説明

ケイ素含有ポリマー

本発明の対象は、a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1もしくは複数のモノマー60〜99.99質量%を、b)その親油性のシロキサン割合が分枝鎖状の構造を有し、かつその親水性の有機ポリマー部分が線状もしくは分枝鎖状であってよい、少なくとも1の分枝鎖状のポリシロキサン0.01〜40質量%の存在下に重合することを特徴とし、その際、質量%の記載はa)およびb)の全質量に対するものである、ポリシロキサンの存在下にエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより得られるケイ素含有ポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケイ素含有ポリマー、その製造方法およびその使用に関する。
【0002】
有機ケイ素化合物、たとえばオルガノシロキサンポリマーはエチレン性不飽和モノマーのポリマーを疎水化するために使用される。このような疎水性に変性されたポリマーはそのポリマー粉末の形で、特に水中に再分散可能なポリマー粉末の形で、または水性のポリマー分散液として多くの分野で使用される。該化合物は被覆剤または接着剤中でのバインダーとして、特に建設分野およびテキスタイル分野で、ならびに化粧品および毛髪手入れ剤中のバインダーとして使用される。
【0003】
WO−A95/20626から、共重合性でない有機ケイ素化合物の添加により、水中に再分散可能なポリマー粉末を変性することが公知である。EP−A0352339はコンクリート建築のための保護用塗料を記載しており、これはジビニル−ポリジメチルシロキサンとアクリレートエステルもしくはメタクリレートエステルとの、およびビニル官能性もしくはアクリル官能性アルコキシシランとのコポリマーを有機溶剤中の溶液として含有している。EP−B771826にはビニルエステル、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルまたはビニル芳香族化合物のエマルションポリマーをベースとする被覆および接着剤のための水性バインダーが記載されており、これは架橋剤として不飽和基、たとえばビニル基、アクリルオキシ基もしくはメタクリルオキシ基を有するポリシロキサンを含有している。EP−A943634中には被覆剤として使用するための水性ラテックスが記載されており、これはエチレン性不飽和モノマーをシラノール基含有ケイ素樹脂の存在下に共重合することにより製造される。EP−A1095953はケイ素によりグラフトされたビニルコポリマーを記載しており、この場合、カルボシロキサン−デンドリマーがビニルポリマー上にグラフトされている。
【0004】
DE−A19951877およびWO−A99/04750から、ポリアルキレンオキシド側鎖を有する線状ポリジアルキルシロキサンの存在下にエチレン系不飽和モノマーを重合することによりケイ素含有ポリマーが得られることが公知である。欠点は凝集体を形成する傾向および生成物の広い粒径分布である。US−A5216070はカルボキシル官能性モノマーを逆乳化重合するための方法を記載しており、この場合、乳化剤としてポリアルキレンオキシド側鎖を有する線状ポリジアルキルシロキサンを使用する。DE−A4240108は、防汚被覆中で使用するための、ポリシロキサン含有バインダーを製造するための重合法を記載しており、この場合、モノマーをOH−、COOH−またはエポキシ官能性の、さらにポリエーテル基を有していてもよいポリジアルキルシロキサンの存在下に重合する。DE−A10041163から、毛髪化粧調製物のための製造方法が公知であり、この場合、ビニルエステルをポリエーテル含有化合物、たとえばポリエーテル含有ケイ素化合物の存在下に重合する。
【0005】
従来技術に記載されているケイ素変性エマルションポリマーの欠点は強い加水分解傾向および制御できない架橋傾向であり、この傾向はたしかに多くの適用では所望され、かつ後から、シランおよび触媒を添加することによりさらに強化されるが、しかし塗料分散液の場合、または被覆剤として使用する場合には不所望のゲル体、「ムラ(Stippen)」および不溶性の成分を生じる。さらに従来公知のケイ素含有エマルションポリマーはしばしばアルカリ安定性ではない。というのも、ケイ素は公知のとおり、アルカリ中で安定していないからである。この理由から従来記載された系中で疎水性ひいてはこの疎水性と結びついた肯定的な特性は長い期間の後で著しく低下する。最後にエマルションポリマーの場合、大量のシランまたはシリコーンを導入することにより不十分な粒径分布が生じる、つまり粒子が大きくなりすぎ、かつポリマーは不均一となり、このことは上澄みの形成または相分離に現れうる。
【0006】
本発明の課題は、加水分解安定性であり、かつ疎水性で、このことにより耐候性で、撥水性であり、かつ汚れず、さらに良好な水蒸気透過性を有し、かつ高い湿潤摩擦抵抗を有するポリマーを開発することであった。もう1つの課題は、狭い粒径分布を有し、かつ凝集しない、疎水性に変性したポリマーが得られる方法を提供することであった。
【0007】
本発明の対象は、ポリシロキサンの存在下にエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより得られるケイ素含有ポリマーにおいて、
a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1もしくは複数のモノマー60〜99.99質量%を、
b)その親油性のシロキサン割合が分枝鎖状の構造を有し、かつその親水性の有機ポリマー部分が線状もしくは分枝鎖状であってよい、少なくとも1の分枝鎖状のポリシロキサン0.01〜40質量%の存在下に重合する
ことを特徴とし、その際、質量%の記載はa)およびb)の全質量に対するものである、ポリシロキサンの存在下にエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより得られるケイ素含有ポリマーである。
【0008】
適切なビニルエステルは、1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステルである。有利なビニルエステルはビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、1−メチルビニルアセテート、ビニルピバレートおよび5〜13の炭素原子を有するα−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル、たとえばVeoVa9(R)またはVeoVa10(R)(Shell社の商品名)である。特に有利であるのはビニルアセテート、最も有利であるのはビニルアセテートと、5〜11の炭素原子を有するα−分枝鎖状のモノカルボン酸との組合せ、たとえばVeoVa 10である。
【0009】
アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの群からの適切なモノマーは、1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールのエステルである。有利なメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルアクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレートである。特に有利であるのはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびノルボルニルアクリレートである。
【0010】
適切なジエンは1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。共重合性オレフィンのための例はエテンおよびプロペンである。ビニル芳香族化合物としてスチレンおよびビニルトルエンを共重合することができる。ビニルハロゲン化物の群から通常は塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはフッ化ビニル、有利には塩化ビニルを使用する。
【0011】
