説明

グロープラグのための層状加熱素子を成形するための方法

【課題】グロープラグ、特に正確に成形される耐久性の一体構造を結果として生じる特殊な材料を用いたグロープラグの加熱素子部分を成形するための改善した方法の提供。
【解決手段】グロープラグのための層状の加熱素子を形成するための方法であって、導電性コア48を予備成形するステップと、外側を有する非導電性絶縁層50を予備成形するステップと、電気抵抗層52を予備成形するステップと、絶縁層内部でコアを実質的に覆い、絶縁層の外側に抵抗層を施すことによって、前駆物質構造を組み立てるステップと、前駆物質構造を圧縮するステップと、圧縮された前駆物質構造を焼結して、絶縁層に接合されるコアおよび抵抗層に接合される絶縁層を有する一体加熱素子を形成するステップと、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料点火グロープラグを成形する方法に関し、さらに詳細にはそのための層状の加熱素子を成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グロープラグは、高熱源が燃焼のために必要とされる任意の用途において用いることができる。したがって、グロープラグは、空間加熱装置および産業用燃焼炉における直接燃焼開始装置として用いられ、ディーゼルエンジンが冷えた状態で始動されなければならないときに、燃焼の起爆における補助物としても用いられる。グロープラグはまた、燃料電池における反応を起こすため、および排気システムから可燃成分を除去するために、加熱体としても用いられる。
【0003】
ディーゼルエンジン用途の例に関して、始動中および特に寒い気象状態において、燃料の液滴は、正常な走行速度であるときのように細かい霧状にはならず、燃焼工程によって生成される熱の大半は、冷たい燃焼室の壁で失われる。したがって、燃焼の起爆を補助するために、いくつかの形態の予備熱が必要である。吸気マニホルドまたは燃焼室のいずれかに位置するグロープラグは、寒い始動状態の中で追加される熱エネルギを提供するために人気のある方法である。
【0004】
グロープラグ加熱素子に達する最大温度は、印加される電圧および用いられる構成要素の抵抗特性に左右される。これは通常、1,000〜1,300℃の範囲にある。グロープラグの構成に用いられる材料は、熱に耐え、燃焼生成物からの化学攻撃に耐え、燃焼工程中に生成される高レベルの振動および熱循環に耐えるように選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
性能、耐久性および効率を改善するために、新たな材料がグロープラグアセンブリ内の用途のために常に追求されている。たとえば、特殊な金属およびセラミック材料が、グロープラグ用途に導入されている。これらの新種の材料は、多くの利点を提供するが、大量生産設備における製作が困難である可能性がある。他の材料と完全に互換性がなく、剥離および他の問題を結果として生じることが時々ある。特殊な材料に関する別の共通の問題は、扱いにくく非効率的な製作技術から結果として生じる層に成形するときの許容差の変動として明らかである。
【0006】
したがって、グロープラグ、特に正確に成形される耐久性の一体構造を結果として生じる特殊な材料を用いたグロープラグの加熱素子部分を成形するための改善した方法に対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料点火グロープラグ用の層状の加熱素子を成形するための方法を含む。この方法は、アセンブリが抵抗器を成形するように、可変レベルの導電率を有する少なくとも3層を予備成形するステップを含む。3層は、導電性コア、非導電性絶縁層および電気抵抗層を備える。方法はさらに、絶縁層内部でコアを実質的に覆うことによって、前駆物質構造を組み立てるステップと、次に、絶縁層の外部に抵抗層を施すステップと、を含む。前駆物質構造は次に、圧縮され、その後、焼結ステップに曝され、圧縮された前駆物質構造は、絶縁層に接合されたコアおよび抵抗層に接合された絶縁層を有する一体加熱素子を成形する。
【0008】
本発明はさらに、グロープラグを成形する方法を意図している。この方法は、導電性コアを予備成形するステップと、非導電性絶縁層を予備成形するステップと、電気抵抗層を予備成形するステップと、を含む。前駆物質構造は次に、絶縁層内部でコアを実質的に覆い、絶縁層の外部に抵抗層を施すことによって組み立てられる。前駆物質構造は次に、圧縮され、その後、圧縮された前駆物質構造は、絶縁層に接合されたコアおよび抵抗層に接合された絶縁層を有する一体加熱素子を成形するために焼結される。導電シェルが設けられ、焼結された加熱素子がシェルに挿入される。導電性接続は、シェルと加熱素子の抵抗層との間に確立される。
【0009】
