説明

ケーキ固定具

【課題】全高の高いケーキを安定的に台紙に固定することができるケーキ固定具を提供する。
【解決手段】ケーキ固定具30は、台紙20の下面側に接するベース部分60と、互いに離間した位置でベース部分60から上方に立設する一方側ピン40および他方側ピン50とを含む。略直角三角形の板部材である一方側ピン40および他方側ピン50は、最も狭い角度θを有する頂点を上方に指向させると共に、ベース部分60の平面視においてその側面部が互いに90度をなすように配設する。ベース部分60は等脚台形状の板部材であり、2つのケーキ固定具30を背面合わせに隣接配置してケーキ1を固定する際にベース部分60同士を接触させるための内側端面64を有する。内側端面64は、等脚台形の上底部分に位置する端面であり、両ピン40,50の斜辺部42,52は外側端面62と連続して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ固定具に係り、特に、大型のケーキを台紙に固定するためにケーキの底面に差し込まれるケーキ固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デコレーションケーキ等の大型のケーキを運搬用の収納箱に収納する際に、ケーキを載せる台紙とケーキとの位置がずれることを防ぐために、ケーキの底面に差し込んで両者を固定するためのケーキ固定具が知られている。
【0003】
特許文献1には、厚紙を折り曲げた構造体からなるケーキ固定具を台紙の上面に接着剤で接着し、この台紙上にケーキを載せることでケーキの底部にケーキ固定具を差し込み、台紙とケーキとを固定するようにした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−226086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたケーキ固定具は、紙製で強度が低くかつ差込深さも浅いことから、ケーキの形状が通常の円盤形でなく、例えば、動物の形を模すことで全高が高い形状とされている場合には、収納箱が傾けられてケーキを倒そうとする力が生じた際に、特にケーキの上部に変形が発生したり、ケーキ固定具がケーキの底面から抜けて収納箱の内面にケーキが接触してしまう可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、全高の高いケーキを安定的に台紙に固定することができるケーキ固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、台紙(20)の上面側にケーキ(1)を固定するために前記台紙(20)の下面側から差し込まれるケーキ固定具(30)において、前記ケーキ固定具(30)は、前記台紙(20)の下面側に接するベース部分(60)と、互いに離間した位置で前記ベース部分(60)から上方に立設する一方側ピン(40)および他方側ピン(50)とを含み、前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)は、略直角三角形の板部材からなり、略直角三角形における最も狭い角度(θ)を有する頂点を上方に指向させると共に、前記ベース部分(60)の平面視においてその側面部が互いに90度をなすように配設されており、前記ベース部分(60)は、等脚台形状の板部材からなり、2つの前記ケーキ固定具(30)を背面合わせで隣接配置して前記ケーキ(1)を固定する際に、前記ベース部分(60)同士を接触させるための内側端面(64)を有する点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記内側端面(64)は、等脚台形状とされる前記ベース部分(60)の上底部分に位置する端面であり、略直角三角形とされる前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)の斜辺部(42,52)は、等脚台形状とされる前記ベース部分(60)の下底部分に位置する外側端面(62)と連続して形成されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、略直角三角形とされる前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)の隣辺部(43,53)は、前記内側端面(62)と離間した位置から立設するように構成されている点に第3の特徴がある。
【0010】
さらに、前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)は、等脚台形状とされる前記ベース部分(60)の両脚部から立設する点に第4の特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
