ケース組み立て用シート、包装ケース及び包装体
【課題】透明なプラスチックシートを折り曲げて簡単に包装ケースに組み立て可能であり、ケース内部に物品をその位置をずらしたり傾けたりせずに所定の収納位置に保持して運搬や展示販売に供することができる包装ケースを提供する。
【解決手段】シート上に被包装物3の周囲を囲う前面壁21、下面壁22、後面壁23、上面壁24及び糊代片25を折れ線26で区画して直列に配置し、下面壁22と後面壁23と上面壁24とに、包装ケース2の内方へ突出していて被包装物3の外面に係合する成形保持部22A、23A、24Aを設けてケース内部で物品3の収納位置を規制する。
【解決手段】シート上に被包装物3の周囲を囲う前面壁21、下面壁22、後面壁23、上面壁24及び糊代片25を折れ線26で区画して直列に配置し、下面壁22と後面壁23と上面壁24とに、包装ケース2の内方へ突出していて被包装物3の外面に係合する成形保持部22A、23A、24Aを設けてケース内部で物品3の収納位置を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明度の高いプラスチックにより成形されたシートを所定形状に打ち抜き、その表面に形成された折れ線に沿って折り曲げて組み立てられ、化粧品や日用品その他の物品を収納して販売や展示に供するのに好適なプラスチックシート製の包装ケース及びこれを組み立てるためのケース組み立て用シートの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品などの店頭で展示販売に供される物品を包装する包装ケースとして、表面に折れ線が付された所定形状の透明なプラスチックシートを前記折れ線に沿って折り曲げて組み立てられる構成のものが利用されている。
図13は従来の包装ケースの一例を示し、同図(A)に示された包装ケース100は、被包装物である物品110の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁101、後面壁102、下面壁103及び上面壁104、104を備え、一側の上面壁104の端部に連設させた吊り下げ孔105aが形成されてなる孔吊り下げ片105に、他側の上面壁104の端部に設けた糊代片106を接着して左右両側が開口した縦長なリング状に形成され、開口からケース内部に挿入された物品110の上部を前面壁101及び後面壁102の内側へ傾斜して屈曲した部分で挟持して、物品110がケース内部に保持されるように構成したものである。
また、同図(B)に示された包装ケース100は、前面壁101に連設した上面壁104に挿通口104aを形成し、上面壁104の端部に設けた糊代片106を後面壁102に接着して左右が開口した筒状に形成され、開口からケース内部に挿入した物品110の首部110aを挿通口104aに係入させることにより、物品110がケース内部に保持されるように構成したものである(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−191032号公報
【特許文献2】特開2000−191031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13に示された包装ケース100は、簡単に組み立てることが可能であり、物品110をケース内部に起立させた状態で包装して展示販売に供することができるものの、同図(A)に示されたものは搬送時や展示作業時などのケースを取り扱う過程で包装ケース100の左右の開口から物品110が脱落して抜け落ち易いという問題がある。
一方、同図(B)に示されたものは上面壁104の挿通口104aに物品110の首部110aを係入させてあるので、物品110がケース内部から脱落し難いものの、ケース内部から物品110を取り出す際に挿通口104aの周縁に首部110aが引っ掛かりやすく、物品110と包装ケース100とを分離し難いという問題がある。
また、図示した包装ケース100は何れもキャップ付きの瓶体のような上部が先細った形態の物品110の包装に適するように形成されたものであり、他の形態の物品、例えば円柱状の口紅ケースといった太さが略均一な物品をケース内部に保持して包装するには適さない。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、所定形状の透明なプラスチックシートを折り曲げて簡単に包装ケースに組み立て可能であり、包装する物品の形態に応じてケース内部で位置をずらしたり傾けたりせずに物品を所定の位置に安定的に保持して包装することができ、また、包装された物品をケース内部から容易に取り出すことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁及び/又は上面壁に、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0007】
前記構成のケース組み立て用シートにおいて、前面壁及び/又は後面壁に、被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成とするのが好ましい。この成形保持部は被包装物の形態に応じ、被包装物の外面に則した形状とすることができる。
前面壁及び/又は後面壁に設けられた成形保持部は、前面壁及び/又は後面壁の面内から包装ケースの外方又は内方へ突出していて被包装物の外面の一部に接合する凹面部とすることができる。
【0008】
前記構成のケース組み立て用シートは、その前面壁の上部に、吊り下げフックに掛止するための貫通孔やスリット、切り欠け部などからなる吊り下げ部を設けて構成することができる。
なお、本発明において、被包装物の下面は、包装ケース内に被包装物を起立させた状態でケースの下面壁上に載る部位の面、被包装物の上面は、これと反対側の部位の面をいう。例えば被包装物が蓋付きのチューブ状の物品であれば、通常の使用状態では蓋側が上面として扱われるが、本発明ではケースの下面壁に載る蓋側の端面が下面、チューブの端部が上面となる。また、被包装物の前面と後面は、包装ケースに被包装物が収納されたときに被包装物の周側面のうちでケースの前面壁と後面壁にそれぞれ面する部分をいい、必ずしも被包装物の周側面でその商品名などが表示されている側の面が前面、その反対側の面が後面になるとは限らない。本発明の包装ケースの後面壁に前記商品名の表示面が面するように被包装物を収納したり、ケースの前面壁と後面壁に被包装物の左右側面がそれぞれ面するように収納したりしてもよい。下面壁と上面壁に設ける成形保持部は、包装される物品の形状に則して、下面壁と上面壁の両方、又は何れか一方に設けることができ、前面壁と後面壁に設ける成形保持部も同様に、前面壁と後面壁の両方、又は何れか一方に設けることができる。
【0009】
本発明の包装ケースは、前記構成のケース組み立て用シートを用い、その表面に付された折れ線に沿ってシートを折り曲げ、糊代片を前面壁に固着することにより組み立てられる。
また、組み立てられた包装ケース内に物品が収納されて包装体が構成され、これを展示販売に供することができる。この場合、ケース組み立て用シートを折り曲げて包装ケースを組み立て、これに物品を収納して包装体を構成しても、或いは展開状態としたケース組み立て用シートの面内に物品を配置した状態でシートを折れ線に沿って折り曲げて、ケースを組み立てつつ物品を包装して包装体を構成しても何れでもよい。
【0010】
本発明のケース組み立て用シートによれば、シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられており、各折れ線に沿ってシートを屈曲し、シートの両端に位置する前面壁と糊代片とを重ね合わせ、重合面を接着剤や粘着テープ、ステープラーなどの固着手段を用いて固着することにより、左右が開口していて前後面壁と上下面壁とで囲われた空間部分を物品の収納部とした包装ケースを組み立てることができる。
シート表面に付された折れ線は、前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片の各面壁間に互いに平行に形成されており、シートを折り曲げる軸方向が同じなので、前面壁、下面壁、後面壁及び上面壁を各折れ線に沿って各々内折れし、上面壁と糊代片を折れ線に沿って外折れするという簡易な操作で包装ケースの組み立てが可能である。
包装ケースに包装される物品は、前記の如く組み立てられた包装ケースの左右何れかの開口からケース内部に挿入して収納され、或いはケース組み立て用シートの面内に物品を配置した状態でケースを組み立てることにより収納されるが、ケース内部で物品はその外面が包装ケースの下面壁又は上面壁に形成された成形保持部に係合し、物品は前記下面壁と上面壁の間で直立した状態に保持される。
