説明

グルタルアルデヒド系殺生物組成物及び使用方法

グルタルアルデヒド、及び1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタン、トリス(ヒドロキシメチル)−ニトロメタン、及びヘキサヒドロトリアジン化合物から成る群から選択された殺生物化合物を含んで成る組成物を提供する。この組成物は、水系又は水含有系内の微生物を抑制するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年5月26日付けで出願された米国仮特許出願第61/180,941号の優先権を主張する。上記出願は参照することによりその全体を本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、殺生物組成物、及び水系及び水含有系内の微生物を抑制するためのこれらの使用の方法に関する。該組成物は、第2殺生物剤と共にグルタルアルデヒドを含む。
【背景技術】
【0003】
水含有系を微生物汚染から保護することは、多くの工業生産プロセス、特に油又は天然ガス生産操作の成功にとって極めて重要である。油及びガスの操作において、好気性及び嫌気性双方の細菌に由来する微生物汚染は、深刻な問題、例えばリザーバの酸性化(主に硫酸塩還元菌(SRB)に起因する)、設備及びパイプラインの金属表面上の微生物学的に影響された腐食(MIC)、及びポリマー添加剤の劣化を引き起こすおそれがある。
【0004】
微生物汚染は、噴射水、生産水、油井穴、切削穴域の近く、脱気塔、輸送パイプライン、水攻及び水圧破砕のための源水、例えば池水及び保持タンク水、油及びガスの貯蔵タンク、及び機能性水をベースとする流体、例えば切削泥水、仕上げ流体及び回収流体、ハイドロテスト流体、刺激流体、パッカー流体、破砕流体を含む、油又は天然ガス生産操作全体にわたるいかなる場所にも発生する可能性がある。
【0005】
油・ガス用途に見いだされるような水系内の微生物の成長を阻止・抑制するために、殺生物剤が一般に使用される。しかしながら、広範囲な微生物及び/又は温度に対して、すべての殺生物剤が効果的であるとは限らず、また他の化学処理用添加剤と適合しないものもある。加えて、十分に長い時間にわたって微生物抑制を行うことができないいくつかの殺生物剤もある。油・ガス用途の場合、H2Sの存在及び高い温度(最大120℃以上)が、殺生物剤処理にとって重大な固有の難題をもたらす。
【0006】
グルタルアルデヒドは、即効性の殺生物剤であり、油・ガス用途において幅広く使用されている。しかしながらこれは、或る特定の条件下、例えば高温(例えば80℃以上)条件下では安定ではなく、従って、例えば油井穴環境において長時間の微生物抑制を行うことはできない。嫌気性SRB抑制が極めて重要な油井穴処理を含む油・ガス用途において、熱安定な、即効性の長持ちする殺生物剤を提供することは、この技術分野における著しい進歩となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様の場合、本発明は殺生物組成物を提供する。これらの組成物は、水系又は水含有系内の微生物成長を抑制するのに有用であり、油・天然ガス産業における用途に特に適している。本発明の組成物は、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタン、トリス(ヒドロキシメチル)−ニトロメタン、及びヘキサヒドロトリアジン化合物から成る群から選択された殺生物化合物と一緒に、グルタルアルデヒドを含む。
【0008】
第2の態様の場合、本発明は、水系又は水含有系内の微生物を抑制する方法を提供する。この方法は、本明細書中に記載された有効量の殺生物組成物で、この系を処理することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記のように、本発明は、殺生物組成物、微生物抑制に際してこれらの組成物を使用する方法を提供する。これらの組成物は、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタン、トリス(ヒドロキシメチル)−ニトロメタン、及びヘキサヒドロトリアジン化合物から成る群から選択された殺生物化合物と一緒にグルタルアルデヒドを含む。グルタルアルデヒドと、本明細書中に記載された他の殺生物化合物との組み合わせは、水性媒体又は水含有媒体中で微生物抑制のために使用されると相乗作用を示すことが驚くべきことに判った。すなわち、組み合わせた材料は、そうでない場合の特定の使用濃度で個別の性能に基づいて予想されるものを上回る、改善された殺生物特性をもたらす。観察された相乗作用は、許容し得る殺生物特性を得るために使用されるべき材料の量を低減するのを可能にし、ひいては潜在的に、環境インパクト及び材料コストを低減する。
