グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物
【課題】グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の一局面は、所望の粘度を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。本発明はまた、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。他の局面において、本発明は、食物繊維組成物または食物繊維組成物を含む食品を調製するための方法、および哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースレベルを低下させる、または血中コレステロールを低下させるための方法を提供する。
【解決手段】本発明の一局面は、所望の粘度を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。本発明はまた、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。他の局面において、本発明は、食物繊維組成物または食物繊維組成物を含む食品を調製するための方法、および哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースレベルを低下させる、または血中コレステロールを低下させるための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年4月12日出願の米国仮特許出願第60/670,944号の利益を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、食物繊維組成物、ならびに食欲を抑制し、体重減少を促進し、血中グルコースレベルおよび血中コレステロールレベルを低下させるためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
糖尿病および低血糖症は、2型糖尿病の発生に繋がり得る状態であり、ますます一般的になってきた。そのような状態は、細胞のインシュリン抵抗性が増大することによることが見出された。従来、糖尿病状態は、血糖を調節するためにインシュリン注射および種々の薬剤を用いて管理されている。しかしながら、食餌および体重減少が、糖尿病と関連づけられる多くの代謝異常を矯正するのに主要な役割を果たしている(非特許文献1)。高い血糖上昇指数を有する食料の高摂取は、過食および肥満をもたらすことが知られている(非特許文献2)。したがって、糖尿病状態ならびに体重減少の管理に使用される薬剤はいずれも血糖上昇指数が低いことが好ましい。最も好ましいのは、そのような薬剤が食品の血糖上昇指数を低下させる場合である。
炭水化物摂取の低減もまた、糖尿病状態の管理の成功に必要とされる。食餌カウンセリングは有用であるが、糖尿病患者は、低血糖の状態をより頻繁に経験するにつれ、より大きな食欲を経験する(非特許文献3)。更に、糖尿病患者における血中グルコースレベルを低下させる療法は、体重増加という望ましくない副作用としばしば関連づけられる(非特許文献4)。可溶性繊維の多い食餌は、インシュリン感受性の上昇により糖尿病の危険性を低下させ得ることが報告された(非特許文献5)。これは、血糖調節における食物繊維の果たし得る役割に起因し得る。高粘度の食事は、低粘度の食事と比較して、より大きな満腹感を生じさせることも報告された(非特許文献6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yipら、2001年、Obesity Res.、9:341S−347S
【非特許文献2】Ludwigら、1999年、Pediatrics、103(3):E26
【非特許文献3】Strachanら、2004年、Physiol.Behav.、80(5):675−82
【非特許文献4】Schultesら、2003年、J.Clin.Endocrinol.Metabol.、88(3):1133−41
【非特許文献5】Ylonenら、2003年、Diabetes Care、26:1979−85
【非特許文献6】Marcianiら、2001年、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.、280:G1227−33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、血糖レベルを低下させ、飽満感を促進することによって糖尿病状態の管理を助ける食物繊維組成物の必要性がある。本発明は、この必要性およびその他に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明の一局面は、食物繊維組成物を提供する。典型的に、この食物繊維組成物は、所望の粘度を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する。上記食物繊維組成物の一部の実施形態は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、哺乳動物被検体において、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるために有効な量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。
【0008】
一部の実施形態において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。典型的な食品としては、栄養補助食品および代替食品(meal replacement)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、上記食品は、約2%〜約10%(w/w)の食物繊維組成物を含み、この食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0009】
本発明の別の局面は、食物繊維組成物を調製するための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせて有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する工程を包含する。一部の実施形態において、上記方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。本発明の方法に従って調製される食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含み得る。一部の実施形態において、食物繊維組成物を調製するための上記方法は、上記組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0010】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0011】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンおよびキサンタンガムを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、有効量のアルギナートを上記組成物に加える工程を包含する。
【0012】
本発明の更なる局面は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させる方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。これらの方法に従って投与される食物繊維組成物は、約48%と約70%(w/w)との間のグルコマンナン、約11%と約13%(w/w)との間のキサンタンガムおよび約9%と約17%(w/w)との間のアルギナートを含み得る。
本発明の前記局面および多くの附帯利益は、以下の詳細な説明を参照してより良く把握され、添付図面と関連させて理解される場合、より容易に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例2に記載するように、異なる可溶性繊維源および粘性繊維混合物(VFB)の、50g経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を図示している。
【図2A】図2Aは、実施例2に記載するように、VFBクッキーを含む試験朝食が与えられた被検体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図2B】図2Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図3A】図3Aは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の開始時に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3B】図3Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の3週間目に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3C】図3Cは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の開始時に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図3D】図3Dは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の3週間目に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図4】図4は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後グルコース応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図5】図5は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後インシュリン応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図6】図6は、実施例2に記載するように、3週間にわたり試験朝食を消費した被検体における体脂肪率(%)の変化を、コントロール朝食を消費した被検体と比較して、グラフにより図示している。
【図7】図7は、実施例8に記載するように、蒸留水中の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図8】図8は、実施例8に記載するように、胃条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図9】図9は、実施例8に記載するように、腸条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
一局面において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。本明細書中で使用される場合、「グルコマンナン」は、β−(1,4)結合D−マンノース残基とβ−(1,4)結合D−グルコース残基とを約3:1の比率で含み、更に種々のα結合ガラクトース末端基を含む、水溶性食物繊維をいう。グルコマンナンは、最も一般的には、コンニャクの根(Amorphophallus
konjac)から単離されるが、他の植物源からも単離され得る。「キサンタンガム」は、グルコース、マンノース、グルクロン酸カリウムまたはグルクロン酸ナトリウム、アセテート、ピルベートを含む複合多糖類をいう。「アルギナート」は、マンヌロン酸およびグルロン酸の混合重合体をいう。
【0015】
本発明の食物繊維組成物は、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。本明細書中で使用される場合、「有効量」は、所望の粘度を生じさせる量をいう。有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートは、合わせた場合に所望の粘度を生じさせるこれらの成分の各々の比例した量である。食物繊維組成物の有効量は、摂取された場合に所望の粘度を生じさせる組成物量である。食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、一般的に、口当たりの良い初期粘度を有するが、15分〜60分間にわたって粘度を実質的に上昇させ、胃条件下または腸条件下で粘度を維持するかまたは上昇させる繊維混合物を生じさせるように選択される。本明細書中で使用される場合、用語「口当たりの良い初期粘度」は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズのある範囲の粘度をいう。約3000センチポアズよりも大きな粘度を有する液体は、摂取するのが困難であり、したがって、口当たりが良くないと考えられる。本明細書中で使用される場合、「初期粘度」は、約4℃と約25℃との間(例えば、約16℃と25℃との間)の温度または同等な条件での、100倍(w/w)過剰な水中の食物組成物の粘度をいう。「胃条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な胃液体中の食物組成物の粘度をいう。「胃液体」は、7.0mLのHClおよび全体を100mLとするのに十分な水に2.0gのNaClと3.2gのペプシンとを溶解することにより作製される約1.2のpHを有する溶液をいう(米国薬局方参照)。胃条件は、10滴のリン酸を200gの蒸留水に加えることにより模擬され得る。「腸条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な模擬腸液体中の食物組成物の粘度をいう。「模擬腸液体」は、以下の通りに作製される約7.5と約8.0との間のpHを有する溶液をいう:6.8gの一塩基リン酸カリウムを250mLの水に溶解し、混合する。190mLの0.2N NaOHと400mLの水とを加える。これに続いて、10.0gのパンクレアチンを加え、混合し、0.2N NaOHを用いてこの溶液のpHを7.5±0.1に調整し、水で希釈して1000mLにする(米国薬局方参照)。
【0016】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ(cps)と約3000cpsとの間(例えば、約200cps〜約1000cpsまたは約400cps〜約1000cps)の初期粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で約30分後に、約600cpsと約5000cpsとの間(例えば、約1000cps〜約5000cpsまたは約1000cps〜約3000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で約30分後に、約1500cpsと約8000cpsとの間(例えば、約2000cps〜約6000cpsまたは約2500cps〜約6000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、実施例1に記載するように、哺乳動物被検体による摂食後15分以内に、少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0017】
上記食物繊維組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、グルコマンナンが約48%〜約90%(例えば、約60%〜約80%、または約60%〜約90%、または65%〜約75%、または約50%〜約80%、または約50%〜約70%、または約70%)、キサンタンガムが約5%〜約20%(例えば、約10%〜約20%、または約11%〜約13%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)、そして、アルギナートが約5%〜約30%(例えば、約10%〜約20%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)であり得る。一部の実施形態において、食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、実施例1および8に記載するように、グルコマンナンが約70%、キサンタンガムが約13%〜約17%、そして、アルギナートが約13%〜約17%である。
