説明

グルタミニルシクラーゼ阻害剤としてのシアノグアニジン誘導体

本発明は、式(I)の化合物、疾患療法のためのそれらの組合せ及び使用、又はそれらの全ての互変異性体及び立体異性体を含む、それらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは多形体に関する(式中、Aは式(A)又は式(B)を表し、かつB、R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びZは、説明及び特許請求の範囲を通じて規定されている。)。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、グルタミニルシクラーゼ(QC、EC 2.3.2.5)の阻害剤としての、新規シアノグアニジン誘導体に関する。QCは、アンモニアを遊離しながらのN-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(5-オキソ-プロリル、pGlu*)への分子内環化、及び水を遊離しながらのN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸への分子内環化を触媒する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
グルタミニルシクラーゼ(QC, EC 2.3.2.5)は、アンモニアを遊離しながらの、N-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化を触媒する。QCは、1963年にMesserにより熱帯植物カリカ・パパイヤ(Carica papaya)のラテックスから最初に単離された(Messer, M.の論文、Nature 4874, 1299 (1963))。24年後、対応する酵素活性が、動物の下垂体において発見された(Busby, W. H. J.らの論文、J Biol Chem 262, 8532-8536 (1987);Fischer, W. H.及びSpiess, J.の論文、Proc Natl Acad Sci USA 84, 3628-3632 (1987))。哺乳動物のQCに関して、QCによるGlnのpGluへの転換が、TRH及びGnRHの前駆体について示されている(Busby, W. H. J.らの論文、J Biol Chem 262, 8532-8536 (1987);Fischer, W. H.及びSpiess, J.の論文、Proc Natl Acad Sci USA 84, 3628-3632 (1987))。加えて、最初のQC局在化実験は、ウシ下垂体におけるその触媒の推定生成物との同時局在を明らかにし、ペプチドホルモン合成において示唆された機能を更に強化した(Bockers, T. M.らの論文、J Neuroendocrinol 7, 445-453 (1995))。対照的に、植物のQCの生理機能は、余り明確ではない。C.パパイヤ由来の酵素の場合、病原性微生物に対する植物防御における役割が示唆された(El Moussaoui, A.らの論文、Cell Mol Life Sci 58, 556-570 (2001))。他の植物に由来する推定上のQCが、最近の配列比較により同定された(Dahl, S. W.らの論文、Protein Expr Purif 20, 27-36 (2000))。しかしこれらの酵素の生理機能は依然曖昧である。
【0003】
植物及び動物由来の公知のQCは、それらの基質のN-末端位置でのL-グルタミンに対する厳密な特異性を示し、かつそれらの反応速度論的挙動は、ミカエリス-メンテン式に従うことがわかった(Pohl, T.らの論文、Proc Natl Acad Sci USA 88, 10059-10063 (1991);Consalvo, A. P.らの論文、Anal Biochem 175, 131-138 (1988);Gololobov, M. Y.らの論文、Biol Chem Hoppe Seyler 377, 395-398 (1996))。しかしC.パパイヤ由来のQCの一次構造と哺乳動物由来の高度に保存されたQCの一次構造との比較は、いかなる配列相同性も明らかにしなかった(Dahl, S. W.らの論文、Protein Expr Purif 20, 27-36 (2000))。植物QCは新たな酵素ファミリーに属するように見える(Dahl, S. W.らの論文、Protein Expr Purif 20, 27-36 (2000))のに対し、哺乳動物のQCは、細菌のアミノペプチダーゼと顕著な配列相同性を有することがわかり(Bateman, R. C.らの論文、Biochemistry 40, 11246-11250 (2001))、このことは植物由来のQCと動物由来のQCは、進化の起源が異なるという結論に繋がっている。
【0004】
最近、組み換えヒトQCに加え、脳抽出物由来のQC活性は、N-末端グルタミニルに加えグルタミン酸の両方の環化を触媒することが示された。シクラーゼが触媒したGlu1-転換は、およそpH6.0で好ましいのに対し、pGlu-誘導体へのGln1-転換は、最適pH約8.0で生じるという知見は、最も特筆すべきことである。pGlu-Aβ-関連ペプチドの形成は、ブタ下垂体抽出物由来の組み換えヒトQC及びQC-活性の阻害により抑制することができるので、酵素QCは、アルツハイマー病治療のための薬物開発の標的である。
【0005】
最初のQC阻害剤は、WO 2004/098625、WO 2004/098591、WO 2005/039548及びWO 2005/075436に開示されている。
EP 02 011 349.4は、昆虫グルタミニルシクラーゼをコードしているポリヌクレオチドに加え、これらによりコードされたポリペプチド、及びグルタミニルシクラーゼ活性を低下する作用物質のスクリーニング法におけるそれらの使用を開示している。このような作用物質は、殺虫剤として有用である。
【発明の概要】
【0006】
(定義)
用語「ki」又は「KI」及び「KD」は、結合定数であり、これらは阻害剤の酵素への結合及び引き続きの酵素からの放出を説明している。別の測定値は、「IC50」値であり、これは、所定の基質濃度で、50%の酵素活性を生じる阻害剤濃度を反映している。
【0007】
用語「DP IV-阻害剤」又は「ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤」は、当業者に一般に公知であり、DP IV又はDP IV-様酵素の触媒活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
【0008】
「DP IV-活性」は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP IV)及びDP IV-様酵素の触媒活性として定義される。これらの酵素は、腎臓、肝臓及び小腸を含む哺乳動物の体の様々な組織において見つかったポスト-プロリン(より少ない程度にポスト-アラニン、ポスト-セリン又はポスト-グリシン)開裂セリンプロテアーゼであり、それらの組織でこれらは、プロリン又はアラニンがそれらの配列のN-末端アミノ酸に隣接している残基を形成する場合に、高い特異性で生物学的活性ペプチドのN-末端からジペプチドを除去する。
【0009】
用語「PEP-阻害剤」又は「プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤」は、一般に当業者に公知であり、かつプロリルエンドペプチダーゼ(PEP, プロリルオリゴペプチダーゼ, POP)の触媒活性を阻害する、酵素阻害剤を意味する。
【0010】
「PEP-活性」は、ペプチド又はタンパク質内のポストプロリン結合を加水分解することが可能であるエンドプロテアーゼの触媒活性として定義され、このプロリンは、ペプチド又はタンパク質基質のN-末端から数えて、3位又はより高い位置のアミノ酸である。
【0011】
本明細書において使用される用語「QC」は、グルタミニルシクラーゼ(QC)及びQC-様酵素を含む。QC及びQC-様酵素は、更にQC活性として定義される、同じ又は類似した酵素活性を有する。これに関して、QC-様酵素は、基本的にそれらの分子構造がQCとは異なる。QC-様酵素の例は、ヒト(GenBank NM_017659)、マウス(GenBank BC058181)、カニクイザル(GenBank AB168255)、アカゲザル(GenBank XM_001110995)、イヌ(GenBank XM_541552)、ラット(GenBank XM_001066591)、マウス(GenBank BC058181)及びウシ(GenBank BT026254)由来の、グルタミニル-ペプチドシクロトランスフェラーゼ-様タンパク質(QPCTL)類がある。
【0012】
本明細書において使用される用語「QC活性」は、N-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(pGlu*)への、又はN-末端L-ホモグルタミン若しくはL-β-ホモグルタミンの環状ピロ-ホモグルタミン誘導体への、アンモニアを遊離しながらの分子内環化として定義される。従ってスキーム1及び2を参照されたい。
【0013】
【化1】

【化2】

【0014】
本明細書において使用される用語「EC」は、更にEC活性として定義される、グルタミン酸シクラーゼ(EC)としてのQC及びQC-様酵素の活性を含む。
本明細書において使用される用語「EC活性」は、QCによるN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化として定義される。従ってスキーム3を参照されたい。
【0015】
【化3】

【0016】
用語「QC阻害剤」、「グルタミニルシクラーゼ阻害剤」は、一般に当業者に公知であり、かつグルタミニルシクラーゼ(QC)の触媒活性又はそのグルタミルシクラーゼ(EC)活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
【0017】
(QC阻害の効能)
好ましい実施態様において、QC阻害との相関関係を考慮し、本対象となる方法及び医学的用途は、QC阻害のIC50が10μM以下、より好ましくは1μM以下、更により好ましくは0.1μM以下若しくは0.01μM以下、又は最も好ましくは0.001μM以下である作用物質を利用する。実際、Ki値が低マイクロモル、好ましくはナノモル、更により好ましくはピコモルの範囲である阻害剤が意図されている。従って本明細書においては便宜上「QC阻害剤」として本活性作用物質が説明されているが、そのような命名は、本発明の対象を特定の作用機構に制限することを意図するものではないことは理解されるであろう。
【0018】
(QC阻害剤の分子量)
一般に、本対象となる方法又は医学的用途のQC阻害剤は、例えば、500g/mole以下、400g/mole以下、好ましくは350g/mole以下、更により好ましくは300g/mole以下、及び更には250g/mole以下である分子量を伴う小型分子であろう。
【0019】
本明細書において使用される用語「被験者」は、治療、観察又は実験の対象である、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトをいう。
本明細書において使用される用語「治療的有効量」は、治療される疾患又は障害の症状を緩和することを含む、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家により探求される、組織システム、動物又はヒトにおける生物学的反応又は医学的反応を誘起する活性化合物又は医薬物質の量を意味する。
【0020】
本明細書において使用される用語「医薬として許容し得る」は、臨床及び獣医学の両方の用途を包含しており:例えば、用語「医薬として許容し得る」は、獣医学的に許容し得る化合物又は臨床薬及び保健医療において許容し得る化合物を包含している。
【0021】
本説明及び請求項を通じて、表現「アルキル」は、特に制限されない限り、C1-12アルキル基、好適にはC1-6アルキル基、例えばC1-4アルキル基を意味する。アルキル基は、直鎖又は分枝してよい。好適なアルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル(例えばn-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えばn-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル)、ペンチル(例えばn-ペンチル)、ヘキシル(例えばn-ヘキシル)、ヘプチル(例えばn-ヘプチル)及びオクチル(例えばn-オクチル)を含む。例えば、「アルコキシ」、「ハロアルキル」及び「チオアルキル」の表現において、表現「アルキ(alk)」は、「アルキル」の定義に従い解釈されなければならない。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn-プロポキシ)、ブトキシ(例えばn-ブトキシ)、ペントキシ(例えばn-ペントキシ)、ヘキソキシ(例えばn-ヘキソキシ)、ヘプトキシ(例えばn-ヘプトキシ)及びオクトキシ(例えばn-オクトキシ)を含む。チオアルキル基の例は、メチルチオ-を含む。ハロアルキル基の例は、フルオロアルキル、例えばCF3を含む。
【0022】
表現「アルケニル」は、特に制限されない限り、任意の所望の位置に少なくとも1個の二重結合を含み、かつ三重結合は含まない、C2-12アルケニル基、好適にはC2-6アルケニル基、例えばC2-4アルケニル基を意味する。アルケニル基は、直鎖、又は分枝してよい。1個の二重結合を含むアルケニル基の例は、プロペニル及びブテニルを含む。2個の二重結合を含むアルケニル基の例は、ペンタジエニル、例えば、(1E,3E)-ペンタジエニルを含む。
【0023】
表現「アルキニル」は、特に制限されない限り、任意の所望の位置に少なくとも1個の三重結合を含み、かつ同じく1個以上の二重結合を含んでも含まなくともよい、C2-12アルキニル基、好適にはC2-6アルキニル基、例えばC2-4アルキニル基を意味する。アルキニル基は、直鎖、又は分枝してよい。アルキニル基の例は、プロピニル及びブチニルを含む。
表現「アルキレン」は、特に制限されない限り、nが整数、例えば2〜5である式-(CH2)n-の鎖を意味する。
【0024】
表現「シクロアルキル」は、特に制限されない限り、C3-10シクロアルキル基(すなわち、3〜10個の環炭素原子)、より好適にはC3-8シクロアルキル基、例えばC3-6シクロアルキル基を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。環炭素原子の最も好適な数は、3〜6個である。
【0025】
表現「シクロアルケニル」は、特に制限されない限り、C5-10シクロアルケニル基(すなわち5〜10個の環炭素原子)、より好適にはC5-8シクロアルケニル基、例えばC5-6シクロアルケニル基を意味する。シクロアルケニル基の例は、シクロプロペニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルを含む。環炭素原子の最も好適な数は、5〜6個である。
【0026】
表現「カルボシクリル」は、特に制限されない限り、全ての環原子が炭素であり、かつ3〜12個の環炭素原子を、好適には3〜10個の炭素原子、より好適には3〜8個の炭素原子を含む、任意の環システムを意味する。カルボシクリル基は、飽和又は部分的に不飽和であってよいが、芳香環は含まない。カルボシクリル基の例は、単環式、二環式、及び三環式の環システムを含み、特に単環式及び二環式の環システムである。他のカルボシクリル基は、架橋した環システム(例えばビシクロ[2.2.1]ヘプテニル)を含む。カルボシクリル基の具体例は、シクロアルキル基である。カルボシクリル基の更なる例は、シクロアルケニル基である。
【0027】
表現「ヘテロシクリル」は、特に制限されない限り、1個以上(例えば1、2又は3個)の環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により交換されているカルボシクリル基をいう。ヘテロシクリル基の具体例は、1個以上(例えば1、2又は3個、特に1又は2個、特別には1個)の環原子が、N、S又はOから選択されるヘテロ原子により交換されているシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、より特定するとシクロヘキシル)である。1個のヘテロ原子を含むヘテロシクリル基の例は、ピロリジン、テトラヒドロフラン及びピペリジンを含み、並びに2個のヘテロ原子を含むヘテロシクリル基の例は、モルホリン及びピペラジンを含む。ヘテロシクリル基の更なる具体例は、1個以上(例えば1、2又は3個、特に1又は2個、特別には1個)の環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により交換されているシクロアルケニル基(例えばシクロヘキセニル基)である。このような基の例は、ジヒドロピラニル(例えば3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル-)である。
【0028】
表現「アリール」は、特に制限されない限り、C6-12アリール基、好適にはC6-10アリール基、より好適にはC6-8アリール基を意味する。アリール基は、少なくとも1個の芳香環(例えば1、2又は3個の環)を含む。1個の芳香環を伴う典型的アリール基の例は、フェニルである。2個の芳香環を伴う芳香族基の例は、ナフチルである。
【0029】
表現「ヘテロアリール」は、特に制限されない限り、1個以上(例えば、1、2、3又は4個、好適には1、2又は3個)の環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により交換されているアリール残基か、若しくはさもなければ、N、S及びOから選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個、好適には1、2又は3個)の環原子を含む5-員の芳香環を意味する。1個のヘテロ原子を有する単環式ヘテロアリール基の例は、5員環(例えばピロール、フラン、チオフェン);並びに、6員環(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル及びピリジン-4-イルなどの、ピリジン)を含む。2個のヘテロ原子を有する単環式ヘテロアリール基の例は、5員環(例えばピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イルなどのイミダゾール);6員環(例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン)を含む。3個のヘテロ原子を有する単環式ヘテロアリール基の例は、1,2,3-トリアゾール及び1,2,4-トリアゾールを含む。4個のヘテロ原子を有する単環式ヘテロアリール基の例には、テトラゾールを含む。二環式ヘテロアリール基の例は、インドール(例えばインドール-6-イル)、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、キナゾリン及びプリンを含む。
【0030】
表現「-アルキルアリール」は、特に制限されない限り、アルキレン部分、例えばC1-4アルキレン部分を介して結合されているアリール残基を意味する。
表現「-アルキルヘテロアリール」は、特に制限されない限り、アルキレン部分、例えばC1-4アルキレン部分を介して結合されているヘテロアリール残基を意味する。
【0031】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、及び臭素(Br)を含む。
「アミノ」という用語は、-NH2基をいう。
「フェニルにより置換されたフェニル」という用語は、ビフェニルをいう。
【0032】
(立体異性体:)
主張された化合物の全ての可能性のある立体異性体が、本発明には含まれる。
本発明の化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、それに応じてこれらはエナンチオマーとして存在し得る。本化合物が2個以上のキラル中心を有する場合、これらは加えてジアステレオマーとして存在し得る。全てのそのような異性体及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含されることは理解されるべきである。
【0033】
(立体異性体の調製及び単離:)
本発明の化合物の調製方法が立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの通常の技術により分離されてよい。本化合物は、ラセミ体の形状で調製されるか、又は個別のエナンチオマーが、エナンチオ特異的合成によるか若しくは分割によるかのいずれかにより、調製されてよい。本化合物は、例えば、(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸のような光学活性のある酸との塩形成によるジアステレオマー対の形成、それに続く分別結晶及び遊離塩基の再生などの、標準技術により、それらの成分エナンチオマーに分割されてよい。本化合物は、ジアステレオマー的エステル又はアミドの形成、それに続くクロマトグラフィーによる分離及びキラル補助基の除去により、分割されてもよい。或いは本化合物は、キラルHPLCカラムを用い、分割されてよい。
【0034】
(医薬として許容し得る塩:)
遊離化合物とそれらの塩又は溶媒和物の形の化合物の間の密接な関係を考慮し、化合物がこの文脈において言及される限りは、対応する塩、溶媒和物又は多形体も、但しその状況下で可能又は適切であることを条件とし、意図されている。
【0035】
医薬品における使用に適している式(I)の化合物及びそれらの生理的に機能する誘導体の塩及び溶媒和物は、対イオン又は会合した溶媒が医薬として許容し得るようなものである。しかし医薬として許容し得ない対イオン又は会合した溶媒を有する塩及び溶媒和物は、例えば、他の化合物並びにそれらの医薬として許容し得る塩及び溶媒和物の調製における中間体としての使用に関して、本発明の範囲内である。
【0036】
本発明に適した塩は、有機及び無機の両方の酸又は塩基で形成されたものを含む。医薬として許容し得る酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えばp-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸又はナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、ケイヒ酸、置換ケイヒ酸(例えば、フェニル、メチル、メトキシ又はハロ置換されたケイヒ酸、4-メチル及び4-メトキシケイ皮酸を含む)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-若しくは4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4-ベンゼンジアクリル酸)、イセチオン酸、過塩素酸、プロピオン酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、パモ酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸及びトリフルオロ酢酸から形成されたものを含む。医薬として許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウムのものなどのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウムのものなどのアルカリ土類金属塩、並びにジシクロヘキシルアミン及びN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基との塩を含む。本発明の化合物の医薬として許容し得る酸付加塩の形は全て、本発明の範囲により包含されることが意図されている。
【0037】
(多形結晶形:)
更に本化合物の結晶形の一部は、多形体として存在してよく、かつそのようなものは、本発明に含まれることが意図されている。加えて一部の本化合物は、水との溶媒和物(すなわち水和物)又は一般的有機溶媒との溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。それらの塩を含む本化合物は同じく、それらの水和物の形で得られるか、又はそれらの結晶化に使用された他の溶媒を含むことができる。
【0038】
(プロドラッグ:)
本発明は更に、その範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグを含む。概してそのようなプロドラッグは、所望の治療的活性化合物へインビボにおいて容易に転換可能である化合物の官能基誘導体(functional derivative)であろう。従ってこれらの場合、本発明の治療法で、用語「投与する」は、1種以上の主張された化合物のプロドラッグ型であるが、被験者への投与後に先に特定された化合物へインビボで転換する型による、説明された様々な障害の治療を包含している。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製の通常の手順は、例えば、H. Bundgaard編集の文献「プロドラッグデザイン(Design of Prodrugs)」(Elsevier、1985年)に説明されている。
【0039】
(保護基:)
本発明の化合物の調製方法の間に、関心のある任意の分子上の感応性のある基又は反応基を保護することが必要及び/又は望ましいことがある。これは、J.F.W. McOmie編集の文献「有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry」」(Plenum Press、1973年);並びに、T.W. Greene及びP. G. M. Wutsの文献「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(John Wiley & Sons、1991年)に説明されているもののような、通常の保護基により実現することができ、これらの文献は引用により本明細書中に完全に組み込まれている。これらの保護基は、都合の良い引き続きの工程において、当該技術分野において公知の方法を用い除去することができる。
【0040】
本明細書において使用される用語「組成物」は、主張される化合物を治療的有効量含有する製品に加え、主張される化合物の組合せから直接又は間接に生じた任意の製品を包含することが意図されている。
【0041】
(ガレン製剤のための担体及び添加剤:)
従って、例えば懸濁剤、エリキシル剤及び液剤などの液体経口調製物に関して、好適な担体及び添加剤は、有利なことに、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などを含み;例えば散剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤及び錠剤などの固形経口調製物に関しては、好適な担体及び添加剤は、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などを含んでよい。
前述の混合物へ添加することができる担体は、好適な結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香味料、甘味料、保存剤、コーティング、崩壊剤、色素及び着色剤を含むが、これらに限定されるものではない、必要かつ不活性の医薬賦形剤を含む。
【0042】
ターゲティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを含むことができる。更に、本発明の化合物は、薬物の制御放出を実行する上で有用である生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸(polyactic acid)、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋した又は両親媒性ブロックコポリマーと組合せることができる。
【0043】
好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ乳糖のような天然の糖、トウモロコシ甘味料、例えばアカシアゴム、トラガカントゴムのような天然及び合成のゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されるものではない。
崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0044】
(発明の概要)
本発明に従い、式(I)の化合物又は、それらの全ての互変異性体及び立体異性体を含む、それらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは多形体が提供される:
【化4】

