説明

ケイ化ニッケルの向上した形成方法

【課題】半導体及び先端実装技術、例えば、ゲート電極、オーミック接触、相互接続ライン、ショットキー障壁ダイオード接触、光起電力、太陽電池及び光電子部品形成などにおける様々な目的のために使用されうるケイ化ニッケルの形成工程数を削減する形成方法を提供する。
【解決手段】ケイ素含有基体をニッケルでコーティングし、このニッケルは保護層でコーティングし、この組み合わせはケイ化ニッケルを形成するのに充分な温度に加熱される。このケイ化ニッケル形成は酸素含有環境において行われうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35U.S.C.119(e)の下での、2009年8月25日に出願された米国仮出願第61/275,085号に対する優先権の利益を主張し、前記仮出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明はケイ化ニッケルの向上した形成方法に関する。より具体的には、本発明は、処理工程数が低減されたケイ化ニッケルの向上した形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ化物は一般的には、半導体および先端実装技術、例えば、ゲート電極、オーミック接触、相互接続ライン、ショットキー障壁ダイオード接触、光起電力、太陽電池および光電子部品形成などにおける様々な目的のために使用されうる。ケイ化物は、共堆積、例えば、共スパッタリングおよび共蒸発、および化学蒸着(CVD)、並びにケイ素基体上に堆積された金属層の熱アニーリングをはじめとする様々な技術によって形成されうる。例えば、金属ケイ化物が共蒸発または共スパッタリングにより形成される場合には、その金属がケイ素基体上に堆積され、次いで、高温でアニーリングされ、その金属をケイ素中に拡散させ、そこでその金属はケイ素と化合して金属ケイ化物を形成する。アニーリングは、金属堆積物の酸化を妨げるために、典型的には、真空または不活性ガス雰囲気中で起こる。不活性環境中または真空下での堆積プロセスおよびアニーリングは、特別に設計された高価な装置の使用を必要とする。
【0003】
アニーリングした後、金属層は典型的には金属ケイ化物上に堆積されて、導電性トラックまたは電極を構築し形成する。典型的には、ケイ化物は、このような金属層を堆積する前に活性化されなければならない。ケイ化物上への触媒物質の堆積により活性化はなされうるが、これは、全体プロセスに対して追加的な複数の工程または触媒コロイド化合物の使用を必要とする。触媒コロイド化合物は、ケイ素上に選択的にコーティングされた誘電体物質に付着することができ、結果的に、誘電体上への金属の望ましくなく、過剰で、かつ非選択的な堆積を生じさせる場合がある。金属の非選択的な堆積は、表面汚染、誘電体物質への導電物質の望ましくない拡散、さらには短絡からのデバイス欠陥および他のデバイス異常を導きうる。このことは、処理工程数の増大だけでなく、金属化の前に活性化工程が含まれるかどうかにかかわらず、金属層を適切に活性化しないリスクが存在し、その結果、金属層間での接着の欠陥をもたらす。
【0004】
米国特許第6,787,450号は半導体デバイス上にケイ化物を形成し、無電解金属堆積を使用して導電体を形成する方法を開示する。半導体はケイ素ベース、ケイ素−ゲルマニウム、ゲルマニウム、またはゲルマニウムヒ素であることができる。半導体物質は、半導体の露出領域を残す絶縁層で選択的にコーティングされる。露出した半導体上に化学蒸着によってチタンの層が堆積され、ケイ化チタンを形成するのに充分高い温度で半導体が熱アニーリングされる。ケイ化物を形成するために、チタンに加えて、タングステン、コバルトおよびニッケルのような他の金属が使用されうるが、チタンが好ましい金属である、というのは、ケイ化コバルトおよびケイ化ニッケルの双方は、高いケイ素消費およびn+接合リークの不利益を有するからである。
【0005】
アニーリング処理中、ケイ化物の形成においてチタンの全てが消費される訳ではない。ケイ化物の表面上に残っているチタンは、水酸化アンモニウムと過酸化水素との混合物を含む溶液を使用するエッチングまたはストリッピングによって除去される。チタンが除去された後、ケイ化物上に何らかの金属層を堆積させる前に、ケイ化物は活性化される。活性化は酸化物および酸化物含有化合物をケイ化チタンから除去する。このような酸化物はケイ化物への金属の接着性を悪化させ、最終的に、その半導体が使用される電子デバイスの信頼性を悪化させる。活性化中に、ケイ化チタン層がわずかにエッチングされる。活性化は、過酸化アンモニウムを含むエッチング溶液を用いて行われうる。他の活性化方法は、ケイ化物をフッ化水素酸(HF)単独と、またはHFおよび塩化パラジウムの混合物と接触させることを含む。様々な界面活性剤も活性化溶液中に含まれうる。ケイ化チタンの代わりに、ケイ化コバルトまたはケイ化ニッケルが形成される場合には、導電体を形成するために、無電解構築の前に、ケイ化物を活性化することも必要である。活性化後、半導体はすすがれて、次いでニッケル、ニッケル合金、コバルトまたはコバルト合金で無電解めっきされて、導電体を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,787,450号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属ケイ化物を半導体ウェハ上に形成する方法が存在するが、向上し、より効率的なケイ化物形成方法についての必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
