説明

ケイ質結合剤を用いた構造体を製造するための組成物

【課題】本発明の課題は、有機溶剤を含まない組成物、並びに無機微粒子物質の有機溶剤を含まない押出し成形物を製造する際のそれらの使用方法、およびそれらの焼成生成物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、微粒子ケイ素樹脂を、有機溶剤が添加されることなく微粒子無機物質と共に用いて、構造体および特にモレキュラーシーブ含有構造体を形成することに関する。ケイ素樹脂は、平均粒径700μm未満の微粒子の形態で用いられる。焼成した際に、ケイ素樹脂はシリカへ転化される。これは、結合剤として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、それらを製造するための組成物、およびこれらの構造体を製造するための方法に関する。より詳しくは、本発明は、有機溶剤を含まない組成物、並びに無機微粒子物質の有機溶剤を含まない押出し成形物を製造する際のそれらの使用方法、およびそれらの焼成生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック物質、活性炭、およびモレキュラーシーブなどの微粒子無機物質から作製される構造体、触媒、触媒担体、および吸着媒体などの広い種類の用途で用いられる。これらの構造体を製造する最も一般的な方法の一つは、構造体を可塑性混合物から成形することによることである。可塑性混合物は、典型的には、個々の無機物質(通常粉末などの微粒子形態)と、結合剤等(適切な媒体中にある)との混合物からなる。媒体は、典型的には、水、有機溶剤、またはそれらの混合物などの溶剤である。構造体は、種々の方法を用いて成形され、乾燥され、しばしば焼成などの方法を用いて熱処理される。
【0003】
構造体の特に重要な種類は、モレキュラーシーブ様の物質を含むものである。触媒および他の用途で用いるためのモレキュラーシーブ物質は、種々の理由で、それらの合成されたままの形態では殆ど用いられない。通常、これらのモレキュラーシーブ物質は、無機または有機結合剤および他の同時活性成分などの他の物質との組成物に処方されて、モレキュラーシーブが、担体構造または触媒構造体に成形されることを可能にする。典型的には、この触媒組成物は、三次元構造体に成形される。例えば押出し成形ペレット、または押出し成形ハニカムなどのより複雑な構造体である。アルミナ、チタニア、スピネル、ジルコニア、シリカなどの種々の高表面積酸化物が、フィルターに用いられるか、または触媒担体に用いられるハニカム構造体などの高強度担体に押出し成形可能なものとして、および触媒ペレットとして押出し成形されるものとして技術的に知られる。非晶質シリカなどのこれらの物質のいくつかは、比較的、押出し成形するのが困難である。モレキュラーシーブ物質(例えばゼオライトまたは中間細孔の結晶質シリカ物質など)は、押出し成形された形態では、容易に入手可能でなかったか、またはいくつかの困難および限定を伴って押出し成形された。
【0004】
モレキュラーシーブ物質は、例えば押出し成形によって容易に成形可能な組成物を形成して、モレキュラーシーブ構造体を調製するのに、結合剤および他の添加剤との注意深い処方を必要とする。しかし、この注意にもかかわらず、最終モレキュラーシーブ構造体は、組成および/または用いられた成形方法の結果として、ある困難性および問題を示すであろう。これらの問題は、しばしば、高レベルの有機または無機結合剤を溶剤と組合わせて用いて、モレキュラーシーブ構造体を押出し成形する必要性に基づく。得られる構造体は、焼成後に結合剤残渣を含むか、または製造方法により損傷する。加えて、高レベルの結合剤は、活性モレキュラーシーブ物質を低減されたレベルで含む押出し成形構造体をもたらす。更なる困難性は、十分な圧縮強度を有する押出し成形モレキュラーシーブ構造体を提供することにある。許容可能な圧縮強度は、モレキュラーシーブ構造体が、使用中に、無傷のままであり、かつその活性を保持することを確実にするのに重要である。これらの構造体が、不十分な強度のものである場合には、それらは、使用中に、より迅速に劣化し、より頻繁な間隔で交換することを必要とするかもしれない。即ち、これは、それらが用いられるプロセスの経済性に対して、実質的に有害な効果を有するかもしれない。押出し成形モレキュラーシーブ構造体による更なる要求は、それらが、押出し成形時に、十分な生強度を有して、取り扱いを容易にすることである。更なる問題は、最終押出し成形モレキュラーシーブ構造体が、低減されるか、またはそれを改変された活性を有するかもしれないことである。これは、共押出し成形結合剤の存在が避けられないことによる。これは、使用中に、効果的な触媒活性に影響を及ぼす。これらの問題を持つモレキュラーシーブのある特定の種類は、高Si/Al比のナノ多孔質物質である。これは、通常、苛性/コロイド状シリカ結合剤と押出し成形されて、高シリカ含有量の押出し成形物を製造する。特許文献1に記載されるものなどである。これらの押出し成形物においては、結合剤は、モレキュラーシーブ固有の構造を損傷する原因となる。これらの障害の一つは、これらの高pH条件下におけるモレキュラーシーブ結晶または中間細孔物質の表面積の実質的な減少である。M41S(MCM−41およびMCM−48など)として示される高表面積の中間細孔結晶質アルミノシリケートおよびシリケートは、従来の押出し成形技術を用いて、高強度のモレキュラーシーブ構造体として押出し成形するのに、特に困難であった。
【0005】
上記に確認された問題に加えて、また、溶剤ベース系に伴う困難がある。混合または押出し成形中の強い有機溶剤蒸気の存在によるOSHA問題(毒性および引火性)である。また、溶剤が押出し成形物質の製造時に用いられる時の乾燥に伴う困難がある。電気加熱オーブン中での通常の乾燥下では、揮発性溶剤は、基体上に乾燥膜を迅速に形成することにより、これらのモレキュラーシーブ構造体の膨れおよび深割れの原因となりやすい。これらの問題の出現を最小にするために、構造体は、一般に、換気フード内で非常に遅い速度で、数日間に亘って乾燥される。遅い乾燥は、乾燥膜を基部上に揮発性基体から迅速に形成するというこれらの構造体の傾向による。これはまた、これらの構造体が乾燥に付される場合に、膨れおよび深割れの原因となる。結果として、溶剤含有バッチから形成されるモレキュラーシーブ構造体は、膨れおよび深割れの出現を最小にするのに、換気フード内で遅い乾燥(典型的には数日間に亘る)を必要とする。
【0006】
特許文献2においては、ゼオライトハニカム押出し成形物が、ケイ素樹脂を不変結合剤として用いて製造される。この引用文献で開示されるように、シリカを除いて、不変結合剤の前駆体が、分散、懸濁、または液体希釈液の溶液の形態で用いられてもよい。不変結合剤の前駆体がケイ素樹脂である場合には、樹脂は、有機溶剤、またはアルコールおよび水の混合有機溶剤系中に溶解される。ケイ素樹脂は、多孔質酸化物粉末と直接に混合されてもよく、その場合には溶剤が、可塑化段階で用いられて、樹脂を溶解する。別に、ケイ素樹脂は、メチルアルコール、エチルアルコール、およびイソプロピルアルコールなどの適切な有機溶剤中に、予め溶解されてもよい。珪素樹脂が、溶剤中に予め溶解されるか、または多孔質酸化物粉末と直接に混合され、続いて溶剤が添加されようとも、樹脂は、混練りされてもよい。この引用文献においては、有機溶剤の使用が、許容可能な曲げ強度を有する押出し成形モノリスを達成するのに必須であることが教示される。特許文献2の実施例2(比較例)には、ダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂が、フレーク形態で用いられた。これらは、粒径1mm超であると知られる。この実施例においては、樹脂は、有機溶剤なしに用いられて、押出し成形ロッドを形成した。これは、曲げ強度100psi(689kPa)未満と報告された。これは、低い曲げ強度として開示された。
【0007】
特許文献3は、押出し成形モレキュラーシーブ構造体の製造で用いられる有機溶剤のレベルを低減する可能性を示す。この引用文献においては、ゼオライト押出し成形構造体は、ケイ素樹脂の水性エマルジョンを用いて調製される。エマルジョンは、典型的には、700nm程度の粒径のケイ素樹脂粒子を含み、樹脂固形分60wt%をまた含む。しかし、エマルジョンはまた、芳香族溶剤0.5〜1ポンド/ガロン(0.23〜0.45kg/0.00378m)を含む。この示されたレベルの溶剤は、この引用文献では低いものとして記載される。しかし、現在の環境基準は、このレベルの有機溶剤は、多くの場合には、許容できない高レベルであることを規定する。
【0008】
許容可能な生強度は、その製造中における押出し成形物の取り扱いを容易にし、加えて押出し成形物が、その形状を保持し、製造過程においてそれ自身の重量により崩壊または変形しないことを確実にするのに重要である。有機溶剤ベースの組成物を用いて調製された押出し成形物は、不十分な生強度を有し、かつ押出し成形後に容易に変形されると知られる。従って、構造体、特に有機溶剤を用いることなしに成形モレキュラーシーブ構造体を製造するための別のより柔軟性のある方法に対する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,582,815号明細書
【特許文献2】米国特許第5,633,217号明細書
【特許文献3】米国特許第5,492,883号明細書
【特許文献4】米国特許第3,090,691号明細書
【特許文献5】米国特許第6,162,350号明細書
【特許文献6】米国特許第2,882,243号明細書
【特許文献7】米国特許第2,882,244号明細書
【特許文献8】米国特許第3,130,007号明細書
【特許文献9】米国特許第3,247,195号明細書
【特許文献10】米国特許第3,314,752号明細書
【特許文献11】米国特許第3,702,886号明細書
【特許文献12】米国特許第4,797,267号明細書
【特許文献13】米国特許第5,783,321号明細書
【特許文献14】米国特許第3,709,979号明細書
【特許文献15】米国特許第3,832,449号明細書
【特許文献16】米国特許第3,948,758号明細書
【特許文献17】米国特許第3,972,983号明細書
【特許文献18】米国特許第4,016,245号明細書
【特許文献19】米国特許第5,336,478号明細書
【特許文献20】米国特許第4,076,842号明細書
【特許文献21】米国特許第4,086,186号明細書
【特許文献22】米国特許第4,397,827号明細書
【特許文献23】米国特許第4,698,217号明細書
【特許文献24】米国特許第3,308,069号明細書
【特許文献25】米国特許第4,639,358号明細書
【特許文献26】米国特許第4,673,559号明細書
【特許文献27】米国特許第4,632,811号明細書
【特許文献28】米国特許第4,664,897号明細書
【特許文献29】米国特許第4,639,357号明細書
