説明

グルコピラノシロキシ置換芳香族化合物、前記化合物を含む医薬、それらの使用及びそれらの製造方法

本発明は、一般式(I):


(式中、R1〜R6及びR7a、R7b及びR7cは、請求項1に記載されたものである)のグルコピラノシロキシ置換芳香族化合物に関する。本発明は、また、前記アロメートの互変体、立体異性体、混合物及び塩、特には、無機又は有機酸を含み及び有益な薬理学的特性、特にはナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2への阻害作用を有する生理学的に相溶性塩に関する。本発明は、更に、疾患、特には代謝疾患、例えば糖尿病の治療、及び前記化合物の製造に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般式(I):
【化1】

(R1〜R6及びR7a、R7b及びR7cは、後述に定義するようなものである)のグルコピラノシロキシ置換芳香族基、その互変体、その立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩に関する。本発明は、また、本発明の一般式(I)の化合物を含む医薬組成物及び代謝疾患の治療のための医薬組成物を製造するための本発明の化合物の使用に関する。医薬組成物及び本発明の化合物の製造方法もまた本発明の対象である。
文献において、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に阻害作用を有する化合物が、疾患、特に糖尿病の治療のために提案されている。
グルコピラノシロキシ置換芳香族基及びそれらの製造及びそれらのSGLT2阻害剤としての起こり得る活性は、発行されたWO 01/68660、WO 01/74834、WO 02/28872、WO 02/44192、WO 02/64606、WO 03/11880及びWO 03/80635に知られている。
【0002】
発明の目的
本発明の目的は、新規グルコピラノシロキシ置換芳香族基、特にはナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にはSGLT2に関して活性であるものを見い出すことである。本発明の更なる目的は、既知の構造的に類似の化合物と比較してインビトロ及び/又はインビボでナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に対して強化された阻害作用を有する及び/又はより良い薬理学的又は薬物動態学的特性を有するグルコピラノシロキシ置換芳香族基を発見することである。
本発明の更なる目的は、代謝性疾患、特に糖尿病の予防及び/又は治療に適する新規医薬組成物を提供することである。
本発明は、また、本発明の化合物を製造する方法を提供する。
本発明の他の目的は、前述及び後述の記載から直接当業者に明らかとなるであろう。
【0003】
発明の対象
第1の態様において、本発明は、
一般式(I)のグルコピラノシロキシ置換芳香族基、その互変体、その立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩:
【化2】

(式中、R1は、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ又はテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシを示し、又は、
【0004】
3が、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ及びテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシからなる群より選ばれる場合、
1は、また、さらに水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4アルキル、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル基、1〜5個のフッ素原子により置換されたエチル基、C1-4アルコキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子により置換されたエトキシ基、水素又はC1-3アルコキシ基により置換されたC1-4アルキル基、水素又はC1-3アルコキシ基により置換されたC2-4アルコキシ基、C2-6アルケニル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキル−C1-3アルキル、C3-6シクロアルコキシ、C3-6シクロアルキル−C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ又はシアノであってもよく、及び
2は、水素、フッ素、塩素、メチル、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチル又はメトキシを示し、及び
3は、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ又はテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシを示し、又は
【0005】
1が、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ及びテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシからなる群より選ばれる場合、
3は、また、さらに水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキリデンメチル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、C3-6シクロアルキル−C1-3アルコキシ、アリール、アリール−C1-3アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1-3アルキル、アリールオキシ、アリール−C1-3アルキルオキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル又はメトキシ基、1〜5個のフッ素原子により置換されたC2-4アルキル又はC2-4アルコキシ基、シアノ基により置換されたC1-4アルキル基、ヒドロキシ又はC1-3アルキルオキシ基により置換されたC1-4アルキル基、シアノ、カルボキシ、C1-3アルキルカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3アルキルアミノ)カルボニル、ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1-3アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、ニトロ、アミノ、C1-3アルキルアミノ、ジ−(C1-3アルキル)アミノ、(C1-4アルキル)カルボニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アリール−C1-3アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルファニル、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、アルキルスルフェニル、アリールスルフィニル又はアリールスルホニルを示し、
【0006】
4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル又はメトキシを示し、及び
6、R7a、R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-18アルキル)カルボニル、(C1-18アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール−(C1-3アルキル)カルボニルより選ばれ、
上記基の定義において記載されるアリール基は、互いに独立して、Rhによりモノ−又はジ置換されていてもよいフェニル又はナフチル基を示し、置換基は、同一であっても異なっていてもよく、及びRhは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ又はシアノを示し、
上記基の定義において記載されるヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基、
又はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル又はピリジル基(ここで、1又は2つのメチン基が窒素原子により置換される)、
又はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基(ここで1〜3つのメチン基が窒素原子により置換される)を示し、
上記ヘテロアリール基は、Rhによりモノ−又はジ置換されていてもよく、置換基は、同一であっても異なっていてもよく、及びRhは、上記に定義したようなものであり、
他に記載のない限り、上記アルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい)に関する。
【0007】
本発明の一般式(I)の化合物及びそれらの生理学的に許容可能な塩は、有益な薬理学的特性、特にはナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にはSGLT2に対する阻害作用を有する。本発明の更なる化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に対する阻害作用を有し得る。SGLT1に対する起こり得る阻害作用と比較して、本発明の化合物は、好ましくは、SGLT2を選択的に阻害する。
本発明は、また、無機又は有機酸と本発明の化合物の生理学的に許容可能な塩に関する。
従って、本発明は、また、医薬組成物としての、生理学的に許容可能な塩を含む、本発明の化合物の使用に関する。
本発明は、また、本発明の少なくとも1つの化合物又は本発明の生理学的に許容可能な塩を、場合により1又は2以上の不活性キャリア及び/又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物に関する。
本発明の更なる対象は、ナトリウム依存性グルコース輸送体SGLT、特にはSGLT2を阻害することにより影響を受け得る疾患又は状態の治療又は予防に適する医薬組成物を製造するための、本発明の少なくとも1つの化合物又はそのような化合物の生理学的に許容可能な塩の使用である。
【0008】
本発明は、また、代謝疾患の治療に適する医薬組成物を製造するための、本発明の少なくとも1つの化合物又はそれらの生理学的に許容可能な塩の1つの使用に関する。
本発明は、また、ナトリウム依存性グルコース輸送体SGLT、特にはSGLT2を阻害するための医薬組成物を製造するための、本発明の少なくとも1つの化合物又はそれらの生理学的に許容可能な塩の1つの使用に関する。
本発明は、更に、本発明の化合物を1又は2以上の不活性キャリア及び/又は希釈剤中に非化学的方法により導入することを特徴とする本発明の医薬組成物の製造方法に関する。
本発明は、また、
a)一般式(I)(式中、R6、R7a、R7b及びR7cが前述に定義されたようなものであるが、水素を表さない)の化合物を製造するために、一般式(II):
【化3】

