説明

ケイ素含有膜形成用組成物、ケイ素含有膜、ケイ素含有膜形成基板及びこれを用いたパターン形成方法

【解決手段】(A−1)酸を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
(A−2)塩基を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
(B)式(1)又は(2)で表される化合物、
abX (1)
(LはLi,Na,K,Rb又はCe、Xは水酸基、又は有機酸基であり、aは1以上、bは0又は1以上)
abA (2)
(Mはスルホニウム、ヨードニウム又はアンモニウムであり、Aは上記X又は非求核性対向イオン)
(C)有機酸、
(D)環状エーテルを置換基として有するアルコール、
(E)有機溶剤
を含む熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【効果】本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物で形成されたケイ素含有中間膜を用いることで、良好なパターン形成ができる。また、フォトレジストパターンを転写可能で、基板を高い精度で加工できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられる多層レジスト法の中間層として使用されるケイ素含有膜、特に回転塗布で中間層を形成するのに好適なケイ素含有膜形成用組成物、これを用いて形成されたケイ素含有膜、ケイ素含有膜形成基板及びこれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは単層で使用するポジ型フォトレジスト組成物である。この単層ポジ型フォトレジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるドライエッチングに対しエッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなレジスト機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとしてレジスト組成物を塗布した被加工基板をドライエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するフォトレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、フォトレジスト膜の解像性能が低下し、また現像液によりフォトレジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまう。このため微細化に伴いフォトレジスト膜厚は薄膜化されてきた。
【0004】
一方、被加工基板の加工には、通常パターン形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより基板を加工する方法が用いられるが、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法がないため、基板を加工中にレジスト膜もダメージを受け、基板加工中にレジスト膜が崩壊し、レジストパターンを正確に被加工基板に転写できなくなる。そこで、パターンの微細化に伴い、レジスト組成物により高いドライエッチング耐性が求められてきた。
また、露光波長の短波長化によりフォトレジスト組成物に使用する樹脂は、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められたため、i線、KrF、ArFへの変化に対し、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、脂肪族多環状骨格を持った樹脂へと変化してきているが、現実的には上記ドライエッチング条件におけるエッチング速度は速いものになってきてしまっており、解像性の高い最近のフォトレジスト組成物は、むしろエッチング耐性が低くなる傾向がある。
このことから、より薄くよりエッチング耐性の弱いフォトレジスト膜で被加工基板をドライエッチング加工しなければならないことになり、この加工工程における材料及びプロセスの確保は急務になってきている。
【0005】
このような問題点を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜、即ちレジスト上層膜とエッチング選択性が異なる中間膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、上層レジストパターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより中間膜にパターンを転写し、更に中間膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0006】
多層レジスト法の一つである2層レジスト法では、例えば、上層レジスト組成物にケイ素を含有する樹脂を使用し、中間膜としてノボラック樹脂を使用する方法がある(例えば、特許文献1:特開平6−95385号公報)。ケイ素樹脂は、酸素プラズマによる反応性ドライエッチングに対してはよいエッチング耐性を示すが、フッ素系ガスプラズマを用いると容易にエッチング除去される。一方、ノボラック樹脂は酸素ガスプラズマによる反応性ドライエッチングでは容易にエッチング除去されるが、フッ素系ガスプラズマや塩素系ガスプラズマによるドライエッチングに対しては良好なエッチング耐性を示す。そこで、被加工基板上にノボラック樹脂膜をレジスト中間膜として成膜し、その上にケイ素含有樹脂を用いたレジスト上層膜を形成する。続いて、ケイ素含有レジスト膜にエネルギー線の照射及び現像等の後処理によりパターン形成を行い、それをドライエッチングマスクとして酸素プラズマによる反応性ドライエッチングでレジストパターンが除去されている部分のノボラック樹脂をドライエッチング除去することでノボラック膜にパターンを転写し、このノボラック膜に転写されたパターンをドライエッチングマスクとして、被加工基板にフッ素系ガスプラズマや塩素系ガスプラズマによるエッチングを用いてパターン転写をすることができる。
【0007】
このようなドライエッチングによるパターン転写は、エッチングマスクのエッチング耐性が十分である場合、比較的良好な形状で転写パターンが得られるため、レジスト現像時の現像液による摩擦等を原因としたパターン倒れのような問題が起き難く、比較的高いアスペクト比のパターンを得ることができる。従って、例えばノボラック樹脂を用いたレジスト膜を中間膜の膜厚に相当する厚さにした場合には、アスペクト比の問題から現像時のパターン倒れ等により直接形成できなかったような微細パターンに対しても、上記の2層レジスト法によれば、被加工基板のドライエッチングマスクとして十分な厚さのノボラック樹脂パターンが得られるようになる。
【0008】
更に多層レジスト法として、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。例えば、被加工基板上にノボラック等による有機膜をレジスト下層膜として成膜し、その上にケイ素含有膜をレジスト中間膜として成膜し、その上に通常の有機系フォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングに対しては、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジストパターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを用いることでケイ素含有レジスト中間膜に転写される。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンは形成することが難しいレジスト組成物や、基板を加工するためにはドライエッチング耐性が十分でないレジスト組成物を用いても、ケイ素含有膜にパターンを転写することができれば、2層レジスト法と同様に、加工に十分なドライエッチング耐性を持つノボラック膜のパターンを得ることができる。
【0009】
上記のような3層レジスト法で使用されるケイ素含有レジスト中間膜としては、CVDによるケイ素含有無機膜、例えばSiO2膜(例えば、特許文献2:特開平7−183194号公報等)やSiON膜(例えば、特許文献3:特開平7−181688号公報等)、回転塗布により膜を得られるものとしては、SOG(スピンオンガラス)膜(例えば、特許文献4:特開平5−291208号公報等、非特許文献1:J.Appl.Polym.Sci.,Vol.88,636−640(2003))や架橋性シルセスキオキサン膜(例えば、特許文献5:特表2005−520354号公報等)等が使用されており、ポリシラン膜(例えば、特許文献6:特開平11−60735号公報等)も使用できるであろう。これらの中で、SiO2膜やSiON膜は下層の有機膜をドライエッチングする際のドライエッチングマスクとしての高い性能を持つものの、成膜に特別の装置を必要とする。それに対し、SOG膜や架橋性シルセスキオキサン膜、ポリシラン膜は、回転塗布と加熱のみで成膜でき、プロセス効率が高いと考えられている。
【0010】
多層レジスト法の適用範囲は、レジスト膜の解像限界を上げるという試みだけに留まらない。基板加工の一つの方法であるビアファースト法のように、加工中間体基板が大きな段差を持つ場合、単一レジスト膜でパターン形成を行おうとすると、レジスト膜厚に大きな差があることから、レジスト露光時に焦点を正確に合わせることができなくなる等の問題が生じる。このようなケースでは、段差を犠牲膜により埋めて平坦化した後に、その上にレジスト膜を成膜し、レジストパターンの形成を行うが、この場合には必然的に上記のような多層レジスト法を用いることになる(例えば、特許文献7:特開2004−349572号公報等)。
【0011】
このような多層レジスト法で従来使用されてきたケイ素含有膜には幾つかの問題がある。例えば、光リソグラフィーによりレジストパターンを形成しようとした場合、露光光が基板で反射し、入射光と干渉して、所謂定在波の問題を引き起こすことはよく知られており、レジスト膜のエッジラフネスのない微細パターンを得るためには、中間膜として反射防止膜を入れてやる必要がある。特に最先端の高NA露光条件では反射制御は必須条件である。
【0012】
そこで、反射制御をするために、多層レジスト法、特にCVDでケイ素含有膜を中間層として形成するプロセスでは、レジスト上層膜とケイ素含有中間膜の間に有機反射防止膜を入れてやる必要があることになる。しかしながら、有機反射防止膜を入れた場合、レジスト上層膜をドライエッチングマスクとして有機反射防止膜をパターン加工する必要が生じ、ドライエッチング時にレジスト上層膜をマスクとして反射防止膜をドライエッチング加工した後、ケイ素含有中間層の加工に移行することになる。そのため、反射防止膜を加工する分だけ上層のフォトレジストに対してドライエッチングの負荷が加わる。特に、最先端のフォトレジスト膜では膜厚が薄くなってきており、このドライエッチング負荷を見逃すことはできない。そこで、上記のようなエッチング負荷が生じない光吸収性ケイ素含有膜を中間膜として適用する3層レジスト法が注目を集めるようになってきた。
【0013】
このような光吸収性ケイ素含有中間膜として、回転塗布型の光吸収性ケイ素含有中間膜が知られている。例えば、芳香族構造を光吸収構造として持たせる手法が開示されている(特許文献8:特開2005−15779号公報)。しかし、光を効率よく吸収する芳香環構造は、フッ素系ガスプラズマによるドライエッチング加工では、ドライエッチング速度を低下させる働きがあるため、フォトレジスト膜に負荷をかけないで中間膜のドライエッチングを行うためには不利な方向である。そこで、このような光吸収置換基を多量に加えることは好ましくないため、最小限の導入量に抑える必要がある。
【0014】
更に、中間膜をドライエッチングマスクとして、レジスト下層膜を加工する際に一般的に使用される酸素ガスプラズマによる反応性ドライエッチングに対するドライエッチング速度は、中間膜と下層膜のエッチング選択比を高めるためより小さいことが好ましく、そのためにはフッ素系エッチングガスに対して反応性の高いケイ素含有量がなるべく高い中間膜が望まれている。このように上層のフォトレジスト膜、下層の有機膜いずれの膜との加工条件からの要求としてフッ素ガスに対する反応性の高い成分、ケイ素含有量が高い中間膜が好ましいといえる。
【0015】
しかしながら、実際の回転塗布型ケイ素含有中間膜形成用組成物では、ケイ素含有化合物を有機溶剤に溶解できるように有機置換基を含有している。従来知られているケイ素含有中間膜のうち、SOG膜を形成する組成物は、KrFエキシマレーザー光を使用したリソグラフィーでは非特許文献1(J.Appl.Polym.Sci.,Vol.88,636−640(2003))で開示されている。しかしながら、この組成物では光吸収基に関する記述がないため、この組成物から得られるケイ素含有膜には反射防止機能がないと予想される。そのため、最先端の高NA露光機を使用するリソグラフィーでは露光時の反射を押さえ込むことができないため、高精細なパターン形状を得ることができない可能性がある。
【0016】
これらのようなドライエッチング特性及び反射防止効果に対する要求の他に、ケイ素含有率の高い中間膜を形成するための組成物において特に問題となるのが当該組成物の保存安定性である。この場合の保存安定性とは、組成物に含まれるケイ素含有化合物にあるシラノール基が縮合し、組成物の分子量が変化する場合がある。そうなると、膜厚変動やリソグラフィー性能の変動が観測される。特に、リソグラフィー性能の変動は敏感であるため、分子内のシラノール基が縮合して膜厚上昇や分子量変化として観測できなくても、高精細なパターン形状の変化として観測されてしまう。
【0017】
従来、このような反応性の高いシラノール基を酸性状態で保持すると比較的安定化させることができるとして、非特許文献2(C.J.Brinker and G.W.Scherer,“Sol−Gel Science:The Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing”,Academic Press,San Diego(1990))等に記載されている。更に、非特許文献1(J.Appl.Polym.Sci.,Vol.88,636−640(2003))、特許文献9(特開2004−157469号公報)及び特許文献10(特開2004−191386号公報)等には、保存安定性を向上させるため水を添加することが開示されている。しかしながら、当該特許文献で示されている方法で製造されたケイ素含有化合物では、このような手段を講じても実際にはシラノール基の縮合反応を完全に止めることはできず、時間とともに組成物中のケイ素含有化合物はゆっくりと変化し、変化した組成物から得られるケイ素含有膜の性質も変化してしまう。そのため、使用直前まで冷蔵又は冷凍で保管し、使用する際に使用温度(通常は23℃)に戻し、素早く使い切ってしまわなければいけなかった。
【特許文献1】特開平6−95385号公報
【特許文献2】特開平7−183194号公報
