説明

ケモカインレセプターアンタゴニストとしてのピペラジニルピペリジン誘導体

【課題】ケモカインレセプター、例えばCCR5の活性を調節するかまたは結合する新規化合物の提供。
【解決手段】式Iの化合物:


この化合物は、ケモカインレセプター(例えば、CCR5)の活性を調節するかまたはケモカインレセプター(例えば、CCR5)に結合する。いくつかの実施態様において、この化合物は、CCR5に選択的である。化合物は、例えばケモカインレセプターの発現または活性との関連疾患、例えば炎症性疾患、免疫疾患およびウイルス感染を処置するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケモカインレセプター、例えばCCR5の活性を調節するかまたは結合する化合物に関する。いくつかの実施態様において、該化合物はCCR5に選択的である。該化合物をケモカインレセプターの発現または活性に関連のある疾患、例えば炎症性疾患、免疫疾患およびウイルス感染を処置するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
血管から疾患組織への白血球の遊走および輸送は、正常な疾患と戦う炎症反応の開始に関係がある。その過程は白血球動員として知られており、生命を脅かす炎症性および消耗性の自己免疫疾患の発症と進行にも関係している。これら疾患の結果である病状は、正常組織に対する体の免疫系防御の攻撃に起因する。従って、炎症性自己免疫疾患における標的組織への白血球動員の防止および阻害は、治療処置に対する非常に有効なアプローチである。
【0003】
細胞性免疫応答に関与する様々なクラスの白血球細胞には、単球、リンパ球、好中球、好酸球および好塩基球が包含される。ほとんどの場合、リンパ球は、慢性炎症反応を開始させ、協調し、維持する白血球のクラスであって、炎症性部位へのこれらの細胞の侵入の阻害が望まれる。リンパ球は単球を該組織部位へ導き、単球は、リンパ球と協同して、炎症性疾患において起こる実際の大部分の組織損傷に関与する。リンパ球および/または単球の浸潤は、広範な慢性自己免疫疾患、そして臓器移植拒絶を導くことも知られている。これら疾患には次のものが含まれるがこららに限定されない;関節リュウマチ、慢性接触性皮膚炎、炎症性腸疾患、狼瘡、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、アテロ−ム性動脈硬化症、乾癬、サルコイドーシス多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、乾癬、サルコイドーシス、特発性肺線維症、皮膚筋炎、皮膚類天疱瘡および関連する疾患[例えば、尋常性天疱瘡、葉状天疱瘡(p. foliacious)、紅斑性天疱瘡(p. erythematosis)]、糸球体腎炎(glomerulonephritides)、血管炎(vasculitides)、肝炎、糖尿病、同種移植片拒絶、および移植片対宿主病。
【0004】
白血球が血流を離れ炎症性部位に蓄積し、疾患を開始させる過程は、(1)移動(rolling)、(2) 活性化/強固な接着および(3)経皮内移動として説明される少なくとも3つの段階を有すると考えられている[Springer, T. A., Nature 346:425-433 (1990); Lawrence and Springer, Cell 65:859-873 (1991); Butcher, E. C., Cell 67:1033-1036 (1991)]。第二段階は、分子レベルで化学誘引物質受容体により媒介される。白血球表面の化学誘引物質受容体は、次いで損傷または感染部位の細胞によって分泌された化学誘引物質サイトカインに結合する。受容体結合は白血球を活性化し、経皮内移動を媒介する接着分子の接着性を増加させ、化学誘引物質サイトカインの源への細胞の有向性移動を促進する。
【0005】
ケモカインとしても知られ、またインタークリンおよびSISサイトカインとしても知られる走化性サイトカイン(白血球化学誘引物質/活性化因子)は、分子量6-15 kDaの炎症性/免疫調節性ポリペプチド因子の一群であり、様々な細胞、例えば、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、線維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞および肥満細胞から炎症性部位において放出される[Luster, New Eng. J Med., 338, 436-445 (1998) and Rollins, Blood, 90, 909-928 (1997)に概説される]。また、ケモカインは、Oppenheim, J. J. et al., Annu. Rev. Immunol., 9:617-648 (1991); Schall and Bacon, Curr. Opin. Immunol., 6:865-873 (1994); Baggiolini, M., et al., and Adv. Immunol., 55:97-179 (1994) においても記載されている。ケモカインは走化性として知られる段階である方向性細胞移動を刺激する能力がある。それぞれのケモカインは4つのシステイン残基(C)および2つの内部ジスルフィド結合を有する。ケモカインは2つのアミノ末端システイン残基が隣接しているか(CCファミリー)または1アミノ酸によって隔てられているか(CXCファミリー)に基づいて2つのサブファミリーに分けることが出来る。これらの相違は、これら2つのサブファミリーの体系が別々の遺伝子クラスターに位置していることと関係する。各遺伝子クラスター内では、ケモカインは典型的には25〜60%の配列類似性を示す。CXC ケモカイン、例えばインターロイキン-8 (IL-8)、好中球-活性化タンパク質-2 (NAP-2)およびメラノーマ増殖刺激活性タンパク質(MGSA)は主に好中球およびTリンパ球に対して走化性であるが、CCケモカイン、例えば、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、単球走化性タンパク質(MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、およびMCP-5)およびエオタキシン(eotaxin)(-1および-2)は細胞型の中でも特に、マクロファージ、Tリンパ球、好酸球、樹状細胞および好塩基球に対して走化性である。ケモカインとしては、リンホタクチン-1、リンホタクチン-2 (ともにCケモカイン)、およびフラクタルカイン(CXXXC ケモカイン)があり、これらは主なケモカインサブファミリーのいずれにも属さない。
【0006】
MCP-1[MCAF (マクロファージ走化性および活性化因子の略)またはJEとしても知られている]は、単球/マクロファージ、平滑筋細胞、線維芽細胞、および血管内皮細胞によって産生されるCCケモカインであり、単球(例えば、Valente, A. J., et al., Biochemistry, 1988, 27, 4162; Matsushima, K., et al., J. Exp. Med., 1989, 169, 1485; Yoshimura, T., et al., J. Immunol., 1989, 142, 1956; Rollins, B. J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1988, 85, 3738; Rollins, B. J., et al., Blood, 1991, 78, 1112; Jiang, Y., et al., J. Immunol., 1992, 148, 2423; Vaddi, K., et al., J. Immunol., 1994, 153, 4721) を参照されたい)、メモリーTリンパ球(例えば、Carr, M. W., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91, 3652)、Tリンパ球(例えば、Loetscher, P., et al., FASEB J., 1994, 8, 1055を参照されたい)およびナチュラルキラー細胞(例えば、Loetscher, P., et al., J. Immunol., 1996, 156, 322; Allavena, P., et al., Eur. J. Immunol., 1994, 24, 3233を参照されたい)の細胞遊走および細胞接着を引き起こし、好塩基球によるヒスタミン放出(例えば、Alam, R., et al., J. Clin. Invest., 1992, 89, 723; Bischoff, S. C., et al., J. Exp. Med., 1992, 175, 1271; Kuna, P., et al., J. Exp. Med., 1992, 175, 489を参照されたい)も媒介する。さらに、MCP-1の高発現は、単球/マクロファージおよび/またはT細胞の蓄積が疾患の開始または進行に重要であると考えられている疾患、例えば以下のような疾患において報告されている:アテローム性動脈硬化症 (例えば、Hayes, I. M., et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 1998, 18, 397; Takeya, M.. et al., Hum. Pathol., 1993, 24, 534; Yla-Herttuala, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1991, 88, 5252; Nelken, N. A., J. Clin. Invest., 1991, 88, 1121を参照されたい)、リュウマチ関節炎(例えば、Koch, A. E., et al., J. Clin. Invest., 1992, 90, 772; Akahoshi, T., et al., Arthritis Rheum., 1993, 36, 762; RobinSOn, E., et al., Clin. Exp. Immunol., 101, 398を参照されたい)、腎炎(例えば、 Noris, M., et al., Lab. Invest., 1995, 73, 804; Wada, T., at al., Kidney Int., 1996, 49, 761; Gesualdo, L., et al., Kidney Int., 1997, 51, 155を参照されたい)、腎障害(例えば、 Saitoh, A., et al., J. Clin. Lab. Anal., 1998, 12, 1; Yokoyama, H., et al., J. Leukoc. Biol., 1998, 63, 493を参照されたい)、肺線維症、肺サルコイドーシス(例えば、Sugiyama, Y., et al., Internal Medicine, 1997, 36, 856を参照されたい)、喘息(例えば、Karina, M., et al., J. Invest. Allergol. Clin. Immunol., 1997, 7, 254; Stephene, T. H., Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1997, 156, 1377; SOusa, A. R., et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 1994, 10, 142を参照されたい)、多発性硬化症(例えば、McManus, C., et al., J. Neuroimmunol., 1998, 86, 20を参照されたい)、乾癬(例えば、Gillitzer, R., et al., J. Invest. Dermatol., 1993, 101, 127を参照されたい)、炎症性腸疾患(例えば、Grimm, M. C., et al., J. Leukoc. Biol., 1996, 59, 804; Reinecker, H. C., et al., Gastroenterology, 1995, 106, 40を参照されたい)、心筋炎 (例えば、Seino, Y., et al., Cytokine, 1995, 7, 301を参照されたい)、子宮内膜症 (例えば、Jolicoeur, C., et al., Am. J. Pathol., 1998, 152, 125を参照されたい)、腹腔内癒着(例えば、Zeyneloglu, H. B., et al., Huma Reproduction, 1998, 13, 1194を参照されたい)、うっ血性心不全(例えば、Aurust, P., et al., Circulation, 1998, 97, 1136を参照されたい)、慢性肝疾患(例えば、Marra, F., et al., Am. J. Pathol., 1998, 152, 423を参照されたい)、ウイルス性髄膜炎(例えば、 Lahrtz, F., et al., Eur. J. Immunol., 1997, 27, 2484を参照されたい)、川崎病(例えば、Wong, M.; et al., J. Rheumatol., 1997, 24,1179を参照されたい) および敗血症 (例えば、Salkowski, C. A.; et al., Infect. Immun., 1998, 66, 3569を参照されたい)。さらに、抗-MCP-1抗体は、関節リュウマチ関節炎(例えば、Schimmer, R. C., et al., J. Immunol., 1998, 160, 1466; Schrier, D. J., J. Leukoc. Biol., 1998, 63, 359; Ogata, H., et al., J. Pathol., 1997, 182, 106を参照されたい)、多発性硬化症 (例えば、Karpus, W. J., et al., J. Leukoc. Biol., 1997, 62, 681)、腎炎(例えば、Lloyd, C. M., et al., J. Exp. Med., 1997, 185, 1371; Wada, T., et al., FASEB J., 1996, 10, 1418を参照されたい)、喘息(例えば、Gonzalo, J.-A., et al., J. Exp. Med., 1998, 188, 157; Lukacs, N. W., J. Immunol., 1997, 158, 4398を参照されたい)、アテロ−ム性動脈硬化症(例えば、Guzman, L. A., et al., Circulation, 1993, 88 (suppl.), I-371を参照されたい)、遅延型過敏症(例えば、 Rand, M. L., et al., Am. J. Pathol., 1996, 148, 855を参照されたい)、肺高血圧(例えば、Kimura, H., et al., Lab. Invest., 1998, 78, 571を参照されたい)、および腹腔内癒着(例えば、Zeyneloglu, H. B., et al., Am. J. Obstet. Gynecol., 1998, 179, 438を参照されたい)の動物モデルにおいて、阻害効果または治療効果を示すことが報告されている。MCP-1、MCP-1(9-76)のペプチドアンタゴニストもまた、マウスモデルにおいて関節炎を阻害すると報告されており(Gong, J.-H., J. Exp.,4ed., 1997, 186, 131を参照されたい)、またMCP-1-欠損マウスでの研究により、MCP-1がインビボでの単球動員に重要であることが示されている(Lu, B., et al., J. Exp. Med., 1998, 187, 601; Gu, L., et al., Moll. Cell, 1998, 2, 275を参照されたい)。
【0007】
公表されている文献には、ケモカイン、例えば、MCP-1およびMIP-1αは単球およびリンパ球を疾患部位に引きつけ、その活性化を媒介し、それによって単球およびリンパ球が深く関係する疾患の開始、進行および維持に本質的にかかわっていると考えられている。かかる疾患としては、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、関節リュウマチ、乾癬、喘息、潰瘍性大腸炎、腎炎(腎障害)、多発性硬化症、肺線維症、心筋炎、肝炎、膵炎、サルコイドーシス、クローン病、子宮内膜症、うっ血性心不全、ウイルス性髄膜炎、脳梗塞、神経障害、川崎病、および敗血症が挙げられる(例えば、Rovin, B. H., et al., Am. J. Kidney. Dis., 1998, 31, 1065; Lloyd, C., et al., Curr. Opin. Nephrol. Hypertens., 1998, 7, 281; Conti, P., et al., Allergy and Asthma Proc., 1998, 19, 121; RanSOhoff, R. M., et al., Trends Neurosci., 1998, 21, 154; MacDermott, R. P., et al., Inflammatory Bowel Diseases, 1998, 4, 54)。
【0008】
ケモカインはGタンパク質共役7回膜貫通型タンパク質のファミリーに属する「ケモカイン受容体」と称される特定の細胞表面受容体に結合する(Horuk, Trends Pharm. Sci., 15, 159-165 (1994)に概説されている)。同属リガンドに結合すると、ケモカイン受容体は、結合した三量体Gタンパク質を介して細胞内シグナルを伝達し、その結果、他の応答の中でも、特に細胞内カルシウム濃度の迅速な上昇、細胞形態の変化、細胞接着分子の発現上昇、脱顆粒、細胞移動の促進が起こる。
【0009】
特定のケモカインの受容体をコードする遺伝子がクローニングされており、これら受容体は様々な白血球集団に存在するGタンパク質共役7回膜貫通型受容体であることが今では知られている。今日まで、少なくとも5つのCXCケモカイン受容体(CXCR1-CXCR5)と8つのCC ケモカイン受容体(CCR1-CCR8)が同定されている。例えば、IL-8はCXCR1およびCXCR2のリガンドであり、MIP-1αはCCR1およびCCR5のリガンドであり、MCP-1はCCR2AおよびCCR2Bのリガンドである(例えば、Holmes, W. E., et al., Science 1991, 253, 1278-1280; Murphy P. M., et al., Science, 253, 1280-1283; Neote, K. et al, Cell, 1993, 72, 415-425; Charo, I. F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91, 2752-2756; Yamagami, S., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 202, 1156-1162; Combadier, C., et al., The Journal of Biological Chemistry, 1995, 270, 16491-16494, Power, C. A., et al., J. Biol. Chem., 1995, 270, 19495-19500; Samson, M., et al., Biochemistry, 1996, 35, 3362-3367; Murphy, P. M., Annual Review of Immunology, 1994, 12, 592-633を参照されたい)。肺炎症および肉芽腫の形成が、CCR1-欠損マウスにおいて抑制されていることが報告されており(Gao, J.-L., et al., J. Exp. Med., 1997, 185, 1959; Gerard, C., et al., J. Clin. Invest., 1997, 100, 2022を参照されたい)、そしてマクロファージの補充およびアテローム硬化型病状の形成はCCR2-欠損マウスにおいて減少していることが報告されている(Boring, L., et al., Nature, 1998, 394, 894; Kuziel, W. A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1997, 94, 12053; Kurihara, T., et al., J. Exp. Med., 1997, 186, 1757; Boring, L., et al., J. Clin. Invest., 1997, 100, 2552を参照されたい)。
【0010】
ケモカインレセプターは、ウイルス感染、例えばHIV感染をもたらすウイルス侵入に対するコレセプターとしても知られている。逆転写およびタンパク質プロセシングは、ウイルスのライフサイクルの標準的な段階であって、アンチレトロウイルス治療剤はこの段階を遮断するように設計される。ウイルス侵入を遮断すると考えられる多くの新薬が期待されてきたが、HIV-1が耐性を獲得できなくなった薬剤はいまだ存在していない。複数回のウイルス複製は、耐性の基礎を形成する遺伝変化を生成するために必要とされる。複製が最も抑制される併用治療は、他の薬剤を用いる処置のように、侵入阻害剤を用いる処置の第一歩となる。ウイルス侵入過程における複数段階の標的化は、共同作用に対する可能性を有すると考えられている(Starr-Spires et al., Clin. Lab. Med., 2002, 22(3), 681.)。
【0011】
CD4(+) 細胞に侵入したHIV-1は、CD4とコレセプター、例えばケモカインレセプターCCR5とCXCR4と、ウイルスエンベロープの糖タンパク質との順次的相互作用を必要とする。この過程を遮断するための有望なアプローチは、コレセプター機能の低分子アンタゴニストを使用することである。TAK-779 分子は、HIV-1 感染を予防するように機能するかかるCCR5のアゴニストの一つである。TAK-779 は、ウイルス表面糖タンパク質gp120とCCR5との相互作用を遮断することによって膜融合段階でHIV-1 複製を阻害する。TAK-779に対するCCR5上の結合部位は、膜貫通のヘリックス1、2、3および7の間に形成された溝内の該レセプターの細胞外表面に付近に位置する(Dragic et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000, 97(10), 5639)。
【0012】
ケモカインレセプターCXCR4およびCCR5は、T細胞-走行性(X4)およびマクロファージ走行性(R5) HIV-1 株によって、それぞれそれら宿主細胞に侵入するための、コレセプターとして使用されると考えられる。CD4リンパ球およびマクロファージでのHIV-1のR5 株の伝搬には、細胞表面上でのCCR5コレセプターの発現が必要である。CCR5を欠損している固体(CCR5 Delta 32 ホモ接合体遺伝子型)は、表現型的に正常であり、HIV-1による感染に対して耐性である。ウイルス侵入は、CXCR4(CXCケモカインSDF-1)およびCCR5(CCケモカインRANTES、MIP-1αおよびMIP-1β)に対する天然リガンドによって阻害され得る。CXCR4とではなくCCR5と相互作用する最初の非ペプチド様化合物は、TAK-779と呼ばれ、強力ではあるが変化し易い抗HIV活性を持つ第四級アンモニウム誘導体である(De Clercq et al., Antivir. Chem. Chemother. 2001, 12 Suppl.1, 19)。
【0013】
SCH-C(SCH 351125)は、CCR5コレセプターを介して侵入するHIV-1の別の低分子阻害剤である。SCH-C、オキシム-ピペリジン化合物は、複数のレセプター結合およびシグナルトランスダクションアッセイにおいて決定されるような特異的CCR5アンタゴニストである。この化合物は、U-87星細胞腫中のCCR5によって媒介されるHIV-1感染を特異的に阻害するが、CXCR4-発現細胞の感染に対しては効果がない[Strizki et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2001, 98(22), 12718、またはTremblay et al., Antimiclobial Agents and Chemotherapy, 2002, 46(5), 1336]。
【0014】
SCH-Cに化学的に関連のあるAD101は、ヒトCCR5を介するヒト免疫不全ウイルスタイプ1(HIV-1)の侵入を阻害する。AD101は、赤毛アカークザルのCCR5を介するHIV-1侵入を阻害する一方で、SCH-Cは阻害しないことが判っている。コレセプターのヒトとアカークザルの間で異なる8つの残基の中のうち、ただ一つメチオニン-198が、SCH-Cによる阻害に対するアカークザルCCR5の無反応性を証明している。位置198は、CCR5膜貫通(TM)ヘリックス5中にあり、TMヘリックス1、2、3および7中の残基を包含するAD101およびSCH-Cに対する以前に定義された結合部位内には位置しなかった。CCR5におけるアミノ酸置換の試験から、残基198付近のCCR5の領域がこのレセプターのコンフォーマル状態に影響する可能性があるということが示唆された(Billick et al., 2004, J. Virol., 78(8), 4134)。
【0015】
従って、ケモカインとそれら各レセプターとの結合を阻害する医薬剤は、標的細胞上でケモカインの作用を阻害するおよび/またはこれらのレセプターを発現する細胞へのウイルス侵入を遮断する医薬剤として有用であり得る。ケモカインレセプターの活性を調節するかまたはウイルスタンパク質の結合を遮断する化合物の同定は、炎症疾患、ウイルス感染およびケモカインレセプター活性化に関連のあるその他疾患の処置のための医薬の開発に関する卓越した薬物設計アプローチである。本発明の化合物は、これらの、そしてその他の必要性を満たす助けとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の要旨
本発明は、式Iの化合物:
【化1】


