説明

ケトプロフェン含有水性貼付剤

【課題】活性成分であるケトプロフェンを含有する貼付剤において、ケトプロフェンの優れた経皮吸収性と安全性を備え、かつ、高い保存安定性を有する貼付剤を提供すること。
【解決手段】ケトプロフェン、アミン類、およびポリエチレングリコールを含有してなることを特徴とする水性貼付剤であり、膏体中、ケトプロフェンの配合量が0.1〜5重量%、アミン類の配合量が0.5〜10重量%、およびポリエチレングリコールの配合量が5〜30重量%であり、特に、アミン類としてジイソプロパノールアミンを用いる水性貼付剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてケトプロフェンを含有する水性貼付剤に関し、詳細には、ケトプロフェンの主薬安定性、並びに経皮吸収性に優れた水性貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
活性成分として抗炎症活性を有するケトプロフェンを含有する水性貼付剤はよく知られている。ケトプロフェンは水に対する溶解度が低いため、水性貼付剤に配合する場合には、難溶解性薬物の溶解剤としてクロタミトン、脂肪酸、脂肪酸エステル、精油類、多価アルコール、界面活性剤等の特定の溶解剤が使用される場合が多い(特許文献1及び2)。しかしながら、これらの貼付剤を製造する場合には、その製造法に何らかの工夫をする必要があり、製造上の作業効率が悪いという基本的な欠点を有していた。
すなわち、ケトプロフェンの溶解のために使用する特定の溶解剤には、一般に親油性の溶媒が多く、水性貼付剤の製造時において、これらの溶媒を添加する際、注意して行わないと水溶性高分子化合物の不溶化、或いは親油性溶媒の分離等、貼付剤の物性に対して好ましくない影響が出る可能性があった。
【0003】
また、通常の水性貼付剤にはグリセリン等の多価アルコールが高濃度に配合されている場合が多いが、配合される薬物がケトプロフェンの場合には、カルボン酸基を有するケトプロフェンと、水酸基を有する多価アルコール(例えばグリセリン)、低級アルコール、あるいはメントール等の溶解剤との間で、水性貼付剤の基剤成分である有機酸、ポリアクリル酸等の弱酸が触媒となり、比較的低い温度でもエステル化反応が進行してしまい、保存安定性が低いという問題があった。
【0004】
これを解決するために、分子中にカルボン酸基を有するケトプロフェンを含む非ステロイド消炎鎮痛剤をグリセリンおよび炭素数3〜30のグリコールに分散せしめることにより安定化する提案がなされている(特許文献3)。
しかしながら、本特許文献に記載の貼付剤であっても、水性貼付剤の基剤としてグリセリンは必須成分であるため、長期安定性を考えた場合、エステル化反応による保存安定性の低下が懸念される。また、一般的に貼付剤中に薬物が分散状態で存在すると保存安定性が高くなる反面、経皮吸収性を低くする一因となっており、保存安定性と経皮吸収性が共に良好な水性貼付剤が望まれている。
【0005】
一方、一般的な油性貼付剤に配合される貼付剤基剤のなかには、ケトプロフェンの溶解性に優れたものが多く、また、通常ケトプロフェンに対する溶解剤として使用される脂肪酸エステル、精油類あるいはクロタミトン等は、ケトプロフェンとの相溶性も良好なものが多い。
そのためケトプロフェンを配合した油性貼付剤は経皮吸収性が高く、かつ、これらの油性貼付剤は多価アルコール類を配合しなくともその物性が維持できるため、ケトプロフェンの高い安定性を得ることができる。
【0006】
上記した理由から、従来からケトプロフェンを配合する油性貼付剤に関する発明も多数なされており(特許文献4および5)、実際の医薬品市場においても、これら油性貼付剤に関する製品が数多く流通している。しかしながら、油性貼付剤には皮膚に対する刺激性の問題があり、より安全性の高い製品を提供することが課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−083623号公報
【特許文献2】特開昭61−275212号公報
【特許文献3】特開2002−193793号公報
【特許文献4】国際公開WO93/04677号
【特許文献5】特開2004−43512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した現状を鑑み、活性成分であるケトプロフェンを含有する貼付剤において、ケトプロフェンの優れた経皮吸収性と安全性を備え、かつ、高い保存安定性を有する貼付剤を提供することを課題とする。
【0009】
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ケトプロフェンに対して優れた溶解性を示す溶媒であるアミン類を主薬溶解剤として選択し、さらに、ケトプロフェンとの相互作用が小さいポリエチレングリコールを配合した水性基剤中にケトプロフェンを溶解させることによって、ケトプロフェンの優れた経皮吸収性、安全性、および高い保存安定性を示す水性貼付剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、その基本的態様として、ケトプロフェン、アミン類、およびポリエチレングリコールを含有してなることを特徴とする水性貼付剤である。
【0011】
より具体的には、膏体中、ケトプロフェンの配合量が0.1〜5重量%、アミン類の配合量が0.5〜10重量%、およびポリエチレングリコールの配合量が5〜30重量%である水性貼付剤である。
【0012】
最も具体的な本発明は、アミン類としてジイソプロパノールアミンを用いる水性貼付剤である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ケトプロフェンの溶解剤としてアミン類を選択し、ポリエチレングリコールを配合した水性基剤中にケトプロフェンを溶解させることにより、ケトプロフェンを水性基剤中に安定的に溶解することができる水性貼付剤が提供される。
【0014】
特に本発明にあっては、水への溶解性が低いケトプロフェンを活性成分として含有する水性貼付剤において、アミン類、特にジイソプロパノールアミンをケトプロフェンに対する溶解剤として用い、そのうえ、ケトプロフェンとの相互作用が小さいポリエチレングリコールを配合した水性貼付剤基剤中にケトプロフェンを溶解させることにより、皮膚透過性が高く、かつ皮膚刺激性が低く、さらに主薬安定性の高いケトプロフェン含有水性貼付剤を提供することができる。
【0015】
ケトプロフェン含有水性貼付剤において、アミン類とポリエチレングリコールとの組合せは、極めて特異的なものであり、したがって、本発明が提供する水性貼付剤は、従来の水性貼付剤では為し得なかった、ケトプロフェンの優れた経皮吸収性、安全性、及び高い保存安定性を兼ね備えるものであり、その効果は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試験例3におけるin vitroラット皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記したように、本発明の基本的態様は、ケトプロフェン、アミン類、およびポリエチレングリコールを含有してなることを特徴とする水性貼付剤である。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0018】
