説明

グルコピラノシル置換フェニル誘導体、該化合物を含有する医薬品及びその使用と製造方法

本発明は、一般式(I)で表されるグルコピラノシル置換ベンゾール誘導体(式中、R1〜R6及びR7a、R7b、R7cは、請求項1記載のとおりである。)に関するもので、これらの互変異性体、立体異性体、混合物及び塩を含む化合物に関する。本発明の化合物は、代謝性疾患の治療に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般式Iで表わされるグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体:
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、R1〜R6及びR7a、R7b、R7c基は本願明細書後述の定義どおりである。)、さらにその互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩を含む化合物に関する。さらに本発明は、式Iで表わされる本発明の化合物を含む医薬組成物ならびに代謝障害治療用医薬組成物を製造するための本発明の化合物の使用に関するものである。さらに、本発明は、本発明の化合物ならびに医薬組成物の製造方法に関する。
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に抑制効果を有する化合物が、疾病の治療、とりわけ糖尿病の治療用として文献に提案されている。
グルコピラノシルオキシ置換芳香族基及びそれらの調製と、SGLT2阻害薬として見込みのある作用については、国際出願公報WO98/31697、WO01/27128、WO02/083066、WO03/099836、WO2004/063209、WO2004/080990、WO2004/013118、WO2004/052902、WO2004/052903及び米国特許出願第2003/0114390号から公知である。
(本発明の目的)
本発明の目的は、新規なピラノシルオキシ置換ベンゼン誘導体、とりわけナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に対して活性を有する誘導体を見出すことである。本発明のさらなる目的は、生体外及び/又は生体内におけるナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2への阻害効果は公知のものよりも改善されているが、構造的には同様の化合物であり、及び/又は、薬理学的もしくは薬物動態学的特性はより優れたピラノシルオキシ置換ベンゼン誘導体を発見することである。
本発明の別の目的は、代謝障害、とりわけ糖尿病の予防及び/又は治療に適した新規な医薬組成物を提供することである。
また、本発明は、本発明の化合物の製造方法を提供することについて記載する。
本発明の他の目的については、前述及び後述の所見からすぐに当業者には明らかになるであろう。
(本発明の主題(Object))
本発明の第1の態様は、一般式Iのグルコピラノシルオキシ置換ベンゼン誘導体、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩に関する。




【0004】
【化2】

【0005】
(式中、
1はA群の定義から選択されるが、R3がB群の定義から選択される場合は、R1はさらに水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチル基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエチル基、C1-4-アルコキシ、1〜3個のフッ素原子で置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエトキシ基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC2-4-アルコキシ基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ又は水酸基の定義から選択されてもよく、
上記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環においては、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO又はCOで置換されていてもよく、
2は、水素、フッ素、塩素、臭素、水酸基、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノ又はニトロを示し、前記アルキル基又はアルコキシ基はフッ素でモノ置換又は多置換されていてもよく、
【0006】
3は、B群の定義から選択されるが、R1がA群の定義から選択される場合は、R3はさらに水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C14-アルコキシ、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキリデンメチル、水酸基、C1-6-アルコキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、アリール、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、アリールオキシ、アリール-C1-3-アルキル-オキシ、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチルもしくはメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたC2-4-アルキルもしくはC2-4-アルコキシ、シアノ基で置換されたC1-4-アルキル基、水酸基もしくはC1-3-アルキルオキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、シアノ、カルボキシル、C1-3-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3-アルキルアミノ)カルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イル-カルボニル、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、(C1-4-アルキル)カルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニルアミノ、アリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ又はアリールスルホニルの定義から選択されてもよく、
4、R5は互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、1〜3個のフッ素で置換されたメチルもしくはメトキシ基を表し、
【0007】
Aは、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、シアノ又はニトロを表し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
【0008】
Bは、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ニトロ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルファニル又はヘテロアリールスルフィニルを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
Nは、水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル又はC1-4-アルキルスルホニルを表し、
【0009】
L1は互いに独立して、水酸基、シアノ、ニトロ、C3-7-シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、アリールスルファニル、ヘテロアリールスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びヘテロアリールスルホニルから選択され、
L2は互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノから選択され、
6、R7a
7b、R7cは互いに独立して、水素、(C118-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択されるものを意味し、
前記の基の定義で記載したアリール基は、同一又は異なるL2基でモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基を意味し、
前記の基の定義で記載したヘテロアリール基は、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基又はテトラゾリル基を意味するか、あるいは、
1個又は2個のメチン基が窒素原子で置換された、ピロリル基、フラニル基、チエニル基又はピリジル基を意味するか、あるいは、
【0010】
1個〜3個のメチン基が窒素原子で置換された、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基又はイソキノリニル基を意味し、
前記ヘテロアリール基は、同一又は異なるL2基でモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
特に記載のない限り、前記アルキル基は直鎖又は分岐していてもよい。)
本発明の一般式Iで表わされる化合物及びその医薬的に許容される塩は有用な薬理学的特性を有し、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2に対して阻害効果を有する。さらに、本発明の化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に対しても阻害効果を示すことができる。SGLT1に対する実行可能な阻害効果に比べ、本発明の化合物はSGLT2への阻害の方を選択的に選ぶ。
また、本発明は、無機酸又は有機酸による本発明の化合物の医薬的に許容される塩に関する。
また、本発明は、本発明の化合物又は本発明による医薬的に許容される塩を少なくとも1種を含み、かつ1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物に関するものである。
【0011】
また、本発明は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2の抑制が効果的な疾病又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物を製造するための、少なくとも1種の本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の1つの使用に関する。
また、本発明は、代謝障害の治療に適した医薬組成物を製造するための、少なくとも1種の本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の1つの使用に関する。
また、本発明は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2を抑制する医薬組成物を製造するための、少なくとも1種の本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の1つの使用に関する。
さらに本発明は、本発明の医薬組成物の製造方法に関するものであって、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の1つを、化学的方法以外の方法で1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と混和させることを特徴とする製造方法に関する。
また、本発明は、本発明による一般式Iで表わされる化合物の製造方法に関するものであって、
a)本願明細書前記及び後記で定義される一般式Iの化合物を調製するために、
一般式IIの化合物:
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、
R’が、水素、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、該アルキル又はアリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
8a、R8b
8c、R8dは互いに独立して、R6、R7a、R7b、R7c基についての本願明細書前述及び後述の定義の1つを有するか、ベンジル基又はRabcSi基又はケタール基もしくはアセタール基を示し、なかでもアルキリデンケタールもしくはアリールアルキリデンケタール基又はアセタール基を示し、いずれの場合も2つの隣り合う基、R8a、R8b、R8c、R8dが環状ケタール基もしくは環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレンブリッジを形成してもよく、この場合、上記エチレンブリッジは、2個の酸素原子とピラノース環の2個の炭素原子と一緒になって、置換ジオキサン環、とりわけ2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成し、アルキル、アリール及び/又はベンジル基がハロゲン又はC1-3-アルコキシ基でモノ置換又は多置換されていてもよく、かつ、ベンジル基がジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよく、
a、Rb、Rcは互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを示し、該アリール基又はアルキル基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
【0014】
上記の基の定義で記載したアリール基は、フェニル基又はナフチル基を意味し、好ましくはフェニル基を意味し、
1〜R5及びR6、R7a、R7b、R7cは本願明細書前述及び後述の定義のとおりである。)を
ルイス酸又はブレンステッド酸の存在下で還元剤と反応させ、存在するいずれの保護基も同時または順次に開裂させるか、あるいは、
b)R6、R7a、R7b及びR7cが水素を示す一般式Iの化合物を調製するために、一般式IIIの化合物:
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、R8a、R8b、R8c、R8d及びR1〜R5は、本願明細書前述及び後述の定義のとおりであるが、R8a、R8b、R8c、R8d基のうち少なくとも1つは水素ではない。)を加水分解し、
さらに所望であれば、こうして得られたR6が水素原子である一般式Iの化合物を、アシル化して一般式Iで表わされる対応のアシル化合物に変換、及び/又は、
必要であれば、前記の反応で使用された保護基をいずれも開裂、及び/又は、
所望であれば、こうして得られた一般式Iの化合物を立体異性体に分離、及び/又は、
所望であれば、こうして得られた一般式Iの化合物をその塩に、とりわけ製薬的使用のために医薬的に許容される塩に変換することを特徴とする製造方法に関する。
さらに、本発明は、一般式IIで表わされる化合物:
【0017】
【化5】

【0018】
(式中、R’は水素原子、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、該アルキル基又は該アリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
8a、R8b
8c、R8dは互いに独立して、R6、R7a、R7b、R7c基について記載の定義の1つを有するか、ベンジル基又はRabcSi基又はケタール基もしくはアセタール基を示し、いずれの場合も2つの隣り合う基、R8a、R8b、R8c、R8dは、環状ケタール基もしくは環状アセタール基を形成してもよく、あるいはピラノース環の2個の酸素原子と一緒になって、置換2,3-オキシジオキサン環、とりわけ2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成してもよく、アルキル、アリール及び/又はベンジル基はハロゲン又はC1-3-アルコキシ基でモノ置換又は多置換されていてもよく、かつ、ベンジル基はジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよく、
a、Rb、Rcは互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを示し、該アルキル基又は該アリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
上記の基の定義で記載したアリール基は、フェニル基又はナフチル基を意味し、好ましくはフェニル基を意味し、
1〜R5及びR6、R7a、R7b、R7cは本願明細書前述及び後述の定義のとおりである。)の製造方法に関するもので、
下記一般式IV:
【0019】
【化6】

【0020】
(式中、Halは塩素、臭素、ヨウ素を示し、R1〜R5は本願明細書前述及び後述の定義のとおりである。)で表わされるハロゲン−ベンジルベンゼン化合物のハロゲン−金属交換又は炭素−ハロゲン結合中への金属の挿入によって、さらに任意で金属交換を続行して得ることができる有機金属化合物(V)を、一般式VI:
【0021】
【化7】

【0022】
(式中、R8a、R8b、R8c、R8dは本願明細書前述及び後述の定義のとおりである。)で表わされるグルコノラクトンに加え、
さらに、得られた付加物を好ましくはその場で、水又はR'-OHで表わされるアルコール(式中、R'は置換されていてもよいC1-4-アルキル基を示す)と、例えばメタンスルホン酸、硫酸、塩酸、酢酸又は塩化アンモニウム等の酸の存在下で反応させ、さらに任意でR'が水素を示す水との反応で得られた生成物は、例えば対応する酸塩化物又は酸無水物等のアシル化剤との反応を引き続き行って、式IIの生成物(式II中、R’は(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、これらは記載のごとく置換されていてもよい)に変換する、製造方法に関する。
前記の中間体、とりわけ式IV、II、及びIIIの中間体も本発明の対象である。
(本発明の詳細な説明)
特に記載のない限り、基、残基及び置換基、とりわけR1〜R5、A、B、L1、L2、RN、R6、R7a、R7b、R7c、R8a、R8b、R8c、R8dは、前記及び本願明細書後記に定義されているとおりである。
残基、置換基又は基が、1つの化合物で何度か出てくる場合、それらは同一の定義又は異なる定義を有していてもよい。
本発明によると、好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、一般式Iの化合物、及び、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩である:
【0023】
【化8】

【0024】
(式中、
1はA群の定義から選択されるが、R3がB群の定義から選択される場合は、R1はさらに、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチル基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエチル基、C1-4-アルコキシ、1〜3個のフッ素原子で置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエトキシ基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC2-4-アルコキシ基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ又は水酸基の定義から選択されてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環においては、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO又はCOで置換されていてもよく、
2は、水素、フッ素、塩素、臭素、水酸基、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノ又はニトロを示し、前記アルキル基又はアルコキシ基がフッ素でモノ置換又は多置換されていてもよく、
3は、B群の定義から選択されるが、R1がA群の定義から選択される場合は、R3はさらに、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキリデンメチル、水酸基、C1-6-アルコキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、アリール、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、アリールオキシ、アリール-C1-3-アルキル-オキシ、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチルもしくはメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたC2-4-アルキルもしくはC2-4-アルコキシ基、シアノ基で置換されたC1-4-アルキル基、水酸基もしくはC1-3-アルキルオキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、シアノ、カルボキシ、C1-3-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3-アルキルアミノ)カルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イル-カルボニル、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、(C1-4-アルキル)カルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニルアミノ、アリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ又はアリールスルホニルの定義から選択されてもよく、
【0025】
4、R5は、互いに独立して水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、1〜3個のフッ素で置換されたメチルもしくはメトキシ基を表し、
Aは、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、シアノ又はニトロを表し、
【0026】
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
上記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
Bは、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ニトロ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルファニル又はヘテロアリールスルフィニルを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
【0027】
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
Nは、水素又はC1-4-アルキル基を表し、
L1は互いに独立して、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、アリールスルファニル、ヘテロアリールスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びヘテロアリールスルホニルから選択され、
L2は互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノから選択され、
【0028】
6、R7a
7b、R7cは互いに独立して、水素、(C118-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される定義を有し、
前記の基の定義で記載したアリール基は、フェニル基又はナフチル基を意味し、これらは同一又は異なるL2基でモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記の基の定義で記載したヘテロアリール基は、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基又はイソキノリニル基を意味するか、あるいは、
1個又は2個のメチン基が窒素原子で置換された、ピロリル基、フラニル基、チエニル基又はピリジル基を意味するか、あるいは、
1個〜3個のメチン基が窒素原子で置換された、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基又はイソキノリニル基を意味し、
前記ヘテロアリール基は、同一又は異なるL2基でモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
特に記載のない限り、前記アルキル基は直鎖又は分岐していてもよい。)
本発明の化合物におけるそれぞれの基及び置換基の好ましい定義を挙げる。
3基は、-CH2ブリッジに対してメタ又はパラ位置であることが好ましく、そのため下記式I.1及び式I.2の化合物、特に式I.2の化合物が好ましい。

