(式中、R1は、アルキル;二重結合が窒素に隣接していない、アルケニル;カルボシクリル;-C1-6アルキル-カルボシクリル;ヘテロシクリル;-C1-6アルキル-ヘテロシクリル;アリール;ヘテロアリール;-C1-6アルキルアリール;-C1-6アルキルヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル又はヘテロシクリルに縮合された-フェニルを表し;
ここで前述のカルボシクリル基及びヘテロシクリル基は、メチル及びオキソから選択された1個以上の基により任意に置換されることができ;
並びに、ここで前述のフェニル基、アリール基及びヘテロアリール基は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、-C(O)OC1-6アルキル、-SOC1-4アルキル及びSOC3-6シクロアルキルから選択された1個以上の置換基により任意に置換されることができるか;又は
R1は、フェニルにより置換されたフェニル、若しくは任意に置換された単環ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し、ここで前述のフェニル及び単環ヘテロアリール基のいずれかは、C1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択された1個以上の基により任意に置換されることができるか;又は
R1は、ベンジルオキシ-により置換されたフェニルを表し、ここで前述のフェニル又はベンジルオキシ基のいずれかは、C1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択された1個以上の基により環上で任意に置換されることができ;かつ
Aは、
【化5】

を表し(式中、Yは、1若しくは2個のメチル基により任意に置換されることができるか、又は同じ位置で2個のアルキレン置換基により任意に置換されることができ、これら2個のアルキレン置換基はC3-5スピロ-シクロアルキル基を形成するように互いに結合されている、C2-5アルキレン鎖を表し、並びに
R2、R3及びR4は、独立して、H又はC1-2アルキルを表し、但しR2及びR3及びR4は、全てはHを表さないことを条件とする。)か;又は
Aは、
【化6】

を表し(式中、Zは、結合、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(Me)-、-CH(Me)-CH2-若しくは-CH2-CH(Me)-を表し、並びに
R5及びR6は、独立してH又はC1-2アルキルを表す。);並びに
Bは、H又はメチルを表す。)。
【0045】
典型的には、R1は、アルキル;二重結合が窒素に隣接していない、アルケニル;カルボシクリル;-C1-6アルキル-カルボシクリル;ヘテロシクリル;-C1-6アルキル-ヘテロシクリル;アリール;ヘテロアリール;-C1-6アルキルアリール;-C1-6アルキルヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル又はヘテロシクリルに縮合された-フェニルを表し;
ここで前述のカルボシクリル基及びヘテロシクリル基は、メチル及びオキソから選択された1個以上の基により任意に置換されることができ;
並びに、ここで前述のフェニル基、アリール基及びヘテロアリール基のいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択された1個以上の置換基により任意に置換されることができるか;又は
R1は、フェニルにより置換されたフェニル、若しくは任意に置換された単環ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し、ここで前述のフェニル基及び単環ヘテロアリール基のいずれかは、C1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択された1個以上の基により任意に置換されることができる。)。
【0046】
式(I)の化合物は、二重結合でシアノにより置換された(E)若しくは(Z)異性体のいずれか、又はそれらの混合として提供される。(E)又は(Z)異性体又はそれらの混合物の対象は、
【化7】

により示される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(発明の詳細な説明)
カルボシクリル及びヘテロシクリルが置換される場合、それらは、1又は2個の置換基(例えば1個の置換基)によって典型的には置換される。典型的には、置換基はメチルである。より典型的には、カルボシクリル基及びヘテロシクリル基は、非置換である。
【0048】
アリール及びヘテロアリールが置換される場合、それらは1、2又は3個(例えば1又は2個)の置換基によって典型的には置換される。アリール及びヘテロアリールの置換基は、C1-6アルキル(例えばメチル)、C2-6アルケニル(例えばブテン-3-イル)、C2-6アルキニル(例えばブチン-3-イル)、C1-6ハロアルキル(例えばフルオロメチル、トリフルオロメチル)、-C1-6チオアルキル(例えば-S-メチル)、-SO2C1-4アルキル(例えば-SO2メチル)、C1-6アルコキシ-(例えばメトキシ、エトキシ)、-O-C3-8シクロアルキル(例えば-O-シクロペンチル)、C3-8シクロアルキル(例えばシクロプロピル、シクロヘキシル)、-SO2C3-8シクロアルキル(例えば-SO2シクロヘキシル)、C3-6アルケニルオキシ-(例えば-O-ブテン-2-イル)、C3-6アルキニルオキシ-(例えば-O-ブテン-2-イル)、-C(O)C1-6アルキル(例えば-C(O)エチル)、-C(O)OC1-6アルキル(例えば-C(O)O-メチル)、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-(例えばメトキシ-エチル-)、ニトロ、ハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ)、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル(例えば-NHメチル)、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)(例えば-N(メチル)2)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)(例えば-C(O)N(メチル)2)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)(例えば-C(O)NHメチル)から選択される。更に適切な例は、-C(O)OC1-6アルキル(例えば-C(O)OMe)、-SOC1-4アルキル(例えばSOMe)、及び-SOC3-6シクロアルキル(例えば-SO-シクロプロピル)である。より典型的には、置換基は、C1-6アルキル(例えばメチル)、C1-6ハロアルキル(例えばC1-6フルオロアルキル、例えばCF3)、C1-6アルコキシ(例えばOMe)、ハロゲン、ヒドロキシ及びシアノから選択される。最も典型的には、置換基は、C1-6アルキル(例えば、メチル)、C1-6ハロアルキル(例えば、C1-6フルオロアルキル、例えばCF3)、C1-6アルコキシ(例えば、OMe)、ハロゲン及びヒドロキシから選択される。
【0049】
R1がアルキルを表す場合、例はプロピル(例えばn-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えばn-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチル)、ペンチル(例えばn-ペンチル、3,3-ジメチルプロピル)、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルを含む。
【0050】
R1がアルケニルを表す場合は、例はプロペン-2-イル(すなわち、-CH2-CH=CH2)、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル及びペンテン-3-イルを含む。
【0051】
R1がカルボシクリル(それは、任意に置換されることができる)を表す場合は、例はシクロアルキル及びシクロアルケニルを含む。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。シクロアルケニルの例は、シクロヘキセニル(例えばシクロヘキサ-2-エニル、シクロヘキサ-3-エニル)を含む。置換カルボシクリルの例は、2-メチル-シクロヘキシル-、3-メチル-シクロヘキシル-、4-メチル-シクロヘキシル-、2-メチル-シクロヘキサ-2-エニル、2-メチル-シクロヘキサ-3-エニル、3-メチル-シクロヘキサ-3-エニル、3-メチル-シクロヘキサ-3-エニルを含む。
【0052】
R1が-C1-6アルキル-カルボシクリル(それは、任意に置換されることができる)を表す場合は、例は、-メチル-シクロペンチル、-メチル-シクロヘキシル、-エチル-シクロヘキシル、-プロピル-シクロヘキシル、-メチル-シクロヘキセニル、-エチル-シクロヘキセニル、-メチル(4-メチルシクロヘキシル)、及び-プロピル(3-メチルシクロヘキシル)を含む。
【0053】
R1がヘテロシクリル(それは、任意に置換されることができる)を表す場合は、例は、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、ピペリジニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、ピロリジニル、メチルテトラヒドロフラニル-(例えば5-メチルテトラヒドロフラン-2-イル)を含む。
【0054】
R1が-C1-6アルキル-ヘテロシクリル(それは、任意に置換されることができる)を表す場合は、例は、-メチル-テトラヒドロフラニル(例えば-メチル-テトラヒドロフラン-2-イル、-メチル-テトラヒドロフラン-3-イル)、-エチル-テトラヒドロフラニル、-メチル-ピペリジニルを含む。
【0055】
R1が任意に置換アリールを表す場合、アリールは典型的にはフェニルを表すことができる。アリールは最も典型的には、置換されたフェニルを表す。置換されたフェニル基の例は、2,4-ジクロロフェニル-、2,4-ジフルオロフェニル-、2,4-ジメトキシフェニル-、2,4-ジメチルフェニル-2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-、2,4,6-トリフルオロフェニル-、2,4,6-トリメチルフェニル-、2,6-ジクロロフェニル-、2,6-ジフルオロフェニル-、2,6-ジメトキシフェニル-、2-イソプロピル-6-メチルフェニル-、3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル-、3,4,5-トリメトキシフェニル-、3,4-ジメトキシフェニル-、3,4-ジクロロフェニル-、3,4-ジメチルフェニル-、3,4,5-トリフルオロフェニル-、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-、3,5-ジメトキシフェニル-、3-メトキシフェニル-、4-(トリフルオロメチル)フェニル-、4-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)フェニル-、4-ブロモフェニル-、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル-、4-クロロフェニル-、4-シアノフェニル-、4-エトキシフェニル-、4-エチルフェニル-、4-フルオロフェニル-、4-イソプロピルフェニル-、4-メトキシフェニル-を含む。或いは、R1は、非置換のフェニル-を表す。
【0056】
R1が任意に置換されたアリールを表し、かつアリールがナフチルを表す場合に、例は、非置換のナフチル(例えばナフタレン-1-イル、ナフタレン-2-イル、ナフタレン-3-イル)に加え、置換ナフチル(例えば4-メチル-ナフタレン-2-イル-、5-メチル-ナフタレン-3-イル-、7-メチル-ナフタレン-3-イル-及び-4-フルオロ-ナフタレン-2-イル-)を含む。
【0057】
R1が任意に置換されたヘテロアリールを表す場合、例は、任意に置換することができる単環式環(例えば5員又は6員の環)及び二環式環(例えば9員又は10員の環)を含む。5員環の例は、ピロリル(例えば、ピロール-2-イル)及びイミダゾリル(例えば、1H-イミダゾール-2-イル又は1H-イミダゾール-4-イル)、ピラゾリル(例えば1H-ピラゾール-3-イル)、フラニル(例えばフラン-2-イル)、チアゾリル(例えばチアゾール-2-イル)、チオフェニル(例えば、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル)である。6員環の例は、ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル及びピリジン-4-イル)である。言及することができる特定の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル(例えばメチル)及びアルコキシ-(例えばメトキシ-)から選択される1個以上、例えば1、2又は3個の基である。置換された5員環の例は、4,5-ジメチル-フラン-2-イル-、5-ヒドロキシメチル-フラン-2-イル-、5-メチル-フラン-2-イル-、及び6-メチル-ピリジン-2-イル-を含む。置換された6-員環の例は、1-オキシ-ピリジン-4-イル-である。9員環の例は、1H-インドリル(例えば1H-インドール-3-イル、1H-インドール-5-イル)、ベンゾチオフェニル(例えばベンゾ[b]チオフェン-3-イル、特に2-ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)、ベンゾ[1,2,5]-オキサジアゾリル(例えばベンゾ[1,2,5]-オキサジアゾール-5-イル)、ベンゾ[1,2,5]-チアジアゾリル(例えばベンゾ[1,2,5]-チアジアゾール-5-イル)を含む。10員環の例は、キノリニル(例えば、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、キノリン-8-イル)である。言及することができる特定の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル(例えばメチル)及びアルコキシ-(例えばメトキシ-)から選択される1個以上、例えば1、2又は3個の基である。置換された9-員環の例は、1-メチル-1H-インドール-3-イル、2-メチル-1H-インドール-3-イル、6-メチル-1H-インドール-3-イルである。置換された10員環の例は、2-クロロ-キノリン-3-イル、8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル、オキソ-クロメニル(例えば4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)及び6-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イルである。
【0058】
R1が、アリールが任意に置換された-アルキルアリールを表す場合、例は、-C1-4アルキルアリールを含む。別の特定の基は、例えばフェニルが、アルキル、フルオロアルキル、ハロゲン及びアルコキシ(例えばメチル、トリフルオロメチル、tert-ブチル、クロロ、フルオロ及びメトキシ)から選択される1個以上の基によって置換され、かつ例えばアルキルが、C1-4アルキルであるような、-アルキル(置換フェニル)である。別の特定の基は、例えば二環式アリールが任意に置換されたナフチルである、-アルキル(二環式アリール)である。更に特定の基は、ベンジルである。
【0059】
R1が、ヘテロアリールが任意に置換された-アルキルヘテロアリールを表す場合、例は、-C1-4アルキルヘテロアリール、例えばヘテロアリールが任意に置換された、-メチルヘテロアリール及び-エチルヘテロアリール(例えば1-ヘテロアリールエチル-及び2-ヘテロアリールエチル-)、-プロピルヘテロアリール、及び-ブチルヘテロアリールである。-アルキルヘテロアリール基の具体例は、ピリジニルメチル-、N-メチル-ピロール-2-メチル-、-N-メチル-ピロール-2-エチル-、N-メチル-ピロール-3-メチル-、N-メチル-ピロール-3-エチル-、2-メチル-ピロール-1-メチル-、2-メチル-ピロール-1-エチル-、3-メチル-ピロール-1-メチル-、3-メチル-ピロール-1-エチル-、4-ピリジノ-メチル-、4-ピリジノ-エチル-、2-(チアゾール-2-イル)-エチル-、2-エチル-インドール-1-メチル-、2-エチル-インドール-1-エチル-、3-エチル-インドール-1-メチル-、3-エチル-インドール-1-エチル-、4-メチル-ピリジン-2-メチル-、4-メチル-ピリジン-2-イル-エチル-、4-メチル-ピリジン-3-メチル-、4-メチル-ピリジン-3-エチル-を含む。
【0060】
R1が、任意に置換されたカルボシクリルに縮合された任意に置換された-フェニルを表す場合、例は、インダニル(例えばインダン-4-イル-、2-メチル-インダン-4-イル-)、インデニル及びテトラリニルを含む。
R1が、任意に置換されたヘテロシクリルに縮合された任意に置換された-フェニルを表す場合、例は、ベンゾ[1,3]ジオキソ-4-イル-、及び2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-4-イル-を含む。
【0061】
R1が、前述のフェニル及び/又はヘテロアリール基のいずれかが任意に置換されることができる、フェニルにより置換されたフェニル、又は単環式ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表す場合、典型的にはこの窒素原子に直接結合されるフェニル環は、非置換であり、かつ末端のフェニル環又は単環式ヘテロアリール環は、1、2又は3個の置換基(例えば1又は2個、例えば1個))により任意に置換される。典型的には、末端のフェニル又は単環式ヘテロアリール基は、非置換である。典型的には、末端のフェニル又は単環式ヘテロアリール基は、4-位で他のフェニル基を置換する。例は、-ビフェニル-4-イル及び4-(オキサゾール-5-イル)フェニル-を含む。
【0062】
R1が、前述のフェニル又はベンジルオキシ基のいずれかが環上でC1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択される1個以上の基により任意に置換されることができる、ベンジルオキシ-により置換されたフェニルを表す場合、例は、4-(ベンジルオキシ)フェニル-を含む。更なる例は、4-((4-フルオロ-ベンジル)オキシ)フェニル-、4-((4-クロロ-ベンジル)オキシ)フェニル-、及び4-((4-メトキシ-ベンジル)オキシ)フェニル-を含む。典型的には、末端のベンジルオキシ基は、4-位でフェニル基を置換する。典型的には、窒素原子に直接結合されるフェニル環は、非置換である。
【0063】
Aが下記を表す場合、
【化8】

