説明

グルコピラノシルオキシピラゾール化合物の製造方法

【課題】糖尿病、糖尿病合併症、肥満等の高血糖症に起因する疾患の予防または治療薬として有用な化合物の製造方法、その製造中間体およびその工業的に有利な製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(C)で表される医薬品として有用な化合物の製造中間体(式中のR1はC1-6アルキル基等、R2はC1-6アルキル基等、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基等であり、PGは保護基である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の製造中間体として有用なグルコピラノシルオキシピラゾール化合物およびその製造方法等に関するものであり、さらに詳しく述べれば、一般式(H):
【化1】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、Tは水素原子または保護基である)で表される化合物およびその製造方法、ならびにその化合物を用いた、医薬品として有用な、一般式(I):
【0002】
【化2】

(式中のWは水素原子またはC1-6アルキル−O−C(=O)-であり、R1〜R4は前記と同じ意味をもつ)で表される化合物(以下、化合物(I)と称する)の製造方法等に関するものである。
【背景技術】
【0003】
前記化合物(I)は、例えば、糖尿病、糖尿病性合併症、肥満等の高血糖症に起因する疾患等の予防または治療薬として有用であることが報告されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
これまで、前記化合物(I)を製造する方法としては、一般式(J):
【化3】

(式中のRA1はC1-6アルキル基等であり、QBはC1-6アルキル基等であり、RAは置換基を有していてもよいC6-10アリール基等である)で表されるベンジルピラゾール化合物と、アセトブロモ-α-D−グルコース等の糖供与体との配糖化反応を、具体的には相関移動触媒を用いて実施する方法が報告されている(特許文献4参照)。
【0005】
また、一般式(K):
【化4】

(式中のR1BはC1-4アルキル基等であり、R2BはC1-4アルキル基等であり、R3BはC1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基等であり、R4BおよびR5Bは水素原子、フッ素原子等である)で表されるベンジルピラゾール化合物と、アセトブロモ-α-D−グルコース等の糖供与体を用いて、配糖化反応を実施する方法が報告されている(特許文献5参照)。
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/053573号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/16147号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/068439号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/031203号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2007/010015号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、糖尿病、糖尿病合併症、肥満等の高血糖症に起因する疾患の予防または治療薬として有用な化合物(I)の工業的に優れた製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、化合物(I)の製造中間体およびその製造方法、ならびにその製造中間体を用いた医薬品の製造方法等を見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) 一般式(C):
【化5】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物(以下、化合物(C)と称する);
(2) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(1)記載の化合物;
(3) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(2)記載の化合物;
【0010】
(4)一般式(A):
【化6】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物(以下、化合物(A)と称する)またはその塩と、一般式(B):
【化7】

(式中のX1は臭素原子または塩素原子であり、PGは保護基である)で表される化合物(以下、化合物(B)と称する)とを反応させることを特徴とする、一般式(C):
【化8】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物の製造方法;
(5) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(4)記載の製造方法;
(6) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(5)記載の製造方法;
【0011】
(7) 化合物(C)を、還元反応に付すことを特徴とする、一般式(D):
【化9】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロア
ルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物(以下、化合物(D)と称する)の製造方法;
(8) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(7)記載の製造方法;
(9) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(8)記載の製造方法;
【0012】
(10) 化合物(C)を、脱保護反応に付すことを特徴とする、一般式(E):
【化10】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物(以下、化合物(E)と称する)の製造方法;
(11) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(10)記載の製造方法;
(12) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(11)記載の製造方法;
【0013】
(13) 化合物(C)を、還元反応および脱保護反応を組み合わせて行うことを特徴とする、一般式(F):
【化11】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン
原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物(以下、化合物(F)と称する)の製造方法;
(14) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(13)記載の製造方法;
(15) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(14)記載の製造方法;
【0014】
(16) 前記(7)記載の方法で製造された化合物(D)を、脱保護反応に付すことを特徴とする、化合物(F)の製造方法;
(17) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(16)記載の製造方法;
(18) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(17)記載の製造方法;
【0015】
(19) 前記(10)記載の方法で製造された化合物(E)を、還元反応に付すことを特徴とする、化合物(F)の製造方法;
(20) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(19)記載の製造方法;
(21) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(20)記載の製造方法;
【0016】
(22) 前記(13)、(16)および(19)のいずれかに記載の方法で製造された化合物(F)と一般式(S):
【化12】

(式中のR5はC1-6アルキル基であり、Xは塩素原子または臭素原子である)で表される化合物(以下、化合物(S)と称する)をエステル化反応に付すことを特徴とする、一般式(G):
【化13】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、R5は前記と同じ意味をもつ)で表される化合物(以下、化合物(G)と称する)の製造方法;
(23) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(22)記載の製造方法;
(24) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(23)記載の製造方法;
【0017】
(25) 前記(10)記載の方法で製造された化合物(E)を、エステル化反応および還元反応を組み合わせて行うことを特徴とする、化合物(G)の製造方法;
(26) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(25)記載の製造方法;
(27) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(26)記載の製造方法;
【0018】
(28) 一般式(A−1):
【化14】