【0029】
【化9】

【0030】
L1、R1、R3、A及びB群に出てくるアリールという用語は、好ましくはフェニルを表す。
L1、R1、R3、A及びB群に出てくるヘテロアリールという用語は、好ましくはピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリルを表す。
A群は、好ましくはC2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、シアノ又はニトロを表し、
【0031】
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素、好ましくはフッ素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで、好ましくはO又はCO、最も好ましくはOで置換されていてもよい。
特に好ましくは、A群は、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、シアノ及びニトロを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基が、フッ素又は塩素、好ましくはフッ素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記C5-6-シクロアルキル環においては、メチレン基が酸素(O)で置換されていてもよい。
【0032】
最も好ましくは、A群は、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ、シアノを示し、C5-6-シクロアルキル基においては、メチレン単位が酸素(O)で置換されていてもよい。
最も好ましいA群の定義の例としては、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、シアノ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが挙げられる。
B群は、好ましくはトリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、ニトロ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニルを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によって、好ましくはフッ素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで、好ましくはO、CO、S、SO2又はNRNで、最も好ましくはO又はCOで置換されていてもよい。
【0033】
特に好ましくは、B群は、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、ニトロ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニルを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によって、好ましくはフッ素でモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキル基から選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで、好ましくはO、CO、S、SO2又はNRNで、最も好ましくはO又はCOで置換されていてもよい。
さらにとりわけ好ましいB群は、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル基を示し、上記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素でモノ置換又は多置換されているか又は塩素もしくはL1基でモノ置換されていてもよく、 前記シクロアルキル基及びシクロアルケニル基において、1又は2個のメチレン基が互いに独立してO、CO、S、SO2又はNRNで、とりわけO又はCOで置換されていてもよい。
【0034】
最も好ましいB群の定義の例としては、トリメチルシリルエチル、エチニル、1-プロピン-1-イル、1-ブチン-1-イル、ターシャリーブチルエチニル、2-ヒドロキシプロパ-2-イルエチニル、2-メトキシプロパ-2-イルエチニル、3-ヒドロキシ-1-プロピン-1-イル、3-メトキシ-1-プロピン-1-イル、エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、ターシャリーブチルエテニル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロチオフェニルオキシ、1,1-ジオキソテトラヒドロチオフェニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、テトラヒドロチオピラニルオキシ、1,1-ジオキソテトラヒドロチオピラニルオキシ、テトラヒドロフラノニルオキシ、ピペリジニルオキシ、ピペリジノニルオキシ、ピロリジン-3-イルオキシ、ピロリジノン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラニル-スルファニル、シクロプロピルスルファニル、シクロブチルスルファニル、シクロペンチルスルファニル及びシクロヘキシルスルファニルが挙げられるが、ピペリジニル、ピペリジノニル、ピロリジニル又はピロリジノニル環の-NH基は、RN、とりわけC1-3-アルキル又はアセチルで置換されていてもよい。
なかでも好ましいのは、トリメチルシリルエチル、エチニル、2-ヒドロキシプロパ-2-イルエチニル、2-メトキシプロパ-2-イルエチニル、3-ヒドロキシ-1-プロピン-1-イル、3-メトキシ-1-プロピン-1-イル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、ピペリジン-4-イルオキシ、N-メチルピペリジン-4-イルオキシ及びN-アセチルピペリジン-4-イルオキシである。特記に値する例としては、エチニル、トリメチルシリルエチル、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ及びテトラヒドロピラン-4-イルオキシが挙げられる。
【0035】
残基又はA群、B群、R1又はR3において、2個のメチレン基がO、S又はNRNで置換されているか、あるいはS、NRN、CO、SO又はSO2で置換されているシクロアルキル環又はシクロアルケニル環が存在する場合、それらのメチレン基が互いに直接的に結合していないことが好ましい。しかしながら、2個のメチレン基がOとCO又はNRNとCOで置換されている場合は、これらのメチレン基が互いに直接的に結合していてもよく、-O-CO-基又は-NRN-CO基を形成する。
好ましいL1基は、水酸基、シアノ、C3-6-シクロアルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル及びC1-4-アルキルスルホニルから選択される。
とりわけ好ましいL1基の定義は、水酸基、C1-4-アルキルオキシ及びC1-4-アルキルスルファニルから選択される。
L1が水酸基を表す場合、該水酸基は二重又は三重結合の炭素原子に直接結合しない。
本発明の第1の実施形態による化合物は、一般式I、特に式I.1及び式I.2、好ましくは式I.2で説明することができ、式中、R3は本願明細書前記記載のB群の定義の1つから選択され、他の基と置換基については本願明細書前記及び後記に定義するもので、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩を含む。
【0036】
この実施形態によるとR1基の好ましい定義として、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルコキシ、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、1〜3個のフッ素原子で置換したメチル基、1〜5個のフッ素原子で置換したエチル基、1〜3個のフッ素原子で置換したメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換したエトキシ基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換したC1-4-アルキル、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換したC2-4-アルコキシ、C2-6-アルケニル、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、水酸基、アミノ、ニトロ又はシアノが挙げられ、該C5-6-シクロアルキル基においてメチレン基は酸素(O)で置換されていてもよい。
とりわけ好ましい定義は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、水酸基、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキが挙げられ、なかでも特に好ましいのはメチル及び塩素である。
本発明の第2の実施形態による化合物は、一般式I、特に式I.1及び式I.2、好ましくは式I.2で説明することができ、式中、R1は本願明細書前記記載のA群の定義から選択され、他の基と置換基については本願明細書前記及び後記に定義するもので、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩を含む。
【0037】
第2の実施形態によるとR3基の好ましい定義として、水素、フッ素、塩素、臭素、水酸基、シアノ、C1-6-アルキル、トリメチルシリルエチル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロフラノニルオキシ、C1-6-アルキルスルファニル、シクロプロピリデンメチル、アリール又はヘテロアリールが挙げられる。
第2の実施形態によるR3基の特に好ましい定義としては、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、ターシャリーブチル、エチニル、1-プロピニル、トリメチルシリルエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシ、メチルスルファニル、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニル、シクロプロピリデンメチル、フェニル、フルオロフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルまたはチアジアゾリルが挙げられる。
第2の実施形態によるR3基のとりわけ好ましい定義としては、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、ターシャリーブチル、エチニル、1-プロピニル、トリメチルシリルエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシ、メチルスルファニル、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニル、シクロプロピリデンメチルが挙げられる。これらの特に好ましい定義の例としては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリメチルシリルエチル、エチニル、シクロペンチルオキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシで、とりわけトリメチルシリルエチル、エトキシ、シクロペンチルオキシ及びテトラヒドロフラン-3-イルオキシが挙げられる。
【0038】
他の基及び置換基の定義については、一般式I、式I.1及び式I.2、また、本願明細書前記の実施形態で好ましいと考えられるものを挙げる。
2基の好ましい定義としては、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、水酸基、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ及び1〜3個のフッ素原子で置換されたメチルが挙げられる。
2基の特に好ましい定義としては、水素、フッ素、水酸基、メトキシ、エトキシ及びメチルで、なかでも水素とメチルである。
4基の好ましい定義としては水素とフッ素で、とりわけ水素である。
5基の好ましい定義としては水素とフッ素で、とりわけ水素である。
N基は、好ましくは水素、メチル、エチル又はアセチルを表す。
本発明によると、R6基は、好ましくは水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、C1-8-アルキルカルボニル又はベンゾイルを表し、とりわけ水素又は(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニルで、なかでも水素、メチルカルボニル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルが好ましく、水素又はメトキシカルボニルが特別好ましい。
置換基R7a、R7b、R7cは、好ましくは互いに独立して水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、(C1-18-アルキル)カルボニル、ベンゾイルを表し、特に、水素又は(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニルで、なかでも水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニルが好ましい。最も好ましくは、R7a、R7b及びR7cは水素を表す。
6、R7a、R7b及びR7cが本発明で水素以外の定義を有する場合、例えば、C1-8-アルキルカルボニルである式Iの化合物は、R7a、R7b及びR7cが水素を表す式Iの化合物を合成するための中間体として好適である。
一般式Iで表わされる特に好ましい化合物は、式I.2a〜式I.2d、とりわけ式I.2cから選択される。

















【0039】
【化10】

【0040】
式中、R1〜R6及びR7a、R7b、R7c基は、前述の定義の1つを有するが、とりわけ好適なものとして挙げた定義の1つを有するもので、特に、
1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルコキシ、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、1〜3個のフッ素原子で置換したメチル基、1〜5個のフッ素原子で置換したエチル基、1〜3個のフッ素原子で置換したメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換したエトキシ基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換したC1-4-アルキル、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換したC2-4-アルコキシ、C2-6-アルケニル、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、水酸基、アミノ、ニトロ又はシアノ基が挙げられ、該C5-6-シクロアルキル基においてメチレン基は酸素(O)で置換されていてもよく、特に好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、水酸基、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキが挙げられ、
2は、水素、フッ素、水酸基、メトキシ、エトキシ又はメチルを示し、とりわけ水素又はメチルを示し、
【0041】
3は、トリメチルシリルエチル、エチニル、1-プロピン-1-イル、1-ブチン-1-イル、ターシャリーブチルエチニル、2-ヒドロキシプロパ-2-イルエチニル、2-メトキシプロパ-2-イルエチニル、3-ヒドロキシ-1-プロピン-1-イル、3-メトキシ-1-プロピン-1-イル、エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、ターシャリーブチルエテニル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロチオフェニルオキシ、1,1-ジオキソテトラヒドロチオフェニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、テトラヒドロチオピラニルオキシ、1,1-ジオキソテトラヒドロチオピラニルオキシ、テトラヒドロフラノニルオキシ、ピペリジニルオキシ、ピペリジノニルオキシ、ピロリジン-3-イルオキシ、ピロリジノン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラニル-スルファニル、シクロプロピルスルファニル、シクロブチルスルファニル、シクロペンチルスルファニル及びシクロヘキシルスルファニルからなるB群から選択されるが、ピペリジニル、ピペリジノニル、ピロリジニル又はピロリジノニル環の-NH基は、RN、とりわけC1-3-アルキル又はアセチルで置換されていてもよく、さらに好ましくは、トリメチルシリルエチル、エチニル、2-ヒドロキシプロパ-2-イルエチニル、2-メトキシプロパ-2-イルエチニル、3-ヒドロキシ-1-プロピン-1-イル、3-メトキシ-1-プロピン-1-イル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、ピペリジン-4-イルオキシ、N-メチルピペリジン-4-イルオキシ及びN-アセチルピペリジン-4-イルオキシから選択され、
4は、水素又はフッ素、特には水素を示し、
5は、水素又はフッ素、特には水素を示し、
【0042】
6は、水素、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-6-アルキル)カルボニル又はベンゾイルを表し、とりわけ、水素、メチルカルボニル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルを表し、最も好ましくは水素を示し、
7a、R7b、R7cは互いに独立して、水素、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニル又はベンゾイルを表し、とりわけ、水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニルを表し、最も好ましくは水素を示し、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩を含む。
本願明細書前記記載の様々な実施形態によると、別の好ましい化合物は、置換基R3を有するフェニル基が水素とは異なる少なくとも1個の別の置換基R4及び/又はR5を有する化合物である。この変形例によると、特に好ましい化合物は、置換基R4がフッ素を示す化合物である。
置換基R3を有するフェニル基は、多くて1個フッ素置換されているものが好ましい。
後述の実験の項に記載の一般式Iで表される化合物とその誘導体において、R6が水素以外の本発明による定義を有するもの、特にR6がエトキシカルボニル又はメトキシカルボニルを示すものは、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物を含み、本発明において好ましい。
【0043】
一般式Iで表されると特に好ましい化合物は、以下から選択される:
(1)1-クロロ-2-(4-シクロペンチルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン、
(2)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(3)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(4)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(5)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-シクロブチルオキシ-ベンジル)-ベンゼン、
(6)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-シクロヘキシルオキシ-ベンジル)-ベンゼン、
(7)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(8)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(1-アセチル-ピペリジン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(10)1-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-4-メチル-3-[4-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(11)1-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-4-メチル-3-[4-(2-トリメチルシリル-エチル)-ベンジル]-ベンゼン、
【0044】
(12)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン、
(13)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(ピペリジン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン、
(14)1-フルオロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン、
(15)1-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン、
(16)1-エチニル-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼン及び
(17)1-メトキシ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン、
ならびに、R6が水素以外の本発明による定義を有するもの、特にR6がエトキシカルボニル又はメトキシカルボニルを示す上記の誘導体、さらにその互変異生体、立体異性体、それらの混合物を含む。
本発明の方法において、R1、R2、R3、R4及びR5基は本願明細書前記で推奨した定義を有することが好ましい。さらに、R’は好ましくは水素、C1-3-アルキル又はベンジルを示し、とりわけ水素、エチル又はメチルを表すことが好ましい。R8a、R8b、R8c及びR8d基は互いに独立して、水素、C1-4-アルキルカルボニル又はベンジルを好ましくは示し、とりわけ水素、メチルカルボニル、エチルカルボニル又はベンジルを表すことが好ましい。
本発明は、一般式IV、とりわけ一般式IV'の化合物に関する。


【0045】
【化11】

【0046】
(式中、Halは、塩素、臭素又はヨウ素を示し、R1、R2、R4及びR5基は本願明細書前記定義のとおりであり、R3基は本発明の化合物の合成における中間生成物又は出発原料としてB群から選択される。R1、R2、R3、R4及びR5基は、式1.2a〜式1.2dの後に記載した定義を有することが特に好ましい。最も好ましいのは一般式IV'の化合物であり、式中、Halが塩素、臭素又はヨウ素を示し、R1、R2、R4及びR5基が式1.2a〜式1.2dの後に記載した定義を示し、R3基がエチニル又はC3-6-1-アルキル-1-イルを示し、エチニル基の場合は-SiR3基で置換されていてもよく(R基は互いに独立してC1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ又はアリールを表す)、一方、前記C3-6-1-アルキル-1-イルの場合は、水酸基又はC1-3-アルコキシで置換されていてもよく、とりわけ水酸基又はメトキシで置換されていてもよい。
本発明は、一般式II、とりわけ一般式II'の化合物に関する。
【0047】
【化12】

