説明

ケモカイン受容体活性のモジュレーターとしてのピペリジン誘導体

本願は、式(I):


の化合物もしくは立体異性体または医薬的に許容されるその塩について記載する。加えて、本発明の化合物を用いた、喘息およびアレルギー性疾患などの炎症性疾患、ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症などの自己免疫性の病態の治療および予防方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ケモカイン受容体活性のピペリジニルモジュレーター、それを含む医薬組成物、ならびに、炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患、特に関節リウマチおよび移植片拒絶の治療および予防のための薬剤としてそれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケモカインは、様々な細胞によって放出され、数ある細胞種の中でとりわけ、単球、マクロファージ、TおよびBリンパ球、好酸球、好塩基球ならびに好中球を誘引および活性化する、分子量6〜15 kDaの走化性サイトカインである。アミノ酸配列中の最初の2つのシステインが単一のアミノ酸によって分離されているか(CXC)、または隣接しているか(CC)に応じて、2つの主要なケモカインクラス、すなわちCXCおよびCCが存在する。インターロイキン-8(IL-8)、好中球活性化タンパク質-2(NAP-2)および黒色腫成長刺激活性タンパク質(MGSA)などのCXCケモカインは、主に好中球およびTリンパ球に対して走化性であり、一方、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、単球走化性タンパク質(MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、およびMCP-5)およびエオタキシン(-1および-2)などのCCケモカインは、数ある細胞種の中でとりわけ、マクロファージ、Tリンパ球、好酸球、樹状細胞、および好塩基球に対して走化性である。
【0003】
ケモカインは、「ケモカイン受容体」と呼ばれる、Gタンパク質結合7回膜貫通ドメインタンパク質のファミリーに属する特異的な細胞表面受容体に結合する。その同族リガンドに結合すると、ケモカイン受容体は、会合した三量体Gタンパク質を介して細胞内シグナルを伝達し、数ある他の応答の中でとりわけ、細胞内カルシウム濃度の急速な増加、細胞形態の変化、細胞接着分子の発現の増加、脱顆粒、および細胞遊走の促進をもたらす。少なくとも10種のヒトケモカイン受容体が存在し、以下の特徴的なパターンで、CCケモカインに結合もしくは応答する:CCR-1(または「CKR-1」もしくは「CC-CKR-1」)[MIP-1α、MCP-3、MCP-4、RANTES]CCR-2AおよびCCR-2B(または「CKR-2A」/「CKR-2B」もしくは「CC-CKR-2A」/「CC-CKR-2B」)[MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5];CCR-3(または「CKR-3」もしくは「CC-CKR-3」)[エオタキシン-1、エオタキシン-2、RANTES、MCP-3、MCP-4];CCR-4(または「CKR-4」もしくは「CC-CKR-4」)[TARC、MDC];CCR-5(または「CKR-5」もしくは「CC-CKR-5」)[MIP-1α、RANTES、MIP-1β];CCR-6(または「CKR-6」もしくは「CC-CKR-6」)[LARC];CCR-7(または「CKR-7」もしくは「CC-CKR-7」)[ELC];CCR-8(または「CKR-8」もしくは「CC-CKR-8」)[I-309];CCR-10(または「CKR-10」もしくは「CC-CKR-10」)[MCP-1、MCP-3];ならびにCCR-11[MCP-1、MCP-2、およびMCP-4]。
【0004】
哺乳動物ケモカイン受容体に加えて、哺乳動物サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスおよびポックスウイルスが、感染細胞において、ケモカイン受容体の結合特性を有するタンパク質を発現することが示されている。RANTESおよびMCP-3などのヒトCCケモカインは、これらのウイルスによってコードされた受容体を介してカルシウムの急速な動員を引き起こし得る。受容体の発現は、正常な免疫系監視および感染症に対する応答の破壊を可能にすることによって、感染症に許容状態となりうる。さらに、CXCR4、CCR2、CCR3、CCR5およびCCR8などのヒトケモカイン受容体は、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)の場合のように、微生物による哺乳動物細胞の感染に対する補助受容体として作用し得る。
【0005】
ケモカインおよびその同族受容体は、炎症性、感染性、および免疫調節性の障害および疾患(喘息およびアレルギー性疾患を含む)、ならびに関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症(arthrosclerosis)などの自己免疫性の病態(autoimmune pathology)の重要なメディエーターであることが示唆されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4に概説)。例えば、ケモカインマクロファージ炎症性タンパク質-1(MIP-1α)およびその受容体CCケモカイン受容体1(CCR-1)は、白血球を炎症部位に誘引し、続いてこれらの細胞を活性化することにおいて、中心的な役割を果たす。ケモカインMIP-1αがCCR-1に結合すると、細胞内カルシウム濃度の急速な増加、細胞接着分子の発現の増加、細胞脱顆粒、および白血球遊走の促進を引き起こす。
【0006】
さらに、ヒトにおけるMIP-1αの走化性特性が、実験によって実証されている。ヒト対象は、MIP-1αを皮内注射した場合、注射部位への白血球の急速かつ顕著な流入を経験した(非特許文献5)。
【0007】
MIP-1α/CCR-1相互作用の重要性が、遺伝子改変したマウスを用いた実験によって実証されている。MIP-1α -/- マウスは、正常な数の白血球を有していたが、免疫誘発後にウイルス性炎症の部位に単球を動員することができなかった。近年、MIP-1α -/- マウスは、コラーゲン抗体誘発関節炎に対して耐性を有することが示されている。同様に、CCR-1 -/- マウスは、in vivoでMIP-1αを用いて誘発した場合、好中球を動員することができず;さらに、CCR-1ヌルマウスの末梢血好中球はMIP-1αに応答して遊走しなかったことから、MIP-1α/CCR-1相互作用の特異性が実証された。MIP-1α -/- およびCCR-1 -/- 動物の生存率および全体的に正常な健康は、MIP-1α/CCR-1相互作用の破壊が生理学的な危機(physiological crisis)をもたらさないという観点から、注目すべきである。総合すると、これらのデータにより、MIP-1αの作用を遮断する分子がいくつかの炎症性および自己免疫障害の治療に有用でありうるという結論が導かれる。この仮説は、以下に記載のとおり、いくつかの異なる動物疾患モデルにおいて妥当性が確認されている。
【0008】
MIP-1αは、関節リウマチに罹患している患者の滑液および血液中で増加していることが知られている。さらに、いくつかの研究により、関節リウマチの治療においてMIP-1α/CCR1相互作用を拮抗することの潜在的な治療上の価値が実証されている。
【0009】
また、CCR-1はケモカインRANTES、MCP-3、HCC-1、Lkn-1/HCC-2、HCC-4、およびMPIF-1の受容体でもあることに注目すべきである(非特許文献6)。本明細書に記載の式(I)の新規化合物は、CCR-1受容体に結合することによってMIP-1αに拮抗すると推定されることから、この化合物はまた、CCR-1によって媒介される前述のリガンドの作用の効果的なアンタゴニストでありうる。従って、本明細書中で「MIP-1αの拮抗」と言及する場合、「CCR-1のケモカイン刺激の拮抗」と同等であるものとする。
近年、いくつかのグループによってMIP-1αの小分子アンタゴニストの開発が記載されている(非特許文献7に概説)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Carter, P.H., Current Opinion in Chemical Biology 2002, 6, 510
【非特許文献2】Trivedi et al., Ann. Reports Med. Chem. 2000, 35, 191
【非特許文献3】Saunders et al., Drug Disc. Today 1999, 4, 80
【非特許文献4】Premack et al., Nature Medicine 1996, 2, 1174
【非特許文献5】Brummet, M.E., J. Immun. 2000, 164, 3392-3401
【非特許文献6】Carter, P.H., Curr. Opin Chem. Bio. 2002, 6, 510-525
【非特許文献7】Carson, K.G. et al., Ann. Reports Med. Chem. 2004, 39, 149-158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、MIP-1αもしくはCCR-1受容体活性のアンタゴニストもしくは部分アゴニスト/アンタゴニスト、または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、医薬的に許容される担体および治療上有効な量の本発明の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩形態を含有する医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明は、関節リウマチおよび移植片拒絶を治療する方法であって、そのような治療を必要としている宿主に治療上有効な量の本発明の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩形態を投与することを含む、該方法を提供する。
【0014】
本発明は、炎症性疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要としている宿主に治療上有効な量の本発明の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩形態を投与することを含む、該方法を提供する。
【0015】
本発明は、治療に用いるためのピペリジニル誘導体を提供する。
【0016】
本発明は、炎症性疾患の治療のための医薬の製造におけるピペリジニル誘導体の使用を提供する。
【0017】
(発明の詳細な説明)
一実施態様において、本発明は、式(I):
【化1】

