説明

ケーブルクランプ及び携帯用電子機器

【課題】 複数の同軸ケーブルをクランプするのに好適で、且つ、同軸ケーブルの外部導体との接触を的確に行う。
【解決手段】 互いに平行で一列に並んだ複数の同軸ケーブルを挟持する第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120と、第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120の少なくとも一方に突出形成され各同軸ケーブルが第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120の間隙に挿入されると各同軸ケーブルの外皮を開裂して該外皮の内側の外部導体と接触するレール部130と、第1ケーブル挟持片110について第2ケーブル挟持片120と反対側に配され第1ケーブル挟持片110の少なくとも一部が所定の基板に形成された接地部と接触するように第1ケーブル挟持片110とともに基板を挟持する基板挟持片140と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の同軸ケーブルを接地用の基板に固定するためのケーブルクランプ及びこれを備えた携帯用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの筐体が折り畳み自在に結合された携帯電話機等の携帯用電子機器においては、各筐体を電気的に接続する必要がある。従来、ヒンジ接続された結合部分の配線には、フレキシブル基板が用いられてきた。しかし、近年、各筐体で送受する情報量の増加に伴い、外部ノイズ、信号線間の輻射ノイズ等の影響が顕在化し、フレキシブル基板よりもこれらの影響が少ない同軸ケーブルを複数設けることが多くなってきた。
【0003】
ところが、同軸ケーブルを携帯用電子機器の結合部分に用いる場合は、1本あたりの径が比較的細くなることから、同軸構造中の外部導体もまた薄くなる。これにより、各同軸ケーブルで十分なシールド性能が得られないという問題がある。この問題を解決するために、各同軸ケーブルを束にして全体に銅箔テープを巻回させて、シールド性能を強化することが考えられる。しかしながら、この手法は、各同軸ケーブルの可撓性が損なわれ、各筐体が繰り返し開閉され配線に可撓性が要求される携帯用電子機器には不向きである。
【0004】
銅箔テープ等を用いることなくシールド性能を強化させるには、配線途中で基板のグランドパターンに接続させる手法が考えられる。このときに用いるケーブルクランプとして、上方向へ半円形状の凹部と、下方向へ半円形状の凹部とにより、正面視で円形の挿通部を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このケーブルクランプは、1本の同軸ケーブルを実装するためのものであり、同軸ケーブルの一部区間の外皮を剥がして外部導体としての編組線を露出させ、この区間を挿通部に挿通して金具側に接地させる。このケーブルクランプにはプリント基板の縁部を挟装する挟持部が設けられ、プリント基板のパッド部に半田付けにより接続される。
【0005】
このような1本の同軸ケーブルを接地させるケーブルクランプとして、同軸ケーブルの外皮が剥がされた区間と接触する湾曲部の裏面に、外部導体を貫通する導電性の針状突起を設けたものも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。このケーブルクランプでは、針状突起がシールド部に食い込むことにより同軸ケーブルの位置ずれが防止される利点がある。
【0006】
また、同軸ケーブルのアース構造として、U字形の底部内側へ突き出した鋭利な爪部を有するホルダを、筐体の切欠に圧入するものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。このアース構造では、圧入の際に爪部が同軸ケーブルに噛み込んで外部導体と接触するようになっている。
【0007】
さらに、帯状の内部導体に絶縁被膜を施した平型電線のコネクタとして、略コ字状の金属板の両脚片の先端を近接させて形成しておき、一方の側縁から両脚片をこじ開けつつ平型電線を嵌挿するものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。このコネクタは、平型電線の上下両面を対向する両脚片で弾性的に挟持し、平型電線が嵌挿されていない状態では両脚片が互いに近接するよう構成される。一方の脚片の内面には、嵌挿時に絶縁被膜を切り裂いて内部導体に弾接する接続用突起が突設され、この突起を通じて電気的接続が図られる。
【特許文献1】特開2004−87799号公報
【特許文献2】特開昭63−80707号公報
【特許文献3】特開昭63−37577号公報