本発明が提供する水性貼付剤における製剤中のケトプロフェンの配合量は、製剤化が可能である限り特に制限はないが、好ましくは膏体全重量に対して0.1〜5重量%配合されるのがよい。より好ましくは、0.5〜2重量%である。
膏体中のケトプロフェンの含量が0.1重量%未満であるとケトプロフェンの経皮吸収性が不十分となり、また、5重量%を超えて配合しても、使用後に経皮吸収されずに製剤中に残存する主薬成分が多くなり、好ましくない。
【0019】
本発明で使用するアミン類は、一般的には水性貼付剤における基剤成分に対するpH調整剤として使用されることが多いが、本発明にあっては難溶性のケトプロフェンに対する溶解剤として配合される。
使用されるアミン類としては例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられ、特にジイソプロパノールアミンが好ましい。
【0020】
本発明が提供する水性貼付剤におけるアミン類の配合量は、製剤化が可能である限り特に限定はないが、好ましくは膏体全重量に対して0.5〜10重量%、より好ましくは、1〜5重量%の範囲で配合するのがよい。
膏体中のアミンの含量が0.5重量%未満であると製剤中のケトプロフェンの溶解が不十分となり、結果として結晶析出あるいは経皮吸収性の低下等、好ましくない影響が出るおそれがある。
一方10重量%を超えて配合すると、製剤のpHが過度に上昇し、粘着力の低下等、製剤の物性に好ましくない影響が出る。
【0021】
本発明にあっては、水性貼付剤の基剤中に配合するポリエチレングリコールは、ケトプロフェンのエステル化抑制剤として機能する。かかるポリエチレングリコールとしては平均分子量が600以下のものが好ましく、具体的にはポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600からなる群から選択された1種あるいは2種以上からなるポリエチレングリコールである。
平均分子量が600より大きいポリエチレングリコールについては、その融点が40℃を越えるため、本発明の水性貼付剤に配合した場合、水溶性高分子等の基剤成分を十分に分散することができず、未溶解の基剤成分が現れてくる可能性があり好ましくない。
【0022】
使用するポリエチレングリコールの配合量は、製剤化が可能である限り特に限定されないが、好ましくは膏体全重量に対して5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%の範囲で配合するのがよい。
膏体中のポリエチレングリコールの含量が5重量%未満であると、製剤中のケトプロフェンの安定性が低下してしまい、また、30重量%を超える場合には、貼付時にダレが生じるなど、製剤の物性に影響が出て好ましいものではない。
【0023】
本発明が提供する水性貼付剤にあっては、他に影響を与えない限り、通常の外用製剤に用いられる各種の基剤成分を使用することができる。
そのような基剤成分としては特に限定されるものではないが、例えば、通常使用されるポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性高分子化合物;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類;水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムグリシネート等の架橋剤;カオリン、酸化チタン等の無機粉末;クエン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸等のpH調整剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤;メチルパラベン、プロピルパラベン等の防腐剤;及び精製水等が挙げられる。
さらに必要に応じて吸収促進剤、抗酸化剤、着香剤、着色剤等を適宜適量添加することができる。
【0024】
これらのうち、水溶性高分子化合物は1〜30重量%、架橋剤は0.01〜5重量%、精製水は10〜90重量%、無機粉末は0〜20重量%の範囲内で、それぞれ貼付剤膏体成分中に配合するのが好ましい。また多価アルコール類は、前述のポリエチレングリコール配合量により増減する必要があるが、ポリエチレングリコールと併せて10〜50重量%配合されるのが好ましい。
【0025】
上記の諸成分を用いて調製される本発明の水性貼付剤(膏体層)の厚み(後述する支持体及び表面を被覆するフィルムの厚みを除く)は、一概に限定し得ないが、塗布量として150〜1000g/mであれば十分であり、より好ましくは300〜700g/mである。
【0026】
本発明の水性貼付剤の膏体は、前記成分を常法により混合、攪拌、熟成等を行うことにより製造され、本発明の水性貼付剤は得られた膏体を不織布や織布、シート、フィルム等の支持体に展延、坦持した後、保護フィルムで覆うことにより調製することができる。
【0027】
用いる支持体の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、レーヨン等を例示することができ、特に膏体層が薄い場合には、これらを素材とする多孔体あるいは発泡体と、織布あるいは不職布とのラミネート品等が好ましく使用される。
【0028】
膏体の表面を被覆するプラスチックフィルムとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、剥離紙の単独あるいは張りあわせを用いることができ、これらにシリコーン処理、コロナ放電処理、凹凸処理、プラズマ処理等を施したものを使用してもよい。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を具体的実施例、及び比較例、さらには各種試験例により、より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0030】
実施例1
グリセリン142.5g、ポリエチレングリコール(400)を150g、ポリアクリル酸7.5g、ポリアクリル酸ナトリウム40g、カルメロースナトリウム40g、ヒドロキシプロピルセルロース5g、エデト酸ナトリウム0.6g、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート0.9g、メチルパラベン1g、プロピルパラベン0.5g、酒石酸15g、20%ポリアクリル酸水溶液200g、精製水適量を均一に混合して、含水ゲルを調製した。
次いで、ジイソプロパノールアミン10gと適量の水に溶解したケトプロフェン20gを、先に調製したゲル中に均一になるように混合し、貼付剤用膏体を得た。
得られた膏体を、ラミネート不織布に膏体重量が500g/mになるように塗布し、粘着面をポリエステルフィルムで被覆し、所望の水性貼付剤を得た。
【0031】
実施例2〜4
上記実施例1と同様にして、下記表1に示した処方に基づき、実施例2〜4の水性貼付剤を得た。
なお、表中には実施例1の処方も示し、その配合量は重量%で表示しているが、各実施例における製造にあたっては、その10倍量の単位(g換算)で調製している。
【0032】
【表1】

