説明

グルコースオキシダーゼを産生するカビの迅速検出

グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出するための方法及びキットが開示される。本方法は、培養培地と、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の存在を示す検出可能な発色反応を提供することができる発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、を提供することを含み、更なる発色反応の検出によって、微生物を識別するための更なる方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月30日出願の米国特許仮出願第61/291,144号に対する優先権を主張し、その開示は本明細書にその全体が参照として組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出する方法及びグルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出するためのキットに関する。
【背景技術】
【0003】
乳製品、果汁、ワイン、及びビール産業等の様々な産業において、細菌及びカビを検定する必要がある。当該技術分野は、微生物の検定のための器具が検討される際、必ずしもカビ検定を細菌検定と区別するわけではないが、カビ検定が、しばしば、細菌検定よりも遅いことは当業者には周知である。低濃度のカビ種を検出するための方法は、一般的には、3M PETRIFILM(商標)Yeast and Mold Count Plate又は酸性化ポテトデキストロース寒天等の成長培地に依存する。また、クロラムフェニコール等の抗生物質によって処理された寒天も使用される。これらの方法は、最終的な回答を得るのに3〜7日かかり、これは、生物の成長速度によって異なる。食品製造業者は特に、細菌の総好気性菌(生菌)数等の他の成長関連試験結果が2日以内で利用可能であり、また酵母及びカビ試験の結果を得るのに更に1日又はそれ以上待つことは費用がかかることから、より高速の応答試験を所望する。蛍光顕微鏡法又はフローサイトメトリーは、更に迅速な試験結果をもたらすことができるが、これらの技術は、法外に費用がかかる。
【0004】
カビ種のアスペルギルスニガーは、一般的な真菌の食品汚染物質である。通常非病原性であるが、それは、様々な果物及び野菜において、黒斑病又は黒穂病を引き起こす。アスペルギルスニガーは、一般に、屋内環境で見出され、これらのコロニーは、毒素を生み出すスタキボトリス属カビと間違われる場合がある。
【0005】
ブドウ栽培産業において、アスペルギルスニガーとアスペルギルスカーボナリウスとの間の区別を改善する必要がある。後者は、腎毒性、催奇性、発癌性であり、免疫系を抑制するマイコトキシンであるオクラトキシンAのブドウにおける主要源である。アスペルギルスニガー及びアスペルギルスカーボナリウスは、眼で区別するのが困難であり、顕微鏡を用いて経験豊かな菌学者によって、形態学に基づいて主に識別される。液体クロマトグラフィー又はイムノアッセイに基づいたオクラトキシンAを直接検出するための技術が存在するが、これらの方法も費用がかかり、専門的技術を必要とする。
【0006】
オクラトキシンを産生する真菌の検出のための他の技術が追求されてきた。例えば、米国特許第7,560,234号(Dobsonら)は、オクラトキシノジェニック真菌(ochratoxinogenic fungus)の検出及び/又は特定に使用され得るポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のアッセイ技術を推定的に記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
簡単で、費用効率の良い様式で、アスペルギルスニガー及びアスペルギルスカーボナリウス並びに関連種の迅速な検出及び区別を可能にする方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ある特定の種のアスペルギルス属のカビを含む、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出及び/又は特定するための単純な物品及び方法を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ある種のアスペルギルス種の識別を提供する。更に、又は代替的に、いくつかの実施形態は、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の計数を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の自動検出及び/又は計数を提供する。
【0009】
一態様において、本開示は、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出する方法を提供する。本方法は、冷水に可溶なゲル化剤と、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、微生物を含有する疑いがある試料と、を含む、薄膜培養器具を提供することを含むことができる。本方法は、更に、培養器具中で、所定の量の試料と、培養培地と、過酸化水素指示試薬とを混合することを含むことができる。本方法は、更に、培養器具を培養することと、次いで、発色基質の反応を検出することを含むことができる。いくつかの実施形態では、発色基質の反応は、培養器具の培養を開始してから48時間以内に検出可能である。いくつかの実施形態では、培養器具は、培養培地を含む。
【0010】
別の態様において、本開示は、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出する方法を提供する。本方法は、冷水に可溶なゲル化剤と、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、微生物を含有する疑いがある試料と、を含む、薄膜培養器具を提供することを含むことができる。本方法は、更に、所定の量の試料と培養培地を混合して、第1の混合物を形成することと、次いで、培養器具中で、第1の混合物と過酸化水素指示試薬とを混合することと、を含むことができる。本方法は、更に、培養器具を培養することと、次いで、発色基質の反応を検出することと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、発色基質の反応は、培養器具の培養を開始してから48時間以内に検出可能である。
【0011】
上記の実施形態のいずれかにおいて、培養器具を培養することは、培養器具を好気的に培養することを含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、発色基質の反応は、培養器具の培養を開始してから24時間以内に検出可能であり得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、微生物は、例えば、アスペルギルスニガー、アスペルギルスカーボナリウス、アスペルギルスブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、アスペルギルスチビンゲンシス(Aspergillustubingensis)、ペニシリウムアマガサキンス、及びペニシリウムフニクロスムからなる群から選択され得る。
【0012】
上記の実施形態のいずれかにおいて、発色基質は、例えば、4−アミノアンチピリン(4−AAP)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩(BCIP)、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、発色基質は、3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(TOOS)を更に含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質との反応を検出することによって、微生物を識別することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質は、例えば、o−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド及びp−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド(NXP)からなる群から選択され得る。
【0014】
別の態様において、本開示は、キットを提供する。キットは、冷水に可溶なゲル化剤と、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、を含む薄膜培養器具を含むことができる。いくつかの実施形態では、発色基質は、例えば、4−アミノアンチピリン(4−AAP)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩(BCIP)、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。キットのいくつかの実施形態では、キットは、3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(TOOS)を更に含むことができる。
【0015】
キットのいくつかの実施形態では、キットは、β−D−キシロピラノシダーゼを産生する微生物の検出のための発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質を更に含むことができる。発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質は、例えば、o−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド及びp−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド(NXP)からなる群から選択され得る。
【0016】
キットの上記の実施形態のいずれかにおいて、培養培地は、過酸化水素指示試薬を含むことができる。キットのいくつかの実施形態では、培養培地は、培養培地、過酸化水素指示試薬、又は両方を含むことができる。キットの上記の実施形態のいずれかにおいて、キットは、例えば、試料希釈剤、緩衝液、試料取得装置、及びピペットからなる群から選択される試料調製付属物を更に含むことができる。
【0017】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の又は他の状況下で、他の実施形態も好まれる可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。上記の発明の概要は、請求された主題を限定するものとして解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】薄膜培養器具の1実施形態の、部分的に断面図を含む上面斜視図。
【図2】格子パターンを含む自己支持型基質の1実施形態の平面図。
【図3】薄膜培養器具の1実施形態の部分的に断面図を含む上面斜視図。
【図4】スペーサ及び捕捉要素を含む薄膜培養器具の一実施形態の、部分的に断面図を含む上面斜視図。
【図5】本開示による検出系の一実施形態のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の任意の実施形態について詳細に説明する前に、理解されたいこととして、本発明はその用途において、以下の説明に記載する構成要素又は添付の図面に示す構成要素の構造の細部及び構成に限定されるものではない。本発明には他の実施形態が可能であり、本発明は様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用する語法及び専門用語は、説明を目的としたものであり、発明を限定するものとして見なされるべきでない点は理解されるべきである。「含む、有する(including)」、「備える、有する、含む(comprising)」、「含有する、含む(containing)」、又は「有する(having)」及びそれらの変化形を本明細書において使用することは、これらの後に記載する要素及びその等価物、並びに付加的な要素を包含することを意図したものである。特に規定又は限定しない限り、「支持される(supported)」及び「結合される(coupled)」、並びにそれらの変化形は、広義に用いられており、直接的な支持及び結合と間接的な支持及び結合との両方を包含する。他の実施形態が利用されてもよく、また、構造的又は論理的な変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。更に、「正面」、「背面」、「頂面」、「底面」などの用語は、互いに関連し合う要素を説明するためにのみ用いられており、機器の特定の方向を記載すること、機器の必要な又は必須の方向を指示又は意味すること、あるいは、本明細書で説明する本発明が使用され、装着され、展示され、又は使用時に配置される方法を指定することを意図したものではない。
【0020】
本開示は、通常、試料中のアスペルギルスニガー及び/又はアスペルギルスカーボナリウス微生物並びに関連種を検出し、識別するための方法及び物品を対象とする。本発明の方法は、本発明の発色基質が採用される際、24〜48時間以内あるいはそれ以下で検出可能なレベルで産生されたある種の酵素の存在を検出することによって、これらの微生物の成長、検出、及び識別を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の種が、好適な基質の存在及び検出条件下で、同様に、検出され得る過酸化水素を生成すると考えられる。本開示は、培養器具中で、培養から48時間以内、又は培養器具中で、培養から42時間以内、又は培養器具中で、培養から26時間以内、それとも培養器具中で、培養から24時間以内で、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の検出を可能にする過酸化水素指示試薬を提供する。
【0021】
過酸化水素指示試薬
本説明の過酸化水素は、ペルオキシダーゼ酵素及び発色基質を含む。好ましくは、ペルオキシダーゼ酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼである。少なくとも1つの発色基質の存在下で、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び過酸化水素の反応は、発色基質の反応を引き起こすことが当技術分野において既知である。しかしながら、過酸化水素指示試薬によって、培養器具中の培養から48時間以内、又は42時間以内、又は26時間以内、それとも24時間以内で、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の検出を可能にする少なくとも1つの発色基質の選択は、これまで記載されていなかったと考えられる。
【0022】
本説明の発色基質の例は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸塩(BCIP、Sigma Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)を含む。本説明のいくつかの例示的な場合において、培養器具は、ホスファターゼ検出剤としてBCIPを含む市販の薄膜器具(例えば、3M PETRIFILM(商標)Yeast and Mold Count Plate)である。西洋ワサビペルオキシダーゼ及び更なるBCIPを添加することによって、グルコースオキシダーゼを産生する生物の早期検出が得られ得ることが本明細書で見出される。
【0023】
【化1】

