説明

ケラチノサイト増殖因子アゴニストおよびカストリン化合物を組み合わせた使用

本発明は、一般的に、KGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む、組成物、共役物および方法に関する。本組成物は、糖尿病、高血圧、慢性心不全、体液貯留状態、代謝性症候群および関連疾患および疾病、および肥満を限定はしないが含む、KGFアゴニストまたはガストリン化合物いずれかが治療的効果を示す、状態の処置および/または予防にて使用可能である。本発明の組成物または組み合わせ治療によって、各化合物の有害な毒性効果を減少させて、各化合物の用量を少なくして使用することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的にはケラチノサイト増殖因子アゴニストおよびガストリン化合物を含む組成物、共役物および方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
繊維芽細胞増殖因子(FGF)は、少なくとも22個の構造的に関連するポリペプチド(FGF−1〜FGF−22)からなる。FGFファミリーのメンバーは、典型的には、17〜34 kDaの分子量範囲であり、13〜71%のアミノ酸同一性を共有する。FGFは、遺伝子構造およびアミノ酸配列両方において、脊椎動物種間で、非常に保存されている。種々のFGF分子が、正常状態および異常な状態で、広い範囲の生物学的活性を示す。これらの活性には、血管新生、有糸分裂生起、細胞分化および傷回復が含まれる(Baird,A.et al.,Cancer Cells 3:239−243(1991)、Burgess,W.H.et al.,Annu.Rev.Biochem.58:575−606(1989))。不適切に発現した場合には、いくつかのFGFが、癌の病因に関与しうる。
【0003】
ケラチノサイト増殖因子(KGF、KGF−1またはKGF−7)は、FGFファミリーのメンバーであるが、他のFGFファミリーのメンバーと異なり、間充組織由来細胞上ではほとんど活性がないが、上皮細胞を刺激する。KGFは、毛包形態形成、肝細胞増殖および肺、乳、膵臓、胃、小腸および大腸における上皮細胞増殖において、変化を提供すると報告されてきた(Panos et al.,J.Clin.Invest 92:969−977(1993)、Ulich et al.,Am J.Path 144:862−868 1994、Yi et al.,Am J Path 145:80−85,1994、およびUlich et al.,J.Clin Invest.93:1298−1306,1994)。ケラチノサイト増殖因子2(KGF−2、FGF−10)は、FGF−7と高いタンパク質配列類似性を持つ208アミノ酸糖タンパク質であり、ケラチノサイトに対して、両方とも細胞分裂活性を持つ(Emoto et al.,J.Biol.Chem.272,23191−23194)。(繊維芽細胞増殖因子の概説に関して、Powers C.J.et al.,Endocrine−Related Cancer 7:165−197,2000を参照のこと)。
【0004】
全身に投与されたKGFが、ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットにおいて、血中グルコースの増加を部分的に減少させることが報告されてきたが、しかしながら、この効果は、ストレプトゾトシン(STZ)の1〜2日以内に投与したKGFに限定される(米国特許第5,858,977号、1999年1月12日申請)。糖尿病の改善は、KGFがストレプトゾトシンの毒性から、β細胞を保護することによる可能性がある。したがって、ほとんどの糖尿病に関するβ細胞の欠損が、処置の開始よりかなり前におこっているので、この方法は使用が制限されうる。さらに、KGFは、中程度の糖尿病ラットにおいてのみ、血中グルコースの減少において、効果的である。KGF投与は結果として、非絶食血中グルコースが15mM未満の場合にのみ、血中グルコースの長期減少となる。15mMを超える血中グルコース量である、さらに重症なSTZ糖尿病ラットは、その血中グルコースにおける一過性の減少という形で反応し、その膵臓インスリン含量は穏やかに増加するのみである。血漿インスリンの増加は示されなかったので、観察された膵臓インスリンの増加は、膵臓からの低血中グルコース減少インスリン放出の結果であり得る。KGFの投与に対する応答での、β細胞重量の増加を示している、定量的な組織学的データは報告されていない。したがって、KGF処置後のSTZ糖尿病ラットにおけるグルコーストレランスの改善は、β細胞再生の刺激の結果に対して最終的に示されてはいない。したがって、KGFは、抗糖尿病応答を引き起こす有効性は低い。高用量のKGFが、グルコーストレランスを改善するのに必要であり、すなわち、1mg/kg以下の用量は、血中グルコースレベルにおいて、効果を持たない。糖尿病ラットにおける血中グルコースを減少させるために必要なKGFの用量は、肝臓および他の組織の有意な増殖をさらに引き起こした。
【0005】
本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が、本発明に対する先行技術として利用可能であるということの了解ではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、糖尿病、高血圧、慢性心不全、体液貯留状態(fluid retentive state)、代謝性症候群および関連疾患及び疾病、および肥満を限定はしないが含む、ケラチノサイト増殖因子(KGF)アゴニストまたはガストリン化合物いずれかが、治療効果を持つと示されてきている、状態の処置において、有益な効果を提供するKGFアゴニストとガストリン化合物の組み合わせを被験体とする。KGFアゴニストとガストリン化合物の組み合わせが、予想しない相加効果、または相加効果より大きな効果、すなわち相乗効果を提供するために選択されうる。
【0007】
最大治療効果を達成するために異なる機構を用いる、KGFアゴニストとガストリン化合物を含む、組成物、共役物または組み合わせ治療によって、より高い用量、または長い期間の単独治療(すなわち各化合物のみでの治療)の結果であり得る、副作用のリスクを減少され、治療に対するトレランスが改善されうる。本発明の組成物または組み合わせ治療によって、各化合物の有害な毒性効果を減少させて、各化合物の用量を少なくして使用することが可能である。最適以下の用量によって、安全マージンが広がり、また、予防および治療を達成するために必要な薬物のコストを減少させうる。さらに、単一の組み合わせ投与ユニットを用いる処置によって、利便性が増し、結果として、コンプライアンスが増強されうる。
【0008】
本発明は、KGFアゴニストとガストリン化合物を含む、組成物、好ましくは薬学的組成物を意図している。薬学的組成物は、任意に、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤またはビヒクルを含みうる。
【0009】
一つの観点において、組成物は、各化合物のみと比べて、有益な効果を提供する。他の観点において、本発明は、治療の後、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果の維持を提供する、KGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む薬学的組成物を意図している。
【0010】
本発明の組成物によって提供される有益な効果には、KGFアゴニストおよび/またはガストリン化合物の吸収、分布、代謝および/または除去の増加が含まれうる。組成物は、バイオアベイラビリティーを増強させること(より迅速に吸収され、またより高い程度で吸収される)、また、治療効果を増強させることが可能である。
【0011】
本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または(vehicle)中、治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む、疾患または状態の処置のための、薬学的組成物を提供する。
【0012】
他の観点において、本発明は、ガストリン化合物と、KGFアゴニストを含む組成物を特徴とする。組成物は、膵島前駆体細胞の、多量の成熟インスリン分泌細胞への増殖を誘導するのに効果的な用量である。さらに、組成物は、膵島前駆体細胞の、成熟インスリン分泌細胞への分化を誘導するために効果的な用量である。組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中でありうる。
【0013】
本発明は、ガストリン化合物に連結したKGFアゴニストを含む共役物を提供する。共役物は、本明細書で記述した有益な効果を提供しうる。
【0014】
本発明はまた、結果として、有益な効果を持つ組成物および共役物となる、本発明の組成物および共役物を調製するための方法も提供する。
【0015】
1つの観点において、本発明は、KGFアゴニスト、ガストリン化合物、およびKGFアゴニストおよび/またはガストリン化合物を物理的に安定化させるのに効果的な、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または(vehicle)を含む組成物を調製することを含む、処置の後、有益な効果を提供するように適合させた、KGFアゴニストの安定した薬学的組成物を調製する方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、疾患の重症度、疾患症状および/または本明細書で記述した疾患または状態の再発の周期を防止する、および/または改善するための、本発明の組成物または共役物、または本発明の治療の組み合わせの使用を意図する。本発明はまた、本発明の組成物、治療の組み合わせ、および共役物を使用した、被験体における、状態又は疾患の予防および治療に関する。
【0017】
本発明は、被験体に、治療有効量の、少なくとも1つのKGFアゴニスト、および少なくとも1つのガストリン化合物を投与して、有益な効果を得ることを含む、被験体における状態または疾患を処置するため、および/または予防するための方法を提供する。1つの観点において、本発明は、処置の後持続的に有益な効果を提供する、処置方法を提供する。
【0018】
本発明は、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、本発明の組成物または共役物を、複数の細胞と共に、これらを必要とする被験体に投与し、これによって、有益な効果を産出することを含む、状態または疾患を処置する方法を提供する。1つの実施様態において、化合物/組成物/共役物を全身に投与する。
【0019】
本発明は、幹細胞または前駆細胞を、幹細胞または前駆細胞を増殖および分化させるために十分な量で、GFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物と接触させること、を含む、幹細胞または前駆細胞をインスリン分泌細胞に増殖および分化させるための方法を提供する。増殖および分化の量は、化合物、組成物または共役物のない状態で実施したものと比較して、有意に異なりうる。1つの実施様態において、幹細胞または前駆細胞を、培養液中で、化合物、組成物または共役物と接触させる。他の実施様態において、幹細胞または前駆細胞を、被験体内で、化合物、組成物または共役物と接触させる。化合物、組成物または共役物は、被験体内の幹細胞を増殖および分化させるために、被験体内に幹細胞を埋め込む前、間または後で、被験体に投与しうる。
【0020】
本発明はまた、細胞の増殖を増強するのに十分な量で、細胞をKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物と接触させることを含む、培養液中で、インスリン分泌細胞の増殖を増強させるための方法に関する。増殖の量は、化合物、組成物または共役物のない状態で実施したものと比較して、有意に異なりうる。
【0021】
本発明はまた、細胞を培養液中で維持するために必要な量で、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物の存在下で、細胞を培養することを含む、培養液中で、膵島細胞または前駆体細胞を維持するための方法に関する。細胞は、化合物、組成物または共役物のない状態で培養した細胞と比べて、有意により長い期間、培養液中に維持しうる。KGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物の存在下で細胞を培養することは、移植のために細胞を調製し、維持することにおいて、とりわけ有益であり得る。
【0022】
本発明はさらに、エキソビボにて、複数の細胞を、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物と接触させること、任意に細胞を培養すること、および必要としている被験体に細胞を投与すること、を含む、本明細書に記述された状態または疾患を患う被験体を処置するための方法に関する。
【0023】
本発明はまたさらに、被験体内での膵島前駆体細胞の増殖を増加させ、それによって膵島新生を誘導するのに十分な量で、膵島前駆体細胞を、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、組成物または共役物と接触させることを含む、被験体中の膵島新生を誘導することに関する。
【0024】
本発明は、患者の膵島前駆体細胞の、成熟インスリン−分泌細胞への分化に影響を与える、および/または存在する膵島細胞中でのインスリン合成を刺激するのに十分な量で、ガストリン化合物およびKGFアゴニストを含む組成物を投与することによって、必要としている患者における糖尿病を処置するための方法を提供する。組成物は、全身に投与するか、または、核酸構造が、膵島前駆体細胞中で機能的な転写および翻訳調節領域と共に、ガストリン化合物に対するコード配列および/またはKGFアゴニストに対するコード配列を含む、発現ベクター中の核酸構造を宿主細胞中に含めることによって、in situで発現させることが可能である。
【0025】
また、膵島細胞内の膵臓ベータ細胞の数を増加させるために、十分な量のガストリン化合物およびKGFアゴニストを培養液中で暴露した糖尿病患者の膵島細胞内に移植することによって、必要としている患者の糖尿病を処置するための方法および組成物も提供され、任意に、膵臓ベータ細胞の集団を、移植前に、β−細胞の集団を増やすために必要な時間、培養液中で増殖させうる。
【0026】
本発明はまた、状態または疾患を予防するおよび/または処置するための医薬品の調製のために、少なくとも1つのKGFアゴニストおよび少なくとも1つのガストリン化合物の組み合わせを含む、組成物の使用を意図する。1つの実施様態において、本発明は、状態または疾患を予防する、および/または処置するための医薬品の調製のために、少なくとも1つのKGFアゴニスト、および少なくとも1つのガストリン化合物の、相乗的に効果的な量を使用することに関する。本発明はさらに、状態および疾患の予防および/または処置のための医薬品の調製において、本発明の薬学的組成物および共役物の使用を提供する。この医薬品は、処置の後、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供する。
【0027】
1つの実施様態において、本発明は、糖尿病を予防する、および/または処置するための方法であって、哺乳動物における膵臓インスリン分泌β細胞の数を増加させるのに十分な量で、KGFまたはFGF−7またはKGF−2またはFGF−10のようなKGFRリガンドと、ガストリン化合物(たとえば、ガストリン/CCKレセプターリガンド)の組み合わせを含む組成物を、必要としている哺乳動物に投与し、それによって、糖尿病を予防および/または処置することを含む方法を提供する。組成物は全身に投与される。哺乳動物は糖尿病哺乳動物であり、例えば、その寿命の1パーセント程度の期間糖尿病である。組成物中のKGFの量は、ガストリン化合物のない状態で、糖尿病哺乳動物中の血中グルコースを減少させるために必要な、KGFアゴニストの最小効果量よりもかなり少ない。KGFアゴニストおよびガストリン化合物は、膵島前駆体細胞の、グルコース応答性インスリン分泌膵島細胞への分化を誘導するのに十分な量で提供される。
【0028】
本発明の他の実施様態は、糖尿病を予防する、および/または処置するための方法であって、膵臓組織中の膵島前駆体細胞の増殖を増殖させるのに十分な量で、KGFアゴニストおよびガストリン化合物(たとえば、ガストリン/CCKレセプターリガンド)の組み合わせを含む化合物を、必要としている哺乳動物に投与すること、およびそれによって、糖尿病を予防する、および/または処置することを含む方法を提供する。
【0029】
本発明の方法は、さらに、免疫応答の抑制のための、少なくとも1つの薬剤を投与することを含みえ、たとえば、前記薬剤は、ラパマイシン、シクロスポリン、ISAtx247およびFK506から選択される。
【0030】
本発明の他の実施様態は、糖尿病を予防する、および/または処置するための方法であって、膵島前駆体細胞の増殖、およびインスリン分泌膵島細胞の量を増加させるのに十分な量で、KGFアゴニストおよびガストリン化合物(たとえば、ガストリン/CCKレセプターリガンド)を含む組成物と、複数の細胞を、エキソビボで接触させること、および接触させた複数の細胞を、必要としている哺乳動物に投与すること、およびそれによって、糖尿病を予防する、および/または処置すること、を含む方法を提供する。細胞は、自己のものであり得る。組成物は、幹細胞の分化に影響を与える、たとえば、膵臓組織内の膵島前駆体細胞の、成熟インスリン分泌膵島細胞への分化に影響を与えるのに十分な量で提供される。組成物は、膵島幹細胞の、たとえば、膵島前駆体細胞の増殖を増加させるのに十分な量で提供される。幹細胞は、膵臓組織から、または肝臓または骨髄のような、非膵臓細胞からのいずれかで得ることが可能である。
【0031】
他の観点において、本発明の実施様態は、細胞の糖尿病レシピエント中の幹細胞を、インスリン分泌細胞へ、増殖および分化させるための方法を提供し、前記方法は、細胞をレシピエントに移植すること、および効果的な用量の各ガストリン化合物およびKGFアゴニストを含む組成物を投与することを含む。たとえば、移植細胞は、ヒトから得、たとえば、ヒト膵島、ヒト肝臓、ヒト骨髄、ヒト臍帯、またはヒト胚から得る。レシピエントへの細胞の移植は、組織内、たとえば、膵臓、腎臓、または肝臓内への直接の注入のような経路によってでありうる。あるいは、細胞の移植は、たとえば門脈静脈、または肝静脈への、静脈注射によって投与しうる。特定の実施様態において、移植の前に、細胞を、ガストリン化合物およびKGFアゴニストを含む組成物で、エキソビボにて処置する。
【0032】
他の観点において、本発明は、糖尿病を予防する、および/または処置するための方法を提供し、前記方法は、哺乳動物中の膵臓インスリン分泌β細胞の数を増加させるために十分な量で、KGFアゴニストとガストリン化合物(たとえばガストリン/CCKレセプターリガンド)の組み合わせを含む組成物を、必要としている哺乳動物に投与すること、および膵島新生の量を測定すること、それによって糖尿病を予防すること、および/または処置すること、を含む。膵島新生の量の決定は、血中グルコース、血清グルコース、グリコシル化ヘモグロビン、膵臓β細胞重量、血清インスリンおよび膵臓インスリン含量の群より選択されるパラメータによって測定する。組成物の投与により、組成物を投与する前にアッセイした血中グルコースと比較して、血中グルコースが減少する。グリコシル化ヘモグロビン濃度は、組成物を投与する前にアッセイした哺乳動物における、グリコシル化ヘモグロビン濃度と比較して減少する。血清インスリン濃度は、組成物を投与する前にアッセイした哺乳動物における血清インスリン濃度と比較して増加する。膵臓インスリン濃度は、組成物を投与する前にアッセイした哺乳動物における膵臓インスリン濃度と比較して増加する。