I
または医薬的に許容し得る塩またはそれらのプロドラッグを提供するものであり、
式中、構成メンバーは本明細書中に定義される。
本発明は、式Iの化合物および医薬的に許容し得る担体を含む組成物をさらに提供する。
本発明は、ケモカインレセプターと式Iの化合物との接触を含む、ケモカインレセプターの活性を調節する方法をさらに提供する。
本発明は、治療上有効量の式Iの化合物を患者に投与することを含む、該患者におけるケモカインレセプターの発現または活性と関連する疾患を処置する方法をさらに提供する。
本発明は、治療上有効量の式Iの化合物を患者に投与することを含む、該患者において炎症性疾患、免疫不全およびウイルス感染から選択される疾患または症状を処置する方法をさらに提供する。
本発明は、治療上有効量の式Iの化合物を患者に投与することを含む、該患者におけるHIV感染を処置する方法をさらに提供する。
本発明は、治療における式Iの化合物の使用をさらに提供する。
本発明は、治療における使用のための医薬物調製のために、式Iの化合物の使用をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、とりわけ式Iの化合物:
【化2】


I
または、医薬的に許容し得る塩またはそのプロドラッグを提供するものであって、
式中、
R1は、1以上のR6により所望により置換されたヘテロアリールであり;
R2は、H、ハロ、シアノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、SOR7、SO2R7、COR8、OR9、SR9、COOR9、NR10R11またはNR10COR8であり;
R3は、F、Cl、Br、I、C1-C4ハロアルキル、C1-C4ハロアルコキシまたはヘテロアリールであり;
R4は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたはC1-C6ハロアルキルであり;
R5は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたはC1-C6ハロアルキルであり;
R6は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ、アミノ、(C1-C6アルキル)アミノまたはジ(C1-C6アルキル)アミノであり;
R7は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、(C3-C7シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、またはNR12R13であり;
R8は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、(C3-C7シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、またはNR12R13である;
R9は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル;(C3-C7シクロアルキル)アルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R10およびR11は、各々独立して、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル;(C3-C7シクロアルキル)アルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルであり;あるいは
R10およびR11は、それらが結合するN原子と一体となって、3-、4-、5-、6-、または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R12およびR13は、各々独立して、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル;(C3-C7シクロアルキル)アルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキル;あるいは
R12およびR13は、それらが結合するN原子と一体となって3-、4-、5-、6-、または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する;そして
rは、1、2または3である。
【0018】
いくつかの実施態様において、R1は、少なくとも一つの環形成N原子を含有する5-、6-、9-または10員ヘテロアリール基であって、該5-、6-、9-または10員ヘテロアリール基は、1、2、3または4のR6基によって所望により置換される。
【0019】
いくつかの実施態様において、R1は、少なくとも一つの環形成N原子を含有する9-または10員ヘテロアリール基であり、該6員ヘテロアリール基は、1、2、3または4つのR6基によって所望により置換される。
【0020】
いくつかの実施態様において、R1は、少なくとも一つの環形成N原子を含有する6-または5員ヘテロアリール基であり、該5員ヘテロアリール基は、1、2、3または4のR6基によって所望により置換される。
【0021】
いくつかの実施態様において、R1は、少なくとも一つの環形成N原子を含有する6員ヘテロアリール基、該6員ヘテロアリール基は、1、2、3または4個のR6基によって所望により置換される。
【0022】
いくつかの実施態様において、R1は、少なくとも一つの環形成N原子を含有する5員ヘテロアリール基であり、該5員ヘテロアリール基は、1、2、3または4のR6基により所望により置換される。
【0023】
いくつかの実施態様において、R1は、各々1、2、3または4のR6基によって所望により置換されていてもよい、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、インドリル、インダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、N-オキソピリジル、N-オキソピリミンジニル、イソオキサゾール、ピラゾール、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリルまたはチアゾリルである。
【0024】
いくつかの実施態様において、R1は、各々1、2、3または4のR6基によって所望により置換されていてもよい、キノリニル、イソキノニル、ナフチリジニル、ピリジル、ピリミジニル、N-オキソピリジル、イソオキサゾールまたはピラゾールである。
【0025】
いくつかの実施態様において、R1は、各々1、2、3または4のR6基によって所望によりされていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、N-オキソピリジル、N-オキソピリミンジニル、イソオキサゾール、ピラゾール、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリルまたはチアゾリルである。
【0026】
いくつかの実施態様において、R1は、各々1、2、3または4のR6基によって所望により置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、N-オキソピリジル、イソオキサゾールまたはピラゾールである。
【0027】
いくつかの実施態様において、R1は次のものである:
【化3】

いくつかの実施態様において、R1は次のものである:
【化4】


いくつかの実施態様において、R1は次のものである:
【化5】

いくつかの実施態様において、R1は次のものである:
【化6】

【0028】
いくつかの実施態様において、R1は次のものである:
【化7】

いくつかの実施態様において、R1は次のものである:
【化8】

【0029】
いくつかの実施態様において、R2は、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、OR9、SR9またはNR10R11である。
いくつかの実施態様において、R2は、HまたはOR9である。
いくつかの実施態様において、R3は、F、Br、CF3または6-または5員ヘテロアリールである。
【0030】
いくつかの実施態様において、R3は、F、Br、CF3、OCF3、チアゾリル、ピリミジニル、ピリジルである。
いくつかの実施態様において、R3は、F、Br、またはCF3である。
いくつかの実施態様において、R4は、C1-C6アルキルである。
【0031】
いくつかの実施態様において、R4は、メチルである。
いくつかの実施態様において、R5は、C1-C6アルキルである。
いくつかの実施態様において、R5は、メチルである。
いくつかの実施態様において、rは1である。
いくつかの実施態様において、rは2である。
【0032】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、式IIaまたはIIbである。
【化9】

式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R1は次のものである。
【化10】

【0033】
式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R1は次のものである。
【化11】


式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R1は次のものである。
【化12】

【0034】
式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R1は次のものである。
【化13】

【0035】
式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R2は、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、OR9、SR9またはNR10R11である。
式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R2は、HまたはOR9である。
【0036】
式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R3は、F、Br、CF3、5-または6員ヘテロアリールである。
式IIaまたはIIbを有する化合物のいくつかの実施態様において、R3は、F、BrまたはCF3である。
【0037】
明瞭性のために、個々の実施態様の範囲内に記載された本発明のある特徴が、1つの実施態様における組合せにおいて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔性のために、1つの実施態様の範囲に記載された本発明の様々な特徴が、個々に、またはいずれかの適当な副次的組合せにおいても提供され得る。
【0038】
明細書で使用した場合、用語“アルキル”は、直鎖または分枝鎖である飽和炭化水素基を示すことを意味する。例示的なアルキル基には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが包含される。アルキル基は、1〜約20、2〜約20、1〜約10、1〜約8、1〜約6、1〜約4、または1〜約3個の炭素原子を含有できる。
【0039】
明細書で使用した場合、“アルケニル”は、1以上の二重の炭素-炭素結合を有するアルキル基を示す。例示的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニルなどが包含される。
【0040】
明細書で使用した場合、“アルキニル”は、1以上の三重の炭素-炭素結合を有するアルキル基を示す。例示的なアルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが包含される。
【0041】
明細書で使用した場合、“ハロアルキル”は、1以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を示す。例示的なハロアルキル基には、CF3、C2F5、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5などが包含される。ハロゲン原子によって置換されるアルキル基中の全ての水素原子は、“パーハロアルキル”と示される。例示的なパーハロアルキル基には、CF3およびC2F5が包含される。
【0042】
明細書で使用した場合、“アリール”は、単環式または多環式芳香族炭化水素、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどを示す。いくつかの実施態様において、アリール基は、6〜約18個の炭素原子を有する。
【0043】
明細書で使用した場合、“シクロアルキル”は、非芳香族環式炭化水素を示し、これには、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が含まれる。シクロアルキル基は、二または多環式の環系を包含でき、所望により不飽和度を含有し得る。例示的なシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどを包含する。また、シクロアルキルの定義に含まれるものは、シクロアルキル環と融合された(即ち、シクロアルキル環と共通の結合を有する)1以上の芳香環、例えばシクロペンタン(インダニル)、シクロヘキサン(テトラヒドロナフチル)のベンゾ誘導体などを有する成分である。シクロアルキル基は、約3〜約20、3〜約12、または3〜約7個の炭素原子を有することができる。
【0044】
明細書で使用した場合、“ヘテロアリール”基は、少なくとも一つのヘテロ原子の環員、例えば硫黄、酸素または窒素を有する単環式および多環式芳香族炭化水素である。ヘテロアリール基には、ピリジル、N-オキソピリジル、ピリミジニル、N-オキソピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ナフチリジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル-S-オキシド、2,3-ジヒドロベンゾチエニル-S-ジオキシドなどを包含するが、これに限定するものではない。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施態様において、約3〜約20個の炭素原子を有し得る。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、1〜約4、1〜約3、または1〜2個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、5〜50、5〜20、5〜14または5〜7環員メンバーを有する。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、5-、6-、9-、または10員の基である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、少なくとも一つの環形成N原子を含有する。
【0045】
明細書で使用した場合、“ヘテロシクロアルキル”は、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を包含する環化非芳香族炭化水素を示す。ここで1以上の環形成炭素原子はヘテロ原子、例えばO、N、またはS原子によって置換される。例示的なヘテロシクロアルキル基には、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリノ、テトラヒドロフラニルなどを包含する。また、ヘテロシクロアルキルの定義に含まれるものは、非芳香族複素環式環に融合された(即ち、非芳香族複素環式環と共通の結合を有する)1以上の芳香環を有する成分であり、例えばフタルイミジル、ナフタルイミジル、ピロメリット酸ジイミジル、フタラニルおよび飽和複素環、例えばインドレンおよびイソインドレン基のベンゾ誘導体である。いくつかの実施態様において、ヘテロシクロアルキル基は、3〜20、3〜14または3〜7環員である。
【0046】
明細書で使用した場合、“ハロ”または“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を包含する。
【0047】
明細書で使用した場合、“アルコキシ”は、-O-アルキル基を示す。例示的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、t-ブトキシなどを示す。
“ハロアルコキシ”は、-O-ハロアルキル基を示す。
【0048】
明細書中で使用した場合、“アリールアルキル”は、少なくとも一つのアリール基によって置換されたアルキル基を示す。例示的なアリールアルキル基は、ベンジルである。
【0049】
明細書で使用した場合、“シクロアルキルアルキル”は、少なくとも一つのシクロアルキル基によって置換されたアルキル基を示す。
【0050】
明細書で使用した場合、“ヘテロアリールアルキル”は、少なくとも一つのヘテロアリール基によって置換されたアルキル基を示す。
明細書で使用した場合、“ヘテロシクロアルキルアルキル”は、少なくとも一つのヘテロシクロアルキル基によって置換されたアルキル基を示す。
【0051】
明細書で使用した場合、“アリールオキシ”は、-O-アリールを示す。
明細書で使用した場合、“ヘテロアリールオキシ”は、-O-ヘテロアリールを示す。
【0052】
明細書で使用した場合、“シクロアルキルオキシ”は、-O-シクロアルキルを示す。
明細書で使用した場合、“ヘテロシクロアルキルオキシ”は、-O-ヘテロシクロアルキルを示す。
【0053】
明細書で使用した場合、“アルコキシアルキル”は、少なくとも一つのアルコキシ基によって置換されたアルキル基を示す。例示的なアルコキシアルキル基は、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピルなどを包含する。
明細書で使用した場合、“ハロアルコキシアルキル”は、少なくとも一つのハロアルコキシ基によって置換されたアルキル基を示す。
【0054】
明細書で使用した場合、“アリールアルコキシアルキル”は、少なくとも一つのアリールオキシ基によって置換されたアルキル基を示す。
明細書で使用した場合、“シクロアルキルオキシアルキル”は、少なくとも一つのシクロアルキルオキシ基によって置換されたアルキル基を示す。
【0055】
明細書で使用した場合、“ヘテロアリールオキシアルキル”は、少なくとも一つのヘテロアリールオキシ基によって置換されたアルキル基を示す。
明細書で使用した場合、“ヘテロシクロアルキルオキシアルキル”は、少なくとも一つのヘテロシクロアルキルオキシ基によって置換されたアルキル基を示す。
【0056】
明細書で使用した場合、用語“アミノ”は、NH2を示す。同様に、用語“アルキルアミノ”は、アルキル基によって置換されたアミノ基を示し、用語“ジアルキルアミノ”は、2つのアルキル基によって置換されたアミノ基を示す。
【0057】
明細書で使用した場合、“置換された”は、化学基の少なくとも一つの水素原子が非水素成分によって置換されたことを示す。明細書中の化学基が“置換された”場合、得られる化合物が安定な化合物または安定な構造であるならば、置換によっても十分な均衡を持ち得る;例えば、メチル基が、1、2、または3置換基によって置換され得るし、メチレン基は1または2置換基によって置換でき、フェニル基は1、2、3、4または5置換基などによって置換され得る。
【0058】
明細書中に記載の化合物は対称的(例えば、1以上の立体中心を有する)であり得る。別途記載がなければ、全ての立体異性体、例えばエナンチオマーおよびジアステレオマーが意図される。対称的に置換された炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学活性またはラセミ形態で単離され得る。光学活性な開始物質からどのように光学活性な形態のものを調製するかという方法は、例えばラセミ混合物の分割または立体選択的合成のような当分野の技術において知られている。オレフィン、C=N二重結合および類似のものの多くの幾何異性体は、本明細書に記載した化合物においても存在し得るし、全てのこのような安定な異性体は本発明にあてはまる。本発明の化合物に関するシス(cis)およびトランス(trans)幾何異性体は記載されており、異性体混合物または個々の異性体形態として単離され得る。
【0059】
化合物のラセミ混合物の分解を、当技術分野で知られている多くの方法のいずれかによって実施し得る。例示的な方法は、光学活性な、塩形成有機酸である“キラル分割酸”を用いる分画再結晶化を包含する。分画再結晶化方法のための適当な分割剤は、例えば光学活性な酸、例えばDおよびL型の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸または様々な光学活性なカンフルスルホン酸、例えばβ-カンフルスルホン酸である。分画結晶化方法のための適当な他の分割剤は、立体異性体純粋形態、α-メチルベンジルアミン(例えば、SおよびR形態、またはジアステレオマー純粋形態)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N-メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどを包含する。
【0060】
ラセミ混合物の分割を、光学活性な分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を用いて、充填カラムで溶出できた。適当な溶出溶媒組成物は、当業者によって決定され得る。
【0061】
本発明の化合物は、互変異性形態、例えばケト−エノール互変異性体を包含できる。互変異性形態は、平衡において存在するかまたは適切な置換によって1つの形態に立体的に固定される。
【0062】
本発明の化合物は、水和物および溶媒和物も包含する。
本発明の化合物は、中間体または最終化合物において生じる全ての原子同位体も包含できる。同位体は、同じ原子数を持つが、様々な質量数を持つ原子を包含する。例えば、水素同位体は、トリチウムおよび重水素を包含する。
【0063】
用語"医薬的に許容し得る"は、信頼できる医療的判断の範疇で、過剰な毒性、炎症、アレルギー性応答、その他の問題または合併症がなく、ヒトおよび動物の組織との接触の際の使用に適当で、合理的価値/リスク比と釣り合うそれらの化合物、物質、組成物および/または投薬形態を示すために本明細書において用いられる。
【0064】
本発明は、本明細書に記載した化合物の医薬的に許容し得る塩を包含する。明細書で使用した場合、"医薬的に許容し得る塩"は、開示化合物の誘導体を示し、ここで親化合物は、存在する酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される。医薬的に許容し得る塩の例示は、塩基性残基(例えば、アミン)の無機または有機酸塩、酸性残基(例えばカルボン酸)のアルカリまたは有機塩などを包含するが、これに限定するものではない。本発明の医薬的に許容し得る塩は、従来の非毒性塩、または例えば非毒性無機または有機酸から形成された親化合物の第四級アンモニウム塩を包含する。本発明の医薬的に許容し得る塩は、従来の化学的方法によって塩基性または酸性成分を含有する親化合物から合成され得る。一般的には、かかる塩は、水中または有機溶媒中あるいは両方の混合物中で、適切な塩基または酸の化学量論量によって、これらの化合物の遊離酸または塩形態との反応によって調製され得る;一般的に、非水性培地様エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが好ましい。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences、17th ed., Mack Publishing Company、Easton、Pa., 1985, p. 1418 and Journal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)において見出され、これらの各文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
【0065】
本発明は、本明細書に記載した化合物のプロドラッグを包含する。明細書で使用した場合、“プロドラッグ”は、哺乳類の対象に投与された場合に活性な親薬物を放出するあらゆる共有結合で結合した担体を示す。プロドラッグは、該修飾が慣例の操作またはイン・ビボのいずれかにおいて親化合物に解裂されるような方法で、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製されうる。プロドラッグは、哺乳類対象に投与された場合に、遊離ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基各々を形成するように解裂するあらゆる基に結合される、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシル基を含む化合物を包含する。プロドラッグの例示は、本発明の化合物に中のアルコールとアミン官能基の、アセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体を包含するが、これに限定するものではない。プロドラッグの調製および使用は、T. Higuchi and V. Stella, "Pro-drug as Novel Delivery Systems," Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, and in Bioreversible Carrier in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987において論じられており、この両文献は出典明示により本明細書の一部とする。
【0066】
合成
塩、水和物およびその溶媒和物を包含する本発明の化合物は、既知の有機合成技術を用いて調製でき、多くの可能な合成経路のいずれかに従って合成され得る。
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成に拘わる技術者により容易に選択され得る適当な溶媒中で実施できる。適当な溶媒は、反応が実施される温度で、例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸点までの範囲におよぶ温度で、実質的には、開始物質(反応体)、中間体または生成物と無反応性であり得る。得られる反応は、1つの溶媒において、または1以上の溶媒混合物において行い得る。特定の反応段階によって、特定の反応段階のための適当な溶媒が選択され得る。
【0067】
本発明の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を包含する。保護および脱保護に対する必要性、および適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定できる。保護基の化学的性質は、例えばT.W. Green and P.G.M. Wuts, Protective Group in Organic Synthesis, 3rd. Ed., Wiley & Sons, Inc., New York (1999), which is inorporated herein by reference in its entiretyにおいて見出される。
【0068】
反応は、当分野では既知のあらゆる適当な既知の方法に従って追跡され得る。例えば、生成物形成は、分光学的手法、例えば核磁気共鳴分光学(例えば、1Hまたは13C)、赤外分光分析、吸光光度分析(例えば、UV可視光)または質量スペクトル分析法によって、あるいはクロマトグラフィー(例えば、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー)によって、追跡され得る。
【0069】
本発明の化合物に対する例示的な合成経路は、下記のスキーム1-5において提供され、下記に示す式を構成するメンバーが本明細書に定義される。
【化14】


