説明

グルフォスファミドの単位用量形態

本発明は、癌および他の過剰増殖性疾患の治療に有用な、約2gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2006年6月6日に出願された米国特許出願第60/811,674号の恩典を主張し、この内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗癌剤である、グルフォスファミド(glufosfamide)の凍結乾燥単位用量形態、およびそれらを製造する方法を提供する。本発明は、化学、薬理学、および医学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
β-D-グルコシル-イホスファミドマスタードまたはglc-IPMとしても公知であるグルフォスファミドは、癌の治療において有用なアルキル化剤イホスファミドマスタードのプロドラッグである(米国特許第5,662,936号(特許文献1);PCT出願公開番号WO 05/76888(特許文献2);Niculescu-Duvaz, 2002, Curr. Opin. Investig. Drugs, 3:1527-32(非特許文献1);Briasoulis et al., 2000, J. Clin. Oncol., 18(20): 3535-44(非特許文献2)および2003, Eur. J. Cancer, 39: 2334-40(非特許文献3);Dollner et al., 2004, Anticancer Res., 24(5A):2947-51(非特許文献4);ならびにVan der Bent et al., 2003, Ann. Oncol., 14(12): 1732-4(非特許文献5)、これらの各々は、参照により本明細書に組み入れられる)。グルフォスファミドは、イホスファミドマスタードおよびグルコースへインビボで加水分解される。イホスファミドとは対照的に、グルフォスファミドの代謝によって神経毒アクロレインは産生されず、従って、イホスファミドよりも少ない副作用を有することが約束される。
【0004】
グルフォスファミドのような薬物は、特定の量の薬物を特定の剤型で含有する「単位用量形態」と呼ばれる特定の形態で、投与および販売について、市販され、入手可能である。1またはそれ以上の単位用量形態が市販され得る。薬物の単位用量形態は、特に単位用量形態を製造する容易さに基づいて選択され、そして、薬物の細胞傷害性および物理的特性:薬物の安定性;特定の種類の治療に必要とされる薬物の治療有効量;および薬物剤型の性質、例えば、剤型が、散剤、液剤、丸剤、錠剤、またはエマルジョンであるかどうか、に基づく。
【0005】
グルフォスファミドは、細胞傷害性の固体である。粉末として得られる医薬品有効成分(API)グレードのグルフォスファミドは、グルフォスファミドの固体単位用量形態を作製するために、容器中に配置され得る。しかし、正確な量のグルフォスファミドの粉末形態を容器中に充填することによってグルフォスファミドの固体単位用量形態を製造することは困難であり、また、細胞毒が空気中を浮遊し作業空間を汚染する可能性のために危険である。
【0006】
特定の量の固体薬物を容器に充填する正確さは、その薬物の流動特性に依存する。固体薬物の流動特性は、同一の薬物の異なるバッチ間で変化し得、従って、所定の容器中へ配置される固体薬物の量は、異なるバッチ間で変化し得る。薬物の単位用量形態中に存在する薬物の量の不正確さは、患者へ投与される薬物の不正確な量へとつながり、効果のない治療へとつながる可能性がある。
【0007】
固体薬物に関連する流動の問題は、溶液は一般的に固体よりもより正確に分散させることができるため、一般的に、固体薬物を液体に溶解して得られた溶液を単位用量形態容器中へ分散させることによって克服することができる。固体が溶液中においてあまり安定ではない場合、または、重量を減少させることが望ましい場合(輸送費を低下させるため)、固体単位用量形態を得るために、溶液が分散された後に液体を凍結乾燥することができる。グルフォスファミドのAPIのこのような凍結乾燥形態は、グルフォスファミド製剤として公知である。ここ数年、病院において使用されてきたグルフォスファミドは、1gのAPIを含有する凍結乾燥グルフォスファミド単位用量形態として製造されてきた。凍結乾燥グルフォスファミドは、多孔質の固体であり、ヒトへの投与に好適な溶液へと容易に再水和されるかまたは再構成される。
【0008】
凍結乾燥は、凍結乾燥機と呼ばれる機器において行われる処理であり、一般的に、≦0℃の低温で水溶液または混合物から水および/または他の液体を除去するために使用され、特に、固体形態または凍結混合物へと水溶液または他の溶液を凍結する工程;氷または他の固体を真空下で直接蒸気へ昇華させる工程;および蒸気を除去する工程を含む。水溶液を凍結乾燥する場合、一般的に、水の一部が、V1の真空およびT1の温度での一次乾燥の間の昇華によって除去され;続いて、残りの水が、V2(V2<V1)の真空およびT2(T2>T1)の温度での二次乾燥の間の脱着によって除去される。例えば、参照により本明細書に組み入れられるRambhatla et al., 2004, AAPS PharmSciTech., 5 (4): Article 58(非特許文献6)を参照のこと。一次乾燥の間に存在する残気は、対流によって熱伝達を可能にし、昇華に役立つ。凍結乾燥が進むにつれ、液体を含まない固体生成物が、凍結混合物の上部に蓄積する。