【0018】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化される。本明細書中で使用される場合、「顆粒化」は、小さな粒子を集めてより大きく恒久的な凝集体にする任意の造粒プロセスをいう。顆粒化は、混合装置での攪拌によるか、圧縮、押し出し成形または球状化により達成され得る。食物繊維組成物は、種々のメッシュサイズを用いて顆粒化され得る。用語「メッシュ」は、規定された大きさの穴を有する篩を通過する能力により決定される粒子サイズをいう。本明細書中で使用されるメッシュサイズは、Chemical Engineers’Handbook(第5版、Perry & Chilton編著)の表21−12に提示されるような、Tyler相当量(Tyler equivalent)である。実施例1に示すように、食物繊維組成物の顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、所望の粘度が達成されるのに長い時間を費やす。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化された物質をそれらの粒径により分け、次いで粒径で分けられた顆粒を所望の粘度プロフィールを与えるように再び組み合わせることにより、組み合わせたメッシュサイズを用いて顆粒化される。例えば、30〜60の組み合わせメッシュサイズは、30メッシュ(約600ミクロン)の顆粒と、約40メッシュ(約400ミクロン)の顆粒と、約60メッシュ(250ミクロン)の顆粒とを組み合わせることにより得られる。
【0019】
本発明の食物繊維組成物は、経口組成物の製造に関する当該技術分野において公知の任意の方法に従って、経口使用に適した形態で調製される。例えば、上記食物繊維組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性懸濁剤もしくは油性懸濁剤、散布可能/調剤可能粉末もしくは顆粒剤(例えば、食品上に振り掛け得る粉末および顆粒剤)、乳剤、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤もしくは腸用処方物、または徐放性組成物として調製され得る。経口消費用には、上記食物組成物は、食物または飲料に加えられ得る。例えば、粉末形態の食物組成物は、経口摂取可能な液体と混合されて水性飲料を形成し得、または焼く前のクッキー生地と混合され得る。典型的な食物繊維組成物の処方物は、1カプセルに約500mgの食物繊維組成物を含む、硬ゼラチンカプセル剤である。
【0020】
本発明の食物繊維組成物は、更なる成分を更に含み得る。例えば、上記食物繊維組成物は、ステアリン酸マグネシウム、米粉、キシリトール、レシチン、中鎖トリグリセリド、香料、ステビアおよび/またはシロイド(syloid)シリカを更に含み得る。典型的な食物組成物は、約48%(w/w)のグルコマンナン、約11%(w/w)のキサンタンガム、約9%(w/w)のアルギナート、約31%(w/w)の米粉、および約1%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを含む。典型的な食物繊維組成物は、実施例1、4および5に記載される。
【0021】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、クワの抽出物を含み得る。クワの葉は、低血糖症に対する治療効果を有することが示された(例えば、Clin.Chim.Acta 314(1−2):47−53参照)。したがって、クワの抽出物の添加は、血糖レベルの調節における食物繊維組成物の効果を高め得る。しかしながら、クワの抽出物の添加は、組成物中の食物繊維の濃度を薄め、組成物全体の粘度を低下させる。したがって、一部の実施形態において、本発明の食物繊維組成物は、クワの抽出物を含まないか、または3.5%未満のクワの抽出物を含む。
【0022】
本発明の食物繊維組成物は、食前、食事中または食後に消費され得る。本発明の食物繊維組成物は、胃腸管中に高粘度を供給することにより空腹を制御し、満腹感を誘発する。この繊維混合物は、胃の酸性条件下でも腸のアルカリ性条件下でも高粘度を維持する。本発明の食物繊維組成物は、血中グルコースレベルを低下させることにより、糖尿病状態の管理を更に助ける。
【0023】
本発明の別の局面は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。本発明の食品は、栄養補助食品または代替食品であり得る。一部の実施形態において、上記食品は、シェークまたはスムージーとして提供される。典型的に、本発明の食品は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約2%〜約30%(例えば、約2%〜約20%、または約5%〜約15%、または約2%〜約10%)の食物繊維組成物を含む。典型的に、上記食品は、一食当たり、約2グラムと約15グラムとの間(例えば、一食当たり、約3グラムと8グラムとの間、または約3グラムと約6グラムとの間)の食物繊維を含む。一部の実施形態において、本発明の食品は、実施例3および7に記載されるように、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約9%(w/w)の食物繊維組成物を含む。
【0024】
本発明の食品は、更なる成分(例えば、タンパク質もしくはアミノ酸、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルおよび補因子、天然もしくは人工の香料、色素もしくは他の着色添加剤、ならびに保存剤)を更に含み得る。用語「ビタミン」は、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKが挙げられるが、これらに限定されない。また、用語「ビタミン」には、補因子および補酵素(例えば、チアミンピロリン酸(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(AND)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、コエンザイムA(CoA)、ピリドキサルリン酸、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、コエンザイムB12、リポイルリシン、11−cis−レチナール、および1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを含む補酵素)も含まれる。用語「ビタミン」はまた、コリン、カルニチン、αカロチン、βカロチンおよびγカロチンを含む。用語「ミネラル」は、ヒトの食事に必要とされる無機物、金属等をいい、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロム、マンガン、カリウム等、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記ミネラルは、塩、酸化物またはキレート塩の形態であり得る。
【0025】
着色剤としては、二酸化チタンおよび食物に適した色素(例えば、FD&C色素として公知の色素)、ならびに天然着色剤(例えば、ブドウの皮の抽出物、ビートレッド粉末 (beet red powder)、βカロチン、アナトー、カルミン、ターメリック(tumeric)、クロロフィルおよびパプリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。使用される着色剤の量は、色の彩度に応じ、乾燥重量で組成物全体のうち、約0.0%〜約3.5%の範囲であり得る。
【0026】
組成物中に含まれる香料は、合成香油、香料用芳香剤および/または天然油、植物、葉、花および果実からの抽出物、ならびにそれらの組み合わせより選択され得る。これらの香料としては、桂皮油、ウインターグリーン油、ペパーミント油、チョウジ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク油、セージ油、柑橘類果実(レモンおよびオレンジを含むが、これらに限定されない)の油、苦扁桃油およびカッシア油が挙げられるが、これらに限定されない。適切な香料としては、バニラ、チョコレート、モカ、コーヒー、アイスクリーム、柑橘類(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)、リンゴ、西洋ナシ、モモ、マンゴー、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップルおよびアプリコットが挙げられるが、これらに限定されない。香料の量は、多数の要因(望ましい感覚器刺激効果を含む)に依存し得る。香料は、組成物の乾燥重量を基準として、約0%〜約10.0%の乾燥重量の範囲で存在し得る。典型的な本発明の食品は、実施例2、3および7に提供される。
【0027】
一部の実施形態において、本発明の食品は、ビルベリーの抽出物、ルテインおよび/またはタウリンを含まない。本発明の一部の実施形態は、28g未満のホエイタンパク質または8.9g未満のフルクトースを含む食品を提供する。本発明の一部の実施形態は、0.9gより多くの中鎖トリグリセリドを含む食品を提供する。
【0028】
更なる局面において、本発明は、食物繊維組成物を調製するための方法および食物繊維組成物を含む食品を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度の増大を生じさせるための、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせる工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。
【0029】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を含む食品を調製する方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を食品に加える工程を包含する。本発明の食品は、一日に一回または数回、消費され得る。
【0030】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低減する方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物を顆粒化して、低減させた粘度を有する組成物を生成する工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維は、キサンタンガムおよび/またはアルギナートを更に含む。一部の実施形態において、上記方法は、組成物の初期粘度を低減させながらも、時間の経過により(例えば、約120分間後に)組成物の粘度を増大させるのに有効な量のアルギナートを、グルコマンナンを含む組成物に加える工程を包含する。
【0031】
本発明の更に別の局面は、哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースレベルを低下させる、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において飽満を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において体重減少を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中グルコースレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0032】
本発明の方法における使用のための典型的な食物繊維組成物は、上記の通りである。食物繊維組成物は、任意の形態で投与され得る。例えば、それらの食物繊維組成物は、カプセル剤として投与され得るか、または食品に含めて投与され得る。
【0033】
典型的な本発明の方法は、実施例2および3に記載されている。実施例2および3に示されるように、本発明の方法は、インシュリン感受性の顕著な増大を生じさせ、体脂肪を減少させ、そして飽満および体重減少を促進する。
【0034】
以下の実施例は、上記で熟慮された本発明を実施するための最良の形態を単に例示しているに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
この実施例は、胃条件下および腸条件下で所望の粘度プロフィールを提供する粘性繊維混合物(VFB)として言及される典型的な食物繊維組成物中の繊維の選択について記載する。
【0036】
VFBを配合することの主要な目的は、実質的に30分〜60分間にわたり粘性を増大させる繊維混合物を生じさせることであった。口当たりの良さを高めるためには、繊維混合物の初期粘度がより薄く、繊維混合物の最も濃い状態が被検体の胃および腸で生じることが望ましい。したがって、繊維を選択するにあたり、この混合物はまた、胃(酸性)条件下でも腸条件下でも粘度を維持しなければならず、より望ましくは、粘度を増大しなければならなかった。消化器系中のある時点での高粘度は満腹感を引き起こし、また、炭水化物の吸収を調製することにより血糖の調節を助ける。
【0037】
表1は、別個に試験された異なる繊維の粘度を示している:ガラクトマンナン(FenuLifeより製造された、フェヌグリークに由来する80%より高い純度のもの)、グルコマンナン(コンニャクの根に由来する80%より高い純度のもの)、グァーガム(市販されているCyamopsis tetragonolobaのガラクトマンナン抽出物)、キサンタンガム(市販されているXanthomonas細菌に由来する細胞外複合多糖類)、アルギナート(市販されているAscophyllum nodosum由来の中粘度のアルギン酸ナトリウム)、市販の繊維(Vuksan博士により提供され、米国特許出願第20050020535号に記載されている、69%のグルコマンナン、17%のキサンタン、9%のカラギナンおよび8%のグァーからなるもの)。2グラムの各繊維組成物を、200gの水と混合した。粘度測定値(センチポアズ)を様々な時間間隔で記録した。
【0038】
【表1】
アルギナートおよびガラクトマンナンの粘度が最も小さかった。キサンタンガムおよびグァーガムは、ほぼ即時にそれらの最も濃い状態に達した。グルコマンナンは、時間の経過により相当な粘度の増大を見せた。しかしながら、本発明者らの目的に対しては濃すぎると思われたため、本発明者らは、他の粘性繊維と組み合わせたグルコマンナンがどのように反応するかを分析した。組み合わせた繊維混合物についての粘度結果を、表2に示す。
【0039】
【表2】
アルギナート、キサンタンガムおよびガラクトマンナンは、グルコマンナンとの組み合わせにおいて強い低粘稠化作用を有した。即時に最大粘度に達したキサンタンの特性は、グルコマンナンと組み合わせた場合にも引き継がれた。この混合物に関する欠点は、初期粘度が濃すぎ、時間の経過により濃くなり続けなかったことである。アルギナートとグルコマンナンとの混合物は、時間の経過により濃くなり続けた点で、グルコマンナンの特性を維持した。しかしながら、初期粘度が少し薄すぎ、濃くなるのが急速すぎた。グァーガムとアルギナートとの混合物は、適当な粘度を生じなかった。
【0040】
これらの結果から、グルコマンナンが、その高粘度特性により、繊維混合物にとって望ましい成分であると判断した。グルコマンナンは、口当たりの良さを高める非常に滑らかなテクスチャも有していた。アルギナートは、グルコマンナンの強い粘稠化特性を緩和するのを助け、また、摂取の初期段階の間、更に口当たりの良い粘度を達成した。キサンタンガムは、グルコマンナンを抑制し、粘度試験の終わりに近づくと(30分〜60分)グルコマンナンを弱めたと思われる唯一の繊維であったため、キサンタンガムもまた、混合物の成分として選択された。グァーガムおよびガラクトマンナンは、VFBの質に寄与する新たな特性を何ら示さず、したがって、それらを繊維混合物の成分として選択しなかった。
【0041】
作製されたVFBの最終組成は、グルコマンナンが48%〜90%、キサンタンガムが5%〜20%およびアルギナートが5%〜30%であった。グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートがこれらの比率で組み合わされてVFBを生成する場合、この組成物を水と混合すると、図7に示され、実施例8に記載されるように、120分後に予想以上に高い粘度値を示す。VFBはまた、胃液と混合すると、図8に示され、実施例8に記載されるように、10分後に予想以上に高い粘度値を生じる。