式1-8のインダノン中間体は、スキーム1に記載の方法を用いて合成し得る。例えば、ベンズアルデヒド1-3を、強塩基、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン/n-ブチルリチウムを用いるブロモベンゼン(1-1)の脱プロトン化、次いでクエンチング(例えば、DMFによる)によって生成させ得る。あるいは、ベンズアルデヒド1-3を、適当な還元剤[例えばジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAL)]を用いるベンゾニトリル(1-2)の還元によって生成させ得る。別の還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)を用いて、アルデヒドをアルコールに還元後、得られるアルコール1-4を、適当な塩素化剤(例えば、塩化チオニル)による処理により塩化物に変換できる。適当な塩基(例えば、水素化ナトリウム)を用いる塩化物1-5とマロン酸ジエチルとの置換により、ジエステル1-6を生成させる。塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を用いるジエステルのケン化、次いで脱カルボキシル化により、モノカルボン酸1-7を得る。適当な環化剤、例えばn-ブチルリチウムを用いる処理1-7により、環化生成物インダン-1-オン 1-8が得られる。
【化15】

【0070】
式2-6の中間体は、スキーム2に記載した方法を用いて合成できる。式2-1のケトン誘導体を、適当な還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元に供し、アルコール2-2を得る。適当な塩素化試薬、例えばSOCl2を用いるアルコールから塩化物への変換後、塩化物2-3を、式2-4のピペラジン誘導体と反応させ、2-5を得る。ジオキサン中で酸(例えば、4 N HCl)を用いるBoc保護基の除去により、式2-6の中間体が生じる。
【化16】

【0071】
式3-4の中間体は、スキーム3に記載の略記した手順を用いて調製できる。アルコールの中間体2-2を、適当な条件(例えば、p-TSOH、トルエン還流)下で脱水に供し、インデン 3-1を得る。適当な酸化剤(例えば、tert-ブチル ヒドロペルオキシド)を用いるエポキシド化により、エポキシド 3-2を得る。式2-4のピペラジン誘導体によるエポキシドの開環により、3-3を得る。3-3においてアルキル化試薬(例えば、ヨウ化アルキル(RI))を用いるアルコールのアルキル化、次いで酸を用いるBoc除去により、式3-4の中間体(ここで、Rはアルキル基である)が得られる。
【化17】

【0072】
式4-4の化合物は、スキーム4に記載した方法を用いて調製できる。式4-1のピペラジン誘導体と式4-2の保護されたピペリジンとの反応(Prはアミノ保護基、例えばBoc)により、誘導体 4-3を得る。適当な試薬(例えば、ジオキサン中の酸、例えば4N HCl)を用いるアミノ保護基(Pr)の除去のために、得られる遊離アミンを、適当なカップリング剤(例えば、BOP)を用いてカルボン酸と結合させ、式4-4の化合物を生成できる。
【化18】

【0073】
式5-4の化合物は、スキーム 5に記載の方法を用いて調製できる。tert-ブチル 4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレートと式5-1のピペラジン誘導体との反応、次いでジエチルアルミニウムシアニドによる処理により、シアノ誘導体5-2を生じさせる。シアノ残基と臭化メチルマグネシウムとの置換により5-3を得る。ジオキサン中で酸(例えば、4N HCl)を用いるBoc基の除去に対して、得られるアミンを、カップリング剤(例えば、BOP)を用いてカルボン酸とカップリングさせ、式5-4の化合物を生成する。
【化19】

【0074】
4,6-ジメチルピリミジン-5-カルボン酸(6-5)は、スキーム 6に略記した方法を用いて調製できる。塩基(例えば、ナトリウムエトキシド)の存在下で、アセト酢酸エチルとケトンジエチルアセタールとの反応により、中間体6-3を生じる。酢酸モルムアミジンによる6-3の環化により、ケン化されるエチルエステル6-4が得られ、カルボン酸6-5が得られる。
【化20】

【0075】
あるいは、式Iの化合物は、スキーム7-9に記載の方法を用いて合成できる。N,N,N’-トリメチルエタン-1,2-ジアミン存在下においてベンズアルデヒド誘導体7-1とn-ブチルリチウムとのリチオ化、次いで臭化アリルによるクエンチングにより、アリル誘導体7-2を得る。Ph3PCH3Br/n-BuLi処理によるアルデヒドからオレフィンへの変換後、Grubbs触媒を用いて7-3を環化し、インデン誘導体7-4を得る。Jacobsen触媒を用いる対称的エポキシド化により、エポキシド7-5が得られる。
【化21】

【0076】
4-Boc-2-メチルピペラジン8-1と臭化ベンジルとのアルキル化、次いで酸(例えば、HCl)を用いるBoc除去により8-3が得られる。中間体8-3を、スキーム5に記載した方法を用いて8-4に変換できる。触媒としてPd(OH)2を用いる水素化による8-4におけるベンジル基の除去により、中間体8-5が得られる。
【化22】

【0077】
中間体7-5および8-5は、溶媒(例えば、エタノール)において高温で形成され、スキーム9に記載したとおりに中間体9-1が得られる。得られるアルコールとR9Iとのアルキル化は、塩基(例えば、水素化ナトリウム)を用いて達成され得る。9-2におけるBoc基の除去後に、得られるアミンと、カップリング剤(例えば、EDCI)を用いるR1CO2Hとのカップリングにより、式9-3の化合物が得られる。
【化23】

