説明

グルタミニルシクラーゼ(QC、EC2.3.2.5)の複素環阻害剤

本発明は、グルタミニルシクラーゼ(QC、EC 2.3.2.5)の阻害剤としての新規複素環誘導体に関する。QCは、アンモニアの遊離下でのN-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(5-オキソ-プロリル、pGlu*)への分子内環化、及び水の遊離下でのN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸への分子内環化を触媒する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、グルタミニルシクラーゼ(QC、EC 2.3.2.5)の阻害剤としての新規複素環誘導体に関する。QCは、アンモニアの遊離下でのN-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(5-オキソ-プロリル、pGlu*)への分子内環化、及び水の遊離下でのN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸への分子内環化を触媒する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
グルタミニルシクラーゼ(QC, EC 2.3.2.5)は、アンモニアを遊離しながらの、N-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化を触媒する。QCは、1963年にMesserにより熱帯植物カリカ・パパイヤ(Carica papaya)のラテックスから最初に単離された(Messer, M.の文献(1963 Nature 4874, 1299))。24年後、対応する酵素活性が、動物の下垂体において発見された(Busby, W. H. J.らの文献(1987 J Biol Chem 262, 8532-8536);Fischer, W. H.及びSpiess, J.の文献(1987 Proc Natl Acad Sci USA 84, 3628-3632))。哺乳動物のQCに関して、QCによるGlnのpGluへの転化を、TRH及びGnRHの前駆体について示すことができた(Busby, W. H. J.らの文献(1987 J Biol Chem 262, 8532-8536);Fischer, W. H.及びSpiess, J.の文献(1987 Proc Natl Acad Sci USA 84, 3628-3632))。加えて、初期のQC局在化実験は、ウシ下垂体における触媒の推定産物との共局在を明らかにし、ペプチドホルモン合成において示唆された機能をさらに改良した(Bockers, T. M.らの文献(1995 J Neuroendocrinol 7, 445-453))。対照的に、植物のQCの生理機能は、これほど明確ではない。C.パパイヤ由来の酵素の場合、病原性微生物に対する植物防御における役割が示唆された(El Moussaoui, A.らの文献(2001 Cell Mol Life Sci 58, 556-570))。他の植物に由来する推定上のQCが、配列比較により最近同定された(Dahl, S. W.らの文献(2000 Protein Expr Purif 20, 27-36))。しかしこれらの酵素の生理機能は依然曖昧である。
【0003】
植物及び動物由来の公知のQCは、それらの基質のN-末端位置でのL-グルタミンに対する厳密な特異性を示し、かつそれらの反応速度論的挙動は、ミカエリス-メンテン式に従うことがわかった(Pohl, T.らの文献(1991 Proc Natl Acad Sci USA 88, 10059-10063);Consalvo, A. P.らの文献(1988 Anal Biochem 175, 131-138);Gololobov, M. Y.らの文献(1996 Biol Chem Hoppe Seyler 377, 395-398))。しかし、C.パパイヤ由来のQCの一次構造と哺乳動物由来の高度に保存されたQCの一次構造との比較は、いかなる配列相同性も示さなかったDahl, S. W.らの文献(2000 Protein Expr Purif 20, 27-36))。植物QCが新たな酵素ファミリーに属するように見える(Dahl, S. W.らの文献(2000 Protein Expr Purif 20, 27-36))のに対し、哺乳動物QCは、細菌のアミノペプチダーゼと顕著な配列相同性を有することがわかり(Bateman, R. C.らの文献(2001 Biochemistry 40, 11246-11250))、このことは、植物と動物に由来するQCは進化の起源が異なっているという結論につながる。
【0004】
最近、組換えヒトQCに加え、脳抽出物由来のQC活性は、N-末端グルタミニルに加えグルタミン酸の両方の環化を触媒することが示された。シクラーゼが触媒するGlu1-転化はおよそpH6.0で好ましいのに対し、pGlu-誘導体へのGln1-転化が至適pHおよそ8.0で起こるという知見は、最も特筆すべきである。pGlu-Aβ-関連ペプチドの形成は、組換えヒトQCの阻害及びブタ下垂体抽出物由来のQC-活性の阻害により抑制することができるので、酵素QCは、アルツハイマー病治療のための薬物開発の標的である。
【0005】
QCの阻害剤は、WO 2004/098625、WO 2004/098591、WO 2005/039548、WO 2005/075436、WO 2008/055945、WO 2008/055947、WO 2008/055950、及びWO2008/065141に記載されている。
【0006】
EP 02 011 349.4は、昆虫グルタミニルシクラーゼをコードするポリヌクレオチドに加え、それによりコードされるポリペプチド、及びグルタミニルシクラーゼ活性を低下させる作用物質のスクリーニング法におけるそれらの使用を開示している。このような作用物質は、殺虫剤として有用である。
【発明の概要】
【0007】
(定義)
用語「ki」又は「KI」及び「KD」は結合定数であり、これは阻害剤の酵素への結合及び酵素からのその後の放出を説明するものである。別の尺度は「IC50」値であり、これは、所与の基質濃度で、50%の酵素活性を生じる阻害剤濃度を反映するものである。
【0008】
用語「DP IV-阻害剤」又は「ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤」は、当業者に一般に公知であり、DP IV酵素又はDP IV-様酵素の触媒活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
【0009】
「DP IV-活性」は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP IV)及びDP IV-様酵素の触媒活性と定義される。これらの酵素は、腎臓、肝臓、及び小腸を含む哺乳動物の体の様々な組織において見られるポストプロリン(より少ない程度にポストアラニン、ポストセリン、又はポストグリシン)切断セリンプロテアーゼであり、該組織において該酵素は、プロリン又はアラニンが生物学的活性ペプチドの配列のN-末端アミノ酸に隣接している残基を形成する場合に、該ペプチドのN-末端からジペプチドを高い特異性で除去する。
【0010】
用語「PEP-阻害剤」又は「プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤」は、一般に当業者に公知であり、プロリルエンドペプチダーゼ(PEP, プロリルオリゴペプチダーゼ, POP)の触媒活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
【0011】
「PEP-活性」は、プロリンがペプチド基質又はタンパク質基質のN-末端から数えて3以降のアミノ酸位置にあるペプチド又はタンパク質内のポストプロリン結合を加水分解することが可能であるエンドプロテアーゼの触媒活性と定義される。
【0012】
本明細書において使用される用語「QC」は、グルタミニルシクラーゼ(QC)及びQC-様酵素を含む。QC及びQC-様酵素は、さらにQC活性と定義される、同じ又は類似した酵素活性を有する。これに関して、QC-様酵素は、基本的にそれらの分子構造がQCとは異なり得る。QC-様酵素の例は、ヒト(GenBank NM_017659)、マウス(GenBank BC058181)、カニクイザル(Macaca fascicularis)(GenBank AB168255)、アカゲザル(Macaca mulatta)(GenBank XM_001110995)、イヌ(Canis familiaris)(GenBank XM_541552)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)(GenBank XM_001066591)、ハツカネズミ(Mus musculus)(GenBank BC058181)、及びウシ(Bos taurus)(GenBank BT026254)由来の、グルタミニル-ペプチドシクロトランスフェラーゼ-様タンパク質(QPCTL)類がある。
【0013】
本明細書において使用される用語「QC活性」は、N-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(pGlu*)への、又はN-末端L-ホモグルタミン若しくはL-β-ホモグルタミンの環状ピロ-ホモグルタミン誘導体への、アンモニアの遊離下での分子内環化と定義される。したがってスキーム1及び2を参照されたい。
【化1】

【化2】

【0014】
本明細書において使用される用語「EC」は、さらにEC活性と定義される、グルタミン酸シクラーゼ(EC)としてのQC及びQC-様酵素の活性を含む。
【0015】
本明細書において使用される用語「EC活性」は、QCによるN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸(pGlu*)への分子内環化と定義される。したがってスキーム3を参照されたい。
【化3】

【0016】
用語「QC阻害剤」、「グルタミニルシクラーゼ阻害剤」は、一般に当業者に公知であり、グルタミニルシクラーゼ(QC)の触媒活性又はそのグルタミルシクラーゼ(EC)活性を阻害する酵素阻害剤を意味する。
【0017】
(QC阻害の効能)
好ましい実施態様において、QC阻害との相関関係を考慮し、本対象となる方法及び医学的用途は、QC阻害のIC50が10μM以下、より好ましくは1μM以下、さらにより好ましくは0.1μM以下若しくは0.01μM以下、又は最も好ましくは0.001μM以下である作用物質を利用する。実際、Ki値が、より低いμM、好ましくはnM、さらにより好ましくはpMの範囲である阻害剤が意図されている。したがって、本明細書においては便宜上「QC阻害剤」として活性作用物質が説明されているが、そのような命名は、本発明の対象を特定の作用機構に限定するものではないことは理解されるであろう。
【0018】
(QC阻害剤の分子量)
一般に、本対象となる方法又は医学的用途のQC阻害剤は、例えば、分子量が500g/モル以下、400g/モル以下、好ましくは350g/モル以下、さらにより好ましくは300g/モル以下、及びさらには250g/モル以下である小分子であろう。
【0019】
本明細書において使用される用語「対象」は、治療、観察、又は実験の対象である、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0020】
本明細書において使用される用語「治療上有効な量」は、治療される疾患又は障害の症状を緩和することを含む、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により探求される、組織の系、動物、又はヒトにおいて生物学的応答又は医学的応答を誘起する活性化合物又は医薬物質の量を意味する。
【0021】
本明細書において使用される用語「医薬として許容し得る」は、臨床及び獣医学の両方の用途を包含している。例えば、用語「医薬として許容し得る」は、獣医学的に許容し得る化合物又は臨床薬及び保健医療において許容し得る化合物を包含している。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、表現「アルキル」は、特に限定しない限りは、C1-12アルキル基、好適にはC1-8アルキル基、例えばC1-6アルキル基、例えばC1-4アルキル基を意味する。アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。好適なアルキル基には、例えばメチル、エチル、プロピル(例えばn-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えばn-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)、ペンチル(例えばn-ペンチル)、ヘキシル(例えばn-ヘキシル)、ヘプチル(例えばn-ヘプチル)、及びオクチル(例えばn-オクチル)がある。例えば、「アルコキシ」、「ハロアルキル」及び「チオアルキル」の表現において、表現「アルキ(alk)」は、「アルキル」の定義に従い解釈されるべきである。典型的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn-プロポキシ)、ブトキシ(例えばn-ブトキシ)、ペントキシ(例えばn-ペントキシ)、ヘキソキシ(例えばn-ヘキソキシ)、ヘプトキシ(例えばn-ヘプトキシ)、及びオクトキシ(例えばn-オクトキシ)がある。典型的なチオアルキル基には、メチルチオ-がある。典型的なハロアルキル基には、フルオロアルキル、例えばCF3がある。
【0023】
表現「アルケニル」は、特に限定しない限りは、C2-12アルケニル基、好適にはC2-6アルケニル基、例えば、C2-4アルケニル基を意味し、少なくとも1個の二重結合を任意の所望する位置に含み、かつ三重結合は含まない。アルケニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。1個の二重結合を含む典型的なアルケニル基には、プロペニル及びブテニルがある。2個の二重結合を含む典型的なアルケニル基には、ペンタジエニル、例えば(1E,3E)-ペンタジエニルがある。
【0024】
表現「アルキニル」は、特に限定しない限りは、C2-12アルキニル基、好適にはC2-6アルキニル基、例えば、C2-4アルキニル基を意味し、少なくとも1個の三重結合を任意の所望する位置に含み、かつ1個以上の二重結合を含んでも含んでいなくてもよい。アルキニル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。典型的なアルキニル基には、プロピニル及びブチニルがある。
表現「アルキレン」は、式-(CH2)n-の鎖を意味し、式中nは、特に限定しない限りは、整数であり、例えば2〜5である。
【0025】
表現「シクロアルキル」は、特に限定しない限りは、C3-10シクロアルキル基(すなわち、3〜10個の環炭素原子)、より好適にはC3-8シクロアルキル基、例えばC3-6シクロアルキル基を示す。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルがある。環炭素原子の最も好適な数は、3〜6個である。
【0026】
表現「ヘテロシクリル」は、特に限定しない限りは、1個以上(例えば1、2、又は3個)の環原子が、N、S、及びOから選択されるヘテロ原子により置換されたカルボシクリル基を指す。ヘテロシクリル基の具体例は、1個以上(例えば1、2、又は3個、特に1又は2個、特別には1個)の環原子が、N、S、又はOから選択されるヘテロ原子により置換されたシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、又はより特定するとシクロヘキシル)である。1個のヘテロ原子を含む典型的なヘテロシクリル基には、ピロリジン、テトラヒドロフラン、及びピペリジンがあり、2個のヘテロ原子を含む典型的なヘテロシクリル基には、モルホリン、ピペラジン、ジオキソラン、及びジオキサンがある。ヘテロシクリル基のさらなる具体例は、1個以上(例えば1、2、又は3個、特に1又は2個、特別には1個)の環原子が、N、S、及びOから選択されるヘテロ原子により置換されたシクロアルケニル基(例えばシクロヘキセニル基)である。このような基の例は、ジヒドロピラニル(例えば3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル-)である。
【0027】
表現「アリール」は、特に限定しない限りは、C6-12アリール基、好適にはC6-10アリール基、より好適にはC6-8アリール基を示す。アリール基は、少なくとも1個の芳香環(例えば1、2、又は3個の環)を含む。1個の芳香環を伴う典型的アリール基の例は、フェニルである。2個の芳香環を伴う典型的アリール基の例は、ナフチルである。
【0028】
表現「ヘテロアリール」は、特に限定しない限りは、1個以上(例えば、1、2、3又は4個、好適には1、2、又は3個)の環原子が、N、S、及びOから選択されるヘテロ原子により置換されたアリール残基か、若しくはN、S、及びOから選択される1個以上(例えば、1、2、3、又は4個、好適には1、2、又は3個)の環原子を含む5員の芳香環を示す。1個のヘテロ原子を有する典型的な単環式ヘテロアリール基には下記がある:5員環(例えば、ピロール、フラン、チオフェン);及び6員環(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、及びピリジン-4-イルなどのピリジン)。2個のヘテロ原子を有する典型的な単環式ヘテロアリール基には下記がある:5員環(例えば、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イルなどのイミダゾール);6員環(例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン)。3個のヘテロ原子を有する典型的な単環式ヘテロアリール基には下記がある:1,2,3-トリアゾール及び1,2,4-トリアゾール。4個のヘテロ原子を有する典型的な単環式ヘテロアリール基にはテトラゾールがある。典型的な二環式ヘテロアリール基には下記がある:インドール(例えば、インドール-6-イル)、ベンゾフラン、ベンズチオフェン(benzthiophene)、キノリン、イソキノリン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンズチアゾール(benzthiazole)、キナゾリン、及びプリン。
【0029】
表現「-アルキルアリール」は、特に限定しない限りは、アルキレン部分、例えばC1-4アルキレン部分を介して結合されているアリール残基を示す。
【0030】
表現「-アルキルヘテロアリール」は、特に限定しない限りは、アルキレン部分、例えばC1-4アルキレン部分を介して結合されているヘテロアリール残基を示す。
【0031】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、及び臭素(Br)を含む。
【0032】
用語「アミノ」は、-NH2基を指す。
【0033】
用語「フェニルにより置換されたフェニル」はビフェニルを指す。
【0034】
用語
【化4】