場合によりさらに、モノマーa)の全質量に対して0.05〜30質量%の、1もしくは複数の補助モノマーを共重合することができる。補助モノマーのための例はエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸またはこれらの塩、有利にはクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸およびマレイン酸、エチレン性不飽和カルボン酸アミドおよび−ニトリル、有利にはアクリルアミドおよびアクリルニトリル、フマル酸およびマレイン酸のモノエステルおよびジエステル、たとえばジエチル−およびジイソプロピルエステルならびに無水マレイン酸、エチレン性不飽和スルホン酸もしくはその塩、有利にはビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸である。補助モノマーとしてカチオン性モノマー、たとえばジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド(MAPTAC)および2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリドも適切である。さらにビニルエーテル、ビニルケトン、その他のビニル芳香族化合物が適切であり、これらはヘテロ原子を有していてもよい。
【0012】
適切な補助モノマーは重合性シランもしくはメルカプトシランである。有利であるのはγ−アクリル−もしくはγ−メタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキルジ(アルコキシ)シランおよびビニルトリ(アルコキシ)シランであり、その際、アルコキシ基としてたとえばメトキシ基、エトキシ基、メトキシエチレン、エトキシエチレン基、メトキシプロピレングリコールエーテル基もしくはエトキシプロピレングリコールエーテル基を使用することができる。このための例はビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス−(1−メトキシ)−イソ−プロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、トリスアセトキシビニルシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物シランである。3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランも有利である。
【0013】
その他の例は官能化された(メタ)アクリレート、特にエポキシ官能性、たとえばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシドエーテル、ビニルグリシドエーテル、またはヒドロキシアルキル官能性、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または置換されているか、もしくは非置換のアミノアルキル(メタ)アクリレート、または環式モノマー、たとえばN−ビニルピロリドンである。
【0014】
さらに、少なくとも1つの不飽和基、たとえばC−〜C−アルキル基を有し、SiO(C2n+1単位を10〜1000、有利には50〜500の鎖長を有する線状もしくは分枝鎖状のポリジアルキルシロキサンを有する重合性シリコーンマクロマーもまた適切である。これらは1もしくは2の末端、または1もしくは複数の鎖内部の重合性の基(官能性の基)を有していてもよい。このための例は1もしくは2のビニル基、アクリルオキシアルキル基、メタクリルオキシアルキル基もしくはメルカプトアルキル基を有するポリジアルキルシロキサンであり、この場合、アルキル基は同一であるか、または異なっていてもよく、かつ1〜6の炭素原子を有する。有利であるのはα,ω−ジビニル−ポリジメチル−シロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、ならびに連鎖移動基を有するシリコーン、たとえばα−モノ−(3−メルカプトプロピル)−ポリジメチルシロキサンまたはα,ω−ジ−(3−メルカプトプロピル)−ポリジメチルシロキサンである。重合性シリコーンマクロマー、たとえばEP−A614924に記載されているものも適切である。
【0015】
その他の例は前架橋性コモノマー、たとえば多価エチレン性不飽和コモノマー、たとえばジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、ジアリルマレエート、アリルメタクリレート、ブタンジオールジアクリレートまたはトリアリルシアヌレート、または後架橋性コモノマー、たとえばアクリルアミドグリコール酸(AGA)、メチルアクリルアミドグリコール酸メチルエステル(MAGME)、N−メチロールアクリルアミド(NMA)、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアリルカルバメート、アルキルエーテル、たとえばイソブトキシエーテルまたはN−メチロールアクリルアミドの、N−メチロールメタクリルアミドの、およびN−メチロールアリルカルバメートのエステルである。
【0016】
この場合、成分a)は有利には、塗膜形成助剤を添加しなくても<10℃、有利には<5℃、特に0℃〜2℃の最低塗膜形成温度を有する水性コポリマー分散液およびコポリマー粉末の水性再分散液が得られるように選択する。当業者には、このためにどのモノマーまたはモノマー混合物を使用することができるかはガラス転移温度Tgに基づいて周知である。ポリマーのガラス転移温度Tgは公知の方法で示差走査熱分析(DSC)により測定することができる。Tgはフォックスの式により前もって近似値を算出することもできる。Fox T.G.、Bull. Am. Physics Soc.1、3、第123頁(1956)によれば次のとおりである:1/Tg=x1/Tg1+x2/Tg2+...+xn/Tgn、その際、xnはモノマーnの質量分率(質量%/100)を表し、かつTgnはモノマーnのホモポリマーのケルビンでのガラス転移温度である。ホモポリマーに関するTg値はPolymer Handbook 第2版、J.Wiley & Sons、New York(1975)に記載されている。
【0017】
以下に記載するコポリマー組成物が有利である:
ビニルアセテートのポリマー;ビニルアセテートと別のビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa(R)、VeoVa(R))とのビニルエステルコポリマー;ビニルエステル−エチレン−コポリマー、たとえばビニルアセテート−エチレン−コポリマー、これは場合によりさらに別のビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状カルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa(R)、VeoVa(R))またはフマル酸−もしくはマレイン酸ジエステルを含有する;ビニルエステル−エチレン−コポリマー、たとえばビニルアセテート−エチレン−コポリマー、これは場合によりさらに別のビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状カルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa 9(R)、VeoVa 10(R))および重合性シリコーンマクロモノマーを含有する;ビニルエステル−エチレン−塩化ビニル−コポリマー、その際、ビニルエステルとして有利にはビニルアセテートおよび/またはビニルプロピオネートおよび/または1もしくは複数の共重合性ビニルエステル、たとえばビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル、特にバーサチック酸ビニルエステル(VeoVa 9(R)、VeoVa 10(R))が含有されている;ビニルアセテートおよび/またはビニルラウレートおよび/またはバーサチック酸−ビニルエステルおよびアクリル酸エステル、特にブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートを有するビニルエステル−アクリル酸エステル−コポリマー、これは場合によりさらにエチレンを含有する;有利にはn−ブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレートを有するアクリル酸エステル−コポリマー;有利にはブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレート、および/または1,3−ブタジエンを有するメチルメタクリレート−コポリマー;スチレン−1,3−ブタジエン−コポリマーおよびスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−コポリマー、たとえばスチレン−ブチルアクリレート、スチレン−メチルメタクリレート−ブチルアクリレートまたはスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート、その際、ブチルアクリレートとしてn−、イソ−、t−ブチルアクリレートを使用することができる。
