説明

グロメット

【課題】ワイヤハーネスを通す貫通穴を穿設した車体パネルの両面に第1グロメットと第2グロメットとを取り付ける場合において、これら第1、第2グロメットの車体パネルへの取り付け機構を簡単にする。
【解決手段】ワイヤハーネス貫通穴を穿設した車体パネルPの両面にそれぞれ当接配置する第1グロメット11と第2グロメット21を備え、第1グロメットと第2グロメットはいずれもワイヤハーネスを密着して挿通しテープ巻き固定する小径筒部と、該小径筒部の一端と連続する大径筒部とを、ゴムまたはエストラマーで一体成形しており、第1、第2グロメットの各大径筒部の先端開口側端面が車体パネルの両面に当接配置され、車体パネルのワイヤハーネス貫通穴の周縁に穿設したボルト穴に挿通固定して該車体パネルの両面から突出するスタッドボルト31の一側部を、第1グロメットに設けたボルト穴に通してナットで固定すると共に、該スタッドボルトの他側部を前記第2グロメットに設けたボルト圧入穴24に通して第2グロメットを支持する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用のグロメットに関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスに装着して車体パネルの貫通穴に装着するグロメットにおいて、車室内への遮音性を高めるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスを車体パネルの貫通穴に挿通する際、ワイヤハーネスにグロメットを外嵌して取り付け、ワイヤハーネスを内部に挿通させたグロメットを車体パネルの貫通穴に装着し、該貫通穴の貫通部分におけるワイヤハーネスの保護および防水、防塵を図っている。
【0003】
この種のグロメットには、車体パネルの貫通穴周縁をグロメットの外周に設けた環状溝部に嵌合して取り付ける場合が多いが、図5に示すように、グロメット1に設けたボルト穴2に車体パネル3に穿設された貫通穴4の周縁に固定されているボルト5を挿入し、該ボルト5とナット(不図示)とでグロメット1を車体パネル3に密着させて締結固定する場合もある(特開2001−309528号参照)。
このようにボルト締めによりグロメットを車体パネルに取り付けても、グロメットと車体パネルとの密着状態の安定性を高め、グロメットの防水、防塵機能を保持することができる。
【0004】
この種の車両用のグロメットには、防水、防塵性能に加えて、エンジンルーム等の音が貫通穴を通じて車室側へ漏れることを防ぐ遮音性能も強く求められている。
従来提供されている遮音性を高くしたグロメットは、グロメットの車室外の配置部分を内外壁を有する2重壁構造とし、内外壁の間に遮音用の密閉空間を設けたものが多い。
また、車体パネルのワイヤハーネス貫通穴を囲む車室側面に遮音シート(サイレンサー)を張り付けている場合もある。
前記した車室内への遮音対策はいずれも有効ではあるが、更なる車室内への遮音が求められており、この点でグロメットの改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−309528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、車室内への遮音性が高いグロメットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、ワイヤハーネス貫通穴を穿設した車体パネルの両面にそれぞれ当接配置する第1グロメットと第2グロメットを備え、
前記第1グロメットと第2グロメットはいずれもワイヤハーネスを密着して挿通しテープ巻き固定する小径筒部と、該小径筒部の一端と連続する大径筒部とを、ゴムまたはエストラマーで一体成形しており、
前記第1、第2グロメットの各大径筒部の先端開口側端面が前記車体パネルの両面に当接配置され、
前記車体パネルのワイヤハーネス貫通穴の周縁に穿設したボルト穴に挿通固定して該車体パネルの両面から突出するスタッドボルトの一側部を、前記第1グロメットに設けたボルト穴に通してナットで固定すると共に、該スタッドボルトの他側部を前記第2グロメットに設けたボルト圧入穴に通して第2グロメットを支持する構成としていることを特徴とする車両用のグロメットを提供している。
【0008】
本発明のグロメットは、水平方向の車体パネルの上方となるエンジンルーム側の車室外側に前記第1グロメットを配置して、防水・防塵用グロメットとし、前記第2グロメットを車体パネルの下方となる車室内側に配置して遮音用グロメットとしている。