【特許文献3】特開平7−181688号公報
【特許文献4】特開平5−291208号公報
【特許文献5】特表2005−520354号公報
【特許文献6】特開平11−60735号公報
【特許文献7】特開2004−349572号公報
【特許文献8】特開2005−15779号公報
【特許文献9】特開2004−157469号公報
【特許文献10】特開2004−191386号公報
【非特許文献1】J.Appl.Polym.Sci.,Vol.88,636−640(2003)
【非特許文献2】C.J.Brinker and G.W.Scherer,“Sol−Gel Science:The Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing”,Academic Press,San Diego(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、(1)有機膜上に形成されたケイ素含有膜の上にフォトレジスト膜を形成し、続いてレジストパターンを形成した際、ケイ素含有膜が光吸収性能を有するので高NA露光条件においても良好なパターン形成が可能であり、(2)ケイ素含有膜の上層であるフォトレジスト膜、下層である有機膜との間で良好なドライエッチングマスク用ケイ素含有膜を形成でき、(3)保存安定性の良好なケイ素含有膜形成用組成物、この組成物から得られるケイ素含有膜、このケイ素含有膜が形成された基板、更にパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、ケイ素含有中間膜形成用組成物のリソグラフィー特性や安定性について鋭意検討したところ、酸を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物と、塩基を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物との混合物に、下記(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を添加することにより、
(1)後述する光吸収性置換基を導入することによりドライ、液浸いずれの高NA露光条件化でも反射を抑えることができるケイ素含有膜が得られること、
(2)ドライエッチングマスクとして十分なエッチング選択比が得られるケイ素含有膜が得られること、
(3)リソグラフィー性能を長期間保持した性能変化のないケイ素含有膜形成用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は、
(A−1)酸を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
(A−2)塩基を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
(B)下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の1種又は2種以上、
abX (1)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウム、Xは水酸基、又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の価数である。)
abA (2)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム又はアンモニウムであり、Aは上記X又は非求核性対向イオン、a、bは上記と同様であり、a+bは水酸基、有機酸基又は非求核性対向イオンの価数である。)
(C)炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸、
(D)環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、
(E)有機溶剤
を含むことを特徴とする熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項1)。
【0021】
一般に、加水分解性ケイ素化合物(以下、モノマーと呼ぶ)に酸触媒下で水を作用させると、ケイ素原子に結合している加水分解性置換基が加水分解を受けシラノール基が形成される。このシラノール基は更に別のシラノール基又は未反応の加水分解性基と縮合反応し、シロキサン結合を形成する。そしてこの反応は次々と繰り返し発生し、所謂オリゴマーやポリマー、場合によってはゾルと呼ばれるケイ素含有化合物を形成していく。このとき、系内で加水分解反応により生成したモノマー、オリゴマー、ポリマー等から由来するシラノール基のうち、最も反応性が高いものから順番に縮合反応が進行し、モノマー、オリゴマー、ポリマー等に所属しているシラノール基が消費され、ケイ素含有化合物が形成される。そして、この縮合反応は際限なく進行し、最終的にケイ素含有化合物溶液がゲル化するまで進行する場合がある。
【0022】
しかしながら、この縮合反応は特定のpHで抑制されることが非特許文献2(C.J.Brinker and G.W.Scherer,“Sol−Gel Science:The Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing”,Academic Press,San Diego(1990))等で知られており、特に非特許文献1(J.Appl.Polym.Sci.,Vol.88,636−640(2003))ではpHが1.5程度(以下、安定pHと呼ぶ)で安定化されると記載されている。
【0023】
本発明では、(C)成分を用いて安定pHに制御した場合、保存安定性が向上することを見出した。
【0024】
一方、モノマーに塩基性触媒下で水を作用させると、酸触媒の場合とは異なり、高縮合でシラノール基の少ないケイ素含有化合物(A−2)が得られることが知られている(非特許文献2:C.J.Brinker and G.W.Scherer,“Sol−Gel Science:The Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing”,Academic Press,San Diego(1990))。しかしながら、このケイ素含有化合物(A−2)には、末端シラノール基が少ないため、ケイ素含有化合物(A−2)だけでケイ素含有膜を形成しても、ケイ素含有化合物(A−2)間の結合が少ないため、緻密度の低い膜しか得ることができない。そこで、本発明者らは比較的シラノール基の多いケイ素含有化合物(A−1)とシラノール基の少ないケイ素含有化合物(A−2)を混ぜ合わせた組成物からケイ素含有膜を形成すると、膜形成時にシラノール基の少ないケイ素含有化合物(A−2)が膜表面に偏在し、ケイ素含有化合物(A−2)を加えない場合と比べると、膜表面ではシラノール基の少ないケイ素含有膜を形成できることを見出した。従って、ケイ素含有膜中での残留が不可避であるシラノール基の影響を最小限に抑えることができるようになり、形状のよいレジストパターンを形成できるようになった。
【0025】
更にこのケイ素含有化合物中に含まれる残存シラノール基同士の縮合を室温付近で抑制させるため鋭意研究を行ったところ、環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを安定剤として添加すると、室温付近での縮合が抑制され、組成物の保存安定性が飛躍的に向上することを見出した。
【0026】
従来、300℃以上の高温や、熱酸発生剤による酸触媒によりケイ素含有化合物を硬化させていた。本発明では、組成物を塗布し加熱硬化させる際に、添加されている(B)成分が持つ熱架橋促進作用によりシラノール基周辺のpHを、安定pHから不安定になるpH領域(pH3付近、非特許文献2(C.J.Brinker and G.W.Scherer,“Sol−Gel Science:The Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing”,Academic Press,San Diego(1990))に記載あり)に変化させることで、効率よく膜を硬化させることが可能となった。即ち、従来の温度条件と同じ条件で加熱硬化させると、従来の硬化膜に比べて非常に架橋の進行した緻密な膜を提供することができる。そのため、レジスト中の有効成分のケイ素含有膜への移動が抑制され、通常の有機反射防止膜と同程度のリソグラフィー特性を得ることができる。
【0027】
このように、初めからシラノール基の少ないケイ素含有化合物(A−2)を表面に偏在させ、更に硬化時にpHを変化させて効率よくシラノール基同士の縮合反応を促進させることにより、シラノール基が非常に少ないケイ素含有膜を得ることができる。この膜表面にはシラノール基がほとんどないので、レジスト膜中の有効成分の吸着がなく、通常の有機反射防止膜と同程度のリソグラフィー特性を得ることができる。
【0028】
また、pH制御、安定剤添加及び架橋触媒添加という技術の組み合わせにより、室温では安定、硬化時には効率的に硬化できる組成物を見出し、これにより従来の有機反射防止膜と同等の安定性を有するケイ素含有反射防止膜組成物を得ることができる。
【0029】
本発明ではケイ素含有化合物(A−1)として、無機酸及びスルホン酸誘導体から選ばれる1種類以上の化合物を酸触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有反応混合物から上記酸触媒を実質的に除去する工程を経て得ることのできるケイ素含有化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項2)。
【0030】
従来技術で製造されたケイ素含有化合物は、加水分解縮合時に使用された酸触媒を実質的に除去することなく塗布膜形成用組成物に使用されていた。そのため、組成物中に縮合反応触媒が残存するため、安定pHに制御された組成物であっても、シラノールの縮合を抑えることができず、保存安定性の悪い組成物しか得られなかった。
【0031】
また、初めからシラノールが安定pHになるような酸性物質を、加水分解縮合触媒として使用して得られた塗布膜形成用組成物では、シラノール基の縮合反応が十分に進まないため、残存シラノール基が多くなる。そのため、たとえ組成物を安定pHに保っても、シラノール基の量が多すぎるため、保存安定性の低い組成物しか得ることができない。
【0032】
本発明では、加水分解縮合に最適な酸触媒を使用して得られたケイ素含有化合物から、実質的に酸触媒を除去した後、(C)、(D)成分を用いて保存安定性を向上させることが可能になった。
【0033】
本発明ではケイ素含有化合物(A−2)として、塩基を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有反応混合物から当該塩基触媒を実質的に除去する工程を経て得ることのできるケイ素含有化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項3)。
【0034】
通常、シラノールが安定な領域は酸性側であるため、(A−2)を製造する際に使用された塩基触媒を(A−2)から除去することなく組成物に添加した場合、組成物中のpHバランスが崩れ組成物の安定性が低下する場合がある。そのため、(A−2)製造時の塩基性触媒を除去し、更に(C)、(D)成分を加えて安定性を向上させることが可能になった。
【0035】
本発明では、一般式(2)のMが、三級スルホニウム、二級ヨードニウム又は四級アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項4)。
【0036】
(B)成分として、一般式(2)で示されている化合物を熱架橋促進剤として使用した組成物を用いて硬化膜を形成すると、架橋の進行した緻密な膜を提供することができる。そのため、レジスト膜中の有効成分のケイ素含有膜への移動が抑制され、通常の有機反射防止膜と同程度のリソグラフィー特性を得ることができる。
【0037】
本発明では、一般式(2)のMが、光分解性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項5)。
【0038】
(B)成分が加熱硬化時に全て揮発しない場合、ケイ素含有膜中に(B)成分が残留する可能性がある。この成分は、レジストパターン形状を悪化する可能性がある。一方、露光時に(B)成分のカチオン部分が分解する化合物を用いると、露光時のレジストパターン形状の悪化を防止することが可能となる。即ち、ケイ素含有化合物の硬化性能が向上しながらも、リソグラフィー形状もまた良好なケイ素含有硬化膜を提供することができることを見出したものである。
【0039】
本発明は、組成物中の質量が(A−1)>(A−2)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項6)。
【0040】
シラノール基の少ないケイ素含有化合物(A−2)が組成物中で多数を占めると、硬化後のケイ素含有膜の緻密度が低下する場合がある。そうなるとフォトレジスト膜中の有効成分がケイ素含有膜に移動してしまい、リソグラフィー後のフォトレジストのパターン形状が悪化する場合がある。それを防止するためには、架橋性に富んだケイ素含有化合物(A−1)が十分になければいけない。組成物中のケイ素含有化合物(A−1)の質量がケイ素含有化合物(A−2)より多いと、十分な架橋反応性があり、緻密な膜を形成することが可能であり、リソグラフィー後のフォトレジストのパターン形状に悪影響を与えないケイ素含有膜を得ることができる。
【0041】
本発明は、更に光酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項7)。
【0042】
(B)成分が、加熱硬化時や露光時に全て揮発しない場合、ケイ素含有膜中に残留している(B)成分がパターン形状に影響を与える可能性がある。これを防止するため、レジストパターン形成時に、ケイ素含有膜中で酸を発生させることで、レジストパターン形状の悪化を防止することが可能となる。
【0043】
本発明は、更に水を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する(請求項8)。
【0044】
水を添加することにより、ケイ素含有化合物中のシラノール基が活性化し、熱硬化反応でより緻密な膜を得ることができる。このような緻密な膜を使用すると、上層のフォトレジスト層のリソグラフィー性能を一般的な有機反射防止膜と同程度以上にすることができる。
【0045】
本発明は、更に下記ケイ素含有膜、基板及びパターン形成方法を提供する。
被加工基板上に有機膜を形成し、その上にケイ素含有膜を形成し、更にその上にケイ素を含まない化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、このレジスト膜をパターン加工した後、このレジスト膜パターンを用いてケイ素含有膜をパターン加工し、加工されたケイ素含有膜パターンをエッチングマスクとして下層の有機膜をパターン加工し、更に加工された有機膜をエッチングマスクとして被加工基板をエッチングする多層レジスト法において用いるケイ素含有膜であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜(請求項9)。
