説明

ケーキミックス、及びその製造方法

【課題】水を加えるだけで簡便にケーキを製することができる、ケーキミックス、及びその製造方法を提供することを目的とする。
より具体的には、体積が大きく、ふわっとした軽い食感のケーキを製することができる、ケーキミックス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】トレハロース、乾燥卵及びサイクロデキストリンを含有するケーキミックス、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加えるだけで簡便にケーキを製することができるケーキミックス、及びその製造方法に関する。
より具体的には、焼成し冷却した後であっても、体積が大きく、ふわっとした軽い食感のケーキを製することができる、ケーキミックス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
簡便にケーキを製することのできるケーキミックスが従来市販されている。このようなケーキミックスは、予め小麦粉、糖類、油脂類などが粉体混合されたものであり、ケーキを作る際に、ケーキミックスに卵、牛乳、水などの原料と混合し焼成するだけでケーキを作ることができる。
【0003】
このようなケーキミックスとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、酵素分解レシチン、及びグルテン分解物を含むケーキミックス(特許文献1)や、薄力小麦粉、糖類、及び膨脹剤を主原料としたスポンジケーキ用ミックスであって、薄力小麦粉と中力小麦粉及び/またはタピオカ澱粉との配合比(重量比)が50〜95:50〜5であり、かつ糖類中のマルトース及び/またはトレハロースの配合量が10〜50重量%であることを特徴とするスポンジケーキ用ミックス(特許文献2)などが提案されている。いずれも、家庭で簡単に本格的なケーキをつくれるよう工夫されている。
【0004】
しかしながら、上記のような従来のケーキミックスを用いる際は、必ず液卵(例えば、生液全卵や生液卵黄)を別途用意する必要があった。そのため、より簡便性を追求し、液卵を別途用意する必要がなく、水を加えるだけでケーキを作ることができるケーキミックスが要望されている。
【0005】
上記要望に応えるため、本出願人は、液全卵を噴霧乾燥させることにより得られる乾燥卵を、ケーキミックスに配合することを試みた。しかしながら、このケーキミックスを用いてスポンジケーキを製すると、液卵を別途配合するタイプのケーキミックスの場合に比べて、大きく膨らまずに、固い食感のスポンジケーキとなってしまった。ふわっとした軽い食感がより求められるシフォンケーキの場合、その体積や食感の差は顕著であった。また、焼成後冷却すると、更に体積が小さくなってしまう場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−31359号公報
【特許文献2】特開平11−113478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、水を加えるだけで簡便にケーキを製することができる、ケーキミックス、及びその製造方法を提供することを目的とする。
より具体的には、焼成し冷却した後であっても、体積が大きく、ふわっとした軽い食感のケーキを製することができる、ケーキミックス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含有するケーキミックスによれば、焼成し冷却した後であっても、体積が大きく、ふわっとした軽い食感のケーキが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含有するケーキミックス、
(2)乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含有するケーキミックスの製造方法であって、前記乾燥卵及びトレハロースが、液卵にトレハロースを混合し、これを噴霧乾燥して得られるトレハロース含有乾燥卵であるケーキミックスの製造方法、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水を加えるだけで簡便にケーキを製することができる、ケーキミックス、及びその製造方法を提供することができる。より具体的には、焼成し冷却した後であっても、体積が大きく、ふわっとした軽い食感のケーキを製することができる、ケーキミックス及びその製造方法を提供することができる。