R2の例は、H、メチル及びエチルを含む。
R3の例は、H、メチル及びエチルを含む。
R4の例は、H、メチル及びエチルを含む。
【0064】
基Yの例は、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-CH2CH(Me)CH2-、-CH2CH(Me)CH2CH2-、-CH2CH2CH(Me)CH2-、及び
【化9】

(式中、イミダゾール環は、左側にある。)を含む。
【0065】
Aが下記を表す場合、
【化10】

R5の例は、H、メチル及びエチルを含む。
R6の例は、H、メチル及びエチルを含む。
【0066】
好適には、R1は、アルキル、アリール;カルボシクリル;ヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル;ヘテロシクリルに縮合されたフェニルを表すか;又は
R1は、任意に置換されたフェニルにより置換されたフェニル、若しくは単環式ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し;上述したアリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、フェニル及びヘテロシクリルはいずれも、任意に置換されることができる。
【0067】
R1が任意に置換されたアリールを表す場合、R1は任意に置換されたフェニル、特に置換されたフェニルを表す。置換基の例は、C1-6アルキル(例えばメチル、エチル、イソプロピル)、C1-6アルコキシ(例えばメトキシ)、-O-C3-8シクロアルキル(例えば-O-シクロペンチル)、C1-6ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)及びハロゲン(例えばクロロ)から選択される。
【0068】
より好適には、R1は、アリール;ヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル;単環式ヘテロシクリルに縮合されたフェニルを表すか;又は
R1は、フェニルにより置換されたフェニル、又は単環式ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し;ここで、前述のフェニル、ヘテロアリール、カルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれも任意に置換されることができる。
【0069】
一実施態様において、R1は、任意に置換されたアリールを表す。別の実施態様において、R1は、任意に置換されたヘテロアリールを表す。第三の実施態様において、R1は、任意に置換されたカルボシクリルに縮合された任意に置換されたフェニルを表す。別の実施態様において、R1は、任意に置換されたヘテロシクリルに縮合された任意に置換されたフェニルを表す。更なる実施態様において、R1は、任意に置換されたフェニルにより置換された任意に置換されたフェニル又は任意に置換された単環ヘテロアリール基により置換された任意に置換されたフェニルを表す。
【0070】
R1が任意に置換されたアリールを表す場合、R1は好適には任意に置換されたフェニル、特に置換フェニルを表す。
R1が置換フェニルを表す場合、フェニルは好適には、1、2又は3個の置換基(例えば、1又は2個の置換基、例えば1個の置換基、例えば1個の置換基)を有する。フェニルが3個の置換基を有する場合、これらの置換基は例えば、フェニル環の2、4及び6位、或いはフェニル環の3、4及び5位に存在する。フェニルが2個の置換基を有する場合、これらの置換基は例えば、フェニル環の3及び4位、又はフェニル環の3及び5位に存在する。フェニルが1個の置換基を有する場合、これらの置換基は、フェニル環の2、3又は4位に、最も好適にはフェニル環の4位に存在する。
【0071】
置換基の例は、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)、C1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、C1-6ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)及びハロゲン(例えば、クロロ)から選択される。別の置換基の例は、シアノである。更なる置換基の例は、C1-3アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)、C1-3アルコキシ(例えば、メトキシ)、C1-3ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ハロゲン(例えば、クロロ)及びシアノから選択される。具体例は、2,4,6-トリメチルフェニル-、3,4,5-トリメトキシフェニル-、3,4-ジクロロフェニル-、3,4-ジメチルフェニル-、3,5-ジメトキシフェニル-、4-メトキシフェニル-、4-シアノフェニル-、4-エトキシフェニル-、4-エチルフェニル-、4-イソプロピルフェニル-又は4-メトキシフェニル-を含む。
【0072】
R1が非置換のアリールを表す場合、R1は好適には、フェニル、ナフタレン-1-イル又はナフタレン-2-イルを表す。
R1が任意に置換されたヘテロアリールを表す場合は、R1は好適には、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-6-イルを表す。
【0073】
R1が任意に置換されたヘテロシクリルに縮合された任意に置換されたフェニルを表す場合、R1は好適には、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル又はベンゾ[d][1,3]ジオキソール-6-イルを表す。
R1がフェニルにより置換されたフェニル、又は単環式ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表す場合、前述のフェニル及び/又は単環式ヘテロアリールは任意に置換されてよい。R1は好適にはビフェニル-4-イルを表す。
【0074】
より好適にはR1は、アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリルに縮合されたフェニルを表すか;
又は、R1は、前述のフェニル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルのいずれかは任意に置換されることができる、フェニルにより置換されたフェニル、又は単環式ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表す。
【0075】
最も好適には、R1は、置換されたフェニルを表すか、又はR1は、ヘテロシクリルに縮合されたフェニルを表す。
最も好適には、R1は、置換されたフェニルを表す。或いは、最も好適には、R1は、ヘテロシクリルに縮合されたフェニルを表す。
【0076】
好適には、Aは、下記を表す:
【化11】

【0077】
、R2は好適にはHを表し、R3は好適にはH又はメチルを表し、R4は、好適にはH又はメチルを表す。
本発明の一実施態様において、R3はHを表し、かつR4はメチルを表す。別の実施態様において、R3はメチルを表し、かつR4はHを表す。
好適には、R2はHを表し、R3はHを表し、かつR4はメチルを表す。
【0078】
好適なYは、非置換のC2-5アルキレン鎖を表す。より好適には、Yは、-(CH2)3-又は-(CH2)4-を表す、一実施態様において、Yは、-(CH2)3-を表す。別の実施態様において、Yは、-(CH2)4-を表す。
【0079】
Yが、同じ位置で2個のアルキレン置換基により置換され、これら2個のアルキレン置換基はC3-5スピロ-シクロアルキル基を形成するように互いに結合されているC2-5アルキレン鎖を表す場合、このスピロ-シクロアルキル基は好適には、C3スピロ-シクロアルキルである。
【0080】
或いは、Aは:
【化12】

を表す。
【0081】
一実施態様において、R5は、Hを表し、かつR6は、Hを表す。別の実施態様において、R5は、Hを表し、かつR6は、C1-2アルキルを表す。第三の実施態様において、R5は、C1-2アルキルを表し、かつR6は、Hを表す。
【0082】
好適には、Zは、結合、-CH2-又は-CH2CH2-を表す。一実施態様において、Zは、結合を表す。別の実施態様において、Zは、-CH2-を表す。第三の実施態様において、Zは、-CH2CH2-を表す。
【0083】
より好適には、Aは:
【化13】

を表す。
【0084】
最も好適には、Aは:
【化14】

特に、
【化15】

を表し、Bは好適にはHを表す。
【0085】
ベンズイミダゾリルが、以下のように表されるベンズイミダゾール-5-イルとして示される場合:
【化16】

当業者は、以下のように表されるベンズイミダゾール-6-イル:
【化17】

は、等価の構造であることを理解するであろう。本明細書中に使用されるように、ベンズイミダゾリルの2つの形態は「ベンズイミダゾール-5-イル」という用語によって対象とされる。
【0086】
(製法)
式(I)の化合物:
【化18】

(式中、R1、A及びBは先に規定される)の調製方法は、式(II)の化合物:
【化19】

の、式(III)の化合物:
【化20】

との反応を含む。この反応は、典型的には、二硫化水素を除去する試薬(例えば、N1-((エチルイミノ)メチレン)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン塩酸塩のような、カルボジイミド)の存在下で実行される。
この反応は、極性有機溶媒又はそれらの混合物(例えば、エタノール及びジメチルホルムアミドの混合物)中において、実行することができる。
【0087】
式(II)の化合物は、式(IV)の化合物:
【化21】

(式中、M+は、金属イオン(例えばナトリウムイオン、Na+)を表す。)の、式(V)の化合物:
【化22】

との反応により、調製することができる。
この反応は、高温で極性プロトン性有機溶剤(例えばエタノールなどのアルコール)中において好適に実行することができる。
【0088】
式(III)、(IV)及び(V)の化合物は、公知であるか、又はそれ自体は公知の従来の方法により調製することができるかのいずれかである。
【0089】
或いは、式(I)の化合物は、式(VI)の化合物:
【化23】

(式中、R7は、C1-6アルキル、例えばメチルを表す。)の、式(III)の化合物:
【化24】

との反応により調製することができる。
この反応は好適には、高温で極性プロトン性有機溶媒(例えば、エタノールなどの、アルコール)中で実行することができる。
【0090】
式(VI)の化合物は、式(VII)の化合物:
【化25】

(式中、R8は、C1-6アルキル、例えばメチルを表す。)の、式(VIII)の化合物:
【化26】

との反応により調製することができる。
この反応は好適には、高温で極性プロトン性有機溶媒(例えば、エタノールなどの、アルコール)中で実行することができる。
【0091】
式(VI)の化合物は、その場(in-situ)で形成され、すなわち式(VI)の化合物は、式(VII)及び式(VIII)の化合物の反応後、式(I)の化合物の反応へ向かう以前に、反応混合物から単離される必要はない。
【0092】
式(III)、(VII)及び(VIII)の化合物は、公知であるか、又はそれ自体は公知の従来の方法により調製することができるかのいずれかである。例えば、Buchholzらの論文(J. Med Chem., 49(2), p664-677 (2006))を参照されたい。
【0093】
例えば、Aが:
【化27】

(式中、R2、R3、R4及びYは、先に規定されたものであり、並びにBはHを表す。)を表す場合、式(IIIa)の化合物:
【化28】

は、(例えばヒドラジンの使用による)イソインドリン-1,3-ジオン基の開裂により、式(IX)の化合物から調製することができる:
【化29】


【0094】
式(IX)の化合物は、式(X)の化合物:
【化30】

(式中、PGは保護基(例えばトリチル)を表し、かつL-は、Br-などの適切な対イオンを表す。)の脱保護によって調製することができる。(PGがトリチルを表す場合、好適な脱保護条件は、トリフルオロ酢酸の使用を含む)。
【0095】
式(X)の化合物は、式(XI)の化合物:
【化31】

の、式(XII)の化合物:
【化32】

(式中、Lは、適切な脱離基、例えばBrを表す。)との反応によって調製することができる。
この反応は、典型的には、有機溶剤(例えばアセトニトリル)中で、高温で実行することができる。
【0096】
式(XI)の化合物は、極性有機溶媒(例えばジメチルホルムアミド)中で、塩基(例えばトリエチルアミン)及び適切な保護試薬(例えばクロロトリフェニルメタン)の存在下で、式(XIII)の化合物:
【化33】

から調製することができる。
式(XII)及び(XIII)の化合物は、公知であるか、又はそれ自体は公知の従来の方法によって調製することができるかのいずれかである。
【0097】
(治療的用途)
哺乳動物におけるQC(EC)の生理的基質は、例えば、アミロイドβ-ペプチド(3-40)、(3-42)、(11-40)及び(11-42)、ABri、ADan、ガストリン、ニューロテンシン、FPP、CCL2、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18、フラクタルキン、オレキシンA、[Gln3]-グルカゴン(3-29)、[Gln5]-サブスタンスP(5-11)及びペプチドQYNADである。更なる詳細については、表1を参照されたい。本発明の化合物及び/又は組合せ及び少なくとも1種のQC(EC)阻害剤を含有する医薬組成物は、QC活性の調節により治療することができる状態の治療に有用である。
【0098】
【表1】






