説明

ケモカイン受容体活性の調節薬としてのピペリジニル誘導体のプロドラッグ

本願発明は、式(I)で示される化合物のプロドラッグもしくはその立体異性体またはそれらの医薬的に許容し得る塩に関する。本願発明はまた、本願発明のプロドラッグ化合物を用いて、炎症性疾患(例えば、喘息)及びアレルギー性疾患、並びに自己免疫病状(例えば、関節リウマチ)を治療及び予防するための方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、ケモカイン受容体活性のピペリジニル調節薬のプロドラッグ、該化合物を含有する医薬組成物、並びに炎症性疾患、アレルギー性及び自己免疫性疾患、特に関節リウマチ及び移植拒絶反応の治療及び予防のための剤としての該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ケモカインは、分子量6−15kDaの走化性サイトカインであり、これは様々な細胞によって放出されて、他の細胞タイプのなかでも、単球、マクロファージ、T及びBリンパ球、好酸球、好塩基球、及び好中球を誘起し及び活性化する。アミノ酸配列の最初の2つのシステインが1個のアミノ酸によって区切られているか(CXC)又は隣接している(CC)かどうかに依存して、2つの主要なクラスのケモカイン、CXC及びCCが存在する。該CXCケモカイン(例えば、インターロイキン−8(IL−8)、好中球活性化タンパク質−2(NAP−2)及びメラノーマ増殖刺激活性タンパク質(MGSA)は主として好中球及びTリンパ球にとって走化性であり、一方で該CCケモカイン(例えば、ランテス(RANTES)、MIP−1α、MIP−1β)、単球走化性タンパク質(MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4及びMCP−5)及びエオタキシン(−1及び−2)は他の細胞タイプのなかでも、マクロファージ、Tリンパ球、好酸球、樹状細胞、及び好塩基球にとって走化性である。
【0003】
該ケモカインはGタンパク質共役7膜貫通ドメインタンパク質のファミリーに属する特異的細胞表面受容体(「ケモカイン受容体」と呼ばれる)と結合する。それらが同族リガンドと結合すると、ケモカイン受容体は会合三量体Gタンパク質を通して細胞内シグナルを変換し、結果、他の応答のなかでも、細胞内カルシウム濃縮の急激な増加、細胞形の変化、細胞接着分子の発現の増加、脱顆粒、及び細胞移動の促進を生じる。以下の特徴的なパターンを有するCCケモカインと結合し又はそれに応答する少なくとも10個のヒトケモカイン受容体が存在する:CCR−1(又は、「CKR−1」又は「CC−CKR−1」)[MIP−1α、MCP−3、MCP−4、ランテス]、CCR−2A及びCCR−2B(又は、「CKR−2A」/「CKR−2B」又は「CC−CKR−2A」/「CC−CKR−2B」)[MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MCP−5];CCR−3(又は「CKR−3」又は「CC−CKR−3」)[エオタキシン−1、エオタキシン−2、ランテス、MCP−3、MCP−4];CCR−4(又は「CKR−4」又は「CC−CKR−4」)、[TARC、MDC];CCR−5(又は、「CKR−5」又は「CC−CKR−5」)[MIP−1α、ランテス、MIP−1β];CCR−6(又は、「CKR−6」又は「CC−CKR−6」)[LARC];CCR−7(又は、「CKR−7」又は「CC−CKR−7」)[ELC];CCR−8(又は、「CKR−8」又は「CC−CKR−8」)[I−309];CCR−10(又は、「CKR−10」又は「CC−CKR−10」)[MCP−1、MCP−3];及び、CCR−11[MCP−1、MCP−2及びMCP−4]。
【0004】
哺乳動物ケモカイン受容体に加えて、哺乳動物サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス及びポックスウイルスが、ケモカイン受容体の結合性質を有する感染した細胞、タンパク質中で発現することが分かっている。ヒトCCケモカイン(例えば、ランテス及びMCP−3)は、これらのウイルス的にコードされた受容体によってカルシウムの急激な動員を引き起こし得る。受容体の発現は、感染に対する正常な免疫システムの監視及び応答の破壊を許すことによって、感染への許容状態となり得る。加えて、ヒトケモカイン受容体(例えば、CXCR4、CCR2、CCR3、CCR5及びCCR8)は、微生物(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))によって哺乳動物細胞の感染症のコレセプターとして作用し得る。
【0005】
該ケモカイン及びそれらの同族受容体は、炎症性、感染性及び免疫調節性の障害及び疾患(例えば、喘息及びアレルギー性疾患を含む)、並びに自己免疫病状(例えば、関節リウマチ及びアテローム性動脈硬化症)の重要なメディエーターとして関与するとみなされている(総説:非特許文献1乃至4を参照)。例えば、該ケモカインマクロファージ炎症性タンパク質−1(MIP−1α)及びその受容体CCケモカイン受容体1(CCR−1)は、白血球を炎症部位へ誘引する際、及び続くこれらの細胞を活性化する際に極めて重要な役割を果たしている。該ケモカインMIP−1αがCCR−1と結合するとき、それは細胞内カルシウム動員の急激な増大、細胞接着分子の発現、細胞脱顆粒、及び白血球移動の促進を誘発する。
【0006】
加えて、ヒトにおけるMIP−1αの走化性の実証は、実験的に供されている。ヒト被験者はMIP−1αを皮内注射されると、注射部位への白血球の急激で重大な流入を被る(非特許文献5を参照)。
【0007】
該MIP−1α/CCR−1相互作用の重要性の実証は、遺伝子操作されたマウスを用いる実験によって供されている。MIP−1α−/−マウスは正常な数の白血球を有していたが、免疫チャレンジ後のウイルス炎症の部位中へ単球を補充することは不可能であった。最近、MIP−1α−/−マウスは、コラーゲン抗体誘起性関節炎に対して抵抗性であることが分かった。同様に、CCR−1−/−マウスは、インビボでMIP−1αでチャレンジされたとき、好中球を補充することは不可能であった;その上、CCR−1ヌルマウスの末梢血好中球は、MIP−1αへの応答の際に移動せず、よって該MIP−1α/CCR相互作用の特異性が実証されている。該MIP−1α−/−及びCCR−1−/−動物の生存能力及び一般的な正常な健康は、該MIP−1α/CCR−1相互作用の破壊が生理学的な危機を誘起しないという点で注目に値するものである。まとめると、これらのデータは、MIP−1αの作用を遮断する分子は多数の炎症性疾患及び自己免疫疾患を処置する際に有用であろうとの1つの結論を導く。この仮説は今回、以下に記載する多数の異なる動物疾患モデルにおいて立証された。
【0008】
MIP−1αは関節リウマチを有する患者の滑液及び血液中で上昇することが知られる。その上、いくつかの研究は、関節リウマチを処置する際に該MIP−1α/CCR1相互作用の拮抗作用の潜在的な治療学的価値を実証している。
【0009】
CCR−1はまた、ケモカインのランテス、MCP−3、HCC−1、Lkn−1/HCC-2、HCC−4及びMPIF−1に対する受容体でもあることをまた留意すべきである(非特許文献6を参照)。本明細書中に記載する式(I)の新規な化合物は該CCR−1受容体との結合によってMIP−1αを拮抗すると推定されるので、この化合物はまたCCR−1によって媒介される上記リガンドの作用の有効なアンタゴニストともなる可能性がある。従って、本明細書中で「MIP−1αの拮抗作用」と記載する場合、これは「CCR−1のケモカイン刺激の拮抗作用」に相当するものであると仮定されるべきである。
【0010】
最近、多数のグループがMIP−1αの小分子アンタゴニストの開発を記載している(総説:非特許文献7を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Carter, P.H.による、Current Opinion in Chemical Biology 2002, 6, 510
【非特許文献2】Trivediらによる、Ann. Reports Med. Chem. 2000, 35, 191
【非特許文献3】Saundersらによる、Drug Disc. Today 1999, 4, 80
【非特許文献4】Premackらによる、Nature Medicine 1996, 2, 1174
【非特許文献5】Brummet, M.E.による、J. Immun. 2000, 164, 3392-3401
【非特許文献6】Carter, P.H.による、Curr. Opin Chem. Bio. 2002, 6, 510-525
【非特許文献7】Carson, K.G.らによるAnn. Reports Med. Chem. 2004, 39, 149-158
【発明の概要】
【0012】
従って、本発明は、MIP−1α若しくはCCR−1受容体活性のアンタゴニスト若しくは部分アゴニスト/アンタゴニストのプロドラッグ、又はそれらの医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0013】
本発明は、医薬的に許容し得る担体、及び治療有効量の本発明の化合物のプロドラッグ又はその医薬的に許容し得る塩形態を含有する医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の本発明の化合物のプロドラッグ又はその医薬的に許容し得る塩形態を投与することを含む、関節リウマチ及び移植拒絶反応を処置する方法を提供する。
【0015】
本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の本発明の化合物のプロドラッグ又はその医薬的に許容し得る塩形態を投与することを含む、炎症性疾患を処置する方法を提供する。
【0016】
本発明は、療法における使用のためのピペリジニル誘導体のプロドラッグを提供する。
【0017】
本発明は、炎症性疾患の処置のための医薬の製造のためのピペリジニル誘導体のプロドラッグの使用を提供する。
(発明の詳細な記載)
【0018】
1実施態様において、本発明は、式(I):
【化1】

の新規な化合物のプロドラッグ若しくはその立体異性体又はそれらの医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0019】
本発明は、CCR−1活性の公知の阻害剤、例えば出願US2007/0208056 A1(2007年9月6日公開、出願人に譲渡)中に記載されたピペリジニル誘導体と比較して予測し得ない有利なプロフィールを有するピペリジニル化合物のプロドラッグを提供する。
【0020】
これらのプロドラッグは、薬物の製剤化及び保存の目的のための改善された浸透性、溶解度及び/又は安定性を有する化合物を得るために製造した。
【0021】
これらのプロドラッグ又はその医薬的に許容し得る塩は、以下の構造を有する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0022】
本発明の好ましい化合物は、以下の化合物を含む。
【表6】

