説明

ケース

【課題】 閉塞部の組み立てが容易で、且つ閉塞部に力が作用しても閉塞状態を維持させることができるケースを提供する。
【解決手段】 被収容物を収容する収容空間を形成すべく、間隔を有して対向した一対の壁部1a,1bと、少なくとも一対の壁部1a,1bの一端部間を閉塞する閉塞部2とを備え、前記一対の壁部1a,1b及び閉塞部2がシート材Sを折曲加工して形成されたケースにおいて、前記閉塞部2は、一対の壁部1a,1bのそれぞれの端縁12a,13を基端にして延設されると共に、延出量の合計が壁部1a,1bの間隔よりも長くなるように形成された一対の延出部20,21で構成され、該一対の延出部20,21は、先端同士が接続され、その接続部位が一対の壁部1a,1b間に位置するように基端で折り曲げられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被収容物を収容するためのケースに関し、特には、被収容物を収容するための収容空間を形成すべく、間隔を有して対向した一対の壁部と、前記収容空間内の被収容物が脱落するのを防止すべく、一対の壁部の端部間を閉塞する閉塞部とが、シート材を折曲加工して形成されたケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シート材(紙シート、樹脂シート等)を折曲加工して形成されたケースには、種々の形態のものがあり、例えば、被収容物を収容する収容空間を形成すべく、所定の間隔を有して配設された一対の壁部と、前記収容空間内の被収容物が脱落するのを防止すべく、一対の壁部の端部間を閉塞する閉塞部とを備えたものがある。
【0003】
前記一対の壁部は、互いの側端同士が直接接続され、円筒状或いは扁平筒状のケース本体を構成したり、側壁を介して側端同士が間接的に接続され、角筒状或いは多角筒状のケース本体を構成したりしている。すなわち、被収容物が収容される収容空間を画定するケース本体は、一対の壁部同士の接続態様によって種々の形態のものがある。
【0004】
これに伴い、閉塞部の形態にも様々なものがあり、例えば、図9(イ)に示す如く、一対の壁部100a,100bの両側端同士が接続されてケース本体100が構成されると共に、一方の壁部100aの下端縁を基端にしてフラップ101が延設され、該フラップ101をケース本体100内に折り返すことで、該フラップ101で閉塞部200を構成するようにしたものがある。該ケースのフラップ101は、基端からの延出量が一対の壁部100a,100bの間隔よりも長くなるように形成されており、折り返しによる弾性が作用してフラップ101の先端が他方の壁部100bの内面に接触することでケース本体100の下端開口(壁部100a,100bの下端縁間)を閉塞状態にできるようになっている。
【0005】
また、図9(ロ)に示す如く、一対の壁部100a,100bの両側端同士が接続されてケース本体100が構成されると共に、各壁部100a,100bの下端縁を基端にして延設されたフラップ102a,102b同士を係合させることで、閉塞部200を構成するようにしたものもある。
【0006】
前記一対のフラップ102a,102bのうちの一方のフラップ102aは、基端となる一方の壁部100aの下端縁でケース本体100内に折り返されており、該一方の壁部100aと当該フラップ102aとの間に他方のフラップを嵌入(係合)させるための隙間を形成している。他方のフラップ102bは、他方の壁部100bの下端を基端にして延出した折返部103と、該折返部103の先端を基端にして延出した底部104と、該底部104の先端を基端にして延出した係合片105とで構成されている。前記底部104は、基端からの延出量が一対の壁部100a,100b間の間隔に対応するように形成されており、前記係合片105は、基端からの延出量が折返部103の延出量と略同じに形成されている。該ケースは、折返部103をケース本体100内に折り返し、さらに底部104を基端で一方の壁部100a側に折り曲げた状態で、係合片105を一方のフラップ102aと壁部100aとの間に隙間に嵌め込むことで、閉塞部200を構成するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来のケース(図9(イ)及び図9(ロ)に示すケース)の何れも、局部的な荷重が作用したときに閉塞部200の閉塞状態が解除されたり、閉塞状態が解除されたときに被収容物が脱落してしまったりするといった問題がある。
【0008】
即ち、図9(イ)に示したケースの閉塞部200は、フラップ101をケース本体100内に折り返しただけの構成であるため、何らかの原因で衝撃が生じるなどした場合にフラップ101が変形してケース本体100から抜け出てしまい、閉塞部200の閉塞状態を維持できないといった問題がある。
【0009】
また、図9(ロ)に示したケースの閉塞部200は、壁部100aと一方のフラップ102aとの間の隙間に他方のフラップ102bの係合片105を嵌め込むことで構成されているため、他方のフラップ102b(底部104)に荷重や衝撃が作用すると、その力が係合片105を介して一方のフラップ102aに作用し、その結果、一対のフラップ102a,102bは、係合状態が解除されてケース本体100から抜け出てしまい、閉塞部200の閉塞状態を維持できないといった問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、閉塞部の組み立てが容易で、且つ閉塞部に力が作用しても閉塞状態を維持させることができるケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のケースは、被収容物を収容する収容空間を形成すべく、間隔を有して対向した一対の壁部と、前記収容空間内の被収容物が脱落するのを防止すべく、前記一対の壁部の端部間を閉塞する閉塞部とを備え、前記一対の壁部及び閉塞部がシート材を折曲加工して形成されたケースにおいて、前記閉塞部は、一対の壁部のそれぞれの端縁を基端にして延設されると共に、延出量の合計が各延出部の基端となる壁部の端縁同士の間隔よりも長くなるように形成された一対の延出部で構成され、該一対の延出部は、先端同士が接続され、その接続部位が一対の壁部間に位置するように基端で折り曲げられていることを特徴とする。なお、「閉塞」とは、完全に閉塞する(閉じる)ことは勿論のこと、部分的に閉じることを含む概念である。
【0012】
上記構成のケースによれば、前記閉塞部を構成する一対の延出部の延出量の合計が各延出部の基端となる壁部の端縁同士の間隔よりも長くなるように形成されているので、被収容物を収容する収容空間(壁部間)から一対の延出部に荷重(力)が作用しても、一対の延出部が壁部間から押し出されることなく、壁部の端部間を閉塞状態で維持させることができる。即ち、延出部が延設された一対の壁部の端縁同士を結ぶ直線距離よりも、連続する一対の延出部の延出量の合計の方が長いので、一対の延出部を歪に変形させるような過大な力が作用しない限り、一対の延出部が壁部間から押し出されることがなく、閉塞状態を維持させることができる。
【0013】
また、当該ケースを組み立てる前において一対の延出部は壁部の端縁から外側に延出した状態をなしていることになるが、一対の壁部及び延出部がシートから形成されているので、連続した一対の延出部を強制的に変形させて壁部間に押し込むだけで、上記作用により壁部間から押し出されることのない閉塞部が形成されることになる。
【0014】
また、仮に過大な力が作用して一対の延出部が外側に押し出された、或いは押し出されそうになっても、閉塞部を構成する一対の延出部は、先端同士接続されて連続的に形成されているので、壁部間(収容空間内)から被収容物が脱落してしまうといった事態になるのを防止することができる。
【0015】
本発明の一態様として、前記一方の延出部は、基端からの延出量を壁部間の間隔と略同一にして形成されると共に、他方の延出部は、基端からの延出量を一方の延出部の延出量の略半分にして形成され、しかも、一方の延出部が延設された一方の壁部の端縁が、他方の延出部が延設された他方の壁部の端縁よりも他方の延出部の延出量と略同等の距離をおいて反対側の端縁側に位置した構成としてもよい。