(式中のR1aはC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2aはC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3aはハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、R4aは水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物(以下、化合物(A−1)と称する)またはその塩;
(29) R1aがC1-4アルキル基であり、R2aがC1-4アルキル基であり、R3aがC1-6アルコキシ基であり、R4aが水素原子またはハロゲン原子である(28)記載の化合物またはその塩;
(30) R1aがイソプロピル基であり、R2aがメチル基であり、R3aがイソプロポキシ基であり、R4aが水素原子である(29)記載の化合物またはその塩;
【0019】
(31) 一般式(E):
【化15】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン
原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物;
(32) R1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、前記(31)記載の化合物;
(33) R1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、前記(32)記載の化合物;
【0020】
(34) PGがアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基またはベンジル基である、前記(4)〜(27)のいずれかに記載の製造方法;
(35) R5がエチル基である、前記(22)〜(27)のいずれかに記載の製造方法;
(36) PGがアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基またはベンジル基である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物;等を提供するものである。
【0021】
本明細書において以下の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子をいう。
【0022】
1-6アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルキル基をいう。
1-4アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基の炭素数1〜4の直鎖状または枝分かれ状のアルキル基をいう。
【0023】
ハロC1-6アルキル基とは、1つ若しくは2つ以上の異種または同種の上記ハロゲン原子で置換された上記C1-6アルキル基をいい、1〜5つの異種または同種の上記ハロゲン原子で置換された上記C1-6アルキル基が好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2,1,1−ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基などが挙げられる。
【0024】
3-6シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基をいう。
【0025】
1-6アルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルコキシ基をいう。
1-4アルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基の炭素数1〜4の直鎖状または枝分かれ状のアルコキシ基をいう。
【0026】
ハロC1-6アルコキシ基とは、1つ若しくは2つ以上の異種または同種の上記ハロゲン原子で置換された上記C1-6アルコキシ基をいい、1〜5つの異種または同種の上記ハロゲン原子で置換された上記C1-6アルコキシ基が好ましく、例えば、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2,1,1−ペンタフルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0027】
3-6シクロアルキルオキシ基とは、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基またはシクロヘキシルオキシ基をいう。
【0028】
3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基とは、上記C3-6シクロアルキル基で置換された上記C1-6アルコキシ基をいう。
【0029】
1-6アルキルチオ基とは、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等の炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ状のアルキルチオ基をいう。
【0030】
保護基とは、有機合成の分野で利用できる水酸基の保護基を意味し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくは、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基またはベンジル基である。それぞれの保護基は同一でも異なっていてもよい。
【0031】
2-7アルコキシカルボニルオキシ基とは、上記C1-6アルキル基で置換されたカルボキシオキシ基を意味し、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0032】
1-6アシルオキシ基とは、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状または枝分かれ状のアシルオキシ基をいう。
【0033】
以下、本発明の具体的製造方法を例示する。
【化16】

式中のR1〜R4、PGおよびX1は前記と同じ意味をもつ。
【0034】
(工程1)
化合物(A)またはその塩と化合物(B)とを、溶媒中、塩基存在下、通常0℃〜還流温度で反応させることにより、化合物(C)を得ることができる。塩基としては、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシドまたは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウム等の無機塩基等が挙げられる。好ましくは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウム等の無機塩基であり、さらに好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸セシウムを挙げることができる。塩基は化合物(A)に対して、1〜1.6当量用いることができる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、2−プロパノール、2−ブタノールまたはtert−ブタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルまたはイソブチロニトリル等のニトリル系溶媒、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタン等の有機ハロゲン系溶媒、もしくはそれらの混合溶媒、またはそれらの溶媒と水との混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、第2級または第3級アルコール系溶媒、または第2級または第3級アルコール系溶媒とニトリル系溶媒との混合溶媒を用いることができ、さらに好ましくは、2−プロパノールまたはアセトニトリルと2−プロパノールの混合溶媒を用いることができる。溶媒量は、化合物(A)に対して5〜10倍量用いることができる。化合物(B)は、化合物(A)に対して1〜1.6当量用いることができる。反応時間は使用する原料物質、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常0.5〜16時間である。
【0035】
上記スキーム1において、配糖化反応に用いる化合物(B)は、市販品を用いるか、公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することができる。例えば、PGがベンジル基またはピバロイル基であり、X1が臭素原子である化合物は、Monatshefte fur Chemie,137巻,365−374頁(2006年)に記載の方法若しくはそれに準ずる方法により、PGがアセチル基またはベンジル基であり、X1が塩素原子である化合物は、Carbohydrate Research,328巻,431−434頁(2000年)に記載の方法若しくはそれに準ずる方法により、PGがイソブチリル基でありX1が臭素原子である化合物はHelvetica Chimica Acta,84巻,880−889頁(2001年)に記載の方法若しくはそれに準ずる方法によりそれぞれ製造することもできる。
【0036】
化合物(C)を用いて、下記スキーム2に示す方法により医薬品として有用な化合物(F)または化合物(G)を製造することができる。
【化17】

