説明

グルタチオンをベースとする薬物送達システム

本発明は、化学物質、(ポリ)ペプチド及び核酸ベースの薬物(DNAワクチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、触媒性DNA(DNAザイム)又はRNA分子、siRNA又はそれらをコードするプラスミドのような)を含む、化合物のターゲティング型薬物送達の方法に関する。さらに、本発明は、細胞、組織及び器官上に存在するグルタチオントランスポーターへのターゲティングによる、細胞、組織及び器官内の血管外及び細胞内標的部位への、特に、中枢神経系(CNS)内の標的部位への、血液脳関門内への、及びそれを越える、化合物のターゲティング型薬物送達に関する。それに加えて、化合物又はその薬学的に許容される担体は、これらのグルタチオントランスポーターへの特異的結合及びそれらによるインターナリゼーションを促進するグルタチオンベースのリガンドに結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲティング型薬物送達の分野に関する。本発明は、特異的結合、エンドサイトーシス又はトランスサイトーシスを媒介するグルタチオントランスポーターのリガンドと結合した、担体又はナノコンテナーに場合によって含まれる活性医薬成分の複合体に関する。これらの複合体は、好ましくは脳に基づく症状の治療又は予防の方法に用いる。
【背景技術】
【0002】
適切に機能するために、ニューロンは、厳格に調節された細胞外環境を必要とする。この必須且つ明確に定義された微小環境は、星状細胞(又は大グリア細胞)と呼ばれている脳細胞を養育することによって局所的に維持されている。血液の組成と脳の細胞外コンパートメントとの間の著しい且つ可変的な非類似性に対処するために、中枢神経系(CNS)もいくつかの血液CNS関門、すなわち、血液脳関門、血液脳脊髄液(CSF)関門、軟膜血管CSF関門、上衣及びグリア境界(ependyma and glia limitations)、並びにまた血液網膜関門、血液神経関門、血液脊髄関門によって全身血液循環から遮断されている。血液脳関門(BBB)は、他の血液CNS関門と比較したとき1000倍大きい表面積に及ぶため、最も重要な血液CNS関門と考えられている。BBBは、CNSにおける毛細血管を覆う特有の密な内皮細胞層によって特徴づけられる。この場合においても、星状細胞は、毛細血管に「グリア足突起」を張り出すことにより、これらの内皮細胞におけるBBB特性の主要な誘導因子である。
【0003】
特に、BBBは、脳の内外へのイオン(Na、K、Ca2+)、水、栄養素、代謝物、神経伝達物質(グルタミン酸、トリプトファン)、血漿タンパク質(アルブミン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン)、免疫由来の細胞及びまた生体異物(薬物)のトラフィッキングを調節する。脳内の毛細血管内皮は、末梢毛細血管と比較したとき特殊な特性を有する。それは、狭い密着結合を有し、窓は有さず、低い飲作用活性及び連続基底膜を有する。狭い密着結合は、1500〜2000オームcmという高い電気抵抗をもたらす。さらに、内皮細胞は、負に荷電した化合物に反発する負の表面電荷を有する。それらは、多くのミトコンドリア及び化合物を分解する酵素並びに脳の内外に栄養素及び他の化合物を能動的に輸送する様々な選択的輸送系を有する。一般的に、BBBは、脳の恒常性を保護する役割を果たす器官とみなすことができる。しかし、BBBは、それにより、脳への生体異物(薬物及び診断用薬など)の送達も制限し、これが脳障害の古典的な薬物療法(すなわち、ニューロンを標的とする)を困難にする。したがって、内因性BBB輸送系を介して脳に薬物を選択的に導くことが望ましい。
【0004】
さらに、それらの細胞内標的に到達するいくつかのクラスの薬物については、それらが親油性細胞膜を越えて親水性細胞質内に送達される必要がある。この親油性環境から親水性環境への輸送の要求は、多くのそのような薬物の設計及び送達に関する課題を発生させるものである。細胞膜はリン酸化薬物に対する透過性に乏しいので、非リン酸化形の薬物を投与することにより、薬物の細胞侵入が改善される可能性がある。その後、薬物をチミジンキナーゼによりその活性形にリン酸化することができる。しかし、薬物の取込みは、すべての体組織により非特異的に起こる。他の欠点は、薬物の定常状態血漿濃度を達成するのに最長4週間の投与を必要とすることである。いくつかの治療は、例えば、24〜48週間の期間にわたる高用量(800〜1200mg/日)の連日投与を必要とする。これは、非慢性状態の治療には遅すぎる。他の欠点は、そのような治療が通常毒性によって制限されることである。結論として、多くの治療及び療法について、副作用を最小限にすると同時に所望の部位に適切な期間に有効量の薬物を送達する必要がある。多分、最大の課題は、CNS、網膜、胎盤及び精巣などの生理的障壁によって保護されている部位への薬物の(適時の)送達にある。
【0005】
特異的取込み受容体を標的とするCNS薬はまだ上市されていない。神経障害(脳卒中、片頭痛及びMSのような)の治療用の市販薬の大部分は、実際は脳外の標的(例えば、大脳血管系又は免疫系)を対象とするものである。小分子と異なり、生物医薬品は、血液脳関門を越えるそれらの透過性を増大させるための化学修飾の候補であり得ない。そのような化合物は、現在、直接及び局所的定位注射、髄腔内注入並びに血液脳関門の(薬理学的)破壊のような、患者にとって侵襲的且つ有害な技術に依拠している。これらの技術の危険な神経学的結果のため、これらは、選択される生命を脅かす疾患においてのみ正当化される。さらに、局所投与は、大きいヒト脳全体に薬物を送達するのに決して有効ではない。したがって、革新的なCNS薬物送達技術が非常に望まれている。
【0006】
グルタチオン(GSH)は、内因性抗酸化物質である。血清中のその濃度が不十分である場合、慢性疲労症候群(CFS)などのいくつかの神経疾患が起こる可能性がある。1994年に、Berislav V.ZlokovicはGSHが分解することなくGSHトランスポーターなどの特殊な経路を経てモルモットのBBBに到達し、通過すると主張した(1994年、Biochem.Biophys.Res.Commun.、201巻、402〜408頁)。1995年に、Berislav V.ZlokovicはGSHが脳、星状細胞及び内皮細胞中にミリモル濃度で存在すると主張した(1995年、Pharm.Res.、12巻、1395〜1406頁)。1995年に、Ram KannanはGSHの取込みがNa+濃度に依存することを主張した(1995年、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.、36巻、1785〜1792頁)。Na+濃度が低い場合、脳内皮細胞からのGSHの取込みが抑制される可能性がある。彼はまた、BBBの腔側にあるNa依存性GSHトランスポーターがGSHの取込みを管理し、BBBの腔側にあるNa非依存性GSHトランスポーターがGSHの流出を管理することを指摘した(1996年、J.Biol.Chem.、271巻、9754〜9758頁)。さらに、Kannanは、マウス及びモルモットの脳を用いてラット肝小管GSHトランスポーター(RcGSHT)系を構築して、cDNA断片5、7及び11を分析した。結果は、断片7がNa依存性GSHトランスポーターに相当し、断片5及び11がNa非依存性GSHトランスポーターに相当することを示すものである。1999年に、Ram Kannanは、BBBの状況を模擬するマウス脳内皮細胞系(MBEC−4)モデルを構築した(1999年、J.Neurochem.、73巻、390〜399頁)。該モデルによりNa依存性GSHトランスポーターがMBEC−4細胞の腔側にあることが証明された。2000年に、Ram Kannanは、GSHがヒト脳血管内皮細胞(HCBC)におけるNa依存性GSHトランスポーターを介してBBBを通過し、Na依存性GSHトランスポーターがHCECの管腔形質膜に存在することを主張した(2000年、Brain.Res.、852巻、374〜382頁)。2003年に、Zhao Zhiyangは、US2003109555に示されているスルホンアミド結合の切断の後に特定の癌細胞を標的とし、治療するためのスルホンアミド共有結合によりグルタチオンsトランスフェラーゼ(GST)/グルタチオン(GSH)と結合した抗癌プロドラッグを提供した。この修飾は、薬物のアミノ基を保護し、その溶解度を増加させ、体内でのその吸収及び分布を変化させることができる。2005年に、Ae−June Wangらは、米国特許番号7,446,096号に担体又は活性化合物及びその上にグラフト結合させたグルタチオン又はグルタチオン誘導体を含む送達システムを提供する発明を開示した。該発明は、ビタミンE誘導体又はリン脂質誘導体、それに結合したポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレングリコール誘導体及びポリエチレングリコール又はPEG誘導体に結合したグルタチオン(GSH)又はグルタチオン誘導体を含む部分を含む化合物も提供する。2008年に、Pieter Gaillardは、in vitro及びin vivoでGSH−PEGリポソームを用いる抗ウイルス化学療法薬及び他の抗ウイルス薬の(CNS)標的送達を米国特許出願第60/907,176号に開示した。当年の後期に、Swati More及びRobert Vinceは、in vitro法を用いた抗パーキンソンプロドラッグの成分としてのグルタチオンペプチド模倣体の設計、合成及び生物学的評価に関する論文を公表した(More、2008年、J.Med.Chem.、51巻、4581〜4588頁)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの開示は、薬物と特定のCNS及び関連障害の診断及び/又は(予防的)治療に特定の用途を有する化合物との具体的且つ適切な組合せに関する十分な詳細を提供していない。したがって、とりわけグルタチオン輸送受容体を用いたCNS薬ターゲティングのための小分子、ペプチド、タンパク質及び薬物及び遺伝子を含むナノコンテナー(リポソームなど)などの積み荷を細胞膜を越え、血液脳関門などの血液組織関門を越えて運搬する安全、有効及び多目的なアプローチを提供することが本発明の目的である。驚くべきことに、我々は、上述の開示に加えて、直接カップリング又はスペーサー分子を用いることによる連結によるペプチド、タンパク質(酵素及び抗体のような)、他の小分子及びポリプレックスへのグルタチオン及びグルタチオン誘導体の結合が、薬剤をグルタチオン輸送受容体に特異的に向けるのに有効であることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
定義
本明細書で用いる「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、ワトソン−クリック型の塩基対合、フーグスティーン若しくは逆フーグスティーン型の塩基対合又は類似のものなどの規則的パターンのモノマー間相互作用(例えば、ヌクレオシド間)により標的ポリヌクレオチドに特異的に結合することができるデオキシリボヌクレシド、リボヌクレシド、そのα−アノマー形、ポリアミド核酸などを含む、天然又は修飾モノマー又は連鎖の線状オリゴ及びポリマーを含む。通常モノマーは、リン酸ジエステル結合又はその類似物により連結されて、サイズが少数のモノマー単位、例えば、3〜4から数百のモノマー単位に及ぶオリゴヌクレオチドを形成する。「ATGCCTG」などの文字の配列によりオリゴヌクレオチドを表すときには、ヌクレオチドは左から右へ5’→3’の順序であり、特に示さない限り、「A」はデオキシアデノシンを意味し、「C」はデオキシシチジンを意味し、「G」はデオキシグアノシンを意味し、「T」はチミジンを意味することは理解されるであろう。リン酸ジエステル結合の類似物は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニリデート、ホスホルアミデート、N3’→P5’ホスホルアミデートなどである。ポリヌクレオチドは、実質的に任意の長さ、一般的に約10ヌクレオチドから約1x10ヌクレオチドまで、又はより大きくてよい。本明細書で用いているように、「オリゴヌクレオチド」は、長さが4〜100ヌクレオチドのポリヌクレオチドと定義される。したがって、オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのサブセットである。
【0009】
本明細書で用いているように、「特異的結合」という用語は、非特異的相互作用と測定できる程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般的に結合活性を有さない類似の構造の分子、例えば、特異的結合配列を欠く同様なサイズのペプチドである対照分子(リガンド)と比較して分子(リガンド)の結合を測定することによって測定することができる。リガンドが対照リガンドより受容体に対する測定できる程度に高い親和力を有する場合、特異的結合が存在する。結合の特異性は、例えば、標的に結合することが知られている対照リガンドとの競合により測定することができる。「特異的結合」という用語は、本明細書で用いているように、低及び高親和性特異的結合を含む。特異的結合は、例えば、少なくとも約10−4MのKdを有する低親和性ターゲティング物質によって示すことができる。例えば、受容体がリガンドに対する複数の結合部位を有する場合、低親和性を有するリガンドは、微小血管内皮を標的にするのに有用であり得る。特異的結合は、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、少なくとも約10−9M、少なくとも約10−10MのKdを有する、又は少なくとも約10−11M若しくは10−12M若しくはより大きいKdを有することができるリガンドによっても示すことができる。低及び高親和性ターゲティングリガンドは、本発明の複合体における組込みに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、巨大タンパク質並びに薬物及び遺伝子を含むリポソーム、すなわち、リポソームに封入された薬物及び遺伝子などの治療用部分を細胞膜を越えて、又は例えば、その脳送達のための血液脳関門などの血液組織関門を越えて運搬するための受容体媒介性エンドサイトーシスと呼ばれる安全な内因性(非毒性)輸送メカニズムに基づいている。一連のバリデートされ、周知である内部移行性受容体がこの使用のための細胞及び血液脳関門に存在する。これらには、ビタミンB1トランスポーター、アルファ(2,3)−シアロ糖タンパク質受容体、トランスフェリン受容体、スカベンジャー受容体、LDL受容体、LRP1B、LRP2、DTR、インスリン受容体、IGF受容体、レプチン受容体、マンノース6リン酸受容体が含まれるが、これらに限定されない。しかし、本発明は、神経保護血液脳関門の正常な機能を変化又は妨害せずに脳内の毛細血管上のグルタチオンの内因性内部移行性取込み(輸送)受容体を標的とすることにより、細胞に、及び血液脳関門を越えて薬物を特異的に送達する、又は薬物の送達を特異的に促進するより安全且つより有効な方法に関する。
【0011】
第1の態様において、本発明は、a)グルタチオントランスポーターのリガンド並びにb)少なくとも1つの診断用又は治療用薬剤、及び薬剤を含む薬学的に許容されるナノコンテナーを含む複合体に関し、a)におけるリガンドが好ましくはb)における薬剤及びナノコンテナーの少なくとも1つに結合している。
【0012】
「複合体」は、本明細書では結合している2つの実体からなると定義する。好ましくは、2つの実体は、非特異的若しくは特異的タンパク質間相互作用により、共有結合により、非共有結合により、配位化学結合により、化学合成により、直接的に若しくは(非)開裂性スペーサー、リンカー若しくはナノコンテナーの構成要素を介して、又は組換え技術により結合している。本発明との関連において、第1の実体は、診断用及び/又は治療薬又は薬剤を含む薬学的に許容されるナノコンテナーであってよく、一方、第2の実体は、標的細胞上のグルタチオントランスポーターのリガンドである。適切な診断用及び/又は治療薬、そのような薬剤の薬学的に許容されるナノコンテナー、並びに本発明の複合体に用いるグルタチオントランスポーターの適切なリガンドは、本明細書の下文でさらに定義する。
【0013】
治療又は診断用薬
本発明の複合体は、少なくとも1つの薬剤を含む。本発明の複合体に組み込む好ましい薬剤は、小分子化学物質である。化学物質は、本明細書では定義済み化学分子、通常、少なくとも部分的に有機物であり、化学合成により通常得ることができ、オリゴ又はポリヌクレオチドを含まないより小さい非ポリマー分子(例えば、2kDa未満)であると理解される。小分子薬物部分を得ることができる対象の薬剤化合物又は物質は、Goodman & Gilman’s、治療薬の薬理学的基礎(The Parmacological Basis of Therapeutics)(9版)(Goodmanら編)(McGraw−Hill)(1996年)及び1999 Physician’s Dewsk Reference(1998年)にも示されている。薬物部分を得ることができる対象の付加的な特定の薬物及び化合物は、以下のものを含むが、それらに限定されない。
【0014】