は、立体化学が定義されていない単結合を示す。
【0035】
ベンゾイミダゾリルが、下記式:
【化5】

として表されるベンゾイミダゾール-5-イルとして示される場合、当業者は、下記式:
【化6】

として表されるベンゾイミダゾール-6-イルが等価の構造であることを認識するであろう。本明細書で採用されるように、2つの形態のベンゾイミダゾリルは、用語「ベンゾイミダゾール-5-イル」によって包含される。
【0036】
(立体異性体:)
請求項記載の化合物の可能性のある全ての立体異性体が、本発明に含まれる。
【0037】
本発明の化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、それに応じて該化合物は鏡像異性体として存在し得る。本化合物が2個以上のキラル中心を有する場合、該化合物はさらにジアステレオマーとして存在し得る。全てのそのような異性体及びそれらの混合物が本発明の範囲内に包含されることは理解されよう。
【0038】
(立体異性体の製造及び単離:)
本発明の化合物の製造プロセスが立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの通常の技術により分離され得る。該化合物は、ラセミ体の形態で製造されてもよいか、又は個別の鏡像異性体が、鏡像特異的合成若しくは分割のいずれかにより製造されてもよい。該化合物は、例えば、(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸などの光学活性のある酸との塩形成、それに続く分別結晶及び遊離塩基の再生によるジアステレオマー対の形成などの、標準技術により、該化合物の成分鏡像異性体に分割され得る。また、該化合物は、ジアステレオマー的エステル又はアミドの形成、それに続くクロマトグラフィーによる分離、及びキラル補助基の除去によっても分割され得る。或いは、該化合物は、キラルHPLCカラムを用いて分割され得る。
【0039】
(医薬として許容し得る塩:)
遊離化合物とそれらの塩又は溶媒和物の形態の化合物の間の密接な関係を考慮すると、化合物がこの文脈において言及される限りは、対応する塩、溶媒和物、又は多形体も意図されるが、但しその状況下でそのようなものが可能又は適切であることを条件とする。
【0040】
医薬品において使用するのに好適な式(I)の化合物の塩及び溶媒和物並びにそれらの生理的に機能する誘導体は、対イオン又は会合した溶媒が医薬として許容し得るものである。しかし、医薬として許容し得ない対イオン又は会合した溶媒を有する塩及び溶媒和物は、例えば、他の化合物並びにそれらの医薬として許容し得る塩及び溶媒和物の製造における中間体として使用するために、本発明の範囲内である。
【0041】
本発明の好適な塩には、有機及び無機の両方の酸又は塩基で形成されたものがある。医薬として許容し得る酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えばp-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸(例えば、フェニル、メチル、メトキシ、又はハロ置換されたケイ皮酸であり、4-メチル及び4-メトキシケイ皮酸を含む)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-若しくは4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4-ベンゼンジアクリル酸)、イセチオン酸、過塩素酸、プロピオン酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、パモ酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸、及びトリフルオロ酢酸から形成されたものがある。医薬として許容し得る塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウムのものなどのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウムのものなどのアルカリ土類金属塩、並びにジシクロヘキシルアミン及びN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基との塩がある。
本発明の化合物の医薬として許容し得る酸付加塩の形は全て、本発明の範囲により包含されるものとする。
【0042】
(多形結晶形:)
さらに、該化合物の結晶形の一部は、多形体として存在することがあり、かつそれ自体、本発明に含まれるものとする。さらに、該化合物の一部は、水と(すなわち水和物)又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も本発明の範囲内に包含されるものとする。また、該化合物の塩を含む該化合物は、それらの水和物の形で得ることができるか、又はそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含むことがある。
【0043】
(プロドラッグ:)
本発明はさらに、その範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、そのようなプロドラッグは、所望の治療活性のある化合物にインビボで容易に転化可能である化合物の官能基誘導体であろう。したがって、これらの場合、本発明の治療法で、用語「投与する」は、請求項記載の化合物の1種以上のプロドラッグ型による、記載された様々な障害の治療を包含するものとし、該プロドラッグ型は、対象への投与後にインビボで先に明記された化合物に転化する。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び製造の通常の手順は、例えば、H. Bundgaard編「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」(Elsevier, 1985)に説明されている。
【0044】
(保護基:)
本発明の化合物の製造プロセスの間に、着目される任意の分子上の感応性のある基又は反応基を保護することが必要及び/又は望ましいことがある。このことは、J.F.W. McOmie編「有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」(Plenum Press, 1973);並びに、T.W. Greene及びP. G. M. Wutsの文献「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(John Wiley & Sons, 1991)に記載されているものなど、通常の保護基により実現することができ、これらの文献は引用により本明細書中に完全に組み込まれている。保護基は、その後の都合良い工程において、当該技術分野由来の公知の方法を用いて除去することができる。
【0045】
本明細書では、用語「組成物」は、請求項記載の化合物を治療上有効な量で含む製品に加え、請求項記載の化合物の組み合わせから直接的に又は間接的に結果として生じる任意の製品を包含するものとする。
【0046】
(生薬製剤のための担体及び添加剤)
したがって、例えば懸濁剤、エリキシル剤、及び液剤などの液体経口製剤に関して、好適な担体及び添加剤には、有利なことに、水、グリコール、油類、アルコール、香味料、保存料、着色料などがあり;例えば散剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及び錠剤などの固形経口製剤に関して、好適な担体及び添加剤には、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などがある。
【0047】
前記混合物に添加することができる担体には、好適な結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香味料、甘味料、保存料、コーティング、崩壊剤、色素、及び着色料があるが、これらに限定されない必要かつ不活性な医薬賦形剤がある。
【0048】
標的を定めることのできる薬剤担体としての可溶性ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリシンがあり得る。さらに、本発明の化合物は、薬剤の制御放出を達成する上で有用なある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリアクチン酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性のブロックコポリマーと組み合わせることができる。
【0049】
好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料、例えばアカシア、トラガカントなどの天然及び合成のゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0050】
崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどがあるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明によると、全互変異性体及び立体異性体を含む、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体が提供される:
【化7】

(式中、
R1は、水素、ハロゲン、-C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、-アリール、-C1-6アルキルアリール、-シクロアルキル、-C1-6アルキルシクロアルキル、-ヘテロアリール、-C1-6アルキルヘテロアリール、-ヘテロシクリル、-C1-6アルキルヘテロシクリル、フェニルにより置換された-シクロアルキル、フェノキシにより置換された-シクロアルキル、シクロアルキルにより置換された-フェニル、フェノキシにより置換された-フェニル、フェニルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換されたヘテロシクリル、フェニルにより置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、ヘテロアリールにより置換されたフェニル、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表し;
かつ、上記のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、フェニル、又はフェノキシ基のいずれも、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SOC1-4アルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、-SOC3-6シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、及び-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)から選択される1個以上の基により任意に置換されていてよく;
R2は、-C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、-アリール、-C1-6アルキルアリール、-シクロアルキル、-C1-6アルキルシクロアルキル、-ヘテロアリール、-C1-6アルキルヘテロアリール、-ヘテロシクリル、又は-C1-6アルキルヘテロシクリルを表し:
かつ、上記のアリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル基のいずれも、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SOC1-4アルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、-SOC3-6シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、及び-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)から選択される1個以上の基により任意に置換されていてよく;
R3は、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルを表し;
nは、0〜3から選択される整数を表し;かつ
Raは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SOC1-4アルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、-SOC3-6シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、及び-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)を表す)。
【発明を実施するための形態】
【0052】
(発明の詳細な説明)
シクロアルキル及びヘテロシクリルが置換される場合、典型的には、これらは1又は2個の置換基(例えば、1個の置換基)により置換される。典型的には、該置換基はC1-6アルキル(例えばメチル)又はハロゲン(例えば、塩素又はフッ素)である。より典型的には、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基は非置換である。
【0053】
アリールおよびヘテロアリールが置換される場合、典型的には、これらは1個、2個、又は3個(例えば、1又は2個)の置換基により置換される。アリール及びヘテロアリールに対する置換基は、C1-6アルキル(例えば、メチル)、C2-6アルケニル(例えば、ブテン-3-イル)、C2-6アルキニル(例えば、ブチン-3-イル)、C1-6ハロアルキル(例えば、フルオロメチル、トリフルオロメチル)、-C1-6チオアルキル(例えば、-S-メチル)、-SOC1-4アルキル(例えば、-SOメチル)、-SO2C1-4アルキル(例えば、-SO2メチル)、C1-6アルコキシ-(例えば、メトキシ、エトキシ)、-O-C3-8シクロアルキル(例えば、-O-シクロペンチル)、C3-8シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル)、-SO2C3-8シクロアルキル(例えば、-SO2シクロヘキシル)、-SOC3-6シクロアルキル(例えば、-SOシクロプロピル)、C3-6アルケニルオキシ-(例えば、-O-ブテン-2-イル)、C3-6アルキニルオキシ-(例えば、-O-ブテン-2-イル)、-C(O)C1-6アルキル(例えば、-C(O)エチル)、-C(O)OC1-6アルキル(例えば、-C(O)O-メチル)、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-(例えば、メトキシ-エチル-)、ニトロ、ハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ)、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル(例えば、-NHメチル)、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)(例えば、-N(メチル)2)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)(例えば、-C(O)N(メチル)2)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)(例えば、-C(O)NHメチル)、-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)(例えば、-C(O)NHシクロプロピル)から選択される。より典型的には、置換基は、C1-6アルキル(例えば、メチル)、C1-6ハロアルキル(例えば、C1-6フルオロアルキル、例えば、CF3)、C1-6アルコキシ(例えば、OMe)、ハロゲン、及びヒドロキシから選択されるであろう。
【0054】
R1又はR2が、-C1-6アルキルシクロアルキル、-C1-6アルキルアリール、-C1-6アルキル-ヘテロアリール、又は-C1-6アルキル-ヘテロシクリルを表す場合、アルキルが分岐している例には下記がある:
【化8】


【0055】
R1又はR2がアリール又は-C1-6アルキルアリールを表す場合、前記アリールは好適には任意に置換されたフェニルを表す。R1又はR2の例示的な置換フェニル基には、2-ブロモフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル-、2-ブロモ-5-フルオロフェニル-、2-フルオロ-5-ブロモフェニル、2-クロロフェニル-、2-フルオロフェニル-、3-クロロフェニル-、3-ブロモフェニル-、3-フルオロフェニル-、4-クロロフェニル-、4-フルオロフェニル-、4-ブロモフェニル-、4-ブロモ-2-フルオロフェニル、2-クロロ-3,6-ジフルオロフェニル、2,3-ジクロロフェニル-、2,3-ジフルオロフェニル-、2,3,4-トリフルオロフェニル、2,3,5-トリフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル-、2,4-ジフルオロフェニル-、2,4,6-トリフルオロフェニル-、2,5-ジクロロフェニル-、2,6-ジクロロフェニル-、2,6-ジフルオロフェニル-、3,4-ジクロロフェニル-、3,4-ジフルオロフェニル-、3,5-ジフルオロフェニル-、2,4,5-トリフルオロフェニル-、3,4,5-トリフルオロフェニル-、2,4-ジメチルフェニル-、3-メチルフェニル-、3,4-ジメチルフェニル-、4-メチルフェニル-、4-イソプロピルフェニル-、4-tert-ブチルフェニル-、2,4,6-トリメチルフェニル-、2-イソプロピル-6-メチルフェニル-、2-(トリフルオロメチル)フェニル-、4-(トリフルオロメチル)フェニル-、2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-、2-メトキシフェニル-、2,4-ジメトキシフェニル-、2,6-ジメトキシフェニル-、3-メトキシフェニル-、4-メトキシフェニル-、4-エトキシフェニル-、4-プロポキシフェニル-、4-ブトキシフェニル-、4-ペントキシフェニル-、4-イソプロピルオキシフェニル-、3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル-、3,4,5-トリメトキシフェニル-、3,4-ジメトキシフェニル-、3,5-ジメトキシフェニル-、4-テトラフルオロエチルオキシフェニル、4-シアノフェニル-、4-チオメチルフェニル-、及び4-ジメチルアミノフェニルがある。或いは、R2は、非置換のフェニル-を表してもよい。さらなる例示的な置換フェニル基には、2,3-ジフルオロ-4-メチルフェニル、2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル-、2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル-、2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-、3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル-、3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル-、2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル-、2-フルオロ-3-(メチル)フェニル-、3-フルオロ-4-(メトキシ)フェニル-、3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル-、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル-、4-クロロ-3-メチルフェニル、4-ブロモ-4-エチルフェニル、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メチル)フェニル-、2,6-ジフルオロ-4-(メトキシ)フェニル-、及び2-フルオロ-4,5-(ジメトキシ)フェニル-がある。
【0056】
R1又はR2がアリール又は-C1-6アルキルアリールを表す場合、前記アリールは好適には任意に置換されたナフチルを表す。例には、非置換ナフチル(例えば、ナフタレン-1-イル、ナフタレン-2-イル、ナフタレン-3-イル)並びに置換ナフチル (例えば、4-メチル-ナフタレン-2-イル-、5-メチル-ナフタレン-3-イル-、7-メチル-ナフタレン-3-イル-、及び4-フルオロ-ナフタレン-2-イル-)がある。
【0057】
R1又はR2がシクロアルキル又は-C1-6アルキルシクロアルキルを表す場合、前記シクロアルキルは好適には、任意に置換されたシクロアルキルを表す。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルがある。置換カルボシクリルの例には、2-メチル-シクロヘキシル-、3-メチル-シクロヘキシル-、4-メチル-シクロヘキシル-、及び4,4-ジフルオロシクロヘキシルがある。
【0058】
R1又はR2が、任意に置換されたヘテロアリールを表す場合、例には、任意に置換されてもよい単環(例えば、5員環又は6員環)及び二環(例えば、9員環又は10員環)がある。例となる5員環には、ピロリル(例えば、ピロール-2-イル)及びイミダゾリル(例えば、1H-イミダゾール-2-イル又は1H-イミダゾール-4-イル)、ピラゾリル(例えば、1H-ピラゾール-3-イル)、フラニル(例えば、フラン-2-イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル)、チオフェニル(例えば、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル)がある。例となる6員環には、ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル及びピリジン-4-イル)がある。言及され得る具体的な置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル(例えば、メチル)、及びアルコキシ-(例えば、メトキシ-)から選択される1個以上の、例えば1個、2個、又は3個の基である。例となる置換5員環には、4,5-ジメチル-フラン-2-イル-、5-ヒドロキシメチル-フラン-2-イル-、5-メチル-フラン-2-イル-、及び6-メチル-ピリジン-2-イル-がある。一例の置換6員環は、1-オキシ-ピリジン-4-イル-である。例となる9員環には、1H-インドリル(例えば、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-5-イル)、ベンゾチオフェニル(例えば、ベンゾ[b]チオフェン-3-イル、特に2-ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)、ベンゾ[1,2,5]-オキサジアゾリル(例えば、ベンゾ[1,2,5]-オキサジアゾール-5-イル)、ベンゾ[1,2,5]-チアジアゾリル(例えば、ベンゾ[1,2,5]-チアジアゾール-5-イル、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール-6-イル)がある。例となる10員環には、キノリニル(例えば、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、キノリン-8-イル)がある。言及され得る具体的な置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル(例えば、メチル)、及びアルコキシ-(例えば、メトキシ-)から選択される1個以上の、例えば、1個、2個、又は3個の基である。例となる置換9員環には、1-メチル-1H-インドール-3-イル、2-メチル-1H-インドール-3-イル、6-メチル-1H-インドール-3-イルがある。例となる置換10員環には、2-クロロ-キノリン-3-イル、8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル、オキソ-クロメニル(例えば、4-オキソ-4H-クロメン-3-イル)、及び6-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-3-イルがある。
【0059】
R1又はR2が(任意に置換されてもよい)ヘテロシクリルを表す場合、例には、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、ピペルジニル(piperdinyl)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、メチルテトラヒドロフラニル-(例えば、5-メチルテトラヒドロフラン-2-イル-)がある。
【0060】
R1が、フェニルにより置換されたフェニル、ヘテロアリール基(単環式ヘテロアリール基など)により置換されたフェニル、又はヘテロシクリル(単環式ヘテロシクリルなど)により置換されたフェニルを表し、ここで上記フェニル基、ヘテロアリール基、及びヘテロシクリル基がいずれも任意に置換されてもよい場合、典型的には、窒素原子に直接結合されたフェニル環は非置換であり、かつ末端フェニル環又は単環式のヘテロアリール環及びヘテロシクリル環は、1個、2個、又は3個の置換基(例えば、1又は2個、例えば、1個)により任意に置換されている。典型的には、末端フェニル基、単環式ヘテロアリール基、又は単環式ヘテロシクリル基は非置換である。典型的には、末端フェニル基、単環式ヘテロアリール基、又は単環式ヘテロシクリル基は、4位でアリール環(すなわちフェニル)を置換する。
【0061】
R1が、フェニルにより置換されたフェニルを表し、ここで上記のフェニル基のいずれも任意に置換されてもよい場合、例には-ビフェニル-4-イルがある。
【0062】
R1が、単環式ヘテロアリール基により置換されたフェニルを表し、ここで上記フェニル基及びヘテロアリール基のいずれも任意に置換されてもよい場合、例には、(4-チオフェン-2-イル)-ベンジル-及び4-(オキサゾール-5-イル)フェニル-がある。
【0063】
R1が単環式ヘテロシクリル基により置換されたフェニルを表し、上記フェニル基及びヘテロシクリル基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には、4-モルホリノフェニル-、4-(ピペリジン-1-イル)フェニル-、4-(1-メチルピペリジン-4-イル)フェニル-、及び4-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)フェニル-がある。
【0064】
R1がフェニルオキシにより置換されたフェニルを表し、上記フェニル基及びフェニルオキシ基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には、4-ベンジルオキシ-フェニル-、4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル-、及び4-(4-メチルベンジルオキシ)フェニル-がある。
【0065】
R1が、フェニルにより置換された-シクロアルキルを表し、上記シクロアルキル基及びフェニル基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には4-フェニルシクロヘキシル-がある。
【0066】
R1がフェノキシにより置換された-シクロアルキルを表し、上記シクロアルキル基及びフェノキシ基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には4-フェノキシシクロヘキシル-がある。
【0067】
R1がフェノキシにより置換された-フェニルを表し、上記フェニル基及びフェノキシ基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には4-フェノキシフェニル-がある。
【0068】
R1がフェニルにより置換された-ヘテロシクリルを表し、上記フェニル基及びヘテロシクリル基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には1-フェニルピペリジン-4-イル-がある。
【0069】
R1が-O-シクロアルキルにより置換されたフェニルを表し、上記フェニル基及びシクロアルキル基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には4-シクロヘキシルオキシフェニル-がある。
【0070】
R1が-シクロアルキルにより置換された-フェニルを表し、上記フェニル基及びシクロアルキル基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には4-シクロヘキシルフェニル-又は4,4-ジフルオロシクロヘキシルフェニル-がある。
【0071】
R1が-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表し、上記フェニル基、シクロアルキル基、及びヘテロシクリル基のいずれも任意に置換されていてよい場合、例には(4-モルホリノシクロヘキシル)フェニル-がある。
【0072】
好適には、R1は、-C1-6アルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロシクリル、フェニルにより置換された-シクロアルキル、フェノキシにより置換された-シクロアルキル、シクロアルキルにより置換された-フェニル、フェノキシにより置換された-フェニル、フェニルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換されたヘテロシクリル、フェニルにより置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、ヘテロアリールにより置換されたフェニル、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表す。より好適には、R1は、-C1-6アルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、フェニルにより置換された-シクロアルキル、フェノキシにより置換された-シクロアルキル、シクロアルキルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換されたヘテロシクリル、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表す。さらにより好適には、R1は、-C1-6アルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、フェニルにより置換された-フェニル、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、又は-O-シクロアルキルにより置換されたフェニルを表す。
【0073】
一実施態様において、R1は、-C1-6アルキル(例えばイソプロピル)、-アリール(例えばフェニル)、-シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)、-ヘテロアリール(例えばキノリニル)、フェニルにより置換された-シクロアルキル(例えば-シクロヘキシル-フェニル)、フェノキシにより置換された-シクロアルキル(例えば-シクロヘキシル-O-フェニル)、シクロアルキルにより置換された-フェニル(例えば-フェニル-シクロヘキシル)、フェニルにより置換された-フェニル(例えば-フェニル-フェニル)、フェニルにより置換されたヘテロシクリル(例えば-ピペリジニル-フェニル)、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル(例えば-フェニル-モルホリニル、-フェニル-ピペリジニル、又は-フェニル-テトラヒドロピラニル)、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル(例えば-フェニル-O-シクロヘキシル)、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニル(例えば-フェニル-シクロヘキシル-モルホリニル)を表し;前記フェニル基は、1個以上のハロゲン(例えばフッ素、臭素、又は塩素)基により任意に置換され;前記ヘテロシクリル基は、1個以上のC1-6アルキル基(例えばメチル)により任意に置換され;かつ、前記シクロアルキル基は1個以上のハロゲン(例えばフッ素)基により任意に置換される。
【0074】
さらなる実施態様において、R1は、-C1-6アルキル (例えばイソプロピル)、-アリール(例えばフェニル)、-シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)、-ヘテロアリール(例えばキノリニル)、フェニルにより置換された-フェニル(例えば-フェニル-フェニル)、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル(例えば-フェニル-モルホリニル又は-フェニル-ピペリジニル)、又は-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル(例えば-フェニル-O-シクロヘキシル)を表し;前記フェニル基は、1個以上のハロゲン(例えばフッ素、臭素、又は塩素)基により任意に置換される。
【0075】
なおさらなる実施態様において、R1は、1個以上のハロゲン(例えば、フッ素、臭素、又は塩素)基により任意に置換された-アリール(例えばフェニル)を表す。さらになおさらなる実施態様において、R1は、1個以上のフッ素基により置換されたフェニル(例えば2,3-ジフルオロフェニル)を表す。
【0076】
好適には、R2は、-C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、又は-ヘテロシクリルを表す。より好適には、R2は、-C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、又は-アリールを表す。さらにより好適には、R2は、-C1-6アルキル又は-アリールを表す。
【0077】
一実施態様において、R2は、-C1-6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、又はイソプロピル)、C1-6ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)、又は-アリール (例えばフェニル)を表し;前記フェニル基は、1個以上のハロゲン(例えばフッ素)基により任意に置換されている。さらなる実施態様において、R2は、-C1-6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、又はイソプロピル)又は1個以上のハロゲン(例えばフッ素)基により任意に置換された-アリール(例えばフェニル)を表す。なおさらなる実施態様において、R2は、メチル又は1個以上のフッ素基により任意に置換されたフェニルを表す。さらになおさらなる実施態様において、R2はメチルを表す。
【0078】
好適には、R3はC1-6アルキルを表す。
一実施態様において、R3はC1-6アルキル(例えばメチル又はエチル)を表す。さらなる実施態様において、R3はC1-6アルキル(例えばメチル)を表す。
好適には、R3はC1-6ハロアルキルを表す。
一実施態様において、R3はC1-6ハロアルキル(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル又は2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)を表す。
【0079】
nは、好適には0〜2の整数を、より好適には0又は1を表す。一実施態様において、nは0を表す。存在する場合、Ra置換基がベンゾイミダゾリル基のフェニル環に位置することが認識されるだろう。
【0080】
一実施態様において、式(I)の化合物は、全互変異性体及び立体異性体を含む、実施例1〜32のいずれか1つによる化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体である。代替的な実施態様において、式(I)の化合物は、全互変異性体及び立体異性体を含む、実施例1〜35のいずれか1つによる化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体である。
【0081】
さらなる実施態様において、式(I)の化合物は、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体である。
【0082】
(プロセス)
本発明のさらなる態様によると、下記を含む、式(I)の化合物の製造プロセスが提供される:
【0083】
(a)式(II)の化合物:
【化9】