【0046】
請求項9記載の多層レジスト法の工程において、化学増幅型レジスト組成物から得られるレジスト膜とケイ素含有膜の間に有機反射防止膜を介在させた多層レジスト法において用いるケイ素含有膜であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜(請求項10)。
【0047】
有機膜と、この有機膜の上に請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜と、その上にフォトレジスト膜とが順次形成されたものであることを特徴とする基板(請求項11)。
【0048】
有機膜と、この有機膜の上に請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜と、有機反射防止膜と、その上にフォトレジスト膜とが順次形成されたものであることを特徴とする基板(請求項12)。
上記有機膜が芳香族骨格を有する膜であることを特徴とする請求項11又は12記載の基板(請求項13)。
【0049】
基板にパターンを形成する方法であって、請求項11記載の基板を準備し、該基板のフォトレジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してフォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクにしてケイ素含有膜をドライエッチングし、パターンが形成されたケイ素含有膜をエッチングマスクにして有機膜をエッチングし、パターンが形成された有機膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法(請求項14)。
【0050】
基板にパターンを形成する方法であって、請求項12記載の基板を準備し、該基板のフォトレジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してフォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクにして有機反射防止膜及びケイ素含有膜をドライエッチングし、パターンが形成されたケイ素含有膜をエッチングマスクにして有機膜をエッチングし、パターンが形成された有機膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法(請求項15)。
【0051】
上記有機膜が芳香族骨格を有する膜であることを特徴とする請求項14又は15記載のパターン形成方法(請求項16)。
【0052】
レジストパターンの形成において、波長が300nm以下の光を用いたフォトリソグラフィー法を用いることを特徴とする請求項14、15又は16記載のパターン形成方法(請求項17)。
【0053】
本発明の中間膜や基板を用いて、リソグラフィーにより基板にパターンを形成すれば、基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
この場合、芳香族骨格を有する有機膜を用いると、リソグラフィー工程における反射防止効果があるだけでなく、基板をエッチング加工するときに十分なエッチング耐性を持つ有機膜となり、エッチング加工が可能となる。
更に、本発明の基板を用いて、リソグラフィーにより基板にパターンを形成すれば、基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
本発明では、波長が300nm以下の光、特にArFエキシマレーザーを用いるリソグラフィーによりパターンを形成すると微細なパターンを高精度で形成することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を用いて形成されたケイ素含有中間膜を用いることで、その上に形成したフォトレジスト膜の良好なパターン形成が可能である。また、有機材料との間で高いエッチング選択性が得られることから、形成されたフォトレジストパターンを、ケイ素含有中間膜、有機下層膜と順にドライエッチングプロセスを用いて転写可能である。最終的に、有機下層膜をエッチングマスクとして基板を高い精度で加工することができる。また、リソグラフィー後のパターン欠陥の発生を抑え、保存安定性にも優れた材料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物において、本発明で使用されるケイ素含有化合物は、酸触媒でモノマー(加水分解性ケイ素化合物)を加水分解縮合して得られる。好ましいケイ素含有化合物の製造方法として以下の方法が例示できるが、この方法に限られるものではない。
【0056】
出発物質となるモノマーは、下記一般式(3)で表すことができる。
1m12m23m3Si(OR)(4-m1-m2-m3) (3)
(Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R1、R2、R3はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、m1、m2、m3は0又は1である。m1+m2+m3は0〜3、特に0又は1が好ましい。)
この一般式(3)で示されるモノマーから選ばれる1種又は2種以上の混合物を加水分解縮合したものである。
【0057】
ここで、有機基は炭素を含む基の意味であり、更に水素を含み、また窒素、酸素、硫黄、ケイ素等を含んでもよい。R1、R2、R3の有機基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等の非置換の1価炭化水素基、及びこれらの基の水素原子の1個又はそれ以上がエポキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等で置換された基や、−O−,−CO−,−OCO−,−COO−,−OCOO−が介在された基等の後述する一般式(4)で示される基、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基等を挙げることができる。
【0058】
一般式(3)で示されるモノマーのR1、R2、R3として好ましいものは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジエチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基、更に光吸収性基フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0059】
例えば、m1=0、m2=0、m3=0であるテトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシランをモノマーとして例示できる。好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。
【0060】
例えば、m1=1、m2=0、m3=0であるトリアルコキシシランとして、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−nプロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−i−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−nプロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロプロピル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロペンチル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキシル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキセニル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリ−iso−プロポキシシラン、シクロオクタニルトリメトキシシラン、シクロオクタニルトリエトキシシラン、シクロオクタニル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロオクタニル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピル−トリ−iso−プロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニル−トリ−n−プロポキシシラン、ビシクロヘプテニル−トリ−iso−プロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチル−トリ−n−プロポキシシラン、ビシクロヘプチル−トリ−iso−プロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチル−トリ−n−プロポキシシラン、アダマンチル−トリ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。また、光吸収性モノマーとして、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリ−n−プロポキシシラン、ベンジルトリ−iso−プロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリ−n−プロポキシシラン、トリルトリ−iso−プロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリ−n−プロポキシシラン、フェネチルトリ−iso−プロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリ−n−プロポキシシラン、ナフチルトリ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0061】
好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランである。
【0062】
例えば、m1=1、m2=1、m3=0であるジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジiso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−t−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロプロピルジメトキシシラン、ジ−シクロプロピルジエトキシシラン、ジ−シクロプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロプロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロブチルジメトキシシラン、ジ−シクロブチルジエトキシシラン、ジ−シクロブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロペンチルジメトキシシラン、ジ−シクロペンチルジエトキシシラン、ジ−シクロペンチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロペンチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキシル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキシル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロオクタニルジメトキシシラン、ジ−シクロオクタニルジエトキシシラン、ジシクロオクタニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロオクタニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニルジメトキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニルジエトキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプチルジメトキシシラン、ビス−ビシクロヘプチルジエトキシシラン、ビス−ビシクロヘプチル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−アダマンチルジメトキシシラン、ビス−アダマンチルジエトキシシラン、ビス−アダマンチル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−アダマンチル−ジ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。また、光吸収性モノマーとして、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニル−ジ−nプロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0063】
好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−メトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−メトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等を例示できる。
【0064】
例えば、m1=1、m2=1、m3=1であるモノアルコキシシランとして、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン等を例示できる。また、光吸収性モノマーとして、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0065】
好ましくは、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等を例示できる。
【0066】
上記R1、R2、R3で表される有機基の別の例として、炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基を挙げることができる。具体的には、エポキシ基、エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基からなる群から選択される1以上の基を有する有機基である。一般式(3)中の炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合の1以上を有する有機基は、例として次の一般式(4)で示されるものを挙げることができる。
【0067】
(P−Q1−(S1v1−Q2−)u−(T)v2−Q3−(S2v3−Q4− (4)
(上記式中、Pは水素原子、ヒドロキシル基、
【化1】

炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜6のアルキルカルボニル基であり、Q1とQ2とQ3とQ4は各々独立して−Cq(2q-p)p−(式中、Pは上記と同様であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜10の整数(但し、q=0は単結合であることを示す。)である。)、uは0〜3の整数であり、S1とS2は各々独立して−O−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−OCOO−を表す。v1、v2、v3は、各々独立して0又は1を表す。これらとともに、Tはヘテロ原子を含んでもよい脂環又は芳香環からなる2価の基であり、Tの酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環又は芳香環の例を以下に示す。TにおいてQ2とQ3と結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0068】
【化2】

【0069】
一般式(3)中の炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基の好ましい例として、以下のものが挙げられる。なお、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0070】
【化3】

【0071】
【化4】

【0072】
【化5】

【0073】
また、R1、R2、R3の有機基の例として、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基を用いることもできる。具体的には下記のものを挙げることができる。
【0074】
【化6】

【0075】
これらのモノマーから1種又は2種類以上を選択して、反応前又は反応中に混ぜてケイ素含有化合物を形成する反応原料とすることができる。
【0076】
ケイ素含有化合物は、モノマーを、好ましくは無機酸、脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸から選ばれる1種以上の化合物を酸触媒として用いて、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
このとき使用される酸触媒は、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、ケイ素モノマー1モルに対して10-6〜10モル、好ましくは10-5〜5モル、より好ましくは10-4〜1モルである。
【0077】
これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モル、より好ましくは0.05〜50モル、更に好ましくは0.1〜30モルを添加することが好ましい。100モルを超える添加は、反応に使用する装置が過大になるだけで不経済である。
【0078】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0079】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン及びこれらの混合物等が好ましい。
【0080】
これらの溶剤の中で好ましいものは水可溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0081】
なお、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000ml、特に0〜500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が多いと反応容器が過大となり不経済である。
【0082】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1〜2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0083】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールを取り除かなくてはいけない。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールの種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0084】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水とケイ素含有化合物を混合し、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0085】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール+酢酸エチル、エタノール+酢酸エチル、1−プロパノール+酢酸エチル、2−プロパノール+酢酸エチル、ブタンジオールモノメチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、メタノール+メチルイソブチルケトン、エタノール+メチルイソブチルケトン、1−プロパノール+メチルイソブチルケトン、2−プロパノール+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、メタノール+シクロペンチルメチルエーテル、エタノール+シクロペンチルメチルエーテル、1−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、2−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、メタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等組み合わせが好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0086】
なお、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0087】
続いて、中性水で洗浄する。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ケイ素含有化合物溶液1Lに対して、0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜ後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法等を挙げることができる。これらの方法は、反応が使用された酸触媒にあわせて適宜選択することができる。
なお、上記の触媒除去操作において、酸触媒が実質的に除去されたとは、反応に使用された酸触媒がケイ素含有化合物中反応開始時に添加した量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下程度残存しているものは許容されることを意味する。
【0088】
このときの水洗操作により、ケイ素含有化合物の一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0089】
酸触媒が残留しているケイ素含有化合物あるいは酸触媒が除去されたケイ素含有化合物の溶液のいずれの場合においても、最終的な溶剤を加えて減圧で溶剤交換することでケイ素含有化合物溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0090】
このとき、溶剤が変わることによりケイ素含有化合物が不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤とケイ素含有化合物との相性により発生するが、これを防止するため、安定剤として後述する(C)成分を加えてもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中のケイ素含有化合物100質量部に対して0〜25質量部、好ましくは0〜15質量部、より好ましくは0〜5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。溶剤交換前の溶液に必要であれば、(C)成分を添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0091】
ケイ素含有化合物は、ある濃度以上に濃縮すると縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまう。そのため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが好ましい。このときの濃度としては、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
【0092】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のモノアルキルエーテルである。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0093】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0094】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0095】
有機溶剤の使用量は、前記の量と同様でよい。得られた反応混合物の後処理は、前記の方法と同様で後処理し、ケイ素含有化合物を得る。
【0096】
得られるケイ素含有化合物の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、100,000以下、より好ましくは200〜50,000、更に好ましくは300〜30,000のものを用いることが好ましい。なお、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRIを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0097】
本発明のケイ素含有膜形成用組成物は、酸性条件下で製造されたものであれば、組成及び/又は反応条件が異なる2種類以上のケイ素含有化合物を含んでいてもよい。
【0098】
次に、本発明で使用されるもう一つのケイ素含有化合物(A−2)は、塩基性触媒でモノマーを加水分解縮合して得られる。好ましいケイ素含有化合物の製造方法として以下の方法が例示できるが、この方法に限られるものではない。
出発物質となるモノマーは、前記一般式(3)で表されるものを使用でき、具体的には上述した通りであり、[0056]から[0075]に示されている。
【0099】
ケイ素含有化合物は、モノマーを塩基性触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
このとき使用される塩基性触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。触媒の使用量は、ケイ素モノマー1モルに対して10-6〜10モル、好ましくは10-5〜5モル、より好ましくは10-4〜1モルである。
【0100】
これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モル、より好ましくは0.05〜50モル、更に好ましくは0.1〜30モルを添加することが好ましい。100モルを超える添加は、反応に使用する装置が過大になるだけで不経済である。
【0101】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0102】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン及びこれらの混合物等が好ましい。
【0103】
これらの溶剤の中で好ましいものは水可溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0104】
なお、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000ml、特に0〜500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が多いと反応容器が過大となり不経済である。
【0105】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒で使用された塩基に対して0.1〜2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0106】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールを取り除かなくてはいけない。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールの種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。また、このときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0107】
次に加水分解縮合に使用した触媒を除去するため、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0108】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール+酢酸エチル、エタノール+酢酸エチル、1−プロパノール+酢酸エチル、2−プロパノール+酢酸エチル、ブタンジオールモノメチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、メタノール+メチルイソブチルケトン、エタノール+メチルイソブチルケトン、1−プロパノール+メチルイソブチルケトン、2−プロパノール+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、メタノール+シクロペンチルメチルエーテル、エタノール+シクロペンチルメチルエーテル、1−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、2−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、メタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等組み合わせが好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0109】
なお、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0110】
続いて、中性水で洗浄する。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ケイ素含有化合物溶液1Lに対して、0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜ後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
【0111】
その他に塩基性触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法等を例示することができる。これらの方法は、反応に使用された塩基性触媒にあわせて適宜選択することができる。
【0112】
なお、本発明において、塩基性触媒が実質的に除去されたとは、反応に使用された塩基性触媒がケイ素含有化合物中10質量%以下、好ましくは5質量%以下程度残存しているものは許容されること意味する。
【0113】
塩基性触媒が除去されたケイ素含有化合物溶液に最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでケイ素含有化合物溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき抽出溶剤の種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0114】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のモノアルキルエーテルである。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0115】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0116】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0117】
有機溶剤の使用量は、前記の量と同様でよい。得られた反応混合物の後処理は、前記の方法と同様で後処理し、ケイ素含有化合物(A−2)を得る。
【0118】
得られるケイ素含有化合物(A−2)の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が10,000,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、8,000,000以下、より好ましくは200〜5,000,000、更に好ましくは300〜3,000,000のものを用いることが好ましい。なお、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI又は光散乱式検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0119】
本発明のケイ素含有膜形成用組成物は、塩基性条件下で製造されたものであれば、組成及び/又は反応条件が異なる2種類以上のケイ素含有化合物(A−2)を含んでいてもよい。
【0120】
上記ケイ素含有化合物(A−1)、(A−2)に、更に、熱架橋促進剤(B)、酸(C)、安定剤(D)及び有機溶剤(E)を配合してケイ素含有膜形成用組成物を作ることができる。
この場合、ケイ素含有化合物(A−1)とケイ素含有化合物(A−2)とは、前者の質量が後者の質量より多い[即ち、(A−1)>(A−2)]割合で両者を併用することが好ましい。より好ましくは、(A−1)100質量部に対して(A−2)は、0<(A−2)≦50質量部、好ましくは0<(A−2)≦30質量部、より好ましくは0<(A−2)≦20質量部となるように配合されることが好ましい。
【0121】
本発明ではケイ素含有膜形成時の架橋反応を更に促進させるため、(B)成分として熱架橋促進剤を含有しなければいけない。このようなものとして、一般式(1)又は(2)で示される化合物を挙げることができる。
abX (1)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウム、Xは水酸基、又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の個数である。)
abA (2)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム又はアンモニウムであり、好ましくは三級スルホニウム、二級ヨードニウム又は四級アンモニウムであり、特に光分解性のもの、即ちトリフェニルスルホニウム化合物、ジフェニルヨードニウム化合物が好ましい。Aは上記X又は非求核性対向イオン、a、bは上記と同様であり、a+bは水酸基、有機酸基又は非求核性対向イオンの価数である。)
【0122】
一般式(1)で示される化合物として、アルカリ金属有機酸塩を例示できる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、モノクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩等の1価の塩、1価又は2価のシュウ酸塩、マロン酸塩、メチルマロン酸塩、エチルマロン酸塩、プロピルマロン酸塩、ブチルマロン酸塩、ジメチルマロン酸塩、ジエチルマロン酸塩、コハク酸塩、メチルコハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、イタコン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シトラコン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0123】
具体的には、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチウム、ブタン酸リチウム、ペンタン酸リチウム、ヘキサン酸リチウム、ヘプタン酸リチウム、オクタン酸リチウム、ノナン酸リチウム、デカン酸リチウム、オレイン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、リノール酸リチウム、リノレン酸リチウム、安息香酸リチウム、フタル酸リチウム、イソフタル酸リチウム、テレフタル酸リチウム、サリチル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、モノクロロ酢酸リチウム、ジクロロ酢酸リチウム、トリクロロ酢酸リチウム、水酸化リチウム、シュウ酸水素リチウム、マロン酸水素リチウム、メチルマロン酸水素リチウム、エチルマロン酸水素リチウム、プロピルマロン酸水素リチウム、ブチルマロン酸水素リチウム、ジメチルマロン酸水素リチウム、ジエチルマロン酸水素リチウム、コハク酸水素リチウム、メチルコハク酸水素リチウム、グルタル酸水素リチウム、アジピン酸水素リチウム、イタコン酸水素リチウム、マレイン酸水素リチウム、フマル酸水素リチウム、シトラコン酸水素リチウム、クエン酸水素リチウム、炭酸水素リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、メチルマロン酸リチウム、エチルマロン酸リチウム、プロピルマロン酸リチウム、ブチルマロン酸リチウム、ジメチルマロン酸リチウム、ジエチルマロン酸リチウム、コハク酸リチウム、メチルコハク酸リチウム、グルタル酸リチウム、アジピン酸リチウム、イタコン酸リチウム、マレイン酸リチウム、フマル酸リチウム、シトラコン酸リチウム、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ブタン酸ナトリウム、ペンタン酸ナトリウム、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、イソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、マロン酸水素ナトリウム、メチルマロン酸水素ナトリウム、エチルマロン酸水素ナトリウム、プロピルマロン酸水素ナトリウム、ブチルマロン酸水素ナトリウム、ジメチルマロン酸水素ナトリウム、ジエチルマロン酸水素ナトリウム、コハク酸水素ナトリウム、メチルコハク酸水素ナトリウム、グルタル酸水素ナトリウム、アジピン酸水素ナトリウム、イタコン酸水素ナトリウム、マレイン酸水素ナトリウム、フマル酸水素ナトリウム、シトラコン酸水素ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、メチルマロン酸ナトリウム、エチルマロン酸ナトリウム、プロピルマロン酸ナトリウム、ブチルマロン酸ナトリウム、ジメチルマロン酸ナトリウム、ジエチルマロン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、メチルコハク酸ナトリウム、グルタル酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、イタコン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、シトラコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、ヘプタン酸カリウム、オクタン酸カリウム、ノナン酸カリウム、デカン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、リノール酸カリウム、リノレン酸カリウム、安息香酸カリウム、フタル酸カリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸カリウム、サリチル酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸カリウム、ジクロロ酢酸カリウム、トリクロロ酢酸カリウム、水酸化カリウム、シュウ酸水素カリウム、マロン酸水素カリウム、メチルマロン酸水素カリウム、エチルマロン酸水素カリウム、プロピルマロン酸水素カリウム、ブチルマロン酸水素カリウム、ジメチルマロン酸水素カリウム、ジエチルマロン酸水素カリウム、コハク酸水素カリウム、メチルコハク酸水素カリウム、グルタル酸水素カリウム、アジピン酸水素カリウム、イタコン酸水素カリウム、マレイン酸水素カリウム、フマル酸水素カリウム、シトラコン酸水素カリウム、クエン酸水素カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、マロン酸カリウム、メチルマロン酸カリウム、エチルマロン酸カリウム、プロピルマロン酸カリウム、ブチルマロン酸カリウム、ジメチルマロン酸カリウム、ジエチルマロン酸カリウム、コハク酸カリウム、メチルコハク酸カリウム、グルタル酸カリウム、アジピン酸カリウム、イタコン酸カリウム、マレイン酸カリウム、フマル酸カリウム、シトラコン酸カリウム、クエン酸カリウム、炭酸カリウム等を例示できる。
【0124】
一般式(2)で示される化合物として、(Q−1)、(Q−2)及び(Q−3)で示されるスルホニウム化合物、ヨードニウム化合物、アンモニウム化合物を挙げることができる。
【化7】


