説明

グループ送信制御方式

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明はグループ送信制御方式、特に階層化されたネットワークアーキテクチャをもつネットワークシステムにおけるグループ送信制御方式に関する。
〔従来の技術〕
従来、この種のグループ送信制御方式は、第3図に構成図の一例を示すように、論理ノードとして実存自論理ノード1および複数の実存他論理ノード4、論理ユニットとしてそれぞれ自論理ユニット2および複数の相手論理ユニット5、セッションとしてこれらの自論理ユニット2および相手論理ユニット5同志を結ぶ実セッション9のみがそれぞれ同一ネットワークシステム上に構成可能であり、仮想論理ノード、仮想論理ユニットおよび仮想セッションを構成することをしていない。また、実セッション管理テーブル13を実セッション9対応に1個ずつ設けていて、利用者プログラム3による相手論理ユニット5に対する送信要求は実セッション管理テーブル13により実セッション9単位に管理されている。従って、利用者プログラム3が相手論理ユニット5宛にデータを送信したい場合には、利用者プログラム3はこの相手論理ユニット5に対応する相手論理ユニット識別番号15を、要求先相手論理ユニット識別番号エリア18にセットした送信要求ブロック17を作成して送信要求を1個発行することになる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来のグループ送信制御方式においては、利用者プログラム3がある特定のグループに属する多数の相手論理ユニット5宛にデータを送信したい場合に、利用者プログラム3はそのグループに属する相手論理ユニット数に等しい個数の送信要求ブロック17を用意して、相手論理ユニット5単位に送信要求を発行しなければならないので、(送信要求ブロックサイズ)×(利用者プログラムがデータ送信を希望する特定のグループに属する相手論理ユニット数)に相当する利用者プログラム3が運行しているオンラインメモリが必要になるという欠点がある。
さらに、相手論理ユニットの増減等によるシステム構成の変更に伴って、利用者プログラムを変更する必要性が発生するという欠点もある。
本発明の目的は、利用者プログラムが特定のグループに属する多数の相手論理ユニット宛にデータを送信したい場合に、利用者プログラムが運行しているオンラインメリのうち、送信要求ブロックとして必要なメモリが少なくてすみ、かつシステム構成の変更に伴う利用者プログラムの変更を行わなくてすむグループ送信制御方式を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のグループ送信制御方式は、システムジェネレーション時に実存論理ノード以外に、ネットワークシステム上で唯一の仮想論理ノードおよびその仮想論理ノード内に唯一の仮想論理ユニットをそれぞれ定義し、その仮想論理ユニットと実存する自論理ユニットとを結ぶ仮想セッションを定義し、さらに実存する各相手論理ユニットに対し、その相手論理ユニットが属するグループを識別するためのグループ識別子を割当て、利用者プログラムが特定のグループに属する多数の実存する相手論理ユニット宛にデータを送信したい場合に、データ送信を希望する相手論理ユニット群が属するグループを表す要求先グループ識別子を送信要求ブロックにセットして、利用者プログラムにより仮想論理ユニットに対する送信要求が発行されると、利用者プログラムとして定義されている自論理ユニットを発信元とする送信データの宛先になる相手論理ユニットの識別番号を、相手論理ユニット識別番号管理テーブルから一つずつ抽出し、抽出した各識別番号に対応して相手論理ユニット管理テーブルから得られるグループ識別子が送信要求ブロック内の要求先グループ識別子と同一である場合にのみ、その識別番号によって対応する実セッション管理テーブルを獲得し、該当する実セッションに送信データを送出するデータ送信手段と、送信データの送出完了後、送信先の相手論理ユニットの識別番号のうちの代表番号を、送信要求ブロックの要求先論理ユニット識別番号エリアにセットし、その他の相手論理ユニットの識別番号を送信先論理ユニット識別番号通知バッファにセットし、すべての送信データ送出完了後、利用者プログラムに送信要求バッファの完了通知を行う送信完了通知手段とを有する。
〔実施例〕
次に、本発明について図面を参照して説明する。