中枢神経系抑制薬:全身麻酔薬(バルビツレート、ベンゾジアゼピン、ステロイド、シクロヘキサノン誘導体及び多種多様な薬剤)、鎮静催眠薬(ベンゾジアゼピン、バルビツレート、ピペリジンジオン及びトリオン、キナゾリン誘導体、カルバメート、アルデヒド及び誘導体、アミド、非環状ウレイド、ベンザゼピン及び関連薬物、フェノチアジン等)、中枢性随意筋緊張緩和薬(ヒダントイン、バルビツレート、オキサゾリジンジオン、スクシンイミド、アシルウレイド、グルタルイミド、ベンゾジアゼピン、第二級及び第三級アルコール、ジベンザゼピン誘導体、バルプロ酸及び誘導体、GABA類似体等などの抗けいれん薬)、鎮痛薬(モルヒネ及び誘導体、オリパビン誘導体、モルフィナン誘導体、フェニルピペリジン、2,6−メタン−3−ベンザゾカイン誘導体、ジフェニルプロピルアミン及び等配電子体、サリチル酸塩、p−アミノフェノール誘導体、5−ピラゾロン誘導体、アリール酢酸誘導体、フェナメート及び等配電子体、ナルトレキソン、メチルナルトレキソン等)及び制吐薬(抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗ドーパミン作用薬等)、米国特許番号5,292,736、5,688,825、5,554,789、5,455,230、5,292,736、5,298,522、5,216,165、5,438,064、5,204,365、5,017,578、4,906,655、4,906,655、4,994,450、4,749,792、4,980,365、4,794,110、4,670,541、4,737,493、4,622,326、4,536,512、4,719,231、4,533,671、4,552,866、4,539,312、4,569,942、4,681,879、4,511,724、4,556,672、4,721,712、4,474,806、4,595,686、4,440,779、4,434,175、4,608,374、4,395,402、4,400,534、4,374,139、4,361,583、4,252,816、4,251,530、5,874,459、5,688,825、5,554,789、5,455,230、5,438,064、5,298,522、5,216,165、5,204,365、5,030,639、5,017,578、5,008,264、4,994,450、4,980,365、4,906,655、4,847,290、4,844,907、4,794,110、4,791,129、4,774,256、4,749,792、4,737,493、4,721,712、4,719,231、4,681,879、4,670,541、4,667,039、4,658,037、4,634,708、4,623,648、4,622,326、4,608,374、4,595,686、4,594,188、4,569,942、4,556,672、4,552,866、4,539,312、4,536,512、4,533,671、4,511,724、4,440,779、4,434,175、4,400,534、4,395,402、4,391,827、4,374,139、4,361,583、4,322,420、4,306,097、4,252,816、4,251,530、4,244,955、4,232,018、4,209,520、4,164,514、4,147,872、4,133,819、4,124,713、4,117,012、4,064,272、4,022,836、3,966,944;に開示されている鎮痛薬;
【0015】
中枢神経系興奮薬:興奮薬(呼吸刺激薬、けいれん刺激薬、精神運動刺激薬)、麻薬拮抗薬(モルヒネ誘導体、オリパビン誘導体、2,6−メタン−3−ベンゾオキサシン誘導体、モルヒナン誘導体)、向知性薬、フルマゼニル;
【0016】
向精神病薬:抗不安性鎮静薬(ベンゾジアゼピン、プロパンジオールカルバメート)、抗精神病薬(フェノチアジン誘導体、チオキサンチン誘導体、他の三環系化合物、ブチロフェノン誘導体及び等配電子体、ジフェニルブチルアミン誘導体、置換ベンズアミド、アリールピペラジン誘導体、インドール誘導体等)、抗うつ薬(三環系化合物、MAO阻害薬等)、米国特許番号5,192,799、5,036,070、4,778,800、4,753,951、4,590,180、4,690,930、4,645,773、4,427,694、4,424,202、4,440,781、5,686,482、5,478,828、5,461,062、5,387,593、5,387,586、5,256,664、5,192,799、5,120,733、5,036,070、4,977,167、4,904,663、4,788,188、4,778,800、4,753,951、4,690,930、4,645,773、4,631,285、4,617,314、4,613,600、4,590,180、4,560,684、4,548,938、4,529,727、4,459,306、4,443,451、4,440,781、4,427,694、4,424,202、4,397,853、4,358,451、4,324,787、4,314,081、4,313,896、4,294,828、4,277,476、4,267,328、4,264,499、4,231,930、4,194,009、4,188,388、4,148,796、4,128,717、4,062,858、4,031,226、4,020,072、4,018,895、4,018,779、4,013,672、3,994,898、3,968,125、3,939,152、3,928,356、3,880,834、3,668,210;に開示されている薬剤;
【0017】
気道薬:中枢性鎮咳薬(アヘンアルカロイド及びそれらの誘導体);
【0018】
末梢神経系薬:局所麻酔薬(エステル誘導体、アミド誘導体);
【0019】
シナプス又は神経効果器接合部位に作用する薬物:コリン作動薬、コリン作動性遮断薬、神経筋遮断薬、アドレナリン作動薬、抗アドレナリン作動薬、米国特許番号5,219,872、5,219,873、5,073,560、5,073,560、5,346,911、5,424,301、5,073,560、5,219,872、4,900,748、4,786,648、4,798,841、4,782,071、4,710,508、5,482,938、5,464,842、5,378,723、5,346,911、5,318,978、5,219,873、5,219,872、5,084,281、5,073,560、5,002,955、4,988,710、4,900,748、4,798,841、4,786,648、4,782,071、4,745,123、4,710,508;に開示されているコリン作動薬;米国特許番号5,091,528、5,091,528、4,835,157、5,708,015、5,594,027、5,580,892、5,576,332、5,510,376、5,482,961、5,334,601、5,202,347、5,135,926、5,116,867、5,091,528、5,017,618、4,835,157、4,829,086、4,579,867、4,568,679、4,469,690、4,395,559、4,381,309、4,363,808、4,343,800、4,329,289、4,314,943、4,311,708、4,304,721、4,296,117、4,285,873、4,281,189、4,278,608、4,247,710、4,145,550、4,145,425、4,139,535、4,082,843、4,011,321、4,001,421、3,982,010、3,940,407、3,852,468、3,832,470;に開示されているアドレナリン作動薬;
【0020】
平滑筋活性薬:鎮痙薬(抗コリン薬、向筋鎮痙薬)、血管拡張薬、平滑筋刺激薬;
【0021】
ヒスタミン及び抗ヒスタミン薬:ヒスタミン及びその誘導体(ベタゾール)、抗ヒスタミン薬(H1拮抗薬、H2拮抗薬)、ヒスタミン代謝薬、米国特許番号5,874,479、5,863,938、5,856,364、5,770,612、5,702,688、5,674,912、5,663,208、5,658,957、5,652,274、5,648,380、5,646,190、5,641,814、5,633,285、5,614,561、5,602,183、4,923,892、4,782,058、4,393,210、4,180,583、3,965,257、3,946,022、3,931,197;に開示されている薬剤;
【0022】
心血管薬:強心薬(植物エキス、ブテノリド、ペンタジエノリド、エリスロフレウム(erythrophleum)種のアルカロイド、イオノフォア、アドレナリン受容体刺激薬等)、抗不整脈薬、抗高血圧薬、抗高脂血症薬(クロフィブリン酸誘導体、ニコチン酸誘導体、ホルモン及び類似体、抗生物質、サリチル酸及び誘導体)、抗静脈瘤薬、止血薬、米国特許番号4,966,967、5,661,129、5,552,411、5,332,737、5,389,675、5,198,449、5,079,247、4,966,967、4,874,760、4,954,526、5,051,423、4,888,335、4,853,391、4,906,634、4,775,757、4,727,072、4,542,160、4,522,949、4,524,151、4,525,479、4,474,804、4,520,026、4,520,026、5,869,478、5,859,239、5,837,702、5,807,889、5,731,322、5,726,171、5,723,457、5,705,523、5,696,111、5,691,332、5,679,672、5,661,129、5,654,294、5,646,276、5,637,586、5,631,251、5,612,370、5,612,323、5,574,037、5,563,170、5,552,411、5,552,397、5,547,966、5,482,925、5,457,118、5,414,017、5,414,013、5,401,758、5,393,771、5,362,902、5,332,737、5,310,731、5,260,444、5,223,516、5,217,958、5,208,245、5,202,330、5,198,449、5,189,036、5,185,362、5,140,031、5,128,349、5,116,861、5,079,247、5,070,099、5,061,813、5,055,466、5,051,423、5,036,065、5,026,712、5,011,931、5,006,542、4,981,843、4,977,144、4,971,984、4,966,967、4,959,383、4,954,526、4,952,692、4,939,137、4,906,634、4,889,866、4,888,335、4,883,872、4,883,811、4,847,379、4,835,157、4,824,831、4,780,538、4,775,757、4,774,239、4,771,047、4,769,371、4,767,756、4,762,837、4,753,946、4,752,616、4,749,715、4,738,978、4,735,962、4,734,426、4,734,425、4,734,424、4,730,052、4,727,072、4,721,796、4,707,550、4,704,382、4,703,120、4,681,970、4,681,882、4,670,560、4,670,453、4,668,787、4,663,337、4,663,336、4,661,506、4,656,267、4,656,185、4,654,357、4,654,356、4,654,355、4,654,335、4,652,578、4,652,576、4,650,874、4,650,797、4,649,139、4,647,585、4,647,573、4,647,565、4,647,561、4,645,836、4,639,461、4,638,012、4,638,011、4,632,931、4,631,283、4,628,095、4,626,548、4,614,825、4,611,007、4,611,006、4,611,005、4,609,671、4,608,386、4,607,049、4,607,048、4,595,692、4,593,042、4,593,029、4,591,603、4,588,743、4,588,742、4,588,741、4,582,854、4,575,512、4,568,762、4,560,698、4,556,739、4,556,675、4,555,571、4,555,570、4,555,523、4,550,120、4,542,160、4,542,157、4,542,156、4,542,155、4,542,151、4,537,981、4,537,904、4,536,514、4,536,513、4,533,673、4,526,901、4,526,900、4,525,479、4,524,151、4,522,949、4,521,539、4,520,026、4,517,188、4,482,562、4,474,804、4,474,803、4,472,411、4,466,979、4,463,015、4,456,617、4,456,616、4,456,615、4,418,076、4,416,896、4,252,815、4,220,594、4,190,587、4,177,280、4,164,586、4,151,297、4,145,443、4,143,054、4,123,550、4,083,968、4,076,834、4,064,259、4,064,258、4,064,257、4,058,620、4,001,421、3,993,639、3,991,057、3,982,010、3,980,652、3,968,117、3,959,296、3,951,950、3,933,834、3,925,369、3,923,818、3,898,210、3,897,442、3,897,441、3,886,157、3,883,540、3,873,715、3,867,383、3,873,715、3,867,383、3,691,216、3,624,126;に開示されている薬剤;
【0023】
胃腸管薬:消化薬(健胃薬、利胆薬)、抗潰瘍薬、下痢止め薬;
【0024】
ステロイド薬:ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン又は酢酸メチルプレドニゾロン又はヘミコハク酸メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸又はヘミコハク酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)又はヘミコハク酸デオキシコルチコステロン、米国特許番号5,863,538、5,855,907、5,855,866、5,780,592、5,776,427、5,651,987、5,346,887、5,256,408、5,252,319、5,209,926、4,996,335、4,927,807、4,910,192、4,710,495、4,049,805、4,004,005、3,670,079、3,608,076、5,892,028、5,888,995、5,883,087、5,880,115、5,869,475、5,866,558、5,861,390、5,861,388、5,854,235、5,837,698、5,834,452、5,830,886、5,792,758、5,792,757、5,763,361、5,744,462、5,741,787、5,741,786、5,733,899、5,731,345、5,723,638、5,721,226、5,712,264、5,712,263、5,710,144、5,707,984、5,705,494、5,700,793、5,698,720、5,698,545、5,696,106、5,677,293、5,674,861、5,661,141、5,656,621、5,646,136、5,637,691、5,616,574、5,614,514、5,604,215、5,604,213、5,599,807、5,585,482、5,565,588、5,563,259、5,563,131、5,561,124、5,556,845、5,547,949、5,536,714、5,527,806、5,506,354、5,506,221、5,494,907、5,491,136、5,478,956、5,426,179、5,422,262、5,391,776、5,382,661、5,380,841、5,380,840、5,380,839、5,373,095、5,371,078、5,352,809、5,344,827、5,344,826、5,338,837、5,336,686、5,292,906、5,292,878、5,281,587、5,272,140、5,244,886、5,236,912、5,232,915、5,219,879、5,218,109、5,215,972、5,212,166、5,206,415、5,194,602、5,166,201、5,166,055、5,126,488、5,116,829、5,108,996、5,099,037、5,096,892、5,093,502、5,086,047、5,084,450、5,082,835、5,081,114、5,053,404、5,041,433、5,041,432、5,034,548、5,032,586、5,026,882、4,996,335、4,975,537、4,970,205、4,954,446、4,950,428、4,946,834、4,937,237、4,921,846、4,920,099、4,910,226、4,900,725、4,892,867、4,888,336、4,885,280、4,882,322、4,882,319、4,882,315、4,874,855、4,868,167、4,865,767、4,861,875、4,861,765、4,861,763、4,847,014、4,774,236、4,753,932、4,711,856、4,710,495、4,701,450、4,701,449、4,689,410、4,680,290、4,670,551、4,664,850、4,659,516、4,647,410、4,634,695、4,634,693、4,588,530、4,567,000、4,560,557、4,558,041、4,552,871、4,552,868、4,541,956、4,519,946、4,515,787、4,512,986、4,502,989、4,495,102;に開示されているものを含むアルドステロン;
【0025】