【0033】
比較例1
比較例1として、市販されているケトプロフェン2重量%含有プラスター剤(膏体厚:143g/m)を用いた。
【0034】
比較例2
グリセリン350g、ポリアクリル酸50g、ポリアクリル酸ナトリウム40g、カルメロースナトリウム40g、ヒドロキシプロピルセルロース5g、エデト酸ナトリウム0.6g、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート0.9g、プロピレングリコール30g、メチルパラベン1g、プロピルパラベン0.5g、酒石酸15g、20%ポリアクリル酸水溶液200g、33%ポリビニルアルコール水溶液20g、精製水適量を均一に混合して含水ゲルを調製した。
ついで、クロタミトン20gとポリエチレングリコール(400)の40gに溶解したケトプロフェン20gを、先に調製したゲル中に均一になるように混合し、貼付剤用膏体を得た。
得られた膏体を、ラミネート不織布に膏体重量が500g/mになるように塗布し、粘着面をポリエステルフィルムで被覆し、比較例2の水性貼付剤を得た。
【0035】
比較例3〜4
上記比較例2と同様にして、下記表2に示した処方に基づき、比較例3〜4の水性貼付剤を得た。
なお、表中には比較例2の処方も示し、その配合量は重量%で表示しているが、各比較例の製造にあたっては、その10倍量の単位(g換算)で調製している。
【0036】
【表2】