【0033】
他の観点において、本発明は、哺乳動物における膵島新生を誘導するための方法を提供し、前記方法は、哺乳動物に、膵臓組織中の膵島前駆体細胞の増殖を増加させるのに十分な量で、KGFアゴニストとガストリン化合物の組み合わせを含む組成物を投与すること、それによって、膵島新生を誘導すること、を含む。複数の細胞が、多細胞でありうる。複数の細胞は、哺乳動物に対して全身に伝達される。
【0034】
他の観点において、本発明は、哺乳動物における膵島新生を誘導するための方法を提供し、前記方法には、哺乳動物における膵臓インスリン分泌β細胞の数を増加させるのに十分な量で、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせを含む組成物を投与することが含まれる。
【0035】
他の観点において、本発明は、動物の細胞中で、膵島新生治療を誘導するための方法を提供し、これには、細胞を、調節要素、たとえばインスリンプロモーターレセプターリガンドに作動可能に連結したガストリン化合物をコードしている核酸配列、および調節要素、たとえばメタロチオネインプロモーターに作動可能に連結したKGFアゴニストをコードしている核酸配列と接触させることが含まれる。たとえば、細胞は、生殖細胞であり、または細胞は、エキソビボで培養した自己細胞である。
【0036】
他の観点において、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結した哺乳動物KGFアゴニストをコードしている核酸配列と、異種プロモーターに作動可能に連結した哺乳動物ガストリン化合物をコードしている核酸配列を含む核酸構造を提供する。
【0037】
他の観点において、本発明は、その生殖細胞が、異種プロモーターと作動可能に連結した、哺乳動物KGFアゴニストをコードしている核酸配列と、異種プロモーターに作動可能に連結した、哺乳動物ガストリン化合物をコードしている核酸配列を含む、トランスジェニック動物を提供する。
【0038】
本発明は、別々に投与しうる、または共役物または組成物として投与可能な活性薬剤の組み合わせを含む処置の方法に関するので、本発明はまた、キットの形態での、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、薬学的組成物、共役物を含むキットも提供する。
【0039】
したがって、1つの観点において、本発明は、ガストリン化合物およびKGFアゴニストを含む組成物、容器および取扱説明書を含む、糖尿病を予防する、および/または処置するためのキットを提供する。キットの組成物はさらに、薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0040】
本発明のこれら、そして他の観点、特徴および利点は、以下の図面および詳細な記述より、当業者に明らかであるべきである。
【0041】
本発明は、図面を参照してより理解されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(実施様態の詳細な説明)
(用語)
評価項目にて、本明細書で引用した数字範囲は、範囲内に含まれる全ての数字と有理数を含む(たとえば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4および5を含む)。その全ての数字および有理数は、語句「約(about)」によって変更されうると仮定されると理解されるべきである。語句「約」は、参照されている数字の、プラスまたはマイナス0.1〜50%、5〜50%、または10〜40%、好ましくは10〜20%、より好ましくは10%または15%である。さらに、「a」、「an」および「the」には、内容から明確にそうでないと示されていない限り、複数形を含むと理解されるべきである。したがって、たとえば、「化合物(a compound)」を含む組成物に対する参照には、2またはそれ以上の化合物の混合物が含まれる。
【0043】
本明細書で記述した化合物は、1つまたはそれ以上の非対称中心を持ち、エナンチオマー、ジアステレオマー、および、(R)−または(S)−として、絶対立体化学に関して定義されうる他の立体異性体形態を含みうる。したがって、本発明は、そのような全ての可能性のあるジアステレオマーおよびエナンチオマー、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含む。光学的に活性な(R)−および(S)−アイソマーは、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製可能であり、または従来の技術を用いて分離しうる。本明細書で記述した化合物が、幾何学的非対称の中心を含む場合、特に言及しない限り、化合物が、EおよびA幾何学的異性体両方を含むことを意図する。全ての互変異体形態は、本発明の目的の範囲内に含まれることが意図される。
【0044】
語句「被験体(subject)」、「個体(individual)」、「レシピエント(recipient)」または「患者(patient)」は、哺乳動物のような温血動物を含む動物を意味し、本明細書で記述した疾患または状態を患っている、または持っていることが疑われる、またはその素因がある。哺乳動物には、限定はしないが、哺乳類のメンバーが含まれる。一般的に、本語句はヒトを意味する。本語句はまた、ウマ、ウシ、ヒツジ、家禽、魚、ブタ、ネコ、イヌおよび動物園動物、ラット、ヤギ、類人猿(たとえばゴリラまたはチンパンジー)、およびラットやマウスのような齧歯類を含む、食物のため、またはペットとして育てられる家畜を含む。被験体/個体/患者における使用のための本明細書の方法は、予防ならびに治療使用を意図する。処置のための典型的な被験体には、本明細書で記述した状態または疾患が疑われる、患っている、または患った個体を含む。本発明の実施様態において、被験体は、非糖尿病、前糖尿病または糖尿病でありうる。
【0045】
語句「薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤またはビヒクル(pharmaceutically acceptable carrier,excipient, or vehicle)」は、活性成分の効果または活性を干渉しない、そして投与される宿主に対して毒性ではない、媒体を意味する。キャリア、賦形剤、ビヒクルまたは希釈液には、結合剤、接着剤、潤滑油、崩壊剤、膨張性薬剤、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、および特定の組成物を調製するために必要であり得る吸収剤のような種々の物質が含まれる。キャリアなどの例には、限定はしないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびこれらの混合物が含まれる。活性基質に対するそのような媒体および薬剤の使用は、本技術分野でよく知られている。
【0046】
「薬学的に受容可能な塩(類)(pharmaceutically acceptable salt(s))」は、本発明での使用のために好適である化合物中に存在しうる、酸性または塩基性基の塩が含まれる。薬学的に受容可能な塩の例には、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミン、2−エチルアミノ、エタノール、ヒスチジン、プロカリンおよびカルボン酸基のカリウム塩およびアミノ基の塩酸塩が含まれる。アミノ基の他の薬学的に受容可能な塩は、ヒドロブロマイド、硫酸塩、硫酸水素、リン酸、酢酸、シュウ酸、リン酸水素、無水リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、酪酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシレート)およびp−トルエンスルホン酸(トシレート)塩である。
【0047】
語句「予防する、および/または処置する(preventing and/or treating)」は、状態または疾患の開始前、または後いずれかで、本発明の組成物または共役物を被験体に投与することを意味する。処置は、緊急に、あるいは長期にわたり行われうる。
【0048】
「有益な効果(beneficial effect)」は、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせ、またはその組成物または共役物の効果、とりわけ、いずれかの化合物のみの効果より大きな効果を意味する。有益な効果には、好ましい薬理学的および/または治療的効果、および薬物動態学的特性および生物学的活性の改善が含まれる。有益な効果は、相加効果または相乗効果でありうる。
【0049】
本発明の実施様態において、有益な効果には、限定はしないが、以下の、膵島炎症を減少させる、またはなくす、疾患進行を減少させるまたは防止する、生存率を増加させる、または疾患または状態を処置するまたは無効にすることが含まれる。
【0050】
1つの実施様態において、有益な効果は、1つまたはそれ以上の以下のもの、すなわち(a)絶食血中グルコースレベルの減少、特に血中グルコースレベルが7〜10mMより大きい場合、(b)グリコシル化ヘモグロビンの減少、(c)血清インスリン濃度の増加、(d)膵臓インスリン産出または含量の増加、および/または(e)疾患進行の防止、によって、糖尿病において証明することができる。特定の実施様態において、有益な効果は、(a)、(b)および(c)、または(a)、(c)および(d)を含む。
【0051】
好ましい実施様態において、有益な効果は、有益な効果が、処置を終えた後長期間維持する、「持続的に有益な効果(sustained beneficial effect)」である。有益な効果は、処置の後、少なくとも約2〜4週間、2〜8週間、2〜12週間、2〜24週間、2〜12ヶ月、および2週間〜18ヶ月維持されうる。有益な効果が維持される期間は、処置の期間およびタイミングと比例しうる。被験体は、約2〜8週間、2〜12週間、2〜16週間、2週間〜6ヶ月、2週間〜12ヶ月連続して処置されるか、定期的に処置される。持続的に有益な効果は、C−ペプチド産出の増加、膵臓インスリン産出または濃度の増加、および処置後長期間のほぼ正常または低い血中グルコースレベルのうちの1つまたはそれ以上として現れる。
【0052】
有益な効果は、2つの化合物の効果対各化合物の効果の統計学的解析に関して、統計学的に有意な効果でありうる。各化合物のみと比較して、2つの化合物での、「統計学的に有意(statistically significant)」または「有意に異なる(significantly different)」効果またはレベルは、標準よりもより高いか、またはより低いレベルを表す。本発明の実施様態において、差は、各化合物のみで得た効果と比較して、1.5、2、3、4、5または6倍高いか、低い可能性がある。
【0053】
KGFアゴニストとガストリン化合物の「相加効果(additive effect)」は、2つの個々の化合物の効果の合計と等しい効果を意味する。
【0054】
KGFアゴニストとガストリン化合物の「相乗効果(synergistic effect)」は、2つの個々の化合物の効果の合計からの結果である相加効果より大きな効果を意味する。
【0055】
「組み合わせ処置(combination treatment)」または「組み合わせて投与する(administering in combination)」は、活性成分を、処置している患者に同時に投与することを意味する。組み合わせで投与する場合、各成分を、同時に、または異なる時間点で任意の順番で連続して、投与しうる。したがって、各成分は、別々に投与して良く、しかし望む効果、とりわけ、有用な、相加、または相乗効果を得るために、十分近い時間間隔で投与して良い。最初の化合物は、第二の化合物での処理をさらに含む、投与計画で投与しうる。
【0056】
「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、1つまたはそれ以上の望むような効果、とりわけ1つまたはそれ以上の持
続的に有益な効果を導きうる、本発明の活性化合物(たとえばKGFアゴニストおよびガストリン化合物)、または組成物または共役物の量または用量を意味する。基質の治療有効量は、疾患状態、年齢、性別および個体の体重、および個体における望む反応を顕在化させる基質の能力のような因子にしたがって変化しうる。投与量計画は、最適な治療応答を提供するように調節しうる。たとえば、いくつかの分離用量を毎日投与して良く、または、治療状況の要求によって示唆されるように、比例的に減少させ良い。
【0057】
「最適以下用量(suboptimal dose)」または「最適以下投与量(supoptimal dosage)」は、単独治療で使用した場合の、化合物に関する最適な用量または投与量よりも少ない、活性化合物の用量または投与量を意味する。
【0058】
「天然−配列ポリペプチド(native−sequence polypeptide)」または「天然ポリペプチド(a native polypeptide)」は、天然から由来するポリペプチドの同一のアミノ酸配列を持つポリペプチドを含む。そのような天然−配列ポリペプチドは、天然より単離可能であり、または組換えまたは合成法によって産出可能である。本語句は特に、ポリペプチドの天然に存在する短化または分泌形態、天然に存在する変異体形態を含むポリペプチド改変体(たとえば、選択的スプライシング形態またはスプライス変異体)、および天然に存在する対立遺伝子変異体を含む。
【0059】
語句「ポリペプチド改変体(polypeptide variant)」は、天然−配列ポリペプチドと、少なくとも約70〜80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、もっとも好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を持つ、とりわけ配列番号1〜11の任意にて同定された配列と、少なくとも70〜80%、85%、90%、95%、98%または99%アミノ酸配列同一性を持つポリペプチドを意味する。そのような変異体には、たとえば、他の種からの変異体を含む、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、配列番号1〜11の全長または飽和配列のN−またはC−末端に加えるか、または欠損するポリペプチドが含まれるが、ただし天然−配列ポリペプチドは除く。
【0060】
本明細書で同定された、2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列のパーセント同一性は、配列を並べ、必要なら、最大パーセント配列同一性を達成するために、ギャップを導入した後は、配列同一性の部分として、保存置換基を考えずに、ポリペプチドまたは核酸配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドのパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸または核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、種々の従来の方法、たとえば、GCGプログラムパッケージ(Devereux J.et al.,Nucleic Acids Research 12(1):387,1984)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Atschul,S.F.et al.J.Molec.Biol.215:403−410,1990)を含む公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて、達成可能である。BLASTプログラムは、NCBIおよび他の供給源より公的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul,S.et al.NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894、Altschul,S.et al.J.Mol.Biol.215:403−410,1990)。当業者は、比較される配列の全長に亘って最大限のアラインメントを達成するために必要なアルゴリズムを含むアラインメントを測定する為の適切なパラメータを決定することが出来る。同一性や類似性を決定する為の方法は、公的に入手可能なコンピュータソフトウェアにより体系化される。
【0061】
「アナログ(analog)」は、親ポリペプチドの1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基によって置換される、親ポリペプチドの1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が反転される、親ポリペプチドの1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が欠損される、および/または1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が親ペプチドに相加される、ポリペプチドを意味する。そのような相加、置換、欠損および/または反転は、N−末端またはC−末端いずれか、または親ポリペプチド内、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0062】
変異は、部位特異的変異導入およびPCR−仲介変異導入のような、標準の方法によってポリペプチド内に導入しうる。保存置換は、1つまたはそれ以上の予測非必須アミノ酸残基にて実施可能である。「保存アミノ酸置換(conservative amino acid substitution)」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を持つアミノ酸残基で置換されるものである。同様の側鎖を持つアミノ酸は、本技術分野で公知であり、塩基性側鎖を持つアミノ酸(たとえば、Lys、Arg、His)、酸性側鎖を持つアミノ酸(たとえばAsp、Glu)、非荷電極性側鎖を持つアミノ酸(たとえばGly、Asp、Glu、Ser、Thr、TyrおよびCys)、非極性側鎖を持つアミノ酸(たとえば、Ala、Val、Leu、Iso、Pro、Trp)、β−分岐側鎖(たとえば、Thr、Val、Iso)および芳香族側鎖(たとえば、Tyr、Phe、Trp、His)が含まれる。変異はまた、たとえば、飽和変異導入によって、天然の配列の一部または全部に無作為に導入可能である。変異導入に続き、変異体ポリペプチドが、組換え的に発現可能である。
【0063】
「誘導体(derivative)」は、親ポリペプチドのアミノ酸残基の1つまたはそれ以上が、化学的に改変されたポリペプチドを意味する。化学改変には、化学部位の相加、新規結合の作製、および化学部位の除去が含まれる。ポリペプチドは、たとえば、アルキル化、アシル化、糖付加、ペグ化、エステル形成、脱アミド化、またはアミド形成によって、化学的に改変しうる。
【0064】
「キメラポリペプチド(chimeric polypeptide)」は、異種ポリペプチド(すなわち、選択されたポリペプチド以外のポリペプチド)に作動可能に連結した、選択したポリペプチドのすべてまたは部分(好ましくは生物学的に活性な部分)を含む。融合タンパク質内で、語句「作動可能に連結する(operably linked)」は、選択されたポリペプチドと、異種ポリペプチドが、互いにイン−フレームで融合することを示唆する意図がある。異種ポリペプチドは、選択されたポリペプチドのN−末端またはC−末端に融合可能である。キメラおよび融合タンパク質は、標準の組換え体DNA技術によって産出可能である。
【0065】
