ケーブルおよびその解体方法
【課題】自動車などの車両に用いられるケーブルにおいて、リサイクル時の易解体性を高める。
【解決手段】多数本の円形断面状の電線3を菱形断面状に束ねて導体2を形成し、この導体2を筒状の被覆5に内装する。ケーブル1を解体する場合には、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向に引っ張れば、導体2で被覆5を容易に引き裂いて両者を分離することができる。
【解決手段】多数本の円形断面状の電線3を菱形断面状に束ねて導体2を形成し、この導体2を筒状の被覆5に内装する。ケーブル1を解体する場合には、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向に引っ張れば、導体2で被覆5を容易に引き裂いて両者を分離することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車などの車両に用いられるケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来のケーブルを例示する図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
【0003】
従来、この種のケーブル1としては、図3に示すように、多数本の円形断面状の電線3をほぼ円形断面状に束ねて導体2を形成し、この導体2を被覆5で覆って絶縁したものが多用されている(例えば、特許文献1参照)。そして、車両解体時などにケーブル1のリサイクルを行う場合には、ケーブル1ごとシュレッダーにかけて処分するため、予めケーブル1を解体して導体2と被覆5とに分別する必要がある。したがって、ケーブル1の易解体性(つまり、導体2と被覆5との分別しやすさ)が重要度を増している。
【特許文献1】特開2000−67658号公報(段落〔0005〕の欄、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のケーブル1では、図3(b)に示すように、導体2がほぼ円形断面であるため、被覆5の厚さT1がほぼ均一となる。したがって、ケーブル1の解体時に、図3(a)に示すように、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向(矢印A方向)に引っ張っても、導体2で被覆5を引き裂くのが困難であり、結果的にケーブル1の易解体性があまり高くないという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、こうした課題を解決することが可能な易解体構造のケーブルと、このケーブルの解体方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、請求項1に係るケーブルの発明では、筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、前記被覆は、当該被覆の周方向に沿って厚さが不均一となっていることを特徴とする。
また、請求項2に係るケーブルの発明では、筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、前記被覆は、外周面が円形断面状であるとともに、内周面が菱形断面状であることを特徴とする。
また、請求項3に係るケーブルの発明では、前記導体は、菱形断面であることを特徴とする。
また、請求項4に係るケーブルの解体方法の発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルを解体する際に、 前記導体を前記ケーブルの放射方向に引っ張って前記被覆を引き裂くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導体を把持してケーブルの放射方向に引っ張ることにより、導体で被覆を容易に引き裂いて両者を分離することができるので、易解体性の高いケーブルを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は本発明に係るケーブルの第1の実施形態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図、図2は図1に示すケーブルのリサイクル時の解体方法を示す斜視図である。
【0010】
ケーブル1は、図1に示すように、筒状の軟質プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニルなど)からなる絶縁性の被覆5を有している。この被覆5は、外周面が円形断面状であるとともに、内周面が菱形断面状である。そのため、被覆5は、図1(b)に示すように、その厚さT1が被覆5の周方向(矢印B、C方向)に沿って不均一となっており、内周面の菱形断面の4頂点に対応する部位には、それ以外の部位より薄い薄肉部5aがそれぞれ形成されている。そして、被覆5には、図1(b)に示すように、多数本の円形断面状の電線3を菱形断面状に束ねて形成した導体2が内装されている。
【0011】
ケーブル1は以上のような構成を有するので、車両解体時などにケーブル1のリサイクルを行う場合には、次の手順により、予めケーブル1を解体して導体2と被覆5とに分別する。
【0012】
すなわち、図1(a)に示すように、導体2の端部2aが被覆5から露出した状態で、図2に示すように、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向(矢印A方向)に引っ張る。これにより、被覆5にはケーブル1の放射方向の力が加わるが、被覆5は薄肉部5aが最も薄くなっているので、この力は被覆5の薄肉部5aに応力集中する。その結果、被覆5の薄肉部5aは、導体2によって容易に引き裂かれる。こうして被覆5がその全長にわたって引き裂かれると、導体2と被覆5とが完全に分離した状態となる。ここで、ケーブル1は、導体2と被覆5と分別され、解体作業が終了する。
【0013】
このように、ケーブル1の解体時には、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向に引っ張ることにより、導体2で被覆5を容易に引き裂いて両者を分離することができるので、易解体性の高いケーブル1を提供することが可能となる。
【0014】
<その他の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、導体2が菱形断面である場合について説明したが、導体2の断面形状は、被覆5の厚さT1が被覆5の周方向に沿って不均一となるものである限り、菱形以外の形状(例えば、三角形、正方形、六角形など)を採用することも可能である。
【0015】
なお、上述の実施形態においては、1本の導体2が被覆5に内装されたケーブル1について説明したが、複数本の導体2が被覆5に内装されたケーブル1に本発明を適用することも勿論できる。
【0016】
なお、上述の実施形態においては、軟質プラスチック製の被覆5について説明したが、被覆5の材質は、軟質プラスチックに限るわけではない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、自動車、航空機、電車、製造プラント、電化製品、OA機器など各種の産業分野に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るケーブルの第1の実施形態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
【図2】図1に示すケーブルのリサイクル時の解体方法を示す斜視図である。
【図3】従来のケーブルを例示する図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1……ケーブル
2……導体
2a……端部
3……電線
5……被覆
5a……薄肉部
T1……被覆の厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車などの車両に用いられるケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来のケーブルを例示する図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
【0003】