細胞増殖抑制薬又は抗腫瘍薬:抗代謝薬:葉酸(アミノプテリン、メトトレキセート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド)、プリン(クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン)、ピリミジン(シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル/カペシタビン、フロキシウリジン、ゲムシタビン、エノシタビン、サパシタビン);アルキル化/アルキル化様:窒素マスタード(クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン)、ニトロソ尿素(カルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン)、白金(アルキル化様)(カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、四硝酸トリプラチン、サトラプラチン)、アルルホン酸アルキル(ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファン)、ヒドラジン(プロカルバジン)、トリアゼン(ダカルバジン、テモゾロミド)、アジリジン(カルボクオン、チオTEPA、トリアジクオン、トリエチレンメラミン);紡錘体毒/有糸分裂阻害薬:タキサン(ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、テセタキセル)及びビンカカルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、ビノレルビン)、イクサベピロン;細胞傷害性/抗腫瘍抗生物質:アントラサイクリン(アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン)、アントラセンジオン(ミトキサントロン、ピキサントロン)、ストレプトマイセス(アクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトマイシン、プリカマイシン)、ヒドロキシ尿素;トポイソメラーゼ阻害薬:カンプトテカ(カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ルビテカン、ベロテカン)、ポドフィラム(エトポシド、テニポシド);チロシンキナーゼ阻害薬:アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ;サイクリン依存性キナーゼ阻害薬:アルボシジブ、セリシクリブ;光増感剤:アミノレブリン酸/アミノレブリン酸メチル、エファプロキシラル、ポルフィリン誘導体(ポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィン、ベルテポルフィン);その他:アリトレタミン、アムサクリン、ベキサロテン、エストラムスチン、イロフルベン、トラベクテジン、融合タンパク質(アフリベルセプト)、デニロイキンジフチトクス、レチノイド(アリトレチノイン、トレチノイン)、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ/ペグアスパルガーゼ、アトラセンタン、ボルテゾミブ、カルモフル、セレコキシブ、デメコルシン、エレスクロモル、エルサミトルシン、エトグルシド、ロニダミン、ルカントン、マソプロコール、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、テガフル、テストラクトン、チアゾフリン、チピファルニブ、ボリノスタット;及び米国特許番号5,880,161、5,877,206、5,786,344、5,760,041、5,753,668、5,698,529、5,684,004、5,665,715、5,654,484、5,624,924、5,618,813、5,610,292、5,597,831、5,530,026、5,525,633、5,525,606、5,512,678、5,508,277、5,463,181、5,409,893、5,358,952、5,318,965、5,223,503、5,214,068、5,196,424、5,109,024、5,106,996、5,101,072、5,077,404、5,071,848、5,066,493、5,019,390、4,996,229、4,996,206、4,970,318、4,968,800、4,962,114、4,927,828、4,892,887、4,889,859、4,886,790、4,882,334、4,882,333、4,871,746、4,863,955、4,849,563、4,845,216、4,833,145、4,824,955、4,785,085、4,684,747、4,618,685、4,611,066、4,550,187、4,550,186、4,544,501、4,541,956、4,532,327、4,490,540、4,399,283、4,391,982、4,383,994、4,294,763、4,283,394、4,246,411、4,214,089、4,150,231、4,147,798、4,056,673、4,029,661、4,012,448;に開示されている薬剤;
【0026】
抗感染薬:外寄生生物撲滅薬(塩素化炭化水素、ピレチン、硫化化合物)、駆虫薬、抗原虫薬、抗マラリア薬、抗アメーバ薬、抗リーシュマニア薬、抗トリコモナス薬、抗トリパノソーマ薬、スルホンアミド、抗ミコバクテリア薬、抗ウイルス化学療法薬及び米国特許出願番号60/907,176に開示されている他の抗ウイルス薬;
【0027】
抗生物質:アミノグリコシド、例えば、アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、バムベルマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、フォーチマイシン、ゲンタマイシン、イセパマイシン、カナマイシン、ミクロマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トロスペクトマイシン;アンフェニコール、例えば、アジダムフェニコール、クロラムフェニコール、フロルフェニコール及びテイマフェニコール;アンサマイシン、例えば、リファミド、リファンピン、リファマイシン、リファペンチン、リファキシミン;ベータラクタム、例えば、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、セフパマイシン、モノバクタム、オキサフェム、ペニシリン;リンコサミド、例えば、クリナマイシン、リンコマイシン;マクロライド、例えば、クラリスロマイシン、ジルスロマイシン、エリスロマイシン等;ポリペプチド、例えば、アンホマイシン、バシトラシン、カプレオマイシン等;テトラサイクリン、例えば、アピサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン等;2,4ジアミノピリミジン、ニトロフラン、キノロン及びその類似体、スルホンアミド、スルホンなどの合成抗菌薬;
【0028】
抗真菌薬:ポリエン、例えば、アンホテリシンB、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、フンギクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ニスタチン、ペシロシン、ペリマイシン;アリルアミン、例えば、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン;イミダゾール、例えば、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール等;チオカルバメート、例えば、トルシクレート、トリアゾール、例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾールなどの合成抗真菌薬;
【0029】
駆虫薬:アレコリン、アスピジン、アスピジノール、ジクロロフェン、エンベリン、コシン、ナプタレン、ニクロサミド、ペレチエリン、キナクリン、アラントラクトン、アモカルジン、アモスカネート、アスカリドール、ベフェニウム、ビトスカネート、四塩化炭素、カルバクロール、シクロベンダゾール、ジエチルカルバマジン等;
【0030】
抗マラリア薬:アセダプソン、アモジアキン、アルテテル、アルテメテル、アルテミシニン、アルテスネート、アトバクオン、ベベリン、ベルベリン、チラタ、クロルグアニド、クロロキン、クロルプロガウニル、シンコナ、シンコニジン、シンコニン、シクログアニル、ゲンチオピクリン、ハロファントリン、ヒドロキシクロロキン、メフロキン塩酸塩、3−メチルアルサセチン、パマキン、プラスモシド、プリマキン、ピリメタミン、キナクリン、キニン、キニン、キノシド、キニン、ヒ酸二ナトリウム;
【0031】
抗原虫薬:アクラニル、チニダゾール、イプロニダゾール、エチルスチバミン、ペンタミジン、アセタルゾン、アミニトロゾール、アニソマイシン、ニフラテル、チニダゾール、ベンジダゾール、スラミンなど;
【0032】
抗菌薬:米国特許番号5,902,594、5,874,476、5,874,436、5,859,027、5,856,320、5,854,242、5,811,091、5,786,350、5,783,177、5,773,469、5,762,919、5,753,715、5,741,526、5,709,870、5,707,990、5,696,117、5,684,042、5,683,709、5,656,591、5,643,971、5,643,950、5,610,196、5,608,056、5,604,262、5,595,742、5,576,341、5,554,373、5,541,233、5,534,546、5,534,508、5,514,715、5,508,417、5,464,832、5,428,073、5,428,016、5,424,396、5,399,553、5,391,544、5,385,902、5,359,066、5,356,803、5,354,862、5,346,913、5,302,592、5,288,693、5,266,567、5,254,685、5,252,745、5,209,930、5,196,441、5,190,961、5,175,160、5,157,051、5,096,700、5,093,342、5,089,251、5,073,570、5,061,702、5,037,809、5,036,077、5,010,109、4,970,226、4,916,156、4,888,434、4,870,093、4,855,318、4,784,991、4,746,504、4,686,221、4,599,228、4,552,882、4,492,700、4,489,098、4,489,085、4,487,776、4,479,953、4,477,448、4,474,807、4,470,994、4,370,484、4,337,199、4,311,709、4,308,283、4,304,910、4,260,634、4,233,311、4,215,131、4,166,122、4,141,981、4,130,664、4,089,977、4,089,900、4,069,341、4,055,655、4,049,665、4,044,139、4,002,775、3,991,201、3,966,968、3,954,868、3,936,393、3,917,476、3,915,889、3,867,548、3,865,748、3,867,548、3,865,748、3,783,160、3,764,676、3,764,677;に開示されているもの;
【0033】
抗炎症薬:米国特許番号5,872,109、5,837,735、5,827,837、5,821,250、5,814,648、5,780,026、5,776,946、5,760,002、5,750,543、5,741,798、5,739,279、5,733,939、5,723,481、5,716,967、5,688,949、5,686,488、5,686,471、5,686,434、5,684,204、5,684,041、5,684,031、5,684,002、5,677,318、5,674,891、5,672,620、5,665,752、5,656,661、5,635,516、5,631,283、5,622,948、5,618,835、5,607,959、5,593,980、5,593,960、5,580,888、5,552,424、5,552,422、5,516,764、5,510,361、5,508,026、5,500,417、5,498,405、5,494,927、5,476,876、5,472,973、5,470,885、5,470,842、5,464,856、5,464,849、5,462,952、5,459,151、5,451,686、5,444,043、5,436,265、5,432,181、5,393,756、5,380,738、5,376,670、5,360,811、5,354,768、5,348,957、5,347,029、5,340,815、5,338,753、5,324,648、5,319,099、5,318,971、5,312,821、5,302,597、5,298,633、5,298,522、5,298,498、5,290,800、5,290,788、5,284,949、5,280,045、5,270,319、5,266,562、5,256,680、5,250,700、5,250,552、5,248,682、5,244,917、5,240,929、5,234,939、5,234,937、5,232,939、5,225,571、5,225,418、5,220,025、5,212,189、5,212,172、5,208,250、5,204,365、5,202,350、5,196,431、5,191,084、5,187,175、5,185,326、5,183,906、5,177,079、5,171,864、5,169,963、5,155,122、5,143,929、5,143,928、5,143,927、5,124,455、5,124,347、5,114,958、5,112,846、5,104,656、5,098,613、5,095,037、5,095,019、5,086,064、5,081,261、5,081,147、5,081,126、5,075,330、5,066,668、5,059,602、5,043,457、5,037,835、5,037,811、5,036,088、5,013,850、5,013,751、5,013,736、5,006,542、4,992,448、4,992,447、4,988,733、4,988,728、4,981,865、4,962,119、4,959,378、4,954,519、4,945,099、4,942,236、4,931,457、4,927,835、4,912,248、4,910,192、4,904,786、4,904,685、4,904,674、4,904,671、4,897,397、4,895,953、4,891,370、4,870,210、4,859,686、4,857,644、4,853,392、4,851,412、4,847,303、4,847,290、4,845,242、4,835,166、4,826,990、4,803,216、4,801,598、4,791,129、4,788,205、4,778,818、4,775,679、4,772,703、4,767,776、4,764,525、4,760,051、4,748,153、4,725,616、4,721,712、4,713,393、4,708,966、4,695,571、4,686,235、4,686,224、4,680,298、4,678,802、4,652,564、4,644,005、4,632,923、4,629,793、4,614,741、4,599,360、4,596,828、4,595,694、4,595,686、4,594,357、4,585,755、4,579,866、4,578,390、4,569,942、4,567,201、4,563,476、4,559,348、4,558,067、4,556,672、4,556,669、4,539,326、4,537,903、4,536,503、4,518,608、4,514,415、4,512,990、4,501,755、4,495,197、4,493,839、4,465,687、4,440,779、4,440,763、4,435,420、4,412,995、4,400,534、4,355,034、4,335,141、4,322,420、4,275,064、4,244,963、4,235,908、4,234,593、4,226,887、4,201,778、4,181,720、4,173,650、4,173,634、4,145,444、4,128,664、4,125,612、4,124,726、4,124,707、4,117,135、4,027,031、4,024,284、4,021,553、4,021,550、4,018,923、4,012,527、4,011,326、3,998,970、3,998,954、3,993,763、3,991,212、3,984,405、3,978,227、3,978,219、3,978,202、3,975,543、3,968,224、3,959,368、3,949,082、3,949,081、3,947,475、3,936,450、3,934,018、3,930,005、3,857,955、3,856,962、3,821,377、3,821,401、3,789,121、3,789,123、3,726,978、3,694,471、3,691,214、3,678,169、3,624,216;に開示されているもの;
【0034】
免疫抑制薬:米国特許番号4,450,159、4,450,159、5,905,085、5,883,119、5,880,280、5,877,184、5,874,594、5,843,452、5,817,672、5,817,661、5,817,660、5,801,193、5,776,974、5,763,478、5,739,169、5,723,466、5,719,176、5,696,156、5,695,753、5,693,648、5,693,645、5,691,346、5,686,469、5,686,424、5,679,705、5,679,640、5,670,504、5,665,774、5,665,772、5,648,376、5,639,455、5,633,277、5,624,930、5,622,970、5,605,903、5,604,229、5,574,041、5,565,560、5,550,233、5,545,734、5,540,931、5,532,248、5,527,820、5,516,797、5,514,688、5,512,687、5,506,233、5,506,228、5,494,895、5,484,788、5,470,857、5,464,615、5,432,183、5,431,896、5,385,918、5,349,061、5,344,925、5,330,993、5,308,837、5,290,783、5,290,772、5,284,877、5,284,840、5,273,979、5,262,533、5,260,300、5,252,732、5,250,678、5,247,076、5,244,896、5,238,689、5,219,884、5,208,241、5,208,228、5,202,332、5,192,773、5,189,042、5,169,851、5,162,334、5,151,413、5,149,701、5,147,877、5,143,918、5,138,051、5,093,338、5,091,389、5,068,323、5,068,247、5,064,835、5,061,728、5,055,290、4,981,792、4,810,692、4,410,696、4,346,096、4,342,769、4,317,825、4,256,766、4,180,588、4,000,275、3,759,921;に開示されているもの;
【0035】
イミノ糖:デオキシノジリマイシン又はN−プロピルデオキシノジリマイシン、N−ブチルデオキシノジリマイシン、N−ブチルデオキシガラクトノジリマイシン、N−ペントリデオキシノジリマイシン、N−ヘプチルデオキシノジリマイシン、N−ペンタノイルデオキシノジリマイシン、N−(5−アダマンタン−1−イルメトキシ)ペンチル)−デオキシノジリマイシン、N−(5−コレステロキシペンチル)−デオキシノジリマイシン、N−(4−アダマンタンメタニルカルボキシ−1−オキソ)−デオキシノジリマイシン、N−(4−アダマンタニルカルボキシ−1−オキソ)−デオキシノジリマイシン、N−(4−フェナントリルカルボキシ−1−オキソ)−デオキシノジリマイシン、N−(4−コレステリルカルボキシ−1−オキソ)−デオキシノジリマイシン、又はN−(4−β−コレスタニルカルボキシ−1−オキソ)−デオキシノジリマイシン;のようなデオキシノジリマイシン誘導体;