【特許文献30】米国特許第4,880,611号明細書
【特許文献31】米国特許第4,623,527号明細書
【特許文献32】米国特許第4,619,818号明細書
【特許文献33】米国特許第4,954,325号明細書
【特許文献34】米国特許第5,098,684号明細書
【特許文献35】米国特許第5,102,643号明細書
【特許文献36】米国特許第5,198,203号明細書
【特許文献37】米国特許第5,236,575号明細書
【特許文献38】米国特許第5,362,697号明細書
【特許文献39】米国特許第4,310,440号明細書
【特許文献40】EP−A−0229295号明細書
【特許文献41】米国特許第4,254,297号明細書
【特許文献42】米国特許第4,500,651号明細書
【特許文献43】米国特許第4,229,424号明細書
【特許文献44】米国特許第5,278,345号明細書
【特許文献45】米国特許第4,440,871号明細書
【特許文献46】米国特許第3,941,871号明細書(再発行米国特許第29,948号明細書)
【特許文献47】米国特許第4,061,724号明細書
【特許文献48】米国特許第4,073,865号明細書
【特許文献49】米国特許第4,104,294号明細書
【特許文献50】米国特許第4,567,029号明細書
【特許文献51】EP−A−0159624号明細書
【特許文献52】米国特許第4,554,143号明細書
【特許文献53】米国特許第4,822,478号明細書
【特許文献54】米国特許第4,683,217号明細書
【特許文献55】米国特許第4,744,885号明細書
【特許文献56】EP−A−0158975号明細書
【特許文献57】米国特許第4,935,216号明細書
【特許文献58】EP−A−0161489号明細書
【特許文献59】EP−A−0158976号明細書
【特許文献60】EP−A−0158350号明細書
【特許文献61】米国特許第4,973,460号明細書
【特許文献62】米国特許第4,789,535号明細書
【特許文献63】米国特許第4,992,250号明細書
【特許文献64】米国特許第4,888,167号明細書
【特許文献65】米国特許第5,057,295号明細書
【特許文献66】米国特許第4,738,837号明細書
【特許文献67】米国特許第4,759,919号明細書
【特許文献68】米国特許第4,851,106号明細書
【特許文献69】米国特許第4,758,419号明細書
【特許文献70】米国特許第4,882,038号明細書
【特許文献71】米国特許第5,434,326号明細書
【特許文献72】米国特許第5,478,787号明細書
【特許文献73】米国特許第4,894,213号明細書
【特許文献74】米国特許第4,913,888号明細書
【特許文献75】米国特許第4,686,092号明細書
【特許文献76】米国特許第4,846,956号明細書
【特許文献77】米国特許第4,793,833号明細書
【特許文献78】米国特許第5,345,011号明細書
【特許文献79】米国特許第6,156,931号明細書
【特許文献80】米国特許第4,737,353号明細書
【特許文献81】米国特許第4,940,570号明細書
【特許文献82】米国特許第4,801,309号明細書
【特許文献83】米国特許第4,684,617号明細書
【特許文献84】米国特許第4,880,520号明細書
【特許文献85】米国特許第4,551,236号明細書
【特許文献86】米国特許第4,605,492号明細書
【特許文献87】米国特許第4,824,554号明細書
【特許文献88】米国特許第4,744,970号明細書
【特許文献89】米国特許第4,735,806号明細書
【特許文献90】EP−A−0293937号明細書
【特許文献91】米国特許第4,686,093号明細書
【特許文献92】米国特許第4,781,814号明細書
【特許文献93】米国特許第4,793,984号明細書
【特許文献94】米国特許第4,801,364号明細書
【特許文献95】米国特許第4,853,197号明細書
【特許文献96】米国特許第4,917,876号明細書
【特許文献97】米国特許第4,952,384号明細書
【特許文献98】米国特許第4,956,164号明細書
【特許文献99】米国特許第4,956,165号明細書
【特許文献100】米国特許第4,973,785号明細書
【特許文献101】米国特許第5,241,093号明細書
【特許文献102】米国特許第5,493,066号明細書
【特許文献103】米国特許第5,675,050号明細書
【特許文献104】EP−0888187B1号明細書
【特許文献105】米国特許第6,004,898号明細書
【特許文献106】米国特許出願第09/511,943号明細書
【特許文献107】国際公開第01/64340号パンフレット
【特許文献108】米国特許第6,162,415号明細書
【特許文献109】米国特許第3,355,246号明細書
【特許文献110】米国特許第3,791,964号明細書
【特許文献111】米国特許第4,647,442号明細書
【特許文献112】米国特許第4,664,597号明細書
【特許文献113】米国特許第4,638,357号明細書
【特許文献114】カナダ特許第911,416号明細書
【特許文献115】カナダ特許第911,417号明細書
【特許文献116】カナダ特許第911,418号明細書
【特許文献117】米国特許第4,363,748号明細書
【特許文献118】英国特許第2,068,253号明細書
【特許文献119】米国特許第4,228,036号明細書
【特許文献120】米国特許第3,213,035号明細書
【特許文献121】米国特許第5,250,282号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Kirk−Othmer化学技術大辞典」(John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク、1985年、第1062〜1065頁)
【非特許文献2】R.Szostak著「モレキュラーシーブ:合成および同定の原理」(第2〜6頁、Van Nostrand Reinhold Catalysis Series、1989年)
【非特許文献3】「化学および物理学のCRCハンドブック」(第65版)
【非特許文献4】R.Szostak著「モレキュラーシーブハンドブック」(Van Nostrand Reinhold、ニューヨーク、ニューヨーク州、1992年)
【非特許文献5】「CRCハンドブック元素周期律表」
【非特許文献6】MooreおよびShen著「自然」(第306巻、第5941号、第356〜358頁、1983年)
【非特許文献7】R.Szostakら著「ゼオライト:事実、形状、将来」(Elsevier Science Publishers B.V.、1989年)
【非特許文献8】Winsor著「化学評論」(第68(1)巻、1968年)
【非特許文献9】U.CieslaおよびF.Schuth著「規則正しい中間細孔物質評論」、「微細孔および中間細孔物質」(第27巻、1999年、第131〜49頁)
【非特許文献10】Chen著「工業用途における形状選択性触媒」(36 Chemical Indutries、第41〜61頁、1989年)
【非特許文献11】J.H.GaryおよびG.E.Handwerk著「石油精製:技術および経済」(第3版、M.Dekker、ニューヨーク、1994年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、有機溶剤を含まない組成物、並びに無機微粒子物質の有機溶剤を含まない押出し成形物を製造する際のそれらの使用方法、およびそれらの焼成生成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、第一の態様においては、本発明は、構造体、特に押出し成形モレキュラーシーブ構造体を、微粒子形態のケイ素質樹脂を有機溶剤を添加することなく用いて、成形する方法を提供する。より詳しくは、本発明の方法は、割れのない押出し成形構造体、特にモレキュラーシーブ構造体を提供する。これは、(1)微粒子無機物質、平均粒径700μm未満のケイ素樹脂、および任意に押出し成形助剤、並びに水を生むバッチ組成物を提供する工程、(2)バッチ組成物を構造体に成形する工程、(3)任意に構造体を乾燥する工程、(4)任意に構造体を、良好な強度の構造体を形成するのに十分な温度および時間で焼成する工程によって形成される。本発明の方法は、一般に、構造体、特にモレキュラーシーブを含む構造体の製造に適用可能である。
【0013】
本発明は、従って、構造体の製造方法を提供する。前記方法は、
(a)添加有機溶剤を含まないバッチ組成物を調製し、その際前記組成物は、少なくとも一種の微粒子無機物質、平均粒径700μm以下の少なくとも一種の微粒子ケイ素樹脂、および水を混合する工程を含む工程、および
(b)バッチ組成物を構造体に成形する工程
を含む。
【0014】
好ましい実施形態においては、成形された構造体は、乾燥される。また、構造体は、焼成前に乾燥するかまたは乾燥することなく、焼成されることが好ましい。更に、工程(b)の成形は、押出し成形によって行われることが好ましい。好ましい実施形態においては、微粒子無機物質は、一種以上のモレキュラーシーブである。
【0015】
更なる態様においては、本発明は、構造体に成形するのに適切な組成物を提供する。この組成物は、添加有機溶剤を含まず、かつ少なくとも一種の微粒子無機物質、平均粒径700μm以下の少なくとも一種の微粒子ケイ素樹脂、および水を含む。組成物は、好ましくは、微粒子無機物質の固形分を基準として0.5〜99.5wt%、およびケイ素樹脂の固形分を基準として99.5〜0.5wt%を含む。水は、微粒子無機物質およびケイ素樹脂の固形分混合物を、押出し成形可能にするのに十分な量で添加される。微粒子無機物質は、非晶質または結晶質であってもよい。結晶質物質は、ゼオライト質または中間細孔質であってもよい。
【0016】
更なる態様においては、本発明は、添加有機溶剤を含まない生状態の成形構造体を提供する。これは、少なくとも一種の微粒子無機物質、平均粒径700μm未満の少なくとも一種の微粒子ケイ素樹脂、および水を含み、かつ成形構造体は、変形なしに取扱うのに十分な生強度を有する。好ましくは、無機物質は、一種以上のモレキュラーシーブである。モレキュラーシーブの好ましい種類は、SiO/Al比10以上を有するものである。
【0017】
好ましい態様においては、本発明は、成形構造体を提供する。これは、少なくとも一種の微粒子無機物質、少なくとも一種のケイ素樹脂誘導シリカ結合剤10wt%以下、および破砕強度35ポンド/平方インチ(2461g/cm)超を有する。好ましくは、無機物質は、一種以上のモレキュラーシーブである。モレキュラーシーブの好ましい種類は、SiO/Al比10以上を有するものである。
【0018】