の化合物もしくは立体異性体、または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0018】
本発明は、公知のCCR-1活性の阻害剤(例えば、出願人に譲渡された、2007年9月6日公開の出願US2007/0208056 A1に記載のピペリジニル誘導体)と比較して、予期せぬ有益な特性を有するピペリジニル化合物を提供する。さらに好ましくは、該化合物は、薬剤-薬剤相互作用が最小である優れた安全性プロファイル、およびそれを臨床開発の魅力的な候補にする他の特性を示す。従って、これらの予期せぬ特性は、単独および/または組み合わされて、式(I)の化合物を医薬品として用いるのに好ましいものとする。
【0019】
別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容される担体および治療上有効な量の式(I)の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0020】
別の実施態様において、本発明は、ケモカインもしくはケモカイン受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、CCR-1受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、CCR-1受容体により媒介される、MIP-1α、MCP-3、MCP-4、RANTES活性の調節方法、好ましくはMIP-1α活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0023】
別の実施態様において、本発明は、障害の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む該方法を提供し、ここで、該障害は、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗鬆症、腎線維症、または他の癌、好ましくは、クローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗鬆症、または腎線維症から選択される。
【0024】
別の実施態様において、本発明は、炎症性疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、炎症性腸疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、クローン病の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、乾癬の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、全身性エリテマトーデスの治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、多発性硬化症の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、関節リウマチの治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、乾癬性関節炎の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む該方法を提供する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、多発性骨髄腫の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、肝細胞癌の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、骨粗鬆症の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、腎線維症の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0037】
別の実施態様において、本発明は、炎症性疾患、例えば、CCR-1によって少なくとも部分的に媒介される炎症性疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0038】
別の実施態様において、本発明は、CCR1活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0039】
別の実施態様において、本発明は、障害の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供し、ここで該障害は、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗鬆症、腎線維症、または他の癌、好ましくは、クローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗鬆症、または腎線維症から選択される。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、治療における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0041】
別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含有する医薬組成物を提供する。
【0042】
別の実施態様において、本発明は、ケモカインもしくはケモカイン受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、CCR-1受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0044】
さらに別の実施態様において、本発明は、CCR-1受容体によって媒介される、MIP-1α、MCP-3、MCP-4、RANTES活性の調節方法、好ましくはMIP-1α活性の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、障害の治療方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む該方法を提供し、ここで、該障害は、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗鬆症、腎線維症、または他の癌、好ましくは、クローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗鬆症、または腎線維症から選択される。
【0046】
さらに別の実施態様において、本発明は、炎症性疾患、好ましくは、CCR-1によって少なくとも部分的に媒介される炎症性疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0047】
別の実施態様において、本発明は、CCR-1活性の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、該方法を提供する。
【0048】
別の実施態様において、本発明は、障害の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む医薬組成物の使用を提供し、ここで該障害は、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗鬆症、腎線維症、または他の癌、好ましくは、クローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば、眼結膜中の皮膚および肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗鬆症、または腎線維症から選択される。
【0049】
さらに別の実施態様において、本発明は、治療における、式(I)の化合物および1つ以上の活性成分を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0050】
本発明は、その精神または本質的な特質から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化されうる。本発明はまた、本明細書に記載された本発明の別の態様の全ての組み合わせを包含する。本発明のあらゆる実施態様はいずれの他の実施態様と組み合わされて、さらなる本発明のさらなる実施態様を説明しうると理解される。さらに、実施態様のいずれの要素を、いずれの実施態様のあらゆる他の要素と組み合わせて、さらなる実施態様を説明しうる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(定義)
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有してもよい。非対称的に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性形態もしくはラセミ体で単離されうる。光学活性形態の製造方法(例えば、ラセミ体の分割によってか、または光学活性な出発物質からの合成によって)が当分野において周知である。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体もまた、本明細書に記載の化合物中に存在してもよく、全てのそのような安定な異性体が本発明において意図される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体は、異性体の混合物としてまたは分離された異性体として記載され、単離されうる。具体的な立体化学または異性体が具体的に示されない限り、構造のキラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体のすべて、および構造の幾何異性体のすべてが意図される。
【0052】
式Iの化合物の1つのエナンチオマーは、他と比べて優れた活性を示しうる。従って、該立体構造の全てが本発明の一部であると見なされる。必要な場合、ラセミ物質の分離は、キラルカラムを用いたHPLCによってか、または当業者に公知の分割剤を用いた分割によって、達成することができる。
【0053】
該フレーズ「医薬的に許容される」は本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触する使用に適した、化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味するように用いられる。
【0054】
本明細書で用いる「医薬的に許容される塩」とは、親化合物がその酸塩または塩基塩を作ることによって修飾される、開示された化合物の誘導体を言う。医薬的に許容される塩の例としては、限定はされないが、塩基性残基(例えばアミン)の鉱酸塩もしくは有機酸塩;酸性残基(例えばカルボン酸)のアルカリ塩もしくは有機塩;などが挙げられる。医薬的に許容される塩としては、例えば無毒性の無機酸もしくは有機酸から形成された、親化合物の通常の無毒性の塩もしくは四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような通常の無毒性の塩としては、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)由来のもの;および、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸など)から製造されるものが挙げられる。
【0055】
本発明の医薬的に許容される塩は、塩基性もしくは酸性部分を含む親化合物から、通常の化学的方法によって合成することができる。一般的に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、または該2つの混合物中において、遊離酸もしくは遊離塩基形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基もしくは酸と反応させることによって製造することができ;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、もしくはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適切な塩の一覧が、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p. 1418に記載されており、該開示は引用により本明細書に援用される。
該参照は引用により本明細書に援用される。
【0056】
さらに、式Iの化合物は、それらを製造した後、好ましくは単離および精製し、重量で99%以上の量の式Iの化合物(「実質的に純粋な」化合物I)を含む組成物を得て、その後、それを本明細書に記載の通り使用するかまたは製剤化する。そのような「実質的に純粋な」式Iの化合物もまた本発明の一部として意図される。
【0057】
本発明の化合物の全ての立体異性体は、混合形態か、または純粋もしくは実質的に純粋な形態のいずれかであることが意図される。本発明の化合物は、R置換基のいずれか1つを含む炭素原子のいずれかで不斉中心を有し、および/または多形を示し得る。それ故に、式Iの化合物は、エナンチオマーもしくはジアステレオマー形態、またはそれらの混合物で存在し得る。製造のための方法には、出発物質として、ラセミ体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを用いることができる。ジアステレオマーもしくはエナンチオマー生成物を製造する場合、通常の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶によって、それらを分離することができる。
【0058】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度への単離、および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分に頑強な化合物を示すことを意味する。本発明は、安定な化合物を具体化することを意図する。
【0059】
「治療上有効な量」は、MIP-1αを阻害するのに有効であるか、または炎症性疾患を治療もしくは予防するのに有効である、本発明の化合物単独の量か、特許請求の範囲に記載された化合物の組み合わせの量か、または他の活性成分と組み合わせた本発明の化合物の量を含むことを意図する。
【0060】
本明細書で用いる「治療すること」または「治療」には、哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患状態の治療が含まれ、ならびに:(a)とりわけ、哺乳動物が疾患状態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合において、哺乳動物での疾患状態が生じるのを予防すること;(b)疾患状態の抑制、すなわち、その進行を抑止すること;および/または(c)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態の退行をもたらすこと、が含まれる。
【0061】
(合成)
式Iの化合物を、以下の実施例、反応スキームおよびその説明、ならびに当業者によって用いられうる関連する文献の方法に示されるとおり、製造した。これらの反応のための典型的な試薬および方法を以下に記載する。
【実施例】
【0062】
工程1:tert-ブチル 3,3-ジメチル-4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート
【化2】

tert-ブチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(52.47 g, 263 mmol)/THF(1000 mL)溶液を0℃に冷却し、4つに等量分割した水素化ナトリウム(鉱物油中の60%懸濁液)(22.12 g, 553 mmol)で、5分間隔にて処理した。得られた懸濁液を0℃で45分(「min.」)間撹拌し、次いで、ヨードメタン(41.2 ml, 658 mmol)を滴下した。該混合液を1時間(「h」もしくは「hr」)撹拌した後、室温(「rt」)に昇温させた。氷浴を取り外して90分後に、急速な発熱(3分で20-40℃)および激しい気体の発生が観察された。氷浴を取り替え、該混合液を、ゆっくりと室温まで昇温させながら、終夜撹拌した。該反応液を飽和塩化アンモニウム(200 mL)でクエンチした後、十分な量の水で処理して、沈殿した塩を溶解させた。層を分離し、有機相を減圧濃縮した。水相を酢酸エチルで抽出し、この抽出物を最初の有機相からの残渣と合わせた。得られた溶液を500 mlの酢酸エチルで希釈し、該混合液を、水で2回(「x」)、食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、減圧濃縮して、粘稠性の油状物を得て、それを静置により固化させた。固化したケーキを100 mLの沸騰ヘキサン(boiling hexane)に溶解させ、得られた溶液を室温に冷却した後、終夜静置した。この後、沈殿した結晶性物質を濾過により集め、少量の氷冷ヘキサンですすぎ、乾燥させて、表題の化合物を粉末として得た(19.5 g, 86 mmol, 32.6%収率)。 MS (ES+) = 172, 154.
【0063】
工程2:(±)-tert-ブチル 4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-カルボキシレート
【化3】