【0024】
本説明の発色基質の別の例は、4−アミノアンチピリン(4−AAP、Sigma Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)であり、これは、更なるBCIPと組み合わせて使用されてもよい。また、4−AAPと、又は更なるBCIPと組み合わせた4−AAPとの3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(TOOS、Sigma Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)の更なる組み合わせが、追加した発色基質として4−AAPのみを有する実施例を超える検出可能な発色基質の促進をもたらすことも本明細書で観察された。
【0025】
【化2】

【0026】
過酸化水素指示試薬の構成成分の好適な濃度レベルは、本説明の特定の実施形態に適合させるように選択され得る。本記載の検出が可能な西洋ワサビペルオキシダーゼの濃度レベルは、0.5μg/mL〜50μg/mLを含み、これには、例示的なレベルの約10μg/mLが含まれる。本記載の検出が可能な4−AAP及びTOOSの濃度は、0.1mg/mL〜5mg/mLを含み、これには、約0.5mg/mL〜約1.0mg/mLの範囲の例示的な範囲が含まれる。
【0027】
発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質
グルコースオキシダーゼを産生する微生物の識別を提供するために、微生物によって産生される異なる酵素と反応させることが可能な異なる発色基質が含まれてもよく、それによって、対象とする微生物のサブセット間で識別可能な読み取りを提供する。例えば、アスペルギルスカーボナリウス及びいくつかの他の微生物の場合、培養中、酵素β−D−キシロピラノシダーゼが産生され得るが、一方、試料中の他の微生物は、ほとんど又は全くβ−D−キシロピラノシダーゼを産生し得ない。したがって、β−D−キシロピラノシダーゼとの反応が可能な発色性キシロピラノシダーゼ基質は、過酸化水素指示試薬のみの使用で得られた検出とは異なる発色反応によって検出をもたらし得る。好適な発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質の一例は、p−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド(NXP、Sigma Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)である。
【0028】
【化3】