従来、この種のケーブル1としては、図3に示すように、多数本の円形断面状の電線3をほぼ円形断面状に束ねて導体2を形成し、この導体2を被覆5で覆って絶縁したものが多用されている(例えば、特許文献1参照)。そして、車両解体時などにケーブル1のリサイクルを行う場合には、ケーブル1ごとシュレッダーにかけて処分するため、予めケーブル1を解体して導体2と被覆5とに分別する必要がある。したがって、ケーブル1の易解体性(つまり、導体2と被覆5との分別しやすさ)が重要度を増している。
【特許文献1】特開2000−67658号公報(段落〔0005〕の欄、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のケーブル1では、図3(b)に示すように、導体2がほぼ円形断面であるため、被覆5の厚さT1がほぼ均一となる。したがって、ケーブル1の解体時に、図3(a)に示すように、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向(矢印A方向)に引っ張っても、導体2で被覆5を引き裂くのが困難であり、結果的にケーブル1の易解体性があまり高くないという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、こうした課題を解決することが可能な易解体構造のケーブルと、このケーブルの解体方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、請求項1に係るケーブルの発明では、筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、前記被覆は、当該被覆の周方向に沿って厚さが不均一となっていることを特徴とする。
また、請求項2に係るケーブルの発明では、筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、前記被覆は、外周面が円形断面状であるとともに、内周面が菱形断面状であることを特徴とする。
また、請求項3に係るケーブルの発明では、前記導体は、菱形断面であることを特徴とする。
また、請求項4に係るケーブルの解体方法の発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルを解体する際に、 前記導体を前記ケーブルの放射方向に引っ張って前記被覆を引き裂くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導体を把持してケーブルの放射方向に引っ張ることにより、導体で被覆を容易に引き裂いて両者を分離することができるので、易解体性の高いケーブルを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は本発明に係るケーブルの第1の実施形態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図、図2は図1に示すケーブルのリサイクル時の解体方法を示す斜視図である。
【0010】
ケーブル1は、図1に示すように、筒状の軟質プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニルなど)からなる絶縁性の被覆5を有している。この被覆5は、外周面が円形断面状であるとともに、内周面が菱形断面状である。そのため、被覆5は、図1(b)に示すように、その厚さT1が被覆5の周方向(矢印B、C方向)に沿って不均一となっており、内周面の菱形断面の4頂点に対応する部位には、それ以外の部位より薄い薄肉部5aがそれぞれ形成されている。そして、被覆5には、図1(b)に示すように、多数本の円形断面状の電線3を菱形断面状に束ねて形成した導体2が内装されている。
【0011】
ケーブル1は以上のような構成を有するので、車両解体時などにケーブル1のリサイクルを行う場合には、次の手順により、予めケーブル1を解体して導体2と被覆5とに分別する。
【0012】
すなわち、図1(a)に示すように、導体2の端部2aが被覆5から露出した状態で、図2に示すように、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向(矢印A方向)に引っ張る。これにより、被覆5にはケーブル1の放射方向の力が加わるが、被覆5は薄肉部5aが最も薄くなっているので、この力は被覆5の薄肉部5aに応力集中する。その結果、被覆5の薄肉部5aは、導体2によって容易に引き裂かれる。こうして被覆5がその全長にわたって引き裂かれると、導体2と被覆5とが完全に分離した状態となる。ここで、ケーブル1は、導体2と被覆5と分別され、解体作業が終了する。
【0013】
このように、ケーブル1の解体時には、導体2の端部2aを把持してケーブル1の放射方向に引っ張ることにより、導体2で被覆5を容易に引き裂いて両者を分離することができるので、易解体性の高いケーブル1を提供することが可能となる。
【0014】
<その他の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、導体2が菱形断面である場合について説明したが、導体2の断面形状は、被覆5の厚さT1が被覆5の周方向に沿って不均一となるものである限り、菱形以外の形状(例えば、三角形、正方形、六角形など)を採用することも可能である。
【0015】
なお、上述の実施形態においては、1本の導体2が被覆5に内装されたケーブル1について説明したが、複数本の導体2が被覆5に内装されたケーブル1に本発明を適用することも勿論できる。
【0016】
なお、上述の実施形態においては、軟質プラスチック製の被覆5について説明したが、被覆5の材質は、軟質プラスチックに限るわけではない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、自動車、航空機、電車、製造プラント、電化製品、OA機器など各種の産業分野に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るケーブルの第1の実施形態を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
【図2】図1に示すケーブルのリサイクル時の解体方法を示す斜視図である。
【図3】従来のケーブルを例示する図であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1……ケーブル
2……導体
2a……端部
3……電線
5……被覆
5a……薄肉部
T1……被覆の厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、
前記被覆は、当該被覆の周方向に沿って厚さが不均一となっていることを特徴とするケーブル。
【請求項2】
筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、
前記被覆は、外周面が円形断面状であるとともに、内周面が菱形断面状であることを特徴とするケーブル。
【請求項3】
前記導体は、菱形断面であることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルを解体する際に、
前記導体を前記ケーブルの放射方向に引っ張って前記被覆を引き裂くことを特徴とする、ケーブルの解体方法。
【請求項1】
筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、
前記被覆は、当該被覆の周方向に沿って厚さが不均一となっていることを特徴とするケーブル。
【請求項2】
筒状の被覆に導体が内装されたケーブルであって、
前記被覆は、外周面が円形断面状であるとともに、内周面が菱形断面状であることを特徴とするケーブル。
【請求項3】
前記導体は、菱形断面であることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルを解体する際に、
前記導体を前記ケーブルの放射方向に引っ張って前記被覆を引き裂くことを特徴とする、ケーブルの解体方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2008−181827(P2008−181827A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15827(P2007−15827)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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