【特許文献4】特開昭59−71273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたものは、いずれも同軸ケーブルを1本だけ保持するものであるので、複数の同軸ケーブルが隣接して配されるものに適用すると各同軸ケーブル毎にケーブルクランプを設けることとなる。これにより、筐体内に複数のケーブルクランプを配置するためのスペースが必要となり、スペース効率を優先させる携帯用電子機器等においては不利となる。
【0009】
また、特許文献4に記載されたものは、平型電線の嵌挿時に両脚片が弾性変形するので、変形後の両脚片間の距離が比較的大きくばらつくこととなる。特許文献4のような内部導体を絶縁被膜で覆う平型電線の内部導体への導通については、接続用突起が導体へ確実に接触するよう比較的深く食い込むように設定しておけば特段不具合は生じない。しかし、内部導体の外側に外部導体が設けられた同軸ケーブルの外部導体への導通については、突起が外部導体に確実に接触するようにすれば、突起が内部導体側へ食い込んでしまうおそれが生ずる。
すなわち、特許文献4のように両脚片をこじ開けるよう弾性変形させるものは深く食い込みすぎるおそれがあるし、両脚片を工具等で閉じるよう弾性変形する場合は両脚片を変形させる際のかしめ力を精度良く管理する必要が生じる。これにより、携帯用電子機器の製造コストが増大するという問題がある。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、複数の同軸ケーブルをクランプするのに好適で、且つ、同軸ケーブルの外部導体と的確に接触することのできるケーブルクランプとこれを備えた携帯用電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決する本発明では、一列に並んだ複数の同軸ケーブルを挟持する挟持部を備え、前記挟持部は、互いに平行となるよう各同軸ケーブルの並び方向へ延在し延在方向一端で互いに接続される第1ケーブル挟持片及び第2ケーブル挟持片を有し、前記第1ケーブル挟持片及び前記第2ケーブル挟持片の延在方向他端で開口を形成し、前記第1ケーブル挟持片及び前記第2ケーブル挟持片の少なくとも一方に突出形成され、前記各同軸ケーブルが前記第1ケーブル挟持片及び前記第2ケーブル挟持片の間隙に前記延在方向他端から一端側へ向かって挿入されると、前記各同軸ケーブルの外皮を開裂して該外皮の内側の外部導体と接触するレール部と、を備えたことを特徴とするケーブルクランプが提供される。
【0012】
本発明のケーブルクランプによれば、複数の同軸ケーブルが第1ケーブル挟持片及び第2ケーブル挟持片により一列に並んだ状態で挟持される。これにより、筐体内に複数の同軸ケーブルが引き回される携帯用電子機器等において、各同軸ケーブルの可撓性を損なうことなく、一のケーブルクランプでまとめて各同軸ケーブルの接地を行うことができる。また、各同軸ケーブルが一列に並んだ状態であるので、各同軸ケーブルは安定的に保持され、同軸ケーブル同士で絡み合ったり過度に干渉し合ったりすることはない。
【0013】
ここで、各同軸ケーブルを各ケーブル挟持片の間隙に挿入すると、レール部により各同軸ケーブルの外皮が開裂され、レール部が外皮内側の外部導体と接触する。これにより、各同軸ケーブルのケーブルクランプへの取付作業時に、各同軸ケーブルを挿入すれば自動的に外部導体とレール部との電気的導通が図られる。
このとき、各ケーブル挟持片を弾性変形させる必要がないので、各ケーブル挟持片を比較的強固に形成して各同軸ケーブルの挟持を安定的に行うことができる。また、各ケーブル挟持片同士の距離が変化しないことから、各ケーブル挟持片を弾性変形させる従来のもののように導体との接触部分の位置が大きくばらつくことはなく、精度良く外皮内側の外部導体との接触を図ることができる。
【0014】
また、第1ケーブル挟持片における各同軸ケーブルの挟持部分と反対側にて基板と接地させることにより、接地用の部位を特に形成する必要はない。この場合、基板の挟持に第1ケーブル挟持片を用いることと相俟って、全体として小型化を図ることができる。
【0015】
また、本発明では、互いに折り畳み自在に結合された2つの筐体と、前記各筐体を電気的に接続する複数の同軸ケーブルと、前記各同軸ケーブルが接続される接地部が形成された基板と、上記ケーブルクランプと、を備え、前記ケーブルクランプの第1ケーブル挟持片及び第2ケーブル挟持片により前記同軸ケーブルを挟持し、前記ケーブルクランプの第1ケーブル挟持片及び基板挟持片により前記基板を挟持するよう構成されたことを特徴とする携帯用電子機器が提供される。
【0016】
