説明

ケトン類およびアルデヒド類の製造方法

【課題】β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を特定の化合物で処理するケトン類およびアルデヒド類の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(2)


(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一または相異なって、アルキル基等を表わす。R1とR2、R1とR3またはR2とR3が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に、第Va族元素化合物、第VIIa族元素化合物、第VIII族元素化合物、第Ib族元素化合物、第IIb族元素化合物、第IIIb族元素化合物、第IVb族元素化合物、第Vb族元素化合物およびランタニド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を作用させて、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を分解するケトン類およびアルデヒド類の製造方法の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種化学製品およびその合成中間体等として重要なケトン類およびアルデヒド類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素は、安価で、取り扱い容易で、しかも反応後には無害な水となる、クリーンで優れた酸化剤として近年注目を集めており、過酸化水素を用いる種々の酸化方法が報告されているが、三置換オレフィン類を過酸化水素で酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を製造する方法は報告されていなかった。
【0003】
また、三置換オレフィン類と過酸化水素との反応により、ケトン類、アルデヒド類およびカルボン酸類を製造する方法は、例えば下記のとおり種々報告されているが、何れの方法も、比較的高価な触媒や試剤を用いているという点、触媒の活性向上には有機酸溶媒が必要等の点で、必ずしも工業的に十分満足し得る方法ではなかった。
アルデヒド類およびケトン類の製造方法:メチルレニウムトリオキサイドを触媒とする方法(特許文献1)等
カルボン酸類の製造方法:(i)ヘテロポリ酸およびセチルピリジニウムクロリドを触媒とする方法(J.Org.Chem.,53,3587(1988))(ii)タングステン酸類および第四級アンモニウム硫酸水素塩を触媒とする方法(特許文献2)等
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO98/47847号公報
【特許文献2】特開2000−86547公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況のもと、本発明者らは、三置換オレフィン類を過酸化水素で酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を工業的に有利に製造する方法を開発すべく鋭意検討したところ、入手が容易なタングステン金属、ホウ化タングステン等のタングステン化合物やモリブデン金属、ホウ化モリブデン等のモリブデン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物が、三置換オレフィン類の酸化反応に高い触媒活性を示し、該金属酸化物触媒の存在下に、三置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させることにより、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類が得られること、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を熱処理、アルカリ処理または特定の化合物で処理することにより、分解反応が進行し、ケトン類およびアルデヒド類が得られることおよび該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理することにより、ジオール類が得られることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、タングステン金属、モリブデン金属、タングステンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるタングステン化合物およびモリブデンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素を反応せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、三置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類の製造方法とその触媒、さらにはβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類からケトン類およびアルデヒド類、またはジオール類を製造する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によれば、入手が容易なタングステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン等のタングステン化合物およびホウ化モリブデン等のモリブデン化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素を反応せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、三置換オレフィン類と安価な過酸化水素を反応させることにより、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類を容易に得ることができ、また該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類から、ジオール類、ケトン類およびアルデヒド類も容易に得ることができるため、工業的に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず最初に、三置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させる際に用いる触媒について説明する。触媒としては、タングステン金属、モリブデン金属、タングステンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるタングステン化合物およびモリブデンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物が用いられる。
【0009】
タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えばホウ化タングステン等が、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば炭化タングステン、ケイ化タングステン等が、タングステンと第Vb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えばチッ化タングステン、リン化タングステン等が、タングステンと酸素を除く第VIb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば硫化タングステン等が、それぞれ挙げられる。
【0010】
モリブデンと第IIIb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えばホウ化モリブデン等が、モリブデンと第IVb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えば炭化モリブデン、ケイ化モリブデン等が、モリブデンと第Vb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えばチッ化モリブデン、リン化モリブデン等が、モリブデンと酸素を除く第VIb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えば硫化モリブデン等が、それぞれ挙げられる。
【0011】
かかる金属化合物としては、なかでもタングステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン、ホウ化モリブデン、硫化タングステン、硫化モリブデンが好ましい。また、これら金属化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、粒径の細かい金属化合物を用いることが、触媒である金属酸化物の調製をより容易にするという点で好ましい。
【0012】
かかる金属化合物と過酸化水素とを反応せしめることにより、三置換オレフィン類を酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類を製造するための触媒となる金属酸化物が調製される。金属化合物と過酸化水素との反応は、通常水溶液中で実施される。もちろん例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒中または該有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよい。
【0013】
過酸化水素は、通常水溶液として用いられるが、有機溶媒溶液を用いてもよい。取扱いがより容易であるという点で、過酸化水素水溶液を用いることが好ましい。過酸化水素水溶液もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水溶液は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なった後用いればよく、また過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水溶液を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に蒸留処理する等の手段により、調製することができる。金属酸化物を調製する際の過酸化水素の使用量は、金属化合物に対して、通常3モル倍以上、好ましくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0014】
金属化合物と過酸化水素との反応は、通常その両者を混合することにより行われ、金属化合物と過酸化水素の接触効率を向上させるため、金属酸化物調製液中で金属化合物が十分分散するよう攪拌しながら反応を行うことが好ましい。また金属化合物と過酸化水素の接触効率を高め、金属酸化物調製時の制御をより容易にするという点で、例えば粉末状の金属化合物等粒径の小さな金属化合物を用いることが好ましい。金属酸化物の調製時の調製温度は、通常−10〜100℃である。
【0015】
金属化合物と過酸化水素とを水中もしくは有機溶媒中で反応させることにより、金属化合物の全部もしくは一部が溶解し、金属酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製することができるが、該金属酸化物を、例えば濃縮処理等により調製液から取り出して、触媒として用いてもよいし、該調製液をそのまま触媒として用いてもよい。
【0016】
次に、上記金属酸化物を触媒とする三置換オレフィン類と過酸化水素との反応について説明する。
【0017】
三置換オレフィン類(以下、オレフィン類と略記する)としては、オレフィン性の炭素−炭素二重結合を有し、該二重結合を形成している二つの炭素原子に置換基が三つ結合しているものであればよい。またかかる炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子に結合している置換基のうち、任意の2つの置換基が一緒になって、環構造の一部を形成してもよく、かかる置換基が一緒になって環構造の一部を形成した場合のオレフィン類としては、例えば前記炭素−炭素二重結合を含む環状オレフィンや環状の置換基で置換されたオレフィン類等が挙げられる。
【0018】
かかるオレフィン類としては、例えば一般式(1)