本文脈中、「ケラチノサイト増殖因子アゴニスト(keratinocyte growth factor agonist)」または「KGFアゴニスト(KGF agonist)」は、完全にまたは部分的に、直接的または間接的に、ケラチノサイト増殖因子またはそれらのレセプターの活性を増強する、誘導する、模倣する、または増幅する、ペプチドおよび非ペプチド化合物を含む、任意の化合物を意味すると理解される。1つの観点において、KGFアゴニストは、ヒトケラチノサイト増殖因子レセプターを完全に、または部分的に活性化する。特定の機構に限定はせずに、ヒトケラチノサイト増殖因子レセプターの完全または部分活性化はしたがって、FGFシグナル伝達経路を調節し、したがって、状態または疾患の一因となる。ケラチノサイト増殖因子レセプターには、限定はしないが、FGFR−2、IIIbおよび/またはFGFR−1、IIIbを含む、ケラチノサイト増殖因子に関するレセプターが含まれる。
【0066】
好ましい実施様態において、「ケラチノサイト増殖因子アゴニスト(keratinocyte growth factor agonist)」または「KGFアゴニスト(KGF agonist)」は、好ましくは、本技術分野で公知の方法によって測定されるような選択された親和性定数(KD)または有効性(EC50)にて、KGFレセプターに関連する、結合する、相互作用するまたは刺激する任意のペプチドまたは非ペプチド小分子または化合物(「KGFレセプターリガンド」(KGF receptor ligand))である。
【0067】
1つの観点において、KGFアゴニストは、インスリン分泌促進活性を示し、そこで、インスリン分泌促進活性は、当業者に公知のインビボまたはインビトロアッセイにて測定しうる。他の観点において、KGFアゴニストは、ケラチノサイトの増殖を刺激する。1つの実施様態において、KGFアゴニストは、β膵島細胞新生の再活性化を含む、膵臓管の増殖性化生を刺激するものとして選択される。
【0068】
KGFアゴニストには、天然−配列または合成ポリペプチド、断片、アナログ(たとえば変異体)、誘導体、アイソホーム、キメラポリペプチド、配列同一性を持つポリペプチド、ペプチドミメティックおよびこれらの薬学的に受容可能な塩、および活性代謝物およびプロドラッグが含まれる。
【0069】
とりわけ、KGFアゴニストには、たとえば、天然−配列KGFアゴニスト(たとえばKGFまたはKGF−2)とアミノ酸配列同一性を共有する、たとえば、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%配列同一性を共有する、活性アナログ、断片および他の改変物が含まれる。
【0070】
本発明の観点において、KGFアゴニストは、KGFレセプターリガンドであり、とりわけケラチノサイト増殖因子またはKGFである。ケラチノサイト増殖因子は、EGFレセプターリガンドと同様の生物学的活性を持つ、チロシンキナーゼレセプター増殖因子である。KGFは、EGFレセプターとは異なるチロシンキナーゼレセプターを介して刺激し、これによって、多くの上皮細胞型における上皮前駆体の増殖の増加が引き起こされる(Krakowski,M.L.et al.,Am.J.Pathol.154:683−691,1999)。これは、特異な標的細胞特異性をもつ。一般的に、KGFは、初代または二次中胚葉から由来する、ならびに神経外胚葉から由来する、種々の細胞型の増殖および分化を刺激する。KGFは、上皮細胞増殖を刺激するが、他のFGFのものとは異なり、内皮細胞または繊維芽細胞増殖を刺激はしない(Finch P.W.et al.,Science 245:752−755,1989)。
【0071】
KGFは、シグナル配列を除き、163アミノ酸を含み、N−末端にて、アミノ酸14〜16から伸長された糖付加のために、コンセンサス配列のアミノ酸14にて、潜在的N−糖付加部位を持つ、KGF163(KGFまたはFGF−7)と命名される、天然−配列全長ポリペプチドを含む(Finch P.W.et al,Science 245:752−755,1989)。fgf−7は、シグナル配列を含む、194アミノ酸タンパク質をコードしている(Aaronson SA、Bottaro DP,Miki T,Ron D,Finch PW,Fleming TP,Ahn J,Taylor WG and Rubin JF 1991,Annals of the New York Academy of Sciences 638:62−77)。
【0072】
KGFに関するアミノ酸配列は、配列番号1、2および19で示しており(配列番号10は163アミノ酸であり、メチオニンで開始される)、他に言及しない限り、互換的に、天然のKGFのペプチド配列と本質的に同一のペプチド配列によって、そして、天然のKGFの残っているいくつか、またはすべての生物学的活性、とりわけ、非繊維芽細胞上皮細胞増殖(たとえば、NIH/3T3繊維芽細胞よりも、BALB/MKケラチノサイト細胞において、少なくとも約500倍大きな刺激を示す、および、H−チミジン取り込みによって決定されるように、BS/589上皮細胞に対して、またはCC1209/8上皮細胞に対してよりもBALB/MKケラチノサイト細胞において少なくとも約50倍の刺激を示す)の保有によって特徴づけられる、天然のKGFおよびKGFアナログ(たとえば変異体)が含まれる。
【0073】
KGFにはまた、シグナル配列を持つ208アミノ酸糖タンパク質である、KGF−2(FGF−10)の天然配列も含まれる(Emoto et al,1997,上記、Yamasaki et al.,J.Biol.Chem.271:15918−15921,1996、概説記事Powers et al.,Endocrine−Related Cancer 7:165−197)。天然KGF−2に対する配列は、配列番号3、4および11で示している(配列番号11は、169アミノ酸であり、メチオニンから開始する)。
【0074】
本発明での使用のためのKGFアゴニストには、シグナル配列をのぞく(たとえば最初の約30〜40アミノ酸残基、配列番号10または11を参照のこと)、配列番号1、2、3または4のKGFが含まれる。
【0075】
本発明の特定の観点において、本発明での使用のためのKGFアゴニストは、レピフェルミン(ヒューマン ゲノム サイエンセズ(Human Genome Sciences),Rockville,MD)またはパリフェルミン(アムジェン(Amgen)、Thousand Oaks,Cal.)である。
【0076】
本発明で意図されるKGFのアナログおよび誘導体の例を、表1に列記しており、そこで引用された参考文献は、参考文献として本明細書に組込まれている。
【0077】
本発明での使用のためのKGFアゴニストを選別することにおいて使用するための、機能アッセイが、本技術分野で公知であり、たとえばHsu et al,Protein Expression and Pulification 12:189,1998、Rubin et al.,1989、および Igarishi et al,J.Biol.Chem.273:13230,1998にて記述された有糸分裂促進剤アッセイが含まれる。
【0078】
KGFアゴニストは、本技術分野で公知の従来の方法によって調製可能である。とりわけ、KGFアゴニストのアミノ酸部位は、固相合成、KGFアゴニストの天然供給源からの精製、組換え体技術、またはこれらの技術の組み合わせのような、本技術分野で公知の種々の方法によって調製可能である。たとえば、米国特許第WO90/08771号、およびDugas and Penney 1981、Merrifield,1962、Stewart and Young 1969、およびそれらに引用された参考文献を参照のこと。
【0079】
ヒト胚繊維芽細胞株の条件培地からのKGFの精製、精製したKGFの部分アミノ酸配列決定、遺伝子のクローニング、および生物学的に活性な組換え体KGFを産出するための、細菌細胞内での遺伝子の発現が記述されている(たとえば、国際特許第WO90/08771号およびRon et al.,J Biol Chem.268:2984−2988,1993を参照のこと。また、Rubin,JJ et al,Proc.Natl.Acad,Sci.USA 86:802−806,1989、Hsu,Y−R,et al,Protein Expression and Purification,12:189−200,1998を参照のこと)。組換え体KGF−2のクローニングは、Igarashi,M.,et al,J.Biol.Chem.273:13230−13235,1998およびYamasaki,M.et al,1996(上記)、にて記述されている。
【0080】
KGFアゴニスト、とりわけKGFは、当業者によく知られている組換え体法によって産出可能である。したがって、本発明は、KGFアゴニスト、とりわけKGFをコードしているヌクレオチド配列の使用、およびKGFアゴニストの調製のための、ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を意図している。
【0081】
「ガストリン化合物(gastrin compound)」は、ガストリンまたはガストリン/CCKレセプターの活性を、完全に、または部分的に、直接または間接的に、増強する、誘導する、模倣するまたは増幅する、ペプチドおよび非ペプチド化合物を含む、任意の化合物を意味すると理解される。とりわけ、ガストリン化合物は、ガストリン/CCKレセプターに、完全に、または部分的に連結する、および/または活性化するために使用可能である。ガストリン/CCKレセプターには、ガストリンに連結するレセプターが含まれる。
【0082】
本発明のいくつかの適用において、ガストリン化合物は、ガストリン/CCKレセプターに連結、結合、相互作用または刺激するリガンドである(「ガストリン/CCKレセプターリガンド(gastrin/CCK receptor ligand)」)。ガストリン化合物は、本技術分野で公知の方法によって測定されるような、好適なIC50、たとえば、約〜0.7nMのIC50を持つ、ペプチドまたは非ペプチド小分子として選択されうる(インビトロ細胞増殖アッセイを記述している、Singh et al(1995)J.Biol.Chem.270:8429−8438、およびKopin et al(1995)J.Biol.Chem.270:5019−5023、およびSingh et al(1995)J.Biol.Chem.270:8429−8438、Kopin et al.(1995)J.Biol.Chem.270:5019−5023にて記述されたようなレセプター結合アッセイを参照のこと)。
【0083】
「ガストリン化合物(gastrin compound)」には、天然−配列または合成ガストリンポリペプチド、断片、アナログ(たとえば変異体)、誘導体、アイソホーム、キメラポリペプチド、配列同一性を持つポリペプチド、ペプチドミメティックおよびこれらの薬学的に受容可能な塩、および活性代謝物およびプロドラッグが含まれる。とりわけ、本語句には、ガストリン34(大ガストリン)、ガストリン17(小ガストリン)、およびガストリン8(ミニガストリン)、ペンタガストリン、テトラガストリンおよびこれらの断片、アナログおよび誘導体のような、種々の型のガストリンが含まれる。
【0084】
本発明で使用しうるガストリン化合物の例には、米国特許第6,288,301号で開示された化合物が含まれる。本発明のいくつかの適用において、ガストリン化合物は、A71378(Lin et al.,Am.J.Physiol.258(4 Pt 1):G648,1990)のような、ガストリンレセプターのペプチドまたは非ペプチドアゴニスト、または部分アゴニストであるように選択されうる。他の本発明の適用において、ガストリン化合物は、限定はしないが、本明細書で記述したガストリン化合物、またはCCK58、CCK33、CCK22、CCK12およびCCK8のようなコレシストキニン(CCK)などを含む、ガストリン/CCKレセプターリガンドであり得る。
【0085】
ガストリン化合物はまた、たとえば、内因性哺乳動物ガストリン、または天然−配列ガストリンと、アミノ酸配列同一性を共有し、たとえば、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%配列同一性を共有する、活性アナログ、断片および他の改変物も含む。
【0086】
ガストリン化合物にはまた、内因性ガストリン、コレシストキニン、または、組織保存部位からの同様の活性ペプチドの分泌を増加させる基質も含まれる。これらの例は、胃放出ペプチド、胃酸分泌を阻害し、血漿ガストリンレベルを増加させるオメプラゾール、CCK刺激を増加させるダイズトリプシン阻害剤、および、ガストリンレセプターに結合せずにガストリン分泌を刺激する、ガストリン放出ペプチドである。
【0087】
大ガストリン−34(Bonato et al,1986,Life Science 39:959)および小ガストリン−17(Bentley et al(1966)Nature 209:583)を含むガストリンに関する配列を、配列番号5〜9に示している。大ガストリン−34は、本質的に、小ガストリン−17のN−末端にて、アミノ酸配列の伸長がある。大ガストリンは、インビボにて開裂して、ガストリン−17を放出する。N−末端のGlpは、ピログルタミン酸であり、これは、天然には、グルタミン酸の環状形態である。システインまたはリシンが、ピログルタミン酸を持つガストリンの末端に相加される、種々の実施様態において、ピログルタミン酸が、グルタミン酸で置換されるか、ピログルタミン酸が欠損する。さらに、ガストリン34およびガストリン−17のそれぞれが、本明細書配列番号5〜8で示すように、位置15にて、メチオニンまたはロイシンを持って使用可能である。
【0088】
「ガストリン化合物(gastrin compound)」には、ガストリンの改変形態が含まれる。種々のガストリンが、限定はしないが、ガストリン34(大ガストリン)、ガストリン17(小ガストリン)およびガストリン8(ミニガストリン)、ペンタガストリンおよびテトラガストリンを含んで改変可能である。大ガストリン−34(Bonato et al,1986,Life Science 39:959)および小ガストリン−17(Bentley et al(1966)Nature 209:583)を含むガストリンに関する配列は、配列番号5〜9で示している。本発明での使用のための改変ガストリン化合物は、参考文献にてそのすべてが組込まれた、第PCT/CA03/01778号、米国特許第10/719,450号、米国出願番号第60/519,933号にて記述されている改変ガストリン化合物を含む。改変ガストリン化合物は、天然−配列ガストリンと比較して、被験体に対する投与において、活性が延長されうる。被験体の循環中で、より長い半減期を持ちうる。
【0089】
改変ガストリン化合物は、配列番号5の位置29〜34、または配列番号6の位置12〜17で、少なくともアミノ酸を含む、最小ガストリン成分を含みうる。これらは、循環中に発生するガストリンのカルボキシル末端に位置し、本明細書で意図される種々のガストリン化合物において、たとえばガストリンからのさらなるアミノ酸が存在しうる。
【0090】
改変ガストリン化合物の群には、アミノ酸末端Z−Y−X−AA−AA−AA−AA−AA−AAからなるアミノ酸配列を持つ化合物が含まれ、式中、ガストリン化合物が、ガストリン/CCKレセプターに結合するという条件で、AAはTyrまたはPheであり、AAはGly、AlaまたはSerであり、AAは、Trp、ValまたはIleであり、AAはMetまたはLeuであり、AAはAspまたはGluであり、AAはアミド化されうるPheまたはTyrであり、Zはポリマーまたはタンパク質の配列であり(たとえばヒト血清アルブミンのような血清タンパク質)、Yは、限定はしないが、セリン、グリシンおよび/またはアラニンを含む、小さな天然アミノ酸のmアミノ酸残基を含む、任意のスペーサー領域であり、Xは、配列番号5の残基1〜28、配列番号6の残基1〜28、配列番号7の残基1〜11、または配列番号8の残基1〜11の任意の保存部位である。一般的に、mは0〜約20残基である。
【0091】
は、アラニンと交互するグリシン、たとえば[Gly−Ala]を持つ、またはグリシンとアラニンの無作為配列を持つ、m残基を含むアミノ酸配列であり得る。ガストリン化合物はさらに、Yのアミノ末端(mは1より大きい)、またはXのアミノ末端(mは0である)にシステイン残基を持ちえる。ガストリン化合物はさらに、Zへの連結のために、二機能性架橋剤を含みうる。一般的に、mは0〜約20残基である。特定の実施様態において、mは0であり、化合物は、Zへの連結のために、二機能性架橋剤をさらに含む、X−AA−AA−AA−AA−AA−AAである。
【0092】
特定の実施様態において、Xは、配列番号5の位置1〜位置11、配列番号6の位置1〜位置11、配列番号7の位置2〜位置11、および配列番号8の位置2〜位置11の配列群から選択される。Zがタンパク質である、ガストリン化合物が、組換え体的に産出可能である。
【0093】
好ましい実施様態において、Xは、配列番号5または6の位置18〜位置28からの1つまたはそれ以上のアミノ酸残基である。したがって、Xによるガストリン化合物は、位置18〜28、19〜28、20〜28、21〜28などからの任意のガストリン配列を持ちうる。ガストリン化合物は、任意に、長さmのアミノ酸スペーサーを含み、mは0〜約20残基である。
【0094】
式X−AA−AA−AA−AA−AA−AAで、式中スペーサーがなく、mが0である、改変ガストリン化合物はさらに、Zへの連結のために二機能性架橋薬剤を含み、Zはさらに、非タンパク質性ポリマーを含む。
【0095】
本明細書で記述した改変ガストリン化合物のいくつかの実施様態において、ガストリン化合物は、少なくとも配列番号5または6のアミノ酸残基29〜34を含み、ポリマー、脂質または炭水化物に関連する。
【0096】
ポリマーは、合成または天然に存在するポリマーであってよい。語句ポリマーには、アミノ酸のタンパク質ポリマーが含まれ、合成ポリマーに制限はされない。ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)またはデキストランでありうる。ポリマーがタンパク質である場合、種々の実施様態において、血清タンパク質、たとえば血清アルブミン、たとえばヒト血清アルブミンでありうる。
【0097】
改変ガストリン化合物は、配列番号5または6に基づいて良く、または「大」ガストリン−34であってよく、位置32にてそれぞれメチオニンまたはロイシンである残基を持って良い。
【0098】
他の好ましい改変ガストリン化合物は、構造Z−Y−Xを持ち、式中ZはCysまたはLysであり、Yは、小さな天然アミノ酸のmアミノ酸残基を含む任意のスペーサー領域であり、Xは、ガストリン−17(配列番号7または8)の少なくとも位置12〜17、またはガストリン−34(配列番号5または6)の少なくとも位置29〜34を含む、少なくとも6つのアミノ酸残基である。この改変ガストリン化合物はさらに、二機能性架橋剤を含み、そこで、架橋剤の1つの反応部位がZに共有結合し、他の反応部位が、ポリマーまたはタンパク質に共有結合する。
【0099】
改変ガストリンは、(C−末端より)6つのアミノ酸の最小配列を含み、さらに、相加反応を受けうる反応基の相加を持つ、ガストリン誘導体またはアナログでありうる。したがって、改変ガストリン化合物はさらに、システインまたはリシン残基のような、少なくとも1つの反応性アミノ酸を含みうる。反応性アミノ酸は、N−末端にて相加または置換されうる。反応性アミノ酸の相加は、末端領域でありえ、またスペーサー領域は、任意に、相加された反応性残基に優先する。たとえば、スペーサーは、ガストリンアミノ酸配列の一部として生物学的に合成されうるか、またはガストリンアミノ酸配列に化学的に結合し得、ガストリン配列−スペーサー−システイン/リシンを持つ構造を形成する。スペーサーは、アラニンまたはグリシンのような、いくつかの一連のアミノ酸でありうる。
【0100】