【0009】
凍結乾燥のために凍結された水溶液は、凍結混合物の共融点またはガラス転移温度未満で凍結したままである。凍結乾燥の間、凍結混合物の温度が凍結混合物の共融温度またはガラス転移温度を超えると、再融解(melt-back)が生じ得る。低い共融温度/ガラス転移温度を有する凍結乾燥混合物について、一次乾燥が不完全である場合、再融解が二次乾燥の間にも生じ得る。グルフォスファミドの凍結乾燥の間の再融解は、非効率的な水の除去、多孔質グルフォスファミドほど容易に再構成され得ない非多孔質またはガラス質グルフォスファミド製剤、および貯蔵時のグルフォスファミドの加水分解を生じさせる。
【0010】
不適切な一次乾燥は、特に凍結混合物中の氷晶の不均一性に起因して生じ得る。現在実施されているように、グルフォスファミド水溶液は、バイアルから凍結乾燥される。氷からの水蒸気の昇華速度は、バイアル中において形成される氷晶のサイズ、および凍結混合物内に存在する細孔のサイズに依存する。バイアル中の氷晶サイズの不均一性は、凍結により誘導される昇華についての不均一な速度、およびバイアル中における水の不均等な除去を生じさせる。
【0011】
凍結により誘導される昇華の速度の不均一性は、凍結混合物をアニーリングすることによって低下させることができる。アニーリングは、凍結乾燥のための溶液または混合物を、一次乾燥前のある時間、対応する凍結混合物の共融温度/ガラス転移温度未満またはその付近の温度へ冷却する処理である(参照により本明細書に組み入れられるSearle et al., 2000, J. Pharm. Sci., 190(7):872-87(非特許文献7))。
【0012】
バイアルのサイズにより、バイアルから効率的に凍結乾燥され得るグルフォスファミド溶液の容積が制限されるため、グルフォスファミド溶液を凍結乾燥することには問題があり得る。現在、グルフォスファミドの10%(w/v)水溶液が凍結乾燥のために使用されており、1gの凍結乾燥グルフォスファミドを得るために、約10 mLのこの溶液が必要である。バイアル中のグルフォスファミド溶液から凍結乾燥によって10 mLを超える水を除去することは、非実用的に長い凍結乾燥サイクルおよびグルフォスファミド分解をもたらす可能性がある。
【0013】
上述のように、凍結乾燥グルフォスファミドは、現在、1 gの単位用量形態で製造されている(500 mgのより小さな単位用量形態も製造されている;例えば、参考文献Briasoulisら(前記)を参照のこと)。患者への投与のために、1 gの単位用量形態のグルフォスファミドは生理食塩水に溶解され、得られた溶液が患者へ静脈内投与される。成人の癌患者へ投与されるグルフォスファミドの典型的な一回用量は、約4.5 g/m2である。成人は約1.7 m2の平均表面積を有するので、癌治療のために投与されるグルフォスファミドの治療有効一回用量は、1投与当たり約8 gである(約8 gの一回用量が、週1回以下の頻度で投与される)。従って、1 gという現在の単位用量形態は、癌を治療するために投与される一回用量よりも遥かに小さく、成人患者へのグルフォスファミドの投与は、約8個の現在入手可能な単位用量形態の再構成を必要とする。
【0014】
1 gを超えるグルフォスファミドを含有する単位用量形態が入手可能であれば、グルフォスファミドの投与はより簡単となる。従って、1 gを超える単位用量形態の凍結乾燥グルフォスファミド、特に2 gまたはそれ以上のグルフォスファミドAPIを含有する単位用量形態についての必要性が存在している。本発明は、この満たされていない必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,662,936号
【特許文献2】PCT出願公開番号WO 05/76888
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Niculescu-Duvaz, 2002, Curr. Opin. Investig. Drugs, 3:1527-32
【非特許文献2】Briasoulis et al., 2000, J. Clin. Oncol., 18(20): 3535-44
【非特許文献3】Briasoulis et al., 2003, Eur. J. Cancer, 39: 2334-40
【非特許文献4】Dollner et al., 2004, Anticancer Res., 24(5A):2947-51
【非特許文献5】Van der Bent et al., 2003, Ann. Oncol., 14(12): 1732-4
【非特許文献6】Rambhatla et al., 2004, AAPS PharmSciTech., 5 (4): Article 58
【非特許文献7】Searle et al., 2000, J. Pharm. Sci., 190(7):872-87
【発明の概要】
【0017】
発明の概要