更なる態様においては、本発明は、炭化水素および/または非炭化水素化合物を含む原料を処理または転化するための方法を提供する。前記方法は、炭化水素および/または非炭化水素化合物を含む原料を、本発明の一種以上の構造体と接触させる工程を含むか、または本発明の構造体の製造方法によって提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
触媒などの構造体を形成する従来の先行技術方法においては、触媒物質およびいかなる樹脂結合剤も、有機溶剤と混合されて、仕上げ触媒に成形するのに適切な組成物を作製する。本発明に従って、比較的低いレベルの無機結合剤を有する構造体、および特にモレキュラーシーブ構造体を含む構造体を製造するための方法が提供される。これは、有機溶剤を添加することなく製造された。語句「添加有機溶剤を含まない」または「有機溶剤を含まない」を用いることによって、本組成物は、添加有機溶剤を全く含まないか、またはたとえ有機溶剤の量が組成物中に存在するものの、それらは、その存在が、焼成時に形成されるシリカ結合剤の保全性に悪影響を及ぼさないであろう少量で存在することが意味される。いかなる所定の組成物も許容してよい溶剤の量は、有機溶剤を有するシリカ結合組成物、およびそれを有しないものの物理特性(特に破砕強度)を、比較することによって決定される。有機溶剤が組成物に全く添加されないことが好ましい。
【0020】
本発明は、製造方法において、添加有機溶剤の代わりに水を用いる。好ましくは、それらは、更なる有機結合剤なしに製造された。本方法から得られる生構造体は、驚くべきことに、高い生強度を有し、微粒子無機物質がモレキュラーシーブまたはモレキュラーシーブから誘導される触媒を含む場合には特に、焼成後に、微粒子無機物質の特性に有害な影響を殆どまたは全く有しない結合剤を含む。本発明の方法は、モレキュラーシーブ押出し成形物構造体を調製するのに特に適切であることが見出された。これは、以下に記載される両親媒性化合物、特に高シリカ/アルミナ比のナノ多孔質物質を用いて合成されたモレキュラーシーブ物質に基づく。特には、高表面積の中間細孔アルミノシリケートおよびシリケートである。これは、M41Sシリカ物質(例えばMCM−41およびMCM−48など)と呼ばれる。
【0021】
本発明の方法の重要な様態は、定義された平均粒径のケイ素樹脂の使用である。この形態のケイ素樹脂の使用は、微粒子無機物質が、高レベルの更なる有機または望ましくない無機結合剤物質を用いることなく、必要最小限量の有機押出し成形助剤を用いて、更に重要なことには添加有機溶剤を用いることなく、押出し成形されることを可能にする。これは、高強度の生押出し成形物が製造されることを可能にする。この提案はまた、モレキュラーシーブを含む構造体が製造されることを可能にする。これは、高含有量の活性触媒物質(90wt%以上)を有し、かつ焼成後に、高い圧縮強度を有する。定義された平均粒径のケイ素樹脂は、現場で、焼成時にシリカ結合剤へ転化される。得られる焼成構造体は、微粒子無機物質を、主に非酸性シリカ結合剤の存在下に含む。これは、多くの用途に対して、特に構造体が一種以上のモレキュラーシーブ物質を含む場合に非常に望ましい。
【0022】
ケイ素樹脂は、エマルジョンまたは溶液とは対照的に微粒子形態で、もしくはフレーク形態で用いられる。微粒子ケイ素樹脂は、平均粒径700μm以下、好ましくは600μm以下を有する。好ましい実施形態においては、微粒子ケイ素樹脂の平均粒径は、0.01〜700μm、好ましくは0.02〜600μmの範囲内である。最も好ましくは0.1〜450μmの範囲内である。理想的には、最小粒径は、少なくとも2、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10μm、最も好ましくは少なくとも25μmであろう。好ましい微粒子ケイ素樹脂は、室温、周囲温度、または構造体を調製するのに用いられる成形温度未満(例えば、押出し成形または圧縮成形温度未満)で固体のままであるものである。好ましくはまた、成形(例えば押出し成形または圧縮成形)の選択された圧力および温度下で、それらが溶融または流動するか、もしくは合体可能である軟化点を有するケイ素樹脂である。理想的には、かつ好ましくは、ケイ素樹脂は、押出し成形または圧縮成形後の冷却時に、再凝固する。
【0023】
ケイ素樹脂は、単一のケイ素樹脂であるか、または上記の基準を満たすケイ素樹脂の組合せであることができる。ケイ素樹脂は、ポリシロキサンであり、繰返しケイ素−酸素主鎖、およびケイ素−炭素結合のケイ素原子部分に結びついた有機基を含む。ケイ素樹脂の分子構造には、線状、分枝、および/または架橋の構造が含まれてもよい。シランモノマーは、シリコーンの前駆体であり、ケイ素樹脂の命名法は、文字M、D、T、およびQを使用して、単官能、二官能、三官能、および四官能のモノマー単位を表す。プライム符号(例えばD’)は、メチル以外の置換基を示すのに用いられる。珪素樹脂に対する式およびその対応記号の例を、表1に提供する。
【0024】
【表1】

【0025】
特に好ましいケイ素樹脂は、アルキルおよび/またはアリール、および/またはグリコール基を有するポリシロキサンである。アルキル基には、好ましくは炭素1〜12個が含まれ、最も好ましくは炭素6〜10個が含まれる。好ましい樹脂は、反応性シラノール基を含む架橋性ケイ素樹脂である。適切なケイ素樹脂の例は、メチル水素ポリシロキサンおよびフェニルメチルポリシロキサンから生じるものである。
【0026】
好ましいケイ素樹脂は、ケイ素酸化物含有量少なくとも50wt%、および架橋度1.5以下、好ましくは1.3以下、最も好ましくは1.2以下を有する。好ましいケイ素樹脂は、室温での粘度少なくとも20センチポイズ(固形分60%/トルエン)、より好ましくは少なくとも30センチポイズ、最も好ましくは少なくとも50センチポイズを有する。好ましいケイ素樹脂は、1000〜10000、好ましくは2000〜7000、最も好ましくは2000〜4000の範囲内の重量平均分子量を有する。好ましいケイ素樹脂は、シラノール含有量少なくとも3wt%を有する。最も好ましくは、少なくとも5wt%である。特に好ましくは、その高い反応性から、ダウコーニング[Dow Corning]によって製造されるQ6−2230ケイ素樹脂などのケイ素樹脂である。これは、しばしば、ダウコーニング[Dow Corning](登録商標)233フレーク樹脂と呼ばれる。
【0027】
適切なケイ素樹脂の更なる詳細については、非特許文献1が参照されるべきである。その開示は、その全てが本明細書に引用して含まれる。他の適切なケイ素樹脂は、特許文献4に記載され、その開示は、その全てが本明細書に引用して含まれる。
【0028】
好ましいケイ素樹脂は、典型的には、フレークとして製造される。これら、および他の不適切な形態のケイ素樹脂は、ミリング、および他の類似の方法(ハンマーミリングおよび/またはジェット粉砕など)によって所望の平均粒径に加工されてもよい。別の方法の一例は、樹脂を溶融し、引き続いて溶融樹脂を噴霧して、必要とされる粒径の液滴を形成することである。この方法を用いて、樹脂は、構造体を成形する前に、微粒子形態で、混合装置中に直接導入されてもよい。
【0029】
微粒子ケイ素樹脂は、微粒子無機物質と乾燥混合されてもよい。押出し成形および焼成の前に、ケイ素樹脂および微粒子無機物質の混合物は、微粒子無機物質の固形分を基準として40〜99.5wt%、および固形分を基準としてケイ素樹脂60〜0.5wt%、好ましくは微粒子無機物質90〜99.5wt%、およびケイ素樹脂0.5〜10wt%を含む。水は、微粒子無機物質およびケイ素樹脂の固体混合物を、押出し成形可能にするのに十分な量で添加される。押出し成形可能な混合物を形成するのに必要な水の量は、典型的には、押出し成形可能な混合物を基準として75〜20wt%である。微粒子無機物質およびケイ素樹脂は、好ましくは、押出し成形混合物へ、押出し成形および焼成後に、押出し成形物が微粒子無機物質50〜99.5重量部(wt%)、およびシリカ0.5〜50重量部(wt%)を含む量で添加される。好ましくは、押出し成形物は、微粒子無機物質75〜95重量部(wt%)、およびシリカ5〜25重量部(wt%)を含む。より好ましくは、押出し成形物は、微粒子無機物質80〜95重量部(wt%)、およびシリカ5〜25重量部(wt%)を含み、最も好ましくは、押出し成形物は、微粒子無機物質90〜95重量部(wt%)、およびシリカ5〜10重量部(wt%)を含む。
【0030】
幅広い種類の微粒子無機物質、および微粒子無機物質の混合物が存在する。これは、本発明の方法および構造体で用いられてもよい。微粒子無機物質は、非晶質または結晶質であってもよい。これらの非晶質および結晶質の微粒子物質の例には、炭素、コージェライト、ムライト、クレー、タルク、ジルコン、ジルコニア、スピネル、アルミナ、およびそれらの前駆体、シリカ、シリケート、アルミネート、リチウムアルミノシリケート、アルミナシリカ、長石、チタニア、フューズドシリカ、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、ホウ化物、金属酸化物、並びにモレキュラーシーブ、またはこれらの混合物が含まれる。モレキュラーシーブ物質は、ゼオライト性または中間細孔性であってもよい。金属酸化物は、特許文献5(その全てが本明細書に引用して含まれる)に開示されるものなどのバルク金属酸化物であってもよい。炭素−タイプ担体は、商業的に、幅広い種類の表面積および灰分含有量で入手可能である。
【0031】
この明細書においては、用語「モレキュラーシーブ」は、分子を吸着するのに適切な細孔サイズを有する結晶質の物質または構造体を云う。用語は、一般に、選択的吸着特性を示す物質の種類を記載するのに用いられる。モレキュラーシーブは、典型的には、分子のサイズおよび形状の相違に基づいて、混合物の成分を分離する。幅広い範囲のこれら物質が、技術的に入手可能である。次の節に記載される全てのモレキュラーシーブは、本発明のモレキュラーシーブ成分として用いられてもよい。これらの物質には、シリケート、メタロシリケート、メタロアルミネート、AlPO、シリコ−およびメタロアルミノホスフェート、ゼオライト、並びにM41SおよびMCM−41などの中間細孔シリカ、並びに非特許文献2に記載される他の物質が含まれる。その開示は、その全てが本明細書に引用して含まれる。次は、本発明の微粒子無機物質として用いられてもよいモレキュラーシーブ物質のいくつかについて、非網羅的な一覧である。即ち、ハイパーY、USYゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトタイプL、マッズアイト、EMC−2、MAPO−36、AlPO4−5、AlPO4−8、VPI−5、ゼオライトA(特許文献6)、ゼオライトX(特許文献7)、ゼオライトY(特許文献8)、ゼオライトZK−5(特許文献9)、ゼオライトZK−4(特許文献10)、ZSM−5(特許文献11)、(特許文献12)、および(特許文献13)、ZSM−11(特許文献14)、ZSM−12(特許文献15)、ZSM−12およびZSM−38(特許文献16)、ゼオライトZSM−20(特許文献17)、ZSM−35(特許文献18)、ZSM−22(特許文献19)、ゼオライトZSM−23(特許文献20)、ZSM−34(特許文献21)、ZSM−35(特許文献18)、ZSM−48(特許文献22)、ZSM−58(特許文献23)、ゼオライトベータ(特許文献24)、MCM−1(特許文献25)、MCM−2(特許文献26)、MCM−3(特許文献27)、MCM−4(特許文献28)、MCM−5(特許文献29)、MCM−9(特許文献30)、MCM−10(特許文献31)、MCM−14(特許文献32)、MCM−22(特許文献33)、MCM−41(特許文献34)、M−41S(特許文献35)、MCM−48(特許文献36))、MCM−49(特許文献37)、MCM−56(特許文献38)、AlPO−11(特許文献39)、チタンアルミノシリケート(TASO)、TASO−45(特許文献40)、ボロンシリケート(特許文献41)、チタンアルミノホスフェート(TAPO)(特許文献42)、ZSM−5およびZSM−11の混合物(特許文献43)、ECR−18(特許文献44)、およびSAPO−11(特許文献45)である。