【0048】
(式中、R’、R8a、R8b、R8c、R8d、R1、R2、R3、R4及びR5は本願明細書の前記及び後記の定義であり、特にR’は水素、C1-3-アルキル又はベンジルを示し、とりわけ水素、エチル又はメチルを示し、R8a、R8b、R8c、R8d基は互いに独立して水素、C1-4-アルキルカルボニル又はベンジルを示し、とりわけ水素、メチルカルボニル、エチルカルボニル又はベンジルを表し、R1、R2、R4及びR5基は本願明細書前記記載のとおりであり、R3基は本発明の化合物の合成における中間生成物又は出発原料としてB群から選択される。R1、R2、R3、R4及びR5基が、式1.2a〜式1.2dの後に記載した定義を有することが特に好ましい。)
本発明の化合物を説明するための前述及び後述のいくつかの用語について、より詳細に定義しておく。
ハロゲンという用語は、F、Cl、Br及びIからなる群から選択される原子を示し、F、Cl及びBrが特に好ましい。
C1-n-アルキルは、nが1〜18の値をとることができ、炭素原子を1〜n個有する分岐又は分岐していない飽和炭化水素基をさす。このような基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、ターシャリーブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリーペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
【0049】
C2-n-アルキニルは、nが3〜6の値をとり、炭素原子を2〜n個有し、炭素三重結合を含む分岐又は分岐していない炭化水素基をさす。このような基の例として、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、イソプロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−1−プロピニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、1−へキシニル、2−へキシニル、3−へキシニル、4−へキシニル、5−へキシニル等が挙げられる。特に記載のない限り、アルキニル基は1の位置にある炭素を介して分子の残りの部分と結合している。そのため、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル等は、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イル等と同じものを意味する。これは、同様にC2-n-アルケニル基にも適用される。
C1-n-アルコキシは、C1-n-アルキル-O基を指し、C1-n-アルキルは前述の定義のとおりである。このような基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、セカンダリーブトキシ、ターシャリーブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ターシャリーペントキシ、n−ヘキソキシ、イソヘキソキシ等が挙げられる。
C1-n-アルキルカルボニルは、C1-n-アルキル-C(=O)基を指し、C1-n-アルキルは前述の定義のとおりである。このような基の例として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、セカンダリーブチルカルボニル、ターシャリーブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、ターシャリーペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソヘキシルカルボニル等が挙げられる。
【0050】
C3-n-シクロアルキルは、炭素原子を3〜n個有するモノ-、ビ-、トリ-又はスピロ-飽和炭素環式基を指す。このような基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチル等が挙げられる。C3-7-シクロアルキルという用語は、飽和単環式基を指すのが好ましい。
C5-n-シクロアルケニルは、本願明細書前記で定義したC5-n-シクロアルキルに少なくとも1個の不飽和C=C二重結合が付加されたものである。
C3-n-シクロアルキルカルボニルは、C3-n-シクロアルキル−C(=O)であり、式中、C3-n-シクロアルキルは本願明細書前記で定義したとおりである。
トリ-(C1-4-アルキル)シリルという用語は、同一又は2種もしくは3種の異なるアルキル基を有するシリル基で構成される。
ジ-(C1-4-アルキル)アミノという用語は、同一又は2種の異なるアルキル基を有するアミノ基で構成される。
既に使用し、また後からも出てくるが、フェニル環の中央に向かって示される、フェニル基の置換基の結合の表し方は、特に記載のない限り、該当する置換基がフェニル環の水素原子を担持するいずれの場所に結合してもよいことを意味する。
本発明の化合物は、基本的に、公知の合成方法を用いて得ることができる。該化合物は、下記の本発明による方法で得ることが好ましく、その方法を詳細に述べる。
本発明の式IIで表されるグルコース誘導体は、有機金属化合物の状態である所望のベンジルベンゼン化合物を加えることによって、D−グルコノラクトン又はその誘導体から合成することができる(ダイアグラム1)。
ダイアグラム1:グルコノラクトンへの有機金属化合物の添加
【0051】
【化13】

【0052】
ダイアグラム1の反応は、一般式IVのハロベンジルベンゼン化合物(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素を示す)を出発物質として行うことが好ましい。ハロ芳香族化合物IVを出発物質として、いわゆるハロゲン−金属交換又は炭素−ハロゲン結合中への金属の挿入のいずれかによって、対応の有機金属化合物(V)を生成することができる。臭素又はヨウ素置換芳香族基のハロゲン−金属交換は、例えば、n−、セカンダリー又はターシャリーブチルリチウム等のような有機リチウム化合物で行うことができ、結果、対応するリチウム塩芳香族基になる。同様なマグネシウム化合物も、臭化イソプロピルマグネシウム又はジイソプロピルマグネシウム等のような適当なグリニャール化合物を用いてハロゲン−金属交換することで生成することができる。反応温度は好ましくは0〜-100℃、特に好ましくは-10〜-80℃で、不活性溶媒中で反応を行うことが好ましく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン又は塩化メチレンあるいはこれらの混合物中で行うことが好ましい。こうして得られたマグネシウム化合物又はリチウム化合物は、例えば三塩化セリウム等のような金属塩で任意に金属交換(transmetallised)してもよく、添加するのにふさわしい添加用の有機金属化合物(V)を形成してもよい。あるいは、ハロ芳香族化合物IVの炭素−ハロゲン結合中に金属を挿入することによって有機金属化合物(V)を作製することもできる。これに適しているのは、例えばリチウム又はマグネシウム等の金属である。有機金属化合物Vを式VIで表されるグルコノラクトン又はその誘導体に添加するには、不活性溶媒又はその混合物中で、好ましくは温度0〜-100℃、特に好ましくは-30〜-80℃で行うことが好ましく、式IIの化合物が得られる。このリチオ化反応及び/又はカップリング反応も低温にならないようにマイクロリアクター及び/又はマイクロミキサで行うのがよい。例えばWO2004/076470記載の方法と同様である。
【0053】
好適な溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、トルエン、塩化メチレン、ヘキサン、テトラヒドロフラン又はこれらの混合物が挙げられる。さらなる補助物質は用いずに反応を行うこともできるし、あるいは、カップリングパートナーが非反応性の場合は、例えばBF3*OEt2又はMe3SiCl等のようなルイス酸の存在下で行ってもよい(M. Schlosser著「Organometallics in Synthesis」John Wiley & Sons社出版、チェスター/ニューヨーク/ブリスベン/トロント/シンガポール、1994参照)。R8a、R8b、R8c及びR8d基の好ましい定義は、ベンジル、置換ベンジル、トリアルキルシリルで、特に好ましくは、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、4-メトキシベンジル及びベンジルである。R8a、R8b、R8c及びR8dからなる群の、隣接する2つの基が一緒になって結合する場合、これらの2つの基は、ベンジリデンアセタール、4-メトキシベンジリデンアセタール、イロプロピルケタールの一部であることが好ましく、あるいは、ピラノース環の隣り合う酸素原子とともにブタンの2位及び3位を介して結合する2,3-ジメトキシ-ブチレン基を構成することが好ましい。R’基は好ましくは水素原子又はC1-4-アルキルを示し、とりわけ水素、メチル又はエチルが好ましい。R’基は、有機金属化合物V又はその誘導体をグルコノラクトンVIに添加後、挿入される。そのために、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸又は塩酸等の酸の存在下で、例えばメタノールもしくはエタノール等のアルコール又は水等で反応溶液を処理する。
式IVのハロ芳香族化合物の合成は、有機化学における標準的な変換によって、あるいは、少なくとも有機合成における専門家の文献から公知である方法を用いて行えばよい(とりわけJ. March著Advanced Organic Reactions, Reactions, Mechanisms, and Structure第4版、John Wiley & Sons社出版、チェスター/ニューヨーク/ブリスベン/トロント/シンガポール、1992及び該著書に引用の文献を参照)。下記に記載の合成方法は一例として示すものである。
ダイアグラム2:合成方法1
【0054】
【化14】

【0055】
合成方法1(ダイアグラム2)では、式IIのハロ芳香族化合物の調製が塩化ベンゾイルと第2の芳香族基から出発して、フリーデルクラフツ反応によりアシル化されてジフェニルケトン誘導体に変換されることを示している。この典型的な反応の場合、基体の範囲が広く、触媒量又は化学量論的量の例えばAlCl3、FeCl3、ヨウ素、鉄、ZnCl2、硫酸又はトリフルオロメタンスルホン酸等の触媒の存在下で行われる。カルボン酸塩化物のかわりに、カルボン酸、その無水物もしくはエステル又はそれに対応するベンゾニトリルの使用も可能である。好ましくは、例えば、ジクロロメタン及び1,2-ジクロロエタン等の塩素化炭化水素化合物中で、温度-30〜120℃、好ましくは30〜100℃で反応を行う。
しかしながら、溶媒を使用しない反応又は電子レンジでの反応も可能である。
反応の第2段階において、ジフェニルケトンをジフェニルメタンに還元する。この反応は、相当するジフェニルメタノールを介して2段階で行うか、あるいは、1段階で行うことができる。2段階式の変形として、例えばNaBH4、LiAlH4、iBu2AlH等のハロゲン化金属といった還元剤でケトンを還元してアルコールにする。得られたアルコールは、BF3*OEt2、トリフルオロ酢酸、InCl3又はAlCl3等のようなルイス酸存在下で、Et3SiH、NaBH4又はPh2SiClH等のような還元剤を用いて所望のジフェニルメタンに変換する。ケトンを出発物質としたジフェニルメタンを得るための1段階式方法は、例えば、Et3SiHのようなシラン、NaBH4のようなホウ化水素又はLiAlH4のような水素化アルミニウムを使って、例えばBF3*OEt2、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロ酢酸、塩化アルミニウム又はInCl3のようなルイス酸の存在下で行えばよい。好ましくは、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、トルエン又はアセトニトリル等といった溶媒中で、温度-30〜150℃、好ましくは20〜100℃で反応を行う。別の実施可能な合成方法の1つは、Pd-木炭のような遷移金属触媒の存在下での水素による還元である。ウォルフ−キシュナー又はその変形による還元も可能である。最初に、ヒドラジン又は例えば1,2-ビス(t-ブチルジメチルシリル)ヒドラジンのようなヒドラジン誘導体を用いて、ケトンをヒドラゾンに変換し、強塩基反応条件と加熱により分解してジフェニルメタンと窒素を生成する。この反応は1段階の反応で行ってもよいし、あるいは、2つの反応段階に分けてヒドラゾン又はその誘導体を単離してから行ってもよい。好適な塩基としては、例えばKOH、NaOH又はKOtBu等が挙げられ、例えば、エチレングリコール、トルエン、DMSO、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール又はt-ブタノール等の溶媒を用いる。溶媒を用いない反応も可能である。この反応は、温度20〜250℃、好ましくは80〜200℃で行えばよい。ウォルフ−キシュナー還元の塩基条件のかわりに、酸条件下で起きるクレメンゼン還元があるが、これも本件で使用可能である。
ダイアグラム3:合成方法2




























【0056】
【化15】

【0057】
合成方法2(ダイアグラム3)では、トリメチルシリルアセチレン置換ジフェニルメタンを例として示す式II'のハロゲン−芳香族基の合成について、もう一つの実施可能な方法が示されている。ヨウ素、臭素、塩素又は例えばトリフルオロメチルスルホネートのようなスルホネートから選択される2個の基を担持する芳香族基を出発物質として、遷移金属を触媒としたモノカップリングを介して、ジハロ芳香族化合物の反応性の高い末端、即ち、ヨウ素−炭素結合部位にアルキン基を結合させる(ステップ1)。使用する触媒は、例えばパラジウムもしくはニッケル元素又はその塩もしくは錯体である。アルキン自体を使って反応を行うことも、また、アルキンから得られる金属アセチリデンで反応を行うこともできる。アルキン自体を使用する場合は、例えばNEt3等の塩基と例えばCulのような銅塩等を共触媒として存在させてカップリングを行えばよい(園頭カップリング)。反応はトリメチルシリルアセチレンに限定されないが、多数の末端アルキンの使用を要する。この反応についてはあらゆる変形例が文献に広範にわたって記録されている(P.J. Stang、F. Diederich著、Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions、Wiley-VCH、ワインハイム、1997、Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 1566-1568頁及びこの中で引用されている文献参照)。ジフェニルメタン誘導体を製造するための他の2つのステップには、アルキン置換芳香族基の官能基を交換して(transfunctionalising)、例えば本願明細書前記記載のようなハロゲン−金属交換により調製できる金属化(Mg、Li)芳香族基を得ることが含まれる(ステップ2)。この金属化芳香族化合物は、このまま直接使用することも、あるいは更なる金属交換を行ってから使用することもできるが、ベンズアルデヒド誘導体に添加する。これにより、ダイアグラムに示すジフェニルメタノールが形成される。あるいは、安息香酸エステル、無水安息香酸、塩化物等の安息香酸誘導体もしくは安息香酸そのもの、又はベンゾニトリルを使用することも可能である。アルコールのかわりに対応のケトンが形成されるが、これは前記記載のフリーデル−クラフツ反応アシル化により得ることもできる。ジフェニルメタン誘導体を形成するためのアルコール及びケトンいずれとの反応についてもすでに説明したとおりである(ステップ3)。トリメチルシリルエチニル化芳香族ハロゲン化合物は、金属交換後、直接所望の生成物に変換することもできる(ステップ4)。このようにするためには、ハロゲン−金属交換後に得られたリチウム又はマグネシウム芳香族基を、臭化ベンジル又は塩化ベンジルなどのようなベンジル求電子と反応させる。この反応は、例えば銅塩又はパラジウム錯体等のような遷移金属触媒なしでも行えるが、このような触媒の存在下で行うことが好ましい(例えば、Org. Lett. 2001, 3, 2871-2874頁及びこの中に引用されている文献参照)。例えば、芳香族リチウム基又は芳香族マグネシウム基も最初に金属交換を行って、対応のホウ酸、ホウ酸エステル、スタナン、シラン又は亜鉛化合物とすることができる。その後、例えばパラジウム、ニッケル、ロジウム、銅又は鉄等の遷移金属を用いてベンジル基に結合させる(L. Brandsma、S.F. Vasilevsky、H.D. Verkruijsse著「Application of Transition Metal Catalysts in Organic Synthesis」Springer-Verlag社発行、ベルリン/ハイデルベルグ、1998、参照)。ステップ2及び3又はステップ4による式II'の中間生成物に至るアルキン置換芳香族基の反応は、ここではR3がエチニル又はトリメチルシリルエチニルを表すものとして例示しているが、他のR3−置換芳香族基の場合も同様に反応を行うことができる。
ダイアグラム4:合成方法3
【0058】
【化16】

