説明

グループウェアシステムおよびプログラム

【課題】異なる組織間における連係業務を効率的に行うことができるグループウェアシステムの提供。
【解決手段】サーバが、依頼者に入力画面情報を送信する手段Aと、依頼者が入力した回答者情報及び回答用アプリケーションファイルを受信し、回答依頼文書を作成し、データベースを更新する手段Bと、回答者に、回答依頼がある場合には回答依頼表示のある入力画面情報及び回答依頼文書情報を送信する手段Cと、回答者が置き換えた回答用アプリケーションファイル及び承認者情報を含む承認依頼情報を受信し、置き換えた回答用アプリケーションファイルと関連付けられた回答済み文書を作成し、データベースを更新する手段Dと、承認者に、承認依頼がある場合には承認依頼表示のある入力画面情報及び回答済み文書情報を送信する手段Eと、承認者が入力した承認情報を受信し、データベースを更新する手段Fを有するグループウェアシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがインターネット等の電気通信回線を介して、サーバが有するデータベースに記憶された電子資料等の情報をWebブラウザにより書き込み、通知、閲覧、管理等するグループウェアシステムおよびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や団体等の内部文書を管理するデータベースを横断的に検索できるようにした文書管理システムとして、グループウェアシステム等の情報共有システムが知られている。この種の情報共有システムは、企業等の内部における利用を前提としているために、外部の人に対するアンケートを行うためには別途アンケートシステムを準備する必要がある。しかし、内部向けの情報共有システムと外部向けのアンケートシステムの連係を取ることは必ずしも容易ではなく、特にアンケートが手の込んだ様式のフォームでなされる場合には連係は困難であった。
【0003】
特許文献1には、アンケートを作成する作成者にアンケート作成機能を提供するアンケート作成機能提供手段と、アンケートに回答する回答者にアンケート回答機能を提供するアンケート回答機能提供手段とを有し、アンケート作成機能提供手段は、作成者に複数ページから成るアンケートを作成させるアンケート作成手段と、作成者により作成された複数ページから成るアンケートのページ遷移をチェックするチェック手段と、チェック手段によるチェック結果に基づいてエラーメッセージを出力するエラーメッセージ出力手段とを有するアンケート装置において、作成者により作成されたアンケートの内容に対する審査承認フローの実行を、グループウェア用サーバに指示するアンケート装置が開示されている。
【0004】
ところで、出願人は、サーバ装置又は複数のクライアント装置が、履歴保持フォルダを備えており、サーバ装置が、ネットワークを介してクライアント装置から編集作業済みのオブジェクトデータを取得するごとに、当該編集済みオブジェクトデータに係る編集直前のオブジェクトデータが含まれていた状態のボードのデータを履歴オブジェクトデータとして当該履歴保持フォルダに複写する履歴データ作成処理部を備える学習支援システムを提案している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−209042号公報
【特許文献2】特開2007−52148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
グループウェアシステムにより情報共有が促進され、業務の効率化が促進されたが、当然のことながらグループウェアによる情報共有は同一グループウェアの利用者の間でしか行うことができない。そのため、異なる組織間における連係業務での情報共有の場面では、依然として紙、電子メール、FAXによるやり取りをせざるを得ないという問題がある。例えば、ある公的機関(例えば、学校)が行政(例えば、文部科学省)にアンケート等の情報のやり取りをする状況にある場合、ある組織と公的機関に共通のシステムを導入することは難しく、連係業務への情報技術の適用は電子メールの限度でしかなされていないという問題がある。
【0007】
電子メールでのやり取りにおいては、添付された書面が権限のある者により承認されていることを確認することは困難である。そのため、電子メールによる書面のやり取りとは別に、権限のある者により承認されたことを証明する書面を別途郵便等でやり取りしなくてはならないという問題があった。
【0008】
さらには、電子メールによるやり取りの場合、多年度にわたる継続利用が困難であり、パソコン機器の置き換えや担当者の異動により、過去のノウハウが承継されず、業務に非効率化が生じるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決することができるグループウェアシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は、異なる組織間に同一のグループウェアを導入することは難しいことを前提に、従来のシステムを利用したまま異なる組織間における連係業務を効率的に行うことができるようにすべく、アプリケーションファイルによるデータ連係を前提としたグループウェアシステムおよびプログラムを創作した。すなわち、本発明は、以下の技術手段から構成される。
【0011】