【0036】
セラミド類似体:D−トレオ−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピロリジノ−1−プロパノール(P4)又はD−トレオ−4’−ヒドロキシ−1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピロリジノ−1−プロパノール(4’−ヒドロキシ−P4)、D−トレオ−1−(3’,4’−トリメチレンジオキシ)フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピロリジノ−1−プロパノール(トリメチレンジオキシ−P4)、D−トレオ−1−(3’,4’−メチレンジオキシ)フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピロリジノ−1−プロパノール(メチレンジオキシ−P4)及びD−トレオ−1−(3’,4’−エチレンジオキシ)フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピロリジノ−1−プロパノール(エチレンジオキシ−P4又はD−t−et−P4);のようなP4誘導体;
【0037】
本発明の複合体の代替実施形態において、薬剤は、成長因子、サイトカイン、酵素、抗体、抗体断片及び同類のものなどのペプチド又はポリペプチド(タンパク質)を含む薬剤である。薬物部分を得ることができる対象の特定の(ポリ)ペプチド薬物及び化合物は、以下のものを含むが、それらに限定されない。
【0038】
血液及び造血系薬;抗貧血薬、血液凝固薬(止血薬、抗凝固薬、抗血栓薬、血栓溶解薬、血漿タンパク質及びそれらの断片)、ヘモグロビン;
【0039】
サイトカイン:Intron(登録商標)又はアルファ−インターフェロン;Proleukin(登録商標)IL−2又はアルデスロイキン、インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ(Avonex(登録商標)又はインターフェロンベータ1a;Betaseron(登録商標)/Betaferon(登録商標)又はインターフェロンベータ1b;Rebif(登録商標)又はインターフェロンベータ1a)、インターフェロン−ガンマ、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン6(IL−6)、TNF、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF):Leukine(登録商標)又はサルグラモスチン)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF:Neupogen(登録商標)又はフィルグラスチン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、血小板由来成長因子(PDGF);
【0040】
酵素:Cerezyme(登録商標)又はグルコセレブロシダーゼ;Aldurazyme(商標)又はラロニダーゼ;Aryplase(商標)又はアリールスルファターゼB;I2S又はイズロネート−2−スルファターゼ;アルファ−L−イズロニダーゼ;N−アセチルガラクトサミン4−スルファターゼ;フェニラーゼ;アスパルチルグルコサミニダーゼ;酸リパーゼ;システイントランスポーター;Lamp−2;アルファガラクトシダーゼA;酸セラミダーゼ;アルファ−L−フコシダーゼ;ss−ヘキソサミニダーゼA;GM2−アクチベータ欠乏;アルファ−D−マンノシダーゼ;ss−D−マンノシダーゼ;アリールスルファターゼA;サポシンB;ノイラミニダーゼ;アルファ−N−アセチルグルコサミニダーゼホスホトランスフェラーゼ;ホスホトランスフェラーゼ7−サブユニット;ヘパラン−N−スルファターゼ;a−N−アセチルグルコサミニダーゼ;アセチルCoA:N−アセチルトランスフェラーゼ;N−アセチルグルコサミン6−スルファターゼ;ガラクトース6−スルファターゼ;0−ガラクトシダーゼ;ヒアルロノグルコサミニダーゼ;マルチプルスルファターゼ;パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ;トリペプチジルペプチダーゼI;酸スフィンゴミエリナーゼ;コレステロールトラフィッキング;カテプシンK;アルファ−ガラクトシダーゼB;シアル酸トランスポーター;SOD又はCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ;ネプリリシン;
【0041】
(有機リン酸)解毒又は除去薬:ローダネーゼ、パラオキソナーゼ;ポスホトリエステラーゼ;ブチリルコリンエステラーゼ;有機リン酸アンヒドロラーゼ;或いはペンテチン酸又はジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のような非ポリペプチド除去薬;オキシム;
【0042】
脳作用性ホルモン及び神経伝達物質:ソマトスタチン、オキシトシン、バソプレッシン、グアラニン、VIP、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コレシストキニン(CCK)、サブスタンスP、ボムベシン、モチリン、グリセチン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、レプチン;
【0043】
神経ペプチド及びその誘導体:ペプチドYY(PYY)、神経ペプチドY(NPY)、膵ポリペプチド(PP)、ノイロキニンA、ノイロキニンB、エンドルフィン、エンケファリン、met−エンケファリン(Tyr−Gly−Gly−Phe−Met)、ダラルギン、ロペラミド、エンドモルフィン−1及び2、ノイロテンシン、ノイロメジンK、ノイロメジンL、カルシトニン関連ペプチド(CGRP)、エンドセリン、ANP(「心房性ナトリウム利尿ペプチド」)、BNP(「脳性ナトリウム利尿ペプチド」、CNP(「C型ナトリウム利尿ペプチド」)及びPACAP(「下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド」)、TAPP(H−Tyr−D−Ala−Phe−Phe−NH2)、センクチド(次の修飾を有する配列DFFGLM:Asp−1=スクシニル−Asp、Phe−3=Me−Phe、Met−6=C末端アミド);
【0044】
神経栄養因子:NGF又は神経成長因子;BDNF又は脳由来神経栄養因子;NT3又はノイロトロフィン−3;NT4又はノイロトロフィン−4;NT5又はノイロトロフィン−5;RDGF又は網膜由来成長因子;CNTF又は毛様体神経栄養因子;アクチビン;bFGF又は塩基性線維芽細胞増殖因子;aFGF又は酸性線維芽細胞増殖因子;GDNF又はグリア細胞系由来神経栄養因子又はノイロブラスチン又はアルテミン又はエノビン、プレセフィン、ノイルツリン;CTGF又は結合組織増殖因子;EGF又は表皮増殖因子;エリスロポエチン(EPO)(Procrit(登録商標)/Eprex(登録商標)又はエリスロポエチンアルファ;Epogen(登録商標)又はエリスロポエチン;NeoRecormon(登録商標)又はエリスロポエチンベータ;Aranesp(登録商標)又はダルベポエチンアルファ);成長ホルモン又はソマトトロピン(Humatrope(登録商標);Protropin(登録商標)/Nutropin(登録商標);Serostim(登録商標);Saizen(登録商標));抗NogoA Mab(IN−1);Nogo−A、B若しくはC拮抗薬、又はNogo66阻害薬(NEP1−40);Lingo−1;FGLペプチド(pGlu−Val−Tyr−Val−Val−Ala−Glu−Asn−Gln−Gln−Gly−Lys−Ser−Lys−Ala又はEVYVVAENQQGKSKA);NAP(Asn−Ala−Pro−Val−Ser−Ile−Pro−Gln、一文字アミノ酸コード、NAPVSIPQ);ADNF−9(Ser−Ala−Leu−Leu−Arg−Ser−Ile−Pro−Ala、SALLRSIPA);
【0045】
抗体:3F8、アバゴボマブ、アバタセプト(Orencia)、アブシキマブ(ReoPro)、ACZ885(カナキヌマブ)、アダリムマブ(フイミラ)、アデカツムマブ、アフリベルセプト、アフツズマブ、アラシズマブペゴール、アレムツズマブ(カンパス)、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトクス、アンルキンズマブ(IMA−638)、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、バピノイズマブ、バシリキシマブ(シムレクト)、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LymphoScan)、ベラタセプト、ベリムマブ(LymphoStat−B)、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ(アバスチン)、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツズマブメルタンシン、ブリナツモマブ、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カプロマブペンデチド(プロスタシント)、カツマキソマブ(レモバブ)、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール(シムジア)、セツキシマブ(エルビタックス)、シタツズマブボガトックス、シクスツムマブ、クラレツズマブテトラキセタン、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン、CNTO148(ゴリムマブ)、CNTO1275(ウステキヌマブ)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ又はダクリズマブ(ゼナパックス)、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ドリマキンズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ(ソリリス)、エドバコマブ、エドレコロマブ(パノレックス)、エファリズマブ(ラプチバ)、エフングマブ(ミコグラブ)、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(レキソムン)、エタネルセプト(エンブレル)、エタラシズマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ(NeutroSpec)、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フィギツマブ、ホントリズマブ(HuZAF)、ホラビルマブ、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)、ギナキンズマブ、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン(ゼバリン)、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ(レミカーデ)、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、イズツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マスリモマブ、マツズマブ、メポリズマブ(ボサトリア)、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ(ヌマックス)、ムロモナブ、MYO−029(スタムルマブ)、ナコロマブタフェナトクス、ナプツモマブエスタフェナトクス、ナタリズマブ(タイサブリ)、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(BIOMAbEGFR)、ノフェツモマブメルペンタン(ベルルマ)、オクレリズマブ、オヅリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ(キソライル)、オレゴボマブ(OvaRex)、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ(シナギス)、パムツマブテトラキセタン、パニツムマブ(ベクチビックス)、パスコリズマブ、ペムツモマブ(テラギン)、ペルツズマブ(オムニタルグ)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、PRO140、ラフィビルマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ(ルセンチス)、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロナセプト(アルカリスト)、リンタリズマブ、リツキシマブ(MabThera、リツキサン)、ロバツムマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、ストラネズマブ、スレソマブ(LeukoScan)、テカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タネズマブ、タプリツモマブパプトクス、テフィバズマブ(アウレキス)、テリモマブアリトクス、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、TGN1412、チシリムマブ(トレメリムマブ)、チガツズマブ、TNX−355(イバリズマブ)、TNX−650、TNX−901(タリズマブ)、トシリズマブ(アクテムラ)、トラリズマブ、トシツモマブ(ベキサール)、トラスツズマブ(ヘルセプチン)、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バパリキシマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビマキンズマブ、ビシリズマブ(ヌビオン)、ボロシキシマブ、ボンタキンズマブ、ボツムマブ(HumaSPECT)、ザルツムマブ、ザノリムマブ(Humax−CD4)、ジラリムマブ、ゾリモマブアリトクス又はそれらの機能的(エピトープ結合)断片;
【0046】
本発明の複合体の代替実施形態において、薬剤は、オリゴ又はポリヌクレオチドを含む薬剤である。オリゴ又はポリヌクレオチドを含む薬剤は、DNAワクチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、触媒性DNA(DNAザイム)又はRNA分子、siRNA又はそれをコードする発現構築物のいずれか1つであってよい。DNAワクチンは、本明細書ではDNAワクチンワクチン接種すべき宿主生物体の細胞への核酸構築物の導入後に抗原を発現することができる、特異的抗原をコードする配列を含む核酸構築物を意味する。
【0047】
上のすべての開示は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0048】
リガンド
本発明の複合体における第2の実体は、グルタチオントランスポーターのリガンドである。好ましくはグルタチオントランスポーターは、トランスポーターを発現する標的細胞内への、且つ/又はそれを介する、リガンド及びリガンドを含む複合体の特異的結合、エンドサイトーシス及びトランスサイトーシスの少なくとも1つを媒介する。トランスポーター又は受容体媒介性送達は、近年開発された1つの可能なターゲティング型薬物送達技術である。それは、薬物又は薬物担体と結合するリガンドの受容体/トランスポーターを発現する標的細胞への送達の高い特異性という潜在的利点を有する。細胞及び組織への、低分子量並びにポリペプチド及び核酸ベースの治療又は診断用薬、並びにこれらの薬剤を含むナノコンテナーの特異的ターゲティングは、トランスポーター/受容体媒介性送達を用いることにより著しく増大させることができる。
【0049】
一実施形態において、本発明の複合体におけるリガンドは、例えば、血液精巣関門並びに例えば、血液脳関門、血液脳脊髄液(CSF)関門、軟膜血管CSF関門、上衣及びグリア制限、血液網膜関門、血液神経関門及び血液脊髄関門などの血液CNS関門を含む血液組織関門の内皮細胞上で発現するグルタチオントランスポーターのリガンドである。好ましいリガンドは、血液脳関門の内皮細胞及び/又は脳実質細胞(ニューロン及びグリア)上で発現するグルタチオントランスポーターのリガンドである。そのようなリガンドを用いることにより、脳疾患の治療用の中枢神経系(CNS)へのそのようなターゲティング薬剤の特異的送達又は送達の特異的増大が可能となる。薬物の薬物動態及び生体内分布特性を著しく改善するために、受容体媒介性ターゲティングは、非特異的薬物送達システム(タンパク質複合体、PEG化、ナノ粒子、リポソームなどのような)とさらに組み合わせることができ、これにより、例えば、CNS、血液脳関門(BBB)、網膜及び精巣のような特定の血液組織関門により保護されているものを含む受容体発現細胞、組織及び器官に薬物が特異的にかなりの程度に再誘導される。
【0050】
したがって、好ましい実施形態において、本発明の複合体に組み込むべきリガンドは、標的細胞上の内因性グルタチオントランスポーターのリガンドである。リガンドは、好ましくは脊椎動物標的細胞のグルタチオントランスポーター、より好ましくは哺乳動物標的細胞のグルタチオントランスポーター、最も好ましくはヒト標的細胞のグルタチオントランスポーターのリガンドである。リガンドは、好ましくはグルタチオントランスポーターに特異的に結合するリガンドである。より好ましくは、リガンドは、Kannanら(2000年、Brain Res.、852巻(2号)、374〜82頁)により記載されたヒト脳血管内皮細胞に存在するNa依存性GSHトランスポーターに特異的に結合する。トランスポーターへのリガンドの特異的結合は、好ましくは本明細書で上で定義した通りである。他の実施形態において、リガンドは、Gaillardら(2001年、Eur J Pharm Sci、12巻(3号)、215〜222頁)により記載されたBBBの細胞培養モデル(初代単離ウシ脳毛細血管内皮細胞(BCEC)を用いた)又は例えば、標的細胞としてのRBE4細胞若しくはMDCK細胞を用いた同様なモデルによりアッセイすることができる、標的細胞内に、且つ/又はそれを介してエンドサイトーシスされ、且つ/又はトランスサイトーシスされるリガンドである。標的細胞内に、且つ/又はそれを介してエンドサイトーシスされ、且つ/又はトランスサイトーシスされるリガンドは、本明細書では、標的細胞へのリガンドの添加後15、30若しくは60分又は1、2、4、8若しくは18時間若しくはそれ以内に測定したとき、a)GSHトランスポーターの発現を欠く細胞;b)過剰な遊離GSHで前処理した細胞;及びc)GSH部分を欠く参照化合物から選択される対照条件と比較して少なくとも5、10、20又は50%高い速度でBCEC又はMDCK標的細胞内に、又はそれを介してエンドサイトーシス又はトランスサイトーシスされるリガンドである。或いは、GSHトランスポーター標的リガンドのエンドサイトーシス及び/又はトランスサイトーシスは、それに結合した例えば近赤外色素又は放射性標識を用いたin vivoバイオイメージング技術によりアッセイすることができ、適切な対象条件と比較して(例えば、GSH部分を欠く参照化合物との比較)所定の時点にリガンドのCNS領域における少なくとも10、20又は50%高い滞留をもたらす(対象領域(ROI)ピクセル定量化に基づく)。