包装ケースの下面壁又は上面壁に形成される成形保持部は、ケース内方へ突出していて包装される物品の下端部又は上端部の外周面や端面に係合して物品の収納位置を規制する凸部や凸面部であり、包装される物品の端部形状に応じて、例えばケース内部で物品の端部の位置がずれないように物品の端部の周囲を囲うように凸部を端部輪郭形状に沿って環状に連続させたり、端部輪郭の周囲に所定の間隔を開けて複数の凸部を突設させたりして設けることができる。
包装ケースの左右の開口から物品が脱落し難いように、成形保持部は下面壁又は上面壁の、前記左右の開口に面する位置に突出させて設けることが好ましい。この場合、成形保持部の突出高さは、包装ケースに物品を収納する際の作業性を損なわない範囲に設定される。また、包装ケースを傾けても物品がケースから脱落することなく、ケース内部に確実に保持されるようにするため、成形保持部は下面壁と上面壁の両方に設けることが好ましい。成形保持部を下面壁と上面壁の何れか一方にのみ設ける場合、ケースから物品を脱落し難くするため、成形保持部が設けられていない側の面壁、例えば下面壁のみに成形保持部を設ける場合の上面壁は、物品を包装ケースに収納した状態で物品の端面に密着して接合するように設けることが好ましい。
【0011】
また、上下の面壁の一方又は両方に成形保持部を設けることに加え、包装ケースの前面壁又は後面壁に物品の外面に係合或いは接合する成形保持部が設けられていれば、この成形保持部によりケース内部における物品の変位が規制されてケース内部で物品が傾いたり位置がずれたりするようなことはなく、物品を直立した収納位置に安定的に保持することができる。
包装ケースの前面壁又は後面壁に形成される成形保持部は、包装される物品の前面又は後面に係合し或いは接合して物品の変位を規制する、ケース外方又は内方へ突出した凹凸部や凹凸面部、湾曲面を有する凸部や凹部であり、物品の前面又は後面の全体に接合する形状や一部に接合する形状に設けるなど、包装される物品の形状に則した形状に設けることができる。包装ケースの内方へ突出した複数のリブを包装される物品の外形状に則して配置したものでもよい。
また、包装ケースの剛性を高めるため、前面壁、後面壁、下面壁又は上面壁の各面壁の面内に補強用リブを設けることが好ましい。
補強用リブは、包装ケースの内方又は外方へ突出した凸部や凹部、凹凸溝など適宜な形状及び大きさに設けることができる。包装ケースの外方へ突出するように補強用リブを設ければ、シートを折れ線に沿ってケースに組み立てる際にリブが邪魔とならず好ましい。また、包装ケースの左右の開口に面した部分の剛性を高めるため、補強用リブは、左右の開口に面した各面壁の側端部の周縁部に沿って設けることが好ましい。各面壁の側端部の近傍に複数の補強用リブを設けてよい。
【0012】
また、本発明は、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁及び下面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁と後面壁の糊代片側の端部とに、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
さらに、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁及び下面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられ、前記下面壁に包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられているとともに、前記前面壁及び/又は後面壁に包装ケースの外方又は内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
これらのシートを折り曲げて組み立てられる包装ケースは、一端が太く、他端が狭小な蓋付きのチューブ状の物品などの包装に好適である。
また、本発明は、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、後面壁に包装ケースの内方へ突出していて被包装物の上下端面、左右側面及び後面を包囲して被包装物を保持する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0013】
前記構成において、ケース組み立て用シートを構成するプラスチックシートの材質としては、耐折性が良好なポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、或いはポリ乳酸などの生物由来性樹脂、その他の樹脂単体又はこれらの複合体からなるプラスチックシートを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレート製のシートは、透明性が良好で剛性が高い点で好ましく、中でもアモルファスPET(A−PET)は、より透明性が良好で且つ未延伸であるためシートの方向に関係なく強度が高い点で好ましい。
プラスチックシートの肉厚は、0.1〜0.8mmに設定することができる。0.1mmより薄いとシート面板の折れ曲がりや破損を来しやすくなり、0.8mmよりも厚いと折り曲げ加工に要する圧力は大となる。耐折性や剛性などを考慮すると、0.2〜0.6mmに設定することが好ましい。
プラスチックシートの表面に形成される、折れ線である折り曲げ罫線の種類は問わず、ミシン目などのスリットを断続させた罫線や凹穴状の押し罫線、V字やU字状、台形状の溝を断続又は連続させた罫線、溝内を二段溝状とした二段罫線、筋状の溝を平行に近接配置した罫線などプラスチックシートを罫線に沿って折り曲げることが可能な適宜な種類の罫線をケースの寸法やプラスチックシートの材質、剛性、厚みなどに応じて適宜に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)〜(C)は本発明の第1実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図2】(A)〜(C)は本発明の第2実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図3】(A)〜(C)は本発明の第3実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図4】(A)及び(B)は本発明の第4実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図5】(A)及び(B)は本発明の第5実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図6】(A)及び(B)は本発明の第6実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は本発明の第7実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図8】(A)及び(B)は本発明の第8実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図9】本発明の第9実施形態の包装体の外観図である。
【図10】(A)及び(B)は本発明の第10実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図11】本発明の第11実施形態のケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図12】(A)〜(C)は本発明の第12実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図13】(A)及び(B)は従来の包装ケースで物品を包装した状態の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態の包装体とケース組み立て用シートと包装ケースとを示しており、本形態の包装体1は、円柱状の物品3を包装するべく形成されたケース組み立てシート2Sを折り曲げて包装ケース2を構成し、この包装ケース2に物品3を収納して、ケース内部で物品3を立たせた状態に保持して展示販売に供されるように構成してある。
【0016】
ケース組み立てシート2Sは、同図(B)に示されるように、透明な帯状プラスチックシートの表面に複数本の折れ線26を所定間隔開けて平行に付設してなり、当該シート上に、物品3の前面、下面、後面及び上面を囲う、前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24と糊代片25とを各々の面壁間を折れ線26で区画して直列に配置するとともに、下面壁22と後面壁23と上面壁24とにケース内部に収納される物品3の外面に係合して物品3の収納位置を規制する成形保持部22A、23A、24Aをそれぞれ設けて形成してある。