第1図は本発明の一実施例を示す構成図である。利用者プヲグラム3は自論理ユニット2を実現しており、自論理ユニット2は実存自論理ノード1内に定義されている。実存自論理ノード1以外の論理ノードとして実存他論理ノード4が複数個存在し、これら実存他論理ノード4内に自論理ユニット2の通信相手として相手論理ユニット5が定義されている。相手論理ユニット群は特定のコンセプトに基づいて複数のグループに分割されており、一つの相手論理ユニット5は特定のグループ6に属している。各相手論理ユニット5にはそれが属しているグループ6を識別するグループ識別子12が割当てられている。相手論理ユニット管理テーブル11は実存する各相手論理ユニットごとに1個ずつ存在し、この管理テーブル11の特定のフィールドには、その相手論理ユニット5が属するグループ6を識別するためのグループ識別子12が格納されている。自論理ユニット2は、任意の相手論理ユニット5との間に実セッション9を1本ずつもち、実セッション9単位に実セッション管理テーブル13が1個ずつ存在する。実セッション管理テーブル13は、相手論理ユニット識別番号15と、送信完了待ちキューフィールド21とをもつ。
またネットワークシステム上には、実存論理ノード以外に仮想論理ノード7が1個だけ定義されており、仮想論理ノード7内には唯一の仮想論理ユニット8が存在する。自論理ユニット2は、仮想論理ユニット8との間に仮想セッション10をもち、実セッション管理テーブル13と同一形式の仮想セッション管理テーブル14が1個存在する。利用者プログラム3は、ある特定のグループ6に属する多数の実存する相手論理ユニット5宛にデータを送信したい場合に、要求先相手論理ユニット識別番号エリア18に仮想論理ユニット8を識別するための値をセットし、さらに、データ送信を希望する相手論理ユニット群が属するグループ6を表わす要求先グループ識別子19をセットした送信要求ブロック17を作成して送信要求を1個だけ発行する。
第2図(a)および(b)は第1図の処理の流れ図で、第2図を参照して本実施例のグループ送信制御方式の動作について説明する。
利用者プログラム3から仮想論理ユニット8に対する送信要求が発行されると、オペレーティングシステムは、まず送信要求ブロック17を仮想セッション管理テーブル14の送信完了待ちキューフィールド21にエンキューする(ステップ■)。次に、利用者プログラム3として定義される自論理ユニット2を発信元とする送信データの宛先になる相手論理ユニット5の識別番号15を、相手論理ユニット識別番号管理テーブル16から1個抽出する(ステップ■)。次に、抽出した識別番号15に対応する相手論理ユニット管理テーブル11を獲得し(ステップ■)、そのテーブル11に格納されているグループ識別子12を抽出する(ステップ■)。次に、抽出されたグループ識別子12が送信要求の送信要求ブロック17内の要求先グループ識別子19と同一かどうかチェックする(ステップ■)。同一の場合は、既に抽出した識別番号15から対応する実セッション管理テーブル13を獲得し(ステップ■)、該当する実セッション9に送信データを送出する(ステップ■)。同一でない場合にはなにもしない。以上のステップ■〜■の処理を相手論理ユニット識別番号管理テーブル16に格納されているすべての相手論理ユニット識別番号について繰り返す。
一方、送信データの送信完了ごとに、送信先の相手論理ユニットの識別番号15を送信要求ブロック17の要求先相手論理ユニット識別番号エリア18あるいは送信先相手論理ユニット識別番号通知バッファ20にセットする(ステップ■)。相手論理ユニット識別番号15がグループ6の代表番号の場合にはそれを要求先相手論理ユニット識別番号エリア18にセットし、それ以外の場合には送信先相手論理ユニット識別番号通知バッファ20にセットする。このようにしてすべての送信データの送出が完了した後で、送信要求ブロック17を仮想セッション管理テーブル14からデキューし(ステップ■)、利用者プログラム3に送信要求ブロック17の完了を通知する(ステップ■)。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明のグループ送信制御方式は、実存論理ノードおよび実存論理ユニットの他に仮想論理ノードおよび仮想論理ユニットを同一ネットワークシステム上に定義することにより、利用者プログラムがある特定のグループに属する多数の実存する相手論理ユニット宛にデータを送信したい場合には、仮想論理ユニットに対する送信要求を1個だけ発行することによって、そのグループに属する任意の相手論理ユニット宛にデータ送信が可能となり、この結果、送信要求ブロックとして必要な、利用者プログラムが運行しているオンラインメモリは1送信要求ブロックサイズのみとなり、従来の1/(利用者プログラムがデータ送信を希望する相手論理ユニット数)に激減するという効果がある。さらに、相手論理ユニットの増減等によるシステム構成の変更が行われても、利用者プログラムは仮想論理ユニットの識別番号とデータ送信を希望する相手論理ユニット群が属するグループ識別子とだけによって送信要求の発行が可能なので、システム構成の変更に伴う利用者プログラムの変更の必要性がないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す構成図、第2図は第1図R>図の処理の流れ図、第3図は従来のグループ送信制御方式の一例の構成図である。
