において(本明細書の実施例を参照)、1種以上のグルココルチコイドの50%超が2分以内に放出可能であり、50〜90%が5〜8分以内に放出可能であり、用量の90%超が15分以内に放出可能である。
本発明による医薬組成物は経粘膜全身投与用に設計される。好ましい実施形態において、この粘膜は口腔粘膜である。
医薬組成物は液体、半固体または固体形態を含む任意好適な剤形でよい。
【0049】
本発明の好ましい態様において、医薬組成物は単位投与剤形のような剤形である。
口腔粘膜を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例は、典型的には固体または半固体剤形である。通例、固体剤形は顆粒、ビーズ、ペレットおよび粉末からなる群から選択され、単位投与剤形にて呈示される場合、咀嚼錠、吸飲錠、発泡錠、舌下錠、迅速崩壊錠、速放錠、迅速溶出錠、溶融錠、トローチ剤、芳香錠を含む錠剤の剤形として提示され、あるいはよりキャンディ様の剤形などにて提示され得る。
【0050】
また、口腔粘膜を通じた全身循環系への投与用の医薬組成物は、噴霧剤、カシェ剤、フィルム、ゲル、ヒドロゲル、パッチ、歯肉パッチ、生体粘着性パッチ、サシェット、溶液、吸入製剤などの剤形でもよい。
鼻粘膜を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例は、典型的には経鼻噴霧剤、鼻腔エアロゾル、点鼻薬を含む鼻腔溶液などの剤形である。
【0051】
肺、気管支および呼吸器の粘膜・上皮を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例は、粉末吸入製剤を含む吸入製剤である。
直腸または膣粘膜を通じた全身循環系への投与に好適な本発明による組成物の例には、坐剤、膣剤、浣腸剤などが含まれる。
【0052】
本発明による医薬組成物は生体/粘膜粘着特性も有する。製剤中に粘膜生体粘着性成分が加えられる場合、粘膜薬剤送達系からの薬剤の全身循環系への吸収は有意に向上する。これは嚥下を防止するとともに吸収部位に隣接するグルココルチコイドの高局所濃度を生ずる。粘膜粘着性成分はグルココルチコイドおよび他の成分と適切に混合されて剤形を成す。
【0053】
用語「生体/粘膜粘着性」は組成物が生体粘膜に可逆的に粘着可能であることを示すのに用いられる。場合により粘膜への粘着性を促進するため、組成物中に生体/粘膜粘着促進剤が含まれる。
【0054】
用語「生体/粘膜粘着促進剤」は、生体粘着がより広い定義を有し、つまり粘膜において得られる如何なる生物学的特徴への粘着も生じるということであるとしても、粘膜粘着と生体粘着は互換的に用いられる。生体/粘膜粘着促進剤が存在する場合、これはポリマー物質、好ましくは5kDを超える平均分子量を有する物質であり得る。生体/粘膜粘着力には水和特性が重要であり、したがって、ポリマーの迅速な膨張により生体/粘膜粘着が開始される。唾液に接触した際の容積膨張係数は10〜20である必要がある。
【0055】
典型的には、本発明による医薬組成物は1種以上の医薬上許容な賦形剤を含有する。本発明による組成物における使用に好適な医薬上許容な賦形剤の概説は、「医薬上許容な賦形剤」の見出しの段落に示す。特定の剤形種に依存し、必要であればRamington's Pharmaceutical Science and Handbook of Pharmaceutical Excipientsのような手引書の教示に導かれ、どのような賦形剤を選択すべきかは当業者には周知であろう。特に口腔投与用のフィルムまたはパッチ剤形の組成物の製剤における使用に好適な具体的な賦形剤の種類について以下に説明する。
【0056】
医薬組成物がフィルム、パッチ、カシェ剤、ゲル、サシェット、歯肉パッチなどの剤形である際、これはその誘導体を含むアクリルポリマー、セルロース誘導体、変性デンプン、ポリエチレンオキシド、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガムまたはポリ-コ-(メチルビニルエーテル−無水マレイン酸)からなる群から単独で、あるいはこれらを組み合わせて選択される医薬上許容な賦形剤を含有し得る。セルロース誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、変性セルロースガムまたはクロスカルメロースからなる群から選択され得る。
【0057】
本発明による医薬組成物は1種以上の生体/粘膜粘着促進剤も含有し得る。通常、このような生体/粘膜粘着促進剤は約0.1〜約25重量%の濃度にて存在する。生体/粘膜粘着促進剤の例には合成ポリマー、天然ポリマーおよびこれらの誘導体並びにこれらの混合物を含むポリマーが含まれる。このポリマーはカルボマー、ポリエチレンオキシド、ポリ-コ-(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)およびこれらの混合物から選択され得る。あるいは、これは多糖類であり得る。多糖類はゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガム、微結晶セルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、中等度に架橋したデンプンおよびキトサンからなる群から選択され得る。
【0058】
本発明による医薬組成物は溶出促進剤も含有し得る。溶出促進剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.05〜約5重量%の濃度にて存在する。この溶出促進剤はラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸、胆汁塩、コール酸塩またはコラン酸塩、ミリスチル酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよびソルビタンエステルからなる群から選択され得る。
【0059】
特定の実施形態において、本発明による組成物中の1種以上のグルココルチコイドはミクロ粒子またはナノ粒子として存在する。一般的に、このような粒子の平均粒子サイズは10μm以下である。更に、ミクロ粒子またはナノ粒子はカプセル封入され、例えば、レシチンまたはレシチンベースの化合物を含むコーティングを被覆され得る。
【0060】
グルココルチコイドがミクロ粒子またはナノ粒子の形態にて存在する際、本発明による医薬組成物は崩壊剤も含有し得る。このような崩壊剤は投与部位、例えば、口唇および歯肉粘膜にわたるグルココルチコイドのミクロ粒子の分散を促進する。医薬上許容な崩壊剤の例は、架橋結合したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微結晶セルロースおよびセルロースガムである。通常、崩壊剤は、存在する場合、組成物の総重量に基づき0.5〜10重量/重量の濃度にて用いられる。マンニトールおよびラクトースのような異なる医薬賦形剤は賦形剤として特に好適であることが見出されている。
【0061】
前述のように、本発明による医薬組成物は風味マスキング剤を更に含み得る。風味マスキング剤の例は、例えば、メントール、ペパーミント、バニリン、テルペンベース化合物または人工甘味剤である。特定の実施形態において、1種以上のグルココルチコイドは、α−β−またはγシクロデキストリンによる包接複合物への組込みにより風味マスキングされる。
【0062】
一般的に、本発明の組成物は0.05〜50重量%まで、例えば、0.05〜40重量%まで、0.05〜30重量まで%または0.05〜20重量%までのグルココルチコイドを含有する。より好ましくは、この組成物は0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%のグルココルチコイドを含有する。内容物は錠剤のように組成物の用量単位におけるグルココルチコイド量としても表すこともできる。これに関連し、用量とは1回に投与される少なくとも1つのグルココルチコイドまたはその誘導体の治療量を指す。グルココルチコイドが医薬上許容な塩の形態にて用いられる際、これらのパーセントおよび量は適宜再計算する必要がある。
【0063】
(医薬上許容な賦形剤)
本発明の内容において、用語「医薬上許容な賦形剤」は、それ自体が治療および/または予防効果を実質的に全く有さないという意味において不活性な任意の物質を示すものとする。このような賦形剤は、許容な技術的性質を有する医薬品を得ることを可能にすることを目的に添加し得る。
【0064】
本発明による固体剤形に用いる好適な賦形剤の例には、充填剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤などまたはこれらの混合物が含まれる。本発明による組成物またはキットの個々の部分は異なる目的で使用されるため(例えば、速放および徐放)、通常、賦形剤はこのような異なる使用を考慮して選択される。当該の特定の剤形に依存し、どのような医薬上許容な賦形剤が妥当な選択であるかは当業者には既知であろう。好適な用途用の他の医薬上許容な賦形剤は、例えば、酸性化剤、アルカリ化剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート化剤、着色剤、錯化剤、乳化剤および/または可溶化剤、着香剤および芳香剤、保湿剤、甘味剤、湿潤剤などである。
【0065】