【0032】
天然および合成の両ゼオライトは、従来、種々のタイプの炭化水素転化のための触媒特性を有すると示されてきた。あるゼオライト物質は、明確な結晶質構造を有する規則正しい多孔質結晶アルミノシリケートである(X線回折により決定される)。その中には、多数のより小さい空隙が存在する。これは、いくつかの更により小さな通路または細孔によって相互結合されていてもよい。これらの空隙および細孔は、特定のゼオライト物質の内部では、サイズが均一である。これらの細孔の寸法は、ある寸法の吸着分子を受け入れ、一方より大きい寸法のものを排除するものであることから、これらの物質は、「モレキュラーシーブ」として知られ、これらの特性を利用するのに種々の方法で用いられる。ゼオライトは、本発明でモレキュラーシーブとして用いられる場合には、それらは、テンプレートなしの状態で用いられることが好ましい。
【0033】
これらのモレキュラーシーブ(天然および合成の両方)には、幅広い種類の陽イオン含有結晶質シリケートが含まれる。これらのシリケートは、硬い三次元骨格のSiO、および周期律表第IIIA族元素の酸化物(例えばAlO)として記載されることができる。その際、四面体は、酸素原子を共有することによって架橋され、それにより第IIIA族元素(例えば、アルミニウム)および第IVA族元素(例えばケイ素)の全原子/酸素原子の比率は、1:2である。元素周期律表は、非特許文献3に示されるものである。第IIIA族元素(例えばアルミニウム)を含む四面体の電子価は、カチオン(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオン)の結晶内に包含することによって均衡される。これは、第IIIA族元素(例えばアルミニウム)/種々のカチオン数(Ca+2、Sr+2、Na、K、またはLiなど)の比率が、1に等しい際に表されることができる。カチオンの一タイプは、全体または一部のいずれかが、イオン交換技術を従来の方法で用いて他のタイプのカチオンと交換されてもよい。これらのカチオン交換により、カチオンを適切に選択することによって、所定のシリケートの特性を変化することが可能であった。四面体の間の空間は、脱水前に、水の分子によって占められる。
【0034】
所定のゼオライトのSiO/Al比は、しばしば変動する。例えば、ゼオライトXは、SiO/Al比2〜3で合成され、ゼオライトYは、3〜6で合成されることができる。いくつかのゼオライトにおいては、SiO/Al比の上限は、縛りがない。ZSM−5は、これらの一例であり、SiO/Al比は、少なくとも5であり、現在の分析測定技術の限界未満である。特許文献46は、処方内に故意に添加されるアルミナを全く含まず、かつZSM−5のX線回折パターン特性を示す反応混合物から作製される多孔質結晶質シリケートを開示する。特許文献47、特許文献48および特許文献49は、アルミナおよび金属の含有量の異なる結晶質シリケートを記載する。
【0035】
本発明で用いられてもよい更なる種類のモレキュラーシーブは、メタロアルミノホスフェートモレキュラーシーブである。これらは、多数の公報に詳細に記載されている。これには、例えば、特許文献50(MeAPO、ここでMeはMg、Mn、Zn、またはCoである)、特許文献45(SAPO)、特許文献51(ELAPSO、ここでELはAs、Be、B、Cr、Co、Ga、Ge、Fe、Li、Mg、Mn、Ti、またはZnである)、特許文献52(FeAPO)、特許文献53、特許文献54、特許文献55(FeAPSO)、特許文献56、および特許文献57(ZnAPSO)、特許文献58(CoAPSO)、特許文献59(ELAPO、ここでELはCo、Fe、Mg、Mn、Ti、またはZnである)、特許文献39(AlPO)、特許文献60(SENAPSO)、特許文献61(LiAPSO)、特許文献62(LiAPO)、特許文献63(GeAPSO)、特許文献64(GeAPO)、特許文献65(BAPSO)、特許文献66(CrAPSO)、特許文献67および特許文献68(CrAPO)、特許文献69、特許文献70、特許文献71、および特許文献72(MgAPSO)、特許文献52(FeAPO)、特許文献73(AsAPSO)、特許文献74(AsAPO)、特許文献75、特許文献76、および特許文献77(MnAPSO)、特許文献78および特許文献79(MnAPO)、特許文献80(BeAPSO)、特許文献81(BeAPO)、特許文献82、特許文献83、および特許文献84(TiAPSO)、特許文献42、特許文献85、および特許文献86(TiAPO)、特許文献87、特許文献88(CoAPSO)、特許文献89(GaAPSO)、特許文献90(QAPSO、ここでQは骨格酸化物単位[QO]である)、同様に特許文献50、特許文献91、特許文献92、特許文献93、特許文献94、特許文献95、特許文献96、特許文献97、特許文献98、特許文献99、特許文献100、特許文献101、特許文献102、および特許文献103が含まれる。これらは全て、本明細書に引用して完全に含まれる。
【0036】
他のメタロアルミノホスフェートモレキュラーシーブには、特許文献104(微細孔結晶質メタロホスフェート、SAPO(UIO−6))、特許文献105(モレキュラーシーブおよびアルカリ土類金属)、2000年2月24日に出願された特許文献106(統合された炭化水素共触媒)、2001年9月7日に公開された特許文献107(トリウム含有モレキュラーシーブ)、および非特許文献4に記載のものが含まれる。これらは全て、本明細書に引用して完全に含まれる。
【0037】
示される際には、金属は、元素周期律表の第IA族アルカリ金属、元素周期律表の第IIA族アルカリ土類金属、第IIIB族希土類金属(これには、元素周期律表のランタニド、即ちランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウム;並びにスカンジウムまたはイットリウムが含まれる)、元素周期律表の第IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、およびIB族の遷移金属、またはこれらの金属種のいかなるものの混合物でもあってもよい。好ましい一実施形態においては、金属は、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、Mg、Mn、Ni、Sn、Ti、Zn、およびZr、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
メタロアルミノホスフェートモレキュラーシーブは、無水物ベースで、実験式、
mR:(MAl)O
によって表されてもよい。式中、Rは、少なくとも一種のテンプレート剤、好ましくは有機テンプレート剤を表し、mは、Rのモル数/(MAl)Oの1モルであり、mは0〜1、好ましくは0〜0.5、最も好ましくは0〜0.3の値を有し、x、y、およびzは、四面体酸化物としてのAl、P、およびMのモル分率を表す。その際、Mは、非特許文献5の第IA族、第IIA族、第IB族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、第VIII族、およびランタニドの一種から選択される金属であり、好ましくはMは、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、Mg、Mn、Ni、Sn、Ti、Zn、およびZrからなる群の一種から選択される。実施形態においては、mは、0.2以上であり、x、y、およびzは、0.01以上である。他の実施形態においては、mは0.1超〜1であり、xは0超〜0.25であり、yは0.4〜0.5の範囲にあり、zは0.25〜0.5の範囲にある。より好ましくは、mは0.15〜0.7であり、xは0.01〜0.2であり、yは0.4〜0.5であり、zは0.3〜0.5である。
【0039】
本発明のSAPOおよびALPOモレキュラーシーブの限定しない例には、SAPO−5、SAPO−8、SAPO−11、SAPO−16、SAPO−17、SAPO−18、SAPO−20、SAPO−31、SAPO−34、SAPO−35、SAPO−36、SAPO−37、SAPO−40、SAPO−41、SAPO−42 SAPO−44(特許文献108)、SAPO−47、SAPO−56、ALPO−5、ALPO−11、ALPO−18、ALPO−31、ALPO−34、ALPO−36、ALPO−37、ALPO−46、およびそれらの金属含有モレキュラーシーブの一種または組合せが含まれる。より好ましいメタロアルミノホスフェ−トモレキュラーシーブには、SAPO−18、SAPO−34、SAPO−35、SAPO−44、SAPO−56、ALPO−18、およびALPO−34の一種または組合せ、更により好ましくはSAPO−18、SAPO−34、ALPO−34およびALPO−18、並びにそれらの金属含有モレキュラーシーブの一種または組合せ、最も好ましくはSAPO−34およびALPO−18、並びにそれらの金属含有モレキュラーシーブの一種または組合せが含まれる。
【0040】
天然の高度水和塩基性鉄オキシホスフェート(カコクセナイト)は、非特許文献6によって、非常に大きな通路(14.2オングストロームの計算自由細孔直径を有する)を含む骨格構造を有すると報告される。非特許文献7は、カコクセナイトが、非常に親水性である、即ち非極性炭化水素をかなりの困難によってのみ吸着すること示す研究を示す。その研究はまた、カコクセナイトの熱処理がX線ピーク強度の全般的な低下をもたらすことを示す。
【0041】