(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表わす。また、R1とR2、R1とR3またはR2とR3が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
で示されるオレフィン類が挙げられる。
【0019】
置換されていてもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基およびこれらアルキル基が、後述するアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、カルボアルコキシ基、カルボアリールオキシ基、カルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基等で置換されていてもよく、かかる置換基で置換されたアルキル基としては、例えばクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、カルボメトキシメチル基、1−カルボメトキシ−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基、1−カルボエトキシ−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基等が挙げられる。
【0020】
置換されていてもよいアルコキシ基としては、前記置換されていてもよいアルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルコキシ基およびこれらアルコキシ基が、例えばハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基で置換されたもの、例えばクロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
【0021】
置換されていてもよいアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等およびこれらフェニル基、ナフチル基等を構成する芳香環が上記したアルキル基、アリール基、アルコキシ基、後述するアラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子等の置換基で置換された、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。置換されていてもよいアリールオキシ基としては、前記置換されていてもよいアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0022】
置換されていてもよいアラルキル基としては、前記置換されていてもよいアリール基と上記したアルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−フェノキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基等が挙げられる。また、置換されていてもよいアラルキルオキシ基としては、前記置換されていてもよいアラルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。置換されていてもよいアシル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばカルボメチル基、カルボエチル基、カルボフェニル基、カルボベンジル基等が挙げられる。
【0024】
置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基および置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基としては、それぞれカルボニル基と前記置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基および置換されていてもよいアラルキルオキシ基とから構成されるものが挙げられ、例えばカルボメトキシ基、カルボエトキシ基、カルボフェノキシ基、カルボベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
かかる置換基が一緒になって環構造の一部を形成する場合の環構造としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。
【0026】
かかるオレフィン類としては、例えば2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、3−エチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン、3−メチル−2−ヘキセン、2−メチル−1−フェニルプロペン、2−フェニル−2−ブテン、1−メチルシクロペンテン、1,3−ジメチルシクロペンテン、1,4−ジメチルシクロペンテン、1,5−ジメチルシクロペンテン、1,3,5−トリメチルシクロペンテン、1,3,4−トリメチルシクロペンテン、1,4,5−トリメチルシクロペンテン、1,3,4,5−テトラメチルシクロペンテン、1−メチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1,4−ジメチルシクロヘキセン、1,5−ジメチルシクロヘキセン、1,3,5−トリメチルシクロヘキセン、1,3,4−トリメチルシクロヘキセン、1,4,5−トリメチルシクロヘキセン、1,3,4,5−テトラメチルシクロヘキセン、イソホロン、2−カレン、3−カレン、α−ピネン、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸ベンジル、
【0027】
3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメ
チル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
【0028】
オレフィン類の中には、その分子内に不斉炭素を有しており、光学異性体が存在するものがあるが、光学異性体の単独または混合物のいずれを用いてもよい。
【0029】
本反応は、前記した金属酸化物触媒の存在下に、オレフィン類と過酸化水素とを反応させるものであり、オレフィン類の炭素−炭素二重結合部位が酸化されたβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類と、オレフィン類の炭素−炭素二重結合が酸化開裂したケトン類およびカルボン酸類が生成する。
【0030】
オレフィン類として、上記一般式(1)で示されるオレフィン類を用いた場合には、炭素−炭素二重結合が酸化された、一般式(2)

(式中、R1、R2およびR3は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、炭素−炭素二重結合が酸化開裂した一般式(4)

(式中、R1およびR2は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるケトン類および一般式(5)

(式中、R3は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるカルボン酸類が生成する。なお、本反応においては、オレフィン類の別の酸化物であるジオール類やβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が分解したアルデヒド類が、副生物として生成することがある。上記一般式(1)で示されるオレフィン類の場合には、一般式(3)

(式中、R1、R2およびR3は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジオール類や一般式(6)