第1の特徴によれば、ケーキ固定具は、台紙の下面側に接するベース部分と、互いに離間した位置でベース部分から上方に立設する一方側ピンおよび他方側ピンとを含み、一方側ピンおよび他方側ピンは、略直角三角形の板部材からなり、略直角三角形における最も狭い角度を有する頂点を上方に指向させると共に、ベース部分の平面視においてその側面部が互いに90度をなすように配設されており、ベース部分は、等脚台形状の板部材からなり、2つのケーキ固定具を背面合わせで隣接配置してケーキを固定する際に、ベース部分同士を接触させるための内側端面を有するので、2つのケーキ固定具を用いて台紙にケーキを固定する際に、ベース部分の一部が同一端面によって接触することとなり、台紙とケーキ固定具とを安定的に固定することができる。これにより、台紙に対するピンの倒れを防止し、例えば、動物の形状を模す等によりケーキの全高が高い場合でも、ケーキを安定的に固定することが可能となる。
【0012】
また、2本のピンを有するケーキ固定具を2つ用いることにより、例えば、4本のピンを1つのケーキ固定具に設ける構成に比して、ケーキ固定具の製造コストを低減することができる。さらに、一方側ピンと他方側ピンとが互いに90度をなす2つのケーキ固定具を背面合わせで配設することにより、4本のピンが互いに90度の角度を有して放射状に配設されることとなり、より安定的にケーキを固定することができる。
【0013】
第2の特徴によれば、内側端面は、等脚台形状とされるベース部分の上底部分に位置する端面であり、略直角三角形とされる一方側ピンおよび他方側ピンの斜辺部は、等脚台形状とされるベース部分の下底部分に位置する外側端面と連続して形成されているので、4本のピンの側面部がケーキの中心から外方に向かって指向すると共に、二等辺三角形とされる4本のピンの斜辺部がケーキの外方に向かって位置することとなり、ケーキの下方からピンを差し込んだ際に、圧縮されたケーキ素材の弾力によって各斜辺部を中央側に寄せるような力が作用する。これにより、ケーキ素材の弾力による反作用の力によってケーキを強固に保持することが可能となる。
【0014】
第3の特徴によれば、略直角三角形とされる一方側ピンおよび他方側ピンの隣辺部は、内側端面と離間した位置から立設するように構成されているので、2つのケーキ固定具を用いてケーキを固定した際に、一方側のケーキ固定具のピンと他方側のケーキ固定具のピンとが離間して配置されることとなる。これにより、4本のピンが互いに独立して配置されることとなり、例えば、4本のピンが連続的に配置されている構成に比して、ピンを差し込むことによりケーキ素材が圧縮・破断してしまう量を低減することが可能となる。したがって、ケーキを固定する力が弱くなることを防ぐと共に、ピンを差した場所の舌触り等や歯ごたえ等の食感の変化を最小限に抑えることが可能となる。
【0015】
第4の特徴によれば、一方側ピンおよび他方側ピンは、等脚台形状とされるベース部分の両脚部から立設するので、ベース部材の周囲に余分なはみ出し部等がなくなり、ケーキ固定具を一体成形することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーキ固定具を用いて固定されたケーキの斜視図である。
【図2】ケーキを固定した状態における台紙およびケーキ固定具の正面図である。
【図3】台紙の平面図である。
【図4】ケーキ固定具の斜視図である。
【図5】ケーキ固定具の平面図である。
【図6】図5のA方向から見たケーキ固定具の側面図である。
【図7】ケーキ固定具の台紙への取付手順の説明図(1/2)である。
【図8】ケーキ固定具の台紙への取付手順の説明図(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るケーキ固定具30を用いて台紙に固定したケーキ1の斜視図である。ケーキ1は、左右の耳部3を有する頭部2、胴体7、両手8、両足9を一体的に形成したスポンジケーキの表面に、絞り器で絞り出した略同一形状のクリームを多数付着させることで、パンダやクマ等の動物の「毛並み」を立体的に表現した立体デコレーションケーキである。ケーキ1は、通常の円盤状のケーキより全高が高い形状とされ、例えば、高さ22cm、横26cm、奥行き15cmとすることができる。
【0018】
本実施形態に係るケーキ1は、頭部2および胴体7が白色の生クリームで覆われるのに対し、耳部3、両手8、両足9のほか、目5の周囲部4および鼻部6を茶褐色のチョコレートクリームで覆った「パンダ仕様」とされる。目5は、チョコチップ等の菓子で形成することができる。
【0019】
ケーキ1は、例えば、2mm厚の厚紙からなる台紙20の上面に、2つのケーキ固定具30を用いて固定されている。ケーキ固定具30は、ケーキ1の底面から差し込まれる一方側ピン40および他方側ピン50を有する。一方側ピン40および他方側ピン50は、略直角三角形の同一形状とされており、2つのケーキ固定具30を背面合わせで配置することにより、4つのピンがケーキ1の中央上方に向かって伸びるように構成されている。