【0029】
β−D−キシロピラノシダーゼのための他の好適な合成基質が採用されてもよく、これには、o−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド、又は4−メチルウンベリフェリル−β−D−キシロピラノシド若しくは6−ブロモ−2−ナフチル−β−D−キシロピラノシド等の蛍光色素分子が含まれる。β−D−キシロピラノシダーゼの他の発色、蛍光、又は発光基質が使用されてもよく、これには、キシロピラノシド部分の排除によって、色、蛍光、又は発光を生じるインドリル−及びフルオレセイン−β−D−キシロピラノシド類似体に基づく合成基質が含まれる。
【0030】
β−D−キシロピラノシダーゼ以外の発色、蛍光、又は発光基質は、同様に、グルコースオキシダーゼを産生する生物の識別に役立ち得、所与の酵素(例えば、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、ペプチダーゼ、ヌクレアーゼ、又はリパーゼ)が、1つのグルコースオキシダーゼを産生する生物によって産生され、同じ酵素は、別のグルコースオキシダーゼを産生する生物によって産生(又はより低量で産生)されない。
【0031】
サンプル
好適な試料は、様々な源から得られるか、又はそれらに由来し得る。「供給源」なる用語は、微生物について試験することが望ましい食品又は非食品を指して一般的に用いられる。供給源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、気体(例えば、空気)、及びこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、供給源は、例えば、対象とする表面又は空気から供給源を収集するために使用された捕捉要素によって提供され得る。いくつかの実施形態では、液体組成物は、供給源及び目的とする任意の微生物の回収を促進するために(例えば、攪拌又は溶解プロセスの間に)更に破砕することができる捕捉要素を含むことができる。対象とする表面には、これらに限定されるものではないが、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例、エアダクト)、通気口、トイレの便座、ハンドル、ドアノブ、手すり、カウンタートップ、テーブルトップ、食事用表面(例、トレイ、皿等)、作業面、機器表面、衣類等、及びこれらの組み合わせを含む様々な表面の少なくとも一部を含むことができる。供給源の全て又は一部分を、使用することができる。分析物源の一部が使用される場合、これを分析物源の「試料」と呼ぶ場合がある。しかしながら、「試料」なる用語は、一般に、供給源から得られ、微生物の検出のための試験器具に導入される材料の容量又は質量の一部を指すために本明細書に使用される。
【0032】
「食品」なる用語は、固体、液体(例えば、これらに限定されないが溶液、分散液、乳濁液、懸濁液など、及びこれらの組み合わせを含む)、及び/又は半固体の食用組成物を指すものとして一般的に用いられる。食品の例には、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、グレイン製品(例えば、小麦粉、穀物、パン)、缶詰、牛乳、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、油脂、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料(ジュース、ビール、及びワインを含む)、水、動物の餌、他の好適な食材、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
食物(例えば、ブドウ)等の試料は、分析用の微生物の放出を促進するために、様々な手段によって処理され得る。試料は、ブレンド又は攪拌(stomaching)など激しい混合プロセスを実施し、比較的均一な懸濁液を形成する。サンプルはしばしば、ストマックカーバックと呼ばれる、プラスチックのサンプルリザーバ内で処理される。
【0034】
いくつかの実施形態では、試料の供給源は、工業プロセスからの水(「プロセス水」)又は環境水を含んでもよい。
【0035】
「試料取得装置」とは、本明細書では最も広い意味で使用され、液体、半固体、又は固体の試料物質を採取するために使用される器具のことを指して言う。試料取得装置の非限定例には、綿棒、拭取り布、スポンジ、スコップ、へら、舌圧子、フィルター、ピペットチップ、及びサイフォンホースが含まれる。
【0036】
表面上の微生物の検出のための様々なサンプリング技術が周知である。そのようなサンプリング技術は、本発明の方法にも好適である。例えば、食品加工装置の表面を拭き取って、又は患者の鼻孔を拭き取って試料を採取することが一般的である。特に好ましいサンプリング技術には、滅菌綿棒、スポンジ、又はサンプリング器具と表面を接触する(例えば、拭う、拭き取る)ことが含まれる。
【0037】
例えば、3M Company,St.Paul,MNからの商標名3M(商標)Quick Swab、Puritan Medical Products Co.LLC,Guilford,MEからの商標名、PURE−WRAPS、又はCopan Diagnostics,Inc.、Corona,CAからの商標名ESWAB、又はmicroRheologics,S.r.l.,Brescia,ITからの商標名FLOCKEDSWAB等の、綿棒又は他の試料採取器具の幅広い種類が市販品として入手可能である。所望であれば、例えば、米国特許第5,879,635号(Nason)に開示されているような試料収集手段も用い得る。綿棒は、綿、レーヨン、アルギン酸カルシウム、ダクロン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等を含む様々な材料であることができる。
【0038】
次いで、試料収集器具(例えば、綿棒)は、直接培養する、直接分析する、又は適切な溶液で抽出(例えば、洗浄、ボルテックスによる溶出によって)することができる。そのような抽出(即ち、溶出)溶液は、典型的に水を含み、任意に緩衝液及び少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。溶出緩衝液の例としては、例えば、TWEEN 20又はPLURONIC L64と共に組み合わせて用い得る、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。試験試料(例えば、液体)は、更なる分析に先立ち処理され得る。これは、濃縮、沈殿、ろ過、遠心分離、透析、希釈、天然成分の不活性化、試薬の添加、化学処理などを含む。
【0039】
培養デバイス
アスペルギルス微生物の成長に影響を与える場合のある環境因子には、栄養素の有無、pH、湿分含量、塩類含有量、酸化還元電位、抗菌性化合物、温度、大気の気体化合物、及び生物学的構造又はバリアを挙げることができる。
【0040】
アスペルギルス種を培養するための栄養培地は、当技術分野で周知である。菌類を成長させるために一般に採用された培地は、ポテトデキストロース寒天であり、これには、例えば、ジャガイモデンプン(4g/L)、デキストロース(20g/L)、及び寒天(15g/L)を含むことができる。カビの成長のための別の一般的培地は、麦芽エキス寒天であり、これは、マルトース(12.75g/L)、デキストリン(2.75g/L)、グリセロール(2.35g/L)、ペプトン(0.78g/L)、及び寒天(15g/L)の混合物として調製することができる。これらの成長培地は、Beckton Dickinson(Franklin Lakes,NJ)から入手可能である。
【0041】
ある実施形態では、本開示は、アスペルギルス属のカビの検出するための培養器具を含む。本発明の培養器具は、例えば、薄膜培養プレート器具を含む。薄膜培養プレート器具は、一般的に、従来の寒天ペトリ皿よりも小型であり、一般的に、乾燥した乾燥培養培地を含んで、ある種の微生物の成長を支持する。薄膜培養プレート器具の非限定例には、米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,681,712号に開示される被覆基質器具が含まれ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
図1は、本発明に従う薄膜培養器具の1実施形態を図示している。培養器具110は、上面及び下面(それぞれ112a及び112b)を有する自己支持型防水基質112を備える本体部材を含む。基質112は、水を吸収しないか、さもなければ水に影響されない比較的堅い膜(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン又はポリスチレン)であり得る。基質112は、微生物のコロニーを、基質を通して視認することを望むか否かにより、透明又は不透明のどちらかであり得る。図2に示すように、カビのコロニーの計数を容易にするため、基質212は、その上に印刷された格子パターン(例えば、正方形)を有することができる。
【0043】
図1を参照すると、基質112は、その上面112aが接着剤114の層により被覆されることができ、この層は、乾燥したゲル化剤、発色性指示薬の保持及び/又は均一な単分子層内の栄養素が容易に水和されるために役立つ。接着剤114は、好ましくは粉末化されたゲル化剤及び/又は栄養素の粒子の直径未満の厚さで基質112上に被覆されるべきである。目的は、粒子を基質に接着させるために十分な接着剤を塗布することであるが、あまり接着剤が多いと粒子が完全に接着剤に埋め込まれてしまう。冷水に可溶な粉末116の均一な単分子層は、水和のために曝されるために十分な表面積を持つことが望ましい。図1にはまた、カバーシート122の上の随意的な接着剤114’及び冷水に可溶な粉末116’の層も示されている。水溶液(例えば、試料及び/又は水又は緩衝液等の水性懸濁培地)で水和させる際、ゲル化剤は、ヒドロゲルを形成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、接着剤114は、水性接着剤組成物を含むことができる。好ましくは、水性接着剤114の層は、微生物のコロニーの視認が可能であるように水性試験試料によって湿潤される場合、十分に透明である。水性接着剤組成物は、栄養素、選択的物質、指示薬(例えば、発色性指示薬)、又はこれらの組み合わせを含む1つ以上の親水性物質を包含し得る。
【0045】
乾燥培養培地は、ある種の微生物学的試験を行うために必要な試薬を任意に含み得る。細菌からの干渉がなく、酵母又はカビ試料を成長させるために、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、酒石酸、又は好適なペニシリン等のある種の静菌性薬剤が、乾燥培地中に含まれ得る。
【0046】
例示的に有用なクラスの指示薬としては、成長する微生物により代謝されるか、さもなければ、技術者若しくは自動読み取りによる検出の容易化及び/又は定量のために、微生物と反応し、そのことにより微生物コロニーの着色又は蛍光化を引き起こす染料が挙げられる。そのような染料の非限定例には、塩化トリフェニルテトラゾリウム、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ベラトリル、及びテトラゾリウムブルーが含まれる。しかしながら、同定されるべき微生物に依存して他の好適な染料も使用できることが理解されるであろう。本発明に従って、使用される任意の他の指示薬、染料、選択物質、酵素基質、又は栄養素は、本明細書に記載のグルコースオキシダーゼ指示薬の観察及び/又は画像と実質的に干渉すべきではないことを当業者によって理解されよう。
【0047】
炭酸ナトリウムなどの緩衝剤を中性のpHを示す培地の提供に使用することができ、かつ米国特許第4,565,783号に記載されるように、「Cab−O−Sil M−5」を加工助剤として用いることができ、引用によりその全体が本願に組み込まれる。もちろん、粉末116のために用いられる特定の被覆混合物(例えば、栄養素、指示薬、及び/又はゲル化剤)は生育されるべき微生物の種類に依存して調整され得る。
【0048】
本発明の範囲内において、粉末116が微生物同定のための特定の生化学的試験を行うために必要な更なる試薬を任意に含み得ることも予期される。特定の種類の微生物の存在下で色の変化を受けるような試薬(例えば酵素基質)が、粉末116又は接着剤114に含まれ得る。
【0049】
本発明の他の態様では、粉末116は、溶液に溶解されるか若しくは懸濁されるか又は基質112に被覆され乾燥される、ゲル化剤及び栄養素、選択的物質、並びに/又は指示薬の混合物を含む被覆を含み得る。この実施形態では、被覆は、実質的に水を含まない(即ち、いったん周囲環境と平衡化することが許されると、この被覆は脱水された被覆程度の含水量を有する)。
【0050】
図1に描写されるように、本体部材は、基質112の上部表面に貼付されたスペーサ118を含むことができ、スペーサ118は、基質112上の粉末116を露出させるために中心を貫いて切り抜かれた円形開口部120を含む。開口部120の壁は、水和の後に培地を限定する所定の寸法及び形状のウエルを提供する。開口部120は、一般に、培養器具110の成長を表す。スペーサ118は、所望の体積、例えば、1、2又は3ミリリットルのウエルを形成できるように十分厚くなければならない。独立気泡ポリエチレンフォームは、スペーサ118の好ましい材料であるが、疎水性(濡れない)であり、微生物に対して不活性、かつ滅菌に対して持ちこたえ得る任意の材料を用いることができる。いくつかの実施形態では(示されていない)、スペーサ118は、複数の開口部20(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、又は20の開口部)を含むことができ、それぞれの開口部は違った液体試料により植菌され得る。
【0051】
スペーサ118は、米国特許第5,681,712号に開示されるような比較的厚い設計を含むことができ、引用によりその全体が本願に組み込まれる。より厚い開口部を備えたスペーサ118の1つの目的は、スペーサ118の開口部120に配置された膜(例えば、微小孔性フィルター膜)(示されていない)を位置決めし、保護することである。より厚いスペーサ118の別の目的は、カバーシート122により微生物の成長しつつあるコロニーが接触することを減少又は防止することである(即ち、成長表面とカバーシート122の間の「ヘッドスペース」を提供することであり、微生物コロニーの成長のために増加した通気を提供できることでもある)。
【0052】
スペーサ118の厚さは、器具が植菌されたときに、培養器具に添加された液体容積を封入するために十分な厚さであるべきである。使用時の膜の厚さに応じて、スペーサは、少なくとも約0.5mm、約1mm、約1.5mm及び約2mmの厚さであることができる。
【0053】
図3は、薄膜培養器具310の他の実施形態を示している。図1に示されるように、この実施形態は、基質312、接着剤314、冷水に可溶な粉末316、及びカバーシート322を含む。
【0054】