1局面において、本発明は、少なくとも約2 gのグルフォスファミドAPIを含む凍結乾燥単位用量形態を提供する。1態様において、本発明は、約2 gのグルフォスファミドAPIを含む凍結乾燥単位用量形態を提供する。1態様において、凍結乾燥単位用量形態は、少なくとも95%純粋である。別の態様において、凍結乾燥単位用量形態は、0.5%以下の水を含む。
【0018】
別の局面において、本発明は、約2 gの凍結乾燥グルフォスファミドAPIを含有する容器を提供する。1態様において、容器はガラスバイアルである。1態様において、ガラスバイアルは、約50 mL〜約100 mLの容積;約3 cm〜約10 cmの内径;および約10 cm〜約15 cmの高さを有する。別の態様において、ガラスバイアルは、約4.3 cm(1.7")の外径および約7.6 cm(3.0")の高さを有する。別の態様において、ガラスバイアルは、成型ガラスバイアル(molded glass vial)である。別の態様において、ガラスバイアルは、チュービングガラスバイアル(tubing glass vial)である。
【0019】
別の局面において、本発明は、以下の工程を含む、約2 gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を製造する方法を提供する:
(a)約Taの温度で、約θaの時間、水性溶媒中の約2 gのグルフォスファミドの溶液をアニーリングする工程;
(b)約V1の真空、約T1aの温度で、約θ1aの時間、工程(a)においてアニーリングされた凍結混合物の第1の一次乾燥を行う工程;
(c)約V1の真空、T1b>T1aである約T1bの温度で、約θ1bの時間、工程(b)において第1の一次乾燥を行った凍結混合物の第2の一次乾燥を行う工程;および
(d)約V2の真空、T2>T1bである約T2の温度で、約θ2の時間、工程(c)において第2の一次乾燥を行った凍結混合物の二次乾燥を行う工程。
【0020】
1態様において、アニーリング温度Taは、約-60℃〜約5℃である。別の態様において、θaは、約5時間〜約24時間である。別の態様において、V1は約100ミクロン〜約200ミクロンであり、T1aは約-30℃〜約10℃であり、θ1aは約60時間〜約80時間であり、T1bは約-10℃〜約5℃であり、かつθ1bは約30時間〜約40時間であり;およびV2は約50ミクロン〜約90ミクロンであり、T2は約25℃であり、かつθ2は20時間〜30時間である。別の態様において、工程(a)において使用されるグルフォスファミドの溶液は、(w/v)、5〜40%、10〜20%、または10%水溶液である。別の態様において、グルフォスファミド溶液は、容器から凍結乾燥される。別の態様において、容器はガラスバイアルである。別の態様において、グルフォスファミド溶液は、ガラスバイアルの高さの約3分の1〜約2分の1に充填される。
【0021】
別の局面において、本発明は、癌および他の過剰増殖性疾患の治療方法を提供し、該方法は、約2gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を薬学的に許容される溶媒に溶解し、グルフォスファミドの薬学的に許容される溶液を得る工程、および該グルフォスファミドの薬学的に許容される溶液をそのような治療の必要がある患者へ投与する工程を含む。1態様において、薬学的に許容される溶媒は、食塩水である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の種々の局面および態様のこの詳細な説明は、以下の通りに構成される:セクションIは、有用な定義を提供する;セクションIIは、グルフォスファミド溶液の凍結乾燥を記載する;セクションIIIは、2 gのグルフォスファミドを含有する凍結乾燥単位用量形態を記載する:パートAは組成物、Bは凍結乾燥の方法、およびCは癌の治療を記載する;セクションIVは、本発明に従う約2 gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態の例示的な製造方法を記載する。この詳細な説明は、読者の利便性のためにのみセクションへ構成されており、いずれのセクションに見られる開示も、本明細書の他の箇所の開示に適用可能である。
【0023】
I.定義
本明細書において使用される場合、「約」は、通常、本明細書において特に記載されない限り、量の+/- 10%を意味する。例えば、「約10℃」は、10℃+/- 1℃(即ち、9〜11℃)を意味し得、約2 gは、1.8〜2.2 gを意味し得;約50 mLは、45〜55 mLを意味し得、約3 cmは、2.7〜3.3 cmを意味し得る。あるいは、「約」は、量の範囲+/- 5%を指すために使用され得る。例えば、「約10℃」は、10℃+/- 0.5℃(即ち、9.5〜10.5℃)を意味し得、約2 gは、1.9〜2.1 gを意味し得るなどである。
【0024】
「アニーリング」は、凍結乾燥のための溶液または混合物を、一次乾燥前のある時間、対応する凍結混合物の共融温度/ガラス転移温度未満またはその付近の温度へ冷却する処理を指す(参照により本明細書に組み入れられるSearleら(前記)を参照のこと)。
【0025】