【0023】
別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容し得る担体、及び治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを含有する、医薬組成物に関する。
【0024】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、ケモカイン又はケモカイン受容体の活性の調節のための方法に関する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、CCR−1受容体活性の調節のための方法に関する。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、CCR−1受容体によって媒介される、MIP−1α、MCP−3、MCP−4、ランテスの活性の調節、好ましくはMIP−1α活性の調節のための方法に関する。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、障害を処置するための方法であって、該障害が、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗しょう症、腎線維症、及び他の癌、好ましくはクローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗しょう症、及び腎線維症から選ばれる方法に関する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、炎症性疾患を処置するための方法に関する。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、炎症性腸疾患を処置するための方法に関する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、クローン病を処置するための方法に関する。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、乾癬を処置するための方法に関する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、全身性エリテマトーデスを処置するための方法に関する。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、多発性硬化症を処置するための方法に関する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、関節リウマチを処置するための方法に関する。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、乾癬性関節炎を処置するための方法に関する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、多発性骨髄腫を処置するための方法に関する。
【0037】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒を処置するための方法に関する。
【0038】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、肝細胞癌を処置するための方法に関する。
【0039】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、骨粗しょう症を処置するための方法に関する。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、腎線維症を処置するための方法に関する。
【0041】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、炎症性疾患、例えばCCR−1によって少なくとも部分的に媒介される炎症性疾患を処置するための方法に関する。
【0042】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に治療有効量の1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグを投与することを含む、CCR1活性の調節のための方法に関する。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、障害の処置のための医薬の製造における1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグの使用であって、該障害が、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗しょう症、腎線維症、及び他の癌、好ましくはクローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗しょう症、及び腎線維症から選ばれる、該使用に関する。
【0044】
別の実施態様において、本発明は、療法における使用のための1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグに関する。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物に関する。
【0046】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、ケモカイン又はケモカイン受容体の活性の調節のための方法に関する。
【0047】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、CCR−1受容体活性の調節のための方法に関する。
【0048】
更に別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、該CCR−1受容体によって媒介される、MIP−1α、MCP−3、MCP−4、ランテスの活性の調節、好ましくはMIP−1α活性の調節のための方法に関する。
【0049】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に、1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、障害を処置するための方法であって、該障害は、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗しょう症、腎線維症、及び他の癌、好ましくはクローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗しょう症、及び腎線維症から選ばれる方法に関する。
【0050】
更に別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に、1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、炎症性疾患、好ましくはCCR−1によって少なくとも部分的に媒介される炎症性疾患を処置するための方法に関する。
【0051】
別の実施態様において、本発明は、処置が必要な患者に、1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、CCR−1活性の調節のための方法に関する。
【0052】
別の実施態様において、本発明は、障害の処置のための医薬の製造における、1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物の使用であって、該障害が、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、乾癬性関節炎、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、結腸直腸癌、骨粗しょう症、腎線維症、及び他の癌、好ましくはクローン病、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性骨髄腫、アレルギー、例えば眼の結膜における皮膚及び肥満細胞の脱顆粒、肝細胞癌、骨粗しょう症、及び腎線維症から選ばれる、該使用に関する。
【0053】
更に別の実施態様において、本発明は、療法における1つ以上の式(I)の化合物のプロドラッグ及び1つ以上の有効成分を含有する医薬組成物に使用に関する。
【0054】
本発明は、本発明に資する精神又は本質を逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。本発明はまた、本明細書中に記載する本発明の別態様の全ての組合せをも包含する。本発明のいずれか及び全ての実施態様は、本発明の更なる実施態様を記載するためにいずれかの他の実施態様と組み合わせて採用し得ると理解される。その上、ある実施態様のいずれかの要素は更なる実施態様を記載するために該実施態様のいずれか由来のいずれか及び全ての他の要素と組み合わせ得る。
【0055】
(定義)
本明細書中に記載する化合物は不斉中心を有し得る。不斉置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性又はラセミの形態で単離され得る。光学活性体を製造する方法(例えば、ラセミ形態の分割又は光学活性な出発物質からの合成)がよく知られる。オレフィン、C=N二重結合などの多数の幾何異性体もまた本明細書中に記載する化合物に存在し得て、そして全てのそのような安定な異性体は本発明に考慮される。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体が記載されるが、それらは異性体の混合物として又は分離された異性体の形態として単離し得る。具体的な立体化学又は異性体形態を具体的に示さない限り、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミの形態及び全ての幾何異性体の形態が意図される。
【0056】
式Iの化合物の1つのエナンチオマーは、他のものと比較して優れた活性を示し得る。従って、立体異性体の全ては本発明の一部であると考える。必要ならば、該ラセミ物質の分離は、キラルカラムを用いるHPLCによって、または当業者にとって知られる分割剤を用いる分割によって達成され得る。
【0057】
用語「医薬的に許容し得る」は本明細書中、健全な医学的判断の範囲内であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答、または他の問題もしくは合併症を伴なうことなくヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適当であり、合理的な利益/危険の比率と釣り合った、範囲内にある、これら化合物、物質、組成物、及び/又は剤形を意味する。
【0058】
本明細書で使用する「医薬的に許容し得る塩」は、親化合物がその酸又は塩基の塩を形成することによって修飾される、開示化合物の誘導体を意味する。医薬的に許容し得る塩の例は、塩基性残基(例えば、アミン)の無機又は有機酸塩;酸性残基(例えば、カルボン酸)のアルカリ又は有機塩基の塩、等を含むが、これらに限定されない。該医薬的に許容し得る塩は、例えば非毒性の無機又は有機酸から形成される親化合物の通常の非毒性塩又は第4級アンモニウム塩を含む。例えば、該通常の非毒性塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸など)から誘導される塩;有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸及びイセチオン酸など)から製造される塩、を含む。
【0059】
本発明の医薬的に許容し得る塩は、通常の化学的方法によって塩基性又は酸性部分を含む親化合物から製造し得る。一般的に、該塩は、これらの化合物の酸または塩基形態を定量的な量の塩基又は酸と水若しくは有機溶媒又はその2つの混合液中で反応させることによって製造することができ;一般的には、非水性媒質(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリル)が好ましい。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17版, Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p.1418(この開示は引用することによって本明細書中に取り込む)中に記載されている。該引例は引用することによって本明細書中に取り込む。
【0060】
加えて、式Iの化合物は、それらの製造に続いて、好ましくは単離及び精製して、重量比で等量又は99%以上の量の式Iの化合物(「実質的に純粋な」化合物I)を含有する組成物を得て、次いでこのものを本明細書中に記載する通り使用又は製剤化する。式Iの該「実質的に純粋な」化合物はまた本発明の一部として本明細書中に考慮される。
【0061】
本発明の化合物の全ての立体異性体は、混合物で又は純粋な若しくは実質的に純粋な形態のいずれかであると考慮される。本発明の化合物は、R置換基のいずれか1つを含む炭素原子のいずれかで不斉中心を有し得て及び/又は結晶多形を示し得る。結果として、式Iの化合物は、エナンチオマー若しくはジアステレオマーの形態、又はその混合物で存在し得る。製造方法は、出発物質としてラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーを利用することができる。ジアステレオマー又はエナンチオマーの生成物を製造するとき、それらは通常の方法(例えば、クロマトグラフィー法又は分別結晶法)によって分離することができる。
【0062】
「安定な化合物」及び「安定な構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度にまでの単離および有効な治療剤への製剤化に生き残るのに十分に頑強である化合物を示すことを意図する。本発明は、安定な化合物を具体化することを意図する。
【0063】
「治療学的に有効な量」とは、本発明の化合物の単独の量、又は特許請求する化合物の組合せの量、又は本発明の化合物をMIP−1αを阻害するのに有効な又は炎症性疾患を治療若しくは予防するのに有効な他の有効成分と組み合わせた量を含むと意図する。
【0064】
本明細書中で使用する「処置する」又は「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患状態の処置を含み、例えば以下を含む:(a)哺乳動物で生じる疾患状態(特に、該哺乳動物は該疾患に罹り易いが、未だ罹ったものと診断されていないとき)を予防すること;(b)該疾患状態を抑制すること、すなわちその進行を抑止すること;及び/又は(c)該疾患状態を軽減すること、すなわち該疾患状態の退行を引き起こすこと。
【0065】
(合成)
本発明の化合物を、以下の実施例、反応スキーム及びその記載、並びに当業者によって使用可能な関連文献の製法に示す通り製造した。これらの反応のための典型的な試薬及び製法を本明細書中以下に記載する。
【0066】
式1.3の化合物を、スキーム1に概説する方法に従って製造することができる。化合物1を出発として、適当なリン酸化試薬と反応させ、続いて例えば過酸化水素で酸化することにより、保護されたリン酸エステル化化合物1.2を供することができる。この変換反応に使用可能な保護基は、例えばアリル及びベンジルであり、そして有機合成分野の当業者はこの製法のために他の保護基をも利用可能であろうと理解する。該保護基の除去により、式1.3の化合物を供することができる。
【化2】

【0067】
式2.1、2.3及び2.4の化合物は、スキーム2に概説する方法に従って製造することができる。化合物1を様々なカルボン酸、酸無水物又は酸クロリドとカップリング反応させることにより、一般式2.1の化合物を供することができ、このものは最終アナログへの加水分解による更なる修飾を要することがある。保護したアミノ酸誘導体の標準的なカップリング反応、続く標準的な方法を用いたアミノ基の脱保護により、式2.3の化合物を供することができる。化合物1を官能化したクロロギ酸エステル(例えば、化合物2.4)と反応させることにより、化合物2.2を得ることができ、このものは更に求核体(例えば、モルホリン)と反応させて化合物2.5を得ることができる。
【化3】

【0068】
一般的な構造式3.4及び3.5の化合物は、スキーム3に概説する方法に従って製造することができる。該メチルチオメチルエーテル3.1は、化合物3.1をDMS及び無水酢酸と反応させることによって製造することができる。化合物3.3を適当な活性化試薬(例えば、NBS又はCuBr)と反応させ、続いて求核体(例えば、リン酸、乳酸又はアミノ酸の塩)と反応させることにより、化合物3.4及び3.5を得ることができる。
【化4】

【0069】
式4.3の化合物は、スキーム4に概説する方法に従って製造することができる。化合物1をクロロギ酸クロロメチルと適当な溶媒中で塩基(例えば、ピリジン)の存在下で反応することにより、化合物4.1を得ることができる。化合物4.1を保護したアミノ酸誘導体と塩基(例えば、KCO)の存在下で反応させることにより、化合物4.2を得ることができる。該アミノ酸成分の脱保護により、化合物4.3を得ることができる。この方法に従って製造することができる化合物はまたスキーム4に示す。
【化5】