【0099】
グルタミン酸は、アミロイドβ-ペプチドの3、11及び22位に認められる。それらの中で、22位のグルタミン酸(E)からグルタミン(Q)への変異(アミロイド前駆体タンパク質APP 693、Swissprot P05067に対応)は、いわゆるオランダ型脳動脈アミロイドーシス変異として説明されている。
3、11及び/又は22位にピログルタミン酸残基を伴うβ-アミロイドペプチドは、アミロイドβ-ペプチド1-40(42/43)よりも、より細胞毒性があり、かつより疎水性であることが説明されている(Saido T.C.の論文、Medical Hypotheses, 54(3): 427-429 (2000))。
【0100】
複数のN-末端変種、例えばAβ(3-40)、Aβ(3-42)、Aβ(11-40)及びAβ(11-42)は、β-セクレターゼ酵素である異なる部位でのβ-位アミロイド前駆体タンパク質-切断酵素(BACE)によるか(Huse J.T.らの論文、J. Biol. Chem. 277(18): 16278-16284 (2002))、及び/又は完全長ペプチドAβ(1-40)及びAβ(1-42)からのアミノペプチダーゼ若しくはジペプチジルアミノペプチダーゼプロセシングにより、作製することができる。全ての場合において、その後N-末端に生じるグルタミン酸残基の環化は、QCにより触媒される。
【0101】
経上皮輸送細胞(transepithelial transducing cell)、特にガストリン(G)細胞は、胃酸分泌を、胃内の食品到達と連係させる。最近の研究は、複数の活性生成物が、ガストリン前駆体から形成されること、及びガストリン生合成において複数の制御ポイントが存在することを示した。生合成前駆体及び中間体(プロガストリン及びGly-ガストリン)は、成長因子と推定され;それらの生成物であるアミド化されたガストリンは、上皮細胞増殖、酸生成する壁細胞及びヒスタミン分泌するエンテロクロマフィン様(ECL)細胞の分化、並びにECL細胞におけるヒスタミンの合成及び貯蔵に関連した遺伝子の発現、更には酸分泌の急性の刺激を調節する。ガストリンは同じく、上皮増殖因子(EGF)ファミリーの一員の生成を刺激し、これは次に壁細胞機能を阻害するが、表面上皮細胞の成長は刺激する。十二指腸潰瘍疾患及び胃癌のリスクが高いことがわかっているヘリコバクターピロリに感染した被験者において、血漿ガストリン濃度は上昇する(Dockray, G.J.の論文、J Physiol, 15 315-324 (1999))。
【0102】
ペプチドホルモンガストリンは、幽門洞G細胞から放出され、CCK-2受容体を介し、酸分泌粘膜中のECL細胞からのヒスタミンの合成及び放出を刺激することがわかっている。動員されたヒスタミンは、壁細胞上に局在したH(2)受容体に結合することにより、酸分泌を誘導する。最近の研究は、ガストリンは、その完全にアミド化された型又はより少なくプロセシングされた型(プロガストリン及びグリシル化ガストリン(glycine-extended gastrin))の両方とも胃腸管の成長因子であることを示唆している。アミド化されたガストリンの主要な栄養作用は、胃の酸分泌粘膜に関してであり、ここでこれは胃幹細胞及びECL細胞の増殖の増加を引き起こし、結果的に壁細胞及びECL細胞の体積の増加を生じることは確立されている。他方で、より少なくプロセシングされたガストリン(例えばグリシル化ガストリン)の主要な栄養標的は、結腸粘膜であるように見える(Koh, T. J.及びChen, D.の論文、Regul Pept, 9337-44 (2000))。
【0103】
ニューロテンシン(NT)は、精神分裂病において誤調節されることが先に明らかにされた、神経伝達物質系を特異的に調節する精神分裂病の病態生理に関与した神経ペプチドである。脳脊髄液(CSF)NT濃度が測定された臨床試験は、分裂病患者サブセットのCSF NT濃度の低下が、有効な抗精神病薬治療により回復したことを明らかにした。抗精神病薬の作用機序におけるNTシステムの関与と調和した考えられ得る証拠も存在する。中枢性に投与されたNTの行動的作用及び生化学的作用は、全身性に投与された抗精神病薬の作用に極めて類似しており、かつ抗精神病薬は、NT神経伝達を増強した。この一連の知見は、NTは内在性抗精神病薬として機能するという仮説に繋がる。更に定型又は非定型の抗精神病薬は、黒質線条体領域及び中脳辺縁系ドパミン末端領域におけるNT神経伝達を示差的に変更し、かつこれらの作用は、各々、副作用の易罹病性及び有効性を予測する(Binder, E. B.らの論文、Biol Psychiatry, 50 856-872 (2001))。
【0104】
受精促進ペプチド(FPP)は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)に関連したトリペプチドであり、これは精漿中に認められる。最近インビトロ及びインビボにおいて得られた証拠は、FPPは、精子受精能の調節において重要な役割を果たすことを示した。詳細には、FPPは最初に、受精していない(受精能未獲得の)精子を「スイッチを入れる」よう刺激し、より迅速に受精するようにするが、その後受精能獲得を停止し、その結果精子は、自発的な先体喪失を受けず、従って受精能を失わない。これらの反応は、アデニリルシクラーゼ(AC)/cAMPシグナル伝達経路を調節することがわかっているアデノシンにより模倣され及び事実上増強される。FPP及びアデノシンの両方は、受精能未獲得の細胞においてはcAMP生成を刺激するが、受精能獲得細胞においてはこれを阻害することが示されており、FPP受容体は何らかの形でアデノシン受容体及びGタンパク質と相互作用し、ACの調節を実現している。これらの事象は、一部は最初の「スイッチを入れる」際に重要であり、その他は恐らく先体反応それ自身に関与しているような、様々なタンパク質のチロシンリン酸化状態に影響を及ぼす。カルシトニン及びアンジオテンシンIIも精漿中に認められるが、これらはインビトロにおいて受精能未獲得の精子に対し類似した作用を有し、かつFPPに対する反応を増強することができる。これらの分子は、インビボにおいて同様の作用を有し、受精能を刺激しかつその後維持することにより、受胎率に影響を及ぼす。FPP、アデノシン、カルシトニン、及びアンジオテンシンIIの利用可能性の低下又はそれらの受容体の欠損のいずれかが、男性不妊の一因となっている(Fraser, L. R.及びAdeoya-Osiguwa, S. A.の論文、Vitam Horm, 63, 1-28(2001))。
【0105】
CCL2(MCP-1)、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18及びフラクタルキンは、骨髄前駆細胞の増殖の抑制、新生物形成、炎症性宿主反応、癌、乾癬、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、血管炎、液性及び細胞性免疫反応、内皮での白血球接着及び遊走プロセス、炎症性腸疾患、再狭窄、肺線維症、肺高血圧症、肝線維症、肝硬変、腎硬化症、心室リモデリング、心不全、臓器移植後の動脈疾患及び静脈移植血管の不全などの病態生理学的状態において、重要な役割を果たす。
【0106】
多くの研究が、特に下記疾患の発症に関するMCP-1の重要な役割を強調している:アテローム性動脈硬化症(Gu, L.らの論文、Mol.Cell, 2, 275-281 (1998);Gosling, J.らの論文、J Clin.Invest, 103, 773-778 (1999));関節リウマチ(Gong, J. H.らの論文、J Exp.Med, 186, 131-137 (1997);Ogata, H.らの論文、J Pathol, 182: 106-114 (1997));膵炎(Bhatia, M.らの論文、Am.J Physiol Gastrointest.Liver Physiol, 288, G1259-G1265 (2005));アルツハイマー病(Yamamoto, M.らの論文、Am.J Pathol., 166, 1475-1485 (2005));肺線維症(Inoshima, I.らの論文、Am.J Physiol Lung Cell Mol.Physiol, 286, L1038-L1044 (2004));腎線維症(Wada, T.らの論文、J Am.Soc.Nephrol. 15, 940-948 (2004));及び、移植拒絶反応(Saiura, A.らの論文、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 24, 1886-1890 (2004))。更にまた、MCP-1は、妊娠中毒症(Katabuchi, H.らの論文、Med Electron Microsc, 36, 253-262 (2003))、腫瘍発生における傍分泌因子として(Ohta, M.らの論文、Int.J Oncol, 22, 773-778;(2003);Li, S.らの論文、J Exp.Med 202, 617-624 (2005))、神経因性疼痛(White, F. A.らの論文、Proc. Natl. Acad.Sci.U.S.A, (2005))、及びAIDS(Park, I. W.、Wang, J. F.、及びGroopman, J. E.の論文、Blood 97, 352-358 (2001);Coll, B.らの論文、Cytokine, 34, 51-55 (2006))においても重要な役割を果たす。
【0107】
MCP-1レベルは、AD患者及び軽度認識障害(MCI)を示している患者のCSFにおいて増加する(Galimberti, D.らの論文、Arch.Neurol. 63, 538-543 (2006))。更にまたMCP-1は、MCI患者及び初期AD患者の血清中において増加したレベルを示す(Clerici, F.らの論文、Neurobiol.Aging, 27、1763-1768 (2006))。
【0108】
最近B型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス及びメラノーマに対する細胞傷害性Tリンパ球ペプチド-ベースのワクチンがいくつか、臨床試験において研究された。単独で又は他の腫瘍抗原と組合せた、ひとつの興味深いメラノーマワクチン候補は、デカペプチドELAである。このペプチドは、N-末端グルタミン酸を伴う、Melan-A/MART-1抗原免疫優性ペプチドアナログである。グルタミン酸のアミノ基及びγ-カルボキシル基に加え、グルタミンのアミノ基及びγ-カルボキシアミド基は、容易に縮合し、ピログルタミン酸誘導体を形成することが報告されている。この安定性の問題点を克服するために、薬理学的特性を失うことなく、N-末端グルタミン又はグルタミン酸の代わりにピログルタミン酸を持つ、医薬として興味深いいくつかのペプチドが、開発されている。残念ながらELAと比べ、ピログルタミン酸誘導体(PyrELA)及び同じくN-末端にアセチル-キャップが付いた誘導体(AcELA)は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性を誘起することに失敗した。PyrELA及びAcELAには明らかに小さい修飾が導入されたにもかかわらず、これらふたつの誘導体は、恐らく、特異的主要組織適合遺伝子複合体クラスIに関して、ELAよりもより低い親和性を有するであろう。結果的に、ELAの完全な活性を保存するためには、PyrELAの形成は避けなけばならない(Beck A.らの論文、J Pept Res 57(6):528-38 (2001))。
【0109】
オレキシンAは、恐らくこれらの補完的な恒常性維持機能の複雑な行動反応及び生理反応を調和させることにより、食物摂取及び睡眠-覚醒の調節において重要な役割を果たす神経ペプチドである。これは、エネルギー代謝、自律神経機能、ホルモン平衡の恒常性調節、及び体液の調節においても役割を果たす。
【0110】
最近、多発性硬化症又はギラン・バレー症候群に罹患した患者の脳脊髄液(CSF)中で、健常者と比べ、上昇したレベルのペンタペプチドQYNADが同定された(Brinkmeier H.らの論文、Nature Medicine 6, 808-811 (2000))。ペンタペプチドGln-Tyr-Asn-Ala-Asp(QYNAD)の作用機序に関する文献においては、特に中枢神経系の炎症性自己免疫疾患に関連している、軸索機能障害の促進を生じるナトリウムチャネルとの相互作用及びそのブロックにおけるQYNADの有効性において、大きな矛盾が存在する。しかし最近になって、QYNADではなく、その環化されたピログルタミン酸型pEYNADが活性型であり、これがナトリウムチャネルをブロックし、その結果軸索機能障害の促進をもたらすことが明らかにされた。ナトリウムチャネルは、髄鞘形成された軸索において高密度で発現し、哺乳動物の脳及び脊髄内で軸索に沿った活動電位の伝達という必須の(obligatory)役割を果たす。従ってこれらは、炎症性自己免疫疾患、特に多発性硬化症、ギラン・バレー症候群及び慢性炎症性脱髄性多発神経根障害の病態生理のいくつかの面に関与していることが、推測される。
【0111】
更にQYNADは、酵素グルタミニルシクラーゼ(QC, EC 2.3.2.5)の基質であり、これは同じく哺乳動物の脳、特にヒト脳内に存在する。グルタミニルシクラーゼは、pEYNADのその前駆体QYNADからの形成を効果的に触媒する。
【0112】
従って本発明は、下記からなる群から選択される疾患を予防又は緩和又は治療するための医薬品の調製のための式(I)の化合物の使用を提供する:軽度認識障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群の神経変性、ハンチントン舞踏病、ケネディ病、潰瘍疾患、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー-エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病的精神病的状態、精神分裂病、不妊、新生物形成、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、膵炎、再狭窄、液性及び細胞性免疫反応障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群及び慢性炎症性脱髄性多発神経根障害。
【0113】
更に、本発明の化合物を哺乳動物へ投与することにより、骨髄前駆細胞の増殖を刺激することが可能である。
加えて、本発明のQC阻害剤の投与は、男性不妊の抑制を導くことができる。
好ましい実施態様において、本発明は、特にニューロン疾患、アテローム性動脈硬化症及び多発性硬化症を治療するための、他の作用物質と併用する、QC(EC)活性の阻害剤の使用を提供する。
【0114】
本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物の治療的有効量を、哺乳動物、好ましくはヒトへ投与することを含む、前述の疾患を治療する方法も提供する。
最も好ましくは、前記方法及び対応する使用は、少なくとも1種の式(I)の化合物の治療的有効量を、哺乳動物、好ましくはヒトへ投与することを含む、軽度認識障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群における神経変性、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される疾患の治療のためである。
【0115】
更に好ましくは、本発明は、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、膵炎及び再狭窄の治療のための、治療法及び対応する使用を提供する。
【0116】
(医薬併用)
好ましい実施態様において、本発明は、少なくとも1種のQC阻害剤を、向知性薬、神経保護薬、抗パーキンソン薬、アミロイドタンパク質沈着阻害薬、βアミロイド合成阻害薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬及び多発性硬化症治療薬からなる群から選択される少なくとも1種の他の作用物質と任意に組合せて含有する、組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。
最も好ましくは、前記QC阻害剤は、本発明の式(I)の化合物である。
【0117】
より詳細には、前述の他の作用物質は、以下からなる群より選択される:βアミロイド抗体、システインプロテアーゼ阻害剤、PEP-阻害剤、LiCl、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、アミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはジペプチジルペプチダーゼの阻害剤、最も好ましくはDP IV阻害剤;中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、TNFα阻害剤、ムスカリン性M1受容体アンタゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、シグマ-1受容体阻害剤、ヒスタミンH3アンタゴニスト、免疫調節薬、免疫抑制薬、MCP-1アンタゴニスト、又はアンテグレン(ナタリズマブ)、Neurelan(ファムプリジン-SR)、カンパス(アレムツズマブ)、IR 208、NBI 5788/MSP 771(チプリモチド)、パクリタキセル、Anergix.MS(AG 284)、SH636、ディフェリン(CD 271, アダパレン)、BAY 361677(インターロイキン-4)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-阻害剤(例えば、BB 76163)、インターフェロン-τ(トロホブラスチン)及びSAIK-MS。
【0118】
更に他の作用物質は、例えば、以下からなる群から選択される、抗不安薬又は抗うつ薬であってよい:
(a)ベンゾジアゼピン、例えば、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルジアゼパム、ロフラゼプ酸、ロラゼパム、メタカロン、オキサゼパム、プラゼパム、トランゼン、
(b)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、
(c)三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、
(d)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、
(e)アザピロン系薬、例えば、ブスピロン、タンドスピロン(tandopsirone)、
(f)セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えば、ベンラファキシン、デュロキセチン、
(g)ミルタザピン、
(h)ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、レボキセチン、
(i)ブプロピオン、
(j)ネファゾドン、
(k)β-遮断薬、
(l)NPY-受容体リガンド:NPYアゴニスト又はアンタゴニスト。
【0119】
更なる実施態様において、他の作用物質は、例えば、以下からなる群から選択される、多発性硬化症治療薬であってよい:
a)ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、例えば、SC-12267、テリフルノミド、MNA-715、HMR-1279(HMR-1715、MNA-279と同義)、
b)自己免疫抑制薬、例えば、ラキニモド、
c)パクリタキセル、
d)抗体、例えば、AGT-1、抗-顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)モノクローナル抗体、Nogo受容体モジュレーター、ABT-874、アレムツズマブ(CAMPATH)、抗-OX40抗体、CNTO-1275、DN-1921、ナタリズマブ(AN-100226、Antegren、VLA-4 Mabと同義)、ダクリツマブ(Zenepax、Ro-34-7375、SMART抗-Tacと同義)、J-695、プリリキシマブ(Centara、CEN-000029、cM-T412と同義)、MRA、Dantes、抗-IL-12-抗体、
e)ペプチド核酸(PNA)調製物、例えば、レチキュロース(reticulose)、
f)インターフェロンα、例えば、アルファフェロン(Alfaferone)、ヒトαインターフェロン(Omniferon、Alpha Leukoferonと同義)、
g)インターフェロンβ、例えば、Frone、インターフェロンβ-1a様アボネックス(Avonex)、Betron(レビフ)、インターフェロンβアナログ、インターフェロンβ-トランスフェリン融合タンパク質、組み換えインターフェロンβ-1b様ベタセロン、
h)インターフェロンτ、
i)ペプチド、例えば、AT-008、AnergiX.MS、イムノカイン(Immunokine)(α-イムノカイン-NNSO3)、環状ペプチド様ZD-7349、
j)治療的酵素、例えば、可溶性CD8(sCD8)、
k)多発性硬化症-特異的自己抗原をコードしているプラスミド及びサイトカインをコードしているプラスミド、例えば、BHT-3009;
l)TNF-αの阻害剤、例えば、BLX-1002、サリドマイド、SH-636、
m)TNFアンタゴニスト、例えば、ソリマスタット、レネルセプト(RO-45-2081、Tenefuseと同義)、オネルセプト(sTNFR1)、CC-1069、
n)TNFα、例えば、エタネルセプト(エンブレル、TNR-001と同義)、
o)CD28アンタゴニスト、例えば、アバタセプト、
p)Lckチロシンキナーゼ阻害剤、
q)カテプシンK阻害剤、
r)ニューロン-ターゲティング膜輸送体タンパク質タウリンのアナログ及び植物由来のカルパイン阻害剤ロイペプチン、例えば、Neurodur、
s)ケモカイン受容体-1(CCR1)アンタゴニスト、例えば、BX-471、
t)CCR2アンタゴニスト、
u)AMPA受容体アンタゴニスト、例えば、ER-167288-01及びER-099487、E-2007、タランパネル、
v)カリウムチャネル遮断薬、例えば、ファムプリジン、
w)VLA-4A/VCAM相互作用のトシル-プロリン-フェニルアラニン小型-分子アンタゴニスト、例えば、TBC-3342、
x)細胞接着分子阻害剤、例えば、TBC-772、
y)アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、EN-101、
z)マスト細胞受容体へ結合する遊離免疫グロブリン軽鎖(IgLC)のアンタゴニスト、例えば、F-991、
aa)アポトーシス誘導性抗原、例えば、Apogen MS、
bb)アドレナリンα-2受容体アゴニスト、例えば、チザニジン(ザナフレックス、テルネリン、Sirdalvo、シルダルード、Mionidineと同義)、
cc)L-チロシン、L-リシン、L-グルタミン酸及びL-アラニンのコポリマー、例えば、酢酸ガラティラメル(コパクソン、COP-1、コポリマー-1と同義)、
dd)トポイソメラーゼIIモジュレーター、例えば、塩酸ミトキサントロン、
ee)アデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えば、クラドリビン(ロイスタチン、Mylinax、RWJ-26251と同義)、
ff)インターロイキン-10、例えば、イロデカキン(テノビル、Sch-52000、CSIFと同義)、
gg)インターロイキン-12アンタゴニスト、例えば、リソフィリン(CT-1501 R、LSF、リソフィリンと同義)、
hh)エタナミナム、例えば、SRI-62-834(CRC-8605、NSC-614383と同義)、
ii)免疫調節物質、例えば、SAIK-MS、PNU-156804、α-フェトプロテインペプチド(AFP)、IPDS、
jj)レチノイド受容体アゴニスト、例えば、アダパレン(ディフェリン、CD-271と同義)、
kk)TGF-β、例えば、GDF-1(増殖及び分化因子1)、
ll)TGF-β-2、例えば、ベタカイン、
mm)MMP阻害剤、例えば、グリコメド(glycomed)、
nn)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、例えば、RPR-122818、
oo)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、例えば、9-(3-ピリジルメチル)-9-デアザグアニン、ペルデシン(BCX-34、TO-200と同義)、
pp)α-4/β-1インテグリンアンタゴニスト、例えば、ISIS-104278、
qq)アンチセンスα4インテグリン(CD49d)、例えば、ISIS-17044、ISIS-27104、
rr)サイトカイン-誘導性物質、例えば、ヌクレオシド、ICN-17261、
ss)サイトカイン阻害剤、
tt)熱ショックタンパク質ワクチン、例えば、HSPPC-96、
uu)ニューレグリン増殖因子、例えば、GGF-2(ニューレグリン、グリア成長因子2と同義)、
vv)カテプシンS-阻害剤、
ww)ブロピリミンアナログ、例えば、PNU-56169、PNU-63693、
xx)単球走化性タンパク質-1阻害剤、例えば、ベンズイミダゾール様MCP-1阻害剤、LKS-1456、PD-064036、PD-064126、PD-084486、PD-172084、PD-172386。
【0120】
更に、本発明は、少なくとも1種のQC阻害剤を、少なくとも1種の他の前述の作用物質と任意に組合せて含有する、例えば、非経口、経腸又は経口投与のための、医薬組成物を提供する。
これらの組合せは、特に恩恵のある作用を提供する。従ってこのような組合せは、前述の疾患の治療に効果がありかつ有用であることが示されている。従って、本発明は、これらの状態を治療する方法を提供する。
【0121】
本方法は、少なくとも1種のQC阻害剤及び少なくとも1種の他の作用物質の同時投与、又はそれらの連続投与のいずれかを含む。
同時投与は、少なくとも1種のQC阻害剤及び少なくとも1種の他の作用物質を含有する製剤の投与、又は各作用物質の個別の製剤の本質的に同時の投与を含む。
【0122】
β-アミロイド抗体及びそれを含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数1】