主題の発明は、導電性コア、絶縁層および抵抗層を予備成形し、その後、これらの予備成形物を前駆物質構造の中で組み立てることによって、一体加熱素子を組み立てるための新規にして改善された方法を提供する。前駆物質構造は、任意のアセンブリの許容差を克服し、構成成分を略完全な密度に近い状態にするために圧縮される。焼結作業は、種々の層を他の層と接合し、それによって一体複合材料を得る追加効果を有する。そのような加熱素子は、グロープラグ用途に適した多種多様な材料から厳密な許容差で製作されることができる。たとえば、予備成形されたコア絶縁層および抵抗層は、共通の金属、特殊金属、セラミックまたはこれらの材料または他の適切な材料の組み合わせから製作されることができる。
【0010】
本発明のこれらの特徴および利点および他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面に関連して考慮すれば、さらに容易に認識されることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ディーゼルエンジンの予備燃焼室における例示のグロープラグの始動の概略断面図である。
【図2】本発明によるグロープラグアセンブリの断面図である。
【図3】本発明によるグロープラグの製作方法を示すフローチャートである。
【図4A】本発明による予備成形された材料から始まり、完成したグロープラグで終わる成形作業の経過を簡略した形で示す。
【図4B】本発明による予備成形された材料から始まり、完成したグロープラグで終わる成形作業の経過を簡略した形で示す。
【図4C】本発明による予備成形された材料から始まり、完成したグロープラグで終わる成形作業の経過を簡略した形で示す。
【図4D】本発明による予備成形された材料から始まり、完成したグロープラグで終わる成形作業の経過を簡略した形で示す。
【図4E】本発明による予備成形された材料から始まり、完成したグロープラグで終わる成形作業の経過を簡略した形で示す。
【図5A】前駆物質構造を圧縮するための代替技術をさらに示す図4Aの場合の図である。
【図5B】前駆物質構造を圧縮するための代替技術をさらに示す図4Bの場合の図である。
【図5C】前駆物質構造を圧縮するための代替技術をさらに示す図4Cの場合の図である。
【図5D】前駆物質構造を圧縮するための代替技術をさらに示す図4Dの場合の図である。
【図6A】示された代替加熱素子構成に関する図4Aに示される構成に類似の図である。
【図6B】示された代替加熱素子構成に関する図4Bに示される構成に類似の図である。
【図6C】示された代替加熱素子構成に関する図4Cに示される構成に類似の図である。
【図6D】示された代替加熱素子構成に関する図4Dに示される構成に類似の図である。
【図6E】示された代替加熱素子構成に関する図4Eに示される構成に類似の図である。
【図7】さらに別の代替加熱素子構成を示す長手方向断面である。
【図8】図7の線8−8に沿って概ね切り取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図を参照すると、類似の番号は、複数の図面を通じて類似の部分または対応する部分を示し、ディーゼルエンジンが図1において全体を10で示される。エンジン10は、シリンダにおいて往復するピストン12を含む。シリンダは、ブロック14に成形される。シリンダヘッド16は、燃焼室を包囲するために、ブロック14を覆う。吸気マニホルドは、シリンダヘッド16によって経路指定し、定期的な間隔で、噴霧化された燃料を燃焼室に供給する燃料噴射器18を含む。グロープラグは、全体を20で示されるが、この実施例では、予備燃焼室24内に配置された高温チップ22を含む。図1に示されているような構成要素の配置は、ディーゼルエンジンの1つの構造スタイルの代表である。しかし、その他の多くのディーゼルエンジンタイプがあり、本発明によるグロープラグ20は等しく適用可能である。さらに、その他の多くのタイプのデバイス、例えば空間加熱装置、産業用燃焼炉、燃料電池、排気システムなどが、主題のグロープラグ20を利用することができる。したがって、主題のグロープラグ20は、ディーゼルエンジン用途における使用に限定されるわけではない。
【0013】
ここで図2を参照すると、グロープラグ20の断面図が示されている。ここで、高温チップ22は、全体を26で示される加熱素子の遠位端部を成形することが示されている。加熱素子26は、銅リング30およびろう接継手32などによって中空のシェル28の端部から突出する複合構造である。これらの手段によって、加熱素子26は、シェル28に対して所定の位置に確実に固定され、シェル28との導電性関係において保持される。加熱素子26の近位端部は、先細りのろう接継手を介してなど、導電性中心電線34に固着される。中心電線34の近位端部は、点火システムからの導線(図示せず)を結合するために用いられる端子36を保持する。中心電線34および端子36は、アルミナ粉末の絶縁層38、エポキシド樹脂40およびプラスチックガスケット42によって、導電シェル28から電気絶縁状態で保持される。当然のことながら、代替材料は、中心電線34および端子36を所定の位置に、シェル28から電気絶縁状態で保持するために適している。シェル28の外部には、工具取付け部44およびネジ46が設けられる。当然のことながら、グロープラグ20は、用いられる材料およびその所期の用途に応じて、種々の他の形態および構造をとることができる。