(式中、R204、R205、R206はそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R205とR206とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R205、R206はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。A-は非求核性対向イオンを表す。R207、R208、R209、R210は、R204、R205、R206と同様であるが、水素原子であってもよい。R207とR208、R207とR208とR209とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R207とR208及びR207とR208とR209は炭素数3〜10のアルキレン基を示す。)
【0125】
上記R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210は互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。
【0126】
-の非求核性対向イオンとしては水酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p−メチル安息香酸イオン、p−t−ブチル安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭素化物イオン、ヨウ素化物イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン等が挙げられる。
【0127】
具体的には、スルホニウム化合物として、ギ酸トリフェニルスルホニウム、酢酸トリフェニルスルホニウム、プロピオン酸トリフェニルスルホニウム、ブタン酸トリフェニルスルホニウム、ペンタン酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサン酸トリフェニルスルホニウム、ヘプタン酸トリフェニルスルホニウム、オクタン酸トリフェニルスルホニウム、ノナン酸トリフェニルスルホニウム、デカン酸トリフェニルスルホニウム、オレイン酸トリフェニルスルホニウム、ステアリン酸トリフェニルスルホニウム、リノール酸トリフェニルスルホニウム、リノレン酸トリフェニルスルホニウム、安息香酸トリフェニルスルホニウム、p−メチル安息香酸トリフェニルスルホニウム、p−t−ブチル安息香酸トリフェニルスルホニウム、フタル酸トリフェニルスルホニウム、イソフタル酸トリフェニルスルホニウム、テレフタル酸トリフェニルスルホニウム、サリチル酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロ酢酸トリフェニルスルホニウム、モノクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、ジクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、トリクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、水酸化トリフェニルスルホニウム、シュウ酸トリフェニルスルホニウム、マロン酸トリフェニルスルホニウム、メチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、エチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、プロピルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ブチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジメチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジエチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、コハク酸トリフェニルスルホニウム、メチルコハク酸トリフェニルスルホニウム、グルタル酸トリフェニルスルホニウム、アジピン酸トリフェニルスルホニウム、イタコン酸トリフェニルスルホニウム、マレイン酸トリフェニルスルホニウム、フマル酸トリフェニルスルホニウム、シトラコン酸トリフェニルスルホニウム、クエン酸トリフェニルスルホニウム、炭酸トリフェニルスルホニウム、塩化トリフェニルスルホニウム、臭化トリフェニルスルホニウム、ヨウ化トリフェニルスルホニウム、硝酸トリフェニルスルホニウム、塩素酸トリフェニルスルホニウム、過塩素酸トリフェニルスルホニウム、臭素酸トリフェニルスルホニウム、ヨウ素酸トリフェニルスルホニウム、シュウ酸ビストリフェニルスルホニウム、マロン酸ビストリフェニルスルホニウム、メチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、エチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、プロピルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、ブチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、ジメチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、ジエチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、コハク酸ビストリフェニルスルホニウム、メチルコハク酸ビストリフェニルスルホニウム、グルタル酸ビストリフェニルスルホニウム、アジピン酸ビストリフェニルスルホニウム、イタコン酸ビストリフェニルスルホニウム、マレイン酸ビストリフェニルスルホニウム、フマル酸ビストリフェニルスルホニウム、シトラコン酸ビストリフェニルスルホニウム、クエン酸ビストリフェニルスルホニウム、炭酸ビストリフェニルスルホニウムなどが挙げられる。
【0128】
また、ヨードニウム化合物として具体的には、ギ酸ジフェニルヨードニウム、酢酸ジフェニルヨードニウム、プロピオン酸ジフェニルヨードニウム、ブタン酸ジフェニルヨードニウム、ペンタン酸ジフェニルヨードニウム、ヘキサン酸ジフェニルヨードニウム、ヘプタン酸ジフェニルヨードニウム、オクタン酸ジフェニルヨードニウム、ノナン酸ジフェニルヨードニウム、デカン酸ジフェニルヨードニウム、オレイン酸ジフェニルヨードニウム、ステアリン酸ジフェニルヨードニウム、リノール酸ジフェニルヨードニウム、リノレン酸ジフェニルヨードニウム、安息香酸ジフェニルヨードニウム、p−メチル安息香酸ジフェニルヨードニウム、p−t−ブチル安息香酸ジフェニルヨードニウム、フタル酸ジフェニルヨードニウム、イソフタル酸ジフェニルヨードニウム、テレフタル酸ジフェニルヨードニウム、サリチル酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロ酢酸ジフェニルヨードニウム、モノクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、ジクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、トリクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、水酸化ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ジフェニルヨードニウム、マロン酸ジフェニルヨードニウム、メチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、エチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、プロピルマロン酸ジフェニルヨードニウム、ブチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、ジメチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、ジエチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、コハク酸ジフェニルヨードニウム、メチルコハク酸ジフェニルヨードニウム、グルタル酸ジフェニルヨードニウム、アジピン酸ジフェニルヨードニウム、イタコン酸ジフェニルヨードニウム、マレイン酸ジフェニルヨードニウム、フマル酸ジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ジフェニルヨードニウム、クエン酸ジフェニルヨードニウム、炭酸ジフェニルヨードニウム、塩化ジフェニルヨードニウム、臭化ジフェニルヨードニウム、ヨウ化ジフェニルヨードニウム、硝酸ジフェニルヨードニウム、塩素酸ジフェニルヨードニウム、過塩素酸ジフェニルヨードニウム、臭素酸ジフェニルヨードニウム、ヨウ素酸ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ビスジフェニルヨードニウム、マロン酸ビスジフェニルヨードニウム、メチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、エチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、プロピルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、ブチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、ジメチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、ジエチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、コハク酸ビスジフェニルヨードニウム、メチルコハク酸ビスジフェニルヨードニウム、グルタル酸ビスジフェニルヨードニウム、アジピン酸ビスジフェニルヨードニウム、イタコン酸ビスジフェニルヨードニウム、マレイン酸ビスジフェニルヨードニウム、フマル酸ビスジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ビスジフェニルヨードニウム、クエン酸ビスジフェニルヨードニウム、炭酸ビスジフェニルヨードニウムなどが挙げられる。
【0129】
一方、アンモニウム化合物として具体的には、ギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、プロピオン酸テトラメチルアンモニウム、ブタン酸テトラメチルアンモニウム、ペンタン酸テトラメチルアンモニウム、ヘキサン酸テトラメチルアンモニウム、ヘプタン酸テトラメチルアンモニウム、オクタン酸テトラメチルアンモニウム、ノナン酸テトラメチルアンモニウム、デカン酸テトラメチルアンモニウム、オレイン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、リノール酸テトラメチルアンモニウム、リノレン酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸テトラメチルアンモニウム、p−メチル安息香酸テトラメチルアンモニウム、p−t−ブチル安息香酸テトラメチルアンモニウム、フタル酸テトラメチルアンモニウム、イソフタル酸テトラメチルアンモニウム、テレフタル酸テトラメチルアンモニウム、サリチル酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、シュウ酸テトラメチルアンモニウム、マロン酸テトラメチルアンモニウム、メチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、エチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、プロピルマロン酸テトラメチルアンモニウム、ブチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、ジメチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、ジエチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、コハク酸テトラメチルアンモニウム、メチルコハク酸テトラメチルアンモニウム、グルタル酸テトラメチルアンモニウム、アジピン酸テトラメチルアンモニウム、イタコン酸テトラメチルアンモニウム、マレイン酸テトラメチルアンモニウム、フマル酸テトラメチルアンモニウム、シトラコン酸テトラメチルアンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、臭素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラメチルアンモニウム、マロン酸ビステトラメチルアンモニウム、メチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、エチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、プロピルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、ブチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、ジメチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、ジエチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、コハク酸ビステトラメチルアンモニウム、メチルコハク酸ビステトラメチルアンモニウム、グルタル酸ビステトラメチルアンモニウム、アジピン酸ビステトラメチルアンモニウム、イタコン酸ビステトラメチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラメチルアンモニウム、フマル酸ビステトラメチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラメチルアンモニウム、クエン酸ビステトラメチルアンモニウム、炭酸ビステトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、プロピオン酸テトラプロピルアンモニウム、ブタン酸テトラプロピルアンモニウム、ペンタン酸テトラプロピルアンモニウム、ヘキサン酸テトラプロピルアンモニウム、ヘプタン酸テトラプロピルアンモニウム、オクタン酸テトラプロピルアンモニウム、ノナン酸テトラプロピルアンモニウム、デカン酸テトラプロピルアンモニウム、オレイン酸テトラプロピルアンモニウム、ステアリン酸テトラプロピルアンモニウム、リノール酸テトラプロピルアンモニウム、リノレン酸テトラプロピルアンモニウム、安息香酸テトラプロピルアンモニウム、p−メチル安息香酸テトラプロピルアンモニウム、p−t−ブチル安息香酸テトラプロピルアンモニウム、フタル酸テトラプロピルアンモニウム、イソフタル酸テトラプロピルアンモニウム、テレフタル酸テトラプロピルアンモニウム、サリチル酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸テトラプロピルアンモニウム、マロン酸テトラプロピルアンモニウム、メチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、エチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、プロピルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、ブチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、ジメチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、ジエチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、コハク酸テトラプロピルアンモニウム、メチルコハク酸テトラプロピルアンモニウム、グルタル酸テトラプロピルアンモニウム、アジピン酸テトラプロピルアンモニウム、イタコン酸テトラプロピルアンモニウム、マレイン酸テトラプロピルアンモニウム、フマル酸テトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸テトラプロピルアンモニウム、クエン酸テトラプロピルアンモニウム、炭酸テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、硝酸テトラプロピルアンモニウム、塩素酸テトラプロピルアンモニウム、過塩素酸テトラプロピルアンモニウム、臭素酸テトラプロピルアンモニウム、ヨウ素酸テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸ビステトラプロピルアンモニウム、マロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、メチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、エチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、プロピルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、ブチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、ジメチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、ジエチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、コハク酸ビステトラプロピルアンモニウム、メチルコハク酸ビステトラプロピルアンモニウム、グルタル酸ビステトラプロピルアンモニウム、アジピン酸ビステトラプロピルアンモニウム、イタコン酸ビステトラプロピルアンモニウム、マレイン酸ビステトラプロピルアンモニウム、フマル酸ビステトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラプロピルアンモニウム、クエン酸ビステトラプロピルアンモニウム、炭酸ビステトラプロピルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、プロピオン酸テトラブチルアンモニウム、ブタン酸テトラブチルアンモニウム、ペンタン酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサン酸テトラブチルアンモニウム、ヘプタン酸テトラブチルアンモニウム、オクタン酸テトラブチルアンモニウム、ノナン酸テトラブチルアンモニウム、デカン酸テトラブチルアンモニウム、オレイン酸テトラブチルアンモニウム、ステアリン酸テトラブチルアンモニウム、リノール酸テトラブチルアンモニウム、リノレン酸テトラブチルアンモニウム、安息香酸テトラブチルアンモニウム、p−メチル安息香酸テトラブチルアンモニウム、p−t−ブチル安息香酸テトラブチルアンモニウム、フタル酸テトラブチルアンモニウム、イソフタル酸テトラブチルアンモニウム、テレフタル酸テトラブチルアンモニウム、サリチル酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラブチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、シュウ酸テトラブチルアンモニウム、マロン酸テトラブチルアンモニウム、メチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、エチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、プロピルマロン酸テトラブチルアンモニウム、ブチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、ジメチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、ジエチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、コハク酸テトラブチルアンモニウム、メチルコハク酸テトラブチルアンモニウム、グルタル酸テトラブチルアンモニウム、アジピン酸テトラブチルアンモニウム、イタコン酸テトラブチルアンモニウム、マレイン酸テトラブチルアンモニウム、フマル酸テトラブチルアンモニウム、シトラコン酸テトラブチルアンモニウム、クエン酸テトラブチルアンモニウム、炭酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウム、塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、臭素酸テトラブチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラブチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラブチルアンモニウム、マロン酸ビステトラブチルアンモニウム、メチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、エチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、プロピルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、ブチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、ジメチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、ジエチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、コハク酸ビステトラブチルアンモニウム、メチルコハク酸ビステトラブチルアンモニウム、グルタル酸ビステトラブチルアンモニウム、アジピン酸ビステトラブチルアンモニウム、イタコン酸ビステトラブチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラブチルアンモニウム、フマル酸ビステトラブチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラブチルアンモニウム、クエン酸ビステトラブチルアンモニウム、炭酸ビステトラブチルアンモニウム、等を例示することができる。
【0130】
なお、上記熱架橋促進剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱架橋促進剤の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られたケイ素含有化合物)100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。
【0131】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物において、半分以上の組成を占めるケイ素含有化合物(A−1)を安定化させるため、本発明の組成物には(C)成分として炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸を添加しなくてはいけない。このとき添加する酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。シュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種類以上の酸を混合して使用してもよい。添加量は組成物に含まれるケイ素含有化合物(A−1)及び(A−2)の総量100質量部に対して0.001〜25質量部、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
あるいは、上記有機酸を組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは、0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することがよい。
【0132】
更に、安定剤(D)として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、特に以下の構造で示されるエーテル化合物を添加するとケイ素含有膜形成用組成物の安定性を向上させることができる。このようなものとして、下記に示す化合物を挙げることができる。
【0133】
【化8】