【0009】
前記のように、本発明のグロメットは、第1グロメットに設けたボルト穴に前記スタッドボルトの一側部を通してナットで固定する一方、前記第2グロメットの大径筒部に前記スタッドボルトより小径としたボルト圧入穴を設け、該ボルト圧入穴に前記スタッドボルトの他側部を圧入して固定している。
【0010】
具体的には、ワイヤハーネスを第1グロメットの小径筒部に通してテープ巻き固定すると共に、該ワイヤハーネスを第2グロメットの小径筒部に通してテープ巻き固定する。また、前記第1グロメットのボルト穴にスタッドボルトの一側部を通してナットで締結しておく。即ち、第1、第2グロメットが互いの大径筒部の先端開口を対向した状態でワイヤハーネスに取り付けられる。
このように、ワイヤハーネスに第1、第2グロメットおよびスタッドボルトを取り付けた状態で、自動車にワイヤハーネスを配索し、水平方向の車体パネルのワイヤハーネス貫通穴に上方から下向きに第2グロメットの全体を挿通して、車室内に引き出す。ついで、第1グロメットの大径筒部の先端面を車体パネル上面の車室外面(エンジンルーム側面)に当接させ、スタッドボルトを車体パネルのボルト穴に通した後にナットで締結して、第1グロメットを車体パネルの車室外面に固定する。
ついで、第2グロメットの大径筒部の先端側を小径筒部側の下側へとめくってスタッドボルトの他端側を露出させ、該スタッドボルトを大径筒部に設けたボルト圧入穴に圧入して第2グロメットをスタッドボルトで支持する。最後にめくっていた第2グロメットの大径筒部の先端側を上向きの原状に戻し、その先端側面を車体パネルの車室内面に当接させている。
【0011】
本発明の第1、第2グロメットからなる車両用のグロメットは、第2グロメットをワイヤハーネスにテープ巻き固定することに加え、該第2グロメットに設けたボルト圧入穴に、車体パネルに取り付けたスタッドボルトを圧入することにより、該スタッドボルトで第2グロメットを支持することができるため、該第2グロメットが自重や内部に挿通したハーネスの重さによって車両下方に垂れ下がったり脱落することを防止でき、該第2グロメットの大径側開口端が車体パネル表面から浮き上がることを有効に防ぐことができる。
また、第2グロメットに形成するボルト圧入穴は、スタッドボルトよりも小径としているため、スタッドボルトの外周面にボルト圧入穴の内周面を確実に密着させて、スタッドボルトで第2グロメットを支持することができる。
このように、第2グロメットと車体パネルとの密着性および装着安定性を向上させることができるため、該第2グロメットと車体パネル表面との間に隙間が発生することを有効に防ぐことができるうえ、第2グロメットのボルト圧入穴とスタッドボルトとの間も密着して隙間が生じないため、第2グロメットによる遮音性能を高めることができる。
【0012】
また、前記第1グロメットは車体パネルにボルト締めにて固定されるため、該第1グロメットの車体パネルへの密着性と装着安定性は高く、優れた防水、防塵性能を備えることができる。さらに、前記第2グロメットを支持するスタッドボルトは、第1グロメットを車体パネルに固定するためのスタッドボルトを車体パネルの他側面に突出させたものであるため、第2グロメット支持用に別個のスタッドボルトを取り付ける必要がなく、部品点数の増加も防止できる。
さらにまた、第2グロメットのボルト圧入穴には前記スタッドボルトを貫通させるため、スタッドボルト取り付け状態を外部から目視にて確認することもできる。
【0013】
前記第2グロメットの大径筒部の傾斜壁部に前記スタッドボルトより小径とした前記ボルト圧入穴を設け、かつ、該ボルト圧入穴は前記スタッドボルトの軸線方向と非平行に設けていることが好ましい。
このように、スタッドボルトを圧入するボルト圧入穴を、第2グロメットの傾斜壁部に設け、かつ、該ボルト圧入穴をスタッドボルトの軸線方向と非平行に設けることにより、スタッドボルトの圧入時に該スタッドボルトの軸線方向と一時的に平行となったボルト圧入穴が、第2グロメットの弾性により本来の貫通方向である非平行方向に戻ろうとするため、この弾性復元力によってボルト圧入穴のスタッドボルトへの引っ掛かりを高め、スタッドボルトによる第2グロメットの支持を一層確実で安定したものとすることができる。
【0014】