【0010】
相乗作用を示すことに加えて、本発明の組成物は、嫌気性微生物を抑制する際に特に効果的である。さらに、組成物は低温及び高温の両方で機能し、そしてこれらはまた、還元剤、例えば硫化物を含有する還元剤を含有する系において効力を維持する。これらの特質の結果として、組成物は、種々の温度範囲全体にわたって嫌気性微生物を含む微生物を抑制することができ、そして還元剤、例えば硫化物が存在する場合でも効果的であり続ける殺生物剤が必要とされる油・天然ガス産業において特に有用である。
【0011】
本明細書の目的上、「微生物」という意味の一例としては、細菌、真菌、藻類、及びウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。「抑制」及び「抑制する」という用語は、一例としては微生物の成長又は増殖を阻害し、微生物を殺し、消毒し、そして/又は微生物成長から保護すること(これらに限定されない)をこれらの意味の中に含むように、幅広く解釈されるべきである。
【0012】
第1の態様の場合、本発明の組成物は、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタン(「CTAC」)を含む。CTAC化合物は、cis異性体、trans異性体、又はcis異性体及びtrans異性体の混合物であってよい。好ましくは、化合物は、cis異性体、又はcis異性体及びtrans異性体の混合物である。
【0013】
好ましくは、本発明の第1の態様におけるグルタルアルデヒドとCTACとの重量比は、約100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50であり、そしてさらにより好ましくは20:1〜1:20である。
【0014】
嫌気性細菌に対する使用に特に適したさらに好ましい態様の場合、グルタルアルデヒドとCTACとの重量比は、約9:1〜1:11である。
【0015】
さらに好ましい態様の場合、微生物は嫌気性であり、そして処理されるべき水系は還元剤、例えば硫化物を含有している。この態様では、グルタルアルデヒドとCTACとの重量比は好ましくは約2:1〜1:11である。
【0016】
グルタルアルデヒド及びCTACは、Dow Chemical Companyから商業的に入手可能であり、そして/又は、よく知られた技術を用いて当業者によって容易に調製することができる。
【0017】
第2の態様の場合、本発明の組成物は、グルタルアルデヒドと、トリス(ヒドロキシメチル)−ニトロメタン(「トリス・ニトロ」)とを含む。好ましくは、この第2の態様におけるグルタルアルデヒドとトリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタンとの重量比は、約100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50であり、そしてさらにより好ましくは20:1〜1:20である。
【0018】
さらに好ましい態様の場合、微生物は嫌気性である。この態様において、グルタルアルデヒドとトリス・ニトロとの重量比は、好ましくは約9:1〜1:4である。
【0019】
さらに好ましい態様の場合、微生物は嫌気性であり、そして処理されるべき水系は還元剤、例えば硫化物を含有している。この態様では、グルタルアルデヒドとトリス・ニトロとの重量比は好ましくは約4:1〜1:4である。
【0020】
トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタンは、Dow Chemical Companyから商業的に入手可能であり、そして/又は、よく知られた技術を用いて当業者によって容易に調製することができる。
【0021】
第3の態様の場合、本発明の組成物は、グルタルアルデヒドと、ヘキサヒドロトリアジン化合物とを含む。好ましくは、ヘキサヒドロトリアジン化合物は、式I:
【0022】
【化1】

【0023】
(上記式中、R1,R2及びR3は独立して、水素、C1−C5アルキル、C1−C5ヒドロキシアルキル、又は構造−R4−O−R5を有するアルコキシアルキレン基から成る群から選択され、R4は独立して、炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、そしてR5は独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基である)
を有する。
【0024】