(式中、R3は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルデヒド類が副生物として挙げられる。
【0031】
具体的なオレフィン類を例として、さらに具体的に説明すると、原料オレフィン類として、2−メチル−2−ペンタンを用いた場合には、2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシペンタン、アセトンおよびプロピオン酸が生成する。原料オレフィン類として、1−メチルシクロペンテンを用いた場合には、1−メチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンおよび6−オキソヘプタン酸が得られる。3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルを原料オレフィン類として用いた場合には、3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸、アセトンおよび3,3−ジメチル−2−カルボメトキシシクロプロパンカルボン酸が得られる。3−カレンを原料オレフィン類として用いた場合には、3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンおよび[2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロピル]酢酸が生成する。
【0032】
オレフィン類と過酸化水素との反応の触媒である金属酸化物の使用量は、オレフィン類に対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、オレフィン類に対して、1モル倍以下である。
【0033】
過酸化水素は、通常水溶液として用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なった後用いられる。過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に蒸留処理する等の手段により、調製することができる。
【0034】
過酸化水素の使用量は、オレフィン類に対して、通常1モル倍以上であり、使用量の上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的には、オレフィン類に対して、10モル倍以下である。なお、触媒として、金属化合物と過酸化水素を反応せしめてなる金属酸化物調製液を用いる場合は、該調製液中の過酸化水素量を含めて、過酸化水素の使用量を設定してもよい。
【0035】
本反応は、通常水溶媒または有機溶媒中で実施される。有機溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。水溶媒または有機溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、オレフィン類に対して、100重量倍以下である。
【0036】
なお、本反応においては、生成物の生成比率は、反応条件により異なるため、目的とする生成物に応じて、適宜反応条件を選択すればよい。例えばβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を目的とする場合には、有機溶媒中で反応を実施することが好ましく、ケトン類およびカルボン酸類を目的とする場合には、水溶媒中で反応を実施することが好ましい。また、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を目的とする場合には、無水条件下で反応を実施することが好ましい。無水条件下で反応を実施する方法としては、例えば反応系内に脱水剤を共存させる方法等が挙げられる。脱水剤としては、例えば無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水ホウ酸、ポリリン酸、五酸化二リン等が挙げられ、その使用量は、反応系内に存在する水を脱水除去可能な量以上であれば十分である。
【0037】
反応温度は、通常0〜200℃であるが、反応温度が低いほど、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が生成しやすく、反応温度が高いほど、ケトン類およびカルボン酸類が生成しやすいため、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を目的とする場合には、反応温度は0〜65℃の範囲が好ましく、ケトン類およびカルボン酸類を目的とする場合には、65℃以上が好ましい。
【0038】
本反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、核磁気共鳴スペクトル分析、赤外吸収スペクトル分析等の通常の分析手段により確認することができる。
【0039】
また、本反応は、例えば無水ホウ酸等のホウ素化合物の共存下に実施してもよく、ホウ素化合物としては、例えば無水ホウ酸、メタホウ酸、正ホウ酸、メタホウ酸アルカリ金属塩、メタホウ酸アルカリ土類金属塩、正ホウ酸アルカリ金属塩、正ホウ酸アルカリ土類金属塩等が挙げられ、その使用量は特に制限されないが、あまり多すぎても経済的に不利になるため、実用的には、オレフィン類に対して、通常1モル倍以下である。
【0040】
反応終了後、例えば反応液を濃縮処理、カラムクロマトグラフィ処理等することにより、反応液から、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類を分離し、取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、これら生成物を分離し、取り出すことができる。取り出したβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の手段によりさらに精製してもよい。
【0041】
水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0042】
なお、前記したとおり、本反応においては、ジオール類やアルデヒド類が副生物として生成するが、上記と同様の処理により、反応液から副生したジオール類やアルデヒド類を取り出すこともできる。
【0043】
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類、ケトン類およびカルボン酸類を取り出した後の濾液や水層中には、本反応の触媒である金属酸化物が含まれているため、該水層をそのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度オレフィン類と過酸化水素との反応の触媒として使用することができる。
【0044】
オレフィン類として、光学活性体を用いた場合には、不斉炭素の位置に応じて、光学活性な生成物が得られる。
【0045】
かくして得られるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類としては、例えば2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシペンタン、3−メチル−3−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシヘキサン、1−メチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン、1,3−ジメチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサン、3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレン、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、
【0046】
3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
【0047】
また、ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、アセトフェノン等が挙げられ、カルボン酸類としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、6−オキソヘプタン酸、2−メチル−6−オキソヘプタン酸、3−メチル−6−オキソヘプタン酸、4−メチル−6−オキソヘプタン酸、5−メチル−6−オキソヘプタン酸、2,3−ジメチル−6−オキソヘプタン酸、2,4−ジメチル−6−オキソヘプタン酸、3,4−ジメチル−6−オキソヘプタン酸、2,3,4−トリメチル−6−オキソヘプタン酸、5−オキソヘキサン酸、2−メチル−5−オキソヘキサン酸、3−メチル−5−オキソヘキサン酸、4−メチル−5−オキソヘキサン酸、2,3−ジメチル−5−オキソヘキサン酸、2,4−ジメチル−5−オキソヘキサン酸、3,4−ジメチル−5−オキソヘキサン酸、2,3,4−トリメチル−5−オキソヘキサン酸、3,3−ジメチル−5−オキソヘキサン酸、
【0048】
3−(3−オキソブチル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸、3−(2−オキソプロピル)−2,2−ジメチル−1−カルボキシメチルシクロプロパン、3−(2−オキソエチル)−2,2−ジメチル−1−カルボキシメチルシクロブタン、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸ベンジル、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−カルボキシシクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
【0049】
生成したβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類は、アルカリ処理または熱処理することにより、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が分解し、ケトン類およびアルデヒド類を得ることができる。例えば、上記した一般式(2)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類からは、上記一般式(4)で示されるケトン類および一般式(6)

(式中、R3は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルデヒド類が得られる。具体的な化合物を例にしてさらに詳しく説明すると、例えば2−メチル−2−ペンテンから得られる2−メチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシペンタンからは、アセトンおよびプロピオンアルデヒドが生成し、1−メチルシクロペンテンから得られる1−メチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンからは、6−オキソヘプチルアルデヒドが得られる。
【0050】
アルカリ処理する場合のアルカリとしては、例えばナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート等が挙げられ、その使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常0.01モル倍以上であり、その上限は特にない。また、熱処理する温度は、通常60〜200℃である。
【0051】
また、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に、第Va族元素化合物、第VIIa族元素化合物、第VIII族元素化合物、第Ib族元素化合物、第IIb族元素化合物、第IIIb族元素化合物、第IVb族元素化合物、第Vb族元素化合物およびランタニド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を作用させることにより、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が分解し、ケトン類およびアルデヒド類が得られる。
【0052】
第Va族元素化合物としては、例えばバナジウム金属、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジウム金属と過酸化水素を反応させてなるバナジウム酸化物、バナジウムカルボニル錯体等のバナジウム化合物、例えばニオブ金属、酸化ニオブ、塩化ニオブ(V)(NbCl5)、ニオブカルボニル錯体等のニオブ化合物等が挙げられる。第VIIa族元素化合物としては、例えばレニウム金属、塩化レニウム等のレニウム化合物等が挙げられる。第VIII族元素化合物としては、例えば鉄金属、塩化鉄、Fe(CO)5、Fe(acac)3等の鉄化合物、例えばルテニウム金属、塩化ルテニウム、Ru3(CO)12、Ru(acac)3、RuCl2(PPh3)3等のルテニウム化合物、例えばコバルト金属、酢酸コバルト、[Co2(CO)8]2等のコバルト化合物、例えばロジウム金属、塩化ロジウム、Rh4(CO)12等のロジウム化合物、例えばイリジウム金属、塩化イリジウム等のイリジウム化合物、例えばニッケル金属、Ni(CO)4等のニッケル化合物、例えばパラジウム金属、酢酸パラジウム、パラジウムカーボン等のパラジウム化合物等が挙げられる。
【0053】
第Ib族元素化合物としては、例えば銅金属、例えば塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅等の銅化合物等が挙げられる。第IIb族元素化合物としては、例えば亜鉛金属、例えば塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。第IIIb族元素化合物としては、例えば三フッ化ホウ素等のホウ素化合物、例えばアルミニウム金属、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が挙げられる。第IVb族元素化合物としては、例えばスズ金属、塩化スズ等のスズ化合物物等が挙げられる。第Vb族元素化合物としては、例えばビスマス金属、塩化ビスマス(BiCl3)等のビスマス化合物、例えばアンチモン金属、塩化アンチモン(V)(SbCl5)、塩化アンチモン(III)(SbCl3)等のアンチモン化合物等が挙げられる。ランタニド化合物としては、例えばサマリウム金属、サマリウムトリフラート(Sm(OTf)2)等のサマリウム化合物、例えばガドリニウム金属等のガドリニウム化合物、例えばジスプロシウム金属、ジスプロシウムトリフラート(Dy(OTf)3)等のジスプロシウム化合物等が挙げられ、ジスプロシウム化合物が好ましい。
【0054】
かかる化合物の中でも、バナジウム化合物、銅化合物、ルテニウム化合物、パラジウム化合物およびこれらの混合物が好適である。なお、かかる化合物は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0055】
かかる化合物の使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的には1モル倍以下である。
【0056】
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類にかかる化合物を作用させるとは、その両者を混合すればよく、その混合温度は、通常−20〜100℃である。また通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解する溶媒の存在下に行われる。かかる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばメタノール、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられ、その使用量はβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解すればよく、その上限は特にないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、100重量倍以下である。
【0057】
なお、オレフィン類を前記した例えばタングステン金属、ホウ化タングステン等で酸化して得られるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を含む反応液を用いる場合は、該反応液にそのまま前記化合物を作用させてもよいし、該反応液から、抽出処理等によりβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を取り出した後、前記化合物を作用させてもよい。
【0058】
かくして得られるケトン類としては、上記したものと同様のものが挙げられ、アルデヒド類としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、5−オキソヘキシルアルデヒド、2−メチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、4−メチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、3−メチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、2,4−ジメチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、3,4−ジメチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、2,3−ジメチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、2,3,4−トリメチル−5−オキソヘキシルアルデヒド、6−オキソヘプチルアルデヒド、2−メチル−6−オキソヘプチルアルデヒド、4−メチル−6−オキソヘプチルアルデヒド、2,4−ジメチル−6−オキソヘプチルアルデヒド、2,3−ジメチル−6−オキソヘプチルアルデヒド、3,4−ジメチル−6−オキソヘプチルアルデヒド、2,3,4−トリメチル−6−オキソヘプチルアルデヒド、
【0059】
2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロパンアセトアルデヒド、2,2−ジメチル−3−(3−オキソブチル)シクロプロピルアルデヒド、2,2−ジメチル−3−(2−オキソエチル)シクロブタンアセトアルデヒド、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸ベンジル、(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボキシレート、(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボキシレート、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボキシレート、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボキシレート、(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボキシレート、(3−フェノキシベンジル)−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボキシレート等が挙げられる。
【0060】
また、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理することにより、ジオール類を得ることもできる。一般式(2)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理すると、一般式(3)