好適な充填剤、希釈剤および/または結合剤の例には、ラクトース(例えば、噴霧乾燥ラクトース、α−ラクトース、β−ラクトース、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々のグレードのファルマトース(Pharmatose)(登録商標)、ミクロトース(Microtose)(登録商標)またはファースト-フロック(Fast−Floc)(登録商標))、微結晶セルロース(種々のグレードのアビセル(Avicel)(登録商標)、エルセマ(Elcema)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミン タイ(Ming Tai)(登録商標)またはソルカ-フロック(Solka−Floc)(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、信越化学工業(株)のメトセルE,FおよびK、メトローズSH、例えば、4,000cpsグレードのメトセルEおよびメトローズ60SH、4,000cpsグレードのメトセルFおよびメトローズ65SH、4,000、15,000および100,000cpsグレードのメトセルK;並びに4,000、15,000、39,000および100,000グレードのメトローズ90SH)、メチルセルロースポリマー(例えば、メトセルA、メトセルA4C、メトセルA15C、メトセルA4M)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチレン、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、ショ糖、アガロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、マルトデキストリン、デンプンまたは変性デンプン(ポテトデンプン、トウモロコシデンプンおよび米デンプンを含む)、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム水和物)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、コラーゲンなどが含まれる。
【0066】
希釈剤の具体例は、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、ショ糖、糖などである。
【0067】
崩壊剤の具体例は、例えば、アルギニン酸またはアルギン酸、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび他のセルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプン、アルファ化デンプン、カルボキシメチルデンプン(例えば、プリモゲル(Primogel)(登録商標)およびエクスプロータ(Explota)(登録商標)などである。
【0068】
結合剤の具体例は、例えば、アカシア、アルギニン酸、寒天、カラギーナンカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、グアールガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、PEG(ポリエチレングリコール)、ポビドン、アルファ化デンプンなどである。
【0069】
滑走剤および潤滑剤も組成物中に含まれ得る。この例にはステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは他のステアリン酸金属塩、タルク、ワックスおよびグリセリド、軽油、PEG、ベヘン酸グリセリル、コロイド状シリカ、水素添加植物油、トウモロコシデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、アルキル硫酸塩、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが含まれる。
【0070】
本発明の組成物に含まれ得る他の賦形剤は、例えば、着香剤、着色剤、風味マスキング剤、pH調節剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、湿度調節剤、界面活性剤、懸濁剤、吸収促進剤、懸濁剤、放出制御剤などである。
【0071】
本発明による組成物またはキット成分にフィルムコーティング、保護コーティング、抗粘着コーティングなども施し得る。
【0072】
また、例えば、1種以上のグルココルチコイドの風味マスキング関する妥当な特性を得るためにも、本発明による組成物に被覆し得る。コーティングは易溶性フィルムとしても施し得る。コーティングは単一ユニット剤形(例えば、錠剤)上に施し、あるいは複数ユニット剤形またはその個々のユニットに施し得る。
【0073】
好適なコーティング材料は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリルポリマー、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ゼラチン、メタクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、セラック、ショ糖、二酸化チタン、カルナウバ蝋、微結晶性ワックス、グリセリルモノステアレート、ゼインである。
可塑剤および他の成分をコーティング材料に加え得る。同種または異種の活性物質もコーティング材料に加え得る。
【0074】
(風味マスキング)
一般的に、大部分の場合、刺激性の性質または分子凝集体形成能を有する薬物から口腔粘膜または経鼻投与用の十分な安全性および安定性を有する製剤を調製することは困難であるが、これは使用する薬物の種類に依存する。ヒドロコルチゾンの場合、主成分が明らかな苦味を有し、反復使用できるように製剤には風味のマスキングを施す必要がある。
【0075】
風味マスキング剤はメントール、ペパーミント、バニリンまたはテルペンベース化合物でよい。加えて、風味マスキング剤は人工甘味剤、例えば、ソルビトール、キシリトールまたはアスパルテームでよい。風味マスキングは粒子としてグルココルチコイドをマイクロカプセル化することによっても可能である。例えば、これはレシチンベース化合物により実施可能である。風味マスキング剤は投与製剤の表面および内部に存在するように活性薬物と慎重に混合される。風味マスキングはシクロデキストリンとの包接複合物の形成によっても可能である。
【0076】
シクロデキストリン化合物の典型例はα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、ジメチルβ-シクロデキストリン、マルトシルβ-シクロデキストリンおよび硫酸化β-シクロデキストリンである。α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンが特に好ましい。これらのシクロデキストリン化合物は単独で、あるいは組み合わせて用い得る。
【0077】
使用するシクロデキストリン化合物の量はその可溶度およびヒドロコルチゾン濃度により変動し得る。しかし、シクロデキストリン化合物の量は0.5〜4.0mol、好ましくは2.0〜4.0mol、ヒドロコルチゾンと同程度のモルである。
【0078】
(方法の態様)
本発明による医薬組成物またはキットは、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患したヒトを含む哺乳動物のような対象の治療における使用に好適である。
【0079】
したがって、本発明は別の態様において、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療する方法に関し、この方法は投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxまでのグルココルチコイド血清濃度の急激な上昇を得るため、有効量の1種以上のグルココルチコイドを患者の粘膜を通して投与するステップを含む。
【0080】
通常、速やかな作用発現を得るため、投与後30分以内に少なくとも40%のCmaxが得られることが好ましい。特定の好ましい実施形態において、投与後45分以内に少なくとも75%のCmaxが得られ、および/または患者の粘膜を通じた組成物の投与後60分以内にTmaxが得られる。
【0081】
本発明の他の態様に関する詳細については本明細書に述べており、これは本発明の方法の態様にも適用される。
【0082】
本発明による方法は、1種以上のグルココルチコイドが注射または注入用の組成物の剤形にて呈示されないという事実により、患者自身または医療訓練を受けていない者により実施可能である。通常、医療訓練を受けた者のみがこのような組成物を投与することができる。したがって、本発明は救急グルココルチコイドを必要とする既知の治療方法に比し、特殊な装置を必要とせず、取扱いがはるかに簡便な方法を提供する。したがって、本発明は患者の状態によって必要な際に治療を可能にする方法を提供することを想定し、即ち、必要な治療を行うため、患者を病院または診療所に連れて行く必要がないということである。
【0083】
更に、投与後に速やかな作用発現を可能にするとともに患者が組成物を嚥下する必要なく投与可能な組成物の開発により(例えば、フィルム、生体/粘膜粘着性組成物、パッチ、歯肉パッチ、噴霧剤などの剤形の本発明の組成物)、患者は意識がなく、あるいは通常の錠剤を嚥下することができず、それでも救急事態においてグルココルチコイドを用いて適正に治療され得る。
【0084】
(本発明による組成物またはキットの使用)
本発明は別の態様において、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害を治療し、本明細書に定義する血清濃度を提供すべく、本明細書に定義する医薬組成物またはキットを調製するための1種以上のグルココルチコイドの使用に関する。
【0085】
以上、本発明の1つ以上の態様に関し、特に医薬組成物に関し、本発明を詳細に説明した。しかし、本発明の本態様にて開示される詳細事項はすべて本発明の他の態様に準用される。
【0086】
図面の簡単な説明