これにより、お菓子作りの苦手な女性、忙しい主婦層の需要が期待でき、ケーキミックスの市場拡大が見込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るケーキミックス、及びその製造方法について、以下に詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
【0012】
本発明のケーキミックスは、乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含有することを特徴とする。これにより、焼成し冷却した後であっても、体積が大きく、ふわっとした軽い食感のケーキを製することができる。
【0013】
ケーキミックスの種類としては、シフォンケーキ用、スポンジケーキ用、ドーナッツ用、クッキー用、パウンドケーキ用などが挙げられる。本発明のケーキミックスは、大きさや軽い食感が求められる、シフォンケーキ用やスポンジケーキ用のケーキミックスが好適であり、シフォンケーキ用がより好適である。
【0014】
本発明のケーキミックスに用いる乾燥卵は、卵黄を含む乾燥卵であれば、特に限定されない。乾燥卵の原料となる液卵としては、例えば、鶏卵を割卵して得られる生液全卵、鶏卵を割卵して生液卵白と生液卵黄とを分けた生液卵黄、鶏卵を割卵して生液卵白と生液卵黄との比率を適宜調整した加工液卵、当該生液全卵、生液卵黄、比率を調整した加工液卵にストレーナー等によるろ過処理、加熱等による殺菌処理、酵素処理を施したものなどが挙げられる。
本発明に用いる乾燥卵は、当該液卵を用いて噴霧乾燥して製する方法、生液卵白と生液卵黄をそれぞれ分けて噴霧乾燥した後、粉体混合して製する方法などによって得ることができる。
なお、本発明の乾燥卵は、卵風味が良好なケーキを作る観点から卵黄(固形分換算)を30%以上含むものが好ましく、40%以上含むものがより好ましい。上限量は特に限定されない。
【0015】
本発明のケーキミックスに用いる乾燥卵の含有量は、10〜40%が好ましく、15〜35%がより好ましい。乾燥卵の含有量が前記範囲より少ないと、ケーキが卵風味に乏しく、膨らみ難い場合があるため好ましくない。一方、乾燥卵の含有量が前記範囲より多いと、卵の凝固力が高いせいか、ケーキが固い食感となる場合があるため好ましくない。
【0016】
本発明のケーキミックスに用いるトレハロースは、一般的に市販されているものであれば、特に限定されない。また、本発明のケーキミックスに用いるトレハロースの含有量は、0.5〜20%が好ましく、1〜15%がより好ましい。トレハロースの含有量が前記範囲より少ないと、焼成し冷却した後のケーキは、体積が小さく、ふわっとした軽い食感とならない場合があるため好ましくない。一方、トレハロースの含有量が前記範囲より多い場合、含有量に応じた効果が得られ難いため、経済的でない。
【0017】
本発明のケーキミックスに用いるサイクロデキストリンは、特に限定されないが、例えば、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン等を用いれば良い。焼成し冷却した後であっても、体積がより大きく、よりふわっとした軽い食感のケーキを得るためには、α−サイクロデキストリンが好ましい。
【0018】
本発明のケーキミックスに用いるサイクロデキストリンの含有量は、0.3〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。サイクロデキストリンの含有量が前記範囲より少ないと、焼成、冷却後のケーキは、膨らんだ生地を支えられず、縮んでしまうことがあり、結果的に体積が小さく、ふわっとした軽い食感とならない場合があるため好ましくない。一方、サイクロデキストリンの含有量が前記範囲より多いと、焼成、冷却後のケーキは、体積が小さく、ふわっとした軽い食感とならない場合があるため好ましくない。
【0019】
本発明のケーキミックスには、上記乾燥卵、トレハロース、サイクロデキストリン以外に、薄力粉、強力粉、中力粉などの小麦粉類、グルテンを油脂や増粘剤等で改質した改質グルテン類、小麦粉澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉などの生澱粉、これら生澱粉に常法によりα化処理を行ったα化澱粉、生澱粉に常法により湿熱処理を行った湿熱澱粉、更に、生澱粉に常法により架橋処理、エステル化処理、エーテル化処理、酸化処理などの一種又は二種以上の処理を行った架橋澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉などの加工澱粉類、グラニュー糖、オリゴ糖、粉糖などの糖類、起泡性乳化油脂粉末、乳化油脂粉末などの粉末油脂類、ベーキングパウダーなどの膨脹剤類などをケーキの種類によって適宜使用することができる。特に、焼成し冷却した後であっても、体積がより大きく、よりふわっとした軽い食感のケーキを得るには、澱粉類と油脂改質グルテン類を併用するのが好ましい。これにより、使用者は、本発明のケーキミックスに清水を加えるだけでケーキを製することができる。