(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジオール類が生成する。還元処理は、通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシドと還元剤を混合することにより実施され、還元剤としては、例えばチオ硫酸ナトリウム等の無機還元剤、例えばジメチルスルフィド、トリフェニルホスフィン等の有機還元剤等が挙げられる。かかる還元剤の使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常1モル倍以上であり、その上限は特にないが、実用性を考慮すると、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して5モル倍以下である。
【0061】
還元処理の温度は、通常10〜100℃の範囲である。本還元処理も、通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解する溶媒の存在下に実施される。また、オレフィン類を前記した金属酸化物触媒の存在下に、過酸化水素で酸化して得られるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を含む反応液を用いる場合は、該反応液をそのまま還元剤と混合してもよいが、反応液中に未反応の過酸化水素等の酸化性物質が残存している場合が多いため、該反応液から、例えば抽出処理等によりβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を取り出した後、還元剤と混合することが経済的な面で好ましい。
【0062】
ジオール類としては、例えば2−メチル−2,3−ジヒドロキシペンタン、3−メチル−2,3−ジヒドロキシヘキサン、1−メチル−1,2−ジヒドロキシシクロペンタン、1−メチル−1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3−ジメチル−1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、3,4−カレンジオール、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸イソプロピル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸シクロヘキシル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メンチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸ベンジル、
【0063】
3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(4−クロロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、ガスクロマトグラフィ分析(以下、GC分析と略記する。)および高速液体クロマトグラフィ分析(以下、LC分析と略記する。)の各条件は、以下のとおりである。
【0065】
<GC分析条件>
カラム:DB−1(φ0.25μm×30m、膜厚1.0μm)
キャリアガス:ヘリウム(流速:1m/分)
スプリット比:1/10、試料注入量:1μL
カラム温度:100℃(0分)→180℃(昇温速度:2℃/分、180℃での保持時間:0分)→300℃(昇温速度:10℃/分、300℃での保持時間:15分)
注入口温度:200℃、検出器温度:250℃
【0066】
<LC分析条件>
カラム:SUMIPAX ODS A−212(5μm,φ6mm×15cm)
移動相:A液;0.1vol%トリフルオロ酢酸水溶液
B液;0.1vol%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液
A液/B液=90/10(体積比)から40分で直線的に、A液/B液=10/90(体積比)に組成変化させ、A液/B液=10/90(体積比)の組成比で、20分保持。
流量:1.0mL/分、試料注入量:10μL、検出波長:220nm
【0067】
実施例1 <タングステン金属と過酸化水素との反応による酸化物の調製>
ビーカーに、タングステン金属粉末4gを加え、さらに15重量%過酸化水素水溶液50gを加え、室温で攪拌させた。酸素ガスを発生しながら、タングステン金属粉末が溶解していき(内温は60℃まで上昇した)、薄い黄褐色に着色した均一の透明液が得られた。この溶液を室温まで冷却し、白金網を用いて残存する過酸化水素を分解した後、室温でロータリーエバポレーターを用いて、前記溶液から水を留去し、淡黄色の固体(タングステン酸化物)を得た。この固体を常温、空気開放系で恒量になるまで乾燥し、5.8gの固体を得た。
【0068】
濃縮前の均一透明液のUVスペクトル λH2Omax:204,238nm
濃縮前の均一透明液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3342,1275,1030,967,837cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3531,3452,2945,1653,1619,973,906,638,551cm-1
元素分析値;W:63.9,O:31.2,H:1.6
【0069】
実施例2 <ホウ化タングステンと過酸化水素との反応による酸化物の調製>
磁気回転子および還流冷却管を備えた100mLフラスコに、ホウ化タングステン粉末4.2gおよび水25gを加え、内温40℃で、攪拌しながら、60重量%過酸化水素水溶液18gを2時間かけて滴下した。同温度で2時間さらに保温し、白色の結晶がわずかに浮遊した無色溶液が得られた。この溶液を室温まで冷却し、白金網を用いて残存する過酸化水素を分解した後、室温でロータリーエバポレーターを用いて、前記溶液から水を留去し、白色の固体(酸化物)を得、これを常温、空気開放系で恒量になるまで乾燥し、5.8gの固体を得た。
【0070】
濃縮前の無色溶液のUVスペクトル λH2Omax:200,235(s)nm
濃縮前の無色溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3350,2836,1275,1158,965,836cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3527,3220,2360,2261,1622,1469,1196,973,904.5,884,791,640,549cm-1
元素分析値;W:51.2,O:39.0,H:2.2,B:3.98
【0071】
実施例3<硫化タングステンと過酸化水素との反応による酸化物の調製>
実施例2において、ホウ化タングステン粉末に代えて、硫化タングステン5.4gを用い、水の量を12gとした以外は実施例2と同様に実施して、淡黄色固体10.1gを得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル λH2Omax:200,240(s)nm
濃縮前の無色溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3373,1187,1044,974,878,837cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3435,3359,1730,1632,1320,1285,1178,1103,1070,1008,981,887,839,851,660,615,578cm-1
元素分析値;W:35.3,O:47.7,H:3.0,S:12.4
【0072】
実施例4<モリブデン金属と過酸化水素との反応による酸化物の調製>
実施例2において、ホウ化タングステン粉末に代えて、モリブデン金属2.1gを用い、水の量を12gとし、60重量%過酸化水素水溶液の使用量を12gとした以外は実施例2と同様に実施して、黄色固体4.0gを得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル λH2Omax:207,300nm
濃縮前の無色溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3359,2480,1372,974,866cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3530,1621,964,927,902,840,633,557,530,522cm-1
元素分析値;Mo:47.8,O:46.2,H:2.1
【0073】
実施例5<ホウ化モリブデンと過酸化水素との反応による酸化物の調製>
実施例2において、ホウ化タングステン粉末に代えて、ホウ化モリブデン2.3gを用い、水の量を12gとし、60重量%過酸化水素水溶液の使用量を12gとした以外は実施例2と同様に実施して、黄色固体5.2gを得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル λH2Omax:200,310nm
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3221,2520,2361,2262,1620,1463,1439,1195,965,927,887,840,799,674,634,547,529cm-1
元素分析値;Mo:35.5,O:51.0,H:2.9,B:4.1
【0074】
比較例1 <タングステン酸と過酸化水素との反応による酸化化合物の調製>
ビーカーに、タングステン酸(H2WO4)5.4gを加え、さらに15重量%過酸化水素水溶液50gを加え、室温で攪拌させた。タングステン酸の結晶が完溶しなかったので、内温を55℃に昇温し、さらに2時間攪拌、保持した。冷却後、未反応結晶を濾別し、得られた溶液を白金網を用いて残存する過酸化水素を分解した後、室温でロータリーエバポレーターを用いて前記溶液から水を留去し、淡黄色の固体を得た。この固体を常温、空気開放系で恒量になるまで乾燥し、3.0gの固体を得た。
【0075】
濃縮前の溶液のUVスペクトル λH2Omax:210,250(s)nm
濃縮前の溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3400,2833,1355,967,836cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3416,1623,1385,975,880,839,749,700,643,625,550cm-1
元素分析値;W:63.9,O:31.2,H:1.6
これらのスペクトルデータを前記実施例1で得られたタングステン金属と過酸化水素との反応で得られた酸化物と比較したが、異なる酸化物であった。
【0076】
実施例6
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水2gおよびタングステン金属97mgを仕込み、内温60℃で0.5時間攪拌、保持した。これにイソホロン3.5gおよび30重量%過酸化水素水25.8gを20分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を内温95℃のオイルバスで6時間加熱攪拌した。反応終了後、内温25℃まで冷却し、GC分析したところ、3,3−ジメチル−5−オキソへキサン酸が生成していた(面積百分率値:55%)。
【0077】
実施例7
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水2gおよびタングステン金属30mgを仕込み、内温60℃で0.5時間攪拌、保持した。これに3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボン酸メチル3.0gおよび30重量%過酸化水素水7.3gを仕込んだ。その後、反応液を内温95℃のオイルバスで6時間加熱攪拌した。反応終了後、内温25℃まで冷却し、GC分析したところ、3,3−ジメチル−2−カルボメトキシシクロプロパンカルボン酸が生成していた(面積百分率値:43%)。またアセトンの生成も確認した。
