グローブ補強部材
【課題】 指および/または手を掴み方向に曲げることは可能であるが、過伸展は回避するグローブ補強部材、特にゴールキーパー用グローブのグローブ補強部材を提供する。
【解決手段】 少なくとも1箇所の屈曲領域(10)を備え、この屈曲領域(10)が、グローブ補強部材(1)の少なくとも第1の方向への屈曲は許容するが、少なくとも第2の方向への屈曲は阻止するように湾曲している。さらにグローブ補強部材(1)は、屈曲領域(10)に配置された少なくとも1個のブロッキング部材(60)を備えている。
【解決手段】 少なくとも1箇所の屈曲領域(10)を備え、この屈曲領域(10)が、グローブ補強部材(1)の少なくとも第1の方向への屈曲は許容するが、少なくとも第2の方向への屈曲は阻止するように湾曲している。さらにグローブ補強部材(1)は、屈曲領域(10)に配置された少なくとも1個のブロッキング部材(60)を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグローブ補強部材に関し、掴み方向への屈曲は許容するが、指および/または手の過伸展は回避する、特にゴールキーパー用グローブのための、グローブ補強部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グローブは、断熱効果以外に一般に手を保護する役目を有する。手に対する機械的衝撃を遮断または少なくとも緩衝することによって、負傷が回避される。例えば、作業用グローブは、一般にしっかりした破れない材料で形成されて、手が切れる危険性を軽減している。
【0003】
ゴールキーパー用グローブはいくつかの機能を果たす。手の掌側における掴み易さの改善以外に、鋭くシュートされたボールをゴールマウス外に逸らすときの多大の機械的荷重に対して手を保護することが重要である。ゴールキーパーのグローブに関する特別な危険性は、4本の指または親指の過伸展である。ゴールキーパーが拡げた指でボールをゴールマウス外に逸らそうとする場合、拡げた手のボールが当たった1本または2本の指に衝撃が集中し、したがって指が過伸展する危険性がある。その結果、指または手を痛めたり、骨折したりさえする結果となる。そこで、この数年来、効果的な補強部材を備えたゴールキーパー用グローブおよび手が特に高い荷重を受けるスポーツ用グローブ(例えばスノーボード用グローブ)が提供することが知られてきた。この補強部材は、手を掴み方向に曲げることは可能である。しかしながら補強部材は、拡げた手が反対方向に、すなわち過伸展方向に曲がるのは阻止する。ゴールキーパー用グローブの場合、鋭くシュートされたボールをゴールマウス外に逸らすときに、拡げた手および特に4本の指および親指はグローブによって効果的に支持される。
【0004】
所望の機械的特性を得るために、グローブの背面の或る領域を2層にすることが特許文献1から知られている。一連の非圧縮体が柔軟かつ非屈曲の第1層(例えば適当な薄い金属板)上に配置される。このような背面を備えたグローブは、第1の柔軟な層がこのような変形に対してさほどの抵抗を示さないので、容易に曲げることができる。しかしながら、手およびグローブが伸展されていると、非圧縮体からなる第2層が互いに当接する。第1層の非屈曲性により、グローブの背面が、伸展状態を越えて過伸展方向へ曲がるのが回避される。
【0005】
類似の対策が特許文献2から知られている。ここにはヒンジで連結された複数の部品を備えたグローブ補強部材が開示されている。特許文献2には、それぞれが回転ピンを備え、他端には対応する支え空洞を備えた複数のリンクが開示されている。これらリンクは、2個のリンクの一方向への回転のみが可能であるが、このリンクの鎖は、伸展状態を越えて過伸展方向への動きは阻止するように構成されている。
【0006】
さらに別の構成が特許文献3に示されている。この文献に開示されたグローブ補強部材は、貫通して延びる引っ張り部材上に糸で結ばれた複数のリンクを備えている。この構成は、特許文献1によるグローブの背面の構成に類似しており、例えばワイヤである引っ張り部材が、第1の非屈曲部材の機能を有する。
【0007】
しかしながら、従来技術で知られている、過伸展を効果的に防護するためのすべてのグローブ補強部材は製造が困難である。例えば、上述の複数のリンクがヒンジで連結された構成は、第1ステップで各リンクを製造しなければならない。次に、すべてのリンクを相互連結しなければならない。両手を完全に防護するためには、10個以上の補強部材が必要になり、これは多大の製造努力とそれに付随する高コストを招く。その結果、過伸展を積極的に防護するための機能を有するグローブは、現在まで(セミ)プロ用のための高価なグローブが存在するのみである。特に、子供達が負傷する最大の危険性があるにも拘わらず、子供達のための過伸展防護用グローブを市場が受け入れるコストで製造することは不可能である。
【0008】
特許文献1に記載された背面を備えたグローブのさらなる欠点は、比較的重いことである。他の公知のグローブ補強部材を備えたグローブも同様である。その結果、ゴールキーパーの動きが緩慢になり、出し抜けのシュートには敏速に反応することができない。
【0009】
さらに、公知のグローブ補強部材は一般的に装着心地が悪く、かつ例えば、拳を用いてボールを逸らそうとするときに、指および/または手の背面に圧力点が生じるので、極めて高い荷重が局部的に補強部材にかかる。グローブ製造者等は複雑な緩衝手段によってこの作用を回避するように努力している。しかしながら、このような複雑な緩衝手段はさらに価格を上昇させ、グローブを厚ぼったくし、グローブ補強部材の直接的な支持機能を低下させる。
【0010】
最後に、複数の圧縮不能体またはヒンジの使用は、拳を用いて逸らすときのボールのコントロールを困難にするので、ボールがコントロールされない態様で逸らされることが多い。
【0011】
全く異なる分野、すなわちサッカーシューズの製造においては、湾曲した補強用挿入体を靴底に組み込むことが特許文献4から知られており、上記補強用挿入体は、走るときにはシューズが曲がるのを可能にするが、ボールをシュートするときにはシューズを安定化させる。
【特許文献1】独国特許発明第35 16 545 C2号明細書
【特許文献2】独国実用新案第201 13 431 U1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第100 10 404 A1号明細書
【特許文献4】独国特許発明第27 32 453号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の課題は、上述した従来技術の欠点の少なくとも幾分かを克服し、かつ低価格で製造可能な、過伸展に対する防護のためのグローブ補強部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの実施の形態によれば、この課題は、少なくとも1箇所の屈曲領域を備えた、指および/または手を掴む方向に曲げることは可能であるが、過伸展は回避する、特にゴールキーパー用グローブのためのグローブ補強部材によって解決される。上記屈曲領域は、上記グローブ補強部材の少なくとも第1の方向への屈曲は許容するが、少なくとも第2の方向への屈曲は阻止するように湾曲している。さらに、上記グローブ補強部材は、上記屈曲領域に配置された少なくとも1個のブロッキング部材を備えている。
【0014】
本発明によるグローブ補強部材は、従来技術において用いられたグローブ補強部材とは基本的に異なる機械的原理に基くものである。ヒンジで連結されたリンク、または非屈曲要素または非圧縮要素を備えた材料層に代えて、グローブ補強部材の少なくとも1箇所の屈曲領域が適切に湾曲していることによって、一方向の可屈曲特性が提供される。さらに、グローブ補強部材の屈曲が阻止されるときに、少なくとも1個のブロッキング部材が上記屈曲領域を補強する。
【0015】
最も基本的な実施の形態においては、本発明によるグローブ補強部材の屈曲領域は、樋形状の部品によって実現される。というのは、すでにこのような形状が、グローブ補強部材を上記樋の開放側方向への屈曲を許容するが、使用された材料が破損にさらされる反対方向へ曲げられたときには硬さを保つからである。樋形状の湾曲は一空間方向へのみアーチを描いており、横断面は例えば円弧の一部である曲線を示すが、樋形状の湾曲の縦断面は曲線にならない。したがって、下記に示すすべてのさらなる実施の形態は、適切な湾曲形状によるグローブ補強部材の異方性湾曲特性を提供する基本的原理の随意的な変形に過ぎない。
【0016】
本発明によるグローブ補強部材は、前述した従来技術の構成よりも遥かに容易かつ低価格で作製することができることが明らかである。最も単純な実施の形態においては、適当なプラスチック材料の射出成形によって製造可能な一体化部分が用いられている。個々の部品を組み立てる必要がない。さらに、本発明によるグローブ補強部材は、例えば種々の射出成形金型を用いることによって、種々の指のサイズにも容易に適応可能である。
【0017】
一つの好ましい実施の形態においては、グローブ補強部材の屈曲領域がドーム形状に湾曲、すなわち複数の方向に湾曲している。ドーム形状の湾曲に沿った横断面および縦断面の双方が湾曲した断面線となる。樋形状の断面形状と対照的に、ドーム形状に湾曲していると、屈曲を所定の位置に、すなわち、ドーム形状の湾曲の中心を通って延びる線に沿った位置に限定することができる。
【0018】
特に好ましい実施の形態においては、指および/または手首の関節の部分に屈曲領域が配置される。曲げられた関節(手首または指の関節)は、上方に湾曲した外面を形成するので、グローブ補強部材は、その同一方向に湾曲した形状が、この位置を維持するのにさらなる対策を必要とすることなく、防護すべき関節の上方に来るように確実に配置される。指および/または手の背面側と、その上に配置されるのが好ましいグローブ補強部材との間の形状の一致は、従来技術の傾斜した補強部材に発生するような局部的圧力点を回避する。本発明のグローブ補強部材は、複数の指の関節に当てがわれる複数の屈曲領域を備えているのが好ましい。
【0019】
上記少なくとも1箇所の屈曲領域に隣接して配置されるのが好ましい本質的に剛直な相互連結領域は、樋形状に湾曲しているのが好ましく、さらに変形を回避するために、少なくとも1個の剛直化部材を備えているのが好ましい。屈曲領域とは対称的に、この相互連結領域は、グローブ補強部材が曲げられる方向に関係なく、それが湾曲しているにも拘わらず本質的に剛性のままである。この湾曲形状は、グローブ補強部材が指または手の背面上に効果的に配置されることをも保証する。
【0020】
このグローブ補強部材の簡素な構成は、好ましくは単体としての製造を可能にする。単体のより複雑な特性は、少なくとも2種類のプラスチック材料を用いた多成分射出成形によって実現することができる。例えば、弾性の異なるプラスチック材料は、相互連結領域のためよりも屈曲領域のために用いることができる。
【0021】