【0042】
更に低いグルコマンナンの比率では、上記生成物は、所望の濃さに達しない。更に高いキサンタンの比率でも、上記生成物は、所望の濃さに達しなかった。更に低いキサンタンの比率では、上記繊維混合物は、濃くなるのが急速すぎた。アルギナートもまた、生成物の初期段階の間、粘度を低下させることにより、口当たりの良さを高める重要な役割を有した。
【0043】
好ましい実施形態において、60%〜80%のグルコマンナン、10%〜20%のキサンタンガムおよび10%〜20%のアルギナートを含み、前述した所望の特性を有するVFB組成物を生成した。例えば、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含み、本明細書中に記載されるような所望の特性を有するVFB組成物を生成した。70%のグルコマンナン、17%のキサンタンガムおよび13%のアルギナートを含み、同様な所望の特性を有する別のVFB組成物を生成した。
【0044】
VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、市販の競合する繊維と比較して、表3に示す。
【0045】
【表3】
スムージー中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、スムージー中の市販の競合する繊維と比較して、表4に示す。5グラムの繊維をスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの蒸留水を加えた。
【0046】
【表4】
VFBと市販の繊維との差異の一つは、模擬消化液条件下でどのようにそれらが反応するかである。表5および表6に示されるように、VFBは、胃条件下で濃さを増大させる能力を有する。表5は、10滴のリン酸を含む200gの蒸留水に2gの繊維を加えた場合の、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを比較している。
【0047】
【表5】
表6は、スムージー製品中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、胃条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの胃液体を加えた。
【0048】
【表6】
表7は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。2gの繊維を200gの腸液体に加えた。腸液体を、250mLの水に6.8gの一塩基リン酸カリウムを溶解し、混合し、190mLの0.2N NaOHおよび400mLの水を加えることにより作製した。10.0gのパンクレアチンを加え、続いて混合し、pHを0.2N NaOHでpH7.5±0.1に調節した。この溶液を水で1000mLに希釈した(米国薬局方)。
【0049】
【表7】
表8は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの腸液体を加えた。
【0050】
【表8】
これらの試験結果は、模擬胃条件下および模擬腸条件下で、VFB繊維混合物が市販の繊維混合物よりも濃くなったことを示しており、VFBが胃中で市販の繊維よりも高い粘度を有し、腸条件下で濃くなり続け得ることを示している。
【0051】
より消費者に訴える製品を作るために、顆粒化したVFBを使用して、摂取の初期段階の間の粘度を更に遅らせた。顆粒化を、VFB混合物への30%〜60%(w/w)の水の添加により達成し、次いで、加えた水を乾燥させて除く。このプロセスを、典型的に、自動造粒機、流動床造粒機/乾燥機、自動凝集機を通じて実施するか、または単純な混合に続き、オーブンもしくは真空乾燥を通じて実施する。
【0052】
非顆粒化VFBは非常に微細であり、水を加えると凝集する傾向がある。非顆粒化VFBは湿気を非常に急速に吸収するため、実際には水が粉末を包み込んでしまう。しかしながら、より大きな顆粒ほど、湿気を含んだ場合に互いに分離したままとなるので、顆粒化VFBはこの問題を避ける。VFB顆粒は徐々に水に溶解するので、スラリーはゆっくりと濃くなる。
【0053】
VFBの適切なメッシュサイズを決定することは、顆粒化プロセスにおいて重要である。30メッシュの粒子は、直径約600ミクロンであり、40メッシュの粒子は、直径約400ミクロンであり、50メッシュの粒子は、直径約300ミクロンであり、60メッシュの粒子は、直径約250ミクロンであり、80メッシュの粒子は、直径約180ミクロンである。顆粒化VFBは粘度の上昇を遅らせるが、それでもなお、満腹感を生じさせ、腸における炭水化物の吸収を遅らせることにより血糖レベルを調節する原因となる所望の濃さまで粘度を上昇させる。表9に示すように、顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、粘度の上昇が遅れる。
【0054】
【表9】
30、40および60メッシュサイズの顆粒の1:1:1の組み合わせからなる、30〜60メッシュサイズの組み合わせの顆粒化VFB生成物が望ましい。メッシュを小さくし、その割合が大きくなるほど、粘度の上昇を更に遅らせる。
【0055】
(実施例2)
この実施例は、本発明の典型的な食物繊維組成物(VFB)の消費が、インシュリン感受性の改善および体脂肪の減少をもたらすことを記載している。
【0056】
5%〜10%の体脂肪の減少が、メタボリックシンドロームと関連づけられる危険因子を減少させ得る(Krauss et al.(2000)Circulation 102(18):2284−99)。一般的な体重減少戦略(例えば、薬理学的処置、低カロリーダイエット(hypocaloric diet)および流行のダイエット)は、食欲を対象とせず、維持することが困難で費用がかかり、肥満と関連づけられる多くの代謝異常および2型糖尿病には取り組まず、上記戦略の継続が一度中断されると、体重の再増加および共存症の再確立をもたらす。
【0057】
先を見越した研究は、高食物繊維が体重、飽満およびエネルギー摂取と強力にかつ逆比例的に関連することを示している(Stevens et al.(1987)Am.J.Clin.Nutr.46(5):812−7;Blundell & Burley(1987)Int.J.Obes.11 Suppl.1:9−25;Howarth
et al.(2001)Nutr.Rev.59(5):129−39)。証拠はまた、高可溶性繊維の摂取がインシュリン感受性および血糖症の改善と関連づけられることも示唆している(Salmeron et al.(1997)Diabetes Care 20(4):545−50;Salmeron et al.(1997) JAMA 277(6):462−77;Jenkins et al.(1967)Lancet 2(7999):1251;Doi et al.(1979)Lancet 1(8123):987−8;Shima et al.(1982)Nutr.Rep.Int.26:297−302)。精製された高粘性繊維(Brand et al.(1991)Diabetes Care 14(2):95−101;Wolever
et al.(1992)Diabet.Med.9(5):451−8)(例えば、グァーガム(Jenkins et al.(1977)Lancet 2(8042):779−80;Aro et al.(1981)Diabetologia 21(1):29−33))およびグルコマンナン(Vuksan et al.(2000)Diabetes Care 23(1):9−14)の消費が、インシュリン抵抗性、2型糖尿病およびメタボリックシンドロームに罹っている被検体におけるインシュリン感受性の改善をもたらした(Chiasson et al.(1996)Diabetes Care 19(11):1190−3;Frost et al.(1998)Metabolism 47(10):1245−51)。
【0058】
粘性繊維は、消化および吸収を遅くし、急性および長期的な血糖制御に影響を及ぼし、したがって、食欲の制御(Meyer(1955)Ann.NYAcad.Sci.63:15−32;Penicaud et al.(2002)Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 5(5):539−43)およびインシュリン感受性の上昇に繋がると考えられている。インシュリンは、脂肪代謝を調節するのを助けることが知られており、また、糖尿病において重要な役割を果たす。インシュリンレベルを下げることはまた、人々の空腹感を軽減し、これもまた、体重減少との関連を説明し得る。
【0059】
本調査は、高粘性食物繊維の混合物が補われた代謝制御される低脂肪ダイエットが、体重および体脂肪率の減少の結果として、食後の血糖制御およびインシュリン分泌を改善するという仮説を検証した。この仮説によると、高粘性食物繊維は、機械的効果(例えば、胃拡張、胃内容排出、胃腸通過時間、栄養素吸収率および胃腸管との栄養素の接触に影響を及ぼすことによる)、ならびに代謝効果(例えば、ホルモン分泌、血糖応答およびインシュリン応答、短鎖脂肪酸および糞便中エネルギー排泄に影響を及ぼすことによる)を提供する。
【0060】
(方法)
1.被検体:この調査には11人の参加者があった。この含める基準を、表10に示す。参加者のベースラインプロフィールを、表11に示す。
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
2.デザイン:無作為二重盲検プラシーボ−対照交換デザイン。6週間の導入期の間、参加者は、National Cholesterol Education Program Therapeutic Lifestyle Changes(TLC)食を消費した。この調査の実験段階は、2つの逐次的な3週間の処置期間とそれらの処置期間の間の2週間の洗い流し期間(TLC食を用いる)からなった。最初の処置期間の間、被検体は、無作為に、粘性繊維混合物(VFB)を含むTLC食か、または小麦フスマ(WB)のみのコントロールのいずれかを無作為に割り当てられた。次の処置期間の間、参加者を交換した。参加者は、0週目および3週目に診療所に来て、試験朝食またはコントロール朝食を消費し、食後のグルコースおよびインシュリンを体重および体脂肪%と共に評価した。各実験期間の開始時および終了時に、参加者を、試験朝食またはコントロール朝食の食後0分、30分、45分、60分、90分、120分および180分の時点で、グルコース濃度およびインシュリン濃度について試験した。インシュリン感受性を、以前に記載されたように計算した(Matsuda & Defronzo(1999)Diabetes Care 22:1462−70)。体脂肪を、赤外線インタラクタンス(interactance)(Futrex−5000)により、0週目および3週目にて測定した。
【0063】
3.試験朝食:交換デザインにおいて、インシュリン感受性が低下し、メタボリックシンドロームに罹っている参加者は、0.5g/100kcalの高粘度食物繊維(VFB、試験朝食)か、または対応する小麦フスマコントロール(コントロール朝食)のいずれかで強化された代謝制御食を、2週間の洗い流し期間を間に挟む2回の3週間にわたり、消費するように割り当てられた。コントロール朝食は、49gの小麦フスマクッキー、52gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。試験朝食は、58gのVFBクッキー(VFB繊維を約10%、スクロースを25%含み、栄養素プロフィールは、約6%のタンパク質、14%の脂肪、60%の有効炭水化物、1.5%の灰分および2.8%の水分である)、69gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。これら2つの朝食は、カロリーは等しく(isocaloric)、外見および味は同様であった。これら2つの朝食の栄養素プロフィールは、表12に示すように、繊維の種類のみが異なった。
【0064】
【表12】
(結果)
1.レオロジー:表13は、5つの異なる粘性可溶性繊維源の粘性を、粘性繊維混合物(VFB)と比較して示している。サンプルの測定値を、Brookfield粘度計(Middleboro、MA)により、1秒間に30のせん断速度で「F」スピンドルを使用し、24時間の時点で1%溶液を用いてとった。データは、3回以上の繰り返しの平均である(cps=センチポアズ)。
【0065】
【表13】
2.血糖応答:図1および表14は、3gの種々の可溶性繊維源およびVFBを投与することの、50gの経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を示している。このコントロールは、50gの経口グルコース負荷のみである。
【0066】
【表14】
3.食欲制御:図2A〜2Bおよび表15は、VFBを含む試験朝食が提供される被検体(図2A)およびコントロール朝食が提供される被検体(図2B)における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的な食欲評価の比較を示している。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0067】
【表15】
4.グルコース:図3A〜3Bおよび表16は、コントロール朝食が提供される被検体とVFB試験朝食が提供される被検体における急性の食後のグルコース応答の比較を示している。被検体は、3週間の間、毎日、コントロール朝食か試験朝食かのいずれかが与えられた。被検体の血中グルコース応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0068】
図4は、0週目および3週目における食後のグルコース応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0069】
【表16】
5.インシュリン:図3C〜Dおよび表17は、コントロール朝食が提供される被検体における食後のインシュリン応答と試験VFB朝食が提供される被検体との食後のインシュリン応答の比較を示している。被検体は、3週間毎日、コントロール朝食または試験朝食のいずれかを与えられた。被検体の血中インシュリン応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。全てのデータポイントは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0070】
図5は、0週目および3週目にて食後のインシュリン応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0071】
【表17】
6.体脂肪率(%):赤外線インタラクタンスFutrex−5000(登録商標)系(Futrex Inc,Gaithersburg,MD)を使用して、身体組成を評価した。図6および表18は、参加者がコントロール朝食を消費したコントロールの間の0週目〜3週目の体脂肪率(%)の変化と、参加者が試験朝食を消費した期間の変化とを比較して例示している。データは、平均として表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0072】
【表18】
(結論)
血糖(−23.13.5%に対して0.42.3%、P=0.000022)についての曲線下面積およびインスリン血症(−40.54.5%に対して2.02.9%、p=0.000012)についての曲線下面積は、コントロールと比較して、VFBを含む場合に顕著に減少した。これらの減少は、コントロールと比較して、VFBの消費後にインシュリン感受性の顕著な上昇を引き起こした(55.99.2%に対して9.74.5%、P=0.00056)。更に、VFBを用いた3週間に続き、1.4%の体脂肪の減少(p<0.05)を経験したコントロール群と比較して、体脂肪をベースラインから2.8%減少させた。本発明者らは、長期的なVFBの消費が、メタボリックシンドロームにおいてインシュリン感受性を低下させた個体の体脂肪を減少させると結論付けた。考え得る解釈としては、インシュリン感受性の改善が挙げられる。
【0073】
(実施例3)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物を含む代替食品製品の典型的な実施形態を提供する。