図1の培養器具110とは対照的に、図3の器具310は、植菌の間に試料を閉じ込めるスペーサを含まない。冷水に可溶な粉末316がゲルを形成する間、テンプレート、例えば、錘リング(示されていない)を一時的にカバーシート322の外側に当てて、閉鎖後に試料を特定の領域に閉じ込めることができる。試料によって植菌された培養器具310の部分は、一般に、この器具310の成長領域を表す。いくつかの実施形態では、個別の試料を培養器具310の粉末316の異なった部分に閉じ込めるために適切な間隔及びテンプレートを用いて、器具310を複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、又は20)の異なった液体試料により植菌し得る。水溶液(例えば、試料及び/又は水又は緩衝液等の水性懸濁培地)で水和させる場合、ゲル化剤を含む冷水に可溶な粉末は、ヒドロゲルを形成する。
【0055】
一実施形態では、薄膜培養プレート器具は、液体被覆混合物を生成し、この液体被覆混合物を基質に被覆させ、被覆基質を乾燥させ、任意に、例えば、米国特許第4,565,783号(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるプロセスに従ってカバーシートを付着させることによって、作製され得る。本実施形態の例示的な器具は、図4に示される。薄膜培養器具410は、それぞれ、上面及び下面412a及び412bを有する自己支持型防水基質412を有する本体部材411を含む。基質412は、好ましくは、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリスチレン等の水を吸収しない防水材料から作製される比較的硬い材料である。他の好適な防水材料には、防水ポリエチレン被覆を含む紙等の基質が含まれる。上面412aは、液体組成物で被覆され、これは、次いで、乾燥させて、基質412上に乾燥被覆416を提供する。乾燥被覆416は、本明細書に記載の冷水に可溶なゲル化剤を含み、栄養素、選択物質、指示薬、pH指示薬、又は前述のうちの任意の2つ以上の組み合わせも含まれ得る。乾燥被覆416を生成するのに使用された液体組成物は、本質的に、組成物中の水分の全てが蒸発するまで、約104℃のオーブン中で液体組成物を加熱することによって、容易に乾燥させることができる。しかしながら、組成物が、水分が蒸発した後に、加熱される場合、組成物(例えば、栄養素、指示薬)のある種の要素は、分解し始める場合がある。使用中、乾燥被覆416は、液体(例えば、液体試料及び/又は液体栄養培地)と水和させて、再構成液体組成物を形成する。
【0056】
接着剤414の層は、基質412上に被覆され得る。接着剤は、乾燥被覆416を基質412に保持することに役立ち得る。接着剤は、被覆基質412の表面上に成長するコロニーの視認を可能にするように水和される場合、十分に透明であるべきである。接着剤はまた、接着剤中に被覆が完全に埋め込まれることなく、基質が乾燥被覆416と均一に被覆される厚さで、基質412上に被覆されるべきである。
【0057】
一般に、円形開口部420を有するスペーサ418は、乾燥被覆416及び/又は基質412に接着される。スペーサ418は、基質412の周辺部を覆い、開口部420は、試料で植菌された領域を画定する。スペーサ418は、器具410の成長領域を囲み、液体試料が基質412から漏出するのを防ぐ役割を果たす。代替的な実施形態では、器具410は、試料を含有するスペーサ418を含み得ない。この器具(示されていない)では、試料は、上に記載の加重円形テンプレートを用いて植菌中、基質上に含有され得、培地のみの要素(例えば、ゲル化剤)によって、培養中、含有される。
【0058】
カバーシート422は、泡状スペーサ418の上面の端部に取り付けられる。カバーシート422は、基質に存在する微生物コロニーの計数を容易にするために、透明膜又はシート材料から作製されることが好ましい。加えて、カバーシート422は、要素の混入及び変質の危険性を避けるために、細菌及び水蒸気を透過させないことが好ましい。カバーシート422として使用するために好ましい材料は、2軸配向ポリプロピレンである。任意に、カバーシート422は、接着剤の層で被覆させることができ、これは、ゲル化剤、栄養素、選択物質、指示薬(例えば、pH指示薬)、又は前述(示されていない)のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含む乾燥組成物(例えば、粉末)で被覆させることができる。
【0059】
使用中、所定量の植菌材料、一般に、約1ミリリットルの液体植菌材料を、カバーシートを引き開けて、乾燥被覆416上に植菌材料を分散させることによって、図4に例証される器具に添加する。植菌材料は、任意に、栄養素、選択物質、指示薬、又は前述のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含むことができる。次いで、カバーシート422は、被覆部417上に置き換えられ、植菌材料は、泡状スペーサ418の円形開口部内部に均等に広げる。これを行うための便利なツールは、加重円形テンプレートである。植菌材料が接触し、被覆部417上に広げられる場合、被覆部は水和され、ゲルを形成する。ゲルに存在する栄養素は、微生物の成長を支持することができる。次いで、植菌された器具は、所定時間培養され、この後、基質上に成長するコロニーの数が、透明カバーシート422を通して観察され、計数され得る。
【0060】
膜フィルター等の捕捉要素は、器具410と共に使用され得る。図4は、スペーサ418の開口部420中に位置付けられる膜フィルター426を示す。また、膜フィルター426上に成長する微生物コロニー428も示される。好適な微小孔性膜は、実質的に、グルコースオキシダーゼ及び/又はβ−D−キシロピラノシダーゼ、又は本説明の微生物によって対象となる他の酵素の産生を妨害しない、あるいは過酸化水素指示試薬を用いた微生物の検出を妨害しない。ある好ましい実施形態では、微小孔性膜は、再構成液体組成物と接触させる場合、実質的に透明である。膜フィルター426は、液体を器具410に添加し、乾燥被覆416を再構成する前に、器具410に位置付けられ得る。膜フィルター426は、液体を器具410に添加し、乾燥被覆416を再構成した後に、器具410に位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、膜フィルター426は、フィルター426が器具410に位置付けられる場合、乾燥被覆416を再構成するのに十分な液体を含むことができる。
【0061】
本発明の培養培地は、培養培地が、標的微生物を含有する疑いがある試料で植菌される場合、標的(即ち、グルコースオキシダーゼを産生する及び/又はβ−D−キシロピラノシダーゼを産生する)微生物の成長を促進するのに一般に適する栄養素、塩、及びイオンを含むことができる。例えば、栄養素、塩、イオン、選択物質、指示薬等の要素を含有する培養培地は、公知のアスペルギルス種で試験して、要素が、標的微生物の成長を促進し、非標的微生物の成長を阻害し、そして/あるいは、微生物によるグルコースオキシダーゼ及び/若しくはβ−D−キシロピラノシダーゼの産生を妨害しない、そして/あるいは発色基質を用いた、グルコースオキシダーゼ及び/若しくはβ−D−キシロピラノシダーゼの検出を妨害しないことを判定することができる。培養培地はまた、1つ以上のゲル化剤を含むこともできる。本開示の培養培地は、対象となるカビ種の成長に対して選択する少なくとも1つの選択物質を含むことができる。
【0062】
任意に、培養培地は、緩衝液を含むことができる。好適な緩衝液には、炭酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、及びスルホン酸塩緩衝液が含まれる。いくつかの実施形態では、リン酸塩緩衝液は、リン酸カリウムである。いくつかの実施形態では、培養培地は、2つ以上の緩衝液(例えば、リン酸カリウム及び酢酸ナトリウム)を含むことができる。リン酸塩緩衝液は、約22mMであり得る。他の実施形態では、緩衝液は、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)又は対応するナトリウム塩等のスルホン酸塩種であり、TES緩衝液は、約50mMであり得る。
【0063】
培養培地中のそれぞれの要素の濃度を選択して、培養器具が植菌された後に、標的微生物の成長及び/又は検出に適している濃度を提供する。培養培地中の対象となるカビ種を成長させるための栄養素及び選択物質の好適な濃度は、当技術分野において既知である。発色基質の好適な濃度は、それら固有の特性(例えば、溶解性及びある種の標的微生物に対するそれらの潜在的な阻害特性)によって影響され得る。
【0064】
標的微生物の選択は、非標的微生物の成長を阻害することは、標的微生物の成長を促進すること、又は両方を含むことができる。標的微生物の成長を促進することは、直接的に(例えば、標的微生物によって使用され得るが、他の微生物によって使用され得ない栄養素)、あるいは間接的に(例えば、非標的微生物を阻害することによって栄養素に対する競争を軽減することによって)、あるいは直接的及び間接的の両方で、少なくとも1つの第1の選択物質によって提供され得る。
【0065】
本発明に従って乾燥培養培地は、以下の様式で、薄膜培養器具の1つ以上の表面に適用され得る。培養培地の要素は、溶媒(例えば、水)中に溶解され得る。次いで、得られた溶液は、器具の1つ以上の表面上に被覆され得る。次いで、被覆物は、乾燥させ、培養培地溶液で被覆される器具の表面上に乾燥した培養培地を放置する。被覆物は、空気乾燥及び加熱が含まれるが、これらに限定されない任意の好適な様式で、乾燥させることができる。
【0066】
乾燥培養培地のそれぞれの要素の量は、少なくとも2つの要因:(1)培養培地中のその要素の濃度、及び(2)培養培地の所与の表面積上に被覆された溶液の量(被覆重量)によって少なくとも部分的に判定される。好適な被覆重量は、約0.45mg/cm〜約2.5mg/cmの範囲に及び得る。いくつかの実施形態では、培養培地の栄養素は、指示薬とは別々に被覆され得る。そのような実施形態では、培養培地の栄養素の被覆重量は、約1.6mg/cm〜約2.5mg/cmの範囲に及び得る。一実施形態では、栄養素被覆の被覆重量は、約2.1mg/cmである。指示薬被覆の被覆重量は、約0.45mg/cm〜約0.84mg/cmに及び得る。一実施形態では、指示薬被覆の被覆重量は、約0.62mg/cmである。
【0067】
更なる実施形態は、過酸化水素指示系の要素を含み得る。
【0068】
図1〜4に図示した実施形態は器具に取り付けられたカバーシートを有するが、本発明の範囲内で、保存及び植菌の間、粉末を含む実施形態が覆われずに単純に無菌環境に配置され得ることも予期される。
【0069】
培養器具の更なる実施形態は、薄膜培養プレート器具の上記の説明によって除外されない。例えば、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出する方法は、培養培地を試料で植菌することを含むことができ、過酸化水素指示試薬は、培養培地中に存在し、培養培地を培養し、検出可能な発色反応を産生し、培養培地は、任意に、従来のペトリ皿中に含有した寒天である。
【0070】
捕捉要素
本開示の培養プレート器具を、捕捉要素と共に使用し、試料中のグルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出することができる。本明細書において用いられる「捕捉要素」とは、試料中に存在する微生物を捕捉し、保持するために用いられる物品を指す。いくつかの実施形態では、捕捉要素は、本明細書に開示の薄膜培養プレート器具と一時的に接触させることができる。例えば、試料は、表面フィルターの片側に捕捉され得、このフィルターのその側は、薄膜培養プレート器具の成長領域と接触させ、それによって、培養プレート器具が水和された後、試料材料を成長領域に移動させることができる。次いで、表面フィルターは、器具を培養する前に器具から除去され得る。捕捉要素(例えば、膜フィルター)は、本発明の薄膜培養プレート器具にそれを配置することができるように定寸され得、ある好ましい実施形態では、捕捉要素は、標的日成分の少なくとも1つの細胞分裂を可能にする十分な期間の培養期間中、薄膜培養プレート器具中に残存する。培養プレート器具中への捕捉要素の配置は、この捕捉要素を、存在する場合には、培養プレート器具中のゲル化剤及び/又は培養培地に当接させることができ、微生物が成長及び/又は増殖することを可能にする。いくつかの実施形態では、捕捉要素が培養器具中に配置される前に、培養器具は水和される(例えば、滅菌液体又は未知の液体試料により植菌される)。いくつかの実施形態では、捕捉要素が培養プレート器具中に配置された後に、培養プレート器具は水和される。
【0071】
捕捉要素は、試料の特定の種類との適合性により選択され得る。例えば、液体試料中に存在する微生物を保持するために、微小孔性膜フィルターが捕捉要素として用いられ得る。液体試料は、フィルターを通過することができ、微生物はその上に保持され得る。微生物は、例えば、物理的捕捉又は特異的(例えば、抗原−抗体若しくは受容体−リガンド相互作用)若しくは非特異的(疎水性吸着)化学的相互作用により保持され得る。本開示の微小孔性膜は、薄膜培養プレート器具中に存在する場合、溶血反応の観察を可能にするはずである。好ましい微小孔性膜フィルターは、湿潤時、実質的に透明になる。
【0072】
図4に示される実施形態を参照するが、試験試料は、液体植菌材料及び/又は微小孔性フィルター(例えば、フィルター膜)などの捕捉要素426若しくは拭き取り器具を含み得る。捕捉要素426は、様々な膜及び/又は膜から構成され得、微生物を捕捉するために使用され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素426は、本発明の方法及び器具により、その上で微生物のコロニーが生育され、検出され及び/又は計数され得る表面を提供できる。特に好ましいものは、カビ等の小さな微生物集団を、大きな流体の試料から分離するために従来用いられている、既知の微小孔性フィルターである。かかるフィルターは、ろ過された微生物の計測及び評価を可能にするために寒天培地の表面上に配置でき、培養され得ることが知られている。好適なフィルターには、Millipore Corp(Marlborough,MA)から入手可能な、HAWGシリーズ、例えば、HAWG 047S6タイプHAフィルターが含まれる。本明細書に記載の微生物フィルターは、通常比較的薄く、例えば、長方形、円盤(部分的円盤を含む)等の任意の所望の2次元の形状として提供され得る。
【0073】
微生物は、膜の孔の寸法に依存して変化する効率で、かかるフィルターにより分離される。微生物は、一般に、約1μm未満、約0.8μm未満、好ましくは、約0.45μm未満、より好ましくは、約0.2μm以下の平均孔径を有するフィルターによって捕捉される。ろ過は、好適な寸法の漏斗及び円盤を用いて重力を用いた従来の方法又は真空補助法によって実行される。膜フィルターは、ピンセットを用いて無菌で処理されるのが好ましい。膜フィルターは、使用者により市販の材料から作成されることができるか、又は本発明の無菌包装中の個別の構成要素若しくはキットの1部として提供される。