図1は実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
図2は実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Bの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
図3は実施例11の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。
図4は実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムAの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生
グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図5は実施例12の結果を示す図である。ヒト被験者へのフィルムBの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。非粘膜粘着性薄膜層フィルム、6cm2、酢酸ヒドロコルチゾン11.2mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
【0087】
図6は実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図7は実施例13の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Aの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。粘膜粘着性薄膜層フィルム、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図8は実施例14の結果を示す図である。ヒト被験者への組成物Cの単回投与後におけるコルチゾールの血漿濃度−時間プロファイル。インビボ血漿プロファイル。粘膜粘着性迅速放出剤、ヒドロコルチゾン10mg、口腔投与。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制されている。
図9は実施例15の結果を示す図である(実施例14の組成物C)。
図10は実施例15の結果を示す図である(実施例13の組成物A)。
図11は口腔内の様々な投与部位を示す図である。
図12は口腔内の様々な投与部位を示す図である。
【0088】
以下の実施例において本発明を更に例示する。
(材料)
以下の実施例に用いた材料を表3に示す。
【0089】
【表3−1】
【表3−2】
【0090】
(方法)
本明細書にて報告するインビボ試験は健常ボランティアを対象に行った。試験組成物の投与前日の午後6時および午後11時に、ベタメタゾン2mgの経口投与により内生コルチゾール分泌を抑制した。試験組成物を健常ボランティアに投与した。ボランティアらを絶食状態にし、正午まで食物摂取を許可しなかった。錠剤投与の場合、水200mlと共に摂取させた。内生コルチゾール分泌の抑制翌日の午前8時〜午前10時に試験組成物を投与した。
【実施例】
【0091】
実施例1
(速放ペレット(IRペレット)を含有するカプセル)
IRペレット
糖/デンプン種子、直径0.25〜0.35mm 1kg
に
ヒドロコルチゾン21−ヘミスクシネートナトリウム 10%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、6cps 3%
タルク 10%
を含有する水懸濁液を、Wursterカラムを備えた流動床にてコーティングし、約75%の重量増加とする。
【0092】
ヒドロコルチゾン21−ヘミスクシネートナトリウム13.4mgを含有するIRペレット量(約70mg)を、カプセル充填機にてサイズ番号3の硬質ゼラチンカプセルに充填する。
70mgペレットはカプセルサイズ番号3(あるいは更にサイズ番号4)に容易に適合し、通常のカプセル充填機に充填可能である。
【0093】
実施例2
(速放(IR)錠)
経口または舌下用途用のIR錠:
1錠あたりのMg
ベタメタゾン 0.4
Xylitab(登録商標)300a 40
無水ラクトース USP/NF 5
微結晶セルロース USP/NF 10
クロスポビドン USP/NF 4
ステアリルフマル酸ナトリウム 1
水 適量
a英国Danisco Sweeteners社から市販されている直接打錠キシリトール
ラクトースおよび微結晶セルロースを乾式混合する。ベタメタゾンを少量の水に溶解し、この溶液を粉末混合物上に散布する。混合して乾燥させる。Xylitabおよびクロスポビドンを加え、この混合物が均質化するまで乾式混合する。ステアリルフマル酸ナトリウムを加え、更に2分間混合し続ける。6mm凹型丸パンチを用いて打錠機においてこの混合物を錠剤に打錠する。
【0094】
実施例3
(速放(IR)フィルム)
口腔投与用薄膜フィルム:
重量%
プレドニゾロン 0.75
PEG400 USP/NF 2
メトセルE5、Dow Chemical社 4
キシリトール、フランスRoquette社 1
水 100になるように調節
【0095】
メトセルを総量の約90%の蒸留水に加え、メトセルが完全に溶解するまで磁気攪拌機により攪拌した。攪拌継続下にてPEG400を加え、次に、キシリトールおよびプレドニゾロンを加えた。最終重量に水を加え、4時間攪拌し続けた。
この溶液330μlをピペットにより直径16mmの平底PVCブリスターに加えた。この溶液を一晩室温にて乾燥させ、ブリスターパックを熱シールラッカー仕上アルミニウムホイルにより密封した。
【0096】
実施例4
(速放(IR)経口用溶液)
経口用溶液:
酢酸プレドニゾロン 0.9mg
ソルビトール 60mg
メントール 1.2mg
滅菌水 5ml
溶液を作製し、湿密性のアルミニウム製葉状分包包装に充填する。
【0097】
実施例5
(速放(IR)舌下噴霧剤)
ヒドロコルチゾンの舌下噴霧:
mg/ml
酢酸ヒドロコルチゾン 10
カルボキシメチルセルロース 0.8(0.08%)
2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン 40
PEG300 5
メントール 0.3
ソルビトール 12
レボメントール 2.0
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
【0098】
酢酸ヒドロコルチゾンを少量の水に溶解する。これを2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと混合し、1時間放置する。カルボキシメチルセルロースを加え、混合する。PEG300、メントール、ソルビトール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。1用量あたり0.58ml(ヒドロコルチゾン5mg)を送達する噴霧パッケージにこれを分配する。
【0099】
実施例6
(経口または口腔投与用のベタメダゾンIR錠)
1錠あたりのMg
ベタメタゾン 0.4
Xylitab(登録商標)300a 45
微結晶セルロース NF 10
クロスポビドン NF 4
水 適量
ステアリルフマル酸ナトリウム NF 1
a英国Danisco Sweeteners社から市販されている直接打錠キシリトール
【0100】
ベタメタゾンを少量の水に溶解する。この溶液を微結晶セルロース上に散布する。これを混合して乾燥させる。Xylitabおよびクロスポビドンを加え、均質な混合物が得られるまで好適な混合機にて乾式混合する。次に、ステアリルフマル酸ナトリウムを加え、更に2分間混合し続ける。6mm凹型丸パンチを用いて好適な打錠機にてこの粉末混合物を打錠する。
【0101】
実施例7
(ベタメダゾンの舌下噴霧)
mg/ml
ベタメタゾン 0.4
カルボキシメチルセルロース 0.8(0.08%)
PEG300 5
メントール 0.3
ソルビトール 12
レボメントール 2.0
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ベタメタゾンを少量の水に溶解する。カルボキシメチルセルロースを加え、混合する。PEG300、メントール、ソルビトール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0102】
実施例8
(ベタメダゾンの舌下噴霧)
mg/ml
ベタメタゾン 0.4
グルタミン酸キトサン 10
メントール 0.1
レボメントール 1.5
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ベタメタゾンを少量の水に溶解する。グルタミン酸キトサンを加え、混合する。0.2μm膜フィルタを通して篩過する。メントール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0103】
実施例9
(ヒドロコルチゾンの舌下噴霧)
mg/ml
酢酸ヒドロコルチゾン 10
カルボキシメチルセルロース 0.8(0.08%)
2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン 40
PEG300 5
メントール 0.3
ソルビトール 12
レボメントール 2.0
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ヒドロコルチゾンを少量の水に溶解する。2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと混合し、1時間放置する。カルボキシメチルセルロースを加え、混合する。PEG300、メントール、ソルビトール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0104】
