説明

グレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法

【課題】
グレーチング用受枠の排水溝への取り付けに際して、溶接作業が不要であるので、火気が使えない所でも自由に行え、また一旦取り付け作業が完了しても再度該受枠の位置調整が可能である取り付け方法を提供すること。
【解決手段】
U字状棒鋼(a)とこの開口部に固定されたナット(b)とこのナット(b)に螺合するボルト(c)から構成されるクリップ(6)を使用してグレーチング用受枠(1)を排水溝(7),(8)へ取り付ける方法であって、
グレーチング用受枠(1)に取り付けられた受枠固定用アンカー(3)と結束用鉄筋(5)の一端を前記クリップ(6)で結合固定するとともに、該結束用鉄筋(5)の他端と打ち込みアンカー(4)を上記クリップ(6)で結合固定することを特徴とするグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水溝蓋用受枠(以下、グレーチング用受枠という。)の排水溝への取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グレーチング用受枠の排水溝への取り付けは、該受枠に設けた固定用鉄筋アンカー(以下、受枠固定用アンカーという。)と排水溝を形成するコンクリート打設部に植設された打ち込み鉄筋アンカー(以下、打ち込みアンカーという。)を溶接して固定することにより行われていた(特許文献1参照)。
ところで、この溶接による取り付け方法は、火気が使えない所では行うことができず、また一旦溶接作業が終了してしまうと、該受枠位置の微調整が必要な場合でも一切これを行うことができないという不自由さがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2009−156948号明細書(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、グレーチング用受枠の排水溝への取り付けに際して、溶接作業が不要であるので火気が使えない所でも自由に行え、また一旦取り付け作業が完了しても再度該受枠の位置調整が可能である取り付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、溶接作業が不要で、特定のクリップと連結鉄筋とを使用して、グレーチング受枠を排水溝へ取り付ける方法(即ち、ウェルドレスクリップホールディング工法)を提供するものである。
【0006】
即ち、本発明は以下の構成からなるものである。
1.U字状棒鋼(a)とこの開口部に固定されたナット(b)とこのナット(b)に螺合するボルト(c)から構成されるクリップ(6)を使用してグレーチング用受枠(1)を排水溝(7),(8)へ取り付ける方法であって、
グレーチング用受枠(1)に取り付けられた受枠固定用アンカー(3)と結束用鉄筋(5)の一端を前記クリップ(6)で結合固定するとともに、該結束用鉄筋(5)の他端と打ち込みアンカー(4)を上記クリップ(6)で結合固定することを特徴とするグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
2.1本の受枠固定用アンカー(3)に対し、1本の結束用鉄筋(5)と1本の打ち込みアンカー(4)と2本の上記クリップ(6)を用いることを特徴とする上記1に記載のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
3.1本の受枠固定用アンカー(3)に対し、2本の結束用鉄筋(5)と2本の打ち込みアンカー(4)と4本の上記クリップ(6)を用いることを特徴とする上記1に記載のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
4.1本の受枠固定用アンカー(3)に対し、3本の結束用鉄筋(5)と3本の打ち込みアンカー(4)と6本の上記クリップ(6)を用いることを特徴とする上記1に記載のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法は、上記の通り溶接に代えて特定のクリップと連結鉄筋とを使用して、グレーチングの受枠を排水溝へ取り付けるものであるから、火気が使えない所でも自由に行え、また一旦取り付け作業が完了しても再度該受枠の位置調整が可能である外、以下のメリットがある。
(1)上記特定のクリップのボルトを締める電動工具さえあれば容易に該受枠の固定が可能である。
(2)溶接のための資格、免許が一切不要であり何人も実施でき、また50kg程度に及ぶ溶接機器の搬出搬入が不要である。
(3)溶接機器を使用しないので屋外でも天候に左右されず取り付け作業ができ、また高所での作業も安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のクリップの平面図、正面図、右側面図、左側面図である。
【図2】グレーチング用受枠(1)への受枠固定用アンカー(3)の取り付け構造(断面図)を示す図である。
【図3】グレーチング用受枠(1)の排水溝(7),(8)への取り付け構造を示す平面図、正面図、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法について、以下に詳細に説明する。
1.クリップの形状、構造について
図1の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)は、クリップの平面図、正面図、右側面図、左側面図である。