4-ブロモクロロベンゼン(136.6 g, 0.71 mol)/無水THF(1000 mL)溶液を-78℃に冷却し、次いで、n-ブチルリチウム/ヘキサンの1.6 M溶液(466 mL, 0.75 mol)を、内部温度が-60℃以下に維持される速度で滴下した。得られた混合液を-78℃で1.5時間撹拌した(その間に沈殿が観察された)。得られた懸濁液に、tert-ブチル 3,3-ジメチル-4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(73.7 g, 0.32 mol)/無水THF(400 mL)溶液を、内部温度が-60℃以下に維持される速度で滴下した。該混合液を-78℃で2時間撹拌した(その間、澄明な溶液が観察された)。該反応混合液を飽和塩化アンモニウム(300 mL)でクエンチし、得られた混合液を室温に昇温させた。水層および有機層を分離し、有機相を減圧濃縮して残渣を得た。水相を酢酸エチル(300 mL)で2回抽出した。抽出物を合わせて、最初の有機相からの残渣に加え、得られた混合物を酢酸エチルで1200 mLに希釈した。得られた溶液を水(300 mL)で2回、食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して残渣を得た。該残渣を沸騰ヘキサン(300 mL)で温浸し、得られた懸濁液を室温に冷却した。所定の温度に達したところで、白色の固形物を濾過により集め、ヘキサンで2回洗浄し、次いで風乾させて、表題の化合物を粉末として得た(93.7 g, 85%収率)。
【0064】
工程3:(±)-4-(4-クロロフェニル)-3,3-ジメチルピペリジン-4-オール
【化4】

(±)-tert-ブチル 4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-カルボキシレート(93.7 g, 0.276 mol)/ジオキサン(100 mL)溶液を、ジオキサン中の4 M HCl溶液(275 mL, 1.1 mol)で処理した。得られた混合液を室温で4時間撹拌した。この後、該混合液を減圧濃縮し、次いで、塩化メチレン(200 mL)から3回濃縮して、残留HClを除去した。得られた残渣を1 M NaOH(500 mL)中で撹拌し、得られた懸濁液を500 mLの酢酸エチルで4回抽出した。有機相を合わせて食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して、表題の化合物(66.8 g, 定量的収量)を固形物として得た。
【0065】
工程4:(S)-4-(4-クロロフェニル)-3,3-ジメチルピペリジン-4-オール
【化5】

MEK(3.22 L)中の(±)-4-(4-クロロフェニル)-3,3-ジメチルピペリジン-4-オール(175 g)およびL-酒石酸(0.9当量)の懸濁液を還流加熱した。所定の温度に達したところで、水(100 mL)を加えて溶液を得た。得られた溶液を1時間還流加熱した後、室温に冷却し、その後、48時間撹拌した。この後、得られたスラリーを濾過し、固形物を集めて減圧下で乾燥させ、123.4グラムの酒石酸塩を得た。この物質を、同じスケールで別に実施して得られたものと合わせ、該合わせた固形物をMEK(2.55 L)および水(0.25 L)に懸濁させた。得られた溶液を還流加熱し、さらなる水(0.2 L)を加えて混合物を可溶化させた。該溶液を2時間還流加熱した後、室温に冷却し、その後、週末にわたって撹拌した。この後、得られた固形物を濾過により集め、乾燥させて219 gの塩を得た。該塩を等量の2つの部に分けた。各部を水(2L)に懸濁し、次いで50% NaOHを加えて遊離塩基のピペリジンを沈殿させた。濾過し、乾燥させた後、126.3 gの表題の化合物を単離した(〜72%収率, >99% ee)。
【0066】
工程5:tert-ブチル (R)-1-((S)-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート
【化6】

3Lの3ツ口丸底(「RB」)フラスコに、(R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタン酸(39.8 g, 183 mmol)、CH2Cl2(1.6 L)、(S)-4-(4-クロロフェニル)-3,3-ジメチルピペリジン-4-オール(40.0 g, 167 mmol)、EDC(70.4 g, 367 mmol)、およびHOBt(56.2 g, 416 mmol)を加えた。添加の完了後、該反応混合液を、室温で30分間撹拌した。この後、トリエチルアミン(TEA, 93 mL, 668 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で20時間撹拌した。この後、該反応混合液をNa2CO3(3 x 300 mL, 記:最初のNa2CO3洗浄物を、減圧濾過し、得られた濾過物をCH2Cl2で逆抽出した)、1N HCl(3 x 300 mL)、水(400 mL)および食塩水(300 mL)で洗浄した。得られた溶液をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、半-固形物を得た(106 g, 理論的収量は73.2gであった)。該半-固形物を、さらなる精製は行わずに、次の工程で反応させた。
【0067】
工程6:(R)-2-アミノ-1-((S)-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)-3-メチルブタン-1-オン, HCl
【化7】

1000 mLのRBフラスコに、tert-ブチル (R)-1-((S)-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート(65 g, 148 mmol)および塩酸(4 M HCl/ジオキサン, 720 mL, 2880 mmol)を加えた。添加の完了後、該反応混合液を室温で2.5時間撹拌した。この後、該反応混合液を濃縮してゲル状物質を得た。該ゲル状物質を、メタノール(8x100 mL)、次いでCH2Cl2(7x100mL)で共エバポレートして、固形物を得た(初期秤量 57 g, HCl塩)。
【0068】
工程7:フェニル (R)-1-((S)-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート
【化8】

カルバメート合成を、2つの別個のフラスコにおいて実施した。本明細書に記載の量は、2つのフラスコでの実験を実施するのに用いられた合計である。(R)-2-アミノ-1-((S)-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)-3-メチルブタン-1-オン, HCl.(20 g, 53.3 mmol)およびDIPEA(18.61 mL, 107 mmol)を、CH2Cl2(15 mL)中で、室温にて撹拌して混合し、次いで、滴下漏斗を介して10 mlの塩化メチレン中のフェニルカルボノクロリダート(carbonochloridate)(6.71 mL, 53.3 mmol)を滴下した。添加の完了後、該反応混合液を1時間撹拌した。この後、さらなる0.2当量のDIPEAを加え、続いてクロロギ酸フェニル/塩化メチレン溶液を加えた。有機層および水層を分離した。有機層を、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し;乾燥させた後、揮散させて、油状物を得た。該油状物に、室温で撹拌しながら、25 mlのMeCNを加えた。添加の完了後、10分間撹拌した後で固形物を得た。エーテル(50 mL)を加え、得られた混合液を5分間撹拌した。この後、さらなるエーテル(25 mL)を加え、15分間撹拌を続けた。この後、得られた固形物を濾過により集め、次いで、エーテルですすぎ、13グラムの粗固形物を得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。該濾液を濃縮して、残渣を得た。該残渣を、シリカゲル(9:1〜3:1〜1:1 ヘキサン/EtOAc〜100%EtOAc)で精製してさらなる6.72 gの生成物を得た(合計収量 19.7 g, 81%収率)。
【0069】
工程8:式Iの化合物
【化9】