種々の構造体のシリコアルミノホスフェートは、特許文献45に教示される。リンを含むアルミノシリケート、即ち特定の構造体のシリコアルミノホスフェートは、特許文献109(即ちZK−21)および特許文献110(即ちZK−22)に教示される。シリコアルミノホスフェートおよびそれらの合成に関する他の教示には、特許文献26(二相合成方法)、特許文献31(MCM10)、特許文献25(MCM−1)、特許文献111(MCM−2)、特許文献112(MCM−4)、特許文献113(MCM−5)、および特許文献27(MCM−3)が含まれる。
【0042】
特許文献114、特許文献115、および特許文献116のリン置換ゼオライトは、「アルミノシリコホスフェート」ゼオライトと呼ばれる。そこにあるリンのいくつかは、吸蔵され、構造的なものでないようである。
【0043】
特許文献117は、シリカおよびアルミニウム−カルシウム−セリウムホスフェートの組合せを、酸化脱水素のための低酸性の活性触媒として記載する。特許文献118は、シリカおよびアルミニウム−カルシウム−タングステンホスフェートの組合せを、酸化脱水素のための低酸性の活性触媒として開示する。特許文献119は、アルミナ−アルミニウムホスフェート−シリカ母材を、分解触媒として用いるために、ゼオライトと混合される非晶質体として教示する。特許文献120は、リン酸で処理することによって、アルミノシリケート触媒の硬度を向上することを教示する。触媒は非晶質である。
【0044】
殆どのゼオライトの正確な結晶質微細構造は、それ自体を、十分に明確なX線回折パターンで表す。これは、通常、多くの鋭い最大値を含み、物質を独特に定義するのに資する。同様に、これらの物質中の細孔の寸法は、結晶の微細構造の正確な繰返しにより、非常に規則的である。現在まで発見された全てのゼオライトモレキュラーシーブは、微細孔範囲の細孔サイズを有する。これは、通常、2〜20オングストロームと云われ、報告された最大値は、12オングストロームである。
【0045】
本発明で用いるのに好ましい種類のゼオライトは、「高−シリカゼオライト」である。これは、SiO/Alモル比10以上を有するゼオライトを云い、いくつかの用途でに対しては、100以上の非常に高い比率を有する。いかなるシリカ/アルミナ比をも有するモレキュラーシーブ物質が、本発明で用いられてもよい。しかし、熱安定性のためには、高いか、または非常に高いシリカ/アルミナ比を用いることが好ましい。本発明で用いるのに好ましいSiO/Alモル比は、100超、好ましくは200超、最も好ましくは300超である。
【0046】
本発明で用いられてもよく、かつ非常に好ましい別の種類のモレキュラーシーブ物質は、両親媒性化合物を指向剤として用いて合成されてもよい物質である。これらの物質の例は、特許文献121に記載される。その全内容は、本明細書に引用して含まれる。両親媒性化合物の例はまた、非特許文献8に提供される。このタイプの他の適切なモレキュラーシーブ物質は、非特許文献9に記載される。これらの物質には、限定されることなく、SBA−2、SBA−15、およびSBA−16などのSBA(サンタバーバラ[Santa Barbara])と呼ばれる物質、FSM−16およびKSW−2などのFSM(折りたたみシートメカニズム[Folding Sheet Mechanism])と呼ばれる物質、MSU−SおよびMSU−XなどのMSU(ミシガン州[Michigan State])と呼ばれる物質、TMSまたは遷移金属シーブと呼ばれる物質、FMMSまたは官能化単層(中間細孔担体上)と呼ばれる物質、並びにAPMまたは酸調製された中間構造と呼ばれる物質が含まれる。この種類の特に好ましいモレキュラーシーブ物質は、M41Sと呼ばれるシリケートまたはアルミノシリケート中間細孔モレキュラーシーブである。MCM−1、MCM−2、MCM−3、MCM−4、MCM−5、MCM−9、MCM−10、MCM−14、MCM−22、MCM−41、MCM−48、MCM−49、およびMCM−56などである。これらのモレキュラーシーブは、特許文献35に詳細に記載され、その全内容は、本明細書に引用して含まれる。本発明で用いるためのこの種類の物質の特に適切な小分類は、MCM−41およびMCM−48として知られる中間細孔シリカである。MCM−41は、特に好ましく、均一なサイズの中間細孔の六角形配置を有する。MCM−41モレキュラーシーブ物質は、特許文献34に詳細に記載され、その全内容は、本明細書に引用して含まれる。MCM−41モレキュラーシーブは、一般に、アルミナが存在する場合に、SiO/Alモル比を有し、これらの物質のSiO/Alモル比は、100超、好ましくは200超、最も好ましくは300超であることが好ましい。特に好ましい実施形態においては、MCM−41モレキュラーシーブは、中間細孔シリカからなる。本発明で用いるための無機中間細孔モレキュラーシーブ物質は、好ましくは、次の組成
n/q(W
を有する。式中、Wは、二価の第一列遷移金属(例えばマンガン、コバルト、および鉄)などの二価元素および/またはマグネシウムなどの二値元素であり、好ましくはコバルトであり、Xは、三価元素(アルミニウム、ホウ素、鉄、および/またはガリウムなど)であり、好ましくはアルミニウムであり、Yは、四価元素(ケイ素および/またはゲルマニウムなど)であり、好ましくはケイ素であり、Zは五価元素(リンなど)であり、Mは、一種以上のイオン(例えばアンモニウム、第IA族、第IIA族、および第VIIA族イオンなど)であり、通常水素、ナトリウム、および/またはフッ化イオンであり、nは、酸化物として表されるMを除く組成物の電荷であり、qはMの加重モル1平均原子価であり、n/qはMのモル数またはモル分率であり、a、b、c、およびdは、それぞれ、W、X、Y、およびZのモル分率であり、hは、1〜2.5の数であり、(a+b+c+d)=1である。
【0047】
上記の結晶質物質の好ましい実施形態は、(a+b+c)がd超であり、h=2である場合である。更なる実施形態は、aおよびd=0であり、h=2である場合である。
【0048】
合成されたままの形態においては、本発明で用いるのに好ましい中間細孔モレキュラーシーブ物質は、無水物ベースで、次のように実験的に表される組成を有する。
rRMn/q(W
式中、Rは、イオンとしてMに含まれない全有機物質であり、rはRの係数、即ちRのモル数またはモル分率である。MおよびR成分は、結晶化の間に、その存在の結果として物質と結合され、容易に除去されるか、またはMの場合には、以下により詳しく記載される後結晶化方法によって置換される。
【0049】
所望の程度まで、もとのM(例えばアンモニウム、ナトリウム、または塩化物)(本発明の合成されたままの物質のイオン)は、周知の技術に従って、少なくとも一部が、他のイオンとのイオン交換によって置換されることができる。好ましい置換イオンには、金属イオン、水素イオン、水素前駆体(例えばアンモニウム)イオン、およびそれらの混合物が含まれる。特に好ましいイオンは、触媒活性を、特定の炭化水素転化反応に適合させるものである。これらには、水素、希土類金属、および元素周期律表(非特許文献3)の第IA族(例えばK)、第IIA族(例えばCa)、第VIIB族(例えばMn)、第VIII族(例えばNi)、第IB族(例えばCu)、第IIB族(例えばZn)、第IIIA族(例えばIn)、第IVA族(例えばSn)、および第VIIA族(例えばF)の金属、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0050】
用語「中間細孔」は、本明細書において、1.3nm〜35nmの範囲内の均一な細孔を有する結晶を示すのに用いられる。この発明で用いるのに好ましい中間細孔モレキュラーシーブは、1.3nm〜35nm、より通常には1.5nm〜20nm、好ましくは2nm〜10nmの範囲内の均一な細孔を有するであろう。
【0051】
モレキュラーシーブに加えて、また、他の無機物質を、バッチ組成物および得られる構造体の内に含むことが可能である。他の無機物質は、構造体中に存在する活性モレキュラーシーブ物質の量を効果的に希釈し、従ってそれを制御するのに用いられてもよい。これらの無機希釈剤は、不活性であるか、または触媒的に活性であってもよい。適切な無機希釈剤物質の例は、上記に同定される非モレキュラーシーブ微粒子無機物質である。特に、微粒子無機酸化物(アルミナまたはシリカなど)、またはこれらの物質の前駆体(Na−シリケートおよびAl−ナイトレートなど)などである。この使用方式においては、微粒子無機酸化物は、結合剤物質としては機能しないが、前記物質が依然としていくらかの結合機能を発揮するかもしれないものの、主としてバルク希釈剤として機能する。本発明の構造体においては、結合剤機能は、主に、微粒子ケイ素樹脂によって行われる。モレキュラーシーブを含む構造体の希釈剤として用いられる場合には、微粒子無機物質は、構造体中におけるモレキュラーシーブの必要な希釈を達成するために所望のレベルで存在してもよい。理想的には、希釈剤物質の量は、構造体中の希釈剤およびモレキュラーシーブ物質の総重量の10〜90wt%の範囲内にある。好ましくは、希釈剤は、構造体中のモレキュラーシーブとの総重量の10〜50wt%、より好ましくは20〜50wt%で存在する。無機物質はまた、または別に、構造体中へ、およびその内部で大量輸送するための助剤として機能してもよい。これは、特に、無機物質が大細孔および高レベルの多孔度を有する場合には、明らかであろう。
【0052】
構造体、特にモレキュラーシーブを含む構造体を製造するための一般的な方法は、当業者に周知である。これらの方法には、一般に、バッチ物質(その主な成分として、微粒子無機物質および結合剤を有する)を混合する工程、混合物の調合する工程、バッチを未処理体に形成または成形する工程、乾燥する工程、およびその後未処理体を焼成して、硬質の多孔質構造体を形成する工程が含まれる。通常、成形は、押出し成形、または圧力および/または熱の適用を必要とする他の方法(圧縮成形など)により行われる。本発明においては、押出し成形は、成形の好ましい方法である。また、潤滑剤、押出し成形助剤、可塑剤、および燃焼剤(例えばグラファイト)などの添加剤を、混合工程中にバッチに添加するのが通例である。これは、バッチの粘度など特性を制御するのに必要とされるかもしれない。結合剤は、無機、有機、またはその二つの組合せであってもよい。有機結合剤は、それらが焼成などの熱処理中に除去されることから、一時的な結合剤である。これらの一時的な有機結合剤は、有機結合剤を可塑化している。これはまた、押出し成形後、構造体押出し成形物の生強度を保持するのを補助してもよい。有機結合剤を用いる必要性が全くないことが、本発明の特徴である。これは、本発明の押出し成形生成物が有機結合剤を添加する必要性なしに十分な生強度を有することから、任意である。本発明で提供される未処理形態の構造体は、有機結合剤を含まず、かつ成形および焼成された構造体はまた、有機結合剤の残分を含まないことが好ましい。生物質に加えて、多孔度はまた、燃焼温度による。燃焼温度が高いほど、得られる燃焼構造体はより高密度である(多孔度はより少ない)。本発明の方法は、当業者に周知の従来の押出し成形手順および装置を用いてもよい。
【0053】