実施例10
(ヒドロコルチゾンの舌下噴霧)
mg/ml
酢酸ヒドロコルチゾン 10
グルタミン酸キトサン 10
2−OH−プロピル−β−シクロデキストリン 40
メントール 0.1
レボメントール 1.5
NaH2PO4・2H2O 2
水 適量
ヒドロコルチゾンを少量の水に溶解する。2−OH−プロピル−β−シクロデキストリンと混合し、1時間放置する。グルタミン酸キトサンを加え、混合する。0.2μm膜フィルタを通して篩過する。メントール、レボメントールおよびNaH2PO4・2H2Oを加える。水を加えて最終容量となるようにする。
【0105】
実施例11
(ヒドロコルチゾンの薄膜層フィルム)
組成物A:
重量%
ヒドロコルチゾン 3%
アルギン酸ナトリウムPH157 2%
水 95%
【0106】
組成物B:
酢酸ヒドロコルチゾン 3.4%
アルギン酸ナトリウムPH157 2%
水 94.6%
組成物C:
ヒドロコルチゾン 3%
メトローズ60SH−50 2%
水 95%
【0107】
フィルムは以下に述べるように作製した。
1.ポリマー、グルココルチコイドおよびH2Oを計量した。
2.攪拌中にグルココルチコイドを水に加えた。
3.懸濁液が得られるまでこの配合物を攪拌し続けた。
4.この懸濁液にポリマーを加えた。
5.均一なゲルが得られるまでこの配合物を攪拌し続けた(最低2時間)。
6.ゲル0.5gを空ブリスターに計量し、加熱乾燥器に配置した(乾燥:25℃で22時間)。
【0108】
表4はヒドロコルチゾン10mgのパーセントとして1,3,5,10および15分後のインビトロ溶出を示す(回転バスケット 100rpm、リン酸緩衝液 pH=7.0、溶剤500mlあたり1ユニット)。アルギン酸ナトリウム(Na−alg)、ヒプロメロース(HPMC)のポリマーにヒドロコルチゾン10mgを有するユニットであり、約7mg/ユニットである。2ユニットをNa−algおよびHPMCにより試験した。平均値を一覧表にした。次の表に示す結果は粘度に関する順位を示し、即ち、HPMCが最も低い粘度を有し、Na−algが最も高い粘度を有する。
【0109】
【表4】
ヒトにおけるインビボの血漿プロファイル、1組成物あたりN=1。
デキサメタゾン抑制試験、絶食状態、他は「方法」と示す段落に記載の通り。
【0110】
これらの結果により、酢酸ヒドロコルチゾンの使用は速放組成物には適さないように思われることが示される。このことは次の実施例において更に検討した。
【0111】
実施例12
(非粘膜粘着性速放用フィルム)
実施例13−組成物Aにほぼ類似した2種類のフィルムを調製した。フィルムAはヒドロコルチゾン10mgを含有し、フィルムBは酢酸ヒドロコルチゾン11.2mgを含有する。口腔投与後のインビボ試験の結果を図4および5に示す。これらの結果により、フィルムが生体粘着性でない場合であっても、フィルムAの単回投与後の全身循環系への吸収の速やかな開始が得られることが示される。対照的に、酢酸ヒドロコルチゾンを含有するフィルムに関して得られる結果では、全身循環系へのグルココルチコイドの吸収の速やかな開始が必要とされる場合、この化合物は妥当ではないように思われることが示される。
【0112】
実施例13
(速放用薄膜層フィルム)
次の組成物AおよびBからグルココルチコイドフィルムのバッチを調製した:
迅速放出組成物A:成分 重量%
PEG400 2.0
ヒドロコルチゾン 3.0
メトセルE5 4.0
キシリトール 1.0
水 90
【0113】
緩徐放出組成物B:成分 重量%
PEG400 1.3
ヒドロコルチゾン 3.0
メトセルE5 5.7
水 90
磁気攪拌器を備えた50ml丸底ガラス製フラスコ中の蒸留水(18ml)にメトセルE5を加えた。メトセルが完全に溶解した後、攪拌継続下でPEG400を加え、続いてキシリトール(組成物Aのみ)およびヒドロコルチゾンを加えた。攪拌は4時間続けた。
【0114】
直径16mmの平底PVCブリスター(スウェーデン、Lund、Inpack社)中に溶液AまたはB 330μlをピペット(フィンピペット;自動式)により加え、各ブリスター容器へと加えた。この溶液を一晩室温にて乾燥させた。翌日、用量分析のためにフィルム10枚を取り外した。各フィルムを水/エタノール(95%)9:1(w/w)100ml中に溶解した。この溶液を242nmでのUV分光法により分析した。組成物A、Bに1ブリスターあたりそれぞれヒドロコルチゾン10.19mg、9.83mgの平均含量が見出された(それぞれSD 0.29、0.14)。
【0115】
口唇投与後にヒト被験者2人においてヒドロコルチゾン組成物を試験した。被験者は合成グルココルチコイドにより内生グルココルチコイド分泌が抑制された。口唇投与後360分間、コルチゾールの血漿濃度をモニタリングした。これらの被験者2人由来の血清濃度時間プロファイルを図6および7に示す。
【0116】
ヒドロコルチゾンの粘膜吸収の速度および程度が高く、また、最初に測定した血漿濃度が既に10〜15分にて得られたため、血清中のコルチゾールの発現が迅速であることが明確に認められる。
【0117】
これらの薬物動態データにより、この薬剤送達経路では投与および吸収部位にて溶出可能な液体の量は少ないが、経口粘膜投与用の本発明の製剤により活性薬物の粘膜吸収の速度および程度が亢進することが示される。
【0118】
実施例14
(速放グルココルチコイド錠)
乾式混合した粉末状成分を次の組成物Cに直接打錠することにより、グルココルチコイド錠を製造した:
迅速放出組成物C:成分 1バッチあたり
PEG6000 8.7g
ヒドロコルチゾン 2.5g
Xylitab300 8.7g
ステアリン酸マグネシウム 0.16g
(バッチサイズ100の錠剤)
【0119】
粉末状成分を篩過し(メッシュサイズ0.7mm)、5分間小型ブリキ缶にて手で振とうすることにより乾式混合した。この混合物の均一性は錠剤の分析に用いた方法と同じ方法により分析した。錠剤成形は直径7mmの平坦な円形パンチを用いてDIAF製錠機により行った(分割スコアを記録)。錠剤10個中のヒドロコルチゾン用量をフィルムで用いたのと同じ方法で評価した。組成物Cに対し、1錠あたりヒドロコルチゾン9.53mgの平均含量が見出された(SD 0.15)。
【0120】
錠剤の厚さ(10錠):1.72〜1.76mm(C);
脆砕性(20錠):0.6%(C);
錠剤の硬度(10錠):23.7N(C)。
ヒト被験者2人への口腔投与後、組成物の試験を行った(図8)。
【0121】
実施例14の固体剤形から全身循環系への活性物質の吸収速度は、実施例13の組成物より多少緩やかであり、これは口唇用医薬製剤の組成および機能に変化をもたらすことにより、ヒドロコルチゾンの全身循環系への吸収速度を調整することが可能であるということである。
【0122】
実施例15
(インビトロ溶出プロファイル)
実施例13および14による製剤からのヒドロコルチゾンのインビトロ溶出プロファイルを、標準化制御インビトロ環境にて経時的に追跡した。自動試料採取装置およびソフトウェアに結合した、米国薬局方溶出試験第2法(パドル法)に準拠した溶出試験器を用いて、中性pH環境における製剤の放出プロファイルを得ようとした。溶出プロファイルは総水量300ml中、37℃でパドル50rpmにて得られた。実施例の医薬組成物を溶出溶媒に挿入してから0,1,3,5,7,10および15分後、試料採取を行った。
【0123】
各製剤からの溶出プロファイルを投与後最大360分、2つの試験にてモニタリングし、対応する溶出時間プロファイルをそれぞれ図9、10に示す。放出速度は経時的な用量パーセントとして示す。
【0124】
実施例14の固体剤形からの放出速度は多少緩徐であった(図10)。これは口鼻咽頭部用の医薬製剤の組成および機能に変化をもたらすことにより、ヒドロコルチゾンの放出速度を調整することが可能であるということである。
本発明の具体的な態様
項目
1.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約60%が、USP(米国薬局方)溶出試験第2法(パドル法)に準拠した回転数50rpmの溶出試験器および好適な溶出溶媒を用いたUSPに準拠したインビトロ溶出試験の開始後最初の10分以内に医薬組成物から放出され、実質的な即時放出用の1種以上のグルココルチコイドおよび医薬上許容な賦形剤を含み口腔内の粘膜を通して全身循環系への投与のための固体または半固体形態にある医薬組成物。
2.患者のグルココルチコイド血清濃度の少なくとも20%のCmaxが、患者の粘膜を通
してこの組成物の投与後20分以内に達する項目1に記載の医薬組成物。
3.少なくとも40%のCmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後30分以内に
達する項目1に記載の医薬組成物。
4.少なくとも75%のCmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後45分以内に
達する項目1〜3のいずれか一つに記載の医薬組成物。
5.Tmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後60分以内に達する項目1〜4の
いずれか一つに記載の医薬組成物。
6.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約60%が、項目1で定義されている溶
出試験の最初の5分以内に組成物から放出される項目1〜5のいずれか一つに記載の医薬組成物。
7.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約70%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の15分以内、例えば最初の10分または5分以内に組成物から放出される項目1〜6のいずれか一つに記載の医薬組成物。