さらに、前記第1グロメットの前記大径筒部の開口端の内径より前記第2グロメットの大径筒部の開口端の内径は大とし、かつ、該第1、第2グロメットの大径筒部の開口端の周縁より車体パネルに密着するシールリップ部を突設した鍔部を設けていることが好ましい。
前記構成とすると、第1グロメットは防水・防塵性に優れたものとできると共にエンジンルーム等の車室外の騒音が貫通穴を通して車室内に侵入するのを防止できる。また、第2グロメットでは、車室外の騒音を第2グロメット内に密閉でき、車室内への騒音を低減できる。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明のグロメットは、第1グロメットと第2グロメットをワイヤハーネスに対向して取り付け、第1、第2グロメットを車体パネルの車室内面側と車室外面側とに当接させるため、防水・防塵機能と車室内への遮音機能とを図ることができる。
【0016】
特に、遮音用とする第2グロメットをワイヤハーネスにテープ巻き固定するのみでなく、該第2グロメットに設けたボルト圧入穴に第1グロメットおよび車体パネルに取り付けたスタッドボルトを圧入し、このスタッドボルトで第2グロメットを支持している。よって、第2グロメットの自重やワイヤハーネスの重みによって第2グロメットを車体パネルの下面に下向きに配置しても、下方に垂れ下がったり車体パネルから脱落することが防止でき、第2グロメットの車体パネルへの装着安定性と密着性を向上させることができる。
また、第2グロメットのボルト圧入穴をスタッドボルトよりも小径としているため、ボルト圧入穴の内周面をスタッドボルトの外周面に密着させることができる。これらにより、車体パネルおよびスタッドボルトと第2グロメットとの間に隙間が発生することを有効に防止でき、第2グロメットによる遮音性能を向上させることができる。
【0017】
さらに、ボルト圧入穴の貫通方向をスタッドボルトの軸線方向と非平行方向とすることにより、スタッドボルトを貫通させてスタッドボルトの軸線方向と平行方向になったボルト圧入穴は第2グロメットの弾性によって前記非平行方向に戻ろうとするため、この弾性復元力の作用によってボルト圧入穴のスタッドボルトへの引っ掛かりを強化することができ、該スタッドボルトによる第2グロメットの支持を一層確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係るグロメットを車体パネルに装着した状態を示す説明断面図である。
【図2】第2グロメットの斜視図である。
【図3】第2グロメットの断面図である。
【図4】(A)〜(D)はワイヤハーネスの車体パネルへの固定手順を示す図面である。
【図5】従来のグロメットの車体パネルへの取り付け構造を示す部分破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4に本発明の実施形態に係るグロメット10を示す。
グロメット10は、自動車のエンジンルーム側(車室外側)Xと車室内側Yとを仕切る車体パネル(ダッシュパネル)Pに穿設されたワイヤハーネス貫通穴H(以下、貫通穴Hと略する)に挿通するワイヤハーネス30に外嵌して、貫通穴Hの周縁に装着するものである。
水平方向に配置される前記車体パネルPの上方はエンジンルーム側の車室外側Xとなり、下方が車室内側Yとなる。
【0020】
グロメット10は上方の車室外側Xに配置され、主として防水、防塵機能を担う第1グロメット11と、下方の車室内側Yに配置され、遮音機能を担う第2グロメット21とからなる。
前記第1グロメット11と第2グロメット21とは別体であり、それぞれゴムまたはエラストマーで一体成形している。
【0021】
前記第1グロメット11は、図1に示すように、ワイヤハーネス30を密着させて挿通する小径筒部12と、該小径筒部12の一端に連続する大径筒部14とを備えている。該大径筒部14は小径筒部12に連続する円環形状の閉鎖端部14aと、先端の開口端14bの外周より突設して車体パネルPの上面に密着するシールリップ部15を突設した鍔部14cを備えている。
前記閉鎖端部14aには、周方向に等間隔をあけて4つのボルト穴16を設けている。
このボルト穴16にはスタッドボルト31をそれぞれ挿通し、ナット32で固定している。この状態で、スタッドボルト31の上部31aの一側部は第1グロメット11内を通り、下部の他側部は大径筒部14の先端の開口端14bより下方へ突出している。
【0022】