[1]1または複数のページからなる文書をクライアント端末から作成可能とする手段、文書の各ページにフィールドをクライアント端末から書き込み可能とする手段、文書およびフィールドの作成日時を記憶する手段、ユーザ情報を管理する手段、文書をWebブラウザで閲読可能に提供する手段、ならびに文書関連情報および回答依頼関連情報を記憶するデータベースを有するサーバと、電気通信回線を介してサーバとWebブラウザによりデータ送受信を行うクライアント端末と、を備えたグループウェアシステムであって、前記サーバが、依頼者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、そのデータベースから回答依頼入力部または回答依頼入力部に遷移可能な入力部を有する入力画面情報を読み出して依頼者のクライアント端末に送信する手段Aと、依頼者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した回答者情報および回答用アプリケーションファイルを含む回答依頼情報を受信し、回答依頼文書を作成し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Bと、回答者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、回答者に対する回答依頼がある場合にはクライアント端末に回答依頼表示のある入力画面情報および回答依頼文書情報を送信する手段Cと、回答者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において置き換えた回答用アプリケーションファイルを含む回答情報および入力した承認者情報を含む承認依頼情報を受信し、置き換えた回答用アプリケーションファイルと関連付けられた回答文書を作成し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Dと、承認者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、承認者に対する承認依頼がある場合にはクライアント端末に承認依頼表示のある入力画面情報および回答文書情報を送信する手段Eと、承認者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した承認情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Fと、を有することを特徴とするグループウェアシステム。
【0012】
[2]前記サーバが、さらに、依頼者に、各回答文書と関連付けられた各回答用アプリケーションファイルを一括保存することを可能とさせる手段を有することを特徴とする[1]に記載のグループウェアシステム。
[3]前記サーバが、前記手段Bにおいて、回答依頼文書を、回答者以外は更新不能、回答者は限定された範囲で更新可能に設定すること、前記手段Dにおいて、回答文書を承認者以外は更新不能に設定すること、を特徴とする[1]または[2]に記載のグループウェアシステム。
[4]前記サーバが、さらに、承認者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した最終確認者情報を含む最終確認依頼情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Gと、依頼者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、依頼者に対する最終確認依頼がある場合にはクライアント端末に最終確認依頼表示のある入力画面情報および回答文書情報を送信する手段Hと、依頼者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した最終確認情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Iと、を有することを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載のグループウェアシステム。
[5]前記サーバが、さらに、回答者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した回答共同編集者情報を含む共同編集依頼情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Jと、回答共同編集者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、回答共同編集者に対する回答共同編集依頼がある場合にはクライアント端末に回答共同編集依頼表示のある入力画面情報および回答依頼文書情報を送信する手段Kと、回答共同編集者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において置き換えた回答用アプリケーションファイルを含む回答情報を受信し、置き換えた回答用アプリケーションファイルと関連付けられた回答文書を更新し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Lと、を有することを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載のグループウェアシステム。
[6][1]ないし[5]に記載のいずれかのグループウェアシステムのサーバ上で稼働するグループウェアプログラム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる組織間における連係業務を効率的に行うことが可能となる。
また、他のユーザへの回答依頼を行った場合の進捗管理を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】回答依頼機能を説明するためのイメージ図である。