従来の補強部材は、永久的な接着または面ファスナー(ベルクロ(登録商標))で正しい位置を保っている。これに対して、本発明によるグローブ補強部材は、グローブのソケット内でスライドするように、適当な材料から作製され、および/または適当なコーティングが施されているのが好ましい。前述のように、湾曲形状を用いると、グローブ補強部材が実質的に自動的に正しい位置にスライドするために、指および/または手の背面側とグローブ補強部材の内部との間の高度の一致が得られる。
【0022】
好ましい実施の形態のように、少なくとも1箇所の屈曲領域および/または少なくとも1箇所の相互連結領域が、指の背面側から横方向に指の周囲に延びていると、自動調節が特に効果的になる。さらに、このような形状は、例えばプレーヤーのサッカーシューズの固いスタッドにより生じる横からの怪我に対して指を防護することができる。さらに、少なくとも1箇所の屈曲領域および/または少なくとも1箇所の相互連結領域が、少なくとも1個のくり抜きを備えていることが考えられる。このようなくり抜きはグローブ補強部材の重量をさらに軽減する。さらに、グローブ補強部材の一部における屈曲特性に選択的に影響を与えることができる。
【0023】
少なくとも1個のブロッキング部材が少なくとも1箇所の屈曲領域上に配置されるのが好ましい。ブロッキング部材は屈曲領域の近傍または下方に配置されることも可能である。少なくとも1個のブロッキング部材が、少なくとも1箇所の屈曲領域上に独立的に配置される少なくとも2個の部品を備えていることはさらに好ましい。2個の部品は、上記グローブ補強部材が第2の方向へ曲げられようとするときに屈曲領域がグローブ補強部材の曲がりを阻止する場合に互いに当接する。上記曲げが上記2個の部品を互いに押し付けて、指の過伸展に対して実質的な付加的な抵抗となる。しかしながら、反対方向へ曲げる場合には、上記2個の部品が互いに離れるので、この曲げが許容される。一つの実施の形態においては、少なくとも1個のブロッキング部材を備えたグローブ補強部材が単体として製造される。あるいは、グローブ補強部材および少なくとも1個のブロッキング部材が、少なくとも2種類のプラスチック材料を用いた多部品射出成形によって実現可能である。
【0024】
好ましい実施の形態においては、少なくとも1個のブロッキング部材が独立した部材である。この少なくとも1個のブロッキング部材は、接着剤、リベット、(高周波)融着、面ファスナーまたはクリップ機構などの種々の手段によってグローブ補強部材に取り付けられる。好ましい実施の形態においては、上記ブロッキング部材が取り付けられる少なくとも1本のピンを備えている。複数のブロッキング部材が存在する場合、またはブロッキング部材が2個以上の独立した部品を備えているときには、2本以上のピンが設けられる。このことは、屈曲領域を補強するためにブロッキング部材が、より硬い材料が好ましい異なる材料から作製されている場合には特に有用である。一つの実施の形態においては、ブロッキング部材を交換することが可能なように、ブロッキング部材が取外し可能にグローブ補強部材に取り付けられる。このことは、例えばグローブ補強部材に発生する特定の荷重または力に対して適応させる場合のように、グローブ補強部材を異なる目的に対して適応させることが必要な場合に有益である。
【0025】
本発明によるグローブ補強部材の好ましい変形がさらに従属請求項に規定されている。
【0026】
さらなる態様によれば、本発明は、上述した実施の形態の一つによるグローブ補強部材を備えたグローブ、特にゴールキーパー用グローブに関する。このグローブは、少なくとも1個のグローブ補強部材が、好ましくは取外し可能な態様で取り付けられる手の背面側のための部材を有していることが好ましい。この手の背面側のための部材は、手の背面側を防護するプレートとして設けられていることが好ましい。このようなグローブは、過伸展に対してのみでなく、例えば使用中にゴールキーパーの手が接触するおそれがあるシューズのスタッドの尖ったエッジによって蒙る怪我に対しても手を防護する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の好ましい実施の形態を、ゴールキーパー用グローブのためのグローブ補強部材を参照して下記に説明する。しかしながら、本発明は、他の形式のグローブ、例えばスノーボード用または作業用グローブのような、4本の指、親指または手全体の過伸展の危険性を含む活動に耐えるグローブにも適用することが可能なことを理解すべきである。
【0028】
図1は、単一のグローブ補強部材1の斜視図を示す。図から明らかなように、2箇所の相互連結領域20によって連結された3個の、著しく上方へ湾曲した領域10がある。前後端には、端部領域30が見受けられる。
【0029】
図1に破線で示されているように、領域10は弾性的に曲げることができ、各領域10は、グローブ補強部材1の下方への屈曲を可能にしている。しかしながら、これらは、反対方向に曲げる場合には、材料破損に対してかなりの抵抗を示す。図1における破線は、対応する屈曲領域10を曲げるときの抵抗線を示す。これらの線は、ドーム形状に湾曲した領域の中心を通って延びていることが解る。しかしながら、屈曲領域10の形状は、抵抗線の場所を大ざっぱに画成しているに過ぎない。したがって、抵抗線の位置は、或る限界内で、屈曲領域10の下方に配置される指(図2参照)の解剖学的状態に適合する。ドーム形状の領域の湾曲が少ないほど、この適合性は大きくなる。独占的に樋形状に湾曲している場合には(図示せず)、グローブ補強部材は、屈曲領域のいずれの場所においても同じ力を用いて下方へ曲げることができる。
【0030】
相互連結領域20は二つの屈曲領域10の間に配置されている。相互連結領域20も湾曲している。しかしながら、この湾曲は、完全に溝状でかつ関節を持たない指部分の背面の輪郭に適合していることが好ましい。リブ21によって剛直にされる相互連結領域20の代わりに、またはそれに加えて、スリーブ状に指の上方に延びる、したがって他のいかなる手段をも設けずに高い剛直性を備えた管状の相互連結領域を配置することも可能である。他の考えられる実施の形態(図示せず)は、湾曲した相互連結面を備えずに、1個または複数の補強リブ21のみを用いている。
【0031】
図1に示された好ましい実施の形態においては、相互連結領域20が指(図1には示されていない)を横方向に回り込んで延び、かつ例えばサッカープレーヤー等のシューズに付けられた硬いスタッドに当たることによって発生する怪我から指を防護している。屈曲領域10における横方向の拡がりは僅かに狭くて曲がりを容易にしている。
【0032】
端部領域30は本質的に相互連結領域20に対応する。しかしながら、両端領域30においては、相互連結領域20上のリブの数に比較して少ない数の補強リブ21を設けることが、例えば図1に示されているように、3個のリブの代わりに1個のリブを設けることが考えられる。
【0033】
図2aは、グローブ(図示せず)の内部に配置された図1に示された補強部材を概略的に示す。図示のように、3個の屈曲領域10が保護されるべき指の3個の関節の上方に配置され、本質的に剛直な相互連結領域20が関節間に延びる直線的な指の骨を覆っている。図2bは、グローブ補強部材1が曲げられた構成を示す。図から明らかなように、弾性的屈曲領域10が曲げられ、ほぼ剛直な相互連結領域20は不変である。かくして、グローブ補強部材自体が、曲げられた指の輪郭にも適合する。その結果、このグローブ補強部材は、指の背面の形状に本質的に対応する形状を内側に有するので、このグローブ補強部材は指の背面に「係止」して自動的に正しい位置に動くかまたはその位置を維持する。
【0034】
このために、このグローブ補強部材は、一般にポケット状の空洞であるグローブの受容部の内部において、或る範囲内で容易にスライドする材料で形成されていると有利である。これは例えば、デュポン(DuPont)社によりテフロン(登録商標)という名称で販売されているものなどのPTFE材料からなる減摩材料のコーティングをグローブ補強部材が備えることによって、および/またはこのような減摩材料をグローブ(図示せず)の受容部の内部にコーティングすることによっても達成することができる。最終的に、ドーム形状の屈曲領域10と樋形状の相互連結領域20とが連なっていることによりグローブ補強部材1が指にぴたりと合う結果として、従来の、指の関節の位置に適合しない硬い、一般的に平板状のリンクを備えた補強部材と比較して、装着心地を著しく向上させることになる。
【0035】
2つの端部領域30は、防護されるべき指の先端および根元よりもそれぞれ僅かに延出しているのが好ましい。このことは、ボール等が指の先端側に当たったとき、発生した荷重がグローブ補強部材1によって直接的に吸収されることにより、さらなる指の防護に繋がる。根元側においては、端部領域30が少なくとも延長部を備えているので、過伸展荷重がグローブ補強部材から確実に手の全体領域に伝播される。
【0036】
図1、図2aおよび図2bはまた、上面を上方に向けたグローブ補強部材1が、リブ21は別として、防護されていない指の輪郭に対応する形状を有する。この特徴は、上面を用いてボールを逸らすために、例えば拳を用いてボールを逸らすために用いることを容易にする。傾斜した形状と多数のエッジを有する比較的厚いかつ固い部材が連なった公知の補強部材とは対照的に、図1、図2aおよび図2bに示されたグローブ補強部材は、より容易にボールを所定の方向へ逸らすことが可能になる。もし必要であれば、剛直化部材であるリブ21は、第2の湾曲面によって外面を覆うことができ、これにより、指(図示せず)の背面の一般的な形状にほぼ完全に一致させて、ボールを逸らすことのコントロ−ル性を向上させることができる。
【0037】
図3は、グローブ補強部材1の端部領域30に配置される付加錘40を示す。この付加錘40は、グローブの動力学的特性に、従ってゴールキーパーの動作に影響を与えることができる。例えば、指の先端の錘が増すと、ゴールキーパーが彼の手の最大守備範囲をカバーするために腕を急速に挙げたときに、発生する遠心力により自動的に手の形状が最大に拡がることになる。
【0038】
この付加錘40は、質量の異なる別の付加錘に交換することができる、あるいは付加錘40を備えていないグローブ補強部材1に、例えばクリッピング、ネジ込み、横方向からの挿入、またはその他の取り外し可能な種々の方法で取り付けることができる。一般的に、付加錘40を恒久的にグローブ補強部材1に組み込むことも考えられる。端部30またはその内部における好ましい配置以外に、付加錘40はグローブ補強部材1のいかなる場所にも配置することもできる。さらに、別の指のための別の付加錘を用いることも考えられる。
【0039】