8.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約80%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の15分以内に組成物から放出される項目1〜7のいずれか一つに記載の医薬組成物。
9.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約80%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の10分以内に組成物から放出される項目1〜8のいずれか一つに記載の医薬組成物。
10.1種以上のグルココルチコイドの少なくとも約90%が、項目1で定義されている溶出試験の最初の15分または10分以内に組成物から放出される項目1〜9のいずれか一つに記載の医薬組成物。
11.口腔投与のために設計されている項目1〜10のいずれか一つに記載の医薬組成物。
12.固形剤形の形態にある項目1〜11のいずれか一つに記載の医薬組成物。
13.固体剤形が顆粒、ビーズ、ペレットおよび粉末からなる群から選択される項目12に記載の医薬組成物。
14.単位剤形の形態にある項目1〜13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
15.単位剤形が咀嚼錠、吸引錠、発泡錠、舌下錠、速発錠、速放錠、速溶解錠などを含む錠剤から選択される項目14に記載の医薬組成物。
16.スプレイ、カシェ剤、フィルム、ゲル、ヒドロゲル、パッチ、歯肉パッチ、生体粘着性パッチ、サシェットなどの形態にある項目11に記載の医薬組成物。
17.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が約1〜約200mgである項目1〜16のいずれか一つに記載の医薬組成物。
18.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が約1〜約175mg、例えば約1〜約150mg、約1〜約100mg、約1〜約75mg、約1〜約70mg、約1〜約60mg、約5〜約50mg、約5〜約40mgまたは約10〜約30mgである項目17に記載の医薬組成物。
19.1種以上のグルココルチコイドがヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンまたはこれらの医薬上許容なエステル、塩および複合物を含むこれらの混合物からなる群から選択される項目1〜18のいずれか一つに記載の医薬組成物。
20.医薬上許容な塩がリン酸塩、琥珀酸塩、リシン酸塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である項目19に記載の医薬組成物。21.1種以上のグルココルチコイドが、約1〜200mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むコルチゾンまたはヒドロコルチゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
22.1種以上のグルココルチコイドが、約1〜約20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むベタメタゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
23.1種以上のグルココルチコイドが、約1〜約10mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾロンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
24.1種以上のグルココルチコイドが、約0.1〜約2mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むデキサメタメタゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
25.1種以上のグルココルチコイドが、約0.05〜約5mgに相当する量で、その医
薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むフルドロコルチゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
26.1種以上のグルココルチコイドが、約10〜約50mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾンである単位剤形にある項目19に記載の医薬組成物。
27.1種以上のグルココルチコイドが、約2〜約20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むメチルプレドニゾロンである単位剤形にある項目20に記載の医薬組成物。
28.フィルム、パッチ、カシェ剤、ゲル、サシェット、歯肉パッチまたはトローチ錠などの形態にある項目1〜27のいずれか一つに記載の医薬組成物。
29.組成物が、その誘導体を含むアクリルポリマー、セルロース誘導体、改質デンプン、ポリエチレンオキシド、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガムまたはポリ-コ-(メチルビニルエーテル−
無水マレイン酸)からなる群より単独で、あるいはこれらを組み合わせて選択される医薬
上許容な賦形剤を含有する項目28に記載の医薬組成物。
30.セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、変性セルロースガムまたはクロスカルメロースからなる群より選択される項目29に記載の医薬組成物。
31.1種以上の生体/粘膜粘着促進剤をさらに含む項目1〜30のいずれか一つに記載の医薬組成物。
32.1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、約0.1〜約25重量%の濃度で存在する項目31に記載の医薬組成物。
33.1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、合成ポリマー、天然ポリマーおよびそれらの誘導体ならびにそれらの混合物を含むポリマーである項目31または32に記載の医薬組成物。
34.ポリマーがカルボマー、ポリエチレンオキシド、ポリ-コ-(メチルビニルエーテル
/無水マレイン酸)およびこれらの混合物から選択される項目33に記載の医薬組成物。
35.ポリマーが多糖類である項目33に記載の医薬組成物。
36.多糖類がゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガム、微結晶セルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、中等度に架橋したデンプンおよびキトサンからなる群から選択される項目35に記載の医薬組成物。
37.溶出促進剤をさらに含む項目1〜36のいずれか一つに記載の医薬組成物。
38.溶出促進剤が約0.05〜約5重量%の濃度で存在する項目37に記載の医薬組成物。
39.溶出促進剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸、胆汁塩、コール酸塩またはコラン酸塩、ミリスチル酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよびソルビタンエステルからなる群から選択される項目37または38に記載の医薬組成物。
40.1種以上のグルココルチコイドがミクロ粒子またはナノ粒子として存在する項目1〜39のいずれか一つに記載の医薬組成物。
41.平均粒子サイズが10μm以下である項目40に記載の医薬組成物。
42.ミクロ-またはナノ粒子がカプセル封入されている項目40または41に記載の医
薬組成物。
43.ミクロ-またはナノ粒子が、レシチンまたはレシチンベースの化合物を含む被覆を
有するカプセル封入されている項目42に記載の医薬組成物。
44.崩壊剤をさらに含む項目1〜43のいずれか一つに記載の医薬組成物。
45.崩壊剤が、架橋結合したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微結晶セルロースおよびセルロースガムからなる群から選択される項目44に記載の医薬組成物。
46.崩壊剤が、約0.5〜約10重量%濃度で存在する項目44または45に記載の医薬組成物。
47.風味マスキング剤をさらに含む項目1〜46のいずれか一つに記載の医薬組成物。48.風味マスキング剤が、メントール、ペパーミント、バニリン、テルペンベース化合物または人工甘味剤からなる群から選択される項目47に記載の医薬組成物。
49.1種以上のグルココルチコイドが、α-、β-、γ-シクロデキストリン、好ましく
はβ-シクロデキストリンを用いる包接化合物中への取り込みにより風味マスキングされ
ている項目1〜48のいずれか一つに記載の医薬組成物。
50.口腔内投与用の項目1〜49のいずれか一つに記載の医薬組成物。
51.ゲル、ガム、カシェ剤、薄膜フィルム、パッチ、歯肉パッチ、錠剤、サシェット、トローチ剤、速溶解錠、クリームまたは軟膏の形態にある項目50に記載の組成物。
52.項目1〜51のいずれか一つに記載の医薬組成物を収容する1種以上の容器およびその使用説明書を含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するためのキット。
53.1種以上の容器がブリスターまたはブリスターパックの形態にある項目52に記載のキット。
54.方法が、投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに達するグルココルチコイ