式Iに基づく好ましいヘキサヒドロトリアジンは、R1,R2及びR3が同じであり、そしてアルキル又はヒドロキシアルキルである化合物を含む。より好ましくは、これらはエチル又はヒドロキシエチルである。特に好ましい化合物は、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン及びヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジンである。
【0025】
好ましくは、本発明の第3の態様におけるグルタルアルデヒドとヘキサヒドロトリアジンとの重量比は、約100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50であり、そしてさらにより好ましくは20:1〜1:20である。
【0026】
嫌気性細菌に対する使用に特に適したさらに好ましい態様の場合、グルタルアルデヒドとヘキサヒドロトリアジンとの重量比は、約9:1〜1:1.9である。
【0027】
さらに好ましい態様の場合、微生物は嫌気性であり、そして処理されるべき水系は還元剤、例えば硫化物を含有している。この態様では、グルタルアルデヒドとヘキサヒドロトリアジンとの重量比は好ましくは約1:1〜1:2である。
【0028】
式Iに基づくヘキサヒドロトリアジンは商業的に入手可能であり、そして/又は、よく知られた技術(例えば米国特許第3,981,998号、同第4,978,512号、及び/又は米国特許第5,347,007号の各明細書に記載されている)を用いて当業者によって容易に調製することができる。
【0029】
本発明の組成物は、油・天然ガス用途において存在するような水系又は水含有系内の微生物を抑制するのに有用である。このような系の例としては、噴射水及び生産水、水攻及び水圧破砕のための源水、例えば池水及び保持タンク水、機能性流体、例えば切削泥水、仕上げ又は回収流体、ハイドロテスト流体、刺激流体、パッカー流体、及び破砕流体、油井及びガス井、分離、貯蔵及び搬送系、油及びガスのパイプライン、油及びガスの容器、又は燃料が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物は、他の工業システム及び水含有系、例えば冷却塔、熱交換器、ボイラーシステム、紙パルプ製造、その他の工業プロセス水、バラスト水、廃水処理系、逆浸透水処理、金属加工流体、皮革製品製造、塗料及び被覆剤、水性エマルジョン、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散系、身の回り品及び家庭用品、鉱物スラリー、コーキング剤及び接着剤、テープ接合化合物、消毒剤、クリーナー、テキスタイル流体、又はこれらと一緒に使用される系内の微生物を抑制するために使用されてもよい。
【0031】
加えて、これらのブレンドは、グルタルアルデヒドが殺生物剤として使用されてグルタルアルデヒドのローディング量を低減することが望まれる他の領域で使用されてもよい。
【0032】
本発明の組成物は、幅広い温度範囲にわたって使用するのに適している。好ましい態様では、組成物は、温度40℃以上の水系又は水含有系内で使用される。さらなる態様では、水系又は水含有系の温度は、60℃以上であり、又は80℃以上である。
【0033】
組成物はまた、還元剤、例えば硫化物イオン源が水系又は水含有系内に存在する場合に、さらに効果的である。
【0034】
組成物はまた、還元剤、例えば硫化物イオン源が水系又は水含有系内に存在し、そして水系又は水含有系の温度が高められると、さらに効果的である。好ましくは、この態様における水系又は水含有系の温度は、40℃以上、又は60℃以上、又は80℃以上である。
【0035】
当業者であれば、過度の実験を行うことなしに、任意の具体的な用途において使用されるべき組成物の濃度を容易に割り出すことができる。例として挙げるならば、好適な活性濃度(グルタルアルデヒド及び第2殺生物剤双方の合計)は典型的には、殺生物剤を含む水系又は水含有系の総重量を基準として、1〜2500ppm、好ましくは5〜1000ppmである。油・ガス用途のためのいくつかの態様の場合、組成物の活性濃度は、地上処理の場合には約5〜約500ppm、好ましくは約10〜300ppm、そして油井穴処理の場合には約30〜1000ppm、好ましくは約50〜約500ppmであることが好ましい。
【0036】
本発明の組成物のこれらの成分は、水系又は水含有系に別個に添加することができ、或いは添加前に予めブレンドすることもできる。当業者であれば、適切な添加方法を容易に見極めることができる。組成物は、他の添加物、例えば界面活性剤、イオン性/非イオン性ポリマー、スケール防止剤、腐食防止剤、脱酸素剤、及び/又は追加の殺生物剤とともに系内で使用することができる。