【0070】
化合物4.1は、スキーム5に示す通り様々な更なるプロドラッグアナログを製造するための中間体として使用することができる。例えば、化合物4.1をギ酸と塩基(例えば、TEA)の存在下で反応することにより、化合物5.1を得ることができる。加えて、リン酸とTEAとを直接的に反応することにより、化合物5.2を得ることができる。式5.3の化合物は、化合物4.1を適当に保護及び官能化されたカルボン酸と塩基の存在下で反応させることによって製造することができ、このものは順次脱保護して化合物5.3を現すことができる。加えて、式5.4の化合物は、適当に官能化したフェニル酢酸を化合物4.1と反応させ、次いで化合物5.4を現すために該リン酸エステルを水素添加による脱マスキングによって化合物5.4を製造することができる。
【化6】

【0071】
化合物4.1はまた、スキーム6に示す通り更なる化合物(例えば、アナログ)を製造するのに利用することができる。該クロリドの直接的な置換反応及び、続く該硫黄分子の酸化及び脱保護により、化合物6.1及び6.2を供することができる。NaIを用いる該クロリドのより反応性のヨードへの変換、続くNaSOとの反応により、化合物6.3を与えることができる。
【化7】

【0072】
加えて、式7.2の化合物は、化合物1を無水酢酸及びDMSOと反応させてメチルチオメチルエーテル7.1を得て、このものは順次活性化剤(例えば、NBS又はNIS)と反応させ、続いて化合物7.2を現すためにリン酸及び塩基と反応させることによって製造することができる。
【化8】

【0073】
化合物1の更なるプロドラッグは、スキーム8に概説する方法に従って製造することができる。化合物1をカップリング剤を用いて、保護した乳酸誘導体(例えば、ベンジル乳酸)と反応させることにより、エステル8.1を形成することができる。該保護基の除去、続く第2級アルコール上でのリン酸エステルの形成により、アルコール8.2及びリン酸エステル8.3をそれぞれ供することができる。同様に、化合物1は、保護したヒドロキシル酸(例えば、3−O−ベンジルプロピオン酸)と反応させて、エステル8.4を供することができる。該アルコール8.5への脱保護及び標準的な条件を用いるリン酸エステルへの変換に従い、化合物8.6を得ることができる。
【化9】

【0074】
化合物1のスルホン酸誘導化プロドラッグは、スキーム9に概説する方法に従って製造することができる。化合物1をクロロアセチルクロリドと塩基(例えば、ピリジン)の存在下で反応させることにより、化合物9.2を与えることができる。適当な溶媒中でNaCOと反応させることにより、スルホン酸誘導体9.2を得ることができる。式9.5のプロドラッグは、化合物9.3を供するために、最初に化合物1をアクリルオイルクロリドと反応させることによって製造することができる。化合物9.3を硫黄求核体(例えば、チオ酢酸)と反応させることにより、化合物9.4を与えることができ、このものを標準的な方法(KOAc、AcOH、オキソン)を用いてスルホン酸に変換することができる。
【化10】

【0075】
更なるプロドラッグアナログは、スキーム10に概説する方法に従って製造することができる。化合物1を適当に保護した4−ヒドロキシフェニル酢酸誘導体と反応させることにより、化合物10.1を与えることができる。該保護基を除去することにより、フェノール化合物10.2を供することができ、このものを前記方法と同様な方法を用いて、リン酸エステルに変換することができる。
【化11】

【0076】
化合物1の更なる炭酸エステル誘導化プロドラッグは、スキーム11に概説する方法に従って製造することができる。化合物1をクロロギ酸アリルと塩基の存在下で反応することにより、化合物11.1を与えることができ、このものを次いで公知の方法(例えば、PdCl、CuCl、THF、水)を用いてケトン11.2に変換することができる。次いで、該ケトンをアルコール11.3に還元することができ、このものを2つの更なる工程(リン酸化及び脱保護)により、リン酸エステルプロドラッグ11.4を与えることができる。
【化12】

【実施例】
【0077】
(実施例1)
工程1:3,3−ジメチル−4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化13】

THF(1000ml)中の4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(52.47g、263mmol)の溶液を0℃まで冷却し、そして水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液)(22.12g、533mmol)を用いて5分間隔で4回に分けて処理した。生成した懸濁液を0℃で45分間0℃で撹拌し、次いでヨードメタン(41.2mL、658mmol)で滴下処理した。該混合物を1時間撹拌し、次いで室温(「rt」と略することもある)とした。氷浴を除いて9分後、急速な発熱(3分で20−40℃)及び激しい気体の発生が観察された。氷浴を取替え、そして該混合物をゆっくりと室温まで昇温させながら、終夜撹拌させた。該反応液を飽和塩化アンモニウム(200mL)でクエンチし、次いで十分な量の水で処理して沈降した塩を溶解させた。相分離し、そして該有機層を真空下で濃縮した。該水層を酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出物を最初の有機層由来の残渣とあわせた。生成した溶液を酢酸エチル(500mL)で希釈し、そして該混合物を水で2回、食塩水で1回で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下で濃縮して粘性油状物を得て、このものは放置すると固化した。該固化したケーキを沸騰ヘキサン(100mL)中に溶解し、そして生成した溶液を室温まで冷却させ、そのまま終夜放置した。この後、析出した結晶をろ取し、少量の氷冷ヘキサンですすぎ、そして乾燥して粉末の標題化合物(19.5g、86mmol、32.6%収率)を得た。MS(ES+)=172.154。
【0078】
工程2:4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−カルボン酸(±)−tert−ブチル
【化14】

無水THF(1000mL)中の4−ブロモクロロベンゼン(136.6g、0.71mol)の溶液を−78℃まで冷却し、次いで内部温度を−60℃以下に維持する速度で1.6M n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(466mL、0.75mol)で滴下した。生成した混合物を−78℃で1.5時間撹拌し、その間に沈殿物が観察された。生成した懸濁液を、内部温度を−60℃以下に維持する速度で3,3−ジメチル−4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(73.7g、0.32mol)/無水THF(400mL)溶液で滴下処理した。該混合物を−78℃で2時間撹拌し、その間透明溶液が観察された。該反応混合物を飽和塩化アンモニウム(300mL)でクエンチし、そして生成した混合物を室温とした。該水層及び有機層を分離し、そして該有機層を真空下で濃縮して残渣を得た。該水層を酢酸エチル(300mL)で2回抽出した。あわせた抽出物を最初の有機層由来の残渣に加え、そして生成した混合物を酢酸エチルで1200mlまで希釈した。該生成した溶液を水(300mL)で2回、食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空下で濃縮して残渣を得た。該残渣を沸騰ヘキサン(300mL)で砕解し、そして生成した懸濁液を室温まで冷却した。所定の温度にした後直ぐに、白色固体をろ取し、ヘキサンで2回洗浄し、次いで風乾して粉末の標題化合物(93.7g、85%収率)を得た。
【0079】
工程3:(±)−4−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチルピペリジン−4−オール
【化15】

(±)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(93.7g、0.276mol)/ジオキサン(100mL)溶液を、4M HCl溶液/ジオキサン(275mL、1.1mol)で処理した。生成した混合物を室温で4時間撹拌した。この後、該混合物を真空下で濃縮し、次いで塩化メチレン(200mL)から3回濃縮して残留HClを除外した。生成した残渣を1M NaOH(500mL)中で撹拌し、そして生成した懸濁液を酢酸エチル(500mL)で4回抽出した。あわせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空下で濃縮して固体の標題化合物(66.8g、定量)を得た。
【0080】
工程4:(S)−4−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチルピペリジン−4−オール
【化16】

(±)−4−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチルピペリジン−4−オール(175g)及びL−酒石酸(0.9当量)/MEK(3.22L)懸濁液を還流まで加熱した。所定の温度にした後に直ぐに、水(100mL)を加えて溶液とした。生成した溶液を1時間加熱還流し、次いで室温まで冷却し、そのまま48時間撹拌した。この後、生成したスラリーをろ過し、そして集めた固体を真空下で乾燥して酒石酸塩123.4グラムを得た。この物質を同一スケールの別実験のものとあわせて、そして該あわせた固体をMEK(2.55L)及び水(0.25L)中に懸濁した。生成した溶液を還流するまで加熱し、そして更なる水(0.2L)を加えて該混合物を可溶化した。該溶液を2時間加熱還流し、次いでこのものを室温まで冷却して、そのまま週末にわたって撹拌した。この期間の終了後、生成した固体をろ取し、そして乾燥して塩219gを得た。該塩を2つの等分に分割した。各部を水(2L)中に懸濁し、次いで50%NaOHを加えて該ピペリジンの遊離塩基を析出させた。ろ過及び乾燥後に、標題化合物126.3gを単離した(〜72%収率、>99%ee)。
【0081】
工程5:(R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル
【化17】

3L三ツ口丸底(「RB」)フラスコに、(R)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタン酸(39.8g、183mmol)、CHCl(1.6L)、(S)−4−(4−クロロフェニル)−3,3−ジメチルピペリジン−4−オール(40.0g、167mmol)、EDC(70.4g、367mmol)及びHOBt(56.2g、416mmol)を加えた。添加の完結後に、該反応混合物を室温で30分間撹拌した。この後、トリエチルアミン(TEA、93mL、668mmol)を加えた。生成した混合物を室温で20時間撹拌した。この期間の終了後、該反応混合物をNaCO(3×300mL、注:最初のNaCO洗液を真空ろ過し、生成したろ液をCHClで逆抽出した)、1N HCl(3×300mL)、水(400mL)及び生理食塩水で洗浄した。生成した溶液をNaSOで乾燥し、そして濃縮して半固体を(106g、理論収量は73.2gであった)を得た。該半固体を更に精製することなく次の工程にて反応させた。
【0082】
工程6:(R)−2−アミノ−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチルブタン−1−オン、HCl
【化18】

1000mL RBフラスコに、(R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(65g、148mmol)及び塩酸(4M HCl/ジオキサン、720mL、2880mmol)を加えた。添加の完結後に、該反応混合物をrtで2.5時間撹拌した。この後、該反応混合物を濃縮して、ゲルを得た。該ゲルをメタノール(8×100mL)、次いでCHCl(7×100mL)と共沸して、固体を得た(初期重量57g、HCl塩)。
【0083】
工程7:(R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸フェニルエステル
【化19】

