説明

グロメットの止水検査装置

【課題】グロメットにおけるワイヤハーネス貫通部分の止水性能を簡易かつ高精度に検査する。
【解決手段】グロメットの車体係止凹部と嵌合する車体パネルの貫通穴と同一形状の貫通穴を設けた仕切壁と、前記仕切壁で仕切られると共にそれぞれ密閉された加圧室と減圧室を備え、前記加圧室に検査用ガス導入管を連結すると共に、該検査用ガス導入管に圧力調整器を介設し、該加圧室内を導入する加圧ガスで正圧制御する一方、前記減圧室に吸引プローブを挿入し、該吸引プローブをリークディテクタに連結し、前記加圧室と減圧室との間に圧力差を発生させて、前記吸引プローブで吸引するガス漏れ量を前記リークディテクタで検出する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグロメットの止水検査装置に関し、詳しくは、グロメットにおけるワイヤハーネス貫通部分の止水性能を簡易かつ高精度に検査するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンルームから車室内へ配索されるワイヤハーネスをグロメットに貫通させ、エンジンルームと車室内とを仕切る車体パネルの貫通穴に前記グロメットを取り付けることにより、該貫通穴を通るワイヤハーネスの保護およびエンジンルーム側から車室内への防水、防塵、遮音を図っている。
【0003】
前記グロメットにおいては、貫通させるワイヤハーネスの電線群の隙間に止水剤を充填したり、該ワイヤハーネスをグロメットの小径筒部に密着状態で貫通させたりすることにより、ワイヤハーネスの貫通部分における止水性を確保している。ワイヤハーネスを貫通させたグロメットに対しては、ワイヤハーネス貫通部分の止水性能を検査する必要があり、本出願人は特開2000−241288号公報(特許文献1)に記載の止水検査装置1を提案している。
【0004】
即ち、止水検査装置1には、図4のように、エアタンク2と貯水タンク3とを仕切壁4を介して設けており、仕切壁4に設けた貫通穴5にグロメット6の車体係止凹部6aを嵌合させてグロメット6を取り付け、グロメット6に貫通させたワイヤハーネスW/Hの一端側をエアタンク2内に収容すると共に、他端側を貯水タンク3内に収容する。気密状態に保ったエアタンク2内に加圧空気を供給すると共に、貯水タンク3内に水を供給してグロメット6およびワイヤハーネスW/Hの他端側を水没させると、ワイヤハーネス貫通部分7の止水性能が不十分である場合には、エアタンク2内の加圧空気が止水不良部分を通って貯水タンク3内に漏れ出し、気泡となって浮上する。即ち、貯水タンク3内の気泡の有無により、前記ワイヤハーネス貫通部分の止水状態の良、不良を判定することができる。
【0005】
しかし、前記構成によれば、グロメット6やワイヤハーネスW/Hの一部を水没させる工程や、検査後、錆や腐食等を防ぐためにワイヤハーネスW/Hなどに付着した水分を取り除く工程が必要となり検査工程が複雑化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−241288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、グロメットにおけるワイヤハーネス貫通部分の止水性能を簡易かつ高精度に検査できることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、ワイヤハーネスを密着させて貫通させる小径筒部と、該小径筒部に連続する拡径筒部と、該拡径筒部の大径側の外周面に車体係止凹部を環状に設けたグロメットの止水検査装置であって、
前記グロメットの車体係止凹部と嵌合する車体パネルの貫通穴と同一形状の貫通穴を設けた仕切壁と、
前記仕切壁で仕切られると共にそれぞれ密閉された加圧室と減圧室を備え、
前記加圧室に検査用ガス導入管を連結すると共に、該検査用ガス導入管に圧力調整器を介設し、該加圧室内を導入する加圧ガスで正圧制御する一方、
前記減圧室に吸引プローブを挿入し、該吸引プローブをリークディテクタに連結し、
前記加圧室と減圧室との間に圧力差を発生させて、前記吸引プローブで吸引するガス漏れ量を前記リークディテクタで検出する構成としているグロメットの止水検査装置を提供している。
【0009】
ワイヤハーネスをグロメットに貫通させる際には、ワイヤハーネスの電線群の隙間に止水剤を充填するなどの止水処理を行うと共に、該ワイヤハーネスをグロメットの小径筒部に密着状態で貫通させることにより、グロメットの止水部を形成している。前記のように、加圧室と減圧室を仕切る仕切壁に設けた貫通穴にグロメットの車体係止凹部を嵌合させると、前記グロメットの止水部、即ち、ワイヤハーネスの貫通部分が前記加圧室と減圧室とを連結するように配置される。