【0078】
あるいは、式Iの化合物は、スキーム10に記載の通りに調製できる。ベンズアルデヒド 誘導体7-1を、N,N,N’-トリメチルエタン-1,2-ジアミンの存在下に、n-ブチルリチウムによる処理によりアルキル化し、次いでアクロレインを用いるクエンチングに供した。得られるセミアセタール10-1を、Ph3PCH3Br/n-ブチルリチウムを用いる処理により、オレフィンに変換した。Grubbs触媒を用いる環化により、3-ヒドロキシインデン誘導体10-3を生成させ、酸化剤[例えばピリジニウムクロロクロメート(PCC)]を用いる酸化に供した。得られるケトン10-4への中間体8-5のMichael付加により、中間体10-5が得られる。ケトンをアルコールへ還元した後、R9Iとのアルキル化は、塩基(例えば、水素化ナトリウム)を用いて達成できる。Bocの除去、次いでカップリング剤(例えば、EDCI/HOBt)を用いるR1CO2Hとのカップリングにより、式10-7の化合物が得られる。
【0079】
方法
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、1以上のケモカインレセプターの活性を調節できる。用語“調節する”は、レセプターの活性を増強するかまたは低下させる能力を示すことを意味する。従って、本発明の化合物は、レセプターと、本明細書に記載した1以上の化合物または組成物とを接触させることにより、ケモカインレセプターを調節する方法において使用され得るものである。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、ケモカインレセプターの阻害剤として作用できる。さらなる実施態様において、本発明の化合物は、式Iの化合物の調節量を投与することにより、該レセプターの調節が必要な個体においてケモカインレセプターの活性を調節するために使用され得る。
【0080】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、内生およびその他のケモカインレセプターリガンドの結合を遮断または阻害するように、ケモカインレセプターに結合し得る。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、ケモカインレセプターを発現する細胞へのウイルス侵入に関与するウイルスタンパク質を包含する内生リガンドの結合を遮断または阻害し得る。従って、本発明の化合物は、ウイルス侵入を遮断およびウイルス感染を阻害し得る。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、例えばHIV糖タンパク質120(gp120)とケモカインレセプター(例えば、CCR5)との相互作用を遮断することによって、ヒト免疫欠損ウイルス(HIV)感染を阻害できる。
【0081】
本発明の化合物と結合および/または調節するケモカインレセプターには、あらゆるケモカインレセプターが包含される。いくつかの実施態様において、ケモカインレセプターは、ケモカインレセプターのCCファミリーに属しており、例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7およびCCR8が包含される。いくつかの実施態様において、ケモカインレセプターはCCR2である。いくつかの実施態様において、ケモカインレセプターはCCR5である。
【0082】
本発明の化合物は選択的であり得る。“選択的”は、少なくとも一つの他のケモカインレセプターと比べて、該化合物が、高い親和性または効果によってケモカインレセプターに結合または阻害することを意味する。
【0083】
本発明の化合物は、CCR5の選択的な結合剤であり、本発明の化合物が、他のケモカインレセプター、例えば少なくとも一つのCCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR6、CCR7およびCCR8よりも、高い親和性にてCCR5と結合し得るということを意味する。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR2以上にCCR5に対して選択的な結合を示す。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR1以上にCCR5に対して選択的な結合を示す。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、その他のCCR以上にCCR5に対して選択的な結合を示す。選択性は、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍であり得る。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR1、CCR2またはその他ケモカインレセプターに対する結合親和性よりも、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍高いCCR5に対する結合親和性を有する。結合親和性は、当技術分野において常套法、例えば本発明に従って提供されるアッセイに従って測定され得る。
【0084】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR5の選択的阻害剤であり、本発明の化合物が、少なくとも一つの他のケモカインレセプター、例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR6、CCR7およびCCR8よりも強力にCCR5の活性を阻害し得るということを意味する。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR2よりもCCR5に対する選択的阻害を示す。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR1よりもCCR5に対して選択的阻害を示す。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、その他のCCRよりもCCR5に対して選択的阻害を示す。選択性は、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍であり得る。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、CCR1、CCR2またはその他のケモカインレセプターに対する結合親和性よりも少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍高いCCR5に対する結合親和性を示す。阻害効果は、当技術分野において常套法、例えば本明細書において提供されるアッセイに従って測定され得る。
【0085】
本発明の別の態様は、個体(例えば、患者)におけるケモカインレセプター関連疾患または障害を、発明の化合物またはその医薬組成物の治療上有効量または用量をかかる処置が必要な個体に投与することにより処置する方法に関連する。ケモカインレセプター関連疾患は、ケモカインレセプターの発現または活性と直接的または間接的に関連するあらゆる疾患、障害または症状を包含し得る。ケモカインレセプター関連疾患は、ケモカインレセプター活性を調節することによって、予防され、改善されるか治癒され得るあらゆる疾患、障害または症状を包含する。ケモカインレセプター関連疾患は、さらに、感染因子(例えば、ウイルスまたはウイルスタンパク質)とケモカインレセプターとの結合を特徴とするあらゆる疾患、障害または症状を包含し得る。いくつかの実施態様において、ケモカインレセプター関連疾患は、CCR5関連疾患、例えばHIV感染である。
【0086】
例示的なケモカインレセプター関連疾患、障害および症状は、炎症および炎症性疾患、免疫不全およびウイルス感染を包含する。例示的な炎症性疾患には、炎症性成分を有する疾患、例えば喘息、アレルギー性鼻炎、再狭窄、アテロ−ム性動脈硬化症、多発性硬化症、クローン疾患、潰瘍性大腸炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球肺炎、遅延型過敏症、喘息、間質性肺疾患(ILD)(例えば、突発性肺線維症、または関節リュウマチ、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、Sjogren症、多発性筋炎または皮膚筋炎などと関連のあるILD)などを包含する。例示的な免疫不全は、関節リュウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症(myastenia gravis)、若年型糖尿病;糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、同種移植片拒絶または移植片対宿主病を包含する臓器移植拒絶反応を包含する。例示的なウイルス感染は、HIV感染を包含する。
【0087】
明細書で使用した場合、用語“接触”は、イン・ビトロ系またはイン・ビボ系で指定成分と一緒にせしめられることを示す。例えば、本発明の化合物とケモカインレセプターとの“接触”は、ケモカインレセプターを持つ個体または患者(例えば、ヒト)への本発明の化合物の投与を包含するし、さらに例えばケモカインレセプターを含有する細胞性または精製済調製物を含有するサンプルに本発明の化合物を導入することも包含する。
【0088】
明細書で使用した場合、互換的に使用される用語“個体”または“患者”は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類、最も好ましくはヒトを包含する動物を示す。
【0089】
明細書において使用した場合、“治療上有効量”なる語句は、研究者、獣医、医師またはその他の臨床医師によって求められる、組織、系、動物、個体またはヒトにおいて生物学的応答または医薬的応答をひきおこす活性化合物または医薬剤の量を示し、これは1以上の下記の点に関連する:
【0090】
(1)疾患予防;例えば、いまだ病状または疾患の徴候を経験していないかまたは顕示してないが、疾患、症状または障害にかかり得る可能性のある個体において、該疾患、該症状または該障害を予防すること;
【0091】
(2)疾患阻害;例えば、疾患、症状または障害の病状または症候を経験または顕示している個体において、疾患、症状または障害を阻害すること(すなわち、病状および/または症候のさらなる進行を抑制すること)、例えばウイルス感染の場合には、ウイルス負荷両の安定化;そして
【0092】
(3)疾患改善;例えば、疾患、症状または障害の病状または症候を経験しているかまたは顕示している個体において、疾患、症状または障害の改善(即ち、病状および/または症状の逆行)、例えばウイルス感染の場合には、ウイルス負荷量の低下。
【0093】
1以上のさらなる医薬剤は、例えば、抗ウイルス剤、抗体、抗炎症剤および/または免疫抑制剤は、ケモカインレセプター関連疾患、障害または症状の処置のために本発明の化合物と組合せて使用され得る。該医薬剤は、単位用量形態において本発明の化合物と組み合わせて投与されてもよいし、または該医薬剤を、別の用量形態において、同時にまたは連続して投与されてもよい。
【0094】
本発明の化合物との組合せにおける使用について、考えられる適当な抗ウイルス剤は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤および他の抗ウイルス医薬品を含むことができる。
【0095】
例示的な適当なNRTIは、ジドブジン(AZT); ディダノシン(ddl);ザルシタビン(ddC); スタブジン(d4T);ラミブジン(3TC);アバカビル(1592U89);アデフォビルジピボキシル[bis(POM)-PMEA];ロブカビル(BMS-180194); BCH-10652;エミトリシタビン(emitricitabine)[(-)-FTC];β-L-FD4 (また、いわゆるβ-L-D4C および 名称 β-L-2',3'-ジシクロオキシ-5-フルオロ-シチデン);DAPD,[(-)-β-D-2,6,-ジアミノ-プリンジオキソラン]; およびロデノシン(FddA) を包含する。
【0096】
代表的な適切なNNRTIは、ネビラピン(BI-RG-587);デラビラジン(delaviradine)(BHAP, U-90152);エファビレン(efavirenz)(DMP-266);PNU-142721;AG-1549;MKC-442(1-(エトキシ-メチル)-5-(1-メチルエチル)-6-(フェニルメチル)-(2,4(1H,3H)-ピリミジンジオン);および(+)-カラノライド A (NSC-675451)およびBを包含する。
【0097】
代表的な適当なプロテアーゼ阻害剤は、サクイナビル(Ro 31-8959);リトナビル(ABT-538);インディナビル(MK-639);ネルフナビル(nelfnavir)(AG-1343);アンプレナビル(141W94);ラシナビル(BMS-234475);DMP-450;BMS-2322623;ABT-378;およびAG-1 549を包含する。
【0098】
他の抗ウイルス剤は、ヒドロキシウレア、リバビリン、IL-2、IL-12、ペンタフシドおよびYissum Project No.11607を包含する。
【0099】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物と組合せて使用するために考えられる抗炎症性または鎮痛剤には、例えば、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、5-リポキシゲナーゼの阻害剤)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、シクロオキシゲナーゼ-2 阻害剤)、インターロイキン阻害剤(例えば、インターロイキン-I阻害剤)、NNMAアンタゴニスト、酸化窒素の阻害剤または酸化窒素の合成阻害剤、非ステロイド様抗炎症剤またはサイトカイン抑制抗炎症剤、例えばアセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラック(ketorolac)、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド様鎮静剤、スフェンタニル、サンリンダック(sunlindac)、テニダップ(tenidap)などが含まれる。同様に、即時化合物は、鎮静薬と共に投与され得る;増強剤、例えばカフェイン、H2-アンタゴニスト、シメチコン、アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;充血除去剤、例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン(ephinephrine)、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドフィン、またはレボ-デゾキシエフェドリン(levo-desoxyephedrine);アンチフツシブ(antfitussive)、例えばコデイン、ヒドロコデイン、カラミフェン、カルベタペンタン、またはデキストロメトルファン;利尿薬;および鎮静剤または非鎮静抗ヒスタミンが含まれる。
【0100】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物との組合せにおける使用のために考えられる医薬剤は、次のものを包含できる:(a) VLA-4 アンタゴニスト、例えばUS 5,510,332、W095/15973、W096/0164 4、W096/06108、W096/20216、W096/229661、W096/31206、W096/4078、W097/030941、W097/022897、WO98/426567、W098/53814、W098/53817、W098/538185、W098/54207およびW098/58902に記載のものを含む;(b)ステロイド、例えばベクロメタゾン(beclornethasone)、メチルピエドニソロン、ベタメタゾン(betarnethasone)、プレドニゾン、デキサメタゾン、およびヒドロコルチゾン;(c)免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシンおよび他のFK506タイプ免疫抑制剤;(d)抗ヒスタミン(HI-ヒスタミンアンタゴニスト)、例えばブロモフェニルアミン、クロロフェニルアミン、デキシクロルフェニルアミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニルアミン ピリラルニン、アステルニゾール(asternizole)、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デザルボエトキシロラタジン(desearboethoxyloratadine)など;(e)非ステロイド様抗喘息剤、例えばテルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタイン、アルブテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリンアンタゴニスト(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト(iralukast)、ポビルカスト(pobilukast)、SKB-106,203)、ロイコトリン生合成阻害剤(例えば、ジロートン、BAY-1005);(f) 非ステロイド様抗炎症剤(NSAID)、例えばプロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプフェン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセルネタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナック、イソキセパク、オキシピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラク)、フェナルニン酸誘導体(fenarnic acid)[フルフェナル酸、メクロフェナム酸、ルネフェナム酸(rnefenamic acid)、ニフルム酸およびトルフェナルニン酸(tolfenarnic acid)]、ビフェニルアルボキシル(diphenylearboxylic acid)誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサール)、オキシカルン(oxicarns)[イソキシカルン(isoxicarns)、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカン]、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン(アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン);(g)シクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2) 阻害剤;(h)ホスホジエステラーゼタイプIV (PDE-IV)の阻害剤;(i)ケモカインレセプターの他のアンタゴニスト、特にCXCR-4、CCRI、CCR2、CCR3およびCCR5;(j)コレステロール低下剤、例えばHMG-CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シリバスタチン(sirrivastatin)およびプラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよび他のスタチン類)、金属イオン封鎖剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、ファノフィブレートおよびベンザフィブレート)およびプロブコール;(k)抗糖尿病剤、例えばインスリン、スルホニルウレア、ビグアニド(メトホルミン)、U.-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース)およびオルリタゾン(orlitazones)(トログリタゾンおよびピオグリタゾン);(l)インターフェロンβの調製物(インターフェロンβ-lo、インターフェロンβ-1P);(m)他の化合物、例えばサリチル酸アミノ、代謝拮抗剤(例えば、アザチオプリンおよび6-メルカプトプリン)および細胞毒性癌化学療法剤。本発明の化合物と第二活性成分の重量比は変化し得るし、各成分の有効用量に依存する。
【0101】
医薬製剤および用量形態
医薬品として用いられる場合、式Iの化合物は、医薬組成物の形態で投与できる。これらの組成物は、医薬分野においてよく知られる方法において調製され、そして局所または全身性処置が必要とされるかどうか、そして処理されるべき領域に応じて、多様な経路により投与できる。投与は、局所的(眼投与および鼻腔内、膣および直腸送達を含む粘膜への投与を包含する)、肺器官的(例えば、粉末またはエアロゾルの吸入または吹送による、ネブライザーによるものを包含する;気管内、鼻腔内、表皮および経皮)、眼球、経口または非経口であってもよい。眼送達のための方法は、局所投与(点眼薬)、結膜下、眼周囲または硝子体内注射、または結膜嚢中に手術により配置したバルーンカテーテルまたは眼科的挿入による導入を包含する。非経口の投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または点滴;または頭蓋内、例えば髄腔内または脳室内投与が包含される。非経口投与は、単回のボーラス用量の形態であってもよく、また例えば、連続的灌流ポンプによっても可能である。局所投与のための医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座薬、スプレー、液体および粉末を包含し得る。従来の医薬用担体、水性液体、粉末または油性基剤、増粘剤などを、必要としてもまたは所望してもよい。
【0102】
本発明は、1以上の医薬的に許容し得る担体との組み合わせにおいて、活性成分として1以上の上記式Iの化合物を含有する医薬組成物を包含し得る。本発明の組成物を製造する際に、活性成分は、通常、製剤添加物と混合されるか、製剤添加物によって希釈されるか、または例えば、カプセル、個包装、紙、または他の容器の形態でかかる担体内に封入される。製剤添加物が、希釈剤として機能する場合、それは、固体、半固体または液体物質であってよく、これは活性成分に対して、担体、媒質または賦形剤として作用する。即ち、組成物は、錠剤、ピル、粉末、ロゼンジ、個別包装、カプセル、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エーロゾル(固体または液体培地において)、例えば活性化合物の10重量%までを含む軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル剤、座薬、滅菌注射用溶液、滅菌パック粉末の形態において存在し得る。
【0103】
製剤を調製する際に、活性化合物は、他の成分と組合せる前に適切な粒子サイズを提供するように粉砕することができる。活性化合物が実質的に不溶性であれば、粒子サイズを200メッシュまで粉砕できる。活性化合物が実質的に水溶性であるなら、該粒子サイズは、組成物中で実質的に均一な分布を提供するために、例えば約40メッシュで、粉砕することにより調整され得る。
【0104】
適当な製剤添加物のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップおよびメチルセルロースを包含する。配合物は、さらに次のものを包含し得る:滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよび無機油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤、例えばメチルおよびプロピルヒドロキシ-安息香酸塩;甘味剤;および香料。本発明の組成物は、当技術分野で知られている方法を用いて、患者への投与後に活性成分の迅速な放出、持続性放出または遅延性放出を提供するように製剤され得る。
【0105】
組成物は、活性成分の約5〜約100mg、より通常には約10〜約30 mgを含有する各用量の単位用量形態で製剤され得る。"単位用量形態"なる用語は、適当な医薬用添加剤との組み合わせにおいて所望の治療効果を生じるために計量された活性物質の予め決定された量を各々含有する各単位に、ヒト対象、他の哺乳動物に対して一回の投薬量として適切な物理的に分割された単位を示す。
【0106】
活性化合物は、広範囲な投薬範囲にわたって有効であり、医薬的に有効な量において広く一般に投与され得る。しかし、実際に投与される化合物の量は、処置されるべき症状、投与経路の選択、投与される実際の化合物、年齢、体重、個々の患者の応答性、患者の重症度などを包含する関連環境に従って、通常、医師により決定されるのが一般的であると理解される。
【0107】
固体組成物、例えば錠剤を調製するために、主要な活性成分は、医薬用添加剤と混合され、本発明の化合物の均質混合物を含有する固体の前処方組成物を形成する。これらの前処方組成物を均質として示す場合、通常、該組成物が、均一に有効な単位用量形態(例えば、錠剤、ピルおよびカプセル剤)へと容易に分配され得るように、活性成分は組成物全体に均質に分散される。この固体の前処方物は、例えば本発明の活性成分の0.1〜約500 mgを含有する上記タイプの単位投薬形態に分配される。
【0108】
本発明の錠剤またはピルは、徐放作用の利点を得る投薬形態を提供するために、被覆されるかまたは調合される。例えば、錠剤またはピルは、内部投薬および外部投薬成分を包含でき、後者は前者を包む外皮の形態にある。この2つの成分は、胃内での崩壊に耐えて、内部成分をそのまま十二指腸中に通過させるか、または遅延放出するように機能する腸溶性層により分離され得る。多様な物質が、このような腸溶性層または被覆に使用でき、かかる物質には、多数のポリマー酸、およびポリマー酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースとの混合物が包含される。
【0109】
本発明の化合物および組成物が、経口投与または注射により導入できる液体形態は、水性溶液、適切に香料添加されたシロップ、水性または油性懸濁液、食用油(例えば、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油)との香料添加されたエマルジョン、ならびにエリキシルおよび同様の医薬用ビヒクルを包含する。
【0110】
吸入または吹送用組成物は、医薬的に許容し得る水性または有機性溶媒、またはその混合物中の溶液および懸濁液、および粉末を包含する。液体または固体組成物は、上掲した適当な医薬的に許容し得る医薬用添加剤を含有し得る。いくつかの実施態様において、該組成物は、局所または全身性効果のために、口または鼻呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧溶液は、ネブライザー装置から直接吹送されるか、あるいは該ネブライザー装置はフェイスマスクテントや間欠的加圧呼吸器と連結され得る。溶液、懸濁液または粉末組成物は、適当な方法において該製剤を送達する装置から経口的または経鼻的に投与され得る。
【0111】
患者に投与される化合物または組成物の量は、何が投与されるか、投与目的(例えば、予防または治療)、患者の状態、投与様式などによって変化する。治療用用途において、組成物は、疾患に既に罹患している患者に、疾患およびその合併症の症候を治療するか、または少なくとも部分的に抑制するために十分量で投与され得る。有効用量は、処置されている疾患症状、ならびに、例えば疾患の重症度、年齢、体重および患者の一般的症状などのファクターによる主治医の判断に依存する。
【0112】
患者に投与される組成物は、上記した医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌され得るか、または滅菌濾過され得る。水溶液を、そのまま使用するためにつめられるか、または凍結乾燥され得る。この凍結乾燥済調製物は、投与前に滅菌水性担体と混合される。化合物調製物のpHは、通常、3〜11、さらに好ましくは5〜9、もっとも好ましくは7〜8の間である。前記医薬用添加剤、担体または安定剤の特定の使用は、医薬用の塩の形成をもたらすと解される。
【0113】
本発明の化合物の治療用量は、例えば、該処置が為されるための特定の使用、化合物の投与様式、患者の健康および症状、前記医師の判断に従って変化され得る。医薬組成物中の本発明の化合物割合または濃度は、投薬、化学特性(例えば、親水性)および投与経路を包含する多くのファクターにより変化され得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与のために約0.1〜約10% w/v の化合物を含有する生理緩衝水溶液中で提供できる。いつかの通常用量範囲は、1日あたり体重の約1μg/kg〜約1 g/kgにわたる。いくつかの実施態様において、用量範囲は、1日あたりの体重の約0.01 mg/kg〜約100 mg/kgである。該投薬は、疾患または障害のタイプおよび進行の程度、特定患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的生物効力、医薬用添加剤の処方、およびその投与経路などの変動因子に依存する傾向がある。有効用量は、イン・ビトロまたは動物モデル試験系から得られる用量−反応曲線から推定され得る。
【0114】
本発明の化合物は、あらゆる医薬剤、例えば抗ウイルス剤、抗体、免疫抑制剤、抗炎症剤などを包含し得る1以上のさらなる活性成分と組合せて製剤され得る。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、プロテアーゼ阻害剤および抗HIV治療に使用される他の剤を包含する1以上の抗ウイルス剤と組合せて製剤され得る。
【0115】
標識化合物およびアッセイ方法
本発明の別の態様は、ヒトを含む組織サンプル中のケモカインレセプターを局在化および定量化するため、また放射標識化合物の結合の阻害によってケモカインレセプターリガンドを同定するために、放射性画像化だけでなく、イン・ビトロおよびイン・ビボの両アッセイにおいても有用である式Iの化合物の放射性標識に関する。従って、本発明は、そのような放射性標識化合物を含有するケモカインレセプターアッセイを包含する。
【0116】
本発明は、式Iの同位体-標識化合物をさらに包含する。“同位体的”または“放射性標識された”化合物は、天然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する1以上の原子が交換されたか、またはN原子によって置換された本発明の化合物である。本発明の化合物に導入され得る適当な放射性核種は、次のものを包含するが、これに限定されるものではない:2H(また、重水素をDと記載する)、3H (また、トリチウムをTと記載する)、11C、13C、14C、13N、5N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131I。本発明の放射性標識化合物に含まれる放射性核種は、放射性標識化合物の放射性核種の特異的用途による。例えば、イン・ビトロのケモカインレセプター標識化および競合アッセイのために、3H、14C、82Br、125I、131I、35Sを取込んだ化合物は一般的に最も有用である。放射性画像化の用途の11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brは、一般的に最も有用である。
【0117】
“放射性標識”または“標識化合物”は、少なくとも一つの放射性核種が取り込まれている化合物であると解される。いくつかの実施態様において、該放射性核種は、3H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群から選択される。
【0118】
放射性同位体を有機化合物に取り込むための合成方法は、本発明の化合物に適用でき、当技術分野ではよく知られている。
【0119】
放射性標識した本発明の化合物は、化合物を同定する/評価するためのスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。一般的用語において、新規に合成されるか、または同定される化合物(即ち、試験化合物)は、本発明の放射標識化合物とケモカインレセプターとの結合を低下させるその能力について評価され得る。従って、放射性標識化合物とケモカインレセプターに対する結合と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性に対して直接相関する。
【0120】
キット
本発明は、ケモカイン関連疾患または障害(例えば、HIV感染)の処置または予防において有用な医薬キットも包含する。該キットには治療上有効量の式Iの化合物の医薬組成物を含む1以上の容器を包含する。かかるキットは、所望により、1以上の様々な従来の医薬用キット成分、例えば、当業者には容易に理解されるような1以上の医薬的に許容し得る担体、追加容器と共にさらに包含できる。折込み紙またはラベルいずれかとして投与されるべき成分量を表示する指示書、投与のためのガイドラインおよび/または成分を混合するためのガイドラインは、キットに包含されうる。
【0121】
本発明は、特定の実施態様により詳細に説明され得る。下記の実施態様は、説明目的で提供されるものであり、いかなる方法においても本発明を制限するものではない。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすように変化または修飾され得る多様なそれほど重要でないパラメーターを容易に認識されるであろう。
【実施例1】
【0122】
実施例1
5-({4-[(3S)-4-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
【0123】
【化24】

段階A
5-ブロモ-1-インダノール
THF(20 mL)中5-ブロモ-1-インダノン(2.0 g, 9.5 mmol)の溶液に、NaBH(0.5 g, 12.8 mmol)を添加した。室温で終夜攪拌の後、該溶液を水の添加により急冷させた。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。混合EtOAc層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下に濃縮し、標題化合物(2.0 g)を固体として得た。MS;C9H9BrO 計算値:(M+H)+ 212.9;;実測値 194.9 (M+H-H2O)+, 197.0 (M+H-H2O)+.
【0124】
【化25】


段階B
tert-ブチル(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
塩化メチレン(300 mL)およびトリエチルアミン(20.4 g, 0.202 mol)中の(2S)-2-メチルピペラジン(20.0 g, 0.200 mol)溶液に、CH2Cl2(100 mL)中のジ-tert-ブチル ジカーボネート(44.0 g, 0.202 mol)溶液を5時間かけて滴加した。該混合物を水、塩水で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させ、濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc中、10-20%MeOH)により、表題化合物[32.0 g (80%)]を油状物として得た。
【0125】
【化26】


段階C
tert-ブチル(3S)-4-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
段階Aの5-ブロモ-1-インダノール(1.0 g, 4.7 mmol)を、塩化チオニル(10 mL)に溶解した。室温で2時間攪拌の後、溶液を減圧下で濃縮した。残渣をDMF(10 mL)中に取り出した。該混合物に、tert-ブチル(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(0.94 g, 4.7 mmol)、NaI(2 g, 13 mmol)およびトリエチルアミン(1.5 mL, 10 mmol)を添加した。得られる溶液を、70℃で終夜攪拌した。室温に冷却後、水を添加した。該溶液をEtOAcで2回抽出した。混合EtOAc層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、50% EtOAc)により、2つの異性体を得た。異性体1(速く移動する異性体):0.36 g; MS、C19H27BrNO(M+H)計算値 395;実測値 395.1, 397.0。異性体2(ゆっくりと移動する異性体):0.33 g; MS ;実測値 395.1, 397.0
【0126】
【化27】


段階D
tert-ブチル4-[(3S)-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-n-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-シアノピペリジン-1-カルボキシレート
段階C(0.33 g, 0.83 mmol)から得た異性体1を、4N HClのジオキサン(4 mL)溶液に溶解した。室温で2時間攪拌の後、該溶液を濃縮した。該残留物に、CH2Cl2(5 mL)中に取り出した。そこにtert-ブチル 4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(0.17 g, 0.85 mmol)、Ti(Oi-Pr)(0.87 mL)およびトリエチルアミン(0.6 mL)を添加した。該混合物を、室温で終夜攪拌し、揮発性物質を減圧下で除去した。該残留物をTHF(5 mL)に溶解した。該混合物に、1.0M ジエチルアルミニウムシアニド溶液(1 mL)を添加した。得られる溶液を、30℃で5時間攪拌し、濃縮し、精製せずに次の反応に使用される粗製標題化合物(0.32 g)を得た。MS;C25H35BrN4O2 計算値:(M+H) 503;実測値 503.1, 505.1.
【0127】
【化28】


段階E
tert-ブチル4-[(3S)-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
THF(2 mL)中のtert-ブチル 4-[(3S)-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-シアノピペリジン-1-カルボキシレート(0.32 g, 0.64 mmol)溶液に、3M 臭化メチルマグネシウム(1.1 mL, 3.3 mmol)溶液を添加した。室温で終夜攪拌の後、該溶液を濃縮した。シリカでの精製(2:1ヘキサン/EtOAc)により、表題化合物(0.25 g)を得た。MS:C25H37BrN3O2 計算値(M+H)+491;実測値 491.2, 494.2.
【0128】
【化29】