【0051】
本発明により用いるグルタチオントランスポーターに結合する好ましいリガンドは、例えば、グルタチオン(GSH又はガンマ−グルタミルシステイニルグリシン)、S−(p−ブロモベンジル)グルタチオン、ガンマ−(L−ガンマ−アザグルタミル)−S−(p−ブロモベンジル)−L−システイニルグリシン、S−ブチルグルタチオン、S−デシルグルタチオン、還元型グルタチオンエチルエステル、グルタチオンスルホン酸、S−ヘキシルグルタチオン、S−ラクトイルグルタチオン、S−メチルグルタチオン、S−(4−ニトロベンジル)グルタチオン、S−オクチルグルタチオン、S−プロピルグルタチオン、n−ブタノイルガンマ−グルタミルシステイニルグリシン(略語GSH−C4によっても公知である)又はそのエタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル若しくはドデカノイル誘導体(それぞれ略語GSH−C2、GSH−C6、GSH−C8及びGSH−C12によっても公知である)、GSHモノイソプロピルエステル(N−(N−L−グルタミル−L−システイニル)グリシン1−イソプロピルエステル硫酸一水和物又はYM737としても公知である)及び米国特許第6,747,009号の以下の式I
【化1】


[式中、Z=CH及びY=CH又はZ=O及びY=Cであり、
及びRは、独立にH、直鎖又は分枝アルキル(1〜25C)、アラルキル(6〜26C)、シクロアルキル(6〜25C)、複素環(6〜20C)、エーテル又はポリエーテル(3〜25C)からなる群から選択され、R−Rは、一緒に2〜20個のC原子を有し、式Iの残りとマクロ環を形成し、
は、H及びCHからなる群から選択され、
は、6〜8Cアルキル、ベンジル、ナフチル及び治療上活性な化合物からなる群から選択され、
は、H、フェニル、CH及びCHフェニル又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される]を含む。
【0052】
好ましい実施形態において、上の式におけるRは、Hである。さらなる好ましい実施形態において、上の式におけるRは、ベンジルである。さらなる好ましい実施形態において、上の式におけるRは、フェニルである。
【0053】
本発明の1つの好ましい実施形態において、リガンドは、N末端アミノ酸残基、すなわち、グルタミン酸残基のアミン基を介して結合又は合成される。
【0054】
本発明の他の実施形態において、リガンドは、C末端アミノ酸残基、すなわち、グリシン残基のカルボキシル基を介して結合又は合成される。
【0055】
本発明の他の実施形態において、リガンドは、システイン部分のチオール(SH)基を介して結合又は合成される。
【0056】
ナノコンテナー
本発明の複合体におけるリガンドは、薬剤に直接結合させることができ、又は別法としては、リガンドを、薬剤を含む薬学的に許容されるナノコンテナーに結合させることができる。そのような複合体において、薬剤は、例えば、ナノ粒子、リポソーム又はナノゲルなどのナノコンテナー内に封入することができ、それにより、リガンドがナノコンテナーに連結した状態で結合されていることが好ましい。ナノコンテナーへのそのような結合は、直接的又はスフィンゴミエリン、ポリエチレングリコール(PEG)若しくは他の有機ポリマーなどの周知のポリマー結合剤のいずれかを介するものであってよい。ターゲティング型(PEG)リポソームを含むそのような医薬組成物の製造の詳細は、米国特許第6,372,250号に記載されている。したがって、好ましい実施形態において、本発明による複合体は、薬学的に許容される担体が、担体タンパク質、ナノコンテナー、リポソーム、ポリプレックスシステム、リポプレックスシステム及びポリエチレングリコールの少なくとも1つを含む複合体である。
【0057】
薬剤がポリ若しくはオリゴヌクレオチドを含む本発明の複合体において、薬学的に許容される担体は、好ましくは、陽イオン脂質若しくは両性脂質(WO2002/066012に詳述されている)の少なくとも1つを含むリポプレックスシステム、又はポリ−L−リシン、ポリ−L−オルニチン、ポリエチレンイミン及びポリアミドアミンの少なくとも1つを含むポリプレックスシステムである。リポプレックスシステム(DNAを含む陽イオンリポソーム)及びポリプレックスシステム(陽イオンポリマーに結合したDNA)を含む、核酸ベースの抗ウイルス薬(DNAワクチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、触媒性DNA(DNAザイム)又はRNA分子、siRNA又はそれをコードするプラスミド)の細胞内送達のための2つの主要な種類の非ウイルス性送達システムが存在する。本発明の好ましい実施形態において、薬学的に許容される担体は、リポプレックスシステム又はポリプレックスシステムである。さらに、薬学的に許容される担体は、さらに好ましくはタンパク質複合体、ポリエチレングリコール(PEG化)、ナノ粒子又はリポソームを含んでいてよい。ポリプレックスシステムは、ポリ−L−リシン(PLL)、ポリ−L−オルニチン(POL)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアミドアミン(PAM)又はDNAとそれらの組合せなどの陽イオンポリマーを含む。ポリカチオン性システムは、主として吸着性又は液相エンドサイトーシスにより細胞に侵入する。PEIを含む、陽イオンポリマーは、DNAを凝縮させ、膜電位を不安定にする能力を有する。さらに、PEIポリプレックスシステムによるプラスミド送達は、複合体の物理的、化学的及び生物学的特性を制御することによって達成できることが示されている。しかし、トランスフェクション効率及び遺伝子発現は、ウイルス導入システムと比較して限られている。PEIシステムは、膜を乱す可能性があるので、ポリマーの分子量及び核濃縮と相関する毒性ももたらし得る。この点において、直鎖PEI(22kDa)は分枝PEI(25kDa)より毒性が高く、N/P割当量(ration)(DNAの量に関連するポリマー中の窒素の量)によって表されるポリプレックスシステムに用いられるPEIの量にも関連することが示された。直鎖PEIポリプレックスシステムが示した他の状態は、細胞生存能の改善及びより高いトランスフェクション効率であった。最近、直鎖PEIより良好なトランスフェクション特性及び低い毒性を有する様々な生分解性PEI誘導体が合成された。全般的に、PEI及びおそらくポリカチオンシステムの有効性は、一般的に分子量、全陽電荷及び分枝の程度に依存する。DNAに結合させるとき、DNAの量、粒子径及びゼータ電位のような他の因子が重要な特徴である。さらに、正に荷電したポリカチオンシステムは、静脈内投与したとき、負に荷電した血漿タンパク質と容易に相互作用し、網内皮系(RES)により除去されるべきそれらを標的とする血中タンパク質への結合の後にオプソニン作用が起こる。特に、凝集体の形成は、血漿コンパートメントからの迅速なクリアランス及び標的組織/器官の不十分なトランスフェクションをもたらす食細胞による取込み及び毛細血管ネットワーク(静脈内投与後に主として肺)による捕捉につながる。しかし、PEG化は、これを劇的に減少させ得る。さらに、ターゲティング/インターナリゼーションリガンドの適用により、大きいN/P比及びしたがって高い全陽電荷を有するポリプレックスシステムを適用する必要が回避され、したがって、陽イオンポリマーに関連する多くの問題(毒性、血液成分への結合など)が低減する。裸のリポプレックスシステムも血清成分によるオプソニン作用を容易に受け、例えば、網内皮系(RES)などのポリプレックスシステムと同様なメカニズムにより除去される。さらに、先天性免疫応答を妨げる、リポプレックスシステムの非メチル化CpGsはマスクされているが、それらが全身循環に入ると、リポプレックスシステムは、ポリプレックスシステムと同様に、血中タンパク質(C3、IgG、リポタンパク質及びフィブロネクチン)によるオプソニン作用を受け、肺及び肝臓における炎症反応(TNF−アルファ、IL−6及びIL−12により媒介される)がもたらされる。さらに、複合体活性化並びにT、B、NK細胞及びマクロファージの活性化が認められ、リポプレックスの注射量と関連づけられた。非メチル化CpGsの数を減少させることは別として、そのような相互作用は、これらのシステムのPEG化により、又は免疫抑制薬(例えば、デキサメタゾン)を用いることにより制限することができる。さらに、これらのシステムの動力学は、それらの全身クリアランスを減少させ、ターゲティング効率を増加させる(選択的/特異的ターゲティングリガンドの適用により)PEG化により著しく改善された。さらに、リポプレックスシステムのサイズを減少させることは、それらの組織分布及び細胞取込みにおける重要な因子であると思われ、それらのトランスフェクション効率を増加させる。一般的に、リポプレックス及びポリプレックスシステムの組織分布及び発現の持続性は、非経口投与後の小分子薬物と同様に、薬物動態(クリアランス、分布容積)、製剤(サイズ、電荷、PEG化等)及び投与方法(高容量ボーラス、連続注射、持続注入)にも主として依存する。投与方法に関して、リポプレックス及びプラスミドDNAの連続注射がより高い発現をもたらすだけでなく、サイトカイン誘導も最小限にすることを注目することは興味深い。さらに、標的組織/器官への送達は、血流及び組織/器官取込み又は透過性並びに標的及び非標的組織/器官のクリアランスのバランスに依存する。したがって、器官及び組織への送達/ターゲティングを最適化するために、薬物動態パラメーターに基づく適切な投与方法をデザインすべきである。さらに、これは、細胞内薬物動態に対して調和させるべきである。細胞取込み後のリポプレックス及びポリプレックスシステムの細胞内薬物動態(分布、消失)は、重要な問題である。受容体媒介性取込みは別として、特に非ターゲティング型PEIシステムのインターナリゼーション(クラスリン又は小胞依存性経路を介する)は、細胞系及びPEIポリプレックス型(直鎖PEI対分枝PEI)に依存すると思われる。しばしば、それらのシステムは、最後には後期エンドソームに到達するので、細胞質に侵入し、最終的に核に到達するためにこれらのオルガネラから逃げる必要がある。ポリプレックスのような陽イオンシステムは、pHを緩衝し、いわゆる「プロトンスポンジ媒介性脱出」理論によるこれらのオルガネラの浸透圧膨張を引き起こすので、エンドソーム/リソソームから逃れることができる。それにもかかわらず、インターナリゼーションを受けたシステムの小部分は細胞質内に逃れ、大部分はエンドソーム/リソソームに留まり、分解されると思われる。しかし、これらのシステムへの融合誘導脂質又は陽イオンペプチド(メリチン)の組込みがそれらのエンドソーム脱出を増加させ得ることが示された。細胞質ゾルに入ったとき、線状プラスミドはヌクレアーゼにより容易に分解することができるが、環状プラスミドははるかにより安定である。環状(デスオキシ)核酸分子は、したがって好ましい。特にカルシウム感受性ヌクレアーゼがこの分解に関与していると思われる。最終的に、プラスミドは、核膜を経る水性チャンネルを形成する核孔複合体(NPC)を介して核内に輸送されなければならず、プラスミドの約0.1%が細胞質ゾルから核に入ることができると推定された。40kDaより小さい分子は、NPCを受動的に通過することができるが、より大きい分子(>60kDa)は、25〜50MDaまでの分子の輸送を可能にするNPCを経て能動的に輸送されるために特定の核局在化シグナル(NLS)を必要とする。実際、プラスミドへのNLSの結合により、プラスミドDNAの核蓄積及び発現が増大することが示された。したがって、好ましくは、NLSは、本発明の複合体に用いる発現構築体に結合させる。
【0058】
リガンドと薬剤又は担体との結合の多様な方法が当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、Hermanson(1996年、Bioconjugate Techniques、Academic Press)により記載され、また米国特許第6,180,084号及び米国特許第6,264,914号に記載されており、例えば、応用免疫学で通常用いられるようにハプテンを担体タンパク質に連結するのに用いる方法を含む(Harlow及びLane、1988年、「Antibodies:A laboratory manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY参照)。場合によって、リガンド又は薬剤は、例えば、それに用いられる結合方法又は化学基によって結合後に有効性又は機能性を失う可能性があることが認識されている。しかし、結合の多様な方法を考慮すると、当業者は、結合させる実体の有効性又は機能性に影響を及ぼさない又は及ぼすことが最も少ない結合方法を見いだすことができる。リガンドと薬剤又は担体との結合の適切な方法は、例えば、カルボジイミド結合(Bauminger及びWilchek、1980年、Meth.Enzymol.、70巻、151〜159頁)などである。或いは、薬剤又は担体は、それぞれが参照として本明細書に組み込まれる、Nagyら、Proc.Natl.Acad.USA、93巻、7269〜7273頁(1996年)及びNagyら、Proc.Natl.Acad.USA、95巻、1794〜1799頁(1998年)により記載されているように、リガンドに結合させることができる。用いるのに適切である可能性がある他の結合の方法は、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム酸化と続く適切な反応物の還元的アルキル化及びグルタルアルデヒド架橋である。特に有利な結合の方法は、リガンド並びに薬剤又は担体が(ポリ)ペプチドである場合に適用することができる。そのような例において、2つの実体をリガンド及びペプチド薬剤又は担体のアミノ酸配列を含む単一(ポリ)ペプチド鎖として合成することができる。共有結合に加えて、本発明による複合体において、薬剤又は担体は、非特異的若しくは特異的タンパク質間相互作用、非共有結合及び/又は配位化学結合によりリガンド分子に直接結合させることもでき、結合は、薬剤及びリガンドに結合するスペーサー又はリンカーを介して場合によって達成することができる。
【0059】
他の態様において、本発明は、CNS障害の治療及び/又は予防に用いる上で定義した本発明の複合体に関する。本発明によれば、本発明の複合体は、CNS障害の治療及び/又は予防用の医薬品の製造に用いる。同様に、本発明は、本発明の複合体の有効量をそれを必要とする対象に投与する、CNS障害の治療及び/又は予防の方法に関する。CNS障害の治療又は予防を必要とする対象は、脊椎動物、哺乳動物又は好ましくはヒトであってよい。
【0060】
CNS疾患及び関連障害
以下のパラグラフに、本発明の様々な実施形態において、GSHトランスポーターターゲティング型活性薬を含む本発明の複合体により治療し、且つ/又は予防することができるCNSの様々な病変、及び随伴状態又は関連障害の記述を示す。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、CNS病変は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、多発性硬化症(MS)、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脳血管障害(CVA:虚血性発作、脳内出血(ICH)又はくも膜下出血(SAH))、血管関連認知症、脳外傷(外傷性脳損傷)、脊髄損傷、アルコール中毒、プリオン病:クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、ウシ海綿状脳症(BSE)などの神経変性障害の1つである。
【0062】
本発明の一実施形態において、アルツハイマー病は、コリンエステラーゼ阻害薬に基づく以下のターゲティング型薬物又は化合物の1つにより治療する:エキセロン(リバスチグミン)、ラザダインER(ガランタミン)、デビオ9902SR、NGX267;NMDA拮抗薬:ナメンダ/アクスラ/エビキサ(メマンチン)、ジメボン(ジメボリン)、NP−0361;アルファ−7ニコチンアセチルコリン作動薬:ABT−089、AZD−0328、R−4996/MEM−63908、EVP−6124;受動免疫療法:ガンマガード(IVIG)、バピネイズマブ(AAB−001)、LY2062430、PF−4360365(RN1219)、AAB−002、ACU−5A5、R−1450、ACI−01−Ab7、BAN−2401;ガンマ−セクレターゼ阻害薬/ガンマ−セクレターゼ調節薬:フルリザン(タレンフルルビル;R−フルルビプロフェン)、LY−450139、GSI−953、MK−0752;ベータ−セクレターゼ阻害薬:CTS−21166;抗TNF:エンブレル(エタネルセプト)、セルトリズマブペゴール(CDP870、商品名シムジア)、レミケード(インフリキシマブ)又はフミラ(アダリムマブ);インスリン関連:アバンジア(ロシグリタゾン)、TTP−488(RAGE阻害薬)、NGX−96992、インスリン分解酵素、ケタシン(AC−1202)、SRT−501;タウ/GSK3阻害薬:NP031112、ジメボン;凝固カスケード:PAI−1拮抗薬;金属キレート化剤:PBT2;スタチン:リピター(アトルバスタチン)、ゾコル(シンバスタチン);ホルモン:エビスタ(ラロキシフェン);5−HT/GABA:レコゾタン/レコゾタンSR、PRX−03140、MK−0249、742457(SB−742457);他の抗アミドイド:ELND005(シロ−イノシトール;AZD−103)、クルクミン、カプロスピノール(SP−233);ベータシートブレーカーペプチド(Leu−Pro−Phe−Phe−Asp又はLPFFP、米国特許第5,948,763号及び第6,462,171号に記載されているAc−LPFFP−NH2、或いはJuhaszら、2009年、J.Alzheimers Dis.、16巻、189〜196頁に記載されているLeu−Pro−Tyr−Phe−Asp−アミド又はLPYFDa);或いはBACE1阻害薬:抗BACE1抗体又はその断片又はネプリリシン。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、CNS病変は、敗血症性ショック、脳転移、肝性脳症、(糖尿病性)高血圧、糖尿病性(微小)血管障害、眠り病、ホウィップル病、デュシェーヌ型筋ジストロフィー(DMD)、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル貯蔵病、ウォルマン病、シスチン症、ダノン病、ファーブリ病、ファーバー脂肪肉芽腫症、ファーバー病、フコース蓄積症、ガラクトシアリドーシスI/II型、ゴーシェ病I/II/III型、ゴーシェ病、球様細胞白質ジストロフィー、クラッベ病、グリコーゲン貯蔵病II、ポンペ病、GM1−ガングリオシド蓄積症I/II/III型、GM2−ガングリオシド蓄積症I型、テイサックス病、GM2−ガングリオシド蓄積症II型、サンドホフ病、GM2−ガングリオシド蓄積症、アルファ−マンノース症I/II型、マンノース症、異染性白質ジストロフィー、ムコリピド症I型、シアリドーシスI/II型、ムコリピド症II/III型、1−細胞病、ムコリピド症IIIC型、偽ハーラー多発性シストロフィー、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症II型、ハンター症候群、ムコ多糖症IIIA型、サンフィリポ症候群、ムコ多糖症IIIB型、ムコ多糖症IIIC型、ムコ多糖症IIID型、ムコ多糖症IVA型、モルキオ症候群、ムコ多糖症IVB型モルキオ症候群、ムコ多糖症VI型、ムコ多糖症VII型、スライ症候群、ムコ多糖症IX型、多種スルファターゼ欠損症、ニューロンセロイド脂褐素症、CLN1バッテン病、ニーマン−ピック病A/B型、ニーマン−ピック病、ニーマン−ピック病C1型、ニーマン−ピック病C2型、濃縮性骨異形成症、シンドラー病VII型、シンドラー病、シアル酸貯蔵病及び子癇(前)症などのCNS構成要素を含む末梢障害の1つである。