【0018】
最も有利であるのはビニルエステル−エチレン−コポリマー、たとえばビニルアセテート−エチレン−コポリマー、ならびにビニルアセテートおよびエチレンおよび9または10の炭素原子を有するα−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル(VeoVa9(R)、VeoVa10(R))のコポリマー、および特に共重合性シリコーンマクロマーとのビニルアセテート、エチレン、9または10の炭素原子を有するα−分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステル(VeoVa9(R)、VeoVa10(R))とのコポリマー;有利には2〜30質量%のエチレン割合を有し、これは場合によりさらに別の補助モノマー割合を記載の量で含有していてもよい。
【0019】
分枝鎖状のポリシロキサンb)は式Y[−C2n−(RSiO)−A−RSi−G] (I)の構造要素を有しており、その際、
Yは酸素原子、窒素原子およびケイ素原子の群から選択されるヘテロ原子を1もしくは複数有していてもよい3〜10価、有利には3〜4価の炭化水素基を表し、
Rは同一であるか、または異なっていてもよく、かつ基あたり1〜18の炭素原子を有する、場合によりハロゲン化された1価の炭化水素基を表し、
Aは式−RSi−R−(RSiO)−の基を表し、その際、Rは2〜30の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表し、該基は相互に分離した1もしくは複数の酸素原子、有利には相互に分離した1〜4の酸素原子により中断されていてもよく、
Gは式−C2n−Zまたは−C2n−2k−Zの1価の基を表すか、または−C2n−の2価の基を表し、その際、2つ目の結合はもう1つの基Yで行われ、
Zは1価の親水基を表し、
xは3〜10の整数、有利には3または4であり、
kは0または1であり、
nは1〜12の整数、有利には2であり、
mは少なくとも1の整数、有利には1〜1000の整数であり、かつ
pは0または正の整数、有利には0または1〜20の整数であり、
ただしその際、分枝鎖状のポリシロキサンは平均して少なくとも1つの基Zを有しており、かつ基Zは少なくとも1の酸素原子または窒素原子を有する。
【0020】
分枝鎖状の構造を有するポリシロキサンは基本的に鎖状のシロキサンブロックを有しており、その末端はそのつどC2n−架橋を介して構造要素YおよびZと結合している。より多くのシロキサンブロックの両側が要素Yと結合しているほど、生じる生成物はより分岐している。一般にポリシロキサンは、シロキサンブロックおよび有機ブロックが相互に交互に現れるように構成されており、その際、分岐構造および有機ブロックの末端が生じる。分子中には安定したSi−O−Si−結合またはSi−C−結合のみが存在する。分岐基Yに対する末端基Zの比率(Z/Yの比)は有利には1.0〜2.0、好ましくは1.1〜1.5である。ポリシロキサンb)は25℃で有利には50〜50000000mPas、好ましくは25℃で500〜5000000mPasおよび特に有利には25℃で1000〜1000000mPasの粘度を有する。
【0021】
基Rのための例はアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、たとえばn−ヘキシル基、ヘプチル基、たとえばn−ヘプチル基、オクチル基、たとえばn−オクチル基およびイソ−オクチル基、たとえば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、たとえばn−ノニル基、デシル基、たとえばn−デシル基、ドデシル基、たとえばn−ドデシル基、およびオクタデシル基、たとえばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、たとえばo−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基;およびアラルキル基、たとえばベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0022】
ハロゲン化された基Rのための例は、ハロゲンアルキル基、たとえば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびハロゲンアリール基、たとえばo−、m−およびp−クロロフェニル基である。
【0023】
有利には基Rは1〜6の炭素原子を有する1価の炭化水素基であり、その際、メチル基が特に有利である。
【0024】
基Rのための例は式−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−C−、−C−、−CHCH(CH)CHCH(CH)CH−および−C−ノルボルナンジイル−である。
【0025】
基Yのための例は式
【0026】
【化1】

【0027】
【化2】

の基であり、その際、式
【0028】
【化3】

の基が有利である。
【0029】
有利な基Zは親水性の成分から誘導され、これはモノマー、オリゴマーもしくはポリマーの形で存在していてもよく、水中でのその溶解度は標準条件下(DIN50014、23/50)で1g/l以上である。基Zの分子量は一般に30〜10000である。
【0030】
ポリマーの基のための例はポリオール、ポリエーテル、たとえばポリアルキレンオキシドであり、有利にはメチレンオキシド単位、エチレンオキシド(EO)単位またはプロピレンオキシド(PO)単位を有するか、またはこれらのアルキレンオキシド単位の混合物を有する。その他の例はポリ酸ならびにその塩、有利にはポリ(メタ)アクリル酸である。適切なポリマーの基はポリエステル基、ポリ尿素基ならびにポリカーボネート基である。(メタ)アクリル酸エステルモノマーの混合ポリマーもまた適切であり、これはさらに官能基、たとえばカルボキシル基、アミド基、スルホネート基、ジアルキルアンモニウム基およびトリアルキルアンモニウム基を有するコモノマー単位を有している。有利な(メタ)アクリル酸エステルモノマーはすでに前に記載されている。官能性コモノマーとして補助モノマーa)で挙げたものが有利である。最も有利であるのはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのホモ縮合体および共縮合体である。
【0031】
モノマーおよびオリゴマーの基Zのための例はヒドロキシル基、カルボキシル基およびこれらの塩、スルホン酸基およびその塩、スルフェート基、アンモニウム基、ケト基、エーテル基、エステル基、アミド基を有する基である。アニオンおよびカチオンの電荷を有する基Zならびに両性イオン構造を有する基Zが有利である。このためのその他の例は次のものである:
−(CH1−6−O−CH−CHOH−CH−SONa
−(CH1−6−O−CH−CHOH−CH−N(CHCHCO
−(CH1−6−(EO)10−20−O−CH
−(CH1−6−O−SO−CH(CH
−(CH1−6−N(CH−(CH1−6−SO
−(CH1−6−O−(EO)10−20−H、
−(CH1−6−CHOH−CH−N(CHCHCO
−(CH1−6−CHOH−CH−N(CH−CH(CH)CH−CO
【0032】
分枝鎖状のポリシロキサンb)を製造するための方法は当業者に公知であり、かつたとえばDE−A10135305から公知である。
【0033】
ケイ素含有ポリマーは水性媒体中でラジカル重合、有利には乳化重合により製造される。重合は通常、20℃〜100℃、45℃〜80℃の温度範囲で実施する。開始は通常のラジカル形成剤を用いて行い、該ラジカル形成剤はモノマーの全質量に対して有利には0.01〜3.0質量%の量で使用する。開始剤として有利には無機過酸化物、たとえばアンモニウム、ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムまたは過酸化水素を単独で、または還元剤、たとえば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートまたはアスコルビン酸と組み合わせて使用する。水溶性の有機過酸化物、たとえばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドも通常、還元剤と組み合わせて、あるいはまた水溶性のアゾ化合物も使用することができる。気体状のモノマー、たとえばエチレンおよび塩化ビニルとの共重合の際に加圧下で、一般に1〜100バール絶対で作業する。