【0134】
【化9】

【0135】
ここで、R90aは、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基、R91O−(CH2CH2O)n1−(CH2n2−(ここで、0≦n1≦5、0≦n2≦3、R91は水素原子又はメチル基)、又はR92O−〔CH(CH3)CH2O〕n3−(CH2n4−(ここで、0≦n3≦5、0≦n4≦3、R92は水素原子又はメチル基)であり、R90bは、水酸基、1個又は2個以上の水酸基を有する炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基、HO−(CH2CH2O)n5−(CH2n6−(ここで、1≦n5≦5、1≦n6≦3)、又はHO−〔CH(CH3)CH2O〕n7−(CH2n8−(ここで、1≦n7≦5、1≦n8≦3)である。
【0136】
なお、上記安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。安定剤の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られたケイ素含有化合物)100質量部に対して、好ましくは0.001〜50質量部、より好ましくは0.01〜40質量部である。また、これらの安定剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらのうち、好ましい構造はクラウンエーテル誘導体と橋頭位が酸素原子であるビシクロ環を置換基として有する化合物である。
このような安定剤を添加すると、酸の電荷がより安定化し、組成物中のケイ素含有化合物の安定化に寄与する。
【0137】
本発明のケイ素含有化合物を含有する組成物には、(E)成分として前記ケイ素含有化合物の製造時に使用したものと同様の有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のモノアルキルエーテルを使用する。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどから選ばれる有機溶剤を使用する。
【0138】
本発明では組成物に水を添加してもよい。水を添加すると、ケイ素含有化合物が水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。組成物の溶剤成分における水の含有率は0質量%を超え50質量%未満であり、特に好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。それぞれの成分は、添加量が多すぎると、塗布膜の均一性が悪くなり、最悪の場合はじきが発生してしまう。一方、添加量が少ないとリソグラフィー性能が低下するため好ましくない。
水を含む全溶剤の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して500〜100,000質量部、特に400〜50,000質量部が好適である。
【0139】
本発明では光酸発生剤を使用してもよい。本発明で使用される光酸発生剤としては、
(A−I)下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)又は(P1b)のオニウム塩、
(A−II)下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
(A−III)下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
(A−IV)下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
(A−V)下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
(A−VI)β−ケトスルホン酸誘導体、
(A−VII)ジスルホン誘導体、
(A−VIII)ニトロベンジルスルホネート誘導体、
(A−IX)スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0140】
【化10】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基にある水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0141】
上記R101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0142】
【化11】

(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0143】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)、(P1a−2)及び(P1a−3)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0144】
【化12】

(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0145】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0146】
【化13】

(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。)
【0147】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0148】
【化14】