【0014】
一般的に言えば、加熱素子26は、抵抗材料の中に電流を通過させることによって動作する。電流は、中心電線34を介して加熱素子26に導入される。電流は、加熱素子26を通ってシェル28に流れ込む。シェル28は、通常、金属であり、シリンダヘッド16またはデバイスの他の構成要素を介して接地される。
【0015】
ここで、図3および図4A〜図4Eに目を向けると、加熱素子26の製作方法が、さらに詳細に記載される。この方法は、導電性コア48を予備成形するステップと、非導電性絶縁層50を予備成形するステップと、電気抵抗層52を予備成形するステップと、を含む。前駆物質構造は次に、絶縁層50内部でコア48を実質的に覆い、抵抗層52の外部に抵抗層52を施すか、または位置決めすることによって組み立てられる。前駆物質構造は次に、圧縮されて、その後、焼結され、絶縁層50に接合されるコア48および抵抗層52に接合される絶縁層50を有する一体加熱素子26を成形する。導電シェル28が設けられ、焼結された加熱素子26が、シェル28に挿入される。導電性接続が、シェル28と加熱素子26の抵抗層52との間に確立される。さらに具体的に言えば、加熱素子26は、中心電線34に直接的に固着する導電性コア48を含む。上述したように、この接続は、先細りの接続および/またはろう接による接続、または適切であると考えられる他の取付具によって達成されることができる。コア48は、その長さに沿って一般に任意の位置で円形断面を有する略円筒形本体の形態をとることができる。しかし、他の断面形状が所望である場合もある。たとえば、コア48は、断面において楕円形または他の軸対称形状または非軸対称形状を有してもよい。別の例として、コア48は、中空であってもよい。例えば金属、導電セラミック、セラミック/金属複合材料およびMoSi、TiN、ZrN、TiCNならびにTiBを含む群から選択される構成要素などの任意の適切な材料が、コア48のために用いられることができる。金属としては、いくつかの例を挙げると、白金、イリジウム、レニウム、パラジウム、ロジウム、金、銅、銀、タングステンおよびこれらの合金が挙げられる。絶縁粒子と電気的絶縁粒子と混合することによって成形される複合材料もまた、適切な材料を成形することができる。
【0016】
必ずというわけではないが、コア48は、非導電性絶縁層50によって完全に包囲されることが好ましい。絶縁層50は、たとえば、Si、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、シリカおよびジルコニアを含む群から構成されることができる。窒化ホウ素の添加物、タンタル、ニオブ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、イットリウム、マグネシウム、カルシウム、ハフニウムおよび他のランタノイド系列の化合物が、後の焼結工程を完成するために用いられることができる。絶縁層50用の材料の他の例としては、マグネシウムスピネル、ムライト、コージライト、ケイ酸塩ガラスおよび窒化ホウ素が挙げられる。これらは、ほとんど有用な材料組成の例であるが、実際には、絶縁層50は、任意の適切な純化合物または混合物から構成されることができる。絶縁層50はまた、導電粒子が浸透限界未満で存在する場合には、導電粒子および非導電粒子の複合材料であってもよい。
【0017】
図3〜図6に対応する実施形態において、絶縁層50は、抵抗層52によって完全に包囲される。本発明の別の実施形態は、図7および図8に示されており、抵抗層252が管状ではなく、代わりに、絶縁層250の外部に施される1つまたは複数の細長片を含みうる場合である。他の構成も同様に、本発明の範囲内で可能である。抵抗層52は、抵抗特性または中程度の導電特性を有する周知の材料および合金のいずれかから構成されることができる。図4Bに示されているように、コア48、絶縁層50および抵抗層52は、予備成形され、前駆物質構造の中で組み立てられる。
【0018】
予備成形される部材、すなわち、コア48、絶縁層50および抵抗層52の少なくとも1つ、好ましくはすべてが、場合によっては、有機結合剤(たとえば、ワックス)および潤滑剤と組み合わせられた導電性材料、非導電性材料または抵抗材料の粉砕に基づく粉末の十分に高密度ではない組成として予備成形される。結合剤は、共に粒子を保持するために複数の材料を含む混合物であってもよい。可塑剤は、存在しても存在しなくてもよい。結合剤は、水、有機溶剤または油を用いてもよい。これらの構成成分は、押出成形、ダイプレス加工、射出成形、打抜き加工、圧延などによって成形されることができるペーストまたはドウ状の物質を作成するような比率で組み合わせられることができる。予備成形された状態において、これらの物品は好ましくは、自立型であり、形状の破損または消失を生じることなく、1つの組み立て作業から次の作業に移送されることができる。