【0078】
実施例8
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水2gおよびタングステン金属90mgを仕込み、内温60℃で0.5時間攪拌、保持した。これに、1−メチルシクロヘキセン4.7gおよび30重量%過酸化水素水25.6gを仕込んだ。その後、反応液を、内温95℃のオイルバスで10時間加熱攪拌した。反応終了後、内温25℃まで冷却し、GC分析(内部標準法)したところ、6−オキソヘキサン酸が生成していた(収率:92%)。
【0079】
実施例9
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水200mgおよびホウ化タングステン40mgを仕込み、内温40℃で0.5時間攪拌、反応させた。得られた溶液を内温25℃に冷却後、tert−ブタノール1.5g、30重量%過酸化水素水および無水硫酸マグネシウム530mgを加え、1時間攪拌、保持した。得られたスラリー液に、3−カレン350mgとtert−ブタノール1.5gとからなる混合液を、10分かけて滴下し、内温25℃で24時間攪拌、保持した。反応溶液に、トルエン10gおよび水5gを加え、抽出処理し、有機層9.4gを得た。該有機層をLC分析したところ、3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンと3,4−カレンジオールが生成していた。なお、2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロパンアセトアルデヒドは検出されなかった。
【0080】
該有機層をGC分析したところ、3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンは、注入口部で熱分解し、2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロパンアセトアルデヒドとして検出されるため、2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロパンアセトアルデヒドの収率を、GC分析(内部標準法)結果から算出し、該収率を、3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンの収率とした。
3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンの収率:70.4%
3,4−カレンジオールの収率:21.7%
【0081】
3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンの物性データ
LC分析の保持時間:20.9分、LC−MS:M+=186
【0082】
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、室温で、30重量%過酸化水素水200mgおよびバナジウム金属粉末20mgを仕込み、攪拌したところ、激しく反応し、赤褐色均一溶液が得られた。この赤褐色均一溶液に、上記有機層9gを加え、室温で16時間、さらに内温60℃で3時間攪拌し、反応させた。反応液をLC分析したところ、3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンは消失し、2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロパンアセトアルデヒドおよび3,4−カレンジオールが検出された。GC分析(内部標準法)により、2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプ
ロパンアセトアルデヒドの収率を求めたところ、収率71.4%であった(3−カレン基準)。
【0083】
実施例10
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水400mgおよびタングステン金属粉末80mgを仕込み、内温40℃で、30分攪拌、反応させた。得られた溶液を、内温25℃に冷却し、tert−ブタノール2gおよび30重量%過酸化水素水800mgを加え、1時間攪拌した。この溶液に、3−カレン600mgとtert−ブタノール2.0gとからなる混合液を、10分かけて滴下し、内温25℃で、24時間攪拌し、反応させた。得られた反応液(3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシカレンと3,4−カレンジオールを含む)に、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液27gを加え、還元処理を行い、3,4−カレンジオールを得た。GC分析(内部標準法)によりその収率を求めたところ、70%であった(3−カレン基準)。
【0084】
実施例11
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水200mg、tert−ブタノールおよびホウ化タングステン22mgを仕込み、内温60℃で1時間攪拌、反応させた。内温25℃に冷却後、無水硫酸マグネシウム530mgを加え、さらに1−メチルシクロヘキセン270mg、tert−ブタノール1.0gおよび30重量%過酸化水素水500mgからなる混合液を、20分かけて滴下し、内温25℃で20時間攪拌、反応させたところ、1−メチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンを含む反応液を得た。該反応液をGC分析したところ、1−メチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンは、GC注入口部で熱分解し、6−オキソヘプチルアルデヒドとして検出された。検出された6−オキソヘプチルアルデヒドの面積百分率値は77.0%であった。
【0085】
実施例12
誘導攪拌器および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、タングステン金属粉末1gおよび水7.5gを仕込み、攪拌しながら、内温60℃で60重量%過酸化水素水7.5gを1時間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌、反応させ、均一溶液を得た。該均一溶液を室温まで冷却し、tert−ブタノール38gおよび無水硫酸マグネシウム13.3gを仕込み、室温でさらに14時間攪拌した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル10gとtert−ブタノール12gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、内温25℃で24時間攪拌、反応させた。その後、水60gを加え、トルエン50gで2回抽出処理し、トルエン溶液167.4gを得た。該トルエン溶液をLC分析したところ、トラン
ス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル、トランス−3,3−ジメチル−2−(1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが生成していた。
【0086】
トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ-2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの物性データ
LC分析の保持時間:18.7分、LC-MS:M+=232
1H−NMRスペクトル:δ8.82ppm、bs(−OOH由来)
【0087】
GC分析では、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルは注入口部で熱分解し、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとして検出されるため、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は、GC分析およびLC分析両方を用いて算出した。トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率:52.6%トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率:5%
【0088】
磁気回転子および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、五酸化バナジウム500mgおよびトルエン100gを仕込み、内温60℃で、上記トルエン溶液167gを2時間かけて滴下し、同温度でさらに1時間攪拌、反応させた。反応液をLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルは消失しており、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルのピークが検出された。GC分析(内部標準法)により、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は54.5%であった。
【0089】
実施例13
磁気回転子および還流冷却管を備えた100mLフラスコに、タングステン金属粉末400mgおよび水3gを仕込み、内温40℃で、60重量%過酸化水素水3gを1時間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌し、反応させ、均一溶液を得た。該均一溶液を室温まで冷却し、tert−ブタノール15gおよび無水硫酸マグネシウム5.3gを仕込み、室温でさらに1時間攪拌した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル4gとtert−ブタノール8gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、内温25℃で24時間攪拌、反応させた。その後、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液50gを加え、室温でさらに24時間攪拌した。その後、トルエン20gで2回抽出処理し、トルエン溶液83.7gを得た。トルエン溶液をGC分析したところ、該トルエン溶液中には、トランス−3,3−ジメチル−2−(1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルが含まれており、その収率(内部標準法による)は80%であった。
【0090】
実施例14
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、タングステン金属粉末40mgおよび30重量%過酸化水素水600mgを仕込み、内温40℃で1時間攪拌し、反応させた。室温まで冷却し、tert−ブタノール1.5gおよび無水硫酸マグネシウム530mgを仕込み、室温で1時間攪拌した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgとtert−ブタノール1.5gとからなる混合液を加え、内温60℃で4時間攪拌、反応させた後、水5gを加え、トルエン5gで2回抽出処理し、トルエン溶液を得た。トルエン溶液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが含まれており、その収率(内部標準法による)は、それぞれ33%、12%であった。
【0091】
実施例15