式中のR1〜R5、PGおよびX4は前記と同じ意味をもつ。
【0037】
(工程2)
化合物(C)を、カルボニル基の還元反応に付すことにより、化合物(D)を得ることができる。例えば、化合物(C)を、メタノールまたはエタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、またはそれらの混合溶媒中、酢酸等の酸の存在下または非存在下、パラジウム等の金属触媒を用いて、0.1〜0.5MPaの水素雰囲気下で、通常室温〜還流温度で還元することにより、化合物(D)を得ることができる。反応時間は使用する原料物質や溶媒、触媒、反応温度などにより異なるが、通常2〜24時間である。
尚、上記還元反応条件によりPGの脱保護反応まで進行し、化合物(F)が得られることもある。
【0038】
(工程3)
化合物(D)を、水酸基の保護基の脱保護反応に付すことにより、化合物(F)を得ることができる。例えば、保護基がアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等のアシル基の場合、化合物(D)を、ナトリウムメトキシド等の金属アルコキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウム等の無機塩基存在下、メタノールまたはエタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、水、またはそれらの混合溶媒中、0℃〜還流温度で脱保護することにより、化合物(F)を得ることができる。金属アルコキシドまたは無機塩基の量は、化合物(D)に対して0.2〜7当量用いるのが好ましい。反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常0.5〜12時間である。また、保護基がベンジル基の場合、化合物(D)を、メタノールまたはエタノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、またはそれらの混合溶媒中、酢酸等の酸の存在下または非存在下、パラジウム等の金属系の触媒の存在下、0.1〜0.5MPaの水素雰囲気下で、通常室温〜還流温度で接触還元することにより、化合物(F)を得ることもできる。反応時間は使用する原料物質や溶媒、触媒、反応温度などにより異なるが、通常0.5〜24時間である。
【0039】
(工程4)
化合物(F)と化合物(S)を、特許文献1記載の方法若しくはそれに準ずる方法に従い、エステル化反応に付すことにより、化合物(G)へ導くことができる。
【0040】
化合物(F)は、化合物(C)より下記スキーム3に示す方法により製造することもできる。
【化18】

式中のR1〜R4およびPGは前記と同じ意味をもつ。
【0041】
(工程5)
工程3の方法に準じて、化合物(C)を用いて、化合物(E)を得ることができる。
【0042】
(工程6)
工程2の方法に準じて、化合物(E)を用いて、化合物(F)を得ることができる。
【0043】
また、化合物(E)を工程4の方法に準じてエステル化反応を行った後、工程2の方法に準じて還元反応を行い、化合物(G)を得ることもできる。
【0044】
上記スキーム1で出発原料として用いられる化合物(A)は、下記スキーム4に示す方法により製造することができる。
【化19】

式中のX2は水酸基、ハロゲン原子またはC2-7アルコキシカルボニルオキシ基、C1-6アシルオキシ基等の脱離基であり、X3はハロゲン原子であり、R6はメチル基、イソプロピル基またはベンジル基であり、R1、R2、R3およびR4は前記と同じ意味をもつ。
【0045】
(工程7)
化合物(L)と化合物(M)を、公知の方法若しくはそれに準ずる方法に従い、エステル化反応に付すことにより、化合物(N)を得ることができる。例えば、化合物(M)のX2がハロゲン原子またはC2-7アルコキシカルボニルオキシ基、C1-6アシルオキシ基等の脱離基の場合、化合物(L)を、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基存在下、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタン等の有機ハロゲン系溶媒、水、またはそれらの混合溶媒中、化合物(M)と氷冷下〜還流温度で反応させることにより、化合物(N)を得ることができる。反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常2〜12時間である。
【0046】
(工程8)
特開昭55−157504号第7頁(4)記載の方法、若しくはそれに準じた方法により、化合物(N)を用いて、化合物(A)を得ることができる。例えば、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、トルエンまたはヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリルまたはプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、二硫化炭素またはそれらの混合溶媒中、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、塩化亜鉛、塩化チタン(IV)、塩化アルミニウム、塩化スズ(IV)または塩化ルテニウム等のルイス酸と、通常室温〜還流温度で反応させることにより、化合物(A)を得ることができる。ルイス酸としては塩化スズまたは三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体が好ましく、使用量は、化合物(N)に対して0.2〜2.5当量用いるのが好ましい。反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常2〜12時間である。
【0047】
(工程9)
化合物(O)を、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、トルエンまたはヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリルまたはプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、二硫化炭素またはそれらの混合溶媒中、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、塩化亜鉛、塩化チタン(IV)、塩化アルミニウム、塩化スズ(IV)または塩化ルテニウム等のルイス酸存在下、化合物(O)と等モル量の化合物(P)と通常室温〜還流温度で反応させることにより、化合物(A)を得ることもできる。ルイス酸としては塩化スズまたは三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体が好ましく、使用量は、化合物(O)に対して0.2〜2.5当量用いるのが好ましい。反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常2〜12時間である。
【0048】
化合物(A)は、塩基を用いて、常法により塩とすることができる。塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、セシウム塩、リチウム塩、カルシウム塩若しくはマグネシウム塩等の金属塩を挙げることができる。用いる塩基としては、例えば、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシドまたは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウム等の無機塩基が挙げられる。
【0049】
上記スキーム4で出発原料として用いられる化合物(L)は市販品を用いるか、特許文献4の工程Dに記載の方法により得られたピラゾール誘導体を必要に応じて脱保護することにより製造することもできる。また、下記スキーム5に示す方法により製造することもできる。
【化20】