【0037】
本明細書において使用される「アルキル」は、直鎖状及び分枝状脂肪族基を含む。好ましいアルキル基の一例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、及びペンチルが挙げられる。
【0038】
「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシル基で置換された上記アルキル基を本明細書では意味する。好ましいヒドロキシアルキル基の一例としては、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルが挙げられる。
【0039】
「アルキレン」は、2つの他の化学基の間に配置され、そしてこれらの化学基を結合するように役立つ上記アルキル基を本明細書では意味する。好ましいアルキレン基の一例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレンが挙げられる。
【実施例】
【0040】
下記例は、本発明の一例であって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。他に指示がない限り、本明細書中に使用される比、パーセンテージ、及び部などは重量による。
【0041】
下記例で報告された相乗作用指数は、下記等式を使用して計算される:
【0042】
相乗作用指数=Ca/CA+Cb/CB
【0043】
上記式中、
Ca:組み合わせで使用する場合に、特定レベルの又は完全な殺菌を達成するのに必要となる殺生物剤Aの濃度;
CA:単独で使用する場合に、特定レベルの又は完全な殺菌を達成するのに必要となる殺生物剤Aの濃度;
Cb:組み合わせで使用する場合に、特定レベルの又は完全な殺菌を達成するのに必要となる殺生物剤Bの濃度;そして
CB:単独で使用する場合に、特定レベルの又は完全な殺菌を達成するのに必要となる殺生物剤Bの濃度。
【0044】
相乗作用指数(SI)が1であることは相加作用を示し、相乗作用指数が1未満であることは相乗作用を示し、そして相乗作用指数が1を上回ることは拮抗作用を示す。
【0045】
殺生物効力を評価するために、当業者に知られた種々の方法を用いることができる。下記例において、殺生物剤処理された試料の分取(aliquot)を所定の時点で取り出し、そして連続希釈法を含む培養ベースの方法によって、特定レベルの又は完全な殺菌を達成するのに必要となる殺生物剤濃度を割り出す。いくつかの例において、方法は、国際公開第2009/039004号パンフレットに記載された方法(参照することにより本明細書に組み入れられる)をベースとしたものであるか、又はこれを改変したもの(例えば高温試験に合わせて又は硫化物の存在に合わせて)である。
【0046】
例1.
グルタルアルデヒド/CTAC、グルタルアルデヒド/トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン(トリス・ニトロ)、及びグルタルアルデヒド/ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(HHT)の組み合わせの、嫌気性細菌に対する評価
嫌気性チャンバ内部で、脱気された滅菌食塩水(1Lの水中の3.1183gのNaCl、1.3082mgのNaHCO3,47.70mgのKCl、72.00mgのCaCl2、54.49mgのMgSO4、172.28mgのNa2SO4、43.92mgのNa2CO3)を、最終細菌濃度105〜106CFU/mlの、油田単離嫌気性SRB集合体で汚染する。次いで、この汚染水の分取を、種々の濃度の殺生物剤溶液(単独又は組み合わせで)で処理する。混合物を40℃で24時間にわたってインキュベートした後、完全な殺菌(MBC)を達成するための最小殺生物剤濃度を割り出す。グルタルアルデヒド/CTACの組み合わせの結果を表1に要約し、グルタルアルデヒド/トリス・ニトロの組み合わせの結果を表2に要約し、そしてグルタルアルデヒド/HHTの組み合わせの結果を表3に要約する。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
表1〜3に示されているように、CTAC、トリス・ニトロ、又はHHTと組み合わされたグルタルアルデヒドは、或る特定の重量比で、嫌気性SRBに対して相乗効果を呈する。従って、殺生物剤を別々に使用する代わりに組み合わせて使用すると、良好な細菌抑制のために、より低い供与量を用いることができる。
【0051】
例2.