本発明の方法は、任意の押出し成形助剤を用いてもよい。任意の押出し成形助剤は、混合物の可塑性を高めるかもしれない。適切な押出し成形助剤のいくつかの例には、限定しない例として、ポリアクリロニトリル、セルロース、またはその誘導体、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ポリフルフリルアルコール、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、スチレン樹脂、もしくはポリカーボネートが含まれる。好ましくは、セルロースまたはその誘導体、ポリアクリロニトリル、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ポリフルフリルアルコール、およびポリイミドである。より好ましくは、水和メチルセルロースである。押出し成形助剤は、押出し成形物混合物の0.1〜15wt%の量、好ましくは混合物の0.1〜5wt%の量、より好ましくは0.1〜3wt%の量、最も好ましくは2wt%以下(より好ましくは1.5wt%以下)の量で添加されてもよい。好ましい押出し成形助剤は、ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの有用な例は、エアプロダクツ[Air Products](アレンタウン、ペンシルバニア州)から、名称エアボル[Airvol]、例えばエアボル[Airvol](登録商標)205(分子量31,000〜50,000)、およびエボル[Airvol](登録商標)350(分子量124,000〜186,000)で入手可能なものである。他の有用な水溶性結合剤には、ポリビニルピロリドンが含まれる。GAF(リンデン、ニュージャージー州)から、名称PVP K−30(分子量40,000)およびPVP K−60(分子量160,000)で入手可能なものなどである。好ましい実施形態においては、一種以上の押出し成形助剤が用いられる。
【0054】
本発明は、押出し成形のためのいかなる特定の組成物にも限定されないものの、いくつかの特に適切な混合物組成は、微粒子無機物質(例えばMCM−41)25〜99wt%およびケイ素樹脂1〜75wt%(好ましくは1〜35wt%)であり、押出し成形助剤は、微粒子無機物質およびケイ素樹脂を基準として1〜5wt%、好ましくは1〜2wt%、最も好ましくは1.5wt%以下添加される。好ましくは、組成物は、最終焼成構造体を得るのに十分な微粒子無機物質を含む。これは、微粒子無機物質40〜99.5重量部(wt%)およびシリカ0.5〜60重量部(wt%)、好ましくは微粒子無機物質70〜99.5重量部(wt%)およびシリカ0.5〜30重量部(wt%)の組成を有する。より好ましくは、押出し成形物は、微粒子無機物質80〜99.5重量部(wt%)およびシリカ0.5〜20重量部(wt%)を含む。より好ましくは、微粒子無機物質90〜99.5重量部(wt%)およびシリカ0.5〜10重量部(wt%)である。
【0055】
本発明の方法においては、均質な成形可能な組成物混合物は、微粒子無機物質、ケイ素樹脂、任意の押出し成形助剤、および水から作製される。混合物成分は、有機溶剤の添加なしに、均質な、または実質的に均質な混合物を形成するように組合わされる。標準的には、乾燥成分は、最初に、好ましくは強力なミキサー中で乾燥調合され、次いで水と、押出し成形可能な混合物を形成可能な量で混合される。典型的には、水は、固形分少なくとも20wt%、より好ましくは固形分少なくとも30wt%、最も好ましくは固形分少なくとも40wt%である混合物を形成するように添加される。典型的には、固形分20〜70wt%、最も好ましくは固形分30〜70wt%の範囲内である。従来の混合装置(例えば混合−混和ミキサーまたは高剪断ミキサー)が用いられてもよい。更なる混合を行うために、バッチは、先ず、「ヌードリング」ダイを通して、一回以上押出し成形されることができる。用いられる組成物の正確な固形分含有量は、ある程度、成形のための組成物を調製する際に用いられる特定の物質の特性によるであろう。指示固形分含有量が、用いられる物質の特性の変化に適応し、一方同時に組成物(本発明の方法により形成されてもよい)を保持するように、調整が為されてもよい。
【0056】
調製された組成物混合物は、次いで、所望の形状に成形される。これは、適切な装置を用いて、組成物混合物へ圧力および/または熱を適用することによって達成されてもよい。適切な方法には、押出し成形および圧縮成形が含まれる。圧縮成形方法は、しばしば、構造体を錠剤形態で製造するのに用いられる。好ましい成形方法は、押出し成形、好ましくはラムにおけるダイ、一軸スクリュー、または二軸スクリュー押出し成形機による。これらの押出し成形技術は周知である。二軸スクリュー押出し成形機が用いられる場合には、ヌードリングダイを通して押出し成形することによるバッチの予混合は、省略されてもよい。温度および圧力について、押出し成形機の運転条件は、押出し成形中に、微粒子ケイ素樹脂が軟化し、かつ展性になることを確実にするように制御される。標準的には、押出し成形の実行は、圧力下であるが、これは、微粒子ケイ素樹脂を軟化させ、かつ展性にするのに必要な温度を得るのに十分な熱(組成物混合物に生成される)をもたらすであろう。適用される圧力が、押出し成形中の組成物混合物中に必要な温度を生成するのに不十分である場合には、その際には、更なる熱が、押出し成形円筒部および/または押出し成形ダイに加えられてもよい。温度が非常に高い場合には、その際には、押出し成形圧力が低減されてもよいか、または冷却が、押出し成形円筒部および/またはダイに加えられてもよいかのいずれか、もしくは低減圧力および冷却の両方が用いられてもよい。
【0057】
形成された構造体は、構造体の所望の最終用途(例えば触媒など)、触媒金属などの触媒の担持、または吸着用途に適切ないかなる形状をとってもよい。形状は、用途による。いくつかの典型的な形状は、例えばペレット、チューブ、またはハニカム等であることができる。構造体が押出し成形物である場合には、それは、好ましくは、触媒を製造する際に、標準的に用いられるサイズのペレットの形態にある。これらは、典型的には、直径少なくとも1/32インチ(0.79375mm)である円筒状押出し成形物であり、直径1/16または1/8インチ(1.5875〜3.175mm)であってもよい。この発明の方法は、特に、ペレットまたは円板の形状の構造体の調製に非常に適している。
【0058】
成形(例えば押出し成形による)後に、得られる成形未処理体は、乾燥されて、組成物混合物を形成する際に用いられる水を除去する。これは、スチームまたは制御された湿度乾燥の使用、電気加熱オーブンでの乾燥、もしくはこれらの技術の組合せによって達成されてもよい。理想的には、それらは、12時間以上の間乾燥される。乾燥工程は、好ましくは、構造体を、50℃〜100℃の範囲の温度で、オーブン中に置くことによって達成される。最も好ましくは90℃〜100℃の範囲の温度である。好ましい実施形態においては、乾燥工程は、未処理状態の構造体を、電気加熱オーブン中で、割れのない自立する構造体を形成するのに十分な時間置くことによって達成される。好ましくは、未処理状態の構造体は、電気加熱オーブン中で、60分以下の間乾燥される。
【0059】
乾燥に引続いて、乾燥された構造体は、焼成されてもよく、好ましくは焼成される。本発明の方法のこの段階を通して、ケイ素樹脂は、シリカに転化される。これは、焼成構造体中の微粒子無機物質に対する無機結合剤として機能する。例えば、押出し成形物は、酸素含有雰囲気(好ましくは空気)中で、温度300℃超まで速度0.2℃〜5℃/分で、しかしモレキュラーシーブの結晶性が悪影響を及ぼされる温度未満で焼成されてもよい。一般に、これらの温度は、400℃〜1000℃の範囲、好ましくは600℃未満であろう。好ましくは、焼成の温度は、350℃〜550℃の凡その範囲内にある。生成物は、焼成温度で、通常1〜24時間保持される。本発明の方法に好ましい焼成形態は、次の通りである。乾燥後、乾燥構造体は、二段焼成手順で焼成されてもよい。この二段手順においては、乾燥された構造体は、最初に、400℃〜1000℃、好ましくは400〜600℃、最も好ましくは450℃〜550℃の範囲の温度で、不活性雰囲気(好ましくは窒素流である)中で焼成される。好ましい流速は、1〜10v/v/時、好ましくは2〜8v/v/時の範囲内にあり、最も好ましくは流速5v/v/時である。第一段は、1〜24時間、好ましくは1〜10時間の間行われる、最も好ましくは2時間である。この第一段は、次いで、酸化雰囲気の第二の焼成段に引続けられる。好ましくは、酸化雰囲気は、空気100%である。第二段は、1〜24時間、好ましくは1〜12時間、最も好ましくは6〜13時間の間行われる。酸化ガスの流速は、1〜10v/v/時、好ましくは2〜8v/v/時の範囲内にあり、最も好ましくは流速5v/v/時である。第二段の温度は、400℃〜1000℃、好ましくは400℃〜600℃、最も好ましくは450℃〜550℃の範囲内にある。第一段から第二段への切換えは、徐々であり、典型的には1〜10時間、より好ましくは1〜5時間、最も好ましくは2〜4時間の間に亘って行われる。
【0060】
本発明の構造体の一利点は、良好な多孔度および強度が得られ、一方毒性および引火性溶剤の使用をこれらの系から排除することである。用途によって、本発明の構造体は、全多孔度20〜75vol%、好ましくは20〜60vol%を示してもよい。モレキュラーシーブは、一般に、燃焼中に、その高い表面積を保持すると知られる。高い多孔度はまた、モレキュラーシーブが焼成工程中に過度の収縮を一般に経ないことから、達成される。結果として、特に、モレキュラーシーブが微粒子無機物質である場合には、本発明の構造体は、多くの触媒および触媒担体用途の表面積必要条件の範囲内で、良好に用いられる。一般に、これらの用途は、実質的な全表面積少なくとも20m/g、好ましくは100m/g超、最も好ましくは150超〜200m/gを必要とする。200m/gを超える全表面積は、本発明の構造体において、一つには最小の燃焼収縮により、容易に得られる。
【0061】
多孔度および表面積に加えて、触媒およびフィルターの用途は、適切な圧縮強度を必要とする。本発明の方法は、焼成構造体、特にモレキュラーシーブを含むものを提供する。これは、有機溶剤を用いて製造される類似のモレキュラーシーブ体に匹敵する圧縮強度を有する。MCM−41(押出し成形物)の場合には、圧縮強度は、有機の溶剤ベース処方を用いて今まで経験されたたものよりかなり高い。圧縮強度を決定する方法は、周知である。典型的には、押出し成形され、かつ焼成された物質の単一ペレットは、ホルダーに装填され、力が、装填された台座を通して、押出し成形物の軸に垂直に加えられる。ペレットの破砕点における力は、圧縮強度として測定される。これは、通常、25未満のペレットに対して繰返され、平均の読みが、圧縮強度として採用される。
【0062】
本発明の構造体、特にモレキュラーシーブを含む構造体は、触媒および/または触媒担体としての用途を見出し、炭化水素および非炭化水素の処理のための次の方法のいかなるものでも用いられてもよい。