(式中、Ra、n、R1、及びR2は、式(I)の化合物に対して先に定義されたとおりである)から式(I)の化合物を製造すること。プロセス(a)は、典型的には、メタノールなどの好適な溶媒中でのジアゾメタン中の反応を含む。プロセス(a)の方法論の非限定的な例は、本明細書の方法1に記載されている。
【0084】
(b)式(I)の化合物の相互転化;及び/又は
【0085】
(c)保護されている式(I)の化合物を脱保護すること。
【0086】
式(I)の化合物及び中間体化合物は、当業者に公知の技術に類似した技術又は本願明細書に説明された技術を用いて製造することもできる。特に、式(II)の化合物はWO2008/055945に開示されているか、又はWO 2008/055945に開示されている手順に類似の方法で製造できる。
新規中間体は、本発明の態様として請求項に記載されている。
【0087】
(治療的用途)
哺乳動物におけるQC(EC)の生理的基質は、例えば、アミロイドβ-ペプチド(3-40)、(3-42)、(11-40)及び(11-42)、ABri、ADan、ガストリン、ニューロテンシン、FPP、CCL2、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18、フラクタルカイン、オレキシンA、[Gln3]-グルカゴン(3-29)、[Gln5]-サブスタンスP(5-11)、及びペプチドQYNADである。さらなる詳細については、表1を参照されたい。本発明の化合物及び/又は組み合わせ並びに、少なくとも1種のQC(EC)阻害剤を含む医薬組成物は、QC活性の調節により治療することができる病態の治療に有用である。
【0088】
【表1】