より詳しくは、下面壁22の成形保持部22Aと上面壁24の成形保持部24Aは包装ケース2を組み立てた状態でケース内方へ突出する凸部であり、下面壁22の成形保持部22Aは物品3の下端凹面部に係合する下面壁22の中央に設けた凸部と、物品3の下端部周面に係合する下面壁22の四隅に設けた凸部とからなり、また、上面壁24の成形保持部24Aは物品3の上端周面に係合する上面壁22の左右両縁に設けた凸部からなっている。物品3の上下端部周面に係合する成形保持部22A、24Aはともに物品3の上下端部の輪郭に沿った形状に突設させてある。
後面壁23の成形保持部23Aは、ケース外方へ突出する凸面部であり、物品3の上端部の略半面から下端部近傍に亘る外面の一部に係合するように、後面壁22から物品3の外面に沿った断面円弧状の湾曲面を外方へ膨出させて形成してある。
また、前記前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24の両側縁部には、縁部を外方へ湾曲させてなる補強用リブ29を設けてある。
【0017】
そして、前記構成のケース組み立て用シート2Sの前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24を各面壁の折れ線26に沿って各々内折れするとともに上面壁24と糊代片25を折れ線26に沿って外折れし、糊代片25と前面壁21の重合面を接着剤などで固着することにより、同図(C)に示されるように、左右が開口していて前後面壁21、23と上下面壁22、24とで囲われた空間部分を物品3の収納部とした包装ケース2が組み立てられる。
かかる包装ケース2の左右何れかの開口からケース内部に物品3を挿入して前記収納部に収納することにより包装体1が構成され、ケース内部で物品3はその上下端部が上下面壁22、24の成形保持部22A、24Aに係合し、また、後面側の周面の一部が後面壁23の成形保持部23Aに係合して直立した状態に保持され、包装体1が斜めに傾いたり振動や衝撃が加わったりしても、前記各成形保持部22A、23A、24Aにより物品3の位置が規制され、ケース内部で収納位置がずれたり傾いたり、左右の開口から抜け落ちたりすることはない。
また、物品3の取り出しは、糊代片25を剥がして包装ケース2を展開し、或いは包装ケース2から物品3を押し出すことにより行われ、簡単な操作で物品3から包装ケース2を分離することが可能である。
【0018】
図2は本発明の第2実施形態の包装体とケース組み立て用シートと包装ケースとを示しており、本形態は前記形態と同じ円柱状の物品3を包装ケース2に収納して包装体1を構成したものである。
詳しくは、ケース組み立て用シート2Sは、その下面壁22に物品3の下端凹面部に係合する凸部からなる成形保持部22A、上面壁24の左右両側に物品3の上端周面に係合する凸部からなる成形保持部24Aをそれぞれケース内方へ突出させて設け、また、前面壁21と後面壁23の両方の面内に、物品3の上下端部間の外面の一部に係合する断面円弧状の湾曲面からなる成形保持部21A、23Aをそれぞれケース外方へ膨出させて形成してある。
そして、前記形態と同様にケース組み立て用シート2Sの各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21の重合面を固着して、同図(C)に示されるように、左右が開口していて前後面壁21、23と上下面壁22、24とで囲われた空間部分を物品3の収納部とした包装ケース2を組み立て、包装ケース2の左右の何れかの開口からケース内部に物品3を挿入して前記収納部に収納して包装体1が構成されている。
【0019】
図3は本発明の第3実施形態の包装体とケース組み立て用シートと包装ケースとを示しており、本形態は比較的大径の臼型の物品3を包装ケース2に収納して包装体1を構成したものである。
本形態では、ケース組み立て用シート2Sが、第1実施形態と同様に、その下面壁22と後面壁23と上面壁24とにケース内部に収納される物品3の外面に係合して物品3の収納位置を規制する成形保持部22A、23A、24Aをそれぞれ設けて形成されており、包装ケース2の組み立ては、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21との重合面を固着することにより行われ、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1が構成される。
【0020】
図4は本発明の第4実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22に物品3の下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22Aを設ける一方、上面壁24には成形保持部を設けずに物品3の上端面に接合するように設けるとともに、後面壁23に物品3の上端部の略半面から側面の中間高さ位置の近傍に亘る外面の一部に係合するように、物品3の外面に沿った湾曲面形状の成形保持部23Aをケース外方へ突出させて形成し、当該シートの各折れ線26に沿って各面壁を折り曲げて包装ケース2を組み立て、前記第1実施形態と同様の円柱状の物品3をケース内部に収納して包装体1を構成したものである。
【0021】
図5は本発明の第5実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態も前記形態と同様に、ケース組み立て用シート2Sをその下面壁22と後面壁23に成形保持部22A、23Aをそれぞれ設けて形成し、シートの各折れ線26に沿って各面壁を折り曲げて包装ケース2を組み立て、前記第3実施形態と同様の臼型の物品3をケース内部に収納して包装体1を構成したものである。
【0022】
図6は本発明の第6実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22と上面壁24の左右両縁にケース内方へ突出していて物品3の上下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22A、24Aをそれぞれ設けるとともに、その後面壁23にケース内方へ突出して物品3の側面に係合する湾曲面を備えた凸部からなる成形保持部23Aを設けて形成し、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21との重合面を固着して包装ケース2を組み立て、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1を構成したものである。
【0023】
図7は本発明の第7実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22と上面壁24の四隅にケース内方へ突出していて物品3の上下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22A、24Aをそれぞれ設けるとともに、その後面壁23にケース内方へ突出していて物品3の側面に係合する湾曲面を備えた凸部からなる成形保持部23Aを設けて形成し、前記形態と同様に、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21との重合面を固着して包装ケース2を組み立て、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1を構成したものである。
【0024】
図8は本発明の第8実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22の面内と上面壁24の左右縁部にケース内方へ突出していて物品3の上下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22A、24Aをそれぞれ設けるとともに、その後面壁23にケース内方へ突出していて物品3の側面に係合する湾曲面を備えた凸部からなる成形保持部23Aを設けて形成し、前記形態と同様に、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で包装ケース2を組み立て、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1を構成したものである。
【0025】
図9は本発明の第9実施形態の包装体を示しており、これは、第8実施形態と同様な、一端が太く、他端が狭小な蓋付きのチューブ状の物品3の包装に適するように包装ケース2を形成し、これに物品3を収納して包装体1を構成したものである。