患者への薬物の「投与」または「投与すること」(およびこの句の文法上の均等物)は、自己投与を含む直接投与、および薬物を処方する行為を含む間接投与の両方を指す。例えば、本明細書において使用される場合、薬物を自己投与するよう患者に指示するおよび/または薬物の処方箋を患者に提供する医師は、患者へ薬物を投与している。
【0026】
「凍結乾燥」は、一般的に、昇華および脱着によって約≦0℃の低温で、凍結された水溶液または他の液体を含有する溶液または混合物から水(または他の液体)を除去するために使用される処理を指す。凍結乾燥は、水溶液または混合物を凍結し、それによって水を氷に変化させること;氷を真空下で直接水蒸気へ昇華させること;および脱着によって残留水を除去することを含むと考えられ得る。凍結乾燥は、乾燥および物質からの水の除去のために有用であり、特に、約室温およびより高い温度において分解および/または加水分解しやすい固体の安定な組成物を調製するために有用である。
【0027】
「患者」は、一般的に、癌および他の過剰増殖性疾患の治療のための療法が必要であるヒトを指す。「患者」は、より広くは、癌および他の過剰増殖性疾患に罹患した、非ヒト霊長類を含む任意の哺乳動物、ならびに癌および他の過剰増殖性疾患の実験モデルとして使用される非ヒト哺乳動物を指す。
【0028】
化合物の「治療有効量」は、癌または別の過剰増殖性疾患を有する患者へ投与されたときに、意図される治療効果、例えば、癌または他の過剰増殖性疾患の1または複数の症状の軽減、改善、緩和、または排除、を有する化合物(薬物)の量を指す。化合物の「治療有効量」は、患者へ投与されたときに、(治療されない場合に予想される進行と比較して)癌または他の増殖性疾患の進行を遅延または減速させる量であり得る。化合物の一回治療有効量は、場合によっては、部分単位用量形態を含む、その化合物のいくつかの単位用量形態から調製され得る。全治療効果は、1用量の投与によって必ずしも生じず、一連の用量の投与後にのみ生じることもある。従って、治療有効量は、1または複数の投与で投与され得る。
【0029】
疾患、状態、または患者を「治療すること」は、患者について、臨床結果を含む、有利なまたは所望の結果を得るための手段を講じることを指す。本発明の目的について、有利なまたは所望の臨床結果としては、癌および他の過剰増殖性疾患の予防、抑制、軽減、または改善;癌および他の過剰増殖性疾患の程度の縮小;癌および他の過剰増殖性疾患の進行の遅延または減速;癌および他の過剰増殖性疾患の改善、緩和、または安定化;ならびに他の有利な結果が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
II.凍結乾燥
抗癌剤であるグルフォスファミドは、グルフォスファミド製剤の好適な単位用量形態を作製するために凍結乾燥される。グルフォスファミド水溶液の凍結乾燥は、多数の因子に依存する。凍結乾燥に影響を与える因子としては、例えば、以下に記載されるような、容器またはバイアルのサイズ、凍結乾燥の種々の段階の間に使用される温度、凍結乾燥の時間、溶液の濃度、冷却速度などが挙げられる。
【0031】
凍結乾燥によるグルフォスファミドの単位用量形態の製造は、水にグルフォスファミドAPIを溶解してグルフォスファミド水溶液を作製することを含む。グルフォスファミド水溶液をバイアルへ分散した後、バイアルを凍結乾燥機棚上に配置し、バイアル中の溶液をシェルフランプ凍結(shelf-ramp freezing)によって≦0℃へ凍結する。凍結の処理は過冷却を引き起こす。過冷却は、溶液(例えば、グルフォスファミド溶液)のより遅い段階的な冷却とは対照的に、相変化(例えば、過冷却溶液の凍結)を引き起こさない。過冷却溶液は過飽和となり、しかし、固体は液相から分離せず、かつ溶液の凍結は生じない。
【0032】
過冷却が約5℃を超える場合、一次核生成、全液体体積を包み込む二次核生成、および最終固化によって連続して、凍結が生じ得る。氷形成の間の核生成温度の不均一性は、氷晶の表面積などの形態に関連するパラメータの変動を生じさせ得、これは、乾燥速度および最終的には凍結乾燥効果に影響を与える。
【0033】
冷却の間のグルフォスファミド溶液の過飽和は、他の理由で凍結乾燥プロセスの問題を生じさせ得る。例えば、バイアル中のグルフォスファミド水溶液を冷却する際、バイアルの底部にある水が結晶化し、氷を含む凍結混合物が形成され、そしてグルフォスファミドが溶液から析出し、凍結混合物の上部に層を形成する。このグルフォスファミド層は、凍結混合物中の下層の氷晶からの水蒸気の昇華を妨げる。
【0034】
冷却時のグルフォスファミド溶液の過飽和および固体グルフォスファミドの分離を回避するために、10%(w/v)グルフォスファミド溶液が、凍結乾燥において使用される。より濃い溶液は、シェルフランプ凍結の間の固体グルフォスファミドの分離の可能性を高める。より薄い溶液は、以下に記載するように、乾燥生成物の高さに関連する問題を引き起こし得る。
【0035】