【0020】
台紙20は、ケーキ1を収納する略直方体の収納箱(不図示)の底面とほぼ同じ形状とされており、ケーキ1を載せた台紙20を収納箱に収納した際に、台紙20と収納箱との間で位置ずれが発生しないように構成されている。なお、収納箱の底面と台紙20との間は、さらに粘着テープ等で固定してもよい。
【0021】
図2は、ケーキ1を固定した状態における台紙20およびケーキ固定具30の正面図である。また、図3は台紙20の平面図である。ケーキ固定具30は、台紙20の裏面に接触するベース部分60に対して、その右端部から一方側ピン40が垂直に上方に延びると共に、その左端部から他方側ピン50が垂直に上方に延びるように構成されている。
【0022】
一方側ピン40および他方側ピン50の上端部は、ケーキ1の頭部2の略中央の高さまで伸ばされている。これにより、胴部7から頭部2にかけて心棒が通ることによって強度が高められる。したがって、運搬中に収納箱が傾けられることで、胴部7と頭部2との間に設けられた首を表現するための「くびれ」部分に曲げ応力が集中する場合でも、首の部分の破損を防ぐことができる。
【0023】
ケーキ固定具30は、ケーキ1の前後方向に背面合わせで配設されている。台紙20には、ケーキ1の前側に配設されるケーキ固定具30の両ピン40,50が挿入されるスリット21,22と、ケーキ1の後側に配設されるケーキ固定具30の両ピン40,50が挿入されるスリット24,23とが設けられている。スリット21〜24は、同一形状の長方形とされる。
【0024】
本実施形態に係るケーキ1は、平面視において、胴部7の前後方向中央より後寄りの位置に頭部2が形成されている。これに併せて、4つのスリット21〜24は台紙20の前後方向中央より後寄りの位置に設けられており、ケーキ1の胴部7を台紙20の前後方向略中央に配設した際に、4本のピン40,50が頭部2の略中央に差し込まれるように構成されている。なお、台紙20の上面には、台紙20が水分を吸収しないように樹脂等によるコーティングが施される。
【0025】
図4は、ケーキ固定具30の斜視図である。また、図5は、ケーキ固定具30の平面図であり、図6は、図5のA方向から見た側面図である。なお、本発明に係るケーキ固定具30は、所定位置に取り付けた際の外観に基づいて「Xピン」と呼称される。ケーキ固定具30の高さ方向の寸法は、固定するケーキの大きさに合わせて、例えば、10〜20cmとすることができる。
【0026】
ケーキ固定具30は、例えば、3mm厚の透明な板状のアクリル樹脂からなる一体成形部品とされ、ベース部分60の左右端部から鉛直方向上方に伸びる一方側ピン40および他方側ピン50を有している。ケーキ固定具30のベース部分60は、平面視で等脚台形状とされており、等脚台形の「下底」に対応する部分に外側端面62が形成されると共に、外側端面62と平行かつ等脚台形の「上底」に対応する部分に内側端面64が形成されている。ベース部分60の上面部61および下面部63は互いに平行面とされる。
【0027】
ベース部分60から立設する一方側ピン40および他方側ピン50は、互いに同一形状とされ、等脚台形の「脚」に対応する両端部から垂直に上方に向かって形成されている。また、図5に示すように、一方側ピン40と他方側ピン50とは、ケーキ固定具30の平面視において、その平面部分が互いに90度をなすように配設されている。
【0028】
他方側ピン50(および一方側ピン40)において、角度θを有する直角三角形の頂点部分には、ケーキ1の製造者や購入者等が鋭い鋭角部分に触れることがないように面取り部51(面取り部41)が設けられている。なお、直角三角形の頂部の角度θは、例えば、12度に設定することができる。
【0029】
そして、他方側ピン50(一方側ピン40)の斜辺部52(斜辺部42)は、ベース部分60の外側端面62と連続的に形成されている。これに対し、隣辺部53(隣辺部43)は、内側端面64と若干離間した位置から垂直に上方に向かって形成されている。すなわち、隣辺部53(隣辺部43)は、内側端面64との間に上面部61と面一の平滑部分65を確保することにより、内側端面64とは連続しないように構成されている。なお、ケーキ固定具30は一体成形部品であり、一方側ピン40および他方側ピン50の直角三角形の対辺部分はベース部分60と一体となっている。
【0030】
図7および図8は、台紙20の下面側から見た状態におけるケーキ固定具30の台紙20への取付手順の説明図である。図7では、ケーキ1の正面側に位置するケーキ固定具30のみを台紙20に取り付けた状態を示す。スリット21,22は、一方側ピン40および他方側ピン50の基部(直角三角形の対辺部)の形状に合わせて、両ピン40,50がスムーズに通過できるように形成されている。そして、一方側ピン40をスリット21に挿入すると共に他方側ピン50をスリット22に挿入した状態でベース部分60を押し込んでいくと、ベース部分60の上面部61が台紙20の下面に接触した時点で、ケーキ固定具30が所定位置に収まることとなる。