図4および図5は、本発明の好ましいグローブ補強部材が、グローブ(図示せず)の内部でいかにして完全な防護システムにうまく組み込まれているかを示す図である。この目的を達成するために、手の背面側のためのプレート50に取外し可能に連結された、各4本の指のための、必要であれば親指のための(図示せず)グローブ補強部材1が示されている。付加錘40に関して既に述べたように、当業者には多くの取付け方法が知られている。重要なことは、個々のグローブ補強部材1に発生した荷重を手の背面側にあるプレート50に確実に伝達するために、十分に安定した相互連結がなされることである。図4および図5に示された実施の形態においては、複数のグローブ補強部材1が前方からそれぞれソケット52内に挿入され、これらソケット52は、必要であれば適当な係止手段を備え得る補強板53によって上面側を閉鎖されている。グローブ補強部材1の後端部30とソケット52とは嵌合状態で接触しているのが好ましく、これにより所望の安定性が得られる。
【0040】
手の背面のためのプレート50は、手の背面全体を覆っていることが好ましく、さらにこのプレート50は、例えばゴールキーパーの平らな手をプレーヤーがシューズのスタッドで踏んだ場合に手を防護する。図5の側面図から明らかなように、手の背面のためのプレート50はまた、その後部で手を横方向に覆って手にうまく嵌まり、手の側面をも防護する。図4および図5には示されていないが、手の背面を防護するためのプレートは、図1〜図3に示された個々のグローブ補強部材1が指の関節を防護しているのと同様の態様で、過伸展に対して手首を防護するために、湾曲した屈曲領域を後部に備えていてもよい。
【0041】
上述のグローブ補強部材の実施の形態は、射出成形によって作製された単一のプラスチック部材として製造されることが好ましい。押出成形プラスチック材料による製造も考えられる。双方の方法は、極めて低い製造コストおよび軽量であり、射出成形のための適応した金型を用いることにより、例えば子供用グローブを含む種々のサイズに容易に適応することができる。適当なプラスチック材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリプロピレン(PP)である。或る期間使用後に支持機能が低下しても、熱等を加えることにより初期状態に戻すことが可能な形状記憶材料を用いることも考えられる。しかしながら、射出成形による極めて費用効率の良い製造はまた、上記グローブ補強部材を消耗部品として用いることも可能である。その場合、曲がりっきりになった、またはもはや十分に安定でなくなったグローブ補強部材は単に交換すればよい。
【0042】
より進歩した実施の形態を提供するために、単体であることが好ましいグローブ補強部材は、2種類以上のプラスチック材料の多成分射出成形によっても製造することができる。例えば、相互連結領域20用には、より硬いプラスチック材料を用い、屈曲領域10には、特に子供用グローブには、特に柔軟で弾性のある材料を用いることができる。多成分射出成形は、1個または複数のノズルを同時または順次用いて行なうことができる。あるいは、予め独立して製造されたグローブ補強部材の複数の部品の周囲にプラスチック材料を射出することもできる。例えば、十分に硬い材料(例えば、金属または炭素繊維を含む複合材料)から作製された相互連結領域20を、屈曲領域10を形成する柔軟なプラスチック材料で覆ってもよい。
【0043】
上述の実施の形態は、グローブ補強部材の一部分にくり抜きを選択的に配置する(図示せず)ことによって修正することもできる。くり抜きは曲がり特性に影響を与えることを可能にする。さらに全体の重量を軽くする。材料の選択のみでなく、くり抜きの配置および上述のグローブ補強部材の正確な形状は、有限要素解析法によって容易に最適化することができる。
【0044】
図6は、本発明のさらなる好ましい実施の形態によるグローブ補強部材1の斜視図である。図から明らかなように、このグローブ補強部材1は、屈曲領域10に配置された付加的なブロッキング部材60を備えている。このブロッキング部材60は、グローブ補強部材1が第1の方向(図1に破線で示されている)へ曲がるのを許容するが、第2の方向(図1に破線で示されている方向とは反対の方向)へ曲がるのを阻止して屈曲領域10を防護する。その結果、阻止できる最大荷重または力が増大する。
【0045】
ブロッキング部材60は、屈曲領域10の頂部に配置されているのが好ましい。あるいは、ブロッキング部材60が、屈曲領域10の他の適当な部位に配置されていてもよい。ブロッキング部材60は、屈曲領域10の一部を覆っていても、屈曲領域10の全体を覆っていてもよい。さらに、ブロッキング部材60が相互連結領域20内に延びていても、あるいは一つの屈曲領域10から他の屈曲領域10まで延びていてもよい。
【0046】
図6から明らかなように、ブロッキング部材60が二つの部品61,62からなるのが好ましい。グローブ補強部材1が上記第2の方向に曲げられる場合、二つの部品61,62が互いに当接して、さらなる曲がりが阻止される。曲がりにより二つの部品61,62が互いに押し付けられて、指の過伸展に対する実質的な付加的抵抗を提供する。しかしながら、上記第1の方向への曲がりは、二つの部品61,62が互いに離れるので許容される。
【0047】
図6の実施の形態においては、グローブ補強部材1の初期状態において、すなわち曲げられていない状態で、二つの部品61,62がギャップ63によって隔離されている。ギャップ63の幅は様々なであってよく、無限に狭くなり得る。二つの部品61,62はまた互いに直接当接する。さらに、二つの部品61,62は、それらがグローブ補強部材1を上記第1の方向に、すなわち掴み方向に予め曲げるように配置することもできる。
【0048】
あるいは、ブロッキング部材60が3個以上の部品からなっていてもよい。さらに別の実施の形態においては、ブロッキング部材60が、グローブ補強部材1の上記第1の方向への曲がりを許容し、かつ上記第2の方向への曲がりを阻止するように構成された単体である。
【0049】
図6に示されているように、ブロッキング部材60はドーム形状に湾曲している。このようにして、ブロッキング部材60は、他のプレーヤーが怪我をする危険性を軽減し、かつボールを逸らすときの制御性を改善するようにグローブ補強部材1全体の形状に順応している。
【0050】
ブロッキング部材60およびグローブ補強部材1は、1回の射出形成工程中に一体に製造されることが好ましい。双方の部材に同じ材料が用いられるのが好ましい。あるいは、1個または2個の金型を用いた異なる材料の同時射出成形によってもよい。この場合、ブロッキング部材60は、屈曲領域10を補強するために、グローブ補強部材1よりも硬い材料からなることが好ましい。
【0051】
図7は図6のグローブ補強部材1の側面図である。図7には、グローブ補強部材1の初期状態におけるブロッキング部材60の二つの部品61,62の間のギャップ63を明白に示している。上記のように、ギャップ63は無限に狭くなり、すなわち二つの部品61,62が互いに直接当接してもよい。本図はまた、頂面側と底面側とで異なるブロッキング部材60の上述したドーム形状の湾曲を示している。
【0052】
図8は図6のグローブ補強部材1の正面図を示す。この方向からも、ブロッキング部材60がドーム形状に湾曲しているのを見ることができる。
【0053】
ブロッキング部材60がグローブ補強部材1に取り付けられた独立した部材である本発明のさらなる実施の形態が図9に示されている。独立した部材を用いることは、下記に詳細に説明するように、厳密に適合した材料の使用およびブロッキング部材の交換のような種々の利点が得られる。
【0054】
ブロッキング部材60は、接着、リベット、面ファスナーまたはクリップ機構などの種々の手段によってグローブ補強部材に取り付けることができる。図9に示された実施の形態においては、グローブ補強部材1がブロッキング部材60を取り付ける複数のピン91を備えている。これらのピン91は屈曲領域10に、またはブロッキング部材60が延びる他のいかなる領域にも配置することができる。ピン91はグローブ補強部材1と一体の部分であることが好ましい。あるいは、ピンがブロッキング部材60側に配置され、グローブ補強部材1側に対応する孔が設けられていてもよい。
【0055】
図9の好ましい実施の形態においては、一対のピン91が屈曲領域10の最大屈曲部の各側に配置されている。ブロッキング部材60は2対のピン91上に取り付けられる。このようなピン91の配置がブロッキング部材60を伴わない図10にも示されている。グローブ補強部材1に対してブロッキング部材60が4本のピン91で取り付けられている構成の代わりに、これよりも少ないまたは多い数のピン91を用いてもよい。
【0056】
少なくとも一つのブロッキング部材60は、グローブ補強部材1と同一の材料で製造することができる。あるいはブロッキング部材60は、金属または複合材料を含むより硬い材料であることが好ましい別の材料で製造される。別の実施の形態においては、ブロッキング部材60自体が複数の材料を含むことができる。例えば、ブロッキング部材60が、屈曲領域10の補強作用を最大にするための硬い下部層と、使用中にグローブ補強部材1が当接する他の物体に対する衝撃を最少にするための柔らかい上部層とを備えることもできる。
【0057】
一つの実施の形態においては、ブロッキング部材60およびグローブ補強部材1が、加熱または押圧によって互いに永久的に取り付けられるようなプラスチック材料から作製される。
【0058】
ブロッキング部材60の交換が可能なように、ブロッキング部材がグローブ補強部材1に取外し可能に取り付けられていればさらに好ましい。このことは、グローブ補強部材1を異なる目的に適合させることが必要な場合に、例えばグローブ補強部材1に発生する特定の荷重または力に適合させる場合に有用である。この目的のために、異なる機械的特性を備えたブロッキング部材60が用いられる。さらに、取外し可能なロッキング部材60は、特定の機械的特性を有するが、一定の使用後は磨耗のために交換を必要とするような材料を用いることができる。例えば、ゴールキーパーは、練習中には指の防護性を向上させるために、より硬いブロッキング部材を好む。一方、試合中には、ボールに対するより良い感触を得るために、彼はより柔らかいブロッキング部材を好む。
【0059】
図11は、好ましい実施の形態によるブロッキング部材60の斜視図である。図から明らかなように、このブロッキング部材60は、二つの部品61および62からなる。さらにこのブロッキング部材60は、グローブ補強部材1の複数のピン91に対応する複数の孔121を備えている。図11はまた、ブロッキング部材60のドーム形状に湾曲した頂面を示している。
【0060】
図12は、図11のブロッキング部材60の底面図である。図から明らかなように、ブロッキング部材60の底面側もドーム形状に湾曲している。好ましい実施の形態においては、ブロッキング部材60の底面およびグローブ補強部材1の屈曲領域10は、両者の取付けを容易にするために、ほぼ同様にドーム形状に湾曲している。図12から認識されるように、ブロッキング部材60は、その底面側に窪み132を備え、これにより、これら窪み132が、グローブ補強部材1上の屈曲領域10内に延びるリブ21(図12には示されていないが図1に示されている)に一致する。
【0061】