段階F
(2S)-1-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-2-メチル-4-(4-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン
段階Eから得た中間体(0.23 g)を、ジオキサン(3 mL)中の4N HCl溶液に溶解した。室温で2時間攪拌の後、該溶液を濃縮し、表題化合物を三塩酸塩(0.23 g)として得た。MS:C20H30BrN計算値:(M+H)392;実測値 392.2, 394.2.
【0129】
【化30】


段階G
4,6-ジメチルピリミジン-5-カルボン酸
エチル 2-アセチル-3-エトキシブト-2-エノエート
機械攪拌器、コンデンサー、温度計(thermowell)、追加漏斗およびN2注入口を備えた5Lの4つ首フラスコを、アセト酢酸エチル(493.1 g, 483 mL, 3.7931 mol, 1.0 equiv)およびナトリウムエトキシド(3.1 g, 0.046 mol, 1.2 mol %)により充填した。ケテンジエチルアセタール(880.0 g, 1000 mL, 7.5862 mol, 2.0 equiv)を、外部冷却により、<22℃の反応温度を維持しながら1時間かけて添加した。添加完了時に、該反応混合物を85℃±5℃で7.5時間加熱した。黄褐色の反応混合物を、室温まで冷却し、終夜攪拌した。低沸成分[EtOH、EtOAc、Me(OEt)]の殆どを回転エバポレーター(浴温度〜65℃)で留去した。残りの黄橙色の油状物を蒸留し、沸点100-107℃(1.8-2.1 Torr)を有する分画を回収し、黄色液体として生成物675.2 g(89%)を得た。
【0130】
エチル 4,6-ジメチルピリミジン-5-カルボキシレート
エチル 2-アセチル-3-エトキシブト-2-エノエート(10.7 g, 0.0537 mol)、酢酸ホルムアミジン(5.6 g, 0.054 mol)およびナトリウムエトキシド(エタノール中2.7 M, 20.0 mL)をエタノール(30 mL)に溶解し、該混合物を90℃で4時間攪拌した。該反応混合物を冷却し、水にて反応停止させ、濃縮した。該粗製物質をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、10%、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、所望の生成物(7.4 g, 76%)を黄色油状物として得た。MS(EI)181.1 (M+1). H NMR(300 MHz, CDCl3) δ (ppm) 8.97 (s, 1H), 4.44 (q, 2H), 2.56 (s, 6H), 1.42 (t, 3H).
【0131】
4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸
エチル 4,6-ジメチルピリミジン-5-カルボキシレート(10.9 g, 0.0605 mol)を、水酸化ナトリウム(4.0 g, 0.10 mol)水溶液 (70 mL)と共に混合した。該混合物を室温で終夜攪拌した。該水性反応物を、濃塩酸を用いて酸性化し、次いで濃縮乾燥させた。この残渣にアセトン(100 mL)を添加した。不溶性塩化ナトリウムを濾去し、メタノール(100 mL)で洗浄した。濾液を濃縮乾燥させた。残留物をACNで洗浄し、生成物(8.5 g (92%))を固体として得た。MS(EI)153.1 (M+1). H NMR (400 MHz, CD3OD) δ (ppm) 8.89 (s, 1H), 2.56 (s, 6H).
【0132】
【化31】


段階H
5-({4-[(3S)-4-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
DMF(2 mL)中の(2S)-1-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-2-メチル-4-(4-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン 三塩酸塩(30 mg, 0.06 mmol)および4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸(9 mg, 0.06 mmol)溶液に、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート(30 mg, 0.06 mmol)、次いでトリエチルアミン (30 mg, 0.3 mmol)を添加した。室温で5時間の攪拌の後、該混合物を、EtOAcおよびNa2COの水溶液で希釈した。有機層を分離し、水で数回洗浄し、Na2SO4で乾燥させて濃縮した。逆相HPLCでの精製および凍結乾燥により、最終生成物をTFA塩(20 mg)として得た。MS:C27H36BrN5O 計算値:(M+H)526;実測値 526.1, 528.1.
【実施例2】
【0133】
【化32】

実施例2
5-({4-[(3S)-4-(5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例1に記載したとおりに調製した。MS:C27H36FN5O 計算値:(M+H) 466;実測値 466.2.
【実施例3】
【0134】
【化33】


実施例3
5-({4-[(3S)-4-(6-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例1に記載したとおりに調製した。MS:C27H36BrN5O 計算値:(M+H)526;実測値 526.1, 528.1.
【実施例4】
【0135】
【化34】


実施例4
5-({4-[(3S)-4-(6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適当な開始物質を用いて実質的には実施例1に記載したとおりに調製した。MS:C27H36FN5O 計算値:(M+H) 466;実測値 466.2.
【実施例5】
【0136】
【化35】


実施例5
5-({4-[(3S)-4-(6-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適当な開始物質を用いて実質的には実施例1に記載した通りに調製した。MS:C28H38BrN5O 計算値:(M+H)540;実測値 540.2, 542.1.
【実施例6】
【0137】
【化36】


実施例6
5-({4-[(3S)-4-(7-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適当な開始物質を用いて実質的には実施例1に記載したとおりに調製した。MS:C28H38BrN5O 計算値:(M+H)540;実測値 540.2, 542.1.
【実施例7】
【0138】
実施例7
4,6-ジメチル-5-[(4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリミジン
【化37】


段階A
ジエチル[2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]マレエート
10℃で水素化ナトリウム(1.4 g, 58 mmol)のDMF(37 mL)懸濁液に、マロン酸エチル(14 g, 88 mmol)を滴加した。添加後、該混合物を1時間室温で攪拌した。そこに、DMF(20 mL)中の2-ブロモ-1-(クロロメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(10.0 g, 36.6 mmol)溶液をゆっくりと添加した。室温で終夜攪拌の後、該混合物を、氷水中(300 mL)に入れた。得られる溶液を、エーテルで2回抽出した。混合抽出物を、水および塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5-10%EtOAc)により、表題化合物を油状物質(13.5g, 93%)として得た。MS:C15H16BrF3O4 計算値:(M+H)397;実測値 397.0, 399.0.
【0139】
【化38】


段階B
2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]マロン酸
エタノール(60 mL)および水(28 mL)中のジエチル[2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]マロネート(13.5 g, 34 mmol)溶液に、5M 水酸化ナトリウム水溶液(20 mL)を添加した。室温で終夜攪拌の後、エタノールを減圧下で除去した。該水溶液を、さらなる水の添加によって希釈し、エーテルで2回洗浄した。得られる水層を、濃HClにてpH=3に酸性にし、エーテルで3回抽出した。混合エーテル相を水および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮し、表題化合物を白色固体(9.8 g, 84%)として得た。MS:C11HBrF3O 計算値:(M+H)341;実測値 363 (M+Na)+.
【0140】
【化39】


段階C
3-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン酸
丸底フラスコ中で[2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル]マロン酸(9.80 g, 28.7 mmol)を180℃まで加熱し、加熱を180℃で1.5時間続けた。室温まで冷却した後、該固体をエーテルに溶解した。得られる溶液をMgSOで乾燥させ、濃縮した。該固体をヘキサンで洗浄し、表題化合物(7.20 g, 85%)を得た。MS:C10H8BrF3O2 計算値(M+H)+ 297;実測値 297.0, 299.0.
【0141】
【化40】


段階D
6-(トリフルオロメチル)インダン-1-オン
78℃でTHF(300 mL)およびヘキサン(80 mL)中の3-[2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン酸(6.40 g, 21.5 mmol)溶液に、ヘキサン中(19 mL)のn-ブチルリチウムの2.5M 溶液を添加した。15分間の攪拌の後、該混合液を2N HCl溶液(150 mL)に入れた。該2層を分離し、水層をエーテルで抽出した。混合有機層を、NaHCO溶液、水、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、10-20% EtOAc)によって、表題化合物(2.2 g, 51%)を油状物として得た。MS:C10H7F3O 計算値:(M+H)201;実測値 201.0.
【0142】
【化41】


段階E
6-(トリフルオロメチル)インダン-1-オール
THF(30 mL)中の6-(トリフルオロメチル)インダン-1-オン(2.20 g, 11 mmol) 溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.50 g, 13 mmol)を添加した。30分間の攪拌の後、メタノール(10 mL)をゆっくりと添加した。攪拌を2時間続けた。該反応を、水性塩化アンモニウム溶液の添加により停止した。該二層を分離し、水層をエーテルで抽出した。該混合有機層を水および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10-15% EtOAc)により、表題化合物(1.52 g, 68%)を油状物として得た。MS:C10H9F3O 計算値;(M+H)203;実測値 185.0 (M-H2O+1)+.
【0143】
【化42】


段階F
1-クロロ-6-(トリフルオロメチル)インダン
6-(トリフルオロメチル)インダン-1-オール(1.52 g, 7.5 mmol)を、塩化チオニル(15 mL)に溶解した。室温で2時間攪拌の後、該溶液を減圧下で濃縮し、表題化合物(1.5 g, 90%)を得た。
【0144】
【化43】


段階G
tert-ブチル(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-カルボキシレート
DMF(20 mL)中の1-クロロ-6-(トリフルオロメチル)インダン(1.52 g, 6.89 mmol)、tert-ブチル(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(2.1 g, 10 mmol)、ヨウ化ナトリウム(3 g, 20 mmol)およびトリエチルアミン(3 g, 30 mmol)溶液を、60℃で終夜攪拌した。室温まで冷却した後、水を添加した。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。混合抽出物を、水および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%−30% EtOAc)により、2つの異性体を得た。異性体1:0.52 g (褐色油)。MS:C20H27F3N2O2 計算値:(M+H) 385;実測値 385.2。異性体2:0.41 g (褐色油)。MS:(M+H) 385.2.
【0145】
【化44】


段階H
(2S)-2-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン
tert-ブチル(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-ピペラジン-1-カルボキシレート(段階Gからの異性体1、0.52 g, 1.4 mmol)を1,4-ジオキサン(10 mL)中4M HCl溶液に溶解した。室温で2時間攪拌の後、該溶液を減圧下で濃縮し、標題化合物を二塩酸塩(0.48 g, 100%)として得た。MS:C15H19F3N2 計算値:(M+H)285;実測値 285.1.
【0146】
【化45】


段階I
tert-ブチル 4-シアノ-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-カルボキシレート
(2S)-2-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン 二塩酸塩(0.38 g, 1.3 mmol)を、ジクロロメタンに溶解した。該溶液を、飽和NaHCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。該残留物を、ジクロロメタン(20 mL)に取り出した。それにtert-ブチル 4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(0.32 g, 1.6 mmol)およびチタンテトライソプロポキシド(0.8 g, 3 mmol)を添加した。該混合物を、室温で終夜攪拌し、減圧下で濃縮した。該残留物をTHF(20 mL)中に取り出した。ジエチルアルミニウムシアニド(0.18 g, 1.6 mmol)を添加した。室温で5時間攪拌した後、該溶液を、水の添加によって反応停止した(3 mL)。得られる溶液を、セライトにより濾過し、該セライトをジクロロメタンで数回洗浄した。該濾液を、MgSOで乾燥させて濃縮し、表題化合物(0.72 g, 98%)を茶褐色の粘性油状物として得た。MS:C26H35F3N4O2計算値;(M+H)493;実測値 493.2.
【0147】
【化46】


段階J
tert-ブチル 4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-カルボキシレート
THF(20 mL)中のtert-ブチル 4-シアノ-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-カルボキシレート (0.72 g, 1.3 mmol)の溶液に、エーテル(4.0 mL)中の臭化メチルマグネシウムの3M 溶液を添加した。室温で終夜攪拌の後、該反応を水の添加により停止した。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。混合EtOAc層を乾燥させ、濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20−30% EtOA)により、表題化合物(0.32 g, 50%)を粘性油状物として得た。MS:C26H38F3N3O2 計算値:(M+H)482;実測値 482.3.
【0148】
【化47】


段階K
(2S)-2-メチル-4-(4-メチルピペリジン-4-イル)-1-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン
tert-ブチル 4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-カルボキシレート(0.32 g, 0.6 mmol)をジオキサン(8.0 mL)中4M HCl溶液に溶解した。室温で2時間攪拌の後、該溶液を濃縮し、三塩酸塩として表題化合物(0.35 g)を得た。MS:C21H30F3N3 計算値:(M+H) 382;実測値382.2.
【0149】
【化48】


段階L
4,6-ジメチル-5-[(4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリミジン
DMF(5 mL)中の(2S)-2-メチル-4-(4-メチルピペリジン-4-イル)-1-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン 三塩酸塩(100 mg, 0.183 mmol)、4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸 (67 mg, 0.22 mmol)溶液に、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(97 mg, 0.22 mmol)、次いでトリエチルアミン(90 mg, 0.9 mmol)を添加した。室温で終夜攪拌の後、NaHCO水溶液を添加した。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。混合EtOAc層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc中10-20% MeOH)により、表題化合物(60 mg)を油状物として得た。MS:C28H36F3N5O 計算値:(M+H)+516;実測値 516.2.
【実施例8】
【0150】
実施例8
4,6-ジメチル-5-[(4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリミジン
【化49】


段階A
[2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール
2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル (10.0 g, 40 mmol)のジクロロメタン溶液(100 mL)に、1.0 M水素化ジイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(48 mL)を滴加した。得られる溶液を、窒素下に周囲温度で1時間攪拌し、次いでエーテルの添加によって希釈した(100 mL)。氷浴中で冷却した後、3N HCl溶液を、注意深く添加し、該混合物を周囲温度で15分間しっかりと攪拌した。該有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。得られる油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5% EtOAc/ヘキサン)によって精製し、2-ブロモ-5-トリフルオロメチルベンズアルデヒド(5g)を得た。H NMR(CDCl3) δ10.39 (s, 1H), 8.18 (d, J=2 Hz, 1H), 7.82 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.70 (dd, J=8.5 Hz, 2 Hz, 1H).
【0151】
0℃でTHF(20 mL)中の2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(5 g, 20 mmol)の混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(0.8 g, 20 mmol)を添加した。得られる混合物を、0℃で周囲温度まで1時間攪拌した。該反応を、NaHCO水溶液の添加により停止させた。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。混合抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、所望のアルコールを白色固体(4.4 g)として得た。H NMR(CDCl3) δ7.81 (s, 1H), 7.66 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.42 (dd, J=8.3 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.81 (d, J=6.3 Hz, 2H), 2.03 (m, 1H).
【0152】
【化50】


段階B
1-ブロモ-2-(クロロメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン
[2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール(4.4 g, 17 mmol)に、塩化チオニル(5 mL)を添加し、得られる混合物を室温で1時間攪拌した。真空下での蒸発により粗製生成物を油状物として得た。H NMR(CDCl3) δ7.77 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.73 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.53 (dd, J=8.5, 2.2 Hz, 1H), 5.66 (d, J=12.7 Hz, 1H), 5.46 (d, J=12.2 Hz).
【0153】
【化51】


段階C
ジエチル[2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル]マロネート
0℃でDMF中のマロン酸エチル(23 g, 140 mmol)溶液(70 mL)に、水素化ナトリウム(3.9 g,無機油中60%, 97 mmol)を添加し、得られる混合物を周囲温度で30分間混合した。混合物に、DMF(20 mL)中の1-ブロモ-2-(クロロメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(16 g, 60 mmol)溶液を添加した。該反応混合物を、室温で3時間攪拌し、氷水を用いて急冷させた。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮した。粗製物を、3%、次いで5%EtOAc/ヘキサンを用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーの溶出により、所望の生成物を(15.2 g, 64% )油状物として得た。LC/MS C15H16BrF3O4 計算値:(M+H) 397;実測値 397.1/399.1.
【0154】
【化52】


段階D
3-[2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン酸
ジエチル [2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンジル]マロネート(22.9 g, 57.6 mmol)のエタノール(100 mL)および水(50 mL)の溶液に、5M 水酸化ナトリウム水溶液(30 mL)を添加した。該混合物を加熱し、2時間還流した。エタノールを留去した。該水層エーテルで抽出し、次いで濃HClによりpH5に酸性化し、この時点で多くの白色固体が沈殿した。該固体を濾過により回収した。該濾物を酢酸エチルで2回抽出し、該抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て濃縮し、白色固体を得た。
【0155】
混合した固体を、油浴中180℃で約1時間加熱することによって、カルボキシル基を除去した。得られる黄色油状物を、冷却し減圧吸引し、所望の一酸を得た(11.5 g, 67%)。LC/MS C10H8BrF3O2 計算値:(M+H)297;実測値 297.1/299.1.
【0156】
【化53】


段階E
5-(トリフルオロメチル)インダン-1-オン
-78℃で3-[2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン酸(2.8 g, 9.4 mmol)のTHF(100 mL)およびヘキサン(20 mL)の溶液に、2.5M n-ブチルリチウムのヘキサン(8.3 mL)溶液を滴加した。添加が完了した後、該反応を飽和NHClを用いて停止した。得られる溶液を酢酸エチルで2回抽出した。該抽出液を、飽和NaHCO、塩水を用いて洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。粗製物を、10-20% EtOAc/ヘキサンを用いる溶出により、シリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を白色固体(0.7 g, 37%)として得た。LC/MS C10H7F3O 計算値:(M+H)+ 201;実測値 201.1.
【0157】
【化54】


段階F
5-(トリフルオロメチル)インダン-1-オール
氷浴中で冷却したTHF(5 mL)中の5-(トリフルオロメチル)インダン-1-オン(0.7 g, 3 mmol)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム (0.1 g, 3 mmol)、次いでMeOH(1 mL)を添加した。30分間の攪拌の後、該反応を水性NaHCO3を用いて停止した。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。該抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)、濾過して、濃縮した。該粗製物を、20% EtOAc/ヘキサンを用いる溶出により、シリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を油状物として得た(0.65 g, 92%)。LC/MS C10H9F3O 計算値:(M+H)+ 203;実測値 185.1 (M+H-H2O)+.
【0158】
【化55】


段階G
4,6-ジメチル-5-[(4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリミジン
5-(トリフルオロメチル)インダン-1-オールからの開始により、実施例7記載の方法に従って表題化合物を調製した。MS C28H36F3N5O 計算値:(M+H)516;実測値 516.2.
【実施例9】
【0159】
実施例9
1-((2S)-4-{1-[(4,6-ジメチルピリミジン-5-イル)カルボニル]-4-メチルピペリジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)インダン-2-オール
【化56】