【0074】
典型的な食物繊維混合物(VFB)を、グルコマンナン(コンニャク根由来の80%より高い純度のもの)と、キサンタンガム(市販されている、Xanthomonas細菌由来の細胞外複合多糖類)と、アルギナート(市販されている、Ascophyllum
nodosum由来の中粘性アルギン酸ナトリウム)とを合わせて作製した。典型的な食物繊維混合物(VFB)の組成物を、表19に示す。
【0075】
【表19】
代替食品製品を、表20に示すように、VFB繊維混合物と共に処方した。
【0076】
【表20】
表21は、代替食品製品の1食分当たりに提供されるビタミンおよびミネラルを示している(RE=レチノール相当単位(equivalent unit)、NE=ナイアシン相当単位、mcg=マイクログラム、mg=ミリグラム)。
【0077】
【表21】
代替食品の香料としては、以下のいずれも含み得るが、これらに限定されない:チョコレート、イチゴ、バニラ、パイナップル、マンゴー、モモ、オレンジ、モカおよびチェリー。この代替食品は粉末形態である。1食分は、57グラムであり、グラス一杯の水と混合される。通常の食事の代わりに1食分を朝食時および昼食時に摂取する。
【0078】
(実施例4)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物(VFB)を含む代替食品製品を消費することのボランティアに対する効果を例示している。
【0079】
ある中年の男性ボランティアは、9ヶ月間の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは247.2ポンドの体重があり、BMIは36であり、胴周りの測定値は45.25インチであり、腰周りの測定値は47.25インチであり、体脂肪の測定値は27.7%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、223.75ポンドの体重があり、胴周りの測定値は43インチであり、腰周りの測定値は45.5インチであり、体脂肪の測定値は25.7%であった。このボランティアは、腹痛、ゆるい便通、そして、代替食品を摂取しない場合の晩に空腹を訴えた。
【0080】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、170ポンドの体重があり、BMIは30.3であり、胴周りの測定値は36.5インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は46.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、156ポンドの体重があり、胴周りの測定値は33.5インチであり、腰周りの測定値は41インチであった。このボランティアは、試験の最初の2日間、下痢を訴え、喉が渇くために、普段より水を多く飲んだ。
【0081】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、162.5ポンドの体重があり、BMIが27.9であり、胴周りの測定値は37インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.9%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、141ポンドの体重があり、胴周りの測定値は34インチであり、腰周りの測定値は41インチであり、体脂肪の測定値は35.3%であった。このボランティアは、この試験の最初の2週間、軽い頭痛を訴えた。
【0082】
ある中年女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、172ポンドの体重があり、BMIは27.7であり、胴周りの測定値は35.75インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、143ポンドの体重があり、胴周りの測定値は31インチであり、腰周りの測定値は38.25インチであった。このボランティアは、これを無理のない柔軟なダイエット計画であると思った。
【0083】
(実施例5)
この実施例は、ゼラチンカプセル剤として処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0084】
典型的な食物繊維組成物を、2部からなる硬ゼラチンカプセル剤として処方し、各カプセルは、500mgの表22に示す組成物を含む。
【0085】
【表22】
(実施例6)
この実施例は、食欲制御粉末として処方される本発明の食物繊維組成物の典型的な実施形態を提供する。
【0086】
典型的な食物繊維組成物を、食欲制御粉末として処方した。各瓶は、182gを含み、これは、26食分に相当する。この食欲制御粉末の1食分の内容量を、表23に示す。
【0087】
【表23】
(実施例7)
この実施例は、代替食品スムージーとして処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0088】
典型的な食物繊維組成物を、代替食品スムージーとして処方した。この代替食品スムージーの1食分の内容量を、表24に示す。
【0089】
【表24】
(実施例8)
この実施例は、種々の条件下における、典型的な繊維混合物(VFB)の粘度プロフィールと他の繊維混合物の粘度プロフィールとの比較を記載する。
【0090】
(方法)70%のグルコマンナン(コンニャク)、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含む粘性繊維混合物(VFB)の処方物を、実施例1に記載されるように作製した。以下のとおり、蒸留水中、胃条件下および腸条件下で、このVFBを、コンニャク/キサンタンガム(70:30)繊維混合物およびコンニャク/アルギナート(70:30)繊維混合物と比較した。
【0091】
(試験された組成物)
(1)VFB:コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%)
(2)KX:コンニャク(70%)/キサンタンガム(30%)
(3)KA:コンニャク(70%)/アルギナート(30%)。
【0092】
(粘度プロフィール実験)5gの試験物質を350gの液体(蒸留水、胃液または腸液のいずれか)と混合した。このサンプルを、Proctor/Silex混合機を用い、低速2で30秒間混合した。粘度の読み取りを、5分、10分、15分、20分、30分、45分、60分および120分の時点で実施した。胃液体および腸液体を、Universal Sample Preparation(USP)法に従って調製した。
【0093】
(結果)
表25および図7は、通常の条件(蒸留水)下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表26および図8は、胃条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表27および図9は、腸条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。図7、8および9に示すように、KA(コンニャク/アルギナート 70:30)繊維混合物は、一貫して、試験された3つの繊維混合物のうちで最低の粘度を有する。中性条件下および胃条件下において、KX(コンニャク/キサンタンガム 70:30)は、敏速に(例えば、約15分〜20分以内で)最大粘度に達した。VFB混合物(コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%))は、中性条件下においてKAとほぼ同じ粘度で開始し、胃条件下でも腸条件下でも時間の経過により粘度を上昇させ、中性条件下および胃条件下で、最終的に、KXよりも大きな粘度に達する。この組み合わせはまた、胃液と混合する場合、10分後に予想外に高い粘度値を生じさせる。したがって、KXの組み合わせへのアルギナートの添加は、中性条件にてVFBの粘度の低下を予想外に提供し、時間の経過により、KXのみよりも大きな粘度をもたらす。
【0094】
【表25】
【0095】
【表26】
【0096】
【表27】
本発明の好ましい実施形態が例示され、記載されたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらの実施形態において種々の変更をなし得ることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0097】
例えば、本発明は以下を提供する:
排他的権利または特権が請求される発明の実施形態は、以下の通りに定義される:
(項目1)
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目2)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目3)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目4)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目5)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目6)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガムおよび約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目7)
項目6に記載の食物繊維組成物であって、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%(w/w)のキサンタンガムおよび約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目8)
項目6に記載の食物繊維組成物であって、約70%のグルコマンナン、約17%(w/w)のキサンタンガムおよび約13%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目9)
哺乳動物被検体において、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目10)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナンを含む、食物繊維組成物。
(項目11)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目12)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目13)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、約30メッシュ〜約60メッシュの顆粒を含む、食物繊維組成物。
(項目14)
項目13に記載の食物繊維組成物であって、30メッシュの顆粒、40メッシュの顆粒および60メッシュの顆粒からなる群より選択される顆粒の組み合わせを含む、食物繊維組成物。
(項目15)
有効量の食物繊維組成物を含む食品であって、該食物繊維組成物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を含む、食品。
(項目16)
項目15に記載の食品であって、栄養補助食品または代替食品である、食品。
(項目17)
項目15に記載の食品であって、約2%〜約20%(w/w)の食物繊維組成物を含む、食品。
(項目18)
項目15に記載の食品であって、前記食物繊維組成物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
(項目19)
項目15に記載の食品であって、前記食物繊維組成物が、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
(項目20)
食物繊維組成物を調製するための方法であって、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるために有効な量でグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせる工程を包含する、方法。
(項目21)
項目20に記載の方法であって、前記食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する、方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、前記組成物を、約30メッシュ〜約60メッシュの範囲の顆粒サイズに顆粒化する、方法。
(項目23)
項目20に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目24)
項目20に記載の方法であって、食物繊維組成物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目25)
グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法であって、該食物繊維組成物を顆粒化する工程を包含する、方法。
(項目26)
項目25に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、更にキサンタンガムを含む、方法。
(項目27)
項目26に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、更にアルギナートを含む、方法。
(項目28)
グルコマンナンおよびキサンタンガムを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法であって、有効量のアルギナートを該食物繊維組成物に加える工程を包含する、方法。
(項目29)
項目28に記載の方法であって、有効量のアルギナートを加えて120分後の前記組成物の粘度を上昇させる、方法。
(項目30)
哺乳動物において、飽満を促進するためか、体重減少を促進するためか、血中グルコースレベルを低下させるためか、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法であって、該哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、該食物繊維組成物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目31)
項目30に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、約50%〜約70%(w/w)のグルコマンナン、約11%〜約13%(w/w)のキサンタンガムおよび約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目32)
項目30に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目33)
項目30に記載の方法であって、前記組成物が、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガムおよび約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目34)
項目33に記載の方法であって、前記組成物が、約70%のグルコマンナン、約13%のキサンタンガムおよび約17%のアルギナートを含む、方法。
(項目35)
項目33に記載の方法であって、前記組成物が、約70%のグルコマンナン、約17%のキサンタンガムおよび約13%のアルギナートを含む、方法。
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年4月12日出願の米国仮特許出願第60/670,944号の利益を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、食物繊維組成物、ならびに食欲を抑制し、体重減少を促進し、血中グルコースレベルおよび血中コレステロールレベルを低下させるためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