図12にはまた、ブロッキング部材60の底面の中間部における凹部131が示されている。上述のように、屈曲領域10は屈曲時に、特に屈曲領域10の中心線に沿って異なる形状に変形する。上記凹部131は屈曲領域10が膨らみ得る空間を提供する。したがって、凹部131は屈曲領域10の屈曲を容易にする。さらに凹部131は、ブロッキング部材60を外すときにブロッキング部材60上に応力が発生しないようにする。
【0062】
凹部131はまた、グローブ補強部材1上の屈曲領域10の拡大斜視図である図13にも示されている。図から明らかなように、凹部131は、屈曲領域10とブロッキング部材60の底面との間に空間を残している。この図では、グローブ補強部材1が曲げられていない。上述のように、屈曲領域10は、屈曲時に徐々に凹部131内に膨らむ。図13は、ブロッキング部材60の長手方向と横方向とで、および上面と底面とで異なる湾曲を示している。
【0063】
図13からも明らかなように、ピン91は少なくとも1個のブロッキング部材60の外方へ突出することができる。少なくとも1個のブロッキング部材60が1本のピン91上に嵌められると、ピン91の先端は、例えば超音波溶融によって熱せられ、かつ下方へ押圧される。次に熱せられたピンのプラスチック材料が変形されて、ブロッキング部材の外れが回避される。ピンの先端のプラスチック材料は、ピン91のための孔121の上端の円錐形拡径部によって与えられた、図11にも見受けられるような凹部内に潰されるのが好ましい。これによって、上記少なくとも1個のブロッキング部材60がグローブ補強部材1上に固定され、ブロッキング部材60の上面とピン91の上端面とが面一(つらいち)であるのが好ましい最終状態(図13には示されていない)になる。
【0064】
上述のグローブ補強部材1は、取外し可能な態様でグローブ内に取り付けられているのが好ましい。これにより、複数の個人個人に対する適合可能性が生まれる。例えば、もし或るゴールキーパーが指を曲げ易いグローブを好むならば、より硬いグローブ補強部材をより柔らかいグローブ補強部材と交換すればよい。長さ、幅のバリエーションに対する個人的適合の外に、指の太さにも適合可能である。最後に、もしグローブ補強部材がグローブの背面上の透明なポケットに配置されているとすると、グローブとの視覚的な色彩の適合が可能である。さらに、グローブ内に取外し可能に取り付けられていることは、たとえ試合中であっても、ゴールキーパーが、破損した、または硬さが不十分になったグローブ補強部材を直ちに取り替えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるグローブ補強部材の好ましい実施の形態の概略的斜視図
【図2a】図1のグローブ補強部材がグローブ(図示せず)内において指の背面側に配置された状態を示す図
【図2b】手が掴み方向に曲げられた場合の図2aのグローブ補強部材を示す図
【図3】図1および図2の実施の形態の一端に付加錘が取り付けられる状態を示す図
【図4】図1〜図3のグローブ補強部材の複数が、手の背面のためのプレートに取外し可能に取り付けられた状態を示す図
【図5】図4の手の背面のためのプレートと、取りつけられたグローブ補強部材とを示す側面図
【図6】本発明の他の実施の形態によるブロッキング部材を備えたグローブ補強部材の斜視図
【図7】図6のグローブ補強部材の側面図
【図8】図6のグローブ補強部材の正面図
【図9】本発明の他の実施の形態による、ピンおよび独立したブロッキング部材を備えたグローブ補強部材の斜視図
【図10】ブロッキング部材を取り外した図9のグローブ補強部材の斜視図
【図11】ブロッキング部材の斜視図
【図12】図11のブロッキング部材の底面図
【図13】図9のグローブ補強部材の屈曲領域の拡大斜視図
【符号の説明】
【0066】
1 グローブ補強部材
10 屈曲領域
20 相互連結領域
21 リブ(剛直化部材)
30 端部領域
40 付加錘
50 プレート
52 ソケット
60 ブロッキング部材
61,62 ブロッキング部材の部品
91 ピン
【技術分野】
【0001】
本発明はグローブ補強部材に関し、掴み方向への屈曲は許容するが、指および/または手の過伸展は回避する、特にゴールキーパー用グローブのための、グローブ補強部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グローブは、断熱効果以外に一般に手を保護する役目を有する。手に対する機械的衝撃を遮断または少なくとも緩衝することによって、負傷が回避される。例えば、作業用グローブは、一般にしっかりした破れない材料で形成されて、手が切れる危険性を軽減している。
【0003】
ゴールキーパー用グローブはいくつかの機能を果たす。手の掌側における掴み易さの改善以外に、鋭くシュートされたボールをゴールマウス外に逸らすときの多大の機械的荷重に対して手を保護することが重要である。ゴールキーパーのグローブに関する特別な危険性は、4本の指または親指の過伸展である。ゴールキーパーが拡げた指でボールをゴールマウス外に逸らそうとする場合、拡げた手のボールが当たった1本または2本の指に衝撃が集中し、したがって指が過伸展する危険性がある。その結果、指または手を痛めたり、骨折したりさえする結果となる。そこで、この数年来、効果的な補強部材を備えたゴールキーパー用グローブおよび手が特に高い荷重を受けるスポーツ用グローブ(例えばスノーボード用グローブ)が提供することが知られてきた。この補強部材は、手を掴み方向に曲げることは可能である。しかしながら補強部材は、拡げた手が反対方向に、すなわち過伸展方向に曲がるのは阻止する。ゴールキーパー用グローブの場合、鋭くシュートされたボールをゴールマウス外に逸らすときに、拡げた手および特に4本の指および親指はグローブによって効果的に支持される。
【0004】
所望の機械的特性を得るために、グローブの背面の或る領域を2層にすることが特許文献1から知られている。一連の非圧縮体が柔軟かつ非屈曲の第1層(例えば適当な薄い金属板)上に配置される。このような背面を備えたグローブは、第1の柔軟な層がこのような変形に対してさほどの抵抗を示さないので、容易に曲げることができる。しかしながら、手およびグローブが伸展されていると、非圧縮体からなる第2層が互いに当接する。第1層の非屈曲性により、グローブの背面が、伸展状態を越えて過伸展方向へ曲がるのが回避される。
【0005】
類似の対策が特許文献2から知られている。ここにはヒンジで連結された複数の部品を備えたグローブ補強部材が開示されている。特許文献2には、それぞれが回転ピンを備え、他端には対応する支え空洞を備えた複数のリンクが開示されている。これらリンクは、2個のリンクの一方向への回転のみが可能であるが、このリンクの鎖は、伸展状態を越えて過伸展方向への動きは阻止するように構成されている。
【0006】
さらに別の構成が特許文献3に示されている。この文献に開示されたグローブ補強部材は、貫通して延びる引っ張り部材上に糸で結ばれた複数のリンクを備えている。この構成は、特許文献1によるグローブの背面の構成に類似しており、例えばワイヤである引っ張り部材が、第1の非屈曲部材の機能を有する。
【0007】
しかしながら、従来技術で知られている、過伸展を効果的に防護するためのすべてのグローブ補強部材は製造が困難である。例えば、上述の複数のリンクがヒンジで連結された構成は、第1ステップで各リンクを製造しなければならない。次に、すべてのリンクを相互連結しなければならない。両手を完全に防護するためには、10個以上の補強部材が必要になり、これは多大の製造努力とそれに付随する高コストを招く。その結果、過伸展を積極的に防護するための機能を有するグローブは、現在まで(セミ)プロ用のための高価なグローブが存在するのみである。特に、子供達が負傷する最大の危険性があるにも拘わらず、子供達のための過伸展防護用グローブを市場が受け入れるコストで製造することは不可能である。
【0008】
特許文献1に記載された背面を備えたグローブのさらなる欠点は、比較的重いことである。他の公知のグローブ補強部材を備えたグローブも同様である。その結果、ゴールキーパーの動きが緩慢になり、出し抜けのシュートには敏速に反応することができない。
【0009】
さらに、公知のグローブ補強部材は一般的に装着心地が悪く、かつ例えば、拳を用いてボールを逸らそうとするときに、指および/または手の背面に圧力点が生じるので、極めて高い荷重が局部的に補強部材にかかる。グローブ製造者等は複雑な緩衝手段によってこの作用を回避するように努力している。しかしながら、このような複雑な緩衝手段はさらに価格を上昇させ、グローブを厚ぼったくし、グローブ補強部材の直接的な支持機能を低下させる。
【0010】
最後に、複数の圧縮不能体またはヒンジの使用は、拳を用いて逸らすときのボールのコントロールを困難にするので、ボールがコントロールされない態様で逸らされることが多い。
【0011】
全く異なる分野、すなわちサッカーシューズの製造においては、湾曲した補強用挿入体を靴底に組み込むことが特許文献4から知られており、上記補強用挿入体は、走るときにはシューズが曲がるのを可能にするが、ボールをシュートするときにはシューズを安定化させる。
【特許文献1】独国特許発明第35 16 545 C2号明細書
【特許文献2】独国実用新案第201 13 431 U1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第100 10 404 A1号明細書
【特許文献4】独国特許発明第27 32 453号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の課題は、上述した従来技術の欠点の少なくとも幾分かを克服し、かつ低価格で製造可能な、過伸展に対する防護のためのグローブ補強部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの実施の形態によれば、この課題は、少なくとも1箇所の屈曲領域を備えた、指および/または手を掴む方向に曲げることは可能であるが、過伸展は回避する、特にゴールキーパー用グローブのためのグローブ補強部材によって解決される。上記屈曲領域は、上記グローブ補強部材の少なくとも第1の方向への屈曲は許容するが、少なくとも第2の方向への屈曲は阻止するように湾曲している。さらに、上記グローブ補強部材は、上記屈曲領域に配置された少なくとも1個のブロッキング部材を備えている。
【0014】
本発明によるグローブ補強部材は、従来技術において用いられたグローブ補強部材とは基本的に異なる機械的原理に基くものである。ヒンジで連結されたリンク、または非屈曲要素または非圧縮要素を備えた材料層に代えて、グローブ補強部材の少なくとも1箇所の屈曲領域が適切に湾曲していることによって、一方向の可屈曲特性が提供される。さらに、グローブ補強部材の屈曲が阻止されるときに、少なくとも1個のブロッキング部材が上記屈曲領域を補強する。
【0015】