【0064】
本発明の他の実施形態において、リソソーム貯蔵病(LSD)は、ベータ−グルコセレブロシダーゼ(例えば、イミグルセラーゼ(Genzymeにより市販されているCerezyme)若しくはベラルグルセラーゼ(Shireにより開発中)、遺伝子活性化ベータ−グルコセレブロシダーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いたゴーシェ病(グルコセレブロシドの貯蔵)のようなリソソーム貯蔵病におけるグルコセレブロシド、スフィンゴミエリン、セラミド、GM1−ガングリオシド、GM2−ガングリオシド、グロボシド、ガラクトシルセラミド、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、ケラタン硫酸、スルファチド、ムコ多糖、シアリロリゴサッカリド、糖タンパク質、シアリロリゴサッカリド、糖脂質、グロボトリアアオシルデラミド、O結合型糖ペプチド、グリコーゲン、遊離シアル酸、フコ糖脂質、フコシロリゴサッカリド、マンノシロリゴサッカリド、アスパルチルグルコサミン、コレステリルエステル、トリグリセリド及びセロイドリポフシン色素のようなリソソーム貯蔵物質の減少をもたらす薬物及び化合物に基づく以下のターゲティング型薬物又は化合物の1つにより、或いはイミノ糖(例えば、ミグルスタット(Actelionにより市販されているZavesca)=N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJ)、N−ブチルガラクトシルデオキシノジリマイシン(NB−DGJ)、N−(5−アダマンタン−1−イルメトキシペンチル)−デオキシノジリマイシン(AMP−DNJ)、N−(5−アダマンタン−1−イルメチキシペンチル)デオキシノジリマイシン(AMP−DNM)によるグルコシルセラミドシンターゼの基質阻害により、或いはグルコシルセラミド類似体(例えば、Genz112638:d−トレオエチレンジオキシフェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピリリジノプロパノール)により、或いは(例えば、アルファ−ガラクトシダーゼA(例えば、アルガルシダーゼアルファ(Shireにより市販されているRelagal)、アルガルシダーゼベータ(Genzymeにより市販されているFabrazyme))によるターゲティング型酵素置換療法を用いたシャペロン療法(例えば、酒石酸イソファゴミン、AT2101(Amicus TherapeuticsによりPlicera(商標)として市販される、化学名:(3R,4R,5R)−3,4−ジヒドキシ−5−ヒドロキシメチルピペリジン);ファブリ(グロボトリアオシルセラミドの貯蔵))により、或いはイミノ糖(例えば、ミグルスタット(Actelionにより市販されているZavesca)=N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJ)、N−ブチルガラクトシルデオキシノジリマイシン(NB−DGJ)、N−(5−アダマンタン−1−イルメトキシペンチル)(AMP−DNJ)、AMP−DNM又はMacrozyme製のMZ−21及びMZ−31)によるグリコシルセラミドシンターゼの基質阻害により、或いはグルコシルセラミド類似体(例えば、Genz112638:d−トレオエチレンジオキシフェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピリリジノプロパノール)により、或いはシャペロン療法(AT1001、ミガラスタット塩酸塩(化学名3,4,5−ピペリジネトリオ1,2−(ヒドロキシメチル)塩酸塩、(2R,3S,4R,5S)−、(+)−(2R,3S,4R,5S)−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−3,4,5−トリオール塩酸塩、1,5−ジデオキシ−1,5−イミノ−D−ガラクチトール塩酸塩を有するAmicus TherpeutucsによりAmigal(商標)として市販される)により治療し;アルファ−L−イズロニダーゼ(例えば、ラロニダーゼ(Genzyme/Biomarinにより市販されているAldurazyme)によるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSI(Hurler−Scheie、デルマンタン硫酸、ヘパラン硫酸の貯蔵);イズロネート−2−スルファターゼ(例えば、イズスルファーゼ(Shireにより市販されているElaprase)によるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSII;ヘパランスルファミダーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いたMPSIIIA(Sanfilippo A、ヘパラン硫酸の貯蔵);アルファ−N−アセチルグルコサミニダーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSIIIB(Sanfilippo B、ヘパラン硫酸の貯蔵);アルファ−グルコサミニドN−アセチルトランスフェラーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSIIIC(Sanfilippo C、ヘパラン硫酸の貯蔵);N−アセチルグルコサミン−6−硫酸スルファターゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSIIID(Sanfilippo D、ヘパラン硫酸の貯蔵);N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSIV(Morquio、ケラタン硫酸の貯蔵);アリールスルファターゼB(例えば、ガルスルファゼ(Biomarinにより市販されているNaglazyme)によるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSVI(Maroteaux−Lamy、グリコサミノグリカン(GAGの貯蔵));ベータ−グルクロニダーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてMPSVII(Sly、デルマンタン硫酸、ヘパラン硫酸の貯蔵);ガラクトセレブロイシダーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてクレッブ(ガラクトシルセラミドの貯蔵);酸スフィンゴミエリナーゼ(Genzymeにより開発中)によるターゲティング型酵素置換療法を用いてニーマン−ピックA及びB(スフィンゴミエリンの貯蔵);ミグルスタット(Actelionにより市販されているZavesca)=N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJ)又はシクロデキストリンによるグルコシルセラミドシンターゼのターゲティング型基質阻害を用いてニーマン−ピックC((スフィンゴミエリンの貯蔵);アリールスルファターゼAによるターゲティング型酵素置換療法を用いて異染性白質ジストロフィー(スルファチドの貯蔵);UDP−N−アセチルグルコサミン又はリソソーム酵素N−アセチルグルコサミン−1−ホスホトランスフェラーゼ(GNPT)によるターゲティング型酵素置換療法を用いてムコ脂質症II/III(シアリロリゴサッカリド、糖タンパク質、糖脂質の貯蔵);ベータ−ガラクトシダーゼによるターゲティング型酵素置換療法を用いてGM1ガングリオシド蓄積症(GM1ガングリオシドの貯蔵);ベータ−ヘキソサミニダーゼAによるターゲティング型酵素置換療法、又はイミノ糖(例えば、ミグルスタット(Actelionにより市販されているZavesca)=N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJ)を用いたグルコシルセラミドシンターゼの基質阻害を用いてサンドホフ病(GM2ガングリオシドの貯蔵を伴うGM2ガングリオシド蓄積症);アルファ−ヘキソサミニダーゼAによるターゲティング型酵素置換療法、又はイミノ糖(例えば、ミグルスタット(Actelionにより市販されているZavesca)=N−ブチルデオキシノジリマイシン(NB−DNJ)を用いたグルコシルセラミドシンターゼの基質阻害を用いてテイサックス病(GM2ガングリオシド)を治療する。
【0065】
本発明の他の好ましい実施形態において、CNS病変は、うつ病(例えば、フルドロコルチゾン、デオキシコルチコステロン又はアルドステロンのような脳標的リポソーム鉱質コルチコイド受容体作動薬を用いることにより緩和し、それにより末梢心血管副作用を低減する)、自閉症、不安、注意欠陥多動性障害(ADHD)、依存症及び他の物質関連障害、神経精神性全身紅斑性狼瘡、双極性障害、摂食障害、統合失調症並びに他の精神病などの神経精神疾患;又は原発性脳腫瘍、てんかん/発作、片頭痛及び他の頭痛(群発、血管性、緊張性)、ナルコレプシー、不眠(及び他の睡眠障害)、慢性疲労症候群、高山病、肥満症、細菌性及びウイルス性脳炎、細菌性及びウイルス性髄膜炎、AIDS関連認知症などの他のCNS障害;又は血管腫瘍、増殖性硝子体網膜症、慢性関節リウマチ、クローン病、アテローム動脈硬化症、卵巣過刺激、乾癬、新血管形成を伴う子宮内膜症、バルーン血管形成術の後の再狭窄、瘢痕組織過剰生成、末梢血管疾患、高血圧、炎症性血管炎(vasculitides)、レイナウド病、レイナウド現象、動脈瘤、動脈再狭窄、血栓性静脈炎、リンパ管炎、リンパ水腫、創傷治癒及び組織修復、虚血性再灌流傷害、狭心症、心筋梗塞、慢性心臓状態、うっ血性心不全などの心不全、加齢性黄斑変性及び骨粗鬆症などの血管新生関連障害の1つである。
【0066】
血液組織関門への且つ/又はそれを越えるターゲティング
本発明の他の態様において、例えば、CNS、血液脳関門(BBB)、網膜及び精巣のような特定の血液組織関門により保護されている標的部位への有効量の薬剤又は薬剤を含む薬学的に許容される担体のターゲティング型薬物送達の方法を提供し、a)薬剤又は薬学的に許容される担体が、標的部位のインターナライジングGSH取込み受容体への特異的結合及びそれによるインターナリゼーションを促進するリガンドに結合しており、それによって上記で定義した複合体を形成し、b)薬剤が、必要とする人への投与後約1日目〜約5日目の期間内に標的部位に送達される。好ましい実施形態において、該方法における血液組織関門、例えば、血液脳関門は、血液組織関門を崩壊させる薬剤の投与により崩壊させられない。他の好ましい実施形態において、期間は、約1日目〜約7日目、より好ましくは約1日目〜約10日目、より好ましくは約1日目〜約14日目、最も好ましくは約1日目〜約21日目の期間である。
【0067】
以下のパラグラフは、受容体媒介性トランスサイトーシスによる例えば、CNS、血液脳関門(BBB)、網膜及び精巣のような特定の血液組織関門により保護されている標的部位への能動的ターゲティングに関する本発明の様々な実施形態に関する。本発明の好ましい実施形態において、エンドサイトーシス及びトランスサイトーシスの少なくとも1つを媒介するGSHトランスポーターは、脳内の毛細血管(の腔側)に位置する。一般的に、理論に束縛されることを望むものではないが、受容体媒介性トランスサイトーシスは、次の3段階で起こる:腔(血液)側での薬剤の受容体媒介性エンドサイトーシス、内皮細胞質中の移動、及び脳毛細血管内皮の腔外(脳)側での薬物のエキソサイトーシス。受容体−リガンドインターナリゼーション時に、直径が約120nmであるクラスリン被覆小胞が形成される。これらの小胞は、それらの内容物を細胞の他の側に輸送するか、又はタンパク質の分解につながる経路に入る。実際、リソソーム及びユビキチン−プロテアソーム経路を含む、タンパク質を分解する少なくとも2つの重要な経路が同定された。したがって、エンドソームリソソームシステムから逃れるために、細胞質ゾル内への薬物の放出を保証するためのメカニズムが適用された。これらは、pH感受性リポソーム又は陽イオン分子の適用を含む。それにもかかわらず、リソソーム脱出メカニズムの適用の有無に無関係に、脳へのタンパク質の送達が有効であることが示された。したがって、受容体媒介性トランスサイトーシスは、脳へのより大きい薬物分子又は薬物運搬粒子(リポソーム、ポリマーシステム、ナノ粒子)の特異的ターゲティングを可能にする。好ましい実施形態において、GSHトランスポーターは、エンドサイトーシス及びトランスサイトーシスの少なくとも1つを媒介し、リガンド及び薬学的に許容される担体は、細胞内の薬剤のリソソーム分解を回避するように選択する。
【0068】
遺伝子治療
本発明のいくつかの態様は、上で定義したオリゴ又はポリヌクレオチドを含む作用物質をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターの使用に関する。遺伝子治療に適するベクターは、Anderson、1998年、Nature、392巻、25〜30頁;Walther及びStein、2000年、Drugs、60巻、249〜71頁;Kayら、2001年、Nat.Med.、7巻、33〜40頁;Russell、2000年、J.Gen.Virol.、81巻、2573〜604頁;Amado及びChen、1999年、Science、285巻、674〜6頁;Federico、1999年、Curr.Opin.Biotechnol.、10巻、448〜53頁;Vigna及びNaldini、2000年、J.Gene Med.、2巻、308〜16頁;Marinら、1997年、Mol.Med.Today、3巻、396〜403頁;Peng及びRussell、1999年、Curr.Opin.Biotechnol.、10巻、454〜7頁;Sommerfelt、1999年、J.Gen.Virol.、80巻、3049〜64頁;Reiser、2000年、Gene Ther.、7巻、910〜3頁;並びにそれらに引用されている参考文献に記載されている。特に適切な遺伝子治療ベクターは、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターなどである。これらのベクターは、多数の分裂及び非分裂細胞型を感染させる。さらに、アデノウイルスベクターは、高レベルのトランス遺伝子発現の能力がある。しかし、細胞侵入後のアデノウイルス及びAAVベクターのエピソーム性のため、これらのウイルスベクターは、上で示したようにトランス遺伝子の一時的発現のみを必要とする治療適用に最も適している(Russell、2000年、J.Gen.Virol.、81巻、2573〜2604頁)。好ましいアデノウイルスベクターは、Russell(2000年、前出)によりレビューされたように宿主反応を低減させるために修飾する。
【0069】
一般的に遺伝子治療ベクターは、発現させるべき作用物質をコードするヌクレオチド配列を含み、それにより、ヌクレオチド配列が上で示したように適切な調節配列に作動可能に連結するという意味で上述の発現ベクターとしてである。そのような調節配列は、少なくともプロモーター配列を含む。本明細書で用いているように、「プロモーター」という用語は、遺伝子の転写開始部位の転写の方向に関して上流に位置する1つ又は複数の遺伝子の転写を制御する機能を果たし、DNA依存性RNAポリメラーゼの結合部位、転写開始部位並びに転写因子結合部位、リプレッサー及びアクチベータタンパク質結合部位を含むが、これらに限定されない他のDNA配列、プロモーターからの転写の量を調節するように直接的又は間接的に作用することが当業者に公知のヌクレオチドの他の配列の存在によって構造的に同定される。「構成」プロモーターは、ほとんどの生理的及び発生条件下で活性であるプロモーターである。「誘導」プロモーターは、生理的及び発生条件によって調節されるプロモーターである。「組織特異的」プロモーターは、特定の種類の分化細胞/組織においてのみ活性である。遺伝子治療ベクターのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現のための適切なプロモーターは、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)中間早期プロモーター、マウスモロニー白血病ウイルス(MMLV)からのものなどのウイルス長末端反復プロモーター(LTR)、ラウス肉腫ウイルス、又はHTLV−1、シミアンウイルス40(SV40)早期プロモーター及び単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼプロモーターなどである。
【0070】