【0059】
合成方法3(ダイアグラム4)は合成方法2の代案を示すもので、これも芳香族トリメチルシリルエチニル基II'を例として挙げるが、これに限定されるものではない。Hal基、即ち、塩素、臭素もしくはヨウ素のハロゲン原子、又は、例えばトリフルオロメタンスルホネート等の擬ハロゲン基と、金属中心M、即ち、例えばB(OH)2、Si(OAlk)3又はSnBu3基等の金属中心の両方を有する芳香族基から合成は開始される。このようにして「活性化」された2つの核を順次化学的に選択して交換すればよい。これは、合成方法3においては、まず第一に、例えばいわゆる園頭カップリング等のような遷移金属触媒による反応でハロゲン原子Halをアルキン置換基と交換する例によって示される。第2のステップでは、別の遷移金属触媒によるカップリングで、金属中心Mを、例えばハロゲン化ベンジルとして活性化されたベンジル基と交換し、所望の生成物を得る(例えば、Tetrahedron Lett. 2003, 44, 9255-9258頁及びこの中に引用されている文献参照)。これらのステップは両方共に、例えばパラジウム、ロジウム、ニッケル、銅又は鉄等の遷移金属あるいはそれらの錯体を用いて行うことができる。この反応は両者ともに、文献に詳述されている。方法はここに示す方法に限定されるものではないが、この2つの反応ステップの順番を逆にしたものもよい。この場合、金属中心Mが最初にベンジル基に結合し、その後、ハロゲン又は擬ハロゲン基Halがアルキンと交換される。
一般式Iの化合物を調製するには、本発明によるプロセスa)において一般式IIの化合物:
【0060】
【化17】

【0061】
(式中、R’、R1〜R5は本願明細書前記で定義したとおりであり、
8a、R8b、R8c、R8dは本願明細書で定義したとおりであり、互いに独立して例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリアルキルシリル、ベンジル又は置換ベンジルを表すか、あるいは、それぞれの場合において2つの隣接する基、R8a、R8b、R8c、R8dが、ベンジリデンアセタールもしくはイソプロピリデンケタールを形成するか、又は、ブチレン基の2位及び3位を介してピラノース環の酸素原子に結合し、それらと共に置換ジオキサンを形成する2,3-ジメトキシ-ブチレン基を形成する。)であって、本願明細書に記載のように得ることができる化合物IIを、ルイス酸又はブレンステッド酸の存在下、還元剤と反応させる。
この反応に好適な還元剤としては、例えば、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリイソプロピルシラン又はジフェニルシラン等のシラン類、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン類、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム又はヨウ化サマリウム等が挙げられる。還元は、例えば塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸等の好適なブレンステッド酸、あるいは、例えば三フッ化ホウ素エーテラート、トリメチルシリルトリフレート、四塩化チタン、四塩化スズ、スカンジウムトリフレート又はヨウ化亜鉛等のルイス酸の存在下、あるいはそれらを使わずに行われる。還元剤及び酸に応じて、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、水又はこれらの混合物等の溶媒中、-60℃〜120℃で反応を行えばよい。特に好適な試薬の組合せの1つとして、例えば、トリエチルシランと三フッ化ホウ素エーテラートからなる組合せが挙げられるが、これはアセトニトリル又はジクロロメタン中、-60℃〜60℃で使用するのが好都合である。さらに、前述の変換を行うには、例えば、パラジウム−木炭又はラネーニッケル等の遷移金属触媒の存在下、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、水又は酢酸等の溶媒中で水素を使用することもできる。
あるいは、本発明による方法b)にしたがって式Iの化合物を調製するには、下記一般式III:
【0062】
【化18】

【0063】
(式中、R1〜R5は本願明細書前記で定義したとおりであり、
8a〜R8dは本願明細書で定義した保護基の1つを表し、例えば、アシル、アリールメチル、アセタール、ケタール又はシリル基を指し、これらは例えば、本願明細書記載の式IIで表される化合物を還元することで得られる。)の化合物において、該保護基が開裂される。
アシル保護基が使用されている場合、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水等の水性溶媒中で、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸等の酸の存在下、あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属塩基の存在下、あるいは、例えばヨードトリメチルシランの存在下で中性状態で、温度0〜120℃、好ましくは10〜100℃で加水分解により開裂させる。トリフルオロアセチル基の場合は、塩酸等の酸を用いて、任意であるが酢酸等の溶媒の存在下、50〜120℃で処理するか、あるいは、水酸化ナトリウム溶液を用いて、任意であるがテトラヒドロフラン又はメタノール等の溶媒の存在下、0〜50℃で処理することによって開裂させることが好ましい。
アセタール又はケタール保護基が使用されている場合は、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水等の水性溶媒中で、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸等の酸の存在下、あるいは、例えばヨードトリメチルシランの存在下で中性状態で、温度0〜120℃、好ましくは10〜100℃で加水分解により開裂させる。
【0064】
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性溶媒混合物又はメタノールもしくはエタノールのような低級アルコール中、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドのような塩基の存在下で開裂させる。水性溶媒又はアルコール系溶媒において、例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸等の酸も好適である。有機溶媒中での開裂、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンなどの有機溶媒中では、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム等のようなフッ化物試薬の使用も適している。
ベンジル、メトキシベンジル又はベンジルオキシカルボニル基は、例えば、パラジウム/木炭のような触媒の存在下、メタノール、エタノール、酢酸エチル又は無水酢酸等の好適な溶媒中、任意で塩酸等の酸を加えて、0〜100℃、好ましくは20〜60℃の周囲温度で、1〜7barの水素圧、好ましくは3〜5barの水素圧で、例えば水素を用いて水素化分解で開裂させることが有利である。2,4-ジメトキシベンジル基の場合は、アニソールの存在下でトリフルオロ酢酸中で開裂させるのが好ましい。
t-ブチル基又はt-ブチルオキシカルボニル基は、トリフルオロ酢酸又は塩酸等の酸で処理するか、あるいはヨードトリメチルシランで処理して開裂することが好ましく、任意で塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテル等の溶媒を使ってもよい。
本願明細書前記記載の反応において、エチニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基等の存在するいずれの反応基も、従来からの保護基で反応中は保護することができ、反応後は再び開裂される。
例えば、エチニル基の保護基は、トリメチルシリル基又はトリイソプロピル基がよい。2-ヒドロキシイソプロパ-2-イル基もまた保護基として使用することができる。
例えば、ヒドロキシル基の保護基は、トリメチルシリル基、アセチル基、トリチル基、ベンジル基又はテトラヒドロピラニル基が好ましい。
【0065】
アミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、メトキシベンジル基又は2,4-ジメトキシベンジル基が好ましい。
さらに、得られた一般式Iの化合物は、本願明細書前記記載のとおり鏡像異性体及び/又はジアステレオ異性体に分離してもよい。例えば、シス/トランス混合物をそれらのシス異性体及びトランス異性体に分離したり、少なくとも1個の光学活性炭素原子を有する化合物を鏡像異性体に分割することもできる。
具体的には、クロマトグラフィーによってシス/トランス混合物をシス異性体及びトランス異性体に分離することができ、また、ラセミ体として得られた一般式Iの化合物は、それ自体公知の方法(Allinger N. L.及びEliel E. L.「Topics in Stereochemistry」第6巻、Wiley Interscience(1971)参照)によって鏡像異性体に分割することができる。また、少なくとも2個の不斉炭素原子を有する一般式Iの化合物は、それ自体公知の方法、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別晶出によって、それぞれの物理化学的相違を基にしてジアステレオ異性体に分割することができる。また、化合物がラセミ体の形で得られた場合、上記のように引き続き鏡像異性体に分離することができる。
【0066】
鏡像異性体は、キラル相によるカラム分離又は光学活性溶媒からの再結晶によって分離することが好ましい。あるいは、該ラセミ化合物と一緒になって塩又はエステルもしくはアミド等の誘導体を形成する光学活性物質、とりわけ酸及びそれらの活性化誘導体又はアルコールと反応させ、得られた塩又は誘導体のジアステレオ異性体混合物を、例えば溶解度の違いをもとにして分離しながら、遊離している鏡像異性体を純粋なジアステレオ異性体の塩又は誘導体から好適な物質の作用を利用して放出させて分離することが好ましい。一般に使用される光学活性酸としては、例えば、D体及びL体の酒石酸、又はジベンゾイル酒石酸、ジ−o−トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸が挙げられる。光学活性アルコールとは、例えば、(+)又は(-)-メントールがよく、アミドにおける光学活性アシル基としては、例えば、(+)又は(-)-メンチルオキシカルボニルがよい。
さらに、式(I)の化合物は塩に変換してもよく、特に製薬学的使用には、無機酸又は有機酸を用いて医薬的に許容できる塩に変換することができる。この目的のために使用できる酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸等が挙げられる。
さらに、得られた化合物をアミノ酸、とりわけプロリン又はフェニルアラニンのようなα−アミノ酸との例えば1:1又は1:2の混合物に変換することができる。これらは高結晶性というような特に好適な特性を有することができる。
本発明の化合物は後述の実施例に記載の方法を用いても有利に得ることができるが、これらの方法を、当該目的のために、当業者には文献から公知の方法、なかでも例えばWO98/31697、WO01/27128、WO02/083066、WO03/099836及びWO2004/063209に記載の方法と組み合わせることもできる。
既に記載のとおり、本発明による一般式Iの化合物及びその医薬的に許容される塩は、有用な薬理学的特性を有し、特に、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、好ましくはSGLT2の抑制効果を有する。
【0067】
この新規化合物の生物学的特性は、以下のようにして調べることができる。
物質のSGLT−2活性抑制能は、CHO-K1セルライン(ATCC No. CCL 61)あるいはHEK293セルライン(ATCC No. CRL-1573)に発現ベクターpZeoSV(Invitrogen、EMBLアクセション番号L36849)が安定して取り込まれ、かつ、ヒトのナトリウムグルコース共輸送体2(Genbank Acc. No.NM_003041)(CHO-hSGLT2又はHEK-hSGLT2)のコード配列用のcDNAをふくむ、試験装置で実証することができる。このセルラインは、14Cで標識されたα-メチル-グルコピラノシド(14C-AMG、アメルシャム社製)をナトリウム依存的に細胞の内部に運ぶ。
以下のようにしてSGLT−2アッセイを行う。
ハムF12培地(BioWhittaker社製)中、CHO-hSGLT2細胞で10%ウシ胎児血清及び250μg/mlのゼオシン(zeocin、Invitrogen社製)を培養し、一方、DMEM培地中、HEK293-hSGLT2細胞で10%ウシ胎児血清及び250μg/mlのゼオシン(zeocin、Invitrogen社製)を培養する。PBSで二度洗った後、トリプシン/EDTAで処理を行い細胞を培養フラスコから取り出す。細胞培地を加えて細胞を遠心分離にかけ、培地に再懸濁させ、Casyセルカウンターで数える。さらに、ポリ-D-リジンを塗布した白色96ウェルプレートに1ウェルにつき40,000細胞となるように接種し、37℃、CO25%で培養する。250マイクロリットルのアッセイ緩衝液(ハンクス平衡塩溶液、137mMのNaCl、5.4mMのKCl、2.8mMのCaCl2、1.2mMのMgSO4及び10mMのHEPES(pH7.4)、50μg/mlのゲンタマイシン)で、細胞をニ度洗浄する。その後、250μlのアッセイ緩衝液と5μlのテスト化合物を各ウェルに加え、培養器中でさらに15分間培養する。5μlの10%DMSOをネガティブコントロールとして使用する。各ウェルに5μlの14C-AMG(0.05μCi)を添加することにより反応を開始する。37℃、CO25%で2時間培養した後、250μlのPBS(20℃)で細胞を再度洗浄し、25μlの0.1N水酸化ナトリウムを加えて溶解させる(5分、37℃)。200μlのMicroScint20(パッカード社製)を各セルに加え、37℃でさらに20分間培養を続ける。培養終了後、吸収した14C-AMGの放射能を、Topcount(パッカード社製)で14Cシンチレーションプログラムを用いて測定する。
【0068】
ヒトSGLT1についての選択性を求めるには、hSGLT2用cDNAの替わりにhSGLT1用cDNA(Genbank Acc. No. NM000343)を、CHO-K1又はHEK293細胞で発現させて、同様のテストを行う。
本発明の一般式Iの化合物のEC50値は、1000nM未満、好ましくは200nM未満、最も好ましくは50nM未満であるとよい。
SGLT活性の抑制能を鑑みて、本発明の一般式Iの化合物及びそれらの対応する医薬的に許容される塩は、SGLT活性、とりわけSGLT−2活性の抑制が効果的なすべての症状又は疾患の治療及び/又は予防治療に理論上好適である。そのため、本発明の化合物は、疾病、なかでも代謝性障害又は症状、例えば1型及び2型糖尿病、糖尿病の合併症(例えば、網膜症、腎症又は神経症、糖尿病による足の壊疽、大血管症)、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖症、高インシュリン血症、グルコース代謝障害、インシュリン抵抗性、メタボリックシンドローム(代謝症候群)、異なる原因による異脂肪血症、アテローム性動脈硬化及び関連する疾患、肥満、高血圧症、慢性心臓発作、浮腫及び高尿酸血症等の予防又は治療に特に適している。また、本発明の物質は、例えば、膵臓ベータ細胞のアポトーシス又はネクローシスといったベータ細胞変性の予防にも適している。さらに、膵臓細胞の機能の改善又は回復や、膵臓ベータ細胞の数を増やし、大きさを増大させるのにも適している。本発明の化合物は、利尿剤又は抗高血圧薬としても使用することができ、さらに、急性腎臓障害の予防や治療にも適している。
なかでも、本発明の化合物はそれらの医薬的に許容される塩も含み、糖尿病、特に1型及び2型糖尿病及び/又は糖尿病の合併症の予防又は治療に好適である。
【0069】
治療又は予防に対応する活性を得るのに必要な投与量は、通常、投与する化合物、患者、疾患又は症状の状態や重篤度及び投与方法や投与回数によって変わるものであり、患者の医者が決めることである。便宜上であるが、静脈投与の場合の投与量は1〜100mgが好都合であり、1〜30mgがより好ましく、経口投与の場合は1〜1000mgが好都合であり、1〜100mgがより好ましく、どちらの場合も1日1〜4回投与である。この目的のために、本発明にしたがって調製された式Iの化合物は、任意であるが他の有効成分と一緒にして、1種以上の従来からの不活性担体及び/又は希釈剤、例えば、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は固形脂肪等の脂肪含有物質、あるいはこれらの好適な混合物等と共に処方して、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤又は坐剤等の従来からの生薬を作製することができる。
【0070】
また、本発明の化合物は、とりわけ前記の疾病や症状の治療及び/又は予防を目的として、他の有効成分とともに使用することができる。このような組合せに好適な有効成分としては、例えば、記載した徴候の中の1つについて、本発明によるSGLT拮抗薬の治療効果を増強させる有効成分、及び/又は、本発明のSGLT拮抗薬の投与量を減らすことができる有効成分が挙げられる。このような組合せに適した治療薬としては、例えば、メトホルミン、スルホニル尿素化合物類(例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン類(例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR-ガンマ作動薬(例えばGI262570)及び拮抗薬、PPAR-ガンマ/アルファモジュレータ(例えばKRP297)、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬(例えばアカルボーズ、ボグリボーズ)、DPP-IV阻害剤(例えばLAF237、MK-431)、アルファ2−拮抗薬、インシュリン及びその類似物、GLP-1及びその類似物(例えばエキセンディン-4)又はアミリン等の抗糖尿病剤が挙げられる。また、このリストには、タンパク質チロシンホスファターゼ1の阻害剤、肝臓中で規制のなくなったグルコース産生に影響を及ぼす物質、例えば、グルコース−6−ホスファターゼの阻害剤もしくはフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、グリコゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルカゴン受容体拮抗薬及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害剤、グリコゲンシンターゼキナーゼ阻害剤もしくはピルビン酸デヒドロキナーゼ阻害剤、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤(例えばシンバスタチン、アトロバスタチン)等の脂質低下剤、フィブラート系薬剤(例えばベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸及びその誘導体、PPAR-アルファ作動薬、PPAR-デルタ作動薬、ACAT阻害剤(例えばアヴァシミブ(avasimibe))、又は例えばエゼチミブ等のコレステロール再吸収阻害剤、例えばコレスチラミン等の胆汁酸結合物質、回腸への胆汁酸輸送の阻害剤、例えばCETP阻害剤もしくはABC1調整剤などのHDLを上昇させる化合物、あるいは肥満治療の有効成分で、例えば、シブトラミンもしくはテトラヒドロリポスタチン、デックスフェンフルラミン、アクソキン、カンナビノイド1受容体の拮抗薬、MCH-1受容体拮抗薬、MC4受容体作動薬、NPY5もしくはNPY2拮抗薬、又はSB-418790もしくはAD-9677等のβ3−作動薬、ならびに5HT2c受容体の作動薬などが含まれる。
【0071】
さらに、例えばA-II拮抗薬もしくはACE阻害剤、ECE阻害剤、利尿薬、β−ブロッカー、カルシウム拮抗薬、中枢作用性の抗高血圧薬、α-2-アドレナリン受容体の拮抗薬、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、血小板凝集阻害剤等の高血圧、慢性心臓発作又はアテローム性動脈硬化症に効果を及ぼす医薬品、又はこれらを組合せたものと本化合物を共に使用することが好適である。アンギオテンシンII受容体拮抗薬の例としては、candesartan cilexetil、ロサルタンカリウム、エプロサルタンメシレート(eprosartan mesylate)、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT-3-671、GA-0113、RU-64276、EMD-90423、BR-9701等が挙げられる。アンギオテンシンII受容体拮抗薬は高血圧症や糖尿病の合併症の治療又は予防用として好ましく使用され、ヒドロクロロチアジドのような利尿剤とともに用いることが多い。
尿酸合成阻害薬又は尿酸排泄促進薬との組合せは、痛風の治療又は予防に好適である。
GABA-受容体拮抗薬、ナトリウムチャンネルブロッカー、トピラマット(topiramat)、タンパク質キナーゼC阻害薬、終末糖化産物阻害薬又はアルドース還元酵素阻害薬との組合せは、糖尿病合併症の治療又は予防に使用することができる。
【0072】
前記の組合せパートナーの投与量は、通常推奨される最小投与量の1/5から通常推奨投与量の1/1までで有効である。
そのため、本発明のもう一つの態様は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することによって効果のある疾病又は症状の治療又は予防に好適な医薬組成物を製造するための、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩と、上記有効成分のうちの少なくとも1種をパートナーとして組合せて使うことに関する。これらの疾病又は症状とは、好ましくは代謝性障害、とりわけ前記に挙げた疾患又は症状の1つであり、なかでも糖尿病又は糖尿病の合併症である。
本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩を別の有効成分とともに使う場合、同時でも交互でもよいが、短時間にうちに使用することが好ましい。これらを同時投与する場合、2種の有効成分を一緒にして患者へ投与するが、この2種の有効成分を交互に投与する場合は、2種の成分は12時間以内、とりわけ6時間以内に患者に投与する。
【0073】
したがって、本発明の別の態様は、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩と、前記の組合せパートナーとしての有効成分を少なくとも1種、さらには任意で1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物に関する。
例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の式Iで表される化合物又はその医薬的に許容される塩と、少なくとも1種のアンギオテンシンII受容体拮抗薬と、任意であるが1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤との組合せで構成される。
本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩と、組合せに用いる付加的有効成分は、単一の調剤、例えば錠剤又はカプセル剤に一緒に存在していてもよいし、あるいは、いわゆる「キットオブパーツ(kit-of-parts)」として2つの同一又は異なる調剤に別々に存在させてもよい。
本文前記及び後記において、水酸基の水素原子は構造式中にいずれの場合も明示していない。下記の実施例は本発明の説明を目的とするものであり、本発明を限定するものではない。
出発化合物の調製
実施例I