(式中、式中、R6、R7a、R7b及びR7cが前述に定義したようなものであるが水素を表さず、Z1が脱離基を示す)の化合物を、一般式(III):
【0009】
【化4】

(R1〜R5は、前述に記載した意味を有する)の化合物と反応させ、又は
b)一般式(I)(式中、R6、R7a、R7b及びR7cが水素を表す)の化合物を製造するために、一般式(I)(R6及びR7a、R7b、R7cが前述に定義したようなものであるが、水素を表さない)を加水分解し、及び
工程b)を行った後、所望なら、そのようにして得られた一般式(I)の化合物(R6は水素原子を示す)を、一般式(I)の対応するアシル化合物へのアシル化により転化し、及び/又は
必要なら、上記反応の間に使用された保護基を再び開裂し及び/又は
所望なら、そのようにして得られた一般式(I)の化合物をその立体異性体にし及び/又は
そのようにして得られた一般式(I)の化合物を、それらの塩に、特には医薬用途のために生理学的に許容可能なそれらの塩に転化することを特徴とする、
本発明の一般式(I)の化合物を製造する方法に関する。
【0010】
発明の詳細な記載
特に記載のない限り、基、残部及び置換基、特にはR1〜R6及びR7a、R7b、R7cは、上記及び以下に定義されるものである。
残部、置換基又は基が化合物において数回現れる場合には、それらは、同一又は異なった意味を有していてもよい。
上記及び下記で使用する用語アリールは、例えば、基R3、R6、R7a、R7b、R7c及びR7dにおいて、好ましくは、フェニルを示す。一般的定義に従って及び他に記載のない限り、アリール基、特にはフェニル基は、同一又は異なる基Rhによりモノ−又はジ置換されたものであってもよい。
上記及び下記に使用する用語ヘテロアリールは、例えば、基R3において、好ましくは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリルを示す。一般的定義に従って及び他に記載のない限り、ヘテロアリール基は、同一又は異なる基Rhによりモノ−又はジ置換されていてもよい。
本発明の化合物は、本発明の第1の実施態様において、一般式(I)により記載され得、互変体、立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩を含み、式中、
1は、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ又はテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシを示し、
他の基R2〜R6及びR7a、R7b、R7cは、前述に定義したようなものである。
【0011】
この実施態様に従って基R1の好ましい意味は、エチニル、2−プロピン−1−イル、2−ブチン−1−イル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニルメチルオキシ及びテトラヒドロピラニルメチルオキシである。最も特に好ましい意味は、エチニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ及びテトラヒドロピラン−4−イルオキシ、特にはエチニルである。
この実施態様に従って基R3の好ましい意味は、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、2−シアノ−2−プロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、メチルスルファニル、2−メチル−1−プロペン−1−イル、シクロプロピリデンメチル、エチニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニルメチルオキシ、テトラヒドロピラニルメチルオキシ、フェニル、フルオロフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリルである。特に好ましい意味は、エチニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、特にはエチニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ及びメトキシである。
【0012】
この実施態様に従って基R4の好ましい意味は、水素及びフッ素、特には水素である。
本発明の第2の実施態様において本発明の化合物は、一般式(I)により記載され得、その互変体、立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩を含み、式中、
1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4アルキル、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル基、1〜5個のフッ素原子により置換されたエチル基、C1-4アルコキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子により置換されたエトキシ基、水素又はC1-3アルコキシ基により置換されたC1-4アルキル基、水素又はC1-3アルコキシ基により置換されたC2-4アルコキシ基、C2-6アルケニル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキル−C1-3アルキル、C3-6シクロアルコキシ、C3-6シクロアルキル−C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ又はシアノを示し、及び
また、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ又はテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシを表してもよく、
3が、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ及びテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシからなる群より選ばれ、及び
他の基、特にはR2及びR4〜R6及びR7a、R7b、R7cは、上記意味を有する。
【0013】
この実施態様に従って、R1の好ましい意味は、水素、フッ素、塩素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ又はシアノ、特に好ましくは水素、フッ素、メチル又はシアノ、最も特の好ましくは水素である。
この実施態様に従って、R3の好ましい意味は、エチニル及びテトラヒドロフラン−3−イルオキシである。
この第2の実施態様に従って、R4の好ましい意味は、水素及びフッ素、特には水素である。
以下の記載は、式(I)の化合物、特には上記第1及び第2実施態様を言及する。
本発明に従って、特には第1及び第2の実施態様に従って好ましい化合物は、以下の式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)、特には(Ia)、(Ib)及び(Ic)により表され得る:
【化5】