したがって、前記のように、空気以外の検査用ガスを加圧室内に導入して加圧室内を正圧制御すると共に、リークディテクタに連結された吸引プローブを挿入して、加圧室と減圧室との間に圧力差を発生させると、前記グロメットの止水部における止水性能が不十分な場合には、前記加圧室内の検査用ガスが該止水不良部分を通って減圧室内へと漏出する。漏出した検査用ガスは減圧室に挿入した吸引プローブによって吸引され、該吸引プローブに連結したリークディテクタによって前記漏出した検査用ガスが検出されると共に、そのガス漏れ量も検出することができる。
【0010】
即ち、前記構成によれば、減圧室側のリークディテクタによって検出されたガス漏れ量によって、前記止水部の止水性能を定量的に把握することができ、より高精度な止水検査が可能となる。
また、従来のように、グロメットやワイヤハーネスの一部を水没させたり、付着した水分を取り除いたりする必要がなくなるため、止水検査を簡易化することができる。
さらに、加圧室および減圧室は、ワイヤハーネスを貫通させたグロメットを前記仕切壁に取り付けた状態で、該グロメットの前後各部をそれぞれ収容できる程度の容積があればよいため、止水検査装置の小型化を図ることもできる。さらにまた、減圧室内の容積・形状をグロメットの大きさ・形状に合わせて可能な範囲で小さくすることにより、減圧室側に流出したガスを吸引プローブで効率良く収集・検出できるため、検査時間を短縮できる。また、加圧室内の容積・形状をグロメットの大きさ・形状に合わせて可能な範囲で小さくすることにより、加圧室側に導入するガスの使用量を少なくできるため、検査コストを比較的低価で実施できる。
【0011】
なお、止水検査装置は、上下2つの半割れ形状でも良いし、一体型の管形状でも良い。上下2つの半割れ形状の場合は上下間に密着するシール材を設けることで、加圧室内に導入された検査用ガスあるいは加圧室から減圧室内に漏出してきた検査用ガスの外部流出を防止することができる。また、一体型の管形状の場合は、半割れ形状の様に上下間からの漏れを考える必要がなく、止水検査装置の構造をシンプルにできる。
但し、検査時のグロメット及びハーネスのセット作業を比較的効率良く実施するためには、上下2つの半割れ形状の方が好ましい。
【0012】
前記仕切壁と対向する加圧室の周壁および減圧室の周壁には前記グロメットに貫通したワイヤハーネスの引出穴を設け、該引出穴の内周にワイヤハーネスの外周面に密着するシール材を装着していることが好ましい。
【0013】
前記のように、加圧室および減圧室の周壁に設けたワイヤハーネスの引出穴の内周に、該ワイヤハーネスの外周面に密着するシール材を装着することにより、加圧室内に導入された検査用ガスあるいは加圧室から減圧室内に漏出してきた検査用ガスが、前記ワイヤハーネスの引出穴から外部に流出するのを防止することができ、より高精度な止水検査が可能となる。前記シール材としては、例えば、ゴム栓やゴムパッキンなどを用いることができる。
【0014】
さらに、前記加圧室および減圧室のワイヤハーネス引出側に夫々密閉された加圧側外室、減圧側外室を備え、これら加圧側外室および減圧側外室にそれぞれワイヤハーネスの第2の引出穴を設け、これら第2の引出穴の内周にワイヤハーネスの外周面に密着するシール材を装着していることが好ましい。この際、前記加圧側外室を加圧室より高圧に制御すると共に、前記減圧側外室も減圧室より高圧に制御することが好ましい。
【0015】
前記のように、加圧室より高圧に制御した加圧側外室や、減圧室より高圧に制御した減圧側外室を設けておくことで、加圧室内に導入された検査用ガスあるいは加圧室から減圧室内に漏出してきた検査用ガスの外部流出をさらに効果的に防止することができ、より高精度な止水検査が可能となる。
【0016】
また、前記減圧室側に前記グロメットの小径筒部を配置する一方、前記加圧室側に拡径筒部の大径側を配置し、かつ、該グロメットの内部の前記ワイヤハーネスの電線群の隙間および電線群とグロメットの内周面との間に止水剤が充填されていることが好ましい。
【0017】
通常、グロメットの小径筒部は車室内に配置され、拡径筒部の大径側はエンジンルームに配置される。したがって、前記のように、減圧室側に前記グロメットの小径筒部を配置し、加圧室側に拡径筒部の大径側を配置することで、検査用ガスの浸入方向を、車両へのグロメット取り付け状態における水の浸入方向に合わせることができる。即ち、実際の使用状態に合わせた止水検査を行うことができる。
【0018】
前記電線群の隙間に止水剤を充填する方法としては、例えば、電線群を隣接させて並列させ止水剤を電線間に浸透するように塗布し、該止水剤を塗布した部分にフィルムやシート等を被せて断面円形状に丸めた後、外周をテープ巻きすることが好ましい。テープ巻きされたワイヤハーネスをグロメットの小径筒部に貫通させ、ワイヤハーネスの外周面と小径筒部の内周面との間にさらに止水剤を充填してもよいし、あるいは、小径筒部の内径をテープ巻きされたワイヤハーネスの外径より小さく設定し、小径筒部を広げながらテープ巻きしたワイヤハーネスを通すことで、小径筒部の内周面にテープ巻きしたワイヤハーネスの外周面を密着させるようにしてもよい。
