説明

ケーブルアッセンブリ

【課題】 耐久性を向上し得るケーブルアッセンブリを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、多芯ケーブル10と、その多芯ケーブル10の少なくとも一端に接続されるコネクタ20とを含むケーブルアッセンブリ1である。多芯ケーブル10は、複数の芯線50,60と、これら芯線50,60を覆うシールド層72と、そのシールド層72を覆うシース73とを備える。コネクタ20は、絶縁性のコネクタ基板32と、その一面OSに配置され、シールド層72がはんだ付けされるシールド用パッド35と、当該一面OSに配置され、芯線50,60が接続される信号用パッド33を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルや絶縁ケーブル等の芯線とコネクタとを接続する技術分野などにおいて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型端末等の電子機器間の信号配線として、複数の芯線を1本のケーブルとして束ねた多芯ケーブルと、その多芯ケーブルの一方又は双方の端部に接続されたコネクタとによって構成されるケーブルアッセンブリが知られている。
【0003】
このようなケーブルアッセンブリとして、複数の芯線を被覆するシールド層の周囲を金属クランプで締め込んだ状態(かしめた状態)でグランドに固定されたものが提案されている(特許文献1参照)。この金属クランプは、多芯ケーブルをコネクタに接続する際に一般的に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2010−33996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年における電子機器の小型化に伴って、同軸ケーブルの細径化や、シールド層の薄型化が進展している。このようなシールド層が金属クランプによって締め込まれた場合、シールド層には押圧力が与え続けられるため、当該シールド層が破ける等の破損が生じ易い傾向にあり、耐久性が劣る一要因となっている。
【0006】
そこで、本発明は、耐久性を向上し得るケーブルアッセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、多芯ケーブルと、前記多芯ケーブルの少なくとも一端に接続されるコネクタとを含むケーブルアッセンブリであって、前記多芯ケーブルは、複数の芯線と、前記複数の芯線を覆うシールド層と、前記シールド層を覆うシースとを備え、前記コネクタは、コネクタ基板の一面に配置され、前記シールド層がはんだ付けされるシールド用パッドと、前記一面に配置され、前記芯線が接続される信号用パッドとを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このようなケーブルアッセンブリでは、シールド層がコネクタ基板の一面にはんだ付けされているため、金属クランプのように、シールド層に押圧力が与え続けられた状態で固定することを回避することができる。したがって、シールド層が薄型であったとしても、シールド層が破損し難い状態で固定することが可能となり、この結果、耐久性を向上することができる。なお、多芯ケーブルにおけるシールド層及び芯線がはんだ付けされる面は、ともにコネクタ基板の同じ側とされる。したがって、芯線をはんだ付けする前にシールド層をはんだ付けすることが簡易となる。このため、芯線をはんだ付けする前にシールド層をはんだ付けしない場合に比べて、当該シールド層から芯線の先端までの芯線の区間の動きの程度を低減させて、所定のはんだ付け位置に芯線を位置決めし易くさせることができ、正確なはんだ付けが可能となる。この結果、接続不良を防止させて補助的に耐久性を向上させることが可能となる。また、多芯ケーブルにおけるシールド層及び芯線がともにコネクタ基板の同じ面上ではんだ付けされているため、ケーブルアッセンブリを薄型化することもできる。
【0009】
また、前記複数の芯線は、少なくとも1本以上の同軸ケーブルと絶縁ケーブルとを有し、前記絶縁ケーブルの電線が前記信号用パッドにはんだ付けされる部分から前記シールド用パッドにはんだ付けされる前記シールド層までの前記絶縁ケーブルの区間は、前記同軸ケーブルの中心導体が前記信号用パッドにはんだ付けされる部分から前記シールド用パッドにはんだ付けされる前記シールド層までの前記同軸ケーブルの区間よりも撓んだ状態とされることが好ましい。