【0014】
上記の実施態様の代替に従って、他の好ましい化合物は、置換基R3を有するフェニル基が、水素ではない少なくとも1つの他の置換基R4及び/又はR5を有する。この代替に従って、特に好ましい化合物は、フッ素である置換基R4を有するものである。
置換基R3を有するフェニル基は、好ましくは、最大でモノフッ素化されている。
基R5の好ましい意味は、水素及びフッ素、特には水素である。
本発明に従って基R2の好ましい意味は、水素、フッ素及びメチル、特には水素及びメチルである。
本発明に従って、基R5は、好ましくは、水素、(C1-8アルキル)オキシカルボニル又はC1-8アルキルカルボニル、特には水素又は(C1-6アルキル)オキシカルボニル、特に好ましくは水素、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル、最も好ましくは水素又はメトキシカルボニルである。
置換基R7a、R7b、R7cは、互いに独立して、好ましくは、水素、(C1-8アルキル)オキシカルボニル、(C1-8アルキル)カルボニル、ベンゾイル、特には水素、(C1-6アルキル)オキシカルボニル、(C1-8アルキル)カルボニル、特に好ましくは水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニルを表す。最も特に好ましくは、R7a、R7b及びR7cは、水素を表す。
【0015】
6、R7a、R7b及びR7cは、水素以外の本発明に従った意味、例えばC1-8アルキルカルボニルを有する一般式(I)の化合物が、好ましくは、R7a、R7b及びR7cが水素を表す式(I)の化合物の合成における中間生成物として適切である。
一般式(I)の特に好ましい化合物は、
(a)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン、
(b)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−(4−エチニルベンジル)−ベンゼン
及びそれらの誘導体からなる群より選ばれ、R6は、本発明に従って水素以外の意味を有し、及び特にはR6は、エトキシカルボニル又はメトキシカルボニルを示し、その立体異性体及びそれらの混合物を含む。
本発明に従って化合物を記載するために上記及び下記に使用するいくつかの用語をより密接に定義する。
用語ハロゲンは、F、Cl、Br及びI、特にはF、Cl及びBrからなる群より選ばれる原子を示す。
【0016】
nが1〜18の値を有し得る用語C1-nアルキルは、1〜n個のC原子を有する飽和、分枝又は非分枝炭化水素基を示す。そのような基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルなどが挙げられる。
nが3〜6の値を有する用語C2-nアルキニルは、2〜n個のC原子及びC≡C二重結合を有する分枝又は非分枝炭化水素基を示す。そのような基の例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、イソプロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−1−プロピニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどが挙げられる。
用語C1-nアルコキシは、C1-nアルキルが前述に定義したものであるC1-nアルキル−O基を示す。そのような基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert−ペントキシ、n−ヘキソキシ、イソヘキソキシなどが挙げられる。
【0017】
用語C1-nアルキルカルボニルは、C1-nアルキル−C(=O)基を示し、式中、C1-nアルキルは、前述に定義したようなものである。そのような基の例としては、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、tert−ペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソヘキシルカルボニルなどが挙げられる。
用語C3-nシクロアルキルは、3〜n個のC原子を有する飽和モノ−、ビ−、トリ−又はスピロカルボ環基を示す。そのような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル(norpinyl)、ノルボニル(norbonyl)、ノルカリル(norcaryl)、アダマンチルなどが挙げられる。好ましくは、用語C3-7シクロアルキルは、飽和単環基を示す。
用語C3-nシクロアルキルカルボニルは、C3-nシクロアルキル−C(=O)基を示し、式中、C3-nシクロアルキルは前述に定義したようなものである。
【0018】
フェニル基における置換基の結合がフェニル環の中心に向かって示される上記及び下記に使用するスタイルは、別に記載のない限り、この置換基が、H原子を有するフェニル環の自由な位置に結合し得ることを示す。
本発明の化合物は、原理上既知の合成方法を用いて得ることができる。好ましくは、その化合物は、以下により詳細に記載される本発明の方法により得られる。
a)R6、R7a、R7b、R7cが前述に定義したようなものであるが水素原子を示さない一般式(I)の化合物を製造するために、
一般式(II):
【化6】

(R6及びR7a、R7b、R7cが前述に定義したようなものであるが水素を表さず、及びZ1が、脱離基、例えばハロゲン原子、例えばフッ素、塩素又は臭素原子又はアシロキシ基、例えばアセチロキシ又はトリクロロアセチミドイルオキシを示す)の化合物を、一般式(III):
【化7】