【0019】
組み立てられた前駆物質構造は次に、閉鎖型ダイ54に移送され、ラムまたはパンチ56の影響下で、その寸法属性を減少させ、その全体密度を増大させるように圧縮される。前駆物質構造が押し込まれるダイキャビティ58は、グロープラグ加熱素子26の所望の最終形状および寸法に比例する形状属性および寸法属性を有する。したがって、ラム56が前駆物質構造をダイキャビティ58を押し込むときに、それぞれの層48、50、52は、割れ目を生じることなく、依然として原型を保っている。さらに、各層48、50、52は、その密度に応じて凝縮および圧縮される。この圧縮ステップは、周囲の高温または中程度の周囲温度および/または一連段階的なダイキャビティを介して達成されることができる。理想的には、必ずというわけではないが、前駆物質構造において各層を通じて均一な密度が達成される。さらに、閉鎖型ダイ54内の層48、50、52で受ける圧縮は、いくつかの境界層の混合およびいくつかの制御された歪みを結果として生じ、層48、50、52のそれぞれの間に結果的に金属/材料結合を強化することになる。
【0020】
完全に圧縮された前駆物質構造は次に、閉鎖型ダイ54からいわゆる「未処理部分」が除去される。この未処理部分は、構成材料が焼結され、任意の残りの結合剤および潤滑剤が駆逐される焼結炉に移送される。焼結作業は、複合材料を一体構造に変換するのに効果的である。すなわち、複数の多様な材料が、本質的に単一の構造および目的を有する統合部材に変換される。加熱素子26がグロープラグにおいて用いられることができる前に、電気接続が、コア48と抵抗層52との間で確立されなければならない。これを達成するための1つの方法は、研削または切断作業において丸みを帯びた端部部分を除去し、図4Eに示されているように、その場所に導電性チップ60を固着することである。このステップは、焼結前または焼結後のいずれかで行われることができる。導電性チップ60は、コア48から抵抗層52に電気を伝導するのに効果的であり、次に抵抗層52はシェル28と電気的に接触状態になる。中心電線34の嵌合形状の端部を収容するために、加熱素子26の近位端部における先細りのポケット62の成形などの他の焼結前作業および/または焼結後作業が所望である場合がある。先細りのポケット62は、中心電線34と抵抗層52との間の電気的な孤立を維持するように注意深く成形される。他の焼結後作業としては、研削または研磨が挙げられる。
【0021】
前駆物質構造に収容される潤滑剤および/または結合剤に関連して、最終的な加熱素子26からこれらのすべてまたは一部を除去することが好ましい。これらの潤滑剤および結合剤をいつ、どのように除去するかに関しては、種々のオプションが存在する。たとえば、圧縮ステップ中に遭遇する使用応力を主に促進する必要がある潤滑剤は、焼結ステップ中に前駆物質構造から蒸発されることができ、依然としてその未処理部分の状態がある間、別個の乾燥作業において除去されることができる。たとえば、焼結前に、熱分解作業が、潤滑剤の大部分を除去するために実行されることができる。潤滑剤はまた、溶剤または毛細管/吸い上げ作用の方法によって除去されることができる。同様に、結合剤は、前駆物質構造として組み立てられる前および組み立てられている間、これらの部品の処理を容易にするために、形状保持のためにコア48、絶縁層50および抵抗層52の予備成形された状態中に主に必要とされる。結合剤は、前駆物質構造がその未処理部分状態に圧縮を施した後、はるかに少なくなるまで必要とされ、焼結後は全く必要とされない。したがって、好ましくはすべてとはかぎらないが結合剤の一部が、焼結ステップの前に、熱、溶剤または毛細管作用による方法によって除去されることができ、任意の残りの結合剤は焼結ステップ中に除去される。中間作業における潤滑剤および/または結合剤の除去が、焼結前に、改善した処理作業または仕上げ作業のために有用であることが時々ある。潤滑剤および/または結合剤を除去するために、焼結ステップはまた、実際の焼結温度に近づく前の低温(たとえば、200〜500℃)の熱分解段階を組み込むように改変されることもできる。
【0022】