【0123】
β-アミロイド抗体は、例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体から選択されてよい。更に前記抗体は、能動的及び受動的免疫療法、すなわちワクチン及びモノクローナル抗体の開発に役立つ。好適なβ-アミロイド抗体の例は、ACU-5A5、huC091(Acumen/メルク社);PF-4360365、RI-1014、RI-1219、RI-409、RN-1219(Rinat Neuroscience Corp (ファイザー社));アブリンクス社/ベーリンガーインゲルハイム社のナノボディ治療薬;Intellect Neurosciences/IBL社のβ-アミロイド-特異的ヒト化モノクローナル抗体;m266、m266.2(イーライリリー社);AAB-02(エラン社);バピネオズマブ(エラン社);BAN-2401(Bioarctic Neuroscience AB社);ABP-102(Abiogen Pharma社);BA-27、BC-05(武田薬品工業);R-1450(ロシェ社);ESBA-212(ESBATech社);AZD-3102(アストラゼネカ社)、及びMindset BioPharmaceuticals社のβ-アミロイド抗体である。
【0124】
特に好ましいのは、AβペプチドのN末端を認識する抗体である。Aβ-N末端を認識する好適な抗体は、例えばAcl-24(AC Immune社)である。βアミロイドペプチドに対するモノクローナル抗体は、WO 2007/068412において開示されている。キメラ抗体及びヒト化抗体はそれぞれ、WO 2008/011348において開示されている。アミロイド関連疾患を治療するためのワクチン組成物を製造する方法は、WO 2007/068411において開示されている。
【0125】
好適なシステインプロテアーゼ阻害剤は、カテプシンBの阻害剤である。カテプシンB阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数2】

【0126】
好適なPIMTエンハンサーの例は、WO 98/15647及びWO 03/057204に各々開示された、10-アミノアリファチル-ジベンズ[b,f]オキセピンである。本発明に従い更に有用であるのは、WO 2004/039773に開示されたPIMT活性のモジュレーターである。
【0127】
βセクレターゼ阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数3】

【0128】
本発明の目的に適したβセクレターゼ阻害剤の例は、WY-25105(Wyeth社);Posiphen、(+)-フェンセリン(TorreyPines/NIH);LSN-2434074、LY-2070275、LY-2070273、LY-2070102(イーライリリー社);PNU-159775A、PNU-178025A、PNU-17820A、PNU-33312、PNU-38773、PNU-90530(エラン社/ファイザー社);KMI-370、KMI-358、kmi-008(京都大学);OM-99-2、OM-003(Athenagen社);AZ-12304146(アストラゼネカ社/Astex社);GW-840736X(グラクソスミスクライン社)、DNP-004089(De Novo Pharmaceuticals社)、及びCT-21166(Comentis社)である。
【0129】
γセクレターゼ阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数4】

【0130】
本発明の目的に適したγセクレターゼ阻害剤は、GSI-953、WAY-GSI-A、WAY-GSI-B(Wyeth社);MK-0752、MRK-560、L-852505、L-685-458、L-852631、L-852646(メルク社);LY-450139、LY-411575、AN-37124(イーライリリー社);BMS-299897、BMS-433796(ブリストルマイヤーズスクイブ社);E-2012(エーザイ社);EHT-0206、EHT-206(ExonHit Therapeutics SA社);及び、NGX-555(TorreyPines Therapeutics社)である。
【0131】
DP IV-阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数5】

【0132】
本発明の目的に適したDP IV-阻害剤は、例えば、シタグリプチン、デス-フルオロ-シタグリプチン(メルク社);ビルダグリプチン、DPP-728、SDZ-272-070(ノバルティス社);ABT-279、ABT-341(アボット・ラボラトリーズ社);デナグリプチン、TA-6666(グラクソスミスクライン社);SYR-322(Takeda San Diego社);タラボスタット(Point Therapeutics社);Ro-0730699、R-1499、R-1438(ロシェ・ホールディング社);FE-999011(Ferring Pharmaceuticals社);TS-021(大正製薬);GRC-8200(Glenmark Pharmaceuticals社);ALS-2-0426(Alantos Pharmaceuticals Holding社);ARI-2243(Arisaph Pharmaceuticals社);SSR-162369(サノフィシンセラボ社);MP-513(三菱ウェルファーマ);DP-893、CP-867534-01(ファイザー社);TSL-225、TMC-2A(田辺製薬);PHX-1149(Phenomenix社);サクサグリプチン(ブリストルマイヤーズスクイブ社);PSN-9301((OSI) Prosidion)、S-40755(Servier);KRP-104(ActivX Biosciences社);スルフォスチン(Zaidan Hojin);KR-62436(Korea Research Institute of Chemical Technology);P32/98(Probiodrug社);BI-A、BI-B(ベーリンガーインゲルハイム社);SK-0403(三和化学研究所);及び、NNC-72-2138(ノボノルディスク社)である。
【0133】
他の好ましいDP IV-阻害剤は、以下である:
(i)WO 99/61431に開示されたジペプチド-様化合物、例えば、N-バリルプロリル、O-ベンゾイルヒドロキシルアミン、アラニルピロリジン、イソロイシルチアゾリジン様L-アロ-イソロイシルチアゾリジン、L-トレオ-イソロイシルピロリジン及びそれらの塩、特にフマル酸塩、並びにL-アロ-イソロイシルピロリジン及びそれらの塩;
(ii)WO 03/002593に開示されたペプチド構造、例えばトリペプチド;
(iii)WO 03/033524に開示されたペプチジルケトン;
(vi)WO 03/040174に開示された置換アミノケトン;
(v)WO 01/14318に開示された局所的活性DP IV-阻害剤;
(vi)WO 99/67278及びWO 99/67279に開示されたDP IV-阻害剤プロドラッグ;並びに
(v)WO 03/072556及びWO 2004/099134に開示されたグルタミニルベースのDP IV-阻害剤。
【0134】
本発明の目的に適したβアミロイド合成阻害薬は、例えば、Bisnorcymserine(Axonyx社);(R)-フルルビプロフェン(MCP-7869;フルリザン)(Myriad Genetics社);ニトロフルルビプロフェン(NicOx);BGC-20-0406(三共製薬)、及びBGC-20-0466(BTG社)である。
【0135】
本発明の目的に適したアミロイドタンパク質沈着阻害薬は、例えば、SP-233(Samaritan Pharmaceuticals社);AZD-103(Ellipsis Neurotherapeutics社);AAB-001(バピネオズマブ)、AAB-002、ACC-001(エラン社);コロストリニン(Colostrinin) (ReGen Therapeutics社);トラミプロセート(Tramiprosate)(Neurochem);AdPEDI-(アミロイド-β1-6)11)(Vaxin社);MPI-127585、MPI-423948(メイヨー財団);SP-08(ジョージタウン大学);ACU-5A5(Acumen社/メルク社);トランスサイレチン(Transthyretin)(ニューヨーク州立大学);PTI-777、DP-74、DP 68、エクセブリル(Exebryl)(ProteoTech社);m266(イーライリリー社);EGb-761(Dr. Willmar Schwabe社);SPI-014(Satori Pharmaceuticals社);ALS-633、ALS-499(Advanced Life Sciences社);AGT-160(ArmaGen Technologies社);TAK-070(武田薬品工業);CHF-5022、CHF-5074、CHF-5096及びCHF-5105(Chiesi Farmaceutici社)がある。
【0136】
本発明の目的に適したPDE-4阻害剤は、例えば、ドキソフィリン(Instituto Biologico Chemioterapica ABC社);イズジラスト(idudilast)点眼薬、チペルカスト(tipelukast)、イブジラスト(杏林製薬);テオフィリン(エラン社);シロミラスト(グラクソスミスクライン社);Atopik(Barrier Therapeutics社);トフィミラスト、CI-1044、PD-189659、CP-220629、PDE 4d阻害薬BHN(ファイザー社);アロフィリン、LAS-37779(Almirall Prodesfarma社);ロフルミラスト、ヒドロキシプマフェントリン(Altana社)、テトミラスト(大塚製薬);tipelukast、イブジラスト(杏林製薬)、CC-10004(セルジーン社);HT-0712、IPL-4088(Inflazyme Pharmaceuticals社);MEM-1414、MEM-1917(Memory Pharmaceuticals社);オグレミラスト、GRC-4039(Glenmark Pharmaceuticals社);AWD-12-281、ELB-353、ELB-526(Elbion社);EHT-0202(ExonHit Therapeutics社);ND-1251(Neuro3d社);4AZA-PDE4(4 AZA Bioscience社);AVE-8112(サノフィアベンティス社);CR-3465(Rottapharm社);GP-0203、NCS-613(Centre National de la Recherche Scientifique社);KF-19514(協和醗酵工業);ONO-6126(小野薬品工業);OS-0217(大日本製薬);IBFB-130011、IBFB-150007、IBFB-130020、IBFB-140301(IBFB Pharma社);IC-485(ICOS社);RBx-14016、及びRBx-11082(Ranbaxy Laboratories社)である。好ましいPDE-4-阻害剤は、ロリプラムである。
【0137】
MAO阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数6】

【0138】
本発明の目的に適したMAO阻害剤は、例えば、リネゾリド(ファルマシア社);RWJ-416457(RW Johnson Pharmaceutical Research Institute);ブジピン(Altana社);GPX-325(BioResearch Ireland社);イソカルボキサジド;フェネルジン;トラニルシプロミン;インダンタドール(indantadol)(Chiesi Farmaceutici社);モクロベミド(ロシェ・ホールディング社);SL-25.1131(サノフィシンセラボ社);CX-1370(Burroughs Wellcome社);CX-157(Krenitsky Pharmaceuticals社);デソキシペガニン(desoxypeganine)(HF Arzneimittelforschung社);ビフェメラン(三菱東京製薬);RS-1636(三共製薬);エスプロン(BASF社);ラサジリン(Teva Pharmaceutical Industries社);ラドスチギル(エルサレムヘブライ大学);サフィナミド(ファイザー社)、及びNW-1048(Newron Pharmaceuticals社)である。
【0139】
本発明の目的に適したヒスタミンH3アンタゴニストは、例えば、ABT-239、ABT-834(アボット・ラボラトリーズ);3874-H1(Aventis Pharma社);UCL-2173(ベルリン自由大学)、UCL-1470(BioProjet, Societe Civile de Recherche);DWP-302(Daewoong Pharmaceutical社);GSK-189254A、GSK-207040A(グラクソスミスクライン社);シプラリサント、GT-2203(Gliatech社);Ciproxifan(INSERM)、1S,2S-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(北海道大学);JNJ-17216498、JNJ-5207852(ジョンソン&ジョンソン社);NNC-0038-0000-1049(ノボノルディスク社);及び、Sch-79687(Schering-Plough社)がある。
【0140】
PEP阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数7】

【0141】
本発明の目的に適したプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、例えば、Fmoc-Ala-Pyrr-CN、Z-Phe-Pro-ベンゾチアゾール(Probiodrug)、Z-321(ゼリア新薬工業);ONO-1603(小野薬品工業);JTP-4819(日本タバコ産業)、及びS-17092(Servier社)である。
【0142】
QC阻害剤と組合せて本発明に従い使用することができる他の好適な化合物は、NPY、NPY模倣物又はNPYアゴニスト若しくはアンタゴニスト又はNPY受容体のリガンドである。
本発明に好ましいのは、NPY受容体のアンタゴニストである。
好適なNPY受容体のリガンド又はアンタゴニストは、WO 00/68197に開示されたような、3a,4,5,9b-テトラヒドロ-1h-ベンズ[e]インドール-2-イルアミン-誘導体化された化合物である。
【0143】
言及され得るNPY受容体アンタゴニストは、以下に開示されたものを含む:欧州特許出願EP 0 614 911、EP 0 747 357、EP 0 747 356及びEP 0 747 378;国際特許出願WO 94/17035、WO 97/19911、WO 97/19913、WO 96/12489、WO 97/19914、WO 96/22305、WO 96/40660、WO 96/12490、WO 97/09308、WO 97/20820、WO 97/20821、WO 97/20822、WO 97/20823、WO 97/19682、WO 97/25041、WO 97/34843、WO 97/46250、WO 98/03492、WO 98/03493、WO 98/03494及びWO 98/07420;WO 00/30674、米国特許US 5,552,411、US 5,663,192及びUS 5,567,714;US 6,114,336、日本国特許出願JP 09157253;国際特許出願WO 94/00486、WO 93/12139、WO 95/00161及びWO 99/15498;米国特許US 5,328,899;独国特許出願DE 393 97 97;欧州特許出願EP 355 794及びEP 355 793;並びに、日本国特許出願JP 06116284及びJP 07267988。好ましいNPYアンタゴニストは、これらの特許文献に具体的に開示されたそのような化合物を含む。より好ましい化合物は、アミノ酸及び非-ペプチド-ベースのNPYアンタゴニストを含む。言及され得るアミノ酸及び非-ペプチド-ベースのNPYアンタゴニストは、以下に開示されたものを含んでよい:欧州特許出願EP 0 614 911、EP 0 747 357、EP 0 747 356及びEP 0 747 378;国際特許出願WO 94/17035、WO 97/19911、WO 97/19913、WO 96/12489、WO 97/19914、WO 96/22305、WO 96/40660、WO 96/12490、WO 97/09308、WO 97/20820、WO 97/20821、WO 97/20822、WO 97/20823、WO 97/19682、WO 97/25041、WO 97/34843、WO 97/46250、WO 98/03492、WO 98/03493、WO 98/03494、WO 98/07420及びWO 99/15498;米国特許US 5,552,411、US 5,663,192及びUS 5,567,714;並びに、日本国特許出願JP 09157253。好ましいアミノ酸及び非-ペプチド-ベースのNPYアンタゴニストは、これらの特許文献に具体的に開示されたそのような化合物を含む。
【0144】
特に好ましい化合物は、アミノ酸-ベースのNPYアンタゴニストを含む。言及され得るアミノ酸-ベースの化合物は、国際特許出願WO 94/17035、WO 97/19911、WO 97/19913、WO 97/19914、又は好ましくはWO 99/15498に開示されているものである。好ましいアミノ酸-ベースのNPYアンタゴニストは、これらの特許文献に具体的に開示されたものを含み、例えば、BIBP3226であり、特に(R)-N2-(ジフェニルアセチル)-(R)-N-[1-(4-ヒドロキシ-フェニル)エチル]アルギニンアミド(国際特許出願WO 99/15498の実施例4)である。
【0145】
M1受容体アゴニスト及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、WO 2004/087158、WO 91/10664に開示されている。
本発明の目的に適したM1受容体アンタゴニストは、例えば、CDD-0102(Cognitive Pharmaceuticals社);セビメリン(Evoxac)(雪印乳業);NGX-267(TorreyPines Therapeutics社);サブコメリン(グラクソスミスクライン社);アルバメリン(H Lundbeck社);LY-593093(イーライリリー社);VRTX-3(Vertex Pharmaceuticals社);WAY-132983(Wyeth社)、及びCI-1017/(PD-151832)(ファイザー社)である。
【0146】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数8】

【0147】
本発明の目的に適したアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、例えば、ドネペジル(エーザイ社);リバスチグミン(ノバルティス社);(-)-フェンセリン(TorreyPines Therapeutics社);ラドスチギル(エルサレムヘブライ大学);ヒューペルジンA(メイヨー財団);ガランタミン(ジョンソン&ジョンソン社);Memoquin(Universita di Bologna);SP-004(Samaritan Pharmaceuticals社);BGC-20-1259(三共製薬);フィゾスチグミン(Forest Laboratories社);NP-0361(Neuropharma社);ZT-1(Debiopharm);タクリン(ワーナーランバート社);メトリホナート(バイエル社)、及びINM-176(Whanln社)である。
【0148】
NMDA受容体アンタゴニスト及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数9】

【0149】
本発明の目的に適したNMDA受容体アンタゴニストは、例えば、メマンチン(Merz社);トピラマート(ジョンソン&ジョンソン社);AVP-923(Neurodex)(Center for Neurologic Study);EN-3231(Endo Pharmaceuticals Holdings社);ネラメキサン(MRZ-2/579)(Merz and Forest社);CNS-5161(CeNeS Pharmaceuticals社);デキサナビノール(HU-211;Sinnabidol;PA-50211)(Pharmos社);EpiCept NP-1(ダルハウジー大学);インダンタドール(V-3381;CNP-3381)(Vernalis社);ペルジンフォテル(EAA-090, WAY-126090, EAA-129)(Wyeth社);RGH-896(Gedeon Richter社);トラキソプロジル(CP-101606)、ベソンプロジル(besonprodil)(PD-196860, CI-1041)(ファイザー社);CGX-1007(Cognetix社);デルセミン(NPS-1506)(NPS Pharmaceuticals社);EVT-101(ロシェ・ホールディング社);アカンプロサート(Synchroneuron社);CR-3991、CR-2249、CR-3394(Rottapharm社);AV-101(4-Cl-キヌレニン(4-Cl-KYN))、7-クロロ-キヌレン酸(7-Cl-KYNA)(VistaGen社);NPS-1407(NPS Pharmaceuticals社);YT-1006(Yaupon Therapeutics社);ED-1812(Sosei社);ヒマンタン(himantane)(塩酸N-2-(アダマンチル)-ヘキサメチレン-イミン)(RAMS);Lancicemine(AR-R-15896)(アストラゼネカ社);EVT-102、Ro-25-6981及びRo-63-1908(Hoffmann-La Roche社/Evotec社)である。
【0150】
更にまた、本発明は、QC阻害剤を、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害薬;アンジオテンシンII受容体遮断薬;利尿薬;カルシウムチャネル遮断薬(CCB);β遮断薬;血小板凝集阻害薬;コレステロール吸収モジュレーター;HMG-CoAレダクターゼ阻害薬;高密度リポタンパク質(HDL)を増加させる化合物;レニン阻害薬;IL-6阻害薬;抗炎症コルチコステロイド;抗増殖薬;一酸化窒素ドナー;細胞外マトリックス合成の阻害薬;成長因子又はサイトカインのシグナル伝達阻害薬;MCP-1アンタゴニスト及びチロシンキナーゼ阻害薬からなる群から選択される別の治療薬と組合せて投与し、各々の単剤療法単独よりも有益な又は相乗的治療作用を提供する、アテローム性動脈硬化症、再狭窄又は関節炎の治療に役立つ併用療法に関する。
【0151】
アンジオテンシンII受容体遮断薬は、アンジオテンシンII受容体のAT1受容体亜型と結合するが、その受容体の活性化は生じない、それらの活性物質であると理解される。AT1受容体の遮断の結果として、これらのアンタゴニストは、例えば血圧降下薬として使用することができる。
【0152】
本発明の組合せで使用することができる好適なアンジオテンシンII受容体遮断薬は、様々な構造特徴を有するAT1受容体アンタゴニストを含み、非ペプチド性構造を有するものが好ましい。例えば、バルサルタン(EP 443983)、ロサルタン(EP 253310)、カンデサルタン(EP 459136)、エプロサルタン(EP 403159)、イルベサルタン(EP 454511)、オルメサルタン(EP 503785)、タソサルタン(EP 539086)、テルミサルタン(EP 522314)、下記式のE-4177と指定された化合物:
【化34】