方法は、ケイ素含有基体を提供し;ケイ素含有基体上にニッケル層を堆積させ;ニッケル層上に銀層を堆積させ;並びに、ニッケルおよび銀層を伴うケイ素含有基体を、ケイ化ニッケルを形成するのに充分な温度に加熱する;ことを含む。
【発明の効果】
【0009】
ケイ素含有基体の隣のニッケル金属層の隣にある銀金属層コーティングは、ケイ化物形成において使用される高温に起因する損傷からニッケル金属を保護する。さらに、銀層は、標準部屋環境または酸素含有雰囲気におけるケイ化物形成を許容し、よって、特別に設計された高価な装置、並びに時間のかかる追加の処理工程の必要性をなくする。本方法は、ニッケル上に銀を堆積させる前に、ケイ化ニッケルを活性化させなければならない時間のかかる工程を除去できる。このような活性化工程の除去は、ニッケルと銀との間の接着の欠陥の可能性を低減させる。銀層は焼結中の望まれない酸化物の形成を妨げ、よって、金属層の分離の可能性を低減させ、その半導体が使用される電子デバイスの機能不全を最終的に妨げる。よって、本ケイ化ニッケル方法は、ケイ化物形成の多くの従来法よりも向上され、より効率的な方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書を通じて使用される場合、用語「堆積」および「めっき」は交換可能に使用される。用語「電流トラック」および「電流ライン」は交換可能に使用される。用語「組成物」および「浴」は交換可能に使用される。用語「ケイ化物」はケイ素と別の元素、通常、金属との二元化合物を意味する。用語「選択的堆積」とは、基体上の特定の望まれる領域において堆積が起こることを意味する。用語「lux=lx」は1ルーメン/mに等しい照明の単位であり;1ルクス=540テトラヘルツの周波数での1.46ミリワットの放射電磁(EM)力。以下の略語は、文脈が明らかに他のことを示さない限りは、以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;mL=ミリリットル;L=リットル;A=アンペア;dm=デシメートル;cm=センチメートル;μm=ミクロン;nm=ナノメートル;UV=紫外;およびIR=赤外。全てのパーセンテージおよび比率は、他に示されない限りは、重量基準である。全ての範囲は境界値を含み、このような数値範囲が合計で100%に制約されることが論理的である場合を除いて、任意に組み合わせ可能である。
【0011】
光起電力および太陽電池は、単結晶または多結晶または非晶質のケイ素含有半導体ウェハから構成されうる。このようなウェハは典型的にはp−型ベースドーピングを有する。
【0012】
半導体ウェハは円形、正方形または長方形の形状であることができ、または何らかの他の好適な形状であることができる。このようなウェハは様々な寸法および表面抵抗性を有することができる。例えば、円形ウェハは150nm以上、200nm以上、300nm以上、400nm以上の直径を有することができる。
【0013】
ウェハの裏面は金属化されて、低抵抗ウェハを提供する。あらゆる従来法が使用されうる。典型的には、半導体ウェハの、シート抵抗としても知られている表面抵抗は40〜90オーム/スクエア、または例えば40オーム/スクエア〜60オーム/スクエア、または例えば60オーム/スクエア〜80オームスクエアである。
【0014】
裏面全体が金属コーティングされうるか、またはグリッドを形成するためのように、裏面の一部分が金属コーティングされうる。このような裏面金属化は様々な技術によって提供されることができ、ウェハの前面の金属化の前になされうる。ある実施形態においては、金属コーティングは電気伝導ペースト、例えば、銀含有ペースト、アルミニウム含有ペーストまたは銀およびアルムニウム含有ペーストなどの形態で裏面に適用されるが、しかし、当該技術分野において知られている他の好適なペーストも使用されうる。このような導電ペーストは、典型的には、ガラスマトリックスおよび有機バインダーに埋め込まれた導電粒子を含む。導電ペーストは様々な技術、例えば、スクリーン印刷などによってウェハに適用されうる。ペーストが適用された後で、ペーストは焼かれて有機バインダーを除去する。アルムニウム含有導電ペーストが使用される場合には、アルミニウムはウェハの裏面に部分的に拡散するか、または銀も含むペーストにおいて使用される場合には、銀との合金を形成しうる。このようなアルムニウム含有ペーストの使用は、抵抗性接触を向上させることができ、「p+」ドープ領域を提供することができる。後の相互拡散を伴うアルムニウムまたはホウ素の従前の適用により、重度にドープした「p+」型領域も生じさせられうる。別の実施形態においては、シード層がウェハの裏面に堆積させられることができ、無電解または電解めっきによって、金属コーティングがシード層上に堆積させられ得る。
【0015】
ウェハの前面は、反射を低減させる向上した光入射形状を表面に付すために、場合によっては、結晶配向テクスチャーエッチングにかけられ得る。これは、半導体ウェハを、フッ化水素酸のような酸またはアルカリに接触させて、表面をテクスチャー化するかまたは粗化することにより行われうる。
【0016】
半導体接合を生じさせるために、リン拡散またはイオン注入がウェハの前面で起こり、nドープ(n+またはn++)領域を生じさせ、かつPN接合を有するウェハを生じさせる。nドープ領域はエミッタ層とも称されうる。
【0017】