1つの実施様態において、改変ガストリン化合物AA−AA−AA−AA−AA−AAは、Tyr−Gly−Trp−Met−Asp−PheまたはTyr−Gly−Trp−Leu−Asp−Pheである。
【0101】
改変ガストリン化合物は、ポリマーのようなより大きな分子に、非共有的に、または共有原子価共役物として、またはアミノ酸配列を持つ他のペプチド性化合物への融合タンパク質としてのいずれかで関係する、ガストリン化合物である部位を含みうる。改変ガストリン化合物は、ガストリンの天然形態と比較して、被験体動物または患者内の循環にてより長い半減期を持ち、および/または長期間、ガストリン化合物のインビボでのより高い濃度を保つ。
【0102】
1つの実施様態において、改変ガストリン化合物は、血液中の比較的大きな構造物、または複数の構造物と結合し、また、依然として標的タンパク質、すなわちガストリン/CCKレセプターに結合する能力を残す、ガストリン化合物を含む。一般的に、ガストリン化合物は、結果として、長期間の薬物効果をもたらす、キャリアタンパク質に結合する。あるいは、ガストリン化合物は、ポリエチレングリコール(PEG)またはデキストランのような重合化キャリアに共役し、同様の目的を達成しうる。
【0103】
本発明の実施様態において、ガストリン化合物の化学的改変物は、インビトロ(エキソビボ)またはインビボいずれかで、キャリアタンパク質または重合化キャリアに、共有的または非共有的に反応する化合物を提供するために使用される。特定の実施様態において、非共有相互作用は、静電的、または疎水性である。特定の実施様態において、ガストリン化合物のキャリアへの共役は、注射の前に実施される。他の実施様態において、ガストリン化合物は、注射の時に、血流中のキャリアへの親和性を増強する様式で改変される。他の実施様態において、長期活性ガストリン化合物が、インビボまたはエキソビボいずれかにおいても、キャリアタンパク質を必要とせずに、化学的改変を介して得られる。
【0104】
特定の実施様態において、キャリアタンパク質は血漿タンパク質である。関連する実施様態において、血漿タンパク質は、アルブミンまたは免疫グロブリン、または免疫グロブリンの成分である。免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの成分は、改変されるか、共役の前に欠損される部分であり得る。特定の実施様態において、重合化キャリアは、ポリエチレングリコールまたはデキストランである。たとえば、活性化PEGを、ガストリン化合物のアミノ基を介して、ガストリン化合物に結合可能である(Vernonese,FM.Biomaterials 22(2001)−405−417)。
【0105】
他の実施様態において、アミノ酸の配列であるガストリン化合物が、注射の前に、標準の組換え体遺伝技術を用いて、遺伝的に、これもまたアミノ酸配列であるキャリアタンパク質に融合される。ガストリン化合物は、たとえば、小さな天然非荷電アミノ酸の配列を含む、リンカー/スペーサーあり、またはなしで、キャリアタンパク質に、組換え体的に融合可能である。ガストリン化合物をコードしている核酸は、キャリアタンパク質の一部または全体に、組換え体的に融合するか、または融合物として直接合成可能であり、核酸構造または融合タンパク質は、多数の追加アミノ酸をコードするか、組込み、2つのタンパク質間のスペーサーとして働くことが可能である。組換え体融合タンパク質は、宿主細胞内で発現可能である。ガストリン化合物ポリペプチドの配列に対する改変は、必要であれば、融合タンパク質の構築の間に導入可能である。
【0106】
1つの実施様態において、ガストリン化合物は、リシンまたはシステインのようなアミノ酸上に存在するもののような、反応基を導入するために改変し、さらに、キャリアタンパク質またはキャリア非タンパク質性ポリマーのような他の化合物と接触させる場合に、反応基が、キャリアタンパク質またはポリマー共有相互作用を形成可能である。たとえば、反応性チオール基を、たとえば、スクシンイミジル 3−2−ピリジルジチオ プロピオン酸(SPDP)と、続いてDTTによる還元で、活性チオール基を放出することを用いて、リシン上のアミノ基を介して、ガストリン化合物に相加可能である(「Protein thiolation and reversible protein−protein conjugation. N−Succinimidyl 3−(2−pyridyldithio)propionate, a new heterobifunctional reagent.」 Carlsson J,Drevin H,Axen R.Biochem J 173,723−737(1987))。さらに、二重機能性基はまた、システインまたはリシンを相加した後に相加可能であり、それによって、架橋剤の1つの反応性末端が、システイン/リシンと反応し、一方他の末端の他の反応性末端は曝露されたまま残るか、またはキャリアに共役する。
【0107】
チオール類は、シスタミンとのEDACを介した反応、そしてそれに続くDTTによるジスルフィドの還元により、カルボン酸基に組み込まれる。(「Introduction of sulfhydryl groups into protein at carboxyl sites.」 Lin, Mihal KA, Kruger RJ. Biochem Biophys Acta 1038, 382−385(1990)).非限定的な例において、ガストリン化合物中にあるリシン残基上のアミノ基と、スクシンイミジル トランス−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートとの反応(「Conjugation of glucose oxidase from Aspergillus niger and rabbit antibodies using N−hydroxysuccinimide ester of N−(4−carboxycyclohexylmethyl)−maleimide.」 Yoshitake S,Yamada Y, Ishikawa E, Masseyeff R. Eur J Biochem 101, 395−399 (1979))はチオール反応基をガストリン化合物のアミノ部位に導入し、そのガストリン化合物は続いてキャリアタンパク質のシステイン残基または活性化ポリマーの遊離チオール基と反応する。
【0108】
ガストリン化合物−キャリア複合体は、ガストリン化合物−キャリア複合体の調製または単離を促進し、またはガストリン化合物の機能的活性を増幅するかまたは維持することが可能な、スペーサー腕または要素または他の成分を含む、さらなるモジュラー要素を含むことが可能である。スペーサー腕は、1つまたはそれ以上のアミノ酸、ペプチド、ペプチドミメティック、または小有機化合物でありえ、同種二重機能性または異種二重機能性架橋剤またはキチンオリゴマーまたはポリエチレングリコールまたは関連ポリマーを含みうる。
【0109】
他の実施様態において、キャリアおよびガストリン化合物は、スペーサー腕あり、またはなしで、共有的に架橋可能である。非−スペーサー腕(ゼロ長架橋)の例には、EDCが含まれる。スペーサー腕を産出する同種二重機能性架橋剤は、たとえばスベリン酸ジスクシンイミジルでありえ、スペーサー腕を産出する異種二重機能性架橋剤は、たとえば2−イミノチオレート、スクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオニルアミド]ヘキサノエート(LC−SPDP)および4−(N−マレイミド メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)でありうる。
【0110】
種々の実施様態において、ガストリン化合物は、ポリマー、たとえばタンパク質のようなより大きなキャリア部位と結合する。結合は、共有または非共有であり得るので、タンパク質は、キャリアタンパク質であると考えることが可能である。キャリアタンパク質の種類は、非抗原性である特徴を持ち得、すなわち、天然のヒトタンパク質でありえ、そして、循環中で、持続的に維持されうる。理想的なキャリアタンパク質は、ヒト循環系中で正常に見られるものである。
【0111】
ガストリン化合物は、従来の工程を用いて調製しうる。たとえば、ガストリン17のようなガストリンの小さな形態を、ペプチド合成によって経済的に調製し、また合成ペプチドは市販されている。合成ヒトガストリン17、および位置15におけるメチオニンに対して、ロイシンで置換されたヒトガストリン17のような誘導体もまた、バッケムAG(Bachem AG)、Bubendorf,Switzerlandおよびリサーチプラス(ResearchPlus)より入手可能である。
【0112】
とりわけ、ガストリン化合物は、固相合成(Merrifield,1964,J.Am.Chem.Assoc.85:2149−2154)または均質溶液中での合成(Houbenweyl,1987,Methods of Organic Chemistry,ed.E.Wansch,Vol.15 I and II,Thieme,Stuttgart)のようなタンパク質化学にてよく知られている技術を用いて、化学的合成によって合成しうる。合成は、マニュアル手順を用いて、または自動化によって実施しうる。自動化合成は、たとえば、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)431Aペプチド合成器(パーキン エルマー(Perkin Elmer))を用いて、実施しうる。ガストリン化合物はまた、市販供給源より得ることが出来る。たとえば、位置15でメチオニンまたはロイシンを持つ合成ヒトガストリン17が、バッケムAG(Bubendorf(Switzerland))、およびリサーチプラス社(New Jersey,USA)より得られる。
【0113】
ガストリン化合物は、当業者によく知られている組換え体方法によって調製可能である。したがって、本発明は、ガストリン化合物をコードしているヌクレオチド配列、およびガストリン化合物の調製のための、ヌクレオチド配列を含む宿主細胞の使用を意図する。
【0114】
KGFアゴニストまたはガストリン化合物のヌクレオチド配列を含む「宿主細胞(host cells)」には、多様な原核および真核宿主細胞が含まれる。たとえば、ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)、バチルス(Bacillus)、またはストレプトマイセス(Streptomyces)などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルスを使用)、酵母細胞または哺乳動物細胞中に発現させてよい。他の好適な宿主細胞は、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press,San Diego,CA(1991)にて見ることができる。宿主細胞はまた、挿入されたヌクレオチド配列の発現を調節する、または望む様式でポリペプチドを改変(たとえば糖付加またはリン酸化)および処理する(たとえば開裂)ように選択して良い。宿主系または細胞株は、タンパク質の翻訳後の処理および修飾のために、特定の、そして特徴的な機構を持つように選択して良い。タンパク質の長期間、高収率安定発現のために、安定に遺伝子産物を発現する細胞株および宿主系を遺伝子工学的に設計して良い。
【0115】
「調節要素(regulatory element)」は、遺伝子発現において、調節役割を持つ遺伝的要素または要素類、たとえばプロモーター類またはエンハンサー類を意味する。多数の好適なベクターおよびプロモーターが、当業者に公知であり、KGFアゴニストまたはガストリン化合物をコードしている組換え体構築物を産出するために、市販されている。以下のベクターが、例示として提示される。細菌:pBs、ファージスクリプト、PsiX174、pBluescript、SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(ストラタジーン(Stratagene))、pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(ファルマシア(Pharmacia))。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXTL pSG(ストラタジーン)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(ファルマシア)。本明細書で定義した通り、「作動可能に連結した」は、単離したポリヌクレオチドと、調節要素が、リガンドポリヌクレオチド/調節要素配列を形質転換(トランスフェクト)された宿主細胞によって、ポリペプチドが発現される方法にて、ベクターまたは細胞内に位置することを意味する。
【0116】
「状態(類)(condition(s))」および/または「疾患(類)(disease(s))」は、KGFアゴニストまたはガストリン化合物のいずれか、または両方が、治療効果を提供する、1つまたはそれ以上の病的症状または症候群を意味する。状態または疾患は、血中グルコースレベルの減少、胃酸分泌の阻害、β−細胞のアポトーシスの阻害、β−細胞の増殖または分化の刺激、および体重の減少を必要としうる。状態および疾患の例には、限定はしないが、異常脂血症、高血糖、重症低血糖事象、脳卒中、左心室肥大、不整脈、菌血症、敗血症、過敏性腸症候群、機能性消化不良、糖尿病、手術後の異化変化、ストレス誘導高血糖、胃潰瘍、心筋梗塞、グルコース寛容減損、高血圧、慢性心不全、体液貯留状態、代謝性症候群および関連疾患および疾病、肥満、アルツハイマー病、パーキンソン病および他の加齢関係、組織変性疾患を含む、糖尿病合併症ならびにグルコースレベルの上昇によって組織が障害を受ける他の疾患症状、ならびに、たとえばグルコーストレランス異常の患者および肥満非糖尿病患者での、レプチン上昇の関節効果が含まれる。
【0117】
本明細書で使用する所の語句「糖尿病(diabetes)」は、実験動物モデルを含む、そして、I型およびII型糖尿病、早期段階糖尿病、およびインスリンの軽度な減少または血中グルコースレベルの軽度の上昇によって特徴づけられる前糖尿病状態のような、ヒト型を含む、任意の哺乳動物における糖尿病の明らかな症状を意味する。「前糖尿病状態(pre−diabetic condition)」は、インスリンまたはグルコースレベルに関して症状を示している、および/または家族歴、遺伝的性質、またはII型糖尿病の場合の肥満による、糖尿病または関連状態の疑いを示している被験体を記述しており、過去に糖尿病または関連状態になったことのある被験体を含み、再発のリスクのある被験体である。
【0118】
「インスリン分泌促進活性(insulinotropic activity)」は、グルコースレベルの上昇に対する応答にて、インスリン分泌を刺激し、細胞によるグルコース取り込みと、血清グルコースの減少または血中グルコースレベルを産出する、または増加させる基質の能力を意味する。本技術分野で公知の方法を用いて、インスリン分泌促進活性に関してアッセイすることが可能である。たとえば、インビトロおよびインビボ法を、KGFレセプター結合活性またはガストリンレセプター結合活性、レセプター活性化(Gelfand et alに付与された欧州特許第619,322号および米国特許第5,120,712号に記述された方法を参照のこと)、およびインスリンまたはC−ペプチドレベルを測定するために使用可能である。本明細書で記述した化合物、組成物または共役物は、膵島細胞が、化合物、組成物または共役物の存在下においてバックグラウンドレベル以上で、また化合物、組成物または共役物の非存在下においてバックグラウンドレベルで、インスリンを分泌する場合に、インスリン分泌促進活性を持つ。
【0119】
状態または疾患には、上皮細胞、とりわけケラチノサイトの刺激を必要とする適用が含まれる。状態は、これらの特定の細胞型における障害または欠陥によって特徴づけられうる。
【0120】
組換え体KGFは、ウサギ耳、およびブタ皮膚において、外科的に誘導した傷に局所適用した場合に、再上皮形成を増加させ、上皮の厚みを増やすことが示された(Pierce et al.,J.Exp.Med.179:831−840,1994、Staiano−Coico et al.,J.Exp.Med.178:865−878,1993)。したがって、ガストリン化合物との組み合わせでの、KGFアゴニストを、やけどのための傷治癒剤として、または移植角膜組織を刺激するために使用可能である。
【0121】
本発明の化合物、組成物および共役物は、軟組織増殖および再生を促進および/または増強するために使用しうる。特に、たとえば、やけどおよび他の部分的および完全な厚さ障害を持つ患者における上皮および皮膚を再生するために、毛包、汗腺および脂線のような付属器構造の増殖および分化を刺激するために使用しうる。したがって、本明細書で意図した状態および疾患はまた、限定はしないが、表皮水疱症、化学治療誘導脱毛症、男性型はげ頭症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、放射線および化学治療における腸毒性、未熟児の硝子膜症、気道傷害、気腫、肝硬変(たとえば、ウイルス肝炎および慢性アルコール摂取に続くもの)、劇症肝不全、急性ウイルス性肝炎、アセトアミノフェン、ハロタン、四塩化炭素および他の毒素によって引き起こされる肝臓への毒性傷害、および胃腸管における、粘膜の産出を必要とする状態が含まれる。
【0122】
本発明の化合物、組成物および共役物を、胃腸管粘膜の増殖を刺激し、腸障害の後の治癒を促進するために使用しうる(Playford,R.J.J.Pathol.184:316−322,1998を参照のこと)。したがって、これらは、粘膜炎(がんに対する化学治療または放射線治療の後の、腸上皮組織の欠損)の処置における、特定の適用を持ちうる。
【0123】
「膵島新生(islet neogenesis)」は、増殖および分化による、新しいベータ細胞の形成を意味し、制限のない様式で再生する能力を持つ、幹細胞の特徴を持って良く、または持たなくて良い。
【0124】
(KGFアゴニストおよびガストリン化合物)
本発明は、とりわけ有益な効果を提供するために、KGFアゴニストおよびガストリン化合物を用いる、組成物、共役物および方法に関する。本発明の組成物、共役物および方法は、増強された有益な効果、とりわけKGFアゴニストおよび/またはガストリン化合物のみと比較して、持続的に有益な効果を提供する。本発明の実施様態において、有益な効果は、相加効果または相乗効果でありうる。
【0125】
前記疾患または状態が糖尿病である、1つの実施様態において、本発明の組成物、組み合わせ治療、または共役物の持続的に有益な効果は、1つまたはそれ以上の以下の項目のように明らかになって良い。
【0126】
・糖尿病の症状を持つ被験体に対する投与の後、活性化合物のない状態、または各化合物のみで測定されたレベルと比較しての、膵臓インスリンレベルの増加。好ましくは化合物は一緒に、被験体における膵臓インスリンレベルにて、少なくとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、33%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%増加を誘導する。
【0127】
・糖尿病の症状を持つ被験体への投与の後、膵島炎症の症状の欠如の減少。
【0128】
・糖尿病の症状を持つ被験体における、活性化合物のない状態、または各化合物のみで測定されたレベルと比較しての、血中グルコースレベルの減少。好ましくは化合物は一緒に、血中グルコースレベルについて、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%減少を誘導する。もっとも好ましくは、化合物は、正常被験体において一般的なレベルとほぼ同じか、近い血中グルコースレベルを提供する。
【0129】
・グルコーストレランスの改善。とりわけ、少なくとも、グルコーストレランスにおける約10〜90%改善。