【0034】
分散液の安定化のためにポリシロキサン成分b)以外にさらに、アニオン性および非イオン性の乳化剤ならびに保護コロイドを使用することができる。有利には非イオン性またはアニオン性乳化剤を、有利には非イオン性およびアニオン性の乳化剤からなる混合物を使用する。非イオン性乳化剤として有利にはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと、8〜18の炭素原子を有する線状もしくは分枝鎖状のアルコール、アルキルフェノールまたは8〜18の炭素原子の線状もしくは分枝鎖状のカルボン酸との縮合生成物を使用し、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーを使用する。適切なアニオン性乳化剤はたとえばアルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルフェート、ならびに線状もしくは分枝鎖状のアルキルアルコールを有し、かつ5〜25のEO単位を有するエチレンオキシド、アルキルフェノール、およびスルホコハク酸のモノエステルまたはジエステルの縮合生成物のスルフェートまたはホスフェートである。乳化剤量は使用されるモノマーa)の全質量に対して0.01〜40質量%である。
【0035】
場合によりさらに保護コロイドを使用することができる。適切な保護コロイドのための例はビニルアルコール単位を75〜95モル%、有利には84〜92モル%の含有率を有するポリビニルアルコール;ポリ−N−ビニルアミド、たとえばポリビニルピロリドン;多糖類、たとえばデンプン、ならびにセルロースおよびそのカルボキシメチル−、メチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−誘導体;合成ポリマー、たとえばポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミドである。前記のポリビニルアルコールの使用が特に有利である。保護コロイドは一般に使用されるモノマーa)の全質量に対して0.05〜10質量%の量で使用する。
【0036】
場合により分子量の制御のために通常の調節剤、たとえばイソプロパノールのようなアルコール、アセトアルデヒドのようなアルデヒド、塩素含有化合物、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのようなメルカプタン、メルカプトプロピオン酸(エステル)を使用することができる。pH値の調節のためには、分散液の製造の際にpH調節化合物、たとえば酢酸ナトリウムまたはギ酸を使用することができる。
【0037】
重合は重合法と無関係にシードラテックスを使用するか、または使用しないで、反応混合物の全ての成分または個々の成分を装入するか、または部分的に装入し、かつ反応混合物の個々の成分を後から供給するか、または装入物なしで供給法により実施することができる。コモノマーa)および場合により補助モノマーは分散液を製造するために全て装入することができる(回分式)か、またはモノマーの一部を装入し、かつ残りを供給する(半回分式)ことができる。
【0038】
分散液を製造するために成分b)を装入するか、または計量供給することができるか、あるいは一部を装入し、かつ残りを供給することができる。この場合、表面活性物質を単独で、またはコモノマーとのプリエマルションとして供給することができる。
【0039】
気体状のモノマーa)、たとえばエチレンの共重合の際に、特定の圧力の調整により所望の量を導入する。気体状のモノマーを導入する圧力は最初は特定の値に調整することができ、かつ重合の間に低下するか、または圧力を全重合の間、一定のままにしておく。後者の実施態様が有利である。
【0040】
重合の終了後、残留モノマーの除去のために適用において公知の方法で、たとえばレドックス触媒により開始される後重合により、後重合することができる。分散液の揮発性の残留モノマーおよびその他の揮発性の、非水性成分を、蒸留により、有利には減圧下で、および場合により不活性のストリッピングガス、たとえば空気、窒素または水蒸気を導通または通過させることにより除去することができる。
【0041】
本発明による方法により得られる水性の分散液は、30〜70質量%、有利には45〜65質量%の固体含有率を有する。ポリマー粉末、特に水中に再分散可能なポリマー粉末を製造するために、水性分散液を、場合により噴霧助剤としての保護コロイドを添加した後に、たとえば流動層乾燥、凍結乾燥または噴霧乾燥により乾燥させる。有利には分散液を噴霧乾燥する。この場合、噴霧乾燥は通常の噴霧乾燥装置中で行い、その際、噴霧は1流体、2流体もしくは多流体ノズルにより、または回転する円板を用いて行うことができる。出口温度は装置、樹脂のTgおよび所望の乾燥度に応じて一般に45℃〜120℃、有利には60℃〜90℃の範囲で選択される。
【0042】
通常、噴霧助剤は分散液のポリマー成分に対して3〜30質量%の全量で使用される。適切な噴霧助剤はすでに記載した保護コロイドである。噴霧の際に、ベースポリマーに対して1.5質量%までの消泡剤の含有率が何倍も有利であることが判明した。ブロッキング安定性を改善するために、得られた粉末に、ポリマーの成分の全質量に対して有利には30質量%までの粘着防止剤(Antibackmittel)を添加することができる。粘着防止剤のための例は炭酸カルシウムもしくは炭酸マグネシウム、タルク、石膏、ケイ酸、カオリン、ケイ酸塩である。
【0043】
疎水性で、耐候性で、撥水性で、極めて安定しており、かつ防汚性であり、かつさらに良好な水蒸気透過性を有するエマルションポリマーが得られる。
【0044】
水性分散液の形およびポリマー粉末、特に水中に再分散可能なポリマー粉末の形のケイ素含有ポリマーは、接着剤および被覆剤中での適用のために、繊維またはその他の粒子状の材料の固定のために、たとえばテキスタイル分野において適切である。該ポリマーは変性剤として、および疎水化剤としても適切である。該ポリマーはさらに研磨の分野(研磨剤)でも、および化粧品中で、たとえば毛髪の手入れの分野で、有利に使用することができる。該ポリマーはさらに、接着剤および被覆剤中でのバインダーとして、またたとえば金属、フィルム、木材のための保護用被覆として、またはたとえば紙の処理のための剥離用被覆として適切である。該ポリマーは建設分野での、たとえばタイル用接着剤および完全断熱接着剤(Vollwaermeschutzklebemittel)中での塗料、接着剤および被覆剤のためのバインダーとして、および特に放出の少ないプラスチックカラーペースト(Kunststoffdispersionsfarben)およびプラスチック分散液プラスター(Kunststoffdispersionsputzen)中での適用のために、ならびに屋内領域および屋外領域のために特に適切である。カラーペーストおよび分散液プラスターのための処方は当業者に公知であり、かつ一般にケイ素含有ポリマーを5〜50質量%、水を5〜35質量%、充填材を5〜80質量%、顔料を5〜30質量%ならびにその他の添加剤を0.1〜10質量%含有しており、その際、処方中での質量%の記載は合計して100質量%である。
【0045】
使用することができる充填材のための例は炭酸塩、たとえばドロマイト、方解石および白亜の形の炭酸カルシウムである。その他の例はケイ酸塩、たとえばタルクの形のケイ酸マグネシウム、またはロームおよび粘土の形のケイ酸アルミニウム;石英粉、石英砂、高分散性シリカ、長石、重晶石および石膏である。繊維充填材もまた適切である。実地ではしばしば種々の充填材の混合物が使用される。たとえば種々の粒径の充填材の混合物または炭酸塩およびケイ酸塩の充填材の混合物。後者の場合、炭酸塩が富化された、もしくはケイ酸塩が富化された処方の全充填材割合において炭酸塩もしくはケイ酸塩50質量%以上、特に75質量%以上の割合が問題となる。プラスチックプラスターは一般にカラーペーストよりも粗粒の充填材を含有する。この場合、粒子はしばしば0.2〜5.0mmである。それ以外にプラスチックプラスターはカラーペーストと同じ添加剤を含有していてよい。
【0046】