最も基本的な実施の形態においては、本発明によるグローブ補強部材の屈曲領域は、樋形状の部品によって実現される。というのは、すでにこのような形状が、グローブ補強部材を上記樋の開放側方向への屈曲を許容するが、使用された材料が破損にさらされる反対方向へ曲げられたときには硬さを保つからである。樋形状の湾曲は一空間方向へのみアーチを描いており、横断面は例えば円弧の一部である曲線を示すが、樋形状の湾曲の縦断面は曲線にならない。したがって、下記に示すすべてのさらなる実施の形態は、適切な湾曲形状によるグローブ補強部材の異方性湾曲特性を提供する基本的原理の随意的な変形に過ぎない。
【0016】
本発明によるグローブ補強部材は、前述した従来技術の構成よりも遥かに容易かつ低価格で作製することができることが明らかである。最も単純な実施の形態においては、適当なプラスチック材料の射出成形によって製造可能な一体化部分が用いられている。個々の部品を組み立てる必要がない。さらに、本発明によるグローブ補強部材は、例えば種々の射出成形金型を用いることによって、種々の指のサイズにも容易に適応可能である。
【0017】
一つの好ましい実施の形態においては、グローブ補強部材の屈曲領域がドーム形状に湾曲、すなわち複数の方向に湾曲している。ドーム形状の湾曲に沿った横断面および縦断面の双方が湾曲した断面線となる。樋形状の断面形状と対照的に、ドーム形状に湾曲していると、屈曲を所定の位置に、すなわち、ドーム形状の湾曲の中心を通って延びる線に沿った位置に限定することができる。
【0018】
特に好ましい実施の形態においては、指および/または手首の関節の部分に屈曲領域が配置される。曲げられた関節(手首または指の関節)は、上方に湾曲した外面を形成するので、グローブ補強部材は、その同一方向に湾曲した形状が、この位置を維持するのにさらなる対策を必要とすることなく、防護すべき関節の上方に来るように確実に配置される。指および/または手の背面側と、その上に配置されるのが好ましいグローブ補強部材との間の形状の一致は、従来技術の傾斜した補強部材に発生するような局部的圧力点を回避する。本発明のグローブ補強部材は、複数の指の関節に当てがわれる複数の屈曲領域を備えているのが好ましい。
【0019】
上記少なくとも1箇所の屈曲領域に隣接して配置されるのが好ましい本質的に剛直な相互連結領域は、樋形状に湾曲しているのが好ましく、さらに変形を回避するために、少なくとも1個の剛直化部材を備えているのが好ましい。屈曲領域とは対称的に、この相互連結領域は、グローブ補強部材が曲げられる方向に関係なく、それが湾曲しているにも拘わらず本質的に剛性のままである。この湾曲形状は、グローブ補強部材が指または手の背面上に効果的に配置されることをも保証する。
【0020】
このグローブ補強部材の簡素な構成は、好ましくは単体としての製造を可能にする。単体のより複雑な特性は、少なくとも2種類のプラスチック材料を用いた多成分射出成形によって実現することができる。例えば、弾性の異なるプラスチック材料は、相互連結領域のためよりも屈曲領域のために用いることができる。
【0021】
従来の補強部材は、永久的な接着または面ファスナー(ベルクロ(登録商標))で正しい位置を保っている。これに対して、本発明によるグローブ補強部材は、グローブのソケット内でスライドするように、適当な材料から作製され、および/または適当なコーティングが施されているのが好ましい。前述のように、湾曲形状を用いると、グローブ補強部材が実質的に自動的に正しい位置にスライドするために、指および/または手の背面側とグローブ補強部材の内部との間の高度の一致が得られる。
【0022】
好ましい実施の形態のように、少なくとも1箇所の屈曲領域および/または少なくとも1箇所の相互連結領域が、指の背面側から横方向に指の周囲に延びていると、自動調節が特に効果的になる。さらに、このような形状は、例えばプレーヤーのサッカーシューズの固いスタッドにより生じる横からの怪我に対して指を防護することができる。さらに、少なくとも1箇所の屈曲領域および/または少なくとも1箇所の相互連結領域が、少なくとも1個のくり抜きを備えていることが考えられる。このようなくり抜きはグローブ補強部材の重量をさらに軽減する。さらに、グローブ補強部材の一部における屈曲特性に選択的に影響を与えることができる。
【0023】
少なくとも1個のブロッキング部材が少なくとも1箇所の屈曲領域上に配置されるのが好ましい。ブロッキング部材は屈曲領域の近傍または下方に配置されることも可能である。少なくとも1個のブロッキング部材が、少なくとも1箇所の屈曲領域上に独立的に配置される少なくとも2個の部品を備えていることはさらに好ましい。2個の部品は、上記グローブ補強部材が第2の方向へ曲げられようとするときに屈曲領域がグローブ補強部材の曲がりを阻止する場合に互いに当接する。上記曲げが上記2個の部品を互いに押し付けて、指の過伸展に対して実質的な付加的な抵抗となる。しかしながら、反対方向へ曲げる場合には、上記2個の部品が互いに離れるので、この曲げが許容される。一つの実施の形態においては、少なくとも1個のブロッキング部材を備えたグローブ補強部材が単体として製造される。あるいは、グローブ補強部材および少なくとも1個のブロッキング部材が、少なくとも2種類のプラスチック材料を用いた多部品射出成形によって実現可能である。
【0024】
好ましい実施の形態においては、少なくとも1個のブロッキング部材が独立した部材である。この少なくとも1個のブロッキング部材は、接着剤、リベット、(高周波)融着、面ファスナーまたはクリップ機構などの種々の手段によってグローブ補強部材に取り付けられる。好ましい実施の形態においては、上記ブロッキング部材が取り付けられる少なくとも1本のピンを備えている。複数のブロッキング部材が存在する場合、またはブロッキング部材が2個以上の独立した部品を備えているときには、2本以上のピンが設けられる。このことは、屈曲領域を補強するためにブロッキング部材が、より硬い材料が好ましい異なる材料から作製されている場合には特に有用である。一つの実施の形態においては、ブロッキング部材を交換することが可能なように、ブロッキング部材が取外し可能にグローブ補強部材に取り付けられる。このことは、例えばグローブ補強部材に発生する特定の荷重または力に対して適応させる場合のように、グローブ補強部材を異なる目的に対して適応させることが必要な場合に有益である。
【0025】
本発明によるグローブ補強部材の好ましい変形がさらに従属請求項に規定されている。
【0026】
さらなる態様によれば、本発明は、上述した実施の形態の一つによるグローブ補強部材を備えたグローブ、特にゴールキーパー用グローブに関する。このグローブは、少なくとも1個のグローブ補強部材が、好ましくは取外し可能な態様で取り付けられる手の背面側のための部材を有していることが好ましい。この手の背面側のための部材は、手の背面側を防護するプレートとして設けられていることが好ましい。このようなグローブは、過伸展に対してのみでなく、例えば使用中にゴールキーパーの手が接触するおそれがあるシューズのスタッドの尖ったエッジによって蒙る怪我に対しても手を防護する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の好ましい実施の形態を、ゴールキーパー用グローブのためのグローブ補強部材を参照して下記に説明する。しかしながら、本発明は、他の形式のグローブ、例えばスノーボード用または作業用グローブのような、4本の指、親指または手全体の過伸展の危険性を含む活動に耐えるグローブにも適用することが可能なことを理解すべきである。
【0028】
図1は、単一のグローブ補強部材1の斜視図を示す。図から明らかなように、2箇所の相互連結領域20によって連結された3個の、著しく上方へ湾曲した領域10がある。前後端には、端部領域30が見受けられる。
【0029】
図1に破線で示されているように、領域10は弾性的に曲げることができ、各領域10は、グローブ補強部材1の下方への屈曲を可能にしている。しかしながら、これらは、反対方向に曲げる場合には、材料破損に対してかなりの抵抗を示す。図1における破線は、対応する屈曲領域10を曲げるときの抵抗線を示す。これらの線は、ドーム形状に湾曲した領域の中心を通って延びていることが解る。しかしながら、屈曲領域10の形状は、抵抗線の場所を大ざっぱに画成しているに過ぎない。したがって、抵抗線の位置は、或る限界内で、屈曲領域10の下方に配置される指(図2参照)の解剖学的状態に適合する。ドーム形状の領域の湾曲が少ないほど、この適合性は大きくなる。独占的に樋形状に湾曲している場合には(図示せず)、グローブ補強部材は、屈曲領域のいずれの場所においても同じ力を用いて下方へ曲げることができる。
【0030】
相互連結領域20は二つの屈曲領域10の間に配置されている。相互連結領域20も湾曲している。しかしながら、この湾曲は、完全に溝状でかつ関節を持たない指部分の背面の輪郭に適合していることが好ましい。リブ21によって剛直にされる相互連結領域20の代わりに、またはそれに加えて、スリーブ状に指の上方に延びる、したがって他のいかなる手段をも設けずに高い剛直性を備えた管状の相互連結領域を配置することも可能である。他の考えられる実施の形態(図示せず)は、湾曲した相互連結面を備えずに、1個または複数の補強リブ21のみを用いている。
【0031】
図1に示された好ましい実施の形態においては、相互連結領域20が指(図1には示されていない)を横方向に回り込んで延び、かつ例えばサッカープレーヤー等のシューズに付けられた硬いスタッドに当たることによって発生する怪我から指を防護している。屈曲領域10における横方向の拡がりは僅かに狭くて曲がりを容易にしている。
【0032】
端部領域30は本質的に相互連結領域20に対応する。しかしながら、両端領域30においては、相互連結領域20上のリブの数に比較して少ない数の補強リブ21を設けることが、例えば図1に示されているように、3個のリブの代わりに1個のリブを設けることが考えられる。
【0033】
図2aは、グローブ(図示せず)の内部に配置された図1に示された補強部材を概略的に示す。図示のように、3個の屈曲領域10が保護されるべき指の3個の関節の上方に配置され、本質的に剛直な相互連結領域20が関節間に延びる直線的な指の骨を覆っている。図2bは、グローブ補強部材1が曲げられた構成を示す。図から明らかなように、弾性的屈曲領域10が曲げられ、ほぼ剛直な相互連結領域20は不変である。かくして、グローブ補強部材自体が、曲げられた指の輪郭にも適合する。その結果、このグローブ補強部材は、指の背面の形状に本質的に対応する形状を内側に有するので、このグローブ補強部材は指の背面に「係止」して自動的に正しい位置に動くかまたはその位置を維持する。
【0034】
このために、このグローブ補強部材は、一般にポケット状の空洞であるグローブの受容部の内部において、或る範囲内で容易にスライドする材料で形成されていると有利である。これは例えば、デュポン(DuPont)社によりテフロン(登録商標)という名称で販売されているものなどのPTFE材料からなる減摩材料のコーティングをグローブ補強部材が備えることによって、および/またはこのような減摩材料をグローブ(図示せず)の受容部の内部にコーティングすることによっても達成することができる。最終的に、ドーム形状の屈曲領域10と樋形状の相互連結領域20とが連なっていることによりグローブ補強部材1が指にぴたりと合う結果として、従来の、指の関節の位置に適合しない硬い、一般的に平板状のリンクを備えた補強部材と比較して、装着心地を著しく向上させることになる。
