説明

ケーブルの布設方法とケーブルの布設装置

【課題】ICタグを用いて布設情報を容易に取得し、あるいは付加情報を入力できるようにしたケーブルの布設方法とケーブルの布設装置を提供する。
【解決手段】布設されるために繰り出されるケーブル11の引き出し口において、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグ16を、予め定められたタイミングでケーブルに貼り付ける布設方法である。この方法を実現する布設装置は、布設されるためのケーブル11を繰り出す送り出し装置12と、この送り出し装置12の近傍に配置され、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグ14を、予め定められたタイミングでケーブルに装着するICタグ貼り付け装置14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを布設するときに、そのケーブルの布設環境やその他の情報をケーブル本体に記録しておくことができるケーブルの布設方法とケーブルの布設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルを布設するときは、所定の設計図に従って工事が行われる。例えば、道路の地下にケーブルを埋設するときは、市町村の管理事務所に道路工事台帳等が用意されており、これを参照すると、布設状態が分かる。また、ケーブルの布設長さがケーブル毎に異なり、また現場にてレイアウト上、ケーブルの布設長さが急遽変更される場合が多々ある。
【特許文献1】特開平5−161224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の技術には、次のような解決すべき課題があった。
例えば、共同溝には、多数のケーブルが布設されている。これらのケーブルがそれぞれどのように布設されているかを区別するのは容易でない。また、ケーブルの布設長さが急に変更される場合は、布設情報の記入作業が人的作業となり、作業負荷が増大するとともに、同記入作業が煩雑となり、作業効率が低下するという課題があった。
なお、ケーブル布設情報をバーコードで管理する方式がある(特許文献1参照)が、物流の迅速化、効率化等において現状にそぐわない場合がある。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、ICタグを用いて布設情報を容易に取得し、あるいは付加情報を入力できるようにしたケーブルの布設方法とケーブルの布設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
布設されるために繰り出されるケーブルの引き出し口において、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグを、予め定められたタイミングで上記ケーブルの表面に装着することを特徴とするケーブルの布設方法。
【0006】
布設情報は、予め布設設計書などから生成したものである。
ここで、予め定められたタイミングとは、順次1枚ずつ取り出されたICタグに布設情報を記録し、この記録作業が終了した段階を経るものである。
【0007】
〈構成2〉
布設されるためのケーブルを繰り出す送り出し装置と、この送り出し装置近傍に配置され、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグを、予め定められたタイミングで上記ケーブルに装着するICタグ貼り付け装置とを備えたことを特徴とするケーブルの布設装置。
【0008】
構成1の方法を実現するための装置である。送り出し装置はケーブルを両側から挟持する一対のエンドレスベルトに限定されないが、ICタグをケーブルの所望の位置に装着するために、ケーブルをできるだけ正確に送り出すことができるものが好ましい。
【0009】
〈構成3〉
構成2記載のケーブルの布設装置において、上記送り出し装置近傍に配置され、ケーブルに装着されたICタグ及びそのICタグがデータ書き込み可能かどうかを検出する情報読取り機と、ケーブル布設時に準備された所定の布設情報を記憶した記憶装置と、上記記憶装置の布設情報を上記ICタグに記録する記録装置とを備えたことを特徴とするケーブルの布設装置。
【0010】
複数のICタグをタイミングよくケーブルに装着することができる。
【0011】
〈構成4〉
構成3記載のケーブルの布設装置において、上記記憶装置に、上記布設情報と付加情報を含む布設記録が記録されていることを特徴とするケーブルの布設装置。
【0012】
布設記録がデータベースに転送されて様々な管理に利用できる。布設工事の際には、新規事項や仕様変更等の様々な付加的な情報が収集される。これを例えば、キーボードのような付加情報入力装置を利用して記憶装置に記憶させておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のケーブルの布設方法は、布設されるために繰り出されるケーブルの引き出し口において、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグを、予め定められたタイミングで固定するものである。
この方法を実現するため、下記実施例に示すケーブル布設装置を用いる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1のケーブルの布設装置を示す外観側面図である。
図1において、実施例1のケーブルの布設装置は、布設されるためのケーブルを繰り出す送り出し装置12と、この送り出し装置12の近傍に配置され、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグを、予め定められたタイミングで装着するICタグ装着14とを備えている。
【0015】
ケーブル11を布設するときには、送り出し装置12を用いてケーブル11をサプライドラム10から順次繰り出す。このケーブル11の繰り出し経路上にICタグ装着装置14を配置する。このICタグ装着装置14によりケーブル11の表面に所定の間隔を置いて複数のICタグを逐次貼り付ける。
【0016】
図2は、ICタグ装着装置14の具体例を示すブロック図である。
ICタグ装着装置14は、予め用意した多数のICタグ16をケーブル11に貼り付ける機能を持つ。ICタグ16は、例えば、複数枚が配列されたものから順次1枚ずつ取り出され、記録ヘッド18により布設情報24が書き込まれる。記録ヘッド18には、記録装置20と記憶装置22が接続されている。
【0017】