低分子量の有機又は無機化合物の投与により誘導することができるいくつかの誘導プロモーターシステムが記載された。そのような誘導プロモーターは、メタロチオニンプロモーターなどの重金属(Brinsterら、1982年、Nature、296巻、39〜42頁;Mayoら、1982年、Cell、29巻、99〜108頁)、RU−486(プロゲステロン拮抗薬)(Wangら、1994年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91巻、8180〜8184頁)、ステロイド(Mader及びWhite、1993年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻、5603〜5607頁)、テトラサイクリン(Gossen及びBujard、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻、5547〜5551頁;米国特許第5,464,758号;Furthら、1994年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91巻、9302〜9306頁;Howeら、1995年、J.Biol.Chem.、270巻、14168〜14174頁;Resnitzkyら、1994年、Mol.Cell.Biol.、14巻、1669〜1679頁;Shockettら、1995年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92巻、6522〜6526頁)並びにVP16の活性化ドメインとしてのtetRポリペプチド及びエストロゲン受容体のリガンド結合ドメインから構成されるマルチキメラトランスアクチベーターに基づいているtTAERシステム(Yeeら、2002年、米国特許第6,432,705号)により制御されるものを含む。
【0071】
遺伝子治療ベクターは、第2又はさらなるタンパク質をコードする第2又は1つ若しくは複数のさらなるヌクレオチド配列を場合によって含んでいてよい。第2又はさらなるタンパク質は、発現構築物を含む細胞の同定、選択及び/又はスクリーニングを可能にする(選択可能)マーカータンパク質であってよい。この目的のための適切なマーカータンパク質は、例えば、例えば、緑色GFPなどの蛍光タンパク質、並びに選択可能なマーカー遺伝子HSVチミジンキナーゼ(HAT培地上選択用)、細菌ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(ハイグロマイシンB上選択用)、Tn5アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(G418上選択用)及びジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)(メトトレキセート上選択用)、CD20、低親和性神経成長因子遺伝子である。これらのマーカー遺伝子を得るための源及びそれらの使用の方法は、Sambrook及びRussel(2001年)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New Yorkに示されている。
【0072】
或いは、第2又はさらなるヌクレオチド配列は、必要と思われる場合に対象を形質転換細胞から救済することを可能にするフェイルセーフ機構を備えるタンパク質をコードするものであってよい。そのようなヌクレオチド配列は、しばしば自殺遺伝子と呼ばれ、プロドラッグを、タンパク質が発現する形質転換細胞を殺すことができる有毒物質に変換することができるタンパク質をコードする。そのような自殺遺伝子の適切な例は、例えば、大腸菌(E.coli)シトシンデアミナーゼ遺伝子又はガンシクロビルを対象におけるIL−10形質転換細胞を殺すためのプロドラッグとして用いることができる、単純疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス及び水痘−帯状疱疹ウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子の1つなどである(例えば、Clairら、1987年、Antimicrob.Agents Chemother.、31巻、844〜849頁を参照)。遺伝子治療ベクターは、好ましくは下で定義する適切な医薬担体を含む医薬組成物に製剤化する。
【0073】
抗体
抗体又は抗体断片は、本発明の複合体又は薬剤の構成部分であってよい。好ましくは抗体又はその断片は、モノクローナル抗体(MAb)である。補体成分に対するMAbは、ハイブリドーマ、組換え及びファージディスプレー技術又はそれらの組合せを含む、当技術分野で公知の様々な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988年);Hammerlingら、:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas、568〜681頁(Elsevier、N.Y.、1981年)に教示されているものを含むハイブリドーマ技術を用いて製造することができる。ヒトを治療するために、抗補体MAbsは、好ましくはキメラ、脱免疫化(deimmunized)、ヒト化又はヒト抗体として用いられるであろう。そのような抗体は、免疫原性を減少させ、それにより、ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を避けることができる。抗体は、IgG4、IgG2、又は抗体依存性細胞性細胞毒性(S.M.Canfield及びS.L.Morrison、J.Exp.Med.、1991年、173巻、1483〜1491頁)及び補体媒介性細胞溶解(Y.Xuら、J.Biol.Chem.、1994年、269巻、3468〜3474頁;V.L.Pulitoら、J.Immunol.、1996年、156巻、2840〜2850頁)を増加させない他の遺伝的に変異させたIgG若しくはIgMであることが好ましい。キメラ抗体は、当技術分野で周知の組換え法により産生させ、動物可変領域及びヒト定常領域を有する。ヒト化抗体は、キメラ抗体より大きい程度のヒトペプチド配列を有する。ヒト化抗体において、抗原結合及び特異性に関与する相補性決定領域(CDRs)のみが動物由来であり、動物抗体に対応するアミノ酸配列を有し、分子の実質的にすべての残りの部分(場合によって、可変領域内のフレームワーク領域の小部分を除く)は、ヒト由来であり、ヒト抗体のアミノ酸配列に相当する。L.Riechmannら、Nature、1988年、332巻、323〜327頁;G.Winter、米国特許第5,225,539号;C.Queenら、米国特許第5,530,101号を参照のこと。脱免疫化抗体は、WO9852976に記載されているように、T及びB細胞エピトープが除去された抗体である。それらは、in vivoで適用したとき低い免疫原性を有する。ヒト抗体は、ヒト抗体の断片(VH、VL、Fv、Fd、Fab又は(Fab’)2)を産生させるためのヒト免疫グロブリン発現ライブラリー(Stratagene Corp.、La Jolla、California)の使用、及びキメラ抗体を産生させるものと同様な技術を用いて全ヒト抗体を構築するためのこれらの断片の使用を含む、いくつかの異なる方法により調製することができる。ヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリンゲノムを有するトランスジェニックマウスにおいて産生させることができる。そのようなマウスは、Abgenix,Inc.(Fremont、California)及びMedarex,Inc.(Annadale、New Jersey)から入手できる。重鎖及び軽鎖Fv領域が結合している単一ペプチド鎖結合分子を作製することもできる。単鎖抗体(「ScFv」)及びそれらの構築の方法は、米国特許第4,946,778号に記載されている。或いは、Fabは、同様な手段により構築し、発現させることができる(M.J.Evansら、J.Immunol.Meth.、1995年、184巻、123〜138頁)。本発明との関連において用いることができる他のクラスの抗体は、重鎖抗体及びその誘導体である。そのような単鎖重鎖抗体は、例えば、ラクダ科(Camelidae)において天然で存在し、それらの単離可変ドメインは、一般的に「VHHドメイン」又は「ナノ抗体」と呼ばれる。重鎖抗体及び可変ドメインを得る方法は、とりわけ次の参考文献に記載されている:WO94/04678、WO95/04079、WO96/34103、WO94/25591、WO99/37681、WO00/40968、WO00/43507、WO00/65057、WO01/40310、WO01/44301、EP1134231、WO02/48193、WO97/49805、WO01/21817、WO03/035694、WO03/054016、WO03/055527、WO03/050531、WO01/90190、WO03/025020、WO04/041867、WO04/041862、WO04/041865、WO04/041863、WO04/062551。完全及び部分的ヒト抗体のすべてが完全マウスMAbs(又は他の非ヒト動物からのMAbs)より免疫原性が低く、断片及び単鎖抗体も免疫原性が低い。したがって、これらの種類の抗体はすべて、免疫又はアレルギー反応を引き起こす可能性がより低い。その結果として、それらは、特に反復又は長期投与が必要な場合、完全動物抗体よりヒトにおけるin vivoでの投与によく適している。さらに、より小さいサイズの抗体断片は、組織生物学的利用能を改善する助けとなり得、これは腫瘍の治療又はある種のウイルス感染などの急性疾患適応におけるより十分な用量蓄積のために重要である可能性がある。
【0074】
医薬組成物
本発明はさらに、本明細書で上で定義した複合体を有効成分として含む医薬品に関する。組成物は、好ましくは、有効成分(複合体)に加えて薬学的に許容される担体(複合体中の担体以外)を少なくとも含む。いくつかの方法において、複合体は、哺乳動物、昆虫又は微生物細胞培養から、トランスジェニック哺乳動物の乳汁又は他の源から精製された本発明のポリペプチド又は抗体を含み、精製された形で医薬担体とともに医薬組成物として投与される。ポリペプチドを含む医薬組成物を製造する方法は、米国特許第5,789,543号及び第6,207,718号に記載されている。好ましい形態は、意図される投与方法及び治療適用に依存する。医薬担体は、患者にポリペプチド、抗体又は遺伝子治療ベクターを送達するのに適する適合性のある非毒性物質であり得る。滅菌済みの水、アルコール、脂肪、ワックス及び不活性固体を担体として用いることができる。薬学的に許容されるアジュバント、緩衝剤、分散剤なども医薬組成物に組み込むことができる。医薬組成物中の本発明の複合体の濃度は、広く、すなわち、約0.1重量%未満、通常少なくとも約1重量%から20重量%又はそれ以上の程度まで変わり得る。経口投与については、有効成分は、カプセル剤、錠剤及び散剤などの固体剤形で、又はエリキシル剤、シロップ及び懸濁剤などの液体剤形で投与することができる。活性化合物(単数又は複数)は、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロース若しくはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルク、炭酸マグネシウムなどの不活性成分及び粉末状担体とともにゼラチンカプセルに封入することができる。望ましい色、味、安定性、緩衝能、分散又は他の公知の望ましい特徴を与えるために添加することができる追加の不活性成分の例は、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、可食性白色インクなどである。圧縮錠剤を調製するために同様な希釈剤を用いることができる。錠剤及びカプセル剤は、数時間の期間にわたる薬物の連続的放出をもたらすために徐放性製剤として製造することができる。圧縮錠剤は、不快な味をマスクし、錠剤を大気から保護するために糖衣をかけるか、又はフィルムコーティングを施し、或いは胃腸管における選択的な崩壊のための腸溶コーティングを施すことができる。経口投与用の液体剤形は、患者の受入を向上させるために着色剤及び着香剤を含んでいてよい。本発明の複合体は、好ましくは非経口投与する。非経口投与用の複合体を含む製剤は、無菌性でなければならない。滅菌は、凍結乾燥及び再構成の前又は後に無菌ろ過膜を介するろ過により容易に達成される。複合体の非経口投与経路は、公知の方法、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病変内、頭蓋内、髄腔内、経皮、鼻、口腔、直腸又は膣経路による注射又は注入によるものである。複合体は、注入又はボーラス注射により連続的に投与する。静脈内注入用の一般的な組成物は、20%アルブミン溶液を場合によって添加した10〜500mlの滅菌0.9%NaCl又は5%グルコース及び必要な用量の複合体を含むように調製することができる。筋肉内注射用の一般的な医薬組成物は、1〜10mlの滅菌緩衝水及び必要な用量の本発明の複合体を含むように構成される。非経口投与できる組成物を調製する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science(第15版、Mack Publishing、Easton、PA、1980年)(すべての目的のためにその全体として参照として組み込まれる)を含む種々の情報源により詳細に記載されている。
【0075】
治療適用のために、医薬組成物をウイルス感染又は関連状態に罹患した患者に症状の重症度を低下させ、且つ/又は症状のさらなる進展を予防若しくは停止させるのに十分な量で投与する。これを達成するのに十分な量は、「治療上有効量」又は「予防上有効量」と定義する。そのような有効量は、状態の重症度及び患者の健康の一般的状態に依存する。
【0076】
本文書及びその特許請求の範囲において、「含む」という動詞及びその活用型は、該単語の後の事項が含まれるが、具体的に言及されていない事項が除外されないことを意味するようにその非限定的な意味で用いる。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、1つ及び唯一の要素が存在することが文脈上要求されない限り、複数の要素が存在するという可能性を排除するものでない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常「少なくとも1つ」を意味する。
【0077】
本明細書で引用したすべての特許及び文献引例は、それらの全体として参照として組み込まれる。
【0078】
以下の実施例は、例示の目的のみのために示すものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】BCECにおけるグルタチオン−PEG−リポソーム(Rho−PEで標識)の取込みを示す代表的な写真である。BCECs単一培養(A)及びBBB共培養モデル(B)におけるウシ毛細血管内皮細胞(BCEC)によるGSH標的リポソームの取込みを示す。顕微鏡写真に1/2時間(A)及び2時間(B)のインキュベーション時間後のBCEC培養(核を青色で対比染色)によるGSH標的リポソーム(赤色)の取込みを示す。非ターゲティング型リポソームを用いたBCEC単一培養(C)及びBBB共培養モデル(D)におけるBCECのインキュベーションでは、細胞中又はその周囲に赤色シグナルが存在しないことが明確に示されている。
【図2】12日間連日の静脈内ボーラス注射の最終注射の3日後のグルタチオン−PEG−リポソーム(50mg/kg/日投与方法)のハムスター脳への特異的ターゲティングを示す写真である。上の顕微鏡写真に主として血管周囲のGSH標的リポソームの蛍光シグナルが示されている。
【実施例】
【0080】
(例1)
受容体特異的リガンドへの薬剤の結合
GSHへの薬剤の結合の例として、タンパク質薬物へのGSHの結合の好ましい方法を開示する。同様な結合化学を本明細書で開示する他の薬剤及び本明細書で開示する他のGSH誘導体に適用する。GSHトランスポーター特異的細胞取込み、並びに親水性薬剤に結合させたGSHのin vivoでの薬物動態及び生体分布を視覚化するために、GSHを親水性経口色素フルオレセインイソチオシアネート(FITC)又はCy5.5で標識する。このために、GSHをPBS及びNaHCOpH9.0に溶解する。FITC又はCy5.5を加え、溶液を暗所で室温で1時間撹拌する。過剰のFITC又はCy5.5をカラム遠心分離(Zeba(商標)、Pierce、Rockford、USA)により除去し、その後、溶液を暗所で4℃で保存する。
【0081】
(例2)
封入薬剤を含むナノコンテナーへのGSHトランスポーター特異的リガンドの結合並びにその薬物動態及び薬力学
GSHトランスポーター特異的リガンドで被覆された薬剤含有ナノコンテナーの例として、薬物負荷PEG化リポソームへのGSHの結合の好ましい方法を開示する。リポソームは、いくつかのモル比(例えば、2.0:1.5)のリン脂質とコレステロールからなっている。転移/処理温度及び血漿中の粒子の安定性を改善するために、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、大豆ホスファチジルコリン(SPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)又は卵黄ホスファチジルコリン(EYPC)をコレステロール(Chol)と種々の比で用いた。混合物中のCholが少ないほど、血漿中のリポソームの安定性が低い。化合物をエタノール又はイソプロパノールに溶解する。リポソームの調製の前にDSPE−PEG−MAL及び還元型グルタチオン(トリペプチドのシステイン部分のMAL反応性チオール基を与える)の新鮮な溶液を用いて合成したDSPE−PEG−GSH(0.2〜10モル%)を含むミセル及びDSPE−mPEG(Mw2000)を種々のモルパーセント(合計5〜10モル%まで)で溶液に加える。或いは、GSHのアミン基に対して活性を有するDSPE−PEG−NHSを用いてDSPE−PEG−GSHを結合させるか、又はGSHをN若しくはC末端残基においてDSPE−PEGに直接合成する。リポソームの電荷を変化させることが必要である場合、リン酸デシル(DP)又はDOTAPを混合物に加える。さらに、非イオン性界面活性剤ポリソルベート80(Tween80)を混合物に加えてもよい。また、Tween20、Tween40、Brij76、Brij78又は米国特許第6,288,040号に記載されているもの(すなわち、カルボジイミド、n−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、グルタルジオールデヒド、ブロモチアン、メタ過ヨウ素酸塩(Na塩又はK塩)、塩化トシル及びクロロギ酸エステル)のような他の非イオン性界面活性剤を用いることができる。(脂質)混合物を、賦形剤若しくはシクロデキストリンのような可溶化剤の存在下又は不存在下で親水性薬剤を含む水溶液に注入する。親油性薬剤は、脂質混合物に加えるか、又は例えば、硫酸アンモニウム若しくは酢酸カルシウムを前充てんしたリポソームを用いた能動負荷法を用いて封入する(場合によって病院薬局における製造後工程として)。ボルテックス混合した後、小胞を膜を介して押し出すか、又は乳化機でホモジナイズする。或いは、DSPE−PEG−GSHを、25℃〜60℃で2〜24時間(脂質混合物の転移温度及び薬剤の温度感受性によって)のインキュベーションによるリポソームの調製の後に加える。リポソームは、粒径(Malvern Zetasizerで50〜200nm)、ゼータ電位、リン脂質含量(Phospholipids Bキット又はHPLC/UPLCシステムを用いる)及びペプチド含量(HPLC/UPLC又はPierceのOPAアッセイに基づいて0.2〜10モル%GSH)、並びに薬物負荷を測定することにより特徴づけられる。このリポソーム封入戦略を本明細書で開示した薬剤に適用し、同様な結合又は合成化学をターゲティングのためのリガンドとしての他の本明細書で開示したGSH誘導体に適用する。さらに、同様なリポソーム封入を核酸ベースの薬物に適用し、Gao及びHuang、1991年、Biochem Biophys Res Commun、179巻(1号)、280〜5頁に詳述されているようにリポソームにコレステロールの陽イオン誘導体(DC−Chol)を加えることにより、又はWO2002/066012に詳述されているように両性リポソームを用いることにより、核酸封入がさらに増加する。受容体特異的細胞取込み、並びに薬剤を充てんしたリポソームに結合させたGSHのin vivo薬物動態及び生体内分布を視覚化するために、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−リスアミンローダミンBスルホニル(Rho−PE)をリポソームの調製中に脂質混合物に加える。或いは、リポソームを放射性トレーサー分子で標識するか、又は封入薬剤が、蛍光分子(Cy5.5など)、若しくは薬剤に蛍光プローブ(Cy5.5若しくはFITCなど)が結合している化合物である。