式中のR1およびR2は前記と同じ意味をもつ。
【0050】
(工程10)
化合物(Q)と化合物(R)の水溶液を60〜100℃で反応させることにより、化合物(L)を得ることができる。反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常2〜48時間である。
【0051】
上記スキーム4で出発原料として用いられる化合物(O)は市販品を用いるか、公知の方法やそれに準拠した方法などを用いて化合物(L)をO−アルキル化することにより製造することもできる。
【0052】
化合物(A)には、下記スキーム6に示す互変異性体(A’)が存在することがある。エノール型(A)とケト型(A')との存在比は、反応条件等によって異なる。本発明における化合物(A)にはケト型化合物(A’)も含む。化合物(A−1)についても同様である。
【化21】

式中のR1、R2、R3およびR4は前記と同じ意味をもつ。
【発明の効果】
【0053】
本発明の製造方法により、医薬品の製造中間体である化合物(H)を高収率で得ることができる。さらに、化合物(H)を用いて、糖尿病、糖尿病合併症、肥満等の高血糖症に起因する疾患の予防または治療薬として有用な前記化合物(I)を高収率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の内容を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
参考例1
4−イソプロポキシベンゾイルクロリド
4−イソプロポキシ安息香酸(4.43g)をトルエン(20mL)に懸濁させた後、塩化チオニル(3.22g)およびN,N−ジメチルアセトアミド(0.1g)を室温で順次加えた。反応混合物を35℃1時間、次いで65〜70℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、4−イソプロポキシベンゾイルクロリドのトルエン溶液を得た。
【0056】
参考例2
3−(4−イソプロポキシベンゾイルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
1−イソプロピル−5−メチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン(3.00g)のtert−ブチルメチルエーテル(18mL)懸濁液に室温でピリジン(3.8g)を加えた。反応混合物に20〜35℃で、参考例1で得られた4−イソプロポキシベンゾイルクロリドのトルエン溶液を滴下した。同温で終夜撹拌した後,反応混合物に水(100mL)を加え、有機層を分取した。得られた有機層を5%塩酸(30mL)で洗浄した後、さらに水(10mL)で2回洗浄し、外温50〜60℃にて減圧下濃縮した。 残渣にトルエン(200mL)を加え、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(6.47g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.37 (6H, d, J=6.3Hz), 1.46 (6H, d, J=6.6Hz), 2.29 (3H, s), 4.30-4.45 (1H, m), 4.60-4.70 (1H, m), 5.98 (1H, s), 6.90-6.95 (2H, m), 8.10-8.15 (2H, m)
【0057】
参考例3
2−フルオロ−4−メトキシベンゾイルクロリド
2−フルオロ−4−メトキシ安息香酸(6.0g)を塩化メチレン(20mL)に懸濁し、室温にて塩化チオニル(7.13g)を加え、更にN,N−ジメチルアセトアミド(0.46g)を室温で加えた。反応混合物を還流下2時間撹拌した後、室温まで冷却し、2−フルオロ−4−メトキシベンゾイルクロリドの塩化メチレン懸濁液を得た。
【0058】
参考例4
3−(2−フルオロ−4−メトキシベンゾイルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
1−イソプロピル−5−メチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン(5.43g)のtert−ブチルメチルエーテル(50mL)懸濁液に室温でピリジン(9.5g)を加えた。反応混合物に室温で、参考例3で得られた2−フルオロ−4−メトキシベンゾイルクロリドの塩化メチレン懸濁液を滴下した。同温で2時間撹拌後、反応混合物に10%硫酸(60mL)を加え、有機層を分取した。得られた有機層を水(10mL)で2回洗浄し、外温50〜60℃にて減圧下溶媒を留去した。残渣にトルエン20mLを加え、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(10.0g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.46 (6H, d, J=6.7Hz), 2.29 (3H, s), 3.87 (3H, s), 4.30-4.40 (1H, m), 5.98 (1H, s), 6.67 (1H, dd, J=2.5, 12.5Hz), 6.70-6.80 (1H, m), 8.05-8.15 (1H, m)
【0059】
参考例5
3−フルオロ−4−メトキシベンゾイルクロリド
3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸(5.0g)をトルエン(10mL)および塩化メチレン(15mL)の混合溶媒に懸濁し、塩化チオニル(6.0g)を加え、更にN,N−ジメチルアセトアミド(0.9g)を加えた。反応混合物を還流下4時間撹拌後、室温まで冷却し、3−フルオロ−4−メトキシベンゾイルクロリドのトルエン−塩化メチレン懸濁液を得た。
【0060】
参考例6
3−(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
1−イソプロピル−5−メチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン(3.41g)のtert−ブチルメチルエーテル(35mL)懸濁液に室温でピリジン(6.4g)を加えた。反応混合物に室温で、参考例5で得られた3−フルオロ−4−メトキシベンゾイルクロリドのトルエン−塩化メチレン懸濁液を滴下した。同温で終夜撹拌した後、反応混合物に水(60mL)を加え、有機層を分取した。得られた有機層を2mol/L塩酸(20mL)および水(10mL)で洗浄し、外温50〜60℃にて減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にトルエン(20mL)を加え、減圧下溶媒を留去することにより、標記化合物(6.50g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.47 (6H, d, J=6.6Hz), 2.29 (3H, s), 3.97 (3H, s), 4.35-4.45 (1H, m), 5.98 (1H, s), 7.01 (1H, dd, J=8.4, 8.4Hz), 7.92 (1H, dd, J=2.2, 11.6Hz), 7.95-8.05 (1H, m)
【0061】
実施例1
3−ヒドロキシ−4−(4−イソプロポキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
3−(4−イソプロポキシベンゾイルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(30g)にトルエン(60mL)およびプロピオニトリル(30mL)を順次加え溶解した。この溶液に室温にて塩化スズ(IV)(31.0g)を加え、100℃で6時間撹拌した。反応混合物に70℃でアセトニトリル(90mL)を加えた後、トリエタノールアミン(88.8g)の水(120g)溶液を加え、30分撹拌後、酢酸エチル(60mL)を加え抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物をろ去した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に2−プロパノール(81mL)を加え懸濁させ、50℃で1時間、室温で1時間および氷冷下1時間撹拌した。析出した結晶をろ取することにより、標記化合物(20.7g、純度:98.0%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.38 (6H, d, J=5.8Hz), 1.46 (6H, d, J=6.7Hz), 2.15 (3H, s), 4.25-4.40(1H, m), 4.60-4.70 (1H, m), 6.90-6.95 (2H, m), 7.55-7.60 (2H, m), 9.70-9.80 (1H, br)
【0062】
実施例2
4−(2−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−3−ヒドロキシ−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
3−(2−フルオロ−4−メトキシベンゾイルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(9.50g)にトルエン(25mL)を加え室温にて溶解した。さらに同温で三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(9.2g)を加え、還流下3時間撹拌した。反応混合物に70℃で酢酸エチル(60mL)を加えた後、水(40g)を加え、有機層を分取した。得られた有機層を水で洗浄した後、有機層に5%炭酸水素カリウム水溶液(78g)を加え15分間撹拌した。反応混合物に酢酸(2.93g)を加え、有機層を分取した。得られた有機層を水(50g)で洗浄した後、外温70℃にて減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に2−プロパノールを加え、再び減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に2−プロパノール(10mL)を加え、還流下溶解した。還流下反応混合物にジイソプロピルエーテル(70mL)を加え、室温で撹拌した。析出した結晶をろ取することにより、標記化合物(6.23g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ ppm:
1.44 (6H, d, J=6.8Hz), 2.09 (3H, s), 3.86 (3H, s), 4.30-4.40 (1H, m), 6.65 (1H, dd, J=2.5, 11.7Hz), 6.70-6.80 (1H, m), 7.35-7.45 (1H, m), 9.50-10.50 (1H, br)
【0063】
実施例3
4−(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−3−ヒドロキシ−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
3−(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(30g)にトルエン(60mL)とプロピオニトリル(30mL)を順次加え室温にて溶解した。反応混合物に室温で三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(31.0g)を加え、還流下3時間撹拌した。反応混合物に70℃で酢酸エチル(90mL)を加えた後、水(89g)を加え、5分間撹拌した。有機層に室温で水を加え、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を水,ジイソプロピルエーテルで洗浄した。一方、ろ液と洗浄液を一つにし、水、1%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を分取し、得られた有機層を減圧下濃縮した。得られた残渣と、先の結晶を合わせ、2−プロパノールとジイソプロピルエーテルの混合溶媒(1/7(V/V))中、室温で撹拌した。析出した結晶をろ取することにより、標記化合物(1.96g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ ppm:
1.35 (6H, d, J=6.4Hz), 2.36 (3H, s), 3.91 (3H, s), 4.40-4.55 (1H, m), 7.21 (1H, dd, J=8.5, 8.5Hz), 7.47 (1H, d, J=12.1Hz), 7.53 (1H, d, J=8.5Hz), 10.30-10.50 (1H, br)
【0064】
実施例4
4−(4−イソプロポキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化21】