【0019】
前記加圧室に導入するガスは空気以外のヘリウムガスまたは水素とすることが好ましい。
【0020】
加圧室と減圧室の圧力に特に制限は無いが、差圧が小さ過ぎる場合には、グロメットの止水部における止水状態が不十分であっても検査用ガスの漏出が少なく、止水検査に要する時間が長くなり、一方、差圧が大き過ぎる場合には、グロメットが前記仕切壁から外れたり、グロメットや止水部を破壊してしまうおそれがある。
【0021】
前記加圧室と減圧室との差圧と、リークディテクタで検出された検出ガス量との関係に応じて閾値を設定した記憶部と、該閾値以上の検出量であると止水性能が基準以下と判定する判定部と、判定部で基準以下と判定されると表示する表示部を備えた評価機器を前記リークディテクタと一体または別体で備えていることが好ましい。
【0022】
前記構成の評価機器を備えることにより、グロメットの止水性能が基準を満たしているか否かが一目で分かり、より迅速な止水検査が可能となる。
【0023】
ワイヤハーネスの組立作業台上に搭載して、該組立作業台上で前記グロメットにワイヤハーネスを貫通して止水処理後に止水検査を行う構成としていることが好ましい。
【0024】
本発明の止水検査装置は従来の検査装置より構造がシンプルで小型化できるため、前記のように、組立作業台上で止水検査を行うことが可能となる。よって、止水検査の作業効率を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
前述したように、空気以外の検査用ガスを加圧室内に導入して加圧室内を正圧制御すると共に、リークディテクタに連結された吸引プローブを挿入して、加圧室と減圧室との間に圧力差を発生させることにより、グロメットの止水部(ワイヤハーネス貫通部分)における止水性能が不十分な場合には、加圧室内の検査用ガスが該止水不良部分を通って減圧室内へと漏出し、該漏出した検査用ガスのガス漏れ量が吸引プローブに接続されたリークディテクタで検出可能となる。即ち、本発明によれば、減圧室側のリークディテクタによって検出されたガス漏れ量によって、前記止水部の止水性能を定量的に把握することができ、高精度な止水検査が可能となる。また、従来のように、グロメットやワイヤハーネスの一部を水没させたり、付着した水分を取り除いたりする必要がなくなるため、止水検査を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態におけるグロメットの止水検査装置を示す概略図である。
【図2】グロメットの止水部Aの概略断面図である。
【図3】第2実施形態におけるグロメットの止水検査装置を示す概略図である。
【図4】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1および図2に第1実施形態を示す。
図1は本実施形態におけるグロメットの止水検査装置10を示している。
ワイヤハーネスW/Hを貫通させた状態で止水検査装置10に取り付けられるグロメット30は、ゴムまたはエラストマーで一体成形しており、円錐状に拡径する拡径筒部32の小径側端に第1小径筒部31を連続させて突設していると共に、拡径筒部32の大径側には薄肉の半割れ状の閉鎖部33を設け、該閉鎖部の中央より第2小径筒部34を突設し、拡径筒部32の大径側の外周に車体係止凹部35を環状に設けている。
【0028】
前記グロメット30には、電線群の隙間に止水剤が充填され線間止水が施されたワイヤハーネスW/Hを貫通させている。
具体的には、電線群を隣接させて並列させ、線間止水が必要な領域に止水剤Sを各電線Wの間に浸透するように塗布し、該止水剤Sを塗布した部分にフィルム(図示せず)を被せて断面円形状に丸めた後、電線群の外周にテープT1を巻き付けている。なお、本実施形態では、止水剤Sとしてシリコーン系止水剤を用いている。
さらに、第1小径筒部31および第2小径筒部34の内径を、テープ巻きしたワイヤハーネスW/Hの外径より小さく設定し、第1、第2小径筒部31、34を広げながら前記ワイヤハーネスW/Hを貫通することで、第1、第2小径筒部31、34の内周面にテープ巻きしたワイヤハーネスW/Hの外周面を密着させており、前記止水剤Sの充填と合わせて完全な止水対策が施された止水部Aが、グロメット30のワイヤハーネス貫通部分に設けられる(図1、図2参照)。貫通させたワイヤハーネスW/Hと、第1、第2小径筒部31、34の先端は、テープT2で巻いて固定している。
【0029】
以下、グロメット30の止水検査装置10について説明する。