【0130】
・糖尿病の症状を持つ被験体における、活性化合物のない状態、または各化合物のみで測定されたレベルと比較しての、C−ペプチドレベルの増加。好ましくは化合物は一緒に、C−ペプチドレベルについて、少なくとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、33%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%増加を誘導する。
【0131】
・長期間、とりわけ、少なくとも1週間、4週間、16週間、52週間または78週間、における、ほぼ正常の血中グルコースレベルの維持。
【0132】
・糖尿病の被験体における、疾患進行の速度の減少、防止または遅延化。
【0133】
・糖尿病の症状での、重度の高血糖およびケトアシドーシスの進展の減少または防止。
【0134】
・糖尿病の症状を持つ被験体における、生存の増加。
【0135】
・少なくとも10〜90%、10〜80%、10〜70%、10〜60%、10〜50%、10〜40%、10〜30%、または10〜20%までの、インスリン注射/取り込みに対する必要性の減少。
【0136】
1つまたはそれ以上のこれら有益な効果を、たとえば糖尿病の症状を持つ、非肥満(NOD)マウスのような、糖尿病被験体または疾患モデルで示すことが出来る。
【0137】
ガストリン化合物を、本発明の特定の実施様態のために、そして、KGFアゴニストの活性を増加させ、および/またはKGFアゴニストの物理的および化学的安定性を増加させる能力を含む特性に基づいて、特定の有益な効果(類)を提供するために選択する。ガストリン化合物もまた、ベータ細胞の増殖/分化を刺激するその能力、そのインビボ半減期、またはそのインスリン分泌促進活性に基づいて選択できる。
【0138】
本発明の1つの実施様態において、ガストリン化合物は、ガストリン17、およびそのアナログおよび誘導体である。特定の実施様態において、ガストリン化合物は、アミノ酸位置15にて、Leu残基を持つ、17のアミノ酸残基を持つ、合成ヒトガストリンIである。
【0139】
KGFアゴニストは、1つまたはそれ以上の以下の特徴に基づいて、本発明での特定の適用のために選択しうる。KGFレセプターへの結合能力、ベータ細胞の増殖および/または分化、またはインスリン分泌促進活性となる、シグナル伝達経路を開始する能力、グルコースレベル、インスリン分泌促進活性を減少させる能力、ベータ細胞増殖/分化の刺激、および/または、従来の方法を用いて、ヒトにて、少なくとも約15分間〜24時間、好ましくは2〜10時間、または2〜8時間の、インビボ半減期(たとえば、米国特許第2003/0144206号にて記述された方法)。
【0140】
本発明の実施様態において、KGFアゴニストは、短化ポリペプチド、またはそのアナログまたは誘導体である。これらの短化KGFアゴニストの配列は、米国特許第20030109439号、米国特許第5,677,278号、国際特許第WO3095637号および米国特許第6677301号で示されている。
【0141】
本発明の他の実施様態において、KGFアゴニストは、10個未満のアミノ酸残基が、KGFまたはKLGF−2中のものと異なり、5個未満のアミノ酸残基が、KGF中のものと異なるか、または3個未満のアミノ酸残基が、KGFまたはKGF−2中のものと異なり、好ましくはただ1つのアミノ酸残基が、KGFまたはKGF−2の配列と異なる、KGFまたはKGF−2のアナログである。
【0142】
本発明で特別に使用可能である、KGFアゴニストには、1つまたはそれ以上のアミノ酸が、KGFまたはKGF−2のN−末端および/またはC−末端に加えられた、ポリペプチドが含まれる。好ましくは、約1〜150個のアミノ酸が、N−末端に加えられ、および/または約1〜150個のアミノ酸が、C−末端に加えられて良い。
【0143】
本発明の他の実施様態において、KGFアゴニストの少なくとも1つのアミノ酸が、直接的または間接的に結合した、少なくとも1つの置換基を持つ(たとえば、γ−Gluまたはβ−Alaのようなスペーサーを介して)。置換基は一般的に、親KGFアゴニストの活性プロファイルをより長引かせる、KGFアゴニストをより代謝的、物理的に安定にする、および/またはKGFアゴニストの可溶性を増加させるために選択される。特定の置換基の例は、限定はしないが、アルキル基、α−カルボン酸基を持つ基、直鎖または分岐脂肪酸のアシル基、またはテトラデカノイル、ヘキサデカノイルのようなアルカンを含む、脂肪親和性置換基である。
【0144】
本発明の実施様態において、KGFアゴニストは、KGF−1およびKGF−2からなる群より選択される。
【0145】
(組成物)
本発明は、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、とりわけガストリン/CCKレセプターリガンドを含む、組成物、好ましくは薬学的組成物を意図する。薬学的組成物は、任意に、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、またはビヒクルを含んでよい。1つの観点において、組成物は、各化合物のみと比べて、有益な効果を提供する。他の観点において、本発明は、治療の後に有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供する、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、とりわけガストリン/CCKレセプターリガンドを含む、薬学的組成物を意図する。
【0146】
本発明の組成物中のKGFアゴニストおよびガストリン化合物は、有益な効果を提供するために、アゴニストおよび/またはガストリン化合物の活性を増加させるために選択された比で存在しうる。
【0147】
本発明はまた、別々の容器内での薬学的組成物も提供し、任意に薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、またはビヒクルと一緒に、KGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む、有益な効果を提供するための同時または連続投与を意図する。
【0148】
本発明の薬学的組成物は、KGFアゴニストまたはガストリン化合物のみと比較して、統計学的に有意な持続的に有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を持つように選択可能である。
【0149】
1つの実施様態において、統計学的に有意で有益な効果を持つ薬学的組成物は、KGFおよびKGF−2からなる群より選択されるKGFアゴニスト、およびガストリン17、そのアナログおよび誘導体、好ましくは、アミノ酸位置15にて、Leu残基を持つ、17のアミノ酸残基を持つ、合成ヒトガストリンIからなる群より選択されるガストリン化合物を含んで提供される。
【0150】
1つの実施様態において、統計学的に有意で有益な効果を持つ薬学的組成物は、KGFおよびガストリン−17(leu)を含んで提供される。
【0151】
1つの実施様態において、本発明は、KGFアゴニストの薬学的に受容可能な塩、および/またはガストリン化合物の薬学的に受容可能な塩を含む。
【0152】
他の実施様態において、薬学的組成物は、状態または疾患、好ましくは糖尿病を処置するために、持続的に有益な効果を提供するため、被験体に投与するのに適合して、提供される。好ましい実施様態において、処置の停止後、長期間被験体中で持続することとなるのは、被験体への投与によって血中グルコースレベルがほぼ正常となるような形態である。
【0153】
1つの実施様態において、KGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む組成物は、KGFアゴニストまたはガストリン化合物のみの活性と比較して、またはKGFのみの時より、処置の後、より大きな持続的インスリン分泌促進活性をもつ。
【0154】
(共役物)
本発明は、結合が、たとえばアミノまたはカルボキシル基である、ガストリン化合物に結合したKGFアゴニスト含む共役物を提供する。本発明はまた、本発明の単離共有原子価共役物、および本発明の共有原子価共役物を含む組成物に関する。
【0155】
KGFアゴニストは、ガストリン化合物のOHおよびCOOH間のエステル結合を介して種と共役しうる。
【0156】
KGFアゴニストおよびガストリン化合物の共役物は、中間スペーサーまたはリンカーと、共役または結合して良い。好適なスペーサーまたはリンカーは、モノ−またはジサッカライド、アミノ酸、硫酸、コハク酸、酢酸、または1つまたはそれ以上のそのような部位を含む、オリゴマー重合化スペーサーまたはリンカーでありうる。
【0157】
本発明はまた、薬物動態学的特性、生物学的活性が改善され、有益な効果を持つ共役物となる、以上の共有原子価共役物を調製するための方法も提供する。この方法には、2つの化合物間の共有結合を形成させる条件下で、KGFアゴニストをガストリン化合物とインキュベートする、または反応させることが含まれる。
【0158】
本発明はしたがって、ガストリン化合物に共有結合した、または連結したKGFアゴニストを含む共有原子価共役物を調製するための工程、KGFアゴニストおよびガストリン化合物間の共有結合または連結の形成に十分な条件、pHおよび時間で、KGFアゴニストをガストリンとともにインキュベートするか、反応させること、および共有原子価共役物を単離することを含む工程を意図する。
【0159】
KGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む共役物を調製するための以上の工程によって、ガストリン化合物に共有連結した十分量のKGFアゴニストとの共役物が提供可能である。
【0160】
任意にスペーサーまたはリンカーを伴う、ガストリン化合物と共役したKGFアゴニストを含む、N−末端またはC−末端融合タンパク質またはキメラタンパク質はまた、組換え体技術を介して、KGFアゴニストのN−末端またはC−末端配列と、ガストリン化合物の配列を融合することによって調製可能でもある。
【0161】
本発明はまた、本明細書で記述した工程によって調製される共役物も提供する。
【0162】
本発明はまた、本発明の共役物、および薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、またはビヒクルを含む薬理学的処方に関する。
【0163】
本発明はさらに、KGFアゴニストのみと比較して、有用な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供する、ガストリン化合物に共有連結したKGFアゴニストを含む、本質的に純粋な共有原子価共役物の薬理学的処方に関する。
【0164】
1つの実施様態において、薬理学的処方は、中間スペーサーまたはリンカーなしで、ガストリン化合物に共有連結した、KGFアゴニストを含む、共有原子価共役物から本質的になって提供される。
【0165】
(適用)
本発明は、疾患重症度、疾患症状および/または本明細書で記述した疾患または状態の再発周期を予防する、および/または改善するための、本発明の組成物または本発明の組み合わせ処置の使用も意図する。本発明はまた、本発明の組成物、組み合わせ処置および共役物を使用した、哺乳動物における、状態または疾患の予防および処置にも関する。
【0166】
1つの観点において、本発明は、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供するために、被験体に、治療有効量の、少なくとも1つのKGFアゴニストと、少なくとも1つのガストリン化合物を投与することを含む、被験体における状態または疾患を予防するため、および/または処置するための、組み合わせ治療を提供する。
【0167】
本発明には、相加または相乗活性を提供する、相加または相乗効果量、または治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の共役物または組成物を提供する量を伝達する、組み合わせ処置が含まれる。したがって、本発明での使用に好適な薬学的組成物には、活性成分が、相乗効果量、または治療有効量で含まれる、組成物が含まれる。
【0168】
本発明の実施様態は、糖尿病を処置するための、KGFおよびガストリン化合物の使用のための、改善された方法および組成物を提供する。本発明は、1つの実施様態において、KGFのみで達成されたものよりも、よりよい効果、有効性および有用性を達成し、結果として、組み合わせによる治療比が改善される、KGFとのガストリンの組み合わせを提供する。より大きな効果は、結果として、処置を中断した後(実施例6)、およびまた、最近始まった糖尿病で(実施例7)、血中グルコースの改善が延長される処置で、重度の糖尿病におけるグルコーストレランスを改善することによって示すことが出来る。
【0169】
ガストリンとKGFの組み合わせでの処置によって、KGFのみでの処置の後に観察されたものよりも大きな、血中グルコースの減少が提供され、この減少は、重度の糖尿病(実施例5)および最近始まった糖尿病(実施例7)で、処置を中止した後、長期間持続させることが可能である。
【0170】
ガストリンとの組み合わせで、KGFの全身投与が、KGFのみを投与する場合と比較して、より大きな有効性を持ちうる。グルコーストレランスの改善が、それのみで投与したときに効果的ではないKGFのより低い用量、すなわち1mg/kg体重未満の用量を用いた、KGF/ガストリン組み合わせで観察される。
【0171】
ガストリンとKGFの組み合わせの、より大きな効果および有効性が、KGFのより低い用量の使用によって、肝臓のような他の器官の増殖を誘導するKGFによる、好ましくない副作用および毒性が減少することから、処置の治療比を改善する。組み合わせはまた、β細胞崩壊から長時間たったときに処置を始めた場合でさえも、長期間糖尿病を改善する有用性も増強する(実施例1および2を参照のこと)。ガストリン/KGF組み合わせは、ストレプトゾトシン−誘導β細胞崩壊後、3〜4週間開始した処置で、血中グルコースを減少することにおいて効果的であり得る。
【0172】
ガストリン/KGF組み合わせでの処置の後のグルコーストレランスの改善は、β細胞再生および、それに伴うβ細胞重量の増加の結果である(実施例4)。組織学的解析によって、ガストリン/KGFでの処置が、形態学的に測定するように、β細胞重量の増加を伴う、β細胞再生を刺激することを示しうる。このことは、膵臓インスリン成分の増加によって、生化学的に確認可能である。β細胞重量の増加はまた、血漿中の循環Cペプチドの増加によって示されうる、血流中のインスリン分泌の増加ともなりうる(実施例3)。
【0173】
本発明はまた、血中グルコースレベルの減少および/または膵臓インスリンの増加として明らかである、糖尿病の症状を持つ被験体に投与することにおいて、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供する、少なくとも1つのガストリン化合物の投与との組み合わせで、治療有効量の、少なくとも1つのKGFアゴニストを投与することを含む、処置の方法にも関する。
【0174】
本発明の1つの観点において、治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物は、被験体に投与する前に混合する。1つの実施様態において、治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物を、生理学的に許容可能なpHで混合する。
【0175】
さらなる実施様態において、本発明は、治療有効量の、本発明の組成物または共役物を投与すること、またはKGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせで投与すること、を含む、I型またはII型糖尿病を予防すること、および/または処置するための方法を提供する。
【0176】
さらなる実施様態において、本発明は、治療有効量の、本発明の組成物または共役物を投与すること、またはKGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせで投与すること、を含む、I型またはII型糖尿病を患っている個人において、疾患の進行を改善するため、またはより低い疾患重症度ステージを得るための方法を提供する。
【0177】
本発明は、治療有効量の、本発明の組成物または共役物を投与すること、またはKGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせで投与すること、を含む、グルコース寛容減損の進行、またはインスリン非要求性II型糖尿病のインスリン要求性II型糖尿病への進行を遅らせる方法に関する。
【0178】
本発明はまた、治療有効量の、本発明の組成物または共役物を投与すること、またはKGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせで投与すること、を含む、被験体のインスリン合成能力を増加させる方法にも関する。
【0179】
細胞移植を避ける、β細胞置換に対するアプローチは、β細胞再生を刺激することである。初期の研究によって、β細胞が、限られた再生の能力を有することが指摘されたけれども、膵臓のインスリン分泌β細胞が、動的細胞集団を含むことが、次第に明らかになってきた。β細胞の重量は、既存のβ細胞の増殖を介して増大可能である(β細胞複製)。妊娠の間、黄体刺激ホルモン、増殖ホルモン(Holstad,M.et al.J.Endrocrinol.163:229−234)、および胎盤ラクトゲン(Nielsen,J.H.et al.,J.Mol.Med.77:62−66,1999)が、β細胞の増殖を刺激して、β細胞重量を増加させる。しかしながら、この増大した重量は、連続したホルモン刺激に依存する。出産後、増大したβ細胞重量は、黄体刺激ホルモンおよび胎盤ラクトゲンの減少とともに、非妊娠レベルまで減少する((Logothetopoulos,J.(1972)、Handbook of Physiology(Am.Physiol.Soc.,Washington,DC)、Section 7 Chapter 3,pp.67−76)。したがって、増殖因子の投与に対する応答において、β細胞再生を評価することにおける重要な観点は、増大したβ細胞重量が、増殖因子での処置を中止した後、有意な時間持続するかどうかである。
【0180】
1つの実施様態において、本発明は、治療有効量の、本発明の組成物または共役物を投与すること、またはKGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせで投与すること、を含む、被験体中のβ細胞増殖を刺激するための方法を提供する。
【0181】
他の実施様態において、本発明は、治療有効量の、本発明の組成物または共役物を投与すること、またはKGFアゴニストおよびガストリン化合物の組み合わせで投与すること、を含む、被験体中のβ細胞の数および/または大きさを増加させるための方法を提供する。
【0182】
必要としている個体における糖尿病を処置するための方法には、前記個体に、膵島前駆体細胞の、成熟インスリン−分泌細胞への分化に影響を与えるのに十分な用量で、ガストリン/CCKレセプターリガンドおよびKCGレセプターリガンド両方を提供する組成物を投与することが含まれる。インスリン依存糖尿病、とりわけI型、または若年性糖尿病を処置するための方法には、糖尿病哺乳動物に、分化再生量の、ガストリン/CCKレセプターリガンドとKCGレセプターリガンド両方を、好ましくは全身に投与し、膵臓中の、機能的グルコース応答性インスリン分泌β細胞の数を増加させるため、膵島新生を刺激することが含まれる。ガストリンとKGFレセプターリガンドの組み合わせは、結果として、ガストリンまたはKGFレセプターリガンドいずれかでのみ観察されたものよりも、膵島新生応答の有意な増強となりうる。好ましいガストリン/CCKレセプターリガンドは、ガストリンであり、好ましいKGFレセプターリガンドは、KGF(FGF−7)またはKGF−2(FGF−10)である。