反射防止層がウェハの前面またはエミッタ層に追加される。さらに、反射防止層は不動態化(passivation)層として機能しうる。好適な反射防止層には、限定されないが、SiOのような酸化ケイ素層、Siのような窒化ケイ素層、酸化ケイ素層と窒化ケイ素層との組み合わせ、並びに酸化ケイ素層と窒化ケイ素層とTiOのような酸化チタン層との組み合わせが挙げられる。上記式において、xは酸素原子の数である。このような反射防止層は多くの技術によって、例えば、様々な蒸着方法、例えば、化学蒸着および物理蒸着によって堆積されうる。
【0018】
ウェハの前面は金属化されたパターンを含む。例えば、ウェハの前面は集電ラインおよび電流バスバーから構成されうる。集電ラインは典型的にはバスバーを横断し、典型的には電流バスバーに対して相対的に微細な構造(すなわち、寸法)を有する。
【0019】
このパターンは反射防止層を貫通して、ウェハの半導体本体の表面を露出させる。あるいは、開口部内に溝が形成されることができ、選択的エミッタを作り出すことができる。この溝は高ドーピングの領域でありうる。このパターンを形成するために、様々な方法、例えば、これに限定されないが、レーザーアブレーション、機械的手段、およびリソグラフィープロセス(これら全ては当該技術分野において周知である)が使用されうる。このような機械的手段には、のこぎり引き(sawing)およびスクラッチングが挙げられる。典型的なフォトリソグラフィープロセスは、像形成可能な物質をウェハの表面上に配置し、その像形成可能な物質をパターン形成して反射防止層に開口部を形成し、そのパターンをウェハに移し、開口部内にニッケル層を堆積させ、そして像形成可能な物質を除去することを含む。ある実施形態においては、像形成可能な物質は、開口部内にニッケル層を堆積させる工程の前に除去される。別の実施形態においては、像形成可能な物質は、開口部内にニッケル層を堆積させる工程の後に除去される。像形成可能な物質がニッケル堆積工程中に存在する場合には、このような像形成可能な物質は、典型的には、ニッケル堆積工程中に使用される放射線の波長を吸収するコントラスト染料のようなあらゆる染料を回避する。像形成可能な物質は、めっき工程中に典型的には、40〜60%の最小光透過率を有する染料を含む。
【0020】
像形成可能な物質が液体である場合には、あらゆる好適な技術によって、例えば、これに限定されないが、スピンコーティング、インクジェット印刷、カーテンコーティングおよびローラーコーティングによって、このような物質はウェハの表面上に配置されうる。像形成可能な物質が乾燥膜である場合には、このような物質は真空積層によってウェハの表面上に配置されうる。
【0021】
像形成可能な物質は、マスクを通った化学線に像形成可能な物質を露光することによりパターン形成される。化学線の選択は、選択される具体的な像形成可能な物質に依存する。像形成可能な物質をパターン形成するために、レーザーおよび他の従来の化学線源が使用されうる。
【0022】
像形成可能な物質中のパターンは、次いで、半導体ウェハ基体に移される。パターン転写はウェット化学エッチング技術を使用して、またはドライエッチング技術を使用することにより行われうる。好適なドライエッチング技術には、限定されないが、反応性イオンエッチングのようなプラズマエッチングが挙げられる。パターンは典型的には、集電ラインである相対的に狭い断面寸法のラインおよびバスバーである相対的に厚い断面寸法のラインで構成される。バスバーは集電ラインを横切る。
【0023】
像形成可能な物質は、好適なポリマー除去剤、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ(マサチューセッツ州、マルボロ)によって販売されているものを用いて除去されうる。このような除去剤はアルカリ性、酸性または本質的に中性であることができる。
【0024】
ニッケルシード層は前面導電パターン上に堆積される。ニッケルシード層は、当該技術分野において知られている従来のニッケル堆積方法によって堆積されうる。典型的には、ニッケルシード層は光アシスト(light assisted)ニッケル堆積によって堆積される。ニッケル源が無電解ニッケル組成物である場合には、外部電流の適用なしにめっきが行われる。ニッケル源が電解ニッケル組成物からのものである場合には、裏面電位(整流器)が半導体ウェハ基体に適用される。光は連続的またはパルスにされうる。パルス照明は、例えば、機械的なチョッパーで光を遮ることにより達成されることができ、または電子デバイスが使用され、所望のサイクルに基づいて周期的に電力を間欠的に光にすることができる。ニッケルを堆積させる前に、表面酸化物は、典型的には、1%フッ化水素酸の溶液を用いて、導電パターンから除去される。
【0025】
ある実施形態においては、半導体はニッケルめっき組成物中に浸漬され、ニッケル堆積の間中、光が適用される。別の実施形態においては、半導体はニッケルめっき組成物中に浸漬され、所定の期間、初期強度で光が半導体に適用され、次いで、残りのめっきサイクルについて、初期光強度を所定の量に低減し、ドープされた半導体のnドープ前面の露出部分上にニッケル層を堆積させる。初期光強度の後で、残りのめっきサイクルについて適用される、半導体基体に適用される光強度は常に初期強度よりも小さい。初期光強度が残りのめっきサイクルについての光強度よりも高い限りは、初期光強度の絶対値および初期期間後の低減された光強度は変動し、それらは最適なめっき結果を達成するためにめっきプロセスにおいて変化させられることができる。初期期間中に初期光強度が変動する場合には、残りのめっきサイクルについて適用される光強度は初期光強度の平均を基準にすることができる。好適な初期光強度、初期光強度を適用するための好適な初期期間、並びに残りのめっきサイクルについて適用される光強度を決定するために、わずかな実験が行われる場合がある。