窒素雰囲気下において、フェニル (R)-1-((S)-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イルカルバメート(16.0 g, 34.9 mmol)、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール(3.42 g, 38.3 mmol)およびDIPEA(6.70 mL, 38.3 mmol)を、MeCN(30 mL)中で、室温で撹拌して混合した。得られた懸濁液を還流加熱した(その間に該懸濁液は無色の溶液になった)。還流で約20分間撹拌した後、固形物が沈殿した。還流で1.5時間撹拌した後、20 mlのアセトニトリルならびにさらなる0.1当量の1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オールおよびDIPEAを加えた。該反応混合液をさらに1.5時間撹拌した。この後、該反応混合液の加熱をやめ、室温に冷却した。室温に冷却している間に、水を加えて生成物を沈殿させ(〜240 mL)、得られた自由流動性(free flowing)懸濁液を終夜撹拌した。この後、得られた固形物を濾過により集め、水で2回すすぎ、次いで高真空下で6時間乾燥させて、15.4グラムの固形物を得た。これらの固形物(および、さらなる〜1グラムのパイロットバッチ)を、50 mLのアセトン中において室温で撹拌してスラリーにした後、3倍の容量の水(150 mL)を加えた。該自由流動性懸濁液を終夜撹拌した。この後、得られた固形物を濾過により集め、水で2回すすいだ後、48時間乾燥させて、15.2グラムの式Iの化合物を固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, メタノール-d4, 回転異性体) δppm 7.47 (dd, J=15.4, 8.8 Hz, 4 H), 7.31 (dd, J=8.5, 5.2 Hz, 4 H), 4.71 (dd, J=12.1, 6.1 Hz, 2 H), 4.54 (ddd, J=12.9, 2.5, 2.2 Hz, 1 H), 3.98 - 4.08 (m, 2 H), 3.58 - 3.68 (m, 2 H), 3.48 (dd, J=12.9, 1.4 Hz, 1 H), 3.13 - 3.21 (m, 2 H), 3.06 - 3.14 (m, 4 H), 2.70 (td, J=13.6, 4.7 Hz, 1 H), 2.61 (td, J=13.5, 5.0 Hz, 1 H), 2.09 (dq, J=13.2, 6.6 Hz, 1 H), 1.95 (dq, J=13.3, 6.7 Hz, 1 H), 1.60 (ddd, J=13.9, 2.5, 2.3 Hz, 1 H), 1.51 (ddd, J=14.2, 2.6, 2.5 Hz, 1 H), 1.16 (s, 6 H), 1.14 (d, J=1.7 Hz, 6 H), 1.05 (d, J=7.2 Hz, 3 H), 0.98 (d, J=7.2 Hz, 3 H), 0.94 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.91 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.82 (s, 3 H), 0.81 (s, 3 H), 0.79 (s, 3 H), 0.75 (s, 3 H). 13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δppm 173.6, 173.3, 161.1, 160.8, 144.8, 144.6, 133.82(2 C, s), 130.2 (4 C, s), 128.3 (4 C, s), 76.0, 76.0, 71.7, 71.7, 55.9, 55.2, 55.1, 51.8 (2 C, s), 51.1, 43.0, 40.4, 39.9, 39.3, 34.8, 33.7, 33.1, 32.4, 27.2 (2 C, s), 27.1 (2 C, s), 23.1, 22.8, 21.4, 21.1, 20.3, 19.8, 17.9, 17.7, m/z: 454.2 [M+]+.
【0070】
(有用性)
一般に、式(I)の化合物はケモカイン受容体活性のモジュレーターであることが示されている。ケモカイン受容体活性のモジュレーターとしての活性を示すことにより、式(I)の化合物は、ケモカインおよびその同族受容体に関連するヒト疾患の治療において有用であることが予期される。
【0071】
薬理学的特徴の比較
実施例1およびUS2007/0208056A1(WO2007/092681に対応)に記載の化合物の薬理学的特徴を比較したアッセイおよびデータを以下に示す。
【0072】
本発明の化合物(化合物1)を、CCR-1活性の有用な阻害物質であることが見い出されている他の化合物と比較し、特に有利であることを見い出した。例えば、それらの化合物に勝る驚くべき利点を、以下の表1および2に示す。
【0073】
ヒトCCR1 THP-1結合アッセイ
放射性リガンド競合試験では、最終濃度が1×105のTHP-1単球性白血病細胞を、アッセイバッファー(フェノールレッドを含まないRPMI 1640、50mM HEPES、5mM MgCl2、1mM CaCl2、0.1%BSA)40μL中のLS WGA PSビーズ(Amersham、Cat.#:RPNQ 0260)100μgと混合する。THP-1細胞/ビーズ混合物を、3倍連続希釈した試験化合物を含有する384ウェルアッセイプレート(PerkinElmer、Cat.#:6007899)の各ウェルに加え、最終濃度が8μM〜0.14nMの範囲となった。アッセイバッファー20μL中最終濃度が0.1nMの[125I]-MIP-1α(PerkinElmer、Cat.# NEX298)を反応液に加えた。非特異的結合を判定するために、いくつかのウェルに非標識MIP-1αを過剰に加えた。密封アッセイプレートを室温で12時間インキュベートし、次いでLEADseeker(商標)によって分析した。
【0074】
濃度範囲に対する試験化合物の競合データは、試験化合物の不在下で特異的に結合した放射性リガンドのパーセント阻害値としてプロットしている(全シグナルのパーセント値)。非特異的結合を補正した後、IC50値を決定する。IC50値は、[125I]-MIP-1α特異的結合を50%低減させるのに必要とした試験化合物の濃度と定義し、正規化データに合うように4パラメータロジスティック式を用いて計算する。Ki値は、Cheng-Prusoff方程式をIC50値に適用することによって決定し、ここで、Ki=IC50/(1+リガンド濃度/Kd)である。THP-1細胞における[125I]-MIP-1αのKdは、0.1nMである。各実験を2組に分けて実施した。
【0075】
hERGパッチクランプアッセイ
全細胞パッチクランプを用いて、クローン化hERGカリウムチャンネルαサブユニットを安定して発現しているHEK-293細胞中のhERGテール電流を直接測定した。ピークテール電流の阻害を測定することによって化合物の効力を計算した。室温でpH7.4の水性バッファーを用いて実験を実施した。アッセイバッファー中にはタンパク質は含まれていなかった。報告した試験濃度は、わずかな遊離薬物レベルである。
【0076】
ナトリウムおよびL型カルシウムチャンネルアッセイ
全細胞パッチクランプを用いて、ヒト心臓ナトリウムチャンネル、SCN5Aを発現しているHEK-293細胞における内向きナトリウム電流を直接測定した。薬物の存在下で定常状態効力に達した後、速度依存性を1Hzおよび4Hzの周波数における刺激によって評価した。室温でpH7.4の水性バッファーを用いて実験を実施した。バッファー中にはタンパク質は含まれておらず、報告した薬物濃度はわずかな遊離薬物レベルである。試験物を最高10μMまで評価した(タンパク質を含まないバッファー)。1Hzおよび4Hzの周波数における刺激によって阻害の速度依存性を評価した。
【0077】
L型カルシウムチャンネルとの相互作用に対するポテンシャルに加えて、全細胞パッチクランプを用いて、クローン化ヒト心臓L型Caチャンネル(α1C)およびそのβサブユニットを安定して発現しているHEK293細胞中の内向きカルシウム電流を直接測定した。ピーク電流の阻害を測定することによって化合物の効力を計算した。室温でpH7.4の水性バッファーを用いて実験を実施した。バッファー中にはタンパク質は含まれておらず、報告した薬物濃度はわずかな遊離薬物レベルである。
【0078】
麻酔下ウサギの心電図記録
細胞イオンチャンネルアッセイで確立された心臓電気生理学的プロファイルを評価するために、試験化合物の用量反応試験を麻酔下ウサギで実施した。
【0079】
プロポフォール−フェンタニール麻酔下閉胸雄ウサギで実験を行った。試験中に、体表面心電図(ECG)および心内ヒス束電位図を、それぞれPoNeMahシステムおよびPrucka電気生理学的記録システムを用いて連続的にモニターおよび記録した。試験化合物を、試験の日に、PEG400:エタノール:水(1:1:1)のビヒクル中に30mg/mLの投与濃度で調製した。試験化合物(n=3)またはビヒクル(n=3)を、注入ポンプによって3、10および30mg/kgの漸増用量で5分にわたって静脈内に投与した。投与の間隔は10分であり、5分の試験薬剤注入および5分の休止時間とした。血液をベースライン(薬剤注入前)および各注入の終了直後にサンプリングした。30mg/kg投与については、注入が終了した10、20および30分後にさらなる血液試料を採取した。
【0080】
PR間隔、QRS時間およびQT間隔を、血液採取の時間における1分のECG記録時間から平均した。Fridericia(QTcf)およびVan der Water(QTcv)式の両方を用いて、QT間隔を心拍数(heart rate effect)に対して補正した。それぞれA-V結節伝導およびヒス−プルキンエ伝導を表すAHおよびHV間隔を、ヒス束電位図からの手動測定によって評価した。データを、PR、QRS、AHおよびHV間隔に関しては薬剤前ベースライン(平均値±SEM)からパーセント変化として、ならびにQTc間隔に関しては薬剤注入前ベースライン(平均値±SEM)からデルタ変化として表した。PR、QRS、およびAH間隔における≧10%、およびHV間隔における20%、ならびにQTc間隔における>10msの変化は、モデルによる経験に基づいて有意と見なされる。
【0081】
以下の表1に示すように、in vivoデータは、化合物Iの優れた安全性プロファイルを実証する。特に、他の化合物と比較するとより低いin vitroKiを示しているが、化合物Iは、ウサギにおける10mg/kgの無影響量(No Observed Effect Level)(NOEL)も有していた。実施例491の化合物が同様のNOELを有していたが、化合物Iに対してより高い絶対QT延長ならびにより低い遊離画分の循環薬物を有していた。
表1: In VitroおよびIn Vivo心血管系安全性プロファイル
【表1】