【0183】
他の実施様態は、細胞を処置すること、または哺乳動物の移植された膵臓組織を、ガストリン/CCKレセプターリガンドと、KGFレセプターリガンドで処置すること、および前記処置した細胞または膵臓組織を、哺乳動物に導入することを含む方法である。この実施様態において、好ましいガストリン/CCKレセプターリガンドは、ガストリンであり、好ましいKGFレセプターリガンドは、KGF(FGF−7)またはKGF−2(FGF−10)である。
【0184】
他の実施様態において、本発明は、膵臓細胞に、キメラインスリンプロモーター−ガストリン融合遺伝子を提供し、遺伝子を発現させること、を含むガストリン/CCKレセプターリガンド刺激のための方法を提供する。さらなる実施様態において、KGFレセプターリガンド刺激の方法は、哺乳動物内にトランスジェニック的に導入されたKGFレセプターリガンドの発現を含んで提供され、たとえば、KGFレセプターリガンドは、米国特許第5,885,956号で提供されたものと同様の、KGF(FGF−7)である。
【0185】
本発明は、膵島前駆体細胞の、成熟インスリン−分泌細胞への分化に影響を与えるのに十分な用量で、ガストリン/CCKレセプターリガンド、たとえばガストリンと、KCGレセプターリガンド、たとえばKGF、KGF−2両方を含む組成物を投与することによって、糖尿病を処置するための方法を提供する。組成物中の両方のリガンドは、全身に投与可能である。あるいは、1つまたは両方のリガンドを、発現ベクター中、核酸融合構造を提供した細胞によって、in situで発現可能である。融合構造は、典型的には、プレプロガストリンペプチド前駆体コード配列を含み、また、KGFレセプターリガンドのコード配列も含む。
【0186】
有効な膵島細胞新生の延長は、ガストリンのような、ガストリン/CCKレセプターリガンド、およびKGFのような、KGFチロシンキナーゼレセプター(TKR)ファミリーの増殖因子リガンド両方の投与にしたがって達成される。
【0187】
多分化能性膵臓前駆体細胞、たとえば膵管細胞の、成熟インスリン−分泌細胞への再生分化は、糖尿病、とりわけ若年性開始糖尿病の処置のために、組成物、共役物および方法を提供することにて、そして、全身投与のため、または膵臓内のin situ発現のために提供される、因子または組成物のこの組み合わせの治療的投与によって得られる。
【0188】
本発明は、細胞、好ましくは培養中細胞を、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物を用いて、処置する方法を提供する。本発明はまた、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物を用いる、細胞に基づく処置方法を提供する。一般的な培養および細胞に基づく処置方法の記述に関して、第PCT/CA03/33595号を参照のこと。
【0189】
一つの観点において、本発明は、複数の細胞とともに、本発明の、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、組成物または共役物を、それを必要としている被験体に投与し、それによって、有益な効果、好ましくは、持続的に有益な効果を産出することを含む、状態または疾患を処置する方法を提供する。
【0190】
本明細書で記述した状態または疾患を持つ被験体を処置するための方法には、複数の細胞を、エキソビボで、KGFアゴニストまたはガストリン化合物、または本発明の組成物または共役物と接触させ、任意に、細胞を培養し、それを必要としている被験体に、前記細胞を投与することを含む。
【0191】
上述した細胞に基づく治療方法の実施様態において、細胞は、膵管細胞であり、本方法で使用する化合物/組成物/共役物の量は、一般的に、被験体中のインスリン分泌細胞の量を増加させるために効果的である。細胞は、自己のものであり得(すなわち、同一の被験体からのもの)、または同種の他の個体から、または異なる種からであり得る。
【0192】
本発明はまた、膵島前駆体細胞を、被験体中の膵島前駆体細胞の増殖を増加させるのに十分な量で、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、組成物または共役物と接触させること、それによって膵島新生を誘導することを含む、被験体における膵島新生を誘導することにも関する。
【0193】
本発明はまた、幹細胞を、効果的な量の、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または組成物または共役物と、幹細胞を接触させることを含む、幹細胞をインスリン分泌細胞に増殖および分化させるための方法にも関する。化合物、組成物または共役物は、被験体に幹細胞を移植する前、間、または後に、被験体に投与しうる。幹細胞は、膵島、臍帯、胚または幹細胞株より得ることが可能である。本方法はさらに、免疫抑制剤を投与することを含む。
【0194】
本発明は、糖尿病患者における、膵島移植の、機能的ベータ細胞重量を拡張する方法を意図し、前記方法には、治療有効量の、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または組成物または共役物を、患者に投与することが含まれる。
【0195】
本発明はまた、膵島調製物を、被験体内に移植すること、および治療有効量の、本発明のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または組成物または共役物を投与することを含む、被験体中の糖尿病を処置するための方法も意図する。
【0196】
本発明の方法はさらに、一つまたはそれ以上の以下のマーカー、血中グルコース、血清グルコース、グリコシル化ヘモグロビン、膵臓ベータ細胞重量、血清インスリン、膵臓インスリンレベル、形態学的に決定したベータ細胞重量、インスリン分泌細胞の量、およびインスリン分泌細胞のグルコース応答性、を測定することが含まれうる。
【0197】
本発明はまた、状態または疾患を処置することにおいて、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供する医薬品の調製のために、少なくとも1つのKGFアゴニストおよび少なくとも1つのガストリン化合物の組み合わせを含む、組成物の使用を意図する。
【0198】
1つの実施様態において、本発明は、状態または疾患を処置することにおいて、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供する医薬品の調製のために、治療有効量の少なくとも1つのKGFアゴニストおよび少なくとも1つのガストリン化合物を使用することに関する。
【0199】
1つの実施様態において、本発明は、処置の後、被験体中のベータ細胞の数および/または大きさの増加(好ましくは持続的増加)に対する、医薬品の調製のための、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の使用を提供する。
【0200】
他の実施様態において、処置の後の、ベータ細胞増殖の刺激(好ましくは持続的刺激)に対する、医薬品の調製のための、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の使用を提供する。
【0201】
またさらなる実施様態において、本発明は、I型またはII型糖尿病の処置のための医薬品の調製のための、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の使用を提供する。
【0202】
本発明はさらに、疾患および状態の処置において、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果のための医薬品の調製における、本発明の薬学的組成物および共役物の使用を提供する。
【0203】
本発明の組成物、共役物および方法の治療的効果および毒性は、ED50(集団の50%にて、治療に効果的である用量)、またはLD50(集団の50%まで致死的である用量)統計のような、統計学的パラメータを計算することによってのような、細胞培養中、または実験動物にて、標準の薬理学的手順によって決定しうる。治療指数は、毒性効果に対する治療効果の用量比であり、ED50/LD50として表すことができる。大きな治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。
【0204】
本発明はまた、免疫抑制剤(たとえば、ラパマイシン、シクロスポリン、ISAtx247、およびFK506)、抗肥満薬、抗糖尿病薬、食欲調節薬、高血圧薬、状態または疾患、とりわけ糖尿病および肥満の結果、またはこれらの関連する合併症の処置および/または予防のための薬剤、抗嘔吐、抗頭痛薬、および副作用を処置または予防する一般的な医薬品を、限定はしないが含む、一つまたはそれ以上のさらなる治療薬剤との組み合わせで、本発明の組成物の使用の方法も含む。
【0205】
(投与)
KGFアゴニストとの組み合わせでのガストリン化合物、本発明の共役物および組成物は、活性薬剤(類)を、被験体または患者の体中の薬剤活性部位に接触させることを提供する、任意の方法によって投与可能である。活性成分は、望む有益な効果を提供するために、同時に、または連続的に、および異なる時間点で任意の順番で投与可能である。化合物、共役物および組成物は、局所または全身的な伝達のために、徐放のために処方可能である。本発明の組成物、共役物および処置の効果を最適にする投与の形態および経路を選択することは、当業医者または獣医師の手腕である。
【0206】
非経口投与の様式には、限定はしないが、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、および経口経路が含まれる。化合物は、たとえば、注入、またはボーラス注射によって、上皮または粘膜上皮を介した吸収(たとえば口粘膜、直腸および腸粘膜など)によって、従来の経路によって投与しえ、他の生物学的に活性な薬剤とともに投与しうる。投与の好ましい経路は、全身、たとえば、皮下注射である。非経口投与のために、本明細書で記述した化合物または共役物は、生理食塩水、PBS、または他の好適な緩衝液と、適切なpHにて混合しうる。徐放性処方もまた、治療薬剤いずれか、または両方のために使用可能である。
【0207】
組成物は、錠剤、カプセル(それぞれ徐放または持続放出処方を含む)、ピル、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁液、シロップおよびエマルジョンのような、経口投与形態で投与しうる。これらはまた、静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下、または筋肉内形態で投与して良く、これらすべては、薬理学的技術分野の当業者によく知られている使用投与形態である。本発明の組成物は、好適な鼻腔内ビヒクルの局所使用を介して、または経皮経路を介して、たとえば、従来の経皮皮膚パッチを使用して、鼻腔内経路によって投与して良い。経皮伝達系を用いる投与のための投薬プロトコールは、投与レジメの間、断続的ではなく連続的であって良い。
【0208】
本発明の投薬レジメは、薬剤の薬物動態学的特性、および投与の様式および経路、患者の種、年齢、性別、健康、医学的状態および体重、症状の性質および程度、併用処置の種類、処置の頻度、投与経路、患者の腎臓および肝臓機能、および望む効果などの既知の因子に依存して変化しうる。状態の進行を防止する、対抗する、または阻むのに必要な薬物の効果的な量は、当業医師または獣医師によって簡単に決定されうる。
【0209】
特定の状態または疾病の処置において効果的であり得る、本発明の治療量は、状態または疾病の性質に依存し得、標準の臨床技術によって決定可能である。処方で使用すべき正確な用量は、また、投与経路、状態または疾病の重症度に依存し、医師の判断、および各患者の状況にしたがって決定されるべきである。インスリンまたはCペプチドの血中レベル、絶食時のグルコースまたはグルコースチャレンジのレベルの日常的な決定が、当業者によって決定される。投与のための好適な投与用量範囲は、一日あたり、体重キログラムあたり、各活性化合物約0.01マイクログラム〜約10,000マイクログラム、たとえば、約0.01マイクログラム〜約1マイクログラム/kg、約0.1マイクログラム/kg〜約10マイクログラム/kg、約1マイクログラム/kg〜約500マイクログラム/kg、または約10マイクログラム/kg〜約10mg/kg体重/日である。投与のための好適な投与用量範囲はしたがって、一般的に、約0.01マイクログラム/kg体重/日〜約10mg/kg体重/日である。
【0210】
効果的な用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から由来する、用量−応答曲線より推定しうる。
【0211】
本発明の組成物または処置は、少なくとも1つのKGFアゴニストのユニット用量と、少なくとも1つのガストリンのユニット用量を含みうる。「ユニット用量(unit dosage)」は、一単位、すなわち、患者に投与可能な、そして簡単に取り扱え、パックしうる単一用量であり、活性薬剤そのものか、または1つまたはそれ以上の固体または液体薬理学的賦形剤(excipients)、キャリアまたは賦形剤(vehicles)との組み合わせのどちらかを含む、物理的および化学的に安定なユニットとして残る、単位である。
【0212】
一つの観点において、薬学的組成物は、ガストリン化合物またはKGFアゴニストのみいずれかの用量と比較して、持続した時間、グルコースレベルを減少させるまたは減じる、または処置に続いて、ベータ細胞増殖または分化を増加することにおいて、より効果的である、KGFアゴニストとガストリン化合物の治療に効果的な最適以下用量を含んで提供される。
【0213】
他の観点において、改善された薬学的組成物が、疾患または状態、とりわけ糖尿病の慢性または急性治療に対する形態にて、治療に効果的な最適以下量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物を含んで提供される。
【0214】
1つの実施様態において、組成物は、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供し、疾患または状態を処置するために必要である各化合物の用量と等しいか、または少なくとも1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍低い用量で、KGFアゴニストおよびガストリン化合物を含む。
【0215】
一つの観点において、本発明は、単一ユニットあたり、0.5〜6000、100〜1500、100〜6000、1000〜6000、2000〜6000および3000〜6000マイクログラムKGFアゴニスト、および、単一ユニットあたり、0.5〜6000、100〜3000、100〜6000、1000〜6000、2000〜6000および3000〜6000マイクログラムガストリン化合物を含む、薬学的組成物を提供する。
【0216】
他の観点において、本発明は、0.1〜20、0.1〜30、0.1〜40、0.1〜50および0.1〜100マイクログラム/kg/日の間のKGFアゴニストと、0.1〜20、0.1〜30、0.1〜40、0.1〜50、および0.1〜60マイクログラム/kg/日のガストリン化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0217】
本発明の組成物または処方は、被験体に、2週間〜12ヶ月、2週間〜6ヶ月、2〜16週間、2週間〜12週間、および/または2〜8週間、または定期的に投与して良い。
【0218】
1つの実施様態において、本発明の組成物中の、KGFアゴニストのガストリン化合物に対する比は、KGFアゴニストおよび/またはガストリン化合物の活性を増加させる、そして、有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を提供するように選択される。
【0219】
KGFアゴニストおよびガストリン化合物は、1つまたは両方の化合物の活性を増加させ、有益な効果、好ましくは相加または相乗効果、または有益な効果、好ましくは持続的に有益な効果を産出するように、選択された比であってよい。特定の実施様態において、KGFアゴニストのガストリン化合物に対する比は、1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10、1:1〜1:5および1:1であってよい。他の特定の実施様態において、ガストリン化合物のKGFアゴニストに対する比は、1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10および1:1〜1:5であってよい。
【0220】
1つの実施様態において、KGFアゴニストは、約1:1〜1:150、好ましくは1:1〜1:50の、治療に効果的な重量比で、ガストリン化合物との組み合わせで使用して良い。他の実施様態において、ガストリン化合物は、約1:1〜1:150、好ましくは1:1〜1:50の治療に効果的な重量比で、KGFアゴニストとの組み合わせで使用して良い。
【0221】
本発明の組成物またはその画分は、典型的に、意図する投与形態に基づき選択され、従来の薬理学的実施と一致する、好適な薬理学的希釈液、賦形剤(excipients)、賦形剤(vehicles)またはキャリアを含む。キャリア、ビヒクルなどは、相加的、相乗効果的、または治療有効量の活性化合物を提供することに適合しうる。
【0222】
好適な薬理学的希釈液、賦形剤(excipients)、賦形剤(vehicles)およびキャリアは、標準のテキスト、Remington’s Pharmaceuctical Sciences,Mack Publishing Companyにて記述されている。カプセルまたは錠剤の形態での経口投与のための例として、活性成分は、ラクトース、デンプン、シュクロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、硫酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどのような、経口、非毒性で薬学的に受容可能な不活性キャリアと混合可能である。液体形態での経口投与のために、薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などのような、任意の経口、非毒性で薬学的に受容可能な不活性キャリアと混合可能である。好適な結合剤(たとえば、ゼラチン、デンプン、トウモロコシ甘味料、グルコースを含む天然糖、天然および合成ガムおよびワックス)、潤滑油(たとえばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム)、崩壊剤(たとえばデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、およびキサンタンガム)、香料および着色料もまた、組成物またはその成分中に混合してよい。本明細書で記述した組成物はさらに、湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含みうる。
【0223】
組成物は、液体溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、徐放処方、または粉末であり得る。組成物は、伝統的な結合剤およびトリグリセリドのようなキャリアと一緒に、坐薬として処方可能である。経口処方は、薬理学的グレードの、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような、標準のキャリアを含みうる。たとえば、リポソーム、微小粒子、微小カプセル中への封入のような、種々の伝達系が公知であり、本発明の組成物を投与するために使用可能である。
【0224】