【0016】
このようにすれば、一対の延出部を壁部間内に押し込んだ状態で、一方の延出部が一方の壁部に対して略直角をなすと共に、他方の延出部が他方の壁部の内面に沿った態様となり、その結果、一対の延出部同士が接続された接続部分(折曲罫線が設けられている場合は折曲罫線)が他方の壁部側に位置する(壁部に隣接する)ことになるので、一方の延出部に荷重等が作用しても他方の延出部に対して軸力として作用し、該他方の延出部に座屈が発生しない限り、一対の延出部で壁部の端部間を閉塞状態で維持させることができる。
【0017】
つまり、他方の延出部を座屈させるほどの過大な力が作用しない限り、閉塞部による壁部の端部間の閉塞を維持させることができる。また、このような寸法設定にすれば、第一延出部を一方の壁部に対して略直角にすることができるので、見栄えがよい上に、例えば、ケース本体を起立した使用態様にした場合には、被収容物を安定して配置できる底として機能させることができる。
【0018】
また、本発明の他態様として、前記閉塞部は、前記一方の壁部の端縁を基端にして延出し、一方の延出部の両側に連続して形成された補助閉塞部を更に備え、前記補助閉塞部は、一方の延出部を壁部間に押し込むことで、該延出部の曲げに追従して変形し、該延出部と壁部との間を閉塞するように形状設定されてもよい。このようにすれば、壁部の端部間の略全域を閉塞することができ、収容することのできる被収容物の種類が多くなる。つまり、壁部の端部間の略全域が閉塞されれば、被収容物が壁部間から出てしまうことを確実に防止することができ、多種の被収容物を収容できるケースにすることができる。
【0019】
この場合、前記閉塞部は、前記他方の壁部の端縁を基端にして延出し、他方の延出部の両側に連続して形成された被覆部を更に備え、該被覆部は、一対の延出部を壁部間に押し込んだ状態で、他方の延出部の曲げに追従して壁部間に折り返り、前記補助閉塞部に外方側から覆い被さるように形状設定されていることが好ましい。このようにすれば、一対の延出部に大きな力が作用しても、被覆部の存在によって閉塞部が壁部間から押し出されてしまうのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のケースによれば、閉塞部の組み立てが容易で、且つ閉塞部に力が作用しても閉塞状態を維持させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係るケースについて、添付図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係るケースは、図1(イ、ロ、ハ)に示す如く、樹脂製のシート材(後述する原シート)を折曲加工して形成されたものであり、被収容物(図示しない)を収容する収容空間Aを形成すべく、所定間隔を有して対向する一対の壁部1a,1bと、前記収容空間A内の被収容物が外部に脱落するのを防止すべく、一対の壁部1a,1bの端部間(一端部間)を閉塞する閉塞部である底部2とを備えている。
【0023】
前記一対の壁部1a,1bのそれぞれは、略矩形状(略長方形状)をなしており、短手方向の両端(側端)同士が接続され、扁平筒状のケース本体10を構成している。また、該ケース本体10は、一対の壁部1a,1bの他端縁で画定される開口を開閉可能な蓋片11を備えており、一方の壁部1aには、該蓋片11の先端部を係止可能な係止片14が設けられている。前記蓋片11は、他方の壁部1bの他端縁を基端に延設されており、基端で一方の壁部1a側に折り返した状態で、他端開口を閉塞し、前記係止片に先端部を係止させることで当該蓋片11の姿勢を維持(他端開口に対する閉塞状態を維持)できるようになっている。
【0024】
前記一方の壁部1aの一端縁は、中央部分で側端と直交する方向に延びる直縁部12aと、該直縁部12aの両端から各側端に向けて傾斜する傾斜縁部12bとで構成されており、該傾斜縁部12bは、側端に向くにつれて他端(反対側の端縁)から離間する方向に延びている。その一方で、他方の壁部1bの一端縁13は側端に対して略直角をなした直線状に形成されている。
【0025】
前記底部2は、ケース本体10と一体的に形成されている。該底部2は、一対の壁部1a,1bのそれぞれの一端縁を基端にして延設され、互いの先端同士が接続された一対の延出部20,21で構成されており、該一対の延出部20,21の境界には、折曲罫線Lが設けられている。つまり、該底部2は、折曲罫線Lを介して連続する二つの延出部20,21のそれぞれが各壁部1a,1bの一端縁に接続されて形成されている。前記折曲罫線Lは、他の部分よりも厚みが薄くなるようにシート材に線状の溝を形成することにより構成されている。
【0026】
前記一方の延出部(以下、第一延出部という。)20は、一方の壁部1aの一端縁(直縁部12a)を基端にして延設されており、他方の延出部(以下、第二延出部という。)21は、他方の壁部1bの一端縁13を基端にして延設されている。該第一延出部20及び第二延出部21は、それぞれの基端からの延出量の合計がケース本体10を構成する一対の壁部1a,1bの間隔よりも長くなるように、延出量(長さ)が設定されている。これにより、第一延出部20及び第二延出部21は、境界(折曲罫線L)が一対の壁部1a,1b間に位置するように、ケース本体10の内側に折り曲げられた態様になっている。
【0027】
つまり、図2に示す如く、第一延出部20と第二延出部21との延出量の合計が一方の壁部1aの一端縁(直縁部12a)と他方の壁部1bの一端縁13とを結ぶ直線距離よりも長くなるように設定されており、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に折り曲げて底部2を構成したときに、第一延出部20と第二延出部21との境界が、一対の壁部1a,1bの一端縁12a,13同士(一方の壁部1aの直縁部12aと他方の壁部1bの一端縁13)を結ぶ仮想線Lcよりも、壁部1a,1b間側に位置する一方で、第一延出部20及び第二延出部21で底部2を形成する前(ケースを組み立てる前)において、第一延出部20及び第二延出部21が壁部1a,1bの一端縁から外方側に延出し、第一延出部20と第二延出部21との境界が、一対の壁部1a,1bの一端縁12a,13同士(一方の壁部1aの直縁部12aと他方の壁部1bの一端縁13)を結ぶ仮想線Lcよりも、外側に位置するようになっている。
【0028】
これにより、第一延出部20及び第二延出部21をケース本体10内に折り曲げて底部2を構成した状態で、一対の壁部1a,1b間(収容空間A)内に被収容物を収容した際に、内部から荷重が作用しても第一延出部20及び第二延出部21が外側に押し出されるのを防止するようになっている。つまり、第一延出部20と第二延出部21とで底部2を構成した状態において、一対の壁部1a,1bが所定の間隔を有してケース本体10を構成しているので、収容空間A側から第一延出部20及び第二延出部21に荷重が作用しても、一対の壁部1a,1bが所定間隔で維持しようとするため、第一延出部20及び第二延出部21が変形(座屈)しない限り、閉塞状態が維持されるようになっている。
【0029】
本実施形態において、第一延出部20の基端からの延出量は一対の壁部1a,1b間の間隔(最大間隔)と略同一に設定され、第二延出部21の基端からの延出量は、第一延出部20の延出量の略半分に設定されている。即ち、前記第一延出部20と第二延出部21との延出量の比は2:1に設定されている。さらに、第一延出部20及び第二延出部21の延出量をこのように設定するに伴い、他方の壁部1bの長手方向の長さが一方の壁部1aの長手方向の他端から直縁部12aまでの長さに比して、第二延出部21の延出量と略同等の長さ分長く設定されている。即ち、第一延出部20が延設された一方の壁部1aの一端(直縁部12a)が、第二延出部21が延設された他方の壁部1bの一端縁13よりも第二延出部21の延出量と略同等の距離をおいて他端側(反対の端縁側)に位置するように構成されている。