【0020】
例えば、シフォンケーキ用のケーキミックスであれば、例えば、澱粉類15〜25%、改質グルテン類0.5〜5%、糖類20〜55%、乾燥卵10〜40%、トレハロース0.5〜20%、サイクロデキストリン0.3〜10%、膨脹剤0.1〜2%、乳化剤0.5〜5%の組成が挙げられる。また、スポンジケーキ用のケーキミックスであれば、例えば薄力粉などの小麦粉類15〜40%(又は小麦粉類の代わりに、澱粉類15〜35%、改質グルテン0.5〜5%)、糖類20〜45%、乾燥卵10〜40%、トレハロース0.5〜20%、サイクロデキストリン0.3〜10%、膨脹剤0.1〜2%、粉末油脂類5〜15%の組成が挙げられる。
【0021】
本発明のケーキミックスは、上記の乾燥卵、トレハロース、サイクロデキストリン及びケーキの種類によって適宜選択した原料を、常法により粉体混合して製造することができる。
【0022】
上記のように、本発明のケーキミックスは、各原料を常法により粉体混合して製造することができるが、乾燥卵とトレハロースそれぞれを粉体混合する代わりに、乾燥卵の原料となる液卵とトレハロースを混合し、これを噴霧乾燥して得られるトレハロース含有乾燥卵を用いて製造することもできる。後者の製造方法によれば、焼成し冷却した後であっても、ケーキは、体積がより大きく、よりふわっとした軽い食感となるため、より好ましい製造方法である。
【0023】
トレハロース含有乾燥卵に対するトレハロースの含有量は、固形分換算で10〜60%が好ましく、20〜50%がより好ましい。トレハロースの含有量が前記範囲より少ないと、焼成し冷却した後のケーキは、体積が小さく、ふわっとした軽い食感とならない場合があり、好ましくない。一方、トレハロースの含有量が前記範囲より多いと、含有量に応じた効果が得られ難いため、経済的でない。
【0024】
なお、トレハロース含有乾燥卵を調製する際に用いる液卵は、段落[0014]に例示された液卵であれば良い。また、トレハロース含有乾燥卵を調製する際に用いるトレハロースは、粉末状、液状いずれの形態のものでもよいが、液状のトレハロースを用いる際は、ケーキミックス中のトレハロースが、固形分換算で段落[0016]記載の含有量の範囲となるように調整すればよい。
【0025】
本発明のケーキミックスに用いるトレハロース含有乾燥卵の含有量は、10〜40%が好ましく、10〜35%がより好ましい。トレハロース含有乾燥卵の含有量が前記範囲より少ないと、焼成し冷却した後のケーキは、体積が小さく、ふわっとした軽い食感とならない場合があるため、好ましくない。一方、トレハロース含有乾燥卵の含有量が前記範囲より多いと、卵の凝固力が高いせいか、食感が固くなってしまう場合があるため好ましくない。
【0026】
本発明のケーキミックスにトレハロース含有乾燥卵を用いる場合、ケーキミックスに対する乾燥卵、及びトレハロースの含有量は、段落[0015]及び[0016]記載の範囲が好ましい。例えば、卵黄と卵白の比率を固形分換算で1:1に調整した加工液卵(固形分換算)50%及びトレハロース50%から成るトレハロース含有乾燥卵を30%、乾燥卵白を5%含有するケーキミックスであれば、本発明のケーキミックスに対する乾燥卵の含有量は、20%であり、トレハロースの含有量は15%と計算することができる。
【実施例】
【0027】
以下に本発明のケーキミックスを実施例および比較例に基づき詳述する。なお、本発明はこれに限定するものではない。
【0028】
[実施例1](シフォンケーキミックス)
下記配合表1に従って、粉糖、コーンスターチ、乾燥卵白、乾燥卵黄、トレハロース粉末、αサイクロデキストリン、乳化剤、油脂改質グルテン、膨脹剤を粉体混合して、本発明のケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0029】
〔配合表1〕
粉糖 35%
コーンスターチ 17%
乾燥卵白 15%
乾燥卵黄 15%
トレハロース粉末 8%
αサイクロデキストリン 3%
乳化剤 4%
油脂改質グルテン 2%
膨脹剤 1%
――――――――――――――――――――
合計 100%

【0030】
[比較例1]
トレハロース粉末を粉糖に置き換えた以外は、実施例1に準じてケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0031】
[比較例2]