1……実存自論理ノード、2……自論理ユニット、
3……利用者プログラム、4……実存他論理ノード、
5……相手論理ユニット、6……グループ、7……仮想論理ノード、8……仮想論理ユニット、9……実セッション、10……仮想セッション、11……相手論理ユニット管理テーブル、12……グループ識別子、13……実セッション管理テーブル、14……仮想セッション管理テーブル、15……相手論理ユニット識別番号、16……相手論理ユニット識別番号管理テーブル、17……送信要求ブロック、18……要求先相手論理ユニット識別番号エリア、19……要求先グループ識別子、20……送信先相手論理ユニット識別番号通知バッファ、21……送信完了待ちキューフィールド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】階層化されたネットワークアーキテクチャをもつネットワークシステムのグループ送信制御方式において、利用者プログラムとして定義される自論理ユニットをもつ実存自論理ノードと、前記自論理ユニットがデータを送信したい任意の相手論理ユニットをもつ実存他論理ノードと、前記実存自論理ノードおよび前記実存他論理ノード以外でかつ唯一の仮想論理ユニットをもつ仮想論理ノードと、前記自論理ユニットと前記相手論理ユニットとを結ぶ実セッションを1セッションごとに管理する実セッション管理テーブルと、前記自論理ユニットと前記仮想論理ユニットとを結ぶ仮想セッションを管理する仮想セッション管理テーブルと、実存する相手論理ユニットごとに1個存在し、その相手論理ユニットが属するグループを識別するためのグループ識別子を格納している相手論理ユニット管理テーブルと、システム上で定義されているすべての前記相手論理ユニットの識別番号を管理する相手論理ユニット識別番号管理テーブルと、前記利用者プログラムが送信要求ブロックの要求先論理ユニット識別番号エリアに前記仮想論理ユニットの識別番号をセットし、さらに、この利用者プログラムがデータを送信したい相手論理ユニット群が属するグループを表す要求先グループ識別子を前記送信要求ブロックの要求先グループ識別子エリアにセットして送信要求を発行したときに、前記自論理ユニットを発信元とする送信データの宛先になる相手論理ユニットの識別番号を前記相手論理ユニット識別番号管理テーブルから一つずつ抽出し、抽出した各識別番号に対応する相手論理ユニット管理テーブルから得られるグループ識別子が前記送信要求ブロック内の要求先グループ識別子と同一である場合にのみ、その識別番号によって対応する実セッション管理テーブルを獲得し、該当する実セッションに送信データを送出するデータ送信手段と、この送信データの送出完了後に送信先の相手論理ユニットの識別番号のうちの代表番号を、送信要求ブロックの要求先論理ユニット識別番号エリアにセットし、その他の相手論理ユニットの識別番号を送信先論理ユニット識別番号通知バッファにセットし、すべての送信データ送出完了後、利用者プログラムに前記送信要求ブロックの送信完了を通知する送信完了通知手段とを有することを特徴とするグループ送信制御方式。

【第1図】
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【第2図(a)】
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【第2図(b)】
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【第3図】
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【特許番号】第2669118号
【登録日】平成9年(1997)7月4日
【発行日】平成9年(1997)10月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−195588
【出願日】平成2年(1990)7月24日
【公開番号】特開平4−80848
【公開日】平成4年(1992)3月13日
【出願人】(999999999)日本電気株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭63−171038(JP,A)
【文献】特開 昭63−232725(JP,A)