説明

ケース入り袋

【課題】袋が取り出しやすく、かつ取り出しスピードを速めることができ、しかも設置スペースを節約できるケース入り袋を提供する。
【解決手段】本発明のケース入り袋1は、前面2a、背面2b、左右の側面2c,2d、底面2e及び上面2fを有し、内部に袋6を収容するための箱状のケース2と、このケース2内に収容された複数の袋6と、を備える。各袋は、上下に積層されて積層体をなし、この積層体が上下方向に蛇行し且つ蛇行する積層体の端面がケース2の側面2c側を向く状態で、ケース2内に収容されている。ケース2は、ケース2から袋6を取り出す取出口5を形成するための取出口形成部3を有し、取出口5はケース2の上面2fから一方の側面2cにわたって開口するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の袋がケース内に積み重ねられて収容されたケース入り袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋(例えばゴミ袋)は、図5に示すように、ビニール製の収容袋11に収容された形態で流通している。図5において、(A)は収容袋11に収容された袋10を示す平面図であり、(B)はその断面図であり、(C)は袋10が取り出される際の断面図である。
図5において、適当な大きさに折り畳まれた袋10が、複数枚積み重ねられて束とされて、その束が(B)に示すように例えば2つ折りにされた状態で平面的に収容袋11に収容される。収容袋11の端(図で右端)には、袋を取り出すための取出口12が形成されている。袋10を収容袋11から取り出す場合、図5(C)に示すように、取出口12にて露出している最も外層側の袋10を掴んで外側に引き出す。
【0003】
なお、上述した先行技術を示す適当な文献を発見できなかったため、先行技術文献の表示は省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のビニール製の収容袋11に収容された袋10では、袋10が平面的に積み重ねられているために、取り出そうとする袋10に対してそれ以外の袋の重量がかかり、また、取出口12の幅が狭いために、袋10と取出口12との接触抵抗が大きい。このため、袋10を収容袋11から取り出しにくいという問題がある。特に、袋10の残量が少なくなった場合には、袋10を引き出す際に収容袋11が一緒に持ち上がってしまい、これが袋10の取出しスピードを遅くし、大量に使用する使用者の作業効率を悪化させるという問題がある。
また、袋10が平面的に収容され、これに合わせて収納袋11も設置投影面積が大きい扁平形状となるため、比較的大きな設置スペースを要するという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑みてなされてものであり、袋が取り出しやすく、かつ取り出しスピードを速めることができ、しかも設置スペースを節約できるケース入り袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のケース入り袋は、以下の技術的手段を採用する。
すなわち、本発明のケース入り袋は、前面、背面、左右の側面、底面及び上面を有し、内部に袋を収容するための箱状のケースと、前記ケース内に収容された複数の袋と、を備え、前記各袋は、上下に積層されて積層体をなし、該積層体が上下方向に蛇行し且つ蛇行する積層体の端面がケースの側面側を向く状態で、前記ケース内に収容されており、前記ケースは、該ケースから袋を取り出す取出口を形成するための取出口形成部を有し、前記取出口はケースの上面から一方の側面にわたって開口するものである、ことを特徴とする。
【0007】
上記本発明によれば、各袋が、上下に積層されて積層体をなし、この積層体が上下方向に蛇行し且つ蛇行する積層体の端面がケースの側面側を向く状態で、ケース内に収容されているので、取り出そうとする最上層の袋に対してそれ以外の袋の重量がかからず、また、上下の蛇行によって山の部分ができるので、袋が一枚ずつ掴みやすい。これにより、ケース内の袋が最初の一枚から最後の一枚まで取り出しやすい。
また、取出口がケースの側面まで形成されているので、袋と取出口の接触抵抗を少なくすることができる。これにより、取出しスピードを速くすることができ、大量に使用する使用者の作業効率を高めることができる。
また、取出口がケースの側面まで形成されるので、上面側からだけでなく、側面側から、或いは上面と側面の中間(斜め方向)からも袋を取り出すことができる。これにより、上方スペースにあまり余裕が無い狭小な場所にケース入り袋が設置された場合でも、容易に袋を取り出すことができる。また、取出口は、袋の積層体の蛇行する端面がケースの側面側で露出するように形成されるので、側面の取出口から袋の積層体の山の部分を掴むことにより側面側からでも容易に袋を取り出すことができる。
さらに、袋が上下方向に蛇行した状態でケース内に収容されるので、従来の収納袋に収容される場合と比べて、全体がコンパクトになり、設置スペースを小さくすることができる。
【0008】
また、上記のケース入り袋において、前記取出口は、前記上面における左右方向の開口寸法が該上面の左右方向寸法の1/2以上であり、前記側面における上下方向の開口寸法が該側面の上下方向寸法の1/2以上である。
【0009】
このように取出口の開口寸法を設定することにより、袋と取出口の接触抵抗を十分に小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のケース入り袋によれば、ケース内の袋が取り出しやすく、かつ取り出しスピードを速めることができ、しかも設置スペースを節約できるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態にかかるケース入り袋1の斜視図である。図2はケース入り袋1の側面図、図3はケース入り袋1の断面図である。
図1〜図3に示すように、ケース入り袋1は、ケース2と、そのケース2に収容された複数の袋6とを備える。なお、図1において、X方向を前後方向とし、Y方向を左右方向とする。
【0013】
ケース2は、前面2a、背面2b、左右の側面2c,2d、底面2e及び上面2fからなる平行六面体の箱状に形成されている。図1に示したケース2は、直方体形状であるが、立方体形状であってもよい。このケース2は、紙で製作することができる。
またケース2は、ケース2から袋6を取り出す取出口5を形成するための取出口形成部3を有する。取出口形成部3はケース2の上面2fから側面2cにわたって延在している。