【0026】
一般的には、初期光強度を適用するための初期期間は、0秒を超えて15秒までである。典型的には、初期光強度は、0.25秒〜15秒、より典型的には2秒〜15秒、最も典型的には5秒〜10秒間、半導体に適用される。一般的に、低減された光強度は、初期光強度の5%〜50%である。典型的には、低減された光強度は、初期光強度の20%〜50%、または例えば30%〜40%である。
【0027】
めっきプロセスを開始するのに使用されうる光には、これに限定されないが、可視光、IR、UVおよびX−線が挙げられる。光源には、これに限定されないが、白熱ランプ、LED光(発光ダイオード)、赤外ランプ、蛍光ランプ、ハロゲンランプおよびレーザーが挙げられる。一般的には、半導体に最初に適用される光の量は、8000 lx〜20,000 lx、または例えば、10,000 lx〜15,000 lxであることができる。一般的には、残りのニッケルめっきサイクルのために半導体ウェハに適用される光の量は、400 lx〜10,000 lx、または例えば、500 lx〜7500 lxでありうる。
【0028】
典型的には、無電解ニッケルめっき組成物を用いて、反射防止層内の開口部を通って、半導体ウェハの露出した表面上にニッケルが堆積される。無電解ニッケルめっき組成物は還元剤を含んでいてもよく、または含んでいなくても良い。典型的には、無電解ニッケルめっき組成物は還元剤を含む。このような還元剤には、これに限定されないが、ジ亜リン酸ナトリウム、ジ亜リン酸カリウム、チオ尿素およびチオ尿素誘導体、ヒダントインおよびヒダントイン誘導体、ヒドロキノンおよびヒドロキノン誘導体、レゾルシノール、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド誘導体、DEA(n−ジエチル−アミンボラン)、水素化ホウ素ナトリウム並びにヒドラジンが挙げられる。このような還元剤は、0.1g/L〜40g/Lのような従来の量で使用されうる。市販の無電解ニッケル組成物の例には、DURAPOSIT商標SMT88無電解ニッケル、並びにNIPOSIT商標PM980およびPM988無電解ニッケルが挙げられる。これら全ては、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLC(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)から入手可能である。
【0029】
あるいは、電解ニッケル組成物が使用されうる。電解組成物が使用される場合には、ニッケルを堆積させるために、適用される裏面電位(整流器)が光に加えて使用される。典型的な電流密度は0.1A/dm〜2A/dm、より典型的には0.5A/dm〜1.5A/dmである。具体的な電流要求は使用されるウェハの具体的なサイズに依存する。使用される電気めっき方法は従来のものである。好適な電解ニッケルめっき浴は商業的に入手可能であり、並びにその多くは文献に開示されている。市販の電解ニッケル浴の例は、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLCから入手可能なNICKEL GLEAM商標電解ニッケル製品である。好適な電解ニッケルめっき浴の他の例は、米国特許第3,041,255号に開示されているワット型(Watts−type)浴である。
【0030】
めっき組成物中のニッケルイオンは、好適な溶液可溶性ニッケル化合物、典型的には水可溶性ニッケル塩を使用することによって提供されうる。このようなニッケル化合物には、これに限定されないが、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、およびリン酸ニッケルが挙げられる。ニッケル化合物の混合物がめっき組成物中に使用されうる。このような混合物は、硫酸ニッケルと塩化ニッケルとの混合物のような、同じ金属を有するが異なる化合物である金属化合物であり得る。ニッケル化合物は、めっき組成物中で、0.1g/L〜150g/L、典型的には0.5g/L〜100g/L、より典型的には1g/L〜70g/Lのニッケルイオン濃度を提供するのに充分な量でめっき組成物に添加される。
【0031】
ニッケル化合物は、めっき組成物中に0.1g/L〜150g/L、より典型的には0.5g/L〜100g/L、およびさらにより典型的には1g/L〜70g/Lのニッケルイオン濃度を提供するのに充分な量で、めっき組成物に添加される。
【0032】
酸および塩基をはじめとする様々な電解質がニッケルめっき組成物中に使用されることができる。典型的な電解質には、限定されないが、アルカンスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびプロパンスルホン酸;アルキロールスルホン酸;アリールスルホン酸、例えば、トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸およびフェノールスルホン酸;アミノ含有スルホン酸、例えば、アミドスルホン酸;スルファミン酸;鉱酸;カルボン酸、例えば、ギ酸およびハロ酢酸;ハロゲン化水素酸;およびピロホスファートが挙げられる。酸および塩基の塩も電解質として使用されうる。さらに、電解質は酸の混合物、塩基の混合物、または1種以上の酸と1種以上の塩基との混合物を含むことができる。このような電解質は、一般に、アルドリッチケミカルカンパニー(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)のような様々なソースから商業的に入手可能である。