(*)-以下に示すUS2007/0208056からの実施例:
【表2】

【0082】
PXRトランス活性化アッセイ
使用した細胞培養培地は、DMEMである。リポフェクトアミン2000、PBS、熱失活ウシ胎仔血清(FBS)、トリプシン-EDTA(0.25%)、およびペニシリン-ストレプトマイシンは、GIBCO/Invitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad)から購入した。チャコール/デキストラン処理したウシ胎仔血清(FBS)は、Hyclone(米国ユタ州Logan)から購入した。HepG2細胞は、ATCC(米国バージニア州Manassas)から得た。ヒトPXR-pcDNA3およびCYP3A4プロモーター、CYP3A-Lucを含有するルシフェラーゼレポーターは、Bristol-Myers Squibbで作製された。白色の組織培養(TC)表面384ウェルプレートは、Perkin Elmer(米国マサチューセッツ州Boston)から購入した。ルシフェラーゼ基質(Steady-Glo)は、Promega(米国ウィスコンシン州Madison)から購入した。対照化合物リファンピシン、ミフェプリストン、およびスルフィンピラゾンは、Sigma(米国ミズーリ州St.Louis)から購入した。
【0083】
HepG2細胞の培養は、10%FBSを含有するDMEMを用いてT175フラスコ内で行う。トランスフェクション混合物は、1μg/mLのPXR-pcDNA3プラスミドDNA、20μg/mLのCyp3A-LucプラスミドDNA、90μL/mLのリポフェクトアミン2000、および無血清培地を含有する。室温で20分間インキュベートした後、トランスフェクション混合物(1フラスコ当たり1ml)を新鮮な培地(1フラスコ当たり20mL)中の細胞に加え、フラスコを37℃(5%CO2)で終夜インキュベートする。
【0084】
各フラスコ中の細胞をPBSで洗浄し、トリプシン-EDTA(0.25%)2mLを加え、37℃、5%CO2で5分間インキュベートした。次いでフラスコを激しくタッピングし、細胞凝集体をばらばらにする。5%チャコール/デキストラン処理FBSを含有するDMEM8mLを加えた後、混合物全体をコニカルチューブに移す。次いで細胞を1000rpmで5分間遠心分離した。細胞ペレットを、最終カウントが凍結培地(20%血清および10%DMSOを含有するDMEM)中約7×106細胞/mLになるように再懸濁する。細胞懸濁液を等分して、15mLポリプロピレンチューブにチューブ1本当たり5mL入れる。スタイロフォーム断熱容器中に入れることによって、細胞を-80℃で終夜ゆっくり凍結させる。長期保管のために24時間後にバイアルを超低温(-140℃)フリーザーに移す。
【0085】
凍結保存した細胞のバイアルを、温水浴中で5分間急速に解凍する。細胞をプールし、50mLコニカルバイアル中で50mLに希釈する。細胞を捕集するために、解凍した細胞を1500rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てる。次いで細胞を新鮮な培地II(5%チャコール/デキストラン処理FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、100μM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、および2mM L-グルタミンを含有するDMEM)中に再懸濁し、Guavaセルカウンターを用いてカウントし、同じ培地で1.6×105細胞/mlに希釈する。
【0086】
100%DMSOに溶解した試験化合物0.25μLを含有する白色の組織培養処理384ウェルプレートの列1〜23のウェルに、細胞混合物50マイクロリットルを加える。培地II 50マイクロリットルを列24のウェルに加える。プレートを37℃(5%CO2)で24時間インキュベートし、次いでAlamar Blue試薬(Trek Diagnostics、Cat #00-100)5μLを各ウェルに加える。次いでプレートを37℃、5%CO2でさらに2時間、次いで室温で1時間インキュベートする。蛍光は、Ex525/Em598で読み取る。蛍光を測定した後、ルシフェラーゼ基質(Steady-Glo、Promega)25μLを各ウェルに加える。プレートを室温で15分間インキュベートし、その後ルミネセンスをPheraStar(BMG Labtech)プレートリーダーで読み取る。
PXRの周知のアゴニストであるリファンピシン(10μM)が、内部標準およびポジティブ対照として各プレートに含まれている。次いでデータをパーセント対照(%CTRL)として表し、その場合、対照シグナルは10μMリファンピシンからのシグナルであり、盲験シグナルはDMSOビヒクルからのシグナルである。
%CTRL=((化合物シグナル−盲験シグナル)/(対照シグナル−盲験シグナル))100
【0087】
化合物は、10種類の濃度(2.5nM〜50μM、1:3連続希釈)で試験する。アッセイ結果は、最大応答の50%が観察される化合物の濃度であるEC50として、およびその化合物で観察される最大応答(最高パーセントCTRL)であるYMAXOBSとして報告する。EC50は、4パラメータのロジスティック回帰モデルを用いて決定した近似20点曲線から導出した最大応答の半分に対応する濃度と定義する。さらに、化合物は、EC20またはEC60として報告してもよい。
【0088】
HepG2細胞毒性アッセイのデータ分析
化合物は、10種類の濃度(2.5nM〜50μM、1:3連続希釈液)で試験する。アッセイ結果は、4パラメータのロジスティック回帰モデルを用いて決定した近似20点曲線から導出した50パーセント阻害に対応する濃度と定義するIC50として報告する。
【0089】
In Vitro代謝アッセイ
アッセイ条件A:
試験化合物は、100パーセントDMSOに溶かした3.5mM保存溶液として入手する。化合物を希釈して1.4%DMSOを含有する50μMアセトニトリル(ACN)溶液を作製し、次いでそれを100倍貯蔵物としてミクロソームとのインキュベーション用に使用する。各化合物は、代謝安定性ヒト、ラット、およびマウスアッセイ一式の3種をそれぞれ別々に、または代謝安定性イヌもしくは代謝安定性サル一式を個々の種として、2組に分けて試験した。化合物、NADPHおよび肝ミクロソーム溶液をインキュベーション用に3つの工程で混合する:
肝ミクロソーム懸濁液152μL、タンパク質濃度1.1mg/mLの100mM NaPi、pH7.4、6.6mM MgCl2バッファーを、37℃で予熱する。
1) 50μM化合物(98.6%ACN、1.4%DMSO)1.7μLを同じチューブに加え、37℃で5分間プレインキュベートする。
2) 予熱した、100mM NaPi(pH7.4)中の10mM NADPH溶液17μLを加えることによって反応を開始する。
3) 反応成分をよく混ぜ、75μLをクエンチ/停止液150μl中に直ちに移す(零時点、T)。反応液を37℃で10分間インキュベートし、次いでさらにアリコート75μLをクエンチ溶液150μLに移す。100μM DMN(注射品質管理(injection quality control)のためのUV標準物質)を含有するアセトニトリルをクエンチ溶液として使用して、代謝反応を停止させる。
4) クエンチした混合物を、Allegra X-12遠心分離機、SX4750ローター(Beckman Coulter Inc.、米国カリフォルニア州Fullerton)において1500rpm(約500Xg)で15分間遠心分離して、変性ミクロソームをペレットにする。次いで、親化合物とその代謝産物の混合物を含有する、容量が90μLの上清抽出物を、UV-LC/MS-MS分析のために別個の96ウェルプレートに移して、混合物中に残留している親化合物の割合を決定する。
5)
【表3】

【0090】
アッセイ条件B:
試験化合物は、DMSO中の20 mMとして入手する。化合物を希釈して1.5%DMSOを含有する300μMアセトニトリル(ACN)溶液を作成し、次いでそれを100倍貯蔵物としてミクロソームとのインキュベーション用に使用する。各化合物は、代謝安定性ヒト、ラット、およびマウスアッセイ一式の3種をそれぞれ別々に、または代謝安定性イヌもしくは代謝安定性サル一式を個々の種として、2組に分けて試験する。化合物、NADPHおよび肝ミクロソーム溶液をインキュベーション用に3つの工程で混合する:
1. 肝ミクロソーム懸濁液450μL、タンパク質濃度1mg/mLの100mM NaPi、pH7.4、6.6mM MgCl2バッファーを、37℃で予熱する。
2. 300μM化合物(98.5%CAN、1.5%DMSO)5μLを同じチューブに加える。
3. 予熱した、100mM NaPi(pH7.4)中の5mM NADPH溶液50μLを加えることによって反応を開始する。
【0091】
反応成分をよく混ぜ、150μLをクエンチ/停止液に直ちに移し、零分時点とする。反応液を37℃で10分間インキュベートし、次いでさらに150μLをインキュベーションから移す。移したアリコートと、検出用のUV標準物質として100μM DMNを含有するACN300μLとを混合する。
【表4】