3−ヒドロキシ−4−(4−イソプロポキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(5.00g)を2−プロパノール(15g)とアセトニトリル(30g)の混合溶媒に懸濁し、炭酸カリウム(3.20g)を加え80℃で30分間加熱撹拌した。反応混合物に室温で2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミド(8.16g)を加え、同温で2時間、更に40℃で6時間撹拌した。不溶物をろ去し、不溶物をテトラヒドロフラン(15g)で洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせ、その中に酢酸(0.20g)を加え、減圧下溶媒を留去した。残渣に酢酸エチルを加え溶解した後、有機層を水および10%塩水で洗浄し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に2−プロパノール(38g)を加え、55℃にて溶解した後、氷冷下撹拌し、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を2−プロパノールで洗浄した後、減圧下50℃にて乾燥し、標記化合物(収量:8.42g、収率:81%、純度:98.8%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.35-1.45 (12H, m), 1.92 (3H, s), 1.96 (3H, s), 2.01 (3H, s), 2.07(3H, s), 2.42 (3H, s), 3.75-3.85 (1H, m), 4.10 (1H, dd, J=2.2, 12.3Hz), 4.21 (1H, dd, J=4.5, 12.3Hz), 4.35-4.45 (1H, m), 4.65-4.70 (1H, m), 4.90-4.95 (1H, m), 5.08 (1H, t, J=9.7Hz), 5.21 (1H, t, J=9.3Hz), 5.61 (1H, d, J=7.8Hz), 6.80-6.85 (2H, m), 7.70-7.75 (2H, m)
【0065】
実施例5
4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化22】