前記第2グロメット21は、ワイヤハーネス30を密着させて挿通する小径筒部22と、該小径筒部22の一端から傾斜壁部23aを介して拡径する大径筒部23とからなる。図2に示すように、該大径筒部23の傾斜壁部23aに周方向に等間隔をあけて4つのボルト圧入穴24を貫通させて設けている。
該第2グロメット21の大径筒部23の大径側開口端25の外周縁からも車体パネルPの下面に密着するシールリップ部26を突設した鍔部23bを設けている。
該第2グロメットの大径筒部23の先端側開口の内径は、図1に示すように、第1グロメット11の大径筒部14の先端側開口の内径よりも大としている。
【0023】
第2グロメット21に設けた前記ボルト圧入穴24の内径D1は、図3に示すように、前記スタッドボルト31の下部突出部31bの外径D2よりも小径としている。また、該ボルト圧入穴24の貫通方向Aは、前記傾斜壁部23aの肉厚方向とし、車体パネルPに取り付けられたスタッドボルト31の軸線方向Bとは非平行としている。
【0024】
前記構成のグロメット10は、図1に示すように、車体パネルPの貫通穴Hの周縁に周方向に等間隔をあけて設けられたボルト穴BHに、前記第1グロメット11にナット32で締結して予め固定しているスタッドボルト31を通し、ナット33で締結して車体パネルPの上面に第1グロメット11を固定している。また、車体パネルPの貫通穴Hを通過させて下方に配置した第2グロメット21のボルト圧入穴24に、前記スタッドボルト31の下部突出部31bを圧入して第2グロメット21を支持している。
【0025】
詳細には、ワイヤハーネス30の組み立て時に、ワイヤハーネス30を第1グロメット11の小径筒部12に通してテープ巻き固定すると共に、該ワイヤハーネス30を第2グロメット21の小径筒部22に通してテープ巻き固定する。
また、図4(A)に示すように、第1グロメット11のボルト穴16にスタッドボルト31の一側部を通してナット32で締結しておく。即ち、第1、第2グロメット11、21を互いの大径筒部14、23の先端開口を対向した状態でワイヤハーネス30に取り付け、かつ、スタッドボルト31を第1グロメット11に取り付けている。
【0026】
このように、ワイヤハーネス30に第1、第2グロメット11、21およびスタッドボルト31を取り付けた状態で、自動車組み立てラインで自動車にワイヤハーネス30を配索する。
図4(B)に示すように、エンジンルームと車室内とを仕切る水平方向の車体パネルPの貫通穴Hにワイヤハーネス30を上方から下向きへと通し、第2グロメット21の全体を貫通穴Hを挿通させて、車体パネルPの下方の車室内側Yに引き出す。
この状態で、第1グロメット11の大径筒部14の鍔部14cを車体パネルPの上面の車室外面(エンジンルーム側面)に当接させ、スタッドボルト31を車体パネルPのボルト穴BHに通した後にナット33で締結し、第1グロメット11を車体パネルPの上面の車室外面に固定する。
【0027】
ついで、第2グロメット21の大径筒部23の先端側を図4(C)に示すように小径筒部22側の下側へとめくり、車体パネルPから下方へ突出するスタッドボルト31の下部突出部31bを外部に露出させる。この状態で、スタッドボルト31の位置を確認しながら、第2グロメット21に設けたボルト圧入穴24にスタッドボルト31の下部突出部31bを圧入する。該圧入後に、図4(D)に示すように、下側へとめくっていた第2グロメット21の大径筒部23の先端側を上向きの原状に戻し、その先端側面を車体パネルPの車室内面の下面に当接させている。
【0028】
前記車体パネルPの下面に配置される第2グロメット21は、その小径筒部22の外周にテープ34を巻き付けて、該小径筒部22の内部に挿通したワイヤハーネス30に対して位置決め固定していると共に、該第2グロメット21に形成した前記4つのボルト圧入穴24に、4つの前記スタッドボルト31の下部突出部31bを圧入貫通して支持しているため、第2グロメット21のシールリップ部26を車体パネルPの下面に密着させて取り付けることができる。
【0029】
前記構成のグロメット10は、車体パネルPの上方の車室外側Xにおいて、第1グロメット11がスタッドボルト31とナット32、33とで車体パネルPに強固に固定されてシールリップ部15が車体パネルPの上面に確実に密着することにより、優れた防水・防塵性能を備えることができる。一方、車体パネルPの下方の車室内側Yにおいて、第2グロメット21のボルト圧入穴24にスタッドボルト31を圧入して第2グロメット21をスタッドボルト31で支持しているため、第2グロメットの垂れ下がりや脱落を有効に防止でき、第2グロメット21の上端のシールリップ部26を車体パネルPの下面に確実に密着させることができ、遮音性能を高めることができる。