【0037】
試験例:
試験例1:安定性試験1
上記で得た実施例1、及び比較例2〜4の各貼付剤をアルミニウム袋に密封包装した後、4℃の保存条件下で1ヶ月間保存し、各製剤中におけるケトプロフェンの結晶析出の有無について目視で観察した。その結果を下記表3に示した。
表中の○は結晶析出していない試料を示し、×は結晶が析出している試料を示す。
【0038】
【表3】

【0039】
試験例2:安定性試験2
上記で得た実施例1、及び比較例2〜4の各貼付剤をアルミニウム袋に密封包装した後、40℃/75%RHの保存条件下で3ヶ月間保存し、これらの各製剤中のケトプロフェン含量を高速液体クロマトグラフ法により測定した。
その結果を下記表4に示した。
結果は、初期配合量を100%とし、保存後のケトプロフェンの含有量を%で示した。
【0040】
【表4】

【0041】
また、実施例1及び比較例3の貼付剤については、同様の保存条件における、製剤中の類縁物質(ケトプロフェンのグリセリンエステル)生成量について、高速液体クロマトグラフ法により測定した。
その結果を下記表5に示した。なお、類縁物質の生成量は、配合したケトプロフェンの重量に対する類縁物質の生成重量比率(%)で示した。
【0042】
【表5】

【0043】
上記した各安定性試験の結果より判明するように、本発明の貼付剤は比較例の各製剤と比較した場合、ケトプロフェンの安定性において格段に優れていることが判明した。特にポリエチレングリコールが配合されていない比較例3は、ケトプロフェンの安定性が低く、かつケトプロフェンの類縁物質の生成量も多いものであった。
またアミン類が配合されていない比較例2及び比較例4の水性貼付剤についても、ケトプロフェンの安定性が低く、中でも比較例4には、4℃の保存条件において結晶が析出するなど、各比較例の製剤は、ケトプロフェンが製剤中で非常に不安定な状態で存在しているものであった。
【0044】
試験例3:in vitroでの皮膚透過試験
実施例1で得られた水性貼付剤、および市販品である比較例1のケトプロフェン2重量%含有プラスター剤について、ラット皮膚を用いたin vitroでの皮膚透過試験を行った。
除毛した雄性ラット(ウィスター系、7週齢)の背部摘出皮膚を37℃に保温した縦型の透過試験用拡散セルに固定し、摘出皮膚の角質層側には試験対象である製剤を貼付し、内側(真皮層側)にはレシーバー液としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を10ml加えた。その後、経時的にレシーバー液を0.2ml採取し、液体クロマトグラフ法によりケトプロフェン透過量を測定し、その値から皮膚透過速度(flux)を計算した。
その結果を図1に示した。
【0045】
試験例4:ウサギ皮膚一次刺激性試験
実施例1で得られた水性貼付剤、及び市販品である比較例1のケトプロフェン2重量%含有プラスター剤について、ウサギ皮膚一次刺激性試験を行った。
それぞれの製剤を除毛したウサギ背部に24時間貼付し、剥離後1時間目、24時間目及び48時間目の皮膚症状から刺激指数(P.I.I.)を求めた。
刺激指数(P.I.I.)の評価基準を下記表6に示した。
【0046】
【表6】

【0047】
その結果を、下記表7に示した。
【0048】
【表7】

【0049】
図1及び表7に示した結果から判明するように、本発明の水性貼付剤と比較例1のプラスター剤を比較した場合、経皮吸収性、皮膚刺激性は、両者ともに本発明の水性貼付剤が優れていることが判明した。
【0050】
以上の結果より、本発明が提供する水性貼付剤は、優れたケトプロフェンの経皮吸収性、安全性、および高い保存安定性を兼ね備えた製剤であると結論できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明により、水への溶解性が低いケトプロフェンを活性成分として、アミン類を溶解剤として用い、さらにポリエチレングリコールを配合した貼付剤基剤中に溶解させることによって、皮膚透過性が高く、皮膚刺激性が低く、および主薬安定性の高いケトプロフェン含有水性貼付剤を提供することができる。
本発明が提供する水性貼付剤は、従来のケトプロフェン含有貼付剤に比べて高いケトプロフェンの優れた経皮吸収性、安全性、および高い保存安定性を兼ね備えたものであり、その医療上の有用性は多大なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトプロフェン、アミン類、およびポリエチレングリコールを含有してなることを特徴とする水性貼付剤。
【請求項2】
膏体中、ケトプロフェンの配合量が0.1〜5重量%、アミン類の配合量が0.5〜10重量%、およびポリエチレングリコールの配合量が5〜30重量%である請求項1に記載の水性貼付剤。
【請求項3】
アミン類がジイソプロパノールアミンである請求項1または2記載の水性貼付剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−190194(P2011−190194A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56098(P2010−56098)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】