4−(4−イソプロポキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール(8.00g)をエタノール(24g)とテトラヒドロフラン(14g)との混合溶媒に溶解し、10%パラジウム炭素末(0.800g 50%含水品)を加え、0.3MPa加圧水素雰囲気下、室温にて3時間撹拌した。反応混合物より不溶物をろ去後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(収量:7.59g、収率:97%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.30-1.40 (12H, m), 1.91 (3H, s), 2.01 (3H, s), 2.03 (3H, s), 2.05 (3H, s), 2.07(3H, s), 3.50 (1H, d, J=15.9Hz), 3.57 (1H, d, J=15.9Hz), 3.75-3.85 (1H, m), 4.12
(1H, dd, J=2.1, 12.3Hz), 4.20-4.30 (2H, m), 4.45-4.50 (1H, m), 5.16 (1H, t, J=9.9Hz), 5.20-5.30 (2H, m), 5.54 (1H, d, J=7.9Hz), 6.70-6.75 (2H, m), 7.00-7.05 (2H, m)
【0066】
実施例6
3−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
【化23】

4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール(47.6g)にエタノール(300g)およびテトラヒドロフラン(100g)を加え、溶解した。反応混合物にナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液、1.53g)を加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物に85%リン酸(0.498g)を加え、減圧下溶媒を留去し、トルエン(200g)と酢酸メチル(40g)の混合溶媒を加えた。溶液を10%塩水で洗浄後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(収量35.2g、定量的)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.28 (6H, d, J=6.1Hz), 1.34 (6H, d, J=6.5Hz), 2.03 (3H, s), 3.25-3.35 (1H, m),3.50-3.65 (5H, m), 3.70-3.80 (2H, m), 4.20-4.30 (1H, m),4.40-4.50 (1H, m), 4.99 (1H, d, J=6.8Hz),6.70-6.75 (2H, m), 7.00-7.75 (2H, m)
【0067】
実施例7
3−(6−O−エトキシカルボニル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
【化24】

3−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(5.70g)をアセトニト
リル(15g)に溶解し、室温中2,6−ルチジン(2.02g)およびピリジン(0.039g)を加えた。0℃に冷却後、クロロギ酸エチル(1.65g)を加え更に3時間撹拌した。反応混合物に酢酸(0.341g)を加え30分撹拌した後、10%塩水を加えtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を10%塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層から不溶物をろ去し、減圧下溶媒を留去した。残渣にエタノール(25g)とn−ヘプタン(11g)を加え、室温にて撹拌し、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をエタノールとn−ヘプタンの混合溶媒(1/1(V/V))、n−ヘプタンで順次洗浄した後、減圧下室温1時間後40℃で乾燥し、得られた結晶を更にエタノール(29g)およびn−ヘプタン(12g)の混合溶媒で再結晶を行い、標記化合物の粗体(4.75g)を得た。
室温撹拌下、この粗体(2.00g)に酢酸(0.0021g)およびtert−ブチルメチルエーテル(10g)を加え、更に水(1g)を加え結晶を溶解した後、内温30℃で撹拌した。水層を分離したのち、有機層より不溶物をろ去した。この溶液を外温50℃で減圧下溶媒を留去した。室温撹拌下残渣にtert−ブチルメチルエーテル(10.8g)を加えた後、n−ヘプタン(4.8g)を加え、内温60℃で溶解した。撹拌下、水(0.02g)を添加し、内温45℃まで冷却後、種晶を加えた。懸濁液を同温で3時間撹拌後、内温0℃まで冷却し、終夜撹拌した。反応懸濁液に同温でn−ヘプタン(3.2g)を加え、30分間撹拌した。結晶をろ過し、n−ヘプタンで洗浄した。得られた湿晶を減圧下外温45℃で3時間乾燥し、標記化合物(1.82g、純度:99.0%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.25-1.30 (9H, m), 1.35-1.38 (6H, m), 2.09 (3H, s), 3.05 (2H, dd, J=2.3, 12.5Hz),3.50-3.55 (3H, m), 3.55-3.70 (3H, m), 4.25-4.35 (1H, m), 4.35-4.45 (2H, m),4.45-4.55 (2H, m), 5.00-5.05 (1H, m), 6.75-6.80 (2H, m), 7.05-7.10 (2H, m)
IR(KBr)cm-1:3385, 2978, 2932, 1748, 1506, 1466, 1371, 1260, 1067, 1015
【0068】
実施例8
4−(2−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化25】

4−(2−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−3−ヒドロキシ−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(1.5g)および2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミド(3.2g)の2−プロパノール(15mL)懸濁液に、50℃で炭酸カリウム(1.4g)を加えた。50℃で3.5時間撹拌後、反応混合物を室温まで放冷した。反応混合物に塩化メチレン(30mL)を加え、不溶物をろ去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=53/47〜32/68)にて精製することにより、標記化合物(収量:2.8g、収率:88%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.43 (3H, d, J=6.6Hz), 1.43 (3H, d, J=6.7Hz), 1.97 (3H, s), 1.98 (3H, s), 2.01 (3H, s), 2.05 (3H, s), 2.53 (3H, s), 3.80 (1H, ddd, J=2.4, 5.0, 9.7Hz), 3.89 (3H, s), 4.08 (1H, dd, J=2.4, 12.3Hz), 4.19 (1H, d, J=5.0, 12.3Hz), 4.35-4.50 (1H, m), 4.82 (1H, dd, J=8.3, 9.5Hz), 5.06 (1H, t, J=9.7Hz), 5.19 (1H, t, J=9.7Hz), 5.69 (1H, d, J=8.3Hz), 6.54 (1H, dd, J=2.4, 12.3Hz), 6.69 (1H, dd, J=2.4, 8.6Hz), 7.43 (1H, t, J=8.5Hz)
【0069】
実施例9
4−〔(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化26】