【0010】
このような状態であれば、ケーブルを引っ張る方向に負荷が加わった場合、その負荷は、絶縁ケーブルよりも撓んだ状態にはない同軸ケーブルに加わることになる。一般に、同軸ケーブルは、絶縁ケーブルよりも多層構造となる等といったことから、その強度は、絶縁ケーブルよりも大きい状態にある。したがって、絶縁ケーブルと同等以上に同軸ケーブルのほうが撓んでいる場合に比べて、ケーブルを引っ張る方向に加わる負荷に起因して亀裂や切断等が絶縁ケーブルに生じることを大幅に低減することができ、より一段と耐久性を向上することができる。
【0011】
また、前記コネクタ基板の一面には、前記同軸ケーブルにおける外部導体がはんだ付けされるグランド用パッドを備えることが好ましい。
【0012】
このようなコネクタ基板であれば、同軸ケーブルの中心導体のみならず外部導体もパッドにはんだ付けされるため、同軸ケーブルに対して引っ張る方向に加えられる負荷に起因してパッドから同軸ケーブルが外れることを抑止することができる。したがって、同軸ケーブルが、その同軸ケーブルよりも小さい強度となる絶縁ケーブルに生じる亀裂や切断等をより一段と抑止することできる。
【0013】
また、前記同軸ケーブルの前記区間は、前記シールド用パッドにはんだ付けされる前記シールド層の長手方向に沿って配置されることが好ましい。
【0014】
このような配置状態であれば、同軸ケーブルの区間はおおむね真っ直ぐな状態となるため、その区間が曲がった状態にある場合に比べて、当該区間を引っ張る方向に負荷が加えられた場合に、その負荷の集中を抑止することができる。このため、同軸ケーブルに対して引っ張る方向に加えられる負荷に起因してパッドから同軸ケーブルが外れることをより一段と抑止することができる。この結果、同軸ケーブルが、その同軸ケーブルよりも小さい強度となる絶縁ケーブルに生じる亀裂や切断等をより一段と抑止することできる。
【0015】
また、前記信号用パッドは、他のコネクタ部材と電気的に接続されることが好ましい。
【0016】
このようなケーブルアッセンブリによれば、コネクタ基板を中継基板として用いることができ、例えば、コネクタ基板に対するコネクタの接続端の方向を変えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、耐久性を向上し得るケーブルアッセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るケーブルアッセンブリを示す斜視図である。
【図2】ケーブルの長手方向に垂直となる多芯ケーブルの断面図である。
【図3】コネクタ本体の主構造を示す上視図である。
【図4】図1のM−M方向及びN−N方向に沿ったコネクタ端子台の断面図である。
【図5】パッドと多芯ケーブルとの接続の様子を示す上視図である。
【図6】同軸ケーブルの撓み量と絶縁ケーブルの撓み量との相違に関する説明に供する概略図である。
【図7】第2実施形態に係るケーブルアッセンブリを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るケーブルアッセンブリを示す斜視図である。図1に示すように、ケーブルアッセンブリ1は、多芯ケーブル10と、L字型のコネクタ20とを主な構成要素として備える。このコネクタ20は、コネクタ本体30とコネクタ端子台40とを含む構成とされる。なお、多芯ケーブル10の他端側は図示していないが、一端側と同様にしてコネクタ本体30及びコネクタ端子台40が設けられていても設けられていなくても良い。
【0021】
図2は、ケーブルの長手方向に垂直となる多芯ケーブルの断面図である。図2に示すように、多芯ケーブル10は、同軸ケーブル50及び絶縁ケーブル60を芯線として含む複合ケーブルとされる。この実施形態における多芯ケーブル10では、複数本の同軸ケーブル50の外周面が絶縁層71で覆われ、その絶縁層71の外周面上に複数本の絶縁ケーブル60が配置される。また、これら絶縁ケーブル60の外周面がシールド層72で覆われ、そのシールド層72の外周面が絶縁性のシース73で覆われる。
【0022】
同軸ケーブル50は、中心導体51と、中心導体51の外周面を覆う絶縁層52と、絶縁層52の外周面を覆う外部導体53と、外部導体53の外周面を覆う絶縁性のシース54とを有する。
【0023】
中心導体51は、例えば、複数の導電性線材の撚り線から構成される。導電性線材の材料は、例えば、銅やニッケル等を挙げることができるが、導体性を有していれば特に制限されるものではない。