糖尿病および低血糖症は、2型糖尿病の発生に繋がり得る状態であり、ますます一般的になってきた。そのような状態は、細胞のインシュリン抵抗性が増大することによることが見出された。従来、糖尿病状態は、血糖を調節するためにインシュリン注射および種々の薬剤を用いて管理されている。しかしながら、食餌および体重減少が、糖尿病と関連づけられる多くの代謝異常を矯正するのに主要な役割を果たしている(非特許文献1)。高い血糖上昇指数を有する食料の高摂取は、過食および肥満をもたらすことが知られている(非特許文献2)。したがって、糖尿病状態ならびに体重減少の管理に使用される薬剤はいずれも血糖上昇指数が低いことが好ましい。最も好ましいのは、そのような薬剤が食品の血糖上昇指数を低下させる場合である。
炭水化物摂取の低減もまた、糖尿病状態の管理の成功に必要とされる。食餌カウンセリングは有用であるが、糖尿病患者は、低血糖の状態をより頻繁に経験するにつれ、より大きな食欲を経験する(非特許文献3)。更に、糖尿病患者における血中グルコースレベルを低下させる療法は、体重増加という望ましくない副作用としばしば関連づけられる(非特許文献4)。可溶性繊維の多い食餌は、インシュリン感受性の上昇により糖尿病の危険性を低下させ得ることが報告された(非特許文献5)。これは、血糖調節における食物繊維の果たし得る役割に起因し得る。高粘度の食事は、低粘度の食事と比較して、より大きな満腹感を生じさせることも報告された(非特許文献6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yipら、2001年、Obesity Res.、9:341S−347S
【非特許文献2】Ludwigら、1999年、Pediatrics、103(3):E26
【非特許文献3】Strachanら、2004年、Physiol.Behav.、80(5):675−82
【非特許文献4】Schultesら、2003年、J.Clin.Endocrinol.Metabol.、88(3):1133−41
【非特許文献5】Ylonenら、2003年、Diabetes Care、26:1979−85
【非特許文献6】Marcianiら、2001年、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.、280:G1227−33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、血糖レベルを低下させ、飽満感を促進することによって糖尿病状態の管理を助ける食物繊維組成物の必要性がある。本発明は、この必要性およびその他に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明の一局面は、食物繊維組成物を提供する。典型的に、この食物繊維組成物は、所望の粘度を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する。上記食物繊維組成物の一部の実施形態は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、哺乳動物被検体において、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるために有効な量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。
【0008】
一部の実施形態において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。典型的な食品としては、栄養補助食品および代替食品(meal replacement)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、上記食品は、約2%〜約10%(w/w)の食物繊維組成物を含み、この食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む。
【0009】
本発明の別の局面は、食物繊維組成物を調製するための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせて有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する工程を包含する。一部の実施形態において、上記方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。本発明の方法に従って調製される食物繊維組成物は、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含み得る。一部の実施形態において、食物繊維組成物を調製するための上記方法は、上記組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0010】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を包含する。
【0011】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンおよびキサンタンガムを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法を提供し、この方法は、有効量のアルギナートを上記組成物に加える工程を包含する。
【0012】
本発明の更なる局面は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させる方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。これらの方法に従って投与される食物繊維組成物は、約48%と約70%(w/w)との間のグルコマンナン、約11%と約13%(w/w)との間のキサンタンガムおよび約9%と約17%(w/w)との間のアルギナートを含み得る。
本発明の前記局面および多くの附帯利益は、以下の詳細な説明を参照してより良く把握され、添付図面と関連させて理解される場合、より容易に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例2に記載するように、異なる可溶性繊維源および粘性繊維混合物(VFB)の、50g経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を図示している。
【図2A】図2Aは、実施例2に記載するように、VFBクッキーを含む試験朝食が与えられた被検体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図2B】図2Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的食欲評価の比較を提供する。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図3A】図3Aは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の開始時に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3B】図3Bは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の3週間目に測定した場合の急性食後グルコース応答をグラフにより図示している。
【図3C】図3Cは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の開始時に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図3D】図3Dは、実施例2に記載するように、コントロール朝食が与えられた被検体および試験朝食が与えられた被検体における、この調査の3週間目に測定した場合の食後インシュリン応答をグラフにより図示している。
【図4】図4は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後グルコース応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図5】図5は、実施例2に記載するように、0週目および3週目の食後インシュリン応答についての曲線下面積を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【図6】図6は、実施例2に記載するように、3週間にわたり試験朝食を消費した被検体における体脂肪率(%)の変化を、コントロール朝食を消費した被検体と比較して、グラフにより図示している。
【図7】図7は、実施例8に記載するように、蒸留水中の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図8】図8は、実施例8に記載するように、胃条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【図9】図9は、実施例8に記載するように、腸条件下の種々の繊維混合物の時間経過による粘度プロフィールをグラフにより図示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
一局面において、本発明は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む食物繊維組成物を提供する。本明細書中で使用される場合、「グルコマンナン」は、β−(1,4)結合D−マンノース残基とβ−(1,4)結合D−グルコース残基とを約3:1の比率で含み、更に種々のα結合ガラクトース末端基を含む、水溶性食物繊維をいう。グルコマンナンは、最も一般的には、コンニャクの根(Amorphophallus
konjac)から単離されるが、他の植物源からも単離され得る。「キサンタンガム」は、グルコース、マンノース、グルクロン酸カリウムまたはグルクロン酸ナトリウム、アセテート、ピルベートを含む複合多糖類をいう。「アルギナート」は、マンヌロン酸およびグルロン酸の混合重合体をいう。
【0015】
本発明の食物繊維組成物は、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。本明細書中で使用される場合、「有効量」は、所望の粘度を生じさせる量をいう。有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートは、合わせた場合に所望の粘度を生じさせるこれらの成分の各々の比例した量である。食物繊維組成物の有効量は、摂取された場合に所望の粘度を生じさせる組成物量である。食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、一般的に、口当たりの良い初期粘度を有するが、15分〜60分間にわたって粘度を実質的に上昇させ、胃条件下または腸条件下で粘度を維持するかまたは上昇させる繊維混合物を生じさせるように選択される。本明細書中で使用される場合、用語「口当たりの良い初期粘度」は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズのある範囲の粘度をいう。約3000センチポアズよりも大きな粘度を有する液体は、摂取するのが困難であり、したがって、口当たりが良くないと考えられる。本明細書中で使用される場合、「初期粘度」は、約4℃と約25℃との間(例えば、約16℃と25℃との間)の温度または同等な条件での、100倍(w/w)過剰な水中の食物組成物の粘度をいう。「胃条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な胃液体中の食物組成物の粘度をいう。「胃液体」は、7.0mLのHClおよび全体を100mLとするのに十分な水に2.0gのNaClと3.2gのペプシンとを溶解することにより作製される約1.2のpHを有する溶液をいう(米国薬局方参照)。胃条件は、10滴のリン酸を200gの蒸留水に加えることにより模擬され得る。「腸条件下の粘度」は、約16℃と約25℃との間の温度または同等な条件での、70倍(w/w)過剰な模擬腸液体中の食物組成物の粘度をいう。「模擬腸液体」は、以下の通りに作製される約7.5と約8.0との間のpHを有する溶液をいう:6.8gの一塩基リン酸カリウムを250mLの水に溶解し、混合する。190mLの0.2N NaOHと400mLの水とを加える。これに続いて、10.0gのパンクレアチンを加え、混合し、0.2N NaOHを用いてこの溶液のpHを7.5±0.1に調整し、水で希釈して1000mLにする(米国薬局方参照)。
【0016】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ(cps)と約3000cpsとの間(例えば、約200cps〜約1000cpsまたは約400cps〜約1000cps)の初期粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、胃条件下で約30分後に、約600cpsと約5000cpsとの間(例えば、約1000cps〜約5000cpsまたは約1000cps〜約3000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、腸条件下で約30分後に、約1500cpsと約8000cpsとの間(例えば、約2000cps〜約6000cpsまたは約2500cps〜約6000cps)の粘度を有する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、実施例1に記載するように、哺乳動物被検体による摂食後15分以内に、少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0017】
上記食物繊維組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、グルコマンナンが約48%〜約90%(例えば、約60%〜約80%、または約60%〜約90%、または65%〜約75%、または約50%〜約80%、または約50%〜約70%、または約70%)、キサンタンガムが約5%〜約20%(例えば、約10%〜約20%、または約11%〜約13%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)、そして、アルギナートが約5%〜約30%(例えば、約10%〜約20%、または約13%〜約17%、または約13%、または約17%)であり得る。一部の実施形態において、食物組成物中のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートの割合は、実施例1および8に記載するように、グルコマンナンが約70%、キサンタンガムが約13%〜約17%、そして、アルギナートが約13%〜約17%である。
【0018】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化される。本明細書中で使用される場合、「顆粒化」は、小さな粒子を集めてより大きく恒久的な凝集体にする任意の造粒プロセスをいう。顆粒化は、混合装置での攪拌によるか、圧縮、押し出し成形または球状化により達成され得る。食物繊維組成物は、種々のメッシュサイズを用いて顆粒化され得る。用語「メッシュ」は、規定された大きさの穴を有する篩を通過する能力により決定される粒子サイズをいう。本明細書中で使用されるメッシュサイズは、Chemical Engineers’Handbook(第5版、Perry & Chilton編著)の表21−12に提示されるような、Tyler相当量(Tyler equivalent)である。実施例1に示すように、食物繊維組成物の顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、所望の粘度が達成されるのに長い時間を費やす。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、顆粒化された物質をそれらの粒径により分け、次いで粒径で分けられた顆粒を所望の粘度プロフィールを与えるように再び組み合わせることにより、組み合わせたメッシュサイズを用いて顆粒化される。例えば、30〜60の組み合わせメッシュサイズは、30メッシュ(約600ミクロン)の顆粒と、約40メッシュ(約400ミクロン)の顆粒と、約60メッシュ(250ミクロン)の顆粒とを組み合わせることにより得られる。
【0019】