4−(2−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール(0.25g)のエタノール(2.5mL)溶液に、酢酸(0.024g)および10%パラジウム炭素末(0.025g)を加え、0.3MPa加圧水素雰囲気下、50℃にて10時間撹拌した。反応混合物より不溶物をろ去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=63/37〜42/58)にて精製し、標記化合物(収量:0.20g、収率:82%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ ppm:
1.36 (3H, d, J=6.3Hz), 1.37 (3H, d, J=6.7Hz), 1.94 (3H, s), 2.02 (3H, s), 2.03 (3H, s), 2.05 (3H, s), 2.09 (3H, s), 3.51 (1H, d, J=15.7Hz), 3.57 (1H, d, J=15.7Hz), 3.75 (3H, s), 3.83 (1H, ddd, J=2.4, 4.9, 10.1Hz), 4.12 (1H, dd, J=2.4, 12.3Hz), 4.15-4.35 (2H, m), 5.10-5.35 (3H, m), 5.57 (1H, d, J=7.8Hz), 6.50-6.60 (2H, m), 6.95-7.10 (1H, m)
【0070】
実施例10
4−〔(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)メチル〕−3−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
【化27】

4−〔(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メ
チル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール(0.20g)のメタノール(1mL)溶液に、室温にてナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液、0.032mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン/メタノール=92/8〜85/15)で精製し、標記化合物(収量0.13g、収率90%)を得た。
1H-NMR (CD3OD) δ ppm:
1.36 (3H, d, J=6.4Hz), 1.37 (3H, d, J=6.5Hz), 2.10 (3H, s), 3.20-3.45 (4H, m), 3.60-3.70 (3H, m), 3.74 (3H, s), 3.79 (1H, dd, J=2.5, 12.0Hz), 4.35-4.50 (1H, m),5.05-5.10 (1H, m), 6.55-6.65 (2H, m), 7.00-7.10 (1H, m)
【0071】
実施例11
4−(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化28】

4−(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−3−ヒドロキシ−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(0.5g)、アセトニトリル(3g)および2−プロパノール(1.5g)の混合物に、炭酸カリウム(0.91g)を加え80℃にて30分間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミド(0.91g)を加え、50℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、塩化メチレン(15mL)を加え不溶物をろ去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=51/49〜30/70)にて精製し、標記化合物(収量:0.95g、収率:89%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ ppm:
1.44 (3H, d, J=6.5Hz), 1.45 (3H, d, J=6.3Hz), 1.93 (3H, s), 1.97 (3H, s), 2.02 (3H, s), 2.07 (3H, s), 2.45 (3H, s), 3.81 (1H, ddd, J=2.4, 4.9, 9.8Hz), 3.99 (3H,s), 4.11 (1H, dd, J=2.4, 12.3Hz), 4.21 (1H, dd, J=4.9, 12.3Hz), 4.35-4.50 (1H, m), 4.91 (1H, dd, J=8.1, 9.8Hz), 5.09 (1H, t, J=9.8Hz), 5.21 (1H, t, J=9.8Hz), 5.62 (1H, d, J=8.1Hz), 6.90-7.00 (1H, m), 7.45-7.60 (2H, m)
【0072】
実施例12
4−〔(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化29】

4−(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール(0.50g)、エタノール(2.5g)およびテトラヒドロフラン(1.5g)の混合物に、10%パラジウム炭素末(50mg)を加え、水素雰囲気下室温にて17時間撹拌した。反応混合物より不溶物をろ去後、減圧下溶媒を留去し、標記化合物(収量:0.47g、収率:96%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ ppm:
1.35-1.40 (6H, m),1.93 (3H, s), 2.02 (3H, s), 2.03 (3H, s), 2.06 (3H, s), 2.07 (3H, s), 3.50 (1H, d, J=15.9Hz), 3.57 (1H, d, J=15.9Hz), 3.84 (3H, s), 4.12 (1H, dd, J=2.2, 12.3Hz), 4.20-4.35 (2H, m), 5.10-5.35 (3H, m), 5.59 (1H, d, J=7.7Hz),6.75-6.90 (3H, m)
【0073】
実施例13
4−〔(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)メチル〕−3−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール
【化30】

4−〔(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−3−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール(0.44g)のメタノール(2.2mL)溶液に、室温でナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液、0.070mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:塩化メチレン/メタノール=92/8〜85/15)にて精製し、標記化合物(収量0.29g、収率91%)を得た。
1H-NMR (CD3OD) δ ppm:
1.37 (3H, d, J=6.3Hz), 1.38 (3H, d, J=6.5Hz), 2.09 (3H, s), 3.20-3.50 (4H, m), 3.60-3.75 (3H, m), 3.79 (1H, dd, J=2.3, 11.9Hz), 3.81 (3H, s), 4.35-4.50 (1H, m),5.00-5.10 (1H, m), 6.85-7.00 (3H, m)
【0074】
比較例1
4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−3−
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−1H−ピラゾール
【化31】