(R1〜R5は特定の意味を有する)の化合物と反応させる。
【0019】
反応は、通常、溶剤、例えば塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はN−メチルピロリジノン中において、場合により、塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム又はカリウム−tert−ブトキシド、又は銀化合物、例えば銀(I)酸化物、銀(I)カーボネート又は銀(I)トリフルオロアセテート又は触媒例えば三フッ化ホウ素エーテルの存在下において、−60〜120℃の温度で行う。反応は、また、例えば、相間移動系、例えば水酸化ナトリウム/塩化メチレン/ベンジル−トリエチルアンモニウム臭化物中において、他の保護基、例えば、エチニル基上のトリメチルシリル基を同時に開裂させながら行うことができる。
b)R6、R7a、R7b及びR7cが水素を示す一般式(I)の化合物を製造するために:
一般式(I)(式中、R6、R7a、R7b及びR7cが前述に定義したようなものであるが水素を表さない)の化合物を水又は低級アルコール、例えばメタノール又はエタノールと反応させる。
【0020】
反応は、通常、水、低級アルコール、例えばメタノール又はエタノール又は水性溶剤混合物、例えば、メタノール/テトラヒドロフラン中において、塩基、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドの存在下において、−20〜60℃の温度で行う。この反応において、他の保護基、例えば、エチニル上のトリメチルシリル基が同時に開裂され得る。
本発明に従って、一般式(I)の化合物(式中、R6が水素原子を示す)を得る場合、これは、アシル化により、例えば、ピリジン、コリジン、トリエチルアミン又はN−エチル−ジイソプロピルアミンの存在下におけるアシル化により、R6が、(C1-18アルキル)カルボニル基、(C1-18アルキル)オキシカルボニル基、アリールカルボニル基又はアリール−(C1-3アルキル)カルボニル基を示す化合物に転化され得る。適切なアシル化剤は、特に、対応の活性化アシル誘導体、例えば酸塩化物又は無水物であり得る。
前述に記載の反応において、存在する反応基、例えば、エチニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基は、反応の間、通常の保護基により保護されていてもよく、それは、反応後に再び開裂される。
例えば、エチニル基についての保護基は、トリメチルシリル基であってもよい。
例えば、ヒドロキシ基についての保護基は、トリメチルシリル、アセチル、トリチル、ベンジル又はテトラヒドロピラニル基であってもよい。
アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基についての保護基は、例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、メトキシベンジル又は2,4−ジメトキシベンジル基であってもよい。
【0021】
使用される保護基は、場合により、次いで、例えば、加水分解により、水性溶剤において、例えば水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中において、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸の存在下において、又はアルカリ金属塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下において、又は非プロトン性で(aprotically)、例えばヨードトリメチルシランの存在下において、0〜120℃、好ましくは10〜100℃の温度で開裂される。
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性溶剤混合物又は低級アルコール、例えばメタノール又はエタノール中において、塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドの存在下において開裂される。
しかしながら、ベンジル、メトキシベンジル又はベンジルオキシカルボニル基は、有利には、例えば、加水分解的に(hydrogenolytically)、例えば水素を用いて、触媒、例えば、パラジウム/木炭の存在下で、適切な溶剤、例えば、メタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸中において、場合により、酸、例えば、塩酸の添加を伴って、0〜100℃、好ましくは20〜60℃の周囲温度で、1〜7バール、好ましくは3〜5バールの水素圧で開裂される。2,4−ジメトキシベンジル基は、しかしながら、好ましくは、トリフルオロ酢酸中においてアニソールの存在下において開裂される。
【0022】
tert−ブチル又はtert−ブトキシカルボニル基は、好ましくは、酸、例えば、トリフルオロ酢酸又は塩酸を用いる処理により又はヨードトリメチルシランと場合により溶剤、例えば、塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルを用いる処理により開裂される。
トリフルオロアセチル基は、好ましくは、酸、例えば、塩酸を用い、場合により、溶剤、例えば、酢酸の存在下において、50〜120℃の温度で処理することにより又は水酸化ナトリウム溶液を用いて、場合により溶剤、例えば、テトラヒドロフラン又はメタノールの存在下において、0〜50℃の温度で処理することにより開裂される。
更に、得られる一般式(I)の化合物は、上述したように、それらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割され得る。従って、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシス及びトランスアイソマーに分割され得、及び少なくとも1つの光学的に活性な炭素原子を有する化合物は、それらのエナンチオマーに分離され得る。
従って、例えば、シス/トランス混合物は、クロマトグラフィーによりそれらのシス及びトランスアイソマーに分割され得、ラセメートとして生じる得られる一般式(I)の化合物は、それ自体既知の方法によりそれらの光学的対掌体に分離され得(cf. Allinger N. L. and Eliel E. L. in “Topics in Stereochemistry”, Vol. 6, Wiley Interscience, 1971)、及び少なくとも2つの不斉炭素原子を有する一般式(I)の化合物は、それらの物理−化学的相違に基づいて、それ自体既知の方法を用いて、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶によりそれらのジアステレオマーに分割され得、及びこれらの化合物がラセミ形態で得られる場合には、それらは、その後、上述したように、エナンチオマーに分割され得る。
【0023】
エナンチオマーは、好ましくは、キラル相におけるカラム分離により又は光学的に活性な溶剤からの再結晶化により又は塩又は誘導体、例えば、ラセミ化合物、とくには酸及び活性化された誘導体又はそれらのアルコールとのアミド又はエステルを形成する光学的に活性な物質と反応させ、及びそのようにして得られた塩又は誘導体のジアステレオマー混合物を、例えば、それらの溶解性の相違に基づいて分離し、一方、遊離対掌体は、純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から適切な薬剤の作用により放出され得る。通常使用における光学的に活性な酸は、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ−o−トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸のD−及びL−形態である。光学的に活性なアルコールは、例えば、(+)又は(−)−メントールであってもよく及びアミドにおける光学的に活性なアシル基は、例えば、(+)−又は(−)−メンチルオキシカルボニルであってもよい。
更に、式(I)の化合物は、それらの塩に、特には医薬的用途のために無機又は有機酸と生理学的に許容可能な塩に転化され得る。この目的のために使用され得る酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸を含む。
【0024】
更に、得られる化合物は、混合物、例えばアミノ酸との、特にはα−アミノ酸、例えば、プロリン又はフェニルアラニンとの1:1又は1:2混合物に転化され得、それは、特に好ましい特性、例えば、高結晶度を有し得る。
出発材料として使用される一般式(II)〜(V)の化合物は、部分的に、文献から知られており又は文献から知られる方法により、場合により、保護基の追加的包含を伴って得ることができる。
本発明の化合物は、有利には、また、以下の実施例に記載の方法により得ることができ、それは、また、文献から当業者に知られる方法、例えば、特には、WO 01/68660、WO 01/74834、WO 02/28872、WO 02/44192、WO 02/64606、WO 03/11880及びWO 03/80635に記載の方法と組み合せることができる。
既に記載したように、本発明の一般式(I)の化合物及びそれらの生理学的に許容可能な塩は、有益な薬理学的特性、特には、ナトリウム依存性グルコース輸送体SGLT、好ましくはSGLT2における阻害作用を有する。
新規化合物の生物学的特性は、以下のように研究することができる:
【0025】
SGLT−2活性を阻害する物質の能力は、CHO細胞系(ATCC No.CCL61)又はあるいはまたHEK293細胞系(ATCC No.CRL−1573)をセットアップしたテストにおいて証明することができ、それは、安定して、発現ベクターpZeoSV(Invitrogen, EMBL accession number L36849)でトランスフェクトされ、それは、ヒトナトリウムグルコース輸送体2のコード配列についてのcDNAを含む(Genbank Acc. No. NM_003041)(CHO-hSGLT2又はHEK-hSGLT2)。これらの細胞系は、14C−ラベルされたα−メチル−グルコピラノシド(14C−AMG, Amersham)をナトリウム依存性方法において細胞の内部へ輸送する。
SGLT−2アッセイはいかのとおり行われる:
CHO−hSGLT2細胞は、10%ウシ胎仔血清及び250μg/mlゼオシン(zeocin)(Invitrogen)を有するHam’s F12培地(BioWhittaker)において培養し、及びHEK293−hSGLT2細胞は、10%ウシ胎仔血清及び250μg/mlゼオシン(zeocin)(Invitrogen)を有するDMEM培地において培養する。細胞は、PBSを2回用いて洗浄すること及び次いでトリプシン/EDTAで処理することにより培養フラスコから分離する。細胞培地の添加後、細胞を遠心分離にかけ、培地に再懸濁し、Casy細胞カウンターにおいてカウントする。次いで、ウェルあたり40,000個の細胞を、ポリ−D−リシンでコーティングされた、白色の、96−ウェルプレートに播種し、及び一晩37℃、5%CO2でインキュベートした。細胞を、250μlのアッセイバッファー(Hanks Balanced Salt Solution, 137 mM NaCl, 5.4 mM KCl, 2.8 mM CaCl2, 1.2mM MgSO4 and 10mM HEPES (pH 7.4), 50μg/mlのゲンタマイシン)で2回洗浄する。250μlのアッセイバッファー及び5μlの試験化合物を次いで各ウェルに添加し、及びプレートを更に15分間インキュベーターにおいてインキュベートする。5μlの10%DMSOを負のコントロールとして使用する。反応は、5μlの14C−AMG(0.05μCi)を各ウェルに添加することにより開始する。37℃で5%CO2の2時間インキュベーション後、細胞を再び250μlのPBS(20℃)で洗浄し、及び次いで、25μlの0.1N NaOHの添加(5分、37℃)により溶解する。200μlのMicroScint20(Packard)を各ウェルに添加し及びインキュベーションを更に20分37℃で続ける。このインキュベーション後、吸収された14C−AMGの放射能をTopcount(Packard)において14Cシンチレーションプログラムを用いて測定する。
【0026】
ヒトSGLT1に対する選択性を測定するために、類似のテストをセットアップし、その中において、hSGLT2 cDNAの代わりにhSGLT1(Genbank Acc. No. NM000343)についてのcDNAをCHO−K1又はHEK293細胞において発現させる。
本発明の一般式(I)の化合物は、例えば、1000nM未満、特には50nM未満のEC50値を有し得る。
SGLT活性を阻害するそれらの能力の観点から、本発明の一般式(I)の化合物及びそれらの対応する医薬的に許容可能な塩は、理論上、SGLT活性、特にはSGLT−2活性の阻害により影響を受け得る全ての状態又は疾患の治療及び/又は予防的治療に適する。従って、本発明の化合物は、特に、疾患、特には代謝性疾患又は状態、例えばタイプ1及びタイプ2の糖尿病、糖尿病の合併症(例えば、網膜症、腎症又は神経障害、糖尿病足、潰瘍、マクロ血管障害)、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血、グルコース代謝性疾患、インスリン耐性、代謝症候群、異なる起源の異脂肪血症(dyslipidaemias)、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満症、高血圧、慢性心不全、水腫及び高尿酸血症の予防又は治療に適している。これらの物質は、また、β細胞退化、例えば膵臓β細胞の壊死又はアポトーシスを予防するのに適している。物質は、また、膵臓細胞の機能を改善又は復元するのに適し、及びまた、膵臓β細胞の数及びサイズを上昇させる。本発明の化合物は、また、利尿薬又は降圧剤として使用することができ、及び急性腎不全の予防及び治療に適する。
【0027】
特に、本発明の化合物(それらの生理学的に許容可能な塩を含む)は、糖尿病、特にはタイプ1及びタイプ2糖尿病及び/又は糖尿病性合併症の予防又は治療に適する。
治療又は予防のために対応する活性を達成するために必要とされる投与量は、通常、投与される化合物、患者、病気又は状態の性質及び危険性(gravity)及び投与の方法及び頻度に依存し、及び、患者の医師のために決定されるべきである。便宜上、投与量は、静脈ルートで1〜100mg、好ましくは1〜30mg、経口ルートで1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであってもよく、各ケースにおいて1日に1〜4回投与され得る。この目的のために、本発明に従って製造される式(I)の化合物は、場合により、他の活性物質と一緒に、1又は2以上の不活性な通常のキャリア及び/又は希釈剤、例えばコーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば固い脂肪又はそれらの適切な混合物と一緒に配合されて、通常のガレン製剤、例えばプレーン及びコーティングされたタブレット、カプセル、パウダー、サスペンション又は座薬を製造することができる。
【0028】
本発明の化合物は、また、他の活性物質と併せて、特に上記疾患及び状態の治療及び/又は予防のために使用することができる。そのような組み合わせに適する他の活性物質は、例えば、上記示唆の1つに関連して本発明のSGLTアンタゴニストの治療効果を可能にし及び/又は本発明のSGLTアンタゴニストの投与量を低減することが可能なものを含む。そのような組み合わせに適する治療剤は、例えば、抗糖尿病薬、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR−γ−アゴニスト(例えば、GI262570)及びアンタゴニスト、PPAR−γ/αモジュレーター(例えば、KRP297)、α−グルコシダーゼ抑制剤(例えば、アカルボース、ボグリボース)、DPPIV抑制剤(例えばLAF237、MK−431)、α2−アンタゴニスト、インスリン及びインスリン類似体、GLP−1及びGLP−1類似体(例えばエクセジン−4)又はアミリンを含む。リストは、また、タンパク質チロシンホスファターゼ1の抑制剤、肝臓における無秩序なグルコース生成に影響を与える物質、例えば、グルコース−6−ホスファターゼの抑制剤、又はフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、グルカゴンレセプターアンタゴニスト及びピルベートデヒドロキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ又はホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼの抑制剤、脂質低減剤、例えば、HMG−CoA−リダクターゼ抑制剤(例えば、シムバスタチン、アトルバスタチン)、フィブレート(例えば、ベザフィブラット、フェノフィブラット)、ニコチン酸及びそれらの誘導体、PPAR−αアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ACAT抑制剤(アバシミベ)又はコレステロール吸収抑制剤、例えばエゼチミベ、胆汁酸結合物質、例えば、コレスチラミン、回腸(ileac)胆汁酸輸送体の抑制剤、HDL−上昇化合物、例えば、CETP抑制剤又はABC1調整剤又は肥満を治療するための活性物質、例えば、シブトラミン又はテトラヒドロリポスタチン、デクスフェンフルラミン、アクソキン、カンナビノイド1レセプターのアンタゴニスト、MCH−1レセプターアンタゴニスト、MC4レセルターアゴニスト、NPY5又はNPY2アンタゴニスト又はβ3−アゴニスト、例えば、SB−418790又はAD−9677及び5HT2cレセプターのアゴニストを含む。
【0029】
更に、高血圧、慢性心不全又はアテローム性動脈硬化症に影響を与える薬剤、例えば、A−IIアンタゴニスト又はACE抑制剤、ECE抑制剤、利尿薬、β−ブロッカー、Ca−アンタゴニスト、中枢作用性降圧剤、α−2−アドレナリン作用性レセプターのアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの抑制剤、血小板凝集抑制剤及び他のもの又はそれらの組み合わせとの組み合わせが適切である。アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストの例は、カンデサルタンシレクセチル、ロサルタンカリウム、エプロサルタンメシレート、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP−3174、L−158809、EXP−3312、オルメサルタン、メドクソミル、タソサルタン、KT−3−671、GA−0113、RU−64276、EMD−90423、BR−9701などである。アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストは、好ましくは、高血圧及び糖尿病の合併症の治療又は予防のために使用され、利尿薬、例えばヒドロクロロチアジドと組み合せられることが多い。
尿酸合成抑制剤又は尿酸排泄剤との組み合わせが、通風の治療又は予防のために適切である。
GABA−レセプターアンタゴニスト、Naチャンネルブロッカー、トピラマット、タンパク質−キナーゼC抑制剤、糖化最終産物抑制剤又はアルドースリダクターゼ抑制剤との組み合わせが、糖尿病の合併症の治療又は予防のために使用することができる。
【0030】
上記コンビネーションパートナーについての投与量は、通常、通常推奨される最低投与量の1/5から通常推奨される投与量の1/1である。
従って、他の態様において、本発明は、本発明の化合物又はそのような化合物の生理学的に許容可能な塩と組み合わせパートナーとして上述した活性物質の少なくとも1つの、ナトリウム依存性グルコース輸送体SGLTを阻害することにより影響を受け得る疾患又は状態の治療又は予防に適する医薬組成物を製造するための使用に関する。それらは、好ましくは、代謝性疾患、特には、上記疾患又は状態の1つ、最も特には糖尿病又は糖尿病性合併症である。
本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容可能な塩の他の活性物質との組み合わせでの使用は、同時に又は時間をずらして、しかし特には短時間内に行われ得る。それらが同時に投与される場合、2種の活性成分は、一緒に患者に与えられ;一方、それらが時間をずらして使用される場合、2種の活性成分は、12時間に等しいかそれ未満、しかし6時間に等しいか又はそれ未満の期間内に患者に与えられる。
従って、別の態様において、本発明は、医薬組成物に関し、それは、本発明の化合物又はそのような化合物の生理学的に許容可能な塩及び組み合わせパートナーとして上述した活性物質の少なくとも1つ、場合により1又は2以上の不活性キャリア及び/又は希釈剤を含む。
【0031】
従って、例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の式(I)の化合物又はそのような化合物の生理学的に許容可能な塩及び少なくとも1つのアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストの組み合わせを、場合により1又は2以上の不活性キャリア及び/又は希釈剤と一緒に含む。
本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容可能な塩及びそれらと組み合せられるべき付加的活性成分は、双方とも、1つの配合物中に一緒に、例えばタブレット又はカプセルに存在していてもよく、又は別々に1つの同一又は異なる配合物中に、例えばいわゆるキットオブパート(kit of parts)として存在していてもよい。
上記又は下記テキストにおいて、H原子又はヒドロキシル基は、各ケースにおいて構造式中に明白には示されない。以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、それを制限するためのものではない。
【0032】
出発化合物の製造:
例I
【化8】