適切な顔料はたとえば無機顔料として二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、ならびに通常の有機顔料である。その他の添加剤のための例は、処方の全質量に対して一般に0.1〜0.5質量%の割合の湿潤剤である。このための例はポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウム、ポリアクリル酸およびこれらの塩である。添加剤として増粘剤もまた挙げられ、これは処方の全質量に対して一般に0.01〜2.0質量%の量で使用される。通常の増粘剤はセルロースエーテル、デンプン、または無機増粘剤のための例としてベントナイトである。その他の添加剤は保存剤、消泡剤、凍結防止剤である。
【0047】
接着剤および被覆剤を製造するためにポリマー分散液またはポリマー粉末を別の処方成分である充填材および別の添加剤と共に適切な混合機中で混合し、かつ均質化する。ポリマー粉末は場合により水性再分散液の形でも建設現場で添加することができる。多くの場合、乾燥混合物を製造し、かつ加工のために必要な水を直接加工の前に添加する。ペースト状の組成物を製造する際にしばしば、まず水の割合を装入し、分散液を添加し、かつ最終的に固体を撹拌導入する。
【0048】
特に有利であるのは、放出の少ない屋内用塗料、特に高いPVK(高充てん塗料(hochgefuellte Farben))を有する被覆剤処方中でのバインダーとしての、またはプラスター用の疎水性作用のあるバインダーとしてのケイ素含有ポリマーである。
【0049】
以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものであり、本発明を何らかの形で制限するものではない。
【0050】
原料:
Genapol X150:
エトキシル化度15を有するエトキシル化されたイソトリデシルアルコール。
Genapol PF80:
EO80%を有するEO−PO−ブロックポリマー。
Mersolat:
アルキル基中に12〜14の炭素原子を有するアルキル硫酸Na。
ポリビニルアルコールW25/140:
粘度約25mPas(20℃、4%溶液、Hoepplerにより測定)およびけん化度140(mgKOH/ポリマーg)を有するポリビニルアルコール(加水分解度88モル%)
PDMS混合物:
Wacker−Chemie社の製品:DEHESIVE (R) 929、ビニル末端基を78モル%有する線状のポリジメチルシロキサン。
【0051】
分枝鎖状のポリシロキサン=成分b)の製造例:
機械的な撹拌機を有するガラスフラスコ中に1,2,4−トリビニルシクロヘキサン108gを、活性水素(Si結合した水素)0.18質量%の含有率および25℃で粘度9mPasを有するα,ω−ジハイドロジェンポリメチルシロキサン1840gと混合し、かつ引き続きPt含有率1.0質量%を有するジメチルポリシロキサン中の白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の溶液(いわゆるカールステッド触媒)1.9gを添加した。反応混合物は数分以内に約80℃に昇温し、かつこの温度で約1時間撹拌した。25℃で粘度220mm/sおよび活性水素0.067質量%の含有率を有する分枝鎖状のシロキサンポリマーが得られた。合成原理に相応して、高反応性のハイドロジェエンジメチルシロキシ単位から全ての遊離のシロキサン鎖末端が生じる。
【0052】
SiH官能性の高度に分岐したシロキサンポリマーの全量を、同じモル量のエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とからなり、かつ平均分子量(Mn)1880Daを有するモノアリル末端ポリエーテル3200gと混合し、イソプロパノール中のヘキサクロロ白金酸の溶液(Pt含有率0.5%)5gにより活性化し、かつ100℃に加熱した。バッチが清澄になった後、1時間反応させ、これにより>98%の反応率が達成される。高度に分岐したポリエーテルシロキサンコポリマーは6800m/sの粘度および約62質量%のポリエーテル割合を有する。該コポリマーはその他の助剤を使用しなくても水中で均一に分散可能である。
【0053】
比較例1:
(成分bを含有しないビニルアセテート−エチレン−ビニルシラン−コポリマー)
572リットルの圧力オートクレーブ中に、水102.99kg、Genapol X150(40%水溶液)17.90kg、Mersolat(40%水溶液)3.54kg、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)1.97kg、W25/140(ポリビニルアルコール、水中10%)13.95kgおよびビニルアセテート24.69kgを装入した。10%のギ酸でpH=5に調節した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)314mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)991mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを22バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、10.0%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時1023gで、および5.05%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時1976gで供給した。25分後に、ビニルアセテート217.25kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)1.25kgの混合物を毎時41.23kgの速度で供給し始めた(モノマー供給)。同時に毎時9.85kgの供給性能で乳化剤の供給を行った。乳化剤供給流は水22.34kg、Genapol X150(40%水溶液)12.96kgおよびW25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)13.95kgを含有していた。
【0054】
モノマー供給流のための全供給時間は5.3時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.0時間であった。
【0055】
反応開始の15分後に、APS供給を毎時636gに、亜硫酸Na供給を毎時1226gに低減した。
【0056】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート4.94kgおよびグリシジルメタクリレート1.48kg。供給時間は30分であった(速度:毎時12.84kg)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0057】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0058】
比較例2:
(成分bを含有しないビニルアセテート−VeoVa−エチレン−ビニルシラン−GMA−PDMS−コポリマー)
572リットルの圧力オートクレーブ中に、水76.80kg、W25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)27.12kg、Genapol X150(40%水溶液)4.80kg、Mersolat(40%水溶液)3.44kg、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)1.92kg、ビニルアセテート18.00kg、PDMS混合物4.80kgおよびVeoVa 10 18.00kgを装入した。10%のギ酸を用いてpH=5に調整した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)314mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)991mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを13バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、10.0%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時1023gで、および5.05%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時1976gで供給した。25分後に、ビニルアセテート166.80kg、VeoVa 10 29.28kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)1.22kgの混合物を毎時34.02kgの速度で供給し始めた(モノマー供給)。同時に毎時12.89kgの供給性能で乳化剤供給流を導入した。乳化剤供給流は水45.69kgおよびGenapol X150(40%水溶液)25.20kgを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.5時間であった。