【0092】
クエンチした混合物を、Allegra X-12遠心分離機、SX4750ローター(Beckman Coulter Inc.、米国カリフォルニア州Fullerton)において、1500rpm(約500Xg)で15分間遠心分離して、変性ミクロソームをペレットにする。次いで、親化合物とその代謝産物の混合物を含有する、容量が110μlの上清抽出物を、UV-LC/MS-MS分析のために別個の96ウェルプレートに移して、混合物中に残留している親化合物の割合を決定する。
【0093】
以下の表2に示すように、化合物Iは、2つの重要なパラメータ、PXRトランス活性化およびヒト肝ミクロソーム安定性によって明確に区別することもできる。
【0094】
PXRトランス活性化は、潜在的な薬物−薬物相互作用を予測する。化合物がこの受容体を活性化させた場合、他の薬物は、通常よりも速く代謝され、より低い薬物レベルおよび有効性の低減をもたらし得る。これは、開発中の化合物の明らかに好ましくない特徴である。
【0095】
in vitroスクリーニングにより、化合物Iが、記載した化合物の一つを除いた全てと比べて、この受容体の重要な活性化物質ではないことが示される。
【0096】
最後に、化合物のin vivoクリアランスの優れた予測指標であるヒト肝ミクロソーム安定性アッセイにおいて、該化合物を試験した。開発を目的として、70%未満の化合物をさらなる検討から外した。
【0097】
従って、PXRトランス活性化のリスクが低いことならびにヒト肝ミクロソーム代謝アッセイにおける化合物残留が100%であることの組合せは、他の既知のおよび構造的に類似したCCR-1アンタゴニストと比較した場合、化合物Iが優れた薬理学的特徴を有することを示す。
表2: PXR/Cyp 3A4誘導能および代謝安定性−In Vitro:
【表5】