【0030】
これにより、第一延出部20をケース本体10の内側(収容空間A側)に折り曲げた際に、折曲罫線Lが一対の壁部1a,1b間(収容空間A側)に位置した状態で、第二延出部21が他方の壁部1bに対向すると共に、第一延出部20が一方の壁部1aに対して略直角に折り曲がるようになっている。すなわち、本実施形態に係るケースが、第一延出部20が水平な底を形成しており、被収容物を安定して収容できるようになっている。なお、本実施形態に係るケースは、他方の壁部1bの両側端の全長に亘って貼着片30が延設されており、境界に形成された折曲罫線Lを介して該貼着片30を折り曲げると共に、接着剤を介して一方の壁部1aの外面に貼着することで、一対の壁部1a,1bが接続されている。これにより、一対の壁部1a,1bで扁平筒状のケース本体10を形成すると同時に、該貼着片30が一方の壁部1aを延長した態様となって脚的役割を担うようになっている。
【0031】
図1(イ、ロ、ハ)に戻り、前記底部2は、該第一延出部20の両側に連続して形成され、前記傾斜縁部(一方の壁部1aの一端)12bを基端にして延出した補助閉塞部である補助底部23を備えている。該補助底部23は、第一延出部20を壁部1a,1b間に押し込むことで、第一延出部20の曲げに追従して変形し、第一延出部20と壁部1a,1bとの間の空間を閉塞するように形状設定されている。
【0032】
前記第一延出部20と併せて補助底部23についてさらに具体的に説明すると、第一延出部20は、基端から先端に向けて先細な台形状に形成されており、前記補助底部23は、該第一延出部20の傾斜辺と一方の壁部1aにおける傾斜縁部12bとに折曲罫線Lを介して接続されており、壁部1a,1bの短手方向の端縁(側端縁)上に位置する傾斜縁部12bの一端から第二延出部21に向けて先細りした四角形状に形成されている。本実施形態においては、第一延出部20と補助底部23との境界には、折曲罫線Lが設けられており、一対の壁部1a,1bを所定間隔に離間させて扁平筒状のケース本体10を形成すると共に、上述の如く、第一延出部20を壁部1aに対して略直角に曲げたときに、該第一延出部20の曲げに追従して変形し、一対の壁部1a,1bの両側端部12b,13間と第一延出部20の傾斜辺とで画定される略三角形状の空間を閉塞するようになっている。
【0033】
さらに、前記底部2は、前記他方の壁部1bの直線状の一端縁13を基端にして延出し、第二延出部21の両側に連続して形成された被覆部24を備えている。なお、本実施形態において、第二延出部21と被覆部24とが連続して形成されて略長方形状をなしており、被覆部24の角部は、補助底部23の湾曲に対応させて丸みを持たせている。
【0034】
第二延出部21は、上述の如く、先端が第一延出部20の先端に折曲罫線Lを介して接続されているが、被覆部24は、第二延出部21を介して略長方形状を呈しているので、第一延出部20及び補助底部23には接続されていない。該被覆部24は、第二延出部21をケース本体10内に折り返した状態、即ち、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込んだ状態において、第一延出部20の曲げに追従して変形する補助底部23に対して開口(外方)側から覆い被さった(わずかに押さえ込んだ)態様となっている。これにより、閉塞部としての底部2が開口側に押し出されて閉塞状態が解除されるのを確実に防止できるようにしている。
【0035】
なお、該ケースは、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込むに際し、補助底部23が変形して開口を閉塞してから、被覆部24が補助底部23に対して開口側から重なり合うように、第一延出部20と第二延出部21との接続距離(折曲罫線Lの長さ)が設定されており、本実施形態においては、第一延出部20の先端と第二延出部21の先端との接続部分(折曲罫線L)の両端部に切り込みが入れられている。
【0036】
本実施形態に係るケースは、以上の構成からなり、次に、上記ケースの作製について説明する。前記ケースを作製するに当たり、図3に示す原シートSが用意される。
【0037】
前記原シートSは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂から硬質、又は半硬質に形成されたシート材を裁断して形成されており、肉厚が0.1乃至0.8mmのものが採用されている。該原シートSは、前記一対の壁部1a,1bを形成するための一対の壁部形成領域5a,5bと、貼着片30を形成するための貼着片形成領域6と、底部2を形成するための底部形成領域7と、前記蓋片11を形成するための蓋片形成領域8とで構成されている。
【0038】
一方の壁部1aを形成するための一方の壁部形成領域5aは、略長方形状に形成され、一端部が底辺を外側にした台形状に切り欠かれた形状になっており、長手方向の一端縁が、長手方向と略直交する方向で直線状をなす直縁部12a(台形の上辺部分に相当する端縁)が中央部分に形成されると共に、該直縁部12aの両端から短手方向の両端(壁部における側端)に向けて傾斜する傾斜縁部12bとで構成されている。
【0039】
前記傾斜縁部12bは、短手方向の両端に向かうにつれて長手方向の他端から離間するように傾斜しており、長手方向の一端部における角部が三角形状を呈して突出した態様をなしている。このように一端縁を構成するのは、扁平筒状のケース本体10(図1参照)の両側端側の空間を閉塞すべく第一延出部20の曲げに追従して変形する前記補助底部23を形成するためである。
【0040】
また、該一方の壁部形成領域5aの他端側には、半円弧状の切り込みが他端に向けて凸に形成されており、該切り込みによって包囲された領域で、前記係止片14が形成されている。
【0041】
他方の壁部形成領域5bは、長方形状に形成されており、長手方向の長さが一方の壁部形成領域5aの短手方向の端縁(長手方向に延びる端縁)と略同一に設定されている。
【0042】
前記貼着片形成領域6は、他方の壁部形成領域5bの短手方向の両端縁を基端にして全長に亘って延設されており、壁部形成領域5bとの境界には折曲罫線Lが設けられている。
【0043】
前記底部形成領域7は、前記第一延出部20を形成するための第一延出部形成領域70と、第二延出部21を形成するための第二延出部形成領域71とで構成されている。
【0044】
前記第一延出部形成領域70は、前記一方の壁部形成領域5aの直縁部12aを基端に延設されており、基端からの延出量は、壁部形成領域5a,5bをケース本体10に形成した際の壁部形成領域5a,5b(壁部1a,1b)間の間隔と略同一に設定されている。該第一延出部形成領域70は、平面視略台形状に形成されており、底辺が直縁部12aの全長に亘って接続され、壁部形成領域5aとの境界には折曲罫線Lが設けられている。
【0045】
第二延出部形成領域71は、図3において太線で長方形状に包囲された領域であり、略長方形状に形成されている。第二延出部形成領域71は、短手方向の一端縁が他方の壁部形成領域5bの一端縁13に接続され、他端縁(先端)が前記第一延出部形成領域70の先端に接続されている。該第二延出部形成領域71の延出量は、第一延出部形成領域70の延出量の略半分に設定されている。これにより、一方の壁部形成領域5aの他端から第一延出部形成領域70の先端までの距離が、他方の壁部形成領域5bの他端から第二延出部形成領域71の先端までの距離と同一になるようになっている。また、第一延出部形成領域70と第二延出部形成領域71との境界には、折曲罫線Lが設けられている。なお、上述の如く、閉塞部2を形成すべく、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込むに際し、補助底部23が変形して開口を閉塞してから、被覆部24が補助底部23に対して開口側から重なり合うように、第一延出部20(第一延出部形成領域70)と第二延出部21(第二延出部形成領域71)との接続距離(折曲罫線Lの長さ)が設定されており、本実施形態においては、第一延出部20(第一延出部形成領域70)の先端と第二延出部21(第二延出部形成領域71)の先端との接続距離(折曲罫線L)を調整すべく、該折曲罫線Lの両端に隣接して切り込みC,Cが入れられている。