段階A
6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン
5-(トリフルオロメチル)インダン-1-オール(1.6 g, 7.9 mmol)およびp-トルエンスルホン酸(0.02 g, 0.1 mmol)のトルエン(20 mL)混合物を、Dean-Stark trap を介して約3時間還流した。該溶液を減圧下で濃縮し、該残留物を、5%EtOAc/ヘキサンによる溶出によるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(1.4 g, 96%)を油状物として得た。
【0160】
【化57】


段階B
4-(トリフルオロメチル)-6,6a−ジヒドロ-1aH−インデノ[1,2-b]オキシレン
-78℃で、6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン(1.1 g, 6 mmol)の無水ジクロロメタン(80 mL)溶液に、n-デカン(1.3 mL)の5.5M tert-ブチル ヒドロペルオキシド溶液、次いでチタン四塩化物(0.79 mL, 7.2 mmol)を添加した。-78℃で1時間攪拌の後、得られる茶褐色溶液を、Et2O/飽和Na2SO溶液の混合物を用いて停止させた。該混合物を、周囲温度で1時間攪拌し、無色溶液を得た。該有機層を分離し、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮し、粗製生成物(1.2 g)を固体として得た。LC/MS C10H7F3O 計算値:(M+H) 201;実測値 201.0.
【0161】
【化58】


段階C
tert-ブチル (3S)-4-[2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
4-(トリフルオロメチル)-6,6a−ジヒドロ-1aH−インデノ[1,2-b]オキシレン(1.2 g, 6.0 mmol)およびtert-ブチル(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(1.4 g, 7.2 mol)のエタノール(20 mL)混合物を、終夜還流した。tert-ブチル (3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレートのもう1gを添加した。該混合物を、密閉したフラスコに移し、95℃で2日間加熱した。該溶媒を濃縮し、残留物を25% EtOAc/ヘキサン、次いで5% MeOH/EtOAc+0.5%濃縮 NHOHにより溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。2つの異性体を単離した。異性体1(速く移動する異性体):0.45g; MS C20H27F3N2O3 計算値 (M+H)+ 401;実測値 401.1. 異性体2(ゆっくりと移動する異性体):0.38g;MS;実測値 401.1.
【0162】
【化59】


段階D
1-((2S)-4-{1-[(4,6-ジメチルピリミジン-5-イル)カルボニル]-4-メチルピペリジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)インダン-2-オール
tert-ブチル (3S)-4-[2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(段階Cからの異性体1)から開始して、表題化合物を実施例7に記載した方法に類似した方法を用いて調製した。MS C28H36F3N5O2 計算値:(M+H) 532;実測値 532
【実施例10】
【0163】
実施例10
5-[(4-{(3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
【0164】

【化60】


段階A
tert-ブチル(3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル(3S)-4-[2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(実施例9において段階Cからの異性体1)(50 mg, 0.1 mmol)のTHF(2 mL)溶液に0℃で、NaH(8 mg, 油中60%, 0.2 mmol) を添加した。10分間の攪拌後、MeI(28 mg, 0.2 mmol)を添加した。該混合物を、周囲温度で1時間攪拌し、水性NHClを用いて停止させた。得られる溶液をEtOAcで2回抽出した。該抽出物を、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮し、粗製生成物を得た。LC/MS C21H29F3N2O3 計算値:(M+H) 415;実測値 415.2.
【0165】
【化61】


段階B
(2S)-1-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-2-メチルピペラジン
tert-ブチル (3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(51.8 mg, 0.125 mmol)に、4.0M塩化水素のジオキサン(2 mL) 溶液を添加した。該混合物を、室温で1時間攪拌し、減圧下で濃縮し、表題化合物を二塩酸塩として得た。LC/MS C16H22ClF3N2O 計算値:(M+H)351;実測値 351.1.
【0166】
【化62】


段階C
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
塩化メチレン(2 mL)中の(2S)-1-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-2-メチルピペラジン 二塩酸塩 (44 mg, 0.12 mmol)およびtert-ブチル 4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(25 mg, 0.12 mmol)の混合物に、トリエチルアミン(0.07 mL, 0.5 mmol)、次いでチタンテトライソプロポキシド (0.037 mL, 0.12 mmol)を添加した。得られる混合物を、室温で終夜攪拌し、濃縮して粗製エナミンを得た。
【0167】
粗製エナミンを、THFに溶解し、トルエン(0.15 mL)中の1.0 M ジエチルアルミニウムシアニドにより処理した。該混合物を、室温で終夜攪拌し、水性NaHCOおよびEtOAcの添加によって急冷させた。得られる溶液を、セライトにより濾過した。濾液を分離して、該有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮して、粗製シアノ化合物を得た。LC/MS:523.2(M+H)
【0168】
粗製シアノ化合物をTHFに溶解させ、0℃で3.0 M 臭化メチルマグネシウムのエーテル(0.2 mL)溶液で処理した。該混合物を室温で4時間攪拌した。別の臭化メチルマグネシウム溶液(0.2 mL)を添加し、該混合物を室温で2日間攪拌した。該反応を、水性NaHCOを用いて停止させ、EtOAcを用いて2回抽出した。該抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮した。該粗製物を、25%、次いで50%EtOAc/ヘキサンを用いて溶出するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(25 mg)を得た。MS C27H40F3N3O3 計算値:(M+H)512;実測値 512.2.
【0169】
【化63】


段階D
5-[(4-{(3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(0.02 g, 0.04 mmol)に、1,4-ジオキサン中の4.0 M HCl溶液(2.0 mL)を添加した。得られる混合物を、室温で1時間攪拌し、濃縮し、減圧下吸引し、乾燥させた。
上記のアミン塩酸塩に、DMF(2.0 mL)、4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸(0.01 g, 0.08 mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(0.026 g, 0.059 mmol)およびトリエチルアミン(0.02 mL, 0.1 mmol)を添加した。室温で終夜攪拌の後、該反応を水性NaHCOを用いて停止して、EtOAcで2回抽出した。該抽出物を、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。該粗製物を、逆相HPLC(0.05%TFAを有する10-80%アセトニトリル-水、30分間、10 ml/分)によって精製し、表題化合物(25 mg)をビス-TFA塩をとして得た。LC/MS C29H38F3N5O2計算値:(M+H)546;実測値 546.2.
【実施例11】
【0170】
実施例11
5-[(4-(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン 二塩酸塩
【0171】

【化64】


段階A
2-アリル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド
上部に攪拌機、窒素ニードル、500 mL 追加漏斗、250 mL 追加漏斗および温度計を備えた、オーブン乾燥済の5Lの4つ首丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(1400 mL) および N,N,N'-トリメチルエタン-1,2-ジアミン (105 mL, 0.788 mol)を添加した。該溶液を−40℃(ドライアイス/MeCN 浴)に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6 M,510 mL)を、500 mL 追加漏斗に添加し、次いで上記溶液を40分間かけて添加した(-40〜-35℃)。無色溶液が淡黄色の色調となった。次いで、冷浴をはずして、該反応混合物を−10℃まで昇温させながら30分間攪拌した。該反応を-40から-45℃に維持し、p-トリフルオロメチルベンズアルデヒド(77 mL, 0.56 mol)を、シリンジを介して250 mL 追加漏斗に添加した。該アルデヒドを、15分間かけて滴加し、その間反応温度は-40〜-35℃に維持した。該反応物は、添加している間に茶褐色の色調となった。該反応を-50℃から-40℃で30分間攪拌した。ヘキサン(400 mL)中の1.6M n-ブチルリチウムの二回目の添加を、追加漏斗から50分間かけて行った。該反応混合物を、-25℃まで昇温させ、-20〜-30℃に3時間維持し、臭化銅(I)(108 g, 0.738 mol)を、粉末漏斗を介して直接添加した。冷浴をはずして、該反応物を温め、さらに90分間攪拌した。該反応を-30〜-25℃に冷却し、テトラヒドロフラン(240 mL)中の臭化アリル(78 mL, 0.90 mol)溶液を、追加漏斗(250 mL)を介して40分間かけて滴加した。2時間攪拌した後、該反応をメタノール(100.0 mL)の添加によって停止した。冷浴をはずして、該混合物を5分間攪拌し、6.00M の塩酸溶液(300.0 mL)を添加した(pH=〜7)。該混合物をさらに15分間攪拌した後、セライトパットに透過させ、該セライトパッドを、エーテルですすいだ。飽和塩化アンモニウム(400 mL)を添加し、該有機層を回収した。水相をさらにエーテル(300 mL)で抽出した。混合有機層を、飽和塩化アンモニウム(400mL)、1M 重炭酸ナトリウム(3x400 mL)および塩水(400 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過により乾燥剤除去後、該濾液をロトバップ(rotovap)上で濃縮し、褐色の液体を得た。さらなる精製を蒸留により行い、生成物[105.4 g (85%)]を得た。1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 10.22 (s, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.74 (s, 1H), 6.02 (m, 1H), 5.06(m, 1H), 4.96 (m, 1H), 3.89 (d, 2H).
【0172】
【化65】


段階B
2-アリル-4-(トリフルオロメチル)-1-ビニルベンゼン
トリフェニルメチルホスホニウム臭化物(182 g, 0.508 mol)を、ジエチルエーテル(900 mL, 8 mol)に懸濁し、0℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.60 M, 289 mL) を、シリンジにより急速に添加し、得られる混合物を室温まで昇温させ、終夜(18h)攪拌した。該攪拌を停止し、固化し、上層の透明な溶液をカニューレから塩化メチレン(900 mL)中の2-アリル-4-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(99.0 g, 0.462 mol)溶液に移し、これを0℃で攪拌した。添加後、氷浴を除き、該混合物を約30時間加熱還流した。室温まで冷却後、オレンジ色の溶液を、少量の溶媒となるまで濃縮した。シリカゲルを、高粘度のスラリーが得られるまで攪拌溶液に添加した。ペンタン(500 mL)を添加し、さらに固体を磨砕した。該混合物を、真空漏斗を備えたガラス中のシリカゲルを通し、ペンタン(1.5 L)を用いて透過させた。該ペンタン溶液を丸底フラスコ(3L)に回収した。次いで、ほぼ無色の液体を濃縮し、純粋なジエン(78 g, 79.3 %)を得た。;H NMR(400 MHz, CDCl3) δ(ppm) 7.58 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.41 (s, 1H), 6.95 (dd, 1H), 5.95(m, 1H), 5.72 (d, 1H), 5.41 (d, 1H), 5.11 (d, 1H), 5.00 (d, 1H), 3.48 (d, 2H).
【0173】
【化66】


段階C
6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン
塩化メチレン(0.6 L)を2-アリル-4-(トリフルオロメチル)-1-ビニルベンゼン(80.0 g, 0.377 mol)を含むフラスコ(1L)に添加した。ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)二塩酸塩(Grubbs 触媒, 一回目の生成)(3.1 g, 0.0038 mol)を該溶液に添加し、得られる溶液を終夜(18時間)還流した。該溶媒を蒸発させ、暗色の油状物を得、これを、ペンタンを用いてシリカゲルプラグに透過させた。ペンタンを注意深く除去した後、純粋な生成物[57 g (82.8%)]を淡褐色の油状物として回収した。H NMR(400 MHz, CDCl3) δ(ppm) 7.72 (s, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 6.93 (m, 1H), 6.74 (m, 1H), 3.46 (Brs, 1H).
【0174】
【化67】


段階D
4-(トリフルオロメチル)-6,6a−ジヒドロ-1aH-インデノ[1,2-b]オキシレン
0℃で2M 次亜塩素酸ナトリウムの水溶液(200 mL)に、ジクロロメタン中の(700 mL)水酸化ナトリウム(1 M, 40 mL)、4-(3-フェニルプロピル)ピリジン N-オキシド (6.0g, 0.03 mol) および(S,S)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノ-塩化マンガン(III)(4.13 g, 0.00651 mol)の水性溶液を添加した。得られる褐色溶液を、15分間0℃での攪拌に供した。該冷溶液に、ジクロロメタン(700 mL)中の6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン(51 g, 0.24 mol)溶液を、水性次亜塩素酸ナトリウム(2 M, 200 mL)の添加と同時に添加した。該反応を0℃に維持し、該褐色溶液は、該インデンの添加時に同じ色調であった。4時間後、該有機層を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した。該混合物を、ペンタンを用いてシリカゲルで濾過した。該溶媒の除去後、エポキシド[42 g (88%, 84% ee)]を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 7.72 (s, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 6.93 (m, 1H), 6.74 (m, 1H), 3.46 (Brs, 1H).
【0175】
【化68】


段階E
(2S)-1-ベンジル-2-メチルピペラジン
tert-ブチル(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(380.0 g, 1.897 mol)および臭化ベンジル(248 mL, 2.09 mol)をアセトニトリル(440 mL)中で混合した。トリエチルアミン(300.0 mL, 2.152 mol)を注意深く添加し、該混合物を終夜還流した。該混合物を室温まで冷却後、該固体を濾去した。該濾液を濃縮した。該残留物を該固体と合わせて、塩化メチレンに溶解した。該塩化メチレン溶液を、1N NaOHで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。該溶媒を除去した後、残渣を6 N HClを用いて0℃で直接処理し、3時間後に該溶液を、ゆっくりと固体の水酸化ナトリウムを添加することによって塩基性化した。得られる混合物を塩化メチレンで抽出し、該抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥した。該溶媒の除去後、生成物[330 g (91.4%)]を得た。該生成物を次の段階に直接使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 7.30 (m, 5H), 4.05 (d, 1H), 3.15 (d, 1H), 2.92 (m, 1H), 2.83 (m, 2H), 2.67 (m, 1H), 2.60 (m, 1H), 2.38 (m, 1H), 2.36 (bs, 2H), 2.06 (m, 1H), 1.14 (d, 3H). MS (EI) 191.1 (M+1).
【0176】
【化69】


段階F
t-ブチル 4-[(3S)-ベンジル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-シアノピペリジン-1-カルボキシレート
フラスコ(5L)中に、(2S)-1-ベンジル-2-メチルピペラジン(260.0 g, 1.366 mol)、ジクロロメタン (1000 mL)、t-ブチル 4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート(272 g, 1.37 mol)およびチタンテトライソプロポキシド (480.0 mL, 1.626 mol)を混合し、該混合物を室温で20時間攪拌した。該混合物を0℃に冷却し、トルエン(1.0 M, 1600 mL)中のジエチルアルミニウムシアニドを滴加した。得られる混合物を、室温で20時間攪拌した。次いで、該反応物を2つのフラスコ(5L)に分けた。各フラスコに、酢酸エチル(1L)、重炭酸ナトリウム(500 g)、セライト(150 g)を添加し、それらをドライアイス/アセトニトリルを用いて−40℃まで冷却した。各フラスコに、飽和硫酸ナトリウム(200 mL)水溶液を、十分に攪拌しながらゆっくりと添加した。該反応混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、4時間攪拌した後、メタノール(1L)を各フラスコに添加した。終夜攪拌した後、該反応混合物を、砂の薄層を通して濾過した。該固形物を、フラスコ(5L)に戻し、メタノール(3 L)と共に5時間攪拌した。不溶性固体を濾去した。該混合濾液を、濃縮し、乾燥させた。塩化メチレン(3L)を添加した。不溶性固体を濾去した。濾液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去し、淡黄色固体として生成物[484 g (88.9%)]を得た。粗製生成物はほぼ純粋であって、次の段階に直接使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 7.32 (m, 5H), 4.04 (d, 1H), 3.95 (Brs, 2H), 3.15 (d, 1H), 3.15 (Brs, 2H), 2.82 (m, 1H), 2.73 (m, 2H), 2.44 (m, 2H), 2.25 (t, 1H), 2.15 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 1.66 (m, 1H), 1.46 (s, 9H), 1.17 (d, 3H); MS (EI) 399.2 (M+1).
【0177】
【化70】


段階G
t-ブチル4-[(3S)-ベンジル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
フラスコ(5L)においてtert-ブチル 4-[(3S)-ベンジル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-シアノピペリジン-1-カルボキシレート(242 g, 0.605 mol)のテトラヒドロフラン(1.5 L)溶液を、ドライアイス/アセトニトリルを用いて-40℃に冷却した。臭化メチルマグネシウム(テトラヒドロフラン中3.0 M, 800 mL)をゆっくりと添加した。添加後、該反応混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、終夜攪拌した。ドライアイス/アセトニトリルを用いて−40℃に再び冷却した後、セライト(200g)、次いで酢酸エチル(500 mL)を注意深く添加した。添加後、該混合物を4時間攪拌し、その間温度をゆっくりと室温に昇温させた。該反応混合物を、−40℃に再度冷却して、水(200 mL)、次いでメタノール(1.5 L)を添加した。室温で終夜攪拌の後、該混合物を砂の薄層により濾過した。該固形物をフラスコ(5L)に戻し、メタノール(2 L)と共に5時間攪拌した。不溶性固体を濾去した。混合濾液を、濃縮して、乾燥した。塩化メチレン(3.5 L)を添加した。不溶性固体を濾去した。濾液を硫酸マグネシウムで乾燥させた。該溶媒を除去した後、生成物[436 g (92.6%)]を白色の粘性固体として得た。粗製生成物は、主に純粋であり、次の段階に直接使用した。MS (EI) 388.3 (M+1).
【0178】
【化71】


段階H
t-ブチル 4-メチル-4-[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート
パール・ボトル(Parr bottle)(2.25 L)中で、t-ブチル4-[(3S)-ベンジル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(45.5 g, 0.118 mol)のメタノール(320 mL)および酢酸(35 mL, 〜5等量)溶液を、H2 で60 psiに充填し、該混合物を18時間攪拌した。該反応混合物をセライトパッドにより濾過し、該パッドをメタノールで洗浄した。該濾液を減圧下で濃縮した。該残留油をDCM(500 mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(300 mL)水溶液で洗浄した。該水相を塩化メチレン(200 mL)で逆抽出した。混合有機溶液を塩水(500 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、該溶媒を減圧下で除去し、生成物[35 g, (100%)]をゆっくりと結晶化する淡黄色の粘性油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) 3.44 (m, 2H), 3.36 (m, 2H), 2.97 (dt, 1H), 2.84 (dd, 1H), 2.78 (m, 1H), 2.71 (Brd, 2H), 2.16 (dt, 1H), 1.81 (t, 2H), 1.76 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.34 (m, 3H), 1.03 (d, 3H), 0.90 (s, 3H); MS (EI) 298.2 (M+1).
【0179】
【化72】