4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−ブロモベンゼン
【0033】
10gの4−ブロモフェノールを21gの((S)−テトラヒドロフラン−3−イル)p−トルエンスルホネートと一緒に11.98gの炭酸カリウムの存在下で100mlのジメチルホルムアミド中で60℃で32時間攪拌すること及び次いで、クロマトグラフィー精製により精製することにより製造。
収量:13.7g(97%理論)
Rf値:0.80(酸化アルミニウム;シクロヘキサン/酢酸エチル=2:1)
以下の化合物を例1と同様に製造した:
(1)4−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−ブロモベンゼン
質量スペクトル:m/z=242/244[M+
【0034】
例II
【化9】

(2−ベンジルオキシ−フェニル)−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]−メタノール
【0035】
5.17mlの1.6Mブチルリチウム溶液(ヘキサン中)を10mlのテトラヒドロフラン中の2.0gの4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−ブロモベンゼンの溶液に78℃で滴下し及び更なる1時間―78℃で攪拌した。次いで、5mlのテトラヒドロフラン中に溶解した1.75gの2−ベンジルオキシベンズアルデヒドを滴下し及び混合物を2時間−78℃で攪拌した。周囲温度への加熱後、それを1時間攪拌した。水性加工(working up)及び酢酸エチルでの抽出後、有機相を乾燥し蒸発(evaporate down)させた。残留物を、シクロヘキサン/酢酸エチル(8:2〜1:1)でのシリカゲルカラムを通すクロマトグラフィーにより精製した。
収量:2.6g(84%理論)
f値:0.25(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル=3:1)
以下の化合物を例IIと同様に製造した:
(1)(2−ベンジルオキシフェニル)−[4−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]−メタノール
質量スペクトル(ESI+):m/z=394[M+NH4+
(2)(2−ベンジルオキシ−4−フルオロフェニル)−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]−メタノール
質量スペクトル(ESI+):m/z=417[M+Na]+
(3)(2−ベンジルオキシ−6−メトキシフェニル)−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]−メタノール
質量スペクトル(ESI+):m/z=424[M+NH4+
【0036】
例III
【化10】

2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシベンジル]−フェノール
【0037】
1.97gの例IIの化合物から、接触水素化によりメタノール中において活性炭上の0.4gのパラジウムの存在下において(10%Pd)周囲温度で製造。
f値:0.52(シリカゲル、シクロヘキサン/サクサンエチル=2:1)
質量スペクトル(ESI-):m/z=269[M−H]-
以下の化合物を例IIIと同様にして製造した:
(1)2−[4−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−フェノール
質量スペクトル(ESI+):m/z=271[M+H]+
(2)2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−4−フルオロフェノール
質量スペクトル(ESI-):m/z=287[M−H]-
(3)2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−6−メトキシフェノール
質量スペクトル(ESI+):m/z=301[M+H]+
【0038】
例IV
【化11】

1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン
【0039】
500mgの2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−フェノール、820mgの2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−グルコピラノシルブロミド、2mlの1M水酸化ナトリウム溶液及び5mlのクロロホルムを16時間周囲温度で攪拌した。別の400mgの2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−グルコピラノシルブロミド、1mlの1M水酸化ナトリウム溶液及び5mlの塩化メチレンを添加し、及び、混合物を2.5日攪拌した。有機相を分離除去し、水で洗浄し、乾燥し及び蒸発させた。粗生成物をシクロヘキサン/酢酸エチル勾配(7:3〜1:1)でのシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーにより精製した。
収量:440mg(40%理論)
Rf値:0.10(シリカゲル;シクロヘキサン/酢酸エチル=2:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=618[M+NH4+
以下の化合物を例IVと同様にして製造した:
(1)1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−(4−エチニルベンジル)−ベンゼン
【化12】

例VIの化合物とベンジル−トリエチルアンモニウム臭化物の存在下で反応。
Rf値:0.30(シリカゲル;シクロヘキサン/酢酸エチル=2:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=556[M+NH4+
【0040】
(2)1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン
Rf値:0.50(シリカゲル;シクロヘキサン/酢酸エチル=1:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=618[M+NH4+
(3)1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−4−フルオロベンゼン
質量スペクトル(ESI+):m/z=636[M+NH4+
(4)1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−6−メトキシベンゼン
質量スペクトル(ESI+):m/z=648[M+NH4+
【0041】
例V
【化13】

2−(4−ブロモベンジル)−フェノール
【0042】
ナトリウムフェノキシド(4.0gのフェノール及び1.7gの60%水素化ナトリウム(パラフィンオイル中)から)を10.27gの4−ブロモベンジル塩化物とトルエン中において還流温度で反応させること及び反応混合物をシクロヘキサン/酢酸エチル(8:2〜1:1)でのシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーにより精製することにより製造。
収量:1.8g(16%理論)
Rf値:0.40(シリカゲル;シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)
質量スペクトル(ESI-):m/z=261/263[M−H]-
【0043】
例VI
【化14】

2−[4−(2−トリメチルシリル−エチニル)ベンジル]−フェノール
【0044】
1.6gの2−(4−ブロモベンジル)−フェノールを1.03mlのトリメチルシリルアセチレンと86mgのビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)塩化物及び23mgの銅(I)ヨウ化物の存在下において5mlのトリエチルアミン中で100℃でマイクロウエーブオーブンにおいて反応させること及び反応混合物をシクロヘキサン/酢酸エチル(9:1〜7:3)でのシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーにより精製することにより製造。
Rf値:0.62(シリカゲル;シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=281[M+H]+
【0045】
最終化合物の製造
実施例1
【化15】