約2 gのグルフォスファミドを含有する凍結乾燥単位用量形態を作製するために、約20 mLの10%(w/v)グルフォスファミド溶液を凍結乾燥し、一方、1 gの単位用量形態については、約10 mLの同一グルフォスファミド溶液を凍結乾燥する。凍結乾燥において使用されるバイアルの直径に依存して、それらに含まれるグルフォスファミド溶液は、異なる高さまでバイアルを満たす。直径4 cmの凍結乾燥バイアル中の約10および20 mLの10%(w/v)グルフォスファミド溶液は、それぞれ、約0.8 cmおよび約1.6 cmのバイアル高さに達する。これらの溶液は一次乾燥を受けるので、凍結混合物の上部において形成される乾燥生成物の高さは、10 mLの溶液を含有するものにおけるよりも、20 mLの溶液を最初に含有するバイアルにおいてより高くなる。一次乾燥の間、凍結混合物の上部に形成される乾燥生成物の高さは、凍結混合物からの水蒸気の昇華速度に反比例的に影響を与える。例えば、Rambhatlaら(前記)を参照のこと。結果として、乾燥生成物の高さが高くなるほど、下層の凍結混合物からの水蒸気の除去速度は低下し、非効率的な凍結乾燥、再融解、および/またはグルフォスファミド分解につながる。
【0036】
20 mLのグルフォスファミド溶液を含有するバイアルの直径を約4 cmから約6 cmへ増加させると、溶液の高さは約0.8 cmへ低下する。しかし、直径4 cmのバイアルと比較して、直径6 cmのバイアルは約半分の数しか凍結乾燥機の棚上に収容することができず、そのため、同一量の凍結乾燥グルフォスファミドを得るために約2倍の凍結乾燥を必要とする。従って、バイアルの直径を増加することによって、グルフォスファミドの凍結乾燥にかかる全体的な時間および費用は増加する。
【0037】
バイアルに使用されるガラスの厚みは、バイアルの直径が増加するにつれて増加する。直径6 cmのバイアルは、直径4 cmのバイアルにおいて使用されるものよりも厚いガラスで作製されている。バイアルと凍結乾燥棚との間の熱伝達率は、例えば成型バイアルにおけるように、バイアルにおけるガラスが厚くなるにつれて低下する。より遅い熱伝達速度は、凍結のプロセスを妨げ、凍結乾燥時間および費用を増加させ得る。
【0038】
水蒸気の除去がグルフォスファミド凍結乾燥の間に減速または妨害される場合、二次乾燥の間に再融解が生じ得る。再融解によって引き続いて、非多孔質またはガラス質グルフォスファミドの形成、および加水分解によるグルフォスファミド分解が生じる。
【0039】
本発明は、一部分において、約20 mLの10%(w/v)グルフォスファミドを含有するバイアル(各バイアル中2 gのグルフォスファミド)からのグルフォスファミド溶液の凍結乾燥が、一次乾燥について溶液を凍結する前に、約0℃で約18時間グルフォスファミド溶液をアニーリングすることによって、首尾よく行われ得ることを提供する。このアニーリング工程は、グルフォスファミド凍結混合物中の氷晶が水と平衡化することを可能にする。このような平衡化は、凍結混合物中の温度、氷晶サイズ、および細孔サイズの不均一性を低下させる。従って、このアニーリング工程は、一次乾燥速度の不均一性を回避する。凍結混合物内の温度の不均一性を減少させることによって、バイアルの底部での氷の形成および凍結混合物の上部でのグルフォスファミドの引き続いての分離を防止することができ、約2 gまたはそれ以上の凍結乾燥グルフォスファミドを含有する多孔質の安定な単位用量形態を製造する処理をもたらす。
【0040】
III.グルフォスファミドの2 g凍結乾燥単位用量形態
A.組成物
1局面において、本発明は、少なくとも約2 gのグルフォスファミドAPIを含む凍結乾燥単位用量形態を提供する。1態様において、本発明は、約2〜4 gのグルフォスファミドAPIを含む凍結乾燥単位用量形態を提供する。1態様において、本発明は、約2.5 gのグルフォスファミドAPIを含む凍結乾燥単位用量形態を提供する。別の態様において、本発明は、約2 gのグルフォスファミドAPIを含有する凍結乾燥単位用量形態を提供する。別の態様において、凍結乾燥単位用量形態は、約2 gのグルフォスファミドAPIを含有し、かつ、少なくとも95%純粋である。別の態様において、凍結乾燥単位用量形態は、0.5%以下の水を含有する。別の態様において、凍結乾燥単位用量形態は、0.5%以下のイホスファミドマスタードを含有する。別の態様において、凍結乾燥単位用量形態は、0.5%以下のグルコースを含有する。1態様において、単位用量形態中の水、イホスファミドマスタード、および/またはグルコースのパーセントは、グルフォスファミドと比較して決定される。
【0041】
別の局面において、本発明は、約2 gの凍結乾燥グルフォスファミドAPIを含有する容器を提供する。1態様において、容器はガラスバイアルである。1態様において、ガラスバイアルは、約50 mL〜約100 mLの容積;約3 cm〜約10 cmの内径;および約10 cm〜約15 cmの高さを有する。別の態様において、ガラスバイアルは、約4.3 cm(1.7")の外径および約7.6 cm(3.0")の高さを有する。別の態様において、ガラスバイアルは、成型ガラスバイアルである。別の態様において、ガラスバイアルは、チュービングガラスバイアルである。
【0042】
B.凍結乾燥の方法