(式中、R101a、R101bは上記と同様である。)
【0149】
【化15】

(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基に含まれる水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0150】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0151】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0152】
具体的には、例えば下記の光酸発生剤が挙げられる。トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩。
【0153】
ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体。
【0154】
ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体。
【0155】
ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体。
2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン酸誘導体。
ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体。
p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体。
1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体。
【0156】
N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等。
【0157】
これらの中で、特にトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
【0158】
なお、上記光酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光酸発生剤の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られたケイ素含有化合物(A−1)及び(A−2))100質量部(ケイ素含有化合物(A−1)、(A−2)の総量100質量部、以下同じ)に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.05〜40質量部である。
【0159】
更に、本発明では必要に応じて界面活性剤を配合することが可能である。ここで、界面活性剤としては非イオン性のものが好ましく、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、含フッ素オルガノシロキサン系化合物が挙げられる。例えばフロラード「FC−430」、「FC−431」、「FC−4430」(いずれも住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」、「S−145」、「KH−10」、「KH−20」、「KH−30」、「KH−40」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−403」、「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(大日本インキ工業(株)製)、「X−70−092」、「X−70−093」(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。好ましくは、フロラード「FC−4430」、「KH−20」、「KH−30」、「X−70−093」が挙げられる。
なお、界面活性剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができ、ベースポリマー100質量部に対し、0〜10質量部、特に0〜5質量部とすることが好ましい。
【0160】
本発明のエッチングマスク用として有効なケイ素含有膜は、ケイ素含有膜形成用組成物からフォトレジスト膜と同様にスピンコート法等で基板上に作製することが可能である。スピンコート後、溶剤を蒸発させ、上層レジスト膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は50〜500℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。特に好ましい温度範囲は、製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするため、400℃以下が好ましい。
【0161】
ここで、本発明においては、被加工基板の被加工部分の上に下層膜を介して上記ケイ素含有膜を形成し、その上にフォトレジスト膜を形成して、パターン形成を行うことができる。
この場合、被加工基板の被加工部分としては、k値が3以下の低誘電率絶縁膜、一次加工された低誘電率絶縁膜、窒素及び/又は酸素含有無機膜、金属膜等を挙げることができる。
【0162】
更に詳しくは、被加工基板は、ベース基板上に被加工層(被加工部分)を形成したものとすることができる。ベース基板としては、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものが用いられてもよい。被加工層としては、Si、SiO2、SiN、SiON、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nmの厚さに形成し得る。
【0163】
本発明では、上記ケイ素含有膜と上層のレジスト膜の間に市販の有機反射防止膜を形成してもよい。このとき、反射防止膜の構造としては芳香族置換基を有する化合物となる。この反射防止膜は上層レジスト膜のパターンをドライエッチングで転写する際に上層レジスト膜に対してエッチング負荷とならないようにしなければいけない。例えば、上層レジスト膜に対して、厚さで80%以下、好ましくは50%以下の膜厚であれば、ドライエッチング時の負荷としては非常に小さなものになる。この場合、反射防止膜としては、最低反射が2%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下になるように調整するのが好ましい。
【0164】
本発明のケイ素含有膜をArFエキシマレーザー光による露光プロセスに使用する場合、上層のレジスト膜としては、通常のArFエキシマレーザー光用レジスト組成物はいずれも使用可能である。ArFエキシマレーザー光用レジスト組成物は多数の候補がすでに公知であり、ポジ型であれば、酸の作用により酸不安定基が分解してアルカリ水溶液に可溶性となる樹脂と光酸発生剤及び酸の拡散を制御するための塩基性物質が、ネガ型であれば、酸の作用により架橋剤と反応してアルカリ水溶液に不溶性になる樹脂と光酸発生剤、架橋剤及び酸の拡散を制御するための塩基性物質が主要成分であるが、どのような樹脂を使用するかにより特性に差がある。すでに公知の樹脂を大別すると、ポリ(メタ)アクリル系、COMA(Cyclo Olefin Maleic Anhydride)系、COMA−(メタ)アクリルハイブリッド系、ROMP(Ring Opening Methathesis Polymerization)系、ポリノルボルネン系等があるが、このうち、ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したレジスト組成物は、側鎖に脂環式骨格を導入することでエッチング耐性を確保しているため、解像性能は、他の樹脂系に比較して優れる。
【0165】
ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したArFエキシマレーザー用レジスト組成物は多数のものが公知になっているが、ポジ型用としては、いずれも主要機能としてエッチング耐性を確保するためのユニット、酸の作用により分解してアルカリ可溶性に変化するユニット、密着性を確保するためのユニット等の組み合わせ、あるいは場合により1つのユニットが上記の機能の2以上を兼ねるユニットを含む組み合わせによりポリマーが構成される。このうち、酸によりアルカリ溶解性が変化するユニットとしては、アダマンタン骨格を持つ酸不安定基を持つ(メタ)アクリル酸エステル(特開平9−73173号公報)や、ノルボルナンやテトラシクロドセカン骨格を持つ酸不安定基を有する(メタ)アクリル酸エステル(特開2003−84438号公報)は高い解像性とエッチング耐性を与え、特に好ましく使用される。また、密着性を確保するためのユニットとしては、ラクトン環を持つノルボルナン側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル(国際公開第00/01684号パンフレット)、オキサノルボルナン側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル(特開2000−159758号公報)や、ヒドロキシアダマンチル側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル(特開平8−12626号公報)が良好なエッチング耐性と高い解像性を与えることから特に好ましく使用できる。また、更に隣接位がフッ素置換されることにより酸性を示すアルコールを官能基として持つユニット(例えば、Polym.Mater.Sci.Eng.1997.77.pp449)をポリマーが含有するものは、ポリマーに膨潤を抑制する物性を与え、高い解像性を与えることから、特に近年注目されているイマージョン法に対応するレジストポリマーとして注目されているが、ポリマー中にフッ素が含有されることにより、エッチング耐性が低下することが問題になっている。本発明のエッチングマスク用ケイ素含有膜は、このようなエッチング耐性が確保しにくい有機レジスト組成物に対して特に有効に使用することができる。
【0166】
上記ポリマーを含有するArFエキシマレーザー用レジスト組成物には、他に光酸発生剤、塩基性化合物等が含有されるが、光酸発生剤は、本発明のケイ素含有膜形成用組成物に添加可能なものとほぼ同一のものが使用でき、特にオニウム塩が、感度や解像性の点から有利である。また、塩基性物質についても多数のものが公知であり、最近公開となった特開2005−146252号公報に多数例示されており、それらから有利に選択し得る。
【0167】
エッチングマスク用ケイ素含有膜層を作製した後、その上にフォトレジスト組成物溶液を用いてフォトレジスト層を作製するが、エッチングマスク用ケイ素含有膜層と同様にスピンコート法が好ましく用いられる。レジスト組成物をスピンコート後、プリベークを行うが、80〜180℃で10〜300秒の範囲が好ましい。その後露光を行い、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。
【0168】
エッチングマスク用ケイ素含有膜のエッチングは、フロン系ガス、窒素ガス、炭酸ガス等を使ってエッチングを行う。本発明のエッチングマスク用ケイ素含有膜は前記ガスに対するエッチング速度が速く、上層のレジスト膜の膜減りが小さいという特徴がある。
【0169】
また、本発明のケイ素含有膜を用いる多層レジスト法では、本発明のケイ素含有膜と被加工基板の間に下層膜を設ける。下層膜を被加工基板のエッチングマスクとする場合には、下層膜は芳香族骨格を有する有機膜であることが好ましいが、下層膜が犠牲膜である場合等は、有機膜だけではなく、ケイ素含量が15質量%以下のものであればケイ素含有材料であってもよい。
【0170】
なお、芳香族骨格を有する有機膜とは、具体的に下層膜として多数公知であり、特開2005−128509号公報記載の4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂が、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知であり、それらをいずれも使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004−153125号公報)。
【0171】
下層膜を被加工基板のエッチングマスクとなる有機膜を使用した多層レジスト法の場合、有機膜は、パターン形成されたレジストパターンをケイ素含有膜に転写した後、更にそのパターンをもう一度転写させる膜であり、ケイ素含有膜が高いエッチング耐性を示すエッチング条件でエッチング加工できるという特性を持つと共に、被加工基板をエッチング加工する条件に対しては高いエッチング耐性を持つという特性が要求される。
【0172】
そのような下層膜としての有機膜は既に3層レジスト法用、あるいはシリコンレジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として多数公知であり、特開2005−128509号公報記載の4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂が、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知であり、それらをいずれも使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004−153125号公報)。
【0173】
上記有機膜は、組成物溶液を用い、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法等で基板上に形成することが可能である。スピンコート法等でレジスト下層膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0174】
なお、特に限定されるものではなく、エッチング加工条件により異なるが、下層膜の厚さは10nm以上、特に50nm以上であり、50,000nm以下であることが好ましく、本発明に係るケイ素含有膜の厚さは1nm以上200nm以下であり、フォトレジスト膜の厚さは1nm以上300nm以下であることが好ましい。
【0175】
本発明のエッチングマスク用ケイ素含有膜を用いた3層レジスト法は、次の通りである。このプロセスにおいては、まず被加工基板上に有機膜をスピンコート法等で作製する。この有機膜は、被加工基板をエッチングするときのマスクとして作用するので、エッチング耐性が高いことが望ましく、上層のエッチングマスク用ケイ素含有膜とミキシングしないことが求められるので、スピンコートした後に熱あるいは酸によって架橋することが望ましい。その上に本発明の組成物から得られたエッチングマスク用ケイ素含有膜、フォトレジスト膜を前記方法で成膜する。レジスト膜は、定法に従い、レジスト膜に応じた光源、例えばKrFエキシマレーザー光や、ArFエキシマレーザー光、あるいはF2レーザー光を用いて、パターン露光し、個々のレジスト膜に合わせた条件による加熱処理の後、現像液による現像操作を行うことでレジストパターンを得ることができる。次にこのレジストパターンをエッチングマスクとして、有機膜に対し、ケイ素含有膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件、例えばフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングでのエッチングを行う。上記反射防止膜とケイ素膜をエッチング加工すると、レジスト膜のサイドエッチングによるパターン変化の影響を殆ど受けずに、ケイ素含有膜パターンを得ることができる。次に、上記で得たレジストパターンが転写されたケイ素含有膜パターンを持つ基板に対し、下層有機膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件、例えば酸素を含有するガスプラズマによる反応性ドライエッチングや、水素−窒素を含有するガスプラズマによる反応性ドライエッチングを行い、下層有機膜をエッチング加工する。このエッチング工程により下層有機膜のパターンが得られるが、同時に最上層のレジスト層は、通常失われる。更に、ここで得られた下層有機膜をエッチングマスクとして、被加工基板のドライエッチング、例えば、フッ素系ドライエッチングや塩素系ドライエッチングを使用することで、被加工基板を精度よくエッチング加工することができる。
【実施例】
【0176】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0177】
ケイ素含有化合物(A−1)の合成
[合成例1]
メタノール200g、イオン交換水200g、35%塩酸1gを1,000mlガラスフラスコに仕込み、テトラエトキシシラン50g、メチルトリメトキシシラン100g及びフェニルトリメトキシシラン10gの混合物を室温で加えた。そのまま、8時間室温で加水分解縮合させた後、プロピレングリコールモノエチルエーテル300mlを加え、減圧で濃縮してケイ素含有化合物1のプロピレングリコールモノエチルエーテル溶液300g(ポリマー濃度21%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,000であった。
【0178】
[合成例2]
合成例1のテトラエトキシシラン50g、メチルトリメトキシシラン100g及びフェニルトリメトキシシラン10gの混合物をメチルトリメトキシシラン100g及びフェニルトリメトキシシラン20gに代えた以外は同様の操作でケイ素含有化合物2のプロピレングリコールモノエチルエーテル溶液300g(ポリマー濃度19%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=3,000であった。
【0179】
[合成例3]
合成例1のメタノール60g、イオン交換水200g、35%塩酸1g、テトラエトキシシラン50g、メチルトリメトキシシラン100g、フェニルトリメトキシシラン10g及びプロピレングリコールモノエチルエーテルをイオン交換水260g、65%硝酸5g、テトラメトキシシラン70g、メチルトリメトキシシラン70g、フェニルトリメトキシシラン10g及びブタンジオールモノメチルエーテルに代えた以外は同様の操作でケイ素含有化合物3のブタンジオールモノメチルエーテル溶液300g(ポリマー濃度20%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,500であった。
【0180】
[合成例4]
イオン交換水260g、35%塩酸1gを1,000mlガラスフラスコに仕込み、テトラメトキシシラン70g、メチルトリメトキシシラン25g、下記式[i]のシラン化合物25g及びフェニルトリメトキシシラン10gの混合物を室温で加えた。そのまま、8時間室温で加水分解縮合させた後、副生メタノールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル800ml及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル300mlを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層にプロピレングリコールモノプロピルエーテルを200ml加えて、減圧で濃縮してケイ素含有化合物4のプロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液300g(ポリマー濃度20%)を得た。得られた溶液をイオンクロマトグラフでクロルイオンを分析したが、検出されなかった。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,800であった。
【0181】
【化16】