【0035】
2つの端部領域30は、防護されるべき指の先端および根元よりもそれぞれ僅かに延出しているのが好ましい。このことは、ボール等が指の先端側に当たったとき、発生した荷重がグローブ補強部材1によって直接的に吸収されることにより、さらなる指の防護に繋がる。根元側においては、端部領域30が少なくとも延長部を備えているので、過伸展荷重がグローブ補強部材から確実に手の全体領域に伝播される。
【0036】
図1、図2aおよび図2bはまた、上面を上方に向けたグローブ補強部材1が、リブ21は別として、防護されていない指の輪郭に対応する形状を有する。この特徴は、上面を用いてボールを逸らすために、例えば拳を用いてボールを逸らすために用いることを容易にする。傾斜した形状と多数のエッジを有する比較的厚いかつ固い部材が連なった公知の補強部材とは対照的に、図1、図2aおよび図2bに示されたグローブ補強部材は、より容易にボールを所定の方向へ逸らすことが可能になる。もし必要であれば、剛直化部材であるリブ21は、第2の湾曲面によって外面を覆うことができ、これにより、指(図示せず)の背面の一般的な形状にほぼ完全に一致させて、ボールを逸らすことのコントロ−ル性を向上させることができる。
【0037】
図3は、グローブ補強部材1の端部領域30に配置される付加錘40を示す。この付加錘40は、グローブの動力学的特性に、従ってゴールキーパーの動作に影響を与えることができる。例えば、指の先端の錘が増すと、ゴールキーパーが彼の手の最大守備範囲をカバーするために腕を急速に挙げたときに、発生する遠心力により自動的に手の形状が最大に拡がることになる。
【0038】
この付加錘40は、質量の異なる別の付加錘に交換することができる、あるいは付加錘40を備えていないグローブ補強部材1に、例えばクリッピング、ネジ込み、横方向からの挿入、またはその他の取り外し可能な種々の方法で取り付けることができる。一般的に、付加錘40を恒久的にグローブ補強部材1に組み込むことも考えられる。端部30またはその内部における好ましい配置以外に、付加錘40はグローブ補強部材1のいかなる場所にも配置することもできる。さらに、別の指のための別の付加錘を用いることも考えられる。
【0039】
図4および図5は、本発明の好ましいグローブ補強部材が、グローブ(図示せず)の内部でいかにして完全な防護システムにうまく組み込まれているかを示す図である。この目的を達成するために、手の背面側のためのプレート50に取外し可能に連結された、各4本の指のための、必要であれば親指のための(図示せず)グローブ補強部材1が示されている。付加錘40に関して既に述べたように、当業者には多くの取付け方法が知られている。重要なことは、個々のグローブ補強部材1に発生した荷重を手の背面側にあるプレート50に確実に伝達するために、十分に安定した相互連結がなされることである。図4および図5に示された実施の形態においては、複数のグローブ補強部材1が前方からそれぞれソケット52内に挿入され、これらソケット52は、必要であれば適当な係止手段を備え得る補強板53によって上面側を閉鎖されている。グローブ補強部材1の後端部30とソケット52とは嵌合状態で接触しているのが好ましく、これにより所望の安定性が得られる。
【0040】
手の背面のためのプレート50は、手の背面全体を覆っていることが好ましく、さらにこのプレート50は、例えばゴールキーパーの平らな手をプレーヤーがシューズのスタッドで踏んだ場合に手を防護する。図5の側面図から明らかなように、手の背面のためのプレート50はまた、その後部で手を横方向に覆って手にうまく嵌まり、手の側面をも防護する。図4および図5には示されていないが、手の背面を防護するためのプレートは、図1〜図3に示された個々のグローブ補強部材1が指の関節を防護しているのと同様の態様で、過伸展に対して手首を防護するために、湾曲した屈曲領域を後部に備えていてもよい。
【0041】
上述のグローブ補強部材の実施の形態は、射出成形によって作製された単一のプラスチック部材として製造されることが好ましい。押出成形プラスチック材料による製造も考えられる。双方の方法は、極めて低い製造コストおよび軽量であり、射出成形のための適応した金型を用いることにより、例えば子供用グローブを含む種々のサイズに容易に適応することができる。適当なプラスチック材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリプロピレン(PP)である。或る期間使用後に支持機能が低下しても、熱等を加えることにより初期状態に戻すことが可能な形状記憶材料を用いることも考えられる。しかしながら、射出成形による極めて費用効率の良い製造はまた、上記グローブ補強部材を消耗部品として用いることも可能である。その場合、曲がりっきりになった、またはもはや十分に安定でなくなったグローブ補強部材は単に交換すればよい。
【0042】
より進歩した実施の形態を提供するために、単体であることが好ましいグローブ補強部材は、2種類以上のプラスチック材料の多成分射出成形によっても製造することができる。例えば、相互連結領域20用には、より硬いプラスチック材料を用い、屈曲領域10には、特に子供用グローブには、特に柔軟で弾性のある材料を用いることができる。多成分射出成形は、1個または複数のノズルを同時または順次用いて行なうことができる。あるいは、予め独立して製造されたグローブ補強部材の複数の部品の周囲にプラスチック材料を射出することもできる。例えば、十分に硬い材料(例えば、金属または炭素繊維を含む複合材料)から作製された相互連結領域20を、屈曲領域10を形成する柔軟なプラスチック材料で覆ってもよい。
【0043】
上述の実施の形態は、グローブ補強部材の一部分にくり抜きを選択的に配置する(図示せず)ことによって修正することもできる。くり抜きは曲がり特性に影響を与えることを可能にする。さらに全体の重量を軽くする。材料の選択のみでなく、くり抜きの配置および上述のグローブ補強部材の正確な形状は、有限要素解析法によって容易に最適化することができる。
【0044】
図6は、本発明のさらなる好ましい実施の形態によるグローブ補強部材1の斜視図である。図から明らかなように、このグローブ補強部材1は、屈曲領域10に配置された付加的なブロッキング部材60を備えている。このブロッキング部材60は、グローブ補強部材1が第1の方向(図1に破線で示されている)へ曲がるのを許容するが、第2の方向(図1に破線で示されている方向とは反対の方向)へ曲がるのを阻止して屈曲領域10を防護する。その結果、阻止できる最大荷重または力が増大する。
【0045】
ブロッキング部材60は、屈曲領域10の頂部に配置されているのが好ましい。あるいは、ブロッキング部材60が、屈曲領域10の他の適当な部位に配置されていてもよい。ブロッキング部材60は、屈曲領域10の一部を覆っていても、屈曲領域10の全体を覆っていてもよい。さらに、ブロッキング部材60が相互連結領域20内に延びていても、あるいは一つの屈曲領域10から他の屈曲領域10まで延びていてもよい。
【0046】
図6から明らかなように、ブロッキング部材60が二つの部品61,62からなるのが好ましい。グローブ補強部材1が上記第2の方向に曲げられる場合、二つの部品61,62が互いに当接して、さらなる曲がりが阻止される。曲がりにより二つの部品61,62が互いに押し付けられて、指の過伸展に対する実質的な付加的抵抗を提供する。しかしながら、上記第1の方向への曲がりは、二つの部品61,62が互いに離れるので許容される。
【0047】
図6の実施の形態においては、グローブ補強部材1の初期状態において、すなわち曲げられていない状態で、二つの部品61,62がギャップ63によって隔離されている。ギャップ63の幅は様々なであってよく、無限に狭くなり得る。二つの部品61,62はまた互いに直接当接する。さらに、二つの部品61,62は、それらがグローブ補強部材1を上記第1の方向に、すなわち掴み方向に予め曲げるように配置することもできる。
【0048】
あるいは、ブロッキング部材60が3個以上の部品からなっていてもよい。さらに別の実施の形態においては、ブロッキング部材60が、グローブ補強部材1の上記第1の方向への曲がりを許容し、かつ上記第2の方向への曲がりを阻止するように構成された単体である。
【0049】
図6に示されているように、ブロッキング部材60はドーム形状に湾曲している。このようにして、ブロッキング部材60は、他のプレーヤーが怪我をする危険性を軽減し、かつボールを逸らすときの制御性を改善するようにグローブ補強部材1全体の形状に順応している。
【0050】
ブロッキング部材60およびグローブ補強部材1は、1回の射出形成工程中に一体に製造されることが好ましい。双方の部材に同じ材料が用いられるのが好ましい。あるいは、1個または2個の金型を用いた異なる材料の同時射出成形によってもよい。この場合、ブロッキング部材60は、屈曲領域10を補強するために、グローブ補強部材1よりも硬い材料からなることが好ましい。
【0051】
図7は図6のグローブ補強部材1の側面図である。図7には、グローブ補強部材1の初期状態におけるブロッキング部材60の二つの部品61,62の間のギャップ63を明白に示している。上記のように、ギャップ63は無限に狭くなり、すなわち二つの部品61,62が互いに直接当接してもよい。本図はまた、頂面側と底面側とで異なるブロッキング部材60の上述したドーム形状の湾曲を示している。
【0052】
図8は図6のグローブ補強部材1の正面図を示す。この方向からも、ブロッキング部材60がドーム形状に湾曲しているのを見ることができる。
【0053】
ブロッキング部材60がグローブ補強部材1に取り付けられた独立した部材である本発明のさらなる実施の形態が図9に示されている。独立した部材を用いることは、下記に詳細に説明するように、厳密に適合した材料の使用およびブロッキング部材の交換のような種々の利点が得られる。
【0054】
ブロッキング部材60は、接着、リベット、面ファスナーまたはクリップ機構などの種々の手段によってグローブ補強部材に取り付けることができる。図9に示された実施の形態においては、グローブ補強部材1がブロッキング部材60を取り付ける複数のピン91を備えている。これらのピン91は屈曲領域10に、またはブロッキング部材60が延びる他のいかなる領域にも配置することができる。ピン91はグローブ補強部材1と一体の部分であることが好ましい。あるいは、ピンがブロッキング部材60側に配置され、グローブ補強部材1側に対応する孔が設けられていてもよい。
【0055】