1局面において、本発明は、約2 gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を製造する方法を提供し、該方法は、一次乾燥工程前にグルフォスファミド凍結混合物をアニーリングする工程を含む。1態様において、一次乾燥は2段階で行われる。第1段階または第1の一次乾燥において、グルフォスファミド凍結混合物は、約V1の真空および約T1aの温度に供される。第2段階または第2の一次乾燥において、V1の真空を維持しつつ、温度は、T1b(T1b>T1a)へ上げられる。
【0043】
1態様において、本発明は、以下の工程を含む、約2 gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を製造する方法を提供する:
(a)約Taの温度で、約θaの時間、水性溶媒中の約2 gのグルフォスファミドの溶液をアニーリングする工程;
(b)約V1の真空、約T1aの温度で、約θ1aの時間、工程(a)においてアニーリングされた凍結混合物の第1の一次乾燥を行う工程;
(c)約V1の真空、T1b>T1aである約T1bの温度で、約θ1bの時間、工程(b)において第1の一次乾燥を行った凍結混合物の第2の一次乾燥を行う工程;および
(d)約V2の真空、T2>T1bである約T2の温度で、約θ2の時間、工程(c)において第2の一次乾燥を行った凍結混合物の二次乾燥を行う工程。
【0044】
別の態様において、アニーリング温度Taは、約-60℃〜約5℃である。別の態様において、θaは、約5時間〜約24時間である。別の態様において、V1は、約100ミクロン〜約200ミクロンであり、T1aは約-30℃〜約10℃であり、θ1aは約60時間〜約80時間であり、T1bは約-10℃〜約5℃であり、かつθ1bは約30時間〜約40時間であり;およびV2は約50ミクロン〜約90ミクロンであり、T2は約25℃であり、かつθ2は約20時間〜約30時間である。
【0045】
別の態様において、Taは約0℃であり、かつθaは約18時間である。別の態様において、V1は約120ミクロン〜約180ミクロンであり、T1aは約-20℃であり、θ1aは約72時間であり、T1bは約0℃であり、θ1bは約38時間であり;およびV2は約70ミクロンであり、T2は約25℃であり、かつθ2は約24時間である。別の態様において、V1は約150ミクロンである。
【0046】
別の態様において、工程(a)において使用されるグルフォスファミド溶液は、5〜40%、10〜20%、または10%(w/v)の水溶液である。別の態様において、グルフォスファミド溶液は、容器から凍結乾燥される。別の態様において、容器はガラスバイアルである。別の態様において、グルフォスファミド溶液は、ガラスバイアルの高さの約3分の1〜約2分の1に充填される。
【0047】
別の態様において、T2は、対応するグルフォスファミド水凍結混合物の共融温度未満である。1態様において、T2は、対応するグルフォスファミド水凍結混合物のガラス転移温度未満である。
【0048】
C.癌および他の過剰増殖性疾患の治療
1局面において、本発明は、癌および他の過剰増殖性疾患を治療する方法を提供し、該方法は、約2gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を薬学的に許容される溶媒に溶解し、グルフォスファミドの薬学的に許容される溶液を得る工程、および該グルフォスファミドの薬学的に許容される溶液をそのような治療の必要がある患者へ投与する工程を含む。1態様において、薬学的に許容される溶媒は、生理食塩水である。別の態様において、患者へ投与されるグルフォスファミドの薬学的に許容される溶液は、約25 mL〜約1000 mLの生理食塩水を含有する。薬学的に許容される溶液を調製する方法は、当該分野において公知であり(例えば、Briasoulis et al., Eur. J. CancerおよびBriasoulis et al., J. Clin. Oncology(それぞれ前記)を参照のこと)、この開示を読んだ当業者によって本発明における使用に適応され得る。
【0049】
種々の態様において、治療される癌は、急性および慢性リンパ球性および顆粒球性腫瘍、腺癌、腺腫、副腎癌、基底細胞癌、骨癌、脳癌、乳癌、気管支癌、喉頭癌、結腸および/または直腸の癌、子宮頚部形成異常および上皮内癌、類表皮癌、ユーイング肉腫、胆嚢、巨細胞腫、ヘアリー細胞腫瘍、頭頸部癌、過形成性角膜神経腫瘍、腸神経節細胞腫、多形グリア芽腫、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、平滑筋腫、白血病、肺癌、リンパ腫、悪性カルチノイド、悪性高カルシウム血症、悪性黒色腫、マルファン症候群様体質腫瘍(marfanoid habitus tumor)、髄様癌、転移性皮膚癌、粘膜神経腫、菌状息肉腫、骨髄腫、神経芽腫、神経組織癌、骨肉腫、骨原性および他の肉腫、卵巣腫瘍、膵臓癌、副甲状腺癌、褐色細胞腫、真性赤血球増加症、原発性脳腫瘍、前立腺癌、腎細胞腫瘍、網膜芽腫、横紋筋肉腫、セミノーマ、皮膚癌、小細胞肺腫瘍、軟部組織肉腫、潰瘍性および乳頭状の両方のタイプの扁平上皮癌、胃癌、局所皮膚病変、甲状腺癌、ヴェチキュラム細胞肉腫(veticulum cell sarcoma)、ならびにウィルムス腫からなる群より選択される。
【0050】