該カルバミン酸エステルの合成は2つの別々のフラスコ中で行った。本願明細書中に開示する量は、該2つのフラスコでの実験を行うのに使用する総量である。(R)−2−アミノ−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチルブタン−1−オン、HCl塩(20g、53.3mmol)及びDIPEA(18.61mL、107mmol)をCHCl(15mL)中、rtで撹拌しながら混合し、次いでフェニルカルボニルクロリダート(6.71 mL、53.3 mmol)/塩化メチレン(10mL)を滴下漏斗によって滴下した。該添加の完結後に、該反応混合物を1時間撹拌した。この最後に、更なる0.2当量のDIPEA、続いてクロロギ酸フェニル/塩化メチレン溶液を加えた。該有機層及び水層を分離した。該有機層を1N HCl、飽和NaHCO水溶液及び食塩水で洗浄し;乾燥し、次いで溶媒抽出(stripped)して油状物を得た。該油状物に、rtで撹拌しながら、MeCN 25mLを加えた。添加の完結後、10分間撹拌後に固体が形成した。エーテル(50mL)を加え、そして生成した混合物を5分間撹拌した。この後に、更なるエーテル(25mL)を加え、そして撹拌を15分間続けた。この期間の終了後、生成した固体をろ取し、次いでエーテルですすいで、粗固体13グラムを得て、このものを更に精製することなく使用した。該ろ液を濃縮して残渣を得た。該残渣をシリカゲル(9:1−3:1−1:1 ヘキサン/EtOAc〜100%EtOAc)で精製して、更なる生成物6.72g(総収量19.7g、81%収率)を得た。
【0084】
工程8:式Iの化合物
【化20】

窒素雰囲気下、(R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸フェニルエステル(16.0g、34.9mmol)、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール(3.42g、38.3mmol)及びDIPEA(6.70mL、38.3mmol)をMeCN(30mL)中、rtで撹拌しながら混合した。生成した懸濁液を還流まで加熱し、その間該懸濁液は無色溶液になった。還流下で約20分間撹拌後に、固体が沈降した。還流下1.5時間撹拌後に、アセトニトリル(20mL)及び更なる0.1当量の1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール及びDIPEAを加えた。該反応混合物を更に1.5時間撹拌した。この後に、該反応混合物を加熱から取り外し、そしてrtまで冷却した。rtまで冷却しながら、生成物が沈降するまで水(〜240mL)を加え、そして生成した自由流動性懸濁液を終夜撹拌した。この期間の最後に、生成した固体をろ取し、水で2回すすぎ、次いで高真空下で6時間乾燥して固体15.4グラムを得た。これらの固体(及び、更なる〜1グラムのパイロットバッチ)をアセトン50mL中にrtで撹拌しながらスラリーとし、次いで3倍容量の水(150mL)を加えた。該自由流動性懸濁液を終夜撹拌した。この後に、生成した固体をろ取し、水で2回すすぎ、次いで48時間乾燥して固体の式Iの化合物15.2グラムを得た。
1H NMR (500 MHz、メタノール-d4、回転異性体) δppm 7.47 (dd, J=15.4, 8.8 Hz, 4 H), 7.31 (dd, J=8.5, 5.2 Hz, 4 H), 4.71 (dd, J=12.1, 6.1 Hz, 2 H), 4.54 (ddd, J=12.9, 2.5, 2.2 Hz, 1 H), 3.98 - 4.08 (m, 2 H), 3.58 - 3.68 (m, 2 H), 3.48 (dd, J=12.9, 1.4 Hz, 1 H), 3.13 - 3.21 (m, 2 H), 3.06 - 3.14 (m, 4 H), 2.70 (td, J=13.6, 4.7 Hz, 1 H), 2.61 (td, J=13.5, 5.0 Hz, 1 H), 2.09 (dq, J=13.2, 6.6 Hz, 1 H), 1.95 (dq, J=13.3, 6.7 Hz, 1 H), 1.60 (ddd, J=13.9, 2.5, 2.3 Hz, 1 H), 1.51 (ddd, J=14.2, 2.6, 2.5 Hz, 1 H), 1.16 (s, 6 H), 1.14 (d, J=1.7 Hz, 6 H), 1.05 (d, J=7.2 Hz, 3 H), 0.98 (d, J=7.2 Hz, 3 H), 0.94 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.91 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.82 (s, 3 H), 0.81 (s, 3 H), 0.79 (s, 3 H), 0.75 (s, 3 H)。13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δppm 173.6, 173.3, 161.1, 160.8, 144.8, 144.6, 133.82(2 C, s), 130.2 (4 C, s), 128.3 (4 C, s), 76.0, 76.0, 71.7, 71.7, 55.9, 55.2, 55.1, 51.8 (2 C, s), 51.1, 43.0, 40.4, 39.9, 39.3, 34.8, 33.7, 33.1, 32.4, 27.2 (2 C, s), 27.1 (2 C, s), 23.1, 22.8, 21.4, 21.1, 20.3, 19.8, 17.9, 17.7, m/z: 454.2 [M+]+
【0085】
工程9:実施例1
【化21】

化合物1(200mg、0.441mmol)、2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)酢酸(262mg、0.881mmol)、及びDMAP(10.76mg、0.088mmol)の溶液をDCC(182mg、0.881mmol)で処理し、そして該混合物を室温で7時間撹拌した。LC/MSによる分析は、出発物質のわずか〜50%変換を示し、及びアミノ酸の自己カップリング由来の無水物の相当量を示した。該混合物を更なる2−(((9H−フロオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)酢酸(262mg、0.881mmol)及びDCC(182mg、0.881mmol)で処理し、次いで室温で終夜撹拌した。
【0086】
該混合物をろ過し、そしてろ液を、24gシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いて40mL/分で溶出する)して、いくらかの非同定不純物を含むフィルムを得た。該物質を24gシリカゲルで再精製(4%、次いで10%メタノール/塩化メチレンを用いて40mL/分で溶出する)して、無色フィルムの1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)アセテート(197mg、0.261mmol、59.2%収率)を得た。MS(ES+)=733.3(M+H)
【0087】
無水THF(3mL)中の1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)アセテート(180mg、0.245mmol)及び1−オクタンチオール(0.426mL、2.455mmol)の溶液を、DBU(7.40μL、0.049mmol)で処理し、そして該混合物を室温で終夜撹拌した。
【0088】
該溶媒を窒素気流下で蒸発させ、そして該残渣を12gシリカゲルカラムで精製(メタノール/塩化メチレン勾配を用いて30mL/分で溶出する)して、無色ガラスの1−(3−((R)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド−2−メチルプロパン−2−イル 2−アミノアセテート(105mg、0.205mmol、84%収率)を得た。MS(ES+)=511.1(M+H)
【0089】
実施例2
【化22】

DCM(5mL)中の化合物1(200mg、0.396mmol)、BOC−L−アラニン(188mg、0.991mmol)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(121mg、0.991mmol)の溶液を、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(229mg、1.110mmol)/DCM(2mL)溶液で処理し、そして該混合物をrtで24時間撹拌した。該反応液をろ過してN,N−ジシクロヘキシルウレアを除去し、そして該ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。該残渣をEtOAc(15mL)中に溶解し、0℃まで冷却し、そして更なるN,N−ジシクロヘキシルウレアをろ過して除いた。該ろ液を1M KHSO(3回)、水及び5%NaHCO(3回)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(12gシリカゲルカートリッジを用い、0−75%EtOAc/ヘキサンを用いて溶出する)によって精製して、固体の(S)−1−(3−((R)−1−(S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(160mg、0.256mmol、64.5%収率)を得た。
【0090】
(S)−1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエート(160mg、0.256mmol)/DCM(0.5mL)溶液を4M 塩酸(4mL、16.00mmol)/ジオキサンで処理し、そしてrtで撹拌した。10分後、LC−MSは、出発物質が>95%消費され、また該ピペリジンアミド結合の切断由来の副生成物(m/z=240)がまた約10%収率で形成したことを示した。飽和NaHCO溶液(35mL)に該反応液を滴下し、そして該混合物をDCM(3×50mL)で抽出した。該抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして該粗生成物を精製(中圧C18クロマトグラフィー(13gカートリッジ)を使用し、そして0−70% A/Bで溶出する)した。
流速: 30mL/分
移動相: A:10%MeOH−90%水−0.1%TFA
B:90%MeOH−10%水−0.1%TFA
【0091】
該生成物を含有する画分をプールし、ロータリーエバポレーターで濃縮して大部分のメタノール溶媒を除去し、残渣を飽和NaHCO溶液で処理してpH8とし、そしてDCMで抽出した。該抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そしてロータリーエバポレーターで濃縮して白色半結晶固体である生成物を得た。該固体をアセトニトリル/水(2mL/8mL)中に溶解し、そして濁った溶液を凍結及び乾燥して、固体の(S)−1−(3−((R)−1−(S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−アミノプロパノエート(65mg、0.121mmol、47.4%収率)を得た。
【0092】
実施例3
【化23】

化合物1(215mg、0.426mmol),BOC−L−バリン(231mg、1.066mmol)及び4−(D−ジメチルアミノ)ピリジン(130mg、1.066mmol)のDCM(5mL)の溶液を、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(246mg、1.193mmol)のDCM(2mL)の溶液で処理し、そして該混合物をrtで48時間撹拌した。該反応液をろ過してN,N−ジシクロヘキシルウレアを除き、そして該ろ液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。該残渣をEtOAc(15mL)中に溶解し、0℃まで冷却し、そして更なるN,N−ジシクロヘキシルウレアをろ過して除いた。該ろ液を1M KHSO(3回)、水及び5% NaHCO(3回)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。該粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(12gシリカゲルカートリッジを使用し、そして0−75% EtOAc/ヘキサンで溶出する)によって精製して、目的物の(S)−1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタノエート(170mg、0.260mmol、61.1%収率)を固体として得た。
【0093】
(S)−1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタノエート(170mg、0.26mmol)のDCM(0.5mL)中の溶液を、4M 塩酸/ジオキサン(4mL、16.00mmol)で処理し、そしてrtで撹拌した。10分後に、LC−MSは出発物質が>95%消費されたことを示した。
【0094】
該反応液を、飽和NaHCO溶液(35mL)に滴下し、そして該混合物をDCM(3×50mL)で抽出した。該抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして該粗生成物を中空C18クロマトグラフィー(13gカートリッジ)(0−70%A/Bで溶出する)によって精製した。
流速: 30mL/分
移動相: A:10%MeOH−90%水−0.1%TFA
B:90%MeOH−10%水−0.1%TFA
【0095】
該生成物を含有する画分を貯蔵し、ロータリーエバポレーターで濃縮してメタノール溶媒の大部分を除去し、残渣を飽和NaHCO溶液でpH8まで処理し、そしてDCMで抽出した。該抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そしてロータリーエバポレーターで濃縮して半結晶性固体の生成物を得た。該固体をアセトニトリル/水(2mL/8mL)中に溶解し、そして該濁った溶液を冷凍しそして凍結乾燥して、(S)−1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−アミノ−3−メチルブタノエート(55mg、0.097mmol、37.4%収率)を固体として得た。
【0096】
実施例4
【化24】