詳しくは、本形態では、ケース組み立てシート2Sを物品3の前面、下面、後面及び上面を囲う、前面壁21、下面壁22及び後面壁23と糊代片25とを各々の面壁間を折れ線26で区画して直列に配置し、下面壁22と後面壁23の糊代片25側の端部とにケース内方へ突出した成形保持部22A、23Aをそれぞれ設けて形成し、当該シート2Sを折り曲げて包装ケース2を組み立て、その内部に収納された物品3が、その上下端部が下面壁22の成形保持部22Aと後面壁23の成形保持部23Aに係合して直立した状態に保持され、成形保持部22A、23Aで物品3の収納位置が規制されるように構成してある。
【0026】
図10は本発明の第10実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、これは包装ケース2をその後面壁23にケース内方へ突出していて物品3の周囲を包囲して保持する凹陥部である成形保持部23Aを設け、この成形保持部23A内に物品3を収納して包装体1を構成したものである。
詳しくは、ケース組み立て用シート2Sは、シート上に折れ線26で区画された前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24と糊代片25とを直列に配置するとともに、後面壁23の面内にケース内方へ突出した台座部27を設け、この台座部27内に物品3の前面を除く周面、すなわち上面、下面、左右側面及び後面が包囲されるように物品3の外面形状及び厚みに則して凹んだ凹陥部である成形保持部23Aを設けて形成してある。なお、符番28は、前面壁21の上部に設けた吊り下げ部であるフック用通孔である。
そして、前記成形保持部23Aに物品3を収納した状態で、各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21の重合面を固着して包装ケース2を組み立てることにより、ケース内部の収納位置に物品3を保持した包装体1が構成される。
本形態においても、ケース内部で物品3が、その外面が成形保持部23Aに係合して直立した状態に保持され、包装体1が斜めに傾いたり振動や衝撃が加わったりしても、成形保持部24A内で物品3の位置が規制されるため、ケース内部で収納位置がずれたり傾いたり左右の開口から抜け落ちたりすることはない。
【0027】
図11は本発明の第11実施形態のケース組み立て用シートを示しており、これは第10実施形態と同様に後面壁23の面内に台座部27を設けるとともに台座部27内に物品3の外面及び厚みに則して凹んだ凹陥部である成形保持部23Aを設け、さらにこの成形保持部23A内に物品3の上下端部に嵌合する位置決め用突起23A1、23A1を形成したものである。凹陥部である成形保持部23Aは、収納する物品3の形状に応じて形成可能である。
【0028】
図12は本発明の第12実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、これは前記第8、第9実施形態と同様なチューブ状の物品3の包装に適するように構成したものである。
詳しくは、本形態のケース組み立てシート2Sは、包装する物品3の前面、下面、後面及び上面を囲う、前面壁21、下面壁22及び後面壁23と糊代片25とを各々の面壁間を折れ線26で区画して直列に配置し、下面壁22にケース内方へ突出した成形保持部22Aを設けるとともに、後面壁23にケース外方へ突出した成形保持部23Aを設けて形成してある。
成形保持部22Aは、下面壁22の両側に、物品3の蓋部の外周面に外形に沿った輪郭の凸部をそれぞれ形成してなるものであり、両凸部の内面に物品3の蓋部が係合するように設けてある。成形保持部23Aは、後面壁23に、物品3の後面の一部が接合する湾曲面を有する凸部と、チューブ状物品3の尻部である幅広な端部が係合する凸段部を形成してなるものであり、包装ケース2内に蓋部を下方に向けて収納された物品3の後面部と尻部に成形保持部23Aが接合して収納位置を規制するように設けてある。
本形態の包装ケース2は、展開状態のケース組み立て用シート2Sを表面に設けた各折れ線26に沿って前記各面壁を折り曲げ、糊代片25を前面壁22に重ね合わせ、重合面を接着剤や粘着テープ、ステープラーなどの固着手段を用いて固着することにより組み立てられる。包装ケース2の組み立ては、展開したケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で前記の如く各面壁を折り曲げて、つまり物品3の包装と同時に行うことができ、また、包装ケース2を組み立てた後、包装ケース2の左右開口部から物品3をケース内部に挿入し、物品3の蓋部と尻部及び後面を前記成形保持部22A、23Aに係合させて収納してもよい。
包装ケース2に収納された物品3は、ケース内部で物品3の蓋部が成形保持部22Aに、その後面の一部と尻部が成形保持部23Aにそれぞれ係合して直立した状態に保持され、包装体1が斜めに傾いたり振動や衝撃が加わったりしても、両成形保持部22A、23A内で物品3の位置が規制されるため、ケース内部で収納位置がずれたり傾いたり左右の開口から抜け落ちたりすることはない。
【0029】
なお、図示した包装体1、ケース組み立て用シート2S及び包装ケース3は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれらに限定されず、収納する物品の形態や包装の態様などに応じて他の適宜な形態で構成することが可能である。各図に示した構成の組み合わせは適宜に行われる。また、図1〜図3には、前記前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24の両側部を含む周縁に沿って補強用リブ29を連続して設けて形態を示したが、各面壁に側端部近傍や面内の適宜な位置に部分的に設けてよい。
【符号の説明】
【0030】
1 包装体、2 包装ケース、2S ケース組み立て用シート、21 前面壁、22 下面壁、23 後面壁、24 上面壁、25 糊代片、26 折れ線、27 台座部、28 吊り下げ部、29 補強用リブ、21A,22A,23A,24A 成形保持部、3 物品
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明度の高いプラスチックにより成形されたシートを所定形状に打ち抜き、その表面に形成された折れ線に沿って折り曲げて組み立てられ、化粧品や日用品その他の物品を収納して販売や展示に供するのに好適なプラスチックシート製の包装ケース及びこれを組み立てるためのケース組み立て用シートの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品などの店頭で展示販売に供される物品を包装する包装ケースとして、表面に折れ線が付された所定形状の透明なプラスチックシートを前記折れ線に沿って折り曲げて組み立てられる構成のものが利用されている。
図13は従来の包装ケースの一例を示し、同図(A)に示された包装ケース100は、被包装物である物品110の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁101、後面壁102、下面壁103及び上面壁104、104を備え、一側の上面壁104の端部に連設させた吊り下げ孔105aが形成されてなる孔吊り下げ片105に、他側の上面壁104の端部に設けた糊代片106を接着して左右両側が開口した縦長なリング状に形成され、開口からケース内部に挿入された物品110の上部を前面壁101及び後面壁102の内側へ傾斜して屈曲した部分で挟持して、物品110がケース内部に保持されるように構成したものである。
また、同図(B)に示された包装ケース100は、前面壁101に連設した上面壁104に挿通口104aを形成し、上面壁104の端部に設けた糊代片106を後面壁102に接着して左右が開口した筒状に形成され、開口からケース内部に挿入した物品110の首部110aを挿通口104aに係入させることにより、物品110がケース内部に保持されるように構成したものである(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−191032号公報
【特許文献2】特開2000−191031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13に示された包装ケース100は、簡単に組み立てることが可能であり、物品110をケース内部に起立させた状態で包装して展示販売に供することができるものの、同図(A)に示されたものは搬送時や展示作業時などのケースを取り扱う過程で包装ケース100の左右の開口から物品110が脱落して抜け落ち易いという問題がある。