図9の好ましい実施の形態においては、一対のピン91が屈曲領域10の最大屈曲部の各側に配置されている。ブロッキング部材60は2対のピン91上に取り付けられる。このようなピン91の配置がブロッキング部材60を伴わない図10にも示されている。グローブ補強部材1に対してブロッキング部材60が4本のピン91で取り付けられている構成の代わりに、これよりも少ないまたは多い数のピン91を用いてもよい。
【0056】
少なくとも一つのブロッキング部材60は、グローブ補強部材1と同一の材料で製造することができる。あるいはブロッキング部材60は、金属または複合材料を含むより硬い材料であることが好ましい別の材料で製造される。別の実施の形態においては、ブロッキング部材60自体が複数の材料を含むことができる。例えば、ブロッキング部材60が、屈曲領域10の補強作用を最大にするための硬い下部層と、使用中にグローブ補強部材1が当接する他の物体に対する衝撃を最少にするための柔らかい上部層とを備えることもできる。
【0057】
一つの実施の形態においては、ブロッキング部材60およびグローブ補強部材1が、加熱または押圧によって互いに永久的に取り付けられるようなプラスチック材料から作製される。
【0058】
ブロッキング部材60の交換が可能なように、ブロッキング部材がグローブ補強部材1に取外し可能に取り付けられていればさらに好ましい。このことは、グローブ補強部材1を異なる目的に適合させることが必要な場合に、例えばグローブ補強部材1に発生する特定の荷重または力に適合させる場合に有用である。この目的のために、異なる機械的特性を備えたブロッキング部材60が用いられる。さらに、取外し可能なロッキング部材60は、特定の機械的特性を有するが、一定の使用後は磨耗のために交換を必要とするような材料を用いることができる。例えば、ゴールキーパーは、練習中には指の防護性を向上させるために、より硬いブロッキング部材を好む。一方、試合中には、ボールに対するより良い感触を得るために、彼はより柔らかいブロッキング部材を好む。
【0059】
図11は、好ましい実施の形態によるブロッキング部材60の斜視図である。図から明らかなように、このブロッキング部材60は、二つの部品61および62からなる。さらにこのブロッキング部材60は、グローブ補強部材1の複数のピン91に対応する複数の孔121を備えている。図11はまた、ブロッキング部材60のドーム形状に湾曲した頂面を示している。
【0060】
図12は、図11のブロッキング部材60の底面図である。図から明らかなように、ブロッキング部材60の底面側もドーム形状に湾曲している。好ましい実施の形態においては、ブロッキング部材60の底面およびグローブ補強部材1の屈曲領域10は、両者の取付けを容易にするために、ほぼ同様にドーム形状に湾曲している。図12から認識されるように、ブロッキング部材60は、その底面側に窪み132を備え、これにより、これら窪み132が、グローブ補強部材1上の屈曲領域10内に延びるリブ21(図12には示されていないが図1に示されている)に一致する。
【0061】
図12にはまた、ブロッキング部材60の底面の中間部における凹部131が示されている。上述のように、屈曲領域10は屈曲時に、特に屈曲領域10の中心線に沿って異なる形状に変形する。上記凹部131は屈曲領域10が膨らみ得る空間を提供する。したがって、凹部131は屈曲領域10の屈曲を容易にする。さらに凹部131は、ブロッキング部材60を外すときにブロッキング部材60上に応力が発生しないようにする。
【0062】
凹部131はまた、グローブ補強部材1上の屈曲領域10の拡大斜視図である図13にも示されている。図から明らかなように、凹部131は、屈曲領域10とブロッキング部材60の底面との間に空間を残している。この図では、グローブ補強部材1が曲げられていない。上述のように、屈曲領域10は、屈曲時に徐々に凹部131内に膨らむ。図13は、ブロッキング部材60の長手方向と横方向とで、および上面と底面とで異なる湾曲を示している。
【0063】
図13からも明らかなように、ピン91は少なくとも1個のブロッキング部材60の外方へ突出することができる。少なくとも1個のブロッキング部材60が1本のピン91上に嵌められると、ピン91の先端は、例えば超音波溶融によって熱せられ、かつ下方へ押圧される。次に熱せられたピンのプラスチック材料が変形されて、ブロッキング部材の外れが回避される。ピンの先端のプラスチック材料は、ピン91のための孔121の上端の円錐形拡径部によって与えられた、図11にも見受けられるような凹部内に潰されるのが好ましい。これによって、上記少なくとも1個のブロッキング部材60がグローブ補強部材1上に固定され、ブロッキング部材60の上面とピン91の上端面とが面一(つらいち)であるのが好ましい最終状態(図13には示されていない)になる。
【0064】
上述のグローブ補強部材1は、取外し可能な態様でグローブ内に取り付けられているのが好ましい。これにより、複数の個人個人に対する適合可能性が生まれる。例えば、もし或るゴールキーパーが指を曲げ易いグローブを好むならば、より硬いグローブ補強部材をより柔らかいグローブ補強部材と交換すればよい。長さ、幅のバリエーションに対する個人的適合の外に、指の太さにも適合可能である。最後に、もしグローブ補強部材がグローブの背面上の透明なポケットに配置されているとすると、グローブとの視覚的な色彩の適合が可能である。さらに、グローブ内に取外し可能に取り付けられていることは、たとえ試合中であっても、ゴールキーパーが、破損した、または硬さが不十分になったグローブ補強部材を直ちに取り替えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるグローブ補強部材の好ましい実施の形態の概略的斜視図
【図2a】図1のグローブ補強部材がグローブ(図示せず)内において指の背面側に配置された状態を示す図
【図2b】手が掴み方向に曲げられた場合の図2aのグローブ補強部材を示す図
【図3】図1および図2の実施の形態の一端に付加錘が取り付けられる状態を示す図
【図4】図1〜図3のグローブ補強部材の複数が、手の背面のためのプレートに取外し可能に取り付けられた状態を示す図
【図5】図4の手の背面のためのプレートと、取りつけられたグローブ補強部材とを示す側面図
【図6】本発明の他の実施の形態によるブロッキング部材を備えたグローブ補強部材の斜視図
【図7】図6のグローブ補強部材の側面図
【図8】図6のグローブ補強部材の正面図
【図9】本発明の他の実施の形態による、ピンおよび独立したブロッキング部材を備えたグローブ補強部材の斜視図
【図10】ブロッキング部材を取り外した図9のグローブ補強部材の斜視図
【図11】ブロッキング部材の斜視図
【図12】図11のブロッキング部材の底面図
【図13】図9のグローブ補強部材の屈曲領域の拡大斜視図
【符号の説明】
【0066】
1 グローブ補強部材
10 屈曲領域
20 相互連結領域
21 リブ(剛直化部材)
30 端部領域
40 付加錘
50 プレート
52 ソケット
60 ブロッキング部材
61,62 ブロッキング部材の部品
91 ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指および/または手を掴み方向に曲げることは可能であるが、過伸展は回避するグローブ補強部材(1)であって、
a.少なくとも1箇所の屈曲領域(10)を備え、
b.該屈曲領域(10)が、前記グローブ補強部材(1)の少なくとも第1の方向への屈曲は許容するが、前記グローブ補強部材(1)の少なくとも第2の方向への屈曲は阻止するように湾曲したグローブ補強部材(1)において、
c.前記屈曲領域(10)に配置された少なくとも1個のブロッキング部材(60)を備えていることを特徴とするグローブ補強部材(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)がドーム形状に湾曲していることを特徴とする請求項1記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項3】
装着時に前記屈曲領域(10)が指および/または手首の関節の部位に配置されることを特徴とする請求項1または2記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項4】
装着時に複数の指の関節に当てがわれる複数の屈曲領域(10)を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項5】
剛直な相互連結領域(20)が、前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項6】
前記相互連結領域(20)が樋形状に湾曲していることを特徴とする請求項5記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項7】
前記相互連結領域(20)が変形を回避するために少なくとも1個の剛直化部材(21)を備えていることを特徴とする請求項6記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項8】
手の背面側から出発して指の先端まで延びるのに十分な長さを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項9】
指の先端を越えて延びる長さを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項10】
前記グローブ補強部材(1)が単体として作製されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項11】
前記グローブ補強部材(1)が、多成分射出成形により少なくとも二種類の異なるプラスチック材料で作製されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項12】
前記グローブ補強部材(1)が、グローブのソケット内でスライドするのに適した、適当な材料から形成されまたは適当なコーティングを備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項13】
付加錘(40)を備えていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項14】