【0089】
グルタミン酸は、アミロイドβ-ペプチドの3、11、及び22位に存在する。そのなかでも、22位のグルタミン酸(E)からグルタミン(Q)への変異(アミロイド前駆体タンパク質APP 693、Swissprot P05067に対応)は、いわゆるオランダ型脳動脈アミロイドーシス変異として説明されている。
3、11及び/又は22位にピログルタミン酸残基を伴うβ-アミロイドペプチドは、アミロイドβ-ペプチド1-40(42/43)よりも、より細胞傷害性があり、かつより疎水性であることが説明されている(Saido T.C.の文献(2000 Medical Hypotheses 54(3): 427-429))。
複数のN-末端変種、例えばAβ(3-40)、Aβ(3-42)、Aβ(11-40)、及びAβ(11-42)は、異なる部位でのβ-セクレターゼ酵素β部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(BACE)によるか(Huse J.T.らの文献(2002 J. Biol. Chem. 277 (18):16278-16284))、及び/又は完全長ペプチドAβ(1-40)及びAβ(1-42)からのアミノペプチダーゼ処理若しくはジペプチジルアミノペプチダーゼ処理により、作製することができる。全ての場合において、その後N-末端に生じるグルタミン酸残基の環化は、QCにより触媒される。
【0090】
経上皮伝達細胞(transepithelial transducing cell)、特にガストリン(G)細胞は、胃酸分泌を胃内の食物到達と調和させる。最近の研究は、複数の活性生成物がガストリン前駆体から形成されること、及びガストリン生合成において複数の制御ポイントが存在することを示した。生合成前駆体及び中間体(プロガストリン及びGly-ガストリン)は、推定増殖因子であり;それらの産物であるアミド化したガストリンは、上皮細胞増殖、酸産生壁細胞、及びヒスタミン分泌腸クロム親和性細胞様(ECL)細胞の分化、並びにECL細胞におけるヒスタミンの合成及び貯蔵に関連した遺伝子の発現、さらには酸分泌の急性の刺激を調節する。また、ガストリンは、上皮増殖因子(EGF)ファミリーのメンバーの産生を刺激し、これは次に壁細胞機能を阻害するが、表面上皮細胞の増殖は刺激する。十二指腸潰瘍疾患及び胃癌のリスクが高いことがわかっているヘリコバクターピロリに感染した対象において、血漿ガストリン濃度は高い(Dockray, G.J.の文献(1999 J Physiol 15 315-324))。
【0091】
ペプチドホルモンであるガストリンは、幽門洞G細胞から放出され、CCK-2受容体を介し、酸分泌粘膜中のECL細胞からのヒスタミンの合成及び放出を刺激することがわかっている。動員されたヒスタミンは、壁細胞上に局在したH(2)受容体に結合することにより、酸分泌を誘導する。最近の研究は、ガストリンが、その完全にアミド化された型又はあまり処理されていない型(プロガストリン及びグリシン延長型ガストリン(glycine-extended gastrin))の両方において胃腸管の増殖因子でもあることを示唆している。アミド化したガストリンの主要な栄養作用は、胃の酸分泌粘膜に関してであり、ここで該ガストリンは胃幹細胞及びECL細胞の増殖の増加を引き起こし、結果的に壁細胞及びECL細胞塊増大を生じることが確立されている。その一方で、あまり処理されていないガストリン(例えばグリシン延長型ガストリン)の主要な栄養標的は、結腸粘膜であるように見える(Koh, T.J.及びChen, D.の文献(2000 Regul Pept 9337-44))。
【0092】
ニューロテンシン(NT)は、統合失調症において誤調節されることが先に明らかにされた神経伝達物質系を特異的に調節する、この障害の病態生理に関与した神経ペプチドである。脳脊髄液(CSF)NT濃度が測定された臨床試験は、統合失調症患者のサブセットのCSF NT濃度の低下が、有効な抗精神病薬治療により回復したことを明らかにした。抗精神病薬の作用機序におけるNT系の関与と調和した多数の証拠も存在する。中枢神経系に投与されたNTの行動的及び生化学的効果は、全身投与された抗精神病薬の効果に極めて類似しており、かつ抗精神病薬は、NT神経伝達を増強する。これらの知見を結びつけると、NTが内在性抗精神病薬として機能するという仮説になった。さらに、定型又は非定型の抗精神病薬は、黒質線条体及び中脳辺縁系ドーパミン末端領域におけるNT神経伝達を差次的に変更し、かつこれらの効果は、副作用の起きやすさ及び有効性をそれぞれ予測する(Binder, E.B.らの文献(2001 Biol Psychiatry 50 856-872))。
【0093】
受精促進ペプチド(FPP)は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)に関連したトリペプチドであり、精漿中に存在する。最近インビトロ及びインビボにおいて得られた証拠は、FPPが、精子受精能の調節において重要な役割を果たすことを示した。具体的には、FPPは最初に、受精していない(受精能未獲得の)精子の「スイッチを入れ」て、より迅速に受精するように刺激するが、次に、精子が、自然誘発的な先体の喪失を受けず、したがって受精能を失わないよう、受精能獲得を停止する。これらの反応は、アデニリルシクラーゼ(AC)/cAMPシグナル伝達経路を調節することがわかっているアデノシンにより模倣され及び事実上増強される。FPP及びアデノシンの両方は、受精能未獲得の細胞においてcAMP産生を刺激するが、受精能獲得細胞においてはこれを阻害することが示されており、FPP受容体はどういうわけかアデノシン受容体及びGタンパク質と相互作用し、ACの調節を実現している。これらの事象は、様々なタンパク質のチロシンリン酸化状態に影響を及ぼし、該タンパク質の一部は最初の「スイッチを入れる」際に重要であり、その他は恐らく先体反応自体に関与している。カルシトニン及びアンジオテンシンIIも精漿中に存在するが、これらはインビトロにおいて受精能未獲得の精子に及ぼす類似した効果を有し、かつFPPに対する反応を増強することができる。これらの分子は、インビボにおいて同様の効果を有し、受精能を刺激しかつその後維持することにより、受胎率に影響を及ぼす。FPP、アデノシン、カルシトニン、及びアンジオテンシンIIの利用可能性の低下又はこれらの受容体の欠損のいずれかが、雄性不妊の一因である(Fraser, L. R.及びAdeoya-Osiguwa, S. A.の文献(2001 Vitam Horm 63, 1-28))。
【0094】
CCL2(MCP-1)、CCL7、CCL8、CCL16、CCL18、及びフラクタルカインは、骨髄前駆細胞の増殖の抑制、新生物、炎症性宿主反応、癌、乾癬、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、脈管炎、液性及び細胞性免疫応答、内皮での白血球接着及び遊走プロセス、炎症性腸疾患、再狭窄、肺線維症、肺高血圧症、肝線維症、肝硬変、腎硬化症、心室リモデリング、心不全、臓器移植後の動脈疾患、及び静脈移植血管の不全などの病態生理学的容態において、重要な役割を果たす。
【0095】
多くの研究が、特にアテローム性動脈硬化(Gu, L.らの文献(Mol.Cell, 2, 275-281 (1998));Gosling, J.らの文献(J Clin.Invest, 103, 773-778 (1999)));関節リウマチ(Gong, J. H.らの文献(J Exp.Med, 186, 131-137 (1997));Ogata, H.らの文献(J Pathol, 182, 106-114 (1997)));膵炎(Bhatia, M.らの文献(Am.J Physiol Gastrointest.Liver Physiol, 288, G1259-G1265 (2005)));アルツハイマー病(Yamamoto, M.らの文献(Am.J Pathol., 166, 1475-1485 (2005)));肺線維症(Inoshima, I.らの文献(Am.J Physiol Lung Cell Mol.Physiol, 286, L1038-L1044 (2004)));腎線維症(Wada, T.らの文献(J Am.Soc.Nephrol. 15, 940-948 (2004)))、及び移植片拒絶反応(Saiura, A.らの文献(Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 24, 1886-1890 (2004)))の発症に関するMCP-1の重要な役割を強調している。さらに、MCP-1は、妊娠中毒症において(Katabuchi, H.らの文献(Med Electron Microsc, 36, 253-262 (2003)))、腫瘍発達(Ohta, M.らの論文、Int.J Oncol, 22, 773-778;(2003);Li, S.らの文献(J Exp.Med 202, 617-624 (2005)))、神経因性疼痛(White, F. A.らの文献(Proc. Natl. Acad.Sci.U.S.A, (2005)))、及びエイズ(Park, I. W.、Wang, J. F.、及びGroopman, J. E.の文献(Blood 97, 352-358 (2001));Coll, B.らの文献(Cytokine, 34, 51-55 (2006)))においてパラクリン因子として役割を果たし得る。
【0096】
MCP-1レベルは、アルツハイマー病患者及び軽度認知障害(MCI)を示している患者の脳脊髄液において高い(Galimberti, D.らの論文、Arch.Neurol. 63, 538-543 (2006))。さらに、MCP-1は、MCI及び初期のアルツハイマー病の患者の血清中において高いレベルを示す(Clerici, F.らの文献(Neurobiol.Aging, 27、1763-1768 (2006)))。
【0097】
最近B型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス、及びメラノーマに対する細胞傷害性Tリンパ球ペプチドを基にしたワクチンがいくつか、臨床試験において研究された。単独で又は他の腫瘍抗原と組み合わせた、ひとつの興味深いメラノーマワクチン候補は、デカペプチドELAである。このペプチドは、N-末端グルタミン酸を有するMelan-A/MART-1抗原免疫優性ペプチドアナログである。グルタミン酸のアミノ基及びγ-カルボキシル基に加え、グルタミンのアミノ基及びγ-カルボキサミド基は容易に縮合し、ピログルタミン酸誘導体を形成することが報告されている。この安定性の問題点を克服するために、N-末端グルタミン又はグルタミン酸の替わりにピログルタミン酸を有する、薬理学的特性を失っていない医薬として興味深いいくつかのペプチドが開発されている。残念ながらELAと比べ、ピログルタミン酸誘導体(PyrELA)及びN-末端にアセチル-キャップが付いた誘導体(AcELA)は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性を誘起しなかった。PyrELA及びAcELAには明らかに小さい修飾が導入されたにもかかわらず、これら2つの誘導体は、恐らく、特異的クラスI主要組織適合遺伝子複合体に対する親和性がELAよりも低い。結果的に、ELAの完全な活性を保存するためには、PyrELAの形成は避けなければならない(Beck A.らの文献(2001, J Pept Res 57(6): 528-38))。
【0098】
オレキシンAは、食物摂取及び睡眠-覚醒の調節において、恐らくこれらの相補的な恒常性維持機能の複雑な行動反応及び生理反応を調和させることにより、重要な役割を果たす神経ペプチドである。オレキシンAは、エネルギー代謝、自律神経機能、ホルモン平衡、及び体液の調節に関する恒常性維持調節における役割も果たす。
【0099】
最近、多発性硬化症又はギラン・バレー症候群に罹患した患者の脳脊髄液(CSF)中で、健常者と比べ、高いレベルのペンタペプチドQYNADが同定された(Brinkmeier H.らの文献(Nature Medicine 6, 808-811 (2000)))。ペンタペプチドGln-Tyr-Asn-Ala-Asp(QYNAD)の作用機序、特に中枢神経系の炎症性自己免疫疾患に関与する、ナトリウムチャネルと相互作用しかつ該チャネルを遮断して軸索機能障害の促進をもたらす該ペンタペプチドの有効性に関する文献においては大きな論争が存在する。しかし最近になって、QYNADではなく、その環化したピログルタミン酸型であるpEYNADが活性型であり、これがナトリウムチャネルを遮断し、その結果軸索機能障害の促進をもたらすことが明らかにされた。ナトリウムチャネルは、有髄軸索において高密度で発現し、哺乳動物の脳及び脊髄内で軸索に沿った活動電位を伝導する上で必須の役割を果たす。したがってこれらは、炎症性自己免疫疾患、特に多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性神経根症の病態生理のいくつかの局面に関与していることが推測される。
【0100】
さらにQYNADは、酵素グルタミニルシクラーゼ(QC, EC 2.3.2.5)の基質であり、これは哺乳動物の脳、特にヒト脳内にも存在する。グルタミニルシクラーゼは、pEYNADの前駆体QYNADからのpEYNADの形成を効果的に触媒する。
【0101】
したがって、本発明は、軽度認知障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群における神経変性、ハンチントン病、ケネディ病、潰瘍疾患、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー・エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病原性精神病的病態、統合失調症、不妊、新生物、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、膵炎、再狭窄、液性及び細胞仲介性免疫応答障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性神経根症からなる群から選択される疾病を予防又は軽減又は治療するための医薬品の製造のための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0102】
さらに、本発明の化合物を哺乳動物へ投与することにより、骨髄前駆細胞の増殖を刺激することが可能である。
【0103】
加えて、本発明のQC阻害剤の投与は、雄性受精能の抑制をもたらすことができる。
【0104】
好ましい実施態様において、本発明は、特にニューロン疾患、アテローム性動脈硬化、及び多発性硬化症を治療するための、他の薬剤と併用する、QC(EC)活性の阻害剤の使用を提供する。
【0105】
また、本発明は、治療上活性のある量の少なくとも1種の式(I)の化合物を、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することを含む、上記疾病を治療する方法も提供する。
【0106】
最も好ましくは、前記方法及び対応する使用は、治療上活性のある量の少なくとも1種の式(I)の化合物を、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することを含む、軽度認知障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群における神経変性、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される疾病の治療のためである。
【0107】
さらに好ましくは、本発明は、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、膵炎、及び再狭窄の治療のための治療法及び対応する使用を提供する。
【0108】
(医薬併用)
好ましい実施態様において、本発明は、少なくとも1種のQC阻害剤を、向知性薬、神経保護薬、抗パーキンソン病薬、アミロイドタンパク質沈着阻害剤、βアミロイド合成阻害剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、及び抗多発性硬化症薬からなる群から選択される少なくとも1種の他の薬剤と任意に組み合わせて含む、組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。
【0109】
最も好ましくは、前記QC阻害剤は、本発明の式(I)の化合物である。
【0110】
より具体的には、上記の他の薬剤は、β-アミロイド抗体、システインプロテアーゼ阻害剤、PEP-阻害剤、LiCl、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、アミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはジペプチジルペプチダーゼの阻害剤、最も好ましくはDP IV阻害剤;中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、TNFα阻害剤、ムスカリン性M1受容体アンタゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、σ-1受容体阻害剤、ヒスタミンH3アンタゴニスト、免疫調節薬、免疫抑制薬、MCP-1アンタゴニスト、又はアンテグレン(ナタリズマブ)、Neurelan(ファムプリジン-SR)、カンパス(アレムツズマブ)、IR 208、NBI 5788/MSP 771(チプリモチド)、パクリタキセル、Anergix.MS(AG 284)、SH636、ディフェリン(CD 271, アダパレン)、BAY 361677(インターロイキン-4)、マトリックス-メタロプロテイナーゼ-阻害剤(例えば、BB 76163)、インターフェロン-τ(トロホブラスチン)、及びSAIK-MSからなる群から選択される薬剤からなる群から選択される。
【0111】
さらに他の薬剤は、例えば、下記からなる群から選択される抗不安薬又は抗うつ薬であってもよい:
(a)ベンゾジアゼピン、例えば、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、フルジアゼパム、ロフラゼペート、ロラゼパム、メタカロン、オキサゼパム、プラゼパム、トランゼン、
(b)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、
(c)三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、
(d)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、
(e)アザピロン系薬、例えば、ブスピロン、タンドプシロン、
(f)セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えば、ベンラファキシン、デュロキセチン、
(g)ミルタザピン、
(h)ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、レボキセチン、
(i)ブプロピオン、
(j)ネファゾドン、
(k)β-遮断薬、
(l)NPY-受容体リガンド:NPYアゴニスト又はアンタゴニスト。
【0112】
さらなる実施態様において、他の薬剤は、例えば、下記からなる群から選択される、抗多発性硬化症薬である:
a)ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、例えば、SC-12267、テリフルノミド、MNA-715、HMR-1279(HMR-1715、MNA-279と同義)、
b)自己免疫抑制薬、例えば、ラキニモド、
c)パクリタキセル、
d)抗体、例えば、AGT-1、抗顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)モノクローナル抗体、Nogo受容体モジュレーター、ABT-874、アレムツズマブ(CAMPATH)、抗-OX40抗体、CNTO-1275、DN-1921、ナタリズマブ(AN-100226、Antegren、VLA-4 Mabと同義)、ダクリツマブ(Zenepax、Ro-34-7375、SMART抗-Tacと同義)、J-695、プリリキシマブ(Centara、CEN-000029、cM-T412と同義)、MRA、Dantes、抗-IL-12-抗体、
e)ペプチド核酸(PNA)調製物、例えば、レチクロース(reticulose)、
f)インターフェロンα、例えば、アルファフェロン、ヒトαインターフェロン(Omniferon、Alpha Leukoferonと同義)、
g)インターフェロンβ、例えば、Frone、アボネックス、べトロン(Betron)(レビフ)のようなインターフェロンβ-1a、インターフェロンβアナログ、インターフェロンβ-トランスフェリン融合タンパク質、ベタセロンのような組換えインターフェロンβ-1b、
h)インターフェロンτ、
i)ペプチド、例えば、AT-008、AnergiX.MS、イムノカイン(α-イムノカイン-NNSO3)、ZD-7349のような環状ペプチド、
j)治療的酵素、例えば、可溶性CD8(sCD8)、
k)多発性硬化症特異的自己抗原をコードするプラスミド及びサイトカインをコードするプラスミド、例えば、BHT-3009;
l)TNF-αの阻害剤、例えば、BLX-1002、サリドマイド、SH-636、
m)TNFアンタゴニスト、例えば、ソリマスタット、レネルセプト(RO-45-2081、Tenefuseと同義)、オネルセプト(sTNFR1)、CC-1069、
n)TNFα、例えば、エタネルセプト(エンブレル、TNR-001と同義)、
o)CD28アンタゴニスト、例えば、アバタセプト、
p)Lckチロシンキナーゼ阻害剤、
q)カテプシンK阻害剤、
r)ニューロンを標的とする膜輸送体タンパク質タウリン及び植物由来のカルパイン阻害剤ロイペプチンのアナログ、例えば、Neurodur、
s)ケモカイン受容体-1(CCR1)アンタゴニスト、例えば、BX-471、
t)CCR2アンタゴニスト、
u)AMPA受容体アンタゴニスト、例えば、ER-167288-01及びER-099487、E-2007、タランパネル、
v)カリウムチャネル遮断薬、例えば、ファムプリジン、
w)VLA-4/VCAM相互作用のトシル-プロリン-フェニルアラニン低分子アンタゴニスト、例えば、TBC-3342、
x)細胞接着分子阻害剤、例えば、TBC-772、
y)アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、EN-101、
z)マスト細胞受容体に結合する遊離免疫グロブリン軽鎖(IgLC)のアンタゴニスト、例えば、F-991、
aa)アポトーシス誘導性抗原、例えば、Apogen MS、
bb)アドレナリンα-2受容体アゴニスト、例えば、チザニジン(ザナフレックス、テルネリン、シルダルボ(Sirdalvo)、シルダルード、ミオニジン(Mionidine)と同義)、
cc)L-チロシン、L-リシン、L-グルタミン酸、及びL-アラニンのコポリマー、例えば、酢酸ガラティラメル(コパクソン、COP-1、コポリマー-1と同義)、
dd)トポイソメラーゼIIモジュレーター、例えば、塩酸ミトキサントロン、
ee)アデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えば、クラドリビン(ロイスタチン、Mylinax、RWJ-26251と同義)、
ff)インターロイキン-10、例えば、イロデカキン(テノビル、Sch-52000、CSIFと同義)、
gg)インターロイキン-12アンタゴニスト、例えば、リソフィリン(CT-1501 R、LSF、リソフィリンと同義)、
hh)エタンアミニウム、例えば、SRI-62-834(CRC-8605、NSC-614383と同義)、
ii)免疫調節物質、例えば、SAIK-MS、PNU-156804、α-フェトプロテインペプチド(AFP)、IPDS、
jj)レチノイド受容体アゴニスト、例えば、アダパレン(ディフェリン、CD-271と同義)、
kk)TGF-β、例えば、GDF-1(増殖分化因子1)、
ll)TGF-β-2、例えば、ベタカイン、
mm)MMP阻害剤、例えば、グリコメド(glycomed)、
nn)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、例えば、RPR-122818、
oo)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、例えば、9-(3-ピリジルメチル)-9-デアザグアニン、ペルデシン(BCX-34、TO-200と同義)、
pp)α-4/β-1インテグリンアンタゴニスト、例えば、ISIS-104278、
qq)アンチセンスα4インテグリン(CD49d)、例えば、ISIS-17044、ISIS-27104、
rr)サイトカイン-誘導性物質、例えば、ヌクレオシド、ICN-17261、
ss)サイトカイン阻害剤、
tt)熱ショックタンパク質ワクチン、例えば、HSPPC-96、
uu)ニューレグリン増殖因子、例えば、GGF-2(ニューレグリン、グリア増殖因子2と同義)、
vv)カテプシンS-阻害剤、
ww)ブロピリミンアナログ、例えば、PNU-56169、PNU-63693、
xx)単球走化性タンパク質-1阻害剤、例えば、ベンゾイミダゾール様MCP-1阻害剤、LKS-1456、PD-064036、PD-064126、PD-084486、PD-172084、PD-172386。
【0113】
さらに、本発明は、少なくとも1種のQC阻害剤を、少なくとも1種の他の上記の薬剤と任意に組み合わせて含む、例えば、非経口、経腸、又は経口投与のための医薬組成物を提供する。
【0114】
これらの組み合わせは、特に有益な効果を提供する。それゆえ、このような組み合わせは、上記の疾病の治療に有効かつ有用であることが示されている。したがって、本発明は、これらの病態を治療する方法を提供する。
【0115】
本方法は、少なくとも1種のQC阻害剤と少なくとも1種の他の薬剤の同時投与、又はこれらの連続投与のいずれかを含む。
【0116】
同時投与には、少なくとも1種のQC阻害剤と少なくとも1種の他の薬剤とを含む製剤の投与、又は各薬剤の別々な製剤の本質的に同時の投与を含む。
【0117】
β-アミロイド抗体及びこれを含有する組成物は、例えば、
【化10】

に記載されている。
【0118】
β-アミロイド抗体は、例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、又はヒト化抗体から選択されてよい。さらに前記抗体は、能動及び受動免疫療法、すなわちワクチン及びモノクローナル抗体の開発に役立つ。好適なβ-アミロイド抗体の例は、ACU-5A5、huC091(Acumen/メルク社);PF-4360365、RI-1014、RI-1219、RI-409、RN-1219(Rinat Neuroscience社(ファイザー社));アブリンクス社/ベーリンガーインゲルハイム社のナノボディ治療薬;Intellect Neurosciences/IBL社のβ-アミロイド特異的ヒト化モノクローナル抗体;m266、m266.2(イーライリリー社);AAB-02(エラン社);バピネオズマブ(エラン社);BAN-2401(Bioarctic Neuroscience AB社);ABP-102(Abiogen Pharma社);BA-27、BC-05(武田薬品工業);R-1450(ロシュ社);ESBA-212(ESBATech社);AZD-3102(アストラゼネカ社)、及びMindset BioPharmaceuticals社のβ-アミロイド抗体である。
【0119】
特に好ましいのは、AβペプチドのN末端を認識する抗体である。Aβ-N末端を認識する好適な抗体は、例えばAcl-24(AC Immune社)である。
βアミロイドペプチドに対するモノクローナル抗体は、WO 2007/068412に開示されている。それぞれのキメラ抗体及びヒト化抗体はWO 2008/011348に開示されている。アミロイド関連疾患を治療するためのワクチン組成物を製造する方法は、WO2007/068411に開示されている。
【0120】
好適なシステインプロテアーゼ阻害剤は、カテプシンBの阻害剤である。カテプシンBの阻害剤及びそのような阻害剤を含む組成物は、例えば、
【化11】

に記載されている。
【0121】
好適なPIMTエンハンサーの例は、10-アミノアリファチル-ジベンズ[b,f]オキセピンであり、WO 98/15647及びWO 03/057204に各々開示されている。本発明に従いさらに有用であるのは、WO 2004/039773に記載されたPIMT活性のモジュレーターである。
【0122】
βセクレターゼの阻害剤及びそのような阻害剤を含む組成物は、例えば、
【化12】

に記載されている。
【0123】
本発明の目的に好適なβセクレターゼ阻害剤の例は、WY-25105(ワイス社);Posiphen、(+)-フェンセリン(TorreyPines/NIH);LSN-2434074、LY-2070275、LY-2070273、LY-2070102(イーライリリー社);PNU-159775A、PNU-178025A、PNU-17820A、PNU-33312、PNU-38773、PNU-90530(エラン社/ファイザー社);KMI-370、KMI-358、kmi-008(京都大学);OM-99-2、OM-003(Athenagen社);AZ-12304146(アストラゼネカ社/Astex社);GW-840736X(グラクソスミスクライン社)、DNP-004089(De Novo Pharmaceuticals社)、及びCT-21166(CoMentis社)である。
【0124】
γセクレターゼ阻害剤及びそのような阻害剤を含む組成物は、例えば、
【化13】

に記載されている。
【0125】
本発明の目的に好適なγセクレターゼ阻害剤は、GSI-953、WAY-GSI-A、WAY-GSI-B(ワイス社);MK-0752、MRK-560、L-852505、L-685-458、L-852631、L-852646(メルク社);LY-450139、LY-411575、AN-37124(イーライリリー社);BMS-299897、BMS-433796(ブリストルマイヤーズスクイブ社);E-2012(エーザイ社);EHT-0206、EHT-206(ExonHit Therapeutics社);及びNGX-555(TorreyPines Therapeutics社)である。
【0126】
DP IV-阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、
【化14】