【図2】回答依頼機能における処理フローである。
【図3】文書の1ページ目に書き込み作業を行った際の画面である。
【図4】作成した文書名の一覧が、作成者、更新者および更新日時と共に表示されるトップ画面である。
【図5】教育センターと各学校間での文書配布と回収の流れを示す図である。
【図6】実施例に係る文書配布と回収の流れを示す図である。
【図7】テンプレートから作成した回答依頼文書の一例を示す図である。
【図8】アンケート文書の一例を示す図である。
【図9】通知一覧画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のグループウェアシステムは、サーバと、電気通信回線(ネットワーク)と、電気通信回線を経由してサーバにアクセス可能なクライアント端末と、から構成される。
【0016】
サーバは、CPU等の制御部と、メインメモリ等の記憶部と、ネットワークを介して通信を行う通信部と、情報を蓄積するハードディスク等の蓄積部と、画面表示を行うディスプレイ等の表示部と、キーボードやマウス等の情報入力のための操作部とを備えて構成される。サーバは1台であってもよいし複数台としてもよい。また、アプリケーションサーバとデータベースサーバを兼用させてもよいし、物理的に別個の筐体としてもよい。
サーバ上では、グループウェアプログラムが稼働し、HTML(Hyper Text Markup Language)やXHTML(Extensible Hyper Text Markup Language)等のマークアップ言語で記述されたWebページを生成し提供可能である。
また、サーバの記憶部にはデータベースが格納されており、ユーザの属性情報、グループ情報、個々のユーザと対応付けられた入力画面情報、作成した文書の部品やアクセス制限等の管理情報である文書関連情報、回答依頼文書の作成・更新・ステータス等の管理情報である回答依頼関連情報などが管理されている。
【0017】
クライアント端末は、Webページ閲覧用のブラウザ(Webブラウザ)を備えている情報処理装置であればよく、パソコン(PC)でなくともよい。すなわち、クライアント端末には、ウルトラモバイルPCやポケットPCと称される携帯用パソコン、ノートパソコン、PDA(Personal Data Assistance)、タブレット型コンピュータ、スマートフォンとも称される携帯端末装置などの装置を用いることができる。Webブラウザは、TCP/IP通信によりWebページを閲覧することのできるアプリケーションであればよく、その種類は問わない。クライアント端末は1台であってもよいが、通常は多数台である。
【0018】
電気通信回線(ネットワーク)は、イントラネットであってもよいし、インターネットとイントラネットの組み合わせであってもよい。電気通信回線には、有線通信のみならず無線通信も含まれる。
【0019】
本発明のシステムは、スケジュール管理、掲示板、電子メール、ワークフロー、グループ単位でのユーザ管理などの一般的なグループウェアが具備する機能を備えるものであるが、それに加えて回答依頼機能、回答一括保存機能(添付ファイル一括保存機能ともいう)などの新たな機能を備えている。
【0020】
《回答依頼機能》
回答依頼機能は、依頼者から1ないし多数の回答者に対し、所定の内容について文書による回答を依頼するための機能である。回答依頼機能は、例えば次のような場面で使用することが可能である。
・教育委員会の担当が、各学校へ調査依頼し、各学校から報告を受け、その集約(集計)を行う場合
・グループ企業の担当部門が、各グループ会社に調査依頼し、各グループ会社から報告を受け、集約(集計)を行う場合
・ある組織内で、担当者が各部署に調査依頼し、各部署から報告を受け、集約(集計)を行う場合
【0021】
回答依頼機能の概要を、図1を参照しながら具体例で説明すると次のとおりである。
まず、回答依頼者が、回答者A,B,Cを指定し、回答依頼文書をサーバ上に作成すると、各回答者は回答依頼文書にアクセス可能となる。回答者A,B,Cは、回答共同編集者を追加するボタンをクリックすることでD,Eに回答共同編集依頼を行うことも可能である。各回答者は、回答依頼文書をコピーして作成した回答文書を作成すると共に添付ファイルを更新する。依頼者は、回答者と同じ数だけ作成された回答文書にアクセスすることで、所望の情報を収集することが可能である。回答内容に不備がある場合には再依頼をすることもでき、再依頼がなされると回答文書のステータスが回答中に変更され、再度回答することができるようになる(図1の点線参照)。
【0022】
回答依頼機能は、入力項目が多い複雑なアンケート等を行う場合に特に効果的である。例えば、入力項目が少ない簡易なアンケートの場合、グループウェアで専用のフォームを作成することで集計作業用データをCSV等で取得することもできるが、複雑なアンケートの場合にはアンケートを転記したフォームを作成することは困難である。かかる場合には、アンケートの記載されたアプリケーションファイル(添付ファイル)をそのまま回答者に転送するのが効率的であるが、電子メールによる管理では作業が繁雑となり、また作業が担当者で閉じたものとなるので共同作業が困難である。本発明の回答依頼機能は、他の組織との連係をアプリケーションファイルで行わざるを得ない実情に鑑み、設けられたものである。
【0023】
回答依頼機能による回答は、例えば次の手順で行われる(図2参照)。