前記付加錘(40)が前記グローブ補強部材(1)の先端に配置されることを特徴とする請求項13記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)および/または前記少なくとも1箇所の相互連結領域(20)が、指の背面側から出発して該指の周りに横方向に延びる湾曲形状を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1箇所の前記屈曲領域(10)および/または前記少なくとも1箇所の相互連結領域(20)が、少なくとも一つのくり抜きを備えていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が前記屈曲領域(10)に取り付けられていることを特徴とする請求項1から9および11から16のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)頂部上に配置されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項19】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が、前記屈曲領域(10)に配置された少なくとも2個の部分(61,62)を備え、前記屈曲領域(10)が前記グローブ補強部材(1)の屈曲を阻止するときに、前記2個の部分(61,62)が互いに当接して屈曲を阻止することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項20】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)の頂面がドーム形状に湾曲していることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項21】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が、前記グローブ補強部材(1)と異なる材料から製造されていることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項22】
前記ブロッキング部材(60)が独立した部材であり、前記グローブ補強部材(1)は、前記ブロッキング部材(60)が取り付けられる少なくとも1本のピン(91)を備えていることを特徴とする請求項1から9および11から21のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項23】
前記ブロッキング部材(60)がその底面側に凹部(131)を備えていることを特徴とする請求項22記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項24】
前記屈曲領域(10)の最大屈曲部分の各側に、少なくとも2本のピン(91)が設けられていることを特徴とする請求項22または23記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)の少なくとも1個を備えたグローブ。
【請求項26】
前記手の背面上に一つの部材(50)を備え、該部材(50)に、少なくとも1個の前記グローブ補強部材(1)が取外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項25記載のグローブ。
【請求項27】
前記手の背面のための前記部材(50)が、前記手の背面を怪我から防護するプレートとして設けられていることを特徴とする請求項25または26記載のグローブ。
【請求項1】
指および/または手を掴み方向に曲げることは可能であるが、過伸展は回避するグローブ補強部材(1)であって、
a.少なくとも1箇所の屈曲領域(10)を備え、
b.該屈曲領域(10)が、前記グローブ補強部材(1)の少なくとも第1の方向への屈曲は許容するが、前記グローブ補強部材(1)の少なくとも第2の方向への屈曲は阻止するように湾曲したグローブ補強部材(1)において、
c.前記屈曲領域(10)に配置された少なくとも1個のブロッキング部材(60)を備えていることを特徴とするグローブ補強部材(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)がドーム形状に湾曲していることを特徴とする請求項1記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項3】
装着時に前記屈曲領域(10)が指および/または手首の関節の部位に配置されることを特徴とする請求項1または2記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項4】
装着時に複数の指の関節に当てがわれる複数の屈曲領域(10)を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項5】
剛直な相互連結領域(20)が、前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項6】
前記相互連結領域(20)が樋形状に湾曲していることを特徴とする請求項5記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項7】
前記相互連結領域(20)が変形を回避するために少なくとも1個の剛直化部材(21)を備えていることを特徴とする請求項6記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項8】
手の背面側から出発して指の先端まで延びるのに十分な長さを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項9】
指の先端を越えて延びる長さを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項10】
前記グローブ補強部材(1)が単体として作製されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項11】
前記グローブ補強部材(1)が、多成分射出成形により少なくとも二種類の異なるプラスチック材料で作製されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項12】
前記グローブ補強部材(1)が、グローブのソケット内でスライドするのに適した、適当な材料から形成されまたは適当なコーティングを備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項13】
付加錘(40)を備えていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項14】
前記付加錘(40)が前記グローブ補強部材(1)の先端に配置されることを特徴とする請求項13記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)および/または前記少なくとも1箇所の相互連結領域(20)が、指の背面側から出発して該指の周りに横方向に延びる湾曲形状を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1箇所の前記屈曲領域(10)および/または前記少なくとも1箇所の相互連結領域(20)が、少なくとも一つのくり抜きを備えていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が前記屈曲領域(10)に取り付けられていることを特徴とする請求項1から9および11から16のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が前記少なくとも1箇所の屈曲領域(10)頂部上に配置されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項19】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が、前記屈曲領域(10)に配置された少なくとも2個の部分(61,62)を備え、前記屈曲領域(10)が前記グローブ補強部材(1)の屈曲を阻止するときに、前記2個の部分(61,62)が互いに当接して屈曲を阻止することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項20】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)の頂面がドーム形状に湾曲していることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項21】
前記少なくとも1個のブロッキング部材(60)が、前記グローブ補強部材(1)と異なる材料から製造されていることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項22】
前記ブロッキング部材(60)が独立した部材であり、前記グローブ補強部材(1)は、前記ブロッキング部材(60)が取り付けられる少なくとも1本のピン(91)を備えていることを特徴とする請求項1から9および11から21のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項23】
前記ブロッキング部材(60)がその底面側に凹部(131)を備えていることを特徴とする請求項22記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項24】
前記屈曲領域(10)の最大屈曲部分の各側に、少なくとも2本のピン(91)が設けられていることを特徴とする請求項22または23記載のグローブ補強部材(1)。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項記載のグローブ補強部材(1)の少なくとも1個を備えたグローブ。
【請求項26】
前記手の背面上に一つの部材(50)を備え、該部材(50)に、少なくとも1個の前記グローブ補強部材(1)が取外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項25記載のグローブ。
【請求項27】
前記手の背面のための前記部材(50)が、前記手の背面を怪我から防護するプレートとして設けられていることを特徴とする請求項25または26記載のグローブ。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−86743(P2008−86743A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−13428(P2007−13428)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(503052173)アディダス インターナショナル マーケティング ベー ヴェー (23)
【氏名又は名称原語表記】adidas International Marketing B.V.
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13428(P2007−13428)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(503052173)アディダス インターナショナル マーケティング ベー ヴェー (23)
【氏名又は名称原語表記】adidas International Marketing B.V.
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