本発明の携帯用電子機器によれば、各同軸ケーブルの可撓性を確保した状態で基板に接地させることができ、シールド性能を強化しつつ各筐体の開閉による各同軸ケーブルの捻り負荷に対応することができる。また、各同軸ケーブルがケーブルクランプに保持されることから、各筐体の開閉時に各同軸ケーブルが過度にばたつくようなこともなく、各同軸ケーブルにおけるコネクタからの抜脱、他部品等との干渉等を確実に回避することができる。さらに、ケーブルクランプが小型であることから、筐体内のスペースを有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明のケーブルクランプによれば、各同軸ケーブルが安定的に保持されるとともに、全体として小型化を図ることができるので、複数の同軸ケーブルをクランプするのに好適である。
また、各同軸ケーブルの取付作業時に、第1ケーブル挟持片、第2ケーブル挟持片等を弾性変形させるような面倒な作業が発生せず、ケーブルクランプが使用される携帯用電子機器等の製造工程の簡略化を図ることができる。
さらに、各ケーブル挟持片が弾性変形しないことから、外部導体との接触部分であるレール部の位置が一義的に定まり、同軸ケーブルの外部導体と的確に接触させることができ、シールド性能を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の携帯用電子機器によれば、各筐体の開閉による各同軸ケーブルの捻り負荷に対応することができ、各同軸ケーブルの他部品等の干渉を確実に回避することができることから、長期使用における各同軸ケーブルの信頼性を向上させることができる。
さらに、ケーブルクランプが小型であることから、筐体内のスペースを有効に利用することができ、筐体内部の設計自由度が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態を示すケーブルクランプの外観斜視図、図2はケーブルクランプの正面図、図3は同軸ケーブル及び基板を挟持した状態のケーブルクランプの外観斜視図、図4は同軸ケーブル及び基板を挟持した状態のケーブルクランプの正面図である。尚、図4において、同軸ケーブル及び基板については断面を表示している。
図3に示すように、このケーブルクランプ100は、複数の同軸ケーブル200を挟持するとともに、各同軸ケーブル200を接地させる基板300を挟持する。図1に示すように、ケーブルクランプ100は、一列に並んだ複数の同軸ケーブル200を挟持する挟持部を備え、挟持部は、互いに平行となるよう各同軸ケーブル200の並び方向へ延在し延在方向一端で互いに接続される第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120を有する。また、ケーブルクランプ100は、各同軸ケーブル200が第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120の間隙に延在方向他端から一端側へ向かって挿入されると、各同軸ケーブル200の外皮210(図5参照)を開裂して該外皮210の内側の外部導体220と接触するレール部130と、第1ケーブル挟持片110とともに基板300を挟持する基板挟持片140と、を備えている。
【0021】
本実施形態においては、このケーブルクランプ100は、携帯用電子機器としての携帯電話機に用いられる。この携帯電話機は、互いに折り畳み自在に結合された2つの筐体と、各筐体を電気的に接続する複数の同軸ケーブル200と、各同軸ケーブル200が接続される接地パターンが形成された基板300と、ケーブルクランプ100と、を備えている。携帯電話機は、ケーブルクランプ100の第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120により同軸ケーブル200を挟持し、ケーブルクランプ100の第1ケーブル挟持片110及び基板挟持片140により基板300を挟持するよう構成されている。
【0022】
図2に示すように、挟持部は、第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120の延在方向他端で開口を形成する。各ケーブル挟持片110,120の延在方向は、ケーブルクランプ100の設置状態により変化するものであるが、以下、便宜的に各ケーブル挟持片110,120の延在方向を左右方向として説明することとする。
【0023】
第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120は、延在方向へわたって、ほぼ各同軸ケーブル200の外径分だけ上下に隔てて形成される。また、各ケーブル挟持片110,120は、ほぼ同じ大きさであり、それぞれ板面を上下に向けた細長い板状に形成される。また、図2に示すように、各ケーブル挟持片110,120は、右端側で右方へ凸の断面半円状に形成された接続部150により接続される。
【0024】
すなわち、各ケーブル挟持片110,120及び接続部150は、一の部材により連続的に形成されている。ここで、各ケーブル挟持片110,120及び接続部150は、導電性の材料からなり、各同軸ケーブル200はケーブルクランプ100を通じて基板300に接地する。