【0074】
拭き取り器具は、捕捉要素として本開示の培養プレート器具と共に用い得る。本明細書において用いられる「拭き取り器具」とは、表面上に配置された微生物の試料を取得するために、その表面に接触するように構成された物品を指す。拭き取り器具は、多孔性の不織材料を含み得る。拭き取り材料の非制限例としては、紙(例えば、ろ紙、セルロース膜フィルター)、合成不織物(例えば、ナイロン又はポリエステル不織物)、ポリマー性又はセラミック膜(例えば、ポリカーボネート膜、ジルコニア膜)、及び微細構造フィルム(例えば、引用によりその全体が本願に組み込まれる、米国特許第7,223,364号に記載されるようなミクロチャンネルを含むフィルム)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ミクロチャンネルを含むフィルムは、フィルムの1つの主表面から他の主表面までの液体(及び溶質又は小粒子)の通過を可能にする貫通孔を含む。拭き取り器具は、湿潤性を改善するための化学物質(例えば、界面活性剤)又は試薬(例えば、識別染色)を含むことができるが、但し、この化学物質又は試薬は、発色基質の反応の検出に悪影響を及ぼさない。通常は拭き取り器具は、本明細書に記載の植菌及び培養条件下で、微生物の成長を実質的に阻害しない量の化学物質を含む。いくつかの実施形態では、捕捉要素は、実質的に透明であるか、又は濡れたときに実質的に透明になり、その捕捉要素を通した溶血などの分別反応の可視化を可能にする。
【0075】
適切な捕捉要素としては、粒子又は複数の粒子が挙げられる。捕捉要素は、捕捉要素を微生物と連結させる手段を含むことができる。粒子の非制限例としては、ミクロスフェア、ミクロビーズ等が挙げられる。かかる粒子は、例えば、アガロース、ラテックス、ポリスチレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、セルロース、多糖類、若しくはそれらの組み合わせの樹脂粒子であるか、又は例えば、シリカ、酸化アルミニウム、若しくはそれらの組み合わせの無機粒子であり得る。かかる粒子は、磁性、常磁性、超常磁性、又は非磁性であり得る。かかる粒子は、寸法においてコロイド状、例えば約100nm〜約10マイクロメートル(μm)であり得る。かかる粒子の非制限例としては、DYNABEADS(Invitrogen,Inc.,Carlsbad,CA)、及びBIO−ADEMBEADS(Ademtech,Pessac,France)の商標名で販売される超常磁性ポリマー粒子が挙げられる。粒子捕捉要素は、微小孔性膜などの他の構造に組み込まれ得る。
【0076】
捕捉要素(例えば、粒子)を微生物に連結させるための様々な手段が存在する。いくつかの実施形態では、捕捉要素の微生物への連結手段は、非特異的吸着を促進する表面分子又は性質を含み得る。例えば、捕捉要素の少なくとも1部分は、適正な条件(例えば、高いpH又は低いpH)下で正又は負に荷電され、微生物表面に付随する相補的に荷電された分子を非特異的に吸着する分子を、その表面に有し得る。
【0077】
加えて、又は代替的に、捕捉要素(例えば、ポリスチレン粒子)の少なくとも1部分は、微生物表面に付随する疎水性分子に非特異的に吸着する疎水性表面を有し得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素の微生物への連結手段は、受容体−リガンド相互作用を介して特異的に微生物に結合する分子を含み得る。かかる特異的な受容体−リガンド相互作用は、当技術分野では良く知られており、例えば、抗体及び対応する抗原、レクチン及び対応する糖質結合パートナー、バクテリオファージタンパク及び対応する受容体の間の相互作用などを含む。粒子を微生物に連結させる手段は、微粒子の捕捉要素と同様にフィルム又は不織(例えば、フィルター)捕捉要素と協力しても用いられ得ることを理解されたい。
【0078】
試料中のグルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出するための方法
培養培地中のグルコースオキシダーゼを産生する微生物の検出は、視覚によって、又は機器によって行われ得る。発色基質の反応の目視観測は、いかなる特定の光条件にも限定されず、周囲光条件下で、行われ得る。目視観測は、任意に、拡大鏡の使用によって更に援助され得る。
【0079】
培養デバイス内の微生物コロニーを数えるための自動システムは、当該技術分野において既知である。そのような自動システムは、概して、イメージングシステム、コロニー数を決定する画像分析アルゴリズム、並びにコロニー数データ及び画像を表示し、任意に、格納し、操作するためのデータ管理システムを含む。寒天平板上のコロニーを数えるための例示的なシステムは、商標名PROTOCOLで、Synbiosis(Cambridge、UK)によって販売され、米国特許第6,002,789号に見られる。
【0080】
PETRIFILM平板上のコロニーを数えるためのシステムは、米国特許第5,403,722号、同第7,298,885号、及び同第7,298,886号に記載され、これらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0081】
図5は、イメージングシステム570の内部操作を図示するブロック図である。図5に図示されるように、培養培地582は、イメージングシステム内の焦点面(例えば、プラットフォーム上、示されていない)に位置付けられる。本発明に従って、画像装置592は、培養培地582の前部及び/又は後部照明用の多色照明システム(示されていない)、並びに培養培地582の画像を捕捉する単色線又は領域のスキャナーを含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、画像装置592は、2次元の単色カメラの形態をとることができる。
【0082】
概して、画像装置592は、1つ以上の異なる照明色による培養培地の照明中、培養培地582、又は少なくともその一部分の画像を捕捉する。いくつかの実施形態では、同じ培養培地582の複数の画像は、様々な照明の持続時間又は明暗度に伴って生成され得、複数の画像のうちの1つ以上が、分析のために選択され得る。いくつかの実施形態では、培養培地582の第1の側面及び第2の側面の選択的照明が、培養培地の複数の画像を生成するために使用され得、複数の画像のうちの1つ以上が、分析のために選択され得る。分析のための画像の選択は、例えば、個々の画像の色の対比及び/又は対象物の解像度特性に基づき得る。画像の色の対比及び/又は対象物の解像度特性を決定するためのプロセスは、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第6,243,286号に開示され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0083】
プロセッサ594は、画像装置592の操作を制御する。また、図5に示されるのは、任意のディスプレイ576であり、操作者による目視レビューのために、プロセッサ594からの画像を受信することができる。操作では、プロセッサ594は、画像装置592を制御し、培養培地582を照射し、画像を取得する。プロセッサ594は、画像装置592からスキャンした画像を示す画像データを受信する。いくつかの実施形態では、プロセッサ594は、分析及び/又は表示のために複数の画像から画像を選択することができる。プロセッサ594は、培養培地582の少なくとも1つの画像を分析し、グルコースオキシダーゼを産生する生物のコロニーの計数等の分析結果、又は試料中のグルコースオキシダーゼを産生する生物の存在又は不在の決定をもたらし得る。分析結果(例えば、定性的又は定量的結果)は、ディスプレイ576上に表示され、任意のデータ記憶メモリ598に格納され、又は任意のコミュニケーションポート595を介してホストコンピュータ(示されていない)によって検索され得る。
【0084】
本発明のキット
本発明によって提供されるキットは、冷水に可溶なゲル化剤と、グルコースオキシダーゼを産生する生物の成長及び識別を支持する培養培地と、発色指示薬系と、を含む、培養器具を含む。いくつかの実施形態では、培養器具は、グルコースオキシダーゼを産生する生物の成長及び識別を支持する培養培地、及び/又は発色指示薬を含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、キットは、グルコースオキシダーゼを産生する生物の成長及び識別を支持する脱水培養培地を含む。いくつかの実施形態では、脱水培養培地は、発色指示薬を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、キットは、グルコースオキシダーゼを産生する生物の成長及び識別を支持するための液体培養培地を含む。いくつかの実施形態では、液体培養培地は、発色指示薬を含む。
【0087】
本発明のキットは、試料の調製及び/又は植菌を援助する試料調製付属物を更に含むことができる。試料調製付属物の非限定例には、希釈剤、緩衝液、試料取得装置(例えば、綿棒、スポンジ、へら)、及びピペットが含まれる。
【0088】
本発明の実施形態を更に記載する際、第1の方法が、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出するために提供され、これには、
(a)培養培地を試料で植菌することであって、培養培地が、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬を含み、試料が、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を含有する疑いがある、ことと、
(b)グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を可能にする条件下で、培養培地を培養することと、
(c)培養培地を検査して、グルコースオキシダーゼを産生する微生物が存在するかどうかを判定することと、を含む。
【0089】
第1の方法の特徴の全てを有し得る第2の方法が、提供される。第2の方法では、培養培地は、液体培地、半固体培地、固体培地、又は再構成乾燥培養培地であり得る。
【0090】
第1又は第2の方法の特徴の全てを有し得る第3の方法が、提供される。第3の方法では、グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を可能にする条件下で、培養培地を培養することは、約30℃の温度で植菌された培養培地を培養することを含む。
【0091】
第1〜第3の方法の特徴の全てを有し得る第4の方法が、提供される。第4の方法では、植菌された培養培地は、約24時間培養される。
【0092】
第1〜第4の方法の特徴の全てを有し得る第5の方法が、提供される。第5の方法では、発色基質は、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼを産生する成長する微生物の存在下で検出可能なシグナルを生成する化合物を含む。
【0093】
第5の方法の特徴の全てを有し得る第6の方法が、提供される。第6の方法では、検出可能なシグナルは、化学発光シグナル、蛍光シグナル、色変化、電気伝導度の変化、又は前述のいずれかの任意の組み合わせを含む。
【0094】
第5の方法の特徴の全てを有し得る第7の方法が、提供される。第7の方法では、少なくとも1つの発色基質は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩(BCIP)、4−アミノアンチピリン(4−AAP)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む。
【0095】
第7の方法の特徴の全てを有し得る第8の方法が、提供される。第8の方法では、少なくとも1つの発色基質は、3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(TOOS)を更に含む。
【0096】
第7又は第8の方法の特徴の全てを有し得る第9の方法が、提供される。第9の方法では、培養培地を検査して、グルコースオキシダーゼを産生する微生物が存在するかどうかを判定することは、赤色コロニーを検出することを含む。
【0097】
第1〜第9の方法の特徴の全てを有し得る第10の方法が、提供される。第10の方法は、グルコースオキシダーゼを産生する微生物のコロニーを計数することを含む。
【0098】
第1〜第10の方法の特徴の全てを有し得る第11の方法が、提供される。第11の方法は、過酸化水素指示試薬と組み合わせて、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質を提供することと、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質の反応を検出することと、を含む。
【0099】
第11の方法の特徴の全てを有し得る第12の方法が、提供される。第12の方法は、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質とのβ−D−キシロピラノシダーゼ反応を検出することによって、微生物を識別することを含む。
【0100】
第11及び第12の方法の特徴の全てを有し得る第13の方法が、提供される。第13の方法では、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質は、p−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド(NXP)であり得る。
【0101】
第1〜第13の方法の特徴の全てを有し得る第14の方法が、提供される。第14の方法では、培養培地は寒天である。
【0102】
本発明は、以下の非制限的な実施例の参照により更に説明される。他に指定のない限り、全ての部及び百分率は重量部として表される。
【実施例】
【0103】
特に記載のない限り、実施例に記載される部、百分率、比率などは全て、重量による。微生物培養物をThe American Type Culture Collection(ATCC;Manassas,VA)から購入した。用いた溶媒及びその他の試薬は、特に異なる指定のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した。
【0104】
材料
滅菌脱イオン水とは、Millipore Corporation,Bedford,MAからのMILLI−Q Gradient Systemを用いることによって得られた18メガオームの滅菌脱イオン水を指す。
【0105】
酵母及びカビ計数プレートは、3M Microbiology,3M Center Bldg.275−5W−05,St.Paul,MN 55144−1000,USAからの3M PETRIFILM(商標)Yeast and Mold Count Platesとして入手可能である。
【0106】
実施例1〜17及び比較実施例C1〜C6(ブドウ由来の液体を含む)
ストック試薬溶液が、以下の通りに調製された。
【0107】
【表1】