化合物1(100mg、0.220mmol)、DCM(10mL)、無水酢酸(0.104mL、1.101mmol)、トリエチルアミン(0.061mL、0.441mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(5.38mg、0.044mmol)の溶液を封したフラスコ中で48時間撹拌した。LCMSは、目的物と20%の残存出発物質を示した。該混合物をDCM(25mL)で希釈し、pH4酢酸塩緩衝液(5mL)及び食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(12gシリカゲルカートリッジを使用し、0−100%EtOAc/ヘキサンで溶出する)(TLCの視覚化はセリウムモリブデンによる)によって精製した。該生成物を含有するフラクションを貯蔵し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮して固体を得た。該固体を10%水性アセトニトリル中に溶解し、凍結乾燥して、1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル アセテート(65mg、0.128mmol、58.3%収率)をアモルファス固体として得た。
【0097】
実施例5
【化25】

化合物1(100mg、0.220mmol)、無水プロピオン酸(0.282mL、2.203mmol)、DMAP(53.8mg、0.441mmol)及びDCM(5mL)の溶液をrtで24時間撹拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。該粗生成物を中空C18クロマトグラフィー(13gのISCOカートリッジを使用し、0−80%勾配MeOH/HOで10分間かけて溶出する)によって精製した。該生成物を含有するフラクションを貯蔵し、濃縮し、そして凍結乾燥して1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル プロピオネート(90mg、0.173mmol、79%収率)を固体として得た。
【0098】
実施例6
【化26】

DCM(3mL)中の化合物1(0.215g、0.474mmol)にピリジン(0.192mL、2.368mmol)を加え、続いてカルボノクロリダートクロロメチル(0.084mL、0.947mmol)をRTで3分間かけて滴下した。開始時の不均一混合物はカルボノクロリダートクロロメチルの添加の最後の方には均一になった。該内容物をRTで1時間撹拌し、その間、LCMS(ルナ3μC18 4.6×30mm;溶媒A=10%MeOH、90%HO、0.1%TFA、溶媒B=90%MeOH、10%HO、0.1%TFA)は目的質量を有する主要ピークの存在を示した。該反応混合物を濃縮し、残渣をMeOH(1.5mL)中に溶解し、そしてプレパラティブクロマトグラフィーを行った。HPLC(フェノメネックス ルナ AXIA 5μC18 30×100mm;8分勾配;溶媒A=10%MaOH、90%HO、0.1%TFA、溶媒B=90%MeOH、10%HO、0.1%TFA)。該目的画分を集めて、濃縮し、そしてDCM(10mL)及び食塩水(10mL)の間で分配した。該DCM層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、クロロメチル 1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル カルボネート(0.19g、0.348mmol、73.4%収率)を得た。
【0099】
DMF(2mL)中のクロロメチル 1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル カルボネート(0.19g、0.348mmol)に、トリエチルアミン(0.048mL、0.348mmol)及びフマル酸(0.020g、0.174mmol)をRTで連続して加えた。内容物を70℃(油浴温度)で20時間加熱した。該反応混合物をrtまで冷却し、そしてプレパラティブHPLC(フェノメックス ルナ AXIA 30×100mm;10分勾配;溶媒A=10%CHCN、90%HO、0.1%TFA、溶媒B=90%CHCN、10%HO、0.1%TFA)を行った。目的画分を集めて、濃縮した。残渣をDCM(20mL)及び食塩水(10mL)の間で分配した。該DCM層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して(R,E)−3−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−カルボニル)−2,8,8−トリメチル−5,10,14−トリオキソ−9,11,13−トリオキサ−4,6−ジアザヘプタデカ−15−エン−17−酸(0.022g、0.035mmol、10.11%収率)を得た。
【0100】
得られた半固体をMeOH(0.2mL)及び水(1.5mL)中に溶解し、そして終夜凍結乾燥して固体を得た。分析用RP−HPLC:t=3.40分(YMC S5 コンビ ODS 4.6×50mm;4分勾配;溶媒A=10%MeOH、90%HO、0.2%HPO、溶媒B=90%MeOH、10%HO、0.2%HPO。純度:>96%。MS(ESI)m/z 626.20(M+H)
【0101】
実施例7
【化27】

工程1:
0℃のCHCl(12mL)中の化合物1に、ピリジン(0.534mL、6.61mmol)を加え、続いて2−ブロモエチル カルボノクロリダート(413mg、1.982mmol)を加えた。該反応液をrtまでゆっくりと昇温し、そして4時間撹拌した。該反応液を濃縮し、そしてEA(40mL)及び水(20mL)の間で分配した。該層を分離し、そして該EA層を更に0.5N HCl、希NaHCO水溶液、次いで食塩水で洗浄した。該EA層を乾燥し(NaSO)、ろ過し、そして濃縮した。該生成物をSiOフラッシュクロマトグラフィー(25%−50%EA/ヘプタン〜100%EA)によって精製して、そして乾燥して2−ブロモエチル 1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル カルボネート(790mg、1.267mmol、96%収率)を固体として得た。
HPLC純度:97%、rt 4.00分;LCMS:606.3(M+)。
【化28】

【0102】
工程2:
2−ブロモエチル 1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イルカーボネート(780mg、1.289mmol)及びKCO(356mg、2.58mmol)のDMF(3mL)溶液にモルホリンを加え、そして該反応液をrtで終夜撹拌した。該粗生成物を高真空下で乾燥後に、該残留ガラス物質をカラムクロマトグラフィー(50%EA/ヘプタン〜100%EA〜5%MeOH/EA)によって精製して、1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−モルホリノエチルカーボネート(620mg、1.014mmol、79%収率)を発泡体として得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, 回転異性体) δ 7.40-7.24 (m, 4H), 5.44 (dd, J=21.9, 8.8 Hz, 1H), 5.13 (dt, J=21.1, 5.7 Hz, 1H), 4.82 (m, 1H), 4.65 (br d, 0.5H), 4.20 (t, J= 6.2 Hz, 2H), 3.95 (m, 0.5H), 3.71 (t, J=4.8 Hz, 4H), 3.58 (m, 1H), 3.43 (m, 3H), 3.15 (dt, J=13.1, 2.6 Hz, 0.5H), 3.05 (d, J=12.7 Hz, 0.5H), 2.64 (t, J=5.7 Hz, 2H), 2.51 (t, J=4.4 Hz, 4H), 1.96 (m, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.47-1.43 (m, 6H), 1.06 (d, J=6.6 Hz, 1.5H), 0.97-0.76 (m, 10.5H)。HPLC純度:>99%、rt 3.23分(クロマリス スピードロッド(Chromalith Speedrod)、C18、4.6×50mm、10%MeOH/水〜90%MeOH/水と0.2%HPO、4分勾配、4mL/分)。LCMS:611.38(M+)。
【0103】
塩酸塩の形成:
1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イル 2−モリホリノエチルカーボネート(222mg、0.363mmol)のEA(4mL)溶液に、ジオキサン中のHCl(0.086mL、0.345mmol)を加えた。わずかなもやが溶液中に形成するまで、該混合物を簡単に音波処理し、次いで終夜速く撹拌した。該固体をろ過し、そして乾燥して固体(220mg)を得た。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz, 回転異性体) δ 7.45 (m, 2H), 7.35 (m, 2H), 6.44 (m, 0.5H, 6.20 (m, 0.5H), 5.09 (s, 0.7H), 4.58 (m, 0.7H), 4.39 (m, 2H), 3.94 (M, 4H), 3.73 (t, J=11.9 Hz, 2H), 3.43-2.89 (m, 18H), 1.52-1.32 (m, 8H), 0.2 (d, J= 6.6 Hz, 1H), 0.82 (d, J=6.6 Hz, 3H), 0.79 (d, J=6.6 Hz, 2H), 0.69 (m, 3H), 0.61 (m, 4H)。HPLC Purity:>99%、rt 3.25分(クロマリス スピードロッド、C18、4.6×50mm、10%MeOH/水〜90%MeOH/水と0.2%HPO、4分勾配、4mL/分)。
【0104】
実施例8
【化29】

1−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−3−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ウレア(化合物1、300mg、0.661mmol)をCHCl(10mL)中で窒素下、25℃で撹拌しながら溶解し、次いでジベンジル ジイソプロピルホスホラミダイト(456mg、1.322mmol)を加え、続いて1H−テトラゾール(93mg、1.322mmol)を加えた。該反応液はいくらかの量の固体を含み、これは数分後に溶解した。H(0.020mL、0.661mmol)を加え、そして数時間撹拌した。次いで、該反応液を10%Na、1N HCl及び食塩水で洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮してガラス状物質(560mg)を得て、このものをシリカゲル(3:1−1:1のヘキサン/EtOAc〜100%EtOAc〜9:1の塩化メチレン/メタノール)上で精製して、生成物としてジベンジル 1−(3−((R)−1−((S)−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−3,3−ジメチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)ウレイド)−2−メチルプロパン−2−イルホスフェート(460mg、0.644mmol、97%収率)のガラス状物質を得た。
【化30】