【0074】
【化19】

【0075】
(5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-メトキシ-フェニル)-メタノン
38.3mlの塩化オキサリルと0.8mlのジメチルホルムアミドを、100gの5-ブロモ-2-クロロ-安息香酸と500mlのジクロロメタンとの混合物に添加する。反応混合物を14時間攪拌した後、濾過を行い回転式エバポレータですべての揮発性成分を留去する。残渣を150mlのジクロロメタンに溶解し、得られた溶液を-5℃まで冷却し、46.5gのアニソールを添加する。その後、温度が5℃を超えないようにしながら51.5gの三塩化アルミニウムを少しずつ添加する。1〜5℃でさらに1時間攪拌して、溶液を氷に投入する。有機相を取り除き、水性相をジクロロメタンでさらに3回抽出する。有機相を併せて、1M塩酸水溶液で洗浄し、1M水酸化ナトリウム水溶液で2回、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。その後、有機相を乾燥させ、溶媒を取り除き残渣をエタノールで再結晶させる。
収量:86.3g(理論量の64%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 325/327/329 (Br+Cl) [M+H]+
以下の化合物も実施例Iと同様にして得られる。
(1)(5-ブロモ-2-ヨード-フェニル)-(4-エトキシ-フェニル)-メタノン
【0076】
【化20】

【0077】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 431/433 (Br) [M+H] +
(2)(5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-ヨード-フェニル)-メタノン
【0078】
【化21】

【0079】
実施例II
【0080】
【化22】

【0081】
4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼン
86.2gの(5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-メトキシ-フェニル)-メタノンと101.5mlのトリエチルシランを75mlのジクロロメタンと150mlのアセトニトリルに溶解した溶液を、10℃まで冷却する。その後、攪拌しながら、温度が20℃を超えないように50.8mlの三フッ化ホウ素エーテラートを添加する。周囲温度で溶液を14時間攪拌してから、さらに9mlのトリエチルシランと4.4mlの三フッ化ホウ素エーテラートを添加する。溶液を45〜50℃でさらに3時間攪拌し、周囲温度まで冷却する。28gの水酸化カリウムを70mlの水に溶解した溶液を添加し、混合物を2時間攪拌する。さらに、有機相を取り除き、水性相をジイソプロピルエーテルでさらに3回抽出する。有機相を併せて、2M水酸化カリウム溶液で2度洗浄し、塩化ナトリウム水溶液で1度洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒分を取り除いた後、残渣をエタノール中に攪拌し、再度分離させ60℃で乾燥させる。
収量:50.0g(理論量の61%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 310/312/314 (Br+Cl) [M+H]+
以下の化合物も実施例IIと同様にして得られる。
(1)4-ブロモ-1-ヨード-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼン
【0082】
【化23】

【0083】
質量スペクトル(ESI+):m/z =434/436 [M+NH4] +
(2)4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-ヨード-ベンジル)-ベンゼン
【0084】
【化24】

【0085】
実施例III
【0086】
【化25】

【0087】
4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノール
14.8gの4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼンを150mlのジクロロメタンに溶解した溶液を氷浴で冷却する。50mlの1Mの三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液を添加し、溶液を周囲温度で2時間攪拌する。溶液を再度氷浴で冷却し、飽和炭酸カリウム溶液を滴下する。1M塩酸水溶液を用いて、周囲温度で混合物をpH1に調整し、有機相を取り除き、水性相を酢酸エチルでさらに3回抽出する。有機相を併せて、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒分を完全に取り除く。
収量:13.9g(理論量の98%)
質量スペクトル(ESI-):m/z = 295/297/299 (Br+Cl) [M-H]-
実施例IV
【0088】
【化26】

【0089】
[4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノキシ]-t-ブチル-ジメチル-シラン
13.9gの4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノールを含む140mlジクロロメタン溶液を氷浴で冷却する。その後、7.54gのt-ブチルジメチルシリルクロライドを含む20mlのジクロロメタンを添加し、9.8mlのトリエチルアミンと0.5gのジメチルアミノピリジンとをさらに添加する。溶液を周囲温度で16時間攪拌した後、100mlのジクロロメタンで希釈する。有機相を1M塩酸水溶液で2回洗浄し、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を取り除き、残渣をシリカゲルで濾過する(シクロヘキサン/酢酸エチル=100:1)。
収量:16.8g(理論量の87%)
質量スペクトル(EI):m/z = 410/412/414 (Br+Cl) [M]+
実施例V


【0090】
【化27】

【0091】
1-ブロモ-4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンゼン
アルゴン雰囲気下、11.6mlのトリイソプロピルアセチレン及び14.4mlのトリエチルアミン、さらに0.2gのヨウ化銅と0.73gのビス-(トリフェニルホスフィン)-塩化パラジウム(II)を、15.0gの1-ブロモ-4-ヨード-ベンゼンを含む無酸素の150ml乾燥テトラヒドロフラン溶液に添加する。溶液を周囲温度で16時間攪拌した後、セライトで濾過し蒸留する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで処理する(シクロヘキサン)。
収量:17.4g(理論量の100%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 336/338 (Br) [M]+
以下の化合物は実施例Vと同様にして得られる。
(1)4-ブロモ-1-(トリイソプロピルシリルエチニル)-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼン
本願明細書記載のカップリング反応に、4-ブロモ-1-ヨード-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼンを出発物質として用いる。
【0092】
【化28】

【0093】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 471/473 (Br) [M+H] +
(2)[4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シラン
出発物質として、4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-ヨード-ベンジル)-ベンゼンを用いる。
【0094】
【化29】

【0095】
本化合物は実施例Xに従って得ることもできる。
実施例VI
【0096】
【化30】

【0097】
(5-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-{4-[(トリイソプロピルシリル)-エチニル]-フェニル}-メタノール
33.8mlのn-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液を、アルゴン雰囲気下、17.4gの1-ブロモ-4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンゼンを含む120mlの乾燥テトラヒドロフラン溶液(-78℃に冷却)に滴下する。溶液を-70℃で1時間攪拌する。その後、10.8gの5-ブロモ-2-フルオロ-ベンズアルデヒドを30mlのテトラヒドロフランに溶解したものを、15分かけて滴下する。得られた溶液を冷却槽内に放置し、一晩で室温にもどす。その後、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルで精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)。
収量:14.3g(理論量の60%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 461/463 (Br) [M+H]+
以下の化合物は実施例VIと同様にして得られる。
(1)(3-ブロモ-フェニル)-{4-[(トリイソプロピルシリル)-エチニル]-フェニル}-メタノール