(1)依頼者が回答者に回答依頼をすると、サーバ上の更新可能者情報が更新され、回答依頼文書がロックされ、回答者以外は更新できなくなる。回答依頼文書の作成を通知するために、リンク付き電子メールを送信することも可能である。
(2)回答者はサーバ上の回答依頼文書にアクセスして、回答依頼文書に添付されたアンケート文書(アプリケーションファイル)を自己の端末にダウンロードする。
(3)回答者はアンケート文書に回答を記入し、自己の端末上で保存する。
(4)回答者は、サーバの回答依頼文書にアクセスして「添付ファイルを置き換える」をクリックし、自己の端末上に保存した記入済みのアンケート文書をアップロードする。これにより、サーバ上に回答者固有の回答文書が作成される。
(5)回答者は、回答完了ボタンをクリックして回答を完了する。ここで承認者を指定する必要がある場合には承認者を指定する。これによりサーバ上の更新可能者情報が更新され、承認者以外は更新できなくなる。ここでも電子メールによる通知を併用可能である。
(6)承認者はサーバ上の回答文書にアクセスして、回答文書を承認する。これによりサーバ上の更新可能者情報が更新され、依頼者以外は回答文書を更新できなくなる。なお、依頼者の最終確認を不要とする場合には、承認者の承認により回答依頼作業は終了する。
(7)依頼者はサーバの回答文書にアクセスして、回答文書を最終確認する。これにより回答依頼作業は終了する。
【0024】
《回答一括保存機能》
回答一括保存機能は、多数の回答者が置き換えたアプリケーションファイル(アンケート文書)だけを抜き出してダウンロードリンクの一覧を表示し、一括してダウンロードする機能である。依頼者は、サーバ上に作成された多数の回答文書を個別に確認することなく、添付ファイル一括保存をクリックするだけで多数のアンケート文書を一括して特定のフォルダに保存することが可能である。
回答文書にコメントが付されている場合には、コメントのみをCSV形式で保存したコメントファイルを同時に作成する機能を持たせてもよい。
【0025】
以下では、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
実施例のシステムは、複数のユーザにより情報共有を行うためのグループウェアである。
本実施例のシステムは、クライアントサーバモデルで構成され、C#で記述されたサーバサイドプログラムとAjax(Asynchronous JavaScript + XML の略)により実装されている。すなわち、本実施例のシステムは、webブラウザに実装されているJavaScript(登録商標)のHTTP通信機能を使って、webページのリロードを伴わずに、webサーバとXML形式のデータのやり取りを行って処理を進めていく、対話型webアプリケーションである。
本実施例のシステムは、スケジュール管理、掲示板、ワークフロー、グループ単位でのユーザ管理などの一般的なグループウェアが具備する機能を備えるものであるが、以下では本実施例のシステムに特有の機能を中心に説明する。
【0027】
1.文書の作成
ユーザはあるトピックについて他のユーザと情報共有をしようとする際に「文書」を作成する。一つの文書は、1以上の「ページ」からなり、各ページに情報を書き込むことにより他のユーザと情報共有を行うことが可能である。各ページに情報を書き込む主要な方法を次に記載する。
ア.画像…サイズ変更自在な指定領域に描画ツールにより描画する。
イ.写真…サイズ変更自在な指定領域に写真画像ファイルを取り込む。
ウ.横書き…サイズ変更自在な指定領域に横書きでテキスト情報を入力する。
エ.縦書き…サイズ変更自在な指定領域に縦書きでテキスト情報を入力する。
オ.添付…添付したファイルをイメージアイコンで表示する。
カ.自由描画…ページ上に自由に描画ツールにより描画する。
キ.ふせん…サイズ変更自在なふせん領域(色指定可)にテキスト情報を入力する。
【0028】
前記ア〜キの各機能で作成された領域(=フィールド)は、一意のIDである部品番号により管理されている。また、フィールドには、フラグとタイムスタンプが関連づけられており、これにより特定の時間における「未読」、「既読」の情報が管理されている。各フィールドのタイムスタンプは、文書の更新履歴として記録されており、ユーザは文書の更新履歴と共にフィールドの更新状況を確認することができる。
【0029】
図3は、「文書」の1ページ目に書き込み作業を行った際の画面である。画面のほぼ中央にある電車の写真は、「ア.画像」機能により取り込んだものであり、その横にあるクリップのイメージは「オ.添付」機能により添付されたファイルである。電車の写真から「キ.ふせん」機能で作成されたふせん領域(ピンク)に向けて、「カ.自由描画」機能により→が描画されている。画面左側には各ページのサムネイルが表示されており、これをクリックすることで任意のページへ即座にジャンプすることができる。画面右上の「トップ」の文字をクリックするとトップ画面にジャンプする。トップ画面には、作成した文書名の一覧が、作成者、更新者および更新日時と共に表示される(図4参照)。新しく公開された文書がある場合には「NEW」の表示が文書名の左横に表示され、文書を更新された文書がある場合には「UP」の表示が文書名の左横に表示される。文書名の左横に南京錠のイメージが表示されている文書は、自分が作成した誰にも見せていない文書である。書くことができない文書(読み取り専用)は、書くことができる文書と異なる色で表示される。これにより文書が多数となった場合でも、ユーザはその公開・更新等の状況を一目で把握することが可能である。
【0030】
2.回答依頼機能