段階I
t-ブチル 4-(3S)-4-[(1R,2R)-2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート[(1R)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト-1-イル]メタンスルホン酸 塩
エタノール中(100 mL)の(1aS,6aR)-4-(トリフルオロメチル)-6,6a-ジヒドロ-1aH-インデノ[1,2-b]オキシレン(118.4 g, 0.5917 mol)およびt-ブチル 4-メチル-4-[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(160.00 g, 0.53793 mol)混合物を、2日の間70℃(油浴温度)で加熱した。該混合物を濃縮し、残渣を、1%トリエチルアミン含有酢酸エチルを用いてシリカプラグに透過させた。溶媒の除去後、泡沫状固体(267.67 g)を得た。この固体に、アセトニトリル (500 mL) を添加し、該混合物を30分間攪拌した。上記混合物に、固体[(1R)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト-1-イル]メタンスルホン酸 (124.96 g, 0.53793 mol)を一度に添加した。該溶液はゆっくりと透明に変化し、次いで白色固体が析出(crashing out)しはじめた。終夜攪拌の後、該固体を濾取し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥させて、生成物(232 g)を得た。濾液を中和し、濃縮し、残渣に対して同様の塩形成過程を実施し、さらなる生成物(74 g)を得た。合計収率は70%であった。MS (EI) 498.2 (M+1).
【0180】
【化73】


段階J
t-ブチル 4-(3S)-4-[(1R,2R)-2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル 4-(3S)-4-[(1R,2R)-2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート[(1R)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト-1-イル]メタンスルホン酸 塩(512 g, 0.701 mol)を1M 水酸化ナトリウム(1 L)水溶液に溶解し、該溶液を塩化メチレン(2 × 2 L)で抽出した。混合有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。該残留物を、高い減圧下でさらに乾燥させ、オフホワイトの泡沫状固体(346 g. 99.1%)を得た。 MS (EI) 498.2 (M+1).
【0181】
【化74】


段階K
t-ブチル 4-(3S)-4-[2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
DMF(100 mL)中の水素化ナトリウム(5.225 g, 0.1306 mol)を0℃で乾燥DMF(150 mL)と混合した。t-ブチル 4-(3S)-4-[2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(50.0 g, 0.1005 mol)溶液を、0℃で20分間かけて滴加した。添加後、該混合物を、さらに20分間攪拌し、ヨードエタン(12.06 mL, 0.1507 mol)を一度に添加した。攪拌1時間後、該反応容量を注意深く冷水(500 mL)に注ぎ入れた。該混合物を塩化メチレン(500 mL×3)で抽出した。該混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。該溶媒の除去後、該残留物を塩化メチレンに溶解し、酢酸エチル/ヘキサン/トリエチルアミンの50:50:1 (プラグを同溶媒系で予め飽和させた)を用いてシリカプラグに透過させた。該溶媒を除去後、生成物[48.4 g (91.6%)]を、粘着性固体として得た。MS (EI) 526.2 (M+1).
【0182】
【化75】


段階L
5-[(4-(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン 二塩酸塩
t-ブチル 4-(3S)-4-[2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(48.4 g, 0.0921 mol)を、1,4-ジオキサン (230 mL)中の4.0 M塩化水素溶液を用いて、室温で処理した。該反応混合物を濃縮し、乾燥させ、該残留物を高減圧下でさらに乾燥させた。形成したアミン塩酸塩を、塩化メチレン(100 mL)中の4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸 (16.8 g, 0.110 mol)と混合し、次いで1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (16.80 g, 0.1243 mol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド 塩酸塩(25.00 g, 0.1304 mol)およびトリエチルアミン (65.0 mL, 0.466 mol)を添加した。得られる反応混合物を、室温で終夜攪拌し、塩化メチレンに希釈し、水酸化ナトリウム(1 M)水溶液および塩水で洗浄した。該有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒の除去後、該残留物を塩化メチレン(50 mL)に溶解させ、該溶液を酢酸エチル含有1% トリエチルアミンによりシリカプラグに通した。該溶液を濃縮し、該残留物を、酢酸イソプロピルに溶解した(900 mL)。上記溶液に、酢酸イソプロピル中1.0N HCl(185 mL)をゆっくりと添加した。該混合物は、ゆっくりと濁り、終夜攪拌された。形成した白色固体を回収し、酢酸イソプロピル(40 mL)で洗浄した。該固形物を通気乾燥させ、生成物[47.0g (80.7%)]を得た。MS (EI) 560.3 (M+1).
【実施例12】
【0183】
【化76】


実施例12
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-(2-メトキシエトキシ)-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例11に記載したとおりに行った。MS (M+H)+ 590.
【実施例13】
【0184】
【化77】


実施例13
4-[(4-{(3S)-4-[(1S,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]シンノリン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例11に記載したとおりに調製した。MS (M+H)+ 582.4.
【実施例14】
【0185】
【化78】


実施例14
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]キノリン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例11に記載したとおりに調製した。MS (M+H)+ 581.4.
【実施例15】
【0186】
【化79】

【0187】
実施例15
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]キノリン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例11に記載したとおりに調製した。MS (M+H)+ 581.4.
【実施例16】
【0188】
【化80】


実施例16
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-1,8-ナフチリデン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例11に記載したとおりに調製した。MS (M+H)+ 582.4.
【実施例17】
【0189】
【化81】


実施例17
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]イソキノリン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例11に記載したとおりに調製した。MS (M+H)+ 581.4.
【実施例18】
【0190】
実施例18
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
【化82】


段階A
6-ブロモ-1H-インデン
5-ブロモインダン-1-オール(5.00 g, 23.5 mmol)およびp-トルエンスルホン酸 一水和物(100 mg, 0.5 mmol)のベンゼン(150.00 mL)溶液を、2時間加熱還流し、該反応混合物からDean-Stark trapを用いて水を連続的に除去した。室温まで冷却後、該ベンゼン溶液を水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー (ヘキサン)による該残留物の精製により、純粋な5-ブロモインデン(4.0g, 87%)を得た。
【0191】
【化83】


段階B
4-ブロモ-6,6a-ジヒドロ-1aH-インデノ[1,2-b]オイシレン
4-(3-フェニルプロピル)ピリジン N-オキシド (68.88 mg, 0.323 mmol)の塩化メチレン (6.00 mL) 溶液に、(S,S)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノ-塩化マンガン(III)(58.62 mg, 0.09.23 mmol)および2.0 M 次亜塩素酸ナトリウム(4.00 mL)水溶液を0℃で添加した。得られる褐色懸濁液を0℃で15分間攪拌した。冷却懸濁液に、0℃で、6-ブロモ-1H-インデン(900 mg, 4.6141 mmol)の塩化メチレン(6.00 mL)溶液に添加し、同時に0℃で2.0 M 次亜塩素酸ナトリウム(4.00 mL)水溶液を添加した。該反応を0℃に1時間維持した。該反応を室温まで昇温させ、次いで室温で終夜攪拌した。該反応混合物を塩水に注ぎ入れ、次いで塩化メチレン(4 × 40 mL)で抽出した。混合抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧蒸留した。粗製生成物を次の反応に直接使用した。この2つのジアステレオマーの比率は8/1であった。
【0192】
【化84】


段階C
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
4-ブロモ-6,6a-ジヒドロ-1aH-インデノ[1,2-b]オキシレン(247.9 mg, 1.1746 mmol)のエタノール(10.00 mL)溶液に、tert-ブチル 4-メチル-4-[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(349.36 mg, 1.1746 mmol)を添加した。該反応混合物を、終夜加熱還流した。冷却後、該混合物を、減圧蒸発させた。シリカゲルでの50%酢酸エチル(1%NH4OH)およびヘキサンを用いる精製により、最初に移動した生成物を所望の化合物として得た(295 mg; 49.4%)。
【0193】
【化85】


段階D
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(564 mg, 1.1 mmol)のテトラヒドロフラン(20.00 mL)溶液に、水素化ナトリウム(448 mg, 17.75 mmol)を室温で添加した。10分間攪拌の後、ヨードエタン(1.42 mL, 17.75 mmol)を添加した。該反応混合物を、室温で終夜攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液 (20 mL)を用いて反応停止させた。該有機層を分離し、該水相を酢酸エチル(3 ×30 mL)で抽出した。該混合抽出物を、塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発、粗製生成物(488 mg, 82%)を得た。LC-MS [M+1]=536.3, 538.8.
【0194】
【化86】


段階E
(2S)-1-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-2-メチル-4-(4-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン 三塩酸塩
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(50 mg, 0.093 mmol)のテトラヒドロフラン(3 mL)溶液に、4.00 Mの1,4-ジオキサンの塩化水素溶液(3 mL)を添加した。該反応混合物を室温で1時間攪拌した。減圧下での蒸留により、脱-Boc生成物を得た。
【0195】
【化87】


段階F
5-[(4-{(3S)-4-[(1S,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
塩化メチレン(6 mL)中の(2S)-1-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-2-メチル-4-(4-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン 三塩酸塩 (50 mg, 0.0916 mmol)のスラリーに、4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸 (27.88 mg, 0.183 mmol), N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルバジイミド 塩酸塩(21.07 mg, 0.11 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (13.62 mg, 0.101 mmol)およびトリエチルアミン(0.0894 mL, 0.641 mmol)を添加した。該反応混合物を室温で終夜攪拌した。10% MeOH/EtOAc(1% NH4OH)を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに直接供し、所望の生成物(42 mg, 80%)を得た。LC-MS [M+1]=570.10; 572.05.
【実施例19】
【0196】
【化88】


実施例19
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]シンノリン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例18に記載したとおりに調製した。 MS (M+H)+ 592.3, 594.3.
【実施例20】
【0197】
【化89】

実施例20
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-1,8-ナフチリジン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例18に記載したとおりに調製した。MS (M+H)+ 592.3, 594.3.
【実施例21】
【0198】
【化90】


実施例21
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルオキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
この化合物を、適切な開始物質を用いて実質的には実施例18に記載したとおりに調製した。 MS: (M+H)+ 619.3, 621.3.
【実施例22】
【0199】
実施例22
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(1,3-チアゾール-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
【0200】
【化91】


段階A
[(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)オキシ](tert-ブチル)ジメチルシラン
5-ブロモインダン-1-オール(4.00 g, 18.8 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド (25.00 mL)溶液に、トリエチルアミン (5.23 mL, 37.5 mmol)、tert-ブチルジメチルシリルクロライド(4.244 g, 28.16 mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(115 mg, 0.939 mmol)を室温で添加した。該反応混合物を室温で3時間攪拌した。該混合物をエーテル(100 mL)で希釈し、水により反応停止させた。水相をエーテルで抽出した(4 × 40 mL)。混合抽出物を、塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。5% EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、所望の生成物(6.05g, 98%)を得た。
【0201】
【化92】


段階B
2-(1-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-1,3-チアゾール
テトラヒドロフラン中(1.60 mL)に亜鉛(899 mg, 13.75 mmol)の攪拌した懸濁液に、1,2-ジブロモエタン (0.118 mL, 1.37 mmol)を添加した。該懸濁液を、エチレンガスが揮発しなくなるまでヒートガンにより加熱した。クロロトリメチルシラン(0.0698 mL, 0.55 mmol)および2-ブロモチアゾール (0.413 mL, 4.58 mmol)のテトラヒドロフラン溶液を添加した。15分後、テトラヒドロフラン(8.00 mL)中に溶解した[(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)オキシ](tert-ブチル)ジメチルシラン(1.0 g, 3.055 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(70.6 mg, 0.0611 mmol)を添加した。該混合物を、還流で24時間攪拌し、塩水(15 mL)を添加して反応停止させた。有機層を分離し、水相を塩化メチレンで抽出した(25 mL × 3)。混合抽出物を塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に蒸発した。2.5% EtOAc/ヘキサンを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、所望のカップリング生成物を得た(800mg, 79%)。
【0202】
【化93】


段階C
5-(1,3-チアゾール-2-イル)インダン-1-オール
2-(1-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-1,3-チアゾール (630 mg, 1.9 mmol)のテトラヒドロフラン (10.00 mL) 溶液に、1.00 Mテトラブチルアンモニウムフッ化物3水和物の、テトラヒドロフラン(1.90 mL) 溶液を0℃で添加した。氷浴をはずして、反応混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を、エーテルで希釈し、飽和 NaCl 水溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧蒸発し、所望の生成物を得た(410 mg, 99%)。
【0203】
【化94】


段階D
2-(1H-インダン-6-イル)-1,3-チアゾール
5-(1,3-チアゾール-2-イル)インダン-1-オール(900.00 mg, 0.0041420 mol)のテトラヒドロフラン(20.00 mL)溶液に、1.0 Mの塩化水素水溶液(20.00 mL)を添加した。該反応混合物を、終夜加熱還流した。室温まで冷却後、反応を、1 N NaOH 水溶液(30 mL )を用いて停止した。有機層を分割し、水相をEtOAcで抽出した(3 × 30mL)。混合抽出物を塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下に蒸発させ、所望の生成物を得た(381 mg, 46%)。LC-MS [M+1]=200.2.
【0204】
【化95】


段階E
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(1,3-チアゾール-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
段階Dの中間体から開始して、表題化合物を実施例18に記載した同様の方法を用いて調製した。MS (M+H) 575.2.
【実施例23】
【0205】
【化96】


実施例23
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
表題化合物を、実施例22と同様の方法を用いて調製した。MS (M+H) 569.3.
【実施例24】
【0206】
実施例24
5-[(4-{(3S)-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
【0207】
【化97】


段階A
5-(トリフルオロメチル)-3-ビニル-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1-オール
N,N,N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン (4.76 mL, 37.4 mmol)のテトラヒドロフラン(150.00 mL) 溶液に、ヘキサン(25.7 mL)中1.6 Mのn-ブチルリチウムの溶液を−40℃で添加した。無色溶液は淡黄色となった。冷浴をはずし、該反応を−15℃に加温している間に30分間攪拌した。該反応を、再度−40℃に再び冷却し、4-トリフルオロメチルベンズアルデヒド(5.00 mL, 37.4 mmol)を添加した。該反応を−50℃で35分間攪拌し、2回目の1.60 M のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液の添加を行った。該反応を-25℃まで加温し、−25℃で2時間維持し、同時にアクロレイン(2.75 mL, 41.2 mmol)を添加した。該反応混合物を、終夜攪拌し、6N HCl水溶液(30 mL)を添加した。有機層を分割し、水相をEtOAcで2回抽出した(2 ×30 mL)。混合抽出物を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(2.4g, 28% 収率)を得た。LC-MS [M+1]=231.2.
【0208】
【化98】


段階B
1-[5-(トリフルオロメチル)-2-ビニルフェニル]プロプ-2-エン-1-オール
トリフェニルメチルホスホニウム臭化物(1.71 g, 4.78 mmol)をエーテルに溶解した(20.00 mL)。0℃まで冷却した後、1.60 M の n-ブチルリチウムのヘキサン(2.72 mL)溶液を、シリンジにより迅速に添加し、得られるオレンジ色の混合物を室温まで昇温させ、終夜攪拌した。攪拌を停止して、固化させ、次いでこの得られたものを、カニューレを介して5-(トリフルオロメチル)-3-ビニル-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1-オール(1.00 g, 4.34 mmol)のエーテル溶液(10.00 mL)に、0℃で攪拌しながら添加した。添加に従って、氷浴をはずして、混合物を終夜加熱還流した。該反応を冷却し、次いで該固体を濾去し、少量のエーテルで洗浄した。大部分の溶媒を蒸発させ、粗製生成物をシリカゲルに流し、ヘキサン/EtOAc (10:1)で溶出し、所望の生成物(0.81g, 82%)を得た。LC-MS [M+1]=229.2.
【0209】
【化99】


段階C
6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン-1-オール
窒素下で1-[5-(トリフルオロメチル)-2-ビニルフェニル]プロプ-2-エン-1-オール(462 mg, 2.02 mmol)の塩化メチレン(20 mL)溶液に、ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(70 mg, 0.08 mmol)を添加した。該暗色混合物を25℃で30分間攪拌し、濃縮した。該残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物(278.1 mg, 68%)を得た。LC-MS [M+1]=279.2.
【0210】
【化100】

段階D
6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン-1-オン
塩化メチレン(15 mL)中のクロロクロム酸ピリジウム(1.08 g, 5.0 mmol)の溶液に、塩化メチレン(10 mL)中の6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン-1-オール(500 mg, 2.498 mmol)の溶液を滴下した。14時間攪拌の後、エーテル(30 mL)を添加し、反応混合物をシリカゲルを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。該粗製物をクロマトグラフィーに供し(10:1 ヘキサン/EtOAc)、生成物[200mg (40%)]を得た。LC-MS [M+1]=199.2.
【0211】
【化101】


段階E
tert-ブチル 4-メチル-4-{3-メチル-4-[3-オキソ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-カルボキシレート
四塩化炭素 (8.00 mL)中6-(トリフルオロメチル)-1H-インデン-1-オン(100 mg, 0.505 mmol)およびtert-ブチル 4-メチル-4-(3-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(420 mg, 1.412 mmol)の溶液を、60℃で18時間攪拌しながら加熱した。溶媒の減圧蒸留後、該残留物を、シリカゲルで精製し、2つのジアステレオマー(3/1 比率)を得た。収量180 mg (72%)。LC-MS [M+1]=496.4.
【0212】
【化102】


段階F
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[3-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル 4-メチル-4-{3-メチル-4-[3-オキソ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-カルボキシレート(100 mg, 0.202 mmol)のエタノール(7 mL) 溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(57 mg, 1.5 mmol)を添加した。反応混合物を、室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を1 N NaOH 水溶液(10 mL)およびEtOAc(10 mL)を用いて反応停止させた。有機層を分割し、水層をEtOAcで2回抽出した(2 × 15mL)。混合抽出物を、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に蒸留し、次の段階に直接使用される所望の生成物を得た(93 mg, 92%)。LC-MS [M+1]=498.4.
【0213】
【化103】