図5A〜図5Dを参照すると、前駆物質構造を圧縮するための代替方法が、示されている。ここでは、図4Cにおいて提示されたような閉鎖型ダイ54を用いる代わりに、押出成形ダイ64が、圧縮された前駆物質構造の設計形状を与える出口オリフィス66を含む。閉鎖型ダイによる方法と同様に、この押出成形ダイ64は、オプションとして加熱されることができる。押し出された形状は、円形または任意の他の適切な断面であってもよい。たとえば、強度の改善または他の目的の達成のために、加熱素子26に特殊な形状を与えることが望ましい場合がある。実施例として、加熱素子26は、その輪郭特性が空気、燃料および/または燃焼気体の流れの制御を助けるような空力学的形状に圧縮されることができる。特殊な形状は、他の理由からも与えられることができる。図5Dに示されているように、すべての押し出された対象物に呼応して、結果として生じる未処理部分は、その全長に沿って一貫した断面を有する。未処理部分は次に、種々の層の比例寸法は比較的無傷のままであるが、ある程度の収縮を期待することができる焼結炉に移送される。図4Eに関連して上述したようなさらなる仕上げ作業もまた、ここで達成されることができる。
【0023】
図5Cに示された圧縮技術の具体的な利点は、製作方法としての押出成形の固有効率から生じる。通常、押出成形ダイ64は、閉鎖型ダイ54より廉価であり、生産処理能力は一般に高速である。閉鎖型ダイ54および押出成形ダイ64に対する代替品は、ここでは同様に適用されることができる。たとえば、圧縮ステップは、焼結される金属およびセラミック業界では公知である技術である静水圧によって達成されることができる。前駆物質構造を圧縮する他の方法としては、圧縮ローラの間の前駆物質構造の回転、打抜き加工、鍛造、射出成形などが挙げられる。これらの圧縮技術はいずれも、状況が示すように、略周囲温度、低温または高温で行われることができる。さらに、潤滑剤および結合剤の一部を除去するステップは、圧縮ツールと協働して達成されることができる。
【0024】
図6A〜図6Eは、主題の本発明による加熱素子126を成形するためのステップおよび構造におけるさらに別の変形を示している。便宜上、説明を容易にし、この代替構成と前の実施例における対応する特徴を区別するために、接頭語の「1」が、参照符号に加えられる。したがって、図6Aに示されているように、コア148、絶縁層150および抵抗層152を備える予備成形された構成要素が、設けられる。この実施例において、コア148は、肩付き延長部168によって成形されている。絶縁層150は、延長部168を収容し、抵抗層152とコア148の直接接触を可能にするための相補的な形状の開口部170を有する。したがって、この構成は、図4Eの場合のような別個の導電性チップ60を固着する必要がなく、コア148と抵抗層152との間の電気接続を確立するための代替方法を示している。
【0025】
図6Aはまた、図6Bに示されているように、前駆物質構造を成形するために、コア148、絶縁層150および抵抗層152と共に組み立てられる予備成形された導電性被覆172を示している。被覆172は、前駆物質構造における抵抗層152を実質的に覆う。被覆172は、金属または金属合金などの導電性の高い材料から構成されることができる。被覆172は、コア148、絶縁層150および抵抗層152と同様に、有機結合剤および潤滑剤と導電性粉末を混合することによって、予備成形されることができる。粉末、結合剤および潤滑剤は、自立型、すなわち形状を保持する図6Aに示されるような物品を成形するために、成形型で押圧される。予備成形作業のために用いられる成形型は、閉鎖型ダイ、押出成形ダイ、打抜き加工型、射出成形または圧力注型成形型または圧縮可能な自立物品を作成することができる任意の他の成形技術の形態をとることができる。4層の前駆物質構造が次に、図6Cに示されているように、押出成形ダイ164の中に配置され、圧縮ステップを受けて図6Dの密度を高めた未処理部分を生じる。この未処理部分は次に、焼結され、続いて、1つまたは複数の仕上げ作業が必要となる。実施例として、図6Eを参照すると、加熱素子126の高温チップ122のための適正な物理特性および電気特性を作成するために、焼結ステップ後に、導電性被覆172の一部を除去することが必要である場合がある。あるいは、および場合によっては、好ましくは、導電性被覆172の一部の除去などの作業は、焼結ステップ前に未処理部分に行われる。さらに、先細りのポケット162が、中心電線34の先細りの端部を収容するために、近位端部に形成されることができる。
【0026】
これらの方法によって構成される加熱素子26、126は、高精度かつ大量製作作業に対して特に導電性のある改善した一体構造を生じる。層状構造を維持しながらそれぞれの層の断面積が低減され、層の厚さは相対的な特性を保持するため、この方法は、きわめて薄い材料層の形成を可能にする。さらに、圧縮ステップおよび焼結ステップが種々の層の間の機械的結合および/または材料結合に遭遇するため、複合材料の一体加熱素子26、126は、グロープラグ20の苛酷な動作環境に対して耐久性を示す。上述し、添付図面に示した特定の材料および構成にもかかわらず、主題の方法は、種々の形態をとることができ、材料組成は、異なる仕様要件および用途要件を満たすように広範囲に変化させることができる。さらに、追加層が、設計に組み込まれることができる。
【0027】