本発明の1つの観点において、薬学的組成物は、約7〜10のpHを持つ。
【0225】
本発明の組成物の非経口投与のための処方には、水性溶液、シロップ、綿実油、ココナッツ油またはピーナッツ油のような、食用油との水性または油性懸濁液およびエマルジョンが含まれうる。水性懸濁液のために使用可能な、分散剤または懸濁剤には、トラガカント、アルギネート、アカシア、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンのような、合成または天然ガムが含まれる。
【0226】
非経口投与のための組成物には、水、等張生理食塩水、等張グルコース溶液、緩衝溶液、または治療的に活性な薬剤の非経口投与のために便利に使用される他の溶媒のような、無菌水性または非水性溶媒が含まれうる。非経口投与のために意図される組成物はまた、安定剤、緩衝液または保存剤、たとえば、メチルヒドロキシ安息香酸のような好酸化剤、または同様の相加物のような従来の相加物も含んで良い。
【0227】
1つの実施様態において、本明細書の組成物は、ヒトへの皮下または静脈内投与に適合する薬学的組成物として、通常の手順にしたがって、処方される。典型的には、皮下または静脈内投与のための組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要ならば、組成物にはまた、可溶化剤および注射の部位の痛みを軽減するために、局所麻酔も含まれうる。一般的に、成分は、たとえば、活性薬剤の量を示している、アンプルまたはサケッテのような、密封シール容器内に、たとえば、乾燥、凍結乾燥粉末、または水を含まない濃縮物として、ユニット投与形態にて、別々に、または互いに混合するかいずれかで、提供される。組成物を注入によって投与すべき場合、注射のための無菌水または生理食塩水のアンプルが、投与の前に成分を混合しうるように、提供されうる。
【0228】
本発明の組成物は、天然または塩の形態として処方可能である。薬学的に受容可能な塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸塩などから由来のもののような遊離アミノ基と形成されるもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから由来するもののような遊離カルボキシル基とともに形成されるもの、が含まれる。
【0229】
1つの実施様態において、固体形態の薬学的組成物は、結晶またはアモルファスKGFアゴニストおよびガストリン化合物を含んで(たとえば錠剤、カプセル、粉末または粉砕形態にて)提供される。
【0230】
他の実施様態において、固体形態の薬学的組成物は、結晶またはアモルファス、結晶またはアモルファスガストリン化合物またはKGFアゴニストを含んで(たとえば錠剤、カプセル、粉末または粉砕形態にて)提供される。
【0231】
他の実施様態において、本発明は、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の薬学的に受容可能な塩を含む液体薬物処方、および非経口投与のために安定で、好適である懸濁液を提供するために再構築可能である、凍結乾燥薬物処方に関する。
【0232】
特定の実施様態において、本発明は、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の薬学的に受容可能な塩を含む水性組成物、および可溶性に影響を与える溶媒系に関する。本発明はまた、少なくとも1つの可溶化剤を含む、KGFアゴニストおよびガストリン化合物の薬学的に受容可能な塩の水性処方を含む薬物を提供する。
【0233】
本発明の組成物は、たとえば、細菌保持フィルターを介した濾過、組成物への滅菌剤の相加、組成物への放射、または組成物の加熱によって、無菌としうる。あるいは、本発明の化合物、共役物および組成物は、使用の直前に、無菌溶媒中に簡単に溶解される、無菌固体調製物、たとえば凍結乾燥粉末として提供されうる。
【0234】
本明細書で記述された処方に加えて、組成物はまた、デポット調製物として処方可能でもある。そのような長期活性処方は、埋め込み(たとえば、皮下または筋肉内)、または筋肉内注射によって投与してよい。したがって、たとえば、画分を、好適な重合化または疎水性物質と共に(たとえば、許容可能な油中のエマルジョンとして)、またはイオン交換樹脂と共に、またはやや溶けにくい誘導体として、たとえば、やや溶けにくい塩として処方してよい。
【0235】
本発明の組成物およびその成分は、標的可能薬物キャリアとして、可溶性ポリマーを含んで良い。
【0236】
薬学的組成物を調製した後、適切な容器内に入れ、指示された状態の処置のためにラベル表記可能である。本発明の組成物の投与のために、そのようなラベルには、量、頻度および投与方法が含まれうる。
【0237】
本発明が、別々に、または共役物として、または組成物として投与しうる、活性薬剤の組み合わせを含む処置の方法に関するので、本発明はまた、キット形態中、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、薬学的組成物または共役物を含むキットも提供する。本発明はまた、KGFアゴニストを含む1つのボトルと、ガストリン化合物を含む他のボトルを、1つの箱に含む、薬理学的キットも提供する。
【0238】
本発明の実施様態において、薬理学的パックまたはキットは、1つまたはそれ以上の、本発明の薬学的組成物の成分で満たされた、1つまたはそれ以上の容器を含んで提供される。そのような容器(類)には、、取扱説明書、または医薬品または生物学的産物の製造、使用または販売を規制している政府機関によって指示された、ヒト投与のための製造、使用または販売の機関による許可を反映するような形態での注意など、種々の記述文書が含まれる。
【0239】
本発明の他の観点にしたがって、キットが提供される。キットは、本発明の共有原子価共役物を含む容器を収納し、また被験体への共有原子価共役物を投与するための取扱説明書を収納するパッケージである。
【0240】
本発明は、特定の実施例の形態によって、より詳細に記述される。以下の実施例は、例示の目的のために示されており、いかなる場合でも、本発明を制限する意図はない。当業者は、本質的に同様の結果を産出するために、変化または改変可能な、種々の重要でないパラメータを容易に認識しうる。
【実施例】
【0241】
(実施例1.ストレプトゾトシン糖尿病ラットの調製のための実験的スケジュールとKGF/ガストリンでの処置)
オスWistarラットに、3連続日に、静脈内(i.v.)で、30mg/kgのストレプトゾトシンを注射する。血糖を、処置の前に皮下に組み込んだインスリンペレット(ラットあたり1ペレット)によって制御する。血中グルコース測定を、皮下(sc)にてインスリンペレットを組み込む前に実施し、非絶食血中グルコースレベルを、グルコース制御の程度を決定するためにモニタする。KGFおよびガストリンの組み合わせ(それぞれ、50および300μg/kg)を、4週間1日3回、皮下ボーラス注射として投与し、STZ注射を行ってから、3週間後に開始する。腹腔内グルコーストレランス試験(IPGTT)を、処置の停止から6日間後に実施する。さらに、C−ペプチドおよび膵臓インスリンを査定可能である。
【0242】
(実施例2.非絶食血中グルコースのアッセイ)
実施例1からのラットを使用して、KGF/ガストリンの組み合わせである組成物でラットを処置することによって、賦形剤のみで処置したラットと比較して、糖尿病ラットでの、非絶食血中グルコースレベルが改善されるべきである。さらに、腹腔内グルコースチャレンジに続いて、血中グルコースが、KGFおよびガストリン処置ラットにて、より迅速に、より正常のレベルに戻るべきである。
【0243】
(実施例3.グルコーストレランスおよびインスリン分泌のアッセイ)
実施例1からのストレプトゾトシンラットを使用して、KGF/ガストリンの組み合わせでの処置が、インスリン分泌とCペプチド放出を改善しうることを実証可能である。KGF/ガストリンで処置した糖尿病ラットのグルコーストレランスの改善は、インスリン分泌が増加したことの結果であるに違いない。
【0244】
(実施例4.KGFガストリン処置は、膵臓β細胞重量を増加させる)
ラットに、処置の10日前の時点で、65mg/kgのストレプトゾトシン(STZ)を与えて糖尿病にし、250μg/kgのKGF各日、そして250μg/kgの各日ガストリンを含んで、2週間皮下注入によって投与して処置した。同様の糖尿病対照群には、KGF/ガストリン群と同様の皮下注入経路によって、ビヒクルを与える。処置期間が終了してから1週間後に、ラットを犠牲死させ、インスリン測定およびβ細胞重量測定のために、膵臓を回収する。
【0245】
β細胞重量を、以下のプロトコールにしたがって、総得点形態によって決定する。パラフィン切片(5μm)を、インスリン測定のために、免疫ペルオキシダーゼ染色する。ジアミノベンジジンを、ペルオキシダーゼに対する基質として使用し、スライドを、ヘマトキシリンのみで対比染色する。各膵臓からの1つの切片を、総得点によって試験する。長方形16×12点グリッド、合計192点を使用する。各膵臓切片を、10×倍率レンズを用いて計数する。視野をコンピュータスクリーンに投影し、最終倍率は265×である。この倍率で、ベータ−細胞の直径は、3〜5mmである。切片あたりで計数された点の総数は、切片の大きさに依存して、一般的に、11,000〜20,000である。β−細胞含量は、膵臓組織上にある点の総数で、インスリン染色細胞上にある点の数を割ることによって計算される。β−細胞含量は、パーセントとして表す。β−細胞重量は、mgにて、膵臓の重量で、β細胞含量(%)をかけて、計算する。膵臓インスリン含量は、膵臓のエタノール水抽出物の免疫アッセイによって決定する。
【0246】
STZは、正常(未処理)ラットでのものと比較して、β細胞重量の重度の枯渇を引き起こす。
【0247】
7日間のKGF/ガストリンの組み合わせでの処置の後、β細胞重量の増加があるに違いない。β−細胞重量とインスリン含量の間でも、比例関係が得られるに違いない。したがって、膵臓インスリン含量の増加は、より大きなβ−細胞重量の結果でありうる。
【0248】
(実施例5.KGFとのガストリンの組み合わせで、KGFの有効性が増強される)
ラットを、静脈にストレプトゾトシン(60mg/kg)を与えて糖尿病にし、14日後(上記実施例の21日間隔ではなく)、ラットを4群、腹腔内(ip)を介して1日2回、KGF、10μg/kgを投与、1日2回10μg/kgガストリンをipにて投与、10μg/kgKGFと10μg/kgガストリンの各々を、ipにて1日2回の組み合わせで投与、または賦形剤をipにて1日二回投与、にわける。
【0249】
処置の前に、血中グルコースレベルを、デポットインスリン置換処置によって、非糖尿病レベルまで回復させる。10日処置期間の最後に、IPGTTを実施し、結果は、KGF/ガストリンの組み合わせを与えたラットでのみ、ビヒクルのみを投与したラットと比較して、グルコーストレランスが改善したことが示されるに違いない。
【0250】
(実施例6.KGF/ガストリン処置の長期効果)
10日間のKGF/ガストリンの組み合わせでの処置の後、処置したStzラットは、ビヒクル群の非処置糖尿病ラット(賦形剤のみで処置する前には、糖尿病の同様のレベルであった、STZラット)と比較して、絶食血中グルコースレベルの長期改善を示すに違いない。ラットを、10日間、1日2回、ip注射によって、10μg/kg KGFおよび10μg/kg ガストリンで処置する。IPGTTの後、ラットを、4ヶ月まで、絶食血中グルコースとグルコーストレランス両方を測定し、追跡する。KGF/ガストリンの組み合わせでのラットの処置によって、未処理糖尿病STZラットと比較して、絶食血中グルコースの有意な減少が起こり、絶食血中グルコースは、非糖尿病対照ラットのものとより近い。処置の4ヶ月後のような時間でさえ、処置STZラット中の血中グルコースは、未処理対照ラットのもよりも、有意に低いであろう。
【0251】
(実施例7.KGFとガストリンでの処置は、最近始まった糖尿病のNODマウスにおける疾患の進行を防止する)
非肥満糖尿病(NOD)マウス種は、表現系が、ヒトI型糖尿病における病因の多くの特徴を反映するので、自己免疫(I型)糖尿病の優れたモデルある。NODマウスは典型的に、4週齢で、破壊的自己免疫膵臓膵島炎とβ−細胞破壊を示す。糖尿病開始はこれらのマウスで10〜15週齢の時点で起こり、通常、典型的な血中グルコースレベルが、7〜10mM(正常マウスでは約3.0〜6.6mMの範囲)で観察され、膵臓インスリンレベルは、正常マウスのものに比べて95%超低い。疾患が進行するにつれて、NODマウスは、血中グルコースレベルが約25〜30mMの間に達し、膵臓インスリンレベルが、実質的に存在しないところまで減少して、重度の慢性糖尿病の兆候をしだいに示す。疾患の重度な段階には、99%超のβ−細胞が破壊される。
【0252】
本実施例においては、KGF+ガストリンの組み合わせによる処置の効果が、最近始まった糖尿病のNODマウスで試験される。とりわけ、目的は、低容量のKGFおよびガストリン両方の投与が、最近始まった糖尿病のNODマウスにおける重度の高血糖を防止し、膵臓インスリン含量を増加させるかどうかを決定することである。ガストリンは、アミノ酸位置15にて、Leu残基を持つ17アミノ酸残基の合成ヒトガストリンIであり、KGFは、組換え体ヒトKGFである。
【0253】
非肥満糖尿病(NOD)メスマウス、10〜12週齢を、症状の開始36時間以内 での、糖尿病の発病の進行(絶食血中グルコース>6.6mmol/l)に関してモニタし、各3つの群のマウスを以下のように処置する。ビヒクル、0.25μg/kg/日のKGF、1.5μg/kg/日のガストリン、または0.25μg/kg/日のKGF+1.5μg/kg/日のガストリン。各処置は、i.p.経路にて、1日2回投与とする。約0.1μg/kg/日〜約100μg/kg/日の範囲のKGF、および約1μg/kg/日〜約60μg/kg/日の範囲のガストリンを使用可能である。処置は、14〜28日間投与する。処置の中止において、動物を、さらに10〜14日間、未処置のままおき、犠牲死させて、重度な高血糖の予防が、処置の終了の後も持続するかどうかを決定する。マウスには、インスリン−置換処置または免疫抑制いずれも与えない。以下のパラメータ、生存率、肝臓機能の状態、膵臓インスリンレベルおよび絶食血中グルコースレベルを査定する。
【0254】
ビヒクル処置被験体群の動物において、絶食血中グルコース(FBG)値が、処置の時間経過の間、進行的に増加すること、および賦形剤処置マウスの大部分が、重度の高血糖およびケトアシドーシスによって、最終的に死亡すること、が知られている。反対に、KGFおよびガストリンで処置した群のすべてのマウスは生存し、そのFGB値は、賦形剤処置マウスと比較して、有意に低い。KGFおよびガストリンで処置したマウスにおける、血中グルコースレベルの制御の改善は、これらのマウスの膵臓における、インスリンの含量の有意な増加に関連しうる。KGFおよびガストリンでの処置は、測定したパラメータに関して、KGFのみでの処置よりもより効果的であるであろう。
【0255】
まとめると、実施例によって、最近始まった糖尿病のマウスにおける、短時間での、低用量のKGFとガストリン処置によって、疾患の進行が防止され、膵臓インスリン含量が改善し、これらの効果が治療の終了後、長期間維持されることを示すことが出来る。KGFとガストリンの組み合わせでの処置によって、絶食血中グルコースレベルの減少と、KGFのみで処置したマウスにおけるこれらのパラメータの変化より大きな、膵臓インスリン含量の増加が生じることが予想される。それのみよりも、より低濃度のKGFを、ガストリンとの組み合わせで使用可能であり、これは、より高い濃度においてKGFについて公知の副作用を軽減可能である。
【0256】
KGFおよびガストリンでの処置は、膵島β−細胞の自己免疫破壊に関して、予防および/または補償し、それによって、重度の高血糖、ケトアシドーシスおよび死を予防するのに十分なレベルで、β−細胞重量および膵臓インスリンン含量を維持する。さらに、KGFとガストリン両方の投与によって、同時のインスリンン置換および免疫抑制なしに、最近起こった糖尿病のマウスにおける進行を予防する。
【0257】
(実施例8.急性糖尿病非肥満糖尿病(NOD)マウスの処置における、ガストリンおよびケラチノサイト増殖因子(KGF)の効果)
本研究は、ガストリンおよびKGFでの全身処置を介した、インビボでの糖尿病NODマウスにおける、糖尿病の進行の阻害を目的とした。12〜14週齢のメスNODマウスについて、ビヒクル(PBS)、またはKGF 0.25μg/kg/日+ガストリン 1.5μg/kg/日にて、18日間、糖尿病が発症し、絶食血中グルコース(FGB)レベルが9〜15mM(正常FGB<6.6mM)になってから2日後以内に、腹腔内に注射して処置した。群あたり、合計4匹であった。
【0258】
処置18日後に、FBGは、賦形剤処置マウスで、18.3±4.2mM(平均値±SE)であった。一方で、処置群のFBGは、賦形剤処置マウスのものよりも有意に低かった。KGFとガストリンの組み合わせで処置したマウスにおいては、FBGは、10.2±1.0mM(平均値±SE)であった(図1)。
【0259】
したがって、最近発症した糖尿病を持つ、糖尿病NODマウスの短期間のKGFおよびガストリン処置は、高血糖を減少させ、糖尿病の進行を阻害する。
【0260】
そのような実施様態が、単に本発明の1つの観点の例示を意図し、任意の機能的に等価な実施様態が、本発明の目的内であるので、本発明で記述した特定の実施様態によって、本発明の目的は制限されない。実際、本明細書で示し、記述したものに加えて、本発明の種々の改変が、上記の記述および付随する図面より、当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、付随する請求項の目的の範囲内であると意図される。
【0261】
本明細書に引用された、すべての発行物、特許および特許明細書は、各個々の発行物、特許または特許明細書が、特に、そして個々に、そのすべてを参考文献にて組込まれると示唆されるように、同様の程度まで、そのすべてが、参考文献にて組込まれる。本明細書の任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が、本発明の先行技術として入手可能であるとの了解ではない。
【0262】
【表1−1】

【0263】
【表1−2】

【0264】
【表1−3】

【0265】
【表1−4】

【0266】
【表1−5】

【0267】
【表1−6】

【0268】
【表1−7】

【0269】
【表1−8】

【0270】
【表1−9】

【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】図1は、ビヒクル−処置マウス、およびKGFとガストリンの組み合わせで処置したマウスにおける、絶食血中グルコースレベルを示しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各化合物のみと比較して有益な効果を提供する、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤またはビヒクルを含有する、薬学的組成物。
【請求項2】
持続性の有益な効果を提供する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
投与後長期間持続する、被験体中での正常な血中グルコースレベルを提供する形態の、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
治療を必要とする被験体の慢性治療または急性治療のための形態の、治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記治療有効量が、糖尿病の処置のために、単独で投与した各化合物の量と比較して、最適以下である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