【0105】
(有用性)
一般的に、式(I)の化合物のプロドラッグはケモカイン受容体活性の調整物質であると示されている。ケモカイン受容体活性の調整物質としての活性を示すことによって、該化合物はケモカイン及びそれらの同族受容体に関係するヒト疾患の処置において有用であると期待される。
【0106】
本発明のプロドラッグは、下記表Iに示す通り、化合物Iを超える改善された溶解度及び安定性の性質を供するように製造した。化合物1の溶解度は上で概説した方法によって測定される通り、pH6.6緩衝液中で0.047mg/mLである。上記アッセイにて概説した方法によれば、pH1での化学安定性の半減期は30時間であり、pH7.4では22時間より大きい。表1において、水溶液安定性の半減期は該プロドラッグの化合物1への変換を意味する。
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0107】
熱力学的平衡水溶解度アッセイ
標準品
【0108】
校正標準品は、5mLメタノール中で試料を0.5−0.7mg正確に秤量することによって調製する。該物質がメタノール中に完全に溶解しない場合には、他の溶媒(例えば、DMSO)又は混合溶媒を使用する。
【0109】
*該校正標準物質は、典型的にはアッセイの開始直前に新たに調製する。2点校正曲線を用いて、最終溶液の濃度を測定する。連続希釈法を該標準溶液について行う。
【0110】
被験試料の調製
該最終的な飽和溶液は、1.0mLの適当な水性溶媒を1ドラムバイアル中の残存部の物質(〜1mg/1mL)に加えることによって調製する。該溶液を音波処理し、そして〜30秒間渦巻く。該試料溶液をオービター上に置き、試料溶液を室温で15−24時間連続的に撹拌する。次いで、該最終的な飽和溶液を1.5mLのエッペンドルフチューブに移し、そして10000rpmで〜2分間遠心分離する。該1.5mLの容量はシリンジフィルターを満たすのに不十分であるので、該飽和溶液由来の上清をろ過せずにガラスHPLCバイアルに移す。この試料の調製方法は、該ろ過装置への非特異的な結合の効果を無効にする。
【0111】
LC定量化:
該標準品及び試料を、UV/ビスダイオードアレイ又は可変波長検出法のいずれかを用いるHPLCによって分析する。典型的な定量化波長は210又は254nmであり;検出波長は検出感度を最適化するのに個別にカスタマイズすることができる。UV検出に加えて、関心ある該HPLC−UVピークの同一性を確認するために、利用可能ならば、質量分析検出が推奨される。
【0112】
HPLC−UVピークが標準校正曲線の直線部以下である場合には、被験水溶液の希釈を行う。典型的な希釈は、必要に応じて100μL/900μL(×10)又は500μL/500μL(2×)を含む。
【0113】
試薬
HPLCグレードの溶媒を使用する。
【0114】
溶液安定性のアッセイ
アセトニトリルストック溶液:該プロドラッグのアセトニトリルストック溶液を、5mL容量フラスコ中で1.5−2.0mgの正確に秤量した化合物を5.0mLのアセトニトリルに溶解することによって調製する。
【0115】
pH7.4緩衝希釈作業溶液:
薬物のpH7.4緩衝作業溶液を、20mLシンチレーションバイアル中で1.5mLの該アセトニトリルストック溶液を3.5mLの安定性緩衝液に加えることによって調製し、非常に十分に混合する。3mLシリンジを用いて、〜3mLの溶液を引き抜き、ゲルマン0.45μmシリンジフィルターを用いてろ過してクリーンな1.5mLのLCバイアル中にろ過する。このろ過溶液を用いて、研究の過程にわたって該プロドラッグの分解を評価する。標的濃度:90−120μg/mL(70%水溶液:30%アセトニトリル)。
【0116】
pH1.0酸希釈作業溶液:
薬物のpH1.0希釈作業溶液を、20mLシンチレーションバイアル中で1.5mLの該アセトニトリルストック溶液を3.5mLの安定性緩衝液に加えることによって調製し、非常に十分に混合する。3mLシリンジを用いて、〜3mLの溶液を引き抜き、ゲルマン0.45μmシリンジフィルターを用いてろ過してクリーンな1.5mLのLCバイアル中にろ過する。このろ過溶液を用いて、研究の過程にわたって該プロドラッグの分解を評価する。標的濃度:90−120μg/mL(70%水溶液:30%アセトニトリル)。
【0117】
上記の試料調製法に続いて、単一試料(n=1)を各pH条件用に調製する。次いで、該試料を37℃で維持したHPLCオートサンプラー中に置き、試料を24時間分析した。プロドラッグ残存(%)は、初期ピーク面積(t=0h)に相対的に報告する。親への変換の半減期を算出することができる場合、t1/2を得る。該プロドラッグからの親への変換の確認は、最終時点での試料のLCMS及びHPLC分析によって得た。
典型的なLCパラメーターを以下に示す:
HPLCシステム:HP1100シリーズ、ヒューレットパッカード、ヒートオートサンプラー
分析用カラム:シネルジ(Synergi)4μ ハイドロ(Hydro)C18、4.6×5.0cm、フェノメネックス(Phenomenex)
カラム温度:40℃
オートサンプラー温度:37℃
流速:1.0mL/分
流入量:10μL
移動相:A:アセトニトリル
B:0.1%リン酸/水
実行時間:14.0分
典型的なLCMSパラメーターを以下に示す。
LC−MSシステム:サーベイヤーHPLCシステム、
サーモフィンガン(ThermoFinnigan) LCQ デカ(Deca) XP マックス(Max)(イオン トラップ)
分析用カラム:シネルジ(Synergi)4μ ハイドロ(Hydro)C18、4.6×5.0cm、フェノメネックス
カラム温度:40℃
オートサンプラー温度:22℃
流速:1.0mL/分
流入量:5μL
移動相:A:95%アセトニトリル/ 5% 20mM酢酸アンモニウム
B: 5%アセトニトリル/95% 20mM酢酸アンモニウム
LCQパラメーター
シース(Sheath)流速:81.64
オー(Aux)/シープ(Sweep)流速:19.01
電流(μA):10.89
電圧(kV):5.00
キャピラリー(著作権):348.10
キャピラリー電圧(V):30.44
【0118】
哺乳動物ケモカイン受容体は、哺乳動物(例えば、ヒト)における免疫細胞機能を妨害したり又は促進する標的を供する。ケモカイン受容体機能を阻害したり又は促進する化合物は、治療目的のために免疫細胞機能を調整するのに特に有用である。
【0119】
従って、本発明は、式(I)の化合物の1個以上のプロドラッグに関し、該化合物は広範囲の炎症性、感染性、及び免疫調節性の障害及び疾患を(例えば、喘息及びアレルギー性疾患、病原体(当然ながら、ウイルスを含む)による感染、並びに自己免疫病状(例えば、関節リウマチ及びアテローム性動脈硬化症)の予防及び/又は治療において有用であると信じる。
【0120】
例えば、哺乳動物ケモカイン受容体(例えば、ヒトケモカイン受容体)の1つ以上の機能を阻害する本発明の化合物は投与して、炎症性又は感染性の疾患を阻害する(すなわち、軽減する又は予防する)ことができる。結果として、1個以上の炎症性プロセス(例えば、白血球の移動、接着、走化性、エクソサイトーシス(例えば、酵素、ヒスタミンの)又は炎症性メディエータの放出を阻害する。
【0121】
同様に、哺乳動物ケモカイン受容体(例えば、ヒトケモカイン)の1個以上の機能を促進する本発明の化合物は投与して、免疫性又は炎症性応答(例えば、白血球の移動、接着、走化性、エクソサイトーシス(例えば、酵素、ヒスタミンの)又は炎症性メディエータの放出を刺激(誘発する又は増大する)して、結果として炎症性プロセスの有益な刺激を生じる。例えば、好酸球は補充されて寄生虫感染症と闘うことができる。加えて、上記の炎症性、アレルギー性及び自己免疫性の疾患の処置はまた、ケモカイン受容体の内在化の誘発または細胞の移動の誤った指図を生じる様式での化合物の運搬による細胞上の受容体の発現の低下を生じるのに十分な化合物の運搬を考慮する場合には、哺乳動物ケモカイン受容体の1個以上の機能を促進する本発明の化合物を考慮することができる。
【0122】
霊長類(例えば、ヒト)に加えて、様々な他の哺乳動物を本発明の方法に従って処置することができる。例えば、哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、げっ歯種、ネズミ種を含むが、これらに限定されない)を処置することができる。しかしながら、該方法はまた他の種(例えば、鳥類)に実施することもできる。上記の方法において処置する対象は、ケモカイン受容体活性の調整が所望される哺乳動物の雄性又は雌性である。本明細書で使用する「調整」とは、拮抗作用、作動作用、部分的拮抗作用及び/又は部分的作動作用を含むことを意図する。
【0123】
ケモカイン受容体機能の阻害剤で処置することができるヒト又は他の種の疾患又は病気は以下を含むが、これらに限定されない:炎症性又はアレルギー性の疾患及び病気(例えば、呼吸アレルギー疾患(例えば、喘息)、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性蜂巣炎(例えば、ウェルズ症候群)、好酸球性肺炎(例えば、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎)、好酸球性筋膜炎(例えば、シャルマン症候群)、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、又は関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強直性せきつい炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎若しくは皮膚筋炎に関係するILD);全身性アナフィラキシー又は過敏性反応、薬物アレルギー(例えば、ペニシリン、セファロスポリンに対するもの);混入したトリプトファンの摂取に起因する好酸球増加−筋痛症候群;昆虫刺傷アレルギー;自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病);糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病;移植片拒絶反応(例えば、移植術におけるもの)(例えば、同種移植拒絶反応又は移植片対宿主病を含む);炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎);脊椎関節症;強皮症;乾癬(例えば、T−細胞媒介性乾癬を含む)及び炎症性皮膚疾患(例えば、皮膚炎、湿疹、アトピー皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんま疹);血管炎(例えば、壊死性、皮膚、及び過敏性の血管炎);好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎;皮膚又は臓器の白血球浸潤を伴なう癌)。阻害すべき所望しない炎症性応答を処置することができる他の疾患又は病気としては例えば、以下のものを含むが、これらに限定されない:再かん流傷害、アテローム性動脈硬化症、ある血液学的悪性腫瘍、サイトカイン誘発性毒性(例えば、敗血症性ショック、内毒素性ショック)、多発性筋炎、皮膚筋炎。ケモカイン受容体機能の阻害剤で処置することができるヒト又は他の種の感染性の疾患又は病気は、HIVを含むが、これに限定されない。
【0124】
ケモカイン受容体機能の促進剤で処置することができるヒト又は他の種の疾患又は病気は以下のものを含むが、これらに限定されない。免疫抑制(例えば、免疫不全症候群(例えば、AIDSまたは他のウイルス感染症)を有する個体;放射線療法、化学療法、自己免疫疾患のための療法、または薬物療法(例えば、コルチコステロイド治療)を受けている個体(免疫抑制を生じる)における免疫抑制);受容体機能の先天性欠損もしくは他の原因に起因する免疫抑制;感染性疾患(例えば、寄生虫性疾患(例えば、蠕虫感染症)を含むが、これらに限定されない;例えば、線虫(円虫類);(鞭虫症、蟯虫症、回虫症、鉤虫症、糞線虫症、旋毛虫病、フィラリア症);二生吸虫類(吸虫類)(住血吸虫症、肝吸虫症)、条虫類(サナダムシ類)(エキノコックス症、無鉤条虫症、神経脳嚢虫症);内臓蠕虫、臓器幼虫移行症(visceral larva migraines)(例えば、トキソカラ属)、好酸球性胃腸炎(例えば、アニサキス種、フォカネマ種)、皮膚幼虫移行症(ブラジル鉤虫、犬鉤虫)。従って、本発明の化合物は広範囲の炎症性、感染性及び免疫調節性の障害及び疾患の予防及び治療に有用である。
【0125】
加えて、上述の炎症性疾患、アレルギー性疾患及び自己免疫疾患の処置はまた、ケモカイン受容体の内在化の誘発または細胞の移動の誤った指図を生じる様式での化合物の運搬による細胞上の受容体の発現の低下を生じるのに十分な化合物の運搬を考慮する場合には、ケモカイン受容体機能の促進剤を考慮することができる。
【0126】
別の態様において、本発明を用いて、Gタンパク質共役受容体の推定の特異的なアゴニスト又はアンタゴニストを評価することができる。本発明は、ケモカイン受容体の活性を調整する化合物のためのスクリーニングアッセイの調製及び実行における、式(I)の化合物の1個以上のプロドラッグの使用に関する。その上、本発明の化合物は、例えば競合的な阻害によって、又はその公知の活性を未知の活性を有する化合物と比較するためのアッセイにおける基準物質として、ケモカイン受容体への他の化合物の結合部位を確立しまたは決定するのに有用である。新しいアッセイ又はプロトコールを開発するとき、本発明の化合物を用いてそれらの有効性を試験することができる。具体的には、該化合物を市販キット(例えば、上述の疾患が関与する薬学研究における使用のためのもの)中で供することができる。本発明の化合物はまた、該ケモカイン受容体の推定の特異的な調整物質として有用である。加えて、相互作用の特異的な部位を画定するのに役立ち得る、これら受容体上で結合しない化合物の例として又は該受容体上で活性な化合物の構造上の改変体のいずれかとして役立てることによって、本発明の化合物をケモカイン受容体であると考えられていないGタンパク質共役受容体の特異性を調べるのに利用することができる。
【0127】
式(I)の化合物のプロドラッグを用いて以下の傷害を治療し又は予防する;関節リウマチ、変形性関節症、敗血症性ショック、アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、出血性ショック、敗血症症候群、虚血後再かん流傷害、マラリア、クローン病、炎症性腸疾患、マイコバクテリア感染症、髄膜炎、乾癬、鬱血性心不全、線維症、悪液質、移植片拒絶反応、自己免疫疾患、皮膚炎症性疾患、多発性硬化症、放射線障害、高酸素症肺胞傷害、HIV、HIV認知症、非インスリン依存型糖尿病、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー皮膚炎、特発性肺線維症、水疱性類天疱瘡、ぜん虫寄生感染症、アレルギー性結腸炎、湿疹、結膜炎、移植、家族性好酸球増多症、好酸球性蜂巣炎、好酸球性肺炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、薬剤誘発性好酸球増多症、嚢胞性線維症、チャーグ ストラウス症候群、リンパ腫、ホジキン病、大腸癌、フェルティ症候群、サルコイドーシス、ブドウ膜炎、アルツハイマー疾患、糸球体腎炎および全身性エリテマトーデス。
【0128】
別の態様において、式(I)の化合物のプロドラッグを用いて、関節リウマチ、変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、炎症性腸疾患、乾癬、鬱血性心不全、多発性硬化症、自己免疫疾患、及び皮膚炎症性疾患から選ばれる、炎症性障害を治療し又は予防する。
【0129】
別の態様において、該化合物のプロドラッグを用いて、関節リウマチ、変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、クローン病、炎症性腸疾患および多発性硬化症から選ばれる炎症性障害を治療し又は予防する。
【0130】
炎症性、感染性及び免疫調節性の障害及び疾患(例えば、喘息及びアレルギー性疾患、並びに自己免疫病理、及び上述の病理を含む)を予防し及び治療するための組合せ治療は、本発明の化合物とその有用性が知られる他の化合物との組合せによって例示される。例えば、炎症の治療又は予防において、本発明の化合物を抗炎症薬又はアレルギー薬(例えば、オピエートアゴニスト、リポキシゲナーゼインヒビター、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター、インターロイキンインヒビター(例えば、インターロイキン−1インヒビター)、腫瘍壊死因子インヒビター、NMDAアンタゴニスト、酸化窒素の合成のインヒビター又は酸化窒素の合成のインヒビター、非ステロイド性抗炎症性剤、ホスホジエステラーゼインヒビター、又はサイトカイン−抑制抗炎症性剤)と組み合わせて(例えば、アセタミトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル(fentaynl)、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラック、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、非ステロイド性鎮痛剤、スフェンタニル、スリンダク、インターフェロン アルファ)等の化合物と組み合わせて)使用することができる。同様に、本発明の化合物は、鎮痛剤;増強剤(例えば、カフェイン、H2−アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム);充血除去剤(例えば、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボデスオキシ−エフェドリン);鎮咳薬(例えば、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタンまたはデキストロメトルファン);利尿薬;および、鎮痛性または非鎮痛性の抗ヒスタミン剤、と一緒に投与することができる。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患又は病気の治療/予防/抑制又は軽減に使用される他の薬物と組み合わせて使用することができる。該他の薬物は、通常使用される経路及び量によって、従って本発明の化合物と同時期に又は連続して投与することができる。本発明の化合物を1個以上の他の薬物と同時期に使用するとき、本発明の化合物に加えて該他の薬物を含有する医薬組成物を使用することができる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1個以上の他の有効成分をも含む医薬組成物を含む。