【0024】
絶縁層52は、例えば、樹脂を押し出し成形した構成とされる。樹脂の種類としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂を挙げることができる。難燃性を向上させる観点では、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の粒子や、リン系難燃剤が混合されることが好ましい。
【0025】
外部導体53は、金属線の編組あるいは横巻き等から構成される。金属編組は、例えば、直径が0.1mm以下の多数の導電性の線材が編みこまれたものである。金属編組における金属の種類としては、例えば、銅やニッケルを挙げることができるが、導体性を有していれば特に制限されるものではない。
【0026】
シース54は、例えば、熱可塑性樹脂等の樹脂を押し出し成形した構成とされる。熱可塑性樹脂の種類としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂を挙げることができる。
【0027】
絶縁ケーブル60は、電線61と、電線61の外周面を覆う絶縁層62を有する。電線61は、例えば複数の導電性線材の撚り線から構成され、その導電性線材の材料は、中心導体11と同様のものを挙げることができる。絶縁層62は、樹脂製のテープを巻くことにより、あるいは、樹脂を押し出し成形することにより構成され、その樹脂の種類としては、絶縁層52と同様のものを挙げることができる。
【0028】
絶縁層71は、絶縁テープ等から構成される。この絶縁テープにおける絶縁材の種類としては、絶縁層52と同様のものを挙げることができる。シールド層72は、金属テープ等から構成される。この金属テープにおける金属の種類としては、外部導体53と同様のものを挙げることができる。シース73は、例えばシース54と同様の構成とされる。
【0029】
図3は、コネクタ本体の主構造を示す上視図である。ただし、説明の便宜上、図3におけるコネクタ本体30の上側部分は省略している。図3に示すように、コネクタ本体30は、ハウジング31と、絶縁性のコネクタ基板32とを有する。このコネクタ基板32は、ハウジング31の内部に設けられ、例えば略直方体状とされる。
【0030】
コネクタ基板32の一面OSには、信号用パッド33、グランド用パッド34、シールド用パッド35及び固定用パッド36がそれぞれ設けられる。
【0031】
信号用パッド33は、コネクタ端子台40の端子と、同軸ケーブル50の中心導体51又は絶縁ケーブル60の電線61とが接続される導体パターンである。この導体パターンは、本実施形態では、互いに平行となる状態で所定間隔ごとに配列された複数の棒状導体C1とされる。それら棒状導体C1の一端は、コネクタ基板32の一面OSに指定されるコネクタ端子台40の配置領域AR内に配置される。
【0032】
グランド用パッド34は、同軸ケーブル50の外部導体53が接続される導体パターンである。この導体パターンは、本実施形態では、棒状導体C1の配列方向と平行な状態で、配置領域ARとは逆側となる棒状導体C1の一端から所定の距離を隔てて対向される1つの棒状導体C2とされる。
【0033】
シールド用パッド35は、多芯ケーブルのシールド層72が接続される導体パターンである。この導体パターンは、本実施形態では、棒状導体C2を基準として棒状導体C1が配置される側とは逆側に、当該棒状導体C2から所定の距離を隔てて対向される矩形状導体C3とされる。
【0034】
固定用パッド36は、コネクタ端子台40の端子がはんだ付けされる導体パターンである。この導体パターンは、本実施形態では、各棒状導体C1における配置領域AR側の一端から所定の距離を隔てて対向され、当該棒状導体C1の長手方向に沿って配置される複数の棒状導体C4とされる。これら棒状導体C4の一端は、信号用パッド33と同様に、配置領域AR内に配置される。
【0035】
一方、コネクタ基板32の一面OSに対して逆側となるコネクタ基板32の他面には、グランドパターン37が配置されており、このグランドパターン37には、グランド用パッド34及びシールド用パッド35が、例えばビア(図示せず)により電気的に接続される。なお、本実施形態では、配置領域AR内の所定位置には、コネクタ端子台40に設けられる凸部を嵌め込むための複数の貫通孔THが形成される。
【0036】