ある態様において、治療される癌は、膵臓癌、Gemzar(商標)耐性膵臓癌、小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、肉腫、およびアドリアマイシン耐性肉腫からなる群より選択される。ある他の態様において、治療される癌は、乳癌、卵巣癌、および結腸直腸癌からなる群より選択される。本方法に従う種々の癌の治療は、例えば、各々が参照により本明細書に組み入れられる、PCT出願公開番号WO 05/76888 (前記);WO 06/071955;WO 06/122227;およびWO 07/035961;ならびに参考文献Niculescu-Duvaz(前記)に記載の方法からこの開示を読んだ当業者によって適応され得る。
【0051】
別の局面において、本発明は、細胞過剰増殖(例えば、異常に増加した、細胞増殖の速度または量)を特徴とする非癌過剰増殖性疾患を治療する方法を提供する。ある態様において、本方法に従って治療される過剰増殖性疾患は、アレルギー性脈管炎および肉芽腫症(チャーグ−ストラウス病)、石綿肺症、喘息、萎縮性胃炎、良性前立腺肥大症、水疱性類天疱瘡、セリアック病、慢性気管支炎および慢性閉塞性気道疾患、慢性静脈洞炎、クローン病、脱髄性ニューロパシー、皮膚筋炎、アトピー性皮膚炎を含む湿疹、エウスタキオ管疾患(eustachean tube diseases)、巨細胞性動脈炎、移植片拒絶、過敏性肺炎、過敏性脈管炎(ヘノッホ−シェーンライン紫斑病)、刺激性皮膚炎、炎症性溶血性貧血、炎症性好中球減少症、炎症性腸疾患、川崎病、多発性硬化症、心筋炎、筋炎、鼻ポリープ、鼻涙管疾患、腫瘍性脈管炎、膵臓炎、尋常性天疱瘡、原発性糸球体腎炎、乾癬、歯周病、多発性嚢胞腎疾患、結節性多発動脈炎、多発性血管炎重複症候群(polyangitis overlap syndrome)、原発性硬化性胆管炎、関節リウマチ、血清病、外科的癒着、狭窄または再狭窄、強膜炎、強皮症、胆管の狭窄症、(十二指腸、小腸、および結腸の)狭窄症、珪肺症および他の形態の塵肺症、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、結合組織障害に関連する脈管炎、補体系の先天性欠損に関連する脈管炎、中枢神経系の脈管炎、ならびにヴェーゲナー肉芽腫症からなる群より選択される。
【0052】
1態様において、治療される過剰増殖性疾患は、皮膚上において蓄積された、鱗屑性病変の増加を形成するケラチノサイトの細胞過剰増殖を特徴とする疾患である、乾癬である。別の態様において、治療される過剰増殖性疾患は、脳における進行性脱髄を特徴とする疾患である、多発性硬化症である。別の態様において、治療される過剰増殖性疾患は、罹患した関節の破壊および強直(ankyiosis)を引き起こし得る多重システム慢性再発性炎症性疾患である、関節リウマチである。別の態様において、治療される過剰増殖性疾患は、前立腺上皮細胞が異常に増殖しそれによって尿流量を阻害する疾患である、良性前立腺肥大症である。
【0053】
要約および詳細に記載した本発明は、約2 gのグルフォスファミドAPIを含有する凍結乾燥単位用量形態を製造する方法を実証する以下の実施例によって例示されるが、これらによって限定されない。
【0054】
IV.実施例
実施例1:グルフォスファミド水溶液の凍結乾燥
グルフォスファミド(630 g)を10Lガラスビーカーに正確に計量し、注射用滅菌水に溶解し、透明の溶液を得た(製剤A、6300 mL、6502 g)。製剤Aの温度は20℃と測定された。
【0055】
製剤Aを0.22μmフィルターで濾過し、20.5±0.5 mLの濾液を、Flexicon充填機を使用して約150個の50 mLバイアルへ添加した。バイアルに凍結乾燥ストッパーで栓をし、0℃の棚温度でHull 24凍結乾燥機中に配置した。バイアルの内容物の温度を、2つのバイアル中へ熱電対を配置することによって測定した。
【0056】
棚温度を-35℃へ下げ、その温度で3時間維持し、その後、バイアルの内容物を、棚温度を0℃へ上げ、温度を0℃で18時間維持することによってアニーリングした。次いで、棚温度を-45℃へ下げ、そして-20℃へ上げた。
【0057】
コンデンサー(<50℃)をオンにし、バイアルの内容物を72時間真空(150±30ミクロン)下で凍結乾燥し、その後、棚温度を0℃に上げて、凍結乾燥を38時間継続した。次いで、棚温度を1時間にわたって25℃へ上げ、凍結乾燥を70ミクロンで24時間継続した。窒素をチャンバ中へ入れて、部分真空(9〜11 psi)下でバイアルを密封し、約2 gのグルフォスファミドを含有する単位用量形態を作製することによって、凍結乾燥を終了した。バイアルを冷蔵庫に保存し、その後、検定し(HPLCによる)、99.2%グルフォスファミドを含有すると測定された。25℃および相対湿度60%で2週間後、この単位用量形態は、98%グルフォスファミドを含有すると検定された(HPLCによる)。従って、この実施例は、本発明の方法に従って、約2 gのグルフォスファミドを含有する凍結乾燥単位用量形態を作製することを実証する。
【0058】
実施例2:マンニトールを含むグルフォスファミド水溶液の凍結乾燥