【0182】
[合成例5]
エタノール200g、イオン交換水100g、メタンスルホン酸3gを1,000mlガラスフラスコに仕込み、テトラメトキシシラン40g、メチルトリメトキシシラン10g、下記式[ii]のシラン化合物50g及びフェニルトリメトキシシラン10gの混合物を室温で加えた。そのまま、8時間室温で加水分解縮合させた後、副生メタノールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル800ml及びエチレングリコールモノプロピルエーテル300mlを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層にエチレングリコールモノプロピルエーテルを200ml加えて、減圧で濃縮してケイ素含有化合物5のエチレングリコールモノプロピルエーテル溶液300g(ポリマー濃度20%)を得た。得られた溶液をイオンクロマトグラフでメタンスルホン酸イオンを分析したところ、反応に使用したもののうち99%が除去されていることが判った。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,100であった。
【0183】
【化17】

【0184】
ケイ素含有化合物(A−2)の合成
[合成例6]
エタノール500g、イオン交換水250g、25%水酸化テトラメチルアンモニウム2.5gを1,000mlガラスフラスコに仕込み、この混合物を55℃で撹拌し、そこにテトラエトキシシラン97g、メチルトリメトキシシラン73gの混合液を2時間かけて滴下した。55℃で1時間撹拌後、室温に冷却し、20%マレイン酸水溶液3gを加えた。更に、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル1,000mlを加えた後、溶液が900mlになるまで濃縮した。続いて、酢酸エチルを2,000ml加えて、イオン交換水300mlで2回洗浄、分液し、更に、酢酸エチルを減圧で濃縮してケイ素含有化合物6のプロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液900g(ポリマー濃度7%)を得た。得られた溶液をイオンクロマトグラフでテトラメチルアンモニウムイオンを分析したところ、反応に使用したもののうち98%が除去されていることが判った。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=約10万であった。
【0185】
[合成例7]
合成例6のテトラエトキシシラン97g、メチルトリメトキシシラン73gの混合液を、テトラエトキシシラン100g、メチルトリメトキシシラン58g及びフェニルトリメトキシシラン10gの混合液に代えた以外は同様の操作でケイ素含有化合物7のプロピレングリコールモノプロピルエーテル溶液900g(ポリマー濃度7%)を得た。得られた溶液をイオンクロマトグラフでテトラメチルアンモニウムイオンを分析したところ、反応に使用したもののうち98%が除去されていることが判った。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=約10万であった。
【0186】
[実施例、比較例]
上記合成例で得られたケイ素含有化合物1〜7、酸、熱架橋促進剤、溶剤、添加剤を表1に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有膜形成用組成物溶液をそれぞれ調製し、それぞれSol.1〜10とした。
【0187】
【表1】

【0188】
TPSOAc:酢酸トリフェニルスルホニウム(光分解性熱架橋促進剤)
TPSOH:水酸化トリフェニルスルホニウム(光分解性熱架橋促進剤)
TPSCl:塩化トリフェニルスルホニウム(光分解性熱架橋促進剤)
TPSMA:マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)(光分解性熱架橋促進剤)
TPSN:硝酸トリフェニルスルホニウム(光分解性熱架橋促進剤)
TMAOAc:酢酸テトラメチルアンモニウム(非光分解性熱架橋促進剤)
TPSNf:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(光酸発生剤)
【0189】
【化18】

【0190】
まず、下層膜材料として、Siウエハー上に4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)(特開2005−128509号公報)含有組成物(樹脂28質量部、溶剤100質量部)を回転塗布し、200℃で1分間加熱成膜して、膜厚300nmの下層有機膜を形成した。この下層有機膜材料としては、上記の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂が、多層レジスト法の下層膜材料として公知であり、それらをいずれも使用することができる。
【0191】
次に、Sol.1〜10を回転塗布し、200℃で1分間加熱成膜して、膜厚100nmのケイ素含有膜を形成した。
【0192】
更に、上層レジスト膜を形成するため、ArFエキシマレーザー光露光用レジスト組成物(Resist1)として以下のものをFC−430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含有するPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液に溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0193】
【化19】

10質量部
光酸発生剤 :トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
0.2質量部
塩基性化合物:トリエタノールアミン 0.02質量部
【0194】
この組成物を中間層の上に塗布し、130℃,60秒間ベークして膜厚200nmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、ArF露光装置((株)ニコン製;S305B、NA0.68、σ0.85、2/3輪体照明、Crマスク)で露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、ポジ型のパターンを得た。得られたパターンの90nmL/Sのパターン形状を観察した結果を表2に示す。
【0195】
【表2】

【0196】
いずれの実施例においても基板付近で裾引きやアンダーカット、インターミキシング現象のないパターンが得られた。
【0197】
次いで、ドライエッチング耐性のテストを行った。上記組成物Sol.1〜10を回転塗布し、200℃で1分間加熱成膜して、膜厚100nmのケイ素含有膜Film1〜10を作製した。これらの膜と、下層膜及びフォトレジスト膜を下記のエッチング条件(1)でエッチング試験を実施した。その結果を表3に示す。
(1)CHF3/CF4系ガスでのエッチング試験
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置TE−8500P
エッチング条件(1):
チャンバー圧力 40.0Pa
RFパワー 1,300W
ギャップ 9mm
CHF3ガス流量 30ml/min
CF4ガス流量 30ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 10sec
【0198】
【表3】

【0199】
続いて、表4に示すようにO2系ガスのドライエッチングの速度を下記に示すエッチング条件(2)で調べた。下層膜や上層レジスト膜に比べれば十分に遅く、中間層をエッチングマスクとして下層にパターン転写することが可能である。
【0200】
エッチング条件(2):
チャンバー圧力 60.0Pa
RFパワー 600W
Arガス流量 40ml/min
2ガス流量 60ml/min
ギャップ 9mm
処理時間 20sec
【0201】
【表4】

【0202】
更に、保存安定性試験を行った。上記で得たケイ素含有膜形成用組成物(Sol.1〜10)を30℃で1ヶ月保管した後、上記の方法による塗布を再度行い、成膜性の変化を生じないかのテストを行った。その結果を表5に示す。
【0203】
【表5】

【0204】
表5の結果より、いずれの実施例の組成物においても30℃で3ヶ月以上、室温に換算すると6ヶ月以上の保存安定性があることが確認された。
【0205】
以上より、本発明の組成物、ケイ素含有膜は、安定性、リソグラフィー特性に優れていることが確認された。このような組成物を用いることで最先端の高NA露光機を用いたパターン形成並びにエッチングによる基板加工が可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A−1)酸を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
(A−2)塩基を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
(B)下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の1種又は2種以上、
abX (1)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウム、Xは水酸基、又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の価数である。)
abA (2)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム又はアンモニウムであり、Aは上記X又は非求核性対向イオン、a、bは上記と同様であり、a+bは水酸基、有機酸基又は非求核性対向イオンの価数である。)
(C)炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸、
(D)環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、
(E)有機溶剤
を含むことを特徴とする熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項2】
上記ケイ素含有化合物(A−1)として、無機酸及びスルホン酸誘導体から選ばれる1種類以上の化合物を酸触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有反応混合物から上記酸触媒を実質的に除去する工程を経て得ることのできるケイ素含有化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項3】
上記ケイ素含有化合物(A−2)として、塩基を触媒として用いて加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られるケイ素含有反応混合物から当該塩基触媒を実質的に除去する工程を経て得ることのできるケイ素含有化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項4】
一般式(2)のMが、三級スルホニウム、二級ヨードニウム又は四級アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項5】
一般式(2)のMが、光分解性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項6】
組成物中の質量が(A−1)>(A−2)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項7】
更に、光酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項8】
更に、水を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項9】
被加工基板上に有機膜を形成し、その上にケイ素含有膜を形成し、更にその上にケイ素を含まない化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、このレジスト膜をパターン加工した後、このレジスト膜パターンを用いてケイ素含有膜をパターン加工し、加工されたケイ素含有膜パターンをエッチングマスクとして下層の有機膜をパターン加工し、更に加工された有機膜をエッチングマスクとして被加工基板をエッチングする多層レジスト法において用いるケイ素含有膜であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜。
【請求項10】
請求項9記載の多層レジスト法の工程において、化学増幅型レジスト組成物から得られるレジスト膜とケイ素含有膜の間に有機反射防止膜を介在させた多層レジスト法において用いるケイ素含有膜であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜。
【請求項11】
有機膜と、この有機膜の上に請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜と、その上にフォトレジスト膜とが順次形成されたものであることを特徴とする基板。
【請求項12】
有機膜と、この有機膜の上に請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜と、有機反射防止膜と、その上にフォトレジスト膜とが順次形成されたものであることを特徴とする基板。
【請求項13】
上記有機膜が芳香族骨格を有する膜であることを特徴とする請求項11又は12記載の基板。
【請求項14】
基板にパターンを形成する方法であって、請求項11記載の基板を準備し、該基板のフォトレジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してフォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクにしてケイ素含有膜をドライエッチングし、パターンが形成されたケイ素含有膜をエッチングマスクにして有機膜をエッチングし、パターンが形成された有機膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項15】
基板にパターンを形成する方法であって、請求項12記載の基板を準備し、該基板のフォトレジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してフォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクにして有機反射防止膜及びケイ素含有膜をドライエッチングし、パターンが形成されたケイ素含有膜をエッチングマスクにして有機膜をエッチングし、パターンが形成された有機膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
上記有機膜が芳香族骨格を有する膜であることを特徴とする請求項14又は15記載のパターン形成方法。
【請求項17】
レジストパターンの形成において、波長が300nm以下の光を用いたフォトリ
ソグラフィー法を用いることを特徴とする請求項14、15又は16記載のパターン形成
方法。

【公開番号】特開2009−30007(P2009−30007A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245870(P2007−245870)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】