一方、同図(B)に示されたものは上面壁104の挿通口104aに物品110の首部110aを係入させてあるので、物品110がケース内部から脱落し難いものの、ケース内部から物品110を取り出す際に挿通口104aの周縁に首部110aが引っ掛かりやすく、物品110と包装ケース100とを分離し難いという問題がある。
また、図示した包装ケース100は何れもキャップ付きの瓶体のような上部が先細った形態の物品110の包装に適するように形成されたものであり、他の形態の物品、例えば円柱状の口紅ケースといった太さが略均一な物品をケース内部に保持して包装するには適さない。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、所定形状の透明なプラスチックシートを折り曲げて簡単に包装ケースに組み立て可能であり、包装する物品の形態に応じてケース内部で位置をずらしたり傾けたりせずに物品を所定の位置に安定的に保持して包装することができ、また、包装された物品をケース内部から容易に取り出すことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁及び/又は上面壁に、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0007】
前記構成のケース組み立て用シートにおいて、前面壁及び/又は後面壁に、被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成とするのが好ましい。この成形保持部は被包装物の形態に応じ、被包装物の外面に則した形状とすることができる。
前面壁及び/又は後面壁に設けられた成形保持部は、前面壁及び/又は後面壁の面内から包装ケースの外方又は内方へ突出していて被包装物の外面の一部に接合する凹面部とすることができる。
【0008】
前記構成のケース組み立て用シートは、その前面壁の上部に、吊り下げフックに掛止するための貫通孔やスリット、切り欠け部などからなる吊り下げ部を設けて構成することができる。
なお、本発明において、被包装物の下面は、包装ケース内に被包装物を起立させた状態でケースの下面壁上に載る部位の面、被包装物の上面は、これと反対側の部位の面をいう。例えば被包装物が蓋付きのチューブ状の物品であれば、通常の使用状態では蓋側が上面として扱われるが、本発明ではケースの下面壁に載る蓋側の端面が下面、チューブの端部が上面となる。また、被包装物の前面と後面は、包装ケースに被包装物が収納されたときに被包装物の周側面のうちでケースの前面壁と後面壁にそれぞれ面する部分をいい、必ずしも被包装物の周側面でその商品名などが表示されている側の面が前面、その反対側の面が後面になるとは限らない。本発明の包装ケースの後面壁に前記商品名の表示面が面するように被包装物を収納したり、ケースの前面壁と後面壁に被包装物の左右側面がそれぞれ面するように収納したりしてもよい。下面壁と上面壁に設ける成形保持部は、包装される物品の形状に則して、下面壁と上面壁の両方、又は何れか一方に設けることができ、前面壁と後面壁に設ける成形保持部も同様に、前面壁と後面壁の両方、又は何れか一方に設けることができる。
【0009】
本発明の包装ケースは、前記構成のケース組み立て用シートを用い、その表面に付された折れ線に沿ってシートを折り曲げ、糊代片を前面壁に固着することにより組み立てられる。
また、組み立てられた包装ケース内に物品が収納されて包装体が構成され、これを展示販売に供することができる。この場合、ケース組み立て用シートを折り曲げて包装ケースを組み立て、これに物品を収納して包装体を構成しても、或いは展開状態としたケース組み立て用シートの面内に物品を配置した状態でシートを折れ線に沿って折り曲げて、ケースを組み立てつつ物品を包装して包装体を構成しても何れでもよい。
【0010】
本発明のケース組み立て用シートによれば、シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられており、各折れ線に沿ってシートを屈曲し、シートの両端に位置する前面壁と糊代片とを重ね合わせ、重合面を接着剤や粘着テープ、ステープラーなどの固着手段を用いて固着することにより、左右が開口していて前後面壁と上下面壁とで囲われた空間部分を物品の収納部とした包装ケースを組み立てることができる。
シート表面に付された折れ線は、前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片の各面壁間に互いに平行に形成されており、シートを折り曲げる軸方向が同じなので、前面壁、下面壁、後面壁及び上面壁を各折れ線に沿って各々内折れし、上面壁と糊代片を折れ線に沿って外折れするという簡易な操作で包装ケースの組み立てが可能である。
包装ケースに包装される物品は、前記の如く組み立てられた包装ケースの左右何れかの開口からケース内部に挿入して収納され、或いはケース組み立て用シートの面内に物品を配置した状態でケースを組み立てることにより収納されるが、ケース内部で物品はその外面が包装ケースの下面壁又は上面壁に形成された成形保持部に係合し、物品は前記下面壁と上面壁の間で直立した状態に保持される。
包装ケースの下面壁又は上面壁に形成される成形保持部は、ケース内方へ突出していて包装される物品の下端部又は上端部の外周面や端面に係合して物品の収納位置を規制する凸部や凸面部であり、包装される物品の端部形状に応じて、例えばケース内部で物品の端部の位置がずれないように物品の端部の周囲を囲うように凸部を端部輪郭形状に沿って環状に連続させたり、端部輪郭の周囲に所定の間隔を開けて複数の凸部を突設させたりして設けることができる。
包装ケースの左右の開口から物品が脱落し難いように、成形保持部は下面壁又は上面壁の、前記左右の開口に面する位置に突出させて設けることが好ましい。この場合、成形保持部の突出高さは、包装ケースに物品を収納する際の作業性を損なわない範囲に設定される。また、包装ケースを傾けても物品がケースから脱落することなく、ケース内部に確実に保持されるようにするため、成形保持部は下面壁と上面壁の両方に設けることが好ましい。成形保持部を下面壁と上面壁の何れか一方にのみ設ける場合、ケースから物品を脱落し難くするため、成形保持部が設けられていない側の面壁、例えば下面壁のみに成形保持部を設ける場合の上面壁は、物品を包装ケースに収納した状態で物品の端面に密着して接合するように設けることが好ましい。
【0011】
また、上下の面壁の一方又は両方に成形保持部を設けることに加え、包装ケースの前面壁又は後面壁に物品の外面に係合或いは接合する成形保持部が設けられていれば、この成形保持部によりケース内部における物品の変位が規制されてケース内部で物品が傾いたり位置がずれたりするようなことはなく、物品を直立した収納位置に安定的に保持することができる。
包装ケースの前面壁又は後面壁に形成される成形保持部は、包装される物品の前面又は後面に係合し或いは接合して物品の変位を規制する、ケース外方又は内方へ突出した凹凸部や凹凸面部、湾曲面を有する凸部や凹部であり、物品の前面又は後面の全体に接合する形状や一部に接合する形状に設けるなど、包装される物品の形状に則した形状に設けることができる。包装ケースの内方へ突出した複数のリブを包装される物品の外形状に則して配置したものでもよい。
また、包装ケースの剛性を高めるため、前面壁、後面壁、下面壁又は上面壁の各面壁の面内に補強用リブを設けることが好ましい。
補強用リブは、包装ケースの内方又は外方へ突出した凸部や凹部、凹凸溝など適宜な形状及び大きさに設けることができる。包装ケースの外方へ突出するように補強用リブを設ければ、シートを折れ線に沿ってケースに組み立てる際にリブが邪魔とならず好ましい。また、包装ケースの左右の開口に面した部分の剛性を高めるため、補強用リブは、左右の開口に面した各面壁の側端部の周縁部に沿って設けることが好ましい。各面壁の側端部の近傍に複数の補強用リブを設けてよい。
【0012】
また、本発明は、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁及び下面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁と後面壁の糊代片側の端部とに、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