【0059】
反応開始の15分後に、APS供給を毎時636gに、亜硫酸Na供給を毎時1226gに低減した。
【0060】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート4.80kg、VeoVa 10 720.01gおよびグリシジルメタクリレート2.88kg。供給時間は30分であった(速度:毎時16.8kg)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0061】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0062】
比較例3:
(成分bを含有しないビニルアセテート−VeoVa−エチレン−ビニルシラン−GMA−PDMS−コポリマー)
572リットルの圧力オートクレーブ中に、水75.80kg、W25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)28.28kg、Genapol PF80(19.2%水溶液)10.43kg、Mersolat(40%水溶液)3.58kg、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)2.00kg、ナトリウムアセテート(100%)230.24g、ビニルアセテート18.77kg、PDMS混合物5.01kgおよびVeoVa 10 18.77kgを装入した。10%のギ酸を用いてpH=5に調整した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)314mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)991mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを13バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、10.0%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時1023gで、および5.05%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時1976gで供給した。25分後に、ビニルアセテート173.93kg、VeoVa 10 30.53kgおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)1.28kgの混合物を毎時35.48kgの速度で供給し始めた(モノマー供給)。
【0063】
同時に毎時12.31kgの供給性能で乳化剤供給流を導入した。乳化剤供給流は水12.18kgおよびGenapol PF 80(19.2%水溶液)54.74kgを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.5時間であった。
【0064】
反応開始の15分後に、APS供給流を毎時636gに、亜硫酸Na供給流を毎時1226gに低減した。
【0065】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート5.01kg、VeoVa 10 750.78gおよびグリシジルメタクリレート3.00kg。供給時間は30分であった(速度:毎時17.52kg)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0066】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0067】
例4:
(成分b)を含有する比較例2と類似のコポリマー)
19リットルの圧力オートクレーブ中に、水2.60kg、W25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)298.04g、Genapol X150(40%水溶液)212.88g、Mersolat(30%水溶液)157.9g、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)68.12g、ビニルアセテート851.53g、PDMS混合物170.31gおよびVeoVa 10 851.53gを装入した。10%のギ酸を用いてpH=5に調整した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを14バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.41%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで供給した。25分後に、ビニルアセテート5.79g、VeoVa 10 825.98gおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)43.54gの混合物を毎時1149gの速度で供給し始めた(モノマー供給)。同時に毎時433gの供給性能で乳化剤供給流を導入した。乳化剤供給流は水2.04kgおよび成分b)340.61gを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.5時間であった。
【0068】
反応開始の15分後に、APS供給を毎時42.2gに、亜硫酸Na供給を毎時52.7gに低減した。
【0069】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート170.31g、VeoVa 10 25.55gおよびグリシジルメタクリレート51.09kg。供給時間は30分であった(速度:毎時494g)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0070】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0071】
例5:
(Mersolatを含有しない例4に類似)
19リットルの圧力オートクレーブ中に、水2.16kg、W25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)955.94g、成分b)84.60g、Mersolat(30%水溶液)156.87g、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)67.68g、ビニルアセテート845.96g、PDMS混合物169.19gおよびVeoVa 10 845.96gを装入した。10%のギ酸を用いてpH=5に調整した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを14バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.41%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで供給した。25分後に、ビニルアセテート5.75kg、VeoVa 10 820.58gおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)43.16gの混合物を毎時1142gの速度で供給し始めた(モノマー供給)。同時に毎時431gの供給性能で乳化剤供給流を導入した。乳化剤供給流は水2.03kgおよび成分b)338.38gを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.5時間であった。
【0072】
反応開始の15分後に、APS供給を毎時42.2gに、亜硫酸Na供給を毎時52.7gに低減した。
【0073】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート169.19g、VeoVa 10 25.38gおよびグリシジルメタクリレート50.76g。供給時間は30分であった(速度:毎時491g)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0074】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0075】