【0031】
前記したように、ケーキ1の前面側に位置するスリット21,22は、互いに90度をなすように形成されている。また、ケーキ1の背面側に位置するスリット23,24も互いに90度をなすように形成されている。そして、スリット21,24が互いに平行をなすように構成されているため、スリット22,23も互いに平行をなしている。これにより、互いに独立して形成される4つのスリット21〜24は、ケーキ1の略中央から外側に向かって90度間隔の4方向に指向して、英字の「X」に似た形状をなすこととなる。
【0032】
そして、図8に示すように、ケーキ1の正面側および背面側に位置する2つのケーキ固定具30を所定の位置に収めると、ベース部分60の内側端面64同士が面接触すると共に、等脚台形状のベース部分60も英字の「X」に似た形状をなすこととなる。このように、2つのケーキ固定具30を背面合わせで取り付けた際に、ベース部分60の内側端面64同士が面接触するため、2つのベース部分60を跨ぐように粘着テープ100で台紙20に固定すると、ベース部分60同士のずれが発生しにくくなり、台紙20に対するピン40,50の倒れも発生しにくくなる。
【0033】
ケーキ1は、2つのケーキ固定具30を台紙20に取り付けた状態で、一方側ピン40および他方側ピン50の上方から押し込むことで台紙20に固定される。このとき、ケーキ1の底部に4本のピン40,50を押し込んでいくと、4本のピン40,50には、圧縮されたスポンジケーキ素材の弾力によって、斜辺部42,52を中央側に押す力が作用する。これにより、台紙20に固定されたケーキ1は、素材の弾力による反作用の力によって強固に保持されることとなる。
【0034】
また、本発明に係るケーキ固定具30は、台紙20に2つのケーキ固定具30を取り付けた状態で、4本のピン40,50が互いに離間して配設されると共に、ケーキの前後方向に並ぶピン同士の間隔と、ケーキの左右方向に並ぶピン同士の間隔とが異なるように構成されている点に特徴がある。この構成は、ケーキ固定具30の一方側ピン40と他方側ピン50とを大きく離間して形成すると共に、ベース部分60に平滑部分65を形成することにより実現されている。
【0035】
例えば、ベース部分60に平滑部分65を設けず、この部分までピンを伸ばした場合には、前方側のケース固定具30の一方側ピン40と他方側のケース固定具30の他方側ピン50とが、その隣辺部43,53で接触することとなり、スポンジケーキ素材が圧縮・破断する量が大きくなってしまう。
【0036】
さらに、例えば、4本のピンを一体化して十字形状とした場合には、4本のピンが互いに離間している場合に比して、ピンの中央部分でスポンジケーキ素材が圧縮・破断する量が大きくなり、ケーキ1を固定する力が弱くなってしまう。また、素材が圧縮・破断する量が大きくなると、この部分の舌触りや歯ごたえ等の食感にも影響を与えることとなる。
【0037】
これに対し、本発明に係るケーキ固定具30によれば、4本のピン40,50が台紙20に形成された4つのスリットから互いに独立して上方に延びるので、素材が圧縮・破断する量を最小限に抑えることが可能となる。また、一方側ピン40と他方側ピン50とが大きく離間していることにより、前後方向の寸法に比して左右方向の寸法が大きいケーキ1をより安定的に固定することができる。さらに、同形状のケーキ固定具30を2つ用いることで4本のピンが立設されるように構成されているので、1つのケーキ固定具に4本のピンを形成する構成に比して、ケーキ固定具の製造コストを低減することができる。
【0038】
なお、上記したケーキ1は、冷凍状態で運搬される。ケーキ1は、まず、動物の形を模して焼き上げられたスポンジケーキを、2つのケーキ固定具30を用いて台紙20に固定し、次に、このスポンジケーキの表面に種々のクリームでデコレーションを施して形成される。このデコレーション作業においても、台紙20にスポンジケーキが固定されているので、作業台上で回転させたり冷凍庫に移動させる等の作業が容易である。
【0039】
そして、ケーキ1を台紙20ごと冷凍すると、収納箱に収納しての出荷が可能な状態となる。冷凍されたケーキ1は、解凍状態に比して弾力性が弱くなるので、収納箱が傾けられると、頭部2と胴部7との間のくびれに曲げ応力が集中する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、4本のピンが頭部2の略中央の高さまで挿入されているので、くびれ部分から破損したり、ケーキ1が台紙20から離れてしまう可能性が低減される。
【0040】