【0046】
また、該底部形成領域7には、前記補助底部23を形成するための補助底部形成領域72が形成されている。該補助底部形成領域72は、一方の壁部形成領域5aの傾斜縁部12bに接続されると共に第一延出部形成領域70の斜辺部分に接続されており、壁部形成領域5aの短手方向の端縁上に位置する傾斜縁部12bの一端から第二延出部形成領域71に向けて先細りした四角形状に形成されている。そして、第一延出部形成領域70と補助底部形成領域72との境界には折曲罫線Lが設けられている。
【0047】
さらに、底部形成領域7には、前記被覆部24を形成するための被覆部形成領域73が形成されている。該被覆部形成領域73は、第二延出部形成領域71と同様に、他方の壁部形成領域5bの一端縁に接続されており、該第二延出部形成領域71の両側に連続して形成されている。該被覆部形成領域73は、前記壁部形成領域5a,5bがケース本体10の壁部1a,1bとなったとき(第一延出部20を落り曲げたとき)に、補助底部23が変形することを考慮して、第一延出部形成領域70側の角部には、補助底部23の変形(湾曲)に対応するように丸みがつけられている。なお、上述の如く、第一延出部形成領域70の先端と第二延出部形成領域71の先端とが接続された態様をなす一方で、補助底部形成領域72は、第二延出部形成領域71に向けて先細りに形成され、且つ第一延出部形成領域70と第二延出部形成領域71との境界の折曲罫線Lの両端に切り込みC,Cが入れられているので、補助底部形成領域72と被覆部形成領域73とは接続されていない。
【0048】
前記蓋片形成領域8は、他方の壁部形成領域5bの長手方向の他端縁を基端にして延設されている。該蓋片形成領域8と他方の壁部形成領域5bとの境界には、折曲罫線Lが設けられている。
【0049】
原シートSは、以上の構成からなり、該原シートSからケースを作製(形成)する工程について説明すると、まず、図4(イ)に示す如く、第一延出部形成領域70と第二延出部形成領域71との境界に設けられた折曲罫線Lで、原シートSを折り返す。この状態で、一方の壁部形成領域5a及び第一延出部形成領域70と、他方の壁部形成領域5b及び第二延出部形成領域71とが重なりあった態様となる。つまり、上述の如く、一方の壁部形成領域5aの他端から第一延出部形成領域70の先端までの距離が、他方の壁部形成領域5bの他端から第二延出部形成領域71の先端までの距離が同一になるように設定されているので、第一延出部形成領域70と第二延出部形成領域71との境界に設けられた折曲罫線Lで、原シートSを折り返すと、一対の壁部形成領域5a,5bの他端縁同士が重なった態様となる。
【0050】
そして、図4(ロ)に示す如く、貼着片形成領域6を折曲罫線Lで折り曲げ、貼着片形成領域6を接着剤や両面粘着テープ等の貼着手段を介して一方の壁部形成領域5aの外面に貼着する。
【0051】
その後、図4(ハ)に示す如く、底部形成領域7を一対の壁部形成領域5a,5b(壁部1a,1b)間に押し込む。そうすると、上述の如く、第一延出部20及び第二延出部21の延出量の合計が、最終形態としてのケース本体10の壁部1a,1b間の間隔よりも長く設定されているため、第一延出部形成領域70及び第二延出部形成領域71が弾性変形した状態(距離の不均衡を調節すべく変形した状態)となり、最終的に、第一延出部形成領域70及び第二延出部形成領域71(第一延出部20及び第二延出部21)が折曲罫線Lに沿って壁部1a,1b間に折り返され、第一延出部20と第二延出部21との境界(折曲罫線L)が壁部1a,1b間に位置することになる。
【0052】
このように第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込むと、図2に示す如く、第一延出部20が壁部1aに対して略直角をなすと共に、第二延出部21が他方の壁部1bの内面に略沿って折り返された態様となる。また、図1(ハ)に示す如く、第一延出部20に連続して形成された補助底部23は、第一延出部20側から壁部1a,1bの側端側に向けて湾曲すると共に、被覆部24が補助底部23に重なった態様、即ち、補助底部23を押さえ込んだ態様となる。これにより、被覆部24は、開口部を閉塞する第一延出部20及び補助閉塞部23が外方に向けて起き上がるのを防止すると同時に第二延出部21が開口側に起き上がるのを防止することになる。
【0053】
この状態で、第一延出部20が、壁部1a,1bに対して略直角(本実施形態においてはケース本体10を起立状態で使用するので略水平)をなすと共に、該第一延出部20によって一対の壁部形成領域5a,5bが互いに離間して(押し広げられ)壁部1a,1bとなり、扁平筒状のケース本体10が構成されることになる。そして、壁部1a,1b間に形成された収容空間Aに被収容物を収容した状態で、蓋片形成領域8(蓋片11)を折曲罫線Lで折り返し、一方の壁部1aに形成された係止片14に該蓋片11の先端部を係止させる(係止片14と壁部との間に挿入する)ことで、蓋片11による他端開口の閉塞が維持されることになる(図1(イ)参照)。なお、上述の如く、係止片14は一方の壁部1aに切り込みを設けることにより形成されたものであるので、蓋片11の先端部を壁部と係止片14との間から抜くことで他端開口の閉塞状態を解除して被収容物を取り出すことができる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係るケースは、一対の壁部1a,1bの端部(一端部)間を閉塞する底部2を、ケース本体10を構成する一対の壁部1a,1bの各一端縁12a,13を基端にして延設されると共に、互いの先端同士が接続された第一延出部20及び第二延出部21で構成し、該第一延出部20及び第二延出部21の基端からの延出量の合計が一対の壁部1a,1b間の間隔よりも長くなるように形成されているので、第一延出部20及び第二延出部21とを強制的に壁部1a,1b間(ケース本体10内)に押し込むだけで、ケース本体10の一端側の開口を閉塞状態で維持させることができる。
【0055】
また、第一延出部20は、基端からの延出量が壁部1a,1b間の間隔と略同一に設定されると共に、第二延出部21は、基端からの延出量が第一延出部20の延出量の略半分に設定され、しかも、一方の壁部1aの一端縁が他方の壁部1bの一端縁よりも第二延出部21の延出量と略同等の距離をおいて他端縁側に位置するようにしたので、第一延出部20によって壁部1aと略直交(水平)をなした底を形成するができる。これにより、見栄えを良くすることができる上に、被収容物を安定して収容することができる。
【0056】
また、第一延出部20が一方の壁部1aに対して略直角をなすと共に、第二延出部21が他方の壁部1bの内面に沿った態様となるので、第一延出部20と第二延出部21とを接続する折曲罫線Lが他方の壁部1b側に位置する(壁部1bに隣接する)ことになり、被収容物の荷重等が第一延出部20に作用しても第二延出部21に対して軸力として作用し、該第二延出部21に座屈が発生しない限り、底部2(第一延出部20及び第二延出部21)を壁部1a,1b間に位置させて閉塞状態を維持させることができる。つまり、第二延出部21を座屈させるほどの過大な力が作用しない限り、底部2による壁部の端部間の閉塞を維持させることができる。
【0057】