例6:
例5と同様に実施したが、ポリビニルアルコールを添加しなかった。
【0076】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0077】
例7:
(より少ないポリビニルアルコールを含有する、例5と類似)
19リットルの圧力オートクレーブ中に、水2.23kg、W25/140(ポリビニルアルコール、10%溶液)425.65g、成分b)(15%水溶液)567.54g、Mersolat(30%水溶液)157.86g、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)68.10g、ビニルアセテート851.31g、PDMS混合物170.26gおよびVeoVa 10 851.31gを装入した。10%のギ酸を用いてpH=5に調整した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを14バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.41%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで供給した。25分後に、ビニルアセテート5.79g、VeoVa 10 825.77gおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)43.43gの混合物を毎時1149gの速度で供給し始めた(モノマー供給)。同時に毎時413gの供給性能で乳化剤供給流を導入した。乳化剤供給流は成分b)(15%水溶液)2.27kgを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.5時間であった。
【0078】
反応開始の15分後に、APS供給を毎時42.2gに、亜硫酸Na供給を毎時52.7gに低減した。
【0079】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート170.26g、VeoVa 10 25.54gおよびグリシジルメタクリレート51.08kg。供給時間は30分であった(速度:毎時494g)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0080】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0081】
例8:
(シリコーンマクロマーを含有しないコポリマー)
19リットルの圧力オートクレーブ中に、水2.04kg、Genapol X150(40%水溶液)221.50g、Mersolat(30%水溶液)164.30g、ビニルスルホン酸ナトリウム(25%)70.88gおよびビニルアセテート886.0gを装入した。10%のギ酸を用いてpH=5に調整した。さらにTrilon B(EDTA、2%水溶液)9.7mlおよび硫酸鉄アンモニウム(1%溶液)30.6mlを添加した。容器を70℃に加熱し、かつエチレンを22バールで圧入した。反応器が熱平衡状態になったら直ちに、5.41%のペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS溶液)を毎時68gで、および4.16%の亜硫酸ナトリウム溶液を毎時85gで供給した。25分後に、ビニルアセテート6.91gおよびビニルトリメトキシシラン(Wacker Silan XL10)45.20gの混合物を毎時1200gの速度で供給し始めた(モノマー供給)。同時に毎時611gの供給性能で乳化剤供給流を導入した。乳化剤供給流はW25/140(ポリビニルアルコール;10%溶液)1000.0gおよび成分b)(15%水溶液)2.36gを含有していた。モノマー供給流のための全供給時間は5.8時間であり、かつ乳化剤供給流に関しては5.5時間であった。
【0082】
反応開始の15分後に、APS供給を毎時42.2gに、亜硫酸Na供給を毎時52.7gに低減した。
【0083】
乳化剤供給流が終了した30分後に「GMA供給流」を導入した。「GMA供給流」の組成は次のとおりである:ビニルアセテート177.20gおよびグリシジルメタクリレート53.16g。供給時間は30分であった(速度:毎時462g)。「GMA供給流」の終了後にAPS−および亜硫酸Naの供給をさらに1時間継続した。
【0084】
放圧後、残留モノマーを最小化するために該分散液を水蒸気で処理(ストリッピング)し、かつ引き続きHydorol Wを用いて保存した。
【0085】
分散液の分析:第1表を参照のこと。
【0086】
【表1】

【0087】
BF20=ブルックフィールド粘度、
D=平均粒径(Nanosizer)、
Dn=平均粒径(数平均、Coulter Counter)、
Dv=平均粒径(体積平均、Coulter Counter)、
O=ポリマー分散液gあたりの粒子表面積、
FG=固体含有率。
【0088】
比較例1〜3では従来技術において公知の乳化剤および保護コロイドを乳化重合のために使用した。実施例4〜8では分枝鎖状のポリシロキサン(成分b)を乳化剤として使用した。
【0089】
第1表から読みとれるように、シリコーン割合を有し、かつ有利な粒径分布を有するポリマー分散液が得られ、凝集体の形成はいずれの場合にも観察されなかった。粘度は保護コロイド(ここではポリビニルアルコールW25/140)の量により広い範囲で変更することができる(例5および7)。
【0090】
該分散液を用いて、以下に記載する処方によりケイ酸塩が富化された処方1および炭酸塩が富化された処方2の塗料を製造した(第2表および第3表):
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
該分散液を用いてさらに、以下に記載する処方によりプラスターを製造した(第4表):
【0094】
【表4】

【0095】
適用技術的な試験:
水滴試験による疎水性の試験
上記の処方3により製造したプラスターを、3つの従来の市販の石灰岩上(寸法:10×10×5cm)の、粒度(約2mm、石灰岩あたり合計してプラスター約30〜40g)上にパテで塗布した。乾燥した後、7日後に注射器を用いて水1mlを滴の形でプラスター上に設置した。滴が吸い込まれて消えるまでの時間をストップウォッチで計った(分で記載)。この時間が長いほど、プラスターの、もしくはプラスター中に含有されている分散液の疎水性および耐水性は高い。親水性の分散液の場合、滴は遅くとも10分後に消失し、その一方で疎水性分散液の場合、数時間、維持された。
【0096】
類似の方法を塗料処方1および2で実施した。ただし該処方は約400μmの層厚さで市販の繊維強化セメント板(Eterplan)上に施与した。ここでも次のことが該当する:滴が長く維持されるほど、分散液は疎水性である。
【0097】
第5表は適用技術的なデータを示す:
【0098】
【表5】

【0099】
第5表から次のことがうかがえる:
比較例1と例8との比較は、シリコーン含有ポリマーの使用により全ての処方において疎水性を明らかに向上することができることを示している。例8(シリコーンマクロマーを含有しないコポリマー)と、例4、5、6および7との比較が示しているように、付加的にさらに重合性シリコーンマクロマーをシリコーン含有ポリマー中へ共重合すると疎水性がさらに著しく改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシロキサンの存在下にエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより得られるケイ素含有ポリマーにおいて、
a)1〜15の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15の炭素原子を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1もしくは複数のモノマー60〜99.99質量%を、
b)その親油性のシロキサン割合が分枝鎖状の構造を有し、かつその親水性の有機ポリマー部分が線状もしくは分枝鎖状であってよい、少なくとも1の分枝鎖状のポリシロキサン0.01〜40質量%の存在下に重合する
ことを特徴とし、その際、質量%の記載はa)およびb)の全質量に対するものである、ポリシロキサンの存在下にエチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより得られるケイ素含有ポリマー。
【請求項2】
分枝鎖状のポリシロキサンb)が、式Y[−C2n−(RSiO)−A−RSi−G] (I)の構造要素を有し、その際、