【0098】
【化31】

【0099】
質量スペクトル(ESI-):m/z = 487/489 (Br) [M+HCOO]-
(2)(5-ブロモ-2-メトキシ-フェニル)-{4-[(トリイソプロピルシリル)-エチニル]-フェニル}-メタノール
【0100】
【化32】

【0101】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 473/475 (Br) [M+H] +
実施例VII
【0102】
【化33】

【0103】
[4-(5-ブロモ-2-フルオロ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シラン
5.6gの(5-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-{4-[(トリイソプロピルシリル)-エチニル]-フェニル}-メタノールと4.1mlのトリエチルシランとを含む50mlのジクロロメタン溶液を、氷浴で冷却する。4.7mlのトリフルオロ酢酸をゆっくりと滴下し、溶液を周囲温度で4時間攪拌する。溶液をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を取り除き、残渣をシリカゲルで精製する(シクロヘキサン)。
収量:2.6g(理論量の48%)
質量スペクトル(EI):m/z = 445/447 (Br) [M]+
以下の化合物は実施例VIIと同様にして得られる。
(1)[4-(3-ブロモ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シラン
【0104】
【化34】

【0105】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 427/429 (Br) [M+H] +
(2)[4-(5-ブロモ-2-メトキシ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シラン
本願明細書前記記載のプロセスから出発する際に、周囲温度ではなく氷浴で反応が終了するまで反応溶液を攪拌する。
【0106】
【化35】

【0107】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 457/459 (Br) [M+H] +
実施例VIII
【0108】
【化36】

【0109】
4-ブロモ-2-ブロモメチル-1-クロロ-ベンゼン
4.0gのN-ブロモスクシンイミドを、5.0gの4-ブロモ-1-クロロ-2-ヒドロキシメチル-ベンゼン及び5.9gのトリフェニルホスフィンを含む50mlのテトラヒドロフラン溶液(5℃に冷却)にゆっくり添加する。周囲温度で1時間攪拌した後、析出物を濾取し、溶媒を真空下で取り除く。残渣をシリカゲルで精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル=50:1)。
収量:4.9g(理論量の76%)
質量スペクトル(EI):m/z = 282/284/286 (Br+Cl) [M]+
実施例IX
【0110】
【化37】

【0111】
(4-ヨード-フェニルエチニル)-トリイソプロピル-シラン
アルゴン雰囲気下、18.0gのヨウ化ナトリウム(乾燥)と0.6gのヨウ化銅と0.8gのN,N'-ジメチル-シクロヘキサン-1,2-ジアミンとを、20.0gの(4-ブロモ-フェニルエチニル)-トリイソプロピル-シラン溶液に添加する。溶液を攪拌しながら24時間還流し、周囲温度に冷却する。1%アンモニア溶液(100ml)を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を取り除き残渣をシリカゲルで精製する(シクロヘキサン)。
収量:21.0g(理論量の92%)
質量スペクトル(EI):m/z = 384 [M]+
実施例X
【0112】
【化38】

【0113】
[4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シラン
アルゴン雰囲気下、0.66mlの塩化イソプロピルマグネシウムの2Mテトラヒドロフラン溶液を、0.50gの(4-ヨード-フェニルエチニル)-トリイソプロピル-シランを含む2.2mlの乾燥テトラヒドロフラン溶液(-25℃に冷却)に滴下する。溶液を-25℃で30分間攪拌した後、0.26mlのCuCN*2 LiClを含む1Mテトラヒドロフラン溶液(CuCN及びLiClを1:2の割合で溶解して調製)と混合する。その直後に、0.35gの4-ブロモ-2-ブロモメチル-1-クロロベンゼンを添加し、反応混合物を冷却槽で-5℃にする。-5℃で6時間攪拌した後、溶液を周囲温度に加熱し、一晩攪拌する。その後、飽和塩化アンモニウム溶液と25%アンモニア溶液の混合物(9:1)を添加し、得られた反応混合物を水に加える。有機相を取り除き、水性相を酢酸エチルで抽出し、有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルで精製する(シクロヘキサン)。
収量:0.28g(理論量の50%)
質量スペクトル(EI):m/z = 461/463/465 (Br+Cl) [M+H]+
実施例XI
【0114】
【化39】

【0115】
2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノン
20gのD-グルコノ-1,5-ラクトンと98.5mlのN-メチルモルホリンとを含む200mlのテトラヒドロフラン溶液を-5℃まで冷却する。その後、85mlのトリメチルシリルクロライドを温度が5℃を超えないように滴下する。さらに、溶液を周囲温度で1時間、35℃で5時間、再度周囲温度で14時間攪拌する。300mlのトルエンを添加した後、溶液を氷浴中で冷却し、500mlの水を温度が10℃を超えないように添加する。有機相を取り除き、リン酸一ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で一度ずつ洗浄する。溶媒を取り除き、残渣を250mlのトルエンに投入し、溶媒を再び完全に取り除く。
収量:52.5 g (純度、約90%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 467 [M+H]+
実施例XII
【0116】
【化40】

【0117】
1-フルオロ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
4.46gの[4-(5-ブロモ-2-フルオロ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シランを含む30mlの乾燥ジエチルエーテル溶液を、アルゴン雰囲気下で-80℃まで冷却する。冷却した溶液に、11.8mlのt-ブチルリチウムの1.7Mペンタン溶液をゆっくり滴下し、溶液を-80℃で45分間攪拌する。その後、5.19gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンを含む50mlのジエチルエーテル溶液(-80℃に冷却)を注射針で前記溶液に滴下する。得られた溶液を-78℃で3時間攪拌する。その後、1.7mlのメタンスルホン酸を溶解した50mlのメタノール溶液を加え、冷却槽を取り外し、溶液を周囲温度で16時間攪拌する。溶液をエチルジイソプロピルアミンで中和し、乾固する。残渣をシリカゲルで精製する(ジクロロメタン/メタノール=50:1->4:1)。
収量:2.8g(理論量の50%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 576 [M+NH4]+
以下の化合物は実施例XIIと同様にして得られる。
(1)1-メトキシ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
有利なことに、反応混合物はわずかに過剰なメタンスルホン酸とのみ混合する。
【0118】
【化41】

【0119】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 588 [M+NH4]+
(2)1-クロロ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
【0120】
【化42】

【0121】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 592/594 (Cl) [M+NH4]+
実施例XIII
【0122】
【化43】

【0123】
1-フルオロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
0.8gの1-フルオロ-4-(1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼンと0.5mlのトリエチルシランとを含む、6mlのジクロロメタン及び10mlのアセトニトリルの溶液を-10℃に冷却する。冷却した溶液に、0.27mlの三フッ化ホウ素エーテラートを滴下する。その後、溶液を氷浴で3時間攪拌する。溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除き、残渣を6mlのジクロロメタンに投入する。さらに、1.2mlのピリジン、1.3mlの無水酢酸及び8mgの4-ジメチルアミノピリジンを添加する。溶液を周囲温度で1時間攪拌し、水と混合する。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を1M塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を取り除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1->1:1)。
収量:0.23g(理論量の23%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 714 [M+NH4]+
以下の化合物は実施例XIIIと同様にして得られる。
(1)1-メトキシ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
【0124】
【化44】

【0125】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 726 [M+NH4]+
(2)1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
【0126】
【化45】

【0127】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 730/732 (Cl) [M+NH4]+
実施例XIV
【0128】
【化46】

【0129】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
2.6gの[4-(3-ブロモ-ベンジル)-フェニルエチニル]-トリイソプロピル-シランを含む20mlの無水ジエチルエーテル溶液を、アルゴン雰囲気下で-80℃に冷却する。冷却した溶液に、7.9mlのt-ブチルリチウムの1.7Mペンタン溶液をゆっくり滴下し、溶液を-80℃で30分間攪拌する。この溶液に、3.2gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンを含む30mlのジエチルエーテル溶液(-80℃に冷却)を注射針で滴下する。得られた溶液を-78℃で2時間攪拌し、1.0gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンを含む別の10mlのジエチルエーテル溶液(-80℃に冷却)を滴下する。-78℃でさらに1時間攪拌した後、2mlのメタンスルホン酸を含む20mlのメタノール溶液を加え、冷却槽を取り外し、溶液を周囲温度で16時間攪拌する。さらに溶液をエチルジイソプロピルアミンで中和させ、溶媒を完全に取り除き、残渣を50mlのトルエンに投入する。8.5mlのエチルジイソプロピルアミンを加えて、溶液を氷浴で冷却する。その後、4.3mlの無水酢酸と0.15gの4-ジメチルアミノピリジンを添加する。溶液を周囲温度で2時間攪拌して、炭酸水素ナトリウム水溶液と混合する。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1->1:3)。
収量:2.0g(理論量の46%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 726 [M+NH4]+
以下の化合物は実施例XIVと同様にして得られる。
(1)1-(トリイソプロピルシリルエチニル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼン
【0130】
【化47】

【0131】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 770 [M+NH4]+
実施例XV
【0132】
【化48】

【0133】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン
1.2mlのトリエチルシランと0.36mlの三フッ化ホウ素エーテラートを、1.0gの1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼン及び25μlの水を含む、10mlのアセトニトリルの氷冷した溶液に滴下する。この溶液を氷浴で3時間攪拌し、さらに周囲温度で1時間攪拌する。その後、溶液を再び氷浴で冷却し、さらに1.2mlのトリエチルシランと0.36mlの三フッ化ホウ素エーテラートとを加える。溶液を氷浴でさらに0.5時間攪拌し、周囲温度で2時間攪拌する。この溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、得られた溶液を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。
収量:0.78g(理論量の81%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 696 [M+NH4]+
以下の化合物は実施例XVと同様にして得られる。
(1)1-(トリイソプロピルシリルエチニル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼン
【0134】
【化49】

【0135】
実施例XVI
【0136】
【化50】

【0137】
1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン
4.0gの[4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノキシ]-t-ブチル-ジメチル-シランを含む42mlの無水ジエチルエーテル溶液を、アルゴン雰囲気下で-80℃に冷却する。冷却した溶液に、11.6mlのt-ブチルリチウムの1.7Mペンタン溶液をゆっくり滴下し、得られた溶液を-80℃で30分間攪拌する。この溶液を、4.78gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンを含む38mlのジエチルエーテルの溶液(-80℃に冷却)に、ドライアイスで冷却しながら注射針で滴下する。得られた溶液を-78℃で3時間攪拌する。さらに、1.1mlのメタンスルホン酸を含む35mlのメタノール溶液を加え、周囲温度で16時間攪拌する。さらに溶液を炭酸水素ナトリウム(固形)で中和させ、酢酸エチルを加えてメタノールをエーテルとともに取り除く。残った溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出する。有機相を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥させて蒸発させる。残渣を30mlのアセトニトリルと30mlのジクロロメタン中に溶解させ、この溶液を-10℃に冷却する。4.4mlのトリエチルシランを加えた後、2.6mlの三フッ化ホウ素エーテラートを温度が-5℃を超えないように滴下する。滴下終了後、溶液を-5〜-10℃でさらに5時間攪拌し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を終わらせる。有機相を取り除き、水性相を酢酸エチルで4回抽出する。有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除き残渣をシリカゲルで精製する。こうして得られた生成物は約6:1のβ/α混合物であり、これは、ジクロロメタン中で無水酢酸とピリジンを用いて水酸基を完全にアセチル化し、エタノール中で生成物を再結晶させることで純粋なβ-アノマーに変換することができる。こうして得られた生成物をメタノール中で4M水酸化カリウム溶液と反応させて標記の化合物に変換する。
収量:1.6g(理論量の46%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 398/400 (Cl) [M+H]+
実施例XVII
【0138】
【化51】

【0139】
1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
10mgの4-ジメチルアミノピリジンを、0.38gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼンと、0.21mlのトリエチルアミンと、0.39gのN,N-ビス-(トリフルオロメタンスルホニル)-アニリンとを含む10mlの乾燥ジクロロメタン溶液に加える。この溶液を周囲温度で4時間攪拌し、塩化ナトリウム水溶液と混合する。これを酢酸エチルで抽出し、有機抽出相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで処理する(ジクロロメタン/メタノール=1:0->4:1)。
収量:0.33g(理論量の64%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 530/532 (Cl) [M+NH4]+
実施例XVIII








【0140】
【化52】

【0141】
2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-グルコピラノン
4gの新たに活性化させたモレキュラーシーブ4Åと、3.3gのN-メチルモルホリン-N-オキサイドとを、10.0gの2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-グルコピラノースを含む140mlのジクロロメタン溶液に加える。溶液を周囲温度で20分間攪拌した後、0.3gの過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムを添加する。周囲温度で2時間攪拌した後、溶液をジクロロメタンで希釈し、セライトで濾過する。濾液をチオ硫酸ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を除去してから、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)。
収量:8.2g(理論量の82%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 539 [M+H]+
実施例XIX
【0142】
【化53】

【0143】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-ヒドロキシ-D-グルコピラノス-1-イル)-3-[4-(t-ブチル-ジメチル-シリルオキシ)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼン
0.34gの[4-(5-ブロモ-2-メチル-ベンジル)-フェノキシ]-t-ブチル-ジメチル-シランを含む3mlの乾燥テトラヒドロフラン溶液を、アルゴン雰囲気下で-80℃に冷却する。冷却した溶液に、n-ブチルリチウムを含む0.54mlの1.6Mヘキサン溶液を滴下し、溶液を-78℃で1.5時間攪拌する。この溶液に、0.43gの2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-グルコピラノンを含む2.5mlのテトラヒドロフラン溶液(-80℃に冷却)を注射針を使って滴下する。得られた溶液を-78℃で5時間攪拌する。0.1mlの酢酸を含む1mlのテトラヒドロフラン溶液で反応を終了させ、周囲温度まで加熱する。その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで4回抽出する。有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸留する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル=15:1->4:1)。
収量:0.48g(純度:約88%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 868 [M+H]+
実施例XX
【0144】
【化54】