図4は、図1のM−M方向及びN−N方向に沿ったコネクタ端子台の断面図である。具体的には図4(A)がM−M方向に沿ったコネクタ端子台の断面図であり、図4(B)がN−N方向に沿ったコネクタ端子台の断面図である。
【0037】
図4に示すように、コネクタ端子台40は、ハウジング41と、コネクタ端子42とを有する。ハウジング41は、例えば、直方体状の中空を有する直方体状の管とされ、その一端には複数の凸部43が設けられる。これら凸部43は、コネクタ本体30の配置領域AR(図3)内に形成される複数の貫通孔THにそれぞれ嵌め込まれ、その配置領域上にハウジング41が配置される。
【0038】
コネクタ端子42は、複数の信号用導線42A及び固定用導線42Bによって構成される。信号用導線42Aは、ハウジング41の長手方向に平行な状態で、互いに所定距離を隔ててハウジング41の内周面上に配列される。信号用導線42Aの一端は、ハウジング41における管の内壁に配置され、開放端とされる。信号用導線42Aの他端は、ハウジング41の端部で折り曲げられてそのハウジング41における外側底面上に配置され、はんだSによって信号用パッド33に接続される。
【0039】
固定用導線42Bは、各信号用導線42Aそれぞれに対向する状態でハウジング41の内周面上に配列される。固定用導線42Bの一端は、信号用導線42Aと同様にハウジング41における管の内壁に配置され、開放端とされる。固定用導線42Bの他端は、ハウジング41の端部で信号用導線42Aとは反対側へ折り曲げられてそのハウジング41における外側底面上に配置され、はんだSによって固定用パッド36に接続される。
【0040】
なお、固定用導線42Bの本数は、信号用導線42Aよりも多い又は少ない本数であってもよく、固定用導線42Bが省略されていてもよい。ただし、コネクタ本体30に対してコネクタ端子台40をより強く固定する観点では、固定用導線42Bが省略されない方が望ましい。また、本実施形態では、例えばハウジング41の外周面にグランドが配置されており、そのグランドは、所定の接続手段によって、コネクタ基板32のグランドパターン37と接続される。
【0041】
図5は、パッドと多芯ケーブルとの接続の様子を示す上視図である。図5に示すように、上述した多芯ケーブル10の少なくとも一端は口出しされる。すなわち、コネクタ本体30の接続対象となる多芯ケーブル端部からシールド層72が露出され、そのシールド層72から複数の同軸ケーブル50及び絶縁ケーブル60がそれぞれ露出される。また、同軸ケーブル50ごとに、シース54から外部導体53が、外部導体53から絶縁層52が、絶縁層52から中心導体51がそれぞれ露出され、絶縁ケーブル60ごとに、絶縁層62から電線61が露出される。
【0042】
露出状態にあるシールド層72は、コネクタ基板32の一面OSにおけるシールド用パッド35にはんだ付けされる。本実施形態の場合、シールド層72は、矩形状導体C3上に配置され、当該矩形状導体C3に対してはんだSにより電気的および機械的に接続される。
【0043】
一方、露出状態にある各同軸ケーブル50の外部導体53は、コネクタ基板32の一面OSにおけるグランド用パッド34にはんだ付けされる。本実施形態の場合、各外部導体53は、棒状導体C2の長手方向とは直交する状態で、互いに平行に棒状導体C2上に配置され、当該棒状導体C2に対してはんだSにより電気的および機械的に接続される。
【0044】
また、露出状態にある各同軸ケーブル50の中心導体51は、コネクタ基板32の一面OSにおける信号用パッド33にはんだ付けされる。本実施形態の場合、各棒状導体C1のうち、中央部分における4つの棒状導体C1が中心導体51の接続対象とされる。これら棒状導体C1における配置領域ARとは逆側の一端上に、各中心導体51の先端が1つずつ配置され、当該棒状導体C1に対してはんだSにより電気的および機械的に接続される。これにより中心導体51と、コネクタ端子42(図4)における信号用導線42Aとが、信号用パッド33を通じて電気的に接続される。
【0045】
他方、露出状態にある各絶縁ケーブル60の電線61は、コネクタ基板32一面OSにおける信号用パッド33にはんだ付けされる。本実施形態の場合、各棒状導体C1のうち、中央部分における4つの棒状導体C1以外の棒状導体C1が電線61の接続対象とされる。これら棒状導体C1における配置領域ARとは逆側の一端上に、各電線61の先端が1つずつ配置され、当該棒状導体C1に対してはんだSにより電気的および機械的に接続される。これにより電線61と、コネクタ端子42における信号用導線42Aとが、信号用パッド33を通じて電気的に接続される。