【0025】
図3に示すように、各同軸ケーブル200は、左右方向へ一列に並び、下側の第1ケーブル挟持片110と上側の第2ケーブル挟持片120とにより挟持される。各同軸ケーブル200は、各ケーブル挟持片110,120の左端側から右端側へ向かって挿入されることにより、ケーブルクランプ100に保持される。ここで、第1ケーブル挟持片110と第2ケーブル挟持片120の左端側は拡開するよう構成される。本実施形態においては、第2ケーブル挟持片120の左端側が、左上がりに傾斜して、左右中央側に比して第1ケーブル挟持片110から離隔するよう形成されている。
【0026】
また、図2に示すように、レール部130は、第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120の対向面にそれぞれ突出形成される。各レール部130は、各対向面の前後中央にて左右に延びるレール状に形成され、上下方向について基端側から先端側に向かって細くなる刃状に形成される。
【0027】
図5は、ケーブルクランプの一部正面図である。尚、図5において、同軸ケーブル及び基板については断面を表示している。
図5に示すように、各レール部130の上下寸法は、同軸ケーブル200挿入時に、各レール部130が外部導体220と接触して外部導体220の内側の絶縁体230には到達しないよう設定される。ここで、同軸ケーブル200は、外皮210、外部導体220、絶縁体230、内部導体(中心導体)240が、径方向外側から内側へ向かってこの順に並んで形成される。図2に示すように、各レール部130は、第2ケーブル挟持片120の左端側の傾斜部分よりも右側に形成される。また、各レール部130の左端は拡開するよう形成されている。
【0028】
図4に示すように、各レール部130の右端には、同軸ケーブル200の移動を規制する規制部としてのストッパ160が備えられる。各ストッパ160は、各ケーブル挟持片110,120の内面にて、各レール部130よりも上下方向へ突出し且つ前後に大きい直方体状に形成される。これにより、各ケーブル挟持片110,120に左端側から挿入された同軸ケーブル200は、各ストッパ160と干渉して最深部までは到達しない。
【0029】
また、図1に示すように、基板挟持片140は、第1ケーブル挟持片110について第2ケーブル挟持片120と反対側、すなわち第1ケーブル挟持片110の下側に配される。本実施形態においては、基板挟持片140は、第1ケーブル挟持片110の下面右側に接続され、接続部分から第1ケーブル挟持片110の下面と離隔して左方へ延びるよう形成される。
【0030】
また、基板挟持片140は、板面を略上下に向けた細長い板状に形成され、第1ケーブル挟持片110と接続部分近傍で大きく離隔し、左方へ向かって第1ケーブル挟持片110と接近するように左上がりに傾斜する。これにより、基板挟持片140は、図4に示すように、基板300を第1ケーブル挟持片110とともに挟持すると、第1ケーブル挟持片110と略平行となるよう弾性変形し、第1ケーブル挟持片110へ向かって付勢された状態となる。
【0031】
基板挟持片140の付勢力によりケーブルクランプ100は基板300に固定される。尚、基板300への固定する際に、はんだ付け等を併用してもよい。このように基板300を挟持した状態で、第1ケーブル挟持片110の下面が基板300に形成された接地部としての接地パターンと接触する。ここで、第1ケーブル挟持片110の下面全体が接地パターンと接触することが好ましいが、下面の一部が接地パターンと接触していればよい。また、図3に示すように、各同軸ケーブル200は基板300上のコネクタ310に接続される。
【0032】
また、図2に示すように、基板挟持片140の左端側は、左下がりに傾斜して、第1ケーブル挟持片110から離隔するよう形成されている。この左下がりに傾斜した部分は、先端側が他部よりも厚く形成されている。
【0033】
以上のように構成されたケーブルクランプ100では、図3に示すように、複数の同軸ケーブル200が第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120により一列に並んだ状態で挟持され、第1ケーブル挟持片110及び基板挟持片140により接地用の基板300が挟持される。これにより、筐体内に複数の同軸ケーブル200が引き回される携帯用電話機において、各同軸ケーブル200の可撓性を損なうことなく、一のケーブルクランプ100でまとめて各同軸ケーブル200の接地を行うことができる。また、各同軸ケーブル200が一列に並んだ状態であるので、各同軸ケーブル200は安定的に保持され、同軸ケーブル200同士で絡み合ったり過度に干渉し合ったりすることはない。
【0034】