【0145】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-ヒドロキシ-ベンジル)-4-メチル-ベンゼン
0.48g(純度:約88%)の1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-ヒドロキシ-D-グルコピラノジル)-3-[4-(t-ブチル-ジメチル-シリルオキシ)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼンを含む3.5mlの乾燥アセトニトリル溶液を、アルゴン雰囲気下で-40℃まで冷却する。冷却した溶液に、0.13mlのトリイソプロピルシランと0.08mlの三フッ化ホウ素エーテラートを滴下する。溶液を-35℃で3時間攪拌した後、さらに0.02mlのトリイソプロピルシランと0.01mlの三フッ化ホウ素エーテラートとを添加する。-40℃でさらに2時間経過後、炭酸カリウム水溶液を加え、溶液を周囲温度で1時間攪拌する。これを水で希釈し、酢酸エチルで4回抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル=10:1->4:1)。
収量:0.24g(理論量の68%)、質量スペクトル(ESI+):m/z = 738 [M+NH4]+
実施例XXI











【0146】
【化55】

【0147】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-[4-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼン
0.10gのテトラヒドロフラン-3-イルトルエン-4-スルホネートを、0.24gの1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-ヒドロキシ-ベンジル)-4-メチル-ベンゼンと0.13gの炭酸セシウムとを含む2.5mlのジメチルホルムアミドからなる混合物に添加する。この混合物を65℃で4時間攪拌した後、水を添加する。これを酢酸エチルで3回抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルで精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル= 10:1->4:1)。
収量:0.23g(理論量の78%)、質量スペクトル(ESI+):m/z = 808 [M+H]+
実施例XXII
【0148】
【化56】

【0149】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼン
0.62gの1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-ヒドロキシ-ベンジル)-4-メチル-ベンゼンを含む4.5mlの乾燥ジクロロメタン溶液を、アルゴン雰囲気下で-10℃まで冷却する。冷却した溶液に、0.14mlのピリジンと、0.3gの無水トリフルオロメタンスルホン酸を含む0.5mlのジクロロメタン溶液とを加える。溶液を-5〜-10℃で0.5時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。この混合物をジクロロメタンで3回抽出し、有機相を併せて1M塩酸水溶液で洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を取り除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル=15:1->7:1)。
収量:0.62g(理論量の84%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 853 [M+H]+
実施例XXIII
【0150】
【化57】

【0151】
1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-[4-(トリメチルシリルエチニル)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼン
アルゴン雰囲気下、27mgのヨウ化銅、49mgのビス-(トリフェニルホスフィン)-塩化パラジウム(II)、0.30mlのトリエチルアミン、最後に0.14mlのトリメチルシリルアセチレンを、0.60gの1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼンを含む3mlのジメチルホルムアミド溶液に加える。フラスコを密封し、90℃で4時間攪拌する。さらに、20mgのビス-(トリフェニルホスフィン)-塩化パラジウム(II)及び0.6mlのトリメチリシリルアセチレンを加え、溶液を90℃でさらに4時間攪拌する。その後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を取り除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル=40:1->10:1)。
収量:0.45g(理論量の80%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 818 [M+NH4]+
最終化合物の調製
実施例1










【0152】
【化58】

【0153】
1-クロロ-2-(4-シクロペンチルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
0.16mlのヨードシクロペンタンを、0.25gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼンと0.4gの炭酸セシウムとを含む2.5mlのジメチルホルムアミドからなる混合物に添加する。混合物を45℃で4時間攪拌した後、さらに0.1gの炭酸セシウムと0.05mlのヨードシクロペンタンを添加する。45℃でさらに14時間攪拌した後、塩化ナトリウム水溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除き、残渣をシリカゲルを用いて精製する(ジクロロメタン/メタノール=1:0->5:1)。
収量:0.23g(理論量の78%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 466/468 (Cl) [M+NH4]+
以下の化合物は実施例1と同様にして得られる。
(2)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
テトラヒドロフラン-3-イル (S)-トルエン-4-スルホネートをカップリングのパートナーとして反応を行う。
【0154】
【化59】

【0155】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 451/453 (Cl) [M+H]+
(3)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
テトラヒドロフラン-3-イル (R)-トルエン-4-スルホネートをカップリングのパートナーとして反応を行う。


【0156】
【化60】

【0157】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 451/453 (Cl) [M+H]+
(4)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
3-ブロモブチロラクトンをカップリングのパートナーとして反応を行う。
【0158】
【化61】

【0159】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 465/467 (Cl) [M+H]+
(5)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-シクロブチルオキシ-ベンジル)-ベンゼン
【0160】
【化62】

【0161】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 452/454 (Cl) [M+NH4]+
(6)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-シクロヘキシルオキシ-ベンジル)-ベンゼン

【0162】
【化63】

【0163】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 480/482 (Cl) [M+NH4]+
(7)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
【0164】
【化64】

【0165】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 487/489 (Cl) [M+Na]+
(8)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(1-アセチル-ピペリジン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
1-アセチル-4-メチルスルホニルオキシ-ピペリジンを求電子体として反応を行う。
【0166】
【化65】

【0167】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 506/508 (Cl) [M+H]+
(9)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(1-t-ブチルオキシカルボニルピペリジン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
1-t-ブチルオキシカルボニル-4-メチルスルホニルオキシ-ピペリジンを求電子体として反応を行う。



【0168】
【化66】

【0169】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 586/588 (Cl) [M+Na]+
実施例10
【0170】
【化67】

【0171】
1-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-4-メチル-3-[4-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
0.21gの1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-[4-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-4-メチル-ベンゼン及び0.1gの10%水酸化パラジウム−木炭を含む3mlの酢酸エチルからなる混合物を、1気圧の水素圧下、周囲温度で24時間振盪する。さらに、同量の触媒を再度加え、混合物を水素雰囲気下、さらに24時間振盪する。その後、触媒を濾取し、濾液を蒸留し残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで処理する(ジクロロメタン/メタノール= 1:0->5:1)。
収量:0.06g(理論量の49%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 448 [M+NH4]+
実施例11
【0172】
【化68】

【0173】
1-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-4-メチル-3-[4-(2-トリメチルシリル-エチル)-ベンジル]-ベンゼン
0.29gの1-(2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-4-メチル-3-[4-(トリメチルシリルエチニル)-ベンジル]-ベンゼンと0.25gの10%水酸化パラジウム−木炭とを含む3mlの酢酸エチルからなる混合物を、1気圧の水素圧下、周囲温度で24時間振盪する。さらに0.2gの触媒を再度加え、溶液を水素雰囲気下でさらに20時間振盪する。その後、触媒を濾取し、濾液を蒸留し残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで処理する(ジクロロメタン/メタノール= 1:0->5:1)。
収量:0.08g(理論量の51%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 462 [M+NH4]+
実施例12
【0174】
【化69】

【0175】
1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン
アルゴン雰囲気下、25mgのヨウ化銅、44mgのビス-(トリフェニルホスフィン)-塩化パラジウム(II)、0.30mlのトリエチルアミン、そして最後に0.14mlのトリメチルシリルアセチレンを、0.32gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンを含む3mlのジメチルホルムアミド溶液に加える。フラスコを密封し、90℃で8時間攪拌する。さらに、25mgのビス-(トリフェニルホスフィン)-塩化パラジウム(II)及び0.1mlのトリメチルシリルアセチレンを加え、溶液を90℃で10時間攪拌する。さらに、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機相を併せて硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を取り除いた後、残渣を5mlのメタノールに溶解し、0.12gの炭酸カリウムと混合する。混合物を周囲温度で1時間攪拌し、1M塩酸で中和させる。その後、メタノールを留去し、残渣を塩化ナトリウム水溶液と混合し、酢酸エチルで抽出する。抽出した有機相を集め、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで処理する(ジクロロメタン/メタノール= 1:0->5:1)。
収量:0.095g(理論量の40%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 406/408 (Cl) [M+NH4]+
本化合物は、実施例14に従って得ることもできる。
実施例13
【0176】
【化70】

【0177】
1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(ピペリジン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
2mlのトリフルオロ酢酸を、0.19gの1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(1-t-ブチルオキシカルボニルピペリジン-4-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンを含む4mlのジクロロメタン溶液に加える。溶液を周囲温度で1.5時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム水溶液で塩基性にする。有機相を取り除き、水性相を酢酸エチルで抽出する。有機相を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を完全に取り除く。
収量:0.060g(理論量の38%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 464/466 (Cl) [M+H]+
実施例14
【0178】
【化71】

【0179】
1-フルオロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン
0.33mlのフッ化テトラブチルアンモニウムの1Mテトラヒドロフラン溶液を、0.23gの1-フルオロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(トリイソプロピルシリルエチニル-ベンジル)-ベンゼンを含む1.5mlのテトラヒドロフラン溶液に加える。溶液を周囲温度で1時間攪拌する。さらに、1mlのメタノールと1.5mlの4M水酸化カリウム溶液を加え、溶液を周囲温度でもう1時間攪拌する。溶液を1M塩酸で中和させた後、メタノールを留去する。残渣を塩化ナトリウム水溶液と混合し、酢酸エチルで抽出する。抽出した有機相を集めて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除く。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで処理する(ジクロロメタン/メタノール= 19:1->2:1)。
収量:0.060g(理論量の49%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 390 [M+NH4]+
以下の化合物は実施例14と同様にして得られる。
(15)1-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-3-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン
【0180】
【化72】

【0181】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 372 [M+NH4]+
(16)1-エチニル-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エトキシ-ベンジル)-ベンゼン
【0182】
【化73】

【0183】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 416 [M+NH4]+
(17)1-メトキシ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン
【0184】
【化74】

【0185】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 402 [M+NH4]+
実施例(12)の化合物(1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼン)は、実施例14と同様にしても合成できる。任意であるが、中間生成物の1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-エチニル-ベンジル)-ベンゼンは、フッ化テトラブチルアンモニウムによるシリル基の脱保護基処理によって得られるが、これをエタノールから再結晶させて精製してもよい。
【0186】
【化75】

【0187】
質量スペクトル(ESI+):m/z = 406/408 (Cl) [M+NH4]+
下記の化合物も前記実施例及び文献から公知の他の方法と同様にして調製される。


【0188】
【化76】




































【0189】
【化77】








【0190】
【化78】











【0191】
【化79】













【0192】
【化80】








【0193】
【化81】

処方例をいくつか記載するが、その中の「有効成分」という言葉は1種以上の本発明の化合物(その塩も含む)を指す。前記のように1種以上の付加的有効成分との組合せの1つである場合、「有効成分」という言葉は付加的有効成分も含む。
【0194】
実施例A
有効成分100mgを含有する錠剤
組成:
1錠に以下を含む。
有効成分 100.0mg
ラクトース 80.0mg
コーンスターチ 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
調製方法:
有効成分、ラクトース及びスターチを混合し、ポリビニルピロリドンの水溶液で均一に湿らせる。湿った組成物を篩(メッシュサイズ2.0mm)にかけ、ラック型乾燥器に入れて50℃で乾燥させた後、再度、篩(メッシュサイズ1.5mm)にかけ、潤滑剤を加える。最終混合物を圧縮して錠剤を形成する。
錠剤質量:220mg
直径:10mm(両側にファセットのある2平面型で、一方の側面には切り欠きが設けられている。)
【0195】
実施例B
有効成分150mgを含有する錠剤
組成:
1錠に以下を含む。
有効成分 150.0mg
ラクトース(粉末状) 89.0mg
コーンスターチ 40.0mg
コロイダルシリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
調製:
ラクトース、コーンスターチ及びシリカと混合した有効成分を、ポリビニルピロリドン20%濃度の水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩に通す。粒状物を45℃で乾燥させた後、同じ篩に再度通し、所定量のステアリン酸マグネシウムと混合する。混合物を圧縮して錠剤を得る。
錠剤質量:300mg
ダイ:10mm、平面
【0196】
実施例C
有効成分150mgを含有するゼラチンハードカプセル剤
組成:
1カプセル剤に以下を含む。
有効成分 150.0mg
コーンスターチ(乾燥) 約180.0mg
ラクトース(粉末状) 約 87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
調製:
有効成分を賦形剤成分と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩に通し、適当な装置を用いて均一に混合する。最終混合物をゼラチンハードカプセル(サイズ1号)に充填する。
カプセル充填物:約320mg
カプセルのシェル:サイズ1号、ゼラチン系ハードカプセル
【0197】
実施例D
有効成分150mgを含有する坐剤
組成:
坐剤1個に以下を含む。
有効成分 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 840.0mg
2,000.0mg
調製:
坐剤用素材を溶融後、有効成分をその中に均一に分散させ、溶融物を予冷しておいた型に注入する。
【0198】
実施例E
有効成分10mgを含有するアンプル
組成:
有効成分 10.0mg
0.01N塩酸 適量
再蒸留水 適量2.0ml
調製:
有効成分を0.01N塩酸の必要量中に溶解させ、塩化ナトリウムを用いて等張性にし無菌濾過を行い2mlのアンプルに移し入れる。
実施例F
有効成分50mgを含有するアンプル
組成:
有効成分 50.0mg
0.01N塩酸 適量
再蒸留水 適量10.0ml
調製:
有効成分を0.01N塩酸の必要量中に溶解させ、塩化ナトリウムを用いて等張性にし無菌濾過を行い10mlのアンプルに移し入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iで表されるグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異生体、立体異性体、それらの混合物及び塩。
【化1】