また、ケーキ1の購入者は、ケーキ1を解凍してから切り分けることとなるが、本発明に係るケーキ固定具30はアクリル等の樹脂で形成されているため、紙等で形成されたケーキ固定具のように解凍時に水分を吸収して強度が低下したり、解けた紙によってケーキの風味に影響を与えたりすることがない。さらに、ケーキ固定具と台紙とを接着材で固定する必要がないので、接着剤の臭いがケーキの風味に影響を与えることもない。なお、万一、収納箱による運搬中にケーキ1の解凍度合が進んでしまった場合でも、ケーキ1の形状を保持すると共に破損を防止する効果は同様に発揮される。出願人による実験によれば、ケーキ1が解凍された状態でもケーキ1の保持力はあまり低下せず、台紙20を把持して逆さまにした状態でもケーキ1は良好に保持されていたという。
【0041】
さらに、ケーキの下方から差し込まれたピンは、ケーキを切り分ける際に邪魔になるが、本発明に係るケーキ固定具30によれば、ベース部分60を把持して下方に引き抜けば、ケーキ1に触れることなくケーキ固定具30を除去することができて便利である。一方、ケーキ固定具30の4本のピンが互いに離間して配置されているので、ケーキ固定具30が差し込まれたまま、ナイフを十字に入れて4等分することも可能である。
【0042】
なお、ケーキ固定具の寸法や形状、一方側ピンおよび他方側ピンの角度θの大きさや差込深さ、ケーキ固定具の色や素材、台紙の形状や素材、台紙に形成されるスリットの形状や位置等は種々の変形が可能である。例えば、ケーキの形状は、他の動物等を模した形状のほか、自動車や人形等の種々の形状とすることができ、その大きさも任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ケーキ、2…頭部、7…胴部、20…台紙、21〜24…スリット、30…ケーキ固定具、40…一方側ピン、41,51…面取り部、42,52…斜辺部、43,53…隣辺部、50…他方側ピン、60…ベース部分、61…上面部、62…外側端面、63…下面部、64…内側端面、65…平滑部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙(20)の上面側にケーキ(1)を固定するために前記台紙(20)の下面側から差し込まれるケーキ固定具(30)において、
前記ケーキ固定具(30)は、前記台紙(20)の下面側に接するベース部分(60)と、互いに離間した位置で前記ベース部分(60)から上方に立設する一方側ピン(40)および他方側ピン(50)とを含み、
前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)は、略直角三角形の板部材からなり、略直角三角形における最も狭い角度(θ)を有する頂点を上方に指向させると共に、前記ベース部分(60)の平面視においてその側面部が互いに90度をなすように配設されており、
前記ベース部分(60)は、等脚台形状の板部材からなり、2つの前記ケーキ固定具(30)を背面合わせで隣接配置して前記ケーキ(1)を固定する際に、前記ベース部分(60)同士を接触させるための内側端面(64)を有することを特徴とするケーキ固定具。
【請求項2】
前記内側端面(64)は、等脚台形状とされる前記ベース部分(60)の上底部分に位置する端面であり、
略直角三角形とされる前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)の斜辺部(42,52)は、等脚台形状とされる前記ベース部分(60)の下底部分に位置する外側端面(62)と連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーキ固定具。
【請求項3】
略直角三角形とされる前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)の隣辺部(43,53)は、前記内側端面(62)と離間した位置から立設するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のケーキ固定具。
【請求項4】
前記一方側ピン(40)および他方側ピン(50)は、等脚台形状とされる前記ベース部分(60)の両脚部から立設することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のケーキ固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−136228(P2012−136228A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287949(P2010−287949)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(504153358)有限会社福井堂 (1)
【Fターム(参考)】