ここで、各同軸ケーブル200を各ケーブル挟持片110,120の間隙に挿入すると、各レール部130により各同軸ケーブル200の外皮210が開裂され、各レール部130が外皮210内側の外部導体220と接触する。これにより、各同軸ケーブル200のケーブルクランプ100への取付作業時に、各同軸ケーブル200を挿入すれば自動的に外部導体220と各レール部130との電気的導通が図られる。
【0035】
このとき、各ケーブル挟持片110,120を弾性変形させる必要がないので、各ケーブル挟持片110,120を比較的強固に形成して各同軸ケーブル200の挟持を安定的に行うことができる。また、各ケーブル挟持片110,120同士の距離が変化しないことから、各ケーブル挟持片110,120を弾性変形させる従来のもののように導体との接触部分の位置が大きくばらつくことはなく、精度良く外皮210内側の外部導体220との接触を図ることができる。
【0036】
また、第1ケーブル挟持片110における各同軸ケーブル200の挟持部分と反対側にて基板300と接地するようにしたので、接地用の部位を特に形成する必要はない。また、基板300の挟持に第1ケーブル挟持片110を用いることと相俟って、全体として小型化を図ることができる。
【0037】
このように、本実施形態のケーブルクランプ100によれば、各同軸ケーブル200が安定的に保持されるとともに、全体として小型化を図ることができるので、複数の同軸ケーブル200をクランプするのに好適である。
また、各同軸ケーブル200の取付作業時に、第1ケーブル挟持片110、第2ケーブル挟持片120等を弾性変形させるような面倒な作業が発生せず、ケーブルクランプ100が使用される携帯用電話機の製造工程の簡略化を図ることができる。
さらに、各ケーブル挟持片110,120が弾性変形しないことから、外部導体220との接触部分であるレール部130の位置が一義的に定まり、同軸ケーブル200の外部導体220と的確に接触させることができ、シールド性能を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態のケーブルクランプ100によれば、各ケーブル挟持片110,120の左端側が拡開しているので、各同軸ケーブル200を各挟持部110,120内へ案内しやすく、これによっても作業負担を軽減して製造工程の簡略化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態のケーブルクランプ100によれば、同軸ケーブル200の移動が規制されるストッパ160を設けたので、レール部130との導通が保証される範囲に同軸ケーブル200が保持される。また、ストッパ160により各同軸ケーブル200の左右方向の位置決めを行うことができ、実用に際して極めて有利である。ここで、各ケーブル挟持片110,120の間隙は、同軸ケーブル200の外径とほぼ同じであることから、各同軸ケーブル200は上下方向に位置決めされる。また、レール部130が同軸ケーブル200の外皮210に食い込むことから、各同軸ケーブル200は前後方向にも位置決めされる。
【0040】
また、本実施形態の携帯電話機によれば、各同軸ケーブル200の可撓性を確保した状態で基板300に接地させることができ、シールド性能を強化しつつ各筐体の開閉による各同軸ケーブル200の捻り負荷に対応することができる。また、各同軸ケーブル200がケーブルクランプ100に保持されることから、各筐体の開閉時に各同軸ケーブル200が過度にばたつくようなこともなく、各同軸ケーブル200におけるコネクタからの抜脱、他部品等との干渉等を確実に回避することができる。従って、長期使用における各同軸ケーブル200の信頼性を向上させることができる。
さらに、ケーブルクランプ100が小型であることから、筐体内のスペースを有効に利用することができ、筐体内部の設計自由度が飛躍的に向上する。
【0041】
さらに、ケーブルクランプ100が挟持する同軸ケーブル200が、ケーブルクランプ100が固定されている基板300のコネクタ310に接続されており、この結果、各筐体の開閉に伴って負荷が加わりやすい同軸ケーブル200とコネクタ310の接続部分近傍で同軸ケーブル200が挟持されることとなる。これによっても、各同軸ケーブル200に加わる負荷を低減して信頼性を向上させることができる。
【0042】
尚、前記実施形態においては、携帯用電子機器として携帯電話機を例示したが、2以上の筐体が折り畳み自在に結合されたものならば、PDA、ノート型パソコン等のような他の携帯用電子機器であっても前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
また、前記実施形態においては、第1ケーブル挟持片110及び第2ケーブル挟持片120の両方にレール部130が形成されたものを示したが、いずれか一方にレール部130が形成されていれば、同軸ケーブル200の外部導体220を基板300に接地することができる。
【0044】