さらに、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁及び下面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられ、前記下面壁に包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられているとともに、前記前面壁及び/又は後面壁に包装ケースの外方又は内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
これらのシートを折り曲げて組み立てられる包装ケースは、一端が太く、他端が狭小な蓋付きのチューブ状の物品などの包装に好適である。
また、本発明は、表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、後面壁に包装ケースの内方へ突出していて被包装物の上下端面、左右側面及び後面を包囲して被包装物を保持する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0013】
前記構成において、ケース組み立て用シートを構成するプラスチックシートの材質としては、耐折性が良好なポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、或いはポリ乳酸などの生物由来性樹脂、その他の樹脂単体又はこれらの複合体からなるプラスチックシートを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレート製のシートは、透明性が良好で剛性が高い点で好ましく、中でもアモルファスPET(A−PET)は、より透明性が良好で且つ未延伸であるためシートの方向に関係なく強度が高い点で好ましい。
プラスチックシートの肉厚は、0.1〜0.8mmに設定することができる。0.1mmより薄いとシート面板の折れ曲がりや破損を来しやすくなり、0.8mmよりも厚いと折り曲げ加工に要する圧力は大となる。耐折性や剛性などを考慮すると、0.2〜0.6mmに設定することが好ましい。
プラスチックシートの表面に形成される、折れ線である折り曲げ罫線の種類は問わず、ミシン目などのスリットを断続させた罫線や凹穴状の押し罫線、V字やU字状、台形状の溝を断続又は連続させた罫線、溝内を二段溝状とした二段罫線、筋状の溝を平行に近接配置した罫線などプラスチックシートを罫線に沿って折り曲げることが可能な適宜な種類の罫線をケースの寸法やプラスチックシートの材質、剛性、厚みなどに応じて適宜に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)〜(C)は本発明の第1実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図2】(A)〜(C)は本発明の第2実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図3】(A)〜(C)は本発明の第3実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図4】(A)及び(B)は本発明の第4実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図5】(A)及び(B)は本発明の第5実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図6】(A)及び(B)は本発明の第6実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は本発明の第7実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図8】(A)及び(B)は本発明の第8実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図9】本発明の第9実施形態の包装体の外観図である。
【図10】(A)及び(B)は本発明の第10実施形態の包装体の外観図とケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図11】本発明の第11実施形態のケース組み立て用シートの展開斜視図である。
【図12】(A)〜(C)は本発明の第12実施形態の包装体の外観図、ケース組み立て用シートの平面図及び包装ケースの側面図である。
【図13】(A)及び(B)は従来の包装ケースで物品を包装した状態の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態の包装体とケース組み立て用シートと包装ケースとを示しており、本形態の包装体1は、円柱状の物品3を包装するべく形成されたケース組み立てシート2Sを折り曲げて包装ケース2を構成し、この包装ケース2に物品3を収納して、ケース内部で物品3を立たせた状態に保持して展示販売に供されるように構成してある。
【0016】
ケース組み立てシート2Sは、同図(B)に示されるように、透明な帯状プラスチックシートの表面に複数本の折れ線26を所定間隔開けて平行に付設してなり、当該シート上に、物品3の前面、下面、後面及び上面を囲う、前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24と糊代片25とを各々の面壁間を折れ線26で区画して直列に配置するとともに、下面壁22と後面壁23と上面壁24とにケース内部に収納される物品3の外面に係合して物品3の収納位置を規制する成形保持部22A、23A、24Aをそれぞれ設けて形成してある。
より詳しくは、下面壁22の成形保持部22Aと上面壁24の成形保持部24Aは包装ケース2を組み立てた状態でケース内方へ突出する凸部であり、下面壁22の成形保持部22Aは物品3の下端凹面部に係合する下面壁22の中央に設けた凸部と、物品3の下端部周面に係合する下面壁22の四隅に設けた凸部とからなり、また、上面壁24の成形保持部24Aは物品3の上端周面に係合する上面壁22の左右両縁に設けた凸部からなっている。物品3の上下端部周面に係合する成形保持部22A、24Aはともに物品3の上下端部の輪郭に沿った形状に突設させてある。
後面壁23の成形保持部23Aは、ケース外方へ突出する凸面部であり、物品3の上端部の略半面から下端部近傍に亘る外面の一部に係合するように、後面壁22から物品3の外面に沿った断面円弧状の湾曲面を外方へ膨出させて形成してある。
また、前記前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24の両側縁部には、縁部を外方へ湾曲させてなる補強用リブ29を設けてある。
【0017】
そして、前記構成のケース組み立て用シート2Sの前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24を各面壁の折れ線26に沿って各々内折れするとともに上面壁24と糊代片25を折れ線26に沿って外折れし、糊代片25と前面壁21の重合面を接着剤などで固着することにより、同図(C)に示されるように、左右が開口していて前後面壁21、23と上下面壁22、24とで囲われた空間部分を物品3の収納部とした包装ケース2が組み立てられる。
かかる包装ケース2の左右何れかの開口からケース内部に物品3を挿入して前記収納部に収納することにより包装体1が構成され、ケース内部で物品3はその上下端部が上下面壁22、24の成形保持部22A、24Aに係合し、また、後面側の周面の一部が後面壁23の成形保持部23Aに係合して直立した状態に保持され、包装体1が斜めに傾いたり振動や衝撃が加わったりしても、前記各成形保持部22A、23A、24Aにより物品3の位置が規制され、ケース内部で収納位置がずれたり傾いたり、左右の開口から抜け落ちたりすることはない。
また、物品3の取り出しは、糊代片25を剥がして包装ケース2を展開し、或いは包装ケース2から物品3を押し出すことにより行われ、簡単な操作で物品3から包装ケース2を分離することが可能である。
【0018】
図2は本発明の第2実施形態の包装体とケース組み立て用シートと包装ケースとを示しており、本形態は前記形態と同じ円柱状の物品3を包装ケース2に収納して包装体1を構成したものである。
詳しくは、ケース組み立て用シート2Sは、その下面壁22に物品3の下端凹面部に係合する凸部からなる成形保持部22A、上面壁24の左右両側に物品3の上端周面に係合する凸部からなる成形保持部24Aをそれぞれケース内方へ突出させて設け、また、前面壁21と後面壁23の両方の面内に、物品3の上下端部間の外面の一部に係合する断面円弧状の湾曲面からなる成形保持部21A、23Aをそれぞれケース外方へ膨出させて形成してある。