予備成形層は、セラミック業界において一般に用いられる成形方法のいずれかによって構成されることができる。それぞれの粉末は通常、粒子サイズまで減少させて、粒子の集合体にばらばらにするために、粉砕される。粉末は、水などの液体媒体および適切な結合剤および潤滑剤と混合され、予備成形構造を作成するのに適切な供給材料を形成するようにしている。1つの方法は、粉末、液体、結合剤および潤滑剤を含む熱可塑性ペーストを調合し、射出成形によって予備成形層を作成することである。第2の方法は、プラスチックペーストを形成し、ダイにおいてこのペーストを押圧することよって、予備成形層を成形することである。第3の方法は、粉末、液体 媒体、結合剤および潤滑剤を粒状の供給
材料の中で処理し、続いて、ダイで押圧して、予備成形層を成形することである。第4の方法は、コアを成形するのに特に適しており、ペーストを調合して、押出成形によって各予備成形層を成形することである。
【0028】
加熱素子は、外部導電層または抵抗層が絶縁層を完全に包囲しないように設計されることも考えられる。たとえば、接頭語「2」が前に導入された対応する特徴部の参照符号に適用される図7および図8に示されているように、絶縁層250用の予備成形物は、その外面に1つまたは複数の溝74を有してもよく、外側導体または抵抗層252用の予備成形物は、これらの溝74に適合するように成形される。したがって、アセンブリの最終的な圧縮および次の焼成の後、グロープラグの外面は、外側導体または抵抗層252および絶縁層250の露出部分によって形成される1つまたは複数の導電経路を備える。2つの溝74および抵抗層252の対応する細長片のみが図7〜図8には示されているが、1つまたは複数の任意の数を用いることができることと、溝74は、示されているように直線状の長手方向に延在してもよく、螺旋状にねじれてもよく、または他の態様であってもよいことは十分に認識されよう。
【0029】
上述の教示に照らして、本発明のさまざまな修正および変形が可能であることは明白である。したがって、本発明は、添付の請求項の範囲内で、具体的に記載されたもの以外の他の態様で実現されてもよいことは理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グロープラグのための層状の加熱素子を形成するための方法であって、前記方法は、
導電性コアを予備成形するステップと、
外側を有する非導電性絶縁層を予備成形するステップと、
電気抵抗層を予備成形するステップと、
絶縁層内部でコアを実質的に覆い、絶縁層の外側に抵抗層を施すことによって、前駆物質構造を組み立てるステップと、
前駆物質構造を圧縮するステップと、
圧縮された前駆物質構造を焼結して、絶縁層に接合されるコアおよび抵抗層に接合される絶縁層を有する一体加熱素子を形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記コアを予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を導電性粉末と混合するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コアを予備成形するステップは、成形型に導電性粉末、有機結合剤および潤滑剤を押圧して自立型物品を成形するステップを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁層を予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を非導電性粉末と混合するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁層を予備成形するステップは、成形型に非導電性粉末、有機結合剤および潤滑剤を押圧して自立型物品を成形するステップを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抵抗層を予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を電気抵抗性粉末と混合するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抵抗層を予備成形するステップは、電気抵抗性粉末、有機結合剤および潤滑剤を自立型物品に押圧するステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、前駆物質構造を押出成形ダイに押し込むステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、前駆物質構造を閉鎖型ダイに押し込むステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、静水圧に前駆物質構造を曝すステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、圧縮ローラの間で前駆物質構造を回転するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