下記式のSC-52458と指定された化合物:
【化35】

下記式のZD-8731と指定された化合物:
【化36】

からなる群から選択される化合物、又は、いずれの場合においても、それらの医薬として許容し得る塩を挙げることができる。
好ましいAT1-受容体アンタゴニストは、承認されかつ市販されているそのような薬物であり、最も好ましいのは、バルサルタン又はその医薬として許容し得る塩である。
【0153】
ACE阻害薬によるアンジオテンシンのアンジオテンシンIIへの酵素的分解の妨害は、血圧調節の成功する変形であり、従って高血圧症の治療のための治療法も利用可能とする。
本発明の組合せで使用される好適なACE阻害薬は、例えばアラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラット;カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナプリラット、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル及びトランドラプリルからなる群から選択された化合物又は、いずれの場合においても、それらの医薬として許容し得る塩である。
好ましいACE阻害薬は、市販されているそのような薬物であり、最も好ましいのは、ベナゼプリル及びエナラプリルである。
【0154】
利尿薬は、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロチアジド及びクロロサリドンからなる群から選択されるチアジド誘導体である。最も好ましい利尿薬は、ヒドロクロロチアジドである。利尿薬は、カリウム保持性利尿薬、例えばアミロライド若しくはトリアムテレン、又はそれらの医薬として許容し得る塩を更に含む。
【0155】
CCBのクラスは、ジヒドロピリジン(DHP)及び非DHP、例えばジルチアゼム型CCB及びベラパミル型CCBを本質的に含む。
前述の組合せに役立つCCBは、好ましくは、アムロジピン、フェロジピン、リオシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン及びニバルジピンからなる群から選択される代表的DHPであり、並びに好ましくは、フルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル及びベラパミルからなる群から選択される代表的非DHPであり、いずれの場合においても、それらの医薬として許容し得る塩を含む。これらのCCB類は全て、例えば高血圧治療薬、狭心症治療薬又は抗不整脈薬として、治療的に使われる。
【0156】
好ましいCCBは、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン及びベラパミル、又は例えば特定のCCBに依存するもの、それらの医薬として許容し得る塩を含む。DHPとして特に好ましいのは、アムロジピン又はその医薬として許容し得る塩、特にベシル酸塩である。非DHPの特に好ましい代表は、ベラパミル又はその医薬として許容し得る塩、特にその塩酸塩である。
【0157】
本発明での使用に適しているβ遮断薬は、β-アドレナリン作動性遮断剤(β遮断薬)を含み、これはエピネフリンとβアドレナリン作動性受容体を競合し、エピネフリンの作用を妨げる。好ましくは、β遮断薬は、αアドレナリン作動性受容体と比較して、βアドレナリン作動性受容体について選択的であり、有意なα-遮断作用を有しない。適切なβ遮断薬は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール及びチモロールから選択される化合物を含む。β遮断薬が酸若しくは塩基であるか又はそうでなければ医薬として許容し得る塩若しくはプロドラッグを形成することが可能である場合、これらの形は本明細書中に包含されると考えられ、そして、本化合物は、遊離形において、又は生理的に加水分解可能で許容し得るエステルなどの、医薬として許容し得る塩若しくはプロドラッグの形において、投与されることができるものと理解される。例えば、メトプロロールはその酒石酸塩として適切に投与され、プロプラノロールは塩酸塩として適切に投与されるなどである。
【0158】
血小板凝集阻害薬は、PLAVIX(登録商標)(クロピドグレル重硫酸塩)、PLETAL(登録商標)(シロスタゾール)、及びアスピリンを含む。
コレステロール吸収モジュレーターは、ZETIA(登録商標)(エゼチミブ)、及びKT6-971(寿製薬、日本)を含む。
【0159】
HMG-CoAレダクターゼ阻害薬(β-ヒドロキシ-β-メチルグルタリル-補酵素Aレダクターゼ阻害薬又はスタチンとも称される)は、血液中のコレステロールなどの脂質レベルを低下させるために用いることができるそれらの活性作用物質であると理解される。
【0160】
HMG-CoAレダクターゼ阻害薬のクラスは、様々な構造特徴を有する化合物を含む。例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンからなる群から選択される化合物、又は、いずれの場合においても、それらの医薬として許容し得る塩を挙げることができる。
好ましいHMG-CoAレダクターゼ阻害薬は、市販されたそれらの薬剤であり、最も好ましいのは、アトルバスタチン、ピバスタチン又はシンバスタチン又はそれらの医薬として許容し得る塩である。
【0161】
HDLを増加させる化合物は、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)阻害薬を含むが、これに限定されるものではない。CETP阻害薬の例は、2002年7月30日に発行された米国特許第6,426,365号の実施例26において開示されたJTT7O5及びその医薬として許容し得る塩を含む。
【0162】
インターロイキン-6媒介型炎症の阻害は、内因性コレステロール合成の調節及びイソプレノイド枯渇により間接的に、又は、インターロイキン-6阻害剤/抗体、インターロイキン-6受容体阻害剤/抗体、インターロイキン-6アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASON)、gp130タンパク質阻害剤/抗体、チロシンキナーゼ阻害剤/抗体、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤/抗体、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤/抗体、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤/抗体、核因子κB(NF-κB)阻害剤/抗体、IκBキナーゼ(IKK)阻害剤/抗体、活性化タンパク質-1(AP-1)阻害剤/抗体、STAT転写因子阻害剤/抗体、変更されたIL-6、IL-6若しくはIL-6受容体の部分ペプチド、又はSOCS(サイトカインシグナル伝達の抑制因子)タンパク質、PPARγ及び/又はPPARβ/δ活性化因子/リガンド、又はそれらの機能断片を利用するシグナル伝達経路の直接の抑制により、成し遂げることができる。
【0163】
適切な抗炎症コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。
適切な抗増殖薬は、クラドリビン、ラパマイシン、ビンクリスチン及びタキソールである。
適切な細胞外マトリックス合成阻害薬は、ハロフギノンである。
【0164】
適切な成長因子又はサイトカインのシグナル伝達阻害剤は、例えばras阻害剤R115777である。
適切なチロシンキナーゼ阻害薬は、チルホスチンである。
適切なレニン阻害薬は、例えばWO 2006/116435に開示されている。好ましいレニン阻害薬は、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形である。
【0165】
MCP-1アンタゴニストは、例えば、抗-MCP-1抗体、好ましくはモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体、MCP-1発現阻害剤、CCR2-アンタゴニスト、TNF-α阻害剤、VCAM-1遺伝子発現阻害剤、及び抗-C5aモノクローナル抗体から選択されてよい。
【0166】
MCP-1アンタゴニスト及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、以下に開示されている:
【数10】

【0167】
好適なMCP-1アンタゴニストは、例えば、C-243(Telik社);NOX-E36(Noxxon Pharma社);AP-761(Actimis Pharmaceuticals社);ABN-912、NIBR-177(ノバルティス社);CC-11006(セルジーン社);SSR-150106(サノフィアベンティス社);MLN-1202(Millenium Pharmaceuticals社);AGI-1067、AGIX-4207、AGI-1096(AtherioGenics社);PRS-211095、PRS-211092(Pharmos社);抗-C5aモノクローナル抗体、例えば、ニュートラツマブ(neutrazumab)(G2 Therapies社);AZD-6942(アストラゼネカ社);2-メルカプトイミダゾール(ジョンソン&ジョンソン社);TEI-E00526、TEI-6122(Deltagen社);RS-504393(ロシェ・ホールディング社);SB-282241、SB-380732、ADR-7(グラクソスミスクライン社);抗-MCP-1モノクローナル抗体(ジョンソン&ジョンソン社)がある。
【0168】
QC阻害剤のMCP-1アンタゴニストとの組合せは、概して神経変性疾患を含む炎症疾患の治療に有用であってよい。
QC阻害剤のMCP-1アンタゴニストとの組合せは、アルツハイマー病の治療に好ましい。
【0169】
最も好ましくは、QC阻害剤は、下記群から選択される1種以上の化合物と組合せられる:
PF-4360365、m266、バピネオズマブ、R-1450、Posiphen、(+)-フェンセリン、MK-0752、LY-450139、E-2012、(R)-フルルビプロフェン、AZD-103、AAB-001(バピネオズマブ)、トラミプロセート、EGb-761、TAK-070、ドキソフィリン、テオフィリン、シロミラスト、トフィミラスト、ロフルミラスト、テトミラスト、チペルカスト、イブジラスト、HT-0712、MEM-1414、オグレミラスト、リネゾリド、ブジピン、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、インダンタドール、モクロベミド、ラサジリン、ラドスチギル、サフィナミド、ABT-239、ABT-834、GSK-189254A、シプロキシファン、JNJ-17216498、Fmoc-Ala-Pyrr-CN、Z-Phe-Pro-ベンゾチアゾール、Z-321、ONO-1603、JTP-4819、S-17092、BIBP3226;(R)-N2-(ジフェニルアセチル)-(R)-N-[1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル]アルギニンアミド、セビメリン、サブコメリン、(PD-151832)、ドネペジル、リバスチグミン、(-)-フェンセリン、ラドスチギル、ガランタミン、タクリン、メトリホナート、メマンチン、トピラマート、AVP-923、EN-3231、ネラメキサン、バルサルタン、ベナゼプリル、エナラプリル、ヒドロクロロチアジド、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベラパミル、アムロジピン、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、PLAVIX(登録商標)(クロピドグレル重硫酸塩)、PLETAL(登録商標)(シロスタゾール)、アスピリン、ZETIA(登録商標)(エゼチミブ)及びKT6-971、スタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン又はシムバスタチン;デキサメタゾン、クラドリビン、ラパマイシン、ビンクリスチン、タキソール、アリスキレン、C-243、ABN-912、SSR-150106、MLN-1202及びベタフェロン。
【0170】
特に下記の組合せが考えられる:
−アテローム性動脈硬化症の治療及び/又は予防のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、アトルバスタチンの組合せ
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、免疫抑制薬、好ましくはラパマイシンの組合せ
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、免疫抑制薬、好ましくはパクリタキセルの組合せ
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、AChE阻害剤、好ましくはドネペジルの組合せ
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、インターフェロン、好ましくはアロネックス(Aronex)の組合せ
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、インターフェロン、好ましくはベタフェロンの組合せ
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、インターフェロン、好ましくはレビフの組合せ
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、コパクソンの組合せ
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、デキサメタゾンの組合せ
−アテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、デキサメタゾンの組合せ
−関節リウマチの予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と特に式(I)のQC阻害剤と、デキサメタゾンの組合せ
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、HMG-CoA-レダクターゼ阻害薬の組合せ、ここでHMG-CoA-レダクターゼ阻害薬は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンから選択される
−アテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、HMG-CoA-レダクターゼ阻害薬の組合せ、ここでHMG-CoA-レダクターゼ阻害薬は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンから選択される
−関節リウマチの予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と特に式(I)のQC阻害剤と、HMG-CoA-レダクターゼ阻害薬の組合せ、ここでHMG-CoA-レダクターゼ阻害薬は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンから選択される
−軽度認識障害の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、アミロイド-β抗体の組合せ、ここでアミロイド-β抗体はAcl-24である
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、アミロイド-β抗体の組合せ、ここでアミロイド-β抗体はAcl-24である
−ダウン症候群の神経変性の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、アミロイド-β抗体の組合せ、ここでアミロイド-β抗体はAcl-24である
−軽度認識障害の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、βセクレターゼ阻害剤の組合せ、ここでβセクレターゼ阻害剤は、WY-25105、GW-840736X及びCTS-21166から選択される
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、βセクレターゼ阻害剤の組合せ、ここでβセクレターゼ阻害剤は、WY-25105、GW-840736X及びCTS-21166から選択される
−ダウン症候群の神経変性の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、βセクレターゼ阻害剤の組合せ、ここでβセクレターゼ阻害剤は、WY-25105、GW-840736X及びCTS-21166から選択される
−軽度認識障害の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、γ-セクレターゼ阻害剤の組合せ、ここでγ-セクレターゼ阻害剤は、LY-450139、LY-411575及びAN-37124から選択される
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、γ-セクレターゼ阻害剤の組合せ、ここでγ-セクレターゼ阻害剤は、LY-450139、LY-411575及びAN-37124から選択される
−ダウン症候群の神経変性の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1-30のいずれか一つから選択されるQC阻害剤と、γ-セクレターゼ阻害剤の組合せ、ここでγ-セクレターゼ阻害剤は、LY-450139、LY-411575及びAN-37124から選択される。
【0171】
このような併用療法は、特にAD、FAD、FDD及びダウン症候群の神経変性、更にはアテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄及び膵炎に対して有用である。
【0172】
そのような併用療法は、いずれかの薬剤単独で生じるものよりも、より良い治療作用(より少ない増殖、更にはより少ない炎症、増殖の刺激)を生じる。
QC阻害剤及び更なる化合物の特定の組合せに関して、特にWO 2004/098625を参照し、この特許は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0173】
(医薬組成物)
本発明の医薬組成物を調製するために、式(I)の化合物の少なくとも1種を、他の前述の薬剤の少なくとも1種と任意に組合せて、活性成分(類)として使用することができる。この活性成分(類)は、通常の医薬配合技術に従い、医薬担体と密に混合され、この担体は、例えば経口投与又は筋肉内などの非経口投与に望ましい調製物の形に応じ多種多様な形をとることができる。経口剤形での組成物の調製において、通常の医薬媒体のいずれかを使用してよい。従って、例えば懸濁剤、エリキシル剤及び液剤などの液体経口調製物に関して、好適な担体及び添加剤は、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などを含み;例えば散剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤及び錠剤などの固形経口調製物に関しては、好適な担体及び添加剤は、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などを含む。錠剤及びカプセル剤が、それらの投与の容易さのために、最も有利な経口単位剤形であり、この場合固形医薬担体が明らかに使用される。望ましいならば、錠剤は、標準の技術により、糖衣されるか、又は腸溶性にコーティングされてよい。非経口に関して、担体は通常、滅菌水を含むが、例えば溶解を補助するか又は保存などを目的として他の成分を含んでよい。
【0174】
注射用懸濁剤も調製されてよく、この場合、好適な液体担体、懸濁化剤などが使用されてよい。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、茶さじ量などの単位用量あたり、先に説明したような有効量を送達するために必要な活性成分(類)の量を含有するであろう。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、坐剤、茶さじ量などの単位用量あたり、約0.03mg〜100mg/kg(好ましくは0.1〜30mg/kg)を含有し、かつ各活性成分又はそれらの組合せが約0.1〜300mg/kg/日(好ましくは1〜50mg/kg/日)の用量で与えられてよい。しかしこれらの用量は、患者の必要要件、治療される状態の重症度及び使用される化合物に応じて変動してよい。毎日の投与又は定期的(post-periodic)投薬のいずれかの使用を、利用することができる。
【0175】
好ましくはこれらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与に関して、又は吸入若しくは吸引による投与に関して:錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌の非経口液剤又は懸濁剤、計量式エアロゾル又は液体スプレー、滴剤、アンプル、自動噴霧装置又は坐剤などの、単位剤形である。或いは、本組成物は、毎週1回又は毎月1回の投与に適した形で提供されてよく;例えば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポ剤を提供するために適合している。錠剤などの固形組成物を調製するために、主要な活性成分は、医薬担体、例えば通常の打錠成分、例えばトウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム又はガム類など、並びに他の医薬希釈剤、例えば水と混合され、本発明の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩の均質な混合物を含む、固形の予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物に関して均質であるという場合、これは、活性成分が、組成物全体に均等に分散され、その結果組成物は、同等の有効な剤形、例えば錠剤、丸剤及びカプセル剤などに、容易に分割することができることを意味する。この固形予備製剤組成物は次に、本発明の各活性成分又はそれらの組合せを0.1〜約500mg含有する、先に説明された種類の単位剤形に再分割される。
【0176】
本発明の組成物の錠剤又は丸剤は、延長された作用の利点をもたらす剤形を提供するように、コーティングされるか、又はそうでなければ配合することができる。例えばこの錠剤又は丸剤は、内側用量構成要素及び外側用量構成要素を含むことができ、外側用量構成要素は、内側用量構成要素の周りを包む形である。これら2つの構成要素は、胃内での崩壊に抵抗し、かつ内側構成要素が無傷のまま十二指腸へ通過することを可能にするか、又は放出を遅延するのに役立つ、腸溶性の層により分離することができる。そのような腸溶性の層又はコーティングのために、様々な材料を使用することができ、そのような材料は、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどと多くの高分子酸を含む。
【0177】
本発明の組成物が経口投与又は注射のために混合されているこの液体剤形は、水性溶液、好適には香味シロップ剤、水性又は油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナツ油若しくはピーナッツ油などの食用油による香味乳剤、更にはエリキシル剤及び同様の医薬溶媒を含む。水性懸濁剤のための好適な分散剤又は懸濁化剤は、合成及び天然のゴム、例えばトラガカントゴム、アカシアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンを含む。
【0178】
本医薬組成物は、各化合物を約0.01mg〜100mg、好ましくは約5〜50mg含有してよく、かつ選択された投与様式に適した任意の剤形に構成されてよい。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香味料、甘味料、保存剤、色素、及びコーティングを含むが、これらに限定されるものではない、必要かつ不活性の医薬賦形剤を含む。経口投与に適した組成物は、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤(各々、即時放出製剤、間欠放出製剤及び持続放出製剤を含む)、顆粒剤、及び散剤などの固形剤形、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤及び懸濁剤などの液体剤形を含む。非経口的投与に有用な剤形は、無菌の液剤、乳剤及び懸濁剤を含む。
【0179】
有利なことに、本発明の化合物は、1日1回投与量で投与することができるか、又は総1日量を、1日2、3又は4回の分割量にわけて投与することができる。更に本発明の化合物は、好適な鼻腔内溶媒の局所的使用による鼻腔内剤形か、又は当業者に周知の経皮的皮膚貼付剤により、投与することができる。経皮送達システムの剤形で投与されるためには、この用量投与は当然、その投薬計画を通じて間欠的であるよりもむしろ連続的であろう。
【0180】
例えば錠剤又はカプセル剤の剤形での経口投与に関して、活性薬物構成要素は、経口用の無毒の医薬として許容し得る不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組合せることができる。更に望ましいか若しくは必要な場合は、好適な結合剤;滑沢剤、崩壊剤及び着色剤も、この混合物へ混合することができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ乳糖のような天然の糖、トウモロコシ甘味料、例えばアカシアゴム、トラガカントゴムのような天然及び合成のゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されるものではない。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0181】
好適な香味懸濁剤又は分散剤の液体剤形は、例えばトラガカントゴム、アカシアゴムのような合成及び天然のゴム、メチル-セルロースなどを含む。非経口的投与に関して、無菌の懸濁剤及び液剤が望ましい。静脈内投与が望ましい場合は、一般に好適な保存剤を含有する等張調製物が利用される。
【0182】
本発明の化合物又は組み合せは同じく、例えば小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、及び多層ベシクルなどの、リポソーム送達システムの剤形においても投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの、様々なリン脂質から形成することができる。
【0183】
本発明の化合物又は組合せは、化合物分子が結合されている個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用により送達されてもよい。本発明の化合物は、ターゲティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと組合せられてもよい。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを含むことができる。更に本発明の化合物は、薬物の制御放出の実行に有用である生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸(polyactic acid)、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋した又は両親媒性ブロックコポリマーと組合せることができる。
【0184】
本発明の化合物又は組合せは、対処される障害の治療に必要な限りは、前述の組成物のいずれかにおいて、及び当該技術分野において確立された投薬計画に従い、投与することができる。
【0185】
本製品の1日量は、哺乳動物1匹あたり1日に0.01〜1,000mgの広範な範囲にわたり変動してよい。経口投与に関して、本組成物は好ましくは、治療される患者への症状による用量調節のために、各活性成分又はそれらの組合せを0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500mgを含有する錠剤の剤形で提供される。この薬物の有効量は、約0.1mg/kg〜約300mg/kg体重/日の用量レベルで通常供給される。好ましくは、この範囲は、約1〜約50mg/kg体重/日である。本化合物又は組み合せは、1日1〜4回の投薬計画で投与されてよい。
【0186】
投与されるべき適量は、当業者により容易に決定され、かつ使用される特定の化合物、その投与様式、調製物の強度、その投与様式、及び病態の進行度により変動するであろう。加えて、患者の年齢、体重、食事及び投与回数を含む治療される特定の患者に関連した要因は、用量調節を必要とするであろう。
【0187】
更なる態様において、本発明は、式(I)の化合物の少なくとも1種を、少なくとも1種のその他の前述の作用物質及び医薬として許容し得る担体と任意に組合せて含有する医薬組成物の調製方法も提供する。
本組成物は好ましくは、関連する1日用量に適した量の単位剤形である。
【0188】
特に単位用量を含む、本発明の化合物の、好適な用量は、「英国及び米国薬局方(British and US Pharmacopoeias)」、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」(Mack Publishing社)、「マルチンダーレ薬局方(Martindale The Extra Pharmacopoeia)」(ロンドン、The Pharmaceutical Press社)(例えば、第31版の341頁及びそこに引用された頁を参照されたい)又は前述の刊行物などの参考文献に説明又は言及されたこれらの化合物に関する単位用量を含む、既知の用量を含む。
【実施例】
【0189】
【表2】