製剤A(3251 g、前記)を4Lガラスビーカーへ移し、続いてマンニトール(31.5 g)を添加し、製剤Bを作製した。製剤Bを、製剤Aについて上述したように凍結乾燥し、約2 gのグルフォスファミドの凍結乾燥単位用量形態を作製し、これは、97.6%グルフォスファミドを含有すると検定された(HPLCによる)。25℃および相対湿度60%で2週間後、この単位用量形態は、約94.8%純粋であるグルフォスファミドを含有すると検定された(HPLCによる)。
【0059】
本発明は特定の態様を参照して詳細に記載されたが、当業者は、改変および改善が、添付の特許請求の範囲に記載されるように、本発明の範囲および意図の内にあることを認識する。本明細書に引用された全ての刊行物および特許文書(特許、公開特許出願、および未公開特許出願)は、各々のこのような刊行物または文書が参照により本明細書に組み入れられるように具体的かつ個々に記載されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。刊行物および特許文書の引用は、このような文書が関連する先行技術であるということの承認として意図されるものではなく、かつこれらの内容または公開日についてのいかなる承認をも構成しない。本発明は書面による説明および実施例によってここで説明されたが、当業者は、本発明は、種々の態様で実施され得ること、ならびに前述の説明および実施例は添付の特許請求の範囲の例示のためであって限定のためではないことを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約2 gのグルフォスファミド(glufosfamide)APIを含む、凍結乾燥単位用量形態。
【請求項2】
約2 gのグルフォスファミドAPIを含む、請求項1記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項3】
少なくとも95%純粋である、請求項1記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項4】
0.5%以下の水を含む、請求項1記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項5】
0.5%以下のイホスファミドマスタードを含む、請求項1記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項6】
0.5%以下のグルコースを含む、請求項1記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項7】
単位用量形態がガラスバイアル中に含まれている、請求項1記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項8】
容器が、約50 mL〜約100 mLの容積;約3 cm〜約10 cmの内径;および約10 cm〜約15 cmの長さを有するガラスバイアルである、請求項7記載の凍結乾燥単位用量形態。
【請求項9】
以下の工程を含む、約2 gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を製造する方法:
(a)約Taの温度で、約θaの時間、約2 gのグルフォスファミドおよび水性溶媒の溶液をアニーリングする工程;
(b)約V1の真空、約T1aの温度で、約θ1aの時間、工程(a)においてアニーリングされた凍結混合物の第1の一次乾燥を行う工程;
(c)約V1の真空、T1b>T1aである約T1bの温度で、約θ1bの時間、工程(b)において第1の一次乾燥を行った凍結混合物の第2の一次乾燥を行う工程;および
(d)約V2の真空、T2>T1bである約T2の温度で、約θ2の時間、工程(c)において第2の一次乾燥を行った凍結混合物の二次乾燥を行う工程
ここで、Taは約0℃であり、かつθaは約18時間であり;V1は約120ミクロン〜約180ミクロンであり、T1aは約-20℃であり、θ1aは約72時間であり、T1bは約0℃であり、θ1bは約38時間であり;およびV2は約70ミクロンであり、T2は約25℃であり、かつθ2は約24時間である。
【請求項10】
約2 gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を製造するための、請求項9記載の方法。
【請求項11】
約2gのグルフォスファミドを含む凍結乾燥単位用量形態を薬学的に許容される溶媒に溶解し、グルフォスファミドの薬学的に許容される溶液を得る工程、および該グルフォスファミドの薬学的に許容される溶液をそのような治療の必要がある患者へ投与する工程を含む、癌を治療する方法。
【請求項12】
薬学的に許容される溶媒が生理食塩水である、請求項11記載の方法。

【公表番号】特表2009−539869(P2009−539869A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514487(P2009−514487)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/070351
【国際公開番号】WO2007/146652
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(505338279)スレショルド ファーマシューティカルズ インコーポレイティッド (5)
【Fターム(参考)】