(*)-以下に示すUS2007/0208056からの実施例:
【表6】

【0098】
哺乳動物ケモカイン受容体は、哺乳動物(例えばヒト)において免疫細胞機能を干渉または促進するための標的を提供する。ケモカイン受容体の機能を阻害または促進する化合物が、治療目的のための免疫細胞機能の調節に特に有用である。
【0099】
従って、本発明は、喘息およびアレルギー性疾患、病原性微生物(定義によりウイルスが含まれる)による感染症、ならびに自己免疫性の病態(例えば関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)を含めた、様々な炎症性、感染性、および免疫調節性の障害および疾患の予防および/または治療において有用であると考えられる式(I)の化合物を提供する。
【0100】
例えば、哺乳動物ケモカイン受容体(例えば、ヒトケモカイン受容体)の1つ以上の機能を阻害する本発明の化合物を、炎症または感染症を抑制(すなわち、軽減または予防)するために投与してもよい。その結果、1つ以上の炎症プロセス(例えば、白血球遊出、接着、走化性、開口分泌(例えば、酵素、ヒスタミンの)または炎症性メディエーター放出)が阻害される。
【0101】
同様に、哺乳動物ケモカイン受容体(例えば、ヒトケモカイン)の1つ以上の機能を促進する本発明の化合物は、免疫または炎症反応(例えば、白血球遊出、接着、走化性、開口分泌(例えば、酵素、ヒスタミンの)または炎症性メディエーター放出)を刺激(誘導もしくは増強)するために投与され、炎症プロセスの有益な刺激をもたらす。例えば、寄生虫感染症に対抗するために好酸球を動員することができる。加えて、前述の炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患の治療はまた、ケモカイン受容体の内部移行の誘導によって細胞での受容体発現の損失を引き起こすのに十分な化合物のデリバリーか、または細胞遊走の誤った指示をもたらす様式の化合物のデリバリーを意図する場合は、哺乳動物ケモカイン受容体の1つ以上の機能を促進する本発明の化合物も考慮に入れることができる。
【0102】
霊長類(例えばヒト)に加えて、様々な他の哺乳動物を、本発明の方法に従って治療することができる。例えば、限定はされないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、または他のウシ科、ヒツジ属、ウマ科、イヌ科、ネコ科、げっ歯類もしくはネズミ科の種を含む、哺乳動物を治療することができる。しかしながら、該方法は、他の種(例えばトリ種)においても実施することができる。上記方法における治療対象は、ケモカイン受容体活性の調節が所望される哺乳動物(オスもしくはメス)である。本明細書で用いる「調節」は、アンタゴニズム、アゴニズム、部分的アンタゴニズムおよび/または部分的アゴニズムを包含することを意図する。
【0103】
ケモカイン受容体機能の阻害剤で治療することができる、ヒトまたは他の種の疾患または症状としては、限定はされないが:喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性蜂巣炎(例えば、ウェルズ症候群)、好酸球性肺炎(例えば、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎)、好酸球性筋膜炎(例えば、シャルマン症候群)、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、または関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎に関連するILD)などの呼吸器アレルギー性疾患;全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬物アレルギー(例えば、ペニシリン、セファロスポリンに対する)、汚染トリプトファンの摂取による好酸球増多筋痛症候群、昆虫刺傷アレルギー;関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病などの自己免疫疾患;糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病;同種移植片拒絶もしくは移植片対宿主病を含む移植片拒絶(例えば、移植における);クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;脊椎関節症;強皮症;乾癬(T細胞媒介性乾癬を含む)および炎症性皮膚疾患(皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹など);血管炎(例えば、壊死性、皮膚、および過敏性の血管炎);好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎;白血球浸潤を伴う皮膚もしくは器官の癌を含めた、炎症性もしくはアレルギー性の疾患および症状が挙げられる。限定はされないが、再灌流傷害、アテローム性動脈硬化症、特定の血液悪性疾患、サイトカイン誘発毒性(例えば、敗血症性ショック、内毒素ショック)、多発性筋炎、皮膚筋炎を含む、望ましくない炎症反応を阻害すべき他の疾患もしくは症状を治療することができる。ケモカイン受容体機能の阻害剤で治療することができる、ヒトもしくは他の種の感染性の疾患もしくは症状としては、限定はされないが、HIVが挙げられる。
【0104】
ケモカイン受容体機能の促進剤で治療することができる、ヒトまたは他の種の疾患または症状としては、限定はされないが:免疫抑制、例えば、AIDSもしくは他のウイルス感染症などの免疫不全症候群の個体、免疫不全を引き起こす、放射線療法、化学療法、自己免疫疾患の治療もしくは薬物療法(例えば、コルチコステロイド療法)を受けている個体;受容体機能の先天的欠損もしくは他の原因による免疫抑制;ならびに、感染症疾患(例えば、限定はされないが、線形動物(回虫)などの蠕虫感染症;(鞭虫症、蟯虫症、回虫症、鉤虫症、糞線虫症、旋毛虫症、糸状虫症);吸虫(trematode(fluke))(住血吸虫症、肝吸虫症)、条虫症(cestodes(tape worms))(エキノコックス症、無鉤条虫症(Taeniasis saginata)、嚢虫症);内蔵虫(visceral worms)、内臓幼虫移行症(visceral larva migraines)(例えば、トキソカラ症)、好酸球性胃腸炎(例えば、アニサキ種、フォカネマ(Phocanema)種)、皮膚幼虫移行症(cutaneous larva migraines)(ブラジル鉤虫(Ancylostona braziliense)、イヌ鉤虫)を含む寄生虫症)が挙げられる。従って本発明の化合物は、様々な炎症性、感染性および免疫調節性の障害および疾患の予防および治療において有用である。
【0105】
加えて、前述の炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患の治療はまた、ケモカイン受容体の内部移行の誘導によって細胞での受容体発現の損失を引き起こすのに十分な化合物のデリバリーか、または細胞遊走の誤った指示をもたらす様式での化合物のデリバリーを意図する場合、ケモカイン受容体機能の促進剤を考慮に入れることもできる。
【0106】
別の態様では、本発明を用いて、Gタンパク質共役型受容体の推定上の特異的アゴニストもしくはアンタゴニストを評価してもよい。本発明は、ケモカイン受容体の活性を調節する化合物についてのスクリーニングアッセイの調製および実施における、式(I)の化合物の使用に関する。さらに、本発明の化合物は、他の化合物のケモカイン受容体への結合部位の確立もしくは決定(例えば、競合阻害によって)において有用であるか、あるいはその公知の活性を未知の活性を有する化合物と比較するアッセイにおける基準として有用である。新しいアッセイもしくはプロトコールを開発する際に、本発明による化合物を用いてそれらの有効性を試験することができる。具体的には、そのような化合物を、市販のキット(例えば、前述の疾患に関する医薬研究における使用のため)中に提供してもよい。本発明の化合物はまた、ケモカイン受容体の推定上の特異的モジュレーターの評価において有用でもある。加えて、本発明の化合物は、結合しない化合物の例として役割を果たすか、または相互作用の特異的部位の決定に役立ちうるこれらの受容体上で活性である化合物の構造的変異体として役割を果たすことによって、ケモカイン受容体でないと考えられるGタンパク質共役型受容体の特異性を試験するために用いることができる。
【0107】
式(I)の化合物は、関節リウマチ、骨関節炎、敗血症性ショック、アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、発熱、心血管作用、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再灌流傷害、マラリア、クローン病、炎症性腸疾患、マイコバクテリア感染症、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患、多発性硬化症、放射線損傷、過酸素症肺胞傷害(hyperoxic alveolar injury)、HIV、HIV認知症、インスリン非依存型真性糖尿病、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、特発性肺線維症、水疱性類天疱瘡、寄生蠕虫感染症(helminthic parasitic infection)、アレルギー性大腸炎、湿疹、結膜炎、移植、家族性好酸球増加症、好酸球性蜂巣炎、好酸球性肺炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、薬物誘発好酸球増加症、嚢胞性線維症、チャーグ-ストラウス症候群、リンパ腫、ホジキン病、結腸癌、フェルティ症候群、サルコイドーシス、ブドウ膜炎、アルツハイマー、糸球体腎炎、または全身性エリテマトーデスから選択される障害を、治療または予防するために用いられる。
【0108】
別の態様において、式(I)の化合物は、関節リウマチ、骨関節炎、アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、炎症性腸疾患、乾癬、うっ血性心不全、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患から選択される炎症性疾患を、治療または予防するために用いられる。
【0109】
別の態様において、該化合物は、関節リウマチ、骨関節炎、アテローム性動脈硬化症、クローン病、炎症性腸疾患、または多発性硬化症から選択される炎症性疾患を、治療または予防するために用いられる。
【0110】
炎症性、感染性および免疫調節性の障害および疾患(喘息およびアレルギー性疾患、ならびに自己免疫性の病態(例えば関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)を含む)、ならびに上述の病態を、予防および治療する組み合わせ療法を、本発明の化合物およびそのような有用性が知られている他の化合物との組み合わせにより説明する。例えば、炎症の治療もしくは予防において、本発明の化合物は、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、インターロイキン阻害剤(例えばインターロイキン-1阻害剤)、腫瘍壊死因子阻害剤、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素の阻害剤(inhibitor or nitric oxide)もしくは一酸化窒素の合成の阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、またはサイトカイン抑制抗炎症薬といった抗炎症薬もしくは鎮痛薬、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル(fentaynl)、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド性鎮痛薬、スフェンタニル、スリンダク(sunlindac)、インターフェロンαなどといった化合物と併せて用いてもよい。同様に、本発明の化合物は、疼痛緩和剤(pain reliever);カフェイン、H2-アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウムなどの増強薬;フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン(pseudophedrine)、オキシメタゾリン、エピネフリン(ephinephrine)、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボデスオキシ-エフェドリン(levodesoxy-ephedrine)などのうっ血除去薬;および、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、またはデキストロメトルファン(dextramethorphan)などの鎮咳剤;利尿薬;ならびに、鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬と共に投与してもよい。同様に、式(I)の化合物は、本発明の化合物が有用な疾患もしくは症状の治療/予防/抑制もしくは寛解に用いられる他の薬剤と組み合わせて用いてもよい。そのような他の薬剤は、通常用いられる経路によって、通常用いられる量で、本発明の化合物と同時にもしくは連続して投与してもよい。式(I)の化合物を1つ以上の他の薬剤と同時に用いる場合、式(I)の化合物に加えてそのような他の薬剤を含む医薬組成物を用いてもよい。従って、本発明の医薬組成物には、式(I)の化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含有するものが含まれる。
【0111】
別個にもしくは同じ医薬組成物中で投与される、本発明の化合物と組み合わせてもよい他の活性成分の例としては、限定はされないが:(a)セクレチン、ICAMおよびVLA-4に対するものなどのインテグリンアンタゴニスト;(b)ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、およびヒドロコルチゾンなどのステロイド;(c)シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシンおよび他のFK-506型免疫抑制剤などの免疫抑制剤;(d)ブロムフェニラミン(bromopheniramine)、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミンピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジンなどといった抗ヒスタミン薬(H1-ヒスタミンアンタゴニスト);(e)b2-アゴニスト(テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール(albuteral)、ビトルテロール、およびピルブテロール)、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB-102,203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジロートン、BAY-1005)などの非ステロイド性抗喘息薬;(f)プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベンキサプロフェン(benxaprofen)、ブクロキシン酸(bucloxic acid)、カプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オクスピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、およびゾメピラック)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカム(tenoxican))、サリチレート(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);(g)シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤;(h)ホスホジエステラーゼタイプIV(PDE-IV)の阻害剤;(i)ケモカイン受容体の他のアンタゴニスト;(j)HMG-COA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチンおよびプラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ならびに他のスタチン)、捕捉剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸(nicotonic acid)、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラートおよびベザフィブラート(benzafibrate))、およびプロブコールなどのコレステロール低下薬;(k)インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド(メトホルミン)、a-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース)およびグリタゾン(トログリタゾンおよびピオグリタゾン)などの抗糖尿病薬;(l)インターフェロン製剤(インターフェロンα-2a、インターフェロン-2B、インターフェロンα-N3、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ-1b);(m)エファビレンツ、ネビラピン、インジナビル、ガンシクロビル、ラミブジン、ファムシクロビル、およびザルシタビンなどの抗ウイルス化合物;(n)5-アミノサリチル酸などの他の化合物およびそのプロドラッグ、アザチオプリンおよび6-メルカプトプリンなどの代謝拮抗薬、ならびに細胞傷害性癌化学療法薬(cytotoxic cancer chemotherapeutic agent)が挙げられる。第2の活性成分に対する式(I)の化合物の重量比は変化させてもよく、各成文の有効量に依存しうる。