【0082】
例えば、100mg/mlで50℃でPBSに溶解したリバビリンを、2−プロパノールに溶解したDPPC(55%)、コレステロール(41%)、ローダミン−PE(0.04%)及びmPEG−DSPE(4.4%)からなるリポソームに乳化機(Emulsiflex−C3)を用いて封入した。リポソームの外層に対するGSH分子の量の影響を試験するために、mPEG−DSPEの代わりにGSH−PEG−DSPEミセルを前形成リポソームに後挿入することにより種々のパーセントのGSH−PEG−DSPE(0〜2%)を調製し、総PEG含量が5%で、0又は0.1、0.2、0.5又は2%GSH−PEGリポソームが得られた。このような方法では、リバビリンGSH−PEGリポソームは、90nmであり、10mg/mlのリバビリンを含んでいた(封入効率8〜12%)。DPPCの代わりにEYPCを用いて同様なリバビリンGSH−PEGリポソームを調製した。ラットに50mg/kgを単回静脈内注射した後の0%PEGリポソーム(DPPCベース)中のリバビリンの全(リポソーム封入)ピーク血漿レベルは数時間約3ミリモルと安定であることが認められ(半減期は約19時間と推定された)、血漿中の遊離画分は約4マイクロモルであった。2%GSH−PEGリポソーム(DPPCベース)については、全血漿レベルはこの場合にも約3ミリモル(同じ推定半減期を持つ)であり、遊離画分は約2マイクロモルをわずかに上回った。これに対して、脳間質液中の遊離リバビリンレベル(脳微小透析により測定)は、0%PEGリポソームではわずかに120ナノモルを超え、2%GSH−PEGリポソームでは約600ナノモルであった。さらに、遊離リバビリンに対する脳送達効果の増大がリポソームにおけるGSHの%の低下により低下することが認められ、0.5%では450ナノモル、0.2%では250ナノモルであり、0.1%GSHでは、やはり0%と同様であった約120ナノモルであった。これらの結果から、PEG化リポソームへのGSHの添加で血液脳関門を越える遊離薬物の送達がGSH依存的に増加し、約5倍であることがわかる。異なる製剤(0〜2%GSH)のリバビリンの全血漿レベルの曲線下面積が有意に異なっていなかったことは妥当である。これに対して、EYPCベースのリポソーム中のリバビリンの全(リポソーム封入)血漿レベル(さらにラットに50mg/kgを単回静脈内注射した後)は、1ミリモルでピークとなり、速やかに低下することが認められ(約3時間の半減期を持つ)、リポソームの外表面上0%と2%GSHとの間に差はみとめられなかった。同時に、リバビリンの遊離画分は、45マイクロモル(ピーク値)であることが認められ、全血漿レベルと同じ速度で低下し、再びリポソームの外表面上0%と2%GSHとの間に差はみとめられなかった。これらの結果から、DPPCベースのリポソームが長い循環時間を有し(及びリバビリンの遅い放出を示し)、YPCベースのリポソームが短い循環時間(及びリバビリンの速い放出)を有することがわかる。
【0083】
他の例として、PEG化ドキソルビシンリポソーム(キャエリクス/ドキシル(Caelyx/Doxil)に基づく)をPEGのチップにGSHを含むように修飾した。このために、GSH−PEG−DSPEミセル(5%)を2mg/mL硫酸アンモニウム溶液に60℃で溶解した。この溶液に、エタノール(60℃)に溶解したHSPC(55%)及びコレステロール(40%)を加え、約100nmの粒子が得られるまで、フィルターを介する押出し(extrusion)によりリポソームを調製した。その後、透析により遊離硫酸アンモニウムを除去し、2mg/mLドキソルビシン溶液を加え(60℃で)、ドキソルビシンをアンモニウムと交換し、リポソームコア内で沈殿させた(「能動負荷」)。ラットにおける6mg/kgの静脈内注射後の非修飾PEG化リポソーム(キャエリクス/ドキシル)中のドキソルビシンの全(リポソーム封入)ピーク血漿レベルは、数時間安定であることが認められ(半減期は約24時間と推定された)、GSH修飾PEG化リポソームは、19時間の推定半減期をもたらす、より速いクリアランスを示した。結果はまた、非修飾PEG化リポソームで得られたAUCは、GSH修飾PEG化リポソームより約50%大きく、Cmax値は、約20%高かったことを示している。その後、これらのリポソームを、定位フレームを用いてヒト膠芽腫細胞(U87)の懸濁液を脳内に徐々に注射した無胸腺マウスにおける有効性について評価した。マウスを次の3つの投与群に分けた:対照(生理食塩水)、非修飾PEG化ドキソルビシンリポソーム(キャエリクス/ドキシル)中ドキソルビシン、及びドキソルビシンGSH修飾PEG化リポソーム。動物に5mg/kg i.v.を週2回投与した。投与は、U87細胞を移植してから14日後に開始した。投与の観察される有害な影響(AE)は認められず、動物は注射関連有害事象も示さず、神経症状も示さなかった。GSH修飾PEG化リポソーム中ドキソルビシンの投与は、時間内に生理食塩水及び非修飾PEG化リポソームと比較して脳腫瘍の成長の著しく有意な低下を示し(2元ANOVA、p<0.001)、対照群と比較したとき高度に有意な生存ベネフィットをもたらした(生理食塩水と比較して42%、非修飾PEG化リポソームと比較して19%の増加)。これに対して、同じ投与群(10mg/kg i.v.4日ごと)を皮下に移植した転移乳癌細胞(MDA−MB−231)を有する無毛マウスにおいて試験したところ、2つのリポソーム製剤の間に投与の有効性の差は認められず、媒体投与と比較したとき、両方が腫瘍負荷の低減に同等に有効であった。
【0084】
他の例として、ドキソルビシンGSH修飾PEG化リポソームについて上で述べたのと同じリポソーム製造法をメチルプレドニゾンゾロン及びデオキシコルチコステロンのヘミスクシナート塩を封入するのに適用した。このために、硫酸アンモニウム塩の代わりの酢酸カルシウム溶液を用いたところ、これが高い薬物封入効率(>70%)及び安定な製剤につながった。これらの製剤を、CNS状態(例えば、多発性硬化症又は(ストレス関連)うつ病の動物における)における高い有効性、及びこれらのステロイドに通常随伴する末梢副作用(主として心血管)の低減について試験する。
【0085】
ペプチド薬剤の例として、ドキソルビシンGSH修飾PEG化リポソームについて上で述べたのと同じリポソーム製造法をベータシートブレーカーペプチドLPFFP又はAc−LPFFP−NH2を封入するのに適用した。このために、硫酸アンモニウム塩の代わりにペプチドの50〜100mg/mL溶液を用いたところ、約15%の効率でリポソームの水コア中へのペプチドの封入及び安定な製剤が得られた。これらの製剤を、アミロイド−ベータが関与するCNS状態(例えば、プラーク形成の増加を伴うアルツハイマー病のトランスジェニック動物における)における高い有効性について試験する。
【0086】
抗体、酵素及び成長因子のようなより感受性の高いタンパク質薬剤の例として、より低い処理温度が好ましい。このために、95〜55%EYPC、DMPC又はDPPC及び0〜40%コレステロール及び1%mPEG−DSPEをエタノールに37℃で溶解し、例えば、トラツズマブ、ガンマキン、セレザイム、エラプラーゼ、GDNF又はアルブミンのタンパク質溶液に加え、Tween80(<0.01%)で安定化し、約100nmの粒子が得られるまで、フィルターを介する押出しによりリポソームを調製した。その後、4〜8%GSH−PEG−DSPEミセルを、製造過程中又は対象への注射の前に前形成リポソームに37℃で30分間から2時間まで加えた。或いは、5%GSH−PEG−DSPE凍結乾燥生成物をmPEG−DSPEの代わりに脂質溶液に加えた。望ましい場合、遊離タンパク質を透析/透析ろ過により除去、又はタンパク質特異的カラム(例えば、ProtG)により再捕捉した。40%コレステロールを含むDMPCベースのリポソームの半減期は、40%コレステロールを含むDPPCベースのリポソームの前述の半減期と同じ範囲内にあった。コレステロールの%の10%への低下によって血漿半減期(及びしたがってIgG放出)が約2時間に短縮し、製剤からのコレステロールの除去によって半減期がさらに30分に短縮した。
【0087】
(例3)
核酸ベースの薬物の担体へのGSHの結合
ターゲティング型取込み機構による核酸ベースの薬物の非ウイルス性送達システムの例として、ポリエチレンイミン(PEI)、jetPEIなど又はそれらの断片へのPEG化GSHの結合の好ましい方法を開示する。PEG化複合体は、次のように調製する。PEIをPBSに溶解する。ポリ(エチレングリコール)−α−マレイミド−ω−NHS(NHS−PEG−VS)をこの溶液に加え、撹拌しながら室温でインキュベートする。過剰のNHS−PEG−VSを限外ろ過により除去する。PEI−PEG−VSを還元型GSHのチオール基への結合に直接用いる。
【0088】
(例4)
タンパク質へのGSHの結合
直接結合法の例として、酵素、成長因子、モノクローナル抗体又はその断片へのGSHの結合の好ましい方法を開示する。GSH結合タンパク質は、次のように調製する。好ましくはリシン基のアミン基を(スルホ)−SMCCで修飾し、タンパク質上のマレイミド基をチオール反応性にする。その後、この反応性タンパク質を還元型GSHのチオール基への結合に直接用いる。
【0089】
(例5)
ターゲティング型薬剤のGSG特異的細胞取込み及び/又は細胞間輸送
GSH複合体のGSG特異的細胞取込みをGSH複合体の特異的取込みの分析により視覚化し、対照複合体の取込みのレベルと比較する。ブタ腎臓表皮細胞(LLC−PK1)、ウシ脳毛細血管内皮細胞(BCEC)及びイヌMDCK細胞を含む、いくつかの種及び起源のGSHトランスポーターの既知の発現(の不存在)を有する細胞を用いる。細胞取込み実験:ターゲティング型及び非ターゲティング型リポソームの200ナノモルの分割試料を血液脳関門のin vitroモデル(ラット星状細胞及びウシ毛細管内皮細胞の共培養)並びにBCECの単一培養に加えた。インキュベーション時間は、37℃で1/2〜3時間であった。処理の終了時にカバーガラス上の細胞を4%PFAで固定し、DAPI(核対比染色)を含むVectashield封入剤を用いてスライドガラス上にマウントする前に洗浄した。NIKON TE2000−E倒立顕微鏡、ローダミン用トリプルバンドフィルター、GFP及び20倍又は60倍のDAPIを用いた蛍光顕微鏡検査により、細胞培養中のリポソームの運命を評価した。図1にBCEC単一培養(プレートA)及びBBB共培養モデル(プレートB)におけるウシ毛細血管内皮細胞(BCEC)によるGSH標的リポソームの取込みを示す。顕微鏡写真に1/2時間(A)及び2時間(B)のインキュベーション時間後のBCEC培養(核を青色で対比染色)によるGSH標的リポソーム(赤色のRho−PE)の取込みを示す。非ターゲティング型リポソームを用いたインキュベーションでは、細胞中又はその周囲に赤色シグナルが存在しないことが明確に示されている。
【0090】
(例6)
GSH標的薬剤の薬物動態及び生体内分布
GSH標的リポソームの薬物動態及び生体内分布を、ハムスターに12日間毎日静脈内ボーラス注射した後のリポソーム中のRho−PE標識の分析により視覚化し、非ターゲティング型リポソームと比較した。GSH標的リポソームは、最終注射の3日後に脳で検出できなかった(ほとんど)が、肺、腎臓及び肝臓で比較的より高いレベルであった対照リポソームと比較したとき、潅流ハムスター脳でより高く且つ特異的蓄積を、分析した他の組織(心臓、肺、肝臓、脾臓及び腎臓を含む)の選択でより低い蓄積を示した。図2に高用量群のハムスター脳スライド標本の代表的写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)グルタチオントランスポーターのリガンド、並びに
b)i)診断用又は治療用薬剤、及び
ii)薬剤を含む薬学的に許容されるナノコンテナー
の少なくとも1つを含み、
a)におけるリガンドがb)における薬剤及びナノコンテナーの少なくとも1つに結合している複合体。
【請求項2】
前記リガンドが、BCEC又はMDCK標的細胞への前記リガンドの添加後18時間以内に測定したとき、a)GSHトランスポーターの発現を欠く細胞;b)過剰な遊離GSHで前処理した細胞;及びc)GSH部分を欠く参照化合物から選択される対照条件と比較して少なくとも10%高い率で前記標的細胞に特異的に結合する、又は前記標的細胞内にエンドサイトーシスされる、若しくは前記標的細胞を介してトランスサイトーシスされるリガンドである、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記リガンドが、グルタチオン、S−(p−ブロモベンジル)グルタチオン、ガンマ−(L−ガンマ−アザグルタミル)−S−(p−ブロモベンジル)−L−システイニルグリシン、S−ブチルグルタチオン、S−デシルグルタチオン、還元型グルタチオンエチルエステル、グルタチオンスルホン酸、S−ヘキシルグルタチオン、S−ラクトイルグルタチオン、S−メチルグルタチオン、S−(4−ニトロベンジル)グルタチオン、S−オクチルグルタチオン、S−プロピルグルタチオン、n−ブタノイルガンマ−グルタミルシステイニルグリシン、エタノイルガンマ−グルタミルシステイニルグリシン、ヘキサノイルガンマ−グルタミルシステイニルグリシン、オクタノイルガンマ−グルタミルシステイニルグリシン、ドデカノイルガンマ−グルタミルシステイニルグリシン、GSHモノイソプロピルエステル(N−(N−L−グルタミル−L−システイニル)グリシン1−イソプロピルエステル硫酸一水和物)及び以下の式I
【化1】


[式中、Z=CH及びY=CH又はZ=O及びY=Cであり、
及びRは、H、直鎖又は分枝アルキル(1〜25C)、アラルキル(6〜26C)、シクロアルキル(6〜25C)、複素環(6〜20C)、エーテル又はポリエーテル(3〜25C)からなる群から独立に選択され、R−Rは、一緒に2〜20個のC原子を有し、式Iの残りとマクロ環を形成し、
は、H及びCHからなる群から選択され、
は、6〜8Cアルキル、ベンジル、ナフチル及び治療上活性な化合物からなる群から選択され、
は、H、フェニル、CH−及びCH−フェニル又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される]のグルタチオン誘導体からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
式Iの誘導体において、RがHであり、Rがベンジルであり、Rがフェニルである、請求項3に記載の複合体。
【請求項5】
前記薬剤が
a.中枢神経系抑制薬、
b.中枢神経系刺激薬、
c.向精神薬、
d.気道薬、
e.末梢神経系薬、
f.シナプス又は神経効果器接合部に作用する薬物、
g.平滑筋作用薬、
h.ヒスタミン作用薬、
i.抗ヒスタミン薬、
j.心血管薬、
k.血液又は造血系薬、
l.胃腸管薬、
m.ステロイド薬、
n.細胞増殖抑制又は抗腫瘍薬、
o.抗感染薬、
p.抗生物質、
q.抗真菌薬、
r.駆虫薬、
s.抗マラリア薬、
t.抗原虫薬、
u.抗菌薬、
v.抗炎症薬、
w.免疫抑制薬、
x.サイトカイン、
y.酵素、
z.イミノ糖、
aa.セラミド類似体、
bb.脳作用ホルモン又は神経伝達物質、
cc.神経ペプチド又はその誘導体、
dd.神経栄養因子、
ee.抗体又はその断片、
ff.アルツハイマー病薬又は化合物、
gg.核酸ベースの化合物、
hh.造影剤、
ii.(有機リン)解毒薬、
の少なくとも1つである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の複合体。
【請求項6】
前記薬学的に許容されるナノコンテナーが
a)担体タンパク質、
b)リポソーム、
c)ポリプレックスシステム、
d)リポプレックスシステム、及び
e)ポリエチレングリコール
の少なくとも1つを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
前記薬学的に許容されるナノコンテナーが陽イオン脂質若しくは両性脂質の少なくとも1つを含むリポプレックスシステム、又はポリ−L−リシン、ポリ−L−オルニチン、ポリエチレンイミン及びポリアミドアミンの少なくとも1つを含むポリプレックスシステムである、請求項6に記載の複合体。
【請求項8】
CNS障害の治療、予防又は診断に用いる、請求項1〜7までのいずれか一項に記載の複合体。
【請求項9】
CNS障害の治療、予防又は診断用の医薬品の製造のための請求項1〜8までのいずれか一項に記載の複合体の使用。
【請求項10】
それを必要とする対象への請求項1〜7までに記載の有効量の複合体の投与を含む、CNS障害の治療、予防又は診断の方法。

【図2】
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【図1】
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【公表番号】特表2012−518633(P2012−518633A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551026(P2011−551026)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050082
【国際公開番号】WO2010/095940
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511203189)ティーオー − ビービービー ホールディング ベスローテン フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】