【0108】
次いで、これらのストック試薬溶液が混合され、5つの更なるプレートを水和する溶液を作製した(得られた濃度は、括弧内に示される):
【0109】
【表2】

【0110】
溶液D0、E0、I0、J0、及びK0のそれぞれに、20μLの5mg/mL西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)溶液を添加し、約10μg/mLのHRPの濃度を得た。
【0111】
100.8gの赤色種なしブドウ(地元の食料品店で購入)の一試料は、Seward Stomacher 400 Circulator(Seward Laboratory Systems Inc.,Bohemia,NYから)上で、235rpmで45秒間、2回消化させた。5mLの得られた液体の試料(pH 4.2)は、滅菌脱イオン水を用いて50mLまで希釈され、次いで、1.1mLが、溶液A0、D0、E0、F0、I0、J0、及びK0(添加したHRPを含む)のそれぞれに添加されて、それぞれ、溶液A、D、E、F、I、J、及びKを作製した。溶液を、表1にまとめる。
【0112】
【表3】

【0113】
5つのアスペルギルス懸濁液が、以下の通りに調製された:アスペルギルスニガー(ATCC# 6275)、アスペルギルスカーボナリウス(ATCC# 6277)、及びアスペルギルスブラジリエンシス(ATCC# 16404)は、冷凍ストック(−80℃)から再構成された。3種の生物が、滅菌水を用いて、10生物/mLまで希釈された。また、2つの混合した溶液:アスペルギルスカーボナリウス+アスペルギルスニガー及びアスペルギルスカーボナリウス+アスペルギルスブラジリエンシスも作製された。それぞれの混合物は、10生物/mL(それぞれの生物に対して、5×10生物/mL)を含有した。
【0114】
6つの3M PETRIFILM(商標)Yeast and Mold Count Plates(3M Company,St.Paul,MNから入手可能)のそれぞれに、1mLの溶液Aを添加した。同様に、6つの3M PETRIFILM(商標)Yeast and Mold Count Platesが、表1中の溶液D、E、F、I、J、及びKのそれぞれに調製され、合計42個のプレートを得た。6つのプレートのそれぞれのセットに対して、5つのプレートは、それぞれ、アスペルギルスカーボナリウス、アスペルギルスブラジリエンシス、アスペルギルスニガー、アスペルギルスカーボナリウス+アスペルギルスニガー、及びアスペルギルスカーボナリウス+アスペルギルスブラジリエンシスの懸濁液で植菌された。それぞれのセット中の6番目のプレートは、対照(微生物が添加されない)として使用された。950μLの表1からの適切な溶液に、50μLの特定の再構成されたアスペルギルス懸濁液(又は混合懸濁液)を添加することによって、植菌が行われ、約50生物を含有する1mLの試験懸濁液を作製した。植菌後、プレートは、30℃に設定された培養器中に配置された。プレートは、様々な間隔で見られ、画像は、標準Hewlett Packard SCANJET ADF文書スキャナー(Hewlett Packard Company,Palo Alto,CA)上に記録され、JPEGファイルとして保存された。コロニー数は、検査によって決定された。単一種試料のコロニー数は、それぞれ、アスペルギルスカーボナリウス、アスペルギルスブラジリエンシス、及びアスペルギルスニガーに対する表2〜4に一覧にされた。
【0115】
【表4】