【0112】
一般に、各々の有効量が用いられうる。従って、例えば、式(I)の化合物をNSAIDと組み合わせる場合、NSAIDに対する本発明の化合物の重量比は一般的に、約1000:1から約1:1000、または約200:1から約1:200の範囲である。式(I)の化合物および他の活性成分の組み合わせはまた、一般に前述の範囲内でありうるが、各場合において、各活性成分の有効量を用いるべきである。
【0113】
該化合物は、治療上有効な量で哺乳動物に投与される。「治療上有効な量」とは、単独でまたはさらなる治療薬と組み合わせて哺乳動物に投与する場合に、血栓塞栓性疾患の症状または該疾患の進行を予防または寛解するのに有効な式Iの化合物の量を意味する。
【0114】
(用量および製剤)
本発明の化合物は、錠剤、カプセル剤(それらは各々、徐放性もしくは持続放出性製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、および乳剤のような経口剤形で投与することができる。また、それを静脈内(ボーラスもしくはインフュージョン)、腹腔内、皮下、または筋肉内の形態で投与してもよく、全て、医薬分野の当業者に周知の剤形が用いられる。それは単独で投与することができるが、一般的には、選択した投与経路および標準的な医薬の実施に基づいて選択される医薬担体と共に投与されうる。
【0115】
もちろん、本発明の化合物の投与レジメンは、既知の因子、例えば、特定の薬剤の薬力学的特徴およびその投与様式と経路;レシピエントの種、年齢、性別、健康、病状、および重量;症候の性質および程度;併用治療の種類;治療頻度;投与経路、患者の腎臓および肝臓の機能、ならびに所望する効果に応じて変化しうる。医師または獣医師は、血栓塞栓性障害の進行の予防、対抗、もしくは抑止に必要とされる、有効な量の薬剤を決定および処方することができる。
【0116】
一般的な指針として、各活性成分の1日経口用量は、示された効果の目的に使用される場合、約0.001から1000 mg/kg体重、または1日当り約0.01から100 mg/kg体重、あるいは約1.0から20 mg/kg/日の範囲でありうる。静脈内では、該用量は、定速インフュージョンの間、約1から約10 mg/kg/分の範囲でありうる。本発明の化合物は、1日1回の用量で投与されるか、または総1日用量を1日2回、3回、もしくは4回の分割用量で投与されうる。
【0117】
本発明の化合物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所的使用を介した鼻腔内形態で、または経皮皮膚パッチを用いた経皮経路を介して、投与することができる。経皮デリバリーシステムの形態で投与する場合、該投与は、もちろん、投与レジメン全体にわたって断続的ではなく連続的でありうる。
【0118】
該化合物は、典型的には、意図する投与形態(すなわち、経口錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤など)に関して適切に選択され、通常の医薬の実施にふさわしい、適切な医薬の希釈剤、賦形剤、もしくは担体(本明細書において医薬担体と総称する)と混合して投与される。
【0119】
例えば、錠剤もしくはカプセル剤の形態での経口投与においては、活性な薬剤構成成分を、経口で無毒性の医薬的に許容される不活性担体、例えば、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わせることができ;液体形態での経口投与においては、該経口薬剤構成成分を、いずれの経口で無毒性の医薬的に許容される不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。さらに、所望する場合もしくは必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤も、該混合物に組み込むことができる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖(例えばグルコースもしくはβ-ラクトース)、トウモロコシ甘味料、天然および合成のガム(例えばアカシア、トラガカント、もしくはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスが挙げられる。これらの剤形に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定はされないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0120】
本発明の化合物はまた、リポソームデリバリーシステム(例えば、小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクル、および多重層ベシクル)の形態で投与することもできる。リポソームは、様々なリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンから形成することができる。
【0121】
本発明の化合物は、標的化可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換したポリエチレンオキシド-ポリリシンを挙げることができる。さらに、本発明の化合物を、薬剤の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート(polycyanoacylate)、ならびにヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体に結合させてもよい。
【0122】
投与に適切な剤形(医薬組成物)は、約1ミリグラム〜約100ミリグラムの活性成分/単位用量(dosage unit)を含んでもよい。これらの医薬組成物中において、該活性成分は通常、該組成物の総重量に基づいて約0.5-95重量%の量で存在しうる。
【0123】
ゼラチンカプセル剤は、活性成分、およびラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの粉末担体を含みうる。同様の希釈剤を用いて、圧縮錠剤を製造することができる。錠剤およびカプセル剤の両方とも、数時間にわたる薬剤の連続的放出を提供する徐放性製剤として製造することができる。圧縮錠剤を、いずれの不快な味をマスクして、大気から錠剤を保護するために糖コーティングもしくはフィルムコーティングするか、あるいは消化管での選択的分解のために腸溶コーティングをすることができる。
【0124】
経口投与のための液体剤形は、患者の許容性を高めるために、着色剤および香味剤を含み得る。
【0125】
一般に、水、適切な油、生理食塩水、デキストロース水溶液(グルコース)、ならびに関連する糖溶液およびグリコール(例えばプロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール)が、非経口液剤に適切な担体である。非経口投与用の液剤は、活性成分の水溶性の塩、適切な安定化剤、および必要であれば、緩衝物質を含みうる。単独もしくは組み合わせた、抗酸化剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸)が適切な安定化剤である。クエン酸およびその塩ならびにナトリウムEDTAもまた用いられる。加えて、非経口液剤は、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル-もしくはプロピル-パラベン、およびクロロブタノールを含むことができる。
【0126】
適切な医薬担体は、当分野の標準的な参考テキストである、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに記載されている。
【0127】
本発明の化合物を投与するための代表的な有用な医薬剤形は、以下のとおり例示することができる。
【0128】
(カプセル剤)
標準のツーピース(two-piece)硬ゼラチンカプセルに、各々、100ミリグラムの粉末活性成分、150ミリグラムのラクトース、50ミリグラムのセルロース、および6ミリグラムのステアリン酸マグネシウムを充填することによって、多数の単位カプセル剤を製造することができる。
【0129】
(軟ゼラチンカプセル剤)
消化可能な油(例えばダイズ油、綿実油もしくはオリーブ油)中の活性成分の混合物を調製し、容積移送式ポンプ(positive displacement pump)を用いてゼラチン内に注入して、100ミリグラムの活性成分を含有する軟ゼラチンカプセルを形成してもよい。該カプセル剤は洗浄および乾燥させるべきである。
【0130】
(錠剤)
錠剤は、単位用量(dosage unit)が100ミリグラムの活性成分、0.2ミリグラムのコロイド状二酸化ケイ素、5ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、275ミリグラムの結晶セルロース、11ミリグラムのデンプンおよび98.8ミリグラムのラクトースであるように、通常の方法によって製造されうる。適切なコーティングを施して、嗜好性を高めるかまたは吸収を遅延させてもよい。
【0131】
(注射剤)
注入による投与に適切な非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を10容量%のプロピレングリコールおよび水中で撹拌することにより、製造されうる。該液剤は、塩化ナトリウムで等張にし、滅菌するべきである。
【0132】
(懸濁剤)
水性懸濁剤は、各5 mLに、100 mgの微粉活性成分、200 mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5 mgの安息香酸ナトリウム、1.0 gのソルビトール溶液、U.S.P.、および0.025 mLのバニリンが含まれるように、経口投与用に製造することができる。
【0133】
本発明の化合物を他の抗凝固薬と組み合わせる場合、例えば、1日用量は、患者の体重1キログラム当たり、約0.1から100ミリグラムの式Iの化合物および約1から7.5ミリグラムの第2の抗凝固薬であってよい。錠剤剤形においては、本発明の化合物は一般に約5から10ミリグラム/単位用量(dosage unit)の量で存在してもよく、第2の抗凝固薬は約1から5ミリグラム/単位用量(dosage unit)の量で存在してよい。
【0134】
前述の第2の治療薬のうちの2つ以上を式Iの化合物と共に投与する場合、一般に、典型的な1日用量および典型的な剤形中の各成分の量は、組み合わせて投与した場合の治療薬の相加効果もしくは相乗効果を考慮して、単独で投与した場合の薬剤の通常の用量と比較して減少させてもよい。特に、単一の単位用量(dosage unit)として供される場合、組み合わせた活性成分間に化学的相互作用が存在する可能性がある。そのため、式Iの化合物および第2の治療薬を単一の単位用量(dosage unit)中に組み合わせた場合、それらは、活性成分を単一の単位用量(dosage unit)中に組み合わせるけれども、該活性成分間の物理的接触が最小限となる(すなわち、減少される)ように製剤化される。例えば、活性成分のうちの1つを腸溶コーティングしてもよい。活性成分のうちの1つを腸溶コーティングすることによって、組み合わせた活性成分間の接触を最小にすることが可能なだけでなく、消化管中でのこれらの成分のうちの1つの放出を、胃ではなくむしろ腸管内で放出されるように制御することも可能である。また、該活性成分のうちの1つを、消化管全体にわたって徐放をもたらし、組み合わせた活性成分間の物理的接触を最小限にする役割も果たす物質でコーティングしてもよい。さらに、徐放される成分を、この成分が腸管内でのみ放出されるように、さらに腸溶コーティングすることができる。さらに別の手法は、活性成分をさらに分離するために、1つの成分が徐放および/または腸内放出ポリマーでコーティングされ、他の成分も低粘度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのポリマーもしくは当分野で公知の他の適切な物質でコーティングされている組み合わせ品の製造を含みうる。該ポリマーコーティングは、他の成分との相互作用に対するさらなるバリアを形成する役割を果たす。
【0135】
本発明の組み合わせ品の成分間における接触を最小限にするこれらならびに他の方法は、単一剤形で投与されるか、または別個の形態であるが同じ様式で同時に投与されるかにかかわらず、本開示に基づけば、当業者には容易に明らかであろう。
【0136】
本発明は、詳細にかつその特定の実施態様を参照して記載されているが、その精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および改変を行うことができることが当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物もしくは立体異性体、または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
医薬的に許容される担体および治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項3】
ケモカインもしくはケモカイン受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項4】
該ケモカインもしくはケモカイン受容体活性がCCR-1もしくはCCR-1受容体活性である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
障害の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含み;ここで、該障害は、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、肝細胞癌または他の癌から選択される、該方法。
【請求項6】
炎症性疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項7】
CCR-1によって少なくとも部分的に媒介される炎症性疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物を製剤化することを含む、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、または関節リウマチの治療のための医薬の製造方法。
【請求項9】
治療を必要としている患者の治療方法であって、該患者に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項10】
ケモカインもしくはケモカイン受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含む、該方法。
【請求項11】
CCR-1受容体活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含む、該方法。
【請求項12】
CCR-1受容体により媒介される、MIP-1α、MCP-3、MCP-4、またはRANTES活性の調節方法、好ましくはMIP-1α活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含む、該方法。
【請求項13】
障害の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含み、ここで、該障害は、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、肝細胞癌、または他の癌から選択される、該方法。
【請求項14】
炎症性疾患の治療方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含む、該方法。
【請求項15】
CCR-1活性の調節方法であって、それを必要としている患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含む、該方法。
【請求項16】
請求項2に記載の組成物を有用な医薬剤形に製剤化することを含む、骨関節炎、動脈瘤、発熱、心血管作用、クローン病、うっ血性心不全、自己免疫疾患、HIV感染症、HIV関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的もしくは化学的に誘発された脳外傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、または関節リウマチの治療のための医薬の製造方法。
【請求項17】
治療を必要としている患者の治療方法であって、それを必要としている該患者に治療上有効な量の請求項2に記載の組成物を投与することを含む、該方法。

【公表番号】特表2011−526293(P2011−526293A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516635(P2011−516635)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/048564
【国際公開番号】WO2009/158452
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】