αサイクロデキストリンを粉糖に置き換えた以外は、実施例1に準じてケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0032】
[実施例2]
卵黄と卵白との比率を固形分換算で1:1に調整した加工液卵(固形分換算)79%とトレハロース粉末21%を撹拌タンクに投入し、撹拌混合した。この混合液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して、トレハロース含有乾燥卵(トレハロース含有量21%(固形分換算))を製した。
次に、実施例1における乾燥卵白15%、乾燥卵黄15%、トレハロース粉末8%を、得られたトレハロース含有乾燥卵38%に変更した以外は、実施例1に準じて、本発明のケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0033】
[実施例3]
液卵黄(固形分換算)65%、トレハロース粉末35%を撹拌タンクに投入し、撹拌混合した。この混合液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して、トレハロース含有乾燥卵(トレハロース35%(固形分換算))を製した。
次に、実施例1における乾燥卵黄15%、トレハロース粉末8%を、得られたトレハロース含有乾燥卵23%に変更した以外は、実施例1に準じて、本発明のケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0034】
[対照例1]
トレハロース粉末及びαサイクロデキストリンを、粉糖に置き換えた以外は、実施例1に準じてケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0035】
[対照例2]
トレハロース粉末を粉糖に置き換え、乾燥卵黄及び乾燥卵白の含有量をそれぞれ12%、18%に変更した以外は、実施例1に準じてケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0036】
[試験例1]
実施例1〜3、比較例1、2、対照例1のケーキミックス(シフォンケーキミックス)を用いてシフォンケーキを焼成し、本発明の効果を有するか調べた。具体的には(1)(2)の手順に沿って行った。結果は表1に示す。なお、実施例1〜3のケーキミックス(シフォンケーキミックス)は、乾燥卵を30%、トレハロースを8%、サイクロデキストリンを3%含むものである。
【0037】
(1)シフォンケーキの製造
各ケーキミックスと清水とを1:1の比率でボールに投入し、ミキサーで泡立てて、生地を調製した。次いで、調製した生地を直径17cmのシフォンケーキ型に300gずつ流し入れて、オーブンで170℃にて30分間焼成した。焼成したシフォンケーキは、逆さまにして常温まで冷却し、型から外した。
(2)評価
対照例1のケーキの体積(100%)と対比して、各ケーキの膨らみ方を評価した。評価基準は下記の通りである。
なお、ケーキの体積は、3D Laser Scanner((株)アステックス製)を用いて測定した。
【0038】
<評価基準>
○:ケーキの体積が180%以上であった。
△:ケーキの体積が130%以上〜180%未満であった。
×:ケーキの体積が80%以上〜130%未満であった。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示されるように、乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含むケーキミックスは、焼成し冷却した後であっても、体積が大きなケーキを製することができ、膨らみ方に優れていることが理解できる(実施例1〜3)。特に、膨らみ方に優れたケーキミックスを得るためには、トレハロース含有乾燥卵を用いるのが好ましいことが理解できる(実施例2及び3)。
一方、トレハロース、サイクロデキストリンのいずれかを含有しないケーキミックスは、体積が小さなケーキとなり、膨らみ方が劣っていることが理解できる(比較例1、2)。
なお、焼成し冷却した後のケーキを喫食したところ、実施例1〜3は、ふわっとした軽い食感であったのに対し、比較例1及び2は、軽い食感に劣っていた。これより、食感は体積と相関していることが理解できる。
【0041】
[試験例2]