【0033】
場合によっては、様々な界面活性剤がニッケルめっき組成物中に使用されうる。ニッケルめっきの性能を妨げない限りは、アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性界面活性剤のいずれも使用されうる。界面活性剤は、当該技術分野で周知であるような従来の量で含まれうる。
【0034】
場合によっては、ニッケルめっき組成物は、1種以上の追加の成分を含むことができる。このような追加の成分には、限定されないが、光沢剤、グレインリファイナー(grain refiner)および延性向上剤が挙げられる。このような追加の成分は当該技術分野において周知であり、従来の量で使用される。
【0035】
ニッケルめっき組成物は場合によっては緩衝剤を含むことができる。典型的な緩衝剤には、これに限定されないが、ホウ酸塩緩衝剤(例えば、ボラックス)、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤および水酸化物緩衝剤が挙げられる。使用される緩衝剤の量は、めっき組成物のpHを所定の水準に維持するのに充分な量であり、このような量は当業者に周知である。
【0036】
一般に、パターン形成された半導体ウェハは、めっきセルに収容されたニッケルめっき組成物中に沈められる。光源は、光エネルギーで半導体ウェハを照明するように配置される。光源は、例えば、半導体が光起電力感受性である波長内でエネルギーを提供する蛍光もしくはLEDランプでありうる。様々な他の光源、例えば、これに限定されないが、75ワットおよび250ワットランプのような白熱ランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプ、および150ワットIRランプが使用されうる。
【0037】
めっきセルは、ニッケルめっき組成物に対して化学的に不活性であるような物質のものであり、40〜60%の最小光透過率を有する。あるいは、ウェハはめっきセル内に水平に配置され、ニッケルめっき組成物上から照明されることができ、この場合、めっきセルは少なくとも前記最小光透過率を有する必要はない。
【0038】
半導体ウェハの前面を光エネルギーで照明することにより、前面上でめっきが起こる。衝突する光エネルギーが半導体に電流を発生させる。前面でのめっきの速度は光強度、浴温度、還元剤活性、開始時のウェハ状態、ドーピングレベル、並びに当該技術分野における作業者に知られている他のパラメータを調節することにより制御可能である。めっき浴が電解浴である場合には、めっきの速度は整流器によっても調節されうる。20nm〜300nm厚の、または例えば、50nm〜150nmのニッケル層が典型的に望まれ、正確な厚みは様々な要因、例えば、用途、サイズ、パターンおよび形状に応じて変化する。
【0039】
ニッケルめっき組成物は1〜14、典型的には1〜12、より典型的には1〜8の範囲のpHを有することができる。めっき中のニッケルめっき組成物の稼働温度は10〜100℃、または例えば20〜50℃でありうる。
【0040】
開口部を通り、半導体ウェハ基体の露出した表面に隣接してニッケルが堆積された後で、直ちに銀がニッケルに隣接して堆積される。典型的には、ニッケルがめっきされたあと1分未満で、より典型的にはニッケルめっき後30秒未満で、最も典型的には1〜30秒で銀が堆積される。ニッケル堆積後短時間でニッケル上に銀がメッキされない場合には、ニッケルは不動態化し、銀メッキ前に活性化されなければならない。不動態化は、めっきに抵抗性である金属層を説明する一般的な用語である。めっきが不動態化金属上で起こらない場合には、不動態化金属と、その上に堆積された金属との間の接着性は劣っており、信頼できない。典型的には、堆積された金属は、不動態化金属から容易に剥離する。よって、ニッケルめっき後1分以内でニッケル上に銀を堆積することが非常に望ましく、そうでなければ、ニッケルと銀との間の信頼できる接着を達成するために、活性化工程が必要とされうる。
【0041】
従来の電気めっき銀組成物が使用されうる。銀組成物はシアン化物含有銀組成物またはシアン化物非含有銀組成物であり得る。銀イオン源には、限定されないが、シアン化銀カリウム、硝酸銀、チオ硫酸銀ナトリウム、グルコン酸銀;銀−システイン錯体のような銀アミノ酸錯体;メタンスルホン酸銀のようなアルキルスルホン酸銀が挙げられうる。硝酸銀と銀システイン錯体との混合物のような銀化合物の混合物が使用されうる。組成物中の銀イオンの濃度は典型的には、2g/L〜40g/Lの量である。このような銀化合物は、一般的に、アルドリッチケミカルカンパニー(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)のような様々なソースから市販されている。市販の有用な銀めっき組成物の例は、マサチューセッツ州、マルボロのロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLCからENLIGHT商標シルバープレート600および620として入手可能である。
【0042】
アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性界面活性剤をはじめとする様々な従来の界面活性剤が銀めっき組成物中に使用されうる。界面活性剤は従来の量で含まれうる。銀めっき組成物は、1種以上の追加の従来の成分を含むことができる。このような追加の成分には、限定されないが、電解質、緩衝剤、光沢剤、グレインリファイナー、キレート剤、錯化剤、還元剤、平滑化剤および延性向上剤が挙げられる。このような追加の成分は当該技術分野において周知であり、かつ従来の量で使用される。
【0043】
銀めっき組成物は1〜14、典型的には1〜12、さらにより典型的には1〜8の範囲のpHを有しうる。金属めっき中のめっき組成物の稼働温度は10〜100℃、または例えば20〜60℃である。その稼働温度は、典型的には10〜20℃、より典型的には15〜20℃の範囲である。銀めっき組成物を室温より低い温度に維持するために、冷却機が典型的に使用される。
【0044】
銀は光誘起めっき(LIP)または当該技術分野において周知の従来の銀電気めっき方法によって堆積されうる。LIPめっきの手順は、上記電解ニッケルシード層をめっきするための手順に類似する。一般的に、パターン形成された半導体ウェハはめっきセル内に収容される銀組成物中に沈められる。半導体ウェハの裏面は外部電源(整流器)に接続される。銀めっき組成物中に配置された銀アノードは、構成要素間に完全な回路が形成されるように、整流器に接続される。典型的な電流密度は0.1A/dm〜5A/dm、より典型的には、1A/dm〜3A/dmである。全電流要求は、使用されるウェハの具体的なサイズに依存する。さらに、銀アノードは、外部ソースを使用する必要なしに、銀めっき組成物に銀イオンを補充するための銀イオンの準備のできたソースを提供する。光源は半導体ウェハを光エネルギーで照明するように配置される。光源は、例えば、半導体ウェハが光起電力感受性である波長の範囲内でエネルギーを提供する蛍光もしくはLEDランプであることができる。これらに限定されないが、75ワットおよび250ワットランプのような白熱ランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプおよび150ワットIRランプのような様々な他の光源が使用されうる。
【0045】
めっきセルは銀めっき組成物に関して化学的に不活性であるような物質から成るものであり、かつ40〜60%の最小光透過率を有する。あるいは、ウェハはめっきセル内で水平に配置され、銀めっき組成物の上から照明されることができ、この場合、めっきセルは少なくとも前記最小光透過率を有することを必要としない。
【0046】
半導体ウェハの前面を光エネルギーで照明することにより、ニッケルシード層上に銀めっきが起こる。光強度は5000 lx〜15000 lxの範囲であり得る。衝突した光エネルギーは太陽電池内に電流を生じさせる。銀メッキ浴が電解浴である場合には、従来の整流器を用いて外部電流も適用される。前面でのめっきの速度は、光強度、浴温度、当初のウェハ状態、ドーピングレベルおよび電流レベル、並びに当該技術分野における作業者に知られている他のパラメータを調節することによって制御可能である。1μm〜30μm厚、または例えば、5μm〜15μmの銀層が典型的に望ましく、正確な厚みは様々な要因、例えば、用途、サイズ、パターンおよび形状などに依存する。
【0047】
場合によっては、半導体ウェハは金属化の前にエッジ分離されうる。エッジ分離は、半導体ウェハのn型エミッタ層からp型層への金属堆積物の架橋に起因する金属化中の半導体ウェハの短絡化(shunting)の可能性を低減する。エッジ分離は、金属化の前に半導体ウェハのエッジに沿って、従来のめっきレジスト、すなわちエッジマスクを適用することにより行われうる。このようなめっきレジストは、モンタンワックス、パラフィンワックス、大豆、植物ワックスおよび動物ワックスなどの1種以上のワックスを含むワックスベースの組成物であることができる。さらに、このようなレジストは、UVおよび可視光のような放射線への露光の際にレジストを硬化させる1種以上の架橋剤、例えば、従来のアクリラート、ジアクリラートおよびトリアクリラート、並びに1種以上の硬化剤を含むことができる。硬化剤には、これに限定されないが、フォトレジストおよび他の感光性組成物中に使用される従来の光開始剤が挙げられる。このような光開始剤は、当該技術分野において周知であり、かつ文献で公になっている。このようなめっきレジストは従来のスクリーン印刷手順によって、または選択的インクジェットプロセスによって適用されうる。あるいは、半導体ウェハは反射防止層を用いてエッジ分離されうる。これは、反射防止層の形成中に、反射防止層を形成するために使用される物質を、半導体層のエッジ上に堆積することによりなされうる。
【0048】
銀金属がニッケル上で隣接して堆積された後で、次いで、半導体は焼結されてケイ化ニッケルを形成する。ニッケル面上に堆積された銀との焼結が行われて、銀とニッケルとの間の接着性を向上させる。ニッケル上にめっきされた銀との焼結は焼結のための時間帯を増大させる。言い換えれば、焼結は所定のピーク温度で、従来のプロセスにわたって延長されることができ、ウェハに対する損傷についての懸念なしに、ニッケルとケイ素との間の向上した結合を提供することができる。多くの従来のプロセスにおいては、所定の温度で半導体をオーブン内に長すぎる期間保持することは、ニッケルがウェハ内へ深すぎる拡散をして、エミッタ層に到達し、よってウェハを短絡化させうる。ニッケルとケイ素との間の向上した結合は、ケイ化ニッケルと銀との間の接着欠陥の可能性を低減させる。さらに、焼結温度によって銀はケイ化物中に組み込まれず、これにより、焼結中の酸化からニッケルを銀が保護しつつ、ケイ化ニッケルが形成される。380℃以上、または400℃〜550℃のウェハピーク温度を提供する炉が使用されうる。650℃を超えるピーク温度は使用されない、というのは、そのような高い温度においては、ケイ化ニッケルと二ケイ化ニッケルとの双方が形成されうるからである。二ケイ化ニッケルの形成は望ましくない、というのは、二ケイ化ニッケルが高い接触抵抗を有し、この高い接触抵抗が半導体ウェハにおける電流の流れを低減するからである。典型的には、ピーク温度時間は2秒〜20秒、または例えば、5秒〜15秒の範囲である。好適な炉の例はランプベースの炉(IR)である。