ド血清濃度の急激な上昇を得るための、項目1〜51のいずれか一つで定義したとおりの医薬組成物の有効量を患者の口腔内の粘膜を通して投与か、または項目52もしくは53で定義したとおりのキットを含む、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害に罹患した患者を治療するための方法。
55.少なくとも40%のCmaxが投与後30分以内に達する項目54に記載の方法。
56.少なくとも75%のCmaxが投与後45分以内に達する項目54または55に記載
の方法。
57.Tmaxが患者の粘膜を通して組成物の投与後60分以内に達する項目54〜56の
いずれか一つに記載の方法。
58.グルココルチコイド救急治療を必要とする障害が急性副腎発症である項目54〜57のいずれか一つに記載の方法。
59.急性副腎発症が、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血)、または例えば気道閉塞を伴う小児における扁桃炎/扁桃周囲炎に関する項目58に記載の方法。
60.グルココルチコイド救急治療を必要とする障害が、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害に関する項目54〜58のいずれか一つに記載の方法。
61.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの有効量が、約1〜約200mgである項目54〜60のいずれか一つに記載の方法。
62.ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの有効量が、約1〜約175mg、例えば約1〜約150mg、約1〜約125mg、約1〜約100mg、約1〜約75mg、約1〜約70mg、約1〜約60mg、約5〜約50mg、約5〜約40mg、または約10〜約30mgである項目61に記載の方法。
63.1種以上のグルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロ
ン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンまたはこれらの医薬上許容なエステル、塩およびこれらの複合物を含むこれらの混合物からなる群より選択される項目54〜62のいずれか一つに記載の方法。
64.医薬上許容な塩がリン酸塩、琥珀酸塩、リシン酸塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である項目63に記載の方法。
65.1種以上のグルココルチコイドの有効量が、患者自身によるか、または医療訓練を受けていない者による投与用に好適な医薬組成物中に包含されている項目54〜64のいずれか一つに記載の方法。
66.組成物が、例え患者が無意識でも患者に投与できる形態にある項目65に記載の方法。
67.組成物が、例え患者が組成物を飲み込むことができなくても患者に投与できる形態にあり、かつ効果を有する項目65または66に記載の方法。
68.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約1〜約100mgの範囲であるコルチゾンまたはヒドロコルチゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
69.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約1〜約20mgの範囲であるベタメタゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
70.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約1〜約10mgの範囲であるプレドニゾロンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
71.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約0.1〜約2mgの範囲であるデキサメタゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
72.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約0.05〜約5mgの範囲であるフルドロコルチゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
73.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約10〜約50mgの範囲であるプレドニゾンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
74.1種以上のグルココルチコイドが、その医薬上許容なエステル、塩および複合体を含み、かつ有効量が約2〜約20mgの範囲であるメチルプレドニゾロンである項目54〜67のいずれか一つに記載の方法。
75.口腔の経粘膜投与後20分以内に少なくとも20%のCmaxに至るグルココルチコ
イド血清濃度の急激な上昇を付与することにより、グルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のための項目1〜51のいずれか一つに定義したとおりの医薬組成物の使用。
76.少なくとも40%のCmaxが、投与後30分以内に達する項目75に記載の使用。
77.少なくとも75%のCmaxが、投与後45分以内に達する項目75または76に記
載の使用。
78.Tmaxが、患者の粘膜を通してこの組成物の投与後60分以内に達する項目75〜
77のいずれか一つに記載の使用。
79.医薬組成物が、患者自身によるか、または医療訓練を受けていない者による投与用に好適である項目75〜78のいずれか一つに記載の使用。
80.医薬組成物が、例え患者が無意識でも患者に投与できる形態にある項目75〜79のいずれか一つに記載の使用。
81.医薬組成物が、例え患者が組成物を飲み込むことができなくても患者に投与できる形態にあり、かつ効果を有する項目79または80に記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0125】
グルココルチコイド救急治療を必要とする障害(例えば、急性副腎発症)を十分に治療する医薬組成物を提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物であって、該組成物が、口腔粘膜投与によるグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のためであり、全身循環系内への吸収のためであり、前記障害が、急性副腎発症、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血を含む)、扁桃炎/扁桃周囲炎、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害からなる群から選択されることを特徴とする、1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物。
【請求項2】
ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が1〜200mgである請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、合成ポリマー、天然ポリマーおよびそれらの誘導体ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである請求項1または2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
ポリマーが、カルボマー、ポリエチレンオキシド、ポリ-コ-(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)およびこれらの混合物から選択される請求項3に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
ポリマーが多糖類である請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
多糖類がゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガム、微結晶セルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、中等度に架橋したデンプンおよびキトサンからなる群から選択される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
投与が、口腔投与、舌下投与、口蓋投与および歯肉投与の1以上である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項8】
液体、半固体または固体形態にある請求項1〜7のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
固形剤形の形態にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
固体剤形が顆粒、ビーズ、ペレットおよび粉末からなる群から選択される請求項9に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
単位剤形の形態にある請求項1〜10のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項12】