さらに、底部2は、一方の壁部1aの一端縁(傾斜縁部12b)を基端にして延出すると共に前記第一延出部20の両側に連続して形成された補助底部23を備えているので、前記一対の壁部1a,1bを所定の間隔に離間させてケース本体10を構成した状態で、補助底部23が第一延出部20の変形(曲げ)に対応するように変形し、第一延出部20と共に壁部1a,1b間の開口の略全域を閉塞させることができる。その上、底部2は、他方の壁部1bの一端縁13を基端にして前記第二延出部21の両側に連続して形成された被覆部24を備え、該被覆部24は、前記第二延出部21を壁部1a,1b間に折り返した状態で前記補助底部23に開口側から覆い被さるように形状設定されているので、収容空間A側から底部に大きな力が作用しても底部が開口側に押し出されるのを確実に防止することができる。
【0058】
また、上述の如く、第一延出部20を壁部1a,1b間に折り曲げた状態で該第一延出部20が壁部に対して略直角(略水平)になるようにすべく、一方の壁部1aの一端部を台形状に切り欠いた形状にしたが、貼着片30を他方の壁部1bの側端の全長に亘って形成するようにしたので、一対の壁部1a,1bの長手方向の長さに長短があっても、貼着片30によって当該ケースを起立状態で配置することができる。
【0059】
次に、本発明の第二実施形態に係るケースについて説明する。なお、第一実施形態と同一の構成、及び第一実施形態の構成に相当する構成については、同一名称及び同一符号を付すると共に、第一実施形態の説明で使用した図面を参酌することとする。
【0060】
本実施形態に係るケースは、図5(イ、ロ、ハ)に示す如く、第一実施形態と同様に、樹脂製のシート材(後述する原シート)を折曲加工して形成されたものであり、被収容物(図示しない)を収容する収容空間Aを形成すべく、所定間隔を有して対向する一対の壁部1a,1bと、前記収容空間A内の被収容物が外部に脱落するのを防止すべく、一対の壁部1a,1bの両側端部間を閉塞する一対の閉塞部2を備えている。
【0061】
前記一対の壁部1a,1bのそれぞれは、略矩形状(略長方形状)をなしており、短手方向の一端同士が折曲罫線Lを介して接続されると共に、他端同士が後述する蓋片11を介して接続され、扁平筒状のケース本体10を構成している。前記一方の壁部1aには、蓋片11の先端部を係止可能な係止片14が設けられている。前記蓋片11は、他方の壁部1bの他端縁を基端に延設されており、基端で一方の壁部1a側に折り返した状態で、他端開口を閉塞し、前記係止片14に先端部を係止させることで当該蓋片11の姿勢を維持(他端開口に対する閉塞状態を維持)できるようになっている。
【0062】
前記一方の壁部1aの長手方向の両端縁(両側端縁)は、中央部分で短手方向の両端縁と直交する方向に延びる直縁部12aと、該直縁部12aの両端から壁部1aの短手方向の各端縁に向けて傾斜する傾斜縁部12bとで構成されており、該傾斜縁部12bは、端縁に向くにつれて反対側の側端から離間する方向に延びている。その一方で、他方の壁部1bの長手方向の両端縁(両側端)13は、短手方向の端縁(一端及び他端)に対して略直角をなした直線状に形成されている。
【0063】
各閉塞部2は、ケース本体10と一体的に形成されている。各閉塞部2は、一対の壁部1a,1bの長手方向の端縁(側端)のそれぞれを基端にして延設され、互いの先端同士が接続された一対の延出部20,21で構成されており、該一対の延出部20,21の境界には、折曲罫線Lが設けられている。つまり、該閉塞部2は、折曲罫線Lを介して連続する二つの延出部20,21のそれぞれが各壁部1a,1bの各側端縁12a,13に接続されて形成されている。前記折曲罫線Lは、他の部分よりも厚みが薄くなるようにシート材に線状の溝を形成することにより構成されている。
【0064】
各閉塞部2の一方の延出部(以下、第一延出部という。)20は、一方の壁部1aの側端縁(直縁部)12aを基端に延出しており、他方の延出部(以下、第二延出部という。21)は、他方の壁部1bの側端縁13を基端に延出している。該第一延出部20及び第二延出部21は、それぞれの基端からの延出量の合計がケース本体10を構成する一対の壁部1a,1bの間隔よりも長くなるように、延出量(長さ)が設定されている。これにより、第一延出部20及び第二延出部21は、境界(折曲罫線L)が一対の壁部1a,1b間に位置するように、ケース本体10の内側に折り曲げられた態様になっている。
【0065】
つまり、図2に示す如く、第一延出部20と第二延出部21との延出量の合計が一方の壁部1aの側端縁(直縁部12a)と他方の壁部1bの側端縁13とを結ぶ直線距離よりも長くなるように設定されており、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に折り曲げて閉塞部2を構成したときに、該第一延出部20と第二延出部21との境界が、一対の壁部1a,1bの側端縁12a,13同士(一方の壁部1aの直縁部12aと他方の壁部1bの側端縁13)を結ぶ仮想線Lcよりも、壁部1a,1b間側に位置する一方で、第一延出部20及び第二延出部21で閉塞部2を形成する前(ケースを組み立てる前)において、第一延出部20及び第二延出部21が壁部1a,1bの一端縁から外方側に延出し、第一延出部20と第二延出部21との境界が、一対の壁部1a,1bの一端縁12a,13同士(一方の壁部1aの直縁部12aと他方の壁部1bの一端縁13)を結ぶ仮想線Lcよりも、外側に位置するようになっている。
【0066】
これにより、第一延出部20及び第二延出部21をケース本体10内に折り曲げて閉塞部2を構成した状態で、一対の壁部1a,1b間(収容空間A)内に被収容物を収容した際に、内部から荷重が作用しても第一延出部20及び第二延出部21が外側に押し出されるのを防止するようになっている。つまり、第一延出部20と第二延出部21とで閉塞部2を構成した状態において、一対の壁部1a,1bが所定の間隔を有してケース本体10を構成しているので、収容空間A側から第一延出部20及び第二延出部21に荷重が作用しても、一対の壁部1a,1bが所定間隔で維持しようとするため、第一延出部20及び第二延出部21が変形(座屈)しない限り、閉塞状態が維持されるようになっている。
【0067】
本実施形態において、第一延出部20の基端からの延出量は一対の壁部1a,1b間の間隔(最大間隔)と略同一に設定され、第二延出部21の基端からの延出量は、第一延出部20の延出量の略半分に設定されている。即ち、前記第一延出部20と第二延出部21との延出量の比は2:1に設定されている。さらに、第一延出部20及び第二延出部21の延出量をこのように設定するに伴い、他方の壁部1bの長手方向の長さ(両側端間の長さ)が一方の壁部1aの長手方向の直縁部12a間の長さに比して、第二延出部21の延出量の略二倍の長さ分長く設定されている。即ち、第一延出部20が延設された一方の壁部1aの側端(直縁部)12aが、第二延出部21が延設された他方の壁部1bの側端縁13よりも第二延出部21の延出量と略同等の距離をおいて反対側の側端縁13側に位置するように構成されている。
【0068】
これにより、第一延出部20をケース本体10の内側(収容空間A側)に折り曲げた際に、折曲罫線Lが一対の壁部1a,1b間(収容空間A側)に位置した状態で、第二延出部21が他方の壁部1bに対向すると共に、第一延出部20が一方の壁部1aに対して略直角に折り曲がるようになっている。
【0069】
図5(イ、ロ、ハ)に戻り、前記閉塞部2は、該第一延出部20の両側に連続して形成され、前記傾斜縁部(一方の壁部1aの側端)12bを基端にして延出した補助閉塞部23を備えている。該補助閉塞部23は、第一延出部20を壁部1a,1b間に押し込むことで、第一延出部20の曲げに追従して変形し、第一延出部20と壁部1a,1bとの間の空間を閉塞するように形状設定されている。
【0070】
前記第一延出部20と併せて補助閉塞部23についてさらに具体的に説明すると、第一延出部20は、基端から先端に受けて先細な台形状に形成されており、前記補助閉塞部23は、該第一延出部20の傾斜辺と一方の壁部1aにおける傾斜縁部12bとに折曲罫線Lを介して接続されており、壁部1a,1bの短手方向の端縁上に位置する傾斜縁部12bの一端から第二延出部21に向けて先細りした四角形状に形成されている。本実施形態においては、第一延出部20と補助閉塞部23との境界には、折曲罫線Lが設けられており、一対の壁部1a,1bを所定間隔に離間させて扁平筒状のケース本体10を形成すると共に、上述の如く、第一延出部20を壁部に対して略直角に曲げたときに、該第一延出部20の曲げに追従して変形し、一対の壁部1a,1bの両側端縁12b,13間と第一延出部20の傾斜辺とで画定される略三角形状の空間を閉塞するようになっている。