1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン
【0046】
400mgの1−(2,3,4,6−テトラ−O−β−D−グルコポラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼンを2,5mlのメタノール及び5mlのテトラヒドロフランの混合物中における溶液を氷浴において冷却し及び3.02mlの1M水性水酸化リチウム溶液と組み合わせ及び1時間攪拌した。反応混合物を、5mlの水を組み合わせ及び酢酸エチルで抽出した。有機相を分離除去し、飽和生理食塩水で洗浄し、乾燥し及び蒸発させた。
収量:190mg(65%理論)
Rf値:0.23(シリカゲル;塩化メチレン/メタノール=9:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=433[M+H]+
以下の化合物を実施例1と同様に得た:
(1)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−(4−エチニルベンジル)−ベンゼン
【化16】

Rf値:0.55(シリカゲル、塩化メチレン/メタノール=6:1)
質量スペクトル(ESI+):m/z=388[M+NH4+
【0047】
(2)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン
【化17】

融点:134〜135℃
【0048】
(3)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−4−フルオロベンゼン
【化18】

融点:145〜147℃
【0049】
(4)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−6−メトキシベンゼン
【化19】

質量スペクトル(ESI+):m/z=480[M+NH4+
【0050】
実施例2
【化20】

1−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−(4−エチニルベンジル)−ベンゼン
0.5mlの2,4,6−コリジン中の100mgの1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−(4−エチニルベンジル)−ベンゼンを0.026mlのメチルクロロホルメートと氷浴中で組み合わせ及び次いで16時間周囲温度で攪拌した。5mlの0.1N塩酸を反応混合物に添加し、それをその後10mlの酢酸エチルで抽出した。有機相を分離除去し、飽和生理食塩水で洗浄し、及び蒸発させた。残留物を8mlのジエチルエーテル/石油エーテル(1:1)と共に攪拌し、固体を吸引ろ過し及び40℃で乾燥した。
収量:73.5mg(63%理論)
質量スペクトル(ESI+):m/z=429[M+H]+
以下の化合物を実施例2と同様に得た:
(1)1−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン
【化21】

質量スペクトル(ESI+):m/z=508[M+NH4+
【0051】
(2)1−(6−O−メトキシカルボニル−β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン
【化22】

融点:149〜150℃
【0052】
以下の化合物を、また、上記実施例及び文献から既知の他の方法と同様に製造した:
【化23】

【0053】
【化24】

【0054】
【化25】

【0055】
【化26】

【0056】
【化27】

【0057】
【化28】

【0058】
実施例A
100mgの活性物質を含むタブレット
組成
1タブレットが含む:

製造方法
活性物質、ラクトース及びスターチを一緒に混合し及びポリビニルピロリドンの水溶液で均質に湿潤させた。湿潤組成物をスクリーニングし(2.0mmメッシュサイズ)及びラックタイプ乾燥機内において50℃で乾燥した後、それを再びスクリーニングし(1.5mmメッシュサイズ)及び潤滑剤を添加した。最終混合物を圧縮してタブレットを形成した。
タブレットの質量:220mg
直径:10mm、2平面、両サイドでファセット(facet)され及び一方のサイドでノッチされた。
【0059】
実施例B
150mgの活性物質を含むタブレット
組成
1タブレットが含む:

製造
ラクトース、コーンスターチ及びシリカと混合した活性物質を、20%水性ポリビニルピロリドン溶液で湿潤させ及びメッシュサイズ1.5mmのスクリーンに通した。45℃に乾燥した顆粒を同一のスクリーンに再び通し及び特定量のステアリン酸マグネシウムと混合した。タブレットを混合物から圧縮した。
タブレットの質量:300mg
ダイ:10mm、フラット
【0060】
実施例C
150mgの活性物質を含む硬質ゼラチンカプセル
組成
1カプセルが含む:

製造
活性物質を賦形剤と混合し、0.75mmのメッシュサイズを有するスクリーンに通し、及び適切な装置を用いて均質混合した。最終混合物をサイズ1硬質ゼラチンカプセルにパックした。
カプセル充填:約320mg
カプセルシェル:サイズ1硬質ゼラチンカプセル
【0061】
実施例D
150mgの活性物質を含む座薬
組成
1座薬が含む:

製造
座薬塊を溶解した後、活性物質をその中に均質に分散させ及び溶融物を冷却金型に注入した。
【0062】
実施例E
10mgの活性物質を含むアンプル
組成

製造
活性物質を必要量の0.01N HCl中に溶解し、食塩で等張にし、無菌ろ過し、及び2mlアンプルに入れた。
【0063】
実施例F
50mgの活性物質を含むアンプル
組成

製造
活性物質を適量の0.01N HCl中に溶解し、食塩で等張にし、無菌ろ過し及び10mlアンプルに入れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のグルコピラノシロキシ置換芳香族化合物、その互変体、その立体異性体、それらの混合物又はそれらの塩。
【化1】