図1に示す止水検査装置10は、ワイヤハーネスの組立作業台(図示せず)上に搭載され、該組立作業台上でグロメット30にワイヤハーネスW/Hを貫通して前記のような止水処理を行った後、止水検査を行うものである。
図1に示すように、止水検査装置10には、仕切壁11で仕切られて夫々密閉された加圧室12と減圧室17を備えている。また、仕切壁11には、グロメット30の車体係止凹部35と嵌合する車体パネルの貫通穴と同一形状の貫通穴11aを設けている。
【0030】
加圧室12には、検査用ガスが充填されたガスボンベ13に接続された検査用ガス導入管14を連結しており、該検査用ガス導入管14には圧力調整器15を介設し、導入する加圧ガスで加圧室12内を正圧制御している。なお、本実施形態では、前記検査用ガスとして、ヘリウムガスを加圧室12に導入している。
一方、減圧室17には、リークディテクタ19に連結された吸引プローブ18を挿入している。なお、吸引プローブと減圧室の間に真空レギュレータ等を設置して減圧室内の圧力を制御しても良いし、直接吸引プローブを挿入しても良い。なお、本実施形態ではリークディテクタ19に連結された吸引プローブを直接減圧室に挿入している。
【0031】
また、仕切壁11と対向する加圧室12および減圧室17の周壁に、グロメット30に貫通したワイヤハーネスW/Hの引出穴16、20をそれぞれ設けている。引出穴16、20の内周には、貫通するワイヤハーネスW/Hの外周面に密着するシール材16a、20aを装着している。
【0032】
さらに、前記加圧室12と減圧室17との差圧とリークディテクタ19で検出された検出ガス量との関係に応じて閾値を設定した記憶部(図示せず)と、該閾値以上の検出量であると止水性能が基準以下と判定する判定部(図示せず)と、該判定部で基準以下と判定されるとその旨を表示する表示部(図示せず)とを備えた評価機器21をリークディテクタ19に接続している。
【0033】
前記構成の止水検査装置10に、ワイヤハーネスW/Hを貫通させたグロメット30を取り付ける。詳しくは、図1に示すように、止水検査装置10の仕切壁11に設けた貫通穴11aに、グロメット30の車体係止凹部35を嵌合させることにより取り付けており、減圧室17側にはグロメット30の第1小径筒部31を配置し、加圧室12側には拡径筒部32の閉鎖部33および第2小径筒部34を配置している。
【0034】
前記のように、検査用ガスであるヘリウムガスを加圧室12内に導入して加圧室12内を正圧制御すると共に、リークディテクタ19に連結された吸引プローブ18を挿入して加圧室12と減圧室17との間に圧力差を発生させると、グロメット30の止水部Aにおける止水性能が不十分な場合には、加圧室12内の検査用ガスが該止水不良部分を通って減圧室17内へと漏出する。漏出した検査用ガスは減圧室17に挿入した吸引プローブ18によって吸引され、該吸引プローブ18に連結したリークディテクタ19によって漏出した検査用ガスが検出されると共に、そのガス漏れ量も検出することができる。
【0035】
即ち、前記構成によれば、減圧室17側のリークディテクタ19によって検出されたガス漏れ量によって、止水部Aの止水性能を定量的に把握することができ、より高精度な止水検査が可能となる。
また、従来のように、グロメットやワイヤハーネスの一部を水没させたり、付着した水分を取り除いたりする必要がなくなるため、止水検査を簡易化することができる。
【0036】
また、加圧室12と減圧室17との差圧とリークディテクタ19で検出された検出ガス量との関係に応じて止水性能を判定する評価機器21を設けることにより、グロメット30の止水性能が基準を満たしているか否かが一目瞭然に分かり、より迅速な止水検査が可能となる。
さらに、本実施形態の止水検査装置10は従来の検査装置より構造がシンプルで小型化できるため、前記のように、組立作業台上で止水検査が可能である。よって、止水検査の作業効率を一層高めることができる。
【0037】
図3に、第2実施形態の止水検査装置100を示す。
第2実施形態では、図3に示すように、加圧室12および減圧室17のワイヤハーネスW/H引出側に、それぞれ密閉された加圧側外室22および減圧側外室24を設けており、加圧側外室22内の圧力を加圧室12より高圧に制御し、減圧側外室24内の圧力も減圧室17より高圧に制御している。
また、加圧側外室22および減圧側外室24には、ワイヤハーネスW/Hの第2の引出穴23、25をそれぞれ設けており、これら第2の引出穴23、25の内周に、引出穴16、20と同様、ワイヤハーネスW/Hの外周面に密着するシール材23a、25aを装着している。
前記した点以外は、第1実施形態と同様としている。
【0038】
前記のように、加圧室12より高圧に制御した加圧側外室22や、減圧室17より高圧に制御した減圧側外室24を設けておくことで、加圧室12内に導入された検査用ガスあるいは加圧室12から減圧室17内に漏出してきた検査用ガスの外部流出を効果的に防止することができ、一層高精度な止水検査が可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10、100 止水検査装置