そして、前記形態と同様にケース組み立て用シート2Sの各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21の重合面を固着して、同図(C)に示されるように、左右が開口していて前後面壁21、23と上下面壁22、24とで囲われた空間部分を物品3の収納部とした包装ケース2を組み立て、包装ケース2の左右の何れかの開口からケース内部に物品3を挿入して前記収納部に収納して包装体1が構成されている。
【0019】
図3は本発明の第3実施形態の包装体とケース組み立て用シートと包装ケースとを示しており、本形態は比較的大径の臼型の物品3を包装ケース2に収納して包装体1を構成したものである。
本形態では、ケース組み立て用シート2Sが、第1実施形態と同様に、その下面壁22と後面壁23と上面壁24とにケース内部に収納される物品3の外面に係合して物品3の収納位置を規制する成形保持部22A、23A、24Aをそれぞれ設けて形成されており、包装ケース2の組み立ては、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21との重合面を固着することにより行われ、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1が構成される。
【0020】
図4は本発明の第4実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22に物品3の下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22Aを設ける一方、上面壁24には成形保持部を設けずに物品3の上端面に接合するように設けるとともに、後面壁23に物品3の上端部の略半面から側面の中間高さ位置の近傍に亘る外面の一部に係合するように、物品3の外面に沿った湾曲面形状の成形保持部23Aをケース外方へ突出させて形成し、当該シートの各折れ線26に沿って各面壁を折り曲げて包装ケース2を組み立て、前記第1実施形態と同様の円柱状の物品3をケース内部に収納して包装体1を構成したものである。
【0021】
図5は本発明の第5実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態も前記形態と同様に、ケース組み立て用シート2Sをその下面壁22と後面壁23に成形保持部22A、23Aをそれぞれ設けて形成し、シートの各折れ線26に沿って各面壁を折り曲げて包装ケース2を組み立て、前記第3実施形態と同様の臼型の物品3をケース内部に収納して包装体1を構成したものである。
【0022】
図6は本発明の第6実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22と上面壁24の左右両縁にケース内方へ突出していて物品3の上下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22A、24Aをそれぞれ設けるとともに、その後面壁23にケース内方へ突出して物品3の側面に係合する湾曲面を備えた凸部からなる成形保持部23Aを設けて形成し、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21との重合面を固着して包装ケース2を組み立て、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1を構成したものである。
【0023】
図7は本発明の第7実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22と上面壁24の四隅にケース内方へ突出していて物品3の上下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22A、24Aをそれぞれ設けるとともに、その後面壁23にケース内方へ突出していて物品3の側面に係合する湾曲面を備えた凸部からなる成形保持部23Aを設けて形成し、前記形態と同様に、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21との重合面を固着して包装ケース2を組み立て、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1を構成したものである。
【0024】
図8は本発明の第8実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、本形態はケース組み立て用シート2Sをその下面壁22の面内と上面壁24の左右縁部にケース内方へ突出していて物品3の上下端部の周面に係合する凸部からなる成形保持部22A、24Aをそれぞれ設けるとともに、その後面壁23にケース内方へ突出していて物品3の側面に係合する湾曲面を備えた凸部からなる成形保持部23Aを設けて形成し、前記形態と同様に、展開状態のケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で包装ケース2を組み立て、ケース内部の収納位置に物品3を保持して包装体1を構成したものである。
【0025】
図9は本発明の第9実施形態の包装体を示しており、これは、第8実施形態と同様な、一端が太く、他端が狭小な蓋付きのチューブ状の物品3の包装に適するように包装ケース2を形成し、これに物品3を収納して包装体1を構成したものである。
詳しくは、本形態では、ケース組み立てシート2Sを物品3の前面、下面、後面及び上面を囲う、前面壁21、下面壁22及び後面壁23と糊代片25とを各々の面壁間を折れ線26で区画して直列に配置し、下面壁22と後面壁23の糊代片25側の端部とにケース内方へ突出した成形保持部22A、23Aをそれぞれ設けて形成し、当該シート2Sを折り曲げて包装ケース2を組み立て、その内部に収納された物品3が、その上下端部が下面壁22の成形保持部22Aと後面壁23の成形保持部23Aに係合して直立した状態に保持され、成形保持部22A、23Aで物品3の収納位置が規制されるように構成してある。
【0026】
図10は本発明の第10実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、これは包装ケース2をその後面壁23にケース内方へ突出していて物品3の周囲を包囲して保持する凹陥部である成形保持部23Aを設け、この成形保持部23A内に物品3を収納して包装体1を構成したものである。
詳しくは、ケース組み立て用シート2Sは、シート上に折れ線26で区画された前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24と糊代片25とを直列に配置するとともに、後面壁23の面内にケース内方へ突出した台座部27を設け、この台座部27内に物品3の前面を除く周面、すなわち上面、下面、左右側面及び後面が包囲されるように物品3の外面形状及び厚みに則して凹んだ凹陥部である成形保持部23Aを設けて形成してある。なお、符番28は、前面壁21の上部に設けた吊り下げ部であるフック用通孔である。
そして、前記成形保持部23Aに物品3を収納した状態で、各面壁を折れ線26に沿って折り曲げ、糊代片25と前面壁21の重合面を固着して包装ケース2を組み立てることにより、ケース内部の収納位置に物品3を保持した包装体1が構成される。
本形態においても、ケース内部で物品3が、その外面が成形保持部23Aに係合して直立した状態に保持され、包装体1が斜めに傾いたり振動や衝撃が加わったりしても、成形保持部24A内で物品3の位置が規制されるため、ケース内部で収納位置がずれたり傾いたり左右の開口から抜け落ちたりすることはない。
【0027】
図11は本発明の第11実施形態のケース組み立て用シートを示しており、これは第10実施形態と同様に後面壁23の面内に台座部27を設けるとともに台座部27内に物品3の外面及び厚みに則して凹んだ凹陥部である成形保持部23Aを設け、さらにこの成形保持部23A内に物品3の上下端部に嵌合する位置決め用突起23A1、23A1を形成したものである。凹陥部である成形保持部23Aは、収納する物品3の形状に応じて形成可能である。
【0028】
図12は本発明の第12実施形態の包装体とケース組み立て用シートを示しており、これは前記第8、第9実施形態と同様なチューブ状の物品3の包装に適するように構成したものである。
詳しくは、本形態のケース組み立てシート2Sは、包装する物品3の前面、下面、後面及び上面を囲う、前面壁21、下面壁22及び後面壁23と糊代片25とを各々の面壁間を折れ線26で区画して直列に配置し、下面壁22にケース内方へ突出した成形保持部22Aを設けるとともに、後面壁23にケース外方へ突出した成形保持部23Aを設けて形成してある。