Yは酸素原子、窒素原子およびケイ素原子の群から選択されるヘテロ原子を1もしくは複数有していてもよい3〜10価、有利には3〜4価の炭化水素基を表し、
Rは同一であるか、または異なっていてもよく、かつ基あたり1〜18の炭素原子を有する、ハロゲン化されていてもよい1価の炭化水素基を表し、
Aは式−RSi−R−(RSiO)−の基を表し、その際、Rは2〜30の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表し、該基は相互に分離した1もしくは複数の酸素原子、有利には相互に分離した1〜4の酸素原子により中断されていてもよく、
Gは式−C2n−Zまたは−C2n−2k−Zの1価の基を表すか、または−C2n−の2価の基を表し、その際、2つ目の結合はもう1つの基Yで行われ、
Zは1価の親水基を表し、
xは3〜10の整数、有利には3または4であり、
kは0または1であり、
nは1〜12の整数、有利には2であり、
mは少なくとも1の整数、有利には1〜1000の整数であり、かつ
pは0または正の整数、有利には0または1〜20の整数であり、
ただしその際、分枝鎖状のポリシロキサンは平均して少なくとも1つの基Zを有しており、かつ基Zは少なくとも1の酸素原子または窒素原子を有することを特徴とする、請求項1記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項3】
基Yは、式
【化1】

【化2】

の基を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項4】
基Zが、モノマー、オリゴマーもしくはポリマーの形で存在していてよく、かつ水中でのその溶解度は標準条件(DIN50014、23/50)で1g/l以上である親水性の構成成分から誘導されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項5】
基Zが、ポリオール、ポリエーテル、ポリ酸ならびにこれらの塩、ポリエステル、ポリ尿素、ポリカーボネート、およびカルボキシル基、アミド基、スルホネート基、ジアルキルアンモニウム基およびトリアルキルアンモニウム基のような官能基を有するコモノマー単位をさらに有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの混合ポリマーを含む群からの親水性ポリマーから誘導されることを特徴とする、請求項4記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項6】
基Zが、エチレンオキシド−およびプロピレンオキシドのホモ縮合体および共縮合体から誘導されることを特徴とする、請求項5記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項7】
基Zとして、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびこれらの塩、スルホン酸基およびこれらの塩、スルフェート基、アンモニウム基、ケト基、エーテル基、エステル基、アミド基を有するモノマーおよびオリゴマーの基を含む群からの1もしくは複数が含有されていることを特徴とする、請求項4記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項8】
基Zとして
−(CH1−6−O−CH−CHOH−CH−SONa
−(CH1−6−O−CH−CHOH−CH−N(CHCHCO
−(CH1−6−(EO)10−20−O−CH
−(CH1−6−O−SO−CH(CH
−(CH1−6−N(CH−(CH1−6−SO
−(CH1−6−O−(EO)10−20−H、
−(CH1−6−CHOH−CH−N(CHCHCO
−(CH1−6−CHOH−CH−N(CH−CH(CH)CH−CO
を含む群からの1もしくは複数が含有されていることを特徴とする、請求項4記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項9】
モノマーa)と共にさらに、γ−アクリル−もしくはγ−メタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピル−メチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキルジ(アルコキシ)シランおよびビニルトリ(アルコキシ)シランを含む群からの1もしくは複数のシランを共重合することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項10】
モノマーa)と共にさらに、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシドエーテル、ビニルグリシドエーテルを含む群からの1もしくは複数のエポキシ官能性モノマーを共重合することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項11】
モノマーa)と共にさらに、C−〜C−アルキル基を有し、かつ10〜1000、有利には50〜500のSiO(C2n+1−単位の鎖長を有し、1もしくは2の末端の、または1もしくは複数の鎖中に存在する重合性の基を有する、線状もしくは分枝鎖状のポリジアルキルシロキサンを含む群からの、少なくとも1の不飽和基を有する1もしくは複数のシリコーンマクロマーを共重合することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマー。
【請求項12】
乳化重合および場合によりこれにより得られた水性分散液の乾燥により請求項1から10までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーを製造する方法。
【請求項13】
乳化重合および場合によりこれにより得られた水性分散液の乾燥により請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーを製造する方法において、分枝鎖状のポリシロキサンb)を乳化剤として使用することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーを製造する方法。
【請求項14】
接着剤および被覆剤中での請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項15】
繊維またはその他の粒子状の材料を固定するための請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項16】
変性剤として、および疎水化剤としての請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項17】
研磨剤中での請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項18】
化粧品中、特に毛髪の手入れの分野での請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項19】
保護用被覆または剥離用被覆としての請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項20】
建設分野における塗料、接着剤および被覆剤のためのバインダーとしての請求項1から11までのいずれか1項記載のケイ素含有ポリマーの使用。
【請求項21】
タイル用接着剤および完全断熱用接着剤中での請求項20記載の使用。
【請求項22】
放出の少ないプラスチックカラーペーストおよびプラスチック分散液プラスター中での、屋内領域および屋外領域のための請求項19記載の使用。

【公表番号】特表2006−513296(P2006−513296A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566789(P2004−566789)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014490
【国際公開番号】WO2004/065441
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(390008969)ワツカー−ケミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker−Chemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, BRD
【Fターム(参考)】