回答依頼機能を用いることにより、アンケート等の依頼者が、多数の回答者にアンケート等を依頼する業務の効率化を図ることができる。本実施例では、行政庁から委託を受けた教育センターが、各学校の教頭を経由して教務主任や担当先生に回答依頼を行う場合の例で説明する。ここでは、行政庁との連係は、ワープロソフト(例えばWord(登録商標))や表計算ソフト(例えばExcel(登録商標))などのアプリケーションファイルで行い、教育センターおよび各学校間の連係はグループウェアにより行うことを前提とする。
【0031】
教育センターと各学校間での文書配布と回収の流れを図5に示す。
(I)まず、教育センターから、アンケート文書(アプリケーションファイル)に入力する形式での回答依頼が、各学校の教頭宛に通知される。この通知は、本システムの回答依頼機能を利用して行われる。依頼者は回答依頼文書を作成し、回答するユーザ(回答者)をアドレス帳から選択し、回答依頼をする。この際、回答者による文書の更新可能作業を限定することが可能である。本実施例では、図6に示すように、「部品の追加と削除を許可する。」、「頁に関する操作を許可する。」の権限を付与することを可能としているが、これらの権限が付与されない場合には、回答者は添付ファイルを置き換える作業のみが可能となる仕様としている。
また、「回答の完了時に承認を必要とする」こともでき、図5の例では校長が承認者となる。「承認経路の最後に依頼者を含める」をチェックすると、依頼者が最終確認を行うまで依頼作業が完了しないこととなる。回答依頼後は、依頼者も、承認がされるまでは回答済みのアンケート文書にアクセスできなくなる。
【0032】
回答依頼文書の作成にあたっては、予め作成しておいたテンプレートをテンプレートリストの中から選択して依頼文書を作成することができる。図7は、テンプレートから作成した回答依頼文書の一例であり、表題が「机・椅子の過不足状況調査について」とされる文書である。この回答依頼文書は、年度をまたがって繰り返し利用することが可能である。回答依頼文書は、添付ファイルにより回答をすることを前提としており、画面中央下のクリップのアイコンをクリックして添付ファイルをダウロードし、記入し、置き換えることにより回答を行う。図8にアンケート文書の一例を示す。
【0033】
(II)各学校の教頭は、文書の内容を確認して自ら回答するか、その仕事を担当する教務主任や担当先生に共同編集依頼するかを判断する。教務主任や担当先生に共同編集依頼する場合には、「回答者を追加」ボタンをクリックし、回答共同編集者となるユーザを追加する。図5の例では教務主任と担当先生が追加される。
【0034】
(III)担当先生がアンケート文書に必要な事項を記載し、教務主任が確認し、教頭に確認を電子メール等で依頼する。また、ユーザによる文書への部品の追加と削除が可能な場合には、担当先生の記載が完了した旨や教務主任が確認した旨を入力するチェックボックスを文書に設ける運用をしてもよい。
【0035】
(IV−1)教頭は、教務主任と担当先生の記載した内容を確認し、問題が無ければアンケート文書の承認を校長に依頼する。
(IV−2)校長は、アンケート文書に修正の必要がある場合には、承認を却下して回答者に修正を依頼する。却下がなされると回答文書のステータスが回答中に変更され、再度回答することができるようになる。
(IV−3)校長は、アンケート文書に修正の必要がなければ、「承認」ボタンをクリックして文書のステータスを更新する。これにより、承認済みのアンケートを教育センターから確認・集計作業ができるようになる。教育センターは、添付ファイル一括保存をクリックするだけで多数のアンケート文書を一括して特定のフォルダに保存することが可能である。添付ファイルを一つの圧縮ファイルにまとめて保存する仕様としてもよい。
以上の手順により、承認が得られたアンケート文書を容易に収集することが可能である。収集したアンケート文書は適宜修正され、行政庁等の関係機関へ送信される。
【0036】
依頼者は、回答依頼の状況(未作成、作成中、承認中など)を通知一覧画面で確認することが可能である。図9に通知一覧画面の一例を示す。同様に、承認者も承認依頼の状況を通知一覧画面で確認することが可能である。このように、回答依頼機能によれば、回答依頼・承認依頼のタスク毎に回答状況を管理することができるため、メールによる個別管理の煩を解消することができる。
また、依頼者は、依頼時に「A:すぐに公開」、「B:承認後に公開」を選択することができる。Aを選択した場合、回答者が回答完了ボタンをクリックすると設定したユーザと所属(グループ)に自動的に文書が見えるようになる。Bを選択した場合全ての承認者が承認をすると、設定したユーザと所属(グループ)に自動的に文書が見えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のグループウェアシステムは、企業や学校における情報共有、会議、教育、研修の用途で利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 サーバ
2 依頼者端末
3 回答者端末
4 承認者端末
5 回答共同編集者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のページからなる文書をクライアント端末から作成可能とする手段、文書の各ページにフィールドをクライアント端末から書き込み可能とする手段、文書およびフィールドの作成日時を記憶する手段、ユーザ情報を管理する手段、文書をWebブラウザで閲読可能に提供する手段、ならびに文書関連情報および回答依頼関連情報を記憶するデータベースを有するサーバと、電気通信回線を介してサーバとWebブラウザによりデータ送受信を行うクライアント端末と、を備えたグループウェアシステムであって、