【0190】
(全般的合成の説明)
【化37】

ナトリウムシアナミド(1.0eq.)及び対応するイソチオシアネート(1.0eq.)を、無水エタノール10mLに溶解した。この混合物を、還流下で3時間攪拌した。室温へ冷却した後、化合物5又は9(1.0eq.)、及び塩酸N1-((エチルイミノ)メチレン)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン(1.2eq.)及びジメチルホルムアミド5mLを添加し、この混合物を、室温で3時間攪拌した。溶媒を除去し、残留する残渣を、クロロホルム30mLに溶解した。この有機層を、水により1回洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、その後溶媒を除去した。これらの生成物の精製は、塩基性酸化アルミニウム並びに、クロロホルム及びメタノールからなる勾配を利用する、フラッシュクロマトグラフィーによって行ったか、又は半分取的HPLCにより精製した。
【0191】
(詳細な合成の説明)
(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(5)の合成)
【化38】

(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(5))
(4-メチル-1-トリチル-1H-イミダゾール(2))
4-メチル-1H-イミダゾール(1)(36.53mmol, 1eq)を、ジメチルホルムアミド120mLに溶解し、トリエチルアミン(73.06mmol, 2eq.)及びクロロトリフェニルメタン(40.1mmol, 1.1eq)を添加した。この混合物を、3.5時間攪拌した。沈殿物を濾過し、かつ氷冷したジメチルホルムアミド(2×50mL)及び水(2×50mL)により洗浄した。溶媒を除去した後、残留する生成物を、P4O10上で乾燥した。
収量:10.65g(98.2%)。本生成物は、更に精製することなく使用した。
【0192】
(1-トリチル-3-[3-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)プロピル]-1,4-ジメチル-1H-イミダゾール-3-イウムブロミド(3))
4-メチル-1-トリチル-1H-イミダゾール(すなわち32.85mmol, 1eq.)を、アセトニトリル(10mL)中に懸濁し、かつ2-(3-ブロモプロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(32.85mmol, 1eq.)を添加した。この混合物を、一晩還流下に維持した。有機溶媒を除去した。精製は、シリカゲル及びCHCl3/MeOH-勾配を使用する、フラッシュクロマトグラフィーにより行った。
収量:10.65g (63.44%)。
【0193】
(2-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(4))
1-トリチル-3-[3-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)プロピル]-1,4-ジメチル-1H-イミダゾール-3-イウムブロミド(すなわち7.86mmol)を、メタノール(20mL)及びトリフルオロ酢酸(4mL)を含有する攪拌溶液に溶解した。この混合物を、一晩還流下に維持した。その後、溶媒を、減圧下で除去し、残留する油状物を、シリカゲル及びCHCl3/MeOH-勾配を使用する、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
収量:2.05g (97.0%)。
【0194】
(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(5))
2-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(すなわち8.92mmol, 1eq.)及びヒドラジン一水和物(17.84mmol, 2eq.)を、無水EtOH(50mL)に溶解した。この混合物を、一晩還流下に維持し、その後混合物を濃縮し、25mL量とした。その後塩酸(濃55mL)を添加し、この混合物を、50℃に加熱し、この温度で30分間維持した。形成された沈殿物を濾過により除去した。濾液を0℃に冷却し、固形NaOHを、最終pH値が10〜12に到達するまで添加した。本水溶液は、CHCl3(3×50mL)により抽出した。一緒にした有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。生成物を、シリカゲル及びCHCl3/MeOH-勾配を使用する、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
収量:0.74g(60%)、粘稠な油状物。
全行程の収量:36.3%
【化39】

【0195】
(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(9))
【化40】

(2-(3-(4/5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(7))
4-メチル-1H-イミダゾール(6)(36.53mmol, 1eq)及び水素化ナトリウム(鉱油中60%, 36.53mmol, 1.0eq.)を、ジメチルホルムアミド80mLに溶解した。この混合物を、水素ガスの形成が静まるまで、室温で2時間攪拌した。2-(3-ブロモプロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(34.70mmol, 0.95eq.)を添加し、この混合物を、90℃で一晩攪拌した。溶媒を除去し、残留する残渣を、シリカゲル及びCHCl3/MeOH-勾配を使用する、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
収量:2-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン及び2-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオンの混合物6.1g (62.0%)。
【0196】
(2-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(8))
2-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン及び2-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(7)(22.65mmol, 1eq.)並びにトリチルクロライド(13.6mmol, 0.6eq.)からなる混合物を、ジクロロメタン40mLに溶解し、温度0℃で10分間及び室温で1.5時間維持した。この溶媒を除去し、加圧し、残留する固形物を、シリカゲル及びCHCl3/MeOH-勾配を使用する、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
収量:0.92g(15.1%)。
【0197】
(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(9))
2-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)イソインドリン-1,3-ジオン(3.42mmol, 1eq.)及びヒドラジン一水和物(6.84mmol, 2eq.)を、エタノール20mLに溶解し、本混合物を、還流下で12時間攪拌した。本混合物を、一晩還流下に維持し、その後混合物を濃縮し、25mL量とした。その後塩酸(濃、55mL)を添加し、この混合物を、50℃に加熱し、この温度で30分間維持した。形成された沈殿物を濾過により除去した。濾液を0℃に冷却し、固形NaOHを、最終pH値が10〜12に到達するまで添加した。本水溶液は、CHCl3(3×50mL)により抽出した。一緒にした有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。生成物を、シリカゲル及びアンモニア水溶液(2%v/v)を含有するCHCl3/MeOH-勾配を使用する、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
収量:0.31g(65.1%)。
【化41】

【0198】
(半分取的HPLC法)
本システムは、SP250/21 Luna(登録商標)100-7 C18半分取的カラム(Phenomenex社、長さ:250mm、直径:21mm)を装着した、メルク-日立装置(モデルLaChrom(登録商標))から構成された。これらの化合物は、流量6mL/分の勾配を用いて精製し;これにより、溶出液(A)はアセトニトリルであり、溶出液(B)は水であり、両方とも0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含有し、以下の勾配を適用した:0分−40分、40から95%の(A)。
【0199】
(合成例)
(実施例1:2-シアノ(4-エチルフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、1-エチル-4-イソチオシアナトベンゼン(0.24g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化42】

【0200】
(実施例2:2-シアノ(4-イソプロピルフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、1-イソプロピル-4-イソチオシアナトベンゼン(0.27g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20 g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化43】

【0201】
(実施例3:2-シアノ(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン7-イル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、2,3-ジヒドロ-6-イソチオシアナト-ベンゾ[b][1,4]ジオキシン(0.29g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20 g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化44】

【0202】
(実施例4:2-シアノ(4-シアノフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、4-イソチオシアナトベンゾニトリル(0.24g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20 g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化45】

【0203】
(実施例5:2-シアノ(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、5-イソチオシアナト-1,2,3-トリメトキシベンゼン(0.099g, 0.44mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20 g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化46】

【0204】
(実施例6:2-シアノ(4-エトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-4-メトキシベンゼン(0.25g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化47】

【0205】
(実施例7:2-シアノ(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3.4-ジメチルフェニル)-グアニジン)
本化合物は、4-イソチオシアナト-1,2-ジメチルベンゼン(0.36g, 2.2mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化48】

【0206】
(実施例8:(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-メシチルグアニジン)
本化合物は、2-イソチオシアナト-1,3,5-トリメチルベンゼン(0.266g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化49】

【0207】
(実施例9:(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-(ビフェニル-4-イル)グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-4-フェニルベンゼン(0.152g, 0.72mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.10g, 0.72mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化50】

【0208】
(実施例10:(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-(ナフタレン-2-イル)グアニジン)
本化合物は、2-イソチオシアナトナフタレン(0.185 g, 1.0mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.139 g, 1.0mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化51】

【0209】
(実施例11:(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-(ナフタレン-1-イル)グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナトナフタレン(0.278g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化52】

【0210】
(実施例12:(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-6-イル)-2-シアノグアニジン)
本化合物は、5-イソチオシアナトベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(0.290g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化53】

【0211】
(実施例13:(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-2-シアノグアニジン)
本化合物は、1,2-ジクロロ-4-イソチオシアナトベンゼン(0.16g, 0.8mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.14g, 1.0mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化54】

【0212】
(実施例14:(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-6-イル)-2-シアノ-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、5-イソチオシアナトベンゾ[d][1,3]ジオキソール(0.14g, 0.80mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.14g, 1.0mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化55】

【0213】
(実施例15:2-シアノ(4-メトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-4-メトキシベンゼン(0.17g, 1.0mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.17g, 1.2mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化56】

【0214】
(実施例16:2-シアノ-(3,5-ジメトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-3,5-ジメトキシベンゼン(0.293g, 1.5mmol)及び3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.20g, 1.5mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化57】

【0215】
(実施例17:2-シアノ(4-エトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、1-エトキシ-4-イソチオシアナトベンゼン(0.108g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化58】

【0216】
(実施例18:2-シアノ(3,5-ジメトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-3,5-ジメトキシベンゼン(0.117g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化59】

【0217】
(実施例19:2-シアノ(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、2,3-ジヒドロ-6-イソチオシアナト-ベンゾ[b][1,4]ジオキシン(0.116g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化60】

【0218】
(実施例20:2-シアノ(メシチル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、2-イソチオシアナト-1,3,5-トリメチルベンゼン(0.106g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化61】

【0219】
(実施例21:2-シアノ(4-イソプロピルフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、1-イソプロピル-4-イソチオシアナトベンゼン(0.106g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化62】

【0220】
(実施例22:2-シアノ(4-エチルフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、1-エチル-4-イソチオシアナトベンゼン(0.100g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化63】

【0221】
(実施例23:2-シアノ(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ナフタレン-1-イル)-グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナトナフタレン(0.111g, 0.60mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.084g, 0.60mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化64】

【0222】
(実施例24:(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-6-イル)-2-シアノ-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-プロピル)-グアニジン)
本化合物は、5-イソチオシアナトベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(0.139g, 0.72mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.10g, 0.72mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化65】

【0223】
(実施例25:2-シアノ(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、5-イソチオシアナト-1,2,3-トリメトキシベンゼン(0.162g, 0.72mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.10g, 0.72mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化66】

【0224】
(実施例26:2-シアノ(4-シアノフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、4-イソチオシアナトベンゾニトリル(0.115g, 0.72mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.10g, 0.72mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化67】

【0225】
(実施例27:(3,4-ジクロロフェニル)-2-シアノ-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン)
本化合物は、1,2-ジクロロ-4-イソチオシアナトベンゼン(0.147g, 0.72mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.10g, 0.72mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化68】

【0226】
(実施例28:2-シアノ(4-メトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-4-メトキシベンゼン(0.119g, 0.72mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.10g, 0.72mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化69】

【0227】
(実施例29:2-シアノ-1-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル]-4-フェニルベンゼン-1-グアニジン)
本化合物は、1-イソチオシアナト-4-フェニルベンゼン(0.380g, 1.18mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.164g, 1.18mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化70】

【0228】
(実施例30:2-シアノ(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ナフタレン-2-イル)-グアニジン)
本化合物は、2-イソチオシアナトナフタレン(0.167g, 0.90mmol)及び3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(0.125g, 0.90mmol)から出発し、前述のように合成した。
【化71】