3−ヒドロキシ−4−〔(4−イソプロポキシフェニル)メチル〕−1−イソプロピル−5−メチル−1H−ピラゾール(5.00g)を2−プロパノール(15g)とアセトニトリル(30g)の混合溶媒に懸濁し、炭酸カリウム(3.35g)を加え80℃で30分間加熱撹拌した。反応混合物に室温で2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミド(8.55g)を加え、同温で2時間、更に40℃で6時間撹拌した。不溶物をろ去し、不溶物をテトラヒドロフラン(15g)で洗浄した。ろ液に酢酸(0.20g)を加え、減圧下溶媒を留去した。残渣にtert−ブチルメチルエーテルを加え、室温で撹拌した。不溶物をろ去後、ろ液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)にて精製し、標記化合物(収量:5.21g、収率:49%)を得た。
1H−NMRスペクトルチャートから、実施例5と同一化合物であることが確認できた。
【0075】
比較例1では、ベンジルピラゾール化合物を原料として、実施例5記載の化合物を収率49%で得たのに対して、実施例4および実施例5では、ベンゾイルピラゾール化合物を原料として配糖化反応(収率81%)および還元反応(収率97%)により、79%の高収率で実施例5記載の化合物を得た。
このように、本発明の化合物(C)は医薬品の製造中間体として極めて有用であり、また、化合物(C)を経由することによる一連の製造方法は高収率であるため、工業的製造方法として極めて有用であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明により、糖尿病、糖尿病合併症、肥満等の高血糖症に起因する疾患の予防または治療薬として有用な前記化合物(I)を高収率かつ高純度にて製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(C):
【化1】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物。
【請求項2】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
一般式(A):
【化2】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物またはその塩と、一般式(B):
【化3】

(式中のX1は臭素原子または塩素原子であり、PGは保護基である)で表される化合物とを反応させることを特徴とする、一般式(C):
【化4】

(式中のR1、R2、R3、R4およびPGは前記と同じ意味をもつ)で表される化合物の製造方法。
【請求項5】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
一般式(C):
【化5】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物を、還元反応に付すことを特徴とする、一般式(D):
【化6】

(式中のR1、R2、R3、R4およびPGは前記と同じ意味をもつ)で表される化合物の製造方法。
【請求項8】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(C):
【化7】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物を、脱保護反応に付すことを特徴とする、一般式(E):
【化8】

(式中のR1、R2、R3およびR4は前記と同じ意味をもつ)で表される化合物の製造方法。
【請求項11】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
一般式(C):
【化9】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、PGは保護基である)で表される化合物を、還元反応および脱保護反応を組み合わせて行うことを特徴とする、一般式(F):
【化10】

(式中のR1、R2、R3およびR4は前記と同じ意味をもつ)で表される化合物の製造方法。
【請求項14】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
請求項7記載の方法で製造された化合物を、脱保護反応に付すことを特徴とする、請求項13記載の製造方法。
【請求項17】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項16記載の製造方法。
【請求項18】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
請求項10記載の方法で製造された化合物を、還元反応に付すことを特徴とする、請求項13記載の製造方法。
【請求項20】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
請求項13、16および19のいずれかに記載の方法で製造された化合物(F)と一般式(S):
【化11】

(式中のR5はC1-6アルキル基であり、X4は塩素原子または臭素原子である)で表される化合物をエステル化反応に付すことを特徴とする、一般式(G):
【化12】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、R5は前記と同じ意味をもつ)で表される化合物の製造方法。
【請求項23】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項22記載の製造方法。
【請求項24】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項23記載の製造方法。
【請求項25】
請求項10記載の方法で製造された化合物を、エステル化反応および還元反応を組み合わせて行うことを特徴とする、一般式(G):
【化13】

(式中のR5はC1-6アルキル基であり、R1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6
クロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物の製造方法。
【請求項26】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項25記載の製造方法。
【請求項27】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項26記載の製造方法。
【請求項28】
一般式(A−1):
【化14】

(式中のR1aはC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2aはC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3aはハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基であり、R4aは水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物またはその塩。
【請求項29】
1aがイソプロピル基であり、R2aがメチル基であり、R3aがイソプロポキシ基であり、R4aが水素原子である請求項28記載の化合物またはその塩。
【請求項30】
一般式(E):
【化15】

(式中のR1はC1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、R2はC1-6アルキル基またはハロC1-6アルキル基であり、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、C3-6シクロアルキル(C1-6アルコキシ)基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基またはハロC1-6アルコキシ基である)で表される化合物。
【請求項31】
1がC1-4アルキル基であり、R2がC1-4アルキル基であり、R3がC1-6アルコキシ基またはC1-6アルキル基であり、R4が水素原子またはハロゲン原子である、請求項30記載の化合物。
【請求項32】
1がイソプロピル基であり、R2がメチル基であり、R3がイソプロポキシ基であり、R4が水素原子である、請求項31記載の化合物。

【公開番号】特開2011−201871(P2011−201871A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45444(P2011−45444)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】