【0046】
図6は、同軸ケーブルの撓み量と絶縁ケーブルの撓み量との相違に関する説明に供する概略図である。図6に示すように、絶縁ケーブル60の区間SC1は、同軸ケーブル50の区間SC2よりも撓んだ状態(曲げられた状態)とされる。
【0047】
絶縁ケーブル60の区間SC1とは、具体的には、電線61がはんだ付けされる部分からシールド用パッド35にはんだ付けされるシールド層72までの区間であり、図6の実線で示されている部分である。一方、同軸ケーブル50の区間SC2とは、具体的には、中心導体51がはんだ付けされる部分からシールド用パッド35にはんだ付けされるシールド層72までの区間であり、図6の実線で示されている部分である。
【0048】
本実施形態の場合、同軸ケーブル50の区間SC2は、シールド用パッド35にはんだ付けされるシールド層72の長手方向に沿って配置され、おおむね真っ直ぐな状態とされる。したがって、本実施形態の場合には、絶縁ケーブル60の区間SC1の長さL1は、同軸ケーブル50の区間SC2の長さL2よりも大きい状態にある。
【0049】
なお、絶縁ケーブル60の区間SC1が同軸ケーブル50の区間SC2よりも撓んだ状態とする手法として、例えば、シールド層72から同じ長さだけ口出しされた同軸ケーブル50及び絶縁ケーブル60のうち、同軸ケーブル50の先端部分だけを所定の長さ切断した後に、これらケーブルを各パッドにはんだ付けする手法を挙げることができる。
【0050】
以上の本実施形態に係るケーブルアッセンブリ1では、シールド層72がコネクタ基板32の一面OSにはんだ付けされているため、上記特許文献1の金属クランプのように、シールド層72に押圧力が与え続けられた状態で固定することを回避することができる。したがって、テープ状のシールド層72であったとしても、そのシールド層72が破損し難い状態で接地することが可能となり、この結果、耐久性を向上することができる。
【0051】
なお、多芯ケーブル10における同軸ケーブル50の中心導体51及び外部導体53と、絶縁ケーブル60の電線61とがともにコネクタ基板32の同じ面OS上にはんだ付けされている。したがって、中心導体51及び電線61をはんだ付けする前に外部導体53やシールド層72をはんだ付けすることが簡易となる。このため、中心導体51及び電線61をはんだ付けする前に外部導体53やシールド層72をはんだ付けしない場合に比べて、当該シールド層72から外部導体53又はシールド層72までの区間の移動量を低減させることができる。したがって、所定のはんだ付け位置に中心導体51及び電線61を位置決めし易くさせることができ、正確なはんだ付けが可能となる。この結果、接続不良を防止させて補助的に耐久性を向上させることが可能となる。また、多芯ケーブル10における同軸ケーブル50の中心導体51及び外部導体53と、絶縁ケーブル60の電線61とがともにコネクタ基板32の同じ面OS上にはんだ付けされているため、ケーブルアッセンブリ1を薄型化することもできる。
【0052】
ところで、シールド層72と、そのシールド層72に被覆される同軸ケーブル50及び絶縁ケーブル60とは互いに機械的に接続された状態にはない。このため、多芯ケーブル10がその長手方向に引っ張られた場合、シールド層72がコネクタ基板32のシールド用パッド35に固定されていたとしても、そのシールド層72に被覆される同軸ケーブル50又は絶縁ケーブル60に対して、引っ張る方向に負荷が加わることがある。このような場合、絶縁ケーブル60の強度は同軸ケーブル50に比べて弱いので、引っ張る方向に加わる負荷に起因する亀裂や切断等が、同軸ケーブル50よりも絶縁ケーブル60に生じ易い。
【0053】
しかしながら、本実施形態のケーブルアッセンブリ1では、絶縁ケーブル60の区間SC1(図6)が、同軸ケーブル50の区間SC2(図6)よりも撓んだ状態で各パッドに接続されている。このため、同軸ケーブル50が、絶縁ケーブル60に負荷を加わり難い状態に絶縁ケーブル60を保護し、絶縁ケーブル60に対して引っ張る方向に負荷が加わることを抑止することができる。したがって、引っ張る方向に加わる負荷に起因して絶縁ケーブル60に亀裂や切断等が生じることを大幅に低減することができ、より一段と耐久性を向上することができる。
【0054】