前記サーバが、
依頼者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、そのデータベースから回答依頼入力部または回答依頼入力部に遷移可能な入力部を有する入力画面情報を読み出して依頼者のクライアント端末に送信する手段Aと、
依頼者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した回答者情報および回答用アプリケーションファイルを含む回答依頼情報を受信し、回答依頼文書を作成し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Bと、
回答者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、回答者に対する回答依頼がある場合にはクライアント端末に回答依頼表示のある入力画面情報および回答依頼文書情報を送信する手段Cと、
回答者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において置き換えた回答用アプリケーションファイルを含む回答情報および入力した承認者情報を含む承認依頼情報を受信し、置き換えた回答用アプリケーションファイルと関連付けられた回答文書を作成し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Dと、
承認者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、承認者に対する承認依頼がある場合にはクライアント端末に承認依頼表示のある入力画面情報および回答文書情報を送信する手段Eと、
承認者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した承認情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Fと、
を有することを特徴とするグループウェアシステム。
【請求項2】
前記サーバが、さらに、
依頼者に、各回答文書と関連付けられた各回答用アプリケーションファイルを一括保存することを可能とさせる手段を有することを特徴とする請求項1に記載のグループウェアシステム。
【請求項3】
前記サーバが、
前記手段Bにおいて、回答依頼文書を、回答者以外は更新不能、回答者は限定された範囲で更新可能に設定すること、
前記手段Dにおいて、回答文書を承認者以外は更新不能に設定すること、
を特徴とする請求項1または2に記載のグループウェアシステム。
【請求項4】
前記サーバが、さらに、
承認者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した最終確認者情報を含む最終確認依頼情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Gと、
依頼者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、依頼者に対する最終確認依頼がある場合にはクライアント端末に最終確認依頼表示のある入力画面情報および回答文書情報を送信する手段Hと、
依頼者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した最終確認情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Iと、
を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のグループウェアシステム。
【請求項5】
前記サーバが、さらに、
回答者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において入力した回答共同編集者情報を含む回答共同編集依頼情報を受信し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Jと、
回答共同編集者がクライアント端末から通信ネットワークを介してアクセスした際に、前記データベースから回答依頼関連情報を読み出して、回答共同編集者に対する回答共同編集依頼がある場合にはクライアント端末に回答共同編集依頼表示のある入力画面情報および再回答依頼文書情報を送信する手段Kと、
回答共同編集者がクライアント端末のWebブラウザに表示された入力画面において置き換えた回答用アプリケーションファイルを含む回答情報を受信し、置き換えた回答用アプリケーションファイルと関連付けられた回答文書を更新し、前記データベースの文書関連情報および回答依頼関連情報を更新する手段Lと、
を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のグループウェアシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載のいずれかのグループウェアシステムのサーバ上で稼働するグループウェアプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−194933(P2012−194933A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60001(P2011−60001)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(504010442)株式会社ジェイアール四国コミュニケーションウェア (3)