単位剤形が、咀嚼錠、吸引錠、発泡錠、舌下錠、速発錠、速放錠、速溶解錠などを含む錠剤の形態である請求項11に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
スプレイ、カシェ剤、フィルム、ゲル、ヒドロゲル、パッチ、歯肉パッチ、生体粘着性パッチまたはサシェットの形態にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が、1〜150mg、1〜100mg、1〜75mg、1〜70mg、1〜60mg、5〜50mg、5〜40mgまたは10〜30mgのような1〜175mgである請求項1〜13のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
1種以上のグルココルチコイドがヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンまたはこれらの医薬上許容なエステル、塩および複合物を含むこれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜14のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項16】
医薬上許容な塩が、リン酸塩、琥珀酸塩、リジン塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸塩、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項17】
1種以上のグルココルチコイドが、1〜20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むベタメタゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項18】
1種以上のグルココルチコイドが、1〜10mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾロンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項19】
1種以上のグルココルチコイドが、0.1〜6mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むデキサメタメタゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項20】
1種以上のグルココルチコイドが、0.05〜5mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むフルドロコルチゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項21】
1種以上のグルココルチコイドが、10〜50mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項22】
1種以上のグルココルチコイドが、2〜20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むメチルプレドニゾロンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項23】
フィルム、パッチ、カシェ剤、ゲル、サシェット、歯肉パッチまたはトローチ錠の形態にある請求項1〜22のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項24】
組成物が、その誘導体を含むアクリルポリマー、セルロース誘導体、変性デンプン、ポリエチレンオキシド、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガムまたはポリ-コ-(メチルビニルエーテル−無水マレイン酸)からなる群より単独で、あるいはこれらを組み合わせて選択される医薬上許容な賦形剤を含有する請求項23に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項25】
セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、変性セルロースガムまたはクロスカルメロースからなる群より選択される請求項24に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項26】
1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、0.1〜25重量%の濃度で存在する請求項1〜25のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項27】
溶出促進剤をさらに含む請求項1〜26のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項28】
溶出促進剤が0.05〜5重量%の濃度で存在する請求項27に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項29】
溶出促進剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸、胆汁塩、コール酸塩またはコラン酸塩、ミリスチル酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよびソルビタンエステルからなる群から選択される請求項27または28に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項30】
崩壊剤をさらに含む請求項1〜29のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項31】
崩壊剤が、架橋結合したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微結晶セルロースおよびセルロースガムからなる群から選択される請求項30に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項32】
崩壊剤が、0.5〜10重量%濃度で存在する請求項30または31に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項33】
1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物であって、該組成物が、口腔粘膜投与によるグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のためであり、全身循環系内への吸収のためであり、前記障害が、急性副腎発症、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血を含む)、扁桃炎/扁桃周囲炎、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害からなる群から選択されることを特徴とする、1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む組成物の医薬製造のための使用。
【請求項1】
1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物であって、該組成物が、口腔粘膜投与によるグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のためであり、全身循環系内への吸収のためであり、前記障害が、急性副腎発症、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血を含む)、扁桃炎/扁桃周囲炎、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害からなる群から選択されることを特徴とする、1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物。
【請求項2】
ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が1〜200mgである請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、合成ポリマー、天然ポリマーおよびそれらの誘導体ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである請求項1または2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
ポリマーが、カルボマー、ポリエチレンオキシド、ポリ-コ-(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)およびこれらの混合物から選択される請求項3に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
ポリマーが多糖類である請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
多糖類がゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガム、微結晶セルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、中等度に架橋したデンプンおよびキトサンからなる群から選択される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