【0229】
(活性スクリーニング)
(蛍光アッセイ)
全ての測定は、マイクロプレート用BioAssay Reader HTS-7000Plus(Perkin Elmer社)により30℃で行った。QC活性は、H-Gln-βNAを用い、蛍光測定により評価した。試料は、最終容積250μl中において、20mM EDTAを含有する0.2Mトリス/HCl(pH8.0)中の、0.2mM蛍光発生基質、0.25Uピログルタミルアミノペプチダーゼ(Unizyme社、ホルショルム、デンマーク)及び適宜希釈したQCアリコートからなった。励起/発光波長は、320/410nmであった。このアッセイ反応は、グルタミニルシクラーゼの添加により開始した。QC活性は、アッセイ条件下でのβ-ナフチルアミンの標準曲線から決定した。1単位は、説明された条件下で、1分間にH-Gln-βNAから1μmol pGlu-βNAの形成を触媒するQC量と定義されている。
【0230】
第二の蛍光アッセイにおいて、QC活性は、H-Gln-AMCを基質として用いて決定した。この反応は、マイクロプレート用NOVOStarリーダー(BMG labtechnologies社)を用い、30℃で行った。これらの試料は、最終容積250μl中において、5mM EDTAを含有する0.05Mトリス/HCl(pH8.0)中の、変動濃度の蛍光発生基質、0.1Uピログルタミルアミノペプチダーゼ(Qiagen社)及び適宜希釈したQCアリコートで構成された。励起/発光波長は、380/460nmであった。このアッセイ反応は、グルタミニルシクラーゼの添加により開始した。QC活性は、アッセイ条件下での7-アミノ-4-メチルクマリンの標準曲線から決定した。この反応速度データは、GraFitソフトウェアを用いて評価した。
【0231】
(QCの分光光度アッセイ)
この新規アッセイは、ほとんどのQC基質の反応速度パラメーターを決定するために用いた。QC活性は、補助酵素としてグルタミン酸デヒドロゲナーゼを利用する、既存の不連続アッセイ(Bateman, R. C. J.の論文、J Neurosci Methods 30, 23-28 (1989))を適応させることにより導いた連続法を用い、分光光度的に分析した。試料は、最終容積250μl中において、各QC基質、0.3mM NADH、14mMα-ケトグルタル酸及び30U/mlグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなった。反応は、QCの添加により開始し、340nmで8〜15分間吸光度の減少をモニタリングすることにより、追跡した。
【0232】
初速度を評価し、その酵素活性を、アッセイ条件下でのアンモニアの標準曲線から決定した。全ての試料は、マイクロプレート用SPECTRAFluor Plus又はSunrise(両方ともTECAN社)リーダーのいずれかを用い、30℃で測定した。反応速度データは、GraFitソフトウェアを用いて評価した。
【0233】
(阻害剤アッセイ)
阻害剤の試験に関して、試料組成物は、推定阻害化合物を添加したこと以外は、先に説明したものと同じであった。QC-阻害に関する迅速試験について、試料は、4mMの各阻害剤及び基質を濃度1KMで含有した。阻害の詳細な研究及びKi-値の決定については、阻害剤の補助酵素に対する影響を最初に調べた。各場合において、検出されたいずれの酵素についても影響はなく、従ってQC阻害の信頼できる決定が可能であった。阻害定数は、GraFitソフトウェアを用い、プログレス曲線のセットを、競合阻害に関する一般式にあてはめることにより評価した。
【0234】
(分析的方法)
分析的HPLC-システムは、Li-Chrospher(登録商標)100 RP 18(5μm)分析カラム(長さ:125mm、直径:4mm)、及び記録波長としてλ=214nmを有するダイオードアレー検出器(DAD)を利用する、メルク-日立装置(モデルLaChrom(登録商標))から構成された。これらの化合物は、流量1mL/分の勾配を用いて分析し;これにより、溶出液(A)はアセトニトリルであり、溶出液(B)は水であり、両方とも0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含有し、以下の勾配を適用した:方法[A]:0分−5分、5%の(A)、5分−17分、5から15%の(A)、15分−27分、15から95%の(A)、27分−30分、95%の(A);方法[B]:0分−15分、5から50%の(A)、15分−20分、50から95%の(A)、20分−23分、95%の(A);方法[C]:0分−20分、5から60%の(A)、20分−25分、60から95%の(A)、25分−30分、95%の(A)。すべての報告された化合物の純度は、214nmでのピーク面積のパーセンテージで決定した。
【0235】
ESI-質量スペクトルは、SCIEX API 365分光器(Perkin Elmer社)で、正のイオン化モードを利用して得た。
高分解能正イオンESI質量スペクトルは、Infinity(商標)セル、7.0テスラ超伝導磁石(Bruker社、カールスルーエ、ドイツ)、RFのみの六極イオンガイド、及び外部エレクトロスプレーイオン給源(API Apollo、電圧:終板、-3.700V;キャピラリー、-4.400V;キャピラリー出口、100V;スキマー、1.15V;スキマー、2.6V)を備えている、Bruker Apex III 70eフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(Bruker Daltonics社、ビルリカ、米国)から得た。窒素を、150℃の乾燥ガスとして使用した。試料溶液は、流量120μl/時でシリンジポンプを介して、連続して導入した。すべてのデータは、256kのデータポイントで獲得し、32スキャンで平均し、1024kにゼロを記入した。
【0236】
融解点は、コクラー融解点装置を利用して検出した。それらは、補正されない。1H NMR-スペクトル(500MHz)は、BRUKER AC 500で記録した。溶媒は、特に明記しない限り、DMSO-D6であった。化学シフトは、テトラメチルシランからの低磁場側での100万分の1(ppm)として表した。分裂パターンは、以下のように示した:s(一重線)、d(二重線)、dd(二重の二重線)、t(三重線)、m(多重線)及びbr(広幅化シグナル)。
【0237】
(MALDI-TOF質量分析)
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析を、線形時間の飛行解析装置を備えたHewlett-Packard社G2025 LD-TOFシステムを用いて行った。この装置は、337nm窒素レーザー、電位加速源(5kV)及び1.0m飛行管を装備していた。検出器の操作は、陽イオンモードであり、シグナルは、パーソナルコンピュータに接続されたLeCroy 9350Mデジタルストレージオシロスコープを用い、記録し、かつフィルタリングした。試料(5μl)は、等量のマトリックス溶液と混合した。マトリックス溶液に関して、水を溶媒とする1mlアセトニトリル/0.1%TFA(1/1, v/v)中に、2',6'-ジヒドロキシアセトフェノン(Aldrich社)30mg及びクエン酸水素ジアンモニウム(Fluka社)44mgを溶解することにより調製した、DHAP/DAHCを使用した。少量(〜1μl)のマトリックス被検体-混合物を、プローブチップに移し、直ちに真空チャンバー(Hewlett-Packard社G2024A試料調製アクセサリー)内で蒸発させ、迅速かつ均質な試料の結晶化を確実にした。
【0238】
Glu1-環化の長時間試験に関して、Aβ-由来のペプチドを、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)又は0.1Mビス-トリス緩衝液(pH6.5)の100μl中で30℃でインキュベーションした。ペプチドを、0.5mM [Aβ(3-11)a]又は0.15mM [Aβ(3-21)a]の濃度で適用し、0.2U QCを全部で24時間添加した。Aβ(3-21)aの場合、このアッセイは、1%DMSOを含有した。異なる時点で、試料をアッセイチューブから採取し、ペプチドをZipTips(Millipore社)を製造業者の推奨に従い用いて抽出し、マトリックス溶液(1:1v/v)と混合し、引き続き質量スペクトルを記録した。陰性対照は、QCを含まないか、又は熱で失活した酵素を含むかのいずれかであった。阻害剤試験に関して、試料組成物は、阻害化合物(5mM又は2mMの本発明の被験化合物)を添加したこと以外は、先に説明したものと同じであった。
【0239】
第一のQC阻害剤は、WO 2004/098591及びWO 2005/075436に開示されていた。当該技術分野において公知のその他の強力なQC阻害剤は、存在しない。QC阻害剤を含有する神経疾患の治療のための組合せ及び組成物に関しても、同じことが言える。本発明の化合物及び組合せは、それらが、先行技術の他の化合物よりも、例えば、より強力、より選択的である点、副作用がより少ない点、より良い製剤特性及び安定性を有する点、より良い薬物動態特性を有する点、より多くのバイオアベイラビリティである点、血液脳関門を通過することができかつ哺乳動物の脳でより有効である点、他の薬物との組合せにおいてより適合性があるか若しくは有効である点、又はより容易に合成される点で有利である。
【0240】
本明細書及び以下の「特許請求の範囲」を通じて、文脈が別途要求しない限り、語句「らを含む」並びに「を含む」及び「含んでいる」のような変形体は、言及された整数、工程、整数群又は工程群を含むが、いずれか他の整数、工程、整数群又は工程群を除外するものではないことを暗示することは理解されるであろう。
【0241】
本発明の明細書を通じて言及された全ての特許及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、前に列挙された群の好ましい及びより好ましい群及び実施態様の全ての組合せを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はそれらの全ての互変異性体及び立体異性体を含む、それらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物又は多形体:
【化1】

(式中、R1は、アルキル;二重結合が窒素に隣接していない、アルケニル;カルボシクリル;-C1-6アルキル-カルボシクリル;ヘテロシクリル;-C1-6アルキル-ヘテロシクリル;アリール;ヘテロアリール;-C1-6アルキルアリール;-C1-6アルキルヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル又はヘテロシクリルに縮合された-フェニルを表し;
ここで前述のカルボシクリル及びヘテロシクリル基は、メチル及びオキソから選択された1個以上の基により任意に置換されることができ;
並びに、ここで前述のフェニル、アリール及びヘテロアリール基は、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、-C(O)OC1-6アルキル、-SOC1-4アルキル及びSOC3-6シクロアルキルから選択された1個以上の置換基により任意に置換されることができるか;又は
R1は、フェニルにより置換されたフェニル、若しくは任意に置換された単環ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し、ここで前述のフェニル及び単環ヘテロアリール基のいずれかは、C1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択された1個以上の基により任意に置換されることができるか;又は
R1は、ベンジルオキシ-により置換されたフェニルを表し、ここで前述のフェニル又はベンジルオキシ基のいずれかは、C1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択された1個以上の基により環上で任意に置換されることができ;かつ
Aは、
【化2】

を表し(式中、Yは、1若しくは2個のメチル基により任意に置換されることができるか、又は同じ位置で2個のアルキレン置換基により任意に置換されることができ、これら2個のアルキレン置換基はC3-5スピロ-シクロアルキル基を形成するように互いに結合されている、C2-5アルキレン鎖を表し、並びに
R2、R3及びR4は、独立して、H又はC1-2アルキルを表し、但しR2及びR3及びR4は、全てはHを表さないことを条件とする。)か;又は
Aは、
【化3】

を表し(式中、Zは、結合、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(Me)-、-CH(Me)-CH2-若しくは-CH2-CH(Me)-を表し、並びに
R5及びR6は、独立してH又はC1-2アルキルを表す。);並びに
Bは、H又はメチルを表す。)。
【請求項2】
前記R1が、アルキル;二重結合が窒素に隣接していない、アルケニル;カルボシクリル;-C1-6アルキル-カルボシクリル;ヘテロシクリル;-C1-6アルキル-ヘテロシクリル;アリール;ヘテロアリール;-C1-6アルキルアリール;-C1-6アルキルヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル又はヘテロシクリルに縮合された-フェニルを表し;
ここで前述のカルボシクリル及びヘテロシクリル基は、メチル及びオキソから選択された1個以上の基により任意に置換されることができ;
並びに、ここで前述のフェニル、アリール及びヘテロアリール基のいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択された1個以上の置換基により任意に置換されることができるか;又は
R1は、フェニルにより置換されたフェニル、若しくは任意に置換された単環ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し、ここで前述のフェニル及び単環ヘテロアリール基のいずれかは、C1-4アルキル、ハロゲン及びC1-4アルコキシから選択された1個以上の基により任意に置換されることができる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記R1が、アリール;ヘテロアリール;カルボシクリルに縮合された-フェニル又はヘテロシクリルに縮合された-フェニルを表すか;又は
R1が、フェニルにより置換されたフェニル、又は単環ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し;ここで前述のアリール、フェニル、ヘテロアリール、カルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、任意に置換されることができる、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記R1が、任意に置換されたアリールを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記R1が、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルキル、ハロゲン及びシアノから選択された1、2又は3個の置換基により置換されたフェニルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
前記R1が、フェニル、ナフタレン-1-イル及びナフタレン-2-イルから選択された非置換のアリールを表す、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
前記R1が、任意に置換されたヘテロシクリルへ縮合された任意に置換されたフェニルを表す、請求項3記載の化合物。
【請求項8】
前記R1が、任意に置換されたヘテロアリールを表す、請求項3記載の化合物。
【請求項9】
前記Aが、
【化4】

を表す(式中、Y、R3及びR4は、請求項1に規定されたものである。)、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
前記R2が、Hを表し、
R3が、Hを表し、及び
R4が、メチルを表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
前記Yが、非置換のC2-5アルキレン鎖を表す、請求項9又は10記載の化合物。
【請求項12】
前記Yが、-(CH2)3-又は-(CH2)4-を表す、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
前記Aが、
【化5】

を表す、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
前記Aが、
【化6】

を表す(式中、R5、R6及びZは、請求項1に規定されたものである。)、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
前記R5が、Hを表し、及び
R6が、Hを表す、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
前記Zが、結合、-CH2-又は-CH2-CH2-を表す、請求項14又は15記載の化合物。
【請求項17】
前記Bが、Hを表す、請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
(1)2-シアノ(4-エチルフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(2)2-シアノ(4-イソプロピルフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(3)2-シアノ(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(4)2-シアノ(4-シアノフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(5)2-シアノ(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(6)2-シアノ(4-エトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(7)2-シアノ(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジメチルフェニル)グアニジン、
(8)(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-メシチルグアニジン、
(9)(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-(ビフェニル-4-イル)グアニジン、
(10)(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-(ナフタレン-2-イル)グアニジン、
(11)(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-2-シアノ-3-(ナフタレン-1-イル)グアニジン、
(12)(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-6-イル)-2-シアノグアニジン、
(13)(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-2-シアノグアニジン、
(14)(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-6-イル)-2-シアノ-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(15)2-シアノ(4-メトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(16)2-シアノ(3,5-ジメトキシフェニル)-3-(3-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(17)2-シアノ(4-エトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(18)2-シアノ(3,5-ジメトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(19)2-シアノ(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(20)2-シアノ(メシチル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(21)2-シアノ(4-イソプロピルフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(22)2-シアノ(4-エチルフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(23)2-シアノ(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ナフタレン-1-イル)グアニジン、
(24)(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-6-イル)-2-シアノ-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(25)2-シアノ(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(26)2-シアノ(4-シアノフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(27)(3,4-ジクロロフェニル)-2-シアノ-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(28)2-シアノ(4-メトキシフェニル)-3-(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)グアニジン、
(29)2-シアノ-1-[3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル]-4-フェニルベンゼン-1-グアニジン、
(30)2-シアノ(3-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(ナフタレン-2-イル)グアニジン、又は
それらのいずれかひとつの医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは多形体である、実施例1〜30のいずれかひとつに規定された、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
医薬品として使用するための、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
任意に1種以上の治療的に許容し得る希釈剤又は担体と組合せて、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物を含有する、医薬組成物。
【請求項21】
神経保護薬、抗パーキンソン薬、アミロイドタンパク質沈着阻害薬、βアミロイド合成阻害薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬及び多発性硬化症治療薬からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を追加的に含有する、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
PEP-阻害剤、LiCl、DP IV酵素又はDP IV-様酵素の阻害剤の阻害剤、アセチルコリンエステラーゼ(ACE)阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼ阻害剤、γセクレターゼ阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、TNFα阻害剤、ムスカリン性M1受容体アンタゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、シグマ-1受容体阻害剤、ヒスタミンH3アンタゴニスト、免疫調節薬、免疫抑制薬、又はアンテグレン(ナタリズマブ)、Neurelan(ファムプリジン-SR)、カンパス(アレムツズマブ)、IR 208、NBI 5788/MSP 771(チプリモチド)、パクリタキセル、Anergix.MS(AG 284)、SH636、ディフェリン(CD 271, アダパレン)、BAY 361677(インターロイキン-4)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-阻害剤、インターフェロン-τ(トロホブラスチン)及びSAIK-MSからなる群から選択される作用物質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を追加的に含有する、請求項20又は21記載の医薬組成物。
【請求項23】
ケネディ病、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー-エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病的精神病的状態、精神分裂病、不妊、新生物形成、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、液性及び細胞性免疫反応障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群及び慢性炎症性脱髄性多発神経根障害からなる群から選択される疾患の治療に使用するための、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物又は請求項20〜22のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項24】
軽度認識障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群の神経変性、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される疾患の治療に使用するための、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物又は請求項20〜22のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項25】
関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、膵炎及び再狭窄からなる群から選択される疾患の治療に使用するための、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物又は請求項20〜22のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物又は請求項20〜22のいずれか1項記載の医薬組成物の有効量を被験者へ投与することを含む、ケネディ病、潰瘍疾患、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー-エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病的精神病的状態、精神分裂病、不妊、新生物形成、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、液性及び細胞性免疫反応障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群及び慢性炎症性脱髄性多発神経根障害からなる群から選択される疾患を治療又は予防する方法。
【請求項27】
請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物又は請求項20〜22のいずれか1項記載の医薬組成物の有効量を被験者へ投与することを含む、軽度認識障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群の神経変性、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される疾患を治療又は予防する方法。
【請求項28】
請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物又は請求項20〜22のいずれか1項記載の医薬組成物の有効量を被験者へ投与することを含む、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、膵炎及び再狭窄からなる群から選択される疾患を治療又は予防する方法。
【請求項29】
ケネディ病、潰瘍疾患、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー-エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病的精神病的状態、精神分裂病、不妊、新生物形成、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、液性及び細胞性免疫反応障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群及び慢性炎症性脱髄性多発神経根障害からなる群から選択される疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項30】
アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群の神経変性、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項31】
関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、膵炎及び再狭窄からなる群から選択される疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項32】
式(II)の化合物:
【化7】

の、式(III)の化合物:
【化8】

(式中、R1、A及びBは、請求項1〜18のいずれか1項に規定されている。)との反応を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項33】
式(VI)の化合物:
【化9】

(式中、R7は、C1-6アルキルを表し、かつR1は、請求項1〜18のいずれか1項に規定されている。)の、式(III)の化合物:
【化10】

p
(式中、A及びBは、請求項1〜18のいずれか1項に規定されている。)との反応を含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2010−524895(P2010−524895A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503512(P2010−503512)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054712
【国際公開番号】WO2008/128983
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(505403119)プロビオドルグ エージー (39)
【Fターム(参考)】