【0071】
さらに、前記閉塞部2は、前記他方の壁部1bの直線状の側端縁13を基端にして延出し、第二延出部21の両側に連続して形成された被覆部24を備えている。なお、本実施形態において、第二延出部21と被覆部24とが連続して形成されて略長方形状をなしており、被覆部24の角部は、上述の如く補助閉塞部23の湾曲に対応させて丸みを持たせている。
【0072】
第二延出部21は、上述の如く、先端が第一延出部20の先端に折曲罫線Lを介して接続されているが、被覆部24は、第二延出部21を介して略長方形状を呈しているので、第一延出部20及び補助閉塞部23には接続されていない。該被覆部24は、第二延出部21をケース本体10内に折り返した状態、即ち、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込んだ状態において、第一延出部20の曲げに追従して変形する補助閉塞部23に対して開口(外方)側から覆い被さった(押さえ込んだ)態様となっている。これにより、閉塞部2が開口側に押し出されて閉塞状態が解除されるのを確実に防止できるようにしている。
【0073】
なお、該ケースは、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込むに際し、補助底部23が変形して開口を閉塞してから、被覆部24が補助底部23に対して開口側から重なり合うように、第一延出部20と第二延出部21との接続距離(折曲罫線Lの長さ)が設定されており、本実施形態においては、第一延出部20の先端と第二延出部21の先端との接続部分(折曲罫線L)の両端部に切り込みが入れられている。
【0074】
本実施形態に係るケースは、以上の構成からなり、次に、上記ケースの作製について説明する。前記ケースを作製するに当たり、図6に示す原シートSが用意される。
【0075】
前記原シートSは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂から硬質、又は半硬質に形成されたシート材を裁断して形成されており、肉厚が0.1乃至0.8mmのものが採用されている。該原シートSは、前記一対の壁部1a,1bを形成するための一対の壁部形成領域5a,5bと、閉塞部2を形成するための閉塞部形成領域7と、前記蓋片11を形成するための蓋片形成領域8とで構成されている。
【0076】
一方の壁部1aを形成するための一方の壁部形成領域5aは、略長方形状に形成され、両端部が底辺を外側にした台形状に切り欠かれた形状になっており、長手方向の両側端縁が、長手方向と略直交する方向で直線状をなす直縁部12a(台形の上辺部分に相当する端縁)が中央部分に形成されると共に、該直縁部12aの両端から短手方向の両端に向けて傾斜する傾斜縁部12bとで構成されている。
【0077】
前記傾斜縁部12bは、短手方向の両端に向かうにつれて長手方向の反対側の側端縁12bから離間するように傾斜しており、長手方向の両側端部における角部が三角形状を呈して突出した態様をなしている。このように両端縁を構成するのは、扁平筒状のケース本体10(図5参照)の両端側の空間を閉塞すべく第一延出部20の曲げに追従して変形する前記補助閉塞部23を形成するためである。
【0078】
また、該一方の壁部形成領域5aの他端側には、半円弧状の切り込みが他端に向けて凸に形成されており、該切り込みによって包囲された領域で、前記係止片14を形成している。
【0079】
他方の壁部形成領域5bは、長方形状に形成されており、長手方向の長さが一方の壁部形成領域5aの短手方向の端縁(長手方向に延びる端縁)と略同一に設定されている。
【0080】
前記閉塞部形成領域7は、一方の壁部形成領域5aの長手方向の両側端縁12a,12bに接続して一対形成されており、前記第一延出部20を形成するための第一延出部形成領域70と、第二延出部21を形成するための第二延出部形成領域71とで構成されている。
【0081】
前記第一延出部形成領域70は、前記一方の壁部形成領域5aの各直縁部12aを基端に延設されており、基端からの延出量は、壁部形成領域(壁部)をケース本体10に形成した際の壁部形成領域5a,5b(壁部1a,1b)間の間隔と略同一に設定されている。該第一延出部形成領域70は、平面視略台形状に形成されており、底辺が直縁部12aの全長に亘って接続され、一方の壁部形成領域5aとの境界には折曲罫線Lが設けられている。
【0082】
第二延出部形成領域71は、図6において太線で長方形状に包囲された領域であり、略長方形状に形成されている。第二延出部形成領域71は、前記第一延出部形成領域70の先端を基端に延設されており、該第二延出部形成領域71の延出量は、第一延出部形成領域70の延出量の略半分に設定されている。第一延出部形成領域70と第二延出部形成領域71との境界には、折曲罫線Lが設けられている。なお、上述の如く、閉塞部2を形成すべく、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込むに際し、補助閉塞部23が変形して開口を閉塞してから、被覆部24が補助閉塞部23に対して開口側から重なり合うように、第一延出部20(第一延出部形成領域70)と第二延出部21(第二延出部形成領域71)との接続距離(折曲罫線Lの長さ)が設定されており、本実施形態においては、第一延出部20(第一延出部形成領域70)の先端と第二延出部21(第二延出部形成領域71)の先端との接続距離(折曲罫線L)を調整すべく、該折曲罫線Lの両端に隣接して切り込みC,Cが入れられている。
【0083】
また、各閉塞部形成領域7には、前記補助閉塞部23を形成するための補助閉塞部形成領域72が形成されている。該補助閉塞部形成領域72は、一方の壁部形成領域5aの傾斜縁部12bに接続されると共に第一延出部形成領域70の斜辺部分に接続されており、壁部形成領域5aの短手方向の端縁上に位置する傾斜縁部12bの一端から第二延出部形成領域71に向けて先細りした四角形状に形成されている。そして、第一延出部形成領域70と補助閉塞部形成領域72との境界には折曲罫線Lが設けられている。
【0084】
さらに、各閉塞部形成領域7には、前記被覆部24を形成するための被覆部形成領域73が形成されている。該被覆部形成領域73は、第二延出部形成領域71と同様に、他方の壁部形成領域5bの一端縁に接続されており、該第二延出部形成領域71の両側に連続して形成されている。該被覆部形成領域73は、前記壁部形成領域がケース本体10の壁部1a,1bとなったとき(第一延出部20を落り曲げたとき)に、補助閉塞部23が変形することを考慮して、第一延出部形成領域70側の角部には、補助閉塞部23の変形(湾曲)に対応するように丸みがつけられている。なお、上述の如く、第一延出部形成領域70の先端と第二延出部形成領域71の先端とが接続された態様をなす一方で、補助閉塞部形成領域72は、第二延出部形成領域71に向けて先細りに形成されているので、補助閉塞部形成領域72と被覆部形成領域73とは接続されていない。
【0085】
さらに、前記第一延出部形成領域70及び第二延出部形成領域71を、壁部1a,1bの側端縁12a,13から延出して互いの先端同士が接続された第一延出部20及び第二延出部21にすべく、前記第二延出部形成領域71の先端を基端にして貼着片形成領域6が延設され、該貼着片形成領域6と第二延出部形成領域71との境界には折曲罫線Lが設けられている。つまり、原シートSにおいて、第二延出部形成領域71は、一方の壁部形成領域5aの直縁部12aを基端にして延出した第一延出部形成領域70を介して延設された態様となっているが、ケースに組み立てた状態で、第一延出部形成領域70(第一延出部20)が一方の壁部形成領域5a(壁部1a)から延出した態様になると共に、第二延出部形成領域71(第二延出部21)が他方の壁部形成領域5b(壁部1b)から延出した態様になるようになっている。