【0030】
また、前記ボルト圧入穴24の内径D1をスタッドボルト31の下部突出部31bの外径D2よりも小径としていることにより、該下部突出部31bの外周面とボルト圧入穴24の内周面との間に隙間が発生せず、互いに密着させることができるため、ボルト圧入穴24を通じて車室内側Yに音漏れすることも有効に防止できる。
【0031】
さらに、図3に示すように、ボルト圧入穴24の貫通方向Aをスタッドボルト31の軸線方向Bに対して非平行としていることにより、ボルト圧入穴24にスタッドボルト31が貫通して該スタッドボルト31の軸線方向Bと同一方向となったボルト圧入穴24は、そのゴム弾性を利用して本来の貫通方向Aに復元しようとする。これにより、スタッドボルト31に対してボルト圧入穴24の強い引っ掛かり力が発生するため、スタッドボルト31による第2グロメット21の支持も安定し、該第2グロメット21の大径側開口端25と車体パネルPとの密着状態を一層安定させることができる。
【0032】
さらに、各スタッドボルト31を第1グロメット11に予め取り付けておき、該スタッドボルト31を車体パネルのボルト穴に通して第2グロメット21の支持用として用いるため、第2グロメット21支持用に別個のボルトを取り付ける必要がなく、部品点数の増加も抑制できる。
【0033】
なお、本発明のグロメットは前記実施形態に限定されず、前記第2グロメットの上端の開口端面からシールリップ部を設けた鍔部を突設せず、開口端面を車体パネルの下面に当接してもよい。さらに、第1グロメットと第2グロメットの車体パネルの両面に当接する開口端の内径は同等でもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 グロメット
11 第1グロメット
14 大径筒部
16 ボルト穴
21 第2グロメット
23 大径筒部
24 ボルト圧入穴
30 ワイヤハーネス
31 スタッドボルト
P 車体パネル
H 貫通穴
BH ボルト穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネス貫通穴を穿設した車体パネルの両面にそれぞれ当接配置する第1グロメットと第2グロメットを備え、
前記第1グロメットと第2グロメットはいずれもワイヤハーネスを密着して挿通しテープ巻き固定する小径筒部と、該小径筒部の一端と連続する大径筒部とを、ゴムまたはエストラマーで一体成形しており、
前記第1、第2グロメットの各大径筒部の先端開口側端面が前記車体パネルの両面に当接配置され、
前記車体パネルのワイヤハーネス貫通穴の周縁に穿設したボルト穴に挿通固定して該車体パネルの両面から突出するスタッドボルトの一側部を、前記第1グロメットに設けたボルト穴に通してナットで固定すると共に、該スタッドボルトの他側部を前記第2グロメットに設けたボルト圧入穴に通して第2グロメットを支持する構成としていることを特徴とする車両用のグロメット。
【請求項2】
水平方向の車体パネルの上方となるエンジンルーム側の車室外側に前記第1グロメットを配置して防水・防塵用グロメットとし、前記第2グロメットを車体パネルの下方となる車室内側に配置して遮音用グロメットとしている請求項1に記載の車両用のグロメット。
【請求項3】
前記第2グロメットの大径筒部の傾斜壁部に前記スタッドボルトより小径とした前記ボルト圧入穴を設け、かつ、該ボルト圧入穴は前記スタッドボルトの軸線方向と非平行に設けている請求項1または請求項2に記載の車両用のグロメット。
【請求項4】
前記第1グロメットの前記大径筒部の開口端の内径より前記第2グロメットの大径筒部の開口端の内径は大とし、かつ、該第1、第2グロメットの大径筒部の開口端の周縁より車体パネルに密着するシールリップ部を突設した鍔部を設けている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用のグロメット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−109829(P2011−109829A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263260(P2009−263260)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】