また、このような同軸ケーブル50の外部導体53は、グランド用パッド34にはんだ付けされているため、同軸ケーブル50に対して引っ張る方向に加えられる負荷に起因してパッドから同軸ケーブル50が外れることを抑止することができる。したがって、同軸ケーブル50が、その同軸ケーブル50よりも小さい強度となる絶縁ケーブル60に生じる亀裂や切断等をより一段と抑止することできる。
【0055】
さらに、本実施形態の場合、同軸ケーブル50の区間SC2(図6)は、シールド用パッド35にはんだ付けされるシールド層72の長手方向に沿って配置され、当該区間SC2がおおむね真っ直ぐな状態となっている。このため、同軸ケーブル50の区間SC2が曲がった状態にある場合に比べて、その区間SC2を引っ張る方向に負荷が加えられた場合に、その負荷の集中を抑止することができる。したがって、同軸ケーブル50に対して引っ張る方向に加えられる負荷に起因してパッドから同軸ケーブル50が外れることをより一段と抑止することができる。この結果、同軸ケーブル50が、その同軸ケーブル50よりも小さい強度となる絶縁ケーブルに生じる亀裂や切断等をより一段と抑止することできる。
【0056】
<第2実施形態>
この第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の参照符号を付すとともに、その説明は適宜省略する。
【0057】
図7は、第2実施形態に係るケーブルアッセンブリを示す上視図である。図7に示すように、本実施形態のケーブルアッセンブリ2は、第1実施形態におけるコネクタ端子台40を省略し、第1実施形態のコネクタ本体30とは異なる構造のコネクタ80を有している点で、第1実施形態のケーブルアッセンブリ1とは異なる。なお、多芯ケーブル10の他端側は図示していないが、一端側と同様にしてコネクタ80本体が設けられていても設けられていなくても良い。
【0058】
コネクタ80は、ハウジング81と、絶縁性のコネクタ基板82とを有する。このコネクタ基板82は、ハウジング31に被腹される部位(以下、被覆部位という)PA1と、ハウジング31から露出される部位(以下、露出部位という)PA2とからなり、例えば略直方体状とされる。
【0059】
被覆部位PA1の一面OSには、グランド用パッド34及びシールド用パッド35がそれぞれ設けられ、被覆部位PA1の一面OSと露出部位PA2の一面OSとに亘って信号用パッド83が設けられる。
【0060】
信号用パッド83は、同軸ケーブル50の中心導体51及び絶縁ケーブル60の電線61が接続される導体パターンである。この導体パターンは、本実施形態では、互いに平行となる状態で所定間隔ごとに配列された複数の棒状導体C11とされる。それら棒状導体C11の一端は、グランド用パッド34の棒状部材C2から所定の距離を隔てた被覆部位PA1の一面に配置され、他端は、露出部位PA2の一面の端部に配置される。
【0061】
各棒状導体C11のうち、中央部分における4つの棒状導体C11が中心導体51の接続対象とされる。これら4つの棒状導体C11における被覆部位側の一端上に、各中心導体51の先端が1つずつ配置され、当該棒状導体C11に対してはんだSにより電気的および機械的に接続される。
【0062】
一方、各棒状導体C11のうち、中央部分における4つの棒状導体C11以外の棒状導体C11が電線61の接続対象とされる。これら棒状導体C11における被覆部位側の一端上に、各電線61の先端が1つずつ配置され、当該棒状導体C11に対してはんだSにより電気的および機械的に接続される。
【0063】
なお、本実施形態の同軸ケーブル50と絶縁ケーブル60の接続状態は、図6で上述した場合と同じ状態とされる。すなわち、電線61がはんだ付けされる部分からシールド用パッド35にはんだ付けされるシールド層72までの絶縁ケーブル60の区間は、中心導体51がはんだ付けされる部分からシールド用パッド35にはんだ付けされるシールド層72までの同軸ケーブル50の区間よりも撓んだ状態とされる。
【0064】
一方、コネクタ基板82Aの一面OSに対して逆側となるコネクタ基板82Aの他面には、被覆部位PA1と露出部位PA2とに亘ってグランドパターン37が配置される。このグランドパターン37には、グランド用パッド34及びシールド用パッド35が、例えばビアにより電気的に接続される。なお、グランド用パッド34には外部導体53が第1実施形態と同じ状態で接続され、シールド用パッド35にはシールド層72が第1実施形態と同じ状態で接続される。
【0065】