また、前記実施形態においては、基板300を挟持した状態で基板挟持片140が第1ケーブル挟持片110側へ付勢されるものを示したが、基板挟持片140がねじ、はんだ付け等で基板300に固定されていれば、特に付勢される必要はない。
【0045】
また、前記実施形態においては、規制部として直方体状のストッパ160を設けたものを示したが、各ケーブル挟持片110,120の対向面に形成されたリブ等であってもよい。また、ストッパ160をレール部130の右端に設けたものを示したが、各ケーブル挟持片110,120の延在方向一端側に形成されていればよい。
【0046】
また、前記実施形態においては、第2ケーブル挟持片120の左端側が左上がりに傾斜して、各ケーブル挟持片110,120の左端側が拡開するものを示したが、例えば、基板300側に位置する第1ケーブル挟持片110の左端側の対向面を削って拡開するようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施形態においては、基板挟持片140を設けたものを示したが、例えばはんだ付けにより基板300に固定されるものであってもよく、基板挟持片140を省略した構成としてもよい。さらに、各ケーブル挟持片110,120及び基板挟持片140が板状に形成されたものを示したが、これらは例えば棒状のような他の形状であってもよいし、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示すケーブルクランプの外観斜視図である。
【図2】ケーブルクランプの正面図である。
【図3】同軸ケーブル及び基板を挟持した状態のケーブルクランプの外観斜視図である。
【図4】同軸ケーブル及び基板を挟持した状態のケーブルクランプの正面図である。
【図5】ケーブルクランプの一部正面図である。
【符号の説明】
【0049】
100 ケーブルクランプ
110 ケーブル挟持片
120 ケーブル挟持片
130 レール部
140 基板挟持片
150 接続部
160 ストッパ
200 同軸ケーブル
210 外皮
220 外部導体
230 絶縁体
240 内部導体
300 基板
310 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並んだ複数の同軸ケーブルを挟持する挟持部を備え、
前記挟持部は、互いに平行となるよう各同軸ケーブルの並び方向へ延在し延在方向一端で互いに接続される第1ケーブル挟持片及び第2ケーブル挟持片を有し、前記第1ケーブル挟持片及び前記第2ケーブル挟持片の延在方向他端で開口を形成し、
前記第1ケーブル挟持片及び前記第2ケーブル挟持片の少なくとも一方に突出形成され、前記各同軸ケーブルが前記第1ケーブル挟持片及び前記第2ケーブル挟持片の間隙に前記延在方向他端から一端側へ向かって挿入されると、前記各同軸ケーブルの外皮を開裂して該外皮の内側の外部導体と接触するレール部と、を備えたことを特徴とするケーブルクランプ。
【請求項2】
前記第1ケーブル挟持片について前記第2ケーブル挟持片と反対側に配され、前記第1ケーブル挟持片の少なくとも一部が所定の基板に形成された接地部と接触するように、前記第1ケーブル挟持片とともに前記基板を挟持する基板挟持片を備えたことを特徴とする請求項1に記載のケーブルクランプ。
【請求項3】
前記基板挟持片は、前記基板を挟持すると弾性変形し、前記第1ケーブル挟持片へ向かって付勢されることを特徴とする請求項2に記載のケーブルクランプ。
【請求項4】
前記レール部の前記延在方向一端側に形成され、前記同軸ケーブルの移動を規制する規制部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のケーブルクランプ。
【請求項5】
前記第1ケーブル挟持片と前記第2ケーブル挟持片の延在方向他端側が拡開するよう構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のケーブルクランプ。
【請求項6】
互いに折り畳み自在に結合された2つの筐体と、
前記各筐体を電気的に接続する複数の同軸ケーブルと、
前記各同軸ケーブルが接続される接地部が形成された基板と、
請求項1から5のいずれか一項に記載のケーブルクランプと、を備え、
前記ケーブルクランプの第1ケーブル挟持片及び第2ケーブル挟持片により前記同軸ケーブルを挟持し、前記ケーブルクランプの第1ケーブル挟持片及び基板挟持片により前記基板を挟持するよう構成されたことを特徴とする携帯用電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−333573(P2006−333573A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150711(P2005−150711)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】