【0086】
前記蓋片形成領域8は、他方の壁部形成領域5bの短手方向の他端を基端にして延設されている。該蓋片形成領域8と他方の壁部形成領域5bとの境界には、折曲罫線Lが設けられている。
【0087】
原シートSは、以上の構成からなり、該原シートSからケースを作製(形成)する工程について説明すると、まず、図7(イ)に示す如く、一対の壁部形成領域5a,5bの境界に設けられた折曲罫線Lで原シートSを折り返し、その後、図7(ロ)に示す如く、第一延出部形成領域70と第二延出部形成領域71との境界に設けられた折曲罫線Lで、原シートSを折り返し、貼着片形成領域6と他方の壁部形成領域5bの外面とを接着剤や両面粘着テープ等の貼着手段を介して貼着する。
【0088】
そして、図7(ハ)に示す如く、閉塞部形成領域7を一対の壁部形成領域5a,5b(壁部1a,1b)間に押し込む。そうすると、上述の如く、第一延出部20及び第二延出部21の延出量の合計が、最終形態としてのケース本体10の壁部1a,1b間(側端間)の間隔よりも長く設定されているため、第一延出部形成領域70及び第二延出部形成領域71が弾性変形した状態(距離の不均衡を調節すべく変形した状態)となり、最終的に、第一延出部形成領域70及び第二延出部形成領域71(第一延出部20及び第二延出部21)が折曲罫線Lに沿って壁部1a,1b間に折り返され、第一延出部20と第二延出部21との境界(折曲罫線L)が壁部1a,1b間に位置することになる。
【0089】
このように第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込むと、図2に示す如く、第一延出部20が壁部1aに対して略直角をなすと共に、第二延出部21が他方の壁部1bの内面に略沿って折り返された態様となる。また、図5(ハ)に示す如く、第一延出部20に連続して形成された補助閉塞部23は、第一延出部20側から壁部1a,1bの短手方向の端縁に向けて湾曲すると共に、被覆部24が補助閉塞部23に重なった態様、即ち、補助閉塞部23を押さえ込んだ態様となる。これにより、被覆部24は、開口部を閉塞する第一延出部20及び補助閉塞部23が外方に向けて起き上がるのを防止すると同時に第二延出部21が開口側に起き上がるのを防止することになる。
【0090】
この状態で、第一延出部20が、壁部1a,1bに対して略直角(本実施形態においてはケース本体10を起立状態で使用するので略水平)をなすと共に、該第一延出部20によって一対の壁部形成領域5a,5bが互いに離間して(押し広げられ)壁部1a,1bとなり、ケース本体10が構成されることになる。そして、壁部1a,1b間に形成されて収容空間Aに被収容物を収容した状態で、蓋片形成領域8(蓋片11)を折曲罫線Lで折り返し、一方の壁部1aに形成された係止片14に蓋片11の先端部を係止させる(係止片14と壁部との間に挿入する)ことで、蓋片11による他端開口の閉塞が維持されることになる(図5(イ)参照)。なお、上述の如く、係止片14は一方の壁部1aに切り込みを設けることにより形成されたものであるので、蓋片11の先端部を壁部と係止片14との間から抜くことで他端開口の閉塞状態を解除して被収容物を取り出すことができる。
【0091】
以上のように、本実施形態に係るケースは、一対の壁部1a,1bの両側端部(端部)12a,13間を閉塞する閉塞部2を、ケース本体10を構成する一対の壁部1a,1bの両側端縁12a,13を基端にして延設されると共に、互いの先端同士が接続された第一延出部20及び第二延出部21で構成し、該第一延出部20及び第二延出部21の基端からの延出量の合計が一対の壁部1a,1b間の間隔よりも長く設定されているので、第一延出部20及び第二延出部21とを強制的に壁部1a,1b間(ケース本体10内)に押し込むだけで、開口側への脱落が防止されてケース本体10の両側端の開口を閉塞状態で維持させることができる。
【0092】
また、第一延出部20は、基端からの延出量が壁部1a,1b間の間隔と略同一に設定されると共に、第二延出部21は、基端からの延出量が第一延出部20の延出量の略半分に設定され、しかも、一方の壁部1aの一端が他方の壁部1bの一端よりも第二延出部21の延出量と略同等の距離をおいて他側端縁側に位置するようにしたので、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込んだ状態で、第一延出部20が一方の壁部1aに対して略直角をなすと共に、第二延出部21が他方の壁部1bの内面に沿った態様となり、その結果、第一延出部20と第二延出部21とを接続する折曲罫線Lが他方の壁部1b側に位置する(壁部に隣接する)ことになる。これにより、運搬等によって収容空間A内で被収容物が移動し、該被収容物の移動に伴う衝撃等が第一延出部20に作用しても第二延出部21に対して軸力として作用し、該第二延出部21に座屈が発生しない限り、閉塞部2(第一延出部20及び第二延出部21)を壁部1a,1b間に位置させて閉塞状態を維持させることができる。つまり、第二延出部21を座屈させるほどの過大な力が作用しない限り、閉塞部2による壁部の端部間の閉塞を維持させることができる。その上、閉塞部2の見栄えを良好にすることもできる。
【0093】
さらに、閉塞部2は、一方の壁部1aの一側端縁(傾斜縁部12b)を基端にして延出すると共に前記第一延出部20の両側に連続して形成された補助閉塞部23を備えているので、前記一対の壁部1a,1bを所定の間隔に離間させてケース本体10を構成した状態で、補助閉塞部23が第一延出部20の変形(曲げ)に対応するように変形し、第一延出部20と共に壁部1a,1b間の開口の略全域を閉塞させることができる。その上、閉塞部2は、他方の壁部1bの側端縁13を基端にして前記第二延出部21の両側に連続して形成された被覆部24を備え、該被覆部24は、前記第二延出部21を壁部1a,1b間に折り返した状態で前記補助閉塞部23に開口側から覆い被さるように形状設定されているので、収容空間A側から閉塞部2に大きな力が作用しても閉塞部2が開口側に押し出されるのを確実に防止することができる。
【0094】
尚、本発明のケースは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0095】
上記第一、及び第二実施形態において、一対の壁部1a,1bで扁平筒状のケース本体10を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、一対の壁部で略円筒状のケース本体を形成するようにしたり、壁部の端縁間に側壁を形成し、ケース本体10を角筒状に形成するようにしたりしてもよい。ケース本体10を角筒状に形成する場合、図8に示す如く、第一延出部20を矩形状に形成し、該第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込んだ状態で、第一延出部20の曲げに追従して補助閉塞部(補助底部)23が側壁に沿って起立するように、補助閉塞部23を形状設定し、第一延出部20及び第二延出部21を壁部1a,1b間に押し込んだ状態で、上記壁部1a,1bが第一延出部20の形状に対応して両側端部が折れ曲がり、その折れ曲がった側端部で側壁40を構成するように、壁部1a,1bの寸法を設定するようにすればよい。
【0096】
上記第一及び第二実施形態において、第一延出部20の延出量を壁部1a,1bの間隔に対応させ、第一延出部20が壁部1a,1bと略直角になるように構成したが、これに限定されるものではなく、第一延出部20及び第二延出部21の延出量の合計が、壁部1a,1bの間隔より長くなるように設定すればよい。このようにしても、原シートSを折曲加工して第一延出部20及び第二延出部21で壁部1a,1bの端部間を閉塞する閉塞部2を形成するに際し、第一延出部20及び第二延出部21を変形させて強制的に押し込めば、第一延出部20及び第二延出部21が壁部1a,1b間に折り返された姿勢で維持することになり、第一延出部20及び第二延出部21が変形するような過大な力が作用しない限り、閉塞状態を維持することができる。