記憶装置22には布設情報24と布設記録26が記憶されている。布設情報24は、予め布設設計書などから生成したもので、例えば、布設ルート、ケーブルの識別番号、接続機器情報、施工区分、施工変更情報、施工会社等を含めた情報である。この布設情報24は、記録装置20によって記憶装置22から読み出され、記録ヘッド18によってICタグ16に記録される。布設情報24が記録されたICタグ16は、ケーブル11の上に運ばれて貼り付けられる。
【0018】
なお、布設工事の際には、新規事項や仕様変更等の様々な付加的な情報が収集される。これを例えば、キーボードのような付加情報入力装置28を利用して記憶装置22に記憶させておく。布設記録26は、布設情報24と付加情報とを含む情報である。この布設記録26は、データベースに転送されて、様々な管理に利用されるとよい。
【0019】
図3は、ICタグ装着装置14の変形例を示すブロック図である。
この例では、ケーブル30に予め多数のICタグ32が所定間隔を置いて貼り付けられている。これらのICタグ32は、全て布設情報24を記録できるものであってもよいし、一部は、ケーブルの製造時にケーブルの種別などを記録するために貼り付けられたもので読み出し専用であってよい。一部に書き込みが可能なICタグ32を配置しておく。
【0020】
情報読取り機34は、ICタグ32と通信を行い、書き込み可能なタグであるかどうかを判断するために利用される。記録ヘッド36は、既に図2を用いて説明した通り、記憶装置22から記録装置20の読み出した布設情報24をICタグ32に記録する機能を持つ。情報読取り機34が通信をしてICタグ32から読み出した情報は、読み取り情報38として布設記録26に記録される。また、布設記録26には、新規事項や仕様変更等の様々な付加的な情報がキーボードのような付加情報入力装置28を利用して記録される。
【0021】
図4は、ICタグ装着装置14の具体的な機能を説明するブロック図である。
図4に示すICタグ32は、ケーブルの表面に装着され、ケーブル布設に必要な様々な情報を記録したものである。このICタグ32には受信機42と送信機44とデータメモリ46とアンテナ48とが設けられている。受信機42は、アンテナ48を通じて受信した問合せ信号62により送信機44を起動する機能を持つ。送信機44は、データメモリ46に記録した特性情報をアンテナ48を通じて送信する機能を持つ。この送信された信号が応答信号64である。
【0022】
一方、情報読取機34は、ICタグ32の情報を読み取るための装置であって、送信機52と受信機54と読取りデータメモリ56とインタフェース58とアンテナ60とを備える。送信機52は、ICタグ32に対しアンテナ60を通じて問合せ信号62を送信する機能を持つ。受信機54は、ICタグ32から受信した応答信号64を受け入れて読取りデータメモリ56に記録する機能を持つ。なお、この読取りデータメモリ56は、インタフェース58を通じて読み取り情報38に読み取られる。
【0023】
情報読取機34は、このように問合せ信号62を送信することによってICタグ32の存在と、ICタグ32が書き込み可能なタグであるかどうかを確認し、ICタグ32から送信された応答信号64を受信して読取りデータメモリ56に記録する。例えば、図3に示したケーブル30にICタグ32が設けられていなかったり、ICタグ32が書き込み可能なタグでない場合には、情報読取機34は応答信号64を受信しない。この時は、ケーブル30に必要な布設情報が記録されていないものと判断することになる。
【0024】
ケーブルに関する様々な情報は、このタイミングで布設記録26に含められる。付加情報入力装置28を布設記録26に含める点については既に説明した通りである。こうして読み取り情報38が取得できたICタグ32は、記録が不可能なものである。読み取り情報38が読み取りできないICタグ32は、布設情報24を書き込み可能なタグである。このような判断をして記録装置20が記録ヘッド36を制御して布設情報24の書き込みを行うとよい。
【0025】
以上のようにすれば、ケーブルの布設する際に布設ルートや布設時の状況、あるいは布設されたケーブルを後で点検する場合に必要な様々な情報をICタグに記録しておくことができる。そして、読み取り装置さえ持っていれば、いつでもその情報を現場で読み取ることができるので、布設されたケーブルの保守管理に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の装置の外観側面図である。
【図2】ICタグ装着装置の具体例を示すブロック図である。
【図3】ICタグ装着装置の変形例を示すブロック図である。
【図4】ICタグ装着装置の具体的な機能を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
10 サプライドラム
11 ケーブル
12 送り出し装置
14 ICタグ装着装置
16 ICタグ
18 記録ヘッド
20 記録装置
22 記憶装置
24 布設情報
26 布設記録
28 付加情報入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布設されるために繰り出されるケーブルの引き出し口において、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグを、予め定められたタイミングで前記ケーブルの表面に装着することを特徴とするケーブルの布設方法。
【請求項2】
布設されるためのケーブルを繰り出す送り出し装置と、
この送り出し装置近傍に配置され、布設時に準備された所定の布設情報を記録したICタグを、予め定められたタイミングで前記ケーブルに装着するICタグ貼り付け装置とを備えたことを特徴とするケーブルの布設装置。
【請求項3】
請求項2記載のケーブルの布設装置において、
前記送り出し装置近傍に配置され、ケーブルに装着されたICタグ及びそのICタグがデータ書き込み可能かどうかを検出する情報読取り機と、
ケーブル布設時に準備された所定の布設情報を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置の布設情報を前記ICタグに記録する記録装置とを備えたことを特徴とするケーブルの布設装置。
【請求項4】
請求項3記載のケーブルの布設装置において、
前記記憶装置に、前記布設情報と付加情報を含む布設記録が記録されていることを特徴とするケーブルの布設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−33898(P2006−33898A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204192(P2004−204192)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【Fターム(参考)】