本発明の食物繊維組成物は、経口組成物の製造に関する当該技術分野において公知の任意の方法に従って、経口使用に適した形態で調製される。例えば、上記食物繊維組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性懸濁剤もしくは油性懸濁剤、散布可能/調剤可能粉末もしくは顆粒剤(例えば、食品上に振り掛け得る粉末および顆粒剤)、乳剤、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤もしくは腸用処方物、または徐放性組成物として調製され得る。経口消費用には、上記食物組成物は、食物または飲料に加えられ得る。例えば、粉末形態の食物組成物は、経口摂取可能な液体と混合されて水性飲料を形成し得、または焼く前のクッキー生地と混合され得る。典型的な食物繊維組成物の処方物は、1カプセルに約500mgの食物繊維組成物を含む、硬ゼラチンカプセル剤である。
【0020】
本発明の食物繊維組成物は、更なる成分を更に含み得る。例えば、上記食物繊維組成物は、ステアリン酸マグネシウム、米粉、キシリトール、レシチン、中鎖トリグリセリド、香料、ステビアおよび/またはシロイド(syloid)シリカを更に含み得る。典型的な食物組成物は、約48%(w/w)のグルコマンナン、約11%(w/w)のキサンタンガム、約9%(w/w)のアルギナート、約31%(w/w)の米粉、および約1%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを含む。典型的な食物繊維組成物は、実施例1、4および5に記載される。
【0021】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物は、クワの抽出物を含み得る。クワの葉は、低血糖症に対する治療効果を有することが示された(例えば、Clin.Chim.Acta 314(1−2):47−53参照)。したがって、クワの抽出物の添加は、血糖レベルの調節における食物繊維組成物の効果を高め得る。しかしながら、クワの抽出物の添加は、組成物中の食物繊維の濃度を薄め、組成物全体の粘度を低下させる。したがって、一部の実施形態において、本発明の食物繊維組成物は、クワの抽出物を含まないか、または3.5%未満のクワの抽出物を含む。
【0022】
本発明の食物繊維組成物は、食前、食事中または食後に消費され得る。本発明の食物繊維組成物は、胃腸管中に高粘度を供給することにより空腹を制御し、満腹感を誘発する。この繊維混合物は、胃の酸性条件下でも腸のアルカリ性条件下でも高粘度を維持する。本発明の食物繊維組成物は、血中グルコースレベルを低下させることにより、糖尿病状態の管理を更に助ける。
【0023】
本発明の別の局面は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、有効量の食物繊維組成物を含む食品を提供する。本発明の食品は、栄養補助食品または代替食品であり得る。一部の実施形態において、上記食品は、シェークまたはスムージーとして提供される。典型的に、本発明の食品は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約2%〜約30%(例えば、約2%〜約20%、または約5%〜約15%、または約2%〜約10%)の食物繊維組成物を含む。典型的に、上記食品は、一食当たり、約2グラムと約15グラムとの間(例えば、一食当たり、約3グラムと8グラムとの間、または約3グラムと約6グラムとの間)の食物繊維を含む。一部の実施形態において、本発明の食品は、実施例3および7に記載されるように、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、約9%(w/w)の食物繊維組成物を含む。
【0024】
本発明の食品は、更なる成分(例えば、タンパク質もしくはアミノ酸、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルおよび補因子、天然もしくは人工の香料、色素もしくは他の着色添加剤、ならびに保存剤)を更に含み得る。用語「ビタミン」は、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKが挙げられるが、これらに限定されない。また、用語「ビタミン」には、補因子および補酵素(例えば、チアミンピロリン酸(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(AND)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、コエンザイムA(CoA)、ピリドキサルリン酸、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、コエンザイムB12、リポイルリシン、11−cis−レチナール、および1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを含む補酵素)も含まれる。用語「ビタミン」はまた、コリン、カルニチン、αカロチン、βカロチンおよびγカロチンを含む。用語「ミネラル」は、ヒトの食事に必要とされる無機物、金属等をいい、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロム、マンガン、カリウム等、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記ミネラルは、塩、酸化物またはキレート塩の形態であり得る。
【0025】
着色剤としては、二酸化チタンおよび食物に適した色素(例えば、FD&C色素として公知の色素)、ならびに天然着色剤(例えば、ブドウの皮の抽出物、ビートレッド粉末 (beet red powder)、βカロチン、アナトー、カルミン、ターメリック(tumeric)、クロロフィルおよびパプリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。使用される着色剤の量は、色の彩度に応じ、乾燥重量で組成物全体のうち、約0.0%〜約3.5%の範囲であり得る。
【0026】
組成物中に含まれる香料は、合成香油、香料用芳香剤および/または天然油、植物、葉、花および果実からの抽出物、ならびにそれらの組み合わせより選択され得る。これらの香料としては、桂皮油、ウインターグリーン油、ペパーミント油、チョウジ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク油、セージ油、柑橘類果実(レモンおよびオレンジを含むが、これらに限定されない)の油、苦扁桃油およびカッシア油が挙げられるが、これらに限定されない。適切な香料としては、バニラ、チョコレート、モカ、コーヒー、アイスクリーム、柑橘類(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)、リンゴ、西洋ナシ、モモ、マンゴー、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップルおよびアプリコットが挙げられるが、これらに限定されない。香料の量は、多数の要因(望ましい感覚器刺激効果を含む)に依存し得る。香料は、組成物の乾燥重量を基準として、約0%〜約10.0%の乾燥重量の範囲で存在し得る。典型的な本発明の食品は、実施例2、3および7に提供される。
【0027】
一部の実施形態において、本発明の食品は、ビルベリーの抽出物、ルテインおよび/またはタウリンを含まない。本発明の一部の実施形態は、28g未満のホエイタンパク質または8.9g未満のフルクトースを含む食品を提供する。本発明の一部の実施形態は、0.9gより多くの中鎖トリグリセリドを含む食品を提供する。
【0028】
更なる局面において、本発明は、食物繊維組成物を調製するための方法および食物繊維組成物を含む食品を調製する方法を提供する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度の増大を生じさせるための、有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせる工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を調製する方法は、食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する。
【0029】
一部の実施形態において、上記食物繊維組成物を含む食品を調製する方法は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を食品に加える工程を包含する。本発明の食品は、一日に一回または数回、消費され得る。
【0030】
別の局面において、本発明は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低減する方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、グルコマンナンを含む食物繊維組成物を顆粒化して、低減させた粘度を有する組成物を生成する工程を包含する。一部の実施形態において、上記食物繊維は、キサンタンガムおよび/またはアルギナートを更に含む。一部の実施形態において、上記方法は、組成物の初期粘度を低減させながらも、時間の経過により(例えば、約120分間後に)組成物の粘度を増大させるのに有効な量のアルギナートを、グルコマンナンを含む組成物に加える工程を包含する。
【0031】
本発明の更に別の局面は、哺乳動物において、飽満を促進する、体重減少を促進する、血中グルコースレベルを低下させる、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法を提供する。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において飽満を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において体重減少を促進するのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中グルコースレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。一部の実施形態において、上記方法は、哺乳動物において血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、この食物繊維組成物は、グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む。
【0032】
本発明の方法における使用のための典型的な食物繊維組成物は、上記の通りである。食物繊維組成物は、任意の形態で投与され得る。例えば、それらの食物繊維組成物は、カプセル剤として投与され得るか、または食品に含めて投与され得る。
【0033】
典型的な本発明の方法は、実施例2および3に記載されている。実施例2および3に示されるように、本発明の方法は、インシュリン感受性の顕著な増大を生じさせ、体脂肪を減少させ、そして飽満および体重減少を促進する。
【0034】
以下の実施例は、上記で熟慮された本発明を実施するための最良の形態を単に例示しているに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
この実施例は、胃条件下および腸条件下で所望の粘度プロフィールを提供する粘性繊維混合物(VFB)として言及される典型的な食物繊維組成物中の繊維の選択について記載する。
【0036】
VFBを配合することの主要な目的は、実質的に30分〜60分間にわたり粘性を増大させる繊維混合物を生じさせることであった。口当たりの良さを高めるためには、繊維混合物の初期粘度がより薄く、繊維混合物の最も濃い状態が被検体の胃および腸で生じることが望ましい。したがって、繊維を選択するにあたり、この混合物はまた、胃(酸性)条件下でも腸条件下でも粘度を維持しなければならず、より望ましくは、粘度を増大しなければならなかった。消化器系中のある時点での高粘度は満腹感を引き起こし、また、炭水化物の吸収を調製することにより血糖の調節を助ける。
【0037】
表1は、別個に試験された異なる繊維の粘度を示している:ガラクトマンナン(FenuLifeより製造された、フェヌグリークに由来する80%より高い純度のもの)、グルコマンナン(コンニャクの根に由来する80%より高い純度のもの)、グァーガム(市販されているCyamopsis tetragonolobaのガラクトマンナン抽出物)、キサンタンガム(市販されているXanthomonas細菌に由来する細胞外複合多糖類)、アルギナート(市販されているAscophyllum nodosum由来の中粘度のアルギン酸ナトリウム)、市販の繊維(Vuksan博士により提供され、米国特許出願第20050020535号に記載されている、69%のグルコマンナン、17%のキサンタン、9%のカラギナンおよび8%のグァーからなるもの)。2グラムの各繊維組成物を、200gの水と混合した。粘度測定値(センチポアズ)を様々な時間間隔で記録した。
【0038】
【表1】
アルギナートおよびガラクトマンナンの粘度が最も小さかった。キサンタンガムおよびグァーガムは、ほぼ即時にそれらの最も濃い状態に達した。グルコマンナンは、時間の経過により相当な粘度の増大を見せた。しかしながら、本発明者らの目的に対しては濃すぎると思われたため、本発明者らは、他の粘性繊維と組み合わせたグルコマンナンがどのように反応するかを分析した。組み合わせた繊維混合物についての粘度結果を、表2に示す。
【0039】
【表2】
アルギナート、キサンタンガムおよびガラクトマンナンは、グルコマンナンとの組み合わせにおいて強い低粘稠化作用を有した。即時に最大粘度に達したキサンタンの特性は、グルコマンナンと組み合わせた場合にも引き継がれた。この混合物に関する欠点は、初期粘度が濃すぎ、時間の経過により濃くなり続けなかったことである。アルギナートとグルコマンナンとの混合物は、時間の経過により濃くなり続けた点で、グルコマンナンの特性を維持した。しかしながら、初期粘度が少し薄すぎ、濃くなるのが急速すぎた。グァーガムとアルギナートとの混合物は、適当な粘度を生じなかった。
【0040】
これらの結果から、グルコマンナンが、その高粘度特性により、繊維混合物にとって望ましい成分であると判断した。グルコマンナンは、口当たりの良さを高める非常に滑らかなテクスチャも有していた。アルギナートは、グルコマンナンの強い粘稠化特性を緩和するのを助け、また、摂取の初期段階の間、更に口当たりの良い粘度を達成した。キサンタンガムは、グルコマンナンを抑制し、粘度試験の終わりに近づくと(30分〜60分)グルコマンナンを弱めたと思われる唯一の繊維であったため、キサンタンガムもまた、混合物の成分として選択された。グァーガムおよびガラクトマンナンは、VFBの質に寄与する新たな特性を何ら示さず、したがって、それらを繊維混合物の成分として選択しなかった。
【0041】
作製されたVFBの最終組成は、グルコマンナンが48%〜90%、キサンタンガムが5%〜20%およびアルギナートが5%〜30%であった。グルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートがこれらの比率で組み合わされてVFBを生成する場合、この組成物を水と混合すると、図7に示され、実施例8に記載されるように、120分後に予想以上に高い粘度値を示す。VFBはまた、胃液と混合すると、図8に示され、実施例8に記載されるように、10分後に予想以上に高い粘度値を生じる。
【0042】
更に低いグルコマンナンの比率では、上記生成物は、所望の濃さに達しない。更に高いキサンタンの比率でも、上記生成物は、所望の濃さに達しなかった。更に低いキサンタンの比率では、上記繊維混合物は、濃くなるのが急速すぎた。アルギナートもまた、生成物の初期段階の間、粘度を低下させることにより、口当たりの良さを高める重要な役割を有した。
【0043】
好ましい実施形態において、60%〜80%のグルコマンナン、10%〜20%のキサンタンガムおよび10%〜20%のアルギナートを含み、前述した所望の特性を有するVFB組成物を生成した。例えば、70%のグルコマンナン、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含み、本明細書中に記載されるような所望の特性を有するVFB組成物を生成した。70%のグルコマンナン、17%のキサンタンガムおよび13%のアルギナートを含み、同様な所望の特性を有する別のVFB組成物を生成した。
【0044】
VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、市販の競合する繊維と比較して、表3に示す。
【0045】