【0116】
表2中の結果は、ブドウジュースの存在下で、アスペルギルスカーボナリウスが、いくつかのグルコースオキシダーゼに感受性がある試薬のうちの1つの添加によって、24時間以内に検出され得ることを示す。これらの試薬を欠く緩衝液を用いて調製されたプレート(比較実施例C1及びC2)は、26時間以内に可視的なコロニーを示さない。
【0117】
【表5】

【0118】
表3中の結果は、ブドウジュースの存在下で、アスペルギルスブラジリエンシスが、いくつかのグルコースオキシダーゼに感受性がある試薬のうちの1つの添加によって、24時間以内に検出され得ることを示す。これらの試薬を欠く緩衝液を用いて調製されたプレート(比較実施例C3及びC4)は、26時間以内に可視的なコロニーを示さない。
【0119】
【表6】

【0120】
表4中の結果は、ブドウジュースの存在下で、アスペルギルスニガーが、いくつかのグルコースオキシダーゼに感受性がある試薬のうちの1つの添加によって、24〜26時間検出され得ることを示す。これらの試薬を欠く緩衝液を用いて調製されたプレート(比較実施例C5及びC6)は、26時間以内に可視的なコロニーを示さない。
【0121】
5つ全てのアスペルギルス懸濁液及び対照の結果が、溶液「I」(TES緩衝液、HRP/4−AAP指示試薬)を用いて調製されたプレートに対して、表5に示される。これらの結果は、4−AAPの添加は、これらの生物の3つ全ての早期計数のために有利であることを示す。偽陽性の欠如は、添加した生物のない対照試料によって示され、これは、全ての時点で0であった。
【0122】
【表7】

【0123】
4−AAPのみの添加から得られたコロニーは、24時間の時点で赤色に染色され、これらのコロニーはまた、自動計数が可能な、3M PETRIFILM(商標)PLATE READER装置(PPR;3M Company,St.Paul,MNから入手可能)によっても認識された。後の時点になるほど、自動読み取りは、成功しなかった。直接(目視)観測から決定した24時間のコロニー数とPPRから決定した数の比較が、表6中に示される。
【0124】
【表8】

【0125】
他の更なる発色基質のないYMプレート上の4−AAPの使用は、3つ全ての生物による小規模の赤色に染色されたコロニーの形成をもたらした。それらの間で区別するために、より複雑な試薬混合物が有益であった。例えば、2mg/mLのBCIP溶液(溶液D、4−AAPなし)は、48時間以内に、アスペルギルスブラジリエンシスを即座に区別することが可能であり、これは、黒色の中心及び縁を有する小規模の濃青色コロニーを得た。アスペルギルスニガー及びアスペルギルスカーボナリウスコロニーは共に、アスペルギルスブラジリエンシスよりも色が薄く、アスペルギルスカーボナリウスは、アスペルギルスニガーよりも小さく、より濃い縁を有した。1mg/mLの4−AAPと組み合わせた2mg/mLのBCIP(溶液E)の使用は、72時間で、3つ全ての種の明らかに区別することが可能であり、アスペルギルスニガーコロニーは、青色菌糸を放射する濃い楕円形として現れ、アスペルギルスブラジリエンシスは、拡散青色のバックグラウンドを有する突出した大型の赤色樹状菌糸構造を有し、アスペルギルスカーボナリウスは、わずかに青い着色を有する赤色菌糸を有した(アスペルギルスカーボナリウスコロニーはまた、不規則なでこぼこした形状を有することは顕著であった)。
【0126】
実施例18〜25及び比較実施例C7〜C8
4つのストック溶液が、以下の通りに調製された。
【0127】
【表9】

【0128】
ストック溶液を以下の通りに混合して、5つのプレートを水和する溶液を作製した。
【0129】
【表10】

【0130】
5mg/mLのHRPの適切な量のストック溶液を、溶液BB0、CC0、EE0、及びFF0に添加して、これらの試料10μg/mL中にHRPの濃度を作製した。HRPを有する試料は、それぞれ、BB、CC、EE、及びFFと分類される。これらの試験溶液を、表7にまとめる。
【0131】
【表11】

【0132】
アスペルギルスカーボナリウス(ATCC#6277)、アスペルギルスブラジリエンシス(ATCC#9642)、アスペルギルスアキュリエタス(ATCC#56925)、ペニシリウムアマガサキエンス(Penicillium amagasakiense)(ATCC#28686)、及びアスペルギルスフラバス(ATCC#9643)は、冷凍ストック(−80℃)から再構成された。5種の生物が、滅菌水を用いて、10生物/mLまで希釈された。950μLの表7からの試験溶液BB〜FFのそれぞれに、50μLの特定の再構成された生物懸濁液を添加することによって、植菌が行われ、それぞれ、約50の生物を含有する1mLの試験懸濁液を作製した。比較実施例は、これらの同じ生物を使用したが、対照溶液AAを用いて行った。プレートは、28〜30℃で培養され、様々な時点で視認し、画像を得た。グルコースオキシダーゼを産生する生物のアスペルギルスカーボナリウス及びアスペルギルスブラジリエンシスに対する結果を、表8にまとめる。
【0133】
【表12】

【0134】
アスペルギルスカーボナリウス及びアスペルギルスブラジリエンシスは共に、24時間で、溶液BB(4−AAP+TOOS)及びEEを用いて紫色斑点を得、溶液CC及びFFを用いて小規模の赤色コロニーを得た。他の生物は、この時点で可視的なコロニーを産生しなかった。薄青色コロニーは、41〜48時間、アスペルギルスカーボナリウス及びアスペルギルスブラジリエンシスに対して対照溶液AAを使用した比較実施例C7及びC8に出現した。同様に、グルコースオキシダーゼを産生する生物のペニシリウムアマガサキエンスは、32時間で、溶液BB及びEE中に紫色斑点、溶液CC及びFF中に赤色コロニーを示し始め、47〜66時間、溶液AA及びDDを用いてのみコロニーが出現し始めた。これは、グルコースオキシダーゼを産生する生物の早期検出を実証した。
【0135】
反対に、アスペルギルスアキュリエタスコロニーは、6つ全ての溶液中に、41時間で出現し始め、アスペルギルスフラバスは、47時間で出現し始めた。試薬溶液に伴って色が変化した(4−AAPの存在下で、濃い紫色及びその不在下で、青色/緑色)が、これらのコロニーのモルホロジー(morphology)及び成長速度は、主として、溶液と無関係である。これは、グルコースオキシダーゼを産生しないコロニーが、それらの不在下よりもこれらの試薬の存在下で早期に検出されないことを実証した。
【0136】
アスペルギルスブラジリエンシス及びアスペルギルスカーボナリウスのコロニーは、48時間でさえ、互いに確実に区別するのは困難であった。しかしながら、更なる時間と共に、溶液BB及びEEによって生育した紫色斑点は、徐々に広がり、小さな中心を残して薄くなった。溶液DD(NXP)によって、この中心は、両方の場合に赤色であったが、溶液EE(4−AAP/TOOS/NXP)に対して、アスペルギルスカーボナリウスは、赤色の中心を得、アスペルギルスブラジリエンシスは、濃紫色の中心を得た。したがって、更なる時間と共に、密接に関係したグルコースオキシダーゼを生成する生物は、なお、β−D−キシロピラノシダーゼへの基質の更なる使用によって、区別され得た。
【0137】
実施例26及び27−オクラトキシンAを産生することが報告された生物の比較
オクラトキシンAを産生することが報告された2種の生物である、アスペルギルスオクラセウス(ATCC#22947)及びアスペルギルスツビンゲンシス(ATCC#76608)の分離株が、試験された。アスペルギルスツビンゲンシスは、アスペルギルスニガー及びアスペルギルスカーボナリウスに密接に関連したアスペルギルス属に黒い炉(Nigri)のサブセットであり、イタリアのワイン用ブドウの感染に関与し得る(Appl.Environ.Microbiology,72,680〜685(2006))。また、2種の他の生物である、アスペルギルスブラジリエンシス(ATCC#9642)及びアスペルギルスジャパニカス(ATCC#52036)も、試験された。アスペルギルスジャパニカスは、グルコースオキシダーゼを産生しないし、オクラトキシンAも産生しないが、ブドウに感染することが報告される。
【0138】
4種の生物は、滅菌脱イオン水を用いて、10生物/mLまで希釈された。それぞれの生物のための2つのプレートが、50mM TES緩衝液(比較実施例用、表9中のTES)で調製され、及び50mM TES緩衝液中の1.0mg/mLの4−AAP/0.5mg/mLのTOOS/10μg/mLのHRP(表9中の4−AAP/TOOS)で2つ調製された。950μLのTESあるいは4−AAP/TOOS溶液のいずれかに、50μLの特定の再構成された生物懸濁液を添加することによって、植菌が行われ、それぞれ、約50の生物を含有する1mLの試験懸濁液を作製した。プレートは、28〜30℃で培養され、様々な時点で視認し、画像を得た。様々な時点でのコロニー数(2つのプレートの平均)が、表9に示される。
【0139】
【表13】