グルタルアルデヒド/CTAC、グルタルアルデヒド/トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン(トリス・ニトロ)、及びグルタルアルデヒド/ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(HHT)の組み合わせの、嫌気性細菌に対する、高温条件及び硫化物が豊富な条件に関する評価
嫌気性チャンバ内部で、食塩水(1Lの水中の3.1183gのNaCl、1.3082mgのNaHCO3,47.70mgのKCl、72.00mgのCaCl2、54.49mgのMgSO4、172.28mgのNa2SO4、43.92mgのNa2CO3)中に、種々の濃度で殺生物剤溶液(単独又は組み合わせで)を調製する。殺生物剤溶液を、油田単離嫌気性SRB集合体104〜105CFU/mL、及び10ppmの硫化物イオンで攻撃する。混合物を2時間にわたって嫌気性条件下で、80℃でインキュベートし、その後、油田SRB集合体に対する殺生物効力を評価する。2時間で少なくとも99.9%の細菌低減を達成するのに必要となる最低殺生物剤濃度を選択することにより、殺生物効力を割り出す。次いで相乗作用指数を計算する。グルタルアルデヒド/CTACの組み合わせの結果を表4に要約し、グルタルアルデヒド/トリス・ニトロの組み合わせの結果を表5に要約し、そしてグルタルアルデヒド/HHTの組み合わせの結果を表6に要約する。
【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
表4〜6から、CTAC、トリス・ニトロ、又はHHTと組み合わされたグルタルアルデヒドは、或る特定の重量比で、高温条件及び硫化物が豊富な条件に関して、嫌気性SRBに対して相乗効果を呈する。従って、殺生物剤を別々に使用する代わりに組み合わせて使用すると、良好な細菌抑制のために、より低い供与量を用いることができる。
【0056】
本発明を好ましい態様に従って説明してきたが、本発明はこの開示内容の思想及び範囲の中で改変することができる。従って本出願は、本明細書中に開示された一般原理を用いた、本発明のいかなる変更形、使用、又は適応形にも範囲が及ぶものとする。さらに、本出願は、本発明が関連する技術分野において知られた又は通例の実施の範囲内に入るような、そして請求項の範囲内に含まれるような、本開示内容からの逸脱にも範囲が及ぶものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルタルアルデヒド、及び
1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタン、トリス(ヒドロキシメチル)−ニトロメタン、及びヘキサヒドロトリアジン化合物から成る群から選択された殺生物化合物
を含んで成る組成物。
【請求項2】
該殺生物化合物が、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該殺生物化合物が、トリス(ヒドロキシメチル)−ニトロメタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該ヘキサヒドロトリアジン化合物が、式I:
【化1】

(上記式中、R1,R2及びR3は独立して、水素、C1−C5アルキル、C1−C5ヒドロキシアルキル、又は−R4−O−R5を有するアルコキシアルキレン基であり、ここでR4は独立して、炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、そしてR5は独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基である)
を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1,R2及びR3がC1−C5アルキルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
1,R2及びR3がC1−C5ヒドロキシアルキルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
該ヘキサヒドロトリアジン化合物が、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン又はヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
該グルタルアルデヒドと殺生物化合物との重量比が、約100:1〜約1:100である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
1種又は2種以上の界面活性剤、イオン性/非イオン性ポリマー、スケール防止剤、腐食防止剤、脱酸素剤、又は追加の殺生物剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
水系又は水含有系内の微生物を抑制する方法であって、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有効量の組成物で、該系を処理することを含む、微生物を抑制する方法。
【請求項11】
該水系又は水含有系が、油及び/又はガスの生産時に使用されるか又は存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該油及びガスの生産が、噴射水及び生産水、水攻及び水圧破砕のための源水、池水、保持タンク水、機能性流体、切削泥水、仕上げ流体及び回収流体、ハイドロテスト流体、刺激流体、パッカー流体、破砕流体、油井及びガス井、分離、貯蔵及び搬送システム、油及びガスのパイプライン、油及びガスの容器、又は燃料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該水系又は水含有系が、冷却塔、熱交換器、ボイラーシステム、紙パルプ製造、その他の工業プロセス水、バラスト水、廃水処理システム、逆浸透水処理、金属加工流体、皮革製品製造、塗料及び被覆剤、水性エマルジョン、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散系、身の回り品及び家庭用品、鉱物スラリー、コーキング剤及び接着剤、テープ接合化合物、消毒剤、クリーナー、テキスタイル流体、又はこれらと一緒に使用される系である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
該微生物が嫌気性細菌である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該水系又は水含有系が40℃以上である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該水系又は水含有系が還元剤を含有している、請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
該還元剤が硫化物である、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2012−528162(P2012−528162A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513143(P2012−513143)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/035790
【国際公開番号】WO2010/138420
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】