磁気回転子および還流冷却管を備えた100mLフラスコに、ホウ化タングステン粉末450mgおよび水3gを仕込み、内温40℃で、60重量%過酸化水素水3gを1時間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌し、反応させ、均一溶液を得た。該均一溶液を室温まで冷却し、tert−ブタノール15gおよび無水硫酸マグネシウム5.3gを仕込み、室温で1時間攪拌した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル4gとtert−ブタノール8gとからなる混合液を、内温15℃で20分かけて滴下し、同温度でさらに21時間攪拌し、反応させた。その後、水50gを加え、トルエン50gで2回抽出処理し、トルエン溶液を得た。トルエン溶液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが含まれており、その収率(内部標準法による)は、それぞれ58%、4%であった。
【0092】
実施例16
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、ホウ化タングステン粉末45mgおよび30重量%過酸化水素水200mgを仕込み、内温40℃で1時間攪拌、反応させ、均一溶液を得た。室温まで冷却し、tert−ブタノール1.5g、30重量%過酸化水素水400mgおよび無水硫酸マグネシウム530mgを仕込み、室温でさらに2時間攪拌した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgとtert−ブタノール0.8gとからなる混合液を、内温25℃で20分かけて滴下し、同温度でさらに16時間攪拌し、反応させた。その後、水5gを加え、トルエン5gで2回抽出処理し、トルエン溶液を得た。トルエン溶液を、GC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが含まれており、その収率(内部標準法による)は、それぞれ60.8%、6%であった。
【0093】
実施例17
誘導攪拌器および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、タングステン金属粉末2gおよび水15gを仕込み、内温40℃で60重量%過酸化水素水7.3gを1時間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌、反応させ、均一溶液を得た。該均一溶液を、室温まで冷却し、tert−ブタノール78g、60重量%過酸化水素水12gおよび無水硫酸マグネシウム26.6gを仕込み、室温で2時間攪拌、保持した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル20gとtert−ブタノール24gとからなる混合液を、内温20℃で3時間かけて滴下し、同温度でさらに20時間攪拌、反応させた。その後、水120gを加え、トルエン50gで2回抽出処理し、トルエン溶液251.7gを得た。トルエン溶液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが含まれており、その収率(内部標準法による)は、それぞれ58%、3%であった。
【0094】
磁気回転子および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、上記トルエン溶液245gを仕込み、内温15℃で28重量%ナトリウムメチラート液10.6gを加え、同温度で6時間、反応させた。得られた反応液を10重量%塩酸水100gで中和し、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液100g、次いで水100gで洗浄後、LC分析し、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルが消失し、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルのピークが検出されていることを確認した。GC分析(内部標準法)により、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は26.8%であった。
【0095】
実施例18
誘導攪拌器および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、タングステン金属粉末1gおよび水3gを仕込み、内温40℃で60重量%過酸化水素水9gを1時間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌、反応させ、均一溶液を得た。該均一溶液を室温まで冷却し、tert−ブタノール38gを仕込み、室温で1時間攪拌した。得られた溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル10gとtert−ブタノール12gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、内温25℃で18時間攪拌、反応させた。その後、水60gを加え、トルエン50gで2回抽出処理し、トルエン溶液を得た。トルエン溶液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが含まれており、その収率(内部標準法による)は、それぞれ50.5%、5%であった。
【0096】
実施例19
実施例17と同様に実施して、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルを含むトルエン溶液250gを得た(含量:4.28重量%)。この溶液を無水硫酸マグネシウム15gで脱水した後、塩化第二銅0.75gを加え、内温25℃で12時間攪拌、反応させた。反応液を5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液100g、次いで水100gで洗浄し、トルエン溶液187gを得た。該トルエン溶液をLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルが消失し、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルが検出された。GC分析(内部標準法)によりトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率を求めたところ、60.3%であった(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル基準)。
【0097】
実施例20
トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル4.1重量%およびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル0.61重量%を含むトルエン溶液50gに、tert−ブタノール50gおよび塩化ルテニウム0.11gを加え、室温で5時間攪拌、反応させた。反応液をLC分析し、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの消失を確認した。不溶物を濾過除去した反応液にトルエン113gを仕込み、減圧濃縮して、tert−ブタノール等の軽沸成分を約80g留去した。さらに5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液23gで洗浄し、トルエン溶液130gを得た。GC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量は1.1重量%であり、その収率は79%であった(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル基準)。
【0098】
実施例21
トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル3.73重量%およびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル0.37重量%を含むトルエン溶液40gに、酢酸パラジウム0.16gを加え、室温で6時間攪拌、反応させた。反応液から、不溶物を濾別(トルエン5gで洗い込みあり)し、5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液9g、次いで5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液5gで2回洗浄して、トルエン溶液34.2gを得た。GC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量は2.25重量%であり、その収率は61.9%であった(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル基準)。
【0099】
実施例22〜25
実施例21において、酢酸パラジウムに代えて、下表1に記載の化合物を用いた以外は実施例21と同様に実施した。トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率を下表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例26
トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル3.73重量%およびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル0.37重量%を含むトルエン溶液40gに、バナジン酸アンモニウム0.08gを加え、室温で5時間攪拌、その後内温85℃でさらに5時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、実施例21と同様の後処理を行い、トルエン溶液37.0gを得た。GC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量は1.5重量%であり、その収率は40.2%であった(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル基準)。
【0102】
実施例27
実施例26において、バナジン酸アンモニウムに代えて、酢酸コバルト(II)4水和物0.18gを用いる以外は実施例26と同様にして、トルエン溶液36gを得た。トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量:2.2重量%、収率:63.8%(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル基準)。
【0103】
実施例28
トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル4.1重量%およびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル0.61重量%を含むトルエン溶液40gに、塩化ニオブ(V)0.1gを加え、室温で15時間攪拌、その後内温85℃でさらに5時間反応させた。LC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの残存が見られたので、塩化第二銅二水和物0.1gを反応液に加え、室温で5時間さらに反応させた。実施例19と同様の後処理を行い、トルエン溶液36.0gを得た。トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量:2.2重量%、収率:63.8%(トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル基準)。
原料トルエン溶液と塩化ニオブ(V)を用いて得られた反応液(塩化第二銅添加前)をLC分析した結果(面積百分率値)を下表2に示す。なお、下表2において、ヒドロペルオキシド体は、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルを、ホルミル体は、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルをそれぞれ意味し、以下の実施例においても同様である。
【0104】
【表2】