(式中、
1はA群の定義から選択されるが、R3がB群の定義から選択される場合は、R1はさらに、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチル基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエチル基、C1-4-アルコキシ、1〜3個のフッ素原子で置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエトキシ基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC2-4-アルコキシ基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ又は水酸基の定義から選択されてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環においては、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO又はCOで置換されていてもよく、
2は、水素、フッ素、塩素、臭素、水酸基、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノ又はニトロを示し、前記アルキル基又はアルコキシ基はフッ素でモノ置換又は多置換されていてもよく、
3は、B群の定義から選択されるが、R1がA群の定義から選択される場合は、R3はさらに、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C14-アルコキシ、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキリデンメチル、水酸基、C1-6-アルコキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、アリール、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、アリールオキシ、アリール-C1-3-アルキル-オキシ、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチルもしくはメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたC2-4-アルキルもしくはC2-4-アルコキシ基、シアノ基で置換されたC1-4-アルキル基、水酸基もしくはC1-3-アルキルオキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、シアノ、カルボキシル、C1-3-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3-アルキルアミノ)カルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イル-カルボニル、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、(C1-4-アルキル)カルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニルアミノ、アリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ又はアリールスルホニルの定義から選択されてもよく、
4、R5は互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、1〜3個のフッ素で置換されたメチルもしくはメトキシ基を表し、
Aは、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、シアノ又はニトロを表し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
Bは、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ニトロ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルファニル又はヘテロアリールスルフィニルを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
Nは、水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル又はC1-4-アルキルスルホニルを表し、
L1は互いに独立して、水酸基、シアノ、ニトロ、C3-7-シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、アリールスルファニル、ヘテロアリールスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びヘテロアリールスルホニルから選択され、
L2は互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノから選択され、
6、R7a
7b、R7cは互いに独立して、水素、(C118-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される定義を表し、
前記の基の定義で記載したアリール基は、同一又は異なるL2基でモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよいフェニル基又はナフチル基を意味し、
前記の基の定義で記載したヘテロアリール基は、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基又はテトラゾリル基を意味するか、あるいは、
1個又は2個のメチン基が窒素原子で置換された、ピロリル基、フラニル基、チエニル基又はピリジル基を意味するか、あるいは、
1個〜3個のメチン基が窒素原子で置換された、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基又はイソキノリニル基を意味し、
前記ヘテロアリール基は、同一又は異なるL2基でモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
特に記載のない限り、前記アルキル基は直鎖又は分岐していてもよい。)
【請求項2】
一般式I.2で表されるグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【化2】

(式中、R1〜R6ならびにR7a、R7b及びR7cは請求項1で定義したとおりである。)
【請求項3】
前記A群が、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、シアノ又はニトロを表し、
前記アルキニル基及びアルケニル基が、フッ素又は塩素によってモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基が、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環が、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
L1及びRNが請求項1で定義されたとおりである、請求項1又は2記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項4】
前記B群が、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-6-アルケン-1-イル、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、ニトロ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル又はC5-7-シクロアルケニルスルホニルを示し、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、フッ素又は塩素でモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記アルキニル基及びアルケニル基は、同一又は異なるL1基でモノ置換又はジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環は、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によってモノ置換又は互いに独立してジ置換されていてもよく、
前記シクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1個又は2個のメチレン基が互いに独立してO、S、CO、SO、SO2又はNRNで置換されていてもよく、
L1及びRNが請求項1で定義されたとおりである、請求項1〜3のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項5】
前記R3基が、請求項1又は4記載の前記B群の定義から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項6】
前記R1基が、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルコキシ、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、1〜3個のフッ素原子で置換したメチル基、1〜5個のフッ素原子で置換したエチル基、1〜3個のフッ素原子で置換したメトキシ基、1〜5個のフッ素原子で置換したエトキシ基、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換したC1-4-アルキル、水酸基もしくはC1-3-アルコキシ基で置換したC2-4-アルコキシ、C2-6-アルケニル、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、水酸基、アミノ、ニトロ又はシアノから選択され、前記C5-6-シクロアルキル基においてメチレン基が酸素(O)で置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項7】
前記R1基が、請求項1又は3記載の前記A群の定義から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項8】
前記R3基が、水素、フッ素、塩素、臭素、水酸基、シアノ、C1-6-アルキル、トリメチルシリルエチル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロフラノニルオキシ、C1-6-アルキルスルファニル、シクロプロピリデンメチル、アリール及びヘテロアリールから選択されることを特徴とする請求項1〜4及び請求項7のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項9】
前記R2基が、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、水酸基、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ又は1〜3個のフッ素原子で置換されたメチルを示すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項10】
前記R4基及び/又はR5基が互いに独立して水素又はフッ素を表すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項11】
前記R6基が、水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、C1-8-アルキルカルボニル又はベンゾイルを表し、好ましくは水素を表すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項12】
前記R7a、R7b、R7c基が水素を表すことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体。
【請求項13】
請求項1〜12の少なくとも1項記載の前記化合物と、無機酸又は有機酸との医薬的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項記載の前記化合物又は請求項13記載の医薬的に許容される塩と、さらに1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤とを一緒に含んでもよい医薬組成物。
【請求項15】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTの抑制が疾病又は症状の効果的な治療又は予防に適した医薬組成物を製造するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の少なくとも1種又は請求項13記載の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項16】
代謝障害の治療又は予防に適した医薬組成物を製造するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の少なくとも1種又は請求項13記載の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項17】
前記代謝障害が、1型及び2型糖尿病、糖尿病の合併症、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖症、高インシュリン血症、グルコース代謝障害、インシュリン抵抗性、メタボリックシンドローム、異なる原因による異脂肪血症、アテローム性動脈硬化及び関連する疾患、肥満、高血圧症、慢性心臓発作、浮腫及び高尿酸血症からなる群から選択されることを特徴とする、請求項16記載の使用。
【請求項18】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2を抑制する医薬組成物を製造するための、請求項1〜12の少なくとも1項記載の化合物の少なくとも1種又は請求項13記載の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項19】
膵臓ベータ細胞の変性の予防及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の改善及び/もしくは回復のための医薬組成物を製造するための、請求項1〜12の少なくとも1項記載の化合物の少なくとも1種又は請求項13記載の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項20】
利尿剤及び/又は抗高血圧薬を製造するための、請求項1〜12の少なくとも1項記載の化合物の少なくとも1種又は請求項13記載の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項21】
請求項14記載の医薬組成物の製造方法であって、請求項1〜12の少なくとも1項記載の化合物又は請求項13記載の医薬的に許容される塩を、化学的方法以外の方法で1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と混和させることを特徴とする製造方法。
【請求項22】
請求項1〜12記載の一般式Iで表される化合物の製造方法であって、
一般式IIの化合物:
【化3】

(式中、
R’は、水素、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、前記アルキル又はアリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
8a、R8b
8c、R8dは互いに独立して、R6、R7a、R7b、R7c基について記載の定義の1つを有するか、あるいはベンジル基又はRabcSi基又はケタール基もしくはアセタール基を示し、いずれの場合も2つの隣り合う基、R8a、R8b、R8c、R8dは環状ケタール基もしくは環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレンブリッジを形成してもよく、この場合、前記エチレンブリッジは、2個の酸素原子とピラノース環の2個の炭素原子と一緒になって、置換ジオキサン環を形成し、アルキル基、アリール基及び/又はベンジル基がハロゲン又はC1-3-アルコキシでモノ置換又は多置換されていてもよく、かつ、ベンジル基はジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよく、
a、Rb、Rcは互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを示し、前記アリール基又はアルキル基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記の基の定義で記載したアリール基は、フェニル基又はナフチル基を示し、好ましくはフェニル基を示し、
1〜R5及びR6、R7a、R7b、R7cは請求項1〜12記載の定義を有する。)を、
ルイス酸又はブレンステッド酸の存在下で還元剤と反応させ、この間、存在するいずれの保護基も同時又は順次開裂させる工程を含み、
所望であれば、こうして得られたR6が水素原子を示す一般式Iの化合物を、アシル化して一般式Iで表わされる対応のアシル化合物に変換する工程、及び/又は、
必要であれば、前記の反応で使用された保護基をいずれも開裂する工程、及び/又は、
所望であれば、こうして得られた一般式Iの化合物を立体異性体に分離する工程、及び/又は、
所望であれば、こうして得られた一般式Iの化合物を塩に、とりわけ製薬的使用目的のために医薬的に許容される塩に変換する工程を含んでいてもよいことを特徴とする製造方法。
【請求項23】
前記一般式IIで表される化合物が請求項24又は25記載の方法で調製されることを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
一般式IIで表される化合物:
【化4】

(式中、
R’が、水素、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、前記アルキル基又はアリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
8a、R8b
8c、R8dは互いに独立して、R6、R7a、R7b、R7c基について記載の定義の1つを有するか、ベンジル基又はRabcSi基又はケタール基もしくはアセタール基を示し、いずれの場合も2つの隣り合う基、R8a、R8b、R8c、R8dは環状ケタール基もしくは環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレンブリッジを形成してもよく、前記エチレンブリッジは、2個の酸素原子とピラノース環の2個の炭素原子と一緒になって置換ジオキサン環を形成し、また、前記アルキル、アリール及び/又はベンジル基はハロゲン又はC1-3-アルコキシでモノ置換又は多置換されていてもよく、かつ、ベンジル基はジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよく、
a、Rb、Rcは互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを示し、前記アリール基又はアルキル基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記の基の定義で記載した前記アリール基は、フェニル基又はナフチル基を示し、好ましくはフェニル基を示し、
1〜R5及びR6、R7a、R7b、R7cは請求項1〜12記載の定義を有する。)の製造方法であって、
下記一般式IV:
【化5】

(式中、Halは塩素、臭素及びヨウ素を示し、R1〜R5は前記定義のとおりである。)で表わされるハロゲン−ベンジルベンゼン化合物のハロゲン−金属交換又は炭素−ハロゲン結合中への金属の挿入、さらに任意で引き続き金属交換を行うことによって得られる有機金属化合物(V)を、一般式VI:
【化6】

(式中、R8a、R8b、R8c、R8dは前記定義のとおりである。)で表わされるグルコノラクトンに添加する工程と、
得られた付加物を、水又はR'-OHで表わされるアルコール(式中、R'は置換されていてもよいC1-4-アルキル基を示す)と酸の存在下で反応させる工程を含み、さらに任意であるがR'が水素を示す水との反応で得られた生成物は、引き続きアシル化剤と反応させて式IIで表される生成物(式II中、R’は(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、これらは記載のごとく置換されていてもよい)に変換する工程を含んでいてもよい、製造方法。
【請求項25】
前記有機金属化合物(V)がリチウム化合物又はマグネシウム化合物であることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記式IのR6、R7a、R7b及びR7cが水素を示す式Iの化合物の製造方法であって、一般式IIIの化合物:
【化7】

(式中、
8a、R8b
8c、R8dは互いに独立して、R6、R7a、R7b、R7c基について記載の定義の1つを有するが、R8a、R8b、R8c、R8d基のうち少なくとも1つは水素ではないか、あるいは、ベンジル基又はRabcSi基又はケタール基もしくはアセタール基を示し、いずれの場合も2つの隣り合う基、R8a、R8b、R8c、R8dは環状ケタール基もしくは環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレンブリッジを形成してもよく、前記エチレンブリッジは、2個の酸素原子とピラノース環の2個の炭素原子と一緒になって置換ジオキサン環を形成し、また、前記アルキル、アリール及び/又はベンジル基はハロゲン又はC1-3-アルコキシでモノ置換又は多置換されていてもよく、かつ、ベンジル基はジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよく、
a、Rb、Rcは互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを示し、前記アルキル基又はアリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記の基の定義で記載した前記アリール基は、フェニル基又はナフチル基を示し、好ましくはフェニル基を示し、
1〜R5及びR6、R7a、R7b、R7cは請求項1〜12記載の定義を有する。)を、加水分解する工程を含み、
所望であれば、こうして得られたR6が水素原子である一般式Iの化合物を、アシル化して一般式Iで表わされる対応のアシル化合物に変換する工程、及び/又は、
必要であれば、前記反応で使用された保護基をいずれも開裂する工程、及び/又は、
所望であれば、こうして得られた一般式Iの化合物を立体異性体に分離する工程、及び/又は、
所望であれば、こうして得られた一般式Iの化合物を塩に、とりわけ製薬的使用目的のために医薬的に許容される塩に変換する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項27】
前記一般式IIIで表される化合物が、請求項22又は23記載の方法で調製されることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
一般式IVで表される化合物。
【化8】

(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素を示し、R1、R2、R3、R4及びR5基は請求項1及び請求項3〜10のいずれか1項に定義されているとおりである。)
【請求項29】
式IV':
【化9】

(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素を示し、R1、R2、R4及びR5基は請求項1、3、6、7、9、10のいずれか1項に定義されているとおりであり、R3基は請求項1又は4記載のB群から選択される。)で表されることを特徴とする、請求項28記載の式IVで表される化合物。
【請求項30】
一般式IIで表される化合物。
【化10】

(式中、
R’は水素、C1-4-アルキル、(C118-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、前記アルキル基又はアリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
8a、R8b
8c、R8dは互いに独立して、R6、R7a、R7b、R7c基について記載の定義の1つを有するか、あるいはベンジル基又はRabcSi基又はケタール基もしくはアセタール基を示し、いずれの場合も2つの隣り合う基、R8a、R8b、R8c、R8dは環状ケタール基もしくは環状アセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレンブリッジを形成してもよく、前記エチレンブリッジは、2個の酸素原子とピラノース環の2個の炭素原子と一緒になって置換ジオキサン環を形成し、また、前記アルキル、アリール及び/又はベンジル基はハロゲン又はC1-3-アルコキシでモノ置換又は多置換されていてもよく、かつ、ベンジル基はジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよく、
a、Rb、Rcは互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを示し、前記アルキル基又はアリール基はハロゲンでモノ置換又は多置換されていてもよく、
前記の基の定義で記載した前記アリール基は、フェニル基又はナフチル基を指し、好ましくはフェニル基を指し、
1〜R5は、請求項1及び請求項3〜10のいずれか1項で定義されているとおりである。)

【公表番号】特表2007−522143(P2007−522143A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551829(P2006−551829)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002618
【国際公開番号】WO2005/092877
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】