(式中、R1は、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ又はテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシを示し、又は、
3が、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ及びテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシからなる群より選ばれる場合、
1は、また、さらに水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-4アルキル、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル基、1〜5個のフッ素原子により置換されたエチル基、C1-4アルコキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメトキシ基、1〜5個のフッ素原子により置換されたエトキシ基、水素又はC1-3アルコキシ基により置換されたC1-4アルキル基、水素又はC1-3アルコキシ基により置換されたC2-4アルコキシ基、C2-6アルケニル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキル−C1-3アルキル、C3-6シクロアルコキシ、C3-6シクロアルキル−C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ又はシアノであってもよく、及び
2は、水素、フッ素、塩素、メチル、1〜3個のフッ素原子で置換されたメチル又はメトキシを示し、及び
3は、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ又はテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシを示し、又は
1が、C2-6アルキニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1-3アルキルオキシ及びテトラヒドロピラニル−C1-3アルキルオキシからなる群より選ばれる場合、
3は、また、さらに水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキリデンメチル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、C3-6シクロアルキル−C1-3アルコキシ、アリール、アリール−C1-3アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1-3アルキル、アリールオキシ、アリール−C1-3アルキルオキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル又はメトキシ基、1〜5個のフッ素原子により置換されたC2-4アルキル又はC2-4アルコキシ基、シアノ基により置換されたC1-4アルキル基、ヒドロキシ又はC1-3アルキルオキシにより置換されたC1-4アルキル基、シアノ、カルボキシ、C1-3アルキルカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3アルキルアミノ)カルボニル、ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1-3アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、ニトロ、アミノ、C1-3アルキルアミノ、ジ−(C1-3アルキル)アミノ、(C1-4アルキル)カルボニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アリール−C1-3アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルファニル、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、アルキルスルフェニル、アリールスルフィニル又はアリールスルホニルを示し、
4及びR5は、同一であっても異なっていてもよく、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、1〜3個のフッ素原子により置換されたメチル又はメトキシを示し、及び
6、R7a、R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-18アルキル)カルボニル、(C1-18アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール−(C1-3アルキル)カルボニルより選ばれ、
上記基の定義において記載されるアリール基は、互いに独立して、Rhによりモノ−又はジ置換されていてもよいフェニル又はナフチル基を示し、置換基は、同一であっても異なっていてもよく、及びRhは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ又はシアノを示し、
上記基の定義において記載されるヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基、
又はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル又はピリジル基(ここで、1又は2つのメチン基が窒素原子により置換される)、
又はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基(ここで1〜3つのメチン基が窒素原子により置換される)を示し、
上記ヘテロアリール基は、Rhによりモノ−又はジ置換されていてもよく、置換基は、同一であっても異なっていてもよく、及びRhは、上記に定義したようなものであり、
他に記載のない限り、上記アルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい)
【請求項2】
式中、R1がエチニルを示し、又は
3が、エチニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニルメチルオキシ及びテトラヒドロピラニルメチルオキシからなる群より選ばれる場合、
1は、また、さらに水素、フッ素、塩素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ又はシアノであってもよく、及び
2は、水素、フッ素又はメチルを示し、
3は、エチニル、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニルメチルオキシ又はテトラヒドロピラニルメチルオキシを示し、又は
1がエチニルを示す場合、
3は、また、さらに水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、2−シアノ−2−プロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、メチルスルファニル、2−メチル−1−プロペン−1−イル、シクロプロピリデンメチル、フェニル、フルオロフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリルを示してもよく、及び
4は、水素、フッ素又はメチルを示し、
5は、水素を示し、
6、R7a、R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-18アルキル)カルボニル、(C1-18アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール−(C1-3アルキル)カルボニルより選ばれる、
請求項1に記載の一般式(I)のグルコピラノシロキシ置換芳香族化合物、その互変体、その立体異性体、それらの混合物又はそれらの塩。
【請求項3】
式中、R1が、エチニルを示し、又は
3が、エチニル及びテトラヒドロフラン−3−イルオキシからなる群より選ばれる場合、
1は、また、さらに水素、フッ素、メチル、メトキシ又はシアノを示してもよく、
2は、水素又はメチルを示し、
3は、エチニル又はテトラヒドロフラン−3−イルオキシを示し、又は
1がエチニルである場合、
3は、また、さらにメチル、エチル、メトキシ、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルを示してもよく、
4は、水素又はフッ素を示し、
5は、水素を示し、
6、R7a、R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-18アルキル)カルボニル、(C1-18アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール−(C1-3アルキル)カルボニルより選ばれる、
請求項1に記載の一般式(I)のグルコピラノシロキシ置換芳香族化合物、その立体異性体又はそれらの混合物。
【請求項4】
式中、R6が水素以外の本発明の意味を有し、及び特に、R6がエトキシカルボニル又はメトキシカルボニルを示す、
(a)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−[4−((R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジル]−ベンゼン、
(b)1−(β−D−グルコピラノシロキシ)−2−(4−エチニルベンジル)−ベンゼン
及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる請求項1に記載の一般式(I)の化合物、その互変体、その立体異性体又はそれらの混合物。
【請求項5】
無機又は有機酸と請求項1〜4の少なくとも1つに記載の化合物の生理学的に許容可能な塩。
【請求項6】
請求項1〜4の1又は2以上に記載の化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩を、場合により1又は2以上の不活性キャリア及び/又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物。
【請求項7】
ナトリウム−依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することにより影響を受け得る疾患又は状況の治療又は予防に適する医薬組成物を製造するための、請求項1〜4の1又は2以上に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項8】
代謝性疾患の治療又は予防に適する医薬組成物を製造するための、請求項1〜4の1又は2以上の少なくとも1つの化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項9】
代謝性疾患が、タイプ1及びタイプ2糖尿病、糖尿病の合併症、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血、グルコース代謝性疾患、インスリン耐性、代謝症候群、異なる起源の異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満症、高血圧、慢性心不全、水腫及び高尿酸血症からなる群より選ばれる請求項8に記載の使用。
【請求項10】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜4の少なくとも1つに記載の少なくとも1つの化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項11】
膵臓β細胞の退化の予防のための及び/又は膵臓β細胞の機能性を改善及び/又は復元するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜4の少なくとも1つに記載の少なくとも1つの化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項12】
利尿薬及び/又は降圧剤を製造するための、請求項1〜4の少なくとも1つに記載の少なくとも1つの化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項13】
請求項1〜4の少なくとも1つに記載の化合物又は請求項5に記載の生理学的に許容可能な塩を1又は2以上の不活性キャリア及び/又は希釈剤中に非化学的方法により導入することを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項14】
a)一般式(I)(式中、R6、R7a、R7b及びR7cは請求項1で定義されたようなものであるが、水素を表さない)の化合物を製造するために、一般式(II):
【化2】

(式中、式中、R6、R7a、R7b及びR7cが前述に定義したようなものであるが水素を表さず、Z1が脱離基を示す)の化合物を、一般式(III):
【化3】

(R1〜R5は、請求項1において定義したものである)の化合物と反応させ、又は
b)一般式(I)(式中、R6、R7a、R7b及びR7cが水素を表す)の化合物を製造するために、一般式(I)(R6及びR7a、R7b、R7cが前述に定義したようなものであるが、水素を表さない)を加水分解し、及び
所望なら、そのようにして得られた一般式(I)の化合物(R6は水素原子を示す)を、一般式(I)の対応するアシル化合物へのアシル化により転化し、及び/又は
必要なら、上記反応の間に使用された保護基を再び開裂し及び/又は
所望なら、そのようにして得られた一般式(I)の化合物をその立体異性体にし及び/又は
そのようにして得られた一般式(I)の化合物を、それらの塩に、特には医薬用途のために生理学的に許容可能なそれらの塩に転化することを特徴とする、
請求項1〜4に記載の一般式(I)の化合物を製造する方法。

【公表番号】特表2007−515441(P2007−515441A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546000(P2006−546000)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014319
【国際公開番号】WO2005/063785
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】