【0131】
別々に投与するかあるいは同じ医薬組成物中でのいずれかで投与する、本発明の化合物と組み合わせ得る他の有効成分の例は、以下のものを含むが、これに限定されない。(a)インテグリンアンタゴニスト(例えば、セレクチン、ICAM及びVLA−4に対するもの);(b)ステロイド(例えば、ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベータメタゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン及びヒドロコルチゾン);(c)免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン及び他のFK−506タイプの免疫抑制剤);(d)抗ヒスタミン剤(H1−ヒスタミンアンタゴニスト)(例えば、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレンナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジンロラタジンなど);(e)非ステロイド性抗喘息剤(例えば、b2−アゴニスト(例えば、テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール及びピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB−102、203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジレウトン、BAY−1005);(f)非ステロイド性炎症剤(NSAIDs)(例えば、プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジック酸、フェンチアザック、フロフェナック、イブフェナック、イソキセパック、オキシピナック、スリンダック、チオピナック、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)及びゾメピラック)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサール及びフルフェニサール)、オキシカム類(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカム)、サリチル酸(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)及びピラゾロン誘導体(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン);(g)シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)インヒビター;(h)ホスホジエステラーゼタイプIV(PDE−IV)のインヒビター;(i)ケモカイン受容体の他のアンタゴニスト;(j)コレステロール低下薬(例えば、HMG−COA還元酵素インヒビター(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン及び他のスタチン)、隔離剤(コレスチラミン及びコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブラート及びベンザフィブラート)及びプロブコール;(k)抗糖尿病剤(例えば、インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド(メトホルミン)、アルファ−グルコシダーゼインヒビター(アカルボース)およびグリタゾン(トログリタゾンおよびピオグリタゾン);(l)インターフェロンの調製物(インターフェロン アルファ−2a、インターフェロン−2B、インターフェロン アルファ−N3、インターフェロン ベータ−1a、インターフェロン ベータ−1b、インターフェロン ガンマ−1b);(m)抗ウイルス化合物(例えば、エファビレンツ、ネビラピン、インジナビル、ガンシクロビル、ラミブジン、ファムシクロビル、およびザルシタビン);(n)他の化合物(例えば、5−アミノサリチル酸及びそのプロドラッグ、抗代謝産物(例えば、アザチオプリンおよび6−メルカプトプリン)、および細胞毒性癌化学療法剤)。第2有効成分に対する本発明の重量比は変えることができ、そして各成分の有効量に依存する。
【0132】
一般的に、各々の有効量を使用する。従って、例えば本発明の化合物をNSAIDと組み合わせるとき、該NSAIDに対する本発明の化合物の重量比は通常、約1000:1〜1:1000の範囲であるか、あるいは約200:1〜1:200の範囲である。本発明の化合物と他の有効成分の組合せは通常はまた上記の範囲内であるが、しかし、いずれの場合にも各有効成分の有効量を使用すべきである。
【0133】
該化合物は、治療学的に有効な量で哺乳動物に投与する。「治療学的に有効な量」とは、単独でまたは別の治療薬と組み合わせて投与するとき、血栓塞栓性疾患状態又は該疾患の進行を防止し又は軽減するのに有効である量を意味する。
【0134】
用量及び製剤化
本発明の化合物は、経口剤形(例えば、錠剤、カプセル剤(これらの各々は徐放性または持続放出性の製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、及び乳剤)で投与することができる。それらはまた、いずれも医薬分野における当業者によく知られる剤形を用いて、静脈内(ボーラスまたは点滴)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態で投与することができる。そのものは、単独で投与することができるが、通常は投与の選択した経路及び標準的な薬務に基づいて選択された医薬的な担体と一緒に投与する。
【0135】
本発明の化合物の投与計画は、当然に公知の因子(例えば、ある薬剤の薬物動態的な性質並びにその投与の様式及び経路;レシピエントの種、年齢、性別、健康、医学的な状態、および体重;症状の性質及び程度;併用処置の種類;処置の回数;投与の経路;患者の腎臓及び肝臓の機能、所望する効果)に応じて変える。医師または獣医は、血栓塞栓性障害の進行を予防し、対抗し、又は抑止するのに必要な薬物の有効量を決定し及び処方することができる。
【0136】
一般的な指針の目的で、各有効成分の1日経口用量は、示す効果のために使用するとき、1日当り約0.001〜1000mg/体重kgの間、または約0.01〜100mg/体重kgの間、あるいは約1.0〜20mg/kg/日の間の範囲に及ぶ。静脈内の場合には、該用量は、定速注入の間、約1〜約10mg/kg/分の範囲に及ぶ。本発明の化合物を、1日1回用量で投与することができ、または全1日投与量を1日、2回、3回若しくは4回の分割用量で投与することができる。
【0137】
本発明の化合物は、適当な鼻腔内ベヒクルの局所的な使用によってまたは経皮パッチを用いる経皮経路によって、鼻腔内形態で投与することができる。経皮運搬システムの形態で投与するとき、該投与用量は当然に、該投与計画の間、間欠的よりもむしろ連続的である。
【0138】
該化合物は典型的に、投与の意図する形態(すなわち、経口錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤など)に関して適当に選択されそして通常の薬務と一致した、適当な医薬的な希釈剤、賦形剤、または担体(本明細書中でまとめて医薬的な担体と呼称する)との混合物で投与する。
【0139】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与の場合には、該有効薬物成分を、経口用の非毒性の医薬的に許容し得る不活性担体(例えば、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなど)と組み合わせることができ;液体の形態での経口投与の場合には、該経口薬物成分を、いずれかの経口用の非毒性の医薬的に許容し得る不活性担体(例えば、エタノール、グリセロール、水など)と組み合わせることができる。その上、所望したりまたは必要とする場合には、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤をも該混合物中に含むことができる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖類(例えば、グルコースまたはベータ−ラクトース、コーンシロップ)、天然および合成のガム(例えば、アカシア、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなど)を含む。これらの剤形で使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤としては例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されない。
【0140】
本発明の化合物はまた、リポソーム運搬システム(例えば、小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクル、および多重層ベシクル)の形態で投与することもできる。リポソームは、様々なリン脂質(例えば、コレステロール、ステアリルアミン、ホスファチジルコリン)から形成することができる。
【0141】
本発明の化合物はまた、標的可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合することもできる。該ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、又はポリエチレンオキシド−パルミトイル残基で置換されたポリリシンを含み得る。その上、本発明の化合物は、薬物の徐放を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体)と結合することもできる。
【0142】
投与に適当な剤形(医薬組成物)は、用量単位当り有効成分の約1ミリグラム〜約100ミリグラムを含み得る。これらの医薬組成物において、該有効成分は通常、該組成物の総重量ベースで約0.5〜95重量%の量で存在する。
【0143】
ゼラチンカプセル剤は、有効成分及び粉末担体(例えば、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸など)を含み得る。同様な希釈剤を使用して、圧縮錠を製造することができる。錠剤及びカプセル剤は共に、長時間にわたる薬物の連続的な放出を供するために持続性放出製品として製造することができる。圧縮錠は、いずれの不快な味をマスクし及び該錠剤を空気から防止するために糖衣又はフィルムコート、あるいは胃腸管中での選択的な崩壊のための腸溶性コーティングであり得る。
【0144】
経口投与のための液体剤形は、患者の受理を増大させるために、着色剤及び芳香剤を含み得る。
【0145】
一般的に、水、適当な油、生理食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液、及び関連糖類溶液、及びグリコール(例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール)は非経口液剤のための適当な担体である。非経口投与のための液剤は、該有効成分の水溶性塩、適当な安定化剤、及び必要ならば緩衝物質を含み得る。抗酸化剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸)の単独又は組み合わせのいずれかは適当な安定化剤である。また、クエン酸及びその塩、及びEDTAナトリウムが使用される。加えて、非経口液剤は保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、メチル−又はプロピル−パラベン、及びクロロブタノール)を含み得る。
【0146】
適当な医薬担体は、レミングトンの製薬化学(Remington's Pharmaceutical Sciences), Mack Publishing Company(これは本分野の標準的な参考テキストである)中に記載されている。
【0147】
本発明の化合物の投与のための代表的な有用な医薬剤形を以下に例示することができる。
【0148】
カプセル剤
多数の単位カプセルを、標準的な2個の硬ゼラチンカプセル(各々、粉末状の有効成分の100ミリグラム、ラクトースの150ミリグラム、セルロースの50ミリグラム、及びステアリン酸マグネシウムの6ミリグラムを有する)を充填することによって製造することができる。
【0149】
軟ゼラチンカプセル
消化され易い油(例えば、大豆油、綿実油、オリーブ油)中の有効成分の混合物を調製し、このものを容積移送式真空ポンプによってゼラチン中に注入して、有効成分の100ミリグラムを含有する軟ゼラチンカプセルを形成することができる。該カプセル剤は洗浄及び乾燥すべきである。
【0150】
錠剤
錠剤は、用量単位が有効成分の100ミリグラム、コロイド状二酸化ケイ素の0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウムの5ミリグラム、微結晶セルロースの275ミリグラム、デンプンの11ミリグラム、及びラクトースの98.8ミリグラムとなるように、通常の方法によって製造することができる。適当なコーティングを行って、食味を増大したり吸収を遅延することができる。
【0151】
注射剤
注射による投与のために適当な非経口組成物を、10%容量比のプロピレングリコールおよび水中で1.5%重量比の有効成分を撹拌することによって製造することができる。該溶液は、塩化ナトリウムで等張とし、滅菌すべきである。
【0152】
懸濁剤
水性懸濁剤を、各5mLが微粉砕された有効成分の100mg、カルボキシメチルセルロースナトリウムの200mg、安息香酸ナトリウムの5mg、ソルビトール溶液U.S.P.の1.0gおよびバニリンの0.025mLを含むように、経口投与のために製造することができる。
【0153】
本発明の化合物を他の抗凝固剤と組み合わせるとき、例えば1日用量は、患者の体重のキログラム当り、本発明の化合物の約0.1〜100ミリグラムおよび第2抗凝固剤の約1〜7.5ミリグラムであり得る。錠剤の剤形の場合、本発明の化合物は通常、用量単位当り約5〜10ミリグラムの量で、および第2抗凝固剤を用量単位当り約1〜5ミリグラムの量で存在し得る。
【0154】
上記の第2治療剤の2個以上を本発明の化合物と一緒に投与する場合、通常典型的な1日用量および典型的な剤形での各組成物の量は、組み合わせて投与するときの該治療剤の相加的または相乗的な効果を考慮して、単独で投与するときの該剤の通常の用量と比べて減少することができる。特に、1回用量単位として供するとき、該組み合わせる有効成分の間の化学的な相互作用についての可能性が存在する。この理由のため、本発明の化合物と第2治療剤を1回用量単位で組み合わせるとき、有効成分は1回用量単位で組み合わせるが、該有効成分の間の物理学的な接触が最小となる(すなわち、減少する)ように、それらを製剤化する。例えば、1つの有効成分を腸溶コーティングし得る。該有効成分の1つを腸溶コーティングすることによって、該組合せる有効成分の間の接触を最小とすることが可能であるだけでなく、胃腸管中でのこれらの成分の1つの放出を制御して、その結果これらの成分の1つが胃で放出されるのでなく、むしろ腸で放出されるように制御することもできる。該有効成分の1つはまた、胃腸管全般にわたる徐放を有効としおよび該組み合わせる有効成分の間の物理学的接触を最小とするように役立つ物質を用いてコーティングすることができる。その上、徐放性成分を更に腸溶コーティングして、この成分の放出が腸内でのみ起こるようにすることもできる。更なる別の方法が、有効成分を更に隔てるために、1成分が徐放性および/または腸溶性の高分子でコーティングされておりおよび他方の1成分がまた低粘度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの高分子または当該分野で知られる他の適当な物質を用いてコーティングされた、組合せ製品の製剤化に関与する。該高分子コーティングは、他の成分との相互作用に対する更なる障壁を形成するのに役立つ。
【0155】
これらの方法、並びに本発明の組み合わせ製品の成分の間での接触を最小とする他の方法は、1回剤形で投与するかまたは別形態であるが同一様式によって同時に投与するかのいずれでも、本明細書の開示で意図する限り、当業者にとって容易に明白であろう。
【0156】
本発明を詳細に且つその具体的な実施態様を参照して記載するが、様々な変化および改変を発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらに行うことができることは、当業者にとって明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