に記載されている。
【0127】
本発明の目的に好適なDP IV-阻害剤は、例えば、シタグリプチン、デス-フルオロ-シタグリプチン(メルク社);ビルダグリプチン、DPP-728、SDZ-272-070(ノバルティス社);ABT-279、ABT-341(Abbott Laboratories社);デナグリプチン、TA-6666(グラクソスミスクライン社);SYR-322(Takeda San Diego社);タラボスタット(Point Therapeutics社);Ro-0730699、R-1499、R-1438(ロシェ・ホールディング社);FE-999011(Ferring Pharmaceuticals社);TS-021(大正製薬);GRC-8200(Glenmark Pharmaceuticals社);ALS-2-0426(Alantos Pharmaceuticals Holdings社);ARI-2243(Arisaph Pharmaceuticals社);SSR-162369(Sanofi-Synthelabo社);MP-513(三菱ウェルファーマ);DP-893、CP-867534-01(ファイザー社);TSL-225、TMC-2A(田辺製薬);PHX-1149(Phenomenix社);サクサグリプチン(ブリストルマイヤーズスクイブ社);PSN-9301((OSI) Prosidion社)、S-40755(Servier社);KRP-104(ActivX Biosciences社);スルフォスチン(Zaidan Hojin);KR-62436(Korea Research Institute of Chemical Technology);P32/98(Probiodrug社);BI-A、BI-B(ベーリンガーインゲルハイム社);SK-0403(三和化学研究所);及びNNC-72-2138(ノボノルディスク社)である。
【0128】
他の好ましいDP IV-阻害剤は、下記である:
(i)WO 1999/61431に開示されたジペプチド-様化合物、例えば、N-バリルプロリル、O-ベンゾイルヒドロキシルアミン、アラニルピロリジン、L-アロ-イソロイシルチアゾリジンのようなイソロイシルチアゾリジン、L-トレオ-イソロイシルピロリジン及びそれらの塩、特にフマル酸塩、並びにL-アロ-イソロイシルピロリジン及びそれらの塩;
(ii)WO 2003/002593に開示されたペプチド構造、例えばトリペプチド;
(iii)WO 2003/033524に開示されたペプチジルケトン;
(vi)WO 2003/040174に開示された置換アミノケトン;
(v)WO 2001/14318に開示された局所的活性DP IV-阻害剤;
(vi)WO 1999/67278及びWO 1999/67279に開示されたDP IV-阻害剤プロドラッグ;並びに
(v)WO 2003/072556及びWO 2004/099134に開示されたグルタミニルベースのDP IV-阻害剤。
【0129】
本発明の目的に好適なβアミロイド合成阻害剤は、例えば、Bisnorcymserine(Axonyx社);(R)-フルルビプロフェン(MCP-7869;フルリザン)(Myriad Genetics社);ニトロフルルビプロフェン(NicOx社);BGC-20-0406(三共製薬)、及びBGC-20-0466(BTG社)である。
【0130】
本発明の目的に好適なアミロイドタンパク質沈着阻害剤は、例えば、SP-233(Samaritan Pharmaceuticals社);AZD-103(Ellipsis Neurotherapeutics社);AAB-001(バピネオズマブ)、AAB-002、ACC-001(エラン社);コロストリニン(ReGen Therapeutics社);トラミプロセート(Neurochem社);AdPEDI-(アミロイド-β1-6)11)(Vaxin社);MPI-127585、MPI-423948(メイヨー財団);SP-08(ジョージタウン大学);ACU-5A5(Acumen社/メルク社);トランスサイレチン(ニューヨーク州立大学);PTI-777、DP-74、DP 68、エクセブリル(ProteoTech社);m266(イーライリリー社);EGb-761(Dr. Willmar Schwabe社);SPI-014(Satori Pharmaceuticals社);ALS-633、ALS-499(Advanced Life Sciences社);AGT-160(ArmaGen Technologies社);TAK-070(武田薬品工業);CHF-5022、CHF-5074、CHF-5096及びCHF-5105(Chiesi Farmaceutici社)がある。
【0131】
本発明の目的に好適なPDE-4阻害剤は、例えば、ドキソフィリン(Instituto Biologico Chemioterapica ABC社);イズジラスト点眼薬、チペルカスト、イブジラスト(杏林製薬);テオフィリン(エラン社);シロミラスト(グラクソスミスクライン社);Atopik(Barrier Therapeutics社);トフィミラスト、CI-1044、PD-189659、CP-220629、PDE 4d阻害剤BHN(ファイザー社);アロフィリン、LAS-37779(Almirall Prodesfarma社);ロフルミラスト、ヒドロキシプマフェントリン(Altana社)、テトミラスト(大塚製薬);チペルカスト、イブジラスト(杏林製薬)、CC-10004(セルジーン社);HT-0712、IPL-4088(Inflazyme Pharmaceuticals社);MEM-1414、MEM-1917(Memory Pharmaceuticals社);オグレミラスト、GRC-4039(Glenmark Pharmaceuticals社);AWD-12-281、ELB-353、ELB-526(Elbion社);EHT-0202(ExonHit Therapeutics社);ND-1251(Neuro3d社);4AZA-PDE4(4 AZA Bioscience社);AVE-8112(サノフィアベンティス社);CR-3465(Rottapharm社);GP-0203、NCS-613(Centre National de la Recherche Scientifique社);KF-19514(協和醗酵工業);ONO-6126(小野薬品工業);OS-0217(大日本製薬);IBFB-130011、IBFB-150007、IBFB-130020、IBFB-140301(IBFB Pharma社);IC-485(ICOS社);RBx-14016、及びRBx-11082(Ranbaxy Laboratories社)である。好ましいPDE-4-阻害剤は、ロリプラムである。
【0132】
MAO阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、
【化15】

に記載されている。
【0133】
本発明の目的に好適なMAO阻害剤は、例えば、リネゾリド(ファルマシア社);RWJ-416457(RW Johnson Pharmaceutical Research Institute);ブジピン(Altana社);GPX-325(BioResearch Ireland社);イソカルボキサジド;フェネルジン;トラニルシプロミン;インダンタドール(Chiesi Farmaceutici社);モクロベミド(ロシェ・ホールディング社);SL-25.1131(Sanofi-Synthelabo社);CX-1370(Burroughs Wellcome社);CX-157(Krenitsky Pharmaceuticals社);デソキシペガニン(HF Arzneimittelforschung社);ビフェメラン(三菱東京製薬);RS-1636(三共製薬);エスプロン(BASF社);ラサジリン(Teva Pharmaceutical Industries社);ラドスチギル(エルサレムヘブライ大学);サフィナミド(ファイザー社)、及びNW-1048(Newron Pharmaceuticals社)である。
【0134】
本発明の目的に好適なヒスタミンH3アンタゴニストは、例えば、ABT-239、ABT-834(アボット・ラボラトリーズ);3874-H1(Aventis Pharma社);UCL-2173(ベルリン自由大学)、UCL-1470(BioProjet, Societe Civile de Recherche);DWP-302(Daewoong Pharmaceutical社);GSK-189254A、GSK-207040A(グラクソスミスクライン社);シプラリサント、GT-2203(Gliatech社);シプロキシファン(INSERM)、1S,2S-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(北海道大学);JNJ-17216498、JNJ-5207852(ジョンソン&ジョンソン社);NNC-0038-0000-1049(ノボノルディスク社);及び、Sch-79687(Schering-Plough社)がある。
【0135】
PEP阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、
【化16】

に記載されている。
【0136】
本発明の目的に好適なプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤は、例えば、Fmoc-Ala-Pyrr-CN、Z-Phe-Pro-ベンゾチアゾール(Probiodrug社)、Z-321(ゼリア新薬工業);ONO-1603(小野薬品工業);JTP-4819(日本たばこ産業)、及びS-17092(Servier社)である。
【0137】
QC阻害剤と組み合わせて本発明により使用することができる他の好適な化合物は、NPY、NPY模倣物又はNPYアゴニスト若しくはアンタゴニスト又はNPY受容体のリガンドである。
【0138】
本発明により好ましいのは、NPY受容体のアンタゴニストである。
【0139】
NPY受容体の好適なリガンド又はアンタゴニストは、WO 2000/68197に開示されたような、3a,4,5,9b-テトラヒドロ-1h-ベンズ[e]インドール-2-イルアミン由来の化合物である。
【0140】
言及され得るNPY受容体アンタゴニストには、
【化17】

に開示されたものを含む。好ましいNPYアンタゴニストには、これらの特許文献に具体的に開示された化合物がある。より好ましい化合物には、アミノ酸及び非ペプチド系のNPYアンタゴニストがある。言及され得るアミノ酸及び非ペプチド系のNPYアンタゴニストには、
【化18】

に開示されたものがある。好ましいアミノ酸及び非ペプチド系のNPYアンタゴニストには、これらの特許文献に具体的に開示された化合物がある。
【0141】
特に好ましい化合物には、アミノ酸系のNPYアンタゴニストがある。言及され得るアミノ酸系の化合物は、国際特許出願WO 1994/17035、WO 1997/19911、WO 1997/19913、WO 1997/19914、又は好ましくはWO 1999/15498に開示されたものである。好ましいアミノ酸系のNPYアンタゴニストには、これらの特許文献に具体的に開示されたものがあり、例えば、BIBP3226であり、特に(R)-N2-(ジフェニルアセチル)-(R)-N-[1-(4-ヒドロキシ-フェニル)エチル]アルギニンアミド(国際特許出願WO 1999/15498の実施例4)である。
【0142】
M1受容体アゴニスト及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、WO 2004/087158、WO 1991/10664に開示されている。
【0143】
本発明の目的に好適なM1受容体アンタゴニストは、例えば、CDD-0102(Cognitive Pharmaceuticals社);セビメリン(Evoxac)(雪印乳業);NGX-267(TorreyPines Therapeutics社);サブコメリン(グラクソスミスクライン社);アルバメリン(H Lundbeck社);LY-593093(イーライリリー社);VRTX-3(Vertex Pharmaceuticals社);WAY-132983(ワイス社)、及びCI-1017/(PD-151832)(ファイザー社)である。
【0144】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、
【化19】

に記載されている。
【0145】
本発明の目的に好適なアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、例えば、ドネペジル(エーザイ社);リバスチグミン(ノバルティス社);(-)-フェンセリン(TorreyPines Therapeutics社);ラドスチギル(エルサレムヘブライ大学);ヒューペルジンA(メイヨー財団);ガランタミン(ジョンソン&ジョンソン社);Memoquin(Universita di Bologna);SP-004(Samaritan Pharmaceuticals社);BGC-20-1259(三共製薬);フィゾスチグミン(Forest Laboratories社);NP-0361(Neuropharma社);ZT-1(Debiopharm社);タクリン(ワーナーランバート社);メトリホナート(バイエル社)、及びINM-176(Whanln社)である。
【0146】
NMDA受容体アンタゴニスト及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、
【化20】

に記載されている。
【0147】
本発明の目的に好適なNMDA受容体アンタゴニストは、例えば、メマンチン(Merz社);トピラマート(ジョンソン&ジョンソン社);AVP-923(Neurodex)(Center for Neurologic Study);EN-3231(Endo Pharmaceuticals Holdings社);ネラメキサン(MRZ-2/579)(Merz and Forest社);CNS-5161(CeNeS Pharmaceuticals社);デキサナビノール(HU-211;シンナビドール(Sinnabidol);PA-50211)(Pharmos社);EpiCept NP-1(ダルハウジー大学);インダンタドール(V-3381;CNP-3381)(Vernalis社);ペルジンフォテル(EAA-090, WAY-126090, EAA-129)(ワイス社);RGH-896(Gedeon Richter社);トラキソプロジル(CP-101606)、ベソンプロジル(PD-196860, CI-1041)(ファイザー社);CGX-1007(Cognetix社);デルセミン(NPS-1506)(NPS Pharmaceuticals社);EVT-101(ロシュ・ホールディング社);アカンプロサート(Synchroneuron社);CR-3991、CR-2249、CR-3394(Rottapharm社);AV-101(4-Cl-キヌレニン(4-Cl-KYN))、7-クロロ-キヌレン酸(7-Cl-KYNA)(VistaGen社);NPS-1407(NPS Pharmaceuticals社);YT-1006(Yaupon Therapeutics社);ED-1812(Sosei R&D社);ヒマンタン(himantane)(塩酸N-2-(アダマンチル)-ヘキサメチレン-イミン)(RAMS);Lancicemine(AR-R-15896)(アストラゼネカ社);EVT-102、Ro-25-6981及びRo-63-1908(Hoffmann-La Roche社/Evotec社)である。
【0148】
さらに、本発明は、QC阻害剤を、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤;アンジオテンシンII受容体遮断薬;利尿薬;カルシウムチャネル遮断薬(CCB);β受容体遮断薬;血小板凝集阻害剤;コレステロール吸収モジュレーター;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;高比重リポタンパク質(HDL)を増加させる化合物;レニン阻害剤;IL-6阻害剤;抗炎症性コルチコステロイド;抗増殖薬;一酸化窒素ドナー;細胞外マトリックス合成の阻害剤;増殖因子又はサイトカインのシグナル伝達阻害剤;MCP-1アンタゴニスト及びチロシンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される別の治療薬と組み合わせて投与し、各々の単剤療法成分単独よりも有益な又は相乗的な治療効果を提供する、アテローム性動脈硬化、再狭窄、又は関節炎の治療に有用な併用療法に関する。
【0149】
アンジオテンシンII受容体遮断薬は、アンジオテンシンII受容体のAT1受容体亜型に結合するが該受容体の活性化を起こさない、活性のある物質であると理解される。AT1受容体の遮断の結果として、これらのアンタゴニストは、例えば降圧薬として使用することができる。
【0150】
本発明の組み合わせにおいて使用してもよい好適なアンジオテンシンII受容体遮断薬には、様々な構造特徴を有するAT1受容体アンタゴニストがあり、非ペプチド性構造を有するものが好ましい。例えば、バルサルタン(EP 443983)、ロサルタン(EP 253310)、カンデサルタン(EP 459136)、エプロサルタン(EP 403159)、イルベサルタン(EP 454511)、オルメサルタン(EP 503785)、タソサルタン(EP 539086)、テルミサルタン(EP 522314)、下記式のE-4177と指定された化合物
【化21】