投与が、口腔投与、舌下投与、口蓋投与および歯肉投与の1以上である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項8】
液体、半固体または固体形態にある請求項1〜7のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
固形剤形の形態にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
固体剤形が顆粒、ビーズ、ペレットおよび粉末からなる群から選択される請求項9に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
単位剤形の形態にある請求項1〜10のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項12】
単位剤形が、咀嚼錠、吸引錠、発泡錠、舌下錠、速発錠、速放錠、速溶解錠などを含む錠剤の形態である請求項11に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
スプレイ、カシェ剤、フィルム、ゲル、ヒドロゲル、パッチ、歯肉パッチ、生体粘着性パッチまたはサシェットの形態にある請求項1〜8のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
ヒドロコルチゾンとして表される1種以上のグルココルチコイドの総量が、1〜150mg、1〜100mg、1〜75mg、1〜70mg、1〜60mg、5〜50mg、5〜40mgまたは10〜30mgのような1〜175mgである請求項1〜13のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
1種以上のグルココルチコイドがヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびフルドロコルチゾンまたはこれらの医薬上許容なエステル、塩および複合物を含むこれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜14のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項16】
医薬上許容な塩が、リン酸塩、琥珀酸塩、リジン塩、酢酸塩、シピオン酸塩、吉草酸塩、ヘミ琥珀酸塩、酪酸塩およびトロメタモール塩である請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項17】
1種以上のグルココルチコイドが、1〜20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むベタメタゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項18】
1種以上のグルココルチコイドが、1〜10mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾロンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項19】
1種以上のグルココルチコイドが、0.1〜6mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むデキサメタメタゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項20】
1種以上のグルココルチコイドが、0.05〜5mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むフルドロコルチゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項21】
1種以上のグルココルチコイドが、10〜50mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むプレドニゾンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項22】
1種以上のグルココルチコイドが、2〜20mgに相当する量で、その医薬上許容なエステル、塩、および複合物を含むメチルプレドニゾロンである単位剤形にある請求項15に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項23】
フィルム、パッチ、カシェ剤、ゲル、サシェット、歯肉パッチまたはトローチ錠の形態にある請求項1〜22のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項24】
組成物が、その誘導体を含むアクリルポリマー、セルロース誘導体、変性デンプン、ポリエチレンオキシド、キトサン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、スクレログルカン、キサンタンガム、グアールガムまたはポリ-コ-(メチルビニルエーテル−無水マレイン酸)からなる群より単独で、あるいはこれらを組み合わせて選択される医薬上許容な賦形剤を含有する請求項23に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項25】
セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、変性セルロースガムまたはクロスカルメロースからなる群より選択される請求項24に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項26】
1種以上の生体/粘膜粘着促進剤が、0.1〜25重量%の濃度で存在する請求項1〜25のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項27】
溶出促進剤をさらに含む請求項1〜26のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項28】
溶出促進剤が0.05〜5重量%の濃度で存在する請求項27に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項29】
溶出促進剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸、胆汁塩、コール酸塩またはコラン酸塩、ミリスチル酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、オレイン酸、オレイルアルコール、モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよびソルビタンエステルからなる群から選択される請求項27または28に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項30】
崩壊剤をさらに含む請求項1〜29のいずれか一つに記載の使用のための医薬組成物。
【請求項31】
崩壊剤が、架橋結合したポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微結晶セルロースおよびセルロースガムからなる群から選択される請求項30に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項32】
崩壊剤が、0.5〜10重量%濃度で存在する請求項30または31に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項33】
1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む医薬組成物であって、該組成物が、口腔粘膜投与によるグルココルチコイド救急治療を必要とする障害の治療のためであり、全身循環系内への吸収のためであり、前記障害が、急性副腎発症、一次性、二次性若しくは三次性副腎機能不全、アナフィラキシー反応、アジソン病、喘息発作重積状態、輸血反応、脳浮腫、重篤なアレルギー反応、急性喘息、急性アナフィラキシー、敗血症性ショック、急性細菌性髄膜炎、小児の細気管支炎を伴う急性RSV(呼吸器系合胞体ウィルス)感染症、小児の急性上気道狭窄、合併症を伴う単核球症(気道閉塞、血小板減少または溶血性貧血を含む)、扁桃炎/扁桃周囲炎、炎症性障害、自己免疫障害またはグルココルチコイドが第一選択救急治療もしくは短期集中治療の一部を成す医学的障害からなる群から選択されることを特徴とする、1種以上のグルココルチコイドおよび1種以上の生体/粘膜粘着促進剤を含む組成物の医薬製造のための使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−10804(P2013−10804A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231012(P2012−231012)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2007−508862(P2007−508862)の分割
【原出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(508078640)アキュコート エービー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2007−508862(P2007−508862)の分割
【原出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(508078640)アキュコート エービー (1)
【Fターム(参考)】
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