コア、絶縁層および抵抗層を予備成形するステップはそれぞれ、結合剤および潤滑剤と粉末を混合するステップを含み、さらに、圧縮された前駆物質構造から潤滑剤の少なくとも一部を除去するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記潤滑剤を除去するステップは、前記焼結ステップと同時に生じる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記潤滑剤を除去するステップは、前記焼結ステップの前に生じる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記焼結ステップの前に、圧縮された前駆物質構造から結合剤の一部を除去するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
導電性被覆を予備成形するステップをさらに含み、前記前駆物質構造を組み立てるステップは、前記圧縮ステップの前に被覆内部で抵抗層を実質的に包囲するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記被覆を予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を導電性粉末と混合するステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記被覆を予備成形するステップは、成形型に導電性粉末、有機結合剤および潤滑剤を押圧して自立型物品を成形するステップを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記焼結ステップ後に被覆の一部を除去するステップをさらに含み、加熱素子用の高温チップを形成する請求項16に記載の方法。
【請求項20】
コアと抵抗層との間の電気接続を確立するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記コアと抵抗層との間の電気接続を確立するステップは、前記焼結ステップ後に導電性チップを固着するステップを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
シェルを設けるステップと、
シェルに焼結した加熱素子を挿入するステップと、
シェルと抵抗層との間の導電性接続を確立するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
中心電線をシェルに挿入するステップと、コアと中心電線との間に導電性接続を確立するステップと、中心電線とシェルとの間に電気絶縁障壁を確立するステップと、をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
絶縁層の外側に少なくとも1つの溝を形成するステップをさらに含み、前記前駆物質構造を組み立てるステップは、前記圧縮ステップの前に、溝に抵抗層を挿入するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
グロープラグを成形する方法であって、前記方法は、
導電性コアを予備成形するステップと、
外側を有する非導電性絶縁層を予備成形するステップと、
電気抵抗層を予備成形するステップと、
絶縁層内部でコアを実質的に覆い、絶縁層の外側に抵抗層を施すことによって、前駆物質構造を組み立てるステップと、
前駆物質構造を圧縮するステップと、
圧縮された前駆物質構造を焼結して、絶縁層に接合されるコアおよび抵抗層に接合される絶縁層を有する一体加熱素子を形成するステップと、
シェルを設けるステップと、
シェルに焼結した加熱素子を挿入するステップと、
シェルと加熱素子の抵抗層との間の導電性接続を確立するステップと、
を含む方法。
【請求項26】
前記コアを予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を導電性粉末と混合するステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コアを予備成形するステップは、成形型に導電性粉末、有機結合剤および潤滑剤を押圧して自立型物品を成形するステップを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記絶縁層を予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を非導電性粉末と混合するステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記絶縁層を予備成形するステップは、成形型に非導電性粉末、有機結合剤および潤滑剤を押圧して自立型物品を成形するステップを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