下記式のSC-52458と指定された化合物、及び
【化22】

下記式のZD-8731と指定された化合物
【化23】

からなる群から選択される化合物、又は、各場合におけるそれらの医薬として許容し得る塩を挙げてもよい。
【0151】
好ましいAT1-受容体アンタゴニストは、認可されかつ市販されているそのような薬剤であり、最も好ましいのは、バルサルタン又はその医薬として許容し得る塩である。
【0152】
ACE阻害剤によるアンジオテンシンIIへのアンジオテンシンの酵素的分解の妨害は、血圧調節について成功している変形であり、したがって高血圧症の治療のための治療法も利用可能にする。
【0153】
本発明の組み合わせにおいて使用され得る好適なACE阻害剤は、例えばアラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラット;カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナプリラット、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、及びトランドラプリルからなる群から選択された化合物又は、各場合におけるそれらの医薬として許容し得る塩である。
【0154】
好ましいACE阻害剤は、市販されているそのような薬剤であり、最も好ましいのは、ベナゼプリル及びエナラプリルである。
【0155】
利尿薬は、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロチアジド、及びクロロサリドンからなる群から選択されるチアジド誘導体である。最も好ましい利尿薬は、ヒドロクロロチアジドである。利尿薬は、カリウム保持性利尿薬、例えばアミロライド若しくはトリアムテレン又はそれらの医薬として許容し得る塩をさらに含む。
【0156】
CCBのクラスは、ジヒドロピリジン(DHP)及び非DHP、例えばジルチアゼム型CCB及びベラパミル型CCBを本質的に含む。
【0157】
前記組み合わせにおいて有用なCCBは、好ましくは、アムロジピン、フェロジピン、リオシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、及びニバルジピンからなる群から選択される代表的DHPであり、好ましくは、フルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル、及びベラパミルからなる群から選択される代表的非DHPであり、各場合におけるそれらの医薬として許容し得る塩を含む。これらのCCB類は全て、例えば抗高血圧薬、抗狭心症薬、又は抗不整脈薬として、治療的に使われる。
【0158】
好ましいCCBは、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、及びベラパミル、又は例えば特定のCCBに依存するもの、それらの医薬として許容し得る塩を含む。DHPとして特に好ましいのは、アムロジピン又はその医薬として許容し得る塩、特にベシル酸塩である。非DHPの特に好ましい代表は、ベラパミル又はその医薬として許容し得る塩、特にそれらの塩酸塩である。
【0159】
本発明での使用に適しているβ遮断薬には、β-アドレナリン作動性遮断剤(β受容体遮断薬)があり、これはエピネフリンとβアドレナリン作動性受容体を競合し、エピネフリンの作用を妨げる。好ましくは、β遮断薬は、αアドレナリン作動性受容体と比較して、βアドレナリン作動性受容体について選択的であり、有意なα-遮断作用を有しない。好適なβ遮断薬には、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、及びチモロールから選択される化合物がある。β遮断薬が酸若しくは塩基である場合、又は他の方法で医薬として許容し得る塩若しくはプロドラッグを形成することが可能である場合、これらの形態は本明細書中に包含されると考えられ、該化合物は、遊離形でも、生理的に加水分解可能で許容し得るエステルなどの医薬として許容し得る塩若しくはプロドラッグの形でも投与され得るものと理解される。例えば、メトプロロールはその酒石酸塩として好適に投与され、プロプラノロールは塩酸塩として好適に投与されるなどである。
【0160】
血小板凝集阻害剤には、PLAVIX(登録商標)(クロピドグレル重硫酸塩)、PLETAL(登録商標)(シロスタゾール)、及びアスピリンがある。
【0161】
コレステロール吸収モジュレーターには、ZETIA(登録商標)(エゼチミブ)、及びKT6-971(寿製薬、日本)がある。
【0162】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(β-ヒドロキシ-β-メチルグルタリル-補酵素Aレダクターゼ阻害剤又はスタチンとも称される)は、血液中のコレステロールなどの脂質レベルを低下させるために用いることができる活性作用物質であると理解される。
【0163】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤のクラスは、様々な構造特徴を有する化合物を含む。例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンからなる群から選択される化合物、又は、各場合におけるそれらの医薬として許容し得る塩を挙げることができる。
【0164】
好ましいHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は、市販されているそのような薬剤であり、最も好ましいのは、アトルバスタチン、ピバスタチン、若しくはシンバスタチン、又はそれらの医薬として許容し得る塩である。
【0165】
HDLを増加させる化合物には、コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤があるが、これに限定されない。CETP阻害剤の例には、2002年7月30日に発行された米国特許第6,426,365号の実施例26において開示されたJTT7O5及びその医薬として許容し得る塩がある。
【0166】
インターロイキン-6媒介型炎症の阻害は、内在性コレステロール合成の調節及びイソプレノイド枯渇によって間接的に、又は、インターロイキン-6阻害剤/抗体、インターロイキン-6受容体阻害剤/抗体、インターロイキン-6アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASON)、gp130タンパク質阻害剤/抗体、チロシンキナーゼ阻害剤/抗体、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤/抗体、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤/抗体、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤/抗体、核因子κB(NF-κB)阻害剤/抗体、IκBキナーゼ(IKK)阻害剤/抗体、活性化タンパク質-1(AP-1)阻害剤/抗体、STAT転写因子阻害剤/抗体、変更されたIL-6、IL-6若しくはIL-6受容体の部分ペプチド、又はSOCS(サイトカインシグナル伝達のサプレッサー)タンパク質、PPARγ及び/又はPPARβ/δ活性化因子/リガンド、又はそれらの機能断片を利用するシグナル伝達経路の直接的な阻害によって、成し遂げることができる。
【0167】
好適な抗炎症性コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。
【0168】
好適な抗増殖薬は、クラドリビン、ラパマイシン、ビンクリスチン、及びタキソールである。
【0169】
好適な細胞外マトリックス合成阻害剤は、ハロフギノンである。
【0170】
好適な増殖因子又はサイトカインのシグナル伝達阻害剤は、例えばras阻害剤R115777である。
【0171】
好適なチロシンキナーゼ阻害剤は、チルホスチンである。
【0172】
好適なレニン阻害剤は、例えばWO 2006/116435に開示されている。好ましいレニン阻害剤は、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形である。
【0173】
MCP-1アンタゴニストは、例えば、抗-MCP-1抗体、好ましくはモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体、MCP-1発現阻害剤、CCR2-アンタゴニスト、TNF-α阻害剤、VCAM-1遺伝子発現阻害剤、及び抗C5aモノクローナル抗体から選択されてよい。
【0174】
MCP-1アンタゴニスト及びそのような阻害剤を含有する組成物は、例えば、
【化24】

に記載されている。
【0175】
好適なMCP-1アンタゴニストは、例えば、C-243(Telik社);NOX-E36(Noxxon Pharma社);AP-761(Actimis Pharmaceuticals社);ABN-912、NIBR-177(ノバルティス社);CC-11006(セルジーン社);SSR-150106(サノフィアベンティス社);MLN-1202(Millenium Pharmaceuticals社);AGI-1067、AGIX-4207、AGI-1096(Atherio Genics社);PRS-211095、PRS-211092(Pharmos社);抗-C5aモノクローナル抗体、例えば、ニュートラツマブ(neutrazumab)(G2 Therapies社);AZD-6942(アストラゼネカ社);2-メルカプトイミダゾール(ジョンソン&ジョンソン社);TEI-E00526、TEI-6122(Deltagen社);RS-504393(ロシェ・ホールディング社);SB-282241、SB-380732、ADR-7(グラクソスミスクライン社);抗-MCP-1モノクローナル抗体(ジョンソン&ジョンソン社)がある。
【0176】
QC阻害剤とMCP-1アンタゴニストとの組み合わせは、概して神経変性疾患を含む炎症性疾患の治療に有用になり得る。
【0177】
QC阻害剤とMCP-1アンタゴニストとの組み合わせは、アルツハイマー病の治療に好ましい。
【0178】
最も好ましくは、QC阻害剤は、下記群から選択される1種以上の化合物と組み合わせられる:
PF-4360365、m266、バピネオズマブ、R-1450、Posiphen、(+)-フェンセリン、MK-0752、LY-450139、E-2012、(R)-フルルビプロフェン、AZD-103、AAB-001(バピネオズマブ)、トラミプロセート、EGb-761、TAK-070、ドキソフィリン、テオフィリン、シロミラスト、トフィミラスト、ロフルミラスト、テトミラスト、チペルカスト、イブジラスト、HT-0712、MEM-1414、オグレミラスト、リネゾリド、ブジピン、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、インダンタドール、モクロベミド、ラサジリン、ラドスチギル、サフィナミド、ABT-239、ABT-834、GSK-189254A、シプロキシファン、JNJ-17216498、Fmoc-Ala-Pyrr-CN、Z-Phe-Pro-ベンゾチアゾール、Z-321、ONO-1603、JTP-4819、S-17092、BIBP3226;(R)-N2-(ジフェニルアセチル)-(R)-N-[1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル]アルギニンアミド、セビメリン、サブコメリン、(PD-151832)、ドネペジル、リバスチグミン、(-)-フェンセリン、ラドスチギル、ガランタミン、タクリン、メトリホナート、メマンチン、トピラマート、AVP-923、EN-3231、ネラメキサン、バルサルタン、ベナゼプリル、エナラプリル、ヒドロクロロチアジド、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベラパミル、アムロジピン、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、PLAVIX(登録商標)(クロピドグレル重硫酸塩)、PLETAL(登録商標)(シロスタゾール)、アスピリン、ZETIA(登録商標)(エゼチミブ)及びKT6-971、スタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、又はシムバスタチン;デキサメタゾン、クラドリビン、ラパマイシン、ビンクリスチン、タキソール、アリスキレン、C-243、ABN-912、SSR-150106、MLN-1202、及びベータフェロン。
【0179】
特に、下記の組み合わせが考えられる:
−アテローム性動脈硬化の治療及び/又は予防のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、アトルバスタチンとの組み合わせ、
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、免疫抑制薬、好ましくはラパマイシンとの組み合わせ、
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、免疫抑制薬、好ましくはパクリタキセルとの組み合わせ、
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、AChE阻害剤、好ましくはドネペジルとの組み合わせ、
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、インターフェロン、好ましくはアロネックス(Aronex)との組み合わせ、
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、インターフェロン、好ましくはベータフェロンとの組み合わせ、
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、インターフェロン、好ましくはレビフとの組み合わせ、
−多発性硬化症の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、コパクソンとの組み合わせ、
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、デキサメタゾンとの組み合わせ、
−アテローム性動脈硬化の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、デキサメタゾンとの組み合わせ、
−関節リウマチの予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、デキサメタゾンとの組み合わせ
−再狭窄の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでHMG-CoA-レダクターゼ阻害剤は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンから選択される、
−アテローム性動脈硬化の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでHMG-CoA-レダクターゼ阻害剤は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンから選択される
−関節リウマチの予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでHMG-CoA-レダクターゼ阻害剤は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンから選択される、
−軽度認知障害の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、アミロイド-β抗体との組み合わせ、ここでアミロイド-β抗体はAcl-24である
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、アミロイド-β抗体の組み合わせ、ここでアミロイド-β抗体はAcl-24である、
−ダウン症候群における神経変性の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、アミロイド-β抗体との組み合わせ、ここでアミロイド-β抗体はAcl-24である、
−軽度認知障害の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、βセクレターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでβセクレターゼ阻害剤は、WY-25105、GW-840736X、及びCTS-21166から選択される、
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、βセクレターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでβセクレターゼ阻害剤は、WY-25105、GW-840736X、及びCTS-21166から選択される、
−ダウン症候群における神経変性の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、βセクレターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでβセクレターゼ阻害剤は、WY-25105、GW-840736X、及びCTS-21166から選択される
−軽度認知障害の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、γ-セクレターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでγ-セクレターゼ阻害剤は、LY-450139、LY-411575、及びAN-37124から選択される、
−アルツハイマー病の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、γ-セクレターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでγ-セクレターゼ阻害剤は、LY-450139、LY-411575、及びAN-37124から選択される、
−ダウン症候群における神経変性の予防及び/又は治療のための、QC阻害剤、好ましくは式(I)のQC阻害剤、より好ましくは実施例1〜35のいずれか一つより選択されるQC阻害剤と、γ-セクレターゼ阻害剤との組み合わせ、ここでγ-セクレターゼ阻害剤は、LY-450139、LY-411575、及びAN-37124から選択される。
【0180】
このような併用療法は、アルツハイマー病(AD)、家族性アルツハイマー病(FAD)、家族性デンマーク型認知症(FDD)、及びダウン症候群における神経変性、さらにはアテローム性動脈硬化、関節リウマチ、再狭窄、及び膵炎に対して特に有用である。
【0181】
そのような併用療法は、いずれかの薬剤単独で生じるものよりも良好な治療効果(増殖の減少、並びに増殖に対する刺激である炎症の減少)をもたらすことがある。
【0182】
QC阻害剤とさらなる化合物との具体的な組み合わせに関して、この点について特に、引用により本明細書中に組み込まれているWO 2004/098625に引用される。
【0183】
(医薬組成物)
本発明の医薬組成物を製造するために、少なくとも1種の式(I)の化合物を、少なくとも1種のその他の上記の薬剤と任意に組み合わせて、有効成分(類)として使用することができる。この有効成分(類)は、従来の医薬配合技術に従い、医薬担体と密に混合され、該担体は、例えば経口投与又は筋肉内投与などの非経口投与に望ましい製剤の形に応じ多種多様な形をとることができる。経口剤形での組成物の製造において、通常の医薬媒体のいずれを使用してもよい。したがって、例えば懸濁剤、エリキシル剤、及び液剤などの液体経口製剤に関して、好適な担体及び添加物には、水、グリコール、油類、アルコール、香味料、保存料、着色料などがあり;例えば散剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及び錠剤などの固形経口製剤に関しては、好適な担体及び添加物には、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などがある。錠剤及びカプセル剤は、投与の容易さのために最も有利な経口単位剤形であり、その場合固形医薬担体が明らかに使用される。所望の場合、錠剤は、標準の技術により、糖衣されるか、又は腸溶性コーティングされてよい。非経口に関しては、該担体は通常、滅菌水を含むが、例えば溶解の補助又は保存の目的に他の成分を含んでよい。
【0184】
注射用懸濁剤を製造することもでき、その場合、適当な液体担体、懸濁化剤などが使用されてよい。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、茶さじ量などの単位用量あたり、先に説明したような有効量を送達するために必要な有効成分(類)の量を含有するであろう。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、坐剤、茶さじ量などの単位用量あたり、約0.03mg〜100mg/kg(好ましくは0.1〜30mg/kg)を含有し、かつ各有効成分又はそれらの組み合わせが約0.1〜300mg/kg/日(好ましくは1〜50mg/kg/日)の用量で与えられてよい。しかし該用量は、患者の必要要件、治療される病態の重症度、及び使用される化合物に応じて変動してよい。毎日の投与又はポスト・ピリオディック(post-periodic)投薬のいずれかの使用を、利用することができる。
【0185】
好ましくはこれらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与のために、又は吸入若しくは吸引による投与のために:錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌の非経口液剤又は懸濁剤、計量式エアロゾル又は液体スプレー、ドロップ、アンプル、自動注入装置、又は坐剤などの単位剤形である。或いは、本組成物は、毎週1回又は毎月1回の投与に好適な形で提供されてよく;例えば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポ剤を提供するために適合している。錠剤などの固形組成物を製造するために、主要な有効成分は、医薬担体、例えば通常の打錠成分、例えばトウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、又はガム類など、並びに他の医薬希釈剤、例えば水と混合され、本発明の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩の均質な混合物を含む、固形の予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物に関して均質であるという場合、これは、有効成分が、組成物全体に均等に分散され、その結果組成物は、錠剤、丸剤及びカプセル剤などの同等に有効な剤形に容易に分割できることを意味する。この固形予備製剤組成物は次に、本発明の各有効成分又はそれらの組み合わせを0.1〜約500mg含有する、先に説明された種類の単位剤形に再分割される。
【0186】
本発明の組成物の錠剤又は丸剤は、延長された作用の利点をもたらす剤形を提供するように、コーティングされるか、又は他の方法で配合され得る。例えば、錠剤又は丸剤は、内側用量構成要素及び外側用量構成要素を含むことができ、外側用量構成要素は、内側用量構成要素の周りを包む形である。これら2つの構成要素は、胃内での崩壊に抵抗して内側構成要素が無傷のまま十二指腸へ通過することを可能にするか、又は放出を遅延するような、腸溶性の層により分離することができる。そのような腸溶性の層又はコーティングのために、様々な材料を使用することができ、そのような材料には、セラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの材料と多くのポリマー酸がある。
【0187】
本発明の組成物が経口投与又は注射のために混合されているこの液体剤形には、水溶液、好適には香味シロップ剤、水性又は油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナツ油、若しくはピーナッツ油などの食用油による香味乳剤、さらにはエリキシル剤及び同様の医薬溶媒がある。水性懸濁剤のための好適な分散剤又は懸濁化剤には、合成及び天然のゴム、例えばトラガカントゴム、アカシアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチンがある。
【0188】
該医薬組成物は、各化合物を約0.01mg〜100mg、好ましくは約5〜50mg含有してよく、かつ選択された投与様式に適した任意の剤形に構成されてよい。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香味料、甘味料、保存剤、色素、及びコーティングを含むが、これらに限定されない、必要かつ不活性の医薬賦形剤を含む。経口投与に好適な組成物には、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤(各々、即時放出製剤、間欠放出製剤、及び持続放出製剤を含む)、顆粒剤、及び散剤などの固形剤形、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、及び懸濁剤などの液体剤形がある。非経口的投与に有用な剤形には、無菌の液剤、乳剤、及び懸濁剤がある。
【0189】
有利なことに、本発明の化合物は、1日1回投与量で投与することができるか、又は総1日量を、1日2、3又は4回の分割量にわけて投与することができる。さらに本発明の化合物は、好適な鼻腔内溶媒の局所的使用による鼻腔内剤形か、又は当業者に周知の経皮的皮膚貼付剤により、投与することができる。経皮送達システムの形態で投与されるためには、この用量投与は当然、その投薬計画を通じて間欠的であるよりもむしろ連続的であろう。
【0190】
例えば錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与に関して、活性薬物構成要素は、経口用の無毒の医薬として許容し得る不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。さらに望ましい場合若しくは必要な場合は、好適な結合剤;滑沢剤、崩壊剤、及び着色剤もこの混合物へ混合することができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ乳糖のような天然の糖、トウモロコシ甘味料、例えばアカシアゴム、トラガカントゴムのような天然及び合成のゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがあるが、これらに限定されない。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどがあるが、これらに限定されない。
【0191】
好適な香味懸濁剤又は分散剤の液体剤形、例えばトラガカントゴム、アカシアゴムのような天然及び合成のゴム、メチル-セルロースなど。非経口的投与には、無菌の懸濁剤及び液剤が望ましい。静脈内投与が望ましい場合は、一般に好適な保存料を含有する等張製剤が利用される。
【0192】
本発明の化合物又は組み合わせは、例えば小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、及び多層ベシクルなどの、リポソーム送達システムの剤形においても投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンなどの、様々なリン脂質から形成することができる。
【0193】
本発明の化合物又は組み合わせは、化合物分子が結合されている個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用により送達されてもよい。本発明の化合物は、標的を定めることのできる薬物担体としての可溶性ポリマーと組み合わせられてもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリシンがあり得る。さらに本発明の化合物は、薬物の制御放出の実行に有用である生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリアクチン酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋した又は両親媒性ブロックコポリマーと組み合わせることができる。
【0194】
本発明の化合物又は組み合わせは、対処される障害の治療に必要な場合はいつでも、前述の組成物のいずれにおいても、当該技術分野において確立された投薬計画に従って投与することができる。
【0195】
本製品の1日量は、哺乳動物1個体あたり1日に0.01〜1.000mgの広範な範囲にわたり変動し得る。経口投与に関して、該組成物は、好ましくは、症状により治療される患者に用量を調節するために、各有効成分又はそれらの組合せを0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、及び500mgを含有する錠剤の剤形で提供される。薬物の有効量は、約0.1mg/kg〜約300mg/kg体重/日の用量レベルで通常供給される。好ましくは、この範囲は、約1〜約50mg/kg体重/日である。該化合物又は組み合わせは、1日1〜4回の投薬計画で投与されてよい。
【0196】
投与されるべき適量は、当業者により容易に決定され、かつ使用される特定の化合物、その投与様式、製剤の強度、その投与様式、及び病態の進行度により変動するであろう。加えて、患者の年齢、体重、食事及び投与回数を含む、治療される特定の患者に関連した因子により、用量調節が必要となるであろう。
【0197】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物の少なくとも1種を、少なくとも1種のその他の前述の薬剤及び医薬として許容し得る担体と任意に組み合わせて含有する医薬組成物の製造方法も提供する。
【0198】
該組成物は好ましくは、関連する1日用量に適した量の単位剤形である。
【0199】
特に単位用量を含む、本発明の化合物の好適な用量は、「英国及び米国薬局方(British and US Pharmacopoeias)」、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」(Mack Publishing社)、「マルチンダーレ薬局方(Martindale The Extra Pharmacopoeia)」(ロンドン、The Pharmaceutical Press社)(例えば、第31版の341頁及びそこに引用された頁を参照されたい)又は前述の刊行物などの参考文献に説明又は言及された化合物に関する単位量を含む、公知の用量を含む。
【実施例】
【0200】
【表2】