【0049】
銀層は焼結中にニッケルを酸化から保護するので、焼結は、不活性ガス雰囲気または真空とは対照的に、酸素含有環境で行われることができる。よって、不活性または真空環境における焼結に必要とされる工程および装置は、このような手順に必要とされる高価な装置と共に除かれる。また、特定の不活性ガスの除去は、焼結プロセスのコストおよび複雑さをさらに低減する。一般的に、焼結は少なくとも3分間、または例えば、4分間〜10分間、または例えば、5分間〜8分間行われる。半導体が炉を通過するライン速度は使用される炉に依存して変動しうる。好適なライン速度を決定するためにわずかな実験が行われて良い。典型的には、ライン速度は330cm/分〜430cm/分、または例えば、370cm/分〜420cm/分である。
【0050】
焼結方法は、太陽電池において使用されるケイ素半導体ウェハに対する具体的な炉と共に説明されてきたが、焼結方法は、光起電力素子、ゲート電極、オーミック接触、相互接続ライン、ショットキー障壁ダイオード接触および光電子部品のような他の物品のための部品の製造において使用されうる。
【0051】
以下の実施例は、本発明を例示するために含まれるが、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0052】
実施例1
ドープされた単結晶シリコンウェハ6枚が準備された。ドープされたシリコンウェハのそれぞれは、そのウェハの前面にエミッタ層を形成するn+ドープ領域と、そのエミッタ層の下のpn接合とを有していた。各ウェハの前面は、Siから構成される不動態化または反射防止層でコーティングされた。各ウェハの前面は、反射防止層を貫通し、シリコンウェハの表面を露出させる電流トラックのためのパターンを有していた。各電流トラックはウェハの長さ全体を横切っていた。この電流トラックは各ウェハの端部および各ウェハの中央でバスバーと結合していた。各ウェハの裏面はp+ドープされ、アルミニウム電極を含んでいた。
【0053】
金属化中のウェハの短絡化を妨げるために、SCHMID DOD300インクジェット装置を用いて、各シリコンウェハのエミッタ層セクションの端部に沿って、ホットメルトめっきレジストが選択的に適用された。ホットメルトめっきレジストは90重量部のパラフィンワックス、10重量部の80%大豆および20%ヤシワックスのブレンド、10重量部のキャンデリラワックスおよび1重量部の蛍光染料を含んでいた。各ウェハは、次いで、1%水性フッ化水素酸で60秒間活性化されて、シリコン上の表面酸化物を除去した。次いで、ウェハは水ですすがれた。
【0054】
それぞれのドープされた単結晶シリコンウェハは、光に対して透明な、化学的不活性めっきセル中に収容された、従来の低温水性無電解ニッケルめっき組成物であるNIPOSIT商標PM988無電解ニッケル中に浸漬された。めっき温度は35℃であった。めっきサイクルを通じて、人工光がウェハに適用された。この光源は蛍光ランプであった。各ウェハを横切って適用される平均強度は13000 lxであると決定された。この光は従来のフィッシャーサイエンティフィック露出計を用いて測定された。ニッケルめっきは30秒間行われ、200nm厚のニッケル層を提供した。
【0055】
ニッケルめっきされたシリコンウェハは、次いで、水ですすがれ、直ちに銀でめっきされて、シリコンウェハ上に電流トラックを形成した。銀めっきの前にニッケルを活性化するための活性化工程は使用されなかった。シアン化物非含有銀電気めっき組成物であるENLIGHT商標銀めっき620および銀アノードを収容する、光に対して透明である化学的不活性めっきセルが準備された。この電気めっき組成物の温度は35℃であった。人工光源として蛍光ランプも準備された。ニッケルめっきされたウェハは、この銀電気めっき組成物中に配置された。各ウェハの裏面の各アルミニウム電極および銀アノードは整流器に接続されて、完全な回路を形成した。各ウェハの裏面電位は0.9ボルトであり、めっき中に適用された電流密度は1.5〜2A/dmであった。平均光強度は10,000 lxであった。LIP銀は4分間行われ、ニッケル層上に5μm厚の銀電流トラックを形成した。次いで、各ウェハは銀電気めっき組成物から取り出され、水ですすがれ、乾燥させられた。
【0056】
それぞれのめっきされたシリコンウェハは、次いで、シエラサーモ(Sierra Therm)炉7500シリーズw/T−3Qz.IRランプ内に配置され、シリコンウェハを焼結し、ケイ化ニッケルを形成した。炉内の温度は、10秒間にわたって室温から425℃まで上げられ、425℃の焼結温度で10秒間のピークセッティングであった。ウェハが炉を通過した速度は150cm/分であった。ウェハが室温まで冷却された後で、次いで、スコッチ透明テープ片(カタログ番号600)が、各ウェハの金属めっきされた面に適用され、次いで、手でウェハから引っ張られた。4つのテープサンプルが、銀電流トラックの有意な部分を取り除いた。残りの2つのサンプルは、少量の銀電流トラックを含んでいたが、銀電流トラックの大部分は依然としてウェハに付着していた。