【表3】
スムージー中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールを、スムージー中の市販の競合する繊維と比較して、表4に示す。5グラムの繊維をスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの蒸留水を加えた。
【0046】
【表4】
VFBと市販の繊維との差異の一つは、模擬消化液条件下でどのようにそれらが反応するかである。表5および表6に示されるように、VFBは、胃条件下で濃さを増大させる能力を有する。表5は、10滴のリン酸を含む200gの蒸留水に2gの繊維を加えた場合の、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを比較している。
【0047】
【表5】
表6は、スムージー製品中のVFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、胃条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの胃液体を加えた。
【0048】
【表6】
表7は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。2gの繊維を200gの腸液体に加えた。腸液体を、250mLの水に6.8gの一塩基リン酸カリウムを溶解し、混合し、190mLの0.2N NaOHおよび400mLの水を加えることにより作製した。10.0gのパンクレアチンを加え、続いて混合し、pHを0.2N NaOHでpH7.5±0.1に調節した。この溶液を水で1000mLに希釈した(米国薬局方)。
【0049】
【表7】
表8は、VFB(グルコマンナン70%、キサンタンガム13%およびアルギナート17%)の粘度プロフィールと市販の繊維の粘度プロフィールとを、腸条件下で比較している。5gの市販の繊維または4gのVFBをスムージー混合物(典型的なスムージーの組成については実施例6を参照)に加え、次いで、350gの腸液体を加えた。
【0050】
【表8】
これらの試験結果は、模擬胃条件下および模擬腸条件下で、VFB繊維混合物が市販の繊維混合物よりも濃くなったことを示しており、VFBが胃中で市販の繊維よりも高い粘度を有し、腸条件下で濃くなり続け得ることを示している。
【0051】
より消費者に訴える製品を作るために、顆粒化したVFBを使用して、摂取の初期段階の間の粘度を更に遅らせた。顆粒化を、VFB混合物への30%〜60%(w/w)の水の添加により達成し、次いで、加えた水を乾燥させて除く。このプロセスを、典型的に、自動造粒機、流動床造粒機/乾燥機、自動凝集機を通じて実施するか、または単純な混合に続き、オーブンもしくは真空乾燥を通じて実施する。
【0052】
非顆粒化VFBは非常に微細であり、水を加えると凝集する傾向がある。非顆粒化VFBは湿気を非常に急速に吸収するため、実際には水が粉末を包み込んでしまう。しかしながら、より大きな顆粒ほど、湿気を含んだ場合に互いに分離したままとなるので、顆粒化VFBはこの問題を避ける。VFB顆粒は徐々に水に溶解するので、スラリーはゆっくりと濃くなる。
【0053】
VFBの適切なメッシュサイズを決定することは、顆粒化プロセスにおいて重要である。30メッシュの粒子は、直径約600ミクロンであり、40メッシュの粒子は、直径約400ミクロンであり、50メッシュの粒子は、直径約300ミクロンであり、60メッシュの粒子は、直径約250ミクロンであり、80メッシュの粒子は、直径約180ミクロンである。顆粒化VFBは粘度の上昇を遅らせるが、それでもなお、満腹感を生じさせ、腸における炭水化物の吸収を遅らせることにより血糖レベルを調節する原因となる所望の濃さまで粘度を上昇させる。表9に示すように、顆粒化が大きいほど(すなわち、メッシュサイズが小さいほど)、粘度の上昇が遅れる。
【0054】
【表9】
30、40および60メッシュサイズの顆粒の1:1:1の組み合わせからなる、30〜60メッシュサイズの組み合わせの顆粒化VFB生成物が望ましい。メッシュを小さくし、その割合が大きくなるほど、粘度の上昇を更に遅らせる。
【0055】
(実施例2)
この実施例は、本発明の典型的な食物繊維組成物(VFB)の消費が、インシュリン感受性の改善および体脂肪の減少をもたらすことを記載している。
【0056】
5%〜10%の体脂肪の減少が、メタボリックシンドロームと関連づけられる危険因子を減少させ得る(Krauss et al.(2000)Circulation 102(18):2284−99)。一般的な体重減少戦略(例えば、薬理学的処置、低カロリーダイエット(hypocaloric diet)および流行のダイエット)は、食欲を対象とせず、維持することが困難で費用がかかり、肥満と関連づけられる多くの代謝異常および2型糖尿病には取り組まず、上記戦略の継続が一度中断されると、体重の再増加および共存症の再確立をもたらす。
【0057】
先を見越した研究は、高食物繊維が体重、飽満およびエネルギー摂取と強力にかつ逆比例的に関連することを示している(Stevens et al.(1987)Am.J.Clin.Nutr.46(5):812−7;Blundell & Burley(1987)Int.J.Obes.11 Suppl.1:9−25;Howarth
et al.(2001)Nutr.Rev.59(5):129−39)。証拠はまた、高可溶性繊維の摂取がインシュリン感受性および血糖症の改善と関連づけられることも示唆している(Salmeron et al.(1997)Diabetes Care 20(4):545−50;Salmeron et al.(1997) JAMA 277(6):462−77;Jenkins et al.(1967)Lancet 2(7999):1251;Doi et al.(1979)Lancet 1(8123):987−8;Shima et al.(1982)Nutr.Rep.Int.26:297−302)。精製された高粘性繊維(Brand et al.(1991)Diabetes Care 14(2):95−101;Wolever
et al.(1992)Diabet.Med.9(5):451−8)(例えば、グァーガム(Jenkins et al.(1977)Lancet 2(8042):779−80;Aro et al.(1981)Diabetologia 21(1):29−33))およびグルコマンナン(Vuksan et al.(2000)Diabetes Care 23(1):9−14)の消費が、インシュリン抵抗性、2型糖尿病およびメタボリックシンドロームに罹っている被検体におけるインシュリン感受性の改善をもたらした(Chiasson et al.(1996)Diabetes Care 19(11):1190−3;Frost et al.(1998)Metabolism 47(10):1245−51)。
【0058】
粘性繊維は、消化および吸収を遅くし、急性および長期的な血糖制御に影響を及ぼし、したがって、食欲の制御(Meyer(1955)Ann.NYAcad.Sci.63:15−32;Penicaud et al.(2002)Curr.Opin.Clin.Nutr.Metab.Care 5(5):539−43)およびインシュリン感受性の上昇に繋がると考えられている。インシュリンは、脂肪代謝を調節するのを助けることが知られており、また、糖尿病において重要な役割を果たす。インシュリンレベルを下げることはまた、人々の空腹感を軽減し、これもまた、体重減少との関連を説明し得る。
【0059】
本調査は、高粘性食物繊維の混合物が補われた代謝制御される低脂肪ダイエットが、体重および体脂肪率の減少の結果として、食後の血糖制御およびインシュリン分泌を改善するという仮説を検証した。この仮説によると、高粘性食物繊維は、機械的効果(例えば、胃拡張、胃内容排出、胃腸通過時間、栄養素吸収率および胃腸管との栄養素の接触に影響を及ぼすことによる)、ならびに代謝効果(例えば、ホルモン分泌、血糖応答およびインシュリン応答、短鎖脂肪酸および糞便中エネルギー排泄に影響を及ぼすことによる)を提供する。
【0060】
(方法)
1.被検体:この調査には11人の参加者があった。この含める基準を、表10に示す。参加者のベースラインプロフィールを、表11に示す。
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
2.デザイン:無作為二重盲検プラシーボ−対照交換デザイン。6週間の導入期の間、参加者は、National Cholesterol Education Program Therapeutic Lifestyle Changes(TLC)食を消費した。この調査の実験段階は、2つの逐次的な3週間の処置期間とそれらの処置期間の間の2週間の洗い流し期間(TLC食を用いる)からなった。最初の処置期間の間、被検体は、無作為に、粘性繊維混合物(VFB)を含むTLC食か、または小麦フスマ(WB)のみのコントロールのいずれかを無作為に割り当てられた。次の処置期間の間、参加者を交換した。参加者は、0週目および3週目に診療所に来て、試験朝食またはコントロール朝食を消費し、食後のグルコースおよびインシュリンを体重および体脂肪%と共に評価した。各実験期間の開始時および終了時に、参加者を、試験朝食またはコントロール朝食の食後0分、30分、45分、60分、90分、120分および180分の時点で、グルコース濃度およびインシュリン濃度について試験した。インシュリン感受性を、以前に記載されたように計算した(Matsuda & Defronzo(1999)Diabetes Care 22:1462−70)。体脂肪を、赤外線インタラクタンス(interactance)(Futrex−5000)により、0週目および3週目にて測定した。
【0063】
3.試験朝食:交換デザインにおいて、インシュリン感受性が低下し、メタボリックシンドロームに罹っている参加者は、0.5g/100kcalの高粘度食物繊維(VFB、試験朝食)か、または対応する小麦フスマコントロール(コントロール朝食)のいずれかで強化された代謝制御食を、2週間の洗い流し期間を間に挟む2回の3週間にわたり、消費するように割り当てられた。コントロール朝食は、49gの小麦フスマクッキー、52gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。試験朝食は、58gのVFBクッキー(VFB繊維を約10%、スクロースを25%含み、栄養素プロフィールは、約6%のタンパク質、14%の脂肪、60%の有効炭水化物、1.5%の灰分および2.8%の水分である)、69gのフスマフレーク、250mLの2%ミルクおよび8gのバターからなった。これら2つの朝食は、カロリーは等しく(isocaloric)、外見および味は同様であった。これら2つの朝食の栄養素プロフィールは、表12に示すように、繊維の種類のみが異なった。
【0064】
【表12】
(結果)
1.レオロジー:表13は、5つの異なる粘性可溶性繊維源の粘性を、粘性繊維混合物(VFB)と比較して示している。サンプルの測定値を、Brookfield粘度計(Middleboro、MA)により、1秒間に30のせん断速度で「F」スピンドルを使用し、24時間の時点で1%溶液を用いてとった。データは、3回以上の繰り返しの平均である(cps=センチポアズ)。
【0065】
【表13】
2.血糖応答:図1および表14は、3gの種々の可溶性繊維源およびVFBを投与することの、50gの経口グルコース負荷への血糖応答に対する効果を示している。このコントロールは、50gの経口グルコース負荷のみである。
【0066】
【表14】
3.食欲制御:図2A〜2Bおよび表15は、VFBを含む試験朝食が提供される被検体(図2A)およびコントロール朝食が提供される被検体(図2B)における、0週目および3週目の、各食事および就寝前の軽食の前の主観的な食欲評価の比較を示している。データは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0067】
【表15】
4.グルコース:図3A〜3Bおよび表16は、コントロール朝食が提供される被検体とVFB試験朝食が提供される被検体における急性の食後のグルコース応答の比較を示している。被検体は、3週間の間、毎日、コントロール朝食か試験朝食かのいずれかが与えられた。被検体の血中グルコース応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0068】
図4は、0週目および3週目における食後のグルコース応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0069】
【表16】
5.インシュリン:図3C〜Dおよび表17は、コントロール朝食が提供される被検体における食後のインシュリン応答と試験VFB朝食が提供される被検体との食後のインシュリン応答の比較を示している。被検体は、3週間毎日、コントロール朝食または試験朝食のいずれかを与えられた。被検体の血中インシュリン応答を、調査の開始時(0週目)および調査の終了時(3週目)に測定した。全てのデータポイントは、平均±SDとして表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0070】
図5は、0週目および3週目にて食後のインシュリン応答についての曲線下面積(AUC)を、コントロールおよびVFBについて示している。データポイントは全て、平均±SDである。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0071】
【表17】
6.体脂肪率(%):赤外線インタラクタンスFutrex−5000(登録商標)系(Futrex Inc,Gaithersburg,MD)を使用して、身体組成を評価した。図6および表18は、参加者がコントロール朝食を消費したコントロールの間の0週目〜3週目の体脂肪率(%)の変化と、参加者が試験朝食を消費した期間の変化とを比較して例示している。データは、平均として表される。p<0.05での有意差は、アステリスクで示される。
【0072】
【表18】
(結論)
血糖(−23.13.5%に対して0.42.3%、P=0.000022)についての曲線下面積およびインスリン血症(−40.54.5%に対して2.02.9%、p=0.000012)についての曲線下面積は、コントロールと比較して、VFBを含む場合に顕著に減少した。これらの減少は、コントロールと比較して、VFBの消費後にインシュリン感受性の顕著な上昇を引き起こした(55.99.2%に対して9.74.5%、P=0.00056)。更に、VFBを用いた3週間に続き、1.4%の体脂肪の減少(p<0.05)を経験したコントロール群と比較して、体脂肪をベースラインから2.8%減少させた。本発明者らは、長期的なVFBの消費が、メタボリックシンドロームにおいてインシュリン感受性を低下させた個体の体脂肪を減少させると結論付けた。考え得る解釈としては、インシュリン感受性の改善が挙げられる。
【0073】
(実施例3)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物を含む代替食品製品の典型的な実施形態を提供する。
【0074】
典型的な食物繊維混合物(VFB)を、グルコマンナン(コンニャク根由来の80%より高い純度のもの)と、キサンタンガム(市販されている、Xanthomonas細菌由来の細胞外複合多糖類)と、アルギナート(市販されている、Ascophyllum
nodosum由来の中粘性アルギン酸ナトリウム)とを合わせて作製した。典型的な食物繊維混合物(VFB)の組成物を、表19に示す。
【0075】
【表19】
代替食品製品を、表20に示すように、VFB繊維混合物と共に処方した。
【0076】
【表20】
表21は、代替食品製品の1食分当たりに提供されるビタミンおよびミネラルを示している(RE=レチノール相当単位(equivalent unit)、NE=ナイアシン相当単位、mcg=マイクログラム、mg=ミリグラム)。
【0077】
【表21】
代替食品の香料としては、以下のいずれも含み得るが、これらに限定されない:チョコレート、イチゴ、バニラ、パイナップル、マンゴー、モモ、オレンジ、モカおよびチェリー。この代替食品は粉末形態である。1食分は、57グラムであり、グラス一杯の水と混合される。通常の食事の代わりに1食分を朝食時および昼食時に摂取する。
【0078】
(実施例4)
この実施例は、本発明の食物繊維組成物(VFB)を含む代替食品製品を消費することのボランティアに対する効果を例示している。