【0201】
(全般的な合成の説明)
【化25】

水酸化カリウム溶液(10〜15当量、水溶液)を、ジアザルド(5〜9当量)のエチレングリコールとジエチルエーテルの混合物中の室温の溶液に加えた。該反応混合物を40℃に加熱し、遊離したジアゾメタンをジエチルエーテルと共に、対応する3-ヒドロキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン(1当量)のMeOH水溶液(90/10 v/v)又は純粋なMeOH中の撹拌懸濁液に直接回収し、-5℃に維持した。濃黄色混合物が形成した。該溶液を室温で一晩撹拌した。該反応塊を室温に温め、窒素ガスでパージして過剰のジアゾメタンを除いた。この工程の後で、溶媒を蒸発させ、残ったものをCHCl3に溶かした。生成物を、クロロホルム中2%メタノールを使用する中性アルミナのカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0202】
【化26】

(tert-ブチル5-(2-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-3-メチル-5-オキソ-2H-ピロール-1(5H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボキシラート)
1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2-(5H)-オン塩酸塩(4.77 g, 12.6 mmol, 1当量)をTHF(150 ml)に懸濁させた。トリエチルアミン(1.94 ml, 13.9 mmol, 1.1当量)及びBoc2O(2.97 ml, 13.9 mmol, 1.1当量)を加え、該混合物を一晩還流加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣を、CHCl3/MeOH勾配を使用するシリカのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。収量:2.74 g (49.2%)。
【0203】
(アルキル化及び脱保護)
tert-ブチル5-(2-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-3-メチル-5-オキソ-2H-ピロール-1(5H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボキシラート(1当量)をMeCN(1 mmolの場合10 ml)に溶解させた。P1-tBu(1.5当量)及びそれぞれのハロゲン化アルキル(1当量)を加え、TLCモニタリングしながら該混合物を70℃に加熱した(3〜6時間)。周囲温度に冷却した後、反応を水でクエンチし、EtOAc(3×25 ml)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣をTFA/CH2Cl2(6:4)(10 ml)に溶解させ、室温で2〜4時間攪拌した。該混合物を、飽和NaHCO3水溶液で塩基性化し、EtOAc(3×25 ml)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣を、CHCl3/MeOH勾配を使用するシリカのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0204】
(実施例の合成)
(実施例1:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-シクロヘキシル-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-シクロヘキシル-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(1.00 g, 3.22 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.250 g (25%);
【化27】

【0205】
(実施例2:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-イソプロピル-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(8当量)、エチレングリコール/Et2O (1/2 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-イソプロピル-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.500 g, 1.83 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.040 g (7.6%);
【化28】

【0206】
(実施例3:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(10当量、水溶液)、ジアザルド(5当量)、エチレングリコール/Et2O(3/1 v/v)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.189 g, 0.5 mmol, 1当量)、及びMeOH/H2O(90/10 v/v)から出発して合成した;収量:0.058 g (32.6%);
【化29】

【0207】
(実施例4:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15 g, 267.8 mmol、水溶液)、ジアザルド(20 g, 93.37 mmol 5当量)、エチレングリコール/Et2O(2/1 v/v, 140 mL)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(2 g, 5.57 mmol、1当量)、及びMeOH(50 mL)から出発して合成した;収量:1.05 g (50.55%);
【化30】

【0208】
(実施例5:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-フェニル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(10当量、水溶液)、ジアザルド(5当量)、エチレングリコール/Et2O(3/1 v/v)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-フェニル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.230 g, 0.5 mmol, 1当量)、及びMeOH/H2O(90/10 v/v)から出発して合成した;収量:0.015 g (6.9%);
【化31】

【0209】
(実施例6:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15 g, 267.8 mmol、水溶液)、ジアザルド(20 g, 93.37 mmol, 5当量)、エチレングリコール/Et2O(2/1 v/v, 140 mL)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(2 g, 5.57 mmol, 1当量)、及びMeOH(50 mL)から出発して合成した;収量:1.3 g (57.2%);
【化32】

【0210】
(実施例7:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(10当量、水溶液)、ジアザルド(5当量)、エチレングリコール/Et2O(3/1 v/v)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2-クロロ-3,6-ジフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-フェニル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.103 g, 0.25 mmol, 1当量)、及びMeOH/H2O(90/10 v/v)から出発して合成した;収量:0.013 g (13.3%);
【化33】

【0211】
(実施例8:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(11 g, 196.4 mmol、水溶液)、ジアザルド(15 g, 10.00 mmol)、エチレングリコール/Et2O(2/1 v/v, 140 mL)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(5-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(1.46 g, 4.28 mmol, 1当量)、及びMeOH(50mL)から出発して合成した;収量:0.700 g (46%);
【化34】

【0212】
(実施例9:(R)-1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
20mg/5mlの1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(実施例8に従い製造可能である)を、250/21 Chirobiotic Tag(供給業者:Supelco社)、5μ、検出:214 nmでの紫外、移動相:40%酢酸アンモニウム緩衝液(pH 4.0, 40mM)/60% MeOH、均一溶媒、10ml/分、室温で半分取キラルクロマトグラフィーにかけた。収量、2番目に溶離するエナンチオマーとして8mg、旋光c= 0.5g/100 ml (MeOH) αD20=214.1°。
【0213】
(実施例10:(S)-1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
20mg/5mlの1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(実施例8に従い製造可能である)を、250/21 Chirobiotic Tag(供給業者:Supelco社)、5μ、検出:214 nmでの紫外、移動相:40%酢酸アンモニウム緩衝液(pH 4.0, 40mM)/60% MeOH、均一溶媒、10ml/分、室温で半分取キラルクロマトグラフィーにかけた。収量、最初に溶離するエナンチオマーとして8mg、旋光c= 0.5g/100 ml (MeOH) αD20=215°。
【0214】
(実施例11:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-4-エチル-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/5 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-4-エチル-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン(1.2 g, 2.81 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成し、生成物を分取HPLCによりさらに精製した;収量:0.085 g (8.2%);
【化35】

【0215】
(実施例12:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-プロピル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/3 v/v, 40 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-プロピル-1H-ピロール-2(5H)-オン(1.0 g, 2.71 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成し、生成物を分取HPLCによりさらに精製した;収量: 0.120 g (11.6%);
【化36】

【0216】
(実施例13:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-イソプロピル-3-メトキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/7.5 v/v, 17 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-イソプロピル-3-ヒドロキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.15 g, 0.34 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成し、生成物を分取TLCによりさらに精製した;収量:0.040 g (10.4 %);
【化37】

【0217】
(実施例15:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-フェニル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2.8 v/v, 34 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-フェニル-1H-ピロール-2(5H)-オン(1 g, 2.48 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.160 g (60%);
【化38】

【0218】
(実施例16:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-(4-フルオロフェニル)-3-メトキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH (15当量、水溶液)、ジアザルド (8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/4.2 v/v, 31 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシ-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.5 g , 1.2 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.160 g (60%);
【化39】

【0219】
(実施例17:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジクロロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(9.0 g,160.71 mmol、水溶液)、ジアザルド(24 g, 112.02 mmol)、エチレングリコール/Et2O(2/1 v/v, 140 mL)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3-ジクロロフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(3 g, 8.04 mmol, 1当量)、及びMeOH(50 mL)から出発して合成した;収量;1.2 g (38.46%);
【化40】

【0220】
(実施例18:(R)-1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3-ジクロロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
1.2gの1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジクロロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(実施例17に従い製造可能である)を、カラム:CHIRAL PAK IC (30×250mm) 5μ、移動相n-ヘキサン: IPA: DEA: TFA (50:50:0.1:0.05)のキラル半分取HPLC条件に付した。収量:最初に溶離するエナンチオマーとして267mgの異性体。
【0221】
(実施例19:(S)-1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3-ジクロロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
1.2gの1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジクロロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(実施例17に従い製造可能である)を、カラム:CHIRAL PAK IC (30×250mm) 5μ、移動相n-ヘキサン: IPA: DEA: TFA (50:50:0.1:0.05)のキラル半分取HPLC条件に付した。収量:最初に溶離するエナンチオマーとして127mgの異性体。
【0222】
(実施例20:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(4-モルホリノフェニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(4-モルホリノフェニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.500 g, 1.28 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成し、生成物を、クロロホルム中の4%メタノールを溶離液として使用して分取TLCにより精製した;収量:0.100 g (19.34%);
【化41】

【0223】
(実施例21:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(ビフェン-4-イル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH (15当量、水溶液)、ジアザルド (8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 60 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(ビフェン-4-イル)-1H-ピロール-2(5H)-オン(1 g, 2.63 mmol, 1当量)、及びMeOH(20 ml)から出発して合成した;収量 0.070 g (17.7%);
【化42】

【0224】
(実施例22:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、(15当量、水溶液)、ジアザルド(8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 60 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(4-(ピペリジン-1-イル)フェニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン (0.700 g, 1.88 mmol, 1当量)、及びMeOH(20 ml)から出発して合成した;収量:0.050 g (7%);
【化43】

【0225】
(実施例23:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(4-(シクロヘキシルオキシ)フェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(4-(シクロヘキシルオキシ)フェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.500 g, 1.24 mmol, 1当量)、及びMeOH (10 ml)から出発して合成した;収量:0.050 g (10%);
【化44】

【0226】
(実施例24:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-3-メトキシ-4-フェニル-5-(キノリン-3-イル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(10当量、水溶液)、ジアザルド(5当量)、エチレングリコール/Et2O(3/1 v/v)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(キノリン-3-イル)-3-ヒドロキシ-4-フェニル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.230 g, 0.5 mmol, 1当量)、及びMeOH/H2O(90/10 v/v)から出発して合成した;収量:0.003 g (1.4%);
【化45】

【0227】
(実施例25:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(4-シクロヘキシルフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド (9当量)、エチレングリコール/Et2O (1/2 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(4-シクロヘキシルフェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.900 g, 2.32 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.200 g (21.4%);
【化46】

【0228】
(実施例26:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(4-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2.5 v/v, 28 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(4-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-フェニル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.800 g, 1.88 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.060 g (7.3%);
【化47】

【0229】
(実施例29:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(4-(4-モルホリノシクロヘキシル)フェニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド (8当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 30 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(4-(4-モルホリノシクロヘキシル)フェニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.350 g, 0.74 mmol, 1当量)、及びMeOH(10 ml)から出発して合成した;収量:0.040 g (11%);
【化48】

【0230】
(実施例30:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(4-フェノキシシクロヘキシル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/3 v/v, 40 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(4-フェノキシシクロヘキシル)-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.900 g, 2.23mmol, 1当量)、及びMeOH(10ml)から出発して合成し、分取HPLCにより精製した;収量:0.051 g (12.2%);
【化49】

【0231】
(実施例31:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(1-フェニルピペリジン-4-イル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/5 v/v, 18 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(1-フェニルピペリジン-4-イル)-1H-ピロール-2(5H)-オン(0.280 g, 0.72 mmol, 1当量)、及びMeOH(15 ml)から出発して合成し、生成物を分取TLCによりさらに精製した;収量:0.021 g (5.2%);
【化50】

【0232】
(実施例32:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-メトキシ-4-メチル-5-(4-フェニルシクロヘキシル)-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、KOH(15当量、水溶液)、ジアザルド(9当量)、エチレングリコール/Et2O(1/2 v/v, 60 ml)、1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3-ヒドロキシ-4-メチル-5-(4-フェニルシクロヘキシル)-1H-ピロール-2(5H)-オン(1.0 g, 2.58 mmol, 1当量)、及びMeOH(20 ml)から出発して合成した;収量:0.100 g (10%);
【化51】

【0233】
(実施例33:1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-3-エトキシ-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、上述の方法に従い、tert-ブチル 5-(2-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-3-メチル-5-オキソ-2H-ピロール-1(5H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボキシラート(0.22 g, 0.5 mmol)、ブロモエタン(0.056 ml, 0.75 mmol)、及びP1-tBu(0.191 ml, 0.75 mmol)から出発して合成した。収量:0.044 g (23.8%);
【化52】

【0234】
(実施例34:3-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3-ジフルオロ-フェニル)-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、上述の方法に従い、tert-ブチル 5-(2-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-3-メチル-5-オキソ-2H-ピロール-1(5H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボキシラート(0.441 g, 1 mmol)、1,1,2,2-テトラフルオロ-3-ヨードプロパン(0.17 ml, 1.5 mmol)、及びP1-tBu(0.38 ml, 1.5 mmol)から出発して合成した。収量;0.138 g (30.3%);
【化53】

【0235】
(実施例35:3-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン)
該化合物は、上述の方法に従い、tert-ブチル 5-(2-(2,3-ジフルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-3-メチル-5-オキソ-2H-ピロール-1(5H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボキシラート(0.441 g, 1 mmol)、トリフルオロヨードエタン(0.15 ml, 1.5 mmol)、及びP1-tBu(1.38 ml, 1.5 mmol)から出発して合成し、半分取HPLCによりさらに精製した。収量:0.007 g (1.6%);
【化54】