以上の本実施形態に係るケーブルアッセンブリ2は、コネクタ端子台40を省略することができるため、第1実施形態のケーブルアッセンブリ1に比べて薄厚化及び小型化を実現できる。なお、コネクタ基板を中継基板として用いて、例えばコネクタ基板に対するコネクタの接続端の方向を変える観点では、第1実施形態のほうが好ましい。
【0066】
以上の実施形態はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0067】
上記実施形態では、多芯ケーブル10の芯線として、同軸ケーブル50及び絶縁ケーブル60の双方が適用されたが、同軸ケーブル50又は絶縁ケーブル60のいずれか一方のみが適用されても良い。
【0068】
上記実施形態では、多芯ケーブル10における同軸ケーブル50及び絶縁ケーブル60が円状に配置されたが、互いに平行に配列されていても良い。つまり、多芯ケーブル10がフラットケーブルであっても良いということである。
【0069】
上記実施形態では、コネクタ基板32又は82Aの一面OSに対して逆側の他面にグランドパターン37が配置されたが、当該一面OSにグランドパターンが配置されても良く、ハウジング31にグランドパターンが配置されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、コネクタを取り扱う技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1,2・・・ケーブルアッセンブリ
10・・・多芯ケーブル
20,80・・・コネクタ
30・・・コネクタ本体
31,41,81・・・ハウジング
32,82・・・コネクタ基板
32A,82A・・・コネクタ基板
33,83・・・信号用パッド
34・・・グランド用パッド
35・・・シールド用パッド
36・・・固定用パッド
40・・・コネクタ端子台
42・・・コネクタ端子
50・・・同軸ケーブル
51・・・中心導体
52,62,71・・・絶縁層
53・・・外部導体
54,73・・・シース
60・・・絶縁ケーブル
61・・・電線
72・・・シールド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多芯ケーブルと、前記多芯ケーブルの少なくとも一端に接続されるコネクタとを含むケーブルアッセンブリであって、
前記多芯ケーブルは、
複数の芯線と、
各前記芯線を覆うシールド層と、
前記シールド層を覆うシースと
を備え、
前記コネクタは、
コネクタ基板の一面に配置され、前記シールド層がはんだ付けされるシールド用パッドと、
前記一面に配置され、前記芯線が接続される信号用パッドと
を備えることを特徴とするケーブルアッセンブリ。
【請求項2】
前記複数の芯線は、少なくとも1本以上の同軸ケーブルと絶縁ケーブルとを有し、
前記絶縁ケーブルの電線が前記信号用パッドにはんだ付けされる部分から前記シールド用パッドにはんだ付けされる前記シールド層までの前記絶縁ケーブルの区間は、前記同軸ケーブルの中心導体が前記信号用パッドにはんだ付けされる部分から前記シールド用パッドにはんだ付けされる前記シールド層までの前記同軸ケーブルの区間よりも撓んだ状態とされる
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルアッセンブリ。
【請求項3】
前記コネクタ基板の一面には、前記同軸ケーブルにおける外部導体がはんだ付けされるグランド用パッド
を備えることを特徴とする請求項2に記載のケーブルアッセンブリ。
【請求項4】
前記同軸ケーブルの前記区間は、前記シールド用パッドにはんだ付けされる前記シールド層の長手方向に沿って配置される
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のケーブルアッセンブリ。
【請求項5】
前記信号用パッドは、他のコネクタ部材と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のケーブルアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93137(P2013−93137A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233143(P2011−233143)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】