【0063】
本発明の構造体は、有機化合物(たとえば含酸素化合物および炭化水素)の転化に、酸触媒反応によって触媒作用を及ぼす触媒成分として有用である。細孔サイズはまた、遷移状態種に関して空間的に特定の選択性が、分解などの反応において最小にされるものである(非特許文献10、形状選択性に影響を及ぼす要因の議論が引用される)。拡散限界はまた、本物質の非常に大きな細孔の結果として最小にされる。これらの理由から、モレキュラーシーブを含む本発明の構造体は、特に、触媒反応に有用である。これは、触媒表面上に酸性点の存在をもたらし、かつ反応体、生成物、または遷移状態種を含む。これは、大きな分子サイズを有し、従来の大細孔サイズの固体触媒(例えばゼオライトX、Y、L、ZSM−4、ZSM−18、およびZSM−20などの大細孔サイズのゼオライト)と類似の反応を起こすには非常に大きい。
【0064】
従って、本発明の構造体、特にモレキュラーシーブを含むものは、触媒として用いられて、変動する分子サイズの炭化水素原料を用いる分解および水素化分解などの反応、並びに他の転化反応に触媒作用を及ぼしてもよい。しかし、特に、大分子サイズを有する原料に対する特定の適用である。置換または非置換の多環芳香族成分を有する高度芳香族炭化水素、嵩高なナフテン化合物、もしくは嵩高な立体形状(例えば分子サイズ13オングストローム以上)を有する高度置換化合物などである。本発明の構造体は、特に、原料の分子量がより低い値に低減される反応、即ち分解または水素化分解などの分解を含む反応に有用である。分解は、温度200℃〜800℃、圧力 大気圧〜100psig(791kPa)、および接触時間0.1秒〜60分で行われてもよい。水素化分解は、温度150℃〜550℃、圧力100psig〜3000psig(791〜20786kPa)、および重量空間速度0.1時−1〜100時−1で、水素/炭化水素モル比0.1〜100を用いて行われてもよい。本構造体が用いられてもよい他の水素転化には、水素添加、水素化、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属、水素化脱芳香族、水素異性化、水素仕上げ、および水素化脱ロウが含まれる。上に列記される水素転化反応に対する反応条件および触媒は、技術的に知られ、標準的な引用文献に記載される。非特許文献11などである。一般に、触媒として用いられる構造体は、好ましくは第IVB、VIB、VIII族、またはそれらの混合物からの少なくとも一種の金属を充填されてもよい。選択される金属は、所望の特定の水素化転化反応によるであろう。水素転化反応条件は、より穏やか(例えば水素仕上げ)〜より過酷(例えば水素化)の範囲であってよく、一般に温度150〜500℃、圧力50〜3000psig(446〜20786kPa)、液空間速度0.1〜20、および水素処理ガス速度100〜10000scf/B(17.8〜1780m/m)を含む。
【0065】
本発明の構造体はまた、無機化合物の選択的転化に用いられてもよい。窒素酸化物(NOx)を含むガス、例えば工業排気ガス、炭化水素処理、特に接触分解運転で用いられる触媒の酸化再生中に形成されるガス混合物中の窒素酸化物などである。
【0066】
本発明の構造体に存在する場合には、多孔質結晶質モレキュラーシーブは、好ましくは、少なくとも一部が水素型である。しかし、それは、好都合に、少量の金属(特に貴金属)を触媒成分として含んでもよい。特に、周期律表の第VIIIA族第5および第6周期の金属であり、特には白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、またはそれらの混合物である。貴金属量1wt%未満は、より低い量の典型である。例えば、0.1または0.5wt%未満が好ましい。他の好ましい金属は、第IVB族〜第VIB族および第VIII族の非貴金属である。これには、Ti、Cr、Mo、W、Fe、Co、およびNiなどの金属が含まれる。
【0067】
NOの低減は、適切に、窒素酸化物を含むガスを、高温で構造体の上および/またはそれを通して送ることによって行われる。典型的には、少なくとも200℃、通常200℃〜600℃の範囲内である。ガス混合物は、アンモニアと混合されて、窒素酸化物の低減を促進してもよい。予混合が、温度200℃未満で行われてもよい。
【0068】
本発明の構造体、特にモレキュラーシーブを含むものは、安定であると見出されていることから、分解触媒としての、特に残油原料の流動接触分解プロセスにおけるそれらの使用は、特に好ましい利用方式を表すであろう。更に更には、それらは、一種以上の他の触媒成分との組み合わせで用いられてもよい。例えば、シリカーアルミナおよび/またはゼオライトY(例えばUSY)を含む分解触媒などである。
【0069】
本発明の構造体、およびモレキュラーシーブを含むものは、特に、高分子量の高沸点または非留出原料(特に残油原料)を用いる反応に有用である。即ち、特に非留出性の原料、または初留点(5%点)1050゜F超を有する原料である。本モレキュラーシーブ構造体と共に用いられてもよい残油原料には、API比重20未満(通常15未満、典型的には5〜10)、およびコンラドソン残留炭素含有量(CCR)少なくとも1wt%(より好ましくは少なくとも5%以上、例えば5〜10%)を有する原料が含まれる。いくつかの残油留分においては、CCRは20wt%の高さであるか、またはそれより高くさえある。これらの原料の芳香族含有量は、対応して高いであろう。硫黄および窒素などのヘテロ原子、同様に金属の含有量も同様である。これらの原料の芳香族含有量は、通常、少なくとも50wt%、典型的にはずっとより高い。通常、少なくとも70または80wt%であり、残りは、主としてナフテンおよびヘテロ環である。このタイプの典型的な石油精製原料には、常圧および減圧塔残油、アスファルト、溶剤抽出プロセス(例えば、フェノールまたはフルフラール抽出)からの芳香族エキストラクト、脱瀝油、スロップ油、並びに潤滑油製造、コーキングなどの種々のプロセスからの残油留分が含まれる。本モレキュラーシーブ構造体が用いられてもよい高沸点留分には、ガス油が含まれる。常圧ガス油、減圧ガス油、サイクル油(特に重質サイクル油)、脱瀝油、ブライトストックなどの溶剤エキストラクト、コーカー重質ガス油などの重質ガス油などである。石油原料の他のタイプには、ナフサなどのより軽質の原料が含まれる。これには、石油ナフサ、スチーム分解ナフサ、FCCナフサ、コーカーナフサ、およびそれらの混合物、並びに他の軽質留分(ディーゼル、ジェット、重油など)が含まれる。本発明の構造体はまた、非石油起源の原料と共に用いられてもよい。例えば、石炭液化によって製造される合成油、フィッシャー−トロプシュワックスおよび重質留分、並びに他の類似物質である。
【0070】
本発明の構造体、特にモレキュラーシーブを含むものはまた、医薬、生物学、および精密化学の用途で吸着剤および分離媒体として用いられてもよい。例えば、超大細孔モレキュラーシーブ物質を含む構造体は、インシュリンなどの医薬品の精製で用いられるか、または医薬品を制御して送達するための固体媒体として用いられてもよい。これらの構造体を用いるための他の用途には、特異な細孔容積が活用される廃棄物処理が含まれる。従って、少なくとも一種の成分は、一部が、または実質的に全てが、超大細孔モレキュラーシーブを含む本発明の構造体に関して異なる収着特性を有する成分の混合物から分離されることができる。これは、混合物を構造体と接触させて、一種の成分を選択的に吸着または吸収することによる。この例には、水および少なくとも一種の炭化水素成分を含む混合物を接触し、それにより少なくとも一種の炭化水素成分が選択的に収着されることが含まれる。他の例には、少なくとも一種の炭化水素成分を、同成分および少なくとも一種の更なる炭化水素成分を含む混合物から選択的に収着することが含まれる。本発明の構造体はまた、酵素などの生物化学物質を固定化するためのホスト母材として用いられてもよい。
【0071】
前述のものは、本発明の例証の実施形態を表し、本発明の全ての態様を包含するものではないことは、理解されるべきである。上記の実施形態に加えて、当業者には、多数の修正および変更が、本発明の意図される精神および範囲から逸脱することなく、例証の実施形態に対して為されることができることは明らかであろう。
【0072】
本発明をより十分に説明するために、次の限定しない実施例を示す。全ての部、部分、および百分率は、特段に示されない限り、重量基準である。
【実施例】
【0073】
実施例1(比較例)
USYゼオライト(Si/Al比およそ400)80wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーに入れた。ダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(SiO当量20wt%)を、二塩基エステル(DBE)中に溶解し、固形分最終50wt%までエイリック[Eirich]ミキサーへ添加した。DBEは、三種のエステル(ジイソブチルグルタレート/アジペート/スクシネート)の混合物であり、デュポン社[DuPont Co]から入手可能である。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて、7.9アンペアで行った。ダイを出る押出し成形物を、周囲温度であり、半透明であり、容易に変形可能であった。押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥した。
【0074】
乾燥後、乾燥押出し成形物を、二段手順で焼成した。先ず、押出し成形物を、温度900゜F(482℃)で、窒素流の不活性雰囲気中流速5v/v/時で2時間焼成した。この段に、第二の焼成段を、100%空気の酸化雰囲気中流速5v/v/時で、温度1000゜F(538℃)で6〜13時間続けた。第一段から第二段への切換えは、徐々であり、典型的には2〜4時間に亘って行われる。焼成後の圧縮強度は、98ポンド/平方インチ(6890g/cm)と測定された。
【0075】
実施例2
混合物を、押出し成形のために、USYゼオライト(Si/Al比およそ400)90wt%、およびダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(<30USメッシュへ粉砕されている)のSiO当量10wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーで5分間混合することによって調製した。水を、加えて、混合物中の固形分を、49wt%へ調整し、ポリビニルアルコール(PVA)1.5wt%を、押出し成形助剤として添加した。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて、9.5アンペアで行った。押出し成形を通じて、スチームが放出され、ダイの外側表面上には、顕著な凝縮があった。
【0076】