抵抗層を予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を電気抵抗性粉末と混合するステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記抵抗層を予備成形するステップは、電気抵抗性粉末、有機結合剤および潤滑剤を自立型物品に押圧するステップを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、前駆物質構造を押出成形ダイに押し込むステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、前駆物質構造を閉鎖型ダイに押し込むステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、静水圧に前駆物質構造を曝すステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記前駆物質構造を圧縮するステップは、圧縮ローラの間で前駆物質構造を回転するステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記コア、絶縁層および抵抗層を予備成形するステップはそれぞれ、結合剤および潤滑剤と粉末を混合するステップを含み、さらに、圧縮された前駆物質構造から潤滑剤の少なくとも一部を除去するステップをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記潤滑剤を除去するステップは、前記焼結ステップと同時に生じる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記潤滑剤を除去するステップは、前記焼結ステップの前に生じる請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記焼結ステップの前に、圧縮された前駆物質構造から結合剤の一部を除去するステップをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項40】
導電性被覆を予備成形するステップをさらに含み、前記前駆物質構造を組み立てるステップは、前記圧縮ステップの前に被覆内部で抵抗層を実質的に包囲するステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項41】
前記被覆を予備成形するステップは、有機結合剤および潤滑剤を導電性粉末と混合するステップを含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記被覆を予備成形するステップは、成形型に導電性粉末、有機結合剤および潤滑剤を押圧して自立型物品を成形するステップを含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記焼結ステップ後に被覆の一部を除去するステップをさらに含み、加熱素子用の高温チップを形成する請求項40に記載の方法。
【請求項44】
コアと抵抗層との間に電気接続を確立するステップとさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項45】
前記コアと抵抗層との間の電気接続を確立するステップは、前記焼結ステップ後に導電性チップを固着するステップを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
絶縁層の外側に少なくとも1つの溝を形成するステップをさらに含み、前記前駆物質構造を組み立てるステップは、前記圧縮ステップの前に、溝に抵抗層を挿入するステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項47】
シェルを設けるステップと、
シェルに焼結した加熱素子を挿入するステップと、
シェルと抵抗層との間の導電性接続を確立するステップと、をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項48】
中心電線をシェルに挿入するステップと、コアと中心電線との間に導電性接続を確立するステップと、中心電線とシェルとの間に電気絶縁障壁を確立するステップと、をさらに含む請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−36737(P2013−36737A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224070(P2012−224070)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−548790(P2008−548790)の分割
【原出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】