【0057】
実施例2
4枚の単結晶半導体ウェハについて、実施例1に記載された方法が繰り返された。これらウェハは実施例1に記載されるようにドープされ、金属めっきされた。金属めっきされたウェハはシエラサーモ炉内で、室温で開始し、炉温度を10秒間で425℃に上げて、475℃で10秒間のピークセッティングで焼結させられた。ウェハが室温に到達した後、スコッチ透明テープ片(カタログ番号600)が、各ウェハの金属めっき面に適用され、次いで、そのテープをウェハから手で引っ張った。2つのテープサンプルはその表面に付着した少量の銀しか有していなかった。残りの2つのテープサンプルは、銀が除去されたことの目に見えるしるしを示さなかった。
【0058】
実施例3
2枚の単結晶半導体ウェハについて、実施例1に記載された方法が繰り返された。これらウェハは実施例1に記載されるようにドープされ、金属めっきされた。金属めっきされたウェハはシエラサーモ炉内で、室温で開始し、炉温度を10秒間で425℃に上げて、500℃で10秒間のピークセッティングで焼結させられた。ウェハが室温に到達した後、スコッチ透明テープ片(カタログ番号600)が、各ウェハの金属めっき面に適用され、次いで、そのテープをウェハから手で引っ張った。両方のテープサンプルは、電流トラックから何らかの銀が除去されたことの目に見えるしるしを示さなかった。
【0059】
実施例4
2枚の単結晶半導体ウェハについて、実施例1に記載された方法が繰り返された。これらウェハは実施例1に記載されるようにドープされ、金属めっきされた。金属めっきされたウェハはシエラサーモ炉内で、室温で開始し、炉温度を10秒間で425℃に上げて、525℃で10秒間のピークセッティングで焼結させられた。ウェハが室温に到達した後、スコッチ透明テープ片(カタログ番号600)が、各ウェハの金属めっき面に適用され、次いで、そのテープをウェハから手で引っ張った。両方のテープサンプルは、電流トラックから何らかの銀が除去されたことの目に見えるしるしを示さなかった。
【0060】
実施例5
4枚の単結晶半導体ウェハについて、実施例1に記載された方法が繰り返された。これらウェハは実施例1に記載されるようにドープされ、金属めっきされた。金属めっきされたウェハはシエラサーモ炉内で、室温で開始し、炉温度を10秒間で425℃に上げて、550℃で10秒間のピークセッティングで焼結させられた。ウェハが室温に到達した後、スコッチ透明テープ片(カタログ番号600)が、各ウェハの金属めっき面に適用され、次いで、そのテープをウェハから手で引っ張った。全てのテープサンプルは、電流トラックから何らかの銀が除去されたことの目に見えるしるしを示さなかった。
【0061】
実施例6
2枚の単結晶半導体ウェハについて、実施例1に記載された方法が繰り返された。これらウェハは実施例1に記載されるようにドープされ、金属めっきされた。金属めっきされたウェハはシエラサーモ炉内で、室温で開始し、炉温度を10秒間で425℃に上げて、600℃で10秒間のピークセッティングで焼結させられた。ウェハが室温に到達した後、スコッチ透明テープ片(カタログ番号600)が、各ウェハの金属めっき面に適用され、次いで、そのテープをウェハから手で引っ張った。両方のテープサンプルは、電流トラックから何らかの銀が除去されたことの目に見えるしるしを示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ケイ素含有基体を提供し;
b)ケイ素含有基体上にニッケル層を堆積させ;
c)ニッケル層上に銀層を堆積させ;並びに
d)ニッケルおよび銀層を伴うケイ素含有基体を、ケイ化ニッケルを形成するのに充分な温度に加熱する;
ことを含む方法。
【請求項2】
ニッケル層が50nm〜500nm厚である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銀層が1μm〜30μm厚である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
加熱が380℃以上のピーク温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ニッケルが無電解プロセス、光アシストプロセスまたは電解プロセスによって堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
銀が電解プロセスまたは光誘起めっきプロセスによって堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
加熱工程が酸素含有環境において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ケイ素含有基体が太陽電池、ゲート電極、オーミック接触、相互接続ライン、ショットキー障壁ダイオード接触、光起電力素子または光電子部品である、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2011−102429(P2011−102429A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−186728(P2010−186728)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】