【0236】
本発明によっても製造できる化合物の例には、本明細書に記載される実施例14、27、及び28がある。
【0237】
(分析方法)
分析HPLCシステムは、Li-Chrospher(登録商標) 100 RP 18(5μm)、分析カラム(長さ:125mm、直径:4mm)、及び記録波長としてλ=214nmを有するダイオードアレイ検出器(DAD)を利用する、メルク-日立装置(モデルLaChrom(登録商標))から構成された。化合物は、流量1mL/分で勾配を用いて分析したが、ここで、溶離剤(A)はアセトニトリルであり、溶離剤(B)は水であり、両方とも0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含有し、下記の勾配を適用した:方法[A]:0分〜5分、5%の(A);5分〜17分、5〜15%の(A);17分〜29分、15〜95%の(A);29分〜32分、95%の(A);32分〜33分、95〜5%の(A);33分〜38分、5%(A);方法[B]:0分〜25分、20〜80%の(A);25分〜30分、80〜95%の(A);30分〜31分、95〜20%の(A);31分〜40分、20%の(A)。全ての報告された化合物の純度は、214nmでのピーク面積の百分率により決定した。
ESI-Massスペクトルは、正イオン化モードを利用してSCIEX API 365分光器(Perkin Elmer社製)で得た。
【0238】
(活性スクリーニング)
(蛍光アッセイ)
全ての測定は、マイクロプレート用BioAssay Reader HTS-7000Plus(Perkin Elmer社)により30℃で行った。QC活性は、H-Gln-βNAを用い、蛍光測定により評価した。試料は、最終容積250μlにおける、20mM EDTA含有0.2Mトリス/HCl(pH8.0)中の、0.2mM蛍光発生基質、0.25Uピログルタミルアミノぺプチダーゼ(Unizyme社、ホルショルム、デンマーク)、及び適宜希釈した一定分量のQCからなった。励起/発光波長は、320/410nmであった。該アッセイ反応は、グルタミニルシクラーゼの添加により開始した。QC活性は、アッセイ条件下でのβ-ナフチルアミンの標準曲線から決定した。1単位は、記載した条件下で、1分あたりにH-Gln-βNAから1μmolのpGlu-βNAの形成を触媒するQC量と定義されている。
【0239】
第二の蛍光アッセイにおいて、QC活性は、H-Gln-AMCを基質として用いて決定した。反応は、マイクロプレート用NOVOStar読み取り装置(BMG labtechnologies社)を利用して、30℃で行った。該試料は、最終容積250μlにおける、5mM EDTA含有0.05Mトリス/HCl(pH8.0)中の、多様な濃度の蛍光発生基質、0.1Uピログルタミルアミノペプチダーゼ(Qiagen社)、及び適宜希釈した一定分量のQCからなった。励起/発光波長は、380/460nmであった。該アッセイ反応は、グルタミニルシクラーゼの添加により開始した。QC活性は、アッセイ条件下での7-アミノ-4-メチルクマリンの標準曲線から決定した。該反応速度データは、GraFitソフトウェアを用いて評価した。
【0240】
(QCの分光光度アッセイ)
この新規アッセイを用いて、ほとんどのQC基質の反応速度パラメータを決定した。QC活性は、補助的な酵素としてグルタミン酸デヒドロゲナーゼを利用する、既存の不連続アッセイ(Bateman, R. C. J.の文献(1989 J Neurosci Methods 30, 23-28))を適応させることにより導いた連続法を用い、分光光度的に分析した。試料は、最終容積250μlにおける、各QC基質、0.3mM NADH、14mMα-ケトグルタル酸、及び30U/mlグルタミン酸デヒドロゲナーゼからなった。反応は、QCの添加により出発し、340nmでの吸光度の低下を8〜15分間モニタリングすることにより追跡した。
【0241】
初速度を評価し、酵素活性を、アッセイ条件下でのアンモニアの標準曲線から決定した。全ての試料は、マイクロプレート用SPECTRAFluor Plus読み取り装置又はSunrise読み取り装置(両方ともTECAN社製)のいずれかを用い、30℃で測定した。反応速度データは、GraFitソフトウェアを用いて評価した。
【0242】
(阻害剤アッセイ)
阻害剤の試験に関して、試料組成物は、推定阻害化合物を添加したこと以外は、先に説明したものと同じであった。QC-阻害に関する迅速試験について、試料は、4mMの各阻害剤及び1KMの基質濃度を含有した。阻害の詳細な研究及びKi-値の決定については、阻害剤の補助的な酵素に対する影響を最初に調べた。あらゆる場合において、いずれの酵素についても影響は検出されず、したがってQC阻害の信頼できる決定が可能であった。阻害定数は、GraFitソフトウェアを用い、反応進行曲線のセットを、競合阻害に関する一般式にあてはめることにより評価した。
【0243】
(結果)
実施例1〜13、15〜24、及び33〜35を試験し、hQC IC50値10μM未満を得た。特定の具体的な値を下記表に示している:
【表3】

【0244】
(分析方法)
(HPLC:)
方法[A]:分析的HPLCシステムは、LUNA(登録商標)RP 18(5μm)、分析カラム(長さ:125mm、直径:4mm)、及び記録波長としてλ=214nmを有するダイオードアレイ検出器(DAD)を利用する、メルク-日立装置(モデルLaChrom(登録商標))から構成された。化合物は、流量1mL/分で勾配を用いて分析したが、ここで、溶離剤(A)はアセトニトリルであり、溶離剤(B)は水であり、両方とも0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含有し、下記の勾配を適用した::0分〜5分→5%の(A)、5分〜17分→5〜15%の(A)、15分〜27分→15〜95%の(A)、27分〜30分→95%の(A)、方法[B]:0分〜15分→5〜60%の(A)、15分〜20分→60〜95%の(A)、20分〜23分→95%の(A)、方法[C]:0分〜20分→5〜60%の(A)、20分〜25分→60〜95%の(A)。25分〜30分→95%の(A)。
【0245】
方法[B]:分析的HPLCシステムは、Waters SunFire RP 18(2.5μm)、分析カラム(長さ:50mm、直径:2.1mm)、及び記録波長としてλ=254nmを有するダイオードアレイ検出器(DAD)を利用する、Agilent MSD 1100から構成された。化合物は、流量0.6mL/分で勾配を用いて分析したが、ここで、溶離剤(A)はアセトニトリルであり、溶離剤(B)は水であり、かつ溶離剤(C)は2%ギ酸含有アセトニトリルであり、下記の勾配を適用した:
【表4】

すべての報告された化合物の純度は、214nmでのピーク面積の百分率によって決定した。
【0246】
(質量分析、NMR分光法)
ESI-質量スペクトルは、SCIEX API 365分光器(Perkin Elmer社)で、正イオン化モードを利用して得た。
1H NMR-スペクトル(500MHz)をBRUKER AC 500で記録した。溶媒は、特に明記しない限り、DMSO-D6とした。化学シフトは、テトラメチルシランからの低周波側での百万分率(ppm)で表す。分裂パターンを次のように示した:s (一重線)、d(二重線)、dd(二重の二重線)、t(三重線)、m(多重線)及びbr(広幅のシグナル)。
【0247】
(MALDI-TOF質量分析)
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析を、線形型飛行時間分析器を備えたHewlett-Packard社G2025 LD-TOFシステムを用いて行った。この装置は、337nm窒素レーザー、電位加速源(5kV)及び1.0m飛行管を装備した。検出器の操作は、正イオンモードであり、シグナルは、パーソナルコンピュータに接続されたLeCroy 9350Mデジタルストレージオシロスコープを用い、記録し、かつフィルタリングする。試料(5μl)は、等容積のマトリックス溶液と混合した。マトリックス溶液に関して、水を溶媒とする1mlアセトニトリル/0.1%TFA(1:1(v/v))中に、2',6'-ジヒドロキシアセトフェノン(Aldrich社)30mg及びクエン酸水素ジアンモニウム(Fluka社)44mgを溶解することにより製造した、DHAP/DAHCを使用した。少量(ほぼ1μl)のマトリックス被検体-混合物を、プローブチップに移し、直ちに真空チャンバー(Hewlett-Packard社G2024A試料製造付属品)内で蒸発させ、迅速かつ均質な試料の結晶化を確実にした。
【0248】
Glu1-環化の長時間試験に関して、Aβ-由来のペプチドを、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)又は0.1Mビス-トリス緩衝液(pH6.5)の100μl中で30℃でインキュベートした。ペプチドを、0.5mM [Aβ(3-11)a]又は0.15mM [Aβ(3-21)a]の濃度で適用し、0.2U QCを全24時間添加した。Aβ(3-21)aの場合、このアッセイは、1%DMSOを含有した。異なる時点で、試料をアッセイチューブから採取し、ZipTips(Millipore社)を製造元の推奨に従い用いてペプチドを抽出し、マトリックス溶液(1:1(v/v))と混合し、引き続き質量スペクトルを記録した。陰性対照は、QCを含まないか、又は熱で失活した酵素を含むかのいずれかであった。阻害剤試験に関して、試料組成物は、阻害化合物(5mM又は2mMの本発明の試験化合物)を添加したこと以外は、先に説明したものと同じであった。
【0249】
本発明の化合物及び組み合わせは、従来技術の他の化合物よりも、例えば、より強力、より選択的である点、副作用がより少ない点、より良い製剤特性及び安定性を有する点、より良い薬物動態特性を有する点、バイオアベイラビリティーが高い点、血液脳関門を通過することができかつ哺乳動物の脳でより有効である点、他の薬剤との組み合わせにおいてより適合性があるか若しくは有効である点、又はより容易に合成される点で有利であり得る。
【0250】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通じて、文脈が別途要求しない限り、語句「を含む(comprise)」並びに「を含む(comprises)」及び「を含んでいる」のような変形体が、言及された整数、工程、整数群又は工程群を含むが、その他の整数、工程、整数群又は工程群を除外しないことを意味することは理解されるであろう。
【0251】
本発明の明細書を通じて言及された全ての特許及び特許出願は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれる。
本発明は、先に列挙した群の好ましい及びより好ましい群及び実施態様の全ての組み合わせを包含する。
【0252】
(略語)
(DHQ)2PHAL ヒドロキニン 1,4-フタラジンジイルジエーテル
AcOH 酢酸
DAD ダイオードアレイ検出器
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DEA ジエチルアミン
DHAP/DAHC ジヒドロキシアセトンリン酸/ジヒドロ-5-アザシチジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FPLC 高性能液体クロマトグラフィー
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPA イソプロパノール
LD-TOF レーザー脱離飛行時間型質量分析
ML 母液
MS 質量分析
NMR 核磁気共鳴
Pd2dba3 トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMSCN トリメチルシリルシアニド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全互変異性体及び立体異性体を含む、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体:
【化1】

(式中、
R1は、-C1-6アルキル、-アリール、-C1-6アルキルアリール、-シクロアルキル、-C1-6アルキルシクロアルキル、-ヘテロアリール、-C1-6アルキルヘテロアリール、-ヘテロシクリル、-C1-6アルキルヘテロシクリル、フェニルにより置換された-シクロアルキル、フェノキシにより置換された-シクロアルキル、シクロアルキルにより置換された-フェニル、フェノキシにより置換された-フェニル、フェニルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換されたヘテロシクリル、フェニルにより置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、ヘテロアリールにより置換されたフェニル、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表し;
かつ、上記のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、フェニル、又はフェノキシ基のいずれも、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SOC1-4アルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、-SOC3-6シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、及び-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)から選択される1個以上の基により任意に置換されていてよく;
R2は、-C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-アリール、-C1-6アルキルアリール、-シクロアルキル、-C1-6アルキルシクロアルキル、-ヘテロアリール、-C1-6アルキルヘテロアリール、-ヘテロシクリル、又は-C1-6アルキルヘテロシクリルを表し:
かつ、上記のアリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル基のいずれも、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SOC1-4アルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、-SOC3-6シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、及び-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)から選択される1個以上の基により任意に置換されていてよく;
R3は、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルを表し;
nは、0〜3から選択される整数を表し;かつ
Raは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SOC1-4アルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、-SOC3-6シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-4アルキル)、及び-C(O)NH(C3-10シクロアルキル)を表す)。
【請求項2】
R1が、-C1-6アルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロシクリル、フェニルにより置換された-シクロアルキル、フェノキシにより置換された-シクロアルキル、シクロアルキルにより置換された-フェニル、フェノキシにより置換された-フェニル、フェニルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換されたヘテロシクリル、フェニルにより置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、ヘテロアリールにより置換されたフェニル、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が、-C1-6アルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、フェニルにより置換された-シクロアルキル、フェノキシにより置換された-シクロアルキル、シクロアルキルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換された-フェニル、フェニルにより置換されたヘテロシクリル、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、-O-シクロアルキルにより置換されたフェニル、又は-シクロアルキル-ヘテロシクリルにより置換されたフェニルを表す、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1が、-C1-6アルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、フェニルにより置換された-フェニル、ヘテロシクリルにより置換されたフェニル、又は-O-シクロアルキルにより置換されたフェニルを表し、前記フェニル基が1個以上のハロゲン基により任意に置換されており、前記ヘテロシクリル基が1個以上のC1-6アルキル基により任意に置換されており、かつ前記シクロアルキル基が1個以上のハロゲン基により任意に置換されている、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R1が、2,3-ジフルオロフェニルなどの、1個以上のハロゲン基により任意に置換されたフェニルを表す、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R2が、-C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、-アリール、-シクロアルキル、-ヘテロアリール、又は-ヘテロシクリルを表す、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
R2が、-C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、又は-アリールを表す、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R2が、-C1-6アルキル又は-アリールを表す、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R2が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、又は1個以上のハロゲン基により任意に置換されたフェニルを表す、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R2が、メチルなどのメチル又は非置換フェニルを表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R3が、メチルなどのC1-6アルキルを表す、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
R3が、2,2,2-トリフルオロエチル又は2,2,3,3-テトラフルオロプロピルなどのC1-6ハロアルキルを表す、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
nが0を表す、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
全互変異性体及び立体異性体を含む、実施例1〜35のいずれか一項記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体。
【請求項15】
1-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-5-(2,3-ジフルオロフェニル)-3-メトキシ-4-メチル-1H-ピロール-2(5H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは多形体である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
医薬として使用するための、請求項1〜15記載の化合物。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物を、任意に1種以上の治療上許容し得る希釈剤又は担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項18】
神経保護薬、抗パーキンソン病薬、アミロイドタンパク質沈着阻害剤、βアミロイド合成阻害剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、及び抗多発性硬化症薬からなる群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
PEP-阻害剤、LiCl、DP IV又はDP IV様酵素の阻害剤の阻害剤、アセチルコリンエステラーゼ(ACE)阻害剤、PIMTエンハンサー、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、TNFα阻害剤、ムスカリン性M1受容体アンタゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、σ-1受容体阻害剤、ヒスタミンH3アンタゴニスト、免疫調節薬、免疫抑制薬からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、又はアンテグレン(ナタリズマブ)、Neurelan(ファムプリジン-SR)、カンパス(アレムツズマブ)、IR 208、NBI 5788/MSP 771(チプリモチド)、パクリタキセル、Anergix.MS(AG 284)、SH636、ディフェリン(CD 271, アダパレン)、BAY 361677(インターロイキン-4)、マトリックス-メタロプロテイナーゼ-阻害剤、インターフェロン-τ(トロホブラスチン)、及びSAIK-MSからなる群から選択される薬剤をさらに含む、請求項17又は18記載の医薬組成物。
【請求項20】
ケネディ病、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー・エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病原性精神病的病態、統合失調症、不妊、新生物、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、液性及び細胞仲介性免疫応答障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性神経根症からなる群から選択される疾病の治療において使用するための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物又は請求項17〜19のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項21】
軽度認知障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群における神経変性、及びハンチントン病からなる群から選択される疾病の治療において使用するための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物又は請求項17〜19のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項22】
関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、膵炎、及び再狭窄からなる群から選択される疾病の治療において使用するための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物又は請求項17〜19のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項23】
ケネディ病、潰瘍疾患、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない十二指腸癌、結腸直腸癌、ゾリンジャー・エリソン症候群、ヘリコバクターピロリ感染を伴う又は伴わない胃癌、病原性精神病的病態、統合失調症、不妊、新生物、炎症性宿主反応、癌、悪性転移、メラノーマ、乾癬、液性及び細胞仲介性免疫応答障害、内皮内の白血球接着及び遊走プロセス、摂食障害、睡眠-覚醒障害、エネルギー代謝の恒常性制御障害、自律神経機能障害、ホルモン平衡障害又は体液の調節障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性神経根症からなる群から選択される疾病の治療又は予防の方法であって、対象に、有効量の請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物又は請求項17〜19のいずれか一項記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
軽度認知障害、アルツハイマー病、家族性英国型認知症、家族性デンマーク型認知症、ダウン症候群における神経変性、及びハンチントン病からなる群から選択される疾病の治療又は予防の方法であって、対象に、有効量の請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物又は請求項17〜19のいずれか一項記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項25】
関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、膵炎、及び再狭窄からなる群から選択される疾病の治療又は予防の方法であって、対象に、有効量の請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物又は請求項17〜19のいずれか一項記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
下記を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の式(I)の化合物の製造方法:
(a)式(II)の化合物:
【化2】

(式中、Ra、n、R1、及びR2は請求項1に定義されたとおりである)から式(I)の化合物を製造すること;
(b)式(I)の化合物の相互転化;及び/又は
(c)保護されている式(I)の化合物を脱保護すること。

【公表番号】特表2013−521325(P2013−521325A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556515(P2012−556515)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053576
【国際公開番号】WO2011/110613
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(505403119)プロビオドルグ エージー (39)
【Fターム(参考)】