本発明のクリップ(6)は、U字状棒鋼(a)の開口部にナット(b)を溶接により固定し、このナット(b)に螺合するボルト(c)から構成されている。
このクリップ(6)の使用方法は、ボルト(c)の先端部とU字状棒鋼(a)との空間部に受枠固定用アンカー(3),又は打ち込みアンカー(4)の一端部分と結束用鉄筋(5)の一端部分を挿入しボルト(c)の頭部を回転させ螺子部を前進させて両者を締め付け固定する。
【0010】
2.グレーチング用受枠(1)への受枠固定用アンカー(3)の取り付け構造について
図2は、グレーチング用受枠(1)の外側に受枠固定用アンカー(3)を取り付けた状態(断面図)(図3(ハ)参照)を示している。その取り付け構造は任意であり、周知慣用の手段が採用できるが、一例として金属板(2)の一端をL字型に折り曲げ、該折り曲げ部分をグレーチング用受枠(1)の外側にねじ止め等して固定し、一方その金属板(2)の裏面に受枠固定用アンカー(3)を溶接により固着して取り付けた構造が示される。
【0011】
3.グレーチング用受枠(1)の排水溝(7),(8)への取り付け構造について
図3の(イ)、(ロ)、(ハ)は、グレーチング用受枠(1)を上記クリップ(6)と結束用鉄筋(5)と打ち込みアンカー(4)を使用して排水溝(7),(8)へ取り付けた場合の平面図、正面図、右側面図を示している。
図3の(ロ)(正面図)と(ハ)(右側面図)を用いて、その取り付け構造を説明すると、グレーチング用受枠(1)に取り付けられた受枠固定用アンカー(3)と2本の結束用鉄筋(5)(図3の(ロ)の左側参照)または3本の結束用鉄筋(5)(図3の(ロ)の右側、及び同(ハ)参照)の一端を2本または3本の上記クリップ(6)で結合固定する。
続いて、それらの結束用鉄筋の他端と2本または3本の打ち込みアンカー(4)を、2本または3本の上記クリップ(6)で結合固定する。
【0012】
最後に、受枠固定用アンカー(3)と結束用鉄筋(5)とクリップ(6)と打ち込みアンカー(4)からなる取り付け構造部分を埋設するように型枠をグレーチング用受枠(1)の長手方向に沿って配置し、コンクリートを流し込んでコンクリート打設部(8)を形成し、排水溝(7)、(8)(図3の(ハ)のハッチング部分参照)を形成する。
要すれば、該コンクリート打設部(8)表面にタイル(図示せず)を貼り付けるようにしても良い。
尚、上記では2〜3本の結束用鉄筋(5)と2〜3本の打ち込みアンカー(4)と4〜6本の上記クリップ(6)を用いた態様を示したが、それ以外の態様、即ち、1本の結束用鉄筋(5)と1本の打ち込みアンカー(4)と2本の上記クリップ(6)の組み合わせ、或いは4本以上の結束用鉄筋(5)と4本以上の打ち込みアンカー(4)と8本以上の上記クリップ(6)を用いて結合固定しても良い。
以上のように構成することにより、グレーチング受枠(1)を排水溝(7),(8)へ上記クリップ(6)を使用して溶接作業をすることなく容易に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0013】
a U字状棒鋼
b ナット
c ボルト
1 グレーチング用受枠
2 金属板
3 受枠固定用アンカー
4 打ち込みアンカー
5 結束用鉄筋
6 クリップ
7 排水溝(既打設部)
8 排水溝(追加打設部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状棒鋼(a)とこの開口部に固定されたナット(b)とこのナット(b)に螺合するボルト(c)から構成されるクリップ(6)を使用してグレーチング用受枠(1)を排水溝(7),(8)へ取り付ける方法であって、
グレーチング用受枠(1)に取り付けられた受枠固定用アンカー(3)と結束用鉄筋(5)の一端を前記クリップ(6)で結合固定するとともに、該結束用鉄筋(5)の他端と打ち込みアンカー(4)を上記クリップ(6)で結合固定することを特徴とするグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
【請求項2】
1本の受枠固定用アンカー(3)に対し、1本の結束用鉄筋(5)と1本の打ち込みアンカー(4)と2本の上記クリップ(6)を用いることを特徴とする請求項1に記載のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
【請求項3】
1本の受枠固定用アンカー(3)に対し、2本の結束用鉄筋(5)と2本の打ち込みアンカー(4)と4本の上記クリップ(6)を用いることを特徴とする請求項1に記載のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。
【請求項4】
1本の受枠固定用アンカー(3)に対し、3本の結束用鉄筋(5)と3本の打ち込みアンカー(4)と6本の上記クリップ(6)を用いることを特徴とする請求項1に記載のグレーチング用受枠の排水溝への取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−36697(P2012−36697A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179945(P2010−179945)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(591089349)
【Fターム(参考)】