で示される化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
式:
【表5】

【表6】

で示される化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項3】
医薬的に許容し得る担体および治療的有効量の1つ以上の請求項1記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項4】
医薬的に許容し得る担体および治療的有効量の1つ以上の請求項2記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項5】
治療的有効量の1つ以上の請求項1記載の化合物を処置が必要な患者に投与することを含む、ケモカインまたはケモカイン受容体の活性を調節するための方法。
【請求項6】
ケモカインまたはケモカイン受容体の活性がCCR−1またはCCR−1受容体の活性である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
治療的有効量の1つ以上の請求項1記載の化合物を処置が必要な患者に投与することを含む、疾患を処置するための方法であって、該疾患は、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、肝細胞癌、または他の癌から選ばれる、該方法。
【請求項8】
治療的有効量の1つ以上の請求項1記載の化合物を処置が必要な患者に投与することを含む、炎症性疾患を処置するための方法。
【請求項9】
請求項1記載の1つ以上の化合物を製剤化することを含む、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、または関節リウマチの処置のための医薬を製造するための方法。
【請求項10】
治療的有効量の1つ以上の請求項1記載の化合物を処置が必要な患者に投与することを含む、処置が必要な患者を処置するための方法。
【請求項11】
治療的有効量の請求項3記載の組成物を処置が必要な患者に投与することを含む疾患を処置するための方法であって、該疾患は、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、再狭窄、臓器移植、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、肝細胞癌、または他の癌から選ばれる、該方法。
【請求項12】
治療的有効量の請求項3記載の組成物を処置が必要な患者に投与することを含む、炎症性疾患を処置するための方法。
【請求項13】
請求項3記載の組成物を有用な医薬的剤形に製剤化することを含む、変形性関節症、動脈瘤、発熱、心臓血管の影響、クローン病、鬱血性心不全、自己免疫疾患、HIV−感染症、HIV−関連認知症、乾癬、特発性肺線維症、移植動脈硬化症、物理的若しくは化学的誘発性脳損傷、神経因性疼痛、炎症性腸疾患、肺胞炎、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、腎毒性血清腎炎、糸球体腎炎、喘息、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、または関節リウマチの処置のための医薬を製造するための方法。
【請求項14】
治療的有効量の請求項3記載の組成物を処置が必要な患者に投与することを含む、処置が必要な患者を処置するための方法。

【公表番号】特表2013−507377(P2013−507377A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533303(P2012−533303)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/051731
【国際公開番号】WO2011/044309
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】