トレハロース含有乾燥卵に対するトレハロースの含有量による、本発明の効果への影響を調べた。具体的には、下記表2の「トレハロース含有乾燥卵の配合」に従って、トレハロース含有乾燥卵を製した。次いで、実施例3で用いたトレハロース含有乾燥卵を上記得られたトレハロース含有乾燥卵に変更し、ケーキミックスに対する乾燥卵の含有量を30%に揃えるために、ケーキミックスに対するトレハロース含有乾燥卵及び粉糖の含有量を下記表2の「ケーキミックスの配合」に従って変更した以外は、実施例3に準じて本発明のケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。次いで、試験例1(1)に従って、No.1〜3及び対照例2のケーキミックスを用いてシフォンケーキを製造し、評価は対照例1のケーキを対照例2のケーキに置き換えた以外は、試験例1(2)に準じて行った。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示されるように、トレハロース含有乾燥卵を用いたケーキミックスによれば、焼成し冷却した後であっても、体積が大きなケーキを得られることから、膨らみ方が優れていることが理解できる(No.1〜3)。特に、トレハロース含有乾燥卵に対するトレハロースの含有量が10〜60%、より好ましくは20〜50%であると、より体積が大きなケーキを製することができ、膨らみ方がより優れていることが理解できる(No.2及び3)。
【0044】
[実施例4]
卵黄と卵白の比率を固形分換算で1:1に調整した加工液卵(固形分換算)70%、トレハロース粉末30%を撹拌タンクに投入し、撹拌混合した。得られた混合液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して、トレハロース含有乾燥卵(トレハロース30%(固形分換算))を製した。次いで、下記配合表2に従って、粉糖、小麦澱粉、得られたトレハロース含有乾燥卵、乾燥卵白、膨脹剤、βサイクロデキストリン、油脂改質グルテン、乳化剤を粉体混合して、本発明のケーキミックス(シフォンケーキミックス)を製した。
【0045】
〔配合表2〕
粉糖 54%
小麦澱粉 25%
トレハロース含有乾燥卵 10%
(トレハロース30%(固形分換算))
乾燥卵白 8%
βサイクロデキストリン 1.5%
油脂改質グルテン 0.5%
乳化剤 0.5%
膨脹剤 0.5%
――――――――――――――――――――――――
合計 100%
【0046】
試験例1(1)に従って、得られたケーキミックス(シフォンケーキミックス)を用いてシフォンケーキを焼成した。得られたシフォンケーキは、焼成後冷却した後であっても体積が大きいものであった。よって、本発明のケーキミックスは、膨らみ方に優れるものであると理解できる。また、食感もふわっとした軽い食感であった。
【0047】
[実施例5](スポンジケーキミックス)
実施例2で製したトレハロース含有乾燥卵(トレハロース(固形分換算)21%)を用いて、本発明のケーキミックス(スポンジケーキミックス)を製した。具体的には、下記配合表3に従って、上白糖、薄力粉、トレハロース含有乾燥卵、起泡性乳化油脂粉末、αサイクロデキストリン、膨脹剤を粉体混合して、本発明のケーキミックス(スポンジケーキミックス)を製した。
【0048】
〔配合表3〕
上白糖 37%
薄力粉 30%
トレハロース含有乾燥卵 20%
(トレハロース21%(固形分換算))
起泡性乳化油脂粉末 10%
αサイクロデキストリン 2%
膨脹剤 1%
―――――――――――――――――――――――――
合計 100%
【0049】
得られたケーキミックス(スポンジケーキミックス)と、清水とを5:2の比率でボールに投入し、ミキサーで比重が0.5g/mlとなるまで泡立てて生地を調製した。調製した生地を6号丸型に350gずつ充填し、オーブンで170℃にて30分間焼成し、スポンジケーキを製した。
【0050】
得られたスポンジケーキは、焼成し冷却した後であっても、体積が大きいものであった。よって、本発明のケーキミックスは、膨らみ方に優れるものであると理解できる。また、食感はふわっとした軽いものであった。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含有することを特徴とするケーキミックス。
【請求項2】
乾燥卵、トレハロース及びサイクロデキストリンを含有するケーキミックスの製造方法であって、前記乾燥卵及びトレハロースが、液卵にトレハロースを混合し、これを噴霧乾燥して得られるトレハロース含有乾燥卵であることを特徴とするケーキミックスの製造方法。



【公開番号】特開2013−42723(P2013−42723A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184159(P2011−184159)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】