11 仕切壁
11a 貫通穴
12 加圧室
14 検査用ガス導入管
15 圧力調整器
16、20 引出穴
16a、20a シール材
17 減圧室
18 吸引プローブ
19 リークディテクタ
21 評価機器
22 加圧側外室
23、25 第2の引出穴
23a、25a シール材
24 減圧側外室
30 グロメット
31 第1小径筒部
32 拡径筒部
33 閉鎖部
34 第2小径筒部
35 車体係止凹部
A 止水部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを密着させて貫通させる小径筒部と、該小径筒部に連続する拡径筒部と、該拡径筒部の大径側の外周面に車体係止凹部を環状に設けたグロメットの止水検査装置であって、
前記グロメットの車体係止凹部と嵌合する車体パネルの貫通穴と同一形状の貫通穴を設けた仕切壁と、
前記仕切壁で仕切られると共にそれぞれ密閉された加圧室と減圧室を備え、
前記加圧室に検査用ガス導入管を連結すると共に、該検査用ガス導入管に圧力調整器を介設し、該加圧室内を導入する加圧ガスで正圧制御する一方、
前記減圧室に吸引プローブを挿入して、該吸引プローブをリークディテクタに連結し、 前記加圧室と減圧室との間に圧力差を発生させて、前記吸引プローブで吸引するガス漏れ量を前記リークディテクタで検出する構成としているグロメットの止水検査装置。
【請求項2】
前記仕切壁と対向する加圧室の周壁および減圧室の周壁には前記グロメットに貫通したワイヤハーネスの引出穴を設け、該引出穴の内周にワイヤハーネスの外周面に密着するシール材を装着している請求項1に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項3】
前記加圧室および減圧室のワイヤハーネス引出側に夫々密閉された加圧側外室、減圧側外室を備え、これら加圧側外室および減圧側外室にそれぞれワイヤハーネスの第2の引出穴を設け、これら第2の引出穴の内周にワイヤハーネスの外周面に密着するシール材を装着している請求項1または請求項2に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項4】
前記減圧室側に前記グロメットの小径筒部を配置する一方、前記加圧室側に拡径筒部の大径側を配置し、かつ、該グロメットの内部の前記ワイヤハーネスの電線群の隙間および電線群とグロメットの内周面との間に止水剤が充填されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項5】
前記加圧室に導入するガスは空気以外のヘリウムガスまたは水素である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項6】
前記減圧室内の形状をグロメットの大きさおよび形状に合わせ、減圧室側に流出したガスを吸引プローブで収集・検出している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項7】
前記加圧室内の形状をグロメットの大きさおよび形状に合わせている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項8】
前記検査装置を上下2つの半割れ形状としている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項9】
前記加圧室と減圧室との差圧と、リークディテクタで検出された検出ガス量との関係に応じて閾値を設定した記憶部と、該閾値以上の検出量であると止水性能が基準以下と判定する判定部と、判定部で基準以下と判定されると表示する表示部を備えた評価機器を前記リークディテクタと一体または別体で備えている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。
【請求項10】
ワイヤハーネスの組立作業台上に搭載し、該組立作業台上で前記グロメットにワイヤハーネスを貫通して止水処理後に止水検査を行う構成としている請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のグロメットの止水検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−230444(P2010−230444A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77542(P2009−77542)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】