押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて焼成した。焼成後の圧縮強度は、85ポンド/平方インチ(5976g/cm)と測定された。この実施例は、有機の溶剤なし系が、高シリカゼオライトの焼成押出し成形物を提供することを示す。これは、強度が、実施例1(比較例)によって例証される溶剤ベースの系に匹敵する。
【0077】
実施例3
混合物を、押出し成形のために、USYゼオライト(Si/Al比およそ400)90wt%、およびダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(<30USメッシュへ粉砕されている)のSiO当量10wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーで5分間混合することによって調製した。水を、加えて、混合物中の固形分を、54wt%へ調整し、PVA押出し成形助剤を、添加しなかった。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて、12.5アンペアで行った。押出し成形を通じて、多量のスチームが放出され、ダイの外側表面上には、顕著な凝縮があった。最終の押出し成形温度は、およそ80℃であった。
【0078】
押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて焼成した。焼成後の圧縮強度は、81ポンド/平方インチ(5695g/cm)と測定された。
【0079】
実施例4(比較例)
界面活性剤含有MCM−41 90wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーに入れた。ダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(SiO当量10wt%)を、二塩基エステル(DBE)中に溶解し、固形分最終36wt%までエイリック[Eirich]ミキサーへ添加した。DBEは、三種のエステル(ジイソブチルグルタレート/アジペート/スクシネート)の混合物であり、デュポン[DuPont]から入手可能である。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて行った。
【0080】
押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて焼成した。焼成後の圧縮強度は、27ポンド/平方インチ(1898g/cm)と測定された。
【0081】
実施例5
混合物を、押出し成形のために、MCM−41結晶(ハイブリッド焼成されている)90wt%、およびダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(<30USメッシュへ粉砕されている)のSiO当量10wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーで5分間混合することによって調製した。水を、加えて、混合物中の固形分を、42wt%へ調整し、ポリビニルアルコール1.5wt%を、押出し成形助剤として添加した。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて、11.5アンペアで行った。押出し成形を通じて、スチームが放出され、ダイの外側表面上には、顕著な凝縮があった。
【0082】
押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて焼成した。焼成後の圧縮強度は、54ポンド/平方インチ(3797g/cm)と測定された。この実施例は、有機溶剤なし系が、MCM−41の焼成押出し成形物を提供することを示す。これは、実施例4(比較例)によって例証される溶剤ベース系に比べて、実質的により高い強度を有する。
【0083】
実施例6
混合物を、押出し成形のために、ナトリウム型のZSM−5結晶90wt%、およびダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(<30USメッシュへ粉砕されている)のSiO当量10wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーで5分間混合することによって調製した。水を、加えて、混合物中の固形分を、56wt%へ調整し、(PVA)1.5wt%を、押出し成形助剤として添加した。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて、11.5アンペアで行った。押出し成形物の温度は、58℃で測定された。押出し成形を通じて、スチームが放出され、ダイの外側表面上には、顕著な凝縮があった。
【0084】
押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて焼成した。生押出し成形物の圧縮強度は、37ポンド/平方インチ(2601g/cm)と測定された。焼成後の圧縮強度は、91ポンド/平方インチ(6398g/cm)と測定された。
【0085】
実施例7
混合物を、押出し成形のために、テンプレート付きZSM−35 90wt%、およびダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(<30USメッシュへ粉砕されている)のSiO当量10wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーで5分間混合することによって調製した。水を、加えて、混合物中の固形分を、49wt%へ調整し、PVA 1.5wt%を、押出し成形助剤として添加した。この混合物を、押出し成形前に、1/16インチ(1.5875mm)〜1/8インチ(3.175mm)の球状に固めさせた。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて、9.5アンペアで行った。押出し成形を通じて、スチームが放出され、ダイの外側表面には、顕著な凝縮があった。
【0086】
押出し成形物を、250゜F(121℃)で終夜乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて焼成した。焼成後の圧縮強度は、39ポンド/平方インチ(2742g/cm)と測定された。
【0087】
実施例8
混合物を、押出し成形のために、微粒子シリカ10wt%を希釈剤として有するZSM−5結晶(ウルトラシル[Ultrasil]−PM)80wt%、およびダウコーニング[Dow Corning]6−2230ケイ素樹脂(<30USメッシュへ粉砕されている)のSiO当量10wt%を、エイリック[Eirich]ミキサーで混合することによって調製した。脱イオン水を、加えて、混合物中の固形分を、56wt%へ調整し、PVA 2wt%を、押出し成形助剤として添加した。この押出し成形物を、押出し成形可能なペーストが得られるまで、エイリック[Eirich]ミキサーで混合した。押出し成形を、1/16インチ(1.5875mm)のシリンダーダイプレートを用いて行って、1/16インチ(1.5875mm)の円筒形押出し成形物を得た。押出し成形物を、乾燥し、次いで実施例1の手順を用いて1000゜F(538℃)で焼成した。焼成後の圧縮強度は、61ポンド/平方インチ(4289g/cm)と測定された。
【0088】
この特定のZSM−5ゼオライト物質を、特許文献1の手順を用いて、苛性のルドックス[Ludox]シリカと共に押出し成形する試みは、いかなる押出し成形物をも製造せず、混合物は、押出し成形可能でなかった。
【0089】
本発明は、ある例証、およびそれらの特定の実施形態に関して、詳細に記載されたものの、それは、それらに限定されると見なされるべきでなく、本発明の精神および添付の範囲から逸脱することなく他の方法で用いられてもよいと解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも一種の微粒子無機物質、(ii)平均粒径が25〜450μmの少なくとも一種の微粒子ケイ素樹脂、および(iii)水を含む、構造体への成形に好適な、有機溶剤を含まない組成物であって、
前記微粒子無機物質の量は、微粒子無機物質とケイ素樹脂との総重量に対して、90〜99.5wt%であり、一方、前記ケイ素樹脂の量は、0.5〜10wt%である、ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
さらに、押出し成形助剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記押出し成形助剤は、押出し成形物基準で、0.1〜15wt%の範囲の量で存在し、かつ、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンの少なくとも一種から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ケイ素樹脂は、下記(a)〜(e)の少なくとも1つの特性を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
(a)ケイ素酸化物含有量が樹脂基準で少なくとも50wt%である、
(b)架橋度が1.5以下である、
(c)重量平均分子量が1000〜10000である、
(d)シラノール含有量が樹脂基準で少なくとも3wt%である、
(e)平均粒径が0.01〜700μmである
【請求項5】
前記ケイ素樹脂は、アルキル基、アリール基またはグリコール基の少なくとも1種を有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記微粒子無機物質は、少なくとも1種のモレキュラーシーブであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のモレキュラーシーブは、ゼオライト、シリケート、メタロシリケート、メタロアルミネート、シリコアルミノホスフェート、メタロアルミノホスフェートまたはアルミノホスフェートであることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブは、少なくとも一種の金属を含むことを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記微粒子無機物質は、無定形であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−195447(P2011−195447A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141567(P2011−141567)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【分割の表示】特願2007−529896(P2007−529896)の分割
【原出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】