成形保持部22Aは、下面壁22の両側に、物品3の蓋部の外周面に外形に沿った輪郭の凸部をそれぞれ形成してなるものであり、両凸部の内面に物品3の蓋部が係合するように設けてある。成形保持部23Aは、後面壁23に、物品3の後面の一部が接合する湾曲面を有する凸部と、チューブ状物品3の尻部である幅広な端部が係合する凸段部を形成してなるものであり、包装ケース2内に蓋部を下方に向けて収納された物品3の後面部と尻部に成形保持部23Aが接合して収納位置を規制するように設けてある。
本形態の包装ケース2は、展開状態のケース組み立て用シート2Sを表面に設けた各折れ線26に沿って前記各面壁を折り曲げ、糊代片25を前面壁22に重ね合わせ、重合面を接着剤や粘着テープ、ステープラーなどの固着手段を用いて固着することにより組み立てられる。包装ケース2の組み立ては、展開したケース組み立て用シート2Sの下面壁22上に物品3を載せた状態で前記の如く各面壁を折り曲げて、つまり物品3の包装と同時に行うことができ、また、包装ケース2を組み立てた後、包装ケース2の左右開口部から物品3をケース内部に挿入し、物品3の蓋部と尻部及び後面を前記成形保持部22A、23Aに係合させて収納してもよい。
包装ケース2に収納された物品3は、ケース内部で物品3の蓋部が成形保持部22Aに、その後面の一部と尻部が成形保持部23Aにそれぞれ係合して直立した状態に保持され、包装体1が斜めに傾いたり振動や衝撃が加わったりしても、両成形保持部22A、23A内で物品3の位置が規制されるため、ケース内部で収納位置がずれたり傾いたり左右の開口から抜け落ちたりすることはない。
【0029】
なお、図示した包装体1、ケース組み立て用シート2S及び包装ケース3は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれらに限定されず、収納する物品の形態や包装の態様などに応じて他の適宜な形態で構成することが可能である。各図に示した構成の組み合わせは適宜に行われる。また、図1〜図3には、前記前面壁21、下面壁22、後面壁23及び上面壁24の両側部を含む周縁に沿って補強用リブ29を連続して設けて形態を示したが、各面壁に側端部近傍や面内の適宜な位置に部分的に設けてよい。
【符号の説明】
【0030】
1 包装体、2 包装ケース、2S ケース組み立て用シート、21 前面壁、22 下面壁、23 後面壁、24 上面壁、25 糊代片、26 折れ線、27 台座部、28 吊り下げ部、29 補強用リブ、21A,22A,23A,24A 成形保持部、3 物品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁及び/又は上面壁に、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられ、
前面壁及び/又は後面壁に、被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項2】
前面壁及び/又は後面壁に設けられた成形保持部は、前面壁及び/又は後面壁の面内から包装ケースの外方又は内方へ突出していて被包装物の外面の一部に接合する凹面部であることを特徴とする請求項1に記載のケース組み立て用シート。
【請求項3】
前面壁、後面壁、下面壁又は上面壁の何れかの面壁の面内に補強用のリブが設けられた構成を有することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のケース組み立て用シート。
【請求項4】
表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁及び下面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
シート上に前面壁、下面壁、後面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁と後面壁の糊代片側の端部とに、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項5】
表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、後面壁に包装ケースの内方へ突出していて被包装物の上下端面、左右側面及び後面を包囲して被包装物を保持する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項6】
前面壁の上部に吊り下げ部を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のケース組み立て用シート。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のケース組み立て用シートをその表面に付された折れ線に沿って折り曲げ、糊代片を前面壁に固着して組み立てられる包装ケース。
【請求項8】
請求項7に記載の包装ケースに物品が収納されてなる包装体。
【請求項1】
表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁及び/又は上面壁に、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられ、
前面壁及び/又は後面壁に、被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項2】
前面壁及び/又は後面壁に設けられた成形保持部は、前面壁及び/又は後面壁の面内から包装ケースの外方又は内方へ突出していて被包装物の外面の一部に接合する凹面部であることを特徴とする請求項1に記載のケース組み立て用シート。
【請求項3】
前面壁、後面壁、下面壁又は上面壁の何れかの面壁の面内に補強用のリブが設けられた構成を有することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のケース組み立て用シート。
【請求項4】
表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁及び下面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
シート上に前面壁、下面壁、後面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、下面壁と後面壁の糊代片側の端部とに、包装ケースの内方へ突出していて被包装物の外面に係合する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項5】
表面に折れ線が付された所定形状のプラスチックシートであって折れ線に沿ってシートを折り曲げることにより被包装物の前面、後面、下面及び上面を囲う前面壁、後面壁、下面壁及び上面壁を備えた包装ケースに組み立てられるケース組み立て用シートにおいて、
シート上に前面壁、下面壁、後面壁、上面壁及び糊代片が折れ線で区画されて直列して設けられているとともに、後面壁に包装ケースの内方へ突出していて被包装物の上下端面、左右側面及び後面を包囲して被包装物を保持する成形保持部が設けられた構成を有することを特徴とするケース組み立て用シート。
【請求項6】
前面壁の上部に吊り下げ部を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のケース組み立て用シート。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のケース組み立て用シートをその表面に付された折れ線に沿って折り曲げ、糊代片を前面壁に固着して組み立てられる包装ケース。
【請求項8】
請求項7に記載の包装ケースに物品が収納されてなる包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−229060(P2012−229060A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160338(P2012−160338)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【分割の表示】特願2011−170723(P2011−170723)の分割
【原出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(591123252)菱江産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【分割の表示】特願2011−170723(P2011−170723)の分割
【原出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(591123252)菱江産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]