【0140】
生物のうちの2種(アスペルギルスブラジリエンシス及びアスペルギルスツビンゲンシス)は、それらの不在下でよりも(約24時間までに)TOOS/4−AAPの存在下で、早期に着色した斑点を生じた。オクラトキシンAを産生するが、グルコースオキシダーゼを産生しない、カビのアスペルギルスオクラセウスのコロニーは、アスペルギルスジャパニカスのコロニーがそうであったように、TOOS/4−AAPの存在又は不在に関わらず、ほぼ同時に出現した。これは、グルコースオキシダーゼを産生する生物の早期検出を実証した。
【0141】
実施例28〜32−低温培養及び検出
グルコースオキシダーゼを生成することが知られている5種の生物である、アスペルギルスカーボナリウス(実施例28)、アスペルギルスブラジリエンシス(実施例29)、アスペルギルスツビンゲンシス(ATCC#76608、実施例30)、ペニシリウムアマガサキンス(ATCC#28686、実施例31)、及びペニシリウムフニクロスム(ATCC#11797、実施例32)の分離株が試験された。それぞれの生物の冷凍(−80℃)ストックは、滅菌生理食塩水(145nM NaCl)懸濁液を用いて、10生物/mLまで希釈された。3つの試薬溶液である、50mmol TES緩衝液(表10中のTES)と、50mmol TES中の0.5mg/mLのTOOS/1.0mg/mLの4−AAP/10μg/mLのHRP(表10中の4−AAP/TOOS)と、50mmol TES中の1.0mg/mLの4−AAP/10μg/mLのHRP(表10中の4−AAP)と、が調製された。実施例番号は、前述の実施例のように、分類される。50μLのこれらの希釈剤をとり、それらを950μLの試験溶液に添加し、約50生物を含有する1mLの試験懸濁液を作製することによって、それぞれの生物のために、3つのプレートが、調製された。プレートは、室温で培養され、様々な時点で視認し、画像を得た。プレートの積み重ねに挿入された熱電対は、19〜20℃で培養全体の間の温度を一貫して測定した。指示された時点でのコロニー数が、表10に示される。
【0142】
【表14】

【0143】
先行実施例における、28〜30℃での成長速度と比較して、生物の成長速度が、19〜20℃で著しく停滞したことは、表10中のデータから明らかである。しかしながら、過酸化水素指示試薬が添加されると、アスペルギルスコロニーは、それらの不在下の4日ではなく2日で出現した。2種のグルコースオキシダーゼを産生するペニシリウム種のコロニーは、試薬溶液を伴うとそれらの不在下の5日ではなく3日で出現した。このデータは、グルコース−オキシダーゼに感受性がある試薬の添加によって、より低温の培養温度(19〜20℃、この場合には生物が30℃でよりもゆっくりと成長する)で、検出時間の短縮を実証した。
【0144】
これで、本発明について、本発明者が予見したいくつかの特定の実施形態に関連して説明した。これらの実施形態に関しては、有用な説明が利用可能である。本発明の想像上の修正形態がそれでもなお、現在は予見されない修正形態を含めて、それらの等価物をなし得る。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載した細部及び構造によってではなく、以下の「特許請求の範囲」及びその等価物によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出する方法であって、
冷水に可溶なゲル化剤を含む薄膜培養器具と、
グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、
西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、
前記微生物を含有する疑いがある試料と、を提供することと、
前記培養器具中で、所定の量の前記試料と、前記培養培地と、前記過酸化水素指示試薬とを混合することと、
前記培養器具を培養することと、
前記少なくとも1つの発色基質の反応を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記薄膜培養器具が、前記培養培地を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微生物を検出する方法であって、
冷水に可溶なゲル化剤を含む薄膜培養器具と、
グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、
西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、
前記微生物を含有する疑いがある試料と、を提供することと、
所定の量の前記試料と前記培養培地を混合して、第1の混合物を形成することと、
前記培養器具中で、前記第1の混合物と前記過酸化水素指示試薬を混合することと、
前記培養器具を培養することと、
前記少なくとも1つの発色基質の反応を検出することと、を含む、方法。
【請求項4】
前記第1の混合物が、前記過酸化水素指示試薬と混合される前に、培養される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記培養器具を培養することが、前記培養器具を好気的に培養することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの発色基質の前記反応が、前記培養器具の培養を開始してから48時間以内に検出可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの発色基質の前記反応が、前記培養器具の培養を開始してから24時間以内に検出可能である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物が、アスペルギルスニガー、アスペルギルスカーボナリウス、アスペルギルスブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、アスペルギルスチビンゲンシス(Aspergillustubingensis)、ペニシリウムアマガサキンス、及びペニシリウムフニクロスムからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発色基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩、4−アミノアンチピリン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの発色基質が、3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記過酸化水素指示試薬と組み合わせて、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質を提供することと、前記発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質の反応を検出することと、を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質とのβ−D−キシロピラノシダーゼ反応を検出することによって、前記微生物を識別することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
微生物を検出する方法であって、
冷水に可溶なゲル化剤及び西洋ワサビペルオキシダーゼを含む薄膜培養器具と、
グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、
少なくとも1つの発色基質と、
前記微生物を含有する疑いがある試料と、を提供することと、
前記培養器具中で、所定の量の前記試料と、前記培養培地と、前記少なくとも1つの発色基質とを混合することと、
前記培養器具を培養することと、
前記少なくとも1つの発色基質の反応を検出することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記検出することが、周囲光下で直接目視観測によって行われる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記検出することが、プレートリーダー装置を用いて行われる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
冷水に可溶なゲル化剤を含む薄膜培養器具と、
グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を支持する培養培地と、
西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬と、を含む、キット。
【請求項17】
前記少なくとも1つの発色基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩、4−アミノアンチピリン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩を更に含む、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質を更に含む、請求項16に記載のキット。
【請求項20】
前記培養培地が、前記過酸化水素指示試薬を含む、請求項16〜19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
前記培養器具が、前記培養培地、前記過酸化水素指示試薬、又は両方を含む、請求項16に記載のキット。
【請求項22】
試料希釈剤、緩衝液、試料取得装置、及びピペットからなる群から選択される試料調製付属物を更に含む、請求項16〜21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
グルコースオキシダーゼを産生する微生物を検出する方法であって、
(a)培養培地に試料を植菌することであって、前記培養培地が、西洋ワサビペルオキシダーゼ及び少なくとも1つの発色基質を含む過酸化水素指示試薬を含み、前記試料が、グルコースオキシダーゼを産生する微生物を含有する疑いがある、ことと、
(b)グルコースオキシダーゼを産生する微生物の成長を可能にする条件下で、前記培養培地を培養することと、
(c)前記培養培地を検査して、グルコースオキシダーゼを産生する微生物が存在するかどうかを判定することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記培養培地が、液体培地、半固体培地、固体培地、又は再構成乾燥培養培地を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記植菌された培養培地が、約30℃の温度で、約24時間培養される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの発色基質が、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼを産生する成長する微生物の存在下で検出可能なシグナルを生成する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記検出可能なシグナルが、化学発光シグナル、蛍光シグナル、色変化、電気伝導度の変化、又は前述のいずれかの任意の組み合わせを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの発色基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩、4−アミノアンチピリン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの発色基質が、3−(N−エチル−3−メチルアニリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩(TOOS)を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記培養培地を検査して、グルコースオキシダーゼを産生する微生物が存在するかどうかを判定する工程が、赤色コロニーを検出する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
グルコースオキシダーゼを産生する微生物のコロニーを計数する工程を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記過酸化水素指示試薬と組み合わせて、発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質を提供することと、前記発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質の反応を検出することと、を更に含む、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記発色性β−D−キシロピラノシダーゼ基質とのβ−D−キシロピラノシダーゼ反応を検出することによって、前記微生物を識別することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記培養培地が、寒天を含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−516174(P2013−516174A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547144(P2012−547144)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061552
【国際公開番号】WO2011/090662
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】