KGFアゴニストのガストリン化合物に対する比が、KGFアゴニストまたはガストリン化合物の活性を増加させるように選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記KGFアゴニストのガストリン化合物に対する比が、約1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10、1:1〜1:5および1:1に由来する、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記ガストリン化合物のKGFアゴニストに対する比が、約1:1〜1:110、1:1〜1:100、1:1〜1:75、1:1〜1:50、1:1〜1:25、1:1〜1:10、および1:1〜1:5に由来する、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記KGFアゴニストが、約1:1.5〜1:150、好ましくは1:2〜1:50の間の、治療的に有効な重量比で、ガストリン化合物と組み合わせて使用される、請求項1〜8のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記KGFアゴニストおよび前記ガストリン化合物が、疾患または状態を処置するために必要な、各化合物のみの用量よりも、少なくとも約1.1〜1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍低い用量で存在する、請求項1〜9のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項11】
薬学的に受容可能な賦形剤、キャリアまたはビヒクル中に、相加量または相乗効果量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物を含有する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
0.1〜20マイクログラム/kg/日、0.1〜30マイクログラム/kg/日、0.1〜40マイクログラム/kg/日、0.1〜50マイクログラム/kg/日および0.1〜60マイクログラム/kg/日のKGFアゴニスト、ならびに0.1〜20マイクログラム/kg/日、0.1〜30マイクログラム/kg/日、0.1〜40マイクログラム/kg/日、0.1〜50マイクログラム/kg/日および0.1〜60マイクログラム/kg/日のガストリン化合物を含有する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記有益な効果が、以下:膵島炎症を減少させること、またはなくすこと、疾患の進行を低減させること、生存を増加させること、または疾患もしくは状態の症状を低減させること、のうち1つ以上の効果である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記有益な効果が、処置の終了後長期間維持する、持続的な有益な効果である、請求項1〜13のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記有益な効果が、処置後、少なくとも約2〜4週間、2〜8週間、2〜12週間、2〜24週間、2週間〜12ヶ月間、および2週間〜18ヶ月間持続される、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記持続的に有益な効果が、C−ペプチド生成の増加、膵臓インスリン生成の増加、および処置後長期間、ほぼ正常な、または低い血中グルコースレベルとして明らかになりうる、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
各化合物の効果と比較したKGFアゴニストおよびガストリン化合物の効果の統計学的解析によって、前記持続的に有益な効果が、統計学的に有意である、請求項1〜16のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記有益な効果が、膵臓インスリンレベルの、少なくとも約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約33%、約35%、約40%、約45%または約50%の増加である、請求項1〜17のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記有益な効果が、血中グルコースレベルの、少なくとも約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%の減少である、請求項1〜18のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記有益な効果が、処置後、少なくとも約2〜4週間、約2〜8週間、約2〜12週間、約2〜24週間、約2週間〜12ヶ月間、および約2週間〜18ヶ月間の期間の、血中グルコースレベルの減少である、請求項1〜19のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記KGFアゴニストが、KGF、KGF−2、それらのフラグメント、アナログおよび誘導体、ならびにKGFの活性代謝物およびプロドラッグである、請求項1〜20のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記KGFアゴニストが、表1に列記したKGFのアナログまたは誘導体である、請求項1〜21のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項23】
持続的な有益な効果を生じるために、被験体に、治療有効量の、少なくとも1種のKGFアゴニストおよびガストリン化合物を投与する工程を包含する、該被験体中の状態または疾患を予防および/または処置するための方法。
【請求項24】
糖尿病の症状を有する被験体への投与によって、持続的な有益な効果を提供する、少なくとも1種のガストリン化合物の投与との組み合わせでの、治療有効量の少なくとも1種のKGFアゴニストを、被験体に投与する工程を包含する、処置の方法。
【請求項25】
少なくとも1種のガストリン化合物の投与との組み合わせでの、少なくとも1種のKGFアゴニストの投与が、少なくとも1種の糖尿病の症状の持続的に有益な効果を提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療有効量の前記KGFアゴニストおよびガストリン化合物が、被験体への投与の前に混合される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
治療有効量の前記KGFアゴニストおよびガストリン化合物が、連続して被験体に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物が、生理学的に受容可能なpHで投与される、請求項23〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
有益な効果、特に持続的な有益な効果を提供するために、ガストリン化合物に連結したKGFアゴニストを含む、共役物。
【請求項30】
KGFアゴニスト、ガストリン化合物、および、該KGFアゴニストを物理的に安定化するのに効果的であり、有益な効果、好ましくは持続的な有益な効果を提供するために適合された、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤またはビヒクルを混合する工程を包含する、KGFアゴニストの安定な薬学的組成物を調製する方法。
【請求項31】
処置を必要とする被験体に、治療有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または請求項1〜22のいずれかに記載の組成物もしくは請求項29に記載の共役物を投与する工程であって、それによって、有益な効果、好ましくは、持続的な有益な効果を生じる工程を包含する、状態または疾患を処置する、方法。
【請求項32】
処置を必要とする被験体に、複数の細胞と共に、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、または請求項1〜22のいずれかに記載の組成物もしくは請求項29に記載の共役物を投与する工程であって、それによって、有益な効果、好ましくは、持続的に有益な効果を生じる工程を包含する、状態または疾患を処置する方法。
【請求項33】
エキソビボで、複数の細胞を、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、または請求項1〜22のいずれかに記載の組成物または請求項29に記載の共役物と接触させる工程、必要に応じて該細胞を培養する工程、ならびに処置を必要とする被験体に該細胞を投与する工程を包含する、状態または疾患を有する被験体を処置するための方法。
【請求項34】
前記状態または疾患が、異常脂血症、高血糖、重症低血糖事象、脳卒中、左心室肥大、不整脈、菌血症、敗血症、過敏性腸症候群、機能性消化不良、糖尿病、手術後の異化変化、ストレス誘導高血糖、胃潰瘍、心筋梗塞、グルコース寛容減損、高血圧、アルツハイマー病ならびに他の中枢神経変性状態および末梢神経変性状態、慢性心不全、体液貯留状態、代謝性症候群および関連疾患、ならびに障害および肥満である、請求項23〜28および請求項30〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
被験体中の膵島前駆体細胞の増殖を増加させ、それによって膵島新生を誘導するために十分な量で、KGFアゴニストおよびガストリン化合物、または請求項1〜22のいずれかに記載の組成物もしくは請求項29に記載の共役物と、膵島前駆体細胞を接触させる工程を包含する、被験体中の膵島新生を誘導するための方法。
【請求項36】
幹細胞と、有効量のKGFアゴニストおよびガストリン化合物、または請求項1〜22のいずれかに記載の組成物もしくは請求項29に記載の共役物とを接触させる工程を包含する、幹細胞をインスリン分泌細胞へ増殖および分化させるための方法。
【請求項37】
状態または疾患の処置のための医薬品の調製のための、少なくとも1種のKGFアゴニストおよび少なくとも1種のガストリン化合物の組み合わせを含有する組成物の使用。
【請求項38】
前記状態または疾患が、異常脂血症、高血糖、重症低血糖事象、脳卒中、左心室肥大、不整脈、菌血症、敗血症、過敏性腸症候群、機能性消化不良、糖尿病、手術後の異化変化、ストレス誘導高血糖、胃潰瘍、心筋梗塞、グルコース寛容減損、高血圧、アルツハイマー病ならびに他の中枢神経変性状態および末梢神経変性状態、慢性心不全、体液貯留状態、代謝性症候群および関連疾患、ならびに障害および肥満である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
請求項1〜22のいずれかに記載の組成物または請求項29に記載の共役物のキット形態。
【請求項40】
糖尿病を予防し、そして/または処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、該哺乳動物内の膵臓インスリン分泌β細胞の数を増加させるのに十分な量で、KGFレセプターリガンドおよびガストリン/CCKレセプターリガンドの組み合わせを含有する組成物を投与し、それによって糖尿病を予防する工程および/または処置する工程、を包含する、方法。
【請求項41】
糖尿病を予防し、そして/または処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、膵臓組織中の膵島前駆体細胞の増殖を増加させるのに十分な量で、KGFレセプターリガンドおよびガストリン/CCKレセプターリガンドの組み合わせを含有する組成物を投与し、それによって糖尿病を予防および/または処置する工程、を包含する、方法。
【請求項42】
糖尿病を予防し、そして/または処置するための方法であって、エキソビボで、複数の細胞を、膵島前駆体細胞の増殖、およびインスリン分泌膵島細胞の量を増加させるのに十分な量で、KGFレセプターリガンドおよびガストリン/CCKレセプターリガンドを含有する組成物と接触させる工程;ならびに該接触させた複数の細胞を、それを必要とする哺乳動物に投与し、それによって糖尿病を予防および/または処置する工程、を包含する、方法。
【請求項43】
前記組成物中のKGFの量が、ガストリン/CCKレセプターリガンドのない状態で、糖尿病哺乳動物中の血中グルコースを減少させるのに必要なKGFの最小有効用量よりも、実質的に少ない、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
糖尿病を予防し、そして/または処置するための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、該哺乳動物において、膵臓インスリン分泌β細胞の数を増加させるのに十分な量で、KGFレセプターリガンド、およびガストリン/CCKレセプターリガンドの組み合わせを含有する組成物を投与する工程、ならびに膵島新生の量を決定する工程、それによって、糖尿病を予防および/または処置する工程、を包含する、方法。
【請求項45】
前記膵島新生の量を決定する工程が、血中グルコース、血清グルコース、血中グリコシル化ヘモグロビン、膵臓β細胞重量、血清インスリン、膵臓インスリン含量、および形態学的に決定されたβ細胞重量の群から選択されるパラメータを測定する工程である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
組成物を投与する工程が、組成物を投与する前にアッセイした血中グルコースと比較して、血中グルコースを減少する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
組成物を投与する工程が、組成物を投与する前にアッセイした血中グルコースと比較して、50%まで、血中グルコースを減少させる、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
グリコシル化ヘモグロビン濃度が、組成物を投与しないコントロール哺乳動物におけるグリコシル化ヘモグロビン濃度と比較して、減少する、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
血清Cペプチドインスリン濃度が、組成物を投与する前にアッセイした哺乳動物における血清インスリン濃度と比較して増加する、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
膵臓インスリン濃度が、組成物を投与する前にアッセイした哺乳動物における膵臓インスリン濃度と比較して増加する、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞が、膵管細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記KGFレセプターリガンドおよび前記ガストリン/CCKレセプターリガンドが、膵島前駆体細胞の、グルコース応答性インスリン分泌膵島細胞への分化を誘導するのに十分な量で提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記KGFレセプターリガンドおよび前記ガストリン/CCKレセプターリガンドが、膵島前駆体細胞の、グルコース応答性インスリン分泌膵島細胞への分化を誘導するのに十分な量で提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物が、膵臓組織中の膵島前駆体細胞の、成熟インスリン分泌膵島細胞への分化を達成するのに十分な量で、提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が、膵島前駆体細胞の増殖を増加させるのに十分な量で提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
哺乳動物中で、膵島新生を誘導するための方法であって、該哺乳動物に、膵臓組織中の膵島前駆体細胞の増殖を増加させるために十分な量で、KGFレセプターリガンドとガストリン/CCKレセプターリガンドとの組み合わせを含有する組成物を投与する工程、それによって膵島新生を誘導する工程を包含する、方法。
【請求項57】
前記複数の細胞が、多細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の細胞が、前記哺乳動物に対して全身に伝達される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
哺乳動物中で膵島新生を誘導するための方法であって、該哺乳動物中で、膵臓インスリン分泌β細胞の数を増加させるのに十分な量で、KGFレセプターリガンドとガストリン/CCKレセプターリガンドとの組み合わせを含有する組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項60】
動物の細胞内で膵島新生治療を誘導するための方法であって、インスリンプロモーターレセプターリガンドに作動可能に連結したガストリン/CCKレセプターリガンドをコードする核酸配列、およびメタロチオネインプロモーターに作動可能に連結したKGFレセプターリガンドをコードする核酸配列と、該細胞を接触させる工程を包含する、方法。
【請求項61】
前記細胞が生殖細胞である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞が、エキソビボで培養された自己細胞である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
異種プロモーターに作動可能に連結した哺乳動物KGFレセプターリガンドをコードする核酸配列、および異種プロモーターに作動可能に連結した哺乳動物ガストリン/CCKレセプターリガンドをコードする核酸配列を含む、核酸構築物。
【請求項64】
ガストリン/CCKレセプターリガンドおよびKGFレセプターリガンドを含有する、組成物。
【請求項65】
膵島前駆体細胞の、多量の成熟インスリン分泌細胞への増殖を誘導するために効果的な投薬量での、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
膵島前駆体細胞の、成熟インスリン分泌細胞への分化を誘導するために効果的な投薬量での、請求項64に記載の組成物。
【請求項67】
トランスジェニック動物であって、該トランスジェニック動物の生殖細胞が、異種プロモーターに作動可能に連結した哺乳動物KGFレセプターリガンドをコードする核酸配列、および異種プロモーターに作動可能に連結した哺乳動物ガストリン/CCKレセプターリガンドをコードする核酸配列を含む、トランスジェニック動物。
【請求項68】
ガストリン/CCKレセプターリガンドおよびKGFレセプターリガンドを含有する組成物、容器ならびに使用のための取扱説明書を備える、糖尿病を予防および/または処置するためのキット。

【図1】
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【公表番号】特表2007−523840(P2007−523840A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504129(P2006−504129)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000648
【国際公開番号】WO2004/096853
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(504430972)ワラタ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】