【0105】
実施例29〜31
実施例28において、塩化ニオブ(V)に代えて、下表3に示す化合物を用いた以外は実施例28と同様に実施した。各実施例におけるトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率を下表3に示す。また、塩化第二銅を加える前の反応液のLC分析結果(面積百分率値)を下表4に示す。
【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【0108】
実施例32
トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル3.78重量%およびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル0.37重量%を含むトルエン溶液50gに、tert−ブタノール50gおよび塩化アンチモン(III)0.20gを加え、内温85℃で9時間攪拌、反応させた。室温まで冷却し、塩化第二銅0.10gを加えてさらに5時間攪拌、反応させた。反応液にトルエン113gを仕込み、減圧濃縮してtert−ブタノール等の軽沸成分を約120g留去した。さらに5重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液23gで洗浄し、トルエン溶液83.6gを得た。トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量:1.2重量%、収率:66.7%。
原料トルエン溶液と塩化アンチモン(III)を用いて得られた反応液(塩化第二銅添加前)をLC分析した結果(面積百分率値)を下表5に示す。
【0109】
【表5】

【0110】
実施例33
攪拌器および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、タングステン金属粉末1gおよび水9gを仕込み、内温50℃で60重量%過酸化水素水9gを1時間かけて滴下し、同温度でさらに1時間攪拌、反応させ、均一溶液を得た。該均一溶液を室温まで冷却し、tert−ブタノール38gおよび無水硫酸マグネシウム17gを仕込み、内温10℃で1時間攪拌した。得られたスラリー溶液に、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル10gとtert−ブタノールとからなる合液を、1時間かけて滴下し、同温度で20時間攪拌、反応させ、反応液67.2gを得た。該反応液9.6gに、臭化第一銅0.15gを加え、内温10℃でさらに2日間攪拌、反応させた。臭化第一銅を添加する前と添加して反応させた後の反応液のLC分析結果(面積百分率値)を下表6に示す。
【0111】
【表6】