ケース2には取出口形成部3の輪郭が形成されるように上面2f及び側面2cにミシン目4が形成されており、ミシン目4に沿って取出口形成部3が切り取られることにより、ケース2の上面2fから側面2cにわたって開口する取出口5(上面開口5a及び側面開口5b)が形成される。なお、図1では、切り取られる途中段階の取出口形成部3を仮想線(二点差線)で示している。
【0014】
図1に示すように、上記のミシン目4は二重ミシン目であるのが好ましく、二重ミシン目とすることにより取出口形成部3を容易に切り取ることができる。
また、上面開口5aは、左右方向(Y方向)の開口寸法を上面2fの左右方向の寸法と一致させるのではなくて、上面2fの左右方向の寸法よりも若干短く設定し、他方の側面2d側に非開口部分を残しておくのがよい。これにより、上面開口5aを広くしつつケース強度を保持することができる。
【0015】
ケース2内に収容される袋6は、例えば、ゴミ袋や、小分け用の袋などであるが、大きさ、材質、用途は特に限定されない。
図2及び図3に示すように、各袋6は、上下に積層されて積層体をなし、この積層体が上下方向に蛇行し且つ蛇行する積層体の端面がケース2の側面側を向く状態で、ケース2内に収容されている。また、このように袋6をケース2内で蛇行させた状態で収容するために、ケース2内には心材7が設置されている。本実施形態において、この心材7は、図3に示すように、底面2e側から立ち上がり前後方向に間隔を空けて互いに平行に配置された3つの支持部7aを有している。この心材7の形状に沿わせて袋6の積層体をケース2に詰め込むことで、袋6の積層体が上下に蛇行した状態でケース2内に収容される。
【0016】
本実施形態では、上部に三つの山ができるように袋6の積層体を蛇行させているが、心材7の支持部7aの数を変えて、2つ或いは4つ以上の山ができるように蛇行させてもよい。なお、心材7は、例えばダンボール材で製作することができる。
上記の取出口5は、取出口5から手を入れて蛇行した袋6の山の部分を掴めるように前後方向(図1のX方向)の開口寸法と位置が設定されている。
【0017】
次に、上記のように構成されたケース入り袋1の使用時における作用及び効果について説明する。
ケース入り袋1を使用する場合、まず、取出口形成部3をケース2から切り取って袋6を取り出せる状態としておく。そして、ケース入り袋1から袋6を取り出すには、取出口5から、蛇行によってできた袋6の山の部分を掴んで袋6を引き出す。このとき、各袋6は上下に積層されて積層体をなしており、この積層体が上下方向に蛇行し且つ蛇行する積層体の端面がケース2の側面側を向く状態で、ケース2内に収容されているので、取り出そうとする最上層の袋6に対してそれ以外の袋6の重量がかからず、また、上下の蛇行によって山の部分ができるので、袋6が一枚ずつ掴みやすい。これにより、ケース2内の袋6が最初の一枚から最後の一枚まで取り出しやすい。
また、袋6が上下方向に蛇行した状態でケース2内に収容されているので、従来の収納袋11(図5参照)に収容される場合と比べて、設置投影面積が小さくなり、設置スペースを小さくすることができる。
【0018】
また、取出口5がケース2の側面2cまで延びて側面開口5bが形成されているので、袋6と取出口5の接触抵抗を少なくすることができる。これにより、取出しスピードを速くすることができ、大量に使用する使用者の作業効率を高めることができる。
上面開口5aの左右方向の開口寸法は上面2fの左右方向寸法の1/2以上であり、側面開口5bの上下方向の開口寸法は側面2cの上下方向寸法の1/2以上であるのが良い。このように取出口5(上面開口5a及び側面開口5b)の開口寸法を設定することにより、袋6と取出口5の接触抵抗を十分に小さく抑えることができる。
【0019】
図4は、ケース入り袋1を正面から見た図である。取出口5がケース2の側面2cまで延びて側面開口5bが形成されるので図4に示すように、上面2f側からだけでなく、側面2c側から、或いは上面2fと側面2cの中間(斜め方向)からも袋6を取り出すことができる。これにより、上方スペースにあまり余裕が無い狭小な場所にケース入り袋1が設置された場合でも、容易に袋6を取り出すことができる。
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明のケース入り袋1によれば、ケース2内の袋6が取り出しやすく、かつ取り出しスピードを速めることができ、しかも設置スペースを節約できるという優れた効果が得られる。
【0021】
なお、上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかるケース入り袋の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるケース入り袋の側面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるケース入り袋の断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるケース入り袋の正面図である。
【図5】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ケース入り袋
2 ケース
2a 前面
2b 背面
2c,2d 側面
2e 底面
2f 上面
3 取出口形成部
4 ミシン目
5 取出口
6 袋
7 心材
7a 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面、背面、左右の側面、底面及び上面を有し内部に袋を収容するための箱状のケースと、
前記ケース内に収容された複数の袋と、を備え、
前記各袋は、上下に積層されて積層体をなし、該積層体が上下方向に蛇行し且つ蛇行する積層体の端面がケースの側面側を向く状態で、前記ケース内に収容されており、
前記ケースは、該ケースから袋を取り出す取出口を形成するための取出口形成部を有し、前記取出口はケースの上面から一方の側面にわたって開口するものである、ことを特徴とするケース入り袋。
【請求項2】
前記取出口は、前記上面における左右方向の開口寸法が該上面の左右方向寸法の1/2以上であり、前記側面における上下方向の開口寸法が該側面の上下方向寸法の1/2以上である、請求項1記載のケース入り袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−91008(P2009−91008A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263455(P2007−263455)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(591140776)ミタチパッケージ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】