【0079】
ある中年の男性ボランティアは、9ヶ月間の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは247.2ポンドの体重があり、BMIは36であり、胴周りの測定値は45.25インチであり、腰周りの測定値は47.25インチであり、体脂肪の測定値は27.7%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、223.75ポンドの体重があり、胴周りの測定値は43インチであり、腰周りの測定値は45.5インチであり、体脂肪の測定値は25.7%であった。このボランティアは、腹痛、ゆるい便通、そして、代替食品を摂取しない場合の晩に空腹を訴えた。
【0080】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、170ポンドの体重があり、BMIは30.3であり、胴周りの測定値は36.5インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は46.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、156ポンドの体重があり、胴周りの測定値は33.5インチであり、腰周りの測定値は41インチであった。このボランティアは、試験の最初の2日間、下痢を訴え、喉が渇くために、普段より水を多く飲んだ。
【0081】
ある中年の女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、162.5ポンドの体重があり、BMIが27.9であり、胴周りの測定値は37インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.9%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、141ポンドの体重があり、胴周りの測定値は34インチであり、腰周りの測定値は41インチであり、体脂肪の測定値は35.3%であった。このボランティアは、この試験の最初の2週間、軽い頭痛を訴えた。
【0082】
ある中年女性のボランティアは、9ヶ月の試験の間、1日に2度、実施例3に記載される代替食品製品を摂取した。試験の開始時に、このボランティアは、172ポンドの体重があり、BMIは27.7であり、胴周りの測定値は35.75インチであり、腰周りの測定値は43インチであり、体脂肪の測定値は41.6%であった。9ヶ月の試験の終了時に、このボランティアは、143ポンドの体重があり、胴周りの測定値は31インチであり、腰周りの測定値は38.25インチであった。このボランティアは、これを無理のない柔軟なダイエット計画であると思った。
【0083】
(実施例5)
この実施例は、ゼラチンカプセル剤として処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0084】
典型的な食物繊維組成物を、2部からなる硬ゼラチンカプセル剤として処方し、各カプセルは、500mgの表22に示す組成物を含む。
【0085】
【表22】
(実施例6)
この実施例は、食欲制御粉末として処方される本発明の食物繊維組成物の典型的な実施形態を提供する。
【0086】
典型的な食物繊維組成物を、食欲制御粉末として処方した。各瓶は、182gを含み、これは、26食分に相当する。この食欲制御粉末の1食分の内容量を、表23に示す。
【0087】
【表23】
(実施例7)
この実施例は、代替食品スムージーとして処方される本発明の食物繊維組成物(VFB)の典型的な実施形態を提供する。
【0088】
典型的な食物繊維組成物を、代替食品スムージーとして処方した。この代替食品スムージーの1食分の内容量を、表24に示す。
【0089】
【表24】
(実施例8)
この実施例は、種々の条件下における、典型的な繊維混合物(VFB)の粘度プロフィールと他の繊維混合物の粘度プロフィールとの比較を記載する。
【0090】
(方法)70%のグルコマンナン(コンニャク)、13%のキサンタンガムおよび17%のアルギナートを含む粘性繊維混合物(VFB)の処方物を、実施例1に記載されるように作製した。以下のとおり、蒸留水中、胃条件下および腸条件下で、このVFBを、コンニャク/キサンタンガム(70:30)繊維混合物およびコンニャク/アルギナート(70:30)繊維混合物と比較した。
【0091】
(試験された組成物)
(1)VFB:コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%)
(2)KX:コンニャク(70%)/キサンタンガム(30%)
(3)KA:コンニャク(70%)/アルギナート(30%)。
【0092】
(粘度プロフィール実験)5gの試験物質を350gの液体(蒸留水、胃液または腸液のいずれか)と混合した。このサンプルを、Proctor/Silex混合機を用い、低速2で30秒間混合した。粘度の読み取りを、5分、10分、15分、20分、30分、45分、60分および120分の時点で実施した。胃液体および腸液体を、Universal Sample Preparation(USP)法に従って調製した。
【0093】
(結果)
表25および図7は、通常の条件(蒸留水)下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表26および図8は、胃条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。表27および図9は、腸条件下において、VFBの粘度プロフィールを、KXおよびKAの粘度プロフィールと比較している。図7、8および9に示すように、KA(コンニャク/アルギナート 70:30)繊維混合物は、一貫して、試験された3つの繊維混合物のうちで最低の粘度を有する。中性条件下および胃条件下において、KX(コンニャク/キサンタンガム 70:30)は、敏速に(例えば、約15分〜20分以内で)最大粘度に達した。VFB混合物(コンニャク(70%)/キサンタンガム(13%)/アルギナート(17%))は、中性条件下においてKAとほぼ同じ粘度で開始し、胃条件下でも腸条件下でも時間の経過により粘度を上昇させ、中性条件下および胃条件下で、最終的に、KXよりも大きな粘度に達する。この組み合わせはまた、胃液と混合する場合、10分後に予想外に高い粘度値を生じさせる。したがって、KXの組み合わせへのアルギナートの添加は、中性条件にてVFBの粘度の低下を予想外に提供し、時間の経過により、KXのみよりも大きな粘度をもたらす。
【0094】
【表25】
【0095】
【表26】
【0096】
【表27】
本発明の好ましい実施形態が例示され、記載されたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらの実施形態において種々の変更をなし得ることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0097】
例えば、本発明は以下を提供する:
排他的権利または特権が請求される発明の実施形態は、以下の通りに定義される:
(項目1)
約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目2)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目3)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目4)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目5)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目6)
項目1に記載の食物繊維組成物であって、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガムおよび約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目7)
項目6に記載の食物繊維組成物であって、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%(w/w)のキサンタンガムおよび約17%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目8)
項目6に記載の食物繊維組成物であって、約70%のグルコマンナン、約17%(w/w)のキサンタンガムおよび約13%(w/w)のアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目9)
哺乳動物被検体において、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるための有効量のグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを含む、食物繊維組成物。
(項目10)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナンを含む、食物繊維組成物。
(項目11)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、胃条件下で15分後に少なくとも2000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目12)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、腸条件下で15分後に少なくとも10,000センチポアズの粘度を有する、食物繊維組成物。
(項目13)
項目9に記載の食物繊維組成物であって、約30メッシュ〜約60メッシュの顆粒を含む、食物繊維組成物。
(項目14)
項目13に記載の食物繊維組成物であって、30メッシュの顆粒、40メッシュの顆粒および60メッシュの顆粒からなる群より選択される顆粒の組み合わせを含む、食物繊維組成物。
(項目15)
有効量の食物繊維組成物を含む食品であって、該食物繊維組成物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む有効量の食物繊維組成物を含む、食品。
(項目16)
項目15に記載の食品であって、栄養補助食品または代替食品である、食品。
(項目17)
項目15に記載の食品であって、約2%〜約20%(w/w)の食物繊維組成物を含む、食品。
(項目18)
項目15に記載の食品であって、前記食物繊維組成物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
(項目19)
項目15に記載の食品であって、前記食物繊維組成物が、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、食品。
(項目20)
食物繊維組成物を調製するための方法であって、約1センチポアズ〜約3000センチポアズの初期粘度を生じさせ、摂食後15分以内に少なくとも3倍の粘度上昇を生じさせるために有効な量でグルコマンナン、キサンタンガムおよびアルギナートを合わせる工程を包含する、方法。
(項目21)
項目20に記載の方法であって、前記食物繊維組成物を顆粒化する工程を更に包含する、方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、前記組成物を、約30メッシュ〜約60メッシュの範囲の顆粒サイズに顆粒化する、方法。
(項目23)
項目20に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、約50%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目24)
項目20に記載の方法であって、食物繊維組成物が、約60%〜約80%(w/w)のグルコマンナン、約10%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約10%〜約20%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目25)
グルコマンナンを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法であって、該食物繊維組成物を顆粒化する工程を包含する、方法。
(項目26)
項目25に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、更にキサンタンガムを含む、方法。
(項目27)
項目26に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、更にアルギナートを含む、方法。
(項目28)
グルコマンナンおよびキサンタンガムを含む食物繊維組成物の初期粘度を低下させる方法であって、有効量のアルギナートを該食物繊維組成物に加える工程を包含する、方法。
(項目29)
項目28に記載の方法であって、有効量のアルギナートを加えて120分後の前記組成物の粘度を上昇させる、方法。
(項目30)
哺乳動物において、飽満を促進するためか、体重減少を促進するためか、血中グルコースレベルを低下させるためか、または血中コレステロールレベルを低下させるための方法であって、該哺乳動物において、飽満を促進するか、体重減少を促進するか、血中グルコースレベルを低下させるか、または血中コレステロールレベルを低下させるのに有効な量の食物繊維組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、該食物繊維組成物が、約48%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目31)
項目30に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、約50%〜約70%(w/w)のグルコマンナン、約11%〜約13%(w/w)のキサンタンガムおよび約9%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目32)
項目30に記載の方法であって、前記食物繊維組成物が、約60%〜約90%(w/w)のグルコマンナン、約5%〜約20%(w/w)のキサンタンガムおよび約5%〜約30%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目33)
項目30に記載の方法であって、前記組成物が、約70%(w/w)のグルコマンナン、約13%〜約17%(w/w)のキサンタンガムおよび約13%〜約17%(w/w)のアルギナートを含む、方法。
(項目34)
項目33に記載の方法であって、前記組成物が、約70%のグルコマンナン、約13%のキサンタンガムおよび約17%のアルギナートを含む、方法。
(項目35)
項目33に記載の方法であって、前記組成物が、約70%のグルコマンナン、約17%のキサンタンガムおよび約13%のアルギナートを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−149100(P2012−149100A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−110472(P2012−110472)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2008−505702(P2008−505702)の分割
【原出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(510028224)イノボバイオロジック, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110472(P2012−110472)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2008−505702(P2008−505702)の分割
【原出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(510028224)イノボバイオロジック, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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