段階G
tert-ブチル 4-{(3S)-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート
水素化ナトリウム (150 mg, 3.75 mmol)のテトラヒドロフラン(15 mL)懸濁液に、テトラヒドロフラン(5 mL)中のtert-ブチル 4-{4-[3-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(92 mg, 0.185 mmol)の溶液を添加した。該反応混合物を、室温で1時間攪拌し、ヨウ化メチル(0.50 mL, 8.05 mmol)を添加した。該反応を、室温で終夜連続攪拌し、水(10 mL)およびEtOAc(10 mL)の添加によって停止させた。有機層を分離し、水層をEtOAcで2回抽出した(2 × 15 mL)。混合抽出物を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させ、次の段階に直接使用された粗製生成物 (81 mg, 85%)を得た。LC-MS [M+1]=511.3.
【0214】
【化104】


段階H
5-[(4-{(3S)-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
tert-ブチル 4-{4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-カルボキシレート(85 mg, 0.166 mmol)を、1,4-ジオキサン(2 mL)中の4.00 M塩化水素の溶液に溶解した。該混合物を1時間攪拌し、乾燥状態まで濃縮し、真空に吸引した。
4,6-ジメチル-ピリミジン-5-カルボン酸 (50.6 mg, 0.333 mmol)のアセトニトリル (4 mL)のスラリーに、0℃でDMF (触媒として使用した)の一滴、次いで塩化オキサリル(0.028 mL, 0.333 mmol) を添加した。得られるスラリーを、室温で2時間攪拌した。該反応混合物に、トリエチルアミン (0.139 mL, 0.998 mmol)下に0℃で上記アミン塩酸塩のアセトニトリル(4 mL)溶液を添加した。得られるスラリーを、45-50℃で6時間、および80℃で3時間加熱した。直接的なシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、所望の生成物(71mg, 78%)を得た。LC-MS [M+1]=546.3.
【実施例25】
【0215】
【化105】


実施例24
5-[(4-{(3S)-4-[3-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン
表題化合物を、実施例23に記載の方法と同様の方法で調製した。MS (M+H) 560.2.
【0216】
実施例A
CCR5 発現
白血球(leukophoresis)(Biological Specialty, Colmar, PA)を、正常な医薬物を有さないドナーから獲得し、末梢血単核細胞(PBMC)を密度勾配遠心分離によって単離した。単球をさらに遠心溶出法により単離した。洗浄後、単球を、106 細胞/mlで、10% FBS(Hyclone, Logan, UT)および10-20 ng/mLの組み換えヒトIL-10 (R&D Systems, Minneapolis, MN)により補充されたRPMI(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて再度懸濁し、同培地において37℃で5% CO2で24-48時間インキュベートした。IL-10 処理済単球に対するCCR5発現を、PE-コンジュゲート抗ヒトCCR5抗体((PharMingen, San Diego, CA)を用いて細胞を染色し、FACS Calibur (BD Biosciences, Bedford, MA)を用いる FACS 分析に供して評価した。
【0217】
実施例B
CCR5結合アッセイ
96 ウェル マルチスクリーン(登録商標)フィルタープレート(Millipore Systems, Billerica, MA)において、20 mM HEPES (Invitrogen, Carlsbad, CA) および 0.3% BSA (Sigma, St Louis, MO)を有するRPMI (Invitrogen, Carlsbad, CA) (150 μl)中の3x105 IL-10 処理済単球を、0.2 nM 125I-MIP-1β(Perkin Elmer, Boston, MA)および本発明の化合物の一連の濃縮と共に室温で1時間インキュベートした。非特異的結合を、細胞と0.3 μM MIP-1β(R&D Systems, Minneapolis, MN)と共にインキュベートすることによって決定した。該結合反応を、真空マニホールドに対するプレートにおいてこのフィルター上で細胞を回収することによって停止させた(Millipore Systems, Billerica, MA)。次いで、このフィルターを、真空マニホールド上で20 mM HEPES (Invitrogen, Carlsbad, CA)、0.3% BSA (Sigma, St Louis, MO)および0.4 M NaClにより補充したRPMIで5回洗浄し(Invitrogen, Carlsbad, CA)、通気乾燥させ、該プレートから剥離した。フィルタープレート中のサンプルウェルに対応するこのフィルターディシュを、Millipore Punch System (Millipore Systems, Billerica, MA)を用いて穴をあけた。各フィルターディッシュ上で結合放射活性の量を、ガンマ計測器で決定した。特異的結合を、全結合−非特異的結合として定義した。該結合データをPrism(GraphPad SOftware, San Diego, CA)にて評価した。本発明の化合物は、このアッセイに従って、約1μMもしくはそれ以下の結合親和性を示すことがわかった。
【0218】
実施例C
HIV-1 エントリーアッセイ
複製欠失 HIV-1 リポータービリオンを、例えば、Connor ら, Virology, 206 (1995), 935-944に記載されているようなHIV-1エンベロープ遺伝子の幾つかの一つをコードしているプラスミドと共に、HIV-1(エンベロープ遺伝子の変異によって修飾されている、およびルシフェラーゼレポータープラスミドの導入)のNL4-3 株をコードするプラスミドの共トランスフェクションによって作成した。リン酸カルシウム沈殿によって2つのプラスミドのトランスフェクションの後に、ウイルス上清を3日目に回収し、機能的ウイルス力価を決定した。次いでこれらのストックを使用して、試験化合物または試験化合物なしで予めインキュベートしたCD4およびケモカインレセプターCCR5を安定に発現するU87 細胞を感染させた。感染を2時間37℃で行った。細胞を洗浄し、培地を、化合物を含有する新しい培地で置換した。該細胞を3日間インキュベートし、溶菌し、ルシフェラーゼ活性を決定した。結果を、コントロール培養物中のルシフェラーゼ活性の50%を阻害するのに必要とされた化合物の濃度として報告する。
【0219】
実施例D
MT-4 細胞におけるHIV-1複製アッセイ
HIV-1 NL4.3 (またはIIIB)複製アッセイの阻害を、以前に記載されたとおりに(Bridger, et al., J. Med. Chem. 42:3971-3981 (1999); De Clercq, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 89:5286-5290 (1992); De Clercq, et al., Antimicrob. Agents Chemother. 38:668-674 (1994);Bridger, et al. J. Med. Chem. 38:366-378 (1995)) 行い得る。要約すると、抗HIV活性および細胞毒性測定を並行して行い、試験化合物の様々な濃度の存在下でHIVに感染したMT-4 細胞の生存性を基準にされる。MT-4 細胞を5日間増殖させた後、生存し得る細胞の数を、96ウェルマイクロトレイにおけるテトラゾリウムを基にした熱量測定的3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)法によって定量した。結果を、生存細胞に対するウイルス感染細胞の50%を保護するのに必要な濃度を示すEC50を得るために定量され得る。
【0220】
実施例E
ケモカインレセプター阻害/結合アッセイ
ケモカインレセプター(例えば、CCR2)機能を拮抗するための本発明の化合物の能力は、適当なスクリニング(例えば、高速処理量アッセイ)を用いて決定できる。例えば、薬剤を、細胞外の酸性化アッセイ、カルシウム流出アッセイ、リガンド結合アッセイまたは走化性アッセイ[例えば、Hesselgesser et al., J Biol. Chem. 273(25):15687-15692 (1998); WO 00/05265 および WO 98/02151を参照されたい。各文献を出典明示により本明細書の一部に含める]において試験できる。
【0221】
実施態様のアッセイにおいて、これは、哺乳類ケモカインレセプターの少なくとも一つの特性、活性または機能的特徴を有する、単離できるかまたは組み換え由来のケモカインレセプターが使用される。具体的な特性は、結合特性(例えば、リガンドまたは阻害剤)、シグナル伝達活性[例えば、哺乳類Gタンパク質の活性化、細胞質遊離カルシウム濃度[Ca++]iにおける迅速かつ一過的に増加した誘導、細胞性応答機能(例えば、白血球によって放出される走化性または炎症性メディエーターの刺激]など、であり得る。
【0222】
ある実施態様において、ケモカインレセプターまたはその変異体を含有する組成物は、結合に適当な条件下で維持される。該レセプターを、被験化合物と接触させ、結合を検出または測定する。
【0223】
さらなる実施態様において、アッセイは細胞を基づくアッセイであり、レセプターをコードする核酸配列を持つベクターまたは発現カセットによって安定にまたは一時的にトランスフェクトされたこの細胞が用いられる。該細胞を、レセプターの発現に適当な条件下で維持し、そして結合が生じるための適切な条件下で薬剤と接触する。結合は標準的技術を用いて検知できる。例えば、結合の程度は、適当なコントロールと比較して決定できるた。また、細胞機能、例えばレセプターを含有する膜分画は、全部細胞のかわりに使用され得る。
【0224】
本発明の化合物とケモカインレセプターとの結合または複合体形成の検出は、直接的にまたは間接的に検出できる。例えば、該化合物を適当な標識を用いて標識し(例えば、蛍光標識、標識、同位体標識、酵素標識など)、結合を標識の検出によって測定できる。特異的および/または競合的結合を、拮抗剤としての非標識薬剤またはリガンドを用いて競合および置換研究によって評価することができる。
【0225】
試験薬剤のアンタゴニスト活性を、例えば、リガンドとして125I-標識化MCP-1および密度勾配遠心分離によって正常ヒト全血から調製した末梢血単核細胞(PBMC)を用いてレセプター結合アッセイにおける特異的結合の50%阻害に必要な阻害剤濃度(IC50値)として報告できる。特異的結合は、好ましくは、「全結合(例えば、フィルター上の全cpm)−非特異的結合」として定義される。非特異的結合は、過剰な非標識拮抗剤(例えば、MCP-1)の存在下においてもなお検知される総cpmとして定義される。
【0226】
上記したヒトPBMCを、適当な結合アッセイに使用できる。例えば、200,000から500,000 細胞を、0.1 から 0.2 nM 125I-標識化MCP-1と共に、非標識拮抗剤(10nM MCP-1)または様々な濃度の試験化合物の存在下または非存在下でインキュベートできる。125I-標識化MCP-1は、適当な方法で調製でき、または市販購入できる(Perkin Elmer, Boston MA)。該結合反応を、50 〜250μlの結合緩衝液[1M HEPES (pH7.2)および 0.1% BSA (子ウシ血清アルブミン)]において30分間室温で実施できる。該結合反応を、0.3% ポリエチレンイミンまたはリン酸緩衝食塩水(PBS)に予め浸されていてもよいガラスファイバーフィルター(Perkin Elmer)による迅速な濾過により、膜を回収することによって終結させ得る。フィルターは、600μlの結合バッファー(0.5 M NaCl含有)またはPBSですすぎ、乾燥させ、ガンマ計測器上(Perkin Elmer)での計測によって結合放射活性の量を決定した。
【0227】
ケモカインレセプター機能を拮抗する化合物の能力はまた、好適な細胞を用いる白血球走化性アッセイにおいても測定できる。好適な細胞としては、例えば、CCR2を発現し、CCR2 リガンド誘導性(例えば、MCP-1) 走化性を示しうる細胞株、組換え細胞または単離細胞が挙げられる。該アッセイは、修飾Boyden Chamber (Neuro Probe)中でヒト末梢血単核細胞を使用できる。無血清DMEM培地(Invitrogen)中の500,000細胞を、阻害剤と共に、または阻害剤なしでインキュベートし、37℃に昇温させる。走化性チャンバー(Neuro Probe)も予め温めておいた。温めた10 nM MCP-1(400μL)を、すべてのウェルのチャンバー底部に添加し、ネガティブコントロールにはDMEMを添加する。8 ミクロンのメンブレンフィルター(Neuro Probe)を上に載せ、チャンバーのフタを閉じる。次いで細胞をチャンバーのフタの孔に添加する、これはフィルターメンブレンの下のチャンバーウェルにつながっている。全てのチャンバーを、37℃、5%CO2で30分間インキュベートした。次いで細胞を吸引し、チャンバーのフタを開け、このフィルターをゆっくりと取り出す。フィルターの上部を3回PBSで洗浄し、底部をそのままにする。フィルターは、風燥させ、Wright Geimsa stain (Sigma)で染色する。フィルターを顕微鏡検査法によって計測した。ネガティブコントロールウェルを、バックグラウンドとし、全ての値から控除した。アンタゴニスト強度は、MCP-1コントロールウェル中のチャンバー底部に移動した細胞の数と、アンタゴニストを含有するウェル中のチャンバー底部に移動した細胞数とを比較することによって決定され得る。
【0228】
上記結合アッセイについて、IC50値が約0.01〜約500nMの範囲を有する場合、本発明の化合物は活性であるとみなし得る。走化性反応アッセイにおいて、活性化合物は、約1〜約3000 nMの範囲において、IC50値を有する。
【0229】
本明細書に記載した内容に加えて、本発明の様々な修飾は、当業者には前記より明らかであろう。かかる修飾は、請求の範囲内にあるものと意図される。本出願において引用された各引例には、あらゆる特許、公開公報および書籍が包含され、出典明示により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】


I
または、その医薬的に許容し得る塩またはそのプロドラッグ:
[式中、R1は、所望により1以上のR6により置換されたヘテロアリールであり;
R2は、H、ハロ、シアノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、SOR7、SO2R7、COR8、OR9、SR9、COOR9、NR10R11またはNR10COR8であり;
R3は、F、Cl、Br、I、C1-C4ハロアルキル、C1-C4ハロアルコキシまたはヘテロアリールであり;
R4は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたはC1-C6ハロアルキルであり;
R5は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたはC1-C6ハロアルキルであり;
R6は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ、アミノ、(C1-C6アルキル)アミノまたはジ(C1-C6アルキル)アミノであり;
R7は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、(C3-C7シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、またはNR12R13であり;
R8は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、(C3-C7シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、またはNR12R13であり;
R9は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル;(C3-C7シクロアルキル)アルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R10およびR11は、各々独立して、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル;(C3-C7シクロアルキル)アルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルであり;あるいは
R10およびR11は、それらが結合するN原子と一体となって、3-、4-、5-、6-、または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R12およびR13は、各々独立して、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C3-C7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル;(C3-C7シクロアルキル)アルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルであり;あるいは
R12およびR13は、それらが結合するN原子と一体となって、3-、4-、5-、6-、または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
rは、1、2または3である。]。
【請求項2】
R1が、少なくとも一つの環形成N原子を含有する5-、6-、9-または10員ヘテロアリール基であり、ここで該5-、6-、9-または10員ヘテロアリール基は、1、2、3または4つのR6基により所望により置換されている、請求項1の化合物。
【請求項3】
R1が、
【化2】


である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1が、
【化3】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1が、
【化4】


である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R2が、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、OR9、SR9またはNR10R11である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R2が、HまたはOR9である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R3が、F、Br、CF、または6-または5員ヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R4が、C1-C6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R4が、メチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R5が、C1-C6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R5が、メチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
式IIa:
【化5】


を有する請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩形態またはそのプロドラッグ。
【請求項14】
R1が、
【化6】


である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
R1が、
【化7】


である、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
CCR5の選択的バインダーまたは阻害剤として特徴付けられる、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
下記のもの:
5-({4-[(3S)-4-(5-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン;
5-({4-[(3S)-4-(5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン;
5-({4-[(3S)-4-(6-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン;
5-({4-[(3S)-4-(6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン ;
5-({4-[(3S)-4-(6-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン ;
5-({4-[(3S)-4-(7-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-メチルピペリジン-1-イル}カルボニル)-4,6-ジメチルピリミジン;
4,6-ジメチル-5-[(4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[6-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリミジン;
4,6-ジメチル-5-[(4-メチル-4-{(3S)-3-メチル-4-[5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピペラジン-1-イル}ピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリミジン;
1-((2S)-4-{1-[(4,6-ジメチルピリミジン-5-イル)カルボニル]-4-メチルピペリジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル)-5-(トリフルオロメチル)インダン-2-オール;
5-[(4-{(3S)-4-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン;
5-[(4-(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン 二塩酸塩;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-(2-メトキシエトキシ)-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン;
4-[(4-{(3S)-4-[(1S,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]シンノリン;
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]キノリン;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]キノリン;
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-1,8-ナフチリデン;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]イソキノリン;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン;
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]シンノリン;
4-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-エトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-1,8-ナフチリデン;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-5-ブロモ-2-(ピリジン-2-イルオキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-(1,3-チアゾール-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン;
5-[(4-{(3S)-4-[(1R,2R)-2-エトキシ-5-ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン;
5-[(4-{(3S)-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-3-メチルピペラジン-1-イル}-4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]-4,6-ジメチルピリミジン、
から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17の何れかに記載の化合物および医薬的に許容し得る担体を含む組成物。
【請求項19】
ケモカインレセプターと、請求項1〜17のいずれかに記載の化合物とを接触させることを含む、ケモカインレセプターの活性を調節する方法。
【請求項20】
ケモカインレセプターがCCR5である、請求項19の方法。
【請求項21】
調節が阻害に対応する、請求項19の方法。
【請求項22】
化合物がCCR5の選択的阻害剤である、請求項19の方法。
【請求項23】
化合物がCCR5の選択的バインダーである、請求項19の方法。
【請求項24】
治療上有効量の請求項1−17いずれかに記載の化合物を患者に投与することを含む、該患者におけるケモカインレセプターの発現または活性と関連する疾患を処置する方法。
【請求項25】
ケモカインレセプターがCCR5である、請求項24の方法。
【請求項26】
化合物がCCR5の選択的阻害剤またはバインダーである、請求項25の方法。
【請求項27】
治療上有効量の請求項1−17のいずれかに記載の化合物を患者に投与することを含む、該患者における炎症性疾患、免疫不全およびウイルス感染から選択される疾患または症状の処置方法。
【請求項28】
疾患または症状が炎症性疾患である、請求項27の方法。
【請求項29】
疾患または症状が免疫不全である、請求項28の方法。
【請求項30】
疾患または症状がウイルス感染である、請求項28の方法。
【請求項31】
ウイルス感染がHIV感染である、請求項30の方法。
【請求項32】
治療上有効量の請求項1〜17いずれかに記載の化合物を患者に投与することを含む、該患者におけるHIV感染を処置する方法。
【請求項33】
少なくとも一つの抗ウイルス剤を同時または連続的に投与することをさらに含む、請求項32の方法。

【公開番号】特開2012−36210(P2012−36210A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−220378(P2011−220378)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【分割の表示】特願2007−508441(P2007−508441)の分割
【原出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(505193450)インサイト・コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
【Fターム(参考)】