【0097】
上記第一及び第二実施形態において、一方の壁部1aの端縁(第一実施形態においては、一端縁、第二実施形態においては、両側端縁)を直縁部12aと傾斜縁部12bとで構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一延出部20及び補助閉塞部23の基端となる一方の壁部1aの端縁を反対の端縁側に凹状をなす円弧、或いは楕円弧状に形成するようにしてもよい。この場合、一対の壁部1a,1b同士が接続された端縁間を結ぶ仮想線を基準にして、第一延出部20及び補助閉塞部23で連続して形成された先端が一方の壁部1aの端縁と対称形状になるようにすることが好ましい。
【0098】
上記第一及び第二実施形態において、第二延出部21及び被覆部24の基端からの延出量を同じにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、被覆部24の先端が第二延出部21の先端よりも第一延出部20側に位置するように、被覆部24の基端からの延出量を第二延出部21よりも大きく設定するようにしてもよい。このようにすれば、補助閉塞部23に対して被覆部24が押圧状態で覆い被さることになり、補助閉塞部23は勿論のこと第一延出部20が確実に位置決めされ、閉塞部2における閉塞状態の維持をいっそう確実にすることができる。
【0099】
上記第一及び第二実施形態において、閉塞部2に補助閉塞部23を設け、第一延出部20とともに壁部の端部間の略全領域を閉塞できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一延出部20のみで壁部1a,1bの端部間を部分的に閉塞するようにしてもよい。
【0100】
上記第一及び第二実施形態において、閉塞部2に被覆部24を設け、該被覆部24をケース本体10内の押し込まれた補助閉塞部23に覆い被せる(押さえ込む)ようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、他方の壁部1bの端縁を基端にして第二延出部21のみを延設するようにしてもよいしてもよい。このようにしても、第一延出部20と第二延出部21との延出量が壁部1a,1bの間隔よりも長く設定されることで、閉塞部2による壁部1a,1bの端部間の閉塞状態を維持することができる。但し、第一延出部20と壁部1a,1bとの隙間を覆ったり、第一延出部20(補助閉塞部23)の浮き上がりを防止したりするには、上記実施形態と同様に、閉塞部2に被覆部24を設けることが好ましい。
【0101】
上記第一及び第二実施形態において、蓋片11の先端部を係止片14で係止させることで開口に対する閉塞状態を維持させるようにしたが、これに限定されるものではなく、蓋片11を閉塞状態で維持させる手段には、種々態様を採用することができる。
【0102】
上記第一及び第二実施形態において、ケース(ケースを作製するための原シートS)を樹脂シートで構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、紙シートであってもよい。但し、紙シートを採用する場合には、第一延出部20及び第二延出部21の強度を得るべく厚紙を採用することは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一実施形態に係るケースであって、(イ)は、正面図を示し、(ロ)は、側面図を示し、(ハ)は、底面図を示す。
【図2】図1(図5)のI−I断面図であって、ケース本体の一部を含んだ閉塞部の断面図を示す。
【図3】第一実施形態に係るケースを作製するための原シートの平面図を示す。
【図4】第一実施形態に係るケースの作製工程についての説明図であって、(イ)は、一対の壁部形成領域が重なり合うように原シートを折り曲げた状態を示し、(ロ)は、貼着片を壁部に貼着した状態を示し、(ハ)は、第一延出部及び第二延出部を壁部間に押し込んで閉塞部を形成する状態を示す。
【図5】本発明の第二実施形態に係るケースであって、(イ)は、正面図を示し、(ロ)は、底面図を示し、(ハ)は、側面図を示す。
【図6】第二実施形態に係るケースを作製するための原シートの平面図を示す。
【図7】第二実施形態に係るケースの作製工程についての説明図であって、(イ)は、一対の壁部形成領域が重なり合うように原シートを折り曲げた状態を示し、(ロ)は、貼着片を壁部に貼着した状態を示し、(ハ)は、第一延出部及び第二延出部を壁部間に押し込んで閉塞部を形成する状態を示す。
【図8】本発明の他実施形態に係るケースの閉塞部の説明図を示す。
【図9】従来のケースの閉塞部の形態を説明するための説明図であって、(イ)は、扁平筒状のケース本体の開口を閉塞する閉塞部が壁部から延出した片部で構成されたケースの平面図を示し、(ロ)は、扁平筒状のケース本体の開口を閉塞する閉塞部が対向する壁部のそれぞれの端縁から延出した片部同士を係合させて形成されたケースの平面図を示す。
【符号の説明】
【0104】
1a,1b…壁部、2…閉塞部,底部、5a,5b…壁部形成領域、6…貼着片形成領域、7…閉塞部形成領域,底部形成領域、8…蓋片形成領域、10…ケース本体、11…蓋片、12a…直縁部(端縁,側端縁)、12b…傾斜縁部(端縁,側端縁)、13…端縁,側端縁、14…係止片、20…第一延出部(延出部)、21…第二延出部(延出部)、23…補助底部,補助閉塞部、24…被覆部、30…貼着片、70…第一延出部形成領域、71…第二延出部形成領域、72…補助底部形成領域,補助閉塞部形成領域、73…被覆部形成領域、S…原シート、L…折曲罫線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物を収容する収容空間を形成すべく、間隔を有して対向した一対の壁部と、前記収容空間内の被収容物が脱落するのを防止すべく、前記一対の壁部の端部間を閉塞する閉塞部とを備え、前記一対の壁部及び閉塞部がシート材を折曲加工して形成されたケースにおいて、前記閉塞部は、一対の壁部のそれぞれの端縁を基端にして延設されると共に、延出量の合計が各延出部の基端となる壁部の端縁同士の間隔よりも長くなるように形成された一対の延出部で構成され、該一対の延出部は、先端同士が接続され、その接続部位が一対の壁部間に位置するように基端で折り曲げられていることを特徴とするケース。
【請求項2】
前記一方の延出部は、基端からの延出量を壁部間の間隔と略同一にして形成されると共に、他方の延出部は、基端からの延出量を一方の延出部の延出量の略半分にして形成され、しかも、一方の延出部が延設された一方の壁部の端縁が、他方の延出部が延設された他方の壁部の端縁よりも他方の延出部の延出量と略同等の距離をおいて反対側の端縁側に位置している請求項1記載のケース。
【請求項3】
前記閉塞部は、前記一方の壁部の端縁を基端にして延出し、一方の延出部の両側に連続して形成された補助閉塞部を更に備え、前記補助閉塞部は、一方の延出部を壁部間に押し込むことで、該延出部の曲げに追従して変形し、該延出部と壁部との間を閉塞するように形状設定されている請求項1又は2記載のケース。
【請求項4】
前記閉塞部は、前記他方の壁部の端縁を基端にして延出し、他方の延出部の両側に連続して形成された被覆部を更に備え、該被覆部は、一対の延出部を壁部間に押し込んだ状態で、他方の延出部の曲げに追従して壁部間に折り返り、前記補助閉塞部に外方側から覆い被さるように形状設定されている請求項3記載のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−76645(P2006−76645A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265419(P2004−265419)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】