【0112】
実施例34〜35
実施例33において、臭化第一銅に代えて、下表7に示した化合物を用いた以外は実施例33と同様に実施した。下表7に示した化合物の添加後の反応液のLC分析結果(面積百分率値)を下表7に示した。
【0113】
【表7】

【0114】
実施例36
100mLフラスコに、tert−ブタノール10g、30重量%過酸化水素水2gおよびホウ化タングステン215mgを仕込み、内温60℃で1時間攪拌、反応させた。内温20℃に冷却した後、無水硫酸マグネシウム5.3gを仕込み、さらにトランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル4gと30重量%過酸化水素水5gとtert−ブタノール10gとからなる混合液を、20分かけて滴下した。内温25℃で36時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は48.3%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は5%であった。
【0115】
実施例37
50mLのフラスコに、tert−ブタノール3g、30重量%過酸化水素水200mg、無水ホウ酸16mgおよびタングステン金属粉末40mgを仕込み、内温60℃で1時間攪拌、反応させた。内温25℃に冷却した後、無水硫酸マグネシウム530mgを仕込み、さらにトランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgと30重量%過酸化水素水600mgとtert−ブタノール1.8gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、同温度で16時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は54.8%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は6%であった。
【0116】
実施例38
100mLのフラスコに、tert−ブタノール10g、30重量%過酸化水素水2.0gおよびホウ化タングステン215mgを仕込み、内温60℃で1時間攪拌、反応させた。内温20℃に冷却した後、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル4gと30重量%過酸化水素水4gとtert−ブタノール10gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、同温度で48時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミル
シクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は36%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は4%であった。
【0117】
実施例39
50mLのフラスコに、tert−ブタノール3g、30重量%過酸化水素水200mg、タングステン金属粉末40mgを仕込み、内温60℃で1時間攪拌、反応させた。内温25℃に冷却した後、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgと30重量%過酸化水素水400mgとtert−ブタノール1.8gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、同温度で24時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は45%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は5%であった。
【0118】
実施例40
50mLのフラスコに、メチルtert−ブチルエーテル3g、30重量%過酸化水素水1.2gおよびホウ化タングステン40mgを仕込み、内温50℃で1時間攪拌、反応させた。これに無水硫酸マグネシウム2.3gを仕込み、さらにトランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgとメチルtert−ブチルエーテル1.8gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、同温度で2時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は37%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は4%であった。
【0119】
実施例41
50mLのフラスコに、tert−ブタノール3g、硫酸マグネシウム2.3g、無水ホウ酸300mgおよびホウ化タングステン40mgを仕込んだ。内温60℃で、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgと30重量%過酸化水素水600mgとtert−ブタノール1.8gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、同温度で2時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は42.2%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は5%であった。
【0120】
実施例42
50mLフラスコに、tert−ブタノール3gおよび硫化タングステン51mgを仕込み、内温60℃で、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgと30重量%過酸化水素水1.5gとtert−ブタノール1.8gとからなる混合液を、20分かけて滴下し、同温度で2時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルを含む反応液を得た。該反応液をGC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルは、GC注入口部で熱分解し、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとして検出された。検出されたトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルのGC面積百分率値は23.8%であった。
【0121】
実施例43〜44
実施例42において、硫化タングステンに代えて、下表8に示す金属化合物を用いた以外は実施例42と同様に実施した。検出されたトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルのGC面積百分率値を下表8に示す。
【0122】
【表8】

【0123】
実施例45
50mLのフラスコに、モリブデン金属粉末20mgを仕込み、30重量%過酸化水素水200mgを加えた後、tert−ブタノール1.5gおよび無水硫酸マグネシウム530mgを仕込み、さらにトランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル400mgと30重量%過酸化水素水600mgとtert−ブタノール1.5gとからなる混合液を、20分かけて滴下した。内温25℃で40時間攪拌、反応させ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルとトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルとを含む反応液を得た。該反応液をGC分析およびLC分析したところ、トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルの収率は51.7%、トランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率は5%であった。また、原料のトランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルが18.2%(GC面積百分率値)残存していた。
【0124】
実施例46〜48
実施例45において、反応条件を下表9に示す条件に代えた以外は実施例45と同様に実施した。トランス−3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシ−2−メチルプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチルおよびトランス−3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率と原料トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルのGC面積百分率値を下表9に示した。なお、表中、MTBEは、メチルtert−ブチルエーテルを意味する。
【0125】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2)

(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表わす。また、R1とR2、R1とR3またはR2とR3が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に、第Va族元素化合物、第VIIa族元素化合物、第VIII族元素化合物、第Ib族元素化合物、第IIb族元素化合物、第IIIb族元素化合物、第IVb族元素化合物、第Vb族元素化合物およびランタニド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を作用させて、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を分解することを特徴とするケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項2】
第Va族元素化合物が、バナジウム化合物またはニオブ化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項3】
第VIIa族元素化合物が、レニウム化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項4】
第VIII族元素化合物が、鉄化合物、ルテニウム化合物、コバルト化合物、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ニッケル化合物またはパラジウム化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項5】
第Ib族元素化合物が、銅化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類製造方法。
【請求項6】
第IIb族元素化合物が、亜鉛化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項7】
第IIIb族元素化合物が、ホウ素化合物またはアルミニウム化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項8】
第IVb族元素化合物が、スズ化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項9】
第Vb族元素化合物が、ビスマス化合物またはアンチモン化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。
【請求項10】
ランタニド化合物が、ジスプロシウム化合物である請求項1記載のケトン類およびアルデヒド類の製造方法。

【公開番号】特開2012−116852(P2012−116852A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19580(P2012−19580)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【分割の表示】特願2001−241